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  • 特許-リーク診断装置、及び車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】リーク診断装置、及び車両
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
F02M25/08 D
F02M25/08 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021191331
(22)【出願日】2021-11-25
(65)【公開番号】P2023077848
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】宮原 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】安澤 巧
(72)【発明者】
【氏名】福井 啓太
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-074422(JP,A)
【文献】特開2013-087661(JP,A)
【文献】特開2013-104316(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0316638(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102020203214(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を貯留する燃料タンクと、
前記燃料タンクに接続しているベーパ通路と、
前記ベーパ通路に接続しており、前記燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着可能なキャニスタと、
前記キャニスタに接続している外気通路と、
前記ベーパ通路の流路を開閉する封鎖弁と、
を備えている燃料供給機構を診断対象とし、
内燃機関が停止してから再び始動するまでの停止期間内における前記燃料タンクのリーク診断の実行回数が予め定められた許可回数未満であることを条件に、前記封鎖弁を開弁することにより前記キャニスタを介して前記燃料タンク内のガスを排出する排出処理と、
前記排出処理による前記燃料タンク内の圧力を示す指標値の変化に基づき、前記リーク診断を行う診断処理と、
前記内燃機関の停止期間内において、前記封鎖弁が開弁した状態で前記燃料タンクへの給油が行われた場合に、当該給油が行われた前記停止期間の前記許可回数を減算する減算処理と、を実行する
リーク診断装置。
【請求項2】
前記減算処理では、前記停止期間内における前記燃料タンクへの給油の量が多い場合に前記燃料タンクへの給油の量が少ない場合よりも、前記許可回数の減算量を大きくする
請求項1に記載のリーク診断装置。
【請求項3】
車両の駆動源としての内燃機関と、
前記車両の駆動源としてのモータジェネレータと、
前記モータジェネレータに電力を供給するバッテリと、
前記内燃機関に燃料を供給するための燃料供給機構と、
前記燃料供給機構を診断対象とするリーク診断装置と、を備える前記車両であって、
前記燃料供給機構は、
燃料を貯留する燃料タンクと、
前記燃料タンクに接続しているベーパ通路と、
前記ベーパ通路に接続しており、前記燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着可能なキャニスタと、
前記キャニスタに接続している外気通路と、
前記ベーパ通路の流路を開閉する封鎖弁と、を備え、
前記リーク診断装置は、
前記内燃機関が停止してから再び始動するまでの停止期間内における前記燃料タンクのリーク診断の実行回数が予め定められた許可回数未満であることを条件に、前記封鎖弁を開弁することにより前記キャニスタを介して前記燃料タンク内のガスを排出する排出処理と、
前記排出処理による前記燃料タンク内の圧力を示す指標値の変化に基づき、前記リーク診断を行う診断処理と、
前記内燃機関の停止期間内において、前記封鎖弁が開弁した状態で前記燃料タンクへの給油が行われた場合に、当該給油が行われた前記停止期間の前記許可回数を減算する減算処理と、を実行する
車両。
【請求項4】
前記バッテリは、前記車両の外部に設けられた外部電源によって充電可能である
請求項3に記載の車両。
【請求項5】
燃料を貯留する燃料タンクと、
前記燃料タンクに接続しているベーパ通路と、
前記ベーパ通路に接続しており、前記燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着可能なキャニスタと、
前記キャニスタに接続している外気通路と、
前記ベーパ通路の流路を開閉する封鎖弁と、
を備えている燃料供給機構を診断対象とし、
内燃機関が停止してから再び始動するまでの停止期間内における前記燃料タンクのリーク診断の実行回数が予め定められた許可回数未満であることを条件に、前記封鎖弁を開弁することにより前記キャニスタを介して前記燃料タンク内のガスを排出する排出処理と、
前記排出処理による前記燃料タンク内の圧力を示す指標値の変化に基づき、前記リーク診断を行う診断処理と、
前記内燃機関の停止期間内において、前記燃料タンク内の圧力が大気圧よりも高く、且つ、前記封鎖弁が開弁した場合に、当該開弁したときの前記停止期間の前記許可回数を減算する減算処理と、を実行する
リーク診断装置。
【請求項6】
前記減算処理では、前記停止期間内における前記燃料タンク内の圧力と前記大気圧との差が大きい場合に前記燃料タンク内の圧力と前記大気圧との差が小さい場合よりも、前記許可回数の減算量を大きくする
