(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】除電装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/08 20060101AFI20240604BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G03G21/08
G03G15/00 303
(21)【出願番号】P 2020054137
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】松島 幹
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-090215(JP,A)
【文献】特開平03-135586(JP,A)
【文献】特開2003-248400(JP,A)
【文献】特開2010-210892(JP,A)
【文献】特開平01-169478(JP,A)
【文献】特開2002-099187(JP,A)
【文献】特開2011-175142(JP,A)
【文献】特開2012-173723(JP,A)
【文献】特開昭63-239483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/08
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する像保持手段の回転軸方向に沿って配置された複数の発光素子を有し、前記像保持手段に光を照射する発光手段と、
発光素子の点灯を制御する制御手段と、
を備え、
前記回転軸方向の光量の分布が、像が記録される媒体の幅方向の中央部の方が端部に比べて光量が多
く、
前記発光手段は、前記発光素子と像保持手段との間に配置され前記中央部に比べて前記端部の光量を減らす光学素子を有し、
前記光学素子は、前記中央部に対応する位置が突出した凸状に形成され、光が透過可能である、
ことを特徴とする除電装置。
【請求項2】
全ての発光素子の点灯を制御する1つの前記制御手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の除電装置。
【請求項3】
前記回転軸方向に沿って、前記中央部に対応する範囲の単位長さ当たりの数が多く配置された前記発光素子、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の除電装置。
【請求項4】
前記中央部に対応する発光素子が、前記端部に対応する発光素子に比べて、発光量の大きな発光素子で構成された前記発光手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の除電装置。
【請求項5】
前記中央部に比べて前記端部の透過光量が少なく構成された前記光学素子、
を備えたことを特徴とする
請求項1に記載の除電装置。
【請求項6】
回転する像保持手段の回転軸方向に沿って配置された複数の発光素子を有し、前記像保持手段に光を照射する発光手段と、
発光素子の点灯を制御する制御手段と、
を備え、
前記回転軸方向の光量の分布が、像が記録される媒体の幅方向の中央部の方が端部に比べて光量が多
く、
前記発光手段は、前記端部に比べて前記中央部の方が、光の減衰量が少なく構成されるとともに、前記発光素子と前記像保持手段との距離が、前記中央部に対応する発光素子の方が、前記端部に対応する発光素子に比べて、近くに配置された、
ことを特徴とする除電装置。
【請求項7】
使用される媒体の幅が大きい場合に比べて、小さい場合の方が、前記発光手段の全体の光量を低下させる前記制御手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし
6のいずれかに記載の除電装置。
【請求項8】
使用される媒体の端において、予め定められた光量の光が照射されるように前記発光手段の全体の光量を低下させる前記制御手段、
を備えたことを特徴とする
請求項7に記載の除電装置。
【請求項9】
像保持手段と、
前記像保持手段を帯電させる帯電手段と、
前記像保持手段の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持手段の潜像を現像する現像手段と、
前記現像手段で現像された像を媒体に転写する転写手段と、
転写後の前記像保持手段の表面を清掃する清掃手段と、
清掃後の前記像保持手段の表面を除電する請求項1ないし
8のいずれかに記載の除電装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除電装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置において、像保持手段の表面を除電する除電装置に関して、以下の特許文献1,2に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開2009-271358号公報には、感光体ドラム(11)の除電を行うイレーズランプ(16)について、感光体ドラム(11)の幅方向において、全域が除電が不要な場合はイレーズランプ(16)をオフにして、一部でも除電が必要な場合にはイレーズランプ(16)をオンにする形態が記載されている。また、特許文献1には、イレーズランプ(16)を構成する複数のLEDについて、幅方向に3つの領域に分割して、3つの領域のLEDをそれぞれスイッチ(SW1~SW3)で個別に点灯/消灯可能な回路構成として、3つの領域のそれぞれで除電の要/不要を判別してLEDの点灯/消灯の制御を行う形態も記載されている。さらに、特許文献1には、幅の広い領域を除電可能なイレーズランプと幅の狭い領域を除電可能なイレーズランプの2つのランプを並べて、イレーズランプを切り替える形態も記載されている。
【0004】
