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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/74 20060101AFI20240604BHJP
   A01D 34/76 20060101ALI20240604BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A01D34/74
A01D34/76 E
A01D34/64 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020188098
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077302
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】馬場 裕佑
(72)【発明者】
【氏名】戸田 大尊
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-080547(JP,A)
【文献】特開2012-178983(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02491781(EP,A1)
【文献】国際公開第2019/104190(WO,A1)
【文献】特開平08-051830(JP,A)
【文献】実開昭58-133178(JP,U)
【文献】特開2011-155925(JP,A)
【文献】特開2005-021041(JP,A)
【文献】特開2003-180116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/00 - 34/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体と、
前記走行車体に設けられるモアユニットと、を備え、
前記モアユニットは、
草を刈る草刈機構が設けられるデッキ部と、
前記デッキ部の前方に設けられ、草刈作業時に接地する前輪部と、
前端側で前記前輪部と連結し、前記デッキ部に揺動可能に設けられる前輪アーム部と、
前記前輪アーム部とリンク機構を介して連結し、前記前輪部の下端と前記デッキ部の下端との位置関係を変更する刈高さシリンダと、
前記刈高さシリンダと連動して動くインジケータとを備え、
前記走行車体に前記刈高さシリンダを操作する刈高さ操作具を有することを特徴とする、作業車両。
【請求項2】
前記モアユニットは前記走行車体の前方に設けられ、前記刈高さシリンダは前記デッキ部の前部に設けられ、前記前輪アーム部は前記デッキ部の上方に設けられ、少なくとも、前記刈高さシリンダの側方と前記前輪アーム部の上方を覆うシリンダカバーが設けられ、
前記インジケータは前記シリンダカバーに設けられた目盛り板の目盛を指し示すことにより、現在の刈高さを表示する、請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
前記インジケータは刈高さ調整位置が高い位置よりも低い位置のほうが大きく動くよう構成され、前記インジケータの指し示す目盛の間隔が、高い位置よりも低い位置のほうが大きい、請求項1又は2記載の作業車両。
【請求項4】
刈高さの低い位置を示す目盛りほど運転座席から遠い前側に表示し、刈高さの高い位置を示す目盛りほど、前記運転座席から近い後側に表示し、
前記刈高さの低い位置を示す目盛りの数字を、前記刈高さの高い位置を示す目盛りの数字よりも大きく表示した、請求項3記載の作業車両。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モアなどの作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業時に接地する前輪部をモアデッキの前方に有し、モアデッキは前輪部と連結するアームに吊り下げられるように支持され、接地時の前輪部とモアデッキとの位置関係を調整する調整部をモアデッキの上部に設け、モアデッキを上昇させて状態で調整部を手動により操作することで作業時の刈高さを調整できる作業車両が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-80547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、そのような従来の技術では刈高さを調整するときには一時的にモアデッキを上昇させた後、車両から降りて手動調整する必要があり、操作が煩わしかった。
【0005】