請求項5に記載のリーク診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーク診断装置、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の燃料供給機構は、燃料タンクと、ベーパ通路と、キャニスタと、外気通路と、封鎖弁とを備えている。燃料タンクは、燃料を貯留している。キャニスタは、ベーパ通路を介して燃料タンクに接続している。キャニスタは、燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着可能である。外気通路は、キャニスタに接続している。封鎖弁は、ベーパ通路の途中に位置している。封鎖弁は、ベーパ通路の流路を開閉する。
【0003】
特許文献1のリーク診断装置は、内燃機関の停止中に、燃料タンクのリーク診断を実行する。具体的には、特許文献1のリーク診断装置は、封鎖弁を開弁することにより燃料タンク内のガスを排出する。そして、特許文献1のリーク診断装置は、燃料タンク内の圧力を示す指標値の変化に基づき、燃料タンクのリーク診断を行う。また、特許文献1のリーク診断装置は、内燃機関が停止してから再び始動するまでの期間内において、上記のリーク診断の実行回数を、予め定められた許可回数に制限している。これにより、リーク診断に伴って、過度な量の蒸発燃料が排出されることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-087661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような燃料供給機構では、リーク診断を実行していなくても、内燃機関の停止中においてベーパ通路を介して燃料タンクからキャニスタに蒸発燃料を含むガスが移動することがある。このように蒸発燃料を含むガスが移動すると、キャニスタでの蒸発燃料の吸着量が多くなる。その結果、特許文献1のような燃料供給機構では、内燃機関の停止中におけるリーク診断の実行回数が許可回数未満であっても、キャニスタで蒸発燃料をそれ以上吸着できなく可能性がある。仮に、キャニスタで蒸発燃料を吸着できない状態でリーク診断を実行すると、燃料タンク内の蒸発燃料を含むガスが外部に排出されることになるため、好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのリーク診断装置は、燃料を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンクに接続しているベーパ通路と、前記ベーパ通路に接続しており、前記燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着可能なキャニスタと、前記キャニスタに接続している外気通路と、前記ベーパ通路の流路を開閉する封鎖弁と、を備えている燃料供給機構を診断対象とし、内燃機関が停止してから再び始動するまでの停止期間内における前記燃料タンクのリーク診断の実行回数が予め定められた許可回数未満であることを条件に、前記封鎖弁を開弁することにより前記キャニスタを介して前記燃料タンク内のガスを排出する排出処理と、前記排出処理による前記燃料タンク内の圧力を示す指標値の変化に基づき、前記リーク診断を行う診断処理と、前記内燃機関の停止期間内において、前記封鎖弁が開弁した状態で前記燃料タンクへの給油が行われた場合に、当該給油が行われた前記停止期間の前記許可回数を減算する減算処理と、を実行する。
【0007】
上記構成によれば、燃料タンクへの給油により蒸発燃料を含むガスが燃料タンクから押し出されてキャニスタの蒸発燃料の吸着量が多くなると、許可回数が減算される。これにより、給油後は、リーク診断の実行回数がさらに厳しく制限される。そのため、キャニスタで吸着できる蒸発燃料の量が小さいにも拘らずリーク診断が実行されてしまって、蒸発燃料を含むガスが外部に排出される、といった事態が発生することを抑制できる。
【0008】
上記構成において、前記減算処理では、前記停止期間内における前記燃料タンクへの給油の量が多い場合に前記燃料タンクへの給油の量が少ない場合よりも、前記許可回数の減算量を大きくしてもよい。
【0009】
上記構成によれば、燃料タンクへの給油の量が多い場合、すなわち燃料タンクから押し出される蒸発燃料の量が多い場合には、許可回数が大きく減算される。したがって、キャニスタの蒸発燃料の吸着量を、より正確に許可回数に反映できる。
【0010】
上記課題を解決するための車両は、車両の駆動源としての内燃機関と、前記車両の駆動源としてのモータジェネレータと、前記モータジェネレータに電力を供給するバッテリと、前記内燃機関に燃料を供給するための燃料供給機構と、前記燃料供給機構を診断対象とするリーク診断装置と、を備える前記車両であって、前記燃料供給機構は、燃料を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンクに接続しているベーパ通路と、前記ベーパ通路に接続しており、前記燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着可能なキャニスタと、前記キャニスタに接続している外気通路と、前記ベーパ通路の流路を開閉する封鎖弁と、を備え、前記リーク診断装置は、前記内燃機関が停止してから再び始動するまでの停止期間内における前記燃料タンクのリーク診断の実行回数が予め定められた許可回数未満であることを条件に、前記封鎖弁を開弁することにより前記キャニスタを介して前記燃料タンク内のガスを排出する排出処理と、前記排出処理による前記燃料タンク内の圧力を示す指標値の変化に基づき、前記リーク診断を行う診断処理と、前記内燃機関の停止期間内において、前記封鎖弁が開弁した状態で前記燃料タンクへの給油が行われた場合に、当該給油が行われた前記停止期間の前記許可回数を減算する減算処理と、を実行する。