特許文献2としての特開2003-248400号公報には、除電器(34)が除電可能な幅の異なる3つのLED列(34a~34c)を備えており、3つのLED列(34a~34c)がトランジスタ(35a~35c)で切り替え可能な構成が記載されている。特許文献2記載の技術では、使用される紙の幅である通紙領域の幅に応じて、使用するLED列(34a~34c)を切り替えて、感光体(9)に照射される光量を、通紙領域内よりも通紙領域外の方が低くなる調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-271358号公報(「0033」-「0036」、「0046」-「0049」、「0066」-「0067」、
図3、
図8、
図13)
【文献】特開2003-248400号公報(「0019」-「0021」、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、幅方向の複数の領域を個別の除電手段を設ける場合に比べて、構成を簡素化することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の除電装置は、
回転する像保持手段の回転軸方向に沿って配置された複数の発光素子を有し、前記像保持手段に光を照射する発光手段と、
発光素子の点灯を制御する制御手段と、
を備え、
前記回転軸方向の光量の分布が、像が記録される媒体の幅方向の中央部の方が端部に比べて光量が多く、
前記発光手段は、前記発光素子と像保持手段との間に配置され前記中央部に比べて前記端部の光量を減らす光学素子を有し、
前記光学素子は、前記中央部に対応する位置が突出した凸状に形成され、光が透過可能である、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の除電装置において、
全ての発光素子の点灯を制御する1つの前記制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の除電装置において、
前記回転軸方向に沿って、前記中央部に対応する範囲の単位長さ当たりの数が多く配置された前記発光素子、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の除電装置において、
前記中央部に対応する発光素子が、前記端部に対応する発光素子に比べて、発光量の大きな発光素子で構成された前記発光手段、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の除電装置において、
前記中央部に比べて前記端部の透過光量が少なく構成された前記光学素子、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
前記技術的課題を解決するために、請求項6に記載の発明の除電装置は、
回転する像保持手段の回転軸方向に沿って配置された複数の発光素子を有し、前記像保持手段に光を照射する発光手段と、
発光素子の点灯を制御する制御手段と、
を備え、
前記回転軸方向の光量の分布が、像が記録される媒体の幅方向の中央部の方が端部に比べて光量が多く、
前記発光手段は、前記端部に比べて前記中央部の方が、光の減衰量が少なく構成されるとともに、前記発光素子と前記像保持手段との距離が、前記中央部に対応する発光素子の方が、前記端部に対応する発光素子に比べて、近くに配置された、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の除電装置において、
使用される媒体の幅が大きい場合に比べて、小さい場合の方が、前記発光手段の全体の光量を低下させる前記制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の除電装置において、
使用される媒体の端において、予め定められた光量の光が照射されるように前記発光手段の全体の光量を低下させる前記制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
前記技術的課題を解決するために、請求項9に記載の発明の画像形成装置は、
像保持手段と、
前記像保持手段を帯電させる帯電手段と、
前記像保持手段の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持手段の潜像を現像する現像手段と、
前記現像手段で現像された像を媒体に転写する転写手段と、
転写後の前記像保持手段の表面を清掃する清掃手段と、
清掃後の前記像保持手段の表面を除電する請求項1ないし8のいずれかに記載の除電装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1,6,9に記載の発明によれば、幅方向の複数の領域を個別の除電手段を設ける場合に比べて、構成を簡素化することができる。
また、請求項1に記載の発明によれば、光学素子で中央部の光量を多くすることができる。
さらに、請求項1に記載の発明によれば、中央部が凸状の光学素子で中央部の光量を多くすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、複数の制御手段で発光素子を制御する場合に比べて、構成を簡素化することができる。
請求項3に記載の発明によれば、発光素子の密度を変えて光量分布を中央部で多くすることができる。
請求項4に記載の発明によれば、発光量の大きな発光素子を中央部に配置して光量分布を中央部で多くすることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、端部の透過光量が少ない光学素子で中央部の光量を相対的に多くすることができる。
請求項6に記載の発明によれば、発光手段の中央部での減衰量が少なく、中央部の光量を多くすることができる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明によれば、中央部の距離が近く減衰量が少ない発光手段で、中央部の光量を多くすることができる。
