(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】可撓性表示装置の折り畳み機構
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240604BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20240604BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20240604BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G09F9/00 351
G02F1/1333
G06F1/16 312F
G06F1/16 312G
G06F1/16 312J
H04M1/02 C
(21)【出願番号】P 2020127458
(22)【出願日】2020-07-28
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】592245432
【氏名又は名称】スタッフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【識別番号】100168468
【氏名又は名称】富崎 曜
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 知明
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-057131(JP,A)
【文献】特開2019-211778(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0295709(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0201400(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0153787(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0044620(US,A1)
【文献】特開2020-053001(JP,A)
【文献】米国特許第09173288(US,B1)
【文献】中国実用新案第210978177(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C11/00-11/12
F16L37/00-39/06
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G09F9/00-9/46
H04M1/02-1/23
H05K5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置で使用される可撓性表示装置(70)と、前記可撓性表示装置(70)に関連する電子基板を収容する左右対称に配置された第1端末(1)および第2端末(2)とを有する携帯端末装置(100)を二つに折り畳むことが可能な折り畳み機構であって、
前記第1端末(1)と前記第2端末(2)が閉じた状態で前記第1端末(1)と前記第2端末(2)との間の開口を覆う半円筒状のカバー部材(10)と、
前記カバー部材(10)の外側に分離して配置され前記第1端末(1)又は第2端末(2)に一体化して所定の第1回転中心(21L、21R)の回りを回転可能である第1回転部材(11)と、
一部が前記カバー部材(10)の内側をスライドしながら起立状態から寝た状態に姿勢を変化させ、且つ所定の第2回転中心(22L、22R)の回りを回転可能である第2回転部材(12)と、
前記第1端末(1)と前記第2端末(2)の開閉動作と同期して前記第1回転部材(11)と前記第2回転部材(12)とを連動させるリンク機構(13、13’、23L、23R、24、14)とを備えている
ことを特徴とする可撓性表示装置の折り畳み機構。
【請求項2】
請求項1に記載の可撓性表示装置の折り畳み機構において、
前記第2回転部材(12)は、前記カバー部材(10)の内側をスライド係合する下半第2回転部材(12L)と前記リンク機構(13)に係合する上半第2回転部材(12U)とを基にして構成されている
ことを特徴とする可撓性表示装置の折り畳み機構。
【請求項3】
請求項2に記載の可撓性表示装置の折り畳み機構において、
前記下半第2回転部材(12L)と前記上半第2回転部材(12U)は互いに分離して、自身より薄い部材(5、6)によって連結されている
ことを特徴とする可撓性表示装置の折り畳み機構。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の可撓性表示装置の折り畳み機構において、
前記カバー部材(10)の内側には、前記下半第2回転部材(12L)がスライド係合する係合部材(17、18)が固定されている
ことを特徴とする可撓性表示装置の折り畳み機構。
【請求項5】
請求項4に記載の可撓性表示装置の折り畳み機構において、
前記係合部材(17、18)は、前記下半第2回転部材(12L)を両側から挟み込む形態でそれぞれ係合する第1係合部材(17)および第2係合部材(18)から構成されている
ことを特徴とする可撓性表示装置の折り畳み機構。
【請求項6】
請求項5に記載の可撓性表示装置の折り畳み機構において、
前記下半第2回転部材(12L)と前記第1係合部材(
17)又は前記第2係合部材(18)は、円弧状のレール(12a、17a、18a)に沿って凹凸嵌合している
ことを特徴とする可撓性表示装置の折り畳み機構。
【請求項7】
請求項
2から6の何れか1項に記載の可撓性表示装置の折り畳み機構において、
前記リンク機構は、前記カバー部材(10)の内側に配置された回転軸(23L、23R)の回りを回転可能な第3回転部材(13、13’)を備える
ことを特徴とする可撓性表示装置の折り畳み機構。
【請求項8】
請求項7に記載の可撓性表示装置の折り畳み機構において、
前記第3回転部材(13、13’)は、前記カバー部材(10)の外側に配置され、前記回転軸(23L、23R)に対して相対回転可能である回転部材(24)に一体化される
ことを特徴とする可撓性表示装置の折り畳み機構。
【請求項9】
請求項8に記載の可撓性表示装置の折り畳み機構において、
前記回転部材(24)は、傾斜した段差板構造を成している
ことを特徴とする可撓性表示装置の折り畳み機構。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の可撓性表示装置の折り畳み機構において、
前記回転部材(24)は、前記第1回転部材(11)が嵌まる切り欠き構造を有する
ことを特徴とする可撓性表示装置の折り畳み機構。
【請求項11】
請求項
2から10の何れか1項に記載の可撓性表示装置の折り畳み機構において、
前記リンク機構(13)は前記第1回転部材(11)および前記第2回転部材(12)に凹凸嵌合して相対移動するように構成されている
ことを特徴とする可撓性表示装置の折り畳み機構。
【請求項12】
請求項
2から11の何れか1項に記載の可撓性表示装置の折り畳み機構において、
前記リンク機構(13)は、前記第1端末(1)又は第2端末(2)に一体化されながら前記第2回転部材(12)に係合する第4回転部材(14)を有する
ことを特徴とする可撓性表示装置の折り畳み機構。
【請求項13】
請求項
7及び12に記載の可撓性表示装置の折り畳み機構において、
前記第1回転部材(11)の両側面にはスリット(11a、11a’)が形成され、
前記第2回転部材(12)の前記上半第2回転部材(12U)の両側面には円筒状ボス(12b、12b’)がそれぞれ形成され、
前記第3回転部材(13)の一方の側面にはスリット(13a)が且つ他方の側面には円筒状ボス(13b)がそれぞれ形成され、
前記第4回転部材(14)の前記第2回転部材に対向する側面にはスリット(14a)が形成されている
ことを特徴とする可撓性表示装置の折り畳み機構。
【請求項14】
請求項
5及び13に記載の可撓性表示装置の折り畳み機構において、
前記第2回転部材(12)の前記下半第2回転部材(12L)の両側面には円弧状スリット(12a、12a)がそれぞれ形成され、
前記第1