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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240604BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240604BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20240604BHJP
   H05K 3/36 20060101ALI20240604BHJP
   H01L 23/14 20060101ALI20240604BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240604BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20240604BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H01L23/12 N
H05K3/46 B
H05K3/46 T
H05K1/14 G
H05K3/36 B
H01L23/14 R
H01L21/60 311S
H01L23/30 R
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020018134
(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公開番号】P2021125565
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】梅村 優樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 茜
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-004926(JP,A)
【文献】国際公開第2018/047861(WO,A1)
【文献】特開2015-226046(JP,A)
【文献】特開2008-091408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H05K 3/46
H05K 1/14
H05K 3/36
H01L 23/14
H01L 21/60
H01L 23/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配線基板と、
前記第1配線基板に接合され、前記第1配線基板より微細な配線が形成された第2配線基板を備え、
前記第1配線基板との接合面に対向する前記第2配線基板の対向面に半導体素子が実装される配線基板であって、
前記第2配線基板に用いる微細な配線を形成する為の配線用絶縁樹脂の表裏に、貯蔵弾性率が前記配線用絶縁樹脂よりも大きな絶縁樹脂が形成され
前記配線用絶縁樹脂の表裏に形成する前記絶縁樹脂は、貯蔵弾性率の異なる第1絶縁樹脂と第2絶縁樹脂を含み、
前記半導体素子の実装面側から見て前記第2絶縁樹脂、前記配線用絶縁樹脂、前記第1絶縁樹脂の順に積層されており、
前記第2配線基板の前記半導体素子が実装される電極パッドの厚さは、前記第2絶縁樹脂の厚さよりも薄いことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
記第1絶縁樹脂の貯蔵弾性率をAとし、前記配線用絶縁樹脂の貯蔵弾性率をBとし、前記第2絶縁樹脂の貯蔵弾性率をCとしたとき、B<C<Aの関係である請求項に記載の配線基板。
【請求項3】
前記配線用絶縁樹脂が感光性樹脂である請求項1または2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1配線基板と前記第2配線基板との接続ピッチが前記半導体素子の接続ピッチよりも大きい請求項1からのいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第2配線基板のCu電極形状が、前記第1配線基板との接続側は凹み形状であり、前記半導体素子との接続側が平坦形状である請求項1からのいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記第2配線基板のCu電極形状が、前記第1配線基板との接続側は凹み形状であり、前記半導体素子との接続側が凸形状である請求項1からのいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項7】
前記第2配線基板のCu電極形状が、前記第1配線基板との接続側、および前記半導体素子との接続側が共に凹み形状である請求項1からのいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項8】
前記第2配線基板に形成された前記微細な配線の一部は、前記第2絶縁樹脂に埋め込まれている請求項1から7のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項9】
前記第2絶縁樹脂と前記第1絶縁樹脂は、それぞれ感光性樹脂のみを含む請求項1から8のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項10】
第1配線基板と、
前記第1配線基板と、前記第1配線基板に接合された前記第1配線基板より微細な配線が形成された第2配線基板とを備え、前記第2配線基板の前記第1配線基板との接合面の対向面に半導体素子が実装される配線基板の製造方法であって、
