(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ルータ
(51)【国際特許分類】
B27C 5/10 20060101AFI20240604BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20240604BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20240604BHJP
B27G 3/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B27C5/10
B25F5/02
B25F5/00 H
B27G3/00 L
(21)【出願番号】P 2023122084
(22)【出願日】2023-07-27
(62)【分割の表示】P 2021554215の分割
【原出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2019198180
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020059488
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】長田 淑晃
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 健
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】実公平03-025924(JP,Y2)
【文献】特開2018-079632(JP,A)
【文献】特開2014-148017(JP,A)
【文献】特開2007-203675(JP,A)
【文献】特開2006-260121(JP,A)
【文献】特開2011-046167(JP,A)
【文献】特開2006-130902(JP,A)
【文献】特開2019-022939(JP,A)
【文献】特開2009-113216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27C 5/10
B25F 5/00 - 5/02
B27G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工材に切削加工を施すルータであって、
上下方向に延びる回転軸を有するブラシレスモータと、
前記ブラシレスモータを制御する制御部と、
前記ブラシレスモータを収容する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングの下方側に設けられ、加工材に当接可能なベースと、
前記本体ハウジングを前記ベースに対して上下方向に相対移動可能に支持するコラムと、前記本体ハウジングと前記ベースとが離間するように付勢力を働かせる付勢部材と、前記コラムの一部を収容するコラム収容部と、を有する昇降機構と、
前記本体ハウジングに固定され、左右方向へ突出した一対のハンドルと、
前記本体ハウジングに設けられ、電池を保持する電池ホルダと、
前記制御部を収容する制御部収容室と、
を備え、
前記
制御部収容室の少なくとも一部
は、前記
コラム収容部の一部と上下方向
と直交する方向から見て重なるよう構成されるルータ。
【請求項2】
加工材に切削加工を施すルータであって、
回転軸を有するブラシレスモータと、
前記ブラシレスモータを制御する制御部と、
前記ブラシレスモータを収容する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングの下方側に設けられ、加工材に当接可能なベースと、
前記本体ハウジングを前記ベースに対して上下方向に相対移動可能に支持するコラムを有する昇降機構と、
前記本体ハウジングに固定され、左右方向へ突出した一対のハンドルと、
前記本体ハウジングに設けられ、電池を保持する電池ホルダと、
前記本体ハウジングに設けられ、前記制御部を収容する制御部収容室と、
を備え、
前記本体ハウジングの前後方向一方側の側面部
に前記制御部収容室を設け、
かつ前記電池ホルダが、前記ブラシレスモータの上方で前記電池を保持するように構成した、
または
前記電池ホルダが前記ブラシレスモータの前後方向一方側で前記電池を保持し、かつ前記ブラシレスモータの上方で前記制御部を保持するように構成したルータ。
【請求項3】
前記ブラシレスモータを前記コラム収容部の上端よりも下方に位置させるとともに、前記電池を取り付けた際の重心が、前記ハンドルの上端よりも下方に位置するようにした請求項1に記載のルータ。
【請求項4】
前記昇降機構よりも上方、かつ前記制御部収容室の上方で、前記電池が前記電池ホルダに支持される、請求項1または請求項2に記載のルータ。
【請求項5】
加工材に切削加工を施すルータであって、
上下方向に延びる回転軸を有するブラシレスモータと、
前記ブラシレスモータを制御する制御部と、
前記ブラシレスモータを収容する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングの下方側に設けられ、加工材に当接可能なベースと、
前記本体ハウジングを前記ベースに対して上下方向に相対移動可能に支持するコラムと、前記本体ハウジングと前記ベースとが離間するように付勢力を働かせる付勢部材と、前記コラムの一部を収容するコラム収容部と、を有する昇降機構と、
前記本体ハウジングに固定され、左右方向へ突出した一対のハンドルと、
前記本体ハウジングに設けられ、電池を保持する電池ホルダと、
を備え、
前記制御部の少なくとも一部が、前記昇降機構の一部と上下方向で同じ位置に設けられる制御部収容室に収容され、
前記本体ハウジングは、前記電池ホルダとは別体であって前記ブラシレスモータを収容するモータハウジングを有し、
前記電池ホルダは第1ホルダと第2ホルダとを組み付けることにより構成され、
前記コラム収容部は前記ブラシレスモータの左右に配置されるとともに、前記モータハウジングは、前後方向の一方側へ延びて前記第1ホルダと上下方向で係合する第1係合部と、前後方向の他方側に延びて前記第2ホルダと上下方向で係合する第2係合部を有す
るルータ。
【請求項6】
前記コラム収容部の上端部は、前記モータハウジングに形成される、請求項5に記載のルータ。
【請求項7】
前記コラム収容部の上端部が、前記電池ホルダによって覆われる、請求項6に記載のルータ。
【請求項8】
前記制御部は制御基板を有しており、前記制御基板は前後左右方向に延びる、請求項1に記載のルータ。
【請求項9】
前記本体ハウジングの前後方向一方側の側面部に前記制御部収容室を設け、かつ前記電池ホルダが前記ブラシレスモータの上方で前記電池を保持し、
前記制御部は制御基板を有しており、前記制御基板は上下左右方向に延びる、請求項2に記載のルータ。
【請求項10】
前記制御部は、前後方向でみたときに前記制御部の少なくとも一部が前記ブラシレスモータと重なる位置に配置される、請求項2に記載のルータ。
【請求項11】
前記ブラシレスモータはステータを有し、
前記制御部は、上端位置が前記ステータの上端よりも上方に位置し、下端位置が前記ステータの下端よりも下方に位置するように配置される、請求項10に記載のルータ。
【請求項12】
前記電池ホルダは、前記本体ハウジングの前後方向一方側にて前記電池を保持する、請求項1に記載のルータ。
【請求項13】
前記電池ホルダは、第1ホルダと第2ホルダとを組み合わせることで構成されるとともに、前記ブラシレスモータの上方に位置する前記制御部収容室を有する、請求項12に記載のルータ。
【請求項14】
前記ブラシレスモータの上方に前記電池が位置する、請求項1に記載のルータ。
【請求項15】
前記コラムは、前記ブラシレスモータの左側右側それぞれに配置される第1コラムと第2コラムとを含み、
前記制御部は、左右方向で前記第1コラムと前記第2コラムとの間の位置にある、請求項1に記載のルータ。
【請求項16】
前記電池ホルダは左右方向に分割可能に構成される、請求項1に記載の作業機。
【請求項17】
前記電池ホルダは、左側と右側それぞれに吸気口が設けられる、請求項16に記載のルータ。
【請求項18】
前記コラム収容部の上端は前記ハンドルよりも上方に位置する、請求項1に記載のルータ。
【請求項19】
前記電池は、左右方向で前記コラム収容部よりも突出しないようにして前記電池ホルダに保持される、請求項1に記載のルータ。
【請求項20】
