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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】発光装置、光学装置及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/024 20060101AFI20240604BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20240604BHJP
   H01S 5/183 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H01S5/024
H01S5/022
H01S5/183
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020030593
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021136305
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】井口 大介
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-191042(JP,A)
【文献】国際公開第2014/208495(WO,A1)
【文献】特開2006-066705(JP,A)
【文献】国際公開第2019/207938(WO,A1)
【文献】特開2020-004868(JP,A)
【文献】特開2009-044027(JP,A)
【文献】特開2009-117536(JP,A)
【文献】特開2018-026442(JP,A)
【文献】特開2007-172780(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0147625(US,A1)
【文献】特開2008-252129(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0772646(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00ー5/50
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導率が10W/m・K以上の絶縁性の基材と、
前記基材の表面側に設けられた発光素子と、
前記基材の裏面側に設けられ、前記発光素子のカソード電極に接続された第1の裏面配線と、
前記基材の裏面側に設けられ、前記発光素子のアノード電極に接続された第2の裏面配線と、
前記基材の裏面側に設けられ、外部の基準電位に接続される基準電位配線と、
前記基材の表面側に設けられ、前記第1の裏面配線と接続された第1の表面配線と、
前記基材の表面側に設けられ、前記第2の裏面配線と接続された第2の表面配線と、
前記基材の表面側に設けられ、前記アノード電極が接続された前記第2の表面配線上に一部が設けられ、前記基準電位配線に接続されて、前記発光素子に駆動電流を供給する容量素子と、を有し、
前記発光素子は、前記第1の表面配線上に設けられ、
前記基準電位配線は前記発光素子よりも前記容量素子と多く上面視で重なっており、前記第1の裏面配線は当該容量素子よりも当該発光素子と多く上面視で重なっている
発光装置。
【請求項2】
記基準電位配線は、前記第1の表面配線の少なくとも一部と上面視で重なっている請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記基準電位配線は、前記発光素子の少なくとも一部と上面視で重なっている請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1の裏面配線の面積および前記第2の裏面配線の面積のそれぞれよりも前記基準電位配線の面積の方が大きい請求項1乃至のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光素子と接続され、当該発光素子をローサイド駆動する駆動部を有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の発光装置と、
前記発光装置が備える発光素子から出射され被測定物で反射された反射光を受光する受光部と、を備え、
前記受光部は、前記発光素子から光が出射されてから当該受光部で受光されるまでの時間に相当する信号を出力する光学装置。
【請求項7】
請求項に記載の光学装置と、
前記光学装置が備える光源から出射され被測定物で反射され、当該光学装置が備える受光部が受光した反射光に基づき、当該被測定物の三次元形状を特定する形状特定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項8】
前記形状特定部での特定結果に基づき、自装置の使用に関する認証処理を行う認証処理部と、を備える請求項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
絶縁性の第1の基材と、
カソード電極とアノード電極とを有し、前記第1の基材の表面側に設けられた発光素子と、
前記第1の基材の裏面側に設けられ、前記カソード電極に接続された第1の裏面配線と、
前記第1の基材の裏面側に設けられ、前記アノード電極に接続された第2の裏面配線と、
前記第1の基材の裏面側に設けられた第3の裏面配線と、
前記第1の基材の表面側に設けられ、前記第1の裏面配線と接続された第1の表面配線と、
前記第1の基材の表面側に設けられ、前記第2の裏面配線と接続された第2の表面配線と、
前記第1の基材の表面側に設けられ、前記アノード電極が接続された前記第2の表面配線上に一部が設けられ、前記第3の裏面配線に接続されて、前記発光素子に駆動電流を供給する容量素子と、
前記第1の基材の熱伝導率よりも小さい絶縁性の第2の基材で構成され、当該第1の基材を搭載する配線基板と、を備え、
前記発光素子は、前記第1の表面配線上に設けられ、
前記第3の裏面配線は前記発光素子よりも前記容量素子と多く上面視で重なっており、前記第1の裏面配線は当該容量素子よりも当該発光素子と多く上面視で重なり、
前記第3の裏面配線は、前記配線基板に含まれる互いに絶縁された複数の配線のうち、面積が最も大きい配線に接続されている発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、光学装置及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光透過性を有するセラミック基板と、前記セラミック基板の表面に搭載された発光素子と、前記発光素子に電力を供給するための配線パターンと、光反射性を有する金属からなるメタライズ層と、を備えており、前記メタライズ層は、前記発光素子から出射された光を反射するように前記セラミック基板の内部に形成されている発光装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-252129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光素子が放熱基材の表面側に設けられた発光装置において、放熱基材の裏面側に、発光素子のカソード電極に接続された配線とアノード電極に接続された配線のみが設けられている構造と比較し、発光素子をローサイド駆動する場合、発光素子の熱を放熱基材の裏面側から外部に放熱させやすい構造の発光装置などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、熱伝導率が10W/m・K以上の絶縁性の基材と、前記基材の表面側に設けられた発光素子と、前記基材の裏面側に設けられ、前記発光素子のカソード電極に接続された第1の裏面配線と、前記基材の裏面側に設けられ、前記発光素子のアノード電極に接続された第2の裏面配線と、前記基材の裏面側に設けられ、外部の基準電位に接続される基準電位配線と、前記基材の表面側に設けられ、前記第1の裏面配線と接続された第1の表面配線と、前記基材の表面側に設けられ、前記第2の裏面配線と接続された第2の表面配線と、前記基材の表面側に設けられ、前記アノード電極が接続された前記第2の表面配線上に一部が設けられ、前記基準電位配線に接続されて、前記発光素子に駆動電流を供給する容量素子と、を有し、前記発光素子は、前記第1の表面配線上に設けられ、前記基準電位配線は前記発光素子よりも前記容量素子と多く上面視で重なっており、前記第1の裏面配線は当該容量素子よりも当該発光素子と多く上面視で重なっている発光装置である。
請求項2に記載の発明は、記基準電位配線は、前記第1の表面配線の少なくとも一部と上面視で重なっている請求項1に記載の発光装置である。
請求項に記載の発明は、前記基準電位配線は、前記発光素子の少なくとも一部と上面視で重なっている請求項1又は2に記載の発光装置である。
請求項に記載の発明は、前記第1の裏面配線の面積および前記第2の裏面配線の面積のそれぞれよりも前記基準電位配線の面積の方が大きい請求項1乃至のいずれか1項に記載の発光装置である。
請求項に記載の発明は、前記発光素子と接続され、当該発光素子をローサイド駆動する駆動部を有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の発光装置である。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の発光装置と、前記発光装置が備える発光素子から出射され被測定物で反射された反射光を受光する受光部と、を備え、前記受光部は、前記発光素子から光が出射されてから当該受光部で受光されるまでの時間に相当する信号を出力する光学装置である。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の光学装置と、前記光学装置が備える光源から出射され被測定物で反射され、当該光学装置が備える受光部が受光した反射光に基づき、当該被測定物の三次元形状を特定する形状特定部と、を備える情報処理装置である。
請求項に記載の発明は、前記形状特定部での特定結果に基づき、自装置の使用に関する認証処理を行う認証処理部と、を備える請求項に記載の情報処理装置である。
請求項に記載の発明は、絶縁性の第1の基材と、カソード電極とアノード電極とを有し、前記第1の基材の表面側に設けられた発光素子と、前記第1の基材の裏面側に設けられ、前記カソード電極に接続された第1の裏面配線と、前記第1の基材の裏面側に設けられ、前記アノード電極に接続された第2の裏面配線と、前記第1の基材の裏面側に設けられた第3の裏面配線と、前記第1の基材の表面側に設けられ、前記第1の裏面配線と接続された第1の表面配線と、前記第1の基材の表面側に設けられ、前記第2の裏面配線と接続された第2の表面配線と、前記第1の基材の表面側に設けられ、前記アノード電極が接続された前記第2の表面配線上に一部が設けられ、前記第3の裏面配線に接続されて、前記発光素子に駆動電流を供給する容量素子と、前記第1の基材の熱伝導率よりも小さい絶縁性の第2の基材で構成され、当該第1の基材を搭載する配線基板と、を備え、前記発光素子は、前記第1の表面配線上に設けられ、前記第3の裏面配線は前記発光素子よりも前記容量素子と多く上面視で重なっており、前記第1の裏面配線は当該容量素子よりも当該発光素子と多く上面視で重なり、前記第3の裏面配線は、前記配線基板に含まれる互いに絶縁された複数の配線のうち、面積が最も大きい配線に接続されている発光装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1、に記載の発明によれば、基材の裏面側に、発光素子のカソード電極に接続された配線とアノード電極に接続された配線のみが設けられている構造と比較し、発光素子をローサイド駆動する場合、発光素子の熱を基材の裏面側から外部に放熱させやすい。