請求項7に記載の発明によれば、媒体の幅が小さい場合に全体の光量を低下させない場合に比べて、幅の小さい媒体の外側の領域で除電をしすぎないようにすることができる。
請求項8に記載の発明によれば、使用される媒体の端で予め定められた光量となるようにしない場合に比べて、媒体の端部での除電不足を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【
図2】
図2は実施例1の画像の記録部の要部説明図である。
【
図3】
図3は実施例1の媒体と像保持手段と帯電手段と清掃手段と除電手段との関係の説明図である。
【
図5】
図5は実施例2の除電器の説明図であり、実施例1の
図3に対応する図である。
【
図6】
図6は実施例3の除電装置と像保持手段との説明図である。
【
図7】
図7は実施例4の除電装置と像保持手段との説明図であり、実施例3の
図6に対応する図である。
【
図8】
図8は実施例5の除電装置と像保持手段との説明図であり、実施例3の
図6に対応する図である。
【
図9】
図9は実施例6の除電装置と像保持手段との説明図であり、実施例1の
図3に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,-X,Y,-Y,Z,-Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0021】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としての複写機Uは、画像記録手段の一例としてのプリンタ部U1を有する。プリンタ部U1の上部には、読取手段の一例であって、画像読取装置の一例としてのスキャナ部U2が支持されている。スキャナ部U2の上部には、原稿の搬送装置の一例としてのオートフィーダU3が支持されている。
【0022】
オートフィーダU3の上部には、媒体の収容手段の一例としての原稿トレイTG1が配置されている。原稿トレイTG1には、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容可能である。原稿トレイTG1の下方には、原稿の排出部の一例としての原稿の排紙トレイTG2が形成されている。原稿トレイTG1と原稿の排紙トレイTG2との間には、原稿の搬送路U3aに沿って、原稿の搬送ローラU3bが配置されている。
【0023】
スキャナ部U2の上面には、透明な原稿台の一例としてのプラテンガラスPGが配置されている。実施例1のスキャナ部U2には、プラテンガラスPGの下方に、読取部の一例としての読取ユニットU2aが配置されている。実施例1の読取ユニットU2aは、プラテンガラスPGの下面に沿って、副走査方向の一例としての左右方向に移動可能に支持されている。なお、読取ユニットU2aは、画像処理部GSに電気的に接続されている。
【0024】
図2は実施例1の画像の記録部の要部説明図である。
画像処理部GSは、プリンタ部U1の書込回路DLに電気的に接続されている。書込回路DLは、潜像の形成手段の一例としての露光装置LHy,LHm,LHc,LHkに電気的に接続されている。
実施例1の露光装置LHy~LHkは、一例として、複数のLEDが主走査方向に並んだLEDヘッドにより構成されている。露光装置LHy~LHkは、書込回路DLから入力された信号に応じて、Y,M,C,Kの各色に対応した書込光を出力可能に構成されている。
前記書込回路DLや電源回路Eは、制御手段の一例としての制御部Cからの制御信号に応じて、書込時期や電源の供給時期が制御される。
図1において、露光装置LHy~LHkの上方には、像保持手段の一例としての感光体PRy,PRm,PRc,PRkが配置されている。
図1、
図2において、各感光体PRy~PRkに書込光が照射される領域により、書込領域Q1y,Q1m,Q1c,Q1kが構成されている。
【0025】
各感光体PRy,PRm,PRc,PRkの回転方向に対して、書込領域Q1y~Q1kの上流側には、帯電手段の一例としての帯電ローラCRy,CRm,CRc,CRkが配置されている。実施例1の帯電ローラCRy~CRkは、感光体PRy~PRkに接触して従動回転可能に支持されている。
感光体PRy~PRkの回転方向に対して、書込領域Q1y~Q1kの下流側には、現像手段の一例としての現像装置Gy,Gm,Gc,Gkが配置されている。各感光体PRy~PRkと各現像装置Gy~Gkとが対向する領域により、現像領域Q2y,Q2m,Q2c,Q2kが構成されている。
【0026】
感光体PRy~PRkの回転方向に対して、現像装置Gy~Gkの下流側には、1次転写手段の一例としての1次転写ローラT1y,T1m,T1c,T1kが配置されている。各感光体PRy~PRkと各1次転写ローラT1y~T1kとが対向する領域により、1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kが構成されている。
感光体PRy~PRkの回転方向に対して、1次転写ローラT1y~T1kの下流側には、清掃手段の一例としての感光体クリーナCLy,CLm,CLc,CLkが配置されている。
感光体PRy~PRkの回転方向に対して、感光体クリーナCLy~CLkの下流側には、除電手段の一例であって除電装置の一例としての除電器Jy,Jm,Jc,Jkが配置されている。
【0027】
前記Y色の感光体PRy、帯電ローラCRy、露光装置LHy、現像装置Gy、1次転写ローラT1y、感光体クリーナCLy、除電器Jyにより、Y色のトナー像を形成する実施例1のY色の可視像の形成手段の一例としてのY色の作像部Uyが構成されている。同様に、各感光体PRm,PRc,PRk、帯電ローラCRm,CRc,CRk、露光装置LHm,LHc,LHk、現像装置Gm,Gc,Gk、1次転写ローラT1m,T1c,T1k、感光体クリーナCLm,CLc,CLk、除電器Jm,Jc,Jkにより、前記M,C,K色の作像部Um,Uc,Ukが構成されている。