前記電池ホルダと前記コラム収容部は別体であり、前記コラム収容部の上端が前記電池ホルダによって覆われる、請求項1に記載のルータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のルータでは、本体が、コラムによってベースに上下方向に相対移動可能に連結されている。また、本体の内部には、モータ及び制御基板が設けられており、モータに電力を供給するための電源コードが本体から上側へ延出されている。そして、電源コードをコンセントに接続して、モータに電力を供給して、加工材に対して切削加工を施すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、近年、利便性を向上するために、電源コードの代わりに、電池を装着して、電池によって電力を供給する作業機が求められている。そして、上記ルータに電池を設けた場合には、装着される電池の重量によって、ルータの姿勢の安定性が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、安定性の悪化を抑制しながら、電池による駆動を可能としたルータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、加工材に切削加工を施すルータであって、上下方向に延びる回転軸を有するブラシレスモータと、前記ブラシレスモータを制御する制御部と、前記ブラシレスモータを収容する本体ハウジングと、前記本体ハウジングの下方側に設けられ、加工材に当接可能なベースと、前記本体ハウジングを前記ベースに対して上下方向に相対移動可能に支持するコラムと、前記本体ハウジングと前記ベースとが離間するように付勢力を働かせる付勢部材と、前記コラムの一部を収容するコラム収容部と、を有する昇降機構と、前記本体ハウジングに固定され、左右方向へ突出した一対のハンドルと、前記本体ハウジングに設けられ、電池を保持する電池ホルダと、前記制御部を収容する制御部収容室と、を備え、前記制御部収容室の少なくとも一部は、前記コラム収容部の一部と上下方向と直交する方向から見て重なるよう構成されるルータである。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、加工材に切削加工を施すルータであって、回転軸を有するブラシレスモータと、前記ブラシレスモータを制御する制御部と、前記ブラシレスモータを収容する本体ハウジングと、前記本体ハウジングの下方側に設けられ、加工材に当接可能なベースと、前記本体ハウジングを前記ベースに対して上下方向に相対移動可能に支持するコラムを有する昇降機構と、前記本体ハウジングに固定され、左右方向へ突出した一対のハンドルと、前記本体ハウジングに設けられ、電池を保持する電池ホルダと、前記本体ハウジングに設けられ、前記制御部を収容する制御部収容室と、を備え、前記本体ハウジングの前後方向一方側の側面部に前記制御部収容室を設け、かつ前記電池ホルダが、前記ブラシレスモータの上方で前記電池を保持するように構成した、または前記電池ホルダが前記ブラシレスモータの前後方向一方側で前記電池を保持し、かつ前記ブラシレスモータの上方で前記制御部を保持するように構成したルータである。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ブラシレスモータを前記コラム収容部の上端よりも下方に位置させるとともに、前記電池を取り付けた際の重心が、前記ハンドルの上端よりも下方に位置するようにしたルータである。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記昇降機構よりも上方、かつ前記制御部収容室の上方で、前記電池が前記電池ホルダに支持されるルータである。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、加工材に切削加工を施すルータであって、上下方向に延びる回転軸を有するブラシレスモータと、前記ブラシレスモータを制御する制御部と、前記ブラシレスモータを収容する本体ハウジングと、前記本体ハウジングの下方側に設けられ、加工材に当接可能なベースと、前記本体ハウジングを前記ベースに対して上下方向に相対移動可能に支持するコラムと、前記本体ハウジングと前記ベースとが離間するように付勢力を働かせる付勢部材と、前記コラムの一部を収容するコラム収容部と、を有する昇降機構と、前記本体ハウジングに固定され、左右方向へ突出した一対のハンドルと、前記本体ハウジングに設けられ、電池を保持する電池ホルダと、を備え、前記制御部の少なくとも一部が、前記昇降機構の一部と上下方向で同じ位置に設けられる制御部収容室に収容され、前記本体ハウジングは、前記電池ホルダとは別体であって前記ブラシレスモータを収容するモータハウジングを有し、前記電池ホルダは第1ホルダと第2ホルダとを組み付けることにより構成され、前記コラム収容部は前記ブラシレスモータの左右に配置されるとともに、前記モータハウジングは、前後方向の一方側へ延びて前記第1ホルダと上下方向で係合する第1係合部と、前後方向の他方側に延びて前記第2ホルダと上下方向で係合する第2係合部を有するルータである。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記コラム収容部の上端部は、前記モータハウジングに形成されるルータである。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記コラム収容部の上端部が、前記電池ホルダによって覆われるルータである。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記制御部は制御基板を有しており、前記制御基板は前後左右方向に延びるルータである。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記本体ハウジングの前後方向一方側の側面部に前記制御部収容室を設け、かつ前記電池ホルダが前記ブラシレスモータの上方で前記電池を保持し、前記制御部は制御基板を有しており、前記制御基板は上下左右方向に延びるルータである。
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記制御部は、前後方向でみたときに前記制御部の少なくとも一部が前記ブラシレスモータと重なる位置に配置されるルータである。
【0016】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ブラシレスモータはステータを有し、前記制御部は、上端位置が前記ステータの上端よりも上方に位置し、下端位置が前記ステータの下端よりも下方に位置するように配置されるルータである。
【0017】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記電池ホルダは、前記本体ハウジングの前後方向一方側にて前記電池を保持するルータである。
【0018】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記電池ホルダは、第1ホルダと第2ホルダとを組み合わせることで構成されるとともに、前記ブラシレスモータの上方に位置する前記制御部収容室を有するルータである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、安定性の悪化を抑制しながら、電池による駆動を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態に係るルータを示す前側から見た正面図である。
【
図2】
図1に示されるルータの右側から見た側面図である。
【
図3】
図1に示されるルータの上側から見た平面図である。
【
図4】
図1に示されるバッテリーをバッテリホルダから取外した状態のルータを示す左斜め上方から見た斜視図である。
【
図5】
図2に示されるルータの前側から見た断面図(
図2の5-5線断面図)である。
【
図6】
図1に示されるルータのバッテリホルダの内部を示す右側から見た断面図(
図1の6-6線断面図)である。
【
図7】
図5に示されるモータハウジングとバッテリホルダとの固定状態を示す上側から見た断面図(
図5の7-7線断面図)である。
【
図8】
図1に示されるモータハウジングの右斜め前方から見た斜視図である。
【
図9】(A)は、
図6に示される制御基板から延出されるリード線の配線状態を説明するための後側から見た一部破断した説明図であり、(B)は、制御基板から延出されるリード線の配線状態を説明するための上側から見た説明図である。
【
図10】
図2に示されるルータ本体が最下位置に配置された状態を示す側面図である。
【
図11】
図6に示される制御部の配置位置の変形例を示す右側から見た断面図である。
【
図12】第2実施形態に係るルータを示す斜視図である。
【
図13】
図12に示されるルータの一部破断した正面図である。
【
図14】
図12に示されるルータの上側から見た平面図である。
【
図15】
図12に示されるルータの右側から見た側面図である。
【
図16】
図12に示されるルータを、バッテリーを取外した状態で示す後側から見た背面図である。
【
図17】
図15に示されるベース水平姿勢からベースが垂直となるように姿勢を変更した状態を示すルータの右側面図である。
【
図18】
図17に示される状態からルータ本体をベースに接近させた(最下位置)状態におけるルータの右側面図である。
【
図19】バッテリホルダの左側ホルダを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図20】バッテリホルダの左側ホルダ及び右側ホルダを取り外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図10を用いて、第1実施形態に係るルータ10について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UP、矢印FR、及び矢印RHは、それぞれルータ10の上側、前側、及び右側(幅方向一方側)を示している。そして、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、ルータ10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0022】
ルータ10は、加工材Wの上側に載置されて、当該加工材Wに切削加工を施す工具として構成されている。
図1~
図4に示されるように、ルータ10は、ベース20と、ルータ本体30と、「電池ホルダ」としてのバッテリホルダ60と、「電池」としてのバッテリー70と、制御部80(
図5参照)と、を含んで構成されている。以下、ルータ10の各構成について説明する。
【0023】
(ベース20について)
ベース20は、ルータ10の下端部を構成している。ベース20は、上下方向を板厚方向とする板状に形成されると共に、平面視で略D字形状に形成されている。具体的には、ベース20の前端部に、切欠部20Aが形成されて、ベース20の前端部が、左右方向に直線状に延在されている。より詳しくは、ベース20の外周部が、ベース20の前端部を構成し且つ左右方向に直線状に延在された直線状外周部20Bと、直線状外周部20Bの長手方向両端部を接続し且つ後側へ凸となる円弧状に延在された円弧状外周部20Cと、によって構成されている。また、ベース20の略中央部には、円形状の挿通部20Dが上下方向に貫通形成されている。そして、挿通部20Dの中心線CLと円弧状外周部20Cの中心線とが一致している。これにより、中心線CLとベース20の外周部との間の距離を距離Lとすると、中心線CLと直線状外周部20Bの左右方向中央部との間の距離Lが、距離Lの最少となる(