これを解消するために、電動の油圧シリンダをモアデッキの上に設けて前輪部と連結するアームとリンクを介して連結し、スイッチ操作により電動で刈高さを変更できるようにしたモアデッキを有する作業車両も存在するが、電動のスイッチ操作であるために現在の刈高さがどの程度に調整されているかの確認が困難であった。
【0006】
本発明では、現在の刈高さがどの程度に調整されているのかを容易に確認できる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、
走行車体と、
前記走行車体に設けられるモアユニットと、を備え、
前記モアユニットは、
草を刈る草刈機構が設けられるデッキ部と、
前記デッキ部の前方に設けられ、草刈作業時に接地する前輪部と、
前端側で前記前輪部と連結し、前記デッキ部に揺動可能に設けられる前輪アーム部と、
前記前輪アーム部とリンク機構を介して連結し、前記前輪部の下端と前記デッキ部の下端との位置関係を変更する刈高さシリンダと、
前記刈高さシリンダと連動して動くインジケータとを備え、
前記走行車体に前記刈高さシリンダを操作する刈高さ操作具を有することを特徴とする、作業車両である。
【0008】
第2の本発明は、
前記モアユニットは前記走行車体の前方に設けられ、前記刈高さシリンダは前記デッキ部の前部に設けられ、前記前輪アーム部は前記デッキ部の上方に設けられ、少なくとも、前記刈高さシリンダの側方と前記前輪アーム部の上方を覆うシリンダカバーが設けられ、
前記インジケータは前記シリンダカバーに設けられた目盛り板の目盛を指し示すことにより、現在の刈高さを表示する、第1の本発明の作業車両である。
【0009】
第3の本発明は、
前記インジケータは刈高さ調整位置が高い位置よりも低い位置のほうが大きく動くよう構成され、前記インジケータの指し示す目盛の間隔が、高い位置よりも低い位置のほうが大きい、第1又は第2の本発明の作業車両である。
【0010】
第4の本発明は、
刈高さの低い位置を示す目盛りほど運転座席から遠い前側に表示し、刈高さの高い位置を示す目盛りほど、前記運転座席から近い後側に表示し、
前記刈高さの低い位置を示す目盛りの数字を、前記刈高さの高い位置を示す目盛りの数字よりも大きく表示した、第3の本発明の作業車両である。
【発明の効果】
【0011】
第1の本発明により、刈高さシリンダと連動して揺動するインジケータにより、シリンダによって変更された刈高さがどの程度に調整されているのかを容易に確認できる。
【0012】
第2の本発明により、デッキ部の前部上方にインジケータを設けることにより、走行車体に搭乗した運転手からの視認性が良好にして、シリンダによって変更された刈高さがどの程度に調整されているのかを容易に確認できる。
【0013】
第3の本発明により、リンクの設計を調節することにより、低い位置よりも高い位置のほうがインジケータを大きく動くようにして、低い位置での微調整において、刈高さがどの程度に調整されているのかを容易に確認できる。
【0014】
第4の本発明により、座席から遠い場所にある低い刈高さの調整を見やすくして刈高さがどの程度に調整されているのかを容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明における実施の形態にかかる作業車両の側面図
図2】同作業車両のモアユニットの斜視図
図3】同モアユニットのシリンダカバーを外した状態の右側前部の斜視図
図4】同モアユニットの内側から右側を見た斜視図
図5図4の一部を拡大した図
図6】同モアユニットの平面図
図7】同モアユニットの外側前方から後方を見た斜視図
図8】同作業車両のモアユニットのシリンダカバーを付けた状態の側面図
図9】同モアユニットの右側前部の斜視図
図10】同モアユニットの前方から右側を見た斜視図
図11】同モアユニットの内側から右側を見た斜視図
図12】同モアユニットの平面図
図13】同モアユニットの目盛り板の平面図
図14】同モアユニットのインジケータのストロークの説明図
図15】同モアユニットのインジケータの初期位置を説明する図
図16】同モアユニットの目盛り板の文字の説明図
図17】同モアユニットのインジケータの回動ピッチの説明図
図18】同モアユニットの高さ調節をする際のデッキ部の水平状態を示す略示側面図その1
図19】同モアユニットの高さ調節をする際のデッキ部の水平状態を示す略示側面図その2
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる作業車両の一例としての芝刈機である。以下では、芝刈機の進行方向を基準として、前後、左右、上下とする。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態に係る芝刈機は、走行車体2の前方の下方側にモアユニット1を備える。3は運転席、4、5はそれぞれ前輪、後輪である。また後方に刈り取った芝草を一時的に収容するコレクターを備える。Gは地面である。