請求項2に記載の発明によれば、基準電位配線が、第1の表面配線の少なくとも一部と重なっていない場合と比較し、発光素子の熱を基材の裏面側から外部に放熱させやすい。
請求項に記載の発明によれば、基準電位配線が、発光素子と上面視で重なっていない場合と比較し、発光素子の熱を基材の裏面側からより外部に放熱させやすい。
請求項に記載の発明によれば、第1の裏面配線の面積及び第2の裏面配線の面積の一方のみが基準電位配線の面積の方より大きい場合と比較し、発光素子の熱を基材の裏面側から外部に放熱させやすい。
請求項に記載の発明によれば、発光素子をハイサイド駆動する場合に比較し、発光素子を駆動しやすい。
請求項に記載の発明によれば、三次元測定が行える光学装置が提供される。
請求項に記載の発明によれば、三次元形状を測定できる情報処理装置が提供される。
請求項に記載の発明によれば、三次元形状に基づく認証処理を搭載した情報処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】情報処理装置の一例を示す図である。
図2】情報処理装置の構成を説明するブロック図である。
図3】光源の平面図である。
図4】光源における1個のVCSELの断面構造を説明する図である。
図5】光拡散部材の一例を説明する図である。(a)は、平面図、(b)は、(a)のVB-VB線での断面図である。
図6】ローサイド駆動により光源を駆動する場合の等価回路の一例を示す図である。
図7】第1の実施の形態が適用される発光装置を説明する図である。(a)は、平面図、(b)は、(a)のVIIB-VIIB線での断面図である。
図8】配線基板に設けられた配線及び放熱基材に設けられた配線を説明する図である。(a)は、配線基板に設けられた配線、(b)は、放熱基材の表面側に設けられた配線、(c)は、放熱基材の裏面側に設けられた配線である。
図9】第1の実施の形態が適用される発光装置をさらに説明する図である。
図10】第1の実施の形態が適用されない発光装置を説明する図である。(a)は、平面図、(b)は、(a)のXB-XB線での断面図である。
図11】第1の実施の形態が適用されない発光装置における配線基板に設けられた配線及び放熱基材に設けられた配線を説明する図である。(a)は、配線基板に設けられた配線、(b)は、放熱基材の表面側に設けられた配線、(c)は、放熱基材の裏面側に設けられた配線である。
図12】第1の実施の形態が適用されない発光装置をさらに説明する図である。
図13】第2の実施の形態が適用される発光装置を説明する図である。(a)は、平面図、(b)は、(a)のXIIIB-XIIIB線での断面図である。
図14】第2の実施の形態が適用される発光装置における配線基板に設けられた配線及び放熱基材に設けられた配線を説明する図である。(a)は、配線基板に設けられた配線、(b)は、放熱基材の表面側に設けられた配線、(c)は、放熱基材の裏面側に設けられた配線である。
図15】第2の実施の形態が適用される発光装置をさらに説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
情報処理装置は、その情報処理装置にアクセスしたユーザがアクセスすることが許可されているか否かを識別し、アクセスが許可されているユーザであることが認証された場合にのみ、自装置(情報処理装置)の使用を許可するようになっていることが多い。これまで、パスワード、指紋、虹彩などにより、ユーザを認証する方法が用いられてきた。最近では、さらにセキュリティ性の高い認証方法が求められている。この方法として、ユーザの顔の形状など、三次元像による認証が行われるようになっている。
ここでは、情報処理装置は、一例として携帯型情報処理端末であるとして説明し、三次元像として捉えられた顔の形状を認識することで、ユーザを認証するとして説明する。なお、情報処理装置は、携帯型情報処理端末以外のパーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置に適用しうる。
さらに、本実施の形態で説明する構成、機能、方法等は、顔以外の三次元像の認識にも適用しうる。すなわち、顔以外の物体の形状を対象とした三次元像を取得して、それを認識することに適用してもよい。ここでは、三次元像を取得して認識する物体を被測定物と表記する。被測定物には、顔も含まれる。また、被測定物までの距離は問わない。
【0009】
[第1の実施の形態]
(情報処理装置1)
図1は、情報処理装置1の一例を示す図である。前述したように、情報処理装置1は、一例として携帯型情報処理端末である。
情報処理装置1は、ユーザインターフェイス部(以下では、UI部と表記する。)2と三次元像を取得する光学装置3とを備える。UI部2は、例えばユーザに対して情報を表示する表示デバイスとユーザの操作により情報処理に対する指示が入力される入力デバイスとが一体化されて構成されている。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、入力デバイスは、例えばタッチパネルである。
【0010】
光学装置3は、発光装置4と、三次元センサ(以下では、3Dセンサと表記する。)5とを備える。発光装置4は、三次元像を取得する対象である被測定物、ここで説明する例では顔に向けて光を照射する。3Dセンサ5は、発光装置4が照射して顔で反射されて戻ってきた光を取得する。ここでは、光の飛行時間による、いわゆるToF(Time of Flight)法に基づいて、顔の三次元像を取得するとする。上述したように、顔以外の三次元像を取得してもよい。三次元像を取得することを、3Dセンシングと表記することがある。また、三次元像を三次元形状と表記することがある。また、三次元像の取得又は三次元形状の取得を三次元像の計測又は三次元形状の計測と表記することがある。3Dセンサ5は、受光部の一例である。
【0011】
情報処理装置1は、CPU、ROM、RAMなどを含むコンピュータとして構成されている。なお、ROMには、不揮発性の書き換え可能なメモリ、例えばフラッシュメモリを含む。そして、ROMに蓄積されたプログラムや定数が、RAMに展開され、CPUがプログラムを実行することによって、情報処理装置1が動作し、各種の情報処理が実行される。
【0012】
図2は、情報処理装置1の構成を説明するブロック図である。
情報処理装置1は、上記した光学装置3と、光学装置制御部8と、システム制御部9とを備える。光学装置制御部8は、光学装置3を制御する。そして、光学装置制御部8は、形状特定部81を含む。システム制御部9は、情報処理装置1全体をシステムとして制御する。そして、システム制御部9は、認証処理部91を含む。そして、システム制御部9には、UI部2、スピーカ92、二次元カメラ(図2では、2Dカメラと表記する。)93などが接続されている。
以下、順に説明する。
【0013】
光学装置3が備える発光装置4は、配線基板10と、放熱基材100と、光源20と、光拡散部材30と、駆動部50と、保持部60と、キャパシタ70とを備える。さらに、発光装置4は、駆動部50を動作させるために、抵抗素子6、キャパシタ7などの受動素子を備える。ここでは、キャパシタ70として、2個を示している。2個のキャパシタ70をキャパシタ70A、70Bと表記する。なお、キャパシタ70A、70Bを区別しない場合はキャパシタ70と表記する。放熱基材100は、基材の一例である。
【0014】
キャパシタ70は、1個でもよく、2個を超える数であってもよい。さらに、抵抗素子6及びキャパシタ7は、それぞれ1個であってもよく、複数であってもよい。ここでは、光源20、駆動部50及びキャパシタ70以外の、3Dセンサ5、抵抗素子6、キャパシタ7などの電気部品をそれぞれ区別しないで回路部品と表記することがある。キャパシタは、コンデンサ又は容量素子と呼ばれることがある。キャパシタ70、ここでのキャパシタ70A、70Bは、容量素子の一例である。
【0015】
発光装置4の放熱基材100、駆動部50、キャパシタ70A、70B、抵抗素子6及びキャパシタ7は、配線基板10の表面側に設けられている。なお、3Dセンサ5が、配線基板10の表面上に設けられていてもよい。光源20、キャパシタ70A、70B及び保持部60は、放熱基材100の表面上に設けられている。そして、光拡散部材30は、保持部60上に設けられている。ここでは、放熱基材100の外形と光拡散部材30の外形とが同じであるとしている。これらの構成については、後述する図7から図9で詳細に説明する。ここで、表面とは、図2の紙面の表側を言う。より具体的には、配線基板10においては、放熱基材100が設けられている方を表面、表側、または表面側と言う。また、放熱基材100においては、光源20が設けられている方を表面、表側、または表面側という。
【0016】
光源20は、複数の発光素子が二次元に配列された発光素子アレイとして構成されている(後述する図3参照)。発光素子は、一例として垂直共振器面発光レーザ素子VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)である。以下では、発光素子は垂直共振器面発光レーザ素子VCSELであるとして説明する。そして、垂直共振器面発光レーザ素子VCSELをVCSELと表記する。光源20は放熱基材100の表面上に設けられているので、光源20は、放熱基材100の表面に対して垂直に、放熱基材100から離れる方向に光を出射する。なお、後述するように、光源20における複数の発光素子が二次元に配列されていて、光を出射する光源20の面を出射面と表記することがある。
【0017】
光拡散部材30は、入射した光を拡散して出射する部材である。光拡散部材30は、光源20及びキャパシタ70A、70Bを覆うように設けられている。つまり、光拡散部材30は、放熱基材100の表面上に設けられた保持部60により、放熱基材100上に設けられた光源20及びキャパシタ70A、70Bから予め定められた距離を離して設けられている。よって、光源20が出射する光は、光拡散部材30により拡散されて被測定物に照射される。
【0018】
ToF法により三次元センシングを行う場合、光源20は、駆動部50により、例えば、100MHz以上で、且つ、立ち上り時間が1ns以下のパルス光(以下では、出射光パルスと表記する。)を出射することが求められる。また、顔認証を例とする場合、光が照射される距離は10cm程度から1m程度である。そして、光が照射される範囲は、1m角程度である。このため、光源20は、大出力であって、光源20の発する熱が効率よく放熱されることが求められる。なお、光が照射される距離を測定距離と表記し、光が照射される範囲を照射範囲又は測定範囲と表記する。また、照射範囲又は測定範囲に仮想的に設けられる面を照射面と表記する。