図3参照)。
【0024】
ベース20には、昇降機構22が設けられている。昇降機構22は、左右一対のコラム23を有しており、コラム23は、上下方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。コラム23の下端部は、ベース20の左右方向両端部に固定されており、コラム23が、ベース20から上側へ延出している。また、前後方向におけるコラム23の軸線の位置と中心線CLの位置とが一致している。
【0025】
さらに、昇降機構22は、位置調整ボルト24を有している。位置調整ボルト24は、左側のコラム23の後側において、上下方向に延在されている。位置調整ボルト24の下端部は、ベース20に固定されており、位置調整ボルト24が、ベース20から上側へ延出している。また、位置調整ボルト24の上端部には、位置調整ナット25(
図4参照)が螺合されている。
【0026】
(ルータ本体30について)
図1~
図5に示されるように、ルータ本体30は、ルータ本体30の外郭を構成する本体ハウジング31と、本体ハウジング31の内部に収容されたモータ40及び保持リング50と、本体ハウジング31に取付けられた左右一対のハンドル52と、を含んで構成されている。また、本体ハウジング31は、本体ハウジング31の下部を構成するエンドブラケット32と、本体ハウジング31の上部を構成するモータハウジング33と、を含んで構成されている。以下、ルータ本体30の各構成について説明する。
【0027】
<エンドブラケット32について>
エンドブラケット32は、金属材によって構成されている。エンドブラケット32は、上側へ開放され且つ左右方向を長手方向とする略直方体箱状に形成されている。エンドブラケット32は一体構造とされており、分割不能に構成されている。
図5に示されるように、エンドブラケット32の左右方向両端側部分には、一対の連結筒部32Aが形成されている。連結筒部32Aは、上下方向を軸方向とした略円筒状に形成されると共に、エンドブラケット32の底壁から上側及び下側へ突出している。そして、前述したコラム23が、連結筒部32Aの内部に上下方向に相対移動可能に挿入されている。
【0028】
エンドブラケット32の左右方向中央部には、一対の連結筒部32Aの間において、後述するファン47を収容するためのファン収容部32Bが形成されている。ファン収容部32Bは、略円筒状に形成されて、エンドブラケット32の底壁から上側へ突出している。また、エンドブラケット32には、ファン収容部32Bの径方向内側において、略円筒状の支持筒部32Cが形成されており、支持筒部32Cの内部が、上下方向に貫通している。また、支持筒部32Cは、ファン収容部32Bと同軸上に配置されており、支持筒部32Cの軸線が、中心線CLと一致している。支持筒部32Cには、下側へ開放された複数の逃げ溝32Dが形成されており、逃げ溝32Dは、支持筒部32Cの周方向に沿って並んで配置されている。さらに、支持筒部32Cの径方向内側には、後述するモータ40の回転軸41を支持するための軸受34が設けられている。
【0029】
また、エンドブラケット32の底壁には、ファン収容部32Bと支持筒部32Cとの間において、複数の排気孔32Eが形成されている。複数の排気孔32Eは、ファン収容部32Bの周方向に沿った長孔状に形成されると共に、ファン収容部32Bの周方向に並んで配置されている。
【0030】
また、エンドブラケット32の左右方向両端部には、後述するハンドル52を固定するためのハンドル固定部32Gが形成されている。ハンドル固定部32Gは、左右方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、エンドブラケット32から左右方向外側へ突出している。
【0031】
図3及び
図4に示されるように、エンドブラケット32の左端部の外周部には、後側へ突出したストッパ部32Hが形成されている。ストッパ部32Hは、上下方向と軸方向とする略筒状に形成されている。そして、前述した位置調整ボルト24が、ストッパ部32Hの内部を挿通すると共に、ストッパ部32Hが、位置調整ナット25の下側に配置されている。
【0032】
<モータハウジング33について>
図5~
図8に示されるように、モータハウジング33は、樹脂材によって構成されると共に、エンドブラケット32の上側に隣接して配置されている。モータハウジング33は、下側へ開放された略矩形箱状(筒状)に形成されている。モータハウジング33は一体的に形成されており、例えば前後方向及び左右方向に分割不能に構成されている。また、モータハウジング33の開口部は、エンドブラケット32の開口部に対応する形状に形成されている。そして、モータハウジング33が、エンドブラケット32の開口部を閉塞するように、エンドブラケット32に締結固定されている。
【0033】
モータハウジング33の上壁には、左右方向両端部において、左右一対の隆起部33AR,33ALが形成されている。隆起部33AR,33ALは、上側へ隆起され、下側へ開放された略有底円筒状に形成されると共に、エンドブラケット32の連結筒部32Aと同軸上に配置されている。また、モータハウジング33の内部には、昇降機構22を構成する左右一対の連結軸26(
図5参照)が設けられており、連結軸26は、上下方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。連結軸26は、隆起部33AR,33ALの上壁から下側へ延出されると共に、コラム23内に上下方向に相対移動可能に挿入されている。また、連結軸26には、圧縮コイルスプリングとして構成された付勢バネ27(
図5参照)が外挿されており、付勢バネ27は、昇降機構22の一部を構成している。付勢バネ27の上端部は、隆起部33AR,33ALの上壁に係止されている。一方、付勢バネ27の下部が、コラム23内に挿入されており、付勢バネ27の下端部がベース20に係止されている。なお、上下方向において、「右側収容部」としての右側の隆起部33ARの上端位置と「左側収容部」としての左側の隆起部33ALの上端位置とが、異なる位置に設定されている。具体的には、右側の隆起部33ARの上端位置の方が、左側の隆起部33ALよりも低くなるように設定されている。これによって、隆起部33ARの上方に位置するバッテリホルダ60内の空間を広げ、配線空間を確保することができるが、詳細は後述する。
【0034】
そして、付勢バネ27によって、モータハウジング33(すなわち、ルータ本体30)が上側へ付勢されて、ルータ本体30のストッパ部32Hが位置調整ボルト24の位置調整ナット25に下側から当接している。したがって、ストッパ部32Hが位置調整ナット25に当接した位置に、ルータ本体30が保持されている(以下、この位置をルータ本体30の初期位置という)。そして、位置調整ボルト24に対する位置調整ナット25の位置を変更することで、上下方向におけるルータ本体30の初期位置が変更される構成になっている。具体的には、
図1及び
図2に示されるルータ本体30の位置が、ルータ本体30が最も上側に配置された初期位置として設定されている(以下、この位置を最上位初期位置という)。そして、付勢バネ27の付勢力に抗してルータ本体30を初期位置から下側へ押下げることで、ルータ本体30が、ベース20に対して下側へ相対移動して、ベース20に接近する構成になっている。また、ルータ本体30がベース20に最も接近した位置を最下位置という(
図10参照)。
【0035】
モータハウジング33の左右方向中央部には、後述するモータ40を収容するためのモータ収容部33Bが形成されている。モータ収容部33Bは、下側へ開放された略有底円筒状に形成されており、モータ収容部33Bの上端部が、モータハウジング33の上壁よりも若干上側へ突出すると共に、隆起部33AR,33ALの上端部よりも下側に配置されている。また、モータ収容部33Bの軸線が中心線CLに一致している。
【0036】
モータ収容部33Bの上壁の中央部には、軸受固定部33Cが形成されており、軸受固定部33Cは、下側へ開放された有底円筒状に形成されている。さらに、モータ収容部33Bの上壁には、軸受固定部33Cの径方向外側において、4箇所の連通孔33D1~33D4(
図7及び
図8参照)が貫通形成されており、連通孔33D1~33D4は、平面視で略扇形状に形成されている。また、1箇所の連通孔33D1が、軸受固定部33Cの左斜め後側に配置されており、4箇所の連通孔33D1~33D4が、モータ収容部33Bの周方向に90度毎に配置されている。
【0037】
モータ収容部33Bの側壁の内周面には、8箇所のガイドリブ33E(
図7及び
図8参照)が形成されており、ガイドリブ33Eは、上下方向に延在されている。また、ガイドリブ33Eでは、一対のガイドリブ33Eを一組として、4組のガイドリブ33Eが、モータ収容部33Bの周方向に所定の間隔を空けて配置されている。
【0038】
モータハウジング33の上端部には、後述するバッテリホルダ60を固定するための「固定部」としてのハウジング側固定部33Fが形成されている。ハウジング側固定部33Fは、軸受固定部33Cの右側で且つモータ収容部33Bの上壁と側壁との境界部分に形成されている。すなわち、上下方向における軸受固定部33Cの位置とハウジング側固定部33Fの位置とが略一致している。ハウジング側固定部33Fは、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。ハウジング側固定部33Fの内部には、前後方向中間部において、径方向内側へ張り出した円筒状の固定壁33F1(
