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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ガスクロマトグラフィ分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/24 20060101AFI20240604BHJP
   G01N 30/54 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G01N30/24 A
G01N30/54 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020201719
(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2022089372
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003993
【氏名又は名称】弁理士法人野口新生特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小森 優輝
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04944781(US,A)
【文献】実開昭57-073657(JP,U)
【文献】特開2012-042253(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0245730(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00-30/96
B01J 20/281-20/292
G06Q 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に第1及び第2の注入ポートが水平面内の一方向へ並んで設けられているガスクロマトグラフ本体と、
前記ガスクロマトグラフ本体上において前記第1の注入ポートに対応する第1のポジションに配置されて前記第1の注入ポートを通じて試料を注入するか、又は前記第2の注入ポートに対応する第2のポジションに配置されて前記第2の注入ポートを通じて試料を注入するインジェクタと、
液を収容するバイアルを前記インジェクタへ供給するためのサンプラと、を備え
前記ガスクロマトグラフ本体は前記一方向へ配列された複数のピンを有し、
前記サンプラは前記ガスクロマトグラフ本体に設けられている前記複数のピンのうちの一部を挿し込むための穴を有し、前記複数のピンのうち前記穴に挿し込むピンを変更することによって前記ガスクロマトグラフ本体に対する前記サンプラの相対位置を第1の相対位置と第2の相対位置との間で変更することができ、
前記サンプラが前記第1の相対位置に位置決めされているときに前記第1のポジションに配置されている前記インジェクタが前記サンプラと特定の位置関係をとり、前記サンプラが前記第2の相対位置に位置決めされているときに前記第2のポジションに配置されている前記インジェクタが前記サンプラと前記特定の位置関係をとるように構成されている、ガスクロマトグラフィ分析システム。
【請求項2】
前記インジェクタは、正面及び背面を有し、前記正面側に複数のバイアルを同一円周上に並んでセットさせるための円形ターレットを備えている、請求項1に記載のガスクロマトグラフィ分析システム。
【請求項3】
前記インジェクタが対応している前記注入ポートとは別の注入ポートに対応するように前記ガスクロマトグラフ本体上において位置決めされた追加のインジェクタをさらに備え、
前記インジェクタと前記追加のインジェクタは互いの背面が対向するように配置され、
前記サンプラは、前記インジェクタとの間で第1の位置関係をもち、前記追加のインジェクタとの間で第2の位置関係をもつように決定された位置において前記ガスクロマトグラフ本体と係合している、請求項に記載のガスクロマトグラフィ分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクロマトグラフィ分析システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフィ分析システムでは、ガスクロマトグラフ本体の上にインジェクタが搭載されることが一般的である。インジェクタは、ガスクロマトグラフ本体の上面に設けられた注入ポートを通じて試料を注入する装置である。ガスクロマトグラフ本体の内部には、注入ポートを通じて注入された試料を気化して試料ガスを生成する試料気化室、試料気化室で生成された試料ガス中の成分を分離するための分離カラムなどによって構成される分析部が搭載されている。
【0003】
