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特許7497709物流システム、物流制御方法及び物流制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】物流システム、物流制御方法及び物流制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20240604BHJP
   G06Q 10/083 20240101ALI20240604BHJP
【FI】
B65G61/00 542
G06Q10/083
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021201559
(22)【出願日】2021-12-13
(65)【公開番号】P2023087264
(43)【公開日】2023-06-23
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】北浜 謙一
(72)【発明者】
【氏名】村上 涼
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 尚司
(72)【発明者】
【氏名】細川 光典
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-109712(JP,A)
【文献】特開2002-274646(JP,A)
【文献】国際公開第2020/158073(WO,A1)
【文献】特開2004-010252(JP,A)
【文献】特開2020-113086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
G06Q 10/083
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
街区外と街区内との間でやり取りされる荷物を集配する集荷物流ヤードと、
前記荷物を自律的な動作により搬送する自律搬送ロボットと、
前記自律搬送ロボットが通行し、少なくとも一部が歩道又は車道とは異なる層となる部分に設けられる物流路と、
前記物流路の端部に設けられる施設内ヤードと、
前記自律搬送ロボットの配送スケジュールを生成するとともに、前記配送スケジュールに基づき前記自律搬送ロボットに動作指示を与える配送制御装置と、を有し、
前記配送制御装置は、
前記集荷物流ヤードに届けられた前記荷物の配送先と荷受人の情報を含む荷物情報を取得する荷物受け入れ情報取得部と、
前記荷物情報に基づき前記荷物を搬送する前記自律搬送ロボットの情報と、前記自律搬送ロボットの出発時刻と、前記自律搬送ロボットの配送ルートと、を少なくとも含む配送スケジュールを生成する配送スケジュール生成部と、
前記配送スケジュールに基づき予想される前記荷物毎の配送予定仮時刻を算出する配送予定仮時刻算出部と、
前記配送予定仮時刻の承認を要求する配送承認依頼通知を前記荷物毎に対応付けられた前記荷受人に通知する荷物情報通知部と、
前記配送承認依頼通知に対する応答を受け取る通知応答受信部と、
前記配送スケジュール生成部が生成した最新の前記配送スケジュールに基づき前記自律搬送ロボットを制御するロボット制御部と、を有し、
前記配送スケジュール生成部は、
前記配送承認依頼通知への応答により示された前記荷受人が承認した承認時刻が前記配送予定仮時刻と異なる場合には、前記承認時刻に前記荷物の配送が完了するように前記配送スケジュールを更新し、
前記配送承認依頼通知を通知する前に決定した前記配送予定仮時刻に対応して決定された前記自律搬送ロボットの出発前までに、前記配送承認依頼通知への前記荷受人からの応答がなかった場合、前記配送承認依頼通知を通知する前に決定した前記配送予定仮時刻を前記荷受人が承認した時刻とする物流システム。
【請求項2】
前記配送スケジュール生成部は、前記荷受人からの前記承認時刻の受信が前記承認時刻を指定されたスケジュール変更対象の荷物を搭載した前記自律搬送ロボットの出発後であった場合、前記自律搬送ロボットに変更対象の前記荷物を持ち帰るか、配送順序を変更する、の少なくとも一方を指示する請求項に記載の物流システム。
【請求項3】
前記配送スケジュール生成部は、前記荷物の配送に要する時間を最小化するように前記配送スケジュールを生成する請求項1又は2に記載の物流システム。
【請求項4】
前記配送スケジュール生成部は、前記自律搬送ロボットが運用される街区を含む街全体の消費電力のピーク電力を最小化するように前記配送スケジュールを生成する請求項1又は2に記載の物流システム。
【請求項5】
前記配送スケジュール生成部は、前記自律搬送ロボットの運用に要する消費電力を最小化するように前記配送スケジュールを生成する請求項1又は2に記載の物流システム。
【請求項6】
前記配送スケジュール生成部は、前記自律搬送ロボットの稼働台数を最小化するように前記配送スケジュールを生成する請求項1又は2に記載の物流システム。
【請求項7】
前記配送スケジュール生成部は、人工知能を用いて前記配送スケジュールを生成する請求項1乃至のいずれか1項に記載の物流システム。
【請求項8】
街区外と街区内との間でやり取りされる荷物を集配する集荷物流ヤードと、
前記荷物を自律的な動作により搬送する自律搬送ロボットと、
前記自律搬送ロボットが通行し、少なくとも一部が歩道又は車道とは異なる層となる部分に設けられる物流路と、
