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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】制御装置、色調整方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20240604BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H04N1/60
G06T1/00 510
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020113701
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012118
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚野 俊樹
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-193117(JP,A)
【文献】特開2007-081480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/46- 1/64
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置により実行される、原稿画像データが対応付けられたジョブを取得し、
前記原稿画像データに対応する色見本の読取画像データをスキャナーから取得し、
前記読取画像データに基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が必要か否かを判定し、
当該判定結果に基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正を行い、
当該補正後の前記スキャナー及び/又は前記印刷装置に対応するプロファイルと、前記原稿画像データと、前記読取画像データと、に基づいて、前記原稿画像データに対する色変換に係る色変換パラメーターを生成する制御部を備え
前記制御部は、
前記原稿画像データから所定の色に対応する領域を抽出し、
当該抽出した領域に対応する領域の前記読取画像データの読取値を取得し、
当該取得した前記読取値と、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルと、に基づいて、前記スキャナーの補正が必要か否かを判定する制御装置。
【請求項2】
印刷装置により実行される、原稿画像データが対応付けられたジョブを取得し、
前記原稿画像データに対応する色見本の読取画像データをスキャナーから取得し、
前記読取画像データに基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が必要か否かを判定し、
当該判定の結果に基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正を行い、
当該補正後の前記スキャナー及び/又は前記印刷装置に対応するプロファイルと、前記原稿画像データと、前記読取画像データと、に基づいて、前記原稿画像データに対する色変換に係る色変換パラメーターを生成する制御部を備え、
前記制御部は、
前記原稿画像データから所定の色に対応する領域を抽出し、
当該抽出した領域に対応する領域の前記読取画像データの読取値を取得し、
当該取得した前記読取値と、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルと、前記印刷装置に対応するデバイスプロファイルと、に基づいて、前記印刷装置の補正が必要か否かを判定する制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記原稿画像データに前記所定の色がない場合に、前記スキャナー及び前記印刷装置の補正が必要と判定する請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記所定の色は、前記原稿画像データの紙白部分に対応する色である請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が必要と判定された場合に、表示部において補正操作のための画面に遷移させ、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正を実行した後に所定の画面に遷移させ、
前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が不要と判定された場合に、前記表示部において前記補正操作のための画面に遷移させずに、前記所定の画面に遷移させる請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記スキャナーの補正として、
所定のチャートを前記スキャナーで読み取らせることで、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルを補正する請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記印刷装置の補正として、
所定のチャートを前記印刷装置で印刷させ、
前記所定のチャートを測色させることで、前記印刷装置に対応するデバイスプロファイルを補正する請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記印刷装置の補正として、
所定のチャートを前記印刷装置で印刷させ、
前記所定のチャートを測色させることで、前記印刷装置に対応するデバイスプロファイルを補正し、
前記スキャナーの補正として、
前記所定のチャートを前記スキャナーで読み取らせることで、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルを補正する請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
制御装置の制御部により実行される色調整方法であって、
印刷装置により実行される、原稿画像データが対応付けられたジョブを取得する第1工程と、
前記原稿画像データに対応する色見本の読取画像データをスキャナーから取得する第2工程と、
前記読取画像データに基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が必要か否かを判定する第3工程と、
当該判定結果に基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正を行う第4工程と、
当該補正後の前記スキャナー及び/又は前記印刷装置に対応するプロファイルと、前記原稿画像データと、前記読取画像データと、に基づいて、前記原稿画像データに対する色変換に係る色変換パラメーターを生成する第5工程と、
を含み、
前記第3工程では、
前記原稿画像データから所定の色に対応する領域を抽出し、
当該抽出した領域に対応する領域の前記読取画像データの読取値を取得し、
当該取得した前記読取値と、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルと、に基づいて、前記スキャナーの補正が必要か否かを判定する色調整方法。
【請求項10】
制御装置の制御部により実行される色調整方法であって、
印刷装置により実行される、原稿画像データが対応付けられたジョブを取得する第1工程と、
前記原稿画像データに対応する色見本の読取画像データをスキャナーから取得する第2工程と、
前記読取画像データに基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が必要か否かを判定する第3工程と、
当該判定の結果に基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正を行う第4工程と、
当該補正後の前記スキャナー及び/又は前記印刷装置に対応するプロファイルと、前記原稿画像データと、前記読取画像データと、に基づいて、前記原稿画像データに対する色変換に係る色変換パラメーターを生成する第5工程と、
を含み、
前記第3工程では、
前記原稿画像データから所定の色に対応する領域を抽出し、
当該抽出した領域に対応する領域の前記読取画像データの読取値を取得し、
当該取得した前記読取値と、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルと、前記印刷装置に対応するデバイスプロファイルと、に基づいて、前記印刷装置の補正が必要か否かを判定する色調整方法。
【請求項11】
コンピューターを、
印刷装置により実行される、原稿画像データが対応付けられたジョブを取得し、
前記原稿画像データに対応する色見本の読取画像データをスキャナーから取得し、
前記読取画像データに基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が必要か否かを判定し、