支持体の一面上に剥離層を形成する工程と、
前記剥離層の上部に前記半導体素子と接合する第2電極を形成する工程と、
第2絶縁樹脂を形成する工程と、
配線用絶縁樹脂と配線層からなる微細配線層を形成する工程と、
前記微細配線層の前記支持体と対向する側に前記第1配線基板と接合する第1電極を形成する工程と、第1絶縁樹脂を形成する工程を有する前記第2配線基板を形成する工程と、
前記第1配線基板の一方の面に前記第2配線基板と接合する第3電極を形成し、前記第2配線基板と前記第1配線基板を、前記第1電極と前記第3電極とで接合する工程と、
前記支持体を前記剥離層により前記第2配線基板から剥離し、前記第2電極と前記第2絶縁樹脂を表面に露出させる工程と、
前記第1配線基板と前記第2配線基板との間に第1封止樹脂を形成する工程と、
前記第1封止樹脂を硬化させる工程と、
前記第2配線基板と前記半導体素子を、前記第2電極と前記半導体素子の第4電極とで接合する工程と、
前記第2配線基板と前記半導体素子との間に第2封止樹脂を形成する工程と、
前記第2封止樹脂を硬化させる工程と、
を含み、
前記第2電極の厚さは、前記第2絶縁樹脂の厚さよりも薄いことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記第2配線基板と前記第1配線基板とはマスリフロー方式で接合する請求項10に記載の配線基板の製造方法。
【請求項12】
前記第2配線基板と前記第1配線基板との接合部、半導体素子の接合部共にキャピラリーフローアンダーフィルで封止する請求項10に記載の配線基板の製造方法。
【請求項13】
前記第2配線基板と前記第1配線基板との接合部はキャピラリーフローアンダーフィルで封止され、
半導体素子の接合部はフィルム状接続材料(NCF)で封止される請求項10に記載の配線基板の製造方法。
【請求項14】
前記配線層の一部は、前記第2絶縁樹脂に埋め込まれている請求項10から13のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項15】
前記第2絶縁樹脂と前記第1絶縁樹脂は、それぞれ感光性樹脂のみを含む請求項10から14のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年半導体装置の高速、高集積化が進む中で、FC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)用配線基板に対しても、半導体チップとの接続端子の狭ピッチ化、基板配線の微細化が求められている。一方、FC-BGA用配線基板とマザーボードとの接続は、従来とほぼ変わらないピッチの接続端子での接続が要求されている。この半導体チップと接続端子の狭ピッチ化、基板配線の微細化のため、シリコン上に配線形成してチップ接続用の基板(シリコンインターポーザ)として、それぞれFC-BGA用配線基板に接続する方式が特許文献1に開示されている。また、FC-BGA用配線基板の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学機械研磨)等で平坦化してから微細配線を形成する方式が特許文献2に開示されている。また、支持基板の上に微細な配線層を形成しFC-BGA基板に搭載した後、支持基板を剥離することで狭ピッチな配線基板な形成する方式が特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-280490号
【文献】特開2014-225671号
【文献】WO2018/047861
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シリコンインターポーザは、シリコンウェハを利用して、半導体前工程用の設備を用いて製作されている。シリコンウェハは形状、サイズに制限があり、1枚のウェハから製作できるインターポーザの数が少なく、製造設備も高価であるため、インターポーザも高価となる。また、シリコンウェハが半導体であることから、伝送特性も劣化するという問題がある。
【0005】
また、FC-BGA用配線基板の表面の平坦化を行いその上に微細配線層を形成する方式においては、シリコンインターポーザに見られる伝送特性劣化の問題は無いが、FC-BGA用配線基板の製造不良と、難易度の高い微細配線形成時の不良との合算で収率が低下する問題や、FC-BGA用配線基板の反り、歪みに起因した半導体素子の実装における問題がある。
【0006】
一方、支持基板の上に微細な配線層を形成しFC-BGA基板に搭載する方式では、伝送特劣化の問題や、FC-BGA用配線基板と微細な配線層を別々に形成するため合算で収率が低下する問題はない。しかしながら、支持基板の上に微細な配線層を形成しFC-BGA基板に搭載しようとすると、次のような問題があった。すなわち、微細な配線層を形成する為の絶縁樹脂として加工性が優れた柔らかい樹脂を選択すると、絶縁樹脂表面にうねりが発生し半導体素子の実装性が低下する問題、製造途中や信頼性試験時に樹脂にクラックが発生しやすい問題があった。
【0007】