前記物流路の端部に設けられる施設内ヤードと、を有する物流システムの物流制御方法であって、
前記集荷物流ヤードに届けられた前記荷物の配送先と荷受人の情報を含む荷物情報を取得する荷物受け入れ情報取得処理と、
前記荷物情報に基づき前記荷物を搬送する前記自律搬送ロボットの情報と、前記自律搬送ロボットの出発時刻と、前記自律搬送ロボットの配送ルートと、を少なくとも含む配送スケジュールを生成する配送スケジュール生成処理と、
前記配送スケジュールに基づき予想される前記荷物毎の配送予定仮時刻を算出する配送予定仮時刻算出処理と、
前記配送予定仮時刻の承認を要求する配送承認依頼通知を前記荷物毎に対応付けられた前記荷受人に通知する荷物情報通知処理と、
前記配送承認依頼通知に対する応答を受け取る通知応答受信処理と、
前記配送スケジュール生成処理において生成した最新の前記配送スケジュールに基づき前記自律搬送ロボットを制御するロボット制御処理と、を行い、
前記配送スケジュール生成処理において、
前記配送承認依頼通知への応答により示された前記荷受人が承認した承認時刻が前記配送予定仮時刻と異なる場合には、前記承認時刻に前記荷物の配送が完了するように前記配送スケジュールを更新し、
前記配送承認依頼通知を通知する前に決定した前記配送予定仮時刻に対応して決定された前記自律搬送ロボットの出発前までに、前記配送承認依頼通知への前記荷受人からの応答がなかった場合、前記配送承認依頼通知を通知する前に決定した前記配送予定仮時刻を前記荷受人が承認した時刻とする物流システムの物流制御方法。
【請求項9】
街区外と街区内との間でやり取りされる荷物を集配する集荷物流ヤードと、
前記荷物を自律的な動作により搬送する自律搬送ロボットと、
前記自律搬送ロボットが通行し、少なくとも一部が歩道又は車道とは異なる層となる部分に設けられる物流路と、
前記物流路の端部に設けられる施設内ヤードと、
前記自律搬送ロボットの配送スケジュールを生成するとともに、前記配送スケジュールに基づき前記自律搬送ロボットに動作指示を与える配送制御装置と、を有する物流システムにおいて前記配送制御装置で実行される物流制御プログラムであって、
前記集荷物流ヤードに届けられた前記荷物の配送先と荷受人の情報を含む荷物情報を取得する荷物受け入れ情報取得処理と、
前記荷物情報に基づき前記荷物を搬送する前記自律搬送ロボットの情報と、前記自律搬送ロボットの出発時刻と、前記自律搬送ロボットの配送ルートと、を少なくとも含む配送スケジュールを生成する配送スケジュール生成処理と、
前記配送スケジュールに基づき予想される前記荷物毎の配送予定仮時刻を算出する配送予定仮時刻算出処理と、
前記配送予定仮時刻の承認を要求する配送承認依頼通知を前記荷物毎に対応付けられた前記荷受人に通知する荷物情報通知処理と、
前記配送承認依頼通知に対する応答を受け取る通知応答受信処理と、
前記配送スケジュール生成処理において生成した最新の前記配送スケジュールに基づき前記自律搬送ロボットを制御するロボット制御処理と、を行い、
前記配送スケジュール生成処理において、
前記配送承認依頼通知への応答により示された前記荷受人が承認した承認時刻が前記配送予定仮時刻と異なる場合には、前記承認時刻に前記荷物の配送が完了するように前記配送スケジュールを更新し、
前記配送承認依頼通知を通知する前に決定した前記配送予定仮時刻に対応して決定された前記自律搬送ロボットの出発前までに、前記配送承認依頼通知への前記荷受人からの応答がなかった場合、前記配送承認依頼通知を通知する前に決定した前記配送予定仮時刻を前記荷受人が承認した時刻とする物流制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流システム、物流制御方法及び物流制御プログラムに関し、例えば、自律搬送ロボットによる荷物の配送を自律搬送ロボットの専用に構築した物流専用インフラを用いて行う物流システム、物流制御方法及び物流制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信販売の利用の拡大等に起因して荷物の物流量が増加している。ここで、このような物流量の増加に伴い物流に用いる車両による交通渋滞の発生、或いは、渋滞に起因する配送時刻の遅延が問題になっている。そこで、このような交通渋滞を緩和する物流システムに関する技術の一例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の物流システムでは、商店街の周辺の道路や公園等の敷地の地下に、地上から車両の出入りが可能な地下駐車場と荷物の集配を行う集配センタとを備えた地下物流拠点施設を設け、商店街の敷地内の複数箇所に、近隣店舗との間で荷物の集配を行うと共に地上と地下との間で荷物の移動を行う端末集配部を設け、商店街の敷地の地下に、前記地下物流拠点施設と各端末集配部の地下部分との間の荷物の搬送を行う地下搬送路網を設け、前記地下集配センタに、運送車両からの荷下ろし及び運送車両に対する荷積みを行う荷捌き場と運送車両への搬出荷物を仮保管する自動倉庫とを設けると共に、前記地下駐車場に、運送業者用の駐車スペースと来客用の駐車スペースとを設けたことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-300624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の物流システムでは、荷物の集配場所の効率化はできている物の物流を担う移動体