【0028】
前記感光体PRy~PRkの上方には、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。ベルトモジュールBMは、像保持手段の一例であって、中間転写手段の一例としての中間転写ベルトBを有する。中間転写ベルトBは、無端帯状の部材により構成されている。
実施例1の中間転写ベルトBは、張架手段の一例としてのテンションローラRtと、片寄りの補正手段の一例としてのウォーキングローラRwと、従動手段の一例としてのアイドラローラRfと、2次転写領域の対向手段の一例としてのバックアップローラT2aと、1次転写ローラT1y,T1m,T1c,T1kと、駆動部材の一例としての駆動ローラRdにより回転可能に支持されている。実施例1では、駆動ローラRdに駆動が伝達された場合に、中間転写ベルトBが回転する。
【0029】
前記中間転写ベルトBを挟んでバックアップローラT2aに対向する位置には、2次転写手段の一例としての2次転写ローラT2bが配置されている。バックアップローラT2aおよび2次転写ローラT2b等により、転写装置の一例としての実施例1の2次転写器T2が構成されている。また、2次転写ローラT2bと中間転写ベルトBとが接触する領域により2次転写領域Q4が構成されている。
中間転写ベルトBの回転方向に対して、2次転写領域Q4の下流側には、中間転写体の清掃装置の一例として、ベルトクリーナCLbが配置されている。
前記1次転写ローラT1y~T1k、中間転写ベルトBおよび2次転写器T2等により、転写手段の一例としての実施例1の転写装置T1+T2+Bが構成されている。また、作像部Uy~Ukおよび転写装置T1+T2+Bとにより、実施例1の画像の記録部Uy~Uk+T1+T2+Bが構成されている。
【0030】
図1において、作像部Uy~Ukの下方には、案内手段の一例としての左右一対のガイドレールGRが4段設けられている。各ガイドレールGRには、媒体の収容手段の一例としての給紙トレイTR1~TR4が前後方向に出入可能に支持されている。給紙トレイTR1~TR4には、媒体の一例としての記録用紙Sが収容される。
給紙トレイTR1~TR4の左上方には、取出手段の一例としてのピックアップローラRpが配置されている。記録用紙Sの搬送方向に対して、ピックアップローラRpの下流側には、捌き手段の一例としての捌きローラRsが配置されている。記録用紙Sの搬送方向に対して、捌きローラRsの下流側には、媒体の搬送路の一例として、上方に延びる給紙路SH1が形成されている。給紙路SH1には、搬送手段の一例としての複数の搬送ローラRaが配置されている。
【0031】
複写機Uの左下部には、媒体の収容手段の一例としての手差しトレイTR0が配置されている。手差しトレイTR0の右上部には、ピックアップローラRp0が配置され、手差し給紙路SH0が延びている。手差し給紙路SH0は給紙路SH1に合流している。
給紙路SH1には、2次転写領域Q4の上流側に、搬送時期の調節手段の一例としてのレジローラRrが配置されている。レジローラRrから2次転写領域Q4に向けて搬送路SH2が延びている。
【0032】
記録用紙Sの搬送方向に対して、2次転写領域Q4の下流側には、定着手段の一例としての定着装置Fが配置されている。定着装置Fは、加熱用の定着部材の一例としての加熱ローラFhと、加圧用の定着部材の一例としての加圧ローラFpと、を有する。加熱ローラFhと加圧ローラFpとの接触領域により定着領域Q5が構成されている。
プリンタ部U1の上面には、媒体の排出部の一例としての下段排紙トレイTRhが形成されている。定着装置Fの上方には、搬送路の一例としての排紙路SH3が下段排紙トレイTRhに向けて延びている。排紙路SH3の下流端には、媒体の搬送手段の一例としての排紙ローラRhが配置されている。
【0033】
下段排紙トレイTRhの上方には、媒体の排出部の一例としての上段排紙トレイTRh2が配置されている。定着装置Fの上方には、排紙路SH3から分岐して、上段排紙トレイTRh2に向けて延びる上方搬送路SH4が形成されている。
上方搬送路SH4には、媒体の搬送手段の一例としての正逆回転可能な反転ローラRbが配置されている。排紙路SH3と上方搬送路SH4との分岐位置よりも上方には、媒体の搬送路の一例としての反転路SH6が上方搬送路SH4から左下方に分岐している。
排紙路SH3と上方搬送路SH4との分岐部分と、上方搬送路SH4と反転路SH6との分岐部分とに渡る形で、切替手段の一例としてのゲートGT1が配置されている。ゲートGT1は、定着装置Fからの記録用紙Sを下段排紙トレイTRhに向けて案内すると共に、上方搬送路SH4から反転路SH6に記録用紙Sを案内する第1の案内位置(第2の位置)と、定着装置Fからの記録用紙Sを上方搬送路SH4に案内する第2の案内位置(第1の位置)との間で切替可能に支持されている。
前記反転路SH6には、媒体の搬送手段の一例としての複数の搬送ローラRaが配置されている。反転路SH6の下流端は、レジローラRrの上流側で給紙路SH1に合流している。
【0034】
(画像形成動作の説明)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置いて複写を行う場合には、読取ユニットU2aが初期位置から左右方向に移動して、プラテンガラスPG上の原稿Giが、露光されながら走査される。また、前記オートフィーダU3を使用して自動的に原稿Giを搬送して複写を行う場合には、原稿トレイTG1に収容された複数の原稿Giは、プラテンガラスPG上の原稿の読み取り位置に順次搬送されて通過し、原稿の排紙トレイTG2に排出される。プラテンガラスPG上の読み取り位置を順次通過する各原稿Giは、読取ユニットU2aに露光されて走査される。なお、原稿Giからの反射光は、読取ユニットU2aで受光される。前記読取ユニットU2aは、受光された原稿Giの反射光を電気信号に変換する。なお、原稿Giの両面読取りが行われる場合には、読取りセンサでも原稿Giが読み取られる。