【0011】
上記の車両では、モータジェネレータのみの駆動力で車両が駆動することがあるため、内燃機関が停止する機会が多くなる。そして、内燃機関が停止する機会が多くなることに伴って、リーク診断が実行される機会が多くなる。加えて、内燃機関が停止した状態で給油され、その後、内燃機関が停止した状態で走行したり停車されたりする機会も多くなる。このようにリーク診断の機会が多く、且つ内燃機関の停止中に給油される機会が多い車両において、上述したリーク診断装置を適用することは特に好適である。
【0012】
上記構成において、前記バッテリは、前記車両の外部に設けられた外部電源によって充電可能であってもよい。
上記の車両、いわゆるプラグインハイブリッド車両では、一般的に大容量のバッテリを備えているため、内燃機関の1回の停止期間が長くなる傾向がある。その結果、内燃機関の1回の停止期間内においてリーク診断の実行回数が多くなりやすい。したがって、上記の車両において上述したリーク診断装置を適用することは特に好適である。
【0013】
上記課題を解決するためのリーク診断装置は、燃料を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンクに接続しているベーパ通路と、前記ベーパ通路に接続しており、前記燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着可能なキャニスタと、前記キャニスタに接続している外気通路と、前記ベーパ通路の流路を開閉する封鎖弁と、を備えている燃料供給機構を診断対象とし、内燃機関が停止してから再び始動するまでの停止期間内における前記燃料タンクのリーク診断の実行回数が予め定められた許可回数未満であることを条件に、前記封鎖弁を開弁することにより前記キャニスタを介して前記燃料タンク内のガスを排出する排出処理と、前記排出処理による前記燃料タンク内の圧力を示す指標値の変化に基づき、前記リーク診断を行う診断処理と、前記内燃機関の停止期間内において、前記燃料タンク内の圧力が大気圧よりも高く、且つ、前記封鎖弁が開弁した場合に、当該開弁したときの前記停止期間の前記許可回数を減算する減算処理と、を実行する。
【0014】
上記構成によれば、燃料タンク内の圧力が高いことにより蒸発燃料を含むガスが燃料タンクから押し出されてキャニスタの蒸発燃料の吸着量が多くなると、許可回数が減算される。これにより、リーク診断の実行回数がさらに厳しく制限される。そのため、キャニスタで吸着できる蒸発燃料の量が小さいにも拘らずリーク診断が実行されてしまって、蒸発燃料を含むガスが外部に排出される、といった事態が発生することを抑制できる。
【0015】
上記構成において、前記減算処理では、前記停止期間内における前記燃料タンク内の圧力と前記大気圧との差が大きい場合に前記燃料タンク内の圧力と前記大気圧との差が小さい場合よりも、前記許可回数の減算量を大きくしてもよい。
【0016】
上記構成によれば、燃料タンク内の圧力と大気圧との差が大きい場合、すなわち燃料タンクから押し出される蒸発燃料の量が多い場合には、許可回数が大きく減算される。したがって、キャニスタの蒸発燃料の吸着量を、より正確に許可回数に反映できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】車両の概略構成を示す概略図である。
図2】内燃機関等の構成を示す構成図である。
図3】リーク診断制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<車両の概略構成>
以下、本発明の一実施形態を図1図3にしたがって説明する。先ず、車両100の概略構成について説明する。
【0019】
図1に示すように、車両100は、火花点火式の内燃機関10を備えている。また、車両100は、電動機及び発電機の双方の機能を兼ね備える第1モータジェネレータ71及び第2モータジェネレータ72を備えている。したがって、車両100は、いわゆるハイブリッド車両である。本実施形態において、内燃機関10、第1モータジェネレータ71、及び第2モータジェネレータ72は、いずれも車両100の駆動源である。
【0020】
車両100は、第1遊星ギア機構40、リングギア軸45、第2遊星ギア機構50、減速機構62、差動機構63、及び複数の駆動輪64を備えている。
第1遊星ギア機構40は、サンギア41、リングギア42、複数のピニオンギア43、及びキャリア44を備えている。サンギア41は、外歯歯車である。サンギア41は、第1モータジェネレータ71に接続している。リングギア42は、内歯歯車であり、サンギア41と同軸上に位置している。各ピニオンギア43は、サンギア41とリングギア42との間に位置している。各ピニオンギア43は、サンギア41及びリングギア42の双方に噛み合っている。キャリア44は、ピニオンギア43を支持している。ピニオンギア43は、自転可能になっており、且つキャリア44と共に回転することにより公転可能になっている。キャリア44は、内燃機関10が備えるクランク軸14に接続している。したがって、第1モータジェネレータ71は、第1遊星ギア機構40を介して内燃機関10のクランク軸14に連結している。
【0021】
内燃機関10の駆動力がキャリア44に入力されると、当該内燃機関10の駆動力は、サンギア41側とリングギア42側とに分配される。そして、サンギア41を介して伝達された内燃機関10の駆動力が第1モータジェネレータ71の回転軸に入力されると、第1モータジェネレータ71が発電機として機能する。
【0022】
一方、第1モータジェネレータ71を電動機として機能させた場合、第1モータジェネレータ71の駆動力がサンギア41に入力される。すると、サンギア41に入力された第1モータジェネレータ71の駆動力は、キャリア44側とリングギア42側とに分配される。そして、キャリア44を介して伝達された第1モータジェネレータ71の駆動力が内燃機関10のクランク軸14に入力されると、内燃機関10のクランク軸14が回転する。
