(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20240604BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20240604BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G01N35/04 A
G01N35/08 A
G01N37/00 101
(21)【出願番号】P 2020124537
(22)【出願日】2020-07-21
【審査請求日】2023-05-17
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2019年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクト「IoT社会実現のための超微小量センシング技術開発/超微小量センシング技術開発/1分で感染リスクを検知可能なウイルスゲートキーパーの研究開発」共同研究産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伏屋 健吾
(72)【発明者】
【氏名】原 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】諏訪間 大
(72)【発明者】
【氏名】森本 浩史
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-019858(JP,A)
【文献】特表2010-539439(JP,A)
【文献】特開2004-245787(JP,A)
【文献】特開昭64-010180(JP,A)
【文献】特開平01-010180(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00297877(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面内で回転可能な回転面を有する支持台と、
前記回転面上に設けられ、前記回転面の回転に伴って変位する検出部と、
第1供給口を有するとともに、第1供給物を前記第1供給口より上方に収容する第1供給部と、
第2供給口を有するとともに、第2供給物を前記第2供給口より上方に収容する第2供給部と、
前記第1供給口および前記第2供給口の位置を前記回転面の上部の位置に固定し保持する保持部材と、
前記第1供給口および前記第2供給口から前記検出部に供給された第1供給物および第2供給物の
混合物の光学特性を測定する光学測定部と
、を備え
、
前記第1供給部および前記第2供給部は、前記保持部材に着脱可能に構成され、
前記回転面が回転することで、位置が固定された前記第1供給口の下方に前記検出部が移動して前記第1供給口から前記第1供給物が前記検出部に供給され、さらに位置が固定された前記第2供給口の下方に前記検出部が移動し、前記第2供給口から前記第2供給物が前記検出部に供給される、検出装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記回転面の回転により、前記第1供給口、前記第2供給口および前記光学測定部の各々に対向する位置に変位する、請求項
1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第1供給口および前記第2供給口は、前記検出部が変位する方向において、互いに隣り合う位置に配置されている、請求項1
または2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記光学測定部は前記回転面の上部に設けられている、請求項1~
3のいずれかに記載の検出装置。
【請求項5】
前記第1供給口および前記第2供給口各々を開口させる供給駆動部をさらに有する、請求項1~
4のいずれかに記載の検出装置。
【請求項6】
前記第1供給物は検体を含み、前記第2供給物は試薬を含む、請求項1~
5のいずれかに記載の検出装置。
【請求項7】
前記検出部から排出される廃液を受ける廃液貯留部をさらに有する、請求項1~
6のいずれかに記載の検出装置。
【請求項8】
前記廃液貯留部は、前記回転面の下部に設けられている、請求項
7に記載の検出装置。
【請求項9】
前記第1供給物および前記第2供給物は液体である、請求項1~
8のいずれかに記載の検出装置。
【請求項10】
前記検出部には、前記第1供給物および前記第2供給物の流路が設けられている、請求項