の運用は運送業者、つまり人に任せられており、物流を十分に効率的に運用できない問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、街区に存在する荷受人への物流を効率化することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる物流システムの一態様は、前記荷物を自律的な動作により搬送する自律搬送ロボットと、前記自律搬送ロボットが通行し、少なくとも一部が歩道又は車道とは異なる層となる部分に設けられる物流路と、前記物流路の端部に設けられる施設内ヤードと、前記自律搬送ロボットの配送スケジュールを生成するとともに、前記配送スケジュールに基づき前記自律搬送ロボットに動作指示を与える配送制御装置と、を有し、前記配送制御装置は、前記集荷物流ヤードに届けられた前記荷物の配送先と荷受人の情報を含む荷物情報を取得する荷物受け入れ情報取得部と、前記荷物情報に基づき前記荷物を搬送する前記自律搬送ロボットと、前記自律搬送ロボットの出発時刻と、前記自律搬送ロボットの配送ルートと、を少なくとも含む配送スケジュールを生成する配送スケジュール生成部と、前記配送スケジュールに基づき予想される前記荷物毎の配送予定仮時刻を算出する配送予定仮時刻算出部と、前記配送予定仮時刻の承認を要求する配送承認依頼通知を前記荷物毎に対応付けられた前記荷受人に通知する荷物情報通知部と、前記配送承認依頼通知に対する応答を受け取る通知応答受信部と、前記配送スケジュール生成部が生成した最新の前記配送スケジュールに基づき前記自律搬送ロボットを制御するロボット制御部と、を有し、前記配送スケジュール生成部は、前記配送承認依頼通知への応答により示された前記荷受人が承認した承認時刻が前記配送予定仮時刻と異なる場合には、前記承認時刻に前記荷物の配送が完了するように前記配送スケジュールを更新する。
【0008】
本発明にかかる物流システムの物流制御方法は、街区外と街区内との間でやり取りされる荷物を集配する集荷物流ヤードと、前記荷物を自律的な動作により搬送する自律搬送ロボットと、前記自律搬送ロボットが通行し、少なくとも一部が歩道又は車道とは異なる層となる部分に設けられる物流路と、前記物流路の端部に設けられる施設内ヤードと、を有する物流システムの物流制御方法であって、前記集荷物流ヤードに届けられた前記荷物の配送先と荷受人の情報を含む荷物情報を取得する荷物受け入れ情報取得処理と、前記荷物情報に基づき前記荷物を搬送する前記自律搬送ロボットと、前記自律搬送ロボットの出発時刻と、前記自律搬送ロボットの配送ルートと、を少なくとも含む配送スケジュールを生成する配送スケジュール生成処理と、前記配送スケジュールに基づき予想される前記荷物毎の配送予定仮時刻を算出する配送予定仮時刻算出処理と、前記配送予定仮時刻の承認を要求する配送承認依頼通知を前記荷物毎に対応付けられた前記荷受人に通知する荷物情報通知処理と、前記配送承認依頼通知に対する応答を受け取る通知応答受信処理と、前記配送スケジュール生成処理において生成した最新の前記配送スケジュールに基づき前記自律搬送ロボットを制御するロボット制御処理と、を行い、前記配送スケジュール生成処理において、前記配送承認依頼通知への応答により示された前記荷受人が承認した承認時刻が前記配送予定仮時刻と異なる場合には、前記承認時刻に前記荷物の配送が完了するように前記配送スケジュールを更新する。
【0009】
本発明にかかる物流制御プログラムは、街区外と街区内との間でやり取りされる荷物を集配する集荷物流ヤードと、前記荷物を自律的な動作により搬送する自律搬送ロボットと、前記自律搬送ロボットが通行し、少なくとも一部が歩道又は車道とは異なる層となる部分に設けられる物流路と、前記物流路の端部に設けられる施設内ヤードと、前記自律搬送ロボットの配送スケジュールを生成するとともに、前記配送スケジュールに基づき前記自律搬送ロボットに動作指示を与える配送制御装置と、を有する物流システムにおいて前記配送制御装置で実行される物流制御プログラムであって、前記集荷物流ヤードに届けられた前記荷物の配送先と荷受人の情報を含む荷物情報を取得する荷物受け入れ情報取得処理と、前記荷物情報に基づき前記荷物を搬送する前記自律搬送ロボットと、前記自律搬送ロボットの出発時刻と、前記自律搬送ロボットの配送ルートと、を少なくとも含む配送スケジュールを生成する配送スケジュール生成処理と、前記配送スケジュールに基づき予想される前記荷物毎の配送予定仮時刻を算出する配送予定仮時刻算出処理と、前記配送予定仮時刻の承認を要求する配送承認依頼通知を前記荷物毎に対応付けられた前記荷受人に通知する荷物情報通知処理と、前記配送承認依頼通知に対する応答を受け取る通知応答受信処理と、前記配送スケジュール生成処理において生成した最新の前記配送スケジュールに基づき前記自律搬送ロボットを制御するロボット制御処理と、を行い、前記配送スケジュール生成処理において、前記配送承認依頼通知への応答により示された前記荷受人が承認した承認時刻が前記配送予定仮時刻と異なる場合には、前記承認時刻に前記荷物の配送が完了するように前記配送スケジュールを更新する。
【0010】
本発明にかかる物流システム、物流制御方法及び物流制御プログラムは、荷受人が承認した時刻に基づき自律搬送ロボットの出発時刻を設定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、街区に存在する荷受人への物流を効率化することができる物流システムを提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1にかかる物流インフラ構造の概略図である。