インジェクタには、試料を収容するバイアルがセットされるターレットが設けられており、ターレットにセットされているバイアルからシリンジによって試料が吸入されてガスクロマトグラフ本体の分析部へ注入される(特許文献1参照)。ターレットにセット可能なバイアルの数には限界があり、試料の数が多い場合には、すべての試料をインジェクタにセットすることができない。そのため、試料を収容したバイアルをインジェクタへ供給するサンプラがインジェクタと併用されることがある。サンプラは、複数のバイアルが配列されるバイアルテーブルと、そのバイアルテーブルに配列されているバイアルをインジェクタのターレットへ搬送する搬送アームとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-325153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1台のガスクロマトグラフ本体の内部に複数の分析部が搭載される場合がある。その場合、ガスクロマトグラフ本体の上面には各分析部のそれぞれに対応した複数の注入ポートが設けられる。ユーザは、ガスクロマトグラフに搭載されている複数の分析部のうちの任意の分析部を使用して分析を行なうことができる。分析に使用する分析部を変更する場合は、使用する分析部に対応する注入ポートの位置に合わせてガスクロマトグラフ本体上におけるインジェクタの位置も変更する必要がある。
【0006】
インジェクタにバイアルを供給するサンプラを使用する場合、少なくともサンプラの据付時にティーチングを実行することによって、サンプラの搬送アームがインジェクタのターレットとの間でバイアルの受渡しを行なう際の搬送アームの位置をシステムに記憶させる必要がある。ガスクロマトグラフ本体上におけるインジェクタの位置が変更されると、インジェクタとサンプラとの相対的な位置関係も変更されるため、ティーチングを再実行する必要がある。したがって、分析に使用する分析部を変更する度にサンプラのティーチングが必要となり、ユーザの作業負担が増大する。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、ガスクロマトグラフ本体上におけるインジェクタの位置が変更されたときのサンプラのティーチングを不要にすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るガスクロマトグラフィ分析システムは、上面に複数の注入ポートが設けられているガスクロマトグラフ本体と、前記ガスクロマトグラフ本体上において前記複数の注入ポートのうち任意に選択された注入ポートに対応するように位置決めされ、対応する前記注入ポートを通じて試料を注入するインジェクタと、液を収容するバイアルを前記インジェクタへ供給するためのサンプラであって、前記インジェクタとの間で特定の位置関係を有するように前記ガスクロマトグラフ本体上における前記インジェクタの位置に応じて決定された位置において前記ガスクロマトグラフ本体又は前記インジェクタと係合しているサンプラと、を備えている。すなわち、本発明では、サンプラとインジェクタとの相対的な位置関係が常に一定になるように、ガスクロマトグラフ本体上におけるインジェクタの位置に応じて位置にサンプラが位置決めされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るガスクロマトグラフィ分析システムによれば、サンプラは、インジェクタとの間で特定の位置関係を有するように前記ガスクロマトグラフ本体上における前記インジェクタの位置に応じて決定された位置において前記ガスクロマトグラフ本体又は前記インジェクタと係合し、それによって、前記サンプラと前記インジェクタとの相対的な位置関係が常に一定になるので、前記ガスクロマトグラフ本体上における前記インジェクタの位置が変更されても前記サンプラのティーチングを実行する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ガスクロマトグラフィ分析システムの一実施例を示す正面図である。
図2】同実施例を上方から見た図である。
図3】同実施例におけるサンプラの位置決め構造を示す図である。
図4】第1のポジションに配置されたインジェクタに対応する位置にサンプラが位置決めされているときの位置決め構造の状態を示す図である。
図5】同実施例においてインジェクタの位置を第2のポジションに移動させたときの状態を示す図である。
図6】第2のポジションに配置されたインジェクタに対応する位置にサンプラを移動させたときの位置決め構造の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るガスクロマトグラフィ分析システムの一実施例について説明する。
【0012】
図1はガスクロマトグラフィ分析システムの一実施例を示す正面図であり、図2はそのガスクロマトグラフィ分析システムを上方から見た図である。
【0013】
この実施例のガスクロマトグラフィ分析システムは、ガスクロマトグラフ本体2、2台のインジェクタ4A,4B、及び、サンプラ6を備えている。なお、この実施例では、2台のインジェクタ4A,4Bを備えているが、1台のインジェクタのみを備えた構成もあり得る。
【0014】