当該判定結果に基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正を行い、
当該補正後の前記スキャナー及び/又は前記印刷装置に対応するプロファイルと、前記原稿画像データと、前記読取画像データと、に基づいて、前記原稿画像データに対する色変換に係る色変換パラメーターを生成する制御部として機能させるためのプログラムであって、
前記制御部は、
前記原稿画像データから所定の色に対応する領域を抽出し、
当該抽出した領域に対応する領域の前記読取画像データの読取値を取得し、
当該取得した前記読取値と、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルと、に基づいて、前記スキャナーの補正が必要か否かを判定するプログラム。
【請求項12】
コンピューターを、
印刷装置により実行される、原稿画像データが対応付けられたジョブを取得し、
前記原稿画像データに対応する色見本の読取画像データをスキャナーから取得し、
前記読取画像データに基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が必要か否かを判定し、
当該判定の結果に基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正を行い、
当該補正後の前記スキャナー及び/又は前記印刷装置に対応するプロファイルと、前記原稿画像データと、前記読取画像データと、に基づいて、前記原稿画像データに対する色変換に係る色変換パラメーターを生成する制御部として機能させるためのプログラムであって、
前記制御部は、
前記原稿画像データから所定の色に対応する領域を抽出し、
当該抽出した領域に対応する領域の前記読取画像データの読取値を取得し、
当該取得した前記読取値と、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルと、前記印刷装置に対応するデバイスプロファイルと、に基づいて、前記印刷装置の補正が必要か否かを判定するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、色調整方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリントショップ等では、顧客から原稿画像データに基づく印刷を受注する場合に、目標とする出力物(色見本)を受け取ることがある。このような状況では、色見本(目標出力物)の色再現を目指すために、色見本を読み取って得られた読取画像データ(RGB値)と原稿画像データ(CMYK値)との色の対応関係から、原稿画像データに対する色変換に用いる色変換テーブルを修正することで、色合わせを行っている(特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、色変換パラメーター(ICCプロファイル)を作成するためのソフトウェアを起動し、色見本をスキャナーで読み取り、読取画像データと原稿画像データに基づいて、色見本により近い色再現を実現する色変換パラメーターを作成し、データベースに登録することで、色合わせを行うことができる。このような色合わせを行う場合、色見本を読み取るスキャナーの補正と、調整(色合わせ)後に印刷を行う印刷装置の補正を適切に行うことで、色合わせの精度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-48900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ユーザーは、スキャナーの補正や印刷装置の補正の必要性を判断することができないため、色変換パラメーターを生成する度に毎回スキャナー及び印刷装置の補正を実行することとなり、作業時間が増加してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、色調整における色精度向上に伴う作業時間の短縮化及び効率化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、印刷装置により実行される、原稿画像データが対応付けられたジョブを取得し、前記原稿画像データに対応する色見本の読取画像データをスキャナーから取得し、前記読取画像データに基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が必要か否かを判定し、当該判定結果に基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正を行い、当該補正後の前記スキャナー及び/又は前記印刷装置に対応するプロファイルと、前記原稿画像データと、前記読取画像データと、に基づいて、前記原稿画像データに対する色変換に係る色変換パラメーターを生成する制御部を備え、前記制御部は、前記原稿画像データから所定の色に対応する領域を抽出し、当該抽出した領域に対応する領域の前記読取画像データの読取値を取得し、当該取得した前記読取値と、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルと、に基づいて、前記スキャナーの補正が必要か否かを判定する制御装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、印刷装置により実行される、原稿画像データが対応付けられたジョブを取得し、前記原稿画像データに対応する色見本の読取画像データをスキャナーから取得し、前記読取画像データに基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が必要か否かを判定し、当該判定の結果に基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正を行い、当該補正後の前記スキャナー及び/又は前記印刷装置に対応するプロファイルと、前記原稿画像データと、前記読取画像データと、に基づいて、前記原稿画像データに対する色変換に係る色変換パラメーターを生成する制御部を備え、前記制御部は、前記原稿画像データから所定の色に対応する領域を抽出し、当該抽出した領域に対応する領域の前記読取画像データの読取値を取得し、当該取得した前記読取値と、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルと、前記印刷装置に対応するデバイスプロファイルと、に基づいて、前記印刷装置の補正が必要か否かを判定する制御装置である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の制御装置において、前記制御部は、前記原稿画像データに前記所定の色がない場合に、前記スキャナー及び前記印刷装置の補正が必要と判定する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置において、前記所定の色は、前記原稿画像データの紙白部分に対応する色である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置において、前記制御部は、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が必要と判定された場合に、表示部において補正操作のための画面に遷移させ、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正を実行した後に所定の画面に遷移させ、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が不要と判定された場合に、前記表示部において前記補正操作のための画面に遷移させずに、前記所定の画面に遷移させる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項から5のいずれか一項に記載の制御装置において、前記制御部は、前記スキャナーの補正として、所定のチャートを前記スキャナーで読み取らせることで、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルを補正する。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置において、前記制御部は、前記印刷装置の補正として、所定のチャートを前記印刷装置で印刷させ、前記所定のチャートを測色させることで、前記印刷装置に対応するデバイスプロファイルを補正する。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置において、前記制御部は、前記印刷装置の補正として、所定のチャートを前記印刷装置で印刷させ、前記所定のチャートを測色させることで、前記印刷装置に対応するデバイスプロファイルを補正し、前記スキャナーの補正として、前記所定のチャートを前記スキャナーで読み取らせることで、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルを補正する。