そこで本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、支持基板の上に微細な配線層を形成しFC-BGA基板に搭載する方式において、うねりおよびクラックを抑制することで実装性、信頼性に優れた配線基板を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する手段として、本発明の配線基板の一態様は、第1配線基板と、上記第1配線基板に接合され、上記第1配線基板より微細な配線が形成された第2配線基板を備え、上記第1配線基板との接合面に対向する上記第2配線基板の対向面に半導体素子が実装される配線基板であって、上記第2配線基板に用いる微細な配線を形成する為の配線用絶縁樹脂の表裏に、貯蔵弾性率が上記配線用絶縁樹脂よりも大きな絶縁樹脂が形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の配線基板の一態様は、上記配線基板において、上記配線用絶縁樹脂の表裏に形成する上記絶縁樹脂は、貯蔵弾性率の異なる第1絶縁樹脂と第2絶縁樹脂を含む。
また、本発明の配線基板の一態様は、上記配線基板において、上記半導体素子の実装面側から見て上記第2絶縁樹脂、上記配線用絶縁樹脂、上記第1絶縁樹脂の順に積層されており、上記第1絶縁樹脂の貯蔵弾性率をAとし、上記配線用絶縁樹脂の貯蔵弾性率をBとし、上記第2絶縁樹脂の貯蔵弾性率をCとしたとき、B<C<Aの関係である。
【0010】
また、本発明の配線基板の一態様は、上記配線基板において、上記配線用絶縁樹脂が感光性樹脂である。
また、本発明の配線基板の一態様は、上記配線基板において、上記第1配線基板と上記第2配線基板との接続ピッチが上記半導体素子の接続ピッチよりも大きい。
また、本発明の配線基板の一態様は、上記配線基板において、上記第2配線基板のCu電極形状が、上記第1配線基板との接続側は凹み形状であり、上記半導体素子との接続側が平坦形状である。
【0011】
また、本発明の配線基板の一態様は、上記配線基板において、上記第2配線基板のCu電極形状が、上記第1配線基板との接続側は凹み形状であり、上記半導体素子との接続側が凸形状である。
また、本発明の配線基板の一態様は、上記配線基板において、上記第2配線基板のCu電極形状が、上記第1配線基板との接続側、および上記半導体素子との接続側が共に凹み形状である。
【0012】
また、本発明の配線基板の製造方法の一態様は、第1配線基板と、上記第1配線基板と、上記第1配線基板に接合された上記第1配線基板より微細な配線が形成された第2配線基板とを備え、上記第2配線基板の上記第1配線基板との接合面の対向面に半導体素子が実装される配線基板の製造方法であって、支持体の一面上に剥離層を形成する工程と、上記剥離層の上部に上記半導体素子と接合する上記第2電極を形成する工程と、第2絶縁樹脂を形成する工程と、配線用絶縁樹脂と配線層からなる微細配線層を形成する工程と、上記微細配線層の上記支持体と対向する側に上記第1配線基板と接合する上記第1電極を形成する工程と、第1絶縁樹脂を形成する工程を有する上記第2配線基板を形成する工程と、上記第1配線基板の一方の面に上記第2配線基板と接合する第3電極を形成し、上記第2配線基板と上記第1配線基板を、上記第1電極と上記第3電極とで接合する工程と、上記支持体を上記剥離層により上記第2配線基板から剥離し、上記第2電極と上記第2絶縁樹脂を表面に露出させる工程と、上記第1配線基板と上記第2配線基板との間に第1封止樹脂を形成する工程と、上記第1封止樹脂を硬化させる工程と、上記第2配線基板と上記半導体素子を、上記第2電極と上記半導体素子の第4電極とで接合する工程と、上記第2配線基板と上記半導体素子との間に第2封止樹脂を形成する工程と、上記第2封止樹脂を硬化させる工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の配線基板の製造方法の一態様は、上記配線基板の製造方法において、上記第2配線基板と上記第1配線基板とはマスリフロー方式で接合する。
また、本発明の配線基板の製造方法の一態様は、上記配線基板の製造方法において、上記第2配線基板と上記第1配線基板との接合部、半導体素子の接合部共にキャピラリーフローアンダーフィルで封止する。
また、本発明の配線基板の製造方法の一態様は、上記配線基板の製造方法において、上記第2配線基板と上記第1配線基板との接合部はキャピラリーフローアンダーフィルで封止され、半導体素子の接合部はフィルム状接続材料(NCF)で封止される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、支持基板の上に微細な配線層を形成しFC-BGA基板に搭載する方式において、実装性、信頼性に優れた配線基板を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る配線基板に半導体チップを実装した一例を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る第2配線基板の一例を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る第2配線基板の製造方法の一例を示す断面図である。
図4図3に続く第2配線基板の製造方法を示す断面図である。
図5図4に続く第2配線基板の製造方法を示す断面図である。
図6A】本発明の一実施形態に係る第1配線基板と第2配線基板の接合方法の一例を示す断面拡大図である。
図6B】本発明の一実施形態に係る第1配線基板と第2配線基板の接合方法の一例を示す断面拡大図である。
図6C】本発明の一実施形態に係る第1配線基板と第2配線基板の接合方法の一例を示す断面拡大図である。
図6D】本発明の一実施形態に係る第1配線基板と第2配線基板の接合方法の一例を示す断面拡大図である。
図6E】本発明の一実施形態に係る第1配線基板と第2配線基板の接合方法の一例を示す断面拡大図である。