図7参照)が形成されており、固定壁33F1の内部が固定孔33F2(
図7参照)として構成されている。これにより、ハウジング側固定部33Fの前側及び後側の開口部が、固定孔33F2によって連通されている。
【0039】
モータハウジング33の上壁には、モータ収容部33Bの径方向外側において、コネクタ収容部33G(
図7及び
図8参照)が形成されている。具体的には、コネクタ収容部33Gは、連通孔33D1の径方向外側に配置されている。コネクタ収容部33Gは、上側へ開放された凹状に形成されると共に、平面視で、モータ収容部33Bの周方向に沿って延在されている。また、コネクタ収容部33Gの前端部が、左側の隆起部33ALとモータ収容部33Bとの間に配置されている。
【0040】
モータ収容部33Bの上端部の外周部には、連通孔33D2及び連通孔33D3の前側において、上下一対の「係合部」としてのハウジング側係合リブ33Hが形成されている。ハウジング側係合リブ33Hは、上下方向を板厚方向として左右方向に延在されると共に、上下方向に並んで配置されている。また、モータ収容部33Bの上端部の外周部には、連通孔33D4の後側において、「係合部」としての上下一対のハウジング側係合リブ33Jが形成されている。ハウジング側係合リブ33Jは、上下方向を板厚方向として左右方向に延在されると共に、上下方向に並んで配置されている。
【0041】
また、モータハウジング33の上壁には、ハウジング側固定部33Fの後側の位置において、配線孔33K(
図7及び
図8参照)が貫通形成されている。配線孔33Kは、モータ収容部33Bの径方向外側に配置されている。これにより、モータ収容部33Bの径方向外側において、モータハウジング33の内部と外部とが配線孔33Kによって連通されている。さらに、モータハウジング33の下端部における右端部には、下側へ開放された配線溝33L(
図8参照)が形成されており、配線溝33Lによってモータハウジング33の内部と外部とが連通されている。
【0042】
<モータ40について>
図5及び
図6に示されるように、モータ40は、モータハウジング33のモータ収容部33B内に収容されている。モータ40は、上下方向を軸方向とする回転軸41と、回転軸41に固定された略円筒状のロータ42と、ロータ42の径方向外側に配置された略円筒状のステータ43と、を含んで構成されている。モータ40では、ロータ42に永久磁石が用いられ、ステータ43に設けられたコイルへの通電を制御して駆動するブラシレスモータである。
【0043】
回転軸41は、モータ収容部33Bと同軸上に配置されており、回転軸41の下端部が、モータハウジング33から下側へ突出して、エンドブラケット32の支持筒部32C内を挿通している。そして、回転軸41の下端部が、エンドブラケット32の支持筒部32Cに支持された軸受34によって回転可能に支持されており、回転軸41の上端部が、モータハウジング33の軸受固定部33Cに固定された軸受35によって回転可能に支持されている。これにより、前述したモータハウジング33のハウジング側固定部33Fが、回転軸41(モータ40)の上端部の径方向外側に配置されている。モータハウジング33とエンドブラケット32はいずれも分割不能な一体構造を成すため、支持筒部32Cと軸受固定部33Cも一体構造を成す。これによって、軸受34と軸受35とが強固に支持されるため、回転軸41の回転支持を強固かつ精度よく行うことができる。また、回転軸41の下端部には、コレクトチャック45を介して先端工具Tが取付けられている。これにより、ルータ本体30を初期位置から下側へ押下げることで、先端工具Tが、ベース20の挿通部20D内を挿通するように構成されている。
【0044】
ステータ43は、ステータホルダ44を有しており、ステータホルダ44は略円筒状に形成されている。ステータホルダ44には、図示しないステータコイル(図示省略)が巻き回されており、ステータコイルは、モータ40の上端部に設けられたモータ基板40Aに接続されている。そして、モータ40のモータ収容部33B内への収容状態では、モータハウジング33のガイドリブ33Eが、ステータホルダ44の径方向外側に隣接して配置されている(
図7参照)。これにより、ステータホルダ44(ステータ43)が、回転軸41と同軸上に配置されている。また、モータハウジング33に形成されたリブ(図示省略)によってステータホルダ44の上側への移動が制限されており、後述する保持リング50によってステータホルダ44の下側への移動が制限されている。
【0045】
図5に示されるように、回転軸41の下端部には、ロータ42及びステータ43の下側において、ファン47が一体回転可能に設けられている。具体的には、ファン47は、エンドブラケット32の支持筒部32Cの上側で且つファン収容部32Bの上部の径方向内側に配置されている。また、ファン47の上部は、ファン収容部32Bから上側へ突出している。ファン47は、複数の羽根47Aを有している。羽根47Aは、回転軸41の径方向に延在されと共に、ファン47の回転方向に並んで配置されている。また、本実施の形態では、ファン47が、所謂軸流ファンとして構成されている。そして、ファン47が回転すると、後述する第1吸気孔62C、第1吸気孔64C、及び第2吸気孔60Bから流入した空気(冷却風)が、制御部80を冷却した後、モータハウジング33の連通孔33D1~33D4からモータ収容部33B内部に流れ込んでモータ40を冷却するように構成されている。また、当該空気が、モータ40の冷却後、ファン47の下側へ整流されて、排気孔32Eから下側へ流出される構成になっている。
【0046】
<保持リング50について>
保持リング50は、全体として、上下方向を軸方向とした略リング状(略円筒状)に形成されると共に、その周方向から見た断面視で、上側へ開放された略U字形状に形成されている。そして、保持リング50が、エンドブラケット32の内部において、ファン47の径方向外側に配置されている。具体的には、保持リング50の底部が、エンドブラケット32のファン収容部32Bの上側に隣接して配置されており、保持リング50の外周部が、モータハウジング33における下端部の一部の下側に隣接して配置されている。これにより、保持リング50が、エンドブラケット32及びモータハウジング33によって上下方向に挟み込まれて、両者に固定されている。また、保持リング50の内周部が、ステータホルダ44の下端に当接している。これにより、保持リング50によってステータ43の下側への移動を規制している。
【0047】
<ハンドル52について>
図1及び
図2に示されるように、ハンドル52は、正面視で、90度回転させた中空の略T字形状に形成されている。具体的には、ハンドル52は、左右方向を軸方向とする略円筒状の取付部52Aと、取付部52Aの左右方向外側端部から上下方向に延出された把持部52Bと、を含んで構成されている。また、ハンドル52は、把持部52Bの部分において左右方向に2分割されて、2つの部材で構成されている。具体的には、ハンドル52は、ハンドル52の左右方向内側部分を構成するハンドル本体53と、ハンドル52の左右方向外側部分を構成するハンドルカバー54と、を含んで構成されている。そして、エンドブラケット32のハンドル固定部32Gが取付部52Aの内部に内挿されて、ハンドル本体53が、エンドブラケット32に締結固定されている。さらに、ハンドル本体53のエンドブラケット32への固定後に、ハンドルカバー54がネジによってハンドル本体53に締結固定されている。本実施の形態の場合、右側のハンドル52の右端位置から左側のハンドル52の左端位置までの距離W(
図1)は、275mmとなっている。また、ハンドル52自体の上下長さHa1(
図1)は96mmであり、ハンドル固定部32Gの中心位置からハンドル52の上端位置までの長さHa2(
図1)は55mmである。
【0048】
右側のハンドル52には、上部において、スイッチボタン55が押圧操作可能に設けられており、後部において、トリガ56が引き操作可能に設けられている。さらに、右側のハンドル52の内部には、スイッチボタン55及びトリガ56の操作によって作動するスイッチ回路部57が設けられており、スイッチ回路部57は、ハンドル本体53に固定されている。スイッチ回路部57は、スイッチボタン55及びトリガ56によって操作される、図示しないスイッチを有している。当該スイッチは、後述する制御部80に電気的に接続されており、スイッチボタン55及びトリガ56の操作状態に応じた出力信号を、後述する制御部80に出力する構成になっている。
【0049】
(バッテリホルダ60について)
図1~
図7に示されるように、バッテリホルダ60は、モータハウジング33の上側に設けられると共に、下側へ開放された略箱形状に形成されている。バッテリホルダ60は、前後方向に2分割されている。すなわち、バッテリホルダ60は、バッテリホルダ60の前部を構成する「ホルダ部材」としてのフロントホルダ62と、バッテリホルダ60の後部を構成する「ホルダ部材」としてのリヤホルダ64と、を含んで構成されている。フロントホルダ62及びリヤホルダ64は、樹脂材によって構成されている。
【0050】
図7に示されるように、フロントホルダ62の前壁の下端部には、モータハウジング33のハウジング側固定部33Fに対応する位置において、固定ボス62Aが形成されている。固定ボス62Aは、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、フロントホルダ62の前壁から後側へ突出している。そして、固定ボス62Aの先端部(後端部)が、ハウジング側固定部33Fの前側開口部内に挿入されると共に、固定壁33F1の前側に隣接して配置されている。
【0051】