【0023】
リングギア軸45は、リングギア42に接続している。また、リングギア軸45は、減速機構62及び差動機構63を介して駆動輪64に接続している。減速機構62は、リングギア軸45の回転速度を減速して出力する。差動機構63は、左右の駆動輪64に回転速度の差が生じることを許容する。
【0024】
第2遊星ギア機構50は、サンギア51、リングギア52、複数のピニオンギア53、キャリア54、及びケース55を備えている。サンギア51は、外歯歯車である。サンギア51は、第2モータジェネレータ72に接続している。リングギア52は、内歯歯車であり、サンギア51と同軸上に位置している。リングギア52は、リングギア軸45に接続している。各ピニオンギア53は、サンギア51とリングギア52との間に位置している。各ピニオンギア53は、サンギア51及びリングギア52の双方に噛み合っている。キャリア54は、ピニオンギア53を支持している。ピニオンギア53は、自転可能になっている。キャリア54は、ケース55に固定されている。したがって、ピニオンギア53は、公転不可能な状態になっている。
【0025】
第2モータジェネレータ72は、車両100を減速させる際に発電機として機能することで、第2モータジェネレータ72の発電量に応じた回生制動力を車両100に発生させることができる。
【0026】
一方、第2モータジェネレータ72を電動機として機能させた場合、第2モータジェネレータ72の駆動力は、第2遊星ギア機構50、リングギア軸45、減速機構62、及び差動機構63を介して駆動輪64に入力される。すると、第2モータジェネレータ72の駆動力によって、駆動輪64が回転する。
【0027】
車両100は、バッテリ75、第1インバータ76、及び第2インバータ77を備えている。第1インバータ76は、第1モータジェネレータ71とバッテリ75との間で、交流・直流の電力変換を行う。また、第1インバータ76は、第1モータジェネレータ71とバッテリ75との間の電力の授受量を調整する。第2インバータ77は、第2モータジェネレータ72とバッテリ75との間で、交流・直流の電力変換を行う。第2インバータ77は、第2モータジェネレータ72とバッテリ75との間の電力の授受量を調整する。
【0028】
車両100は、コンバータ78、及びインレット79を備えている。インレット79は、後述する外部電源200との接続が可能である。すなわち、車両100は、いわゆるプラグインハイブリッド車両である。インレット79は、コンバータ78を介してバッテリ75に電気的に接続している。インレット79には、外部電源200から交流電力が供給される。コンバータ78は、インレット79から供給される交流電力を直流電力に変換する。コンバータ78は、変換した直流電力をバッテリ75に供給する。その結果、バッテリ75は、外部電源200によって充電される。すなわち、バッテリ75は、車両100の外部に設けられた外部電源200によって充電可能である。
【0029】
<内燃機関の構成>
図2に示すように、内燃機関10は、複数の気筒11、吸気通路15、及び排気通路21を備えている。気筒11は、燃料と吸気との混合気が燃焼する空間である。内燃機関10は、4つの気筒11を備えている。なお、図2では、1つの気筒11のみを図示している。吸気通路15は、各気筒11に接続している。吸気通路15は、内燃機関10の外部から気筒11に吸気を導入する。排気通路21は、各気筒11に接続している。排気通路21は、気筒11から内燃機関10の外部に排気を排出する。
【0030】
内燃機関10は、複数のピストン12、複数のコネクティングロッド13、クランク軸14、スロットルバルブ16、複数の燃料噴射弁17、及び複数の点火装置19を備えている。スロットルバルブ16は、吸気通路15の途中に位置している。スロットルバルブ16は、吸気通路15を流通する吸気の量を調整する。燃料噴射弁17は、吸気通路15のうち、気筒11の近傍に位置している。内燃機関10は、4つの気筒11に対応して4つの燃料噴射弁17を備えている。燃料噴射弁17は、気筒11に向かって燃料を噴射する。点火装置19は、気筒11の近傍に位置している。内燃機関10は、4つの気筒11に対応して4つの点火装置19を備えている。点火装置19は、燃料と吸気との混合気を火花放電により点火する。
【0031】
ピストン12は、気筒11内に位置している。内燃機関10は、4つの気筒11に対応して4つのピストン12を備えている。ピストン12は、コネクティングロッド13を介してクランク軸14に連結している。ピストン12は、気筒11内での燃料と吸気との混合気の燃焼に伴い往復動作する。ピストン12の往復動作に伴い、クランク軸14が回転する。
【0032】
<燃料供給機構の構成>
車両100は、燃料供給機構25をさらに備えている。燃料供給機構25は、燃料タンク26、フィードポンプ27、燃料通路28、及びリッドドア29を備えている。燃料タンク26は、タンク本体26A、及びキャップ26Cを備えている。タンク本体26Aは、燃料を貯留可能である。タンク本体26Aは、当該タンク本体26Aに燃料を給油するための給油口26Bを備えている。キャップ26Cは、タンク本体26Aの給油口26Bを塞いでいる。キャップ26Cは、タンク本体26Aに対して着脱可能である。フィードポンプ27は、燃料タンク26のタンク本体26A内に位置している。フィードポンプ27は、燃料通路28を介して燃料噴射弁17に接続している。したがって、フィードポンプ27は、燃料通路28を介して燃料噴射弁17へと燃料を供給する。リッドドア29は、車両100の外面の一部を構成している。リッドドア29は、キャップ26Cの近傍に位置している。リッドドア29は、運転者等の操作により開閉可能である。リッドドア29が閉じた状態では、リッドドア29は、キャップ26Cを覆っている。