図6F】本発明の一実施形態に係る第1配線基板と第2配線基板の接合方法の一例を示す断面拡大図である。
図7】本発明の一実施形態に係る配線基板と半導体素子の接合方法の一例を示す断面図である。
図8A】本発明の第2の実施形態に係る第2電極形状および製造方法の一例を示す断面拡大図である。
図8B】本発明の第2の実施形態に係る第2電極形状および製造方法の一例を示す断面拡大図である。
図8C】本発明の第2の実施形態に係る第2電極形状および製造方法の一例を示す断面拡大図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る第2電極形状および製造方法の一例を示す断面図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る第2電極形状および製造方法の一例を示す断面図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図である。
図12】本発明の第3の実施形態に係る第2電極形状および製造方法の一例を示す断面拡大図である。
図13A】本発明の第4の実施形態に係るアンダーフィル形成方法の一例を示す断面図である。
図13B】本発明の第4の実施形態に係るアンダーフィル形成方法の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態に関わる配線基板について図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する各図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適宜省略する。また、各図面は説明を容易にするために適宜誇張して表現している。
【0017】
<第1の実施形態>
図1は、本発明に係る配線基板に半導体チップを実装した半導体パッケージの一例を示す断面図である。
本発明の一実施形態に係る半導体パッケージは、FC-BGA用配線基板(第1配線基板)1の一方の面に、樹脂と配線とが積層されてなる微細配線層22を備えた薄いインターポーザ(第2配線基板)3が、はんだバンプまたは銅ポスト(銅ピラー)などで接合(接合部19)されている。インターポーザ3には、微細配線層22形成用の絶縁樹脂層Bとチップ側の接続パッドを形成する絶縁樹脂層C、第一配線基板と接合する面に絶縁樹脂層Aの3種類の絶縁樹脂が用いられている。また、FC-BGA用配線基板1とインターポーザ3との間隙が絶縁性の接着部材としてのアンダーフィル2で埋め込まれている。さらにインターポーザ3の、FC-BGA用配線基板1とは逆側の面に半導体素子4が銅ピラー20a及びその先端の半田20bで接合(接合部20)され、半導体素子4とインターポーザ3との間隙がアンダーフィル21で埋め込まれている。
【0018】
アンダーフィル2は、FC-BGA用配線基板1とインターポーザ3とを固定及び接合部19を封止するために用いられる接着材料である。アンダーフィル2としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂の1種又はこれらの樹脂の2種類以上が混合された樹脂に、フィラーとしてのシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等が加えられた材料が用いられる。アンダーフィル2は、液状の樹脂を充填させることで形成される。
アンダーフィル21は半導体チップ4とインターポーザ3とを固定及び接合部20を封止するために用いられる接着剤であり、アンダーフィル2と同様の材料で構成される。
【0019】
インターポーザ3と半導体素子4との接合部20の個々の間隔は、インターポーザ3とFC-BGA配線基板1との接合部19の個々の間隔よりも狭いことが一般的である。そのため、インターポーザ3において、半導体素子4を接合する側の方が、FC-BGA用配線基板1と接合する側よりも微細な配線が必要となる。例えば、現在のハイバンドメモリ(HBM)の使用に対応するためには、インターポーザ3では配線幅を2μm以上6μm以下にする必要がある。特性インピーダンスを50Ωにあわせるためには、配線幅が2μm、配線高さ2μmの場合、配線間の絶縁膜厚は2.5μmとなる。配線も含めた1層の厚さは4.5μmとなり、この厚さで5層のインターポーザ3を形成する場合、微細配線層22は、総厚25μm程度、チップ側の接続パッドを形成する絶縁樹脂層Cの厚みは20μm程度、第一配線基板と接合する面に絶縁樹脂層Aの厚みは25μm程度となり、インターポーザ3は、総厚70μm程度のインターポーザ3となる。
【0020】
上記の通り、インターポーザ3の厚みは総厚70μm程度と薄く、そのままの状態ではFC-BGA用配線基板1と接合するのが困難であるため、支持体5を用いて剛直性を担保することが有効である。また、2μm程度の幅と高さを有する配線を形成するには、平坦な支持体5が必要となる。上記理由により、図2に示すように、インターポーザ3は、剛直で平坦な支持体5上に形成される。なお、支持体上には、シード層8を設けてもよいし、それ以外の層を設けてもよい。
【0021】
支持体5は、支持体5上に形成されたインターポーザ3とFC-BGA用配線基板1を接合した後に、剥離される。支持体5を剥離した後は、上記の通り薄いインターポーザ3が接合部19を介してFC-BGA用配線基板1に接続されている。インターポーザ3は、絶縁樹脂層A(第2絶縁樹脂)、絶縁樹脂層B(配線用絶縁樹脂)、絶縁樹脂層C(第1絶縁樹脂)を有している。絶縁樹脂層Bに比べ絶縁樹脂層AとCの貯蔵弾性率は大きい。なお、貯蔵弾性率とは、材料の弾性としての特性を反映しており、材料の変形しにくさを表す値である。貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置を用いた測定によって得られる。