【0019】
3Dセンサ5は、複数の受光セルを備える。例えば、各受光セルは、光源20からの出射光パルスに対する被測定物からのパルス状の反射光(以下では、受光パルスと表記する。)を受光し、受光するまでの時間に対応する電荷を受光セル毎に蓄積する。3Dセンサ5は、各受光セルが2つのゲートとそれらに対応した電荷蓄積部とを備えたCMOS構造のデバイスとして構成されている。そして、2つのゲートに交互にパルスを加えることによって、発生した光電子を2つの電荷蓄積部の何れかに高速に転送する。2つの電荷蓄積部には、出射光パルスと受光パルスとの位相差に応じた電荷が蓄積される。そして、3Dセンサ5は、ADコンバータを介して、受光セル毎に出射光パルスと受光パルスとの位相差に応じたデジタル値を信号として出力する。すなわち、3Dセンサ5は、光源20から光が出射されてから3Dセンサ5で受光されるまでの時間に相当する信号を出力する。なお、ADコンバータは、3Dセンサ5が備えてもよく、3Dセンサ5の外部に設けられてもよい。
【0020】
光学装置制御部8の形状特定部81は、3Dセンサ5が例えば前述のCMOS構造のデバイスである場合、受光セル毎に得られるデジタル値を取得し、受光セル毎に被測定物までの距離を算出する。そして算出された距離により、被測定物の三次元像を特定し、特定結果を出力する。
【0021】
システム制御部9の認証処理部91は、形状特定部81が特定した特定結果を取得し、特定結果である被測定物の三次元像がROMなどに予め蓄積された三次元像と一致する場合に、情報処理装置1の使用に関する認証処理を行う。なお、情報処理装置1の使用に関する認証処理とは、一例として、自装置である情報処理装置1の使用を許可するか否かの処理である。例えば、被測定物の三次元像が、ROM等の記憶部材に記憶された顔の三次元像と一致すると判断される場合には、情報処理装置1が提供する各種アプリケーション等を含む情報処理装置1の使用を許可する。
上記の形状特定部81及び認証処理部91は、一例として、プログラムによって構成される。また、ASICやFPGA等の集積回路で構成されてもよい。さらには、プログラム等のソフトウエアとASIC等の集積回路とで構成されてもよい。
【0022】
以上説明したように、顔認証を例とする場合、光源20は、距離が10cm程度から1m程度で1m角程度の照射範囲に光を照射することが求められる。そして、被測定物からの反射光を3Dセンサ5が受光することで、被測定物の三次元像が測定される。このことから、光源20は大出力であることが求められる。このため、光源20から熱が効率よく放熱されることが求められる。
【0023】
図2では、光学装置3、光学装置制御部8及びシステム制御部9をそれぞれ分けて示したが、システム制御部9が光学装置制御部8を含んでいてもよい。また、光学装置制御部8が光学装置3に含まれていてもよい。さらに、光学装置3、光学装置制御部8及びシステム制御部9が一体に構成されていてもよい。
【0024】
次に、発光装置4を構成する光源20、光拡散部材30、駆動部50及びキャパシタ70A、70Bを説明する。
【0025】
(光源20の構成)
図3は、光源20の平面図である。光源20は、複数のVCSELが二次元のアレイ状に配列されて構成されている。つまり、光源20は、VCSELを発光素子とする発光素子アレイとして構成されている。紙面の右方向をx方向、紙面の上方向をy方向とする。x方向およびy方向に反時計回りで直交する方向をz方向とする。なお、光源20の表面とは、紙面の表側、つまり+z方向側の面を言い、光源20の裏面とは、紙面の裏側、つまり-z方向側の面を言う。光源20の平面図とは、光源20を表面側から見た図である。さらに説明すると、光源20において、発光層(後述する活性領域206)として機能するエピタキシャル層が形成されている方を、光源20の表面、表側、又は表面側という。
【0026】
VCSELは、半導体基板200(後述する図4参照)上に積層された下部多層膜反射鏡と上部多層膜反射鏡との間に発光領域となる活性領域を設け、表面に対して垂直方向にレーザ光を出射させる発光素子である。このことから、VCSELは、端面出射型のレーザを用いる場合と比較し、二次元のアレイ化が容易である。光源20の備えるVCSELの数は、一例として、100個~1000個である。なお、複数のVCSELは、互いに並列に接続され、並列に駆動される。上記のVCSELの数は一例であり、測定距離や測定範囲に応じて設定されればよい。
【0027】
光源20の表面には、複数のVCSELに共通のアノード電極218(後述する図4参照)が設けられている。光源20の裏面には、カソード電極214が設けられている(後述する図4参照)。つまり、複数のVCSELは、並列接続されている。複数のVCSELを並列接続して駆動することで、VCSELを個別に駆動する場合と比較し、強度の強い光が出射されて被測定物に照射される。
【0028】
ここでは、光源20は、表面側から見た形状(平面形状と表記することがある。)が四角形であるとする。そして、+y方向側の側面を側面21A、-y方向側の側面を側面21B、-x方向側の側面を側面22Aおよび+x方向側の側面を側面22Bと表記する。側面21Aと側面21Bとが対向する。側面22Aと側面22Bとは、それぞれが側面21Aと側面21Bとをつなぐとともに、対向する。
【0029】
(VCSELの構造)
図4は、光源20における1個のVCSELの断面構造を説明する図である。このVCSELは、λ共振器構造のVCSELである。紙面の上方向をz方向とし、+z方向を上側、-z方向を下側と表記する。
【0030】
VCSELは、n型のGaAsなどの半導体基板200上に、Al組成の異なるAlGaAs層を交互に重ねたn型の下部分布ブラック型反射鏡(DBR:Distributed Bragg Reflector)202と、上部スペーサ層および下部スペーサ層に挟まれた量子井戸層を含む活性領域206と、Al組成の異なるAlGaAs層を交互に重ねたp型の上部分布ブラック型反射鏡208とが順に積層されて構成されている。以下では、分布ブラック型反射鏡をDBRと表記する。
【0031】
n型の下部DBR202は、Al0.9Ga0.1As層とGaAs層とをペアとした積層体として構成されている。下部DBR202の各層は、厚さがλ/4n(但し、λは発振波長、nは媒質の屈折率)であり、交互に40周期積層されている。キャリアとして、n型不純物であるシリコンがドーピングされている。キャリア濃度は、例えば、3×1018cm-3である。
【0032】
活性領域206は、下部スペーサ層と、量子井戸活性層と、上部スペーサ層とが積層されて構成されている。例えば、下部スペーサ層は、アンドープのAl0.6Ga0.4As層であり、量子井戸活性層は、アンドープのInGaAs量子井戸層およびアンドープのGaAs障壁層であり、上部スペーサ層は、アンドープのAl0.6Ga0.4As層である。
【0033】
p型の上部DBR208は、p型のAl0.9Ga0.1As層とGaAs層とをペアとした積層体として構成されている。上部DBR層208の各層は、厚さがλ/4nであり、交互に29周期積層してある。キャリアとして、p型不純物であるカーボンがドーピングされている。キャリア濃度は、例えば、3×1018cm-3である。好ましくは、上部DBR208の最上層には、p型GaAsからなるコンタクト層が形成され、上部DBR208の最下層又はその内部に、p型AlAsの電流狭窄層210が形成されている。
【0034】
上部DBR208から下部DBR202に至るまで積層された半導体層をエッチングすることにより、半導体基板200上に円柱状のメサMが形成される。これにより、電流狭窄層210が、メサMの側面に露出する。酸化工程により、電流狭窄層210には、メサMの側面から酸化された酸化領域210Aと酸化領域210Aによって囲まれた導電領域210Bとが形成される。なお、酸化工程において、AlAs層はAlGaAs層よりも酸化速度が速く、酸化領域210Aは、メサMの側面から内部に向けてほぼ一定の速度で酸化されるため、導電領域210Bの断面形状は、メサMの外形を反映した形状、すなわち円形状となり、その中心は、一点鎖線で示すメサMの軸とほぼ一致する。本実施の形態において、メサMは、柱状構造をなしている。
【0035】
メサMの最上層には、Ti/Auなどを積層した金属製の環状のp側電極212が形成される。p側電極212は、上部DBR208に設けられたコンタクト層にオーミック接触する。環状のp側電極212の内側は、レーザ光が外部へ出射される光出射口212Aとなる。つまり、VCSELは、半導体基板200の表面(+z方向側の面)に垂直な方向に光を出射する。そして、メサMの軸が光軸になる。さらに、半導体基板200の裏面には、n側電極としてカソード電極214が形成される。なお、p側電極212の内側の上部DBR208の表面(+z方向側の面)が光出射面である。つまり、VCSELの光軸方向が、光出射方向になる。
【0036】
そして、p側電極212にアノード電極218が接続される部分および光出射口212Aを除いて、メサMの表面を覆うように、絶縁層216が設けられる。そして、光出射口212Aを除いて、アノード電極218がp側電極212とオーミック接触するように設けられる。なお、アノード電極218は、複数のVCSELに共通に設けられる。つまり、光源20を構成する複数のVCSELは、各々のp側電極212がアノード電極218により並列接続されている。
図4では、アノード電極218の部分にアノードであることを示す[A]と表記し、カソード電極214の部分にカソードであることを示す[K]と表記する。
【0037】
VCSELは、単一横モードで発振してもよく、多重横モードで発振してもよい。例えば、VCSEL1個の光出力は、4mW~8mWである。よって、光源20が500個のVCSELで構成されている場合、光源20の光出力は、2W~4Wになる。このような大出力の光源20は、発熱が大きい。このため、光源20からの放熱が効率よく十分に行われることが求められる。
【0038】
(光拡散部材30の構成)
図5は、光拡散部材30の一例を説明する図である。図5(a)は、平面図、図5(b)は、図5(a)のVB-VB線での断面図である。図5(a)において、紙面の右方向をx方向、紙面の上方向をy方向とする。x方向およびy方向に反時計回りで直交する方向をz方向とする。そして、光拡散部材30は、+z方向側が表面又は表面側、-z方向側が裏面又は裏面側と呼ぶ。よって、図5(b)では、紙面の右方向がx方向、紙面の裏方向がy方向、紙面の上方向がz方向となる。
【0039】