図2】実施の形態1にかかる物流インフラ構造の断面構造の概略図である。
図3】実施の形態1にかかる物流インフラ構造の街区内物流路の進行方向の制限を説明する図である。
図4】実施の形態1にかかる物流インフラ構造の街区内物流路の管構造を説明する断面図である。
図5】実施の形態1にかかる物流インフラ構造の集荷物流ヤードと施設内ヤードにおいて行われる物流を説明する図である。
図6】実施の形態1にかかる物流システムのブロック図である。
図7】実施の形態1にかかる物流システムの動作を説明するフローチャートである。
図8】実施の形態1にかかる物流システムにおける物流効率化の例を説明する表である。
図9】実施の形態2にかかる物流システムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1
まず、実施の形態1にかかる物流システムは、以下で説明する物流インフラ構造1を用いた街区において物流を制御するものである。つまり、実施の形態1にかかる物流システムは、以下で説明する物流インフラ構造1内に配置される、或いは、物流インフラ構造1の構成要素と通信可能であって物流インフラ構造1が構築される街区とはことなる場所に配置される物流制御装置により物流を制御する。
【0014】
そこで、図1に実施の形態1にかかる物流インフラ構造1の概略図を示す。図1に示すように、実施の形態1にかかる物流インフラ構造1は、集荷物流ヤード10、単位街区11、幹線道路12、接続物流路15、街区内物流路16を有する。また、単位街区11には、施設13、路地14が含まれる。さらに施設13内には施設内ヤード18が設けられる。
【0015】
図1に示す例では、単位街区11を3つの離れた地域にそれぞれ配置したものである。より具体的には、図1では、物流ヤード10と1つの接続物流路15により接続される街区に5つの単位街区を配置し、2つの接続物流路15を介して集荷物流ヤード10と接続される街区に2つの単位街区を配置し、3つの接続物流路15を介して集荷物流ヤード10と接続される街区に1つの単位街区を配置した。また、単位街区11内には、戸建て住宅、集合住宅、商業施設、工場、畑、公園、テニスコート等の娯楽施設、駐車場等の様々な施設を設けることができる。また、単位街区11内において施設13の間の経路、或いは、単位街区11内から幹線道路12への経路となる路地14が設けられる。
【0016】
そして、このように複数の単位街区を配置した場合、隣り合う単位街区11の間には、幹線道路12を設ける。そして、幹線道路12に沿って街区内物流路16を構築する。このとき、隣り合う単位街区11では、1本の街区内物流路16を共有する。街区内物流路16は、荷物を自律的な動作により搬送する自律搬送ロボットが通行し、少なくとも一部が歩道又は車道とは異なる層となる部分に設けられる。街区内物流路16は、単位街区11の周囲をループ状に囲むように設けられる。また、街区内物流路16は、少なくとも単位街区11の少なくとも1辺に接するように設けられていればよい。図1に示す例では、単位街区11をループ状に囲む街区内物流路16と、単位街区11の2辺については囲んでいない街区内物流路16と、を組み合わせて1つの街区内物流路16を構成した。また、街区内物流路16は、分岐路17を有する。街区内物流路16は、分岐路17を介して単位街区11の外周に沿って設けられる施設13内の施設内ヤード18にアクセス可能なように構成される。ここで、単位街区11の外周に沿って設けられる施設13は、分岐路17が他の施設13が設けられている部分と重なることなく到達できる施設である。
【0017】
なお、街区内物流路16は、自律搬送ロボットがもっぱら用いる通路であるが、緊急時等においては他の自動運転車両であって特別に許可された特別許可車両の通行を許可することもできる。このとき、街区内物流路16を通路とする車両は、自律搬送ロボットであっても緊急車両であっても自律運行が可能な車両であれば、人が同一空間にいる場合に必要となる安全対策のための動作制限が不要になるため、これら車両の効率的な運行に繋がる。
【0018】
ここで、図1に示すように、実施の形態1にかかる物流インフラ構造1では、単位街区11により形成される街区とは別の位置に集荷物流ヤード10が設けられる。そして、集荷物流ヤード10と街区内物流路16とを接続物流路15によって接続する。また、単位街区11が隣接せずに物理的に離れた地域にある場合、離れた地域にある単位街区11同士を接続物流路15によって接続する。このように構成することで、集荷物流ヤード10に街区外から集荷された荷物を接続物流路15及び街区内物流路16を介して街区内の各施設に個別に配送することができる。また、実施の形態1にかかる物流インフラ構造1では、街区内の各施設から直接集荷物流ヤード10に荷物を配送することができる。ここで、実施の形態1にかかる物流インフラ構造1では、接続物流路15及び街区内物流路16を人又は人が搭乗する一般車両とは別の階層において、自律搬送ロボット専用路とするように構成する。
【0019】