【0018】
図2以下にモアユニット1の構造などについて詳述する。
【0019】
すなわち、図2は、本実施の形態におけるモアユニット1の斜視図である。図2に示すように、モアユニット1は、デッキ部10と、草刈機構11と、前輪部12,12と、前輪アーム部13,13と、後アーム部14、14と、昇降アーム15、15とを備える。
【0020】
デッキ部10は、天面の下方側には草刈機構11の刈刃が収容され、天面の上方側には草刈機構11の動力部や、前輪アーム部13、後アーム部14、昇降アーム15等が外部に露出した状態で配置される。
【0021】
草刈機構11は、例えばモータ等の動力を備え、上記した走行車体2から供給される動力源によってモータが動作することで、刈刃が回転動作し、草を刈る。
【0022】
前輪部12は、デッキ部10の前方側に設けられ、草刈時に補助輪12aが地面Gに接することで、前輪アーム部13を支持する。また、前輪部12は、上下方向に沿う回動軸が回動自在に設けられる回動機構12bを備える。回動機構12bは、補助輪12aに連結され、走行車体2の進行方向への走行に従動して回動することで、補助輪12aの向きを進行方向へ向ける。
【0023】
前輪アーム部13は、デッキ部10の上方に設けられ、前方側の一端(前端側)が前輪部12と連結され、後方側の他端(後端側)が後アーム部14と連結される。また、前輪アーム部13は、走行車体2の左右方向に沿う揺動軸を有する第1連結支点18によってデッキ部10に対して揺動するようになっている。
【0024】
具体的には、第1連結支点18は、前輪部12および後アーム部14の間の後ろ寄りに寄せて配置される。
【0025】
後アーム部14は、前輪アーム部13の前後方向における後方延長線上に配置される。具体的には、後アーム部13は、回動連結部19において、前端側が前輪アーム部13の後端側と連結する。
【0026】
また、後アーム部14は、前端側より後方の第2連結支点20でデッキ部10と揺動可能に連結する。また、後アーム部14は、後端側が左右方向を回動軸として回動可能に昇降アーム15に連結される。これにより、後アーム部14は、前輪アーム部13の揺動に連動して揺動する。
【0027】
一方、昇降アーム15は、走行車体2に連結され、走行車体2から供給される動力によってデッキ部10を昇降する。具体的には、昇降アーム15は、前端部22がデッキ部10と回動可能に連結され、後方側の水平機構21を介して後アーム部14に対して回動可能に連結される。これにより、昇降アーム15の昇降に伴ってデッキ部10が昇降する。
【0028】
そして、昇降アーム15が昇降すると、デッキ部10の前方部と前輪アーム部13が持ち上がるとともに、前輪部12が地面Gから離れる。この時、前輪アーム部13および後アーム部14は、回動連結部19において上に凸となるような姿勢となる。
【0029】
一方、かかる状態から、昇降アーム15降下すると、まず、前輪部12が地面Gに接地する。そして、前輪部12が地面Gに接地すると同時に、前輪アーム部13および後アーム部14の凸形状が緩やかになっていく。
【0030】
そのようにして、デッキ部10の前側の高さがほぼ固定される。そして、デッキ部2の高さがほぼ固定された後、さらに昇降アーム15が降下した場合、水平機構21および昇降アーム15の前端部22それぞれが回動することで、降下によってデッキ部2に発生するエネルギーを逃がす。
【0031】
この時、水平機構21がネジ式の場合、ネジの締結度合いによってデッキ部10の地面Gに対する角度が決定する。
【0032】
次に、刈高さの変更の機構について説明する。すなわち前輪アーム部13,13には、それぞれリンク機構16,16を介して、前記前輪部12,12の下端と前記デッキ部10の下端との位置関係を変更する刈高さシリンダ17が連結されている。刈高さシリンダ17はデッキ部10の前部に設けられている。
【0033】
図3乃至図12はそれぞれ、モアユニット1の右側を示す図面であって、図3乃至図7はその右側における右のシリンダカバー24を除いている図面、図8乃至図12はその右側における右のシリンダカバー24を装着させた図である。ちなみに、23は左側に位置する左のシリンダカバーである。
【0034】
図3は後方から前方を見た斜視図、図4はほぼ内側から右側を見た斜視図、図5図4の一部を拡大した図、図6は平面図、図7は外側前方から後方を見た斜視図である。
【0035】