9に記載の検出装置。
【請求項11】
前記流路は、他の部分の前記流路の幅よりも大きい幅の拡幅部を有する、請求項
10に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液および尿等に含まれる物質の検出方法として、血液および尿等の検体と、試薬とを混合した後、この混合物の分析を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような物質の検出に使用される検出装置は、たとえば、プローブ等の分注器により、検体貯蔵部から検体、試薬貯蔵部から試薬、各々を分注して検出部に吐出し、これらを混合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような物質の検出に使用される装置は、大型化しやすい。しかし、このような装置をより様々な場所において容易に使用可能とするためには、小型化、省スペース化および低コスト化等が求められる。このため、装置は、簡素な構成を有していることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものである。したがって、本発明の目的は、簡素な構成を有する検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記によって達成される。
【0007】
(1)面内で回転可能な回転面を有する支持台と、前記回転面上に設けられ、前記回転面の回転に伴って変位する検出部と、前記回転面の上部に設けられた第1供給口および第2供給口と、前記第1供給口および前記第2供給口から前記検出部に供給された第1供給物および第2供給物の光学特性を測定する光学測定部とを備える、検出装置。
【0008】
(2)前記第1供給口および前記第2供給口を保持する保持部材をさらに有する、上記(1)に記載の検出装置。
【0009】
(3)前記第1供給口を有するとともに、前記第1供給物を貯蔵する第1供給部と、前記第2供給口を有するとともに、前記第2供給物を貯蔵する第2供給部とをさらに含む、上記(2)に記載の検出装置。
【0010】
(4)前記第1供給部および前記第2供給部は、前記保持部材に着脱可能に構成されている、上記(3)に記載の検出装置。
【0011】
(5)前記検出部は、前記回転面の回転により、前記第1供給口、前記第2供給口および前記光学測定部の各々に対向する位置に変位する、上記(1)~(4)のいずれかに記載の検出装置。
【0012】
(6)前記第1供給口および前記第2供給口は、前記検出部が変位する方向において、互いに隣り合う位置に配置されている、上記(1)~(5)のいずれかに記載の検出装置。
【0013】
(7)前記光学測定部は前記回転面の上部に設けられている、上記(1)~(6)のいずれかに記載の検出装置。
【0014】
(8)前記第1供給口および前記第2供給口各々を開口させる供給駆動部をさらに有する、上記(1)~(7)のいずれかに記載の検出装置。
【0015】
(9)前記第1供給物は検体を含み、前記第2供給物は試薬を含む、上記(1)~(8)のいずれかに記載の検出装置。
【0016】
(10)前記検出部から排出される廃液を受ける廃液貯留部をさらに有する、上記(1)~(9)のいずれかに記載の検出装置。
【0017】
(11)前記廃液貯留部は、前記回転面の下部に設けられている、上記(10)に記載の検出装置。
【0018】
(12)前記第1供給物および前記第2供給物は液体である、上記(1)~(11)のいずれかに記載の検出装置。
【0019】
(13)前記検出部には、前記第1供給物および前記第2供給物の流路が設けられている、上記(12)に記載の検出装置。
【0020】
(14)前記流路は、他の部分の前記流路の幅よりも大きい幅の拡幅部を有する、上記(13)に記載の検出装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、支持台が回転面を有し、かつ、回転面の上部に検体供給口および試薬供給口が設けられているので、回転面の回転により、検体供給口および試薬供給口各々の直下に検出部が変位する。これにより、検出部への検体および試薬の供給経路を簡素化することができる。したがって、検出装置の構成を簡素にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態に係る検出装置の側面の概略構成を例示する平面図である。
【
図2】
図1に示した検出装置の上面の構成を表す平面図である。
