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特許7497626熱転写用インクリボン巻体の真偽判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】熱転写用インクリボン巻体の真偽判定方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 17/24 20060101AFI20240604BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20240604BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240604BHJP
   B41J 31/00 20060101ALI20240604BHJP
   B65H 75/18 20060101ALI20240604BHJP
   B65H 75/14 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B41J17/24
B41J2/325 A
B41J29/38 204
B41J31/00 C
B65H75/18 A
B65H75/14
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020113986
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012272
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】中原 慎介
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-010929(JP,A)
【文献】国際公開第2011/037163(WO,A1)
【文献】特開2005-271547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 17/24
B41J 2/325
B41J 29/38
B41J 31/00
B65H 75/18
B65H 75/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱転写プリンタ装置を用いた熱転写インクリボン巻体の真偽判定方法であって、
前記熱転写インクリボン巻体は、基材の上にインク層を有する熱転写インクリボンと、前記熱転写インクリボンを巻くコアと、前記コアに付される前記熱転写インクリボンの識別情報と、を有し、前記熱転写インクリボンは、熱転写インクリボンの識別情報に対応した、高濃度と低濃度からなるインク層濃度プロファイルを有するものであり、
前記熱転写プリンタ装置は、取り付けられた熱転写インクリボンに熱を印加することにより、中間転写フィルムに前記熱転写インクリボンのインク層を転写する、サーマルヘッド素子を有するサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドに接する前記熱転写インクリボンと前記中間転写フィルムとを一緒に、送り方向に搬送する搬送系と、前記サーマルヘッド素子の発熱と、送り方向に前記熱転写インクリボンと前記中間転写フィルムとを搬送する搬送系を制御し、前記中間転写フィルムに記録画像を形成する制御部と、前記中間転写フィルムに形成された前記記録画像を印画対象物に熱圧転写する印画画像形成部と、を有し、前記制御部は、前記記録画像形成時に、前記サーマルヘッド素子における所望記録画像の画素位置が、接触する前記熱転写インクリボンのインク層濃度プロファイルにおける低濃度の部分位置にある場合は、その前記サーマルヘッド素子に高温度の熱印加を行ない、前記サーマルヘッド素子における所望記録画像の画素位置が、接触する前記熱転写インクリボンのインク層濃度プロファイルにおける高濃度の部分位置にある場合は、その前記サーマルヘッド素子に低温度の熱印加を行なってサーマルヘッド素子発熱パターンを形成し、送り方向に前記熱転写インクリボンと前記中間転写フィルムを搬送することを行うものであり、
前記真偽判定方法は、
印画対象物の一区画に均一濃度画像の真偽判定用印画画像の印画を目標とし、前記サーマルヘッド素子における記録画像の画素位置が、接触する前記熱転写インクリボンのインク層濃度プロファイルにおける低濃度の部分位置にある場合は、その前記サーマルヘッド素子に高温度の熱印加を、前記サーマルヘッド素子における記録画像の画素位置が、接触する前記熱転写インクリボンのインク層濃度プロファイルにおける高濃度の部分位置にある場合は、その前記サーマルヘッド素子に低温度の熱印加をおこなってサーマルヘッド素子発熱パターンを形成し、送り方向に前記熱転写インクリボンと前記中間転写フィルムを搬送し、前記中間転写フィルムに記録画像を形成する真偽判定用記録画像形成工程と、
前記中間転写フィルムに形成された前記真偽判定用記録画像を印画対象物に熱圧転写し真偽判定用印画画像を形成する真偽判定用印画画像形成工程と、