これら図において、リンク機構16について主に図7に基づいて説明する。リンク機構16はデッキ部10の前方左右それぞれに同じ構造のものが設けられており、それぞれ、第1連結具16a、連結軸16c、ブラケット16b、第1連結金具16d、第1連結ボルト16e、第2連結金具16f、第2連結ボルト16g、第3連結金具16hで構成されている。
【0036】
すなわち、刈高さシリンダ17側に、断面9の字型(上部は箱型、下部は板部)の第1連結具16aが設けられている。その下部の板部には連結軸16cが貫通している。この連結軸16cはデッキ部10の前部に左右に渡って装着され、左右のリンク機構16、16で共有されている。
【0037】
連結軸16cの左右両端は、デッキ部10の左右それぞれにおいて、ブラケット16b、16bによって回動自在に軸支されている。
【0038】
連結軸16cの両端寄り位置には、それぞれ、第1連結金具16dが固定されている。さらに、第1連結金具16dには第1連結ボルト16eを介して、第2連結金具16fが回動可能に連結され、さらに、第2連結金具16fには第2連結ボルト16gを介して第3連結金具16hが回動可能に連結されている。
【0039】
この第3連結金具16hは、前輪アーム部13に固定されている。他方、前記第1連結具16aは刈高さシリンダ17のロッド17aの先端が回動可能に連結されている。すなわち、断面9の字型の上部の箱型の部分にロッド17aの先端が挿入され、箱型の部分の軸16a1に回動可能に連結されている。
【0040】
なお、171は刈高さシリンダ17を駆動するDCモータ、172はオイルタンクである。
【0041】
ここで、刈高さシリンダ17を用いて、デッキ部10の地面Gに対する高さを調節する仕組みについて説明する。
【0042】
刈高さ調整スイッチ27(図1参照)によって、モータ171を所定量駆動すると、刈高さシリンダ17のロッド17aが所定位置まで伸縮する。その結果、ロッド17aの先端に連結されている箱型の部分の軸16a1が移動し、第1連結具16aが所定位置に回動して来る。この第1連結具16aは連結軸16cに固定されているので、連結軸16cは所定量回動する。その結果、連結軸16cの両端に固定されている第1連結金具16dが回動する。その回動によって、第1連結ボルト16eを介して、第2連結金具16fが回動する。その回動によって、第2連結ボルト16gを介して、第3連結金具16hが回動して所定の位置に移動する。その第3連結金具16hの回動移動によって、前輪アーム部13が移動する。
【0043】
例えば、刈高さシリンダ17のロッド17aが伸長すると、第1連結具16aが矢印Aに示すように回動する。その回動によって固定されている連結軸16cが矢印Bの方向に回動する。その回動によって、第1連結金具16が下方に回動し、それにつれて第2連結金具16fが下方に引き下ろされ、第3連結金具16hも下方へ移動する。その結果、前輪アーム部13は矢印Cのように下方に移動する。その結果、前輪12、12も下方に移動することになる。
【0044】
ここで、連結軸16cはブラケット16bによってデッキ部10に軸支されており、上記各部材の回動によって、前輪12が下方に移動するということは、前輪12側を基準にすると、デッキ部10側が上昇移動するということになる。すなわち、前輪12の下端が地面Gに接地しているとすると、デッキ部10の下端が地面Gに対して、高い位置をとることになって、刈り高さが高くなるということになる。
【0045】
逆に刈高さシリンダ17のロッド17aが縮小すると、逆回動によって、前輪アーム部13は上方へ移動することになり、地面Gに対して低い位置をとることになる。
【0046】
図18はその低い位置を示す略示側面図であり、その各部の骨格が太い線で略示されている。図19は高い位置をとった場合を示す略示側面図である。図18図19に示すように、刈り高さをシリンダ17によって変更しても、昇降アーム15、その前端部22、水平機構21、後アーム部14、第2連結支点20、回動連結部19、第1連結支点18、前輪アーム部13などの各部材の回動、移動によって、デッキ部10の水平状態は維持される。
【0047】
すなわち、前記前輪部12の下端と前記デッキ部10の下端との位置関係、具体的には、前記デッキ部10の下端の高さは、刈り高さの変更調節をした場合にも一意的に決まる。
次に、上述のようにして刈高さシリンダ17によって変更された刈高さがどの程度に調整されているのかを容易に確認できる機構について説明する。
【0048】
図5などに示すように、デッキ部10の上方の右側には、インジケータ機構25が設けられている。このインジケータ機構25は、第1連結部25a、第1連結ネジ25b、第2連結部25c、第2連結ネジ25d、第3連結部25e、第3連結ネジ25f、第4連結部25g、第4連結ネジ25h、回動軸25i、インジケータ25j、支持板25kで構成されている。