このように、自律搬送ロボットが通行する接続物流路15及び街区内物流路16を人又は一般車両と異なる階層に設けることで、自律搬送ロボットが人に接触することはない。これにより、自律搬送ロボットは、人に対する安全対策のために動作速度を制限する等を行う必要がなく、高速動作により荷物を搬送することが可能になる。実施の形態1にかかる物流インフラ構造1では、街区内物流路16を含む構造及び街区内物流路16を用いた物流システムに特徴の1つがあるため、以下では街区内物流路16の構造及び街区内物流路16を用いた物流システムの構造的な部分についてより詳細に説明する。
【0020】
そこで、図2に実施の形態1にかかる物流インフラ構造の断面構造の概略図を示す。図2では、主に集荷物流ヤード10と施設内ヤード18と、接続物流路15の層が異なることを説明する。また、図2では、施設内ヤード18の設置階層として2つの例を示した。
【0021】
図2に示すように、接続物流路15は、人或いは人が搭乗する一般車両が移動する地上の下層となる地下に設けられる。そして、地上に設けられる集荷物流ヤード10と接続物流路15は、エレベーター22によって接続される。そして、このエレベーター22を介して集荷物流ヤード10と接続物流路15との間で自律搬送ロボット30が行き来する。
【0022】
また、図2に示すように、接続物流路15の終点は、施設13内に設けられた施設内ヤード18となる。施設内ヤード18は、施設13において接続物流路15と異なる層(例えば、図2の上図に示した第1の配置例)、或いは、接続物流路15と同一の層(図2の下図に示した第2の配置例)に設けられる。また、施設13内には、荷物の最終的な宛先となる人の居所となる配送先住居21が属する。
【0023】
なお、図2では、接続物流路15の全部が地下に形成される例を示したが、接続物流路15の設置場所は、地下に限らず地上であっても人又は一般車両が活動する層と異なる層であればよい。なお、接続物流路15と街区内物流路16の一部を地上に配置することもできるが、全てを地下に設けることで、搬送する荷物に対する雨対策が不要になる効果がある。
【0024】
続いて、接続物流路15及び街区内物流路16内の自律搬送ロボット30の運行方法について説明する。接続物流路15及び街区内物流路16内は双方向通行が可能なようにも設定できるが、一方通行に規制することで街区内物流路16の道幅を狭く設定することができる。そこで、図3に実施の形態1にかかる物流インフラ構造1の街区内物流路の進行方向の制限を説明する図を示す。
【0025】
図3に示すように、実施の形態1にかかる物流インフラ構造1では、街区内物流路16により構築される経路がループ状に形成される部分では通行方向を一方通行に規制し、経路が行き止まりとなる部分では双方向通行を許可する。
【0026】
図3について、より詳細に説明する。図3に示す例では、接続物流路15として、集荷物流ヤード10から街区内物流路16に向かって自律搬送ロボット30が通行する第1の接続物流路15aと、街区内物流路16から集荷物流ヤード10に向かって自律搬送ロボットが通行する第2の接続物流路15bと、を有する。
【0027】
また、図3に示す例では、1つの接続物流路15を介して集荷物流ヤード10と接続する単位街区にA11~A15の符号を付し、2つの接続物流路15を介して集荷物流ヤード10と接続される単位街区にB11、B12の符号を付し、3つの接続物流路15を介して接続される単位街区にC11の符号を付した。
【0028】
そして、図3に示す例では、以下のように運行ルールを設定した。単位街区の周囲を囲むように街区内物流路16が形成される部分については、一方通行に通行方向を帰省する。また、街区内物流路16のうち行き止まりが発生する部分については両方向の通行を許可する。
【0029】
上記のような運行ルールを設定することで、実施の形態1にかかる物流インフラ構造1では、自律搬送ロボット30が街区内物流路16内で対面することで互いに退避行動をとる等の運行効率の低下を防止することができる。なお、実施の形態1にかかる物流インフラ構造1では、両方向通行が適用される街区内物流路16についても、経路幅は一方通行ルールが適用される経路と同一とする。そして、両方向通行が許可される経路を利用する自律搬送ロボット30については配送スケジュールを調整して、他の自律搬送ロボット30と対向することがないようにする運用がなされるものとする。
【0030】
また、実施の形態1にかかる物流インフラ構造1では、街区内物流路16が全てループ形状を構成するような場合には、自律搬送ロボットが曲がる方向を右折と左折のいずれか一方に規制することもできる。このような規制を行うことで自律搬送ロボット30同士が対向して進行してきた場合にいずれか一方の自律搬送ロボット30に退避行動を行わせる等の運行効率の低下を防止することができる。
【0031】
続いて、接続物流路15及び街区内物流路16を構成する管構造について説明する。接続物流路15及び街区内物流路16は、地上もしくは地上より上層にある場合必ずしも管構造である必要はないが、地下にある場合は管構造で形成された経路である必要がある。そこで、図4に実施の形態1にかかる物流インフラ構造の街区内物流路の管構造を説明する断面図を示す。
【0032】
接続物流路15及び街区内物流路16を管構造とする場合、管構造を、プレキャスト工法により一定の規格に基づき形成された同一構造の複数の管材(例えば、ボックスカルバート)を組み合わせて形成される。図4に示す例では、ボックスカルバート40の1つの断面を示した。また、実施の形態1にかかる物流インフラ構造1では、ボックスカルバート40内に形成される街区内物流路16が自律搬送ロボット30の通路となる。また、図4に示すように、実施の形態1にかかる物流インフラ構造1では、ボックスカルバート40内の街区内物流路16にインフラ配線41及びインフラ配管42を設ける。このようにすることで、街区内物流路16を自律搬送ロボット30の通路としてだけでなくインフラ設備の一部として利用できる。インフラ配線41としては電力線、通信線等が考えられる。また、インフラ配管42としては、送水管、ガス配管等が考えられる。