【0033】
燃料供給機構25は、ベーパ通路31、キャニスタ32、外気通路33、パージ通路34、封鎖弁36、外気バルブ37、パージバルブ38、及びポンプモジュール39を備えている。キャニスタ32は、燃料タンク26で発生する蒸発燃料を吸着可能である。ベーパ通路31の第1端は、キャニスタ32に接続している。ベーパ通路31の第2端は、燃料タンク26内に位置している。封鎖弁36は、ベーパ通路31の途中に位置している。封鎖弁36は、ベーパ通路31の流路を開状態及び閉状態のいずれか一方に切り替える。封鎖弁36は、常閉型の電磁弁である。
【0034】
外気通路33の第1端は、キャニスタ32に接続している。外気通路33の第2端は、車両100の外部に開放されている。外気バルブ37は、外気通路33の途中に位置している。外気バルブ37は、外気通路33の流路を開状態及び閉状態のいずれか一方に切り替える。外気バルブ37は、常開型の電磁弁である。ポンプモジュール39は、外気通路33の途中に位置している。ポンプモジュール39は、外気バルブ37に接続している。ポンプモジュール39は、ベーパ通路31、キャニスタ32、及び外気通路33を介して、燃料タンク26内のガスを外部に排出可能である。
【0035】
パージ通路34の第1端は、キャニスタ32に接続している。パージ通路34の第2端は、吸気通路15のうち、スロットルバルブ16から視て下流側の部分に接続している。パージバルブ38は、パージ通路34の途中に位置している。パージバルブ38は、パージ通路34の流路の開度を調整可能である。パージバルブ38は、常閉型の電磁弁である。
【0036】
<センサ及び制御装置の構成>
図2に示すように、車両100は、アクセル操作量センサ81、車速センサ82、圧力センサ83、リッドセンサ84、液面センサ86、大気圧センサ87、及びディスプレイ89を備えている。アクセル操作量センサ81は、運転者が操作するアクセルペダルの操作量であるアクセル操作量ACCを検出する。車速センサ82は、車両100の速度である車速SPを検出する。圧力センサ83は、燃料タンク26の上部に取り付けられている。圧力センサ83は、燃料タンク26内の圧力であるタンク内圧PTを検出する。リッドセンサ84は、リッドドア29の位置である開閉位置LSを検出する。液面センサ86は、燃料タンク26内に位置している。液面センサ86は、燃料タンク26内の燃料の液面の位置である液面レベルFLを検出する。大気圧センサ87は、車両100が位置する地点の大気の圧力である大気圧PAを検出する。ディスプレイ89は、車両100の運転席の近傍に位置している。ディスプレイ89は、車両100の運転者等に視覚情報を表示する。
【0037】
車両100は、制御装置90を備えている。制御装置90は、アクセル操作量ACCを示す信号をアクセル操作量センサ81から取得する。制御装置90は、車速SPを示す信号を車速センサ82から取得する。制御装置90は、タンク内圧PTを示す信号を圧力センサ83から取得する。制御装置90は、開閉位置LSを示す信号をリッドセンサ84から取得する。制御装置90は、液面レベルFLを示す信号を液面センサ86から取得する。すなわち、制御装置90は、液面レベルFLに基づいて、燃料タンク26の燃料の量、及び燃料タンク26への給油の量を検出可能である。制御装置90は、大気圧PAを示す信号を大気圧センサ87から取得する。制御装置90は、ディスプレイ89に制御信号を出力することにより、ディスプレイ89に視覚情報を表示させる。
【0038】
制御装置90は、アクセル操作量ACC及び車速SPに基づいて、車両100が走行するために必要な駆動力の要求値である車両要求駆動力を算出する。制御装置90は、車両要求駆動力に基づいて、内燃機関10、第1モータジェネレータ71、及び第2モータジェネレータ72のトルク配分を決定する。制御装置90は、内燃機関10、第1モータジェネレータ71、及び第2モータジェネレータ72のトルク配分に基づいて、内燃機関10の出力と、第1モータジェネレータ71及び第2モータジェネレータ72の力行及び回生とを制御する。具体的には、制御装置90は、内燃機関10に制御信号を出力することにより、スロットルバルブ16の開度、燃料噴射弁17からの燃料噴射量、点火装置19の点火タイミング等を制御する。また、制御装置90は、第1インバータ76に制御信号を出力することにより、第1インバータ76を介して第1モータジェネレータ71を制御する。さらに、制御装置90は、第2インバータ77に制御信号を出力することにより、第2インバータ77を介して第2モータジェネレータ72を制御する。
【0039】
制御装置90は、内燃機関10の駆動中に、キャニスタ32に吸着した蒸発燃料を吸気通路15に導入する導入制御を実行する。具体的には、制御装置90は、内燃機関10の駆動中に、封鎖弁36、外気バルブ37、及びパージバルブ38を開弁させる。すると、吸気通路15の負圧により、外気通路33を介してキャニスタ32内に外気が導入される。その結果、キャニスタ32に吸着されていた蒸発燃料と外気とがパージ通路34を介して吸気通路15に導入される。
【0040】
制御装置90は、燃料タンク26への給油の際に、給油の準備を行う準備制御を実行する。具体的には、制御装置90は、開閉位置LSに基づいてリッドドア29の状態を検出する。そして、制御装置90は、リッドドア29が開状態になったことを検出した場合に、パージバルブ38を閉弁させつつ、封鎖弁36及び外気バルブ37を開弁させる。すると、燃料タンク26への給油の際に、燃料タンク26内のガスが、燃料タンク26からキャニスタ32へと移動可能となる。その結果、燃料タンク26への給油の際に、燃料タンク26内のガスが、燃料タンク26の給油口26Bから外部に排出されることが抑制される。