【0015】
請求項9に記載の発明は、制御装置の制御部により実行される色調整方法であって、印刷装置により実行される、原稿画像データが対応付けられたジョブを取得する第1工程と、前記原稿画像データに対応する色見本の読取画像データをスキャナーから取得する第2工程と、前記読取画像データに基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が必要か否かを判定する第3工程と、当該判定の結果に基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正を行う第4工程と、当該補正後の前記スキャナー及び/又は前記印刷装置に対応するプロファイルと、前記原稿画像データと、前記読取画像データと、に基づいて、前記原稿画像データに対する色変換に係る色変換パラメーターを生成する第5工程と、を含み、前記第3工程では、前記原稿画像データから所定の色に対応する領域を抽出し、当該抽出した領域に対応する領域の前記読取画像データの読取値を取得し、当該取得した前記読取値と、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルと、に基づいて、前記スキャナーの補正が必要か否かを判定する。
【0016】
請求項10に記載の発明は、制御装置の制御部により実行される色調整方法であって、印刷装置により実行される、原稿画像データが対応付けられたジョブを取得する第1工程と、前記原稿画像データに対応する色見本の読取画像データをスキャナーから取得する第2工程と、前記読取画像データに基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が必要か否かを判定する第3工程と、当該判定結果に基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正を行う第4工程と、当該補正後の前記スキャナー及び/又は前記印刷装置に対応するプロファイルと、前記原稿画像データと、前記読取画像データと、に基づいて、前記原稿画像データに対する色変換に係る色変換パラメーターを生成する第5工程と、を含み、前記第3工程では、前記原稿画像データから所定の色に対応する領域を抽出し、当該抽出した領域に対応する領域の前記読取画像データの読取値を取得し、当該取得した前記読取値と、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルと、前記印刷装置に対応するデバイスプロファイルと、に基づいて、前記印刷装置の補正が必要か否かを判定する。
【0017】
請求項11に記載の発明は、コンピューターを、印刷装置により実行される、原稿画像データが対応付けられたジョブを取得し、前記原稿画像データに対応する色見本の読取画像データをスキャナーから取得し、前記読取画像データに基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が必要か否かを判定し、当該判定結果に基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正を行い、当該補正後の前記スキャナー及び/又は前記印刷装置に対応するプロファイルと、前記原稿画像データと、前記読取画像データと、に基づいて、前記原稿画像データに対する色変換に係る色変換パラメーターを生成する制御部として機能させるためのプログラムであって、前記制御部は、前記原稿画像データから所定の色に対応する領域を抽出し、当該抽出した領域に対応する領域の前記読取画像データの読取値を取得し、当該取得した前記読取値と、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルと、に基づいて、前記スキャナーの補正が必要か否かを判定する。
請求項12に記載の発明は、コンピューターを、印刷装置により実行される、原稿画像データが対応付けられたジョブを取得し、前記原稿画像データに対応する色見本の読取画像データをスキャナーから取得し、前記読取画像データに基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正が必要か否かを判定し、当該判定の結果に基づいて、前記スキャナー及び/又は前記印刷装置の補正を行い、当該補正後の前記スキャナー及び/又は前記印刷装置に対応するプロファイルと、前記原稿画像データと、前記読取画像データと、に基づいて、前記原稿画像データに対する色変換に係る色変換パラメーターを生成する制御部として機能させるためのプログラムであって、前記制御部は、前記原稿画像データから所定の色に対応する領域を抽出し、当該抽出した領域に対応する領域の前記読取画像データの読取値を取得し、当該取得した前記読取値と、前記スキャナーに対応するスキャナープロファイルと、前記印刷装置に対応するデバイスプロファイルと、に基づいて、前記印刷装置の補正が必要か否かを判定する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、色調整における色精度向上に伴う作業時間の短縮化及び効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施の形態における印刷システムのシステム構成を示す図である。
図2】複合機の機能的構成を示すブロック図である。
図3】PCの機能的構成を示すブロック図である。
図4】色変換パラメーターの生成の流れを説明するための図である。
図5】第1の色調整処理を示すフローチャートである。
図6】ジョブリスト画面の例を示す図である。
図7】色見本スキャン画面の例を示す図である。
図8】デバイスプロファイル補正画面の例を示す図である。
図9】スキャナープロファイル補正画面の例を示す図である。
図10】調整画面の例を示す図である。
図11】第2の実施の形態における第2の色調整処理を示すフローチャートである。
図12】第2の実施の形態における第2の色調整処理を示すフローチャートである。
図13】第3の実施の形態における第3の色調整処理を示すフローチャートである。
図14】第3の実施の形態における第3の色調整処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明に係る制御装置の実施の形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0021】
[第1の実施の形態]
図1に、第1の実施の形態における印刷システム100のシステム構成を示す。図1に示すように、印刷システム100は、複合機10、制御装置としてのPC(Personal Computer)20を備えて構成される。複合機10とPC20とは、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNを介してデータ通信可能に接続されている。印刷システム100は、印刷会社等に設置されている。
【0022】
複合機10は、用紙上に画像を形成するプリンター機能や、用紙上の画像を読み取るスキャナー機能を有する。複合機10は、印刷対象の画像データに対し、色変換処理、ラスタライズ処理、スクリーニング処理等の演算処理を行い、印刷画像データ(CMYK値)を生成し、印刷画像データに基づいて印刷処理を行う。
【0023】
PC20は、複合機10の出力物の色を、色見本(目標出力物)の色に合わせる際に用いるターゲットプロファイル、デバイスリンクプロファイル等を修正し、複合機10に提供する。色見本は、顧客から入稿時に受領した出力物であり、データではなく、実際の出力物である。PC20は、複合機10に、印刷対象の画像データを含む印刷指示を送信する。
【0024】
図2に、複合機10の機能的構成を示す。図2に示すように、複合機10は、制御部11、表示部12、操作部13、通信部14、スキャナー部15、プリンター部16、測色部17、記憶部18等を備える。
【0025】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113等により構成され、複合機10内の各部を制御する。CPU111は、ROM112に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM113に展開し、展開されたプログラムに従って、各種処理を実行する。ROM112は、各種プログラム及び各種データを記憶する読み出し専用のメモリーである。RAM113は、作業領域として、一時的にプログラムやデータを記憶する。
【0026】
表示部12は、LCD(Liquid Crystal Display)を備えて構成されており、制御部11から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
操作部13は、ユーザーの操作に応じた操作信号を生成し、制御部11に出力する。操作部13は、表示部12に積層されたタッチパネルや、操作キー等により構成される。