【
図3】(A)は
図1等に示した検出部の側面の構成を表す平面図であり、(B)は(A)に示した検出部の上面の構成を表す平面図である。
【
図4】
図1に示した検体供給口を拡大して表す側面図である。
【
図5】
図1等に示した検出装置を用いた検出方法の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して本発明の検出装置の実施形態を説明する。なお、図中、同一の部材には同一の符号を用いた。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0024】
(実施形態)
<検出装置の構成>
図1および
図2は、本発明の一実施形態に係る検出装置1の概略構成を表している。
図1は、検出装置1の側面(XZ平面)の構成を表し、
図2は検出装置1の上面(XY平面)の構成を表している。以下では、検出装置1の上下方向をZ方向として説明する。
【0025】
検出装置1は、検体および試薬の混合物の光学測定を行う装置である。検出装置1は、主に、軸部11、支持台12、検出部13、検体供給部14、試薬供給部15、光学測定部16、保持台17、供給駆動部18および廃液貯留部19を有している。軸部11上に、支持台12および検出部13がこの順に設けられている。支持台12の上方に保持台17が配置されており、この保持台17に、試薬供給部15、検体供給部14、光学測定部16および供給駆動部18が保持されている。廃液貯留部19は、支持台12の下部に配置されている。ここでは、検体供給部14が本発明の第1供給部の一具体例に対応し、試薬供給部15が本発明の第2供給部の一具体例に対応し、保持台17が本発明の保持部材の一具体例に対応する。
【0026】
軸部11は、下から順に回転軸11a、連結部11bおよび回転軸11cを有している。たとえば、回転軸11aは、モーター(図示せず)に接続されており、軸回転する。連結部11bは、回転軸11aと同軸上に回転軸11cを連結している。回転軸11cは、回転軸11aの回転に伴い、軸回転する。
【0027】
回転軸11c上に設けられた支持台12は、回転軸11a,11cに略垂直な回転面12s(XY平面)を有している。回転面12sは、たとえば、円形の平面形状を有している(
図2)。支持台12は、いわゆるターンテーブルであり、回転面12sは、回転軸11a,11cの回転に伴って、XY平面内で時計回りまたは反時計回りに回転する。この回転面12s上に検出部13が設けられており、検出部13は回転面12sの回転に伴って変位する。回転面12s上には、たとえば、一の検出部13が設けられている。回転面12s上に、複数の検出部13が設けられていてもよい。
【0028】
支持台12に支持された検出部13には、試薬供給部15から試薬が供給され、検体供給部14から検体が供給される。この試薬および検体が供給された検出部13に、光学測定部16から光が照射される。
【0029】
図3(A)(B)は、検出部13の構成の一例を表している。
図3(A)は検出部13の側面(XZ平面)の構成を表し、
図3(B)は検出部13の上面(XY平面)の構成を表している。検出部13は、たとえば、回転面12s側から順に、不透明部材131および透明部材132の積層構造を有している。検出部13上には、たとえば、受け部21が設けられている。
【0030】
不透明部材131は、たとえば、矩形の平面形状を有する板状部材である。不透明部材131は、光学測定部16から照射される光に対して低い透過率を有する材料により構成されている。不透明部材131は、たとえば、単結晶シリコン(Si)材料または樹脂材料等を含んでいる。
【0031】
透明部材132は、不透明部材131に積層されており、たとえば、不透明部材131とほぼ同じ平面形状を有している。この透明部材132には、試薬および検体を含む液体が流れる流路132fが設けられている。この流路132fにより、たとえば、透明部材132の長辺方向(
図3のX方向)に沿って、試薬および検体を含む液体が流れるようになっている。流路132fは、他の部分の流路132fの幅よりも大きな幅の拡幅部132fbを有している。拡幅部132fbは、たとえば、流路132fの中央部に設けられている。たとえば、この拡幅部132fbに貯留する検体および試薬に、光学測定部16から光が照射され、光学特性が測定される。流路132fでは、光学測定部16側の面が開放されていてもよい。
【0032】