図5(b)に示すように、光拡散部材30は、例えば、両面が平行で平坦なガラス基材31の裏面(-z方向)側に光を拡散させるための凹凸が形成された樹脂層32を備える。光拡散部材30は、光源20のVCSELから入射する光の拡がり角を拡げて出射する。つまり、光拡散部材30の樹脂層32に形成された凹凸は、光を屈折させたり、散乱させたりして、入射する光を、より広い拡がり角の光として出射する。つまり、図5に示すように、光拡散部材30は、裏面(-z方向側)から入射する、VCSELから出射される拡がり角θの光を、表面(+z方向側)からθより大きい拡がり角φの光として出射する(θ<φ)。このため、光拡散部材30を用いると、光拡散部材30を用いない場合に比べ、光源20の出射する光によって照射される照射面の面積が拡大される。拡がり角θ、φは、半値全幅(FWHM)である。
【0040】
光拡散部材30は、例えば、平面形状が四角形であって、x方向の幅Wd及びy方向の幅Wdが1mm~30mm、z方向の厚みtが0.1mm~1mmである。そして、光拡散部材30が上記のような大きさおよび形状であれば、特に、携帯型情報処理端末の顔認証や、数m程度までの比較的近距離の被測定物の三次元像の計測に適した光拡散部材が提供される。なお、光拡散部材30の平面形状は、多角形や円形など、他の形状であってもよい。
【0041】
(駆動部50およびキャパシタ70A、70B)
光源20をより高速に駆動させたい場合は、ローサイド駆動するのがよい。ローサイド駆動とは、VCSELなどの駆動対象に対して、電流経路の下流側にMOSトランジスタ等の駆動素子を位置させた構成を言う。逆に、上流側に駆動素子を位置させた構成をハイサイド駆動と言う。
【0042】
図6は、ローサイド駆動により光源20を駆動する場合の等価回路の一例を示す図である。図6では、光源20のVCSELと、駆動部50と、キャパシタ70A、70Bと、電源82とを示す。なお、電源82は、図2に示した光学装置制御部8に設けられている。電源82は、+側を電源電位とし、-側を基準電位とする直流電圧を発生する。電源電位は、電源線83に供給され、基準電位は、基準線84に供給される。なお、基準電位は、接地電位(GNDと表記されることがある。図6では[G]と表記する。)であってよい。
【0043】
光源20は、前述したように複数のVCSELが並列接続されて構成されている。VCSELのアノード電極218(図4参照。図6では[A]と表記する。)が電源線83に接続される。
駆動部50は、nチャネル型のMOSトランジスタ51と、MOSトランジスタ51をオンオフする信号発生回路52とを備える。MOSトランジスタ51のドレイン(図6では[D]と表記する。)は、VCSELのカソード電極214(図4参照。図6では[K]と表記する。)に接続される。MOSトランジスタ51のソース(図6では[S]と表記する。)は、基準線84に接続される。そして、MOSトランジスタ51のゲートは、信号発生回路52に接続される。つまり、VCSELと駆動部50のMOSトランジスタ51とは、電源線83と基準線84との間に直列接続されている。信号発生回路52は、光学装置制御部8の制御により、MOSトランジスタ51をオン状態にする「Hレベル」の信号と、MOSトランジスタ51をオフ状態にする「Lレベル」の信号とを発生する。
【0044】
キャパシタ70A、70Bは、一方の端子が電源線83に接続され、他方の端子が基準線84に接続されている。ここでは、キャパシタ70が複数ある場合には、複数のキャパシタ70は、並列接続される。つまり、図6では、キャパシタ70が2個のキャパシタ70A、70Bであるとしている。なお、キャパシタ70は、例えば電解コンデンサやセラミックコンデンサなどである。
【0045】
次に、ローサイド駆動である光源20の駆動方法を説明する。
まず、駆動部50における信号発生回路52の発生する信号が「Lレベル」であるとする。この場合、MOSトランジスタ51は、オフ状態である。つまり、MOSトランジスタ51のソース(図6の[S])-ドレイン(図6の[D])間には電流が流れない。よって、MOSトランジスタ51と直列接続されたVCSELにも、電流が流れない。つまり、VCSELは非発光である。
【0046】
このとき、キャパシタ70A、70Bは、電源82に接続されていて、キャパシタ70A、70Bの電源線83に接続された一方の端子が電源電位になり、基準線84に接続された他方の端子が基準電位になる。よって、キャパシタ70A、70Bは、電源82から電荷が供給されて充電される。
【0047】
次に、駆動部50における信号発生回路52の発生する信号が「Hレベル」になると、MOSトランジスタ51がオフ状態からオン状態に移行する。すると、キャパシタ70A、70Bと、直列接続されたMOSトランジスタ51及びVCSELとで閉ループが構成され、キャパシタ70A、70Bに蓄積されていた電荷が、直列接続されたMOSトランジスタ51とVCSELとに供給される。つまり、VCSELには電流が流れて、VCSELが発光する。
【0048】
そして、駆動部50における信号発生回路52の発生する信号が再び「Lレベル」になると、MOSトランジスタ51がオン状態からオフ状態に移行する。これにより、キャパシタ70A、70Bと、直列接続されたMOSトランジスタ51及びVCSELとの閉ループが開ループになり、VCSELに電流が流れなくなる。これにより、VCSELは、発光を停止する。すると、キャパシタ70A、70Bは、電源82から電荷が供給されて充電される。
【0049】
以上説明したように、信号発生回路52の出力する信号が「Hレベル」と「Lレベル」とに移行する毎に、MOSトランジスタ51がオンオフを繰り返し、VCSELが発光と非発光とを繰り返す。MOSトランジスタ51のオンオフの繰り返しは、スイッチングと呼ばれることがある。
【0050】
上述したように、MOSトランジスタ51をオフ状態からオン状態に移行させた際に、キャパシタ70A、70Bに蓄積した電荷を一気に放電させてVCSELに供給することで、VCSELを例えば1ns以下という短い立ち上がり時間で発光させている。なお、VCSELの発光が停止したのち、電源82からキャパシタ70A、70Bへは、上記の立ち上がり時間より長い時間をかけて行えばよい。キャパシタ70を設けずに、電源82からVCSELに電荷(電流)を直接供給してもよいが、VCSELの発光の立ち上がり時間が長くなってしまう。つまり、キャパシタ70A、70Bを設けたローサイド駆動によりVCSELに電流を一気に供給して、VCSELの発光の立ち上り時間を短くしている。VCSELの発光の立ち上り時間を短くするためには、キャパシタ70A、70Bと、直列接続されたMOSトランジスタ51及びVCSELとで構成される閉ループのインダクタンス(以下では、回路インダクタンス)が小さいことがよい。回路インダクタンスが大きいと、電荷の流れに遅延が生じてVCSELの発光の立ち上り時間が長くなってしまう。つまり、回路インダクタンスの低減が求められる。
【0051】
(発光装置4)
次に、発光装置4について、詳細に説明する。
図7は、第1の実施の形態が適用される発光装置4を説明する図である。図7(a)は、平面図、図7(b)は、図7(a)のVIIB-VIIB線での断面図である。なお、図7(a)は、光拡散部材30を透かして見た図である。ここで、図7(a)において、紙面の右方向をx方向、紙面の上方向をy方向とする。x方向およびy方向に反時計回りで直交する方向(紙面の表方向)をz方向とする。そして、以下で説明する各部材(配線基板10、放熱基材100、光拡散部材30など)について、紙面の表方向(+z方向)を表面又は表面側と言い、紙面の裏方向(-z方向)を裏面又は裏面側と言う。そして、表面側から、各部材を透過して見ることを上面視と言う。なお、図7(b)において、紙面の右方向がx方向、紙面の裏方向がy方向、紙面の上方向がz方向になる。
【0052】
図7(a)、(b)に示すように、配線基板10の表面上に放熱基材100、駆動部50、抵抗素子6及びキャパシタ7が設けられている。そして、放熱基材100の表面上に光源20、キャパシタ70A、70B及び保持部60が設けられている。そして、保持部60上に光拡散部材30が設けられている。図7(a)に示すように、発光装置4では、放熱基材100と駆動部50とがx方向に配列されている。そして、放熱基材100の表面上において、キャパシタ70A、70Bが光源20を挟んで、y方向に配列されている。
【0053】
図7(a)に示すように、保持部60は、光源20及びキャパシタ70A、70Bを囲むように設けられた壁61A、61B、62A、62Bを備える。そして、保持部60は、壁61A、61B、62A、62Bにより光拡散部材30を保持する。つまり、光拡散部材30は、保持部60により、放熱基材100上に設けられた光源20及びキャパシタ70A、70Bから予め定められた距離を離して設けられている。そして、光拡散部材30は、光源20及びキャパシタ70A、70Bを覆うように設けられている。ここで、光拡散部材30が光源20を覆うとは、光拡散部材30が光源20の出射する光の出射経路上に設けられ、光源20が出射する光が光拡散部材30を透過するように設けられていることを言う。後述するように、光拡散部材30の表面側から光拡散部材30を透かして、光源20を見た場合、つまり上面視した場合に、光源20と光拡散部材30とが重なっている状態を言う。なお、上面視とは、光拡散部材30の上面側から光拡散部材30を透かして光源20を見ることを言う。他の場合も同様とする。
【0054】
保持部60は、例えば樹脂の成型部材として構成されている。そして、保持部60は、光源20が発光する光を吸収するように、例えば黒色に着色されているとよい。このようにすることで、光源20が出射した光の内、保持部60に照射された光が吸収され、保持部60を透過したり、保持部60で反射したりした光が被対象物に照射されることが抑制される。
【0055】
ここでは、放熱基材100の外形、光拡散部材30の外形及び保持部60の外形が同じであるとした。このため、放熱基材100、光拡散部材30及び保持部60の外縁が重なっている。なお、放熱基材100の外縁が光拡散部材30の外縁や保持部60の外縁より大きくてもよい。逆に、放熱基材100の外縁が光拡散部材30の外縁や保持部60の外縁より小さくてもよい。この場合、保持部60は、配線基板10の表面上に設けられればよい。
また、光拡散部材30は、光源20のみを覆うように設けられてもよい。
【0056】
配線基板10及び放熱基材100には、それぞれの表面側及び裏面側に複数の配線が設けられている。これらについては、図8、9と合わせて説明する。なお、配線とは、電気回路接続される導体パターンであって、形状は限定されないものを言う。
【0057】
上述したように、光源20は、放熱基材100の表面上に設けられている。そして、放熱基材100が配線基板10の表面上に設けられている。これにより、光源20から発生する熱を、効率よく放熱させている。以下に説明するように、配線基板10を構成する基板は、熱伝導率が小さいため、熱伝導率が配線基板10に比べて大きい放熱基材100の表面上に光源20を設けている。
【0058】
配線基板10は、例えばガラスエポキシ樹脂等の絶縁性の基材に銅(Cu)箔などの金属による配線を形成する配線層が設けられて構成されている。ここでは、配線基板10は、配線層が基材の表面側と裏面側とに設けられた2層のプリント配線基板であるとして説明する。このような、ガラスエポキシ樹脂を基材とした基材には、一例としてFR-4と呼ばれる基材がある。この基材は、厚さが100μm程度である。そして、この基材は、熱伝導率が0.4W/m・K程度である。なお、銅(Cu)の熱伝導率は、360W/m・K程度である。ここで示す熱伝導率は、特に記載のない場合、25℃での値である。配線基板10の基材は、第2の基材の一例である。