【0035】
画像処理部GSは、読取ユニットU2aから出力された電気信号が入力される。画像処理部GSは、読取ユニットU2aが読み取ったR,G,Bの色の画像の電気信号を、潜像形成用のイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の画像情報に変換する。画像処理部GSは、変換後の画像情報をプリンタ部U1の書込回路DLに出力する。なお、画像処理部GSは、画像が単色画像、いわゆる、モノクロの場合は、黒Kのみの画像情報を書込回路DLに出力する。
書込回路DLは、入力された画像情報に応じた制御信号を、露光装置LHy~LHkに出力する。露光装置LHy~LHkは、制御信号に応じた書込光を出力する。
【0036】
各感光体PRy~PRkは、画像形成が開始されると回転駆動する。帯電ローラCRy~CRkには、電源回路Eから帯電電圧が印加される。したがって、感光体PRy~PRkの表面は、帯電ローラCRy~CRkにより帯電される。帯電された感光体PRy~PRkは、書込領域Q1y~Q1kにおいて、露光装置LHy~LHkにより、表面に静電潜像が形成される。感光体PRy~PRkの静電潜像は、現像領域Q2y~Q2kにおいて、現像装置Gy,Gm,Gc,Gkにより可視像の一例としてのトナー像に現像される。
【0037】
現像されたトナー像は、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに接触する1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kに搬送される。1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいて、1次転写ローラT1y~T1kには、電源回路Eからトナーの帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。したがって、各感光体PRy~PRk上のトナー像は、1次転写ローラT1y~T1kにより、中間転写ベルトBに転写される。なお、多色のトナー像の場合、上流側の1次転写領域で中間転写ベルトBに転写されたトナー像に重ねて、下流側のトナー像が転写される。
1次転写後の感光体PRy~PRkの残留物、付着物は、感光体クリーナCLy~CLkにより清掃される。清掃後の感光体PRy~PRk表面は、除電器Jy~Jkで除電される。除電後の感光体PRy~PRkの表面は、帯電ローラCRy~CRkにより再帯電される。
1次転写領域Q3y~Q3kで1次転写ローラT1y~T1kにより中間転写ベルトB上に転写された単色または多色のトナー像は、2次転写領域Q4に搬送される。
【0038】
画像が記録される記録用紙Sは、使用される給紙トレイTR1~TR4のピックアップローラRpにより、取り出される。ピックアップローラRpで取り出された記録用紙Sは、複数枚の記録用紙Sが重ねて取り出された場合、捌きローラRsにより1枚ずつに分離される。捌きローラRsで分離された記録用紙Sは、搬送ローラRaにより給紙路SH1を搬送される。給紙路SH1を搬送された記録用紙Sは、レジローラRrに送られる。手差しトレイTR0に積載された記録用紙Sも、ピックアップローラRp0で手差し給紙路SH0を通じて給紙路SH1に送られる。
レジローラRrは、中間転写ベルトBに形成されたトナー像が2次転写領域Q4に搬送される時期を合わせて、記録用紙Sを2次転写領域Q4に搬送する。2次転写ローラT2bには、電源回路Eによりトナーの帯電極性と逆極性の2次転写電圧が印加される。したがって、中間転写ベルトB上のトナー像は、中間転写ベルトBから記録用紙Sに転写される。
【0039】
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、表面に付着した付着物等がベルトクリーナCLbにより清掃される。
前記トナー像が2次転写された記録用紙Sは、定着領域Q5を通過する際に加熱定着される。
画像が定着された記録用紙Sが下段排紙トレイTRhに排出される場合は、ゲートGT1が第1の案内位置に移動する。したがって、定着装置Fから送り出された記録用紙Sは、排紙路SH3を搬送される。排紙路SH3を搬送された記録用紙Sは、排紙ローラRhにより下段排紙トレイTRhに排出される。
【0040】
記録用紙Sが上段排紙トレイTRh2に排出される場合は、ゲートGT1が第2の案内位置に移動して、上段排紙トレイTRh2に排出される。
記録用紙Sが両面印刷される場合、ゲートGT1が第2の案内位置に移動する。そして、記録用紙Sの後端がゲートGT1を通過すると、ゲートGT1が第1の案内位置に移動すると共に、反転ローラRbが逆回転する。したがって、記録用紙Sは、ゲートGT1に案内されて、反転路SH6に送られる。
【0041】
(除電装置の説明)
図3は実施例1の媒体と像保持手段と帯電手段と清掃手段と除電手段との関係の説明図である。
次に、実施例1の除電器Jy~Jkの説明を行うが、各色の除電器Jy~Jkの構成は共通であるため、K色の除電器Jkについて説明し、その他の色の除電器Jy~Jcについては詳細な説明を省略する。
図3において、実施例1の除電器Jkは、感光体PRkに沿って延びる基板部1を有する。実施例1の基板部1は、感光体PRkの回転軸方向に沿って延びる平板状に構成されている。基板部1の表面には、発光素子の一例としてのLEDチップ2が複数配置されている。実施例1の除電器Jkでは、制御部Cからの制御信号に応じて、全てのLEDチップ2の点灯、消灯や光量が一括して制御される。すなわち、全てのLEDチップ2の点灯等が1つの制御部Cで制御される。
【0042】