透明部材132は、光学測定部16から照射される光に対して高い透過率を有する材料により構成されており、光学測定部16から照射された光は、拡幅部132fbに到達する。透明部材132は、たとえば、ガラス材料または樹脂材料等を含んでいる。透明部材132に含まれるガラス材料は、たとえば、シリカガラス等であり、このようなガラス材料を用いて透明部材132を構成することにより、高い光透過性を実現することができる。透明部材132に含まれる樹脂材料は、たとえば、ジメチルポリシロキサン、ポリスチレン、ポリカーボネート、シクロオレフィンおよびアクリル等である。ジメチルポリシロキサンは金型への転写性が高く、容易に透明部材132を形成することができる。ポリスチレン、ポリカーボネート、シクロオレフィンおよびアクリルを用いることにより、射出成型で透明部材132を量産することができる。また、自家蛍光が少ないポリスチレンおよびシクロオレフィンを用いて透明部材132を形成することにより、光学測定でのノイズを低減することができる。高い屈折率を有するポリカーボネートを用いて透明部材132を形成することにより、検出装置1を小型化することが可能となる。高い光透過性を有するアクリルを用いて透明部材132を形成することにより、導光時の光の減衰を抑え、光学測定の精度を向上させることが可能となる。透明部材132の光入射面は、光学的に平滑であることが好ましい。これにより、光学測定部16による測定の精度を向上させることができる。透明部材132の厚みは、特に制限されるものではなく、剛性および光透過性等を考慮して調整することができる。
【0033】
透明部材132上の受け部21は、検体供給部14から供給された検体および試薬供給部15から供給された試薬を検出部13の上部で受け、検出部13(より具体的には透明部材132)の流路132fに流す役割を担っている。受け部21は、たとえば、漏斗形状を有しており、受け部21の一方の開口は、透明部材132から離れるにつれて広がっている。受け部21の他方の開口は、流路132fに連通している。検体および試薬は、たとえば、受け部21で混合された後、流路132fに流される。たとえば、受け部21の外側に加振機構を当接させることにより受け部21を振動させ、受け部21で検体および試薬を混合させる。あるいは、検体および試薬は、流路132f内で混合されてもよい。たとえば、一端から流路132f内を吸引して流路132fをポンピングすることにより、流路132f内の気体および液体が移動し、流路132f内で検体および試薬が混合される。
【0034】
保持台17に保持された検体供給部14は、所定量の検体を貯蔵しており、検体供給部14に貯蔵された検体が検出部13に供給される。検体供給部14には、たとえば、希釈液により希釈された検体が貯蔵されている。検体供給部14は、たとえば、Z方向の高さを有する円柱型の容器である(
図2)。検体供給部14は、Z方向の回転面12s側の端部に検体供給口14Mを有している。
【0035】
検体供給部14に貯蔵された検体は、たとえば、血液、唾液、尿、薬品、環境水、上水および下水等である。たとえば、この検体中に含まれるDNA、RNA、タンパク質、ウィルス、菌および汚染物質等が、検出装置1の検出対象物質である。
【0036】
試薬供給部15は、検体供給部14とともに保持台17に保持されている。この試薬供給部15は、所定量の試薬を貯蔵しており、試薬供給部15に貯蔵された試薬が検出部13に供給される。試薬供給部15には、たとえば、溶媒中に分散または溶解された試薬が貯蔵されている。試薬供給部15は、たとえば、検体供給部14とほぼ同じ形状を有している(
図2)。試薬供給部15は、Z方向の回転面12s側の端部に試薬供給口15Mを有している。
【0037】
試薬供給部15に貯蔵された液体状の試薬は、たとえば、色素、蛍光物質およびナノ粒子等であり、検体中に含まれる検出対象物質と物理的または化学的な結合を生成する。この試薬には、公知の試薬を用いることができる。蛍光物質は、たとえば、蛍光色素または量子ドット等である。ナノ粒子は、ポリスチレンビーズまたは金ナノ粒子等である。たとえば、このような試薬を検出対象物質に結合させることにより、光照射時に発生する光信号が大きくなり、検出対象物質の検出が容易となる。特に、検出対象物質単体の光信号が微弱であるとき、このような試薬が有効である。試薬は、光吸収または光散乱を生じる物質であってもよい。このとき、試薬を検出対象物質に結合させることにより、光照射時に発生する光強度が減少し、光信号が増幅される。
【0038】