【0059】
放熱基材100は、配線基板10よりも熱伝導率が高い部材である、絶縁性の基材で構成されている。例えば、放熱基材100は、熱伝導率が10W/m・K以上のものが好ましく、50W/m・K以上のものがより好ましい。そして、熱伝導率が100W/m・K以上のものがさらに好ましい。熱伝導率が10W/m・K以上のものとしては、熱伝導率が20~30W/m・Kであるアルミナ(Al)が挙げられる。また、熱伝導率が50W/m・K以上のものとしては、熱伝導率が85W/m・K程度の窒化シリコン(Si)が挙げられる。さらに、熱伝導率が100W/m・K以上のものとしては、熱伝導率が150~250W/m・Kの窒化アルミニウム(AlN)が挙げられる。これらを、セラミック材料と表記することがある。つまり、放熱基材100は、全体がセラミック材料で構成されているとよい。なお、放熱基材100は、不純物がドープされていないシリコン(Si)など他の熱伝導率が大きい絶縁性の材料であればよい。放熱基材100は、第1の基材の一例である。
【0060】
放熱基材100は、平面形状が四角形であって、x方向の幅Ws及びy方向の幅Wsが1mm~30mmである(後述する図8参照)。放熱基材100の厚さは、100μm~500μmである。ここでは、放熱基材100の外形は、前述した光拡散部材30と同じである。
【0061】
図8は、配線基板10に設けられた配線及び放熱基材100に設けられた配線を説明する図である。図8(a)は、配線基板10に設けられた配線、図8(b)は、放熱基材100の表面側に設けられた配線、図8(c)は、放熱基材100の裏面側に設けられた配線である。なお、図8(a)、(b)、(c)に示すxyz方向は、図7に示したxyz方向と同じである。よって、図8(c)に示した放熱基材100の裏面側に設けられた配線は、放熱基材100の表面側から見た状態であって、図8(b)に示した放熱基材100の表面に設けられた配線及び放熱基材100を取り除いた状態として示している。なお、光源20のカソード電極214に接続される部分を[K]、アノード電極218に接続される部分を[A]、基準電位が供給される部分を[G]と表記する。
【0062】
まず、図8(a)に示す配線基板10に設けられた配線を説明する。なお、図8(a)には、放熱基材100の外形を一点鎖線で示している。
図8(a)では、配線基板10の表面側に設けられた配線を実線で示し、配線基板10の裏面側に設けられた配線を破線で示している。つまり、配線基板10の表面側には、カソード配線11と、互いに絶縁されたアノード配線12と、基準電位配線13Fとが設けられている。
【0063】
カソード配線11は、平面形状が長方形で、+x方向側の端部が駆動部50に接続され、-x方向側の端部が放熱基材100を介して光源20のカソード電極214に接続される(図7(a)、(b)参照)。
アノード配線12は、平面形状が長方形で、+x方向側の端部が放熱基材100を介して光源20のアノード電極218に接続され、-x方向側の端部が電源82の+側に接続される。そして、x方向に、アノード配線12と、基準電位配線13と、カソード配線11とが配列されている。そして、基準電位配線13は、カソード配線11及びアノード配線12より±y方向に延びるように設けられるとともに、延びた部分が±x方向に広げられている。
【0064】
配線基板10の裏面側には、基準電位配線13Bが設けられている。そして、配線基板10の表面側に設けられた基準電位配線13Fと裏面に設けられた基準電位配線13Bとは、導電性の貫通導体13V(図7(b)参照)により電気的に接続されている。そして、裏面側に設けられた基準電位配線13Bに基準電位が供給される。つまり、表面に設けられた基準電位配線13Fは、裏面側に設けられた基準電位配線13Bから基準電位が供給される。ここでは、基準電位配線13Bは、配線基板10の裏面の全面にわたって設けられている。そして、基準電位配線13Bの面積は、他のカソード配線11、アノード配線12の面積より大きく設定されている。一般に、配線基板10の裏面に設けられる基準配線は、表面に設けられる配線の電位を安定させるために、裏面において広い面積にわたって設けられることが多い。なお、図8(a)では、貫通導体13Vの表記を省略している。貫通導体13Vは、銅(Cu)などの金属で構成されているので、熱伝導率が大きい。後述する放熱基材100に設けられる貫通導体も、同様である。なお、貫通導体は、ビアと呼ばれることがある。
【0065】
次に、図8(b)、(c)に示す放熱基材100に設けられた配線を説明する。
図8(b)に示すように、放熱基材100の表面側には、互いに絶縁されたカソード配線111F、アノード配線112F及び二つの基準電位配線113Fが設けられている。カソード配線111Fの表面上には、光源20のカソード電極214側が搭載される(図7(b)参照)。アノード配線112Fは、カソード配線111Fの三方(-x方向側及び±y方向側)を囲うように設けられている。アノード配線112Fは、光源20の側面21A、21B側(±y方向側)において、ボンディングワイヤ23A、23Bにより接続されている(図7(a)参照)。そして、二つの基準電位配線113Fがアノード配線112Fの±y方向側に設けられている。カソード配線111Fは、第1の表面配線の一例であり、アノード配線112Fは、第2の表面配線の一例である。
【0066】
図8(c)に示すように、放熱基材100の裏面側には、互いに絶縁されたカソード配線111B、アノード配線112B及び基準電位配線113Bが設けられている。なお、図8(c)には、図8)に示したカソード配線111Fを破線で示す。カソード配線111Bは、第1の裏面配線の一例であり、アノード配線112Bは、第2の裏面配線の一例であり、基準電位配線113Bは、基準電位配線及び第3の裏面配線の一例である。
【0067】
カソード配線111Bは、放熱基材100の表面側に設けられたカソード配線111Fに放熱基材100を挟んで対向する位置に設けられている。ただし、カソード配線111Bの面積は、カソード配線111Fの面積より小さく設定されている。そして、カソード配線111Fとカソード配線111Bとは、貫通導体111Vを介して接続されている。アノード配線112Bは、放熱基材100の表面側に設けられたアノード配線112Fのx方向側の端部の一部に放熱基材100を挟んで対向する位置に設けられている。つまり、アノード配線112Bの面積は、アノード配線112Fの面積に比べて小さい。そして、アノード配線112Fとアノード配線112Bとは、貫通導体112Vにより電気的に接続されている。
【0068】
基準電位配線113Bは、カソード配線111Bとアノード配線112Bとの間に設けられ、カソード配線111B及びアノード配線112Bより±y方向に延びるように設けられている。そして、基準電位配線113Bの±y方向の端部側が、放熱基材100の表面側に設けられた二つの基準電位配線113Fと放熱基材100を挟んで対向する位置に設けられている。そして、基準電位配線113Fと基準電位配線113Bとは、貫通導体113Vにより電気的に接続されている。
【0069】
以上説明したように、放熱基材100の表面側と裏面側とに設けられ互いに電気的に接続された、カソード配線111Fとカソード配線111B、アノード配線112Fとアノード配線112B、基準電位配線113Fと基準電位配線113Bとは、形状が異なっている。そして、図8(c)に示すように、上面視した場合、基準電位配線113Bと破線で示したカソード配線111Fとは、それぞれの縁辺部が±y方向側及び-x方向側において重なっている。ここでは、カソード配線111Fと基準電位配線113Bとの重なりは、重なり幅W1oである。基準電位配線113Bと破線で示した光源20とも、それぞれの縁辺部が±y方向側及び-x方向側において重なっている。ここでは、カソード配線111Fと光源20との重なりは、重なり幅W2oである。重なり幅W1o、W2oは、±y方向側及び-x方向側で同じである。なお、重なりをオーバラップと表記することがある。
【0070】
そして、放熱基材100の裏面側に設けられた基準電位配線113Bの面積は、放熱基材100の表面側に設けられたカソード配線111F及びアノード配線112Fのいずれの面積より大きく設定されている。そして、基準電位配線113Bの面積は、キャパシタ70A、70Bを包含する大きさとなっている。つまり、上面視した場合、基準電位配線113内に、キャパシタ70A、70Bが含まれる。なお、放熱基材100の裏面側に設けられた基準電位配線113Bの面積は、放熱基材100の表面側に設けられたカソード配線111F及びアノード配線112Fのいずれかの面積より大きく設定されていてもよい。
【0071】
図9は、第1の実施の形態が適用される発光装置4をさらに説明する図である。図9は、図7(a)に示した発光装置4のIX-IXでの断面図である。
図7(a)、(b)、図8及び図9により、発光装置4における電気的な接続関係を説明する。
前述したように、配線基板10の表面上に放熱基材100が設けられ、放熱基材100の表面上に光源20及びキャパシタ70A、70Bが設けられている。
【0072】
配線基板10の表面側に設けられたカソード配線11は、駆動部50と接続される(図7(a)、(b)参照)。カソード配線11は、放熱基材100の裏面側に設けられたカソード配線111Bにハンダ等により接続される。カソード配線111Bは、放熱基材100に設けられた貫通導体111Vを介して、放熱基材100の表面側に設けられたカソード配線111Fに接続される。そして、カソード配線111F上に光源20が搭載され、光源20のカソード電極214と接続される(図7(b)、図9参照)。
【0073】
配線基板10の表面側に設けられたアノード配線12は、放熱基材100の裏面側に設けられたアノード配線112Bにハンダ等により接続される。アノード配線112Bは、放熱基材100に設けられた貫通導体112Vを介して、放熱基材100の表面側に設けられたアノード配線112Fに接続される。そして、アノード配線112Fは、ボンディングワイヤ23A、23Bを介して、光源20のアノード電極218に接続される(図7(a)、図9参照)。
【0074】
配線基板10の表面側に設けられた基準電位配線13Fは、配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bと貫通導体13Vを介して接続される(図7(b)、図9参照)。基準電位配線13Fは、放熱基材100の裏面に設けられた基準電位配線113Bにハンダ等により接続される(図7(a)、図9参照)。基準電位配線113Bは、放熱基材100に設けられた貫通導体113Vを介して、放熱基材100の表面側に設けられた二つの基準電位配線113Fに接続される。そして、基準電位配線113Fとアノード配線112Fとの間に、キャパシタ70A、70Bが配置される。つまり、二つの基準電位配線113Fの内、-y側の基準電位配線113Fとアノード配線112Fとの間にキャパシタ70Aが設けられ、電気的に接続される。同様に、二つの基準電位配線113Fの内、+y側の基準電位配線113Fとアノード配線112Fとの間にキャパシタ70Bが設けられ、電気的に接続される(図7(a)、図9参照)。