通信部14は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークNを介して接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0027】
スキャナー部15は、原稿台に載置された用紙や色見本を読み取り、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の画素値を有する読取画像データ(RGB値)を生成する。
【0028】
プリンター部16は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のプロセスカラーを用い、CMYKのトナーやインク等の色材を用いて、用紙上に画像を形成する。プリンター部16は、印刷画像データ(CMYK値)に基づいて印刷処理を行う。
【0029】
測色部17は、プリンター部16により印刷された用紙の搬送経路上に設けられた測色器(インライン測色器)であり、用紙上に印刷された画像の色を測定し、色彩値(L値)を出力する。
【0030】
記憶部18は、各種プログラムや各種データを記憶する記憶装置である。
例えば、記憶部18には、スキャナープロファイル、デバイスプロファイル(プリンタープロファイル)、ターゲットプロファイル、デバイスリンクプロファイルが記憶される。
スキャナープロファイルは、スキャナー部15の読取値(RGB値)と読取対象物の色彩値(L値)との対応関係(スキャナー部15の読取特性)を表すものである。
デバイスプロファイルは、プリンター部16に出力される印刷画像データ(CMYK値)と印刷物の色彩値(L値)との対応関係(プリンター部16の出力特性)を表すものである。
【0031】
ターゲットプロファイルは、色見本を印刷した目標印刷機に入力される原稿画像データ(CMYK値)と、色見本から得られた色彩値(L値)との対応関係を表すものである。
デバイスリンクプロファイルは、ターゲットプロファイルとデバイスプロファイルにより生成されたCMYK-CMYKデバイスリンクプロファイルであり、原稿画像データのCMYK値と、プリンター部16に出力されるCMYK値との対応関係を表すものである。
【0032】
また、記憶部18には、複合機10のプリンター部16で印刷される印刷ジョブが記憶されている。印刷ジョブには、印刷対象となる原稿画像データと、どのように印刷を行うかを示すジョブ設定と、が含まれる。ジョブ設定には、原稿画像データに対する色変換に用いられる色変換パラメーター(ターゲットプロファイル、デバイスリンクプロファイル)を示す情報、部数、拡大率、後処理設定等が含まれる。
【0033】
図3に、PC20の機能的構成を示す。図3に示すように、PC20は、制御部21、表示部22、操作部23、通信部24、記憶部25等を備える。
【0034】
制御部21は、CPU211、ROM212、RAM213等により構成され、PC20内の各部を制御する。CPU211は、ROM212又は記憶部25に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM213に展開し、展開されたプログラムに従って、各種処理を実行する。ROM212は、各種プログラム及び各種データを記憶する読み出し専用のメモリーである。RAM213は、作業領域として、一時的にプログラムやデータを記憶する。
【0035】
表示部22は、LCDのモニターを備えて構成されており、制御部21から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
操作部23は、カーソルキー、文字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部21に出力する。また、操作部23は、表示部22に積層されたタッチパネルにより構成され、操作者の指等によるタッチ操作の位置に応じた操作信号を制御部21に出力してもよい。
【0036】
通信部24は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークNを介して接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。
記憶部25は、各種プログラムや各種データを記憶する記憶装置である。
【0037】
次に、図4を参照して、色変換パラメーター(ターゲットプロファイル及びデバイスリンクプロファイル)の生成の流れを説明する。
まず、色見本に対応する原稿画像データ(A1)を取得し、原稿画像データ(A1)から各画素のCMYK値(A2)を抽出する。原稿画像データは、色見本の印刷の元になった画像データであり、顧客から入稿されたデータである。原稿画像データとしては、例えば、PDFファイル、TIFFファイル等が用いられる。
【0038】
また、スキャナー部15により色見本を読み取って得られた読取画像データ(A3)を取得し、読取画像データ(A3)から各画素のRGB値(A4)を抽出する。読取画像データとしては、例えば、PDFファイル、TIFFファイル等が用いられる。
修正対象となるターゲットプロファイルはCMYK-Lのルックアップテーブル(LUT)であるため、読取画像データから抽出したRGB値(A4)をスキャナープロファイル(RGB-L LUT)を用いてL値(A5)に色変換する。
【0039】
次に、原稿画像データと読取画像データの対応する位置同士で、CMYK値(A2)とL値(A5)とを対応付けたCMYK-Lテーブル(A6)を作成する。具体的には、原稿画像データと読取画像データのそれぞれからエッジ(輪郭)、角等の特徴点を抽出し、特徴点に基づいて原稿画像データと読取画像データの位置合わせを行う。そして、相互に対応する位置ごとに、原稿画像データのCMYK値(A2)と読取画像データから得られたL値(A5)の組み合わせを、CMYK-Lテーブル(A6)に格納する。
次に、CMYK-Lテーブル(A6)に基づいて、ターゲットプロファイル(CMYK-L)(A7)を修正する。
【0040】
次に、ターゲットプロファイル(A7)と、プリンター部16において色を正確に再現するためのデバイスプロファイル(L-CMYK)とを合成し、デバイスリンクプロファイル(A8)を生成(修正)する。このデバイスリンクプロファイルを印刷ジョブに適用することで、色合わせを行うことができる。
【0041】
PC20において、スキャナープロファイル、デバイスプロファイル、ターゲットプロファイル、デバイスリンクプロファイルを使用する際には、制御部21は、通信部24を介して、複合機10の記憶部18に記憶されている各種プロファイルを取得する。なお、制御部21は、複合機10の記憶部18から事前に各種プロファイルを取得し、記憶部25に記憶させておくこととしてもよい。
【0042】
制御部21は、原稿画像データ(CMYK値)が対応付けられたジョブを取得する。このジョブは、複合機10のプリンター部16により実行される印刷ジョブである。
制御部21は、原稿画像データに対応する色見本の読取画像データ(RGB値)をスキャナー部15(複合機10)から取得する。
【0043】
制御部21は、色見本の読取画像データに基づいて、スキャナー部15(スキャナー)及び/又はプリンター部16(印刷装置)の補正が必要か否かを判定する。
制御部21は、判定結果に基づいて、スキャナー部15及び/又はプリンター部16の補正を行う。
制御部21は、補正後のスキャナー部15及び/又はプリンター部16に対応するプロファイルと、原稿画像データと、色見本の読取画像データと、に基づいて、原稿画像データに対する色変換に係る色変換パラメーター(デバイスリンクプロファイル)を生成する。
【0044】
制御部21は、スキャナー部15及び/又はプリンター部16の補正が必要と判定された場合に、表示部22において補正操作のための画面に遷移させ、スキャナー部15及び/又はプリンター部16の補正を実行した後に所定の画面に遷移させる。
制御部21は、スキャナー部15及び/又はプリンター部16の補正が不要と判定された場合に、表示部22において補正操作のための画面に遷移させずに、所定の画面に遷移させる。
【0045】
制御部21は、スキャナー部15(スキャナー)の補正として、所定のチャートをスキャナー部15で読み取らせることで、スキャナー部15に対応するスキャナープロファイルを補正する。
【0046】
制御部21は、プリンター部16(印刷装置)の補正として、所定のチャートをプリンター部16で印刷させ、所定のチャートを測色させることで、プリンター部16に対応するデバイスプロファイルを補正する。
【0047】
制御部21は、プリンター部16(印刷装置)の補正として、所定のチャートをプリンター部16で印刷させ、所定のチャートを測色させることで、プリンター部16に対応するデバイスプロファイルを補正し、スキャナー部15(スキャナー)の補正として、所定のチャートをスキャナー部15で読み取らせることで、スキャナー部15に対応するスキャナープロファイルを補正する。つまり、プリンター部16の補正と、スキャナー部15の補正が両方とも必要な場合には、プリンター部16で印刷した同一のチャートを用いて、プリンター部16に対応するデバイスプロファイルとスキャナー部15に対応するスキャナープロファイルを補正する。