【0022】
絶縁樹脂層AとCは同じでもよいが、信頼性向上の観点からは貯蔵弾性率の異なる別の樹脂であることが望ましい。また絶縁樹脂層A、B、Cの貯蔵弾性率の大きさはB<C<Aとなることが望ましい。前述した微細配線層22を形成する絶縁樹脂Bは、その加工性から弾性率の小さな材料を選択する場合があるが、その外側に貯蔵弾性率の高い絶縁樹脂A、Cを配置することで、うねりを抑制することができる。また、貯蔵弾性率の高い絶縁樹脂を半導体チップ4側、FC-BGA用配線基板1側の両側に配置することで、半導体チップ4とインターポーザ3とのCTE差、インターポーザ3とFC-BGA用配線基板1のCTE差に起因したクラックを抑制することができる。一方、一般的に微細配線形成性と変形しにくさ、割れにくさはトレードオフの関係性になる場合があるが、半導体チップ4側の電極形成に求められる樹脂加工性よりもFC-BGA用配線基板1側のパッド形成に求められる樹脂加工性の方が寛容であり、より広い範囲で貯蔵弾性率の異なる樹脂を選択できる。それぞれの層に適した樹脂を選択することで加工性を確保した上で最も剛直なインターポーザ3が得られ、うねり、クラックを抑制することができ、実装性、信頼性に優れた配線基板を提供することができる。特に絶縁樹脂層Bが感光性樹脂である場合は、貯蔵弾性率が小さい場合が多く、その効果を得られる。一方で配線基板の用途により求められる信頼性は異なる。要求に足る信頼性を確保できるのであれば、製造コスト、材料調達コストの観点から絶縁樹脂AとCに同じ樹脂を用いてもよい。
【0023】
次に図3から図5を用いて、本発明の一実施形態に係る支持体5上へのインターポーザ(第2配線基板)3の製造工程の一例を説明する。
まず、図3(a)に示すように、支持体5の一方の面に、後の工程で支持体5を剥離するために必要な剥離層6を形成する。
【0024】
剥離層6は、例えば、UV光などの光を吸収して発熱、もしくは、変質によって剥離可能となる樹脂でもよく、熱によって発泡により剥離可能となる樹脂でもよい。UV光などの光によって剥離可能となる樹脂を用いる場合、剥離層6を設けた側とは反対側の面から支持体5に光を照射して、インターポーザ3と、FC-BGA用配線基板1との接合体から支持体5を取り去る。この場合、支持体5は、透明性を有する必要があり、例えばガラスを用いることができる。ガラスは平坦性に優れており、インターポーザ3の微細なパターン形成に向いている、また、ガラスはCTE(coefficient of thermal expansion、熱膨張率)が小さく歪みにくいことから、パターン配置精度及び平坦性の確保に優れている。支持体5としてガラスを用いる場合、ガラスの厚さは、製造プロセスにおける反りの発生を抑制する観点から厚い方が望ましく、例えば0.7mm以上、好ましくは1.1mm以上の厚みである。また、ガラスのCTEは3ppm以上15ppm以下が好ましく、FC-BGA用配線基板1、半導体素子4のCTEの観点から9ppm程度がより好ましい。ここでは、支持体5として、例えばガラスを用いる。一方、剥離層6に上記熱によって発泡する樹脂を用いた場合は、インターポーザ3と、FC-BGA用配線基板1との接合体を加熱する事で支持体5を取り去る。この場合、支持体5には、歪みの少ない例えばメタルやセラミックスなどを用いることができる。本発明の一実施形態では、剥離層6としてUV光を吸収して剥離可能となる樹脂を用い、支持体5にはガラスを用いる。
【0025】
次いで、図3(b)に示すように、真空中で、シード層8を形成する。シード層8は配線形成用において、電解めっきの給電層として作用する。シード層8は、例えば、スパッタ法、またはCVD法などにより形成され、例えば、Cu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、ITO、IZO、AZO、ZnO、PZT、TiN、Cu3N4、Cu合金単体もしくは複数組み合わせたものを適用することができる。本発明では、電気特性、製造の容易性の観点およびコスト面を考慮して、チタン層、続いて銅層を順次スパッタリング法で形成する。チタンと銅層の合計の膜厚は、電解めっきの給電層として1μm以下とするのが好ましい。本発明の一実施形態ではTi:50nm、Cu:300nmを形成した。
【0026】
次に図3(c)に示すようにレジストパターン9を形成し、電解めっきにより導体層(第1電極)10を形成する。導体層10は半導体素子4と接合用の電極となる。電解めっき法は電解ニッケルめっき、電解銅めっき、電解クロムめっき、電解Pdめっき、電解金めっき、電解ロジウムめっき、電解イリジウムめっき等が挙げられるが、電解銅めっきであることが簡便で安価で、電気伝導性が良好であることから望ましい。電解銅めっきの厚みは、回路の接続信頼性、及び、製造コストの観点から、1μm以上30μm以下であることが望ましい。その後、図3(d)に示すようにレジストパターン9を除去する。
【0027】
次に、図3(e)に示すように絶縁樹脂層Cを形成する。絶縁樹脂層Cは導体層10が絶縁樹脂層Cの層内に埋め込まれるように形成する。本実施形態では、絶縁樹脂層Cとして例えば、感光性のエポキシ系樹脂をスピンコート法により形成する。絶縁樹脂層Cとしては、感光性のエポキシ系樹脂を用いてスピンコート法により形成する他、絶縁樹脂フィルムを真空ラミネータで圧縮キュアを行って形成することも可能であり、この場合は平坦性の良い絶縁膜を形成することができる。その他、例えばポリイミドを絶縁樹脂として用いることも可能である。