ガスクロマトグラフ本体2は、内部に複数の試料気化室を備えることができる。この実施例では、ガスクロマトグラフ本体2の内部に4つの試料気化室12-1~12-4が搭載されている場合について説明するが、3つ以下の試料気化室が搭載される場合もあり得る。また、試料気化室の最大搭載可能数が5つ以上であることもあり得る。
【0015】
ガスクロマトグラフ本体2の上面に試料気化室12-1~12-4のそれぞれに通じる注入ポート10-1~10-4が設けられている。注入ポート10-1~10-4は、ガスクロマトグラフ本体2の上面において同一直線状に並んで設けられている。各試料気化室12-1~12-4は、注入ポート10~1~10-4を通じて注入された試料を気化させて試料ガスを生成するためのものである。ガスクロマトグラフ本体2の内部には、各試料気化室12-1~12-4の下流にそれぞれ接続された分離カラムと、それらの分離カラムの下流に接続された検出器が設けられている。試料気化室12-1~12-4で生成された試料ガス中の成分は分離カラムにおいて分離され、分離された各成分が検出器によって検出される。
【0016】
インジェクタ4A及び4Bはガスクロマトグラフ本体2上に搭載されている。インジェクタ4Aはインジェクタ本体18A及び円形ターレット20Aを有し、インジェクタ4bはインジェクタ本体18B及び円形ターレット20Bを有する。インジェクタ4A及び4Bはそれぞれ正面及び背面を有し、それぞれの正面側に円形ターレット20A及び20Bが配置されている。インジェクタ4A及び4Bは、互いの背面が対向するように配置されている。インジェクタ本体18A及び18Bのそれぞれの内部に、液の吸入及び分注を行なうためのシリンジ19A及び19Bが設けられている。シリンジ19A及び19Bは、液の吸入及び分注を行なう先端が鉛直下方を向いた状態で上下動可能に設けられている。
【0017】
サンプラ6は、ガスクロマトグラフ本体2に設けられたサンプラ搭載台16上に載置されている。サンプラ6は、インジェクタ4A及び4Bの側方に位置して、インジェクタ4A及び4Bの各円形ターレット20A及び20Bへ試料の入ったバイアルVを供給するための装置である。サンプラ6はバイアルホルダ22及び搬送アーム24を備えている。バイアルホルダ22は、複数のバイアルVが平面的に配列される円形テーブルである。搬送アーム24は、バイアルホルダ22上において水平方向へ伸びるように設けられ、先端部にバイアルVを保持するためのグリッパ26を備えている。搬送アーム24は、バイアルホルダ22の中心を回転中心とした水平面内での回転と軸方向へのスライドにより、バイアルホルダ22の任意の位置、及び、バイアルホルダ22の外側に設定された所定の受渡し位置へ、グリッパ26を移動させることができる。グリッパ26は、バイアルVの外周面を上方から把持するために下方へ伸びた複数の爪28を備えている。
【0018】
ガスクロマトグラフ本体2の上面には、インジェクタ4A及び4Bを位置決めするための突起状の複数の位置決めピン14-1~14-4が設けられている。位置決めピン14-1はインジェクタ4Aを注入ポート10-1に対応させるために設けられ、位置決めピン14-2はインジェクタ4Aを注入ポート10-2に対応させるために設けられ、位置決めピン14-3はインジェクタ4Bを注入ポート10-3に対応させるために設けられ、位置決めピン14-4はインジェクタ4Bを注入ポート10-4に対応させるために設けられている。
【0019】
図2の例では、インジェクタ4Aの下面に設けられた所定の穴に位置決めピン14-1が嵌め込まれることによって、インジェクタ4Aのシリンジ19Aが注入ポート10-1の直上に位置している。また、インジェクタ4Bの下面に設けられた所定の穴に位置決めピン14-3が嵌め込まれることによって、インジェクタ4Bのシリンジ19Bが注入ポート10-3の直上に位置している。すなわち、インジェクタ4Aが注入ポート10-1に対応し、インジェクタ4bが注入ポート10-3に対応している。インジェクタ4Aは、シリンジ19Aを用いてターレット20AにセットされたバイアルVから試料を吸入し、注入ポート10-1を通じて試料注入部12-1へ試料を注入する。インジェクタ4bは、シリンジ19Bを用いてターレット20BにセットされたバイアルVから試料を吸入し、注入ポート10-3を通じて試料注入部12-3へ試料を注入する。
【0020】
ガスクロマトグラフ2上におけるインジェクタ4A及び4Bの位置を変更することによって、インジェクタ4A及び4Bのそれぞれが対応する注入ポートを変更ことができる。図2の状態から、インジェクタ4A及び4Bをそれぞれガスクロマトグラフ2の背面側へ移動させることにより、インジェクタ4Aを注入ポート10-2に対応させ、インジェクタ4Bを注入ポート10-4に対応させることができる(図5参照)。
【0021】
以下において、インジェクタ4Aが注入ポート10-1に対応し、インジェクタ4Bが注入ポート10-3に対応するときのインジェクタ4A及び4Bの位置(図2の位置)を「第1のポジション」、インジェクタ4Aが注入ポート10-2に対応し、インジェクタ4Bが注入ポート10-4に対応するときのインジェクタ4A及び4Bの位置(図5の位置)を「第2のポジション」と称する。
