(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】制御装置、タスクシステム、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
(21)【出願番号】P 2020216572
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】中本 圭昭
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
(72)【発明者】
【氏名】高木 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】太田 順也
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-075167(JP,A)
【文献】国際公開第2020/075515(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが利用する施設内でタスクを実行させるためにロボットを制御する装置であって、
前記タスクの指令情報を取得する指令取得部と、
前記タスクが完了する時刻を算出する完了時刻算出部と、
前記ユーザの位置情報を取得する位置取得部と、
前記ユーザの位置情報に基づいて当該ユーザが前記施設に到着する時刻を算出する到着時刻算出部と、
前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯を示す情報を取得する実行時間取得部と、
前記ユーザが前記施設に到着する時刻までに前記タスクが完了するか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果又は前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯に基づいて、前記ロボットを制御する制御部と、
を備え、
前記実行時間取得部は、複数のロボットのロボット毎又は複数のタスクのタスク毎に、前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯を示す情報を取得
し、
前記完了時刻算出部は、現在の時刻と前記タスクが完了する時刻とに基づいて、前記ロボットによる前記タスクの実行予定時間を算出し、
前記ユーザが前記施設に到着する時刻までに前記タスクが完了せず、且つ、前記ロボットによる前記タスクの実行予定時間の少なくとも一部が前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯内の場合、前記制御部は、前記ロボットが前記タスクを実行するように当該ロボットを制御する、制御装置。
【請求項2】
前記ロボットによるタスクの実行予定時間の少なくとも一部が前記ロボットにタスクを実行させる時間帯内の場合、前記制御部は、少なくとも前記ロボットにタスクを実行させる時間帯内において、予め設定された通常動作速度で前記ロボットが動作するように当該ロボットを制御する、請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記ロボットによるタスクの実行予定時間の少なくとも一部が前記ロボットにタスクを実行させる時間帯外の場合、前記制御部は、少なくとも前記ロボットにタスクを実行させる時間帯外において、予め設定された通常動作速度より遅い最大動作速度以下で前記ロボットが動作するように当該ロボットを制御する、請求項1
又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の制御装置と、
前記制御装置によって制御されるロボットと、
前記施設に配置され、前記ユーザを検出する第1の検出部と、
前記ユーザが所持し、前記ユーザの位置を検出する第2の検出部と、
前記複数のロボットのロボット毎又は前記複数のタスクのタスク毎に、前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯を設定可能な実行時間設定部と、
を備える、タスクシステム。
【請求項5】
前記ロボットの最大動作速度を設定する最大速度設定部を備える、請求項
4に記載のタスクシステム。
【請求項6】
ユーザが利用する施設内でタスクを実行させるためにロボットを制御する方法であって、
前記タスクの指令情報を取得する工程と、
前記タスクの所要時間
と現在の時刻とに基づいて当該タスクが完了する時刻を算出する工程と、
前記ユーザの位置情報を取得する工程と、
前記ユーザの位置情報に基づいて当該ユーザが前記施設に到着する時刻を算出する工程と、