次に、図3(f)に示すように、フォトリソグラフィーにより、導体層10上に開口部を設ける。開口部に対して、現像時の残渣除去を目的として、プラズマ処理を行ってもよい。
【0028】
次に、図4(g)に示すように、開口部の表面上にシード層12を設ける。シード層12の構成については前述したシード層8と同様で、適宜構成、厚みを変更可能である。本発明の一実施形態ではTi:50nm、Cu:300nmをスパッタリング法で形成した。
次に、図4(h)に示すように、シード層12上にレジストパターン13を形成し、その開口部に電解めっきにより導体層(配線層)14を形成する。導体層14は、インターポーザ3の内部の配線層となる。本発明の一実施形態では導体層14として銅を形成した。その後、図4(i)に示すようにレジストパターン13を除去する。その後、不要なシード層12をエッチング除去する。
【0029】
次に、図4(j)に示すように絶縁樹脂層Bを形成する。絶縁樹脂層Bは導体層14が絶縁樹脂層Cの層内に埋め込まれるように形成する。本実施形態では、絶縁樹脂層Bとして例えば、感光性のエポキシ系樹脂をスピンコート法により形成する。絶縁樹脂層Bとしては、感光性のエポキシ系樹脂を用いてスピンコート法により形成する他、絶縁樹脂フィルムを真空ラミネータで圧縮キュアを行って形成することも可能であり、この場合は平坦性の良い絶縁膜を形成することができる。その他、例えばポリイミドを絶縁樹脂として用いることも可能である。
【0030】
次に、図4(k)に示すように、フォトリソグラフィーにより、導体層14上に開口部を設ける。開口部に対して、現像時の残渣除去を目的として、プラズマ処理を行ってもよい。
次に、図4(l)に示すように、開口部の表面上にシード層15を設ける。シード層15の構成については前述したシード層8と同様で、適宜構成、厚みを変更可能である。本発明の一実施形態ではTi:50nm、Cu:300nmをスパッタリング法で形成した。
【0031】
次に、図5(m)に示すように、シード層15上にレジストパターン16を形成し、その開口部に電解めっきにより導体層(配線層)17を形成する。導体層17は、インターポーザ3の内部の配線層となる。本発明の一実施形態では導体層17として銅を形成した。その後、図5(n)に示すようにレジストパターン16を除去する。その後、不要なシード層12をエッチング除去する。
次に、図4(j)から図5(n)の工程を繰り返し、図5(o)に示すような、導体層(配線層)17が多層化された基板を得る。導体層17の内、最表面に配置される導体層(第2電極)18は、FC-BGA用配線基板1との接合用の電極となる。
【0032】
次に、図5(p)に示すように、インターポーザ3に絶縁樹脂層Aを形成する。絶縁樹脂層Aは、絶縁樹脂層Bを覆うように、露光、現像により、導体層17が露出するように開口部を備えるように形成する。本発明の実施形態では、絶縁樹脂層Aとして感光性エポキシ樹脂を使用して絶縁樹脂層Aを形成する。
次に、図5(q)に示すように導体層17の表面の酸化防止とはんだバンプの濡れ性をよくするため、表面処理層24を設ける。本発明の実施形態では、表面処理層24として無電解Ni/Pd/Auめっきを成膜する。なお、表面処理層24には、OSP(Organic Soiderability Preservative 水溶性プレフラックスによる表面処理)膜を形成してもよい。また、無電解スズめっき、無電解Ni/Auめっきなどから適宜用途に応じて選択しても良い。
【0033】
次に、図5(r)に示すように、表面処理層24上に、半田材料を搭載した後、一度溶融冷却して固着させることで、半田バンプからなるインターポーザ3側のFC-BGA用配線基板1とインターポーザ3との接合部19aを得る。これにより、支持体5上に形成されたインターポーザ(第2配線基板)3が完成する。
【0034】
続けて、図6Aから図6Fを用いて、支持体5上に形成されたインターポーザ(第2配線基板)3とFC-BGA用配線基板(第1配線基板)1の本発明の一実施形態に係る接合工程の一例を説明する。
図6Aに示すように、支持体5上に形成されたインターポーザ3の接合部19aに合わせてFC-BGA用配線基板1の接合部19bを設計、製造したFC-BGA用配線基板1に対して支持体5上に形成されたインターポーザ3を配置する。
【0035】
次に図6Bに示すように、支持体5上に形成されたインターポーザ3とFC-BGA用配線基板1を接合し、インターポーザ‐FC-BGA接合部19を形成する。接合部19を形成する方式としては、例えば、リフロー炉を用いた一括リフロー(マスリフロー)方式が可能である。
次に図6Cに示すように、支持体5を剥離する。剥離層6は、UV光をレーザ光23で照射して剥離する。支持体5の背面より、すなわち、支持体5のFC-BGA用配線基板1とは逆側の面からレーザ光23を支持体5との界面に形成された剥離層6に照射し剥離可能な状態とすることで、図6Dに示すように支持体5を取り外すことが可能となる。
【0036】
次に図6Eに示すように、アンダーフィル2を形成しインターポーザ3とFC-BGA用配線基板1の固定、及び、接合部19を封止する。アンダーフィル2の形成方式としては、毛細管現象を利用して接合後に液状の樹脂を充填させるキャピラリーフロー方式が可能である。