なお、実施例1では、各LEDチップ2は同一の構成のものが使用されており、LEDチップ2は、幅方向(感光体軸方向)に対して中央部の方が端部に比べて、単位長さ当たりの数が多く配置されている。すなわち、LEDチップ2は、中央部の方が端部に比べて高密度に配置されている。したがって、実施例1の除電器Jkでは、幅方向の中央部の方が端部に比べて光量が多くなるように構成されている。
前記基板部1および複数のLEDチップ2により実施例1の発光手段の一例としての除電器本体1~2が構成されている。
【0043】
図3において、実施例1の複写機Uでは、大きなサイズの記録用紙S1~小さなサイズの記録用紙S3が使用可能であり、感光体PRkの軸方向の長さは、使用可能な最大の大きさの記録用紙S1の幅よりも長く形成されている。また、帯電ローラCRkおよび感光体クリーナCLkの清掃手段の一例としてのクリーニングブレードも、幅が、最大の大きさの記録用紙S1の幅よりも長く且つ感光体PRkの幅よりも短く設定されている。除電器Jkも、帯電ローラCRkが帯電する幅をカバーするように幅が設定されている。
【0044】
(実施例1の制御部の説明)
図3において、複写機Uの制御手段の一例としての制御部(コントローラ)Cは、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/Oを有する。また、制御部Cは、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリを有する。また、制御部Cは、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリを有する。また、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置を有する。したがって、実施例1の制御部Cは、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されている。よって、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0045】
(制御部Cの機能)
図4は実施例1の光量制御の説明図である。
実施例1の制御部Cの除電制御手段C1は、除電器Jkを制御して、感光体PRkの除電を行う。除電制御手段C1は、除電器Jkの点灯、消灯と、光量調整を行う。すなわち、複写機Uの動作に伴って感光体PRkの帯電、転写が行われると、除電器Jkが点灯し、動作が終了すると除電器Jkを消灯させる。
図4において、実施例1の除電制御手段C1は、記録用紙Sの幅が大きい場合に比べて、小さい場合の方が、LEDチップ2の全体の光量を低下させる。具体的には、実施例1の除電制御手段C1は、使用される記録用紙Sの幅方向の端S1a,S3aにおいて、予め定められた除電に必要な光量の光が照射されるように、全体の光量を調整する。
【0046】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、除電器Jkは、LEDチップ2が幅方向の中央部が高密度な配置となっており、構成上、中央部の光量が多くなっている。そして、この除電器Jkで感光体PRkの除電が行われる。
従来の除電器では、幅方向の全域にわたって同様の光量となるように構成されているものが一般的である。従来構成では、感光体の表面には帯電時や転写時に放電生成物が発生する。この放電生成物は、感光体クリーナのクリーニングブレードで除去される。クリーニングブレードは感光体との摺擦で経時的に摩耗していくが、定期的に現像剤がクリーニングブレードに到達していると、現像剤に外添されたZnSt(ステアリン酸亜鉛)等の外添剤が潤滑材として機能して、摩耗が抑制される。ここで、感光体における記録用紙Sの幅の内側の通紙領域では、画像が形成されるため現像剤がクリーニングブレードに到達するが、記録用紙Sの外側の非通紙領域では、現像剤がクリーニングブレードに送られない。したがって、非通紙領域では、クリーニングブレードの摩耗が進みやすい。よって、幅方向でクリーニングブレードの摩耗にばらつきが発生し、摩耗した部分では現像剤のすり抜けに起因する色筋等の画質欠陥が発生する恐れがある。特に、小サイズの記録用紙Sでの印刷を通常行うと、大サイズの画像領域の内側でクリーニングブレードの摩耗が進む場合があり、大サイズの画像の印刷を行うと、色筋が問題となりやすい。
【0047】
これらに対応して、特許文献1,2には、幅方向で光を照射する幅が異なる3つ(以上)の光源を設置して、画像が形成される範囲は除電をして、画像が形成されない範囲は除電を行わないように光源を切り替える技術が記載されている。特許文献1,2記載の技術では、画像が形成されない範囲(非通紙領域)が除電されず、感光体の表面の電位が高い状態で帯電領域に到達する。このとき、帯電領域では、十分に除電されていない部分は、帯電器との電位差が不足することとなり、放電自体が発生しにくくなる。よって、放電生成物の発生が抑制され、非通紙領域でのクリーニングブレードの摩耗が抑制されることとなる。
しかしながら、特許文献1,2に記載の構成では、光を照射する幅の異なる複数の光源が必要であったり、幅方向で複数に分割された領域に合わせてスイッチでオンオフを切り替えるための構成が必要である。すなわち、分割する領域や、使用する記録用紙の幅に対応させて複数の光源やスイッチ等の回路やそれを制御するコントローラが必要となる。よって、構成が複雑化し、製造費用が上昇しやすかったり、故障しやすい問題もある。
【0048】
実施例1の除電器Jkは、幅方向の中央部で光量が多くなっている。したがって、非通紙領域になることが多い幅方向の端部での光量が少なく、除電量が少なくなる。よって、非通紙領域での放電が抑制されやすく、摩耗が抑制され、画質欠陥の発生が抑制される。そして、実施例1では、除電器JkにおけるLEDチップ2の配置で光量の調整が行われており、切り替えるスイッチ等の回路素子は不要である。よって、特許文献1,2に記載の技術のように複数のスイッチ等が必要な構成に比べて、構成が簡素化される。したがって、製造費用の上昇や故障が抑制され、小型化にも寄与する。特に、実施例1の除電器Jkでは、回路構成が1つのみであるので、回路が2つ以上ある場合に比べて、費用や小型化への寄与が大きい。