前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯を示す情報を取得する工程と、
前記ユーザが前記施設に到着する時刻までに前記タスクが完了するか否かを判定する工程と、
前記タスクが完了するか否かの判定結果又は前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯に基づいて、前記ロボットを制御する工程と、
を備え、
複数のロボットのロボット毎又は複数のタスクのタスク毎に、前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯を示す情報を取得
し、
現在の時刻と前記タスクが完了する時刻とに基づいて、前記ロボットによる前記タスクの実行予定時間を算出し、
前記ロボットによるタスクの実行予定時間の少なくとも一部が前記ロボットにタスクを実行させる時間帯内の場合、少なくとも前記ロボットにタスクを実行させる時間帯内において、予め設定された通常動作速度で前記ロボットが動作するように当該ロボットを制御する、制御方法。
【請求項7】
ユーザが利用する施設内でタスクを実行させるためにロボットを制御するプログラムであって、
前記タスクの指令情報を取得する処理と、
前記タスクの所要時間
と現在の時刻とに基づいて当該タスクが完了する時刻を算出する処理と、
前記ユーザの位置情報を取得する処理と、
前記ユーザの位置情報に基づいて当該ユーザが前記施設に到着する時刻を算出する処理と、
前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯を示す情報を取得する処理と、
前記ユーザが前記施設に到着する時刻までに前記タスクが完了するか否かを判定する処理と、
前記タスクが完了するか否かの判定結果又は前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯に基づいて、前記ロボットを制御する処理と、
を備え、
複数のロボットのロボット毎又は複数のタスクのタスク毎に、前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯を示す情報を取得
し、
現在の時刻と前記タスクが完了する時刻とに基づいて、前記ロボットによる前記タスクの実行予定時間を算出し、
前記ロボットによるタスクの実行予定時間の少なくとも一部が前記ロボットにタスクを実行させる時間帯外の場合、少なくとも前記ロボットにタスクを実行させる時間帯外において、予め設定された通常動作速度より遅い最大動作速度以下で前記ロボットが動作するように当該ロボットを制御する処理をコンピュータに実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、タスクシステム、制御方法及び制御プログラムに関し、例えば、ユーザが利用する施設内でタスクを実行させるためのロボットの制御装置、タスクシステム、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅などの施設内でロボットがタスクを実行するために動作することがある。例えば、特許文献1には、ユーザの帰宅予定時刻を推定し、当該帰宅予定時刻までに調理ロボットが料理を完成させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、以下の課題を見出した。ロボットが実行するタスクが多様化しており、ユーザが帰宅後であってもタスクを継続してほしい場合がある。そのため、ユーザのニーズに合わせて、複数のロボットのロボット毎に、ロボットがタスクを実行する時間帯や複数のタスクのタスク毎に、ロボットがタスクを実行する時間帯を最適化できることが望まれている。
【0005】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、複数のロボットのロボット毎に、ロボットがタスクを実行する時間帯や複数のタスクのタスク毎に、ロボットがタスクを実行する時間帯を最適化できる、制御装置、タスクシステム、制御方法及び制御プログラムを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の制御装置は、ユーザが利用する施設内でタスクを実行させるためにロボットを制御する装置であって、
前記タスクの指令情報を取得する指令取得部と、
前記タスクが完了する時刻を算出する完了時刻算出部と、
前記ユーザの位置情報を取得する位置取得部と、
前記ユーザの位置情報に基づいて当該ユーザが前記施設に到着する時刻を算出する到着時刻算出部と、