前記真偽判定用印画画像が一様の濃度画像であるかないか目視もしくは画像解析装置に
よって判断し、熱転写インクリボンが正規品であるかないか真偽判定を行なう真偽判定工程と、
を備える、
熱転写インクリボン巻体の真偽判定方法。
【請求項2】
前記制御部が、前記熱転写用インクリボン巻体の前記コアに付されている前記熱転写インクリボンの識別情報のデータが正規品の規定値であるかチェックする工程をさらに備える、
請求項1に記載の熱転写インクリボン巻体の真偽判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接熱転写方式のプリンタに用いられる熱転写用インクリボン巻体及びそれを用いる熱転写プリンタ及び熱転写用インクリボン真偽判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱転写記録方式プリンタが、IDカードの表面に印刷すること等に用いられている。このプリンタの熱転写機録方式には、熱転写インクリボンから直接印画対象に画像を熱転写記録する直接熱転写方式と、熱転写インクリボンから一旦中間転写フィルム上に画像を熱転写記録し、次いでヒートローラ等の加熱加圧手段で印画対象上に画像を再転写する間接熱転写方式のものがある。
【0003】
印刷用途の多岐化によって、熱転写記録方式プリンタで使用する熱転写インクリボンも種類が増え、印刷準備で熱転写記録方式プリンタに熱転写インクリボンをセットするときに、プリンタに熱転写インクリボンの種類の情報を与え、プリンタはその種類情報によって、最適制御をする必要がある。しかしながら、熱転写インクリボンの偽造、模造品をつかまされた場合、熱転写インクリボン品質が整合しておらず、その熱転写インクリボンの使用は品質の悪い印刷を招いてしまう。
【0004】
そこで、使用する熱転写インクリボンが正規のものであるかそうでないか真偽判定を行ないたい。
【0005】
特許文献1では、熱転写インクリボン製造時に、インクリボンの情報と暗号鍵データを暗号鍵データで暗号化し、熱転写インクリボンに不可された磁気インキに記録され、印刷する前の時に、磁気インクに記録された情報を復号化できるか正常に復号化できないか(すなわち、記録時の暗号鍵データと、同じ暗号鍵データで復号しているかいないか)、によって、正規のインクリボンか、そうでないかを判断している。しかし熱転写インクリボンのインク層に磁気インクを付加し、また磁気インクへの記録、再生装置、ならびに、暗号化、復号化装置も設けなければならず、コストが高くなり問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5816588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
熱転写インクリボンが正規のものであるかそうでないか真偽判定を行なうための間接熱転写方式の熱転写プリンタ装置および熱転写インクリボン真偽判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る熱転写インクリボン巻体は、基材の上にインク層を有する熱転写インクリボンと、前記熱転写インクリボンを巻くコアと、前記コアに付される前記熱転写インクリボンの識別情報と、を有し、前記熱転写インクリボンは、熱転写インクリボンの識別情報に対応した、高濃度と低濃度からなるインク層濃度プロファイルを有する。
【0009】
本発明に係る熱転写プリンタ装置は、取り付けられた前記熱転写インクリボンに熱を印加することにより、中間転写フィルムに前記熱転写インクリボンのインク層を転写する、サーマルヘッド素子を有するサーマルヘッドと、前記サーマルヘッド下に接する前記熱転写インクリボンと前記中間転写フィルムとを一緒に、送り方向に搬送する搬送系と、前記サーマルヘッド素子の発熱と、送り方向に前記熱転写インクリボンと前記中間転写フィルムとを搬送する搬送系を制御し、前記中間転写フィルムに記録画像を形成する制御部と、前記中間転写フィルムに形成された前記記録画像を印画対象物に熱圧転写する印画画像形成部と、を有し、前記制御部は、前記記録画像形成時に、前記サーマルヘッド素子における所望記録画像の画素位置が、接触する前記熱転写インクリボンのインク層濃度プロファイルにおける低濃度の部分位置にある場合は、その前記サーマルヘッド素子に高温度の熱印加を行ない、前記サーマルヘッド素子における所望記録画像の画素位置が、接触する前記熱転写インクリボンのインク層濃度プロファイルにおける高濃度の部分位置にある場合は、その前記サーマルヘッド素子に低温度の熱印加を行なってサーマルヘッド素子発熱パターンを形成し、送り方向に前記熱転写インクリボンと前記中間転写フィルムを搬送することを行うものである。
【0010】
本発明の請求項1に係る発明は、上記熱転写プリンタ装置を用いた上記熱転写インクリボン巻体の真偽判定方法である。