また、リヤホルダ64の後壁の下端部には、ハウジング側固定部33Fに対応する位置において、被固定筒部64Aが形成されている。被固定筒部64Aは、後側へ開放された略段付き円筒状に形成されて、リヤホルダ64の後壁から前側へ突出している。具体的には、被固定筒部64Aの前部の径寸法が、被固定筒部64Aの後部の径寸法よりも小さく設定されており、被固定筒部64Aの内部が前後に貫通している。また、被固定筒部64Aの前部が、モータハウジング33のハウジング側固定部33Fの後側開口部内に挿入されて、固定壁33F1の後側に隣接して配置されている。そして、固定ネジ66(広義には、「固定部材」として把握される要素である)が、被固定筒部64A内に後側から挿入され、モータハウジング33の固定孔33F2を挿通し、固定ボス62Aの内周面に螺合している。これにより、固定ネジ66によって、フロントホルダ62及びリヤホルダ64が、モータハウジング33を前後に挟み込むように、モータハウジング33に固定されている。したがって、フロントホルダ62及びリヤホルダ64が、モータ40(回転軸41)の上端部の径方向外側において、モータハウジング33に固定されている。
【0052】
図6及び
図7に示されるように、フロントホルダ62の前壁の下端部には、略左右方向中央部において、3箇所の「被係合部」としてのホルダ側係合リブ62Bが形成されている。ホルダ側係合リブ62Bは、上下方向を板厚方向として、上下方向に所定の間隔を開けて並んで配置されている。そして、モータハウジング33のハウジング側係合リブ33Hが、ホルダ側係合リブ62Bの間に挿入されて、ハウジング側係合リブ33Hとホルダ側係合リブ62Bとが上下方向に係合している。これにより、フロントホルダ62の下端部が、モータ40(回転軸41)の上端部の径方向外側において、モータハウジング33に係合して、フロントホルダ62の下端部の上下方向の移動が制限されている。
【0053】
リヤホルダ64の後壁の下端部には、右側部分において、3箇所の「被係合部」としてのホルダ側係合リブ64Bが形成されている。ホルダ側係合リブ64Bは、上下方向を板厚方向として、上下方向に所定の間隔を開けて並んで配置されている。そして、モータハウジング33のハウジング側係合リブ33Jが、ホルダ側係合リブ64Bの間に挿入されて、ハウジング側係合リブ33Jとホルダ側係合リブ64Bとが上下方向に係合している。これにより、リヤホルダ64の下端部が、モータ40(回転軸41)の上端部の径方向外側において、モータハウジング33に係合して、リヤホルダ64の下端部の上下方向の移動が制限されている。
【0054】
図1、
図3、及び
図6に示されるように、フロントホルダ62の前壁には、左右方向中間部で且つホルダ側係合リブ62Bの上側において、2箇所の第1吸気孔62Cが形成されている。2箇所の第1吸気孔62Cは、左右方向に並んで配置されると共に、左右方向に延在された長孔状に形成されている。そして、第1吸気孔62Cが、モータハウジング33のモータ収容部33Bの上斜め前方に配置されている。また、左側の第1吸気孔62Cの長手方向の長さが、右側の第1吸気孔62Cの長手方向の長さよりも短く設定されている。
【0055】
図3及び
図6に示されるように、リヤホルダ64の後壁には、フロントホルダ62と同様に、左右方向に延在された2箇所の第1吸気孔64Cが形成されている。すなわち、第1吸気孔64Cが、リヤホルダ64の後壁の左右方向中間部で且つホルダ側係合リブ64Bの上側に形成されている。また、2箇所の第1吸気孔64Cは、左右方向に並んで配置され、左右方向に延在された長孔状に形成されると共に、モータハウジング33のモータ収容部33Bの上斜め後方に配置されている。また、左側の第1吸気孔64Cの長手方向の長さが、右側の第1吸気孔64Cの長手方向の長さよりも短く設定されている。
【0056】
そして、第1吸気孔62C(第1吸気孔64C)からバッテリホルダ60内に流入される空気流AR1(
図6参照)が、モータ収容部33Bの連通孔33D1~33D4内へ流入される構成になっている。
【0057】
図4に示されるように、バッテリホルダ60の上端部には、右側部分において、後述するバッテリー70を取付けるためのバッテリー取付部60Aが形成されている。バッテリー取付部60Aは、平面視で左側へ開放された略U字形状に形成されている。また、バッテリホルダ60には、バッテリ用コネクタ68が設けられており、バッテリ用コネクタ68の上部が、後述するバッテリー70と接続可能に、バッテリー取付部60Aの内部において露出されている。バッテリー70の中心位置を中心線CL上に位置させるため、バッテリ用コネクタ68はその中心位置を中心線CLよりも右側に位置させている。従って、バッテリ用コネクタ68からの配線(図示せず)は、バッテリホルダ60の右側領域を通って制御基板82やモータ40に接続される。このとき、前述したように右側に位置する隆起部33ARの上端位置を左側の隆起部33ALと比較して下げることで、バッテリホルダ60内部の右側領域を広げることができる。これによって、後述する基板ホルダ84の右側に配線空間を確保することができるので、基板ホルダ84の上下空間に配線スペースを設けずに済み、ルータ10の高さHを小さくして安定性を確保することができる。これは、スライドさせて着脱するタイプである後述のバッテリー70を、バッテリホルダ60に対して左側から右側に装着するように構成することで実現できるものである。
【0058】
また、バッテリホルダ60の上壁には、バッテリ用コネクタ68の左側において、「ホルダ側吸気孔」としての第2吸気孔60Bが形成されている。第2吸気孔60Bは、左右方向に延在された長孔状に形成されると共に、バッテリホルダ60の左右方向中央部に配置されている。すなわち、第2吸気孔60Bは、フロントホルダ62及びリヤホルダ64に跨って形成されている。
【0059】
(バッテリー70について)
図1~
図3、及び
図5に示されるように、バッテリー70は、略直方体に形成されている。そして、バッテリー70が、バッテリホルダ60のバッテリー取付部60Aに、左側から装着されている。すなわち、バッテリー70は、バッテリホルダ60に対して左右方向に着脱可能に構成されている。バッテリー70は、図示しないコネクタを有しており、バッテリー70のバッテリー取付部60Aへの装着状態では、当該コネクタがバッテリ用コネクタ68に接続されて、後述する制御部80へ電力が供給される構成になっている。また、バッテリー70は、一対のロック部材72を有しており、ロック部材72は、バッテリー70の前後の側部に設けられている。そして、バッテリー70のバッテリー取付部60Aへの装着状態では、ロック部材72がバッテリホルダ60に係合して、バッテリー70の装着状態が維持される構成になっている。ロック部材72を操作することで、バッテリー70をバッテリホルダ60から左方向に取り外すことができる。
【0060】
バッテリー70の右壁には、略中央部において、複数(本実施の形態では、8箇所)の電池側吸気孔70Aが貫通形成されている。電池側吸気孔70Aは、前後方向を長手方向とする長孔状に形成されている。そして、上下方向に並ぶ4箇所の電池側吸気孔70Aの1組として、2組の電池側吸気孔70Aが、左右方向に並んで配置されている。
【0061】
また、バッテリー70の下壁には、左側部分において、複数(本実施の形態では、8箇所)の電池側排気孔70B(
図3及び
図5参照)が貫通形成されている。電池側排気孔70Bは、左右方向を長手方向とする長孔状に形成されて、前後方向に並んで配置されている。また、電池側排気孔70Bは、バッテリホルダ60の第2吸気孔60Bの上側に配置されており、電池側排気孔70B及び第2吸気孔60Bが上下方向に対向して配置されている。これにより、ファン47が回転することで、バッテリー70の電池側吸気孔70Aからバッテリー70の内部へ流入された空気流AR3(
図5参照)が、バッテリー70の電池側排気孔70B及びバッテリホルダ60の第2吸気孔60Bを通過して、バッテリホルダ60の内部に流入される構成になっている。そして、バッテリホルダ60の内部に流入された空気流AR3が、モータハウジング33の連通孔33D1~33D4からモータハウジング33内へ流入するように構成されている。
【0062】
(制御部80について)
図5、
図6、及び
図9に示されるように、制御部80は、制御基板82を有している。制御基板82は、上下方向を板厚方向とし左右方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。また、制御基板82は、基板ホルダ84に保持されており、基板ホルダ84が、バッテリホルダ60の内部に収容されて、バッテリホルダ60に固定されている。具体的には、制御部80が、モータハウジング33のモータ収容部33Bの上側に近接して配置されている。すなわち、前述した、モータハウジング33のハウジング側固定部33Fとバッテリホルダ60の固定ボス62A及び被固定筒部64Aとが、モータ40の径方向外側で且つ制御部80の下側に配置されている。また、制御部80は、第1吸気孔62C(ガイド部62D)の後側で且つ第1吸気孔64Cの(ガイド部64D)の前側に配置されている。これにより、第1吸気孔62C(第1吸気孔64C)からバッテリホルダ60の内部に流入され且つガイド部62D(ガイド部64D)によって分流された空気流AR2が、制御部80(制御基板82)の上側へ流れるように構成されている。
【0063】
また、制御基板82は、バッテリ用コネクタ68に接続されており、バッテリー70の電力が制御基板82に供給される構成になっている。