【0075】
放熱基材100の裏面側に設けられるアノード配線112Bは、基準電位配線113Bに比べ、面積が小さい。アノード配線112Bは、電源82(図6参照)から電荷が供給されて、キャパシタ70A、70Bを充電する。このため、アノード配線112Bは、配線基板10の表面に設けられたアノード配線12と放熱基材100の表面に設けられたアノード配線112Fとを直流的に接続すればよい。
【0076】
次に、図9により、第1の実施の形態が適用される発光装置4における、光源20が発生する熱の放熱経路について説明する。
前述したように、光源20は、発熱が大きい。よって、光源20が発生した熱が放熱しやすいことが求められる。前述したように、配線の材料として用いられる銅(Cu)などの金属は、熱伝導率が大きい。例えば、銅(Cu)は、360W/m・K程度であって、配線基板10に用いられる基板の0.4W/m・K程度に比べ極めて大きい。よって、光源20が発生した熱は、配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bを介して筐体などから外部に放熱させることがよい。特に、基準電位配線13Bは、配線基板10の表面側に設けられたカソード配線11及びアノード配線12のいずれより面積が大きい。よって、基準電位配線13Bに熱を伝導させることで、放熱しやすい。つまり、光源20が発生する熱を、配線基板10の裏面に設けられた基準電位配線13Bに短い距離で放熱する経路を設けることがよい。
【0077】
図9に示すように、光源20のカソード電極214は、放熱基材100の表面側に設けられたカソード配線111F上に設けられている。一方、光源20のアノード電極218は、放熱基材100の表面側に設けられたアノード配線112Fとボンディングワイヤ23A、23Bで接続される。よって、光源20が発生する熱(以下では、熱と表記する。)は、カソード電極214からカソード配線111Fへ伝導する経路と、アノード電極218からボンディングワイヤ23A、23Bを経由してアノード配線112Fへ伝導する経路と、光源20の周囲の空間(空気)に伝導する経路とがある。しかし、ボンディングワイヤ23A、23Bに伝導する経路及び光源20の周囲の空間(空気)に伝導する経路は、熱が伝導しづらい。よって、光源20の発生する熱は、カソード電極214からカソード配線111Fへ至る経路で伝導される。
【0078】
前述したように、放熱基材100は、熱伝導率が10W/m・K以上であって、配線基板10に用いられる基板の0.4W/m・K程度に比べ大きい。よって、熱は、アノード配線112Fから放熱基材100を経由して、放熱基材100の裏面側に設けられたカソード配線111B、アノード配線112B及び基準電位配線113Bに伝導する。しかし、カソード配線111B及びアノード配線112Bは、それぞれ配線基板10のカソード配線11及びアノード配線12に接続されている。そして、カソード配線11とアノード配線12とは、いずれも基準電位配線13Bに接続されていない。一方、基準電位配線113Fは、配線基板10の表面側に設けられた基準電位配線13Fに接続され、基準電位配線13Fは、貫通導体13Vを介して、配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bに接続されている。よって、放熱基材100の裏面側に設けられた基準電位配線113Bに伝導した熱は、基準電位配線13F、貫通導体13Vを経由して、基準電位配線13Bに伝導する。
【0079】
以上説明したように、第1の実施の形態が適用される発光装置4では、光源20が発生した熱は、放熱基材100の表面側に設けられたカソード配線111F、放熱基材100、放熱基材100の裏面側に設けられた基準電位配線113B、配線基板10の表面に設けられた基準電位配線13F、貫通導体13V、そして配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bを順に経由する経路で放熱される図9に示す経路α)
【0080】
ここで、放熱基材100の裏面側に設けられた基準電位配線113Bと、放熱基材100の表面側に設けられたカソード配線111Fとは、上面視した場合、重なり幅W1oで重なるように設けられている。よって、カソード配線111Fから基準電位配線113Bへ熱が伝導する経路が短くなる。さらに、放熱基材100の裏面側に設けられた基準電位配線113Bと、光源20とは、上面視した場合、重なり幅W2oで重なるように設けられている。よって、光源20から基準電位配線113Bへ熱が伝導する経路がさらに短くなる。これらによって、光源20が発生する熱が放熱しやすくなっている。このため、放熱基材100の表面側に設けられたカソード配線111Fの面積より、放熱基材100の裏面側に設けられたカソード配線111Bの面積を小さくしている。
【0081】
放熱基材100の表面側にカソード配線111Fが設けられ、裏面側に基準電位配線113Bが設けられていれば、熱は、カソード配線111Fから熱伝導率が小さい放熱基材100を経由して基準電位配線113Bに伝導する。よって、基準電位配線113Fとカソード配線111Fとは、上面視において、必ずしも重なっていることを要しない。同様に、基準電位配線113Fと光源20とは、上面視において、必ずしも重なっていることを要しない。
【0082】
以上説明したように、光源20が発生する熱は、熱伝導率が大きい放熱基材100を経由して、配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bに放熱される。よって、熱伝導率が放熱基材100に比べて小さい配線基板10を経由して放熱される場合より、光源20の発生する熱が放熱されやすい。
【0083】
次に、VCSEL(光源20)を発光させる電流(電荷)の流れる経路(以下では、電流経路と表記する。)を説明する。
電流(電荷)は、キャパシタ70Aから、放熱基材100のアノード配線112F、ボンディングワイヤ23Aを経由して、VCSEL(光源20)に至る。そして、電流(電荷)は、VCSEL(光源20)から、放熱基材100のカソード配線111F、貫通導体111V、カソード配線111B、配線基板10のカソード配線11を経由して、駆動部50のMOSトランジスタ51(図6参照)に至る。次に、電流(電荷)は、駆動部50のMOSトランジスタ51から、配線基板10の基準電位配線13B、貫通導体13V、基準電位配線13F、放熱基材100の基準電位配線113B、貫通導体113V、基準電位配線113Fを介して、キャパシタ70Aに戻る。キャパシタ70Bについても、同様である。
【0084】
ここで、キャパシタ70A、70BとVCSEL(光源20)との距離が短いほど、電流経路が短くなる。つまり、回路インダクタンスが小さくなり、VCSELの発光の立ち上がり時間が短くなる。第1の実施の形態が適用される発光装置4では、放熱基材100の表面上に、光源20及びキャパシタ70A、70Bを設けているので、キャパシタ70A、70Bと光源20との距離が短く設定される。
【0085】
次に、比較のために、第1の実施の形態が適用されない発光装置4′を説明する。
図10は、第1の実施の形態が適用されない発光装置4′を説明する図である。図10(a)は、平面図、図10(b)は、図10(a)のXB-XB線での断面図である。なお、発光装置4′において、発光装置4と同じ機能を有する部材については、形状が異なる場合であっても、同じ符号を付す。以下では、発光装置4と同様の部分の説明を省略し、異なる部分を説明する。
【0086】
図10(a)に示すように、発光装置4′は、配線基板10上にキャパシタ70A、70Bを設け、放熱基材100の表面に光源20を設けている。そして、放熱基材100の表面上に保持部60を設けている。つまり、保持部60上に設けられた光拡散部材30は、光源20を覆い、キャパシタ70A、70Bを覆わない。
【0087】
図11は、第1の実施の形態が適用されない発光装置4′における配線基板10に設けられた配線及び放熱基材100に設けられた配線を説明する図である。図11(a)は、配線基板10に設けられた配線、図11(b)は、放熱基材100の表面に設けられた配線、図11(c)は、放熱基材100の裏面に設けられた配線である。
【0088】
まず、図11(a)に示す配線基板10に設けられた配線を説明する。なお、図11(a)には、放熱基材100の外形を一点鎖線で示している。
図11(a)では、配線基板10の表面側に設けられた配線を実線で示し、配線基板10の裏面側に設けられた配線を破線で示している。
【0089】
配線基板10の表面側には、互いに絶縁されたカソード配線11と、アノード配線12と、基準電位配線13Fとが設けられている。
カソード配線11は、-x方向側の平面形状が四角形で、+x方向に引き出された端部が駆動部50に接続されている。-x方向側の四角形の部分が放熱基材100を介して光源20のカソード電極214に接続される(図10(a)、(b)参照)。
アノード配線12は、カソード配線11の三方(-x方向側及び±y方向側)を囲うように設けられている。そして、-x方向に引き出された部分が電源82の+側に接続される。アノード配線12は、放熱基材100及びボンディングワイヤ23A、23Bを介して光源20のアノード電極218に接続される。
二つの基準電位配線13Fは、平面形状が四角形で、アノード配線12の±y方向に設けられている。
【0090】
配線基板10の裏面側には、基準電位配線13Bが設けられる。そして、配線基板10の表面に設けられた二つの基準電位配線13Fと裏面に設けられた基準電位配線13Bとは、導電性の貫通導体13V(後述する図12参照)により電気的に接続されている。ここでは、基準電位配線13Bは、配線基板10の裏面の全面にわたって設けられている。
【0091】
次に、図11(b)、(c)に示す放熱基材100に設けられた配線を説明する。
図11(b)に示すように、放熱基材100の表面側には、互いに絶縁されたカソード配線111Fと、アノード配線112Fとが設けられている。カソード配線111Fの表面上には、光源20のカソード電極214側が搭載される(図10(b)参照)。アノード配線112Fは、カソード配線111Fの三方(-x方向側及び±y方向側)を囲うように設けられている。アノード配線112Fは、±y方向側において、光源20のアノード電極218とボンディングワイヤ23A、23Bにより接続されている(図10(a)参照)。
【0092】
図11(c)に示すように、放熱基材100の裏面側には、互いに絶縁されたカソード配線111Bと、アノード配線112Bとが設けられている。カソード配線111B及びアノード配線112Bは、図11(b)に示した放熱基材100の表面側に設けられたカソード配線111F及びアノード配線112Fと平面形状が同じである。
【0093】
カソード配線111Fとカソード配線111Bとは、貫通導体111Vを介して接続されている。アノード配線112Fとアノード配線112Bとは、貫通導体112Vにより電気的に接続されている。