【0041】
なお、制御装置90は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサを含む回路(circuitry)として構成し得る。制御装置90は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、又はそれらの組み合わせを含む回路として構成してもよい。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる媒体を含む。
【0042】
<外部電源>
図1に示すように、外部電源200は、電源本体210、遮断器220、及びコネクタ230を備えている。コネクタ230は、インレット79との接続が可能である。コネクタ230は、遮断器220を介して電源本体210に接続している。遮断器220は、コネクタ230と電源本体210との間の電気的な接続の遮断が可能である。電源本体210は、交流電力の供給が可能である。
【0043】
<リーク診断制御>
次に、制御装置90が行うリーク診断制御について説明する。制御装置90は、内燃機関10が停止すると、燃料タンク26のリーク診断制御を実行する。本実施形態において、制御装置90は、リーク診断装置の一例である。なお、以下では、内燃機関10が停止してから再び始動するまでの期間を内燃機関10の停止期間として説明する。
【0044】
図3に示すように、制御装置90は、リーク診断制御を開始すると、ステップS11の処理を進める。ステップS11において、制御装置90は、許可回数CAの初期値を設定する。許可回数CAの初期値は、予め定められた値である。許可回数CAの初期値の一例は、10回である。ここで、許可回数CAは、今回の停止期間内においてリーク診断の実行を制限するための値である。その後、制御装置90は、処理をステップS21に進める。
【0045】
ステップS21において、制御装置90は、予め定められた減算条件が成立しているか否かを判定する。減算条件が成立する場合とは、以下の条件(A)及び条件(B)の少なくとも1つが成立する場合である。
【0046】
条件(A):今回の停止期間内において、燃料タンク26への給油が行われたこと。
条件(B):今回の停止期間内において、タンク内圧PTが大気圧PAよりも高く、且つ、封鎖弁36が開弁した期間が生じたこと。
【0047】
なお、条件(A)の判定にあたって、制御装置90は、液面レベルFLに基づいて、燃料タンク26の燃料の量を検出する。そして、制御装置90は、今回の停止期間中に燃料タンク26の燃料の量が増加している場合に、燃料タンク26に給油が行われたと判定する。
【0048】
ステップS21において、制御装置90は、減算条件が成立していないと判定する場合(S21:NO)、処理をステップS31に進める。一方、ステップS21において、制御装置90は、減算条件が成立していると判定する場合(S21:YES)、処理をステップS22に進める。
【0049】
ステップS22において、制御装置90は、今回の停止期間の許可回数CAを減算する減算処理を実行する。具体的には、制御装置90は、直前のステップS21の処理において条件(A)が成立していると判定した場合、以下のように許可回数CAを減算する。制御装置90は、今回の停止期間内における燃料タンク26への給油の量が多い場合に燃料タンク26への給油の量が少ない場合よりも、許可回数CAの減算量を大きくする。例えば、給油の量が10リットル未満であれば減算量を1とし、給油の量が10リットル以上20リットル未満であれば減算量を2とする、といったように給油の量が多いほど段階的に減算量を大きくする。また、制御装置90は、直前のステップS21の処理において条件(B)が成立していると判定した場合、以下のように許可回数CAを減算する。制御装置90は、ステップS22の処理時点のタンク内圧PTと大気圧PAとの差が大きい場合にタンク内圧PTと大気圧PAとの差が小さい場合よりも、許可回数CAの減算量を大きくする。この場合も、上述した給油の量の場合と同様に、タンク内圧PTと大気圧PAとの差が一定値大きくなる毎に、減算量を1ずつ大きくする。このように、制御装置90は、ステップS22の開始時点での許可回数CAから、給油の量及びタンク内圧PTに基づき減算を行って、新たな許可回数CAとする。その後、制御装置90は、処理をステップS31に進める。
【0050】
ステップS31において、制御装置90は、今回の停止期間内における燃料タンク26のリーク診断の実行回数CXが予め定められた許可回数CA未満であるか否かを判定する。ここで、リーク診断を実行するとは、後述するステップS41以降の処理を実行することである。なお、今回の停止期間の開始時点、すなわち内燃機関10が停止した時点では、実行回数CXがゼロである。ステップS31において、制御装置90は、今回の停止期間内における実行回数CXが許可回数CA以上であると判定する場合(S31:NO)、今回のリーク診断制御を終了する。一方、ステップS31において、制御装置90は、今回の停止期間内における実行回数CXが許可回数CA未満であると判定する場合(S31:YES)、処理をステップS32に進める。
【0051】
ステップS32において、制御装置90は、予め定められた診断条件が成立しているか否かを判定する。例えば、診断条件が成立する場合とは、以下の条件(C)及び条件(D)の何れか一方が成立する場合である。
【0052】
条件(C):今回の停止期間中において後述するステップS41の処理が実行されておらず、且つ、今回の停止期間の長さが予め定められた規定期間以上になっていること。
条件(D):今回の停止期間中において後述するステップS41の処理の前回の実行からステップS32の処理時点までの経過時間が、予め定められた規定期間以上になっていること。