前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯を示す情報を取得する実行時間取得部と、
前記ユーザが前記施設に到着する時刻までに前記タスクが完了するか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果又は前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯に基づいて、前記ロボットを制御する制御部と、
を備え、
前記実行時間取得部は、複数のロボットのロボット毎又は複数のタスクのタスク毎に、前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯を示す情報を取得する。
【0007】
上述の制御装置において、前記完了時刻算出部は、現在の時刻と前記タスクが完了する時刻とに基づいて、前記ロボットによる前記タスクの実行予定時間を算出し、
前記ユーザが前記施設に到着する時刻までに前記タスクが完了せず、且つ、前記ロボットによる前記タスクの実行予定時間の少なくとも一部が前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯内の場合、前記制御部は、前記ロボットが前記タスクを実行するように当該ロボットを制御することが好ましい。
【0008】
上述の制御装置において、前記完了時刻算出部は、現在の時刻と前記タスクが完了する時刻とに基づいて、前記ロボットによる前記タスクの実行予定時間を算出し、
前記ロボットによるタスクの実行予定時間の少なくとも一部が前記ロボットにタスクを実行させる時間帯内の場合、前記制御部は、少なくとも前記ロボットにタスクを実行させる時間帯内において、予め設定された通常動作速度で前記ロボットが動作するように当該ロボットを制御することが好ましい。
【0009】
上述の制御装置において、前記完了時刻算出部は、現在の時刻と前記タスクが完了する時刻とに基づいて、前記ロボットによる前記タスクの実行予定時間を算出し、
前記ロボットによるタスクの実行予定時間の少なくとも一部が前記ロボットにタスクを実行させる時間帯外の場合、前記制御部は、少なくとも前記ロボットにタスクを実行させる時間帯外において、予め設定された通常動作速度より遅い最大動作速度以下で前記ロボットが動作するように当該ロボットを制御することが好ましい。
【0010】
本開示の一態様のタスクシステムは、
上述の制御装置と、
前記制御装置によって制御されるロボットと、
前記施設に配置され、前記ユーザを検出する第1の検出部と、
前記ユーザが所持し、前記ユーザの位置を検出する第2の検出部と、
前記複数のロボットのロボット毎又は前記複数のタスクのタスク毎に、前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯を設定可能な実行時間設定部と、
を備える。
【0011】
上述のタスクシステムは、前記ロボットの最大動作速度を設定する最大速度設定部を備えることが好ましい。
【0012】
本開示の一態様の制御方法は、ユーザが利用する施設内でタスクを実行させるためにロボットを制御する方法であって、
前記タスクの指令情報を取得する工程と、
前記タスクの所要時間を算出する工程と、
前記ユーザの位置情報を取得する工程と、
前記ユーザの位置情報に基づいて当該ユーザが前記施設に到着する時刻を算出する工程と、
前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯を示す情報を取得する工程と、
前記ユーザが前記施設に到着する時刻までに前記タスクが完了するか否かを判定する工程と、
前記タスクが完了するか否かの判定結果又は前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯に基づいて、前記ロボットを制御する工程と、
を備え、
複数のロボットのロボット毎又は複数のタスクのタスク毎に、前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯を示す情報を取得する。
【0013】
本開示の一態様の制御プログラムは、ユーザが利用する施設内でタスクを実行させるためにロボットを制御するプログラムであって、
前記タスクの指令情報を取得する処理と、
前記タスクの所要時間を算出する処理と、
前記ユーザの位置情報を取得する処理と、
前記ユーザの位置情報に基づいて当該ユーザが前記施設に到着する時刻を算出する処理と、
前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯を示す情報を取得する処理と、