【0048】
次に、PC20における動作について説明する。
図5は、PC20により実行される第1の色調整処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部21のCPU211と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0049】
まず、制御部21は、通信部24を介して、複合機10の記憶部18に保存されている複数の印刷ジョブを表示部22に一覧表示させる。
図6に、表示部22に表示されるジョブリスト画面221の例を示す。ジョブリスト画面221には、ジョブリスト表示領域221A等が含まれる。ジョブリスト表示領域221Aには、印刷ジョブの一覧が表示され、印刷ジョブごとに、ジョブ番号、ファイル名(原稿画像データ)、ページ数、更新日時等が表示されている。
【0050】
制御部21は、ジョブリスト画面221において、ユーザーによる操作部23からの印刷ジョブの選択を受け付ける(ステップS1)。ユーザーは、操作部23を操作して、一覧表示された複数のジョブの中から、調整対象とするいずれかの印刷ジョブを選択する。制御部21は、通信部24を介して、選択された印刷ジョブを、複合機10の記憶部18から取得する。制御部21は、選択された印刷ジョブを記憶部25に記憶させる。
【0051】
次に、制御部21は、選択された印刷ジョブに対応付けられている原稿画像データ(色見本に対応する原稿画像データ)(CMYK値)を取得する(ステップS2)。制御部21は、取得した原稿画像データを記憶部25に記憶させる。
なお、原稿画像データが複数のページにより構成されている場合には、調整に使用するページをユーザーが指定する。
【0052】
次に、制御部21は、色見本スキャン画面を表示部22に表示させる。
図7に、表示部22に表示される色見本スキャン画面222の例を示す。色見本スキャン画面222には、操作案内領域222A、スキャンボタンB1、読み込みボタンB2等が含まれる。
操作案内領域222Aには、色見本のスキャンについての操作案内が表示される。
スキャンボタンB1は、複合機10のスキャナー部15に対して、色見本のスキャンの実行を指示するためのボタンである。
読み込みボタンB2は、複合機10のスキャナー部15でスキャンされた色見本の読取画像データの読み込みを指示するためのボタンである。
【0053】
ユーザーがスキャナー部15に色見本を置いて、スキャンボタンB1を押下すると、スキャナー部15により、色見本がスキャンされ、読取画像データ(RGB値)が生成される。スキャンが完了した後、ユーザーが読み込みボタンB2を押下すると、制御部21は、通信部24を介して、スキャナー部15(複合機10)から読取画像データ(RGB値)を取得する(ステップS3)。制御部21は、取得した読取画像データを記憶部25に記憶させる。
【0054】
次に、制御部21は、色見本の読取画像データに基づいて、スキャナー部15及び/又はプリンター部16の補正が必要か否かを判定する(ステップS4)。
【0055】
スキャナー部15及び/又はプリンター部16の補正が必要と判定された場合には(ステップS5;YES)、制御部21は、表示部22に補正画面を表示させる(ステップS6)。
【0056】
図8に、表示部22に表示されるデバイスプロファイル補正画面223の例を示す。デバイスプロファイル補正画面223は、プリンター部16に対応するデバイスプロファイルを補正する必要があると判定された場合に表示される。デバイスプロファイル補正画面223には、操作案内領域223A、トレイ選択領域223B、チャート印刷ボタンB11等が含まれる。
操作案内領域223Aには、チャート印刷(プリンター補正)についての操作案内が表示される。
トレイ選択領域223Bには、複合機10が備える給紙トレイの情報が表示される。ユーザーは、トレイ選択領域223Bに表示されるトレイの中から、ジョブの出力時に使用する用紙に対応するトレイを選択する。
チャート印刷ボタンB11は、複合機10のプリンター部16に対して、チャートの印刷を指示するためのボタンである。チャートには、複数の色のパッチが含まれる。
【0057】
ユーザーがチャート印刷ボタンB11を押下すると、プリンター部16により、トレイ選択領域223Bで選択されたトレイの用紙にチャートが印刷され、測色部17(インライン測色器)により、チャートが測色されることで、デバイスプロファイルの補正(再作成)が行われる。
【0058】
図9に、表示部22に表示されるスキャナープロファイル補正画面224の例を示す。スキャナープロファイル補正画面224は、スキャナー部15に対応するスキャナープロファイルを補正する必要があると判定された場合に表示される。スキャナープロファイル補正画面224には、操作案内領域224A、スキャンボタンB21等が含まれる。
操作案内領域224Aには、チャートのスキャン(スキャナー補正)についての操作案内が表示される。
スキャンボタンB21は、複合機10のスキャナー部15に対して、チャートのスキャンの実行を指示するためのボタンである。
【0059】
ユーザーがスキャナー部15にチャートを置いて、スキャンボタンB21を押下すると、スキャナー部15により、チャートがスキャンされる。
デバイスプロファイルの補正が必要と判定され、デバイスプロファイル補正画面223が表示され、デバイスプロファイルが補正された場合には、デバイスプロファイルの補正時に印刷されたチャートをスキャナー部15で読み取ることで、スキャナープロファイルの補正が行われる。
デバイスプロファイルの補正が不要と判定された場合には、予め色彩値が分かっている複数のパッチを含むチャートをスキャナー部15で読み取ることで、スキャナープロファイルの補正が行われる。
【0060】
ステップS6の後、制御部21は、補正が必要と判定されたスキャナー部15及び/又はプリンター部16に対応するプロファイルの補正を実行する(ステップS7)。
制御部21は、スキャナー部15の補正が必要な場合には、スキャナー部15に対応するスキャナープロファイルの補正を実行する。具体的には、制御部21は、複合機10のスキャナー部15にチャートをスキャンさせ、通信部24を介して、スキャナー部15(複合機10)からチャートの読取画像データ(RGB値)を取得する。そして、制御部21は、スキャナー部15による各パッチの読取値(RGB値)と、各パッチの色彩値(L値)と、に基づいて、スキャナープロファイルを補正する。
【0061】
制御部21は、プリンター部16の補正が必要な場合には、プリンター部16に対応するデバイスプロファイルの補正を実行する。具体的には、制御部21は、複合機10のプリンター部16にチャートを印刷させ、複合機10の測色部17に、プリンター部16で印刷されたチャートを測色させ、通信部24を介して、複合機10からチャートの測色結果(L値)を取得する。そして、制御部21は、印刷されたチャートの各パッチに対応する印刷画像データ(CMYK値)と、チャートの測色結果(L値)と、に基づいて、デバイスプロファイルを補正する。
【0062】
ステップS7の後、又は、ステップS5において、スキャナー部15の補正も、プリンター部16の補正も不要と判定された場合には(ステップS5;NO)、制御部21は、表示部22に調整画面(色変換パラメーター生成画面)を表示させる(ステップS8)。
【0063】
図10に、表示部22に表示される調整画面225の例を示す。調整画面225には、操作案内領域225A、調整ボタンB31、詳細設定ボタンB32、確認印刷ボタンB33、完了ボタンB34等が含まれる。
操作案内領域225Aには、調整(色合わせ)についての操作案内が表示される。
調整ボタンB31は、調整の実施(デバイスリンクプロファイルの生成)を指示するためのボタンである。
詳細設定ボタンB32は、調整に関する詳細設定を行うためのボタンである。
確認印刷ボタンB33は、生成されたデバイスリンクプロファイルを用いた確認印刷を指示するためのボタンである。確認印刷により、デバイスリンクプロファイル(色変換パラメーター)の修正を反映する前に、デバイスリンクプロファイルを設定して印刷を行い、期待の色調整が行えているかを確認することができる。
完了ボタンB34は、生成されたデバイスリンクプロファイルを、選択した印刷ジョブに適用することを指示するためのボタンである。
【0064】
ユーザーが調整ボタンB31を押下すると、制御部21は、スキャナー部15に対応するスキャナープロファイルと、プリンター部16に対応するデバイスプロファイルと、原稿画像データと、色見本の読取画像データと、に基づいて、原稿画像データに対する色変換に係る色変換パラメーター(デバイスリンクプロファイル)を生成する(ステップS9)。デバイスリンクプロファイルの修正方法については、図4を参照して説明したとおりである。制御部21は、生成した色変換パラメーターを記憶部25に記憶させる。
【0065】