図9に示されるように、制御基板82には、「電力線」としてのリード線86が延出されており、リード線86は、モータ40のモータ基板40Aから延出されたモータ線87とコネクタ88を介して接続されている。これにより、バッテリー70からモータ40に電力が供給される構成になっている。コネクタ88は、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、モータハウジング33のコネクタ収容部33G内に収容されている。これにより、コネクタ88が、回転軸41の後側において、モータ40の径方向外側に配置されている。なお、モータ基板40Aから延出されたモータ線87は、モータ収容部33Bの連通孔33D1を挿通してコネクタ収容部33G内へ延出されている。また、
図9に示すように、コネクタ収容部33Gに収容されたコネクタ88の一部と、制御部80(基板ホルダ84)の一部とが、上下方向視で重なるようにしている。これによって、制御部80がコネクタ88の上方への移動を規制するので、コネクタ収容部33Gからコネクタ88が脱出してしまうことを抑制できる。すなわち、制御部80をコネクタ88の位置決めとして利用できる。
【0064】
さらに、制御基板82から延出されたリード線89が、スイッチ回路部57に接続されて、制御部80とスイッチ回路部57とが電気的に接続されている。具体的には、リード線89が、モータハウジング33の配線孔33K内を挿通して、モータ収容部33Bの径方向外側においてモータハウジング33内に配策されている。また、リード線89が、モータハウジング33の配線溝33L内を挿通して、ハンドル52内に配策されて、スイッチ回路部57に接続されている。そして、スイッチボタン55のオン状態において、トリガ56が操作されることで、制御部80が、モータ40に対する作動を制御する構成になっている。
【0065】
(ルータ10の重心位置について)
次に、
図1及び
図2を用いて、ルータ本体30の最上位初期位置におけるルータ10の重心位置について説明する。ルータ10の重心Gは、前側から見て、中心線CL上に位置している。また、正面視で、重心Gは、モータ40(
図1及び
図2では不図示)に重なると共に、左右一対のハンドル52の間に位置している。さらに、ルータ10の重心Gは、左右方向から見て、中心線CLの若干後側に位置している。
【0066】
そして、上下方向に対して直交する方向から見て、ベース20の下端部の外周部と重心Gとを通過する仮想線ILと、ベース20の下面と、の成す角度Aが、80度以下になるように構成されている。具体的には、正面視における、ベース20の左右側端における下端部の外周部(円弧状外周部20C)と重心Gとを通過する仮想線ILと、ベース20の下面と、の成す角度Aが、61度とされている。また、側面視における、ベース20の前端における下端部の外周部(直線状外周部20B)と重心Gとを通過する仮想線ILと、ベース20の下面と、の成す角度Aが、69度とされている。一方、側面視における、ベース20の後端における下端部の外周部(円弧状外周部20C)と重心Gとを通過する仮想線ILと、ベース20の下面と、の成す角度Aが、62度とされている。また、上下方向で、ハンドル固定部32Gの中心位置から重心までの距離を25mmとし、ハンドル固定部32Gの中心位置からハンドル52の上端位置までの長さHa2より小さくなるように構成されている。
【0067】
なお、ルータ本体30の最下位置におけるルータ10の重心位置は、ルータ本体30の最上位初期位置におけるルータ10の重心位置よりも下側になる(
図10)。このため、ルータ本体30の最下位置においても、上下方向に対して直交する方向から見て、ベース20の下端部の外周部と重心Gとを通過する仮想線ILと、ベース20の下面と、の成す角度(A、B、C、D)が、80度以下になるように構成されている。特に一番鈍角となる角度Cを80度以下にすることが重要である。
【0068】
(作用効果)
次に、本実施の形態のルータ10の作用効果について説明する。
【0069】
上記のように構成されたルータ10では、バッテリホルダ60がモータハウジング33の上側に設けられており、バッテリー70がバッテリホルダ60に着脱可能に装着されている。このため、バッテリー70からモータ40に電力を供給して、モータ40を駆動させることができる。これにより、例えばルータ本体30から電源コードが延出された構成のルータと比べて、利便性を向上させることができる。
【0070】
また、バッテリー70は、バッテリホルダ60に装着されて、ルータ10の上端部を構成している。このため、バッテリー70の重量によって、ルータ10の重心Gの位置が上側に位置する傾向になる。これにより、ルータ10の姿勢の安定性が低下して、ルータ10が傾倒し易くなる可能性がある。
具体的には、ルータ本体30の最上位初期位置におけるルータ10の重心Gの位置が最も高くなり、この状態におけるルータ10の姿勢が不安定となる可能性がある。
【0071】
ここで、上下方向に対して直交する方向から見て、ベース20の外周下端部及びルータ10の重心Gを通過する仮想線ILと、ベース20の下面と、の成す角度A、B、C、Dが、いずれも80度以下に設定されている。具体的には、ルータ本体30の最上位初期位置では、正面視における仮想線ILとベース20の下面との成す角度(A、B)が、61度とされている。また、ルータ本体30の最上位初期位置では、側面視におけるベース20の前端における下端部の外周部(直線状外周部20B)と重心Gとを通過する仮想線ILと、ベース20の下面と、の成す最も鈍角な角度Cが、69度とされている。さらに、ルータ本体30の最上位初期位置では、側面視におけるベース20の後端における下端部の外周部(円弧状外周部20C)と重心Gとを通過する仮想線ILと、ベース20の下面と、の成す角度Dが、62度とされている。このため、例えば、ルータ10がベース20の外周下端部を起点として傾倒した場合でも、ルータ10の傾倒角度が10度より小さいときには、ルータ10の姿勢を傾倒前の状態に復帰させることができる。これにより、ルータ10の姿勢の安定性の悪化を抑制できる。また、作業時にベース20の下方にある加工材W自体の上面が傾斜している場合でも安定した作業を行うことができる。なお、本実施の形態では、より好適な安定性を実現するため、ルータ10の傾倒角度が25度になっても転倒することがないように構成されている。
【0072】
また、正面視で、ルータ10の重心Gが、左右一対のハンドル52の間に配置されると共に、左右方向から見て、ハンドル52と重なる位置に配置されている。これにより、例えば、作業者がハンドル52を把持してルータ10を持上げたときのルータ10の姿勢の安定化を図ることができる。すなわち、仮に、ルータ10の重心Gがハンドル52よりも上側に配置されている場合では、作業者がハンドル52を把持してルータ10を持上げると、前側又は後側へ傾倒しようとする回転モーメントがルータ10に作用する可能性がある。これにより、ルータ10を持上げたときに、ルータ10を回転させないように、作業者がハンドル52を把持する必要がある。その結果、作業者がハンドル52を把持するための力が高くなり、作業者への負担が高くなる可能性がある。
【0073】
これに対して、本実施の形態では、左右方向から見て、ルータ10の重心Gが、ハンドル52と重なる位置に配置されている。このため、作業者がハンドル52を把持してルータ10を持上げても、上記の場合と比べて、前側又は後側へ傾倒しようとする回転モーメントがルータ10に作用し難くなる。これにより、上記の場合と比べて、作業者がハンドル52を把持してルータ10を持上げたときのルータ10の姿勢の安定化を図ることができる。その結果、作業者への負担を軽減することができる。
【0074】
また、本体ハウジング31は、本体ハウジング31の下部を構成する金属製のエンドブラケット32と、本体ハウジング31の上部を構成する樹脂製のモータハウジング33と、を含んで構成されている。さらに、バッテリホルダ60が樹脂製とされて、モータハウジング33の上側に設けられている。これにより、例えば、モータハウジング33及びバッテリホルダ60を金属製とした場合、又はエンドブラケット32を樹脂製とした場合と、比べて、ルータ10の重心Gの上下位置を低くすることができる。したがって、ルータ10の姿勢の安定性をより向上することができる。
【0075】
また、バッテリー70からモータ40へ電力を供給するためのリード線86と、モータ40のモータ基板40Aから延出されたモータ線87と、がコネクタ88によって接続されており、コネクタ88が、モータハウジング33のコネクタ収容部33G内に収容されて、モータ40の径方向外側に配置されている。つまり、上下方向において、コネクタ88及びモータ40を同じ位置に配置することができる。これにより、コネクタ88を、バッテリー70とモータ40との間に配置する構成と比べて、上下方向におけるバッテリー70の位置を低く設定することができる。具体的には、本実施の形態においては、最上位初期位置におけるルータ10の上下方向高さHを280mmとし、300mmより小さく設定できた。その結果、ルータ10の重心Gの位置を低くしてベース20に近づけることができ、ルータ10の姿勢の安定化を一層向上することができる。
【0076】
また、ベース20は、左右方向に延在された切欠部20Aを前端部に有する円板状に形成されている。具体的には、ベース20の外周部は、ベース20の外周部の前端部を構成する直線状外周部20Bと、後側へ凸に円弧状に湾曲された円弧状外周部20Cと、を含んで構成されている。これにより、平面視で、中心線CLからベース20の外周部まで距離Lが、直線状外周部20Bの左右方向中央部において最短となる。さらに、上述のように、仮想線ILとベース20の下面との成す角度が、直線状外周部20Bの左右方向中央部において最大(角度C)となる。このため、ルータ10では、前側へ傾倒され易く構成されている。
【0077】
ここで、コネクタ88は、モータ40の回転軸41に対して後側に配置されている。これにより、コネクタ88を回転軸41に対して前側に配置する構成に比べて、重心Gの位置を後側に設定することができる。その結果、前側へのルータ10の傾倒を抑制することができる。したがって、ルータ10の姿勢の安定化を効果的に向上することができる。