この真偽判定方法は、印画対象物の一区画に均一濃度画像の真偽判定用印画画像の印画を目標とし、前記サーマルヘッド素子における記録画像の画素位置が、接触する前記熱転写インクリボンのインク層濃度プロファイルにおける低濃度の部分位置にある場合は、その前記サーマルヘッド素子に高温度の熱印加を、前記サーマルヘッド素子における記録画像の画素位置が、接触する前記熱転写インクリボンのインク層濃度プロファイルにおける高濃度の部分位置にある場合は、その前記サーマルヘッド素子に低温度の熱印加をおこなってサーマルヘッド素子発熱パターンを形成し、送り方向に前記熱転写インクリボンと前記中間転写フィルムを搬送し、前記中間転写フィルムに記録画像を形成する真偽判定用記録画像形成工程と、前記中間転写フィルムに形成された前記真偽判定用記録画像を印画対象物に熱圧転写し真偽判定用印画画像を形成する真偽判定用印画画像形成工程と、前記真偽判定用印画画像が一様の濃度画像であるかないか目視もしくは画像解析装置によって判断し、熱転写インクリボンが正規品であるかないか真偽判定を行なう真偽判定工程と、を備える。
【0011】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の熱転写インクリボンの真偽判定方法であって、前記制御部が、前記熱転写用インクリボン巻体の前記コアに付されている前記熱転写インクリボンの識別情報のデータが正規品の規定値であるかチェックする工程をさらに、有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
熱転写インクリボンが正規のものであるかそうでないか真偽判定を行なうための間接熱転写方式の熱転写プリンタ装置および熱転写インクリボン真偽判定方法を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る熱転写インクリボン巻体の構成例に対する、熱転写プリンタ装置の記録画像形成の時のサーマルヘッドの発熱パターンを模式的に説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係る熱転写プリンタの構成を模式的に説明する図である。
図3】本発明の実施形態に係る熱転写プリンタを用いた熱転写インクリボン真偽判定方法のフローチャートの一例である。
図4】本発明の実施形態に係る熱転写インクリボン真偽判定方法における真偽判定用印画画像形成工程の一例を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る熱転写インクリボン巻体と熱転写プリンター装置の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0015】
<熱転写インクリボン巻体>
図1に、本発明の実施形態に係る熱転写インクリボン巻体の熱転写インクリボンの幅方向におけるインキ層濃度プロファイル例とコアへの熱転写インクリボンの識別情報付加を模式的に示す。
【0016】
熱転写インクリボン巻体5は、基材の上にインク層を有する熱転写インクリボン1と、熱転写インクリボン1を巻くコア3と、コア3に付される熱転写インクリボン1の識別情報4と、を有し、熱転写インクリボン1は、熱転写インクリボン1の識別情報に対応した、高濃度と低濃度を交互にもつインク層濃度プロファイル2を、インクリボン幅方向に有する。
【0017】
識別情報4は、正規の熱転写インクリボン製造者と正規のプリンタ装置製造者にしかわらない数字や文字である。例えば数字の組み合わせが正規の熱転写インクリボン製造者と正規のプリンタ装置製造者で決められたルールで生成されており、例えば熱転写インクリボンの種別と製造年月日による情報が、例えば123456789となり、さらに、製造ロットの番号を付加する。例えばこの種の熱転写インクリボンが2ロットの製造をしたとして、2ロットの製造の内第1ロットの製品の識別情報は1234567891,第2ロットの製品の識別情報は1234567892と名付ける。識別情報の生成方法はこれに限らない。本発明記載において、識別情報4のデータが規定値であるというのは、正規の熱転写インクリボン製造者と正規のプリンタ装置製造者で決められたルールに従われたものであるということを示す。
【0018】
識別情報4のデータは、RFIDあるいはバーコードなどの記録となり、電磁気学的あるいは光学的手段などによって情報が読み取れるものである。
【0019】
図1(a)は熱転写インクリボンのインク層濃度プロファイル2aで、コア3に識別情報4aが付されるのを示す、図1(b)は熱転写インクリボンのインク層濃度プロファイル2bで、コア3に識別情報4bが付されるのを示す。
【0020】
<熱転写プリンタ装置>
図2は本発明の実施形態に係る間接熱転写方式の熱転写プリンタ装置の構成を模式的に説明する図である。
【0021】
熱転写プリンタ装置100は、熱転写インクリボン1とコア3からなる熱転写インクリボン巻体5と、熱転写インクリボン1に熱を印加することにより、中間転写フィルム20に熱転写インクリボン1のインク層を転写する、サーマルヘッド素子11を有するサーマルヘッド10と、サーマルヘッド10に接する熱転写インクリボン1と中間転写フィルムとを一緒に、送り方向Oに搬送する搬送系と、サーマルヘッド素子11の発熱と、送り方向Oに熱転写インクリボン1と中間転写フィルム20とを搬送する搬送系を制御し、中間転写フィルム20に記録画像を形成する制御部(不図示)と、中間転写フィルム20に形成された記録画像を印画対象物30に熱圧転写する印画画像形成部18と、を有する。