【0033】
また、図4に示すように、ボックスカルバート40は、幹線道路12の地下に埋め込まれる。このような構造とすることで、幹線道路12を作る際にボックスカルバート40を埋める工事を同時に行い、街区内物流路16を構築するための工期及び費用を削減することができる。また、道路工事の一環として街区内物流路16の取り換え等を行えるためメンテナンス性に優れる特徴もある。
【0034】
続いて、実施の形態1にかかる物流インフラ構造1における物流の流れについて説明する。そこで、図5に実施の形態1にかかる物流インフラ構造の集荷物流ヤードと施設内ヤードにおいて行われる物流を説明する図を示す。図5では、集荷物流ヤード10及び施設内ヤード18内で行われる作業或いは処理毎に作業場を設け、当該作業場を各ヤード内の構成要素として示した。
【0035】
図5に示すように、集荷物流ヤード10は、受け入れ作業場50、仕分け作業場51、街区内配送場52、街区外配送場53、ゴミ集積所54を有する。また、施設内ヤード18は、受け入れ作業場60、仕分け作業場61、個別配送場62、荷物受け入れ作業場63、配送作業場64、ゴミ集積所65を有する。
【0036】
実施の形態1にかかる物流インフラ構造1では、まず、街区外の物流網からトラック等の貨物運搬車両により荷物が受け入れ作業場50に運び込まれる。受け入れ作業場50では、街区外の物流網から荷物を受け取り、仕分け作業場51に荷物を受け渡す。仕分け作業場51では、荷物を配送先の人がいる居所が属する建物毎に荷物をコンテナに収納する。このとき、コンテナに代えて、配送先の居所毎に棚が別れたロッカーを用いても良い。ロッカーを用いる場合、配送先の施設内ヤード18に併設されるロッカールームにロッカーを置くだけでよい。この場合、利用者が物流インフラ構造1を制御する上位システムから電子キー等を受け取り、電子キーにより指定された棚の施錠を解除するだけで荷物を届け先の人に届けることができる。
【0037】
そして、仕分け作業場51において仕分けられたコンテナは、街区内配送場52において接続物流路15及び街区内物流路16内で運用されている自律搬送ロボット30に受け渡される。自律搬送ロボット30は、コンテナの配送先となる施設を上位システムから指定され、指定された施設までコンテナを運ぶ。ここで配送先となる施設には、施設内ヤード18等の公共施設、或いは、工場等の居住場所以外の場所も含まれる。
【0038】
そして、施設内ヤード18では、受け入れ作業場60において自律搬送ロボット30が運んだコンテナを受け取る。そして、受け入れ作業場60で受け取られたコンテナは仕分け作業場61に届けられ、コンテナ内の荷物を個別配送場62に受け渡す。個別配送場62では、指定された配送先の居住者の元に荷物を届ける作業が行われる。
【0039】
また、施設内居住者は、荷物を発送したい場合、施設内ヤード18内の荷物受け入れ作業場63に発送する荷物を持ち込む。荷物受け入れ作業場63では、受け取った荷物を仕分け作業場61に届ける。仕分け作業場61では、受け取った荷物をコンテナに乗せて仕分け作業場61に届ける。配送作業場64では、コンテナを自律搬送ロボット30に受け渡す。そして、自律搬送ロボット30は、接続物流路15及び街区内物流路16による経路を通って荷物が積み込まれたコンテナを集荷物流ヤード10内の受け入れ作業場50に届ける。
【0040】
そして、受け入れ作業場50では受け取ったコンテナを仕分け作業場51に届ける。仕分け作業場51では、複数の施設13から受け入れ作業場50を介して受け取ったコンテナをまとめて街区外配送場53に届ける。街区外配送場53では、仕分け作業場51から受け取ったコンテナを街区外の物流網で運行される配送車両に受け渡す。
【0041】
また、実施の形態1にかかる物流インフラ構造1では、施設内居住者から出されるゴミを配送作業場64で集め、自律搬送ロボット30、接続物流路15及び街区内物流路16を用いて集荷物流ヤード10内に設けられるゴミ集積所54に集積する。そして、集荷物流ヤード10のゴミ集積所54で集積されたゴミをゴミ処理場まで運ぶ。
【0042】
実施の形態1にかかる物流システムでは、物流インフラ構造1内で運用される自律搬送ロボット30を図1図5では図示を省略した物流制御装置70により制御する。また、以下の説明では、物流制御装置70が制御する物流は集荷物流ヤード10から荷受人である街区の居住者に向けた流れのみとするが、物流制御装置70は、施設内ヤード18から集荷物流ヤード10への物流も制御する。
【0043】
ここで、図6に実施の形態1にかかる物流システムのブロック図を示す。図6に示すように、実施の形態1にかかる物流システムは、物流インフラ構造1のうち集荷物流ヤード10から荷物情報を取得し、取得した情報に基づき荷物の配送スケジュールを生成し、当該配送スケジュールに従って自律搬送ロボット30を制御する。実施の形態1にかかる物流システムでは、上記処理を行うために物流制御装置70を用いる。なお、物流制御装置70は、荷受人への荷物の配送時刻の承認を求め、荷受人からの承認に基づき自律搬送ロボット30の集荷物流ヤード10からの出発時刻を含む配送スケジュールを生成する。