試薬と検出対象物質との結合は、たとえば、物理吸着による結合、抗原-抗体反応による結合、DNAハイブリダイゼーションによる結合、ビオチン-アビジン結合、キレート結合またはアミノ結合等である。物理吸着による結合は、たとえば、静電気的な結合力を利用する水素結合等である。物理吸着による結合では、検体の前処理等が不要であり、容易に試薬および検出対象物質の結合体を生成することができる。抗原-抗体反応による結合は、たとえば、ウィルス等の検出対象物質と試薬との特異的な結合であり、検体に含まれる検出対象物質以外の夾雑物に由来するノイズの発生を抑えることができる。抗原-抗体反応を用いて検出対象物質の検出を行うときには、たとえば、抗体を結合させた試薬を事前に調製する。
【0039】
検体供給部14および試薬供給部15は、検出部13が変位する方向、即ち、回転面12sの回転方向において、たとえば、隣り合う位置に配置されている。たとえば、検体供給部14、試薬供給部15および光学測定部16は、この順に反時計回りに配置されている(
図1)。検体供給部14、試薬供給部15および光学測定部16は、この順に時計回りに配置されていてもよい。検体供給部14、試薬供給部15および光学測定部16は、反時計回りまたは時計回りに、試薬供給部15、検体供給部14および光学測定部16の順に配置されていてもよい。
【0040】
検体供給部14に貯蔵された検体は、検体供給口14Mを介して検出部13に供給され、試薬供給部15に貯蔵された試薬は、試薬供給口15Mを介して検出部13に供給される。本実施形態では、この検体供給口14Mおよび試薬供給口15Mが、回転面12sに対向する位置、即ち、回転面12sの上部に配置されている。したがって、回転面12sの回転により、検出部13が検体供給口14Mおよび試薬供給口15M各々の直下に変位する。詳細は後述するが、これにより、検体および試薬の供給経路を簡素化することができる。ここでは、検体供給口14Mが本発明の第1供給口の一具体例に対応し、試薬供給口15Mが本発明の第2供給口の一具体例に対応する。
【0041】
図4は、検体供給口14M近傍の拡大図である。検体供給口14Mは、たとえば、回転面12s側からZ方向に沿って可動部141MAおよび受動部141MBを有している。回転面12s側に設けられた可動部141MAは、Z方向に沿って、即ち、上下方向に移動可能な部分である。受動部141MBは、可動部141MAの一部または全部を収容可能であり、たとえば、受動部141MBの口径は可動部141MAの口径より大きくなっている。
【0042】
たとえば、可動部141MAに供給駆動部18が作用していないとき、可動部141MAの一部または全部は受動部141MBから突出し、検体供給口14Mは閉じられている。可動部141MAに供給駆動部18が作用すると、供給駆動部18により可動部141MAが上方向に押し上げられ、受動部141MBに可動部141MAの一部または全部が収容される。これにより、検体供給口14Mが開口され、検体供給口14Mから下方向に検体が吐出される。
【0043】
試薬供給口15Mは、たとえば、上記検体供給口14Mと同様の構成を有している(
図4参照)。
【0044】
光学測定部16は、たとえば、検体供給部14および試薬供給部15とともに、保持台17に保持されており、検出部13に供給された検体および試薬の光学特性を測定する。この光学測定部16は回転面12sの上部に配置されており、光学測定部16に対向する位置、即ち、光学測定部16の直下に検出部13を配置することができる。光学測定部16の測定結果から、検体に含まれる検出対象物質の存在または含有量が検出される。
【0045】
光学測定部16は、たとえば、検出部13に光を照射するとともに、検出部13で発生する光信号を検出する。光学測定部16は、たとえば、照射部および受光部を有している。照射部および受光部は、たとえば、回転面12sに対向する位置に配置されている。
【0046】
照射部は、光源を含んでおり、光源から検出部13に向けて光を照射する。照射部から検出部13に照射される光は、たとえば、蛍光物質を励起可能な波長域の光である。光源は、たとえば、ランプ、LED(Light Emitting Diode)およびレーザー等である。光源で発生する光は単色光であってもよく、あるいは、広い波長帯域を有する光であってもよい。光源で発生する光が広い波長帯域を有するとき、照射部は、バンドパスフィルタ等の光学フィルタを有していることが好ましい。ランプまたはLED等を光源に使用するとき、照射部は、光源で発生した光の進行方向を規制するガイド部材を含んでいることが好ましい。ガイド部材は、たとえば、コリメートレンズ等である。