【0053】
ここで、規定期間の一例は、数十分~数時間である。ステップS32において、制御装置90は、診断条件が成立していないと判定する場合(S32:NO)、処理を再びステップS21に進める。一方、ステップS32において、制御装置90は、診断条件が成立していると判定する場合(S32:YES)、処理をステップS41に進める。
【0054】
ステップS41において、制御装置90は、燃料タンク26内のガスを排出する排出処理を実行する。具体的には、制御装置90は、パージバルブ38を閉弁させつつ、封鎖弁36及び外気バルブ37を開弁させる。そして、制御装置90は、ポンプモジュール39により、ベーパ通路31、キャニスタ32、及び外気通路33を介して、燃料タンク26内のガスを外部に排出する。このとき、燃料タンク26内のガスに含まれる蒸発燃料がキャニスタ32に吸着するため、蒸発燃料を含むガスが外部に排出されることは抑制される。その後、制御装置90は、処理をステップS51に進める。
【0055】
ステップS51において、制御装置90は、タンク内圧PTが予め定められた判定値よりも高いか否かを判定する。ここで、判定値は、以下のように定めている。先ず、燃料タンク26に異常がない場合には、ステップS41の排出処理が実行されることにより、タンク内圧PTが一定値以下になる。一方、燃料タンク26にひび割れ等の異常が生じた場合には、ステップS41の排出処理が実行されても、燃料タンク26の外部からガスが侵入することでタンク内圧PTが一定値以下にならない。そこで、実験等により、上記の一定値を求める。そして、上記の一定値を、判定値として定めている。ステップS51において、制御装置90は、タンク内圧PTが判定値よりも高いと判定する場合(S51:YES)、処理をステップS61に進める。
【0056】
ステップS61において、制御装置90は、燃料タンク26が異常であると判定する。その後、制御装置90は、処理をステップS62に進める。ステップS62において、制御装置90は、ディスプレイ89に制御信号を出力することにより、ディスプレイ89を介して燃料タンク26が異常であることを運転者等に報知する。その後、制御装置90は、リーク診断制御を終了する。
【0057】
一方、ステップS51において、制御装置90は、タンク内圧PTが判定値以下であると判定する場合(S51:NO)、処理をステップS71に進める。
ステップS71において、制御装置90は、燃料タンク26が正常であると判定する。その後、制御装置90は、処理をステップS72に進める。ステップS72において、制御装置90は、実行回数CXを「1」だけカウントアップする。その後、制御装置90は、処理を再びステップS21に進める。本実施形態において、ステップS51~ステップS72の処理は、リーク診断を行う診断処理の一例である。また、圧力センサ83により検出されるタンク内圧PTは、燃料タンク26内の圧力を示す指標値の一例である。
【0058】
<本実施形態の作用>
車両100では、内燃機関10の停止期間内においてリーク診断を実行すると、ベーパ通路31、キャニスタ32、及び外気通路33を介して、燃料タンク26内のガスが外部に排出される。このとき、燃料タンク26内のガスに含まれる蒸発燃料がキャニスタ32に吸着される。したがって、リーク診断を実行する度に、キャニスタ32での蒸発燃料の吸着量が多くなっていく。
【0059】
さらに、内燃機関10の停止期間内において燃料タンク26への給油を行う場合には、準備制御が実行される。この準備制御では、パージバルブ38が閉弁し、封鎖弁36及び外気バルブ37が開弁する。すると、給油口26Bからの燃料タンク26への給油により、燃料タンク26内のガスがベーパ通路31へと押し出される。そして、燃料タンク26内のガスがキャニスタ32まで移動すると、ガスに含まれる蒸発燃料がキャニスタ32に吸着される。その結果、内燃機関10の停止期間内においてリーク診断を実行していないときでも、キャニスタ32での蒸発燃料の吸着量が多くなっていく。
【0060】
<本実施形態の効果>
(1)車両100では、内燃機関10の停止期間内において燃料タンク26への給油が行われると、許可回数CAを減算する減算処理が実行される。すなわち、燃料タンク26への給油によりキャニスタ32での蒸発燃料の吸着量が多くなると、許可回数CAを減算する減算処理が実行される。そのため、燃料タンク26への給油後は、リーク診断の実行回数CXがさらに厳しく制限される。これにより、キャニスタ32での蒸発燃料の吸着量が過度に多くなることが抑制される。その結果、キャニスタ32で吸着できる蒸発燃料の量が小さいにも拘らずリーク診断が実行されてしまって、蒸発燃料を含むガスが外部に排出される、といった事態が発生することを抑制できる。
【0061】
(2)車両100では、燃料タンク26への給油の量が多い場合に、燃料タンク26への給油の量が少ない場合よりも許可回数CAの減算量が大きくなる。すなわち、燃料タンク26への給油の量が多いことに起因して、燃料タンク26から押し出される蒸発燃料の量が多いほど、許可回数CAの減算量が大きくなる。したがって、より正確にキャニスタ32での蒸発燃料の吸着量を反映して許可回数CAを調整できる。
【0062】
(3)車両100では、実際には燃料タンク26への給油を行わない場合であっても、例えば運転者等の誤操作に起因してリッドドア29が開状態になることがある。この場合であっても、開閉位置LSに基づいてリッドドア29が開状態になったことが検出されるため、パージバルブ38が閉弁し、封鎖弁36及び外気バルブ37が開弁する。このとき、仮に、タンク内圧PTが大気圧PAよりも高い状態であると、燃料タンク26内のガスがベーパ通路31へと押し出される。そして、燃料タンク26内のガスがキャニスタ32まで移動すると、ガスに含まれる蒸発燃料がキャニスタ32に吸着される。その結果、内燃機関10の停止期間内においてリーク診断を実行していないときでも、キャニスタ32での蒸発燃料の吸着量が多くなっていく。