【0044】
物流制御装置70は、荷物受け入れ情報取得部71、配送スケジュール生成部72、配送予定仮時刻算出部73、荷物情報通知部74、通知応答受信部75、ロボット制御部76を有する。
【0045】
荷物受け入れ情報取得部71は、集荷物流ヤード10に届けられた荷物の配送先と荷受人の情報を含む荷物情報を取得する。そして、荷物受け入れ情報取得部71は、受信した荷物情報を配送スケジュール生成部72に送信する。
【0046】
配送スケジュール生成部72は、荷物情報に基づき荷物を搬送する自律搬送ロボット30と、自律搬送ロボット30の出発時刻と、自律搬送ロボット30の配送ルートと、を少なくとも含む配送スケジュールを生成する。
【0047】
配送予定仮時刻算出部73は、配送スケジュールに基づき予想される荷物毎の配送予定仮時刻を算出する。荷物情報通知部74は、配送予定仮時刻の承認を要求する配送承認依頼通知を荷物毎に対応付けられた荷受人に通知する。通知応答受信部75は、配送承認依頼通知に対する応答を受け取る。
【0048】
そして、配送スケジュール生成部72は、配送承認依頼通知への応答により示された荷受人が承認した承認時刻が配送予定仮時刻と異なる場合には、承認時刻に荷物の配送が完了するように配送スケジュールを更新する。なお、以下の説明では、承認時刻のうち配送予定仮時刻と異なる時刻を配送希望時刻と称す。
【0049】
ロボット制御部76は、配送スケジュール生成部72が生成した最新の配送スケジュールに基づき自律搬送ロボットを制御する。また、配送スケジュール生成部72は、配送承認依頼通知を通知する前に決定した配送予定仮時刻に対応して決定された自律搬送ロボットの出発前までに、配送承認依頼通知への荷受人からの応答がなかった場合、配送承認依頼通知を通知する前に決定した配送予定仮時刻を荷受人が承認した時刻とする。
【0050】
ここで、配送スケジュール生成部72は、例えば、人工知能等のスケジューリングを効率的に行うことができる処理部を含んでいることが好ましい。また、配送スケジュール生成部72は、配送時刻、消費電力等の少なくとも1つの項目について最も効率の高い配送スケジュールを生成する。この効率化の具体的な例については後述する。
【0051】
続いて、実施の形態1にかかる物流システムの動作について説明する。図7に実施の形態1にかかる物流システムの動作を説明するフローチャートを示す。
【0052】
図7に示すように、実施の形態1にかかる物流システムでは、集荷物流ヤード10の受け入れ作業場50において荷物の受け入れが完了すると、荷物受け入れ情報取得部71が受け入れ作業場50から荷物情報を受信する(ステップS1)。続いて、配送スケジュール生成部72が荷物受け入れ情報取得部71により取得された荷物情報に基づき荷物を搬送する自律搬送ロボット30、自律搬送ロボット30の出発時刻及び配送ルートについて、所定の最適化項目が最も効率的になるように配送スケジュールを生成する(ステップS2)。
【0053】
続いて、配送予定仮時刻算出部73が、配送スケジュール生成部72が生成した配送スケジュールを参照して、配送予定仮時刻を算出する(ステップS3)。荷物情報通知部74は、配送予定仮時刻の承認を依頼する配送承認依頼通知を荷受人に送信する(ステップS4)。荷受人は、配送承認依頼通知を受け取ると、当該通知に記載されている承認ボタンを押す、或いは、配送予定仮時刻とは異なる配送希望時刻を指定した返信を行う。通知応答受信部75は、荷受人から配送予定仮時刻の承認通知、或いは、配送希望時刻を受信する。実施の形態1にかかる物流システムでは、荷受人が背側承認依頼通知に応答しない場合、配送予定仮時刻に合わせて設定される自律搬送ロボット30の出発予定時刻が経過した時点で承認を求めた配送予定仮時刻が承認されたとみなすことで、物流の滞留を防止する。
【0054】
そして、荷受人から配送希望時刻を通知応答受信部75が受信した場合、配送スケジュール生成部72が、配送希望時刻に基づき配送スケジュールを調整して、配送希望時刻に荷受人に荷物が届くように自律搬送ロボット30の出発時刻を変更する(ステップS5、S6)。そして、最新の配送スケジュールに基づき判定される自律搬送ロボット30の出発時刻が経過した時点でロボット制御部76は、自律搬送ロボット30に出発指示を行う(ステップS7、S8)。なお、ステップS7において、自律搬送ロボット30の出発時刻が経過していない場合、物流制御装置70は、ステップS1以降の処理を繰り返す。
【0055】
続いて、実施の形態1にかかる物流システムにおける最適化項目について説明する。そこで、図8に実施の形態1にかかる物流システムにおける物流効率化の例を説明する表を示す。なお、図8に示す最適化の項目については、物流システムにおいて最適化される項目の一例であり、他の項目についての最適化を行うこともできる。
【0056】
図8では、4つの最適化項目を示した。まず、配送スケジュール生成部72は、荷物配送に要する時刻を最小化する最適化を行うことができる。この場合、配送希望時刻及び配送先住所に基づきもっと早く全ての荷物を配送可能なように、配送スケジュール生成部72は配送スケジュールを生成する。
【0057】