前記ユーザが前記施設に到着する時刻までに前記タスクが完了するか否かを判定する処理と、
前記タスクが完了するか否かの判定結果又は前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯に基づいて、前記ロボットを制御する処理と、
を備え、
複数のロボットのロボット毎又は複数のタスクのタスク毎に、前記ロボットに前記タスクを実行させる時間帯を示す情報を取得する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、複数のロボットのロボット毎に、ロボットがタスクを実行する時間帯や複数のタスクのタスク毎に、ロボットがタスクを実行する時間帯を最適化できる、制御装置、タスクシステム、制御方法及び制御プログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1のタスクシステムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】実施の形態1の制御装置の機能要素を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1のタスクシステムを用いてタスクを実行する流れを示すフローチャート図である。
【
図4】実施の形態2のタスクシステムの構成を概略的に示す図である。
【
図5】実施の形態3のタスクシステムの構成を概略的に示す図である。
【
図6】制御装置及びタスクシステムに含まれるハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本開示が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0017】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態のタスクシステムの構成を概略的に示す図である。タスクシステム1は、例えば、
図1に示すように、住宅などのユーザが利用する施設内でロボット2がタスクを実行する際に用いることができる。そのため、ユーザは一人又は複数人である。ここで、以下の説明では、施設として住宅の場合を代表して説明する。
【0018】
タスクシステム1は、例えば、
図1に示すように、ロボット2、第1の検出部3、第2の検出部4、タスク指令部5、実行時間設定部6及び制御装置7を備えている。ロボット2は、例えば、左右の駆動輪を回転させることで自律移動するロボットである。
【0019】
ロボット2は、例えば、左右の駆動輪を回転させる左右の駆動機構21、複数のタスクを実行するためのロボットアームなどのタスク実行機構22、及び左右の駆動機構21並びにタスク実行機構22を制御する制御部23を備えている。なお、タスクは、家事支援や荷物の運搬などのタスクであり、公知のロボットで実行可能なタスクであればよい。
【0020】
また、ロボット2は、複数のタスクを実行可能な構成とされていれば、人型ロボットであってもよい。ロボット2は、ネットワーク10と接続されている。ここで、ネットワーク10は、例えば、インターネットであり、電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0021】
第1の検出部3は、住宅の各部屋に配置されており、住宅内に存在するユーザを検出する。第1の検出部3は、例えば、赤外線カメラなどの人感センサで構成することができる。但し、第1の検出部3は、住宅内に存在する人を検出可能なセンサであればよい。第1の検出部3は、ネットワーク10と接続されている。
【0022】
第2の検出部4は、ユーザの位置を検出する。第2の検出部4は、例えば、
図1に示すように、ユーザが所持するスマートフォンなどの携帯端末11に搭載されたGPS(Global Positioning System)受信機で構成することができる。
【0023】
但し、第2の検出部4は、現在のユーザの位置を検出することができれば、他の衛星測位システムなどの公知の位置情報システムを用いることができる。第2の検出部4は、ネットワーク10と接続されている。
【0024】
タスク指令部5は、ロボット2が実行するタスクの内容(種別)を入力(指令)するためにユーザ又は他の人に操作される。タスク指令部5は、例えば、
図1に示すように、携帯端末11に搭載されているとよく、携帯端末11の表示部に表示されるタスクの内容をユーザが選択することで入力することができる。タスク指令部5は、ネットワーク10と接続されている。なお、タスク指令部5は、タスクを実行するために必要な情報を入力可能であればよい。
【0025】