【0022】
サンプラ搭載台16上におけるサンプラ6の位置は、インジェクタ4A及び4Bのポジションに応じて決定される。ガスクロマトグラフ本体2の上面には、サンプラ6用の突起状の一対の第1の位置決めピン32-1及び一対の第2の位置決めピン32-2が交互に同一直線状に並んで配置されている。一対の第1の位置決めピン32-1は、インジェクタ4A及び4Bが第1のポジションに配置されるときのサンプラ6の位置決めに利用される係合部であり、一対の第2の位置決めピン32-2は、インジェクタ4A及び4Bが第2のポジションに配置されるときのサンプラ6の位置決めに利用される係合部である。
【0023】
サンプラ6には、第1の位置決めピン32-1及び第2の位置決めピン32-2を利用してサンプラ6を所定位置に位置決めするための位置決めプレート30が設けられている。図3に示されているように、位置決めプレート30の両端部(図3において上端部と下端部)に、一対の第1の位置決めピン32-1又は一対の第2の位置決めピン32-2を挿し込むための一対の位置決め穴34が設けられており、一対の位置決め穴34の間に2つの逃げ穴36が設けられている。この例では、一対の位置決め穴34に矢印が付されており、逃げ穴36と識別できるようになっている。
【0024】
インジェクタ4A及び4Bが第1のポジションに配置される場合、すなわち、インジェクタ4Aが注入ポート10-1に対応し、インジェクタ4Bが注入ポート10-3に対応する場合、図4に示されているように、一対の第1の位置決めピン32-1のそれぞれが位置決めプレート30の位置決め穴34に挿し込まれるようにサンプラ6が配置される。これにより、第1の位置決めピン32-1がサンプラ6と係合し、サンプラ6が第1のポジションに配置されたインジェクタ4A及び4Bに対応する位置に位置決めされる。このとき、サンプラ6とインジェクタ4Aとの相対的な位置関係が特定の位置関係(第1の位置関係)となり、サンプラ6とインジェクタ44Bとの相対的な位置関係が特定の位置関係(第2の位置関係)となるように、位置決めピン32-1の位置が設計されている。
【0025】
図5に示されているように、インジェクタ4A及び4Bが第2のポジションに配置される場合、すなわち、インジェクタ4Aが注入ポート10-2に対応し、インジェクタ4Bが注入ポート10-4に対応する場合、図6に示されているように、一対の第2の位置決めピン32-2のそれぞれが位置決めプレート30の位置決め穴34に挿し込まれるようにサンプラ6が配置される。これにより、第2の位置決めピン32-2がサンプラ6と係合し、サンプラ6が第2のポジションに配置されたインジェクタ4A及び4Bに対応する位置に位置決めされる。このときも、サンプラ6とインジェクタ4Aとの相対的な位置関係が特定の位置関係(第1の位置関係)となり、サンプラ6とインジェクタ44Bとの相対的な位置関係が特定の位置関係(第2の位置関係)となるように、位置決めピン32-2の位置が設計されている。
【0026】
上記のように、この実施例では、インジェクタ4A及び4Bが配置されているポジションに関係なく、インジェクタ4A及び4Bとの相対的な位置関係が特定の位置関係となるようにサンプラ6を位置決めすることが容易である。これにより、インジェクタ4A及び4Bが第1のポジションに配置されているときも第2のポジションに配置されているときも、インジェクタ4A及び4Bに対するサンプラ6の相対位置を一定に保つことができるので、インジェクタ4A及び4Bの位置を変更する前に取得していたサンプラ6のティーチング情報をそのまま利用することができる。したがって、インジェクタ4A及び4Bの位置を変更したときに、改めてサンプラ6のティーチングを実行する必要がない。
【0027】
上記実施例では、インジェクタ4A及び4Bが円形ターレット20A及び20Bを備えており、インジェクタ4A及び4Bのポジションを変更しようとした場合に、サンプラ6の位置も変更しなければターレット20A及び20Bがサンプラ6に干渉してしまうという問題が生じ得るが、上記のとおり、インジェクタ4A及び4Bのポジションに応じた位置にサンプラ6を位置決めできるので、ポジション変更後のティーチングを省略することができる。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、インジェクタに設けられているターレットが直線状のものであってもよい。
【0028】
また、上記実施例では、ガスクロマトグラフ本体2に設けられた位置決めピン32-1及び32-2がサンプラ6と係合することによってサンプラ6の位置決めがなされるように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、サンプラ6とインジェクタ4A、サンプラ6とインジェクタ4Bとがそれぞれ係合することによってサンプラ6とインジェクタ4A及び4Bとの相対的な位置関係がインジェクタ4A及び4Bのポジションによらずに一定に維持されるように構成されていてもよい。
【0029】