【0022】
プラテンロール15と、サーマルヘッド素子11を有するサーマルヘッド10の間に、
熱転写インクリボン1と中間転写フィルム20をともに挟み込むことによって、中間転写フィルム20に熱転写インクリボン1のインク層を転写することによって、中間転写フィルム20に記録画像が形成される。この記録画像が形成される部位を、記録画像形成部16と称することにする。
【0023】
印画画像形成部18において、中間転写フィルム20はヒートローラ17と印画対象物30の間に抱かれ、ヒートローラ17が熱をかけながら中間転写フィルム20を押圧することによって、中間転写フィルム20のインク層は印画対象物30に熱圧転写される。
【0024】
制御部は、記録画像形成部16における記録画像形成時に、サーマルヘッド素子11における所望記録画像の画素位置が、接触する熱転写インクリボン1のインク層濃度プロファイルにおける低濃度の部分位置にある場合は、そのサーマルヘッド素子11に高温度の熱印加を行ない、サーマルヘッド素子11における所望記録画像の画素位置が、接触する熱転写インクリボン1のインク層濃度プロファイルにおける高濃度の部分位置にある場合は、そのサーマルヘッド素子11に低温度の熱印加を行なってサーマルヘッド素子発熱パターンを形成し、送り方向Oに熱転写インクリボン1と中間転写フィルム20を搬送することを行なう。
【0025】
図1は、熱転写インクリボン1がコア3に巻かれた熱転写インクリボン巻体5から熱転写インクリボン1が巻き出され、熱転写インクリボン1のインキ層濃度プロファイルに応じて、中間転写フィルム20への記録画像形成時に、サーマルヘッド10のサーマルヘッド素子11の発熱パターンが決まるのを模式的に示したものである。
【0026】
図1(a)にインク層濃度プロファイル2a(例)の場合のサーマルヘッド素子部発熱パターン12a、図1(b)にインク層濃度プロファイル2b(例)の場合のサーマルヘッド素子部発熱パターン12bを示す。
【0027】
熱転写インクリボン1のインキ層濃度が高濃度のところに、サーマルヘッド素子11部の低温度の熱印加を、熱転写インクリボン1のインキ層濃度が低濃度のところに、サーマルヘッド素子11部の低温度の熱印加を行なうことによって、所望の印画画像が一様の濃度画像であった場合、中間熱転写フィルム20には、一様の濃度画像のインク層が転写される。
【0028】
そしてこの記録画像形成部16で形成された、中間熱転写フィルム20に転写されたインク層は、印画画像形成部18において、印画対象物30に熱圧転写される。記録画像形成部16で形成された、中間熱転写フィルムのインク層による画像が一様の濃度画像であれば、印画画像形成部18において、印画対象物30に転写されたインク層による画像も一様の濃度画像となる。
【0029】
このようにすることによって、熱転写インクリボン1の幅方向の濃度分布を表出することなしに、所望の印画画像を印刷することができる。
【0030】
<熱転写インクリボン真偽判定方法>
熱転写インクリボン1の真偽判定を行なう熱転写用インクリボン真偽判定方法は、熱転写プリンタ装置100を用いて、印画対象物30の一区画に均一濃度画像の真偽判定用印画画像の印画を目標とし、サーマルヘッド素子11における記録画像の画素位置が、接触する熱転写インクリボン1のインク層濃度プロファイルにおける低濃度の部分位置にある場合は、そのサーマルヘッド素子11に高温度の熱印加を、サーマルヘッド素子11における記録画像の画素位置が、接触する熱転写インクリボン1のインク層濃度プロファイルにおける高濃度の部分位置にある場合は、そのサーマルヘッド素子11に低温度の熱印加をおこなってサーマルヘッド素子11発熱パターンを形成し、送り方向Oに熱転写インク
リボン1と中間転写フィルム20を搬送し、中間転写フィルム20に記録画像を形成する真偽判定用記録画像形成工程と、中間転写フィルム20に形成された真偽判定用記録画像を印画対象物30に熱圧転写し真偽判定用印画画像31を形成する真偽判定用印画画像形成工程と、真偽判定用印画画像が一様の濃度画像であるかないか目視もしくは画像解析装置によって判断し、熱転写インクリボンが正規品であるかないか真偽判定を行なう真偽判定工程とを、有する。
【0031】
真偽判定用記録画像形成工程は、熱転写インクリボン巻体5のコア3に付されている識別情報4に応じて、サーマルヘッド素子11の発熱パターンが決まり、真偽判定用記録画像が形成される。
【0032】
また、熱転写用インクリボン真偽判定方法は、熱転写プリンタ装置100の制御部が、熱転写用インクリボン巻体5のコア3に付されている熱転写インクリボン1の識別情報4のデータが正規品の規定値であるかチェックする工程を含むとさらによい。
【0033】