その後、ユーザーが完了ボタンB34を押下すると、制御部21は、ステップS1で選択した印刷ジョブに、ステップS9で生成した色変換パラメーター(デバイスリンクプロファイル)を適用する。具体的には、制御部21は、色変換パラメーターを印刷ジョブのジョブ設定に設定することで、色変換パラメーターを印刷ジョブに自動的に関連付ける。
より詳細には、制御部21は、通信部24を介して、修正されたデバイスリンクプロファイル(色変換パラメーター)を印刷ジョブと関連付けて複合機10に送信する。複合機10では、記憶部18において、新たな色変換パラメーターが関連付けられた状態で、印刷ジョブのジョブ設定(色変換設定)が更新される。
以上で、第1の色調整処理が終了する。
【0066】
このように、PC20の制御部21は、必要に応じてスキャナープロファイル及び/又はデバイスプロファイルを補正した上で、デバイスリンクプロファイルを生成する。
【0067】
また、制御部21は、通信部24を介して、補正後のスキャナープロファイル及び/又はデバイスプロファイル、修正後のターゲットプロファイル及びデバイスリンクプロファイルを複合機10に送信する。複合機10において、制御部11は、PC20から送信された各種プロファイルを記憶部18に記憶させる。
【0068】
複合機10で印刷ジョブに係る印刷が行われる際、制御部11により、当該印刷ジョブに関連付けられているデバイスリンクプロファイルを用いて原稿画像データ(CMYK値)から印刷画像データ(CMYK値)に色変換される。そして、プリンター部16により、印刷画像データ(CMYK値)に基づいて印刷が行われることで、色見本を目標とした色が実現される。
【0069】
ここで、PC20の表示部22における画面遷移について説明する。
スキャナー部15に対応するスキャナープロファイルも、プリンター部16に対応するデバイスプロファイルも補正が必要ない場合には、ジョブリスト画面221(図6参照)→色見本スキャン画面222(図7参照)→調整画面225(図10参照)の順に遷移する。つまり、スキャナー部15及びプリンター部16の補正が不要と判定された場合は、表示部22において補正操作のための画面(デバイスプロファイル補正画面223、スキャナープロファイル補正画面224)に遷移せずに、所定の画面(調整画面225)に遷移する。
【0070】
スキャナー部15に対応するスキャナープロファイルのみ補正が必要な場合には、ジョブリスト画面221(図6参照)→色見本スキャン画面222(図7参照)→スキャナープロファイル補正画面224(図9参照)→調整画面225(図10参照)の順に遷移する。つまり、スキャナー部15の補正が必要と判定された場合は、表示部22において補正操作のための画面(スキャナープロファイル補正画面224)に遷移し、スキャナー部15の補正後に所定の画面(調整画面225)に遷移する。
【0071】
プリンター部16に対応するデバイスプロファイルのみ補正が必要な場合には、ジョブリスト画面221(図6参照)→色見本スキャン画面222(図7参照)→デバイスプロファイル補正画面223(図8参照)→調整画面225(図10参照)の順に遷移する。つまり、プリンター部16の補正が必要と判定された場合は、表示部22において補正操作のための画面(デバイスプロファイル補正画面223)に遷移し、プリンター部16の補正後に所定の画面(調整画面225)に遷移する。
【0072】
スキャナー部15に対応するスキャナープロファイルもプリンター部16に対応するデバイスプロファイルも補正が必要な場合には、ジョブリスト画面221(図6参照)→色見本スキャン画面222(図7参照)→デバイスプロファイル補正画面223(図8参照)→スキャナープロファイル補正画面224(図9参照)→調整画面225(図10参照)の順に遷移する。つまり、スキャナー部15及びプリンター部16の補正が必要と判定された場合は、表示部22において補正操作のための画面(デバイスプロファイル補正画面223、スキャナープロファイル補正画面224)に遷移し、プリンター部16及びスキャナー部15の補正後に所定の画面(調整画面225)に遷移する。
【0073】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、色見本(目標出力物)を読み取って得られた読取画像データと、色見本に対応する原稿画像データの色の対応関係から色変換パラメーター(ICCプロファイル)を生成する印刷システム100において、色見本の読取画像データに基づいて、スキャナー部15(スキャナー)及び/又はプリンター部16(印刷装置)の補正が必要か否かを判定し、補正が必要と判定された場合は、スキャナー部15及び/又はプリンター部16を補正した上で、色変換パラメーター(デバイスリンクプロファイル)を生成することができる。したがって、色調整における色精度向上に伴う作業時間の短縮化及び効率化を図ることができる。
【0074】
また、スキャナー部15、プリンター部16のそれぞれについて、補正が必要か否かの判定結果に基づいて、操作画面の表示を切り替えるので、ユーザーは、表示された操作画面に従って、補正を実行することができる。補正が必要な場合にのみ、補正画面を表示させることで、無駄な補正を行うことなく、効率的に補正を行うことができ、作業時間を短縮させることができる。
また、スキャナー部15(スキャナー)の補正及びプリンター部16(印刷装置)の補正を一連の操作で行うことができ、色調整において、簡単に色精度を向上させることができる。
【0075】
具体的には、PC20の表示部22に表示されるジョブリスト画面221(図6参照)において、印刷ジョブの選択を受け付け、色見本スキャン画面222(図7参照)において、選択された印刷ジョブに係る色見本のスキャン及び読取画像データの読み込みを実行するための操作指示を受け付けることができる。また、プリンター部16に対応するデバイスプロファイルを補正する必要があると判定された場合は、デバイスプロファイル補正画面223(図8参照)において、チャートを印刷し、デバイスプロファイルを補正するための操作指示を受け付けることができる。また、スキャナー部15に対応するスキャナープロファイルを補正する必要があると判定された場合は、スキャナープロファイル補正画面224(図9参照)において、チャートをスキャンし、スキャナープロファイルを補正するための操作指示を受け付けることができる。また、調整画面225(図10参照)において、色変換パラメーター(デバイスリンクプロファイル)の生成を実行するための操作指示を受け付けることができる。ユーザーは、PC20により提供されるユーザーインターフェースの一連の流れに沿って操作を進めることで、必要に応じてスキャナー部15及び/又はプリンター部16の補正を行いつつ、色変換パラメーターを生成することができる。
【0076】
[第2の実施の形態]
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態における印刷システムは、第1の実施の形態に示した印刷システム100と同様の構成であるため、図1図3を援用し、その構成については図示及び説明を省略する。以下、第2の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0077】
第2の実施の形態では、スキャナープロファイルの補正の必要性判定、及び、デバイスプロファイルの補正の必要性判定の方法について、より詳細に説明する。
【0078】
スキャナープロファイルの補正の必要性は、原稿画像データの紙白部分に対応する領域の色見本の読取画像データの読取値から得られた色彩値(L値)で判定する。紙白部分とは、用紙上にトナーやインク等の色材が載らず、用紙そのものの色となる部分である。
【0079】
PC20の制御部21は、原稿画像データから所定の色に対応する領域を抽出する。ここでは、所定の色として、原稿画像データの紙白部分に対応する色(白色)を用いる。紙白部分に対応する色とは、例えば、C=0、M=0、Y=0、K=0で表される色である。
【0080】
制御部21は、原稿画像データから抽出した領域(紙白部分)に対応する領域の読取画像データの読取値(スキャナープロファイル適用前のRGB値)を取得する。
制御部21は、当該取得した読取値と、スキャナー部15(スキャナー)に対応するスキャナープロファイルと、に基づいて、スキャナー部15(スキャナープロファイル)の補正が必要か否かを判定する。具体的には、制御部21は、紙白部分に対応する領域の読取画像データの読取値(RGB値)を、既存(現状)のスキャナープロファイルを用いて色彩値(L値)に変換し、この変換後のデータ(L値)が、予め白色と定めた所定範囲内に収まるか否かを判定する。
【0081】
例えば、制御部21は、紙白部分に対応する領域の読取画像データから得られたL値について、L値が下記式(1)を満たし、かつ、a値及びb値が下記式(2)を満たす場合に、スキャナー部15(スキャナープロファイル)の補正は不要と判定する。
一方、制御部21は、紙白部分に対応する領域の読取画像データから得られたL値について、L値が下記式(1)を満たさない場合、又は、a値及びb値が下記式(2)を満たさない場合に、スキャナー部15(スキャナープロファイル)の補正は必要と判定する。