【0094】
以上説明したように、第1の実施の形態が適用されない発光装置4′の放熱基材100には、発光装置4の放熱基材100に設けられた基準電位配線113F、113Bが設けられていない。
【0095】
図12は、第1の実施の形態が適用されない発光装置4′をさらに説明する図である。図12は、図10(a)に示した発光装置4′のXII-XII線での断面図である。
図10(a)、(b)、図11及び図12により、第1の実施の形態が適用されない発光装置4′における電気的な接続関係を説明する。
前述したように、配線基板10の表面上に放熱基材100が設けられ、放熱基材100の表面上に光源20が設けられている。キャパシタ70A、70Bは、配線基板10の表面上に設けられている。
【0096】
配線基板10の表面側に設けられたカソード配線11は、駆動部50と接続される(図10(a)、(b)参照)。カソード配線11は、放熱基材100の裏面側に設けられたカソード配線111Bにハンダ等により接続される。カソード配線111Bは、放熱基材100に設けられた貫通導体111Vを介して、放熱基材100の表面に設けられたカソード配線111Fに接続される。そして、カソード配線111F上に光源20が搭載され、光源20のカソード電極214と接続される(図10(b)、図12参照)。
【0097】
配線基板10の表面側に設けられたアノード配線12は、放熱基材100の裏面側に設けられたアノード配線112Bにハンダ等により接続される。アノード配線112Bは、放熱基材100に設けられた貫通導体112Vを介して、放熱基材100の表面側に設けられたアノード配線112Fに接続される。そして、アノード配線112Fは、ボンディングワイヤ23A、23Bを介して、光源20のアノード電極218に接続される(図10(a)、図12参照)。
【0098】
配線基板10の表面側に設けられた基準電位配線13Fは、配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bと貫通導体13Vを介して接続される(図12参照)。そして、配線基板10上において、基準電位配線13Fとアノード配線12との間に、キャパシタ70A、70Bが配置される。つまり、図11(a)に示すように、配線基板10の+y側における基準電位配線13Fとアノード配線12との間にキャパシタ70Aが設けられ、電気的に接続される。同様に、配線基板10の-y側における基準電位配線13Fとアノード配線12との間にキャパシタ70Bが設けられ、電気的に接続される(図12参照)。
【0099】
次に、図12により、第2の実施の形態が適用されない発光装置4′における、光源20が発生する熱の放熱経路について説明する。
前述したように、光源20の発生する熱は、光源20のカソード電極214から放熱基材100に設けられたカソード配線111Fへ至る経路で伝導する。そして、熱は、放熱基材100を通して、放熱基材100の裏面に設けられたカソード配線111Bとアノード配線112Bとへ伝導する。さらに、熱は、カソード配線111Bとアノード配線112Bとから、配線基板10の表面側に設けられたカソード配線11とアノード配線12とに伝導する図12に示す経路β1)。しかし、前述したように、配線基板10は、銅(Cu)などの金属に比べて、熱伝導率が小さい。よって、熱は、配線基板10の表面側のアノード配線12を伝導し、キャパシタ70A、70Bを経由し、基準電位配線13Fに伝達する図12に示す経路β2)。そして、熱は、基準電位配線13Fに貫通導体13Vを介して、配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bに伝達することになる。
【0100】
以上説明したように、第1の実施の形態が適用されない、比較のために示す発光装置4′では、光源20が発生した熱は、放熱基材100の表面側に設けられたカソード配線111F、放熱基材100、放熱基材100の裏面側に設けられたアノード配線112、配線基板10の表面側に設けられたアノード配線112B、キャパシタ70A、70B、基準電位配線13F、貫通導体13V、そして配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bを順に経由する経路で放熱される。つまり、発光装置4′では、熱伝導率が大きい放熱基材100を用いているにも関わらず、配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bへ熱が伝導しづらい。このため、光源20からの熱の伝導が阻害されている。
【0101】
すなわち、第1の実施の形態が適用される発光装置4では、放熱基材100に基準電位配線113F、113Bを設けることにより、配線基板10の表面側に設けられた基準電位配線13Fと、配線基板10に設けられた貫通導体13Vとを経由して、光源20が発生する熱が配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bに伝導する経路が設けられている。なお、図9に示すように、光源20が発生する熱は、放熱基材100の裏面側に設けられた基準電位配線113Bに伝導すればよいので、放熱基材100の裏面側に基準電位配線113Bが設けられていればよい。
【0102】
これに対し、第1の実施の形態が適用されない発光装置4′では、放熱基材100には、基準電位配線113F、113Bのいずれも設けられていない。よって、光源20が発生する熱が、配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bに伝導する経路が形成されづらくなっている。
【0103】
次に、第1の実施の形態が適用されない発光装置4′において、VCSEL(光源20)を発光させる電流(電荷)の流れる経路(電流経路)を説明する。
電流(電荷)は、キャパシタ70Aから、配線基板10のアノード配線12、放熱基材100のアノード配線112B、貫通導体112V、アノード配線112F、ボンディングワイヤ23Aを経由して、VCSEL(光源20)に至る。そして、電流(電荷)は、VCSEL(光源20)から、放熱基材100のカソード配線111F、貫通導体111V、カソード配線111B、配線基板10のカソード配線11を経由して、駆動部50のMOSトランジスタ51(図6参照)に至る。次に、電流(電荷)は、駆動部50のMOSトランジスタ51から、配線基板10の基準電位配線13B、貫通導体13V、基準電位配線13Fを介して、キャパシタ70Aに戻る。キャパシタ70Bについても、同様である。
【0104】
発光装置4′では、キャパシタ70A、70Bが配線基板10の表面上に設けられ、VCSEL(光源20)が放熱基材100の表面上に設けられている。このため、キャパシタ70A、70BとVCSEL(光源20)との距離が、前述した第1の実施の形態が適用される発光装置4に比べ、大きくなっている。したがって、発光装置4′は、発光装置4に比べ、回路インダクタンスが大きくなって、VCSELの発光の立ち上がり時間が長くなってしまう。
【0105】
すなわち、第1の実施の形態が適用される発光装置4では、放熱基材100の表面上に、VCSEL(光源20)及びキャパシタ70A、70Bを設けているので、キャパシタ70A、70BとVCSEL(光源20)との距離が短く設定される。これにより、VCSELの発光の立ち上がり時間が短くなる。
【0106】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態が適用される発光装置4では、二つのキャパシタ70A、70Bを用いた。また、放熱基材100の表面側に設けたカソード配線111Fの縁辺部の一部と放熱基材100の裏面側に設けた基準電位配線113Bの縁辺部の一部とが、上面視した状態で、重なるようにした。第2の実施の形態が適用される発光装置4では、一つのキャパシタ70とし、放熱基材100の表面側に設けたカソード配線111Fと放熱基材100の裏面側に設けた基準電位配線113Bとは、上面視した状態で、重ならないようにしている。なお、第2の実施の形態と、第2の実施の形態では、同じ機能の部分は、同じ符号を使用する。そして、同じ部分の説明を省略し、異なる部分を説明する。
【0107】
図13は、第2の実施の形態が適用される発光装置4を説明する図である。図13(a)は、平面図、図13(b)は、図13(a)のXIIIB-XIIIB線での断面図である。なお、図13(a)は、光拡散部材30を透かして見た図である。
【0108】
図13(a)、(b)に示すように、配線基板10の表面上に放熱基材100、駆動部50、抵抗素子6及びキャパシタ7が設けられている。そして、放熱基材100の表面上に光源20、キャパシタ70及び保持部60が設けられている。そして、保持部60上に光拡散部材30が設けられている。なお、図13(a)に示すように、光拡散部材30は、光源20を覆い、キャパシタ70を覆わないように設けられている。
【0109】
図14は、第2の実施の形態が適用される発光装置4における配線基板10に設けられた配線及び放熱基材100に設けられた配線を説明する図である。図14(a)は、配線基板10に設けられた配線、図14(b)は、放熱基材100の表面側に設けられた配線、図14(c)は、放熱基材100の裏面側に設けられた配線である。
【0110】
まず、図14(a)に示す配線基板10に設けられた配線を説明する。なお、図14(a)には、放熱基材100の外形を一点鎖線で示している。
図14(a)では、配線基板10の表面側に設けられた配線を実線で示し、配線基板10の裏面側に設けられた配線を破線で示している。
【0111】
配線基板10の表面側には、互いに絶縁されたカソード配線11と、アノード配線12と、基準電位配線13Fとが設けられている。
カソード配線11は、-x方向側の平面形状が四角形で、+x方向に引き出された端部が駆動部50に接続されている。-x方向側の四角形の部分が放熱基材100を介して光源20のカソード電極214に接続される(図13(a)、(b)参照)。
アノード配線12は、平面形状が四角形で、カソード配線11の四角形の部分に+y方向で対向するように設けられている。そして、アノード配線12は、-x方向に引き出された部分を有し、この部分が電源82の+側に接続されている。アノード配線12は、放熱基材100及びボンディングワイヤ23A、23Bを介して光源20のアノード電極218に接続されている。
基準電位配線13Fは、平面形状が四角形で、アノード配線12の+y方向で対向するように設けられている。
【0112】
配線基板10の裏面側には、基準電位配線13Bが設けられる。そして、配線基板10の表面側に設けられた二つの基準電位配線13Fと裏面側に設けられた基準電位配線13Bとは、導電性の貫通導体13V(後述する図15参照)により電気的に接続されている。ここでは、基準電位配線13Bは、配線基板10の裏面の全面にわたって設けられている。
【0113】
次に、図14(b)、(c)に示す放熱基材100に設けられた配線を説明する。