次に、シード層8を除去し、図6Fに示すような基板を得る。本発明の実施形態では、シード層8は、チタンと銅を用いており、それぞれアルカリ系のエッチング剤と、酸系のエッチング剤にて溶解除去することができる。このようにして、インターポーザ(第2配線基板)3とFC-BGA用配線基板(第1配線基板)1が接合された配線基板40を得る。
【0037】
このとき、図7に示すように、表面に露出した導体層10は、絶縁樹脂層Cの表面と面一であり平坦な形状をしている。表面に露出した導体層10上に、酸化防止と半田バンプの濡れ性をよくするため、無電解Ni/Pd/Auめっき、OSP、無電解スズめっき、無電解Ni/Auめっきなどの表面処理を施してもよい。以上により配線基板40が完成する。
【0038】
さらに、図8Aから図8Cおよび図1を用いて、配線基板40のインターポーザ(第2配線基板)3と半導体素子4の本発明の一実施形態に係る接合工程の一例を説明する。
図8Aに示すように、配線基板40のインターポーザ3の接合部20bに対して、半導体素子4の接合部20aを配置する。
次に図8Bに示すように、配線基板40のインターポーザ3と半導体素子4を接合する。接合部20を形成する方式としては、例えば、リフロー炉を用いた一括リフロー(マスリフロー)方式や、加熱加圧機能を有するフリップチップ実装機を用いたローカルリフロー方式が可能である。
【0039】
次に図8Cに示すように、アンダーフィル21を形成しインターポーザ3と半導体素子4の固定、及び、接合部20を封止する。アンダーフィル21の形成方式としては、毛細管現象を利用して接合後に液状の樹脂を充填させるキャピラリーフロー方式を用いる。
キャピラリーフロー方式でアンダーフィル21を充填することで、低コストで半導体素子4を封止できる。
次いで、必要に応じて図8Aから図8Cの工程を繰り返し、複数個の半導体素子4を配線基板40のインターポーザ3に実装することによって、図1に示す半導体素子を実装した半導体パッケージが完成する。
【0040】
<作用効果>
次に、上述したような配線基板40の構成とその製造方法を用いた場合の作用効果について説明する。本発明の一態様によれば、FC-BGA用配線基板1に搭載した後に支持体5を剥離する方式において、支持体5を剥離した後も変形せず、形状安定性に優れた微細な配線層を形成することができる。また、信頼性の観点ではクラックを抑制することができる。そのため、実装性、信頼性に優れた配線基板を提供することが可能となる。
【0041】
インターポーザ3に微細配線形成用の絶縁樹脂に加え、貯蔵弾性率の高い絶縁樹脂を用いることによって、支持体5を剥離した後、インターポーザ3の端部が下がったり、インターポーザ3の表面がうねったりする変形を抑制できる。また、貯蔵弾性率の高い絶縁樹脂を半導体チップ4側、FC-BGA用配線基板1側の両側に配置することで、半導体チップ4とインターポーザ3とのCTE差、インターポーザ3とFC-BGA用配線基板1のCTE差に起因したクラックを抑制することができる。また、3種類の異なる絶縁樹脂を用いることによって、加工性を確保した上で最も剛直なインターポーザ3が得られ、うねり、クラックを抑制することができ、実装性、信頼性に優れた配線基板を提供することができる。
【0042】
絶縁樹脂層A、B、Cの貯蔵弾性率の大きさはB<C<Aとなることが望ましい。前述した微細配線層を形成する場合は、その加工性から貯蔵弾性率の小さな材料を選択する場合があるが、その外側に貯蔵弾性率の高い絶縁樹脂を配置することで、うねりを抑制することができる。一方、一般的に微細配線形成性と変形しにくさ、割れにくさはトレードオフの関係性になる場合があるが、半導体チップ4側の電極形成に求められる樹脂加工性よりもFC-BGA用配線基板1側のパッド形成に求められる樹脂加工性の方が寛容であり、より広い範囲で貯蔵弾性率の異なる樹脂を選択できる。それぞれの層に適した樹脂を選択することで加工性を確保した上で最も剛直なインターポーザ3が得られ、うねり、クラックを抑制することができ、実装性、信頼性に優れた配線基板を提供することができる。さらにまた、インターポーザ3の半導体素子4と接合する導体層10は、絶縁樹脂層Cの表面と面一である、平坦電極である。平坦電極は、高さのばらつきが少なく、半導体素子4を実装するときに位置ずれが起こりにくいため、半導体素子4を歩留まりよく実装することができる。
【0043】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る配線基板ついて説明する。
第2の実施形態に係る配線基板と、第1の実施形態に係る配線基板とは類似であるが、第2電極に関して異なることを特徴としている。そのため、図9(a)~図9(c)を参照して第2電極について説明し、その他については説明を省略する。
【0044】
図9(a)に示すように、表面に露出した導体層10および絶縁樹脂層Cの上にレジストパターン30を形成する。次に、図9(b)に示すように、電解めっきによりピラー31を形成する。ピラー31は半導体素子4と接合用の電極となる。電解めっき法は電解ニッケルめっき、電解銅めっき、電解クロムめっき、電解Pdめっき、電解金めっき、電解ロジウムめっき、電解イリジウムめっき等が挙げられるが、電解銅めっきであることが簡便で安価で、電気伝導性が良好であることから望ましい。電解銅めっきの厚みは、接続信頼性、及び、製造コストの観点から、3μm以上20μm以下であることが望ましい。その後、図9(c)に示すようにレジストパターン30を除去する。さらに、ピラー31に、酸化防止と半田バンプの濡れ性をよくするため、無電解Ni/Pd/Auめっき、OSP、無電解スズめっき、無電解Ni/Auめっきなどの表面処理を施してもよい。
【0045】