【0082】
【数1】
【数2】
【0083】
デバイスプロファイルの補正(再作成)の必要性は、デバイスプロファイルの紙白(例えば、C=0、M=0、Y=0、K=0)に対応する色彩値(L値)と、原稿画像データの紙白部分に対応する領域の色見本の読取画像データの読取値から得られた色彩値(L値)の差分により判定する。
【0084】
PC20の制御部21は、原稿画像データから所定の色に対応する領域を抽出する。ここでも、所定の色として、原稿画像データの紙白部分に対応する色(白色)を用いる。
【0085】
制御部21は、原稿画像データから抽出した領域(紙白部分)に対応する領域の読取画像データの読取値(スキャナープロファイル適用前のRGB値)を取得する。
制御部21は、当該取得した読取値と、スキャナー部15(スキャナー)に対応するスキャナープロファイルと、プリンター部16(印刷装置)に対応するデバイスプロファイルと、に基づいて、プリンター部16(デバイスプロファイル)の補正が必要か否かを判定する。具体的には、制御部21は、紙白部分に対応する領域の読取画像データの読取値(RGB値)を、既存のスキャナープロファイルを用いて色彩値(L値)に変換し、この変換後のデータ(L値)と、デバイスプロファイルにおける紙白に対応する色彩値(L値)と、の差分が所定範囲内に収まるか否かを判定する。
【0086】
例えば、制御部21は、紙白部分に対応する領域の読取画像データから得られた色彩値を(L ,a ,b )、デバイスプロファイルにおける紙白に対応する色彩値を(L ,a ,b )として、下記式(3)で定義される色差ΔEabが下記式(4)を満たす場合に、プリンター部16(デバイスプロファイル)の補正は不要と判定する。
一方、制御部21は、下記式(3)で定義される色差ΔEabが下記式(4)を満たさない場合に、プリンター部16(デバイスプロファイル)の補正は必要と判定する。
【0087】
【数3】
【数4】
【0088】
上記の方法では、原稿画像データに紙白部分があることが前提条件となるため、制御部21は、原稿画像データに所定の色(紙白部分)がない場合に、スキャナー部15(スキャナー)及びプリンター部16(印刷装置)の補正が必要と判定する。
【0089】
次に、第2の実施の形態のPC20における動作について説明する。
図11及び図12は、PC20により実行される第2の色調整処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部21のCPU211と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0090】
ステップS11~ステップS13の処理は、第1の色調整処理(図5参照)のステップS1~ステップS3の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0091】
ステップS13の後、制御部21は、原稿画像データに紙白部分があるか否かを判断する(ステップS14)。
【0092】
原稿画像データに紙白部分がある場合には(ステップS14;YES)、制御部21は、原稿画像データから抽出した紙白領域に対応する領域の色見本の読取画像データの読取値(RGB値)と、既存のスキャナープロファイルから、色彩値(L値)を取得する(ステップS15)。スキャナープロファイルは、複合機10の記憶部18から取得するか、予め記憶部25に記憶されているものを使用する。
【0093】
ここで、制御部21は、色見本の読取画像データから得られた紙白領域の色彩値(L値)が所定範囲内であるか否かを判断する(ステップS16)。具体的には、制御部21は、色見本の読取画像データから得られた紙白領域の色彩値が、上記式(1)及び(2)を満たすか否かを判断する。
【0094】
色見本の読取画像データから得られた紙白領域の色彩値が所定範囲内である場合には(ステップS16;YES)、制御部21は、スキャナー部15の補正が不要と判定する。
次に、制御部21は、デバイスプロファイル内の紙白の色彩値(L値)を取得する(ステップS17)。デバイスプロファイルは、複合機10の記憶部18から取得するか、予め記憶部25に記憶されているものを使用する。
【0095】
次に、制御部21は、色見本の読取画像データから得られた紙白領域の色彩値(L値)と、デバイスプロファイル内の紙白の色彩値(L値)と、の差分が閾値未満であるか否かを判断する(ステップS18)。具体的には、制御部21は、上記式(3)で定義される色差ΔEabが上記式(4)を満たすか否かを判断する。
【0096】
色見本の読取画像データから得られた紙白領域の色彩値と、デバイスプロファイル内の紙白の色彩値と、の差分が閾値未満である場合には(ステップS18;YES)、制御部21は、プリンター部16の補正が不要と判定する。
【0097】
ステップS18において、色見本の読取画像データから得られた紙白領域の色彩値と、デバイスプロファイル内の紙白の色彩値と、の差分が閾値未満でない場合には(ステップS18;NO)、制御部21は、プリンター部16の補正が必要と判定する。
制御部21は、表示部22にデバイスプロファイル補正画面223(図8参照)を表示させる(ステップS19)。
【0098】
ユーザーが、操作部23からの操作により、デバイスプロファイル補正画面223のチャート印刷ボタンB11を押下すると、制御部21は、複合機10のプリンター部16にチャートを印刷させる(ステップS20)。
次に、制御部21は、複合機10の測色部17に、プリンター部16で印刷されたチャートを測色させる(ステップS21)。制御部21は、通信部24を介して、複合機10からチャートの測色結果(L値)を取得する。
【0099】
次に、制御部21は、印刷されたチャートの各パッチに対応する印刷画像データ(CMYK値)と、チャートの測色結果(L値)と、に基づいて、デバイスプロファイルを補正する(ステップS22)。制御部21は、補正したデバイスプロファイルを記憶部25に記憶させる。
【0100】
ステップS16において、色見本の読取画像データから得られた紙白領域の色彩値が所定範囲内でない場合には(ステップS16;NO)、制御部21は、スキャナー部15の補正が必要と判定する。
次に、制御部21は、デバイスプロファイル内の紙白の色彩値(L値)を取得する(ステップS23)。
【0101】
次に、図12に移り、制御部21は、色見本の読取画像データから得られた紙白領域の色彩値(L値)と、デバイスプロファイル内の紙白の色彩値(L値)と、の差分が閾値未満であるか否かを判断する(ステップS24)。具体的には、制御部21は、上記式(3)で定義される色差ΔEabが上記式(4)を満たすか否かを判断する。
【0102】
色見本の読取画像データから得られた紙白領域の色彩値と、デバイスプロファイル内の紙白の色彩値と、の差分が閾値未満である場合には(ステップS24;YES)、制御部21は、プリンター部16の補正が不要と判定する。
制御部21は、表示部22にスキャナープロファイル補正画面224(図9参照)を表示させる(ステップS25)。
【0103】
ユーザーが、複合機10のスキャナー部15に既存のチャート(各パッチの色彩値が分かっているチャート)を置いて、操作部23からの操作により、スキャナープロファイル補正画面224のスキャンボタンB21を押下すると、制御部21は、複合機10のスキャナー部15に既存のチャートをスキャンさせる(ステップS26)。制御部21は、通信部24を介して、複合機10からチャートの読取画像データ(RGB値)を取得する。
【0104】
次に、制御部21は、スキャナー部15による各パッチの読取値(RGB値)と、各パッチの色彩値(L値)と、に基づいて、スキャナープロファイルを補正する(ステップS27)。制御部21は、補正したスキャナープロファイルを記憶部25に記憶させる。
【0105】
ステップS14において、原稿画像データに紙白部分がない場合には(ステップS14;NO)、制御部21は、スキャナー部15及びプリンター部16の補正が必要と判定し、ステップS28に移行する。
【0106】
ステップS24において、色見本の読取画像データから得られた紙白部分の色彩値と、デバイスプロファイル内の紙白の色彩値と、の差分が閾値未満でない場合には(ステップS24;NO)、制御部21は、プリンター部16の補正が必要と判定し、ステップS28に移行する。
【0107】
ステップS28では、制御部21は、表示部22にデバイスプロファイル補正画面223(図8参照)を表示させる(ステップS28)。
ユーザーが、操作部23からの操作により、デバイスプロファイル補正画面223のチャート印刷ボタンB11を押下すると、制御部21は、複合機10のプリンター部16にチャートを印刷させる(ステップS29)。
次に、制御部21は、複合機10の測色部17に、プリンター部16で印刷されたチャートを測色させる(ステップS30)。制御部21は、通信部24を介して、複合機10からチャートの測色結果(L値)を取得する。
【0108】