また、上記実施例では、2台のインジェクタを備えていることを前提として説明されているが、インジェクタを1台のみ使用する場合にも同様に本発明を適用することができる。要は、インジェクタを1台のみ使用する場合においても、インジェクタとサンプラとが常に特定の位置関係となるように、インジェクタのポジションに応じてサンプラが位置決めされるように構成されていればよい。例えば、1台のインジェクタ4Aのみを使用する場合、インジェクタ4Aを注入ポート10-1~10-4のうちの任意の注入ポートに対応させることができ、それによってインジェクタ4Aは4つのポジションを取り得る。その場合、インジェクタ4Aがどのようなポジションであってもインジェクタ4Aとサンプラ6とが特定の位置関係をもつように、インジェクタ4Aのポジションに応じた位置にサンプラ6を位置決めできるように構成される。
【0030】
また、上記実施例では、2台のインジェクタ4A及び4Bを使用する場合に、インジェクタ4Aが注入ポート10-1に対応し、インジェクタ4Bが注入ポート10-3に対応する「第1のポジション」、インジェクタ4Aが注入ポート10-2に対応し、インジェクタ4Bが注入ポート10-4に対応する「第2のポジション」の2つのポジションしかとれないように説明されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、インジェクタ4Aが注入ポート10-1に対応し、インジェクタ4Bが注入ポート10-2に対応する「第1のポジション」、インジェクタ4Aが注入ポート10-2に対応し、インジェクタ4Bが注入ポート10-3に対応する「第2のポジション」、インジェクタ4Aが注入ポート10-3に対応し、インジェクタ4Bが注入ポート10-4に対応する「第3のポジション」をとることができるように構成されていてもよい。その場合、インジェクタ4A及び4Bが第1のポジション、第2のポジション及び第3のポジションのいずれのポジションをとっている場合にもインジェクタ4A及び4Bとサンプラ6とが特定の位置関係をもつ位置にサンプラ6を位置決めできるように構成される。
【0031】
すなわち、以上において説明した実施例は、本発明に係るガスクロマトグラフィ分析システムの実施形態の一例を示したに過ぎない。本発明に係るガスクロマトグラフィ分析システムの実施形態は、以下に示すとおりである。
【0032】
本発明に係るガスクロマトグラフィ分析システムの一実施形態では、上面に複数の注入ポートが設けられているガスクロマトグラフ本体と、前記ガスクロマトグラフ本体上において前記複数の注入ポートのうち任意に選択された注入ポートに対応するように位置決めされ、対応する前記注入ポートを通じて試料を注入するインジェクタと、液を収容するバイアルを前記インジェクタへ供給するためのサンプラであって、前記インジェクタとの間で特定の位置関係を有するように前記ガスクロマトグラフ本体上における前記インジェクタの位置に応じて決定された位置において前記ガスクロマトグラフ本体又は前記インジェクタと係合しているサンプラと、を備えている。
【0033】
上記一実施形態の第1の態様では、前記ガスクロマトグラフ本体は、前記サンプラが前記インジェクタとの間で前記特定の位置関係を有するように、前記ガスクロマトグラフ本体上における前記インジェクタの位置に応じて決定される位置において前記サンプラを係合させるための複数の係合部を有する。このような態様により、インジェクタの位置に応じて決定される位置へのサンプラの位置決めが容易である。
【0034】
上記第1の態様において、前記係合部は、前記サンプラに設けられた穴に挿し込まれることによって前記サンプラと係合するピンであってよい。
【0035】
上記一実施形態の第2の態様では、前記インジェクタは、正面及び背面を有し、前記正面側に複数のバイアルを同一円周上に並んでセットさせるための円形ターレットを備えている。
【0036】
上記第2の態様において、前記インジェクタが対応している前記注入ポートとは別の注入ポートに対応するように前記ガスクロマトグラフ本体上において位置決めされた追加のインジェクタをさらに備え、前記インジェクタと前記追加のインジェクタは互いの背面が対向するように配置され、前記サンプラは、前記インジェクタとの間で第1の位置関係をもち、前記追加のインジェクタとの間で第2の位置関係をもつように決定された位置において前記ガスクロマトグラフ本体、又は、前記インジェクタ及び前記追加のインジェクタと係合していてもよい。
【符号の説明】
【0037】
2 ガスクロマトグラフ本体
4A,4B インジェクタ
6 サンプラ
10-1~10-4 注入ポート
12-1~12-4 試料気化室
14-1~14-4 位置決めピン(インジェクタ用)
16 サンプラ搭載台
18A,18B インジェクタ本体
19A,19B シリンジ
20A,20B 円形ターレット
22 バイアルホルダ
24 搬送アーム
26 グリッパ
28 爪
30 位置決めプレート
32-1 第1の位置決めピン
32-2 第2の位置決めピン
34 位置決め穴
36 逃げ穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6