また、実施例1の除電器Jkでは、LEDチップ2の配置を調整して光量を調整しており、LEDチップ2自体は共通の物を使用している。したがって、光量等の性能が異なる複数のLEDチップを使用する場合に比べて、部品が共通化されており、製造費用も抑制しやすい。
なお、端部と中央部との光量の差は、実験の結果、10%以上の光量差を持たせると、端部でのブレードの摩耗量が中央部に比べて問題にならず、15%以上であればさらに好適であることが確認された。
【0049】
さらに、実施例1の除電器Jkでは、使用される記録用紙Sの幅の小さい場合に、全体の光量が低下される。記録用紙Sの幅が小さいと、非通紙領域が広くなり(幅方向でより中央部しか画像が形成されなくなり)、光量が低減されない構成では、非通紙領域でも十分に除電される恐れがある。これに対して、実施例1では、記録用紙Sの幅が小さい場合に、全体の光量が低下されて、非通紙領域に照射される光量が低減される。よって、クリーニングブレードの摩耗がさらに抑制される。
特に、実施例1では、記録用紙Sの端において、十分な除電に必要な光量になるように全体の光量が低下される。したがって、通紙領域では除電に必要な光量が確保され、非通紙領域では除電しすぎないようにすることが可能である。
【実施例2】
【0050】
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図5は実施例2の除電器の説明図であり、実施例1の
図3に対応する図である。
図5において、実施例2では、実施例1のLEDチップ2と異なり、発光量の異なるLEDチップ2′を使用している。具体的には、両端部のLEDチップ2a、その内側のLEDチップ2b、更に内側のLEDチップ2c、中央のLEDチップ2dの順に、中央部にいくにつれて発光量の大きなLEDチップを使用している。なお、各LEDチップ2a~2dの間隔は、実施例1と異なり等間隔に設定されている。
【0051】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の除電器Jkでは、構成は実施例1とは異なるが、幅方向の光量の分布は実施例1と同様の分布とすることが可能である。よって、実施例1と同様に、1つの除電器本体(発光手段)1~2′幅方向端部の除電のし過ぎを抑制可能である。
【実施例3】
【0052】
次に本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図6は実施例3の除電装置と像保持手段との説明図である。
図6において、実施例3の除電器Jkは、基板11と、基板11の表面に支持された発光素子の一例としてのLEDチップ12と、光学素子の一例としての凸レンズ13とを有する。実施例3のLEDチップ12は、全て発光量が共通のものを使用しており、幅方向に等間隔に配置されている。
凸レンズ13は、LEDチップ12側の入射面13aは、幅方向に沿った平面状に形成されている。また、感光体PRk側の出射面13bは、光量分布に応じて、幅方向の中央部が端部よりも感光体PRk側に突出した凸状に湾曲した形状に形成されている。なお、凸レンズ13は、LEDチップ12からの光が透過可能な材料で構成されている。
前記基板11、LEDチップ12および凸レンズ13により、実施例3の発光手段の一例としての除電器本体11~13が構成されている。
【0053】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の除電器Jkでは、凸レンズ13を通過した光は屈折して、幅方向の外側の光ほど外側に広がる。よって、相対的に、中央部の光量が端部の光量よりも多くなる。よって、実施例3でも、実施例1と同様の光量分布となる。よって、実施例1と同様に、1つの除電器本体11~13で幅方向端部の除電のし過ぎを抑制可能である。
【実施例4】
【0054】
次に本発明の実施例4の説明をするが、この実施例4の説明において、前記実施例1,3の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1,3と相違しているが、他の点では前記実施例1,3と同様に構成される。
図7は実施例4の除電装置と像保持手段との説明図であり、実施例3の
図6に対応する図である。
図7において、実施例4の除電器Jkは、実施例3の凸レンズ13に替えて、光学素子の一例としての光学フィルタ16を有する。実施例4の光学フィルタ16は、透過する光を減衰させるフィルタで構成されており、幅方向の端部16aは減衰量が最も大きく、その内側16bは端部16aよりは減衰量が小さく、中央部16cは減衰量が最も少ない構成となっている。なお、減衰量の変更は、一例として、各部16a~16cを構成する材料(媒質)を異ならせることで実現可能である。
前記基板11、LEDチップ12および光学フィルタ16により、実施例4の発光手段の一例としての除電器本体11~16が構成されている。
【0055】
(実施例4の作用)
前記構成を備えた実施例4の除電器Jkでは、光学フィルタ16を透過した光は端部ほど減衰量が大きい。よって、相対的に、中央部の光量が端部の光量よりも多くなる。よって、実施例4でも、実施例1,3と同様の光量分布となる。よって、実施例1,3と同様に、1つの除電器本体11~16で幅方向端部の除電のし過ぎを抑制可能である。
【実施例5】
【0056】
次に本発明の実施例5の説明をするが、この実施例5の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図8は実施例5の除電装置と像保持手段との説明図であり、実施例3の
図6に対応する図である。