【0047】
受光部は、たとえば、フォトダイオード、光検出器、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーおよびCMOS(Complementaly Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサー等の撮像デバイスを含んでいる。光検出器は、たとえば、光電子増倍管等である。受光部には、公知の撮像デバイスを用いることができる。この受光部により、光学測定部16に入射する光の光強度またはスペクトルが検出される。受光部は、単一の波長の光の強度を検出してもよく、複数の波長の光の強度を検出してもよい。照射部から照射された光が検出部13に入射すると、たとえば、この光により、試薬および検出対象物質の結合体が励起されて光信号が発生する。発生した光信号は、直接、あるいは、透明部材132と不透明部材131との界面で反射されて受光部に入射する。
【0048】
検体供給部14、試薬供給部15および光学測定部16を保持する保持台17は、支持台12の上方に配置されており、保持台17の一部は支持台12に対向している。この保持台17の上面には検体保持部171および試薬保持部172が設けられている。
【0049】
検体保持部171および試薬保持部172は、保持台17の上面に固定されている。検体保持部171および試薬保持部172は、たとえば、リング形状を有しており、検体保持部171の内側に検体供給部14が保持され、試薬保持部172の内側に試薬供給部15が保持されている。検体供給部14および試薬供給部15は各々、検体保持部171、試薬保持部172から着脱可能に構成されている。
【0050】
検体供給口14Mおよび試薬供給口15Mに作用する供給駆動部18は、たとえば、保持台17に固定されている。この供給駆動部18は、たとえば、アクチュエーター18aとアクチュエーター18aに接続された板状部材18bとを含んでいる。
【0051】
アクチュエーター18aは、回転面12sに略垂直方向(Z方向)に沿って動き、板状部材18bを上下方向に動かす役割を担っている。アクチュエーター18aに接続された板状部材18bは、アクチュエーター18aの動きに伴って、上下方向に移動する。板状部材18bの主面は、たとえば、矩形状であり、回転面12sに略平行に設けられている。板状部材18bの一端は、回転面12sの中心付近の上部でアクチュエーター18aに接続され、板状部材18bの他端は、回転面12sの外周近傍の上部に設けられている。
【0052】
供給駆動部18では、たとえば、上方向に移動した板状部材18bの他端近傍が検体供給口14Mまたは試薬供給口15Mに接触する。これにより、検体供給口14Mまたは試薬供給口15Mが開口する。たとえば、板状部材18bの他端は、回転面12sの回転方向に変位し、検体供給口14Mおよび試薬供給口15Mの一方に、選択的に接触させることができる。これにより、供給駆動部18を検体供給口14Mおよび試薬供給口15Mで共用することができ、検出装置1の構成をより簡素にすることができる。板状部材18bの他端は、たとえば、回転面12sの回転に伴って変位する。
【0053】
支持台12の下部に配置された廃液貯留部19には、たとえば、検出部13を洗浄する際に生じる廃液が貯留される。たとえば、検出部13に供給された検体および試薬の混合物の光学特性を測定した後、検出部13に洗浄液を供給する。洗浄液は、たとえば、受け部21を介して検出部13に供給される。この検出部13に供給された洗浄液とともに、流路132f内の検体および試薬が廃液貯留部19に排出される。廃液は、たとえば、流路132fの一端を吸引することにより、廃液貯留部19に排出される。このように、光学特性を測定した後の検出部13を洗浄することにより、検出部13を再利用することが可能となる。支持台12の下部には、洗浄液が貯蔵された洗浄液供給部(図示せず)が配置されていてもよい。
【0054】
<検出装置を用いた検出方法>
以下、
図5を参照して、本実施形態の検出装置1を使用した検出方法を説明する。
図5は、本実施形態の検出方法を例示する流れ図である。
【0055】
まず、検体供給部14および試薬供給部15を準備する(ステップS101)。具体的には、検体が貯蔵された検体供給部14を検体保持部171に保持させ、試薬が貯蔵された試薬供給部15を試薬保持部172に保持させる。
【0056】