図3は本発明の実施形態に係る熱転写プリンタを用いた熱転写インクリボン真偽判定のフローチャートの一例である。
【0034】
(S101)熱転写プリンタ装置100の制御部は、コア3に付されている熱転写インクリボン1の識別情報4を読み取り、コア3に付されている熱転写インクリボン1の識別情報のデータが正規品の規定値であるかチェックする。識別情報のデータは正規品の規定値ではない場合(S105)へ。識別情報のデータは正規品の規定値である場合(S102)へ。
【0035】
(S102)真偽判定用印画画像形成工程を行なう。
【0036】
(S103)目視もしくは画像解析装置によって、真偽判定用印画画像が一様の濃度画像であるかないか判定する。一様でないと判定した場合は(S106)へ。一様であると判定した場合は(S104)へ。
【0037】
(S105)正規品ではないと表示する。
【0038】
(S106)正規品ではないと表示する。
【0039】
(S104)正規品であると表示する。
【0040】
次に、本発明の熱転写インクリボン真偽判定方法の適用例を示す。
【0041】
図4は本発明の実施形態に係る熱転写インクリボン真偽判定方法における真偽判定用印画画像形成工程の一例を模式的に説明する図である。
【0042】
図4(a)は識別情報4aで、インク層濃度プロファイル2aの場合のサーマルヘッド素子部発熱パターン12aの真偽判定用印画画像形成後の印画対象物30上に真偽判定用画像31aが形成された場合であり、図4(b)は識別情報4aで、インク層濃度プロファイル2hの場合のサーマルヘッド素子部発熱パターン12aの真偽判定用印画画像形成後の印画対象物30上に真偽判定用画像31hが形成された場合である。
【0043】
図4(a)は正規品の熱転写インクリボン1が熱転写インクリボン巻体5に巻かれ、コア3に付されている識別情報4は4aである場合で、真偽判定用印画画像形成工程を行なったあとの、印画対象物30上の真偽判定用画像31は真偽判定用画像31aとなる。真偽判定用記録画像形成工程前の熱転写インクリボンのインク層濃度プロファイルは正規品の2aであり、真偽判定用記録画像形成工程において、正規品の熱転写インクリボンのインク層濃度プロファイル2aに対応した、サーマルヘッド素子部発熱パターン12aをもって記録画像形成しているので、真偽判定用記録画像工程後の熱転写フィルム20上の真偽判定用記録画像とならびに真偽判定用印画画像形成工程を経て得られる印画対象物30上の真偽判定用画像31aは一様の画像となり、目視もしくは画像解析装置によって、正規品であると判定される。
【0044】
図4(b)は偽造品の熱転写インクリボン1が熱転写インクリボン巻体5に巻かれ、コア3に付されている識別情報4は例えば4aである場合で、真偽判定用印画画像形成工程を行なった後の、印画対象物30上の真偽判定用画像31は真偽判定用画像31hとなる。真偽判定用記録画像形成工程前の熱転写インクリボンのインク層濃度プロファイルは偽造品の2hであり、真偽判定用記録画像形成工程において、正規品の熱転写インクリボンのインク層濃度プロファイル2aに対応した、サーマルヘッド素子部発熱パターン12aをもって記録画像形成しているので、真偽判定用記録画像工程後の熱転写フィルム20上の真偽判定用記録画像と真偽判定用印画画像形成工程を経て得られる印画対象物30上の真偽判定用画像31hは、一様の画像とはならず、目視もしくは画像解析装置によって、正規品ではないと判定される。
【0045】
熱転写インクリボンが正規のものであるかそうでないか真偽判定を行なうための間接熱転写方式の熱転写プリンタ装置および熱転写インクリボン真偽判定方法を提供することが可能となった。
【0046】
上記は、間接熱転写方式の熱転写プリンタ装置や前記熱転写プリンタ装置を用いた真偽判定方法の説明であったが、本発明は、印画対象に熱転写インクリボンから直接、熱転写インクを転写する直接熱転写記録方式の熱転写プリンタ装置と、それを用いた熱転写インクリボン真偽判定方法も可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 ・・・熱転写インクリボン
2・・・インク層濃度プロファイル
2a・・・インク層濃度プロファイルa
2b・・・インク層濃度プロファイルb
2h・・・インク層濃度プロファイルh
3・・・コア
4・・・識別情報
4a・・・識別情報a
4b・・・識別情報b
5・・・熱転写インクリボン巻体
10・・・サーマルヘッド
11・・・サーマルヘッド素子
12・・・サーマルヘッド素子部発熱パターン
12a・・・サーマルヘッド素子部発熱パターンa
12b・・・サーマルヘッド素子部発熱パターンb
12h・・・サーマルヘッド素子部発熱パターンh
15・・・プラテンローラ
16・・・記録画像形成部
17・・・ヒートローラ
18・・・印画画像形成部
20・・・中間熱転写フィルム
30・・・印画対象物
31・・・真偽判定用画像
31a・・・真偽判定用画像a
31h・・・真偽判定用画像h
100・・・熱転写プリンタ装置
T・・・温度の模式的スケール
S・・・主走査方向
O・・・送り方向
図1
図2
図3
図4