配送スケジュール生成部72は、街区を含む物流システム全体の消費電力のピーク電力を最小化するように配送スケジュールを最適化することができる。この場合、配送スケジュール生成部72は、街全体の消費電力のピーク時刻帯を推定し、当該ピーク時刻帯に自律搬送ロボット30の充電処理が生じないように、配送希望時刻が指定された荷物の運搬に利用する自律搬送ロボット30の走行モードを設定し、設定した走行モードでの走行により荷物を時刻通りに配送可能な配送スケジュールを生成する。
【0058】
配送スケジュール生成部72は、自律搬送ロボット30の運用による消費電力を最小化させるよう配送スケジュールを生成することができる。この場合、配送スケジュール生成部72は、配送希望時刻が指定された荷物を時刻通りに配送しながら時刻指定のない全ての荷物を配送可能な最も自律搬送ロボット30の移動量が少ない配送スケジュールを生成する。
【0059】
配送スケジュール生成部72は、自律搬送ロボット30の稼働台数を最小化させる配送スケジュールを生成することができる。この場合、配送スケジュール生成部72は、配送希望時刻が指定された荷物とともに配送可能な時刻指定のない荷物を選択し、自律搬送ロボット30にと積載可能な最大量を算出し、各自律搬送ロボット30が配送希望時刻通りに荷物を配送可能な配送スケジュールを生成する。この最適化項目では、自律搬送ロボット30が棚板の高さ、段数、幅等を調整可能であれば、当該棚の高さ、段数、幅等を荷物の大きさに応じて変更することを含む。
【0060】
上記説明より、実施の形態1にかかる物流システムでは、荷受人からの配送時刻の承認に基づき自律搬送ロボット30の出発時刻を設定する。これにより、実施の形態1にかかる物流システムでは、荷物運搬の時刻的な効率を高めることができる。
【0061】
また、実施の形態1にかかる物流システムでは、物流インフラ構造内に不必要に自律搬送ロボット30が動いている状態とならないため、自律搬送ロボット30の移動速度を高め、かつ、自律搬送ロボット30に待ち状態が発生する頻度を低減させることができる。これにより、実施の形態1にかかる物流システムは、自律搬送ロボット30の移動時刻の効率を高めることができる。
【0062】
また、実施の形態1にかかる物流インフラでは、物流インフラ構造1が自律搬送ロボット30専用の通路を有しているため、通路上で自律搬送ロボット30の運行を妨げる外乱が発生せず、配送スケジュールを安定運用することができる。
【0063】
実施の形態2
実施の形態2では、配送スケジュール生成部72での処理の別の形態について説明する。実施の形態1では、自律搬送ロボット30の出発予定時刻を経過した後に荷受人から配送希望時刻の受付を行うことができなかったが、実施の形態2では、これを可能にする。具体的には、実施の形態2では、配送スケジュール生成部72が、荷受人からの配送希望時刻の受信が配送希望時刻を指定されたスケジュール変更対象荷物を搭載した自律搬送ロボットの出発後であった場合、記自律搬送ロボットに変更対象荷物を持ち帰るか、配送順序の変更、の少なくとも一方を指示する。
【0064】
そこで、図9に実施の形態2にかかる物流システムの動作を説明するフローチャートを示す。図8に示すように、実施の形態2では、配送スケジュール生成部72が図7に示した動作に加えて、ステップS11、S12の処理を行う。
【0065】
ステップS11では、配送スケジュール生成部72が配送希望時刻を参照し、配送希望時刻を指定された荷物を搭載した自律搬送ロボット30が未出発か否かを判断する。ステップS11の判断において、配送希望時刻を指定された荷物を搭載した自律搬送ロボット30が未出発であった場合、配送スケジュール生成部72は、ステップS6の配送スケジュールの調整を行う。
【0066】
一方、ステップS11の判断において、配送希望時刻を指定された荷物を搭載した自律搬送ロボット30が出発した後であると判断した場合、配送スケジュール生成部72は、すでに出発した自律搬送ロボット30に対して配送後処理を行う(ステップS12)。このステップS12の配送後処理では、配送スケジュール生成部72は、自律搬送ロボット30に、変更対象荷物を持ち帰る、配送順序を変更する、の少なくとも一方を指示する。
【0067】
実施の形態2では、配送スケジュール生成部72が、自律搬送ロボット30の出発後に届いた配送希望時刻について、荷受人の希望する配送希望時刻になるまで、荷受人の荷物を物流システム側で預かることができる。これにより、実施の形態2にかかる物流システムでは、再配送に起因する効率低下を防止することができる。
【0068】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0069】
1 物流インフラ構造
10 集荷物流ヤード
11 単位街区
12 幹線道路
13 施設
14 路地
15 接続物流路
16 街区内物流路
17 分岐路
18 施設内ヤード
21 配送先住居
22 エレベーター
30 自律搬送ロボット
40 ボックスカルバート
41 インフラ配線
42 インフラ配管
50 受け入れ作業場
51 仕分け作業場
52 街区内配送場
53 街区外配送場
54 ゴミ集積所
60 受け入れ作業場
61 仕分け作業場
62 個別配送場
63 荷物受け入れ作業場
64 配送作業場
65 ゴミ集積所
70 物流制御装置
71 荷物受け入れ情報取得部
72 配送スケジュール生成部
73 配送予定仮時刻算出部
74 荷物情報通知部
75 通知応答受信部
76 ロボット制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9