次に、回転面12s上に載置した検出部13を、検体供給口14Mの直下に配置する(ステップS102)。次に、検体供給部14から、検体供給口14Mを介して検出部13に検体を供給する(ステップS103)。具体的には、供給駆動部18の板状部材18bの他端を検体供給口14Mに接触させ、検体供給口14Mを開口させる。これにより、検体供給口14Mから検体が吐出され、検体供給口14Mから検出部13に検体が滴下する。
【0057】
所定量の検体を検出部13に供給した後、検出部13を試薬供給口15Mの直下に配置する(ステップS104)。具体的には、回転面12sを反時計回りに回転させ、試薬供給口15Mの直下に検出部13を変位させる。
【0058】
続いて、試薬供給部15から、試薬供給口15Mを介して検出部13に試薬を供給する(ステップS105)。具体的には、供給駆動部18の板状部材18bの他端を試薬供給口15Mに接触させ、試薬供給口15Mを開口させる。これにより、試薬供給口15Mから試薬が吐出され、試薬供給口15Mから検出部13に試薬が滴下する。
【0059】
所定量の試薬を検出部13に供給した後、検出部13に供給した検体および試薬を混合する(ステップS106)。たとえば、流路132f内で往復送液を行うことにより、検体および試薬を混合する。これにより、試薬と検体に含まれる検出対象物質との結合物が生成する。
【0060】
次に、検出部13を光学測定部16の直下に配置する(ステップS107)。具体的には、回転面12sをたとえば、反時計回りに回転させ、光学測定部16の直下に検出部13を変位させる(ステップS107)。
【0061】
続いて、混合された検体および試薬の光学測定を実施する(ステップS108)。具体的には、光学測定部16が、検出部13に向けて光を照射するとともに、検出部13側から光学測定部16に入射する光を受光する。検出部13の光学測定を行った後、光学測定の結果を出力する(ステップS109)。光学測定の結果は、たとえば、画像処理により判別されて出力される。
【0062】
この後、検出部13の洗浄を行う(ステップS110)。検出部13の洗浄は、たとえば、以下のようにして行う。まず、回転面12sを回転させて検出部13を洗浄液供給部の直上に変位させ、洗浄液供給部から検出部13に洗浄液を供給する。次いで、供給された洗浄液とともに、流路132f内の検体および試薬を廃液貯留部19に排出する。廃液貯留部19への排出は、検出部13を廃液貯留部19の直上に変位させた後、行ってもよい。続いて、回転面12sを回転させて検出部13を光学測定部16の直下に変位させ、検出部13の光学測定を実施する。この後、光学測定の結果を出力し、検出部13が洗浄できていることが確認できたら、洗浄を終了する。検出部13の洗浄が足りないときには、再び、検出部13への洗浄液の供給および排出を繰り返す。
【0063】
検出部13の洗浄を行った後、検出を終了する。あるいは、検出部13の洗浄を行った後、ステップS101の工程に戻ってもよい。
<検出装置の作用効果>
本実施形態の検出装置1では、支持台12が回転面12sを有し、かつ、回転面12sの上部に検体供給口14Mおよび試薬供給口15Mが設けられているので、回転面12sの回転により、検体供給口14Mおよび試薬供給口15M各々の直下に検出部13が変位する。これにより、検出部13への検体および試薬の供給経路を簡素化することができる。以下、この検出装置1の作用効果について説明する。
【0064】
たとえば、検知部を変位させずに、検知部に検体および試薬を供給する検出装置も考え得る。この検出装置では、検知部の上部に検体供給口および試薬供給口が設けられておらず、以下のようにして、検知部に検体および試薬を供給する。まず、検体貯蔵部からプローブ等の分注器により所定量の検体を吸引した後、分注器を検知部の上部に移動させて、分注器から検知部に検体を吐出する。次いで、試薬貯蔵部から分注器により所定量の試薬を吸引した後、試薬を検知部の上部に移動させて、分注器から検知部に検体を吐出する。
【0065】
このような検出装置では、分注器により吸引した検体または試薬を検知部の上部に移動させる必要があり、検体および試薬の供給経路が複雑になりやすい。また、この供給経路では、検体または試薬を吸引した分注器を検知部の上部に移動させるための搬送システムが必要であり、部品点数が多くなる。このため、このような検出装置では、大型化およびコストの増加を招くおそれがある。
【0066】