【0049】
すなわち、第1連結部25aは、上述した連結軸16cに固定された板片であり、第2連結部25cは、第1連結ネジ25bによって、第1連結部25aに回動可能に連結されている。この第2連結部25cはL字金具であり、棒状の第3連結部25eの一端に第2連結ネジ25dによって連結されている。さらに、第3連結部25eの他端は第3連結ネジ25fによって、板状の第4連結部25gに回動可能に連結されている。
【0050】
さらに、板状の第4連結部25gは第4連結ネジ25hによって、板状のインジケータ25jに固定されている。このインジケータ25jは回動軸25iによって、支持板25kに対して軸支され回動可能となっている。なお、この支持板25kはデッキ部10に立設している。
【0051】
ここに、インジケータ25jの上端は右方向外側に向かって折れ曲がり、先端25j1が三角形をなしている。
【0052】
このようなインジケータ25jは次のように動く。上述のように、刈高さシリンダ17のロッド17aが伸長すると、連結軸16cは、矢印B方向へ回動する。その結果、連結軸16cに固定されている第1連結部25aは矢印の方向へ回動し(図面上反時計方向)、それに引かれて第2連結部25cと第3連結部25eはともに矢印の方向へ移動する。
【0053】
それによって、第4連結部25gは、回動軸25iを支点として、時計方向へ回動する。その結果、インジケータ25jも矢印Dに示すように時計方向へ回動する。すなわち、インジケータ25jの先端25j1は後方へ移動する。
【0054】
逆に、刈高さシリンダ17のロッド17aが縮小すると、逆回動によって、インジケータ25jの先端25j1は前方へ移動する。
【0055】
次に、図8乃至図12に示すような右シリンダカバー24について説明する。右シリンダカバー24は箱型をしており、刈高さシリンダ17の外側側部と前輪アーム部15の上方とインジケータ機構25を覆う状態で、デッキ部10にネジ24bによって固定されている。左シリンダカバー23は刈高さシリンダ17の外側側部と前輪アーム部15の上方を覆っている。
【0056】
さらに、右シリンダカバー24の上面には矩形の切り欠き窓24aが設けられ、その窓24aの左側半分には上記インジケータ25jの先端25j1が突出している。さらに、その窓24aの右側半分には上方向に凸状の湾曲した目盛り板26が取り付けられている。すなわち、右シリンダカバー24に目盛り板26がその前端26aと後端26bで固定されて、一体化されている(図9参照)。これによって、目盛り板26が刈り高さシリンダ17を保護するとともに、インジケータ機構25も保護出来る。
【0057】
図13はその目盛り板26の平面図である。デッキ部10の地面Gからの高さを示す目盛り(mm単位)が刻まれている。本実施例では10mm単位で表記されている。10mm以下の調整は作業者の感覚で行う。さらに、目盛り板26が装着された状態において、そのメモ入りの数値は、前方ほど小さく(低い)、後方ほど大きくなっている。
【0058】
上述したように、インジケータ25jの先端25j1の動きは、刈高さシリンダ17のロッド17aの伸縮によるデッキ部10の刈高さの調節変化に対応しているので、インジケータ25jの先端25j1が指し示す目盛り板26の目盛り数値がその時の刈高さを示すように、各連結部位や、目盛り自身を調節しておくことで、一目で現在の刈高さを視認することが出来る。
【0059】
以下に目盛り板26についてさらに説明する。
【0060】
図13に示すように、目盛りの表示間隔DS,DS,DS...は、刈高さが低いほど大きくなっている。これによって、地面Gに近いほど細かく高さ調整が可能となる。
【0061】
さらに、インジケータ25jの先端25j1の動き方向(前後方向)と、刈高さ調整スイッチ27(本発明の刈高さ操作具の一例)のスイッチ動作の方向とは対応している。すなわち、刈高さ調整スイッチ27を前側に押すと、刈高さ先端25j1も前側へ移動し、刈高さ調整スイッチ27を後側に押すと、刈高さ先端25j1も後側へ移動する。なお、この刈高さ調整スイッチ27は、走行車体2の運転席3における操作パネルに設けられている。
【0062】
一方、インジケータ機構25は、インジケータ25jの先端25j1の動き方を調整できるようになっている。デッキ部10とシリンダ17やリンク機構16との溶接許容差と組み立て許容差に対して、正確に調整するためである。
【0063】
すなわち、図5に示すように、インジケータ25jと、第4連結部25gは第4連結ネジ25hによって、互いに連結されているが、その第4連結部25gには長孔25g1が穿設されており、その第4連結ネジ25hのネジ止めする位置を調整することで、インジケータ25jのストロークを調整できる。図14(A)は第4連結部25の正面図と側面図であり、(B)はストロークを示す。