また、ピラー31は、図3(b)の後、図10(a)~図10(b)に示した方法によって形成することもできる。図10(a)に示すようにレジストパターン32を形成し、電解めっきによりピラー31を形成する。ピラー31は半導体素子4と接合用の電極となる。電解めっき法は電解ニッケルめっき、電解銅めっき、電解クロムめっき、電解Pdめっき、電解金めっき、電解ロジウムめっき、電解イリジウムめっき等が挙げられるが、電解銅めっきであることが簡便で安価で、電気伝導性が良好であることから望ましい。電解銅めっきの厚みは、回路の接続信頼性、及び、製造コストの観点から、3μm以上20μm以下であることが望ましい。次に、図10(b)に示すように絶縁樹脂層(第2絶縁樹脂)Cを形成する。この後、図4(g)以降に示した方法によって、インターポーザ3を製造する。支持体5を剥離した後に表面に露出するレジストパターン32を除去することによって、図11に示すように凸形状の電極を有するインターポーザ3が完成する。さらに、ピラー31に、酸化防止と半田バンプの濡れ性をよくするため、無電解Ni/Pd/Auめっき、OSP、無電解スズめっき、無電解Ni/Auめっきなどの表面処理を施してもよい。
【0046】
<作用効果>
ピラー31を有する凸形状の電極によって、インターポーザ3と半導体素子4との間を広くすることができる。このため、液状のアンダーフィル21が流れやすくなり、インターポーザ3と半導体素子4との間にボイド(空隙)が発生しにくくなる。つまり、キャピラリーフロー方式によるアンダーフィル21の形成が容易となる。
【0047】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る配線基板ついて説明する。
第3の実施形態に係る配線基板と、第1の実施形態に係る配線基板とは類似であるが、第2電極に関して異なることを特徴としている。そのため、図12(a)~図12(b)を参照して第2電極について説明し、その他については説明を省略する。
図12(a)に示す表面に露出した導体層10の表面を、エッチングすることによって、図12(b)に示すように凹み形状の電極を形成することができる。エッチング方法は、ウェット、ドライのいずれも可能である。さらに、酸化防止と半田バンプの濡れ性をよくするため、無電解Ni/Pd/Auめっき、OSP、無電解スズめっき、無電解Ni/Auめっきなどの表面処理を施してもよい。
【0048】
<作用効果>
凹み形状の電極によって、半導体素子4を実装するとき、半導体素子4の接合部20aがインターポーザ3側に接触した後、絶縁樹脂Cの側面があることによってはんだが濡れ広がる領域は導体層10上のみとなり、はんだが導体層10の周囲に流れ出ることを抑制できる。導体層10の形状が矩形、長円形など、円形ではない場合により効果的である。
【0049】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態に係る配線基板ついて説明する。
第4の実施形態に係る配線基板の製造方法と、第1の実施形態に係る配線基板の製造方法とは類似であるが、アンダーフィルの形成に関して異なることを特徴としている。そのため、図13A図13Bを参照してアンダーフィルの形成について説明し、その他については説明を省略する。
図13Aに示すように、配線基板40のインターポーザ3の接合部20bに対して、半導体素子4の接合部20aを配置する。半導体素子4には、フィルム状接続材料(NCF)33が仮接着されている。
次に図13Bに示すように、配線基板40のインターポーザ3と半導体素子4を接合する。接合部20を形成する方式としては、例えば、加熱加圧機能を有するフリップチップ実装機を用いたローカルリフロー方式が可能である。
次いで、必要に応じて図13A図13Bの工程を繰り返し、複数個の半導体素子4を配線基板40のインターポーザ3に実装することによって、図1に示す半導体素子を実装した半導体パッケージが完成する。
【0050】
<作用効果>
膜厚が均一なフィルム状接続材料(NCF)を用いることによって、半導体素子4を実装するときのギャップが均一に制御され、またボイドの抑制ができるため信頼性に優れた半導体パッケージが得られる。
上述の実施形態は一例であって、その他、具体的な細部構造などについては適宜に変更可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、主基板とICチップとの間に介在するインターポーザ等を備えた配線基板を有する半導体装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…FC-BGA用配線基板(第1配線基板)
2、21…アンダーフィル
3…インターポーザ(第2配線基板)
4…半導体素子(半導体チップ)
5…支持体
6…剥離層
8、12、15…シード層
9、13、16、30、32…レジストパターン
10…導体層(第1電極)
A…絶縁樹脂層(第1絶縁樹脂)
B…絶縁樹脂層(配線用絶縁樹脂)
C…絶縁樹脂層(第2絶縁樹脂)
17…導体層(配線層)
18…導体層(第2電極)
19…FC-BGA用配線基板‐インターポーザ接合部
19a…インターポーザ側バンプ
19b…FC-BGA用配線基板側バンプ
20…半導体素子‐インターポーザ接合部
20a…半導体素子側銅-はんだバンプ
20b…インターポーザ側パッド電極
22…微細配線層
23…レーザ光
24…表面処理層
31…ピラー
33…フィルム状接続材料(NCF)
40…配線基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B