実行時間設定部6は、ロボット2にタスクを実行させる時間帯を設定するためにユーザ又は他の人に操作される。実行時間設定部6は、例えば、
図1に示すように、携帯端末11に搭載されているとよく、携帯端末11を介してユーザが、複数のタスクのタスク毎に、ロボット2にタスクを実行させる時間帯を設定することができる。実行時間設定部6は、ネットワーク10と接続されている。
【0026】
ここで、本実施の形態「ロボット2にタスクを実行させる時間帯」は、ユーザが希望する最も早いタスクの開始時刻から最も遅いタスクの完了時刻までの幅を有する時間帯のことである。つまり、本実施の形態の「ロボット2にタスクを実行させる時間帯」は、ユーザが希望する、タスクの開始から完了までのロボット2の動作時間帯である。
【0027】
図2は、本実施の形態の制御装置の機能要素を示すブロック図である。制御装置7は、
図2に示すように、指令取得部71、完了時刻算出部72、位置取得部73、到着時刻算出部74、実行時間取得部75、判定部76、格納部77及び制御部78を備えており、ネットワーク10と接続されている。
【0028】
指令取得部71は、タスク指令部5から受信した、ロボット2に実行させるタスクの内容を示す情報を取得する。なお、指令取得部71は、タスク指令部5を備えていてもよく、要するに、ユーザが入力したタスクの内容を取得できればよい。
【0029】
完了時刻算出部72は、タスクが完了する時刻を算出する。完了時刻算出部72は、ユーザによって指令されたタスクの内容、予め設定されているロボット2の移動速度及びロボット2のタスク実行機構22の動作速度などに基づいて、タスクの所要時間を算出し、算出したタスクの所要時間及び現在の時刻に基づいて、タスクが完了する時刻を算出する。
【0030】
このとき、完了時刻算出部72は、現在の時刻及びタスクが完了する時刻に基づいて、ロボット2によるタスクの実行予定時間を算出するとよい。つまり、「タスクの実行予定時間」とは、ロボット2がタスクを開始する現在の時刻からタスクの所要時間が経過した当該タスクが完了する時刻までのロボット2の動作予定時間である。
【0031】
位置取得部73は、第2の検出部4から受信した検出情報に基づいて、現在のユーザの位置情報を取得する。このとき、位置取得部73は、ユーザの位置をリアルタイムに取得するとよい。但し、位置取得部73は、第2の検出部4を備えていてもよく、要するに、現在のユーザの位置を取得できればよい。
【0032】
到着時刻算出部74は、ユーザが住宅に到着する時刻を算出する。到着時刻算出部74は、例えば、現在のユーザの位置及び当該ユーザの移動速度などに基づいて、ユーザが住宅に到着する時刻を算出する。このとき、到着時刻算出部74は、リアルタイムに取得したユーザの位置情報に基づいて、ユーザが施設に到着する時刻を更新するとよい。
【0033】
但し、到着時刻算出部74は、公共交通機関の時刻表情報や所要時間情報などを利用して、現在のユーザの位置から最短経路で住宅に到達する時刻を算出してもよく、公知の算出手法を用いてユーザが住宅に到着する時刻を算出すればよい。
【0034】
実行時間取得部75は、実行時間設定部6から受信した情報が示す、複数のタスクのタスク毎に設定された、ロボット2にタスクを実行させる時間帯を取得する。なお、実行時間取得部75は、実行時間設定部6を備えていてもよく、要するに、複数のタスクのタスク毎に設定された、ロボット2にタスクを実行させる時間帯を取得できればよい。
【0035】
判定部76は、ユーザが住宅内に存在するか否かを判定したり、ユーザが住宅に到着する時刻までにタスクが完了するか否かを判定したり、タスクの実行予定時間がロボット2にタスクを実行させる時間帯内か否かを判定したり、する。
【0036】
格納部77は、ロボット2に実行させる複数のタスクの種別情報、ロボット2の移動速度情報、ロボット2のタスク実行機構22の動作速度情報、及び複数のタスクのタスク毎にロボット2にタスクを実行させる時間帯情報などを格納する。なお、格納部77は、複数のタスクのタスク毎の所要時間情報が格納されていてもよい。
【0037】
制御部78は、詳細は後述するが、判定部76の判定結果に基づいて、ロボット2を制御する。また、制御部78は、タスク指令部5から送信された情報が示すタスクの指令に基づいて、第1の検出部3及び第2の検出部4を制御する。
【0038】
次に、本実施の形態のタスクシステム1を用いてタスクを実行する流れを説明する。
図3は、本実施の形態のタスクシステムを用いてタスクを実行する流れを示すフローチャート図である。
【0039】