【0063】
この点、車両100では、内燃機関10の停止期間内において、タンク内圧PTが大気圧PAよりも高く、且つ、封鎖弁36が開弁した場合に、許可回数CAを減算する減算処理が実行される。すなわち、燃料タンク26内の圧力が高いことによりキャニスタ32での蒸発燃料の吸着量が多くなると、許可回数CAを減算する減算処理が実行される。そのため、リーク診断の実行回数CXがさらに厳しく制限される。これにより、キャニスタ32での蒸発燃料の吸着量が過度に多くなることが抑制される。その結果、キャニスタ32で吸着できる蒸発燃料の量が小さいにも拘らずリーク診断が実行されてしまって、蒸発燃料を含むガスが外部に排出される、といった事態が発生することを抑制できる。
【0064】
(4)車両100では、タンク内圧PTと大気圧PAとの差が大きい場合に、タンク内圧PTと大気圧PAとの差が小さい場合よりも許可回数CAの減算量が大きくなる。すなわち、タンク内圧PTと大気圧PAとの差が大きいことに起因して、燃料タンク26から押し出される蒸発燃料の量が多いほど、許可回数CAの減算量が大きくなる。したがって、より正確にキャニスタ32での蒸発燃料の吸着量を反映して許可回数CAを調整できる。
【0065】
(5)車両100では、第2モータジェネレータ72のみの駆動力で車両100が走行することがあるため、内燃機関10が停止する機会が多くなる。そして、内燃機関10が停止する機会が多くなることに伴って、リーク診断が実行される機会が多くなる。また、車両100では、上記のように内燃機関10が停止しているときに給油が行われることもある。このようにリーク診断の機会が多く、且つ内燃機関10の停止中に給油される機会が多い車両100において、上述したリーク診断を実行する制御装置90を適用することは特に好適である。
【0066】
(6)車両100のバッテリ75は、外部電源200によって充電可能である。このような車両100では、一般的に大容量のバッテリ75を備えているため、内燃機関10の1回の停止期間が長くなる傾向がある。その結果、内燃機関10の1回の停止期間内においてリーク診断の実行回数CXが多くなりやすい。したがって、このような車両100において、上述したリーク診断を実行する制御装置90を適用することは特に好適である。
【0067】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0068】
・上記実施形態のリーク診断制御において、ステップS11における許可回数CAの初期値の設定の仕方は変更してもよい。具体例として、今回の停止期間の開始時点におけるキャニスタ32での蒸発燃料の吸着量は、今回の停止期間の直前の内燃機関10の駆動状態に応じて変化する。そこで、制御装置90は、今回の停止期間の直前の内燃機関10の駆動状態に応じて、許可回数CAの初期値として設定する値を変更してもよい。なお、このように許可回数CAが内燃機関10の駆動状態に応じた変数であっても、制御装置90が予め記憶しているマップ及び演算式などで許可回数CAを算出するのであれば、当該許可回数CAは、予め定められた値である。
【0069】
・上記実施形態のリーク診断制御において、ステップS21における減算条件は変更してもよい。具体的には、減算条件として、条件(A)及び条件(B)の2つを採用しなくてもよく、条件(A)及び条件(B)のうち一方のみを採用してもよい。
【0070】
・上記実施形態のリーク診断制御において、ステップS22における減算処理の仕方は変更してもよい。具体例としては、制御装置90は、直前のステップS21の処理において条件(A)が成立していると判定した場合、今回の停止期間内における燃料タンク26への給油の量に拘わらず、許可回数CAから予め定められた固定の回数を減算してもよい。また、制御装置90は、直前のステップS21の処理において条件(B)が成立していると判定した場合、ステップS22の処理時点のタンク内圧PTと大気圧PAとの差に拘わらず、許可回数CAから予め定められた固定の回数を減算してもよい。
【0071】
・上記実施形態のリーク診断制御において、ステップS51における燃料タンク26内の圧力を示す指標値は変更してもよい。具体例として、ポンプモジュール39は、圧力センサを備えている場合がある。この場合、ポンプモジュール39の圧力センサにより検出される圧力を、燃料タンク26内の圧力を示す指標値として用いてもよい。
【0072】
・上記実施形態において、車両100は、プラグインハイブリッド車両でなくてもよい。例えば、バッテリ75は、車両100の外部に設けられた外部電源200によって充電可能になっていなくてもよい。この場合、コンバータ78及びインレット79を省略できる。また、例えば、車両100は、第1モータジェネレータ71及び第2モータジェネレータ72を備えていなくてもよい。すなわち、車両100が内燃機関10を備えており、その内燃機関10に燃料を供給する燃料供給機構25を診断対象とするリーク診断装置であれば、本件技術を適用でき得る。
【符号の説明】
【0073】
CA…許可回数
CX…実行回数
PA…大気圧
PT…タンク内圧
10…内燃機関
15…吸気通路
17…燃料噴射弁
21…排気通路
26…燃料タンク
29…リッドドア
31…ベーパ通路
32…キャニスタ
33…外気通路
34…パージ通路
36…封鎖弁
37…外気バルブ
38…パージバルブ
39…ポンプモジュール
40…第1遊星ギア機構
45…リングギア軸
50…第2遊星ギア機構
62…減速機構
63…差動機構
64…駆動輪
71…第1モータジェネレータ
72…第2モータジェネレータ
75…バッテリ
90…制御装置
100…車両
200…外部電源
図1
図2
図3