【0078】
また、バッテリホルダ60は、前後方向に2分割されており、フロントホルダ62とリヤホルダ64とを含んで構成されている。さらに、モータハウジング33には、フロントホルダ62及びリヤホルダ64を固定するためのハウジング側固定部33Fが形成されており、ハウジング側固定部33Fが、モータ40(回転軸41)の上端部の径方向外側に配置されている。つまり、上下方向において、ハウジング側固定部33F及びモータ40(回転軸41)を同じ位置に配置することができる。これにより、ハウジング側固定部33Fを、モータ40の上側に配置する構成と比べて、上下方向におけるバッテリー70の位置を低く設定することができる。その結果、ルータ10の重心Gの位置を低くすることができる。したがって、ルータ10の姿勢の安定化を一層向上することができる。
【0079】
また、制御部80は、バッテリホルダ60内に収容されて、バッテリホルダ60に固定されている。さらに、制御部80が、モータ40及びハウジング側固定部33Fの上側に配置されている。換言すると、ハウジング側固定部33Fが、モータ40の径方向外側で且つ制御部80の下側に配置されている。これにより、バッテリホルダ60内における制御部80を収容するための上下方向のスペースをハウジング側固定部33Fが阻害することを抑制しつつ、ハウジング側固定部33Fによってバッテリホルダ60をモータハウジング33に固定することができる。このため、上下方向においてハウジング側固定部33Fをモータ40と制御部80との間に配置する構成と比べて、制御部80の上下位置を低く設定することができると共に、バッテリー70の上下位置を低く設定することができる。したがって、ルータ10の姿勢の安定化をより一層向上することができる。
【0080】
また、モータハウジング33のモータ収容部33Bには、前側へ突出した上下一対のハウジング側係合リブ33Hと、後側へ突出した上下一対のハウジング側係合リブ33Jと、が形成されている。さらに、バッテリホルダ60のフロントホルダ62の下端部には、ホルダ側係合リブ62Bが形成されており、リヤホルダ64の下端部には、ホルダ側係合リブ64Bが形成されている。そして、ホルダ側係合リブ62B(ホルダ側係合リブ64B)が、ハウジング側係合リブ33H(ハウジング側係合リブ33J)と上下方向に係合すると共に、モータ40(回転軸41)の上端部の径方向外側に配置されている。つまり、バッテリホルダ60の下端部が、モータ40の径方向外側において、モータ収容部33Bに係合している。このため、バッテリホルダ60の下端部をモータ40の上側においてモータ収容部33Bに係合させる構成と比べて、モータ収容部33Bの上端部の位置を低くすることができる。すなわち、バッテリホルダ60内における制御部80を収容するための上下方向のスペースをモータ収容部33Bが阻害することを抑制しつつ、モータ収容部33Bとバッテリホルダ60とを係合させることができる。したがって、バッテリホルダ60の下端部の組付状態を良好に維持しつつ、ルータ10の姿勢の安定化を図ることができる。
【0081】
また、バッテリホルダ60のフロントホルダ62(リヤホルダ64)には、第1吸気孔62C(第1吸気孔64C)が形成されている。これにより、第1吸気孔62C(第1吸気孔64C)からバッテリホルダ60内に流入した空気流AR1によってモータ40を冷却することができる。
【0082】
また、バッテリー70には、複数の電池側吸気孔70A及び電池側排気孔70Bが形成されている。そして、電池側排気孔70Bが、バッテリホルダ60の第2吸気孔60Bの上側に配置されて、第2吸気孔60Bと上下方向に対向して配置されている。これにより、ファン47によって、バッテリー70の電池側吸気孔70Aからバッテリー70の内部に流入する空気流AR3を発生させることができる。そして、空気流AR3をバッテリー70の電池側排気孔70B及びバッテリホルダ60の第2吸気孔60Bからバッテリホルダ60の内部に流入させることができる。したがって、バッテリー70をルータ10に装着する構成にしても、バッテリー70を冷却してバッテリー70の発熱を抑制できる。また、バッテリー70はルータ10の上部に配置されているため、下部において発生した加工粉(切粉)がバッテリー70に設けた電池側吸気孔70Aに近接しにくく、バッテリー70内に加工粉が侵入することを抑制することができる。
【0083】
なお、第1実施形態では、制御部80がバッテリホルダ60に収容されて、モータ40の上側に配置されているが、
図11に示されるように、制御部80をモータ40の径方向外側に配置してもよい。この場合には、モータ40の径方向を板厚方向として制御基板82を配置して、例えば、制御部80をモータハウジング33の後部に取付けるように構成してもよい。そして、この場合には、制御部80がモータ40の径方向外側に配置されるため、第1実施形態と比べて、バッテリー70の位置を低く設定することができる。したがって、ルータ10の姿勢の安定化をより効果的に向上することができる。
【0084】
(第2実施形態)
以下、
図12~
図20を用いて、第2実施形態のルータ100について説明する。第2の実施の形態のルータ100では、以下に示す点を除いて第1実施形態のルータ10と同様に構成されている。なお、
図12~
図20では、第1実施形態と同様に構成されている部分には、同一の符号を付している。
【0085】
すなわち、第2実施形態では、バッテリホルダ60の代わりに、モータハウジング33の上側に「電池ホルダ」としてのバッテリホルダ110が設けられている。バッテリホルダ110は、2分割されており、バッテリホルダ110の左側部分を構成する左側ホルダ112と、バッテリホルダ110の右側部分を構成する右側ホルダ114と、を含んで構成されている。そして、左側ホルダ112及び右側ホルダ114を組付けることにより、バッテリホルダ110が構成されている。モータハウジング33は分割不能な一体構造となっている。
【0086】
左側ホルダ112及び右側ホルダ114は、モータハウジング33の上壁と隆起部33AR、33ALとを覆う外側頂壁部112A、114Aを有している。
図19及び
図20に示されるように、背面壁部112B、114Bが外側頂壁部112A、114Aに連なっている。背面壁部112B、114Bは、それぞれが外側頂壁部112A、114Aと一体的に形成されており、外側頂壁部112A、114Aからモータハウジング33の背面部に沿って延びている。外側頂壁部112Aはモータハウジング33の上壁の左部を覆う第1の外側頂壁部であり、外側頂壁部114Aはモータハウジング33の上壁の右部を覆う第2の外側頂壁部である。背面壁部112Bは第1の背面壁部であり、背面壁部114Bは第2の背面壁部である。
【0087】
それぞれの左側ホルダ112及び右側ホルダ114は、モータハウジング33の基端部側の開口端に突き当てられる突き当て部112C、114Cを有し、背面壁部112B、114Bの側辺には側壁部112D、114Dが一体に設けられており、それぞれの側壁部112D、114Dはモータハウジング33の背面に突き当てられる。
【0088】
図12に示されるように、2つの左側ホルダ112及び右側ホルダ114は、それぞれ突き当て端部で突き当てられてバッテリホルダ110が組み立てられる。突き当て端部の一方には凸部が設けられ、他方には突部が係合する凹部が設けられており、凸部と凹部との噛み合いによって、組み立てられた左側ホルダ112及び右側ホルダ114はずれることが防止される。左側ホルダ112は固定ネジ122によりモータハウジング33にねじ止めされ、右側ホルダ114は固定ネジ124によりねじ止めされる。
図20に示されるように、それぞれの固定ネジ122、124は、左側ホルダ112及び右側ホルダ114に設けられたねじ取付穴112E、114Eを貫通し、モータハウジング33の上壁に設けられたねじ受け部33Mにねじ止めされる。
【0089】
外側頂壁部112A、114Aには、
図15、
図19および
図20に示されるように、吸気口115が設けられており、吸気口115は制御部80と上下方向に対向している。これにより、ファン47が回転駆動されると、吸気口115からバッテリホルダ110内に流入した外気が、制御部80に吹き付けられる。
【0090】
図16に示されるように、それぞれの左側ホルダ112及び右側ホルダ114の背面壁部112B、114Bには、電池装着部片116A、116Bが設けられている。2つの左側ホルダ112及び右側ホルダ114を組み合わせると、両方の電池装着部片116A、116Bにより電池装着部116が組み立てられる。電池装着部116にはバッテリー70が着脱自在に装着される。電池装着部116は、ルータ本体30(本体ハウジング31)の背面部に設けられている。これにより、第2の実施の形態では、バッテリー70がルータ本体30及びバッテリホルダ110の後側に配置される構成になっている。
【0091】
電池装着部116には、複数の機器側の端子117を備えた接続部118が設けられている。それぞれの電池装着部片116A、116Bの側辺にはガイドレール119が設けられており、ガイドレール119に係合される図示しないスライドレールがバッテリー70に設けられている。したがって、バッテリー70のスライドレールを電池装着部116のガイドレール119に噛み合わせて摺動させると、バッテリー70は電池装着部116に装着される。ガイドレール119の開放端には係合溝120が設けられ、それぞれの係合溝120に係合する図示しない係合爪がバッテリー70に設けられている。それぞれの係合爪が係合溝120に係合すると、バッテリー70は電池装着部116にロックされる。
【0092】
バッテリー70の側面に設けられたロック部材72を操作することにより、係合溝120に係合する位置と、係合溝120から外れる位置とに移動自在とすることができ、バッテリー70の着脱操作を行うときには、ロック部材72が操作される。