ここで、複数のタスクのタスク毎に、ロボット2にタスクを実行させる時間帯を、ユーザが携帯端末11に搭載された実行時間設定部6を介して予め設定しており、複数のタスクのタスク毎に設定された、ロボット2にタスクを実行させる時間帯を示す情報が格納部77に格納されているものとする。
【0040】
先ず、ユーザが携帯端末11に搭載されたタスク指令部5を介してタスクの内容を入力すると、タスク指令部5はタスクの内容を示す情報を制御装置7に送信する。これにより、タスクシステム1は、タスクの実行を開始する。
【0041】
そして、制御装置7の制御部78は、住宅内のユーザを検出するために第1の検出部3を制御する。第1の検出部3は、住宅内に存在するユーザの検出を実行し、検出情報を制御装置7に送信する(S1)。
【0042】
次に、制御装置7の判定部76は、受信した検出情報に基づいて、住宅内にユーザが存在するか否かを判定する(S2)。そして、判定部76は、検出情報に基づいて人を検出した場合、ユーザが住宅内に存在すると判定する(S2のYES)。ここで、ユーザが複数の場合、例えば、一人が住宅内に存在すると、住宅内にユーザが存在すると判定することができる。
【0043】
次に、ユーザが住宅内に存在すると判定した場合、制御装置7の完了時刻算出部72は、ユーザによって指令されたタスクの内容、ロボット2の移動速度及びロボット2のタスク実行機構22の動作速度などに基づいて、タスクの所要時間を算出し、算出したタスクの所要時間及び現在の時刻に基づいて、タスクの実行予定時間を算出する。
【0044】
そして、制御装置7の判定部76は、算出したタスクの実行予定時間がロボット2にタスクを実行させる時間帯内か否かを判定する(S3)。タスクの実行予定時間がロボット2にタスクを実行させる時間帯内である場合(S3のYES)、制御装置7の制御部78は、タスクを継続するように、ロボット2の制御部23に制御情報を送信する。
【0045】
ロボット2の制御部23は、タスクが継続されるように、駆動機構21及びタスク実行機構22を制御する(S4)。その後、ロボット2の制御部23は、タスクが完了すると、タスクが完了したことを示す情報を制御装置7に送信する。制御装置7は、タスクが完了したことを示す情報を受信すると、ロボット2によるタスクを終了させる。これにより、ユーザが設定したロボット2にタスクを実行させる時間帯内に、タスクを完了させることができる。
【0046】
一方、算出したタスクの実行予定時間の少なくとも一部がロボット2にタスクを実行させる時間帯外である場合(S3のNO)、制御装置7は、タスクを中止する(S5)。これにより、ロボット2にタスクを実行させる時間帯外に、ロボット2がタスクを実行することを抑制でき、ロボット2がタスクを実行する際の当該ロボット2の動作音によるユーザの不快を抑制することができる。
【0047】
制御装置7の判定部76は、検出情報に基づいて人を検出しなかった場合、ユーザが住宅内に存在しないと判定する(S2のNO)。そして、制御装置7の制御部78は、ユーザの位置情報を取得するために第2の検出部4を制御する。
【0048】
第2の検出部4は、例えば、GPS衛星からユーザの位置の検出情報を取得すると、ユーザの位置情報を制御装置7に送信する。これにより、制御装置7の位置取得部73は、ユーザの位置情報を取得する(S6)。
【0049】
次に、制御装置7の完了時刻算出部72は、ユーザによって指令されたタスクの内容、ロボット2の移動速度及びロボット2のタスク実行機構22の動作速度などに基づいて、タスクの所要時間を算出し、算出したタスクの所要時間及び現在の時刻に基づいて、タスクが完了する時刻及びタスクの実行予定時間を算出する。
【0050】
次に、制御装置7の到着時刻算出部74は、受信した情報が示すユーザの位置に基づいて、ユーザが住宅に到着する時刻を算出する。ここで、ユーザが複数の場合、最も早く住宅に到着するユーザの到着時刻を代表して、ユーザが住宅に到着する時刻とすることができる。なお、タスクの完了時刻の算出とユーザの到着時刻の算出とは、前後逆でもよい。
【0051】
そして、制御装置7の判定部76は、ユーザが住宅に到着するまでにタスクが完了するか否かを判定する(S7)。詳細には、判定部76は、ユーザが住宅に到着する時刻よりタスクが完了する時刻が前か否かを判定する。
【0052】
ユーザが住宅に到着する時刻よりタスクが完了する時刻が前の場合、制御装置7の判定部76は、ユーザが住宅に到着するまでにタスクが完了すると判定する(S7のYES)。そして、制御装置7の制御部78は、タスクを継続するように、ロボット2の制御部23に制御情報を送信する。
【0053】