これに対し、検出装置1は、支持台12が回転面12sを有し、かつ、回転面12sの上部に検体供給口14Mおよび試薬供給口15Mが設けられている。このため、回転面12s上に検出部13を載せて回転面12sを回転させることにより、検出部13が検体供給口14Mおよび試薬供給口15M各々の直下に変位する。したがって、検体供給口14M、試薬供給口15M各々からそのまま検出部13に検体および試薬を供給することができる。即ち、検出部13への検体および試薬の供給経路を簡素化することができる。
【0067】
また、検出装置1では、検体供給口14M、試薬供給口15M各々からそのまま検出部13に検体および試薬が供給されるので、検体および試薬を移動させるための搬送システムが不要であり、部品点数の増加を抑えることができる。よって、検出装置1を小型化するとともに、コストを抑えることが可能となる。
【0068】
更に、検出装置1では、プローブ等の分注器による検体、試薬の吸引および吐出を行わずに、検出部13に検体および試薬を供給することができる。したがって、検出装置1では、分注器のためのピペッティングシステムが不要であり、部品点数の増加をさらに抑えることができる。よって、より効果的に検出装置1を小型化するとともに、コストを抑えることが可能となる。
【0069】
加えて、検出装置1では、光学測定部16が回転面12sの上部に設けられているので、光学測定部16の直下に検出部13を変位させることができる。これにより、簡便に検出部13の光学測定を実施することができる。
【0070】
以上のように、本実施形態の検出装置1では、支持台12が回転面12sを有し、かつ、回転面12sの上部に検体供給口14Mおよび試薬供給口15Mが設けられているので、回転面12sの回転により、検体供給口14Mおよび試薬供給口15M各々の直下に検出部13が変位する。これにより、検体および試薬の供給経路を簡素化することができる。したがって、検出装置1の構成を簡素にすることが可能となる。
【0071】
以上のように、実施形態において本発明の検出装置について説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができることはいうまでもない。
【0072】
例えば、上記実施形態では、光学測定を行った後の検出部13を洗浄して、検出部13を再利用する例を説明したが、光学測定を行う度に新たな検出部13に交換してもよい。このとき、検出装置には、廃液貯留部が設けられていなくてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、光学測定部16の照射部および受光部がともに、回転面12sの上部に設けられている例を説明したが、光学測定部16の照射部および受光部は、これ以外の位置に設けられていてもよい。たとえば、照射部を回転面12sの上部に設け、受光部を回転面12sの下部に設けるようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、検体供給部14が検体供給口14Mを有し、試薬供給部15が試薬供給口15Mを有する例を説明したが、検体供給部14と検体供給口14Mとが分離して設けられ、試薬供給部15と試薬供給口15Mとが分離して設けられていてもよい。また、検体供給口14Mおよび試薬供給口15Mは、プローブ等の分注器に設けられていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、保持台17に1つの検体供給口14Mおよび1つの試薬供給口15Mが保持されている例を説明したが、保持台17に複数の検体供給口14Mまたは複数の試薬供給口15Mが保持されていてもよい。即ち、本発明の検出装置は、第3供給口および第4供給口等を有していてもよい。このとき、検出部には、第3供給口から第3供給物、第4供給口から第4供給物が各々供給される。
【0076】
また、上述した検出方法は、上記のフローチャートのステップ以外のステップを含んでもよく、あるいは、上述したステップのうちの一部を含まなくてもよい。また、ステップの順序は、上述した実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0077】
1,1A 検出装置、
11 軸部、
12 支持台、
12s 回転面、
13 検出部、
131 不透明部材、
132 透明部材、
132f 流路、
14 検体供給部、
14M 検体供給口、
15 試薬供給部、
15M 試薬供給口、
16 光学測定部、
17 保持台、
171 検体保持部、
172 試薬保持部、
18 供給駆動部、
19 廃液貯留部、
21 受け部、
22 供給量検知部。