【0064】
さらに、図15に示すように、第2連結ネジ25dを調節することで、インジケータ25jの初期位置を目盛り板26の目盛りに一致させるように調整できる。(A)は第3連結部25eと第2連結ネジ25を示し、(B)はインジケータ25jの初期位置(P)を示す。
【0065】
また、図16に示すように、目盛り板26の目盛りの文字の大きさを、運転席3からの視線(S)を考慮し、遠い側、本実施例では刈高さの低い目盛りほど、刈高さの高い目盛りより大きいサイズとする。運転席3から遠い位置を見えやすくし、特に、刈高さの低い調整を一層しやすくすることが出来る。
【0066】
また、図8に示すように、右シリンダカバー24と、左シリンダカバー23の上面の傾斜を前方から後方にかけて、斜めに下るようにすることが望ましい。これによって、作業中にカバー23,24の上に草が乗った場合、その草が走行車体2の後方へ滑り落とすことが出来る。
【0067】
また、図8に示すように、目盛り板26は上方に向かった凸の円弧上になっている。これによって、草が目盛り板26の上に乗っても滑り落ちることが期待できる。また、運転席3から目盛りが見やすくなる。
【0068】
また、図17に示すように、第1連結部25aの回動ピッチMを一定としながら、インジケータ25jの回動ピッチNを一定ではない回動ピッチとする。例えば、回動ピッチMを一定にしておいても、回動ピッチNを大きい状態から徐々に小さい状態に変化させることが出来る。すなわち、回動ピッチMが一定の状態において、第1連結ネジ25bが、その描く円軌道Uの上部分を移動している場合は、第4連結部25gの移動、つまりインジケータ25jの移動も大きいが、やがて、第1連結ネジ25bが下方に向いだすと、第4連結部25gの移動は小さくなりはじめ、つまり、インジケータ25jの移動も小さくなってくる。このようにして、回動ピッチNを一定ではない回動ピッチにすることが出来る。
【0069】
この工夫によって、図13に示すような、刈高さのピッチ間隔が低い場合は大きく、高い場合は小さい目盛り板26の目盛りが実現できることになる。すなわち、インジケータ25jは刈高さ調整位置が高い位置よりも低い位置のほうが大きく動くよう構成し、インジケータ25jの指し示す目盛の間隔を高い位置よりも低い位置の方を大きくしている。こうすることで、低い位置よりも高い位置のほうがインジケータ25jを大きく動くようにして、低い位置での微調整において、刈高さがどの程度に調整されているのかを容易に確認できるようになる。
【0070】
また、図5図6等に示すように、デッキ部10にはL字プレートである支持板25kが2枚向き合って立設されている。この2枚の支持板5kの間隔スペースに、前輪アーム部13がフリーな状態では入っている。この支持板25kは前輪アーム部13の左右方向のブレを防止する役割のためである。
【0071】
そして、上述したように、内側の支持板25kに回動軸25iによって、インジケータ25jが回動可能に取り付けられている。従って、前輪アーム部13の上方に目盛り板26を配置することが出来、運転席3から見やすい位置とすることが出来る。また、そのような構成によって、シリンダカバー23、24内にシリンダ17とリンク機構16を収めることが出来、両方の保護が可能である。
【0072】
なお、シリンダ27は、モータ駆動に限らない。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、現在の刈高さがどの程度に調整されているのかを容易に確認できる作業車両を提供できるので、モアに最適である。
【符号の説明】
【0074】
1 モアユニット1
2 走行車体
3 運転席
4、5 前輪、後輪
6 コレクター
G 地面
10 デッキ部
11 草刈機構
12 前輪部
13 前輪アーム部
14 後アーム部
15 昇降アーム
16 リンク機構
16a 第1連結具
16b ブラケット
16c 連結軸
16d 第1連結金具
16e 第1連結ボルト
16f 第2連結金具
16g 第2連結ボルト
16h 第3連結金具
17 刈高さシリンダ
23,24 シリンダカバー
25 インジケータ機構
25a 第1連結部
25b 第1連結ネジ
25c 第2連結部
25d 第2連結ネジ
25e 第3連結部
25f 第3連結ネジ
25g 第4連結部
25h 第4連結ネジ
25i 回動軸25
25j インジケータ
25k 支持板
26 目盛り板

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