ロボット2の制御部23は、タスクが継続されるように、駆動機構21及びタスク実行機構22を制御する(S8)。その後、ロボット2の制御部23は、タスクが完了すると、タスクが完了したことを示す情報を制御装置7に送信する。制御装置7は、タスクが完了したことを示す情報を受信すると、ロボット2によるタスクを終了させる。
【0054】
これにより、ユーザが住宅に到着するまでにタスクを完了させることができる。そのため、ロボット2がタスクを実行することによるロボット2の動作音をユーザが不快に感じることがない。
【0055】
一方、ユーザが住宅に到着する時刻よりタスクが完了する時刻が後の場合、制御装置7の判定部76は、ユーザが住宅に到着するまでにタスクが完了しないと判定する(S7のNO)。そして、判定部76は、タスクの実行予定時間がロボット2にタスクを実行させる時間帯内か否かを判定する(S9)。
【0056】
タスクの実行予定時間がロボット2にタスクを実行させる時間帯内である場合(S9のYES)、制御装置7の制御部78は、タスクを継続するように、ロボット2の制御部23に制御情報を送信する。
【0057】
ロボット2の制御部23は、タスクが継続されるように、駆動機構21及びタスク実行機構22を制御する(S10)。その後、ロボット2の制御部23は、タスクが完了すると、タスクが完了したことを示す情報を制御装置7に送信する。制御装置7は、タスクが完了したことを示す情報を受信すると、ロボット2によるタスクを終了させる。
【0058】
これにより、例えば、タスクの完了時刻がユーザの到着時刻後であっても、ユーザがタスクの完了を希望している場合、タスクを継続させて完了させることができる。
【0059】
一方、タスクの実行予定時間の少なくとも一部がロボット2にタスクを実行させる時間帯外である場合(S9のNO)、制御装置7は、タスクを中止する(S11)。これにより、ロボット2にタスクを実行させる時間帯外に、ロボット2がタスクを実行することを抑制でき、ロボット2がタスクを実行する際の当該ロボット2の動作音によるユーザの不快を抑制することができる。
【0060】
このように本実施の形態の制御装置7、タスクシステム1及び制御方法は、複数のタスクのタスク毎にロボット2にタスクを実行させる時間帯を設定することができるので、ユーザのニーズに合わせて、複数のタスクのタスク毎にロボット2にタスクを実行させる時間帯を最適化できる。
【0061】
しかも、タスクの実行予定時間の少なくとも一部がロボット2にタスクを実行させる時間帯外の場合、ロボット2の動作を制限(例えば、タスクを中止)するので、当該時間帯外でユーザがロボット2の動作音を不快に感じることを抑制できる。
【0062】
<実施の形態2>
図4は、本実施の形態のタスクシステムの構成を概略的に示す図である。実施の形態1のタスクシステム1は、一台のロボット2が複数のタスクを実行しているが、本実施の形態のタスクシステム101は、例えば、複数のロボット102が一つのタスクを実行する。
【0063】
この場合、実施の形態1と略同様にタスクを実行することができるが、複数のタスクのタスク毎にロボットにタスクを実行させる時間帯を設定するのではなく、ロボット102毎にタスクを実行させる時間帯を設定すればよい。
【0064】
これにより、本実施の形態では、複数のロボット102のロボット102毎に、ロボット102にタスクを実行させる時間帯を設定することができ、結果として、実施の形態1と同様に、ユーザのニーズに合わせて、複数のタスクのタスク毎にロボット102にタスクを実行させる時間帯を最適化できる。
【0065】
但し、ロボット102が複数のタスクを実行してもよく、その場合、実施の形態1との組み合わせによって所望のロボット102に所望のタスクを実行させることができる。
【0066】
<実施の形態3>
上記実施の形態では、タスクの実行予定時間の少なくとも一部がロボットにタスクを実行させる時間帯外の場合、タスクを中止しているが、少なくともロボットにタスクを実行させる時間帯外において、設定された最大動作速度以下でロボットが動作するように、ロボットの動作を制限してタスクを実行させてもよい。
【0067】
このとき、ロボットにタスクを実行させる時間帯内においては、設定された通常動作速度でロボットを動作させ、ロボットにタスクを実行させる時間帯外においては、設定された最大動作速度でロボットを動作させるとよい。ここで、「通常動作」とは、動作速度が制限されていない状態での動作である。
【0068】
ロボットの最大動作速度は、ユーザが住宅内に存在する状態でロボットがタスクを実行する際に、ユーザがロボットの動作音を不快に感じない騒音レベル以下で当該ロボットが動作する速度であればよく、ロボットの通常動作速度に対して遅い。
【0069】