【0093】
図12に示されるように、モータハウジング33の前面には、操作スイッチ130が設けられており、操作スイッチ130が操作されると、制御部80にオンオフの検出信号が送られる。右側のハンドル52には、速度設定ダイヤル132が設けられており、速度設定ダイヤル132が操作されると、操作信号が制御部80に送られ、設定された回転速度でモータ40は回転駆動される。モータ40が回転駆動されると、ファン47も回転駆動される。
これにより、
図1に示されるように、バッテリホルダ110に形成された複数の吸気口115を介して外部から冷却風がバッテリホルダ110内に導入されて、制御部80は冷却される。
【0094】
そして、第2実施形態では、ルータ100の背面部にバッテリー70を装着しているため、バッテリホルダ60の上端にバッテリー70を装着する第1実施形態のルータ10と比較して、ルータ100の長手方向(上下方向)の寸法を短くすることができ、ルータ100による作業性を高めることができる。
【0095】
(ルータ100の重心位置について)
次に、
図13及び
図15を用いて、ルータ本体30の最上位初期位置におけるルータ100の重心位置について説明する。ルータ100の重心Gは、前側から見て、中心線CL上に位置している。また、第2実施形態では、ルータ100の背面部にバッテリー70を装着しているため、ルータ100の重心Gは、左右方向から見て、第1の実施の形態と比べて、中心線CLに対して後側に位置している。
【0096】
そして、第2の実施の形態においても、上下方向に対して直交する方向から見て、ベース20の下端部の外周部と重心Gとを通過する仮想線ILと、ベース20の下面と、の成す角度(A、B、C、D)が、80度以下になるように構成されている。具体的には、正面視における、ベース20の左右側端における下端部の外周部(円弧状外周部20C)と重心Gとを通過する仮想線ILと、ベース20の下面と、の成す角度A、Bが、58度とされている。また、側面視における、ベース20の前端における下端部の外周部(直線状外周部20B)と重心Gとを通過する仮想線ILと、ベース20の下面と、の成す角度Cが、63度とされている。一方、側面視における、ベース20の後端における下端部の外周部(円弧状外周部20C)と重心Gとを通過する仮想線ILと、ベース20の下面と、の成す角度Dが、67度とされている。上述したように重心位置が第1の実施の形態と比べて中心線CLに対して後側に位置しているため、第1の実施の形態では角度Cが最も鈍角だったところ、第2の実施の形態では角度Dが最も鈍角となっているが、一方で重心位置が下方にも移動しているため、角度Dも80度以下とすることができ、好適な安定性を確保することができる。
【0097】
なお、ルータ本体30の最下位置におけるルータ100の重心位置は、ルータ本体30の最上位初期位置におけるルータ100の重心位置よりも下側になる。このため、ルータ本体30の最下位置においても、上下方向に対して直交する方向から見て、ベース20の下端部の外周部と重心Gとを通過する仮想線ILと、ベース20の下面と、の成す角度(A、B、C、D)が、80度以下になるように構成されている。具体的には、最も鈍角な角度Dが56度とされ、その他角度(A、B、C)はそれ以下とされている。
【0098】
以上により、第2の実施の形態においても、ルータ100の姿勢の安定性の悪化を抑制できる。また、作業時にベース20の下方にある加工材W自体の上面が傾斜している場合でも安定した作業を行うことができる。
【0099】
また、第2の実施の形態では、ベース20を水平方向に配置し先端工具Tを垂直姿勢として切削加工を行うときには、
図15のようにルータ100を側面から見た場合の側方視における左右方向、つまりルータ100の前後方向における重心位置は、モータ40とバッテリー70との間となって、バッテリー70に近い位置になる。
図15に示されるように、ハンドル52の把持部52Bは、ベース20側の先端部から基端部に向けてルータ100の背面側に傾斜しているので、先端工具Tを垂直姿勢として加工するときには、ルータ100の水平方向の重心に近い位置を把持して操作することになり、作業性を高めることができる。
【0100】
また、ルータ100による被削材の切削作業は、
図15に示したように、先端工具Tを垂直姿勢として行うことができるとともに、先端工具Tを水平姿勢として加工材Wを加工する場合がある。
【0101】
図17は、先端工具を水平姿勢として加工材Wを加工する場合のルータ100の姿勢を示す。垂直姿勢の加工材Wにベース20を接触させると、ベース20は垂直姿勢になり、モータ40の回転軸41およびルータ100は水平姿勢つまり横向き姿勢となる。
図18は、
図17に示した状態からルータ本体30をベース20に向けて最接近させた状態を示す。
【0102】
このように、ベース20を垂直姿勢として加工材Wを加工する場合にも、先端工具の種類に応じて本体ハウジング31(ルータ本体30)のベース20に対する接近位置を任意に設定することができる。さらに、加工途中や加工終了後に、ルータ100を水平姿勢つまり横向き姿勢として基台等の載置面の上に配置することがある。例えば、1箇所の切削作業が終了し、他の箇所の切削作業を行うまでに、先端工具をベース20の底面から突出させたまま、ルータ100を横向きとして基台や支持台等の部材の上に配置することがある。このときには、バッテリー70の背面が下面となって基台や支持台等の部材の上に配置される。
【0103】
バッテリー70のベース20側の端面を先端面とし、反対側の端面を基端面とすると、これらの間のバッテリー70の長さは、
図17および
図18に示されるように、寸法Nである。バッテリー70の基端面は本体ハウジング31の基端面とほぼ同一面となっている。また、ハンドル52のベース20の端面を先端面とし、反対側の端面を基端面とすると、これらの間のハンドル52の長さは寸法Mである。
【0104】
ベース20を垂直姿勢として、
図17に示される位置までルータ本体30をベース20から離したときにおけるルータ100の側方視における重心位置は、符号G1で示す位置になる。このときの重心位置G1は、
図17に示されるように、バッテリー70の先端面と基端面との間の長さNの範囲内になる。さらに、ルータ100の側方視における重心位置G1は、ハンドル52のベース20の先端面と基端面との間の長さMの範囲内になる。
【0105】
ベース20を垂直姿勢として、
図18に示される位置までルータ本体30をベース20に最接近させたときにおけるルータ100の側方視における重心位置は、符号G2で示す位置になる。このときの重心位置G2も、
図18に示されるように、バッテリー70の先端面と基端面との間の長さLの範囲内になる。さらに、ルータ100の側方視における重心位置G2は、ハンドル52のベース20の先端面と基端面との間の長さMの範囲内になる。このように、それぞれの重心位置G1、G2は、バッテリー70の長さNおよびバッテリー70の背面(
図18におけるバッテリー70の下側面)の範囲内に設定されるとともに、ハンドル52の長さMの範囲内に設定される。
【0106】
したがって、作業者は、ルータ本体30の基端面側、つまり
図17および
図18において右側の端面側からルータ100を把持して作業を行うときに、重心位置G1、G2はハンドルの長さMの範囲内であるので、ハンドルを持つ手の位置の範囲内になる。これにより、ベース20を垂直姿勢として加工材Wを加工する場合にも、ルータ100のバランスが良好となり、作業性が向上する。
【0107】
さらに、加工途中や加工終了後に、ルータ100を水平姿勢つまり横向き姿勢として配置するときに、先端工具をベース20の底面から突出させたまま、ルータ100が横向きとして基台等の上に配置されることがある。このときには、バッテリー70の背面(底面)が下面となって基台の上に配置され、重心位置G1、G2は、バッテリー70の長さNの範囲内であるので、ルータ100は、傾いたり、転倒したりすることなく、安定的に支持され、引き続く作業のためにルータ100を確実に持ち上げて作業を開始することができ、ルータ100の作業性が向上する。換言すれば、バッテリー70の背面(底面)を基台の載置面に当接させて載置状態としたときに、バッテリー70が電池装着部116に装着された状態での重心G1,G2が、背面の法線方向で見たときに背面の領域内に位置するように構成しているので、安定した横置きでの載置が可能となっている。
【0108】
また、第2の実施の形態においては、バッテリー70をルータ本体30(本体ハウジング31)の背面側に配置したので、
図13に示されるように、ロータ42が組み込まれたステータ43は、バッテリー70の長さNの範囲内に位置させることができる。これにより、ベース20に対するルータ本体30の距離を変化させても、ルータ100の重心位置が大きく変化することがなく、ルータ100を垂直向き姿勢として使用しても、水平向き姿勢として使用しても、操作性および作業性を高めることができる。すなわち、先の実施の形態と比較して重心位置をより下方に位置させることができ、安定性を確保することが可能となる。
【符号の説明】
【0109】
10 ルータ
20 ベース
20A 切欠部
22 昇降機構
23 コラム
31 本体ハウジング
32G ハンドル固定部
33AL 隆起部(左側収容部)
33AR 隆起部(左側収容部)
33F ハウジング側固定部(固定部)
33H ハウジング側係合リブ(係合部)
33J ハウジング側係合リブ(係合部)
52 ハンドル
60 バッテリホルダ(電池ホルダ)
60B 第2吸気孔(ホルダ側吸気孔)
62 フロントホルダ(ホルダ部材)
62B ホルダ側係合リブ(被係合部)
64 リヤホルダ(ホルダ部材)
64B ホルダ側係合リブ(被係合部)
68 コネクタ
70 バッテリー(電池)
70A 電池側吸気孔
70B 電池側排気孔
80 制御部
86 リード線(電力線)
G 重心
IR 仮想線