次に、制御部21は、印刷されたチャートの各パッチに対応する印刷画像データ(CMYK値)と、チャートの測色結果(L値)と、に基づいて、デバイスプロファイルを補正する(ステップS31)。制御部21は、補正したデバイスプロファイルを記憶部25に記憶させる。
【0109】
次に、制御部21は、表示部22にスキャナープロファイル補正画面224(図9参照)を表示させる(ステップS32)。
ユーザーが、複合機10のスキャナー部15に、ステップS29で印刷されたチャートを置いて、操作部23からの操作により、スキャナープロファイル補正画面224のスキャンボタンB21を押下すると、制御部21は、複合機10のスキャナー部15にチャートをスキャンさせる(ステップS33)。制御部21は、通信部24を介して、複合機10からチャートの読取画像データ(RGB値)を取得する。
【0110】
次に、制御部21は、スキャナー部15による各パッチの読取値(RGB値)と、ステップS30で測色された各パッチの色彩値(L値)と、に基づいて、スキャナープロファイルを補正する(ステップS34)。制御部21は、補正したスキャナープロファイルを記憶部25に記憶させる。
【0111】
ステップS18において、色見本の読取画像データから得られた紙白領域の色彩値と、デバイスプロファイル内の紙白の色彩値と、の差分が閾値未満である場合(ステップS18;YES)、ステップS22の後、ステップS27の後、又は、ステップS34の後、制御部21は、表示部22に調整画面225(図10参照)を表示させる(ステップS35)。
【0112】
調整画面225において、ユーザーが調整ボタンB31を押下すると、制御部21は、スキャナープロファイルを用いて、色見本の読取画像データの読取値(RGB値)から色彩値(L値)を取得する(ステップS36)。
【0113】
次に、制御部21は、原稿画像データ(CMYK値)と、色見本の読取画像データから得られた色彩値(L値)と、に基づいて、ターゲットプロファイルを修正する(ステップS37)。
【0114】
次に、制御部21は、ターゲットプロファイルと、デバイスプロファイルと、に基づいて、デバイスリンクプロファイルを生成する(ステップS38)。制御部21は、生成したデバイスリンクプロファイルを記憶部25に記憶させる。
また、制御部21は、ステップS11で選択した印刷ジョブに、ステップS38で生成したデバイスリンクプロファイルを適用する。複合機10の記憶部18では、新たなデバイスリンクプロファイルが関連付けられた状態で、印刷ジョブのジョブ設定(色変換設定)が更新される。
以上で、第2の色調整処理が終了する。
【0115】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、必要に応じて、スキャナープロファイル及び/又はデバイスプロファイルを補正した上で、色変換パラメーター(デバイスリンクプロファイル)を生成するので、色調整における色精度向上に伴う作業時間の短縮化及び効率化を図ることができる。
【0116】
具体的には、紙白部分に対応する色を利用して、スキャナー部15(スキャナープロファイル)、プリンター部16(デバイスプロファイル)の補正が必要か否かを判定することができる。
【0117】
[第3の実施の形態]
次に、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態における印刷システムは、第1の実施の形態に示した印刷システム100と同様の構成であるため、図1図3を援用し、その構成については図示及び説明を省略する。以下、第3の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0118】
第3の実施の形態では、スキャナープロファイルの補正が必要と判定された場合に、自動でデバイスプロファイルの補正も必要と判定する。
【0119】
測色部17(インライン測色器)でチャートを測色した色彩値(L値)と、同じチャートをスキャナー部15で読み取ることで取得した読取値(RGB値)の組み合わせに基づいて、スキャナープロファイルの補正を行うことが可能であるため、スキャナープロファイルの補正が必要と判定された場合に、スキャナープロファイルの補正に加え、デバイスプロファイルの補正も行う手順とすることで、プリンター部16による色再現の精度を向上させることができる。
【0120】
次に、第3の実施の形態のPC20における動作について説明する。
図13及び図14は、PC20により実行される第3の色調整処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部21のCPU211と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0121】
ステップS41~ステップS52の処理は、第2の色調整処理(図11及び図12参照)のステップS11~ステップS22の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0122】
ステップS44において、原稿画像データに紙白部分がない場合(ステップS44;NO)、又は、ステップS46において、色見本の読取画像データから得られた紙白領域の色彩値(L値)が所定範囲内でない場合には(ステップS46;NO)、ステップS53に移行する。
【0123】
ステップS53~ステップS59の処理は、第2の色調整処理(図11及び図12参照)のステップS28~ステップS34の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0124】
ステップS48において、色見本の読取画像データから得られた紙白領域の色彩値(L値)と、デバイスプロファイル内の紙白の色彩値(L値)と、の差分が閾値未満である場合(ステップS48;YES)、ステップS52の後、又は、ステップS59の後、ステップS60に移行する。
【0125】
ステップS60~ステップS63の処理は、第2の色調整処理(図11及び図12参照)のステップS35~ステップS38の処理と同様であるため、説明を省略する。
以上で、第3の色調整処理が終了する。
【0126】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、必要に応じて、スキャナープロファイル及び/又はデバイスプロファイルを補正した上で、色変換パラメーター(デバイスリンクプロファイル)を生成するので、色調整における色精度向上に伴う作業時間の短縮化及び効率化を図ることができる。
【0127】
また、スキャナープロファイルの補正が必要と判定された場合に、デバイスプロファイルの補正も行うことで、プリンター部16による色再現の精度を向上させることができる。また、デバイスプロファイルの補正に用いるチャートを、スキャナープロファイルの補正にも利用できるため、スキャナープロファイルの補正のみに用いる専用のチャートが不要となる。
【0128】
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る制御装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
例えば、各実施の形態における特徴的な処理を組み合わせることとしてもよい。
【0129】
上記各実施の形態では、印刷システムにおいて、スキャナー部15(スキャナー)、プリンター部16(印刷装置)、測色部17(測色器)を備える複合機10と、PC20(制御装置)と、が通信ネットワークNを介して接続されている場合について説明したが、スキャナー、印刷装置、測色器、制御装置が物理的に又は通信ネットワークを介して接続されていてもよい。また、本発明を実施するための各機能は、複数の装置に分かれていてもよいし、一つの装置内に搭載されていてもよい。例えば、色変換パラメーターを生成する機能や、スキャナー部15及び/又はプリンター部16を補正する機能が複合機10(印刷装置)内にあってもよい。また、各種操作画面が表示される表示部や、ユーザーの操作を受け付ける操作部として、複合機10の表示部12、操作部13を用いることとしてもよい。
【0130】
また、原稿画像データの表色系(CMYK)、読取画像データの表色系(RGB)、色彩値の表色系(L)、複合機10のプリンター部16において印刷時に用いられる画像データの表色系(CMYK)等については、上記の例に限定されない。
【0131】
各処理を実行するためのプログラムを格納するコンピューター読み取り可能な媒体としては、上記の例に限定されず、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0132】
10 複合機
11 制御部
14 通信部
15 スキャナー部
16 プリンター部
17 測色部
18 記憶部
20 PC
21 制御部
22 表示部
23 操作部
24 通信部
25 記憶部
100 印刷システム
221 ジョブリスト画面
222 色見本スキャン画面
223 デバイスプロファイル補正画面
224 スキャナープロファイル補正画面
225 調整画面
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14