このようなロボットの最大動作速度は、実際にロボットにタスクを実行させ、例えば、
図5に示すように、携帯端末11に搭載された最大速度設定部201を介して、ユーザがロボットの動作音を不快に感じない当該ロボットの動作速度に設定すればよい。
【0070】
ちなみに、ロボットの最大動作速度は、入力をロボットの動作音量とし、出力をロボットの最大動作速度とするモデルを、複数の人が不快に感じない評価を正解として教師あり学習することで、設定してもよい。
【0071】
このようにロボットの最大動作速度を設定することで、ロボットにタスクを実行させる時間帯外であっても、ユーザがロボットの動作音を不快に感じることを抑制しつつ、タスクを完了させることができる。
【0072】
<他の実施の形態>
上記実施の形態に係る制御装置及びタスクシステムは、次のようなハードウェア構成を備えることができる。
図6は、制御装置及びタスクシステムに含まれるハードウェア構成の一例を示す図である。上述した様々な実施の形態において、制御装置及びタスクシステムにおける処理の手順を説明したように、本開示は制御方法としての形態も採り得る。
【0073】
図6に示す制御装置は、インタフェース303と共に、プロセッサ301及びメモリ302を備えている。上述した実施の形態で説明したタスクシステムの一部、及び制御装置の構成は、プロセッサ301がメモリ302に記憶された制御プログラムを読み込んで実行することにより実現される。つまり、このプログラムは、プロセッサ301をタスクシステムの一部、又は制御装置の構成として機能させるためのプログラムである。このプログラムは、タスクシステム及び制御装置に、その構成、又はその一部における処理を実行させるためのプログラムであると言える。
【0074】
上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータ(情報通知装置を含むコンピュータ)に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、この例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/Wを含む。さらに、この例は、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM、EPROM、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0075】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0076】
例えば、上記実施の形態では、「ロボット2にタスクを実行させる時間帯」として、ユーザが希望する最も早いタスクの開始時刻から最も遅いタスクの完了時刻までの幅を有する時間帯を設定しているが、ユーザが希望する最も早いタスクの開始時刻から最も遅いタスクの開始時刻までの幅を有する時間帯を設定してもよい。つまり、「ロボット2にタスクを実行させる時間帯」は、ユーザが希望する、タスクの開始時間帯であってもよい。
【0077】
この場合、S3及びS9の工程において、現在の時刻がロボット2にタスクを実行させる時間帯前又は時間帯内か否かを判定し、現在の時刻がロボット2にタスクを実行させる時間帯前の場合、時刻がロボット2にタスクを時間帯に差し掛かると、ロボット2にタスクを実行させる、又は現在の時刻がロボット2にタスクを実行させる時間帯内の場合、ロボット2にタスクを継続させて実行させるとよい。
【0078】
また、例えば、「ロボット2にタスクを実行させる時間帯」として、ユーザが希望する最も早いタスクの完了時刻から最も遅いタスクの完了時刻までの幅を有する時間帯を設定してもよい。つまり、「ロボット2にタスクを実行させる時間帯」は、ユーザが希望する、タスクの完了時間帯でもよい。この場合、S3及びS9の工程で、タスクの完了時刻がロボット2にタスクを実行させる時間帯内か否かを判定すればよい。このように「ロボット2にタスクを実行させる時間帯」は、タスクの動作時間の全部又は少なくとも一部であればよい。
【符号の説明】
【0079】
1 タスクシステム
2 ロボット
21 駆動機構
22 タスク実行機構
23 制御部
3 第1の検出部
4 第2の検出部
5 タスク指令部
6 実行時間設定部
7 制御装置
71 指令取得部
72 完了時刻算出部
73 位置取得部
74 到着時刻算出部
75 実行時間取得部
76 判定部
77 格納部
78 制御部
10 ネットワーク
11 携帯端末
101 タスクシステム
102 ロボット
201 最大速度設定部
203 メモリ
301 プロセッサ
302 メモリ
303 インタフェース