図14(b)に示すように、放熱基材100の表面側には、互いに絶縁されたカソード配線111Fと、アノード配線112Fと、基準電位配線113Fとが設けられている。カソード配線111Fは、平面形状が四角形で、その表面上には、光源20のカソード電極214側が搭載される(図13(b)参照)。アノード配線112Fは、平面形状が四角形で、カソード配線111Fの+y側に対向するように設けられている。アノード配線112Fは、光源20のアノード電極218とボンディングワイヤ23により接続されている(図13(a)参照)。
【0114】
図14(c)に示すように、放熱基材100の裏面側には、互いに絶縁されたカソード配線111Bと、アノード配線112Bと、基準電位配線113Bとが設けられている。カソード配線111B、アノード配線112B及び基準電位配線113Bは、図14(b)に示した放熱基材100の表面側に設けられたカソード配線111F、アノード配線112F及び基準電位配線113Fと平面形状が同じである。
【0115】
カソード配線111Fとカソード配線111Bとは、貫通導体111Vを介して接続されている。アノード配線112Fとアノード配線112Bとは、貫通導体112Vにより電気的に接続されている。基準電位配線113Fと基準電位配線113Bとは、貫通導体113Vにより電気的に接続されている。
【0116】
以上説明したように、第2の実施の形態が適用される発光装置4は、第1の実施の形態が適用される発光装置4と同様に、放熱基材100に基準電位配線113F、113Bが設けられている。
【0117】
図15は、第2の実施の形態が適用される発光装置4をさらに説明する図である。図15は、図13(a)に示した発光装置4のXV-XV線での断面図である。
【0118】
まず、図13(a)及び図15において、保持部60及び光拡散部材30を説明する。
保持部60は、壁61A、61B、62A,62Bに加え、蓋63を備える。蓋63は、保持部60の上側(+z方向)において、保持部60の上側の一部であって、キャパシタ70を覆うように設けられている。そして、蓋63が設けられていない保持部60上に、光拡散部材30が設けられている。このようにすることで、光拡散部材30の面積、つまり光拡散部材30の大きさが小さくなる。光拡散部材30は高価であるので、光拡散部材30は、面積が小さいほどコストが削減される。
【0119】
図13(a)、(b)、図14及び図15により、第2の実施の形態が適用される発光装置4における電気的な接続関係を説明する。
前述したように、配線基板10の表面上に放熱基材100が設けられ、放熱基材100の表面上に光源20及びキャパシタ70が設けられている。
【0120】
配線基板10の表面側に設けられたカソード配線11は、駆動部50と接続される(図13(a)、(b)参照)。カソード配線11は、放熱基材100の裏面側に設けられたカソード配線111Bにハンダ等により接続される。カソード配線111Bは、放熱基材100に設けられた貫通導体111Vを介して、放熱基材100の表面側に設けられたカソード配線111Fに接続される。そして、カソード配線111F上に光源20が搭載され、光源20のカソード電極214と接続される(図13(b)、図15参照)。
【0121】
配線基板10の表面側に設けられたアノード配線12は、放熱基材100の裏面に設けられたアノード配線112Bにハンダ等により接続される。アノード配線112Bは、放熱基材100に設けられた貫通導体112Vを介して、放熱基材100の表面側に設けられたアノード配線112Fに接続される。そして、アノード配線112Fは、ボンディングワイヤ23を介して、光源20のアノード電極218に接続される(図13(a)、図15参照)。
【0122】
配線基板10の表面側に設けられた基準電位配線13Fは、配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bと貫通導体13Vを介して接続される(図15参照)。基準電位配線13Fは、放熱基材100の裏面側に設けられた基準電位配線113Bにハンダ等により接続される(図13(a)、図15参照)。基準電位配線113Bは、放熱基材100に設けられた貫通導体113Vを介して、放熱基材100の表面側に設けられた基準電位配線113Fに接続される。そして、基準電位配線113Fとアノード配線112Fとの間に、キャパシタ70が配置される。つまり、キャパシタ70は、基準電位配線113Fとアノード配線112Fとの間に設けられ、電気的に接続される。(図13(a)、図15参照)。
【0123】
次に、図15により、第2の実施の形態が適用される発光装置4における、光源20が発生する熱の放熱経路について説明する。
前述したように、光源20の発生する熱は、光源20のカソード電極214から放熱基材100の表面側に設けられたカソード配線111Fへ至る経路で伝導する。そして、熱は、放熱基材100を通して、放熱基材100の裏面側に設けられたカソード配線111B、アノード配線112B及び基準電位配線113Bへ伝導する。しかし、カソード配線111B及びアノード配線112Bが接続される配線基板10のカソード配線11及びアノード配線12は、配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bに接続されていない。よって、カソード配線11及びアノード配線12からは、熱伝導率が小さい配線基板10を介して熱が放熱される。しかし、基準電位配線113Bは、配線基板10の基準電位配線13F及び貫通導体13Vを介して、配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bに接続されている。よって、熱は、基準電位配線113B、配線基板10の基準電位配線13F及び貫通導体13Vを介して、配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bに伝導する(図15に示す経路γ)。
【0124】
第2の実施の形態が適用される発光装置4では、第1の実施の形態が適用される発光装置4(図9参照)に比べ、光源20のカソード電極214から放熱基材100に設けられた基準電位配線113Bへ至る距離が大きい。しかし、放熱基材100の熱伝導率が大きければ、光源20が発生する熱は、放熱基材100を介して、基準電位配線113Bに容易に伝導される。よって、光源20が発生する熱の放熱が、放熱基材100が基準電位配線113Bを備えない場合に比べて、より容易に行われる。
【0125】
以上説明したように、第2の実施の形態が適用される発光装置4は、第1の実施の形態が適用される発光装置4と同様に、光源20が発生した熱は、放熱基材100の表面側に設けられたカソード配線111F、放熱基材100、放熱基材100の裏面側に設けられた基準電位配線113B、配線基板10の表面側に設けられた基準電位配線13F、貫通導体13V、そして配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bを順に経由する経路で放熱される。
【0126】
そして、放熱基材100の表面側に設けられたカソード配線111F、アノード配線112F及び基準電位配線113Fと、放熱基材100の裏面側に設けられたカソード配線111B、アノード配線112B及び基準電位配線113Bとは、平面形状が同じでよい。つまり、第1の実施の形態が適用される発光装置4で説明したように、基準電位配線113Bとカソード配線111Fとが、上面視した場合に重なるように設けることを要しない。同様に、基準電位配線113Bと光源20とが、上面視した場合に重なるように設けることを要しない。
【0127】
第2の実施の形態が適用される発光装置4においても、第1の実施の形態が適用される発光装置4と同様に、放熱基材100の表面上に、VCSEL(光源20)及びキャパシタ70A、70Bを設けているので、キャパシタ70A、70BとVCSEL(光源20)との距離が短く設定される。これにより、VCSELの発光の立ち上がり時間が短くなる。
【0128】
以上説明したように、第1の実施の形態が適用される発光装置4及び第2の実施の形態が適用される発光装置4では、放熱基材100に基準電位配線113F、113Bを設けることにより、配線基板10の表面側に設けられた基準電位配線13Fと、配線基板10に設けられた貫通導体13Vとを経由して、光源20が発生する熱が配線基板10の裏面側に設けられた基準電位配線13Bに伝導する経路を設けている。なお、図9に示すように、光源20が発生する熱は、放熱基材100の裏面側に設けられた基準電位配線113Bに伝導すればよいので、放熱基材100の裏面側に基準電位配線113Bが設けられていればよい。
【0129】
第1の実施の形態が適用される発光装置4及び第2の実施の形態が適用される発光装置4では、放熱基材100の表面側にキャパシタ70を設けたが、他の回路素子(キャパシタ、抵抗素子など)を設けてもよい。
また、放熱基材100に設けられる基準電位配線113F、113Bに接続される部品は、光源20を発光させる電荷(電流)を供給するキャパシタ70(70A、70B)でなくともよく、他の機能のために設けられる回路部品(キャパシタ、抵抗素子など)であってもよい。
そして、放熱基材100の裏面側に、回路部品(キャパシタ、抵抗素子など)に接続されていない導電性のパターンを設けて、これを配線基板10の基準電位配線13Bに接続した構成としてもよい。
【0130】
また、上記の第1の実施の形態および第2の実施の形態では、光学部材の一例として、拡散により入射する光の拡がり角を広げるように変化させて出射する光拡散部材30を用いた。光学部材は、入射する光の方向と異なる方向に変化させて出射する回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)などであってもよい。また、光学部材は、集光レンズ、マイクロレンズ、保護カバーなどの透明部材であってもよい。
【符号の説明】
【0131】
1…情報処理装置、2…ユーザインターフェイス(UI)部、3…光学装置、4、4′、…発光装置、5…3Dセンサ、6…抵抗素子、7、70、70A、70B…キャパシタ、8…光学装置制御部、9…システム制御部、10…配線基板、11、111B、111F…カソード配線、12、112B、112F…アノード配線、13、13B、13F、113B、113F…基準電位配線、111V、112V、113V、13V…貫通導体、20…光源、21A、21B、22A、22B…側面、23、23A、23B…ボンディングワイヤ、30…光拡散部材、50…駆動部、51…MOSトランジスタ、52…信号発生回路、60…保持部、61A、61B、62A、62B…壁、63…蓋、81…形状特定部、82…電源、83…電源線、84…基準線、91…認証処理部、100…放熱基材、200…半導体基板、202…下部DBR、206…活性領域、208…上部DBR、210…電流狭窄層、210A…酸化領域、210B…導電領域、214…カソード電極、218…アノード電極、M…メサ、VCSEL…垂直共振器面発光レーザ素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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