図8において、実施例5の除電器Jkは、基板21と、基板21の表面に支持された発光素子の一例としてのLEDチップ22とを有する。実施例5の基板21は、感光体PRk側の表面21aが、光量分布に応じて、幅方向の中央部が端部よりも感光体PRk側に突出した凸状に湾曲した形状に形成されている。そして、凸状に湾曲した表面21aにLEDチップ22が、幅方向の間隔が等間隔になり、且つ、中央部のLEDチップ22ほど感光体PRkまでの距離が近くなるように構成されている。すなわち、端部のLEDチップ22a、その内側のLEDチップ22b、中央部のLEDチップ22cのそれぞれの感光体PRkとの距離をL0,L1,L2とした場合に、L0>L1>L2となるように、基板21の表面21aおよびLEDチップ22a~22cが構成されている。
なお、実施例5では、LEDチップ22a~22c自体は、発光量が共通のものを使用している。
前記基板21、LEDチップ22により、実施例5の発光手段の一例としての除電器本体21~22が構成されている。
【0057】
(実施例5の作用)
前記構成を備えた実施例5の除電器Jkでは、各LEDチップ22a~22cと感光体PRkとの距離が端部ほど遠く、中央部ほど近くなっている。よって、端部の方が、感光体PRkに到達するまでに光が散乱、減衰しやすく、結果として、中央部の光量が端部の光量よりも多くなる。よって、実施例5でも、実施例1,3と同様の光量分布となる。よって、実施例1,3と同様に、1つの除電器本体21~22で幅方向端部の除電のし過ぎを抑制可能である。
【実施例6】
【0058】
次に本発明の実施例6の説明をするが、この実施例6の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図9は実施例6の除電装置と像保持手段との説明図であり、実施例1の
図3に対応する図である。
図9において、実施例6の除電器Jkは、記録用紙Sが軸方向の一端部を基準として搬送される構成、いわゆるサイドレジ搬送に対応して、軸方向の一端側(前端側)でLEDチップ2″が高密度に配置され、他端側(後端側)でLEDチップ2″が低密度に配置されている。すなわち、全ての大きさの記録用紙S1~S3で「画像が記録される領域」の中央部が、実施例1~5では前後方向の中央部(いわゆるセンターレジ搬送)であったが、実施例6では前後方向の前端部になっており、その部分の光量分布が最も多くなっている。
前記基板1、LEDチップ2″により、実施例6の発光手段の一例としての除電器本体1~2″が構成されている。
【0059】
(実施例6の作用)
前記構成を備えた実施例6の除電器Jkでも、実施例1と同様に、現像剤が到達することが多い領域である前端部では除電用の光の光量が多く、現像剤が到達することが少ない後端部では光量が少なくなっている。よって、実施例6でも実施例1と同様に、クリーニングブレードの偏った摩耗が発生しやすい幅方向の後端部の除電のしすぎが抑制される。
【0060】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)~(H06)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としての複写機Uを例示したが、これに限定されず、FAXに適用したり、FAXや、プリンタ、複写機などの複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、多色現像の画像形成装置に限定されず、単色、いわゆるモノクロの画像形成装置により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、例示した具体的な数は、設計や仕様の変更に応じて適宜変更可能である。したがって、LEDチップの数や光量分布、光量の異なるLEDチップ2′の数や位置、光学フィルタ16の各部16a~16cの数等は例示した形態に限定されず、目的に応じて変更可能である。
【0061】
(H03)前記実施例において、実施例1~6を互いに組み合わせることも可能である。例えば、実施例1の中央部に高密度にLEDチップ2が配置された構成と、実施例3の凸レンズ13を組み合わせたり、実施例6の分布に合わせた凸レンズ13の形状とすることも可能である。
(H04)前記実施例において、除電器本体は1つの場合を例示したが、これに限定されない。目的とする光量分布が1つの除電器本体では実現ができない場合には、2つ以上とすることも可能である。なお、この場合でも、特許文献1,2では目的とする光量分布に対応させて回路構成を増やす必要があるため、本願発明の方が除電器本体の数を減らすことは可能である。
【0062】
(H05)前記実施例において、端部の光量を中央部に比べて減らす構成として、凸レンズ13や光学フィルタ16、LEDチップ22a~22cの間隔を変える構成を例示したが、これに限定されない。例えば、中央部に光が収束するようなレンズを使用したり、中央部で光の減衰量が少なくなるように中央部に光ファイバを設置する等の変更も可能である。
(H06)前記実施例において、記録用紙Sの大きさに応じて、全体の光量を増減する構成を適用することが望ましいが、使用可能な記録用紙Sが少ない場合等であれば、全体の光量を増減する構成は設けない構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0063】
1~2,1~2′,1~2″,11~13,11~16,21~22…発光手段、
2,2′,2″,12,22…発光素子、
13,16…光学素子、
C…制御手段、
CLy,CLm,CLc,CLk…清掃手段、
CRy,CRm,CRc,CRk…帯電手段、
Gy,Gm,Gc,Gk…現像手段、
Jy,Jm,Jc,Jk…除電装置、
L0,L1,L2…発光素子と像保持手段との距離、
LHy,LHm,LHc,LHk…潜像形成手段、
PRy,PRm,PRc,PRk…像保持手段、
S…媒体、
T1+T2+B…転写手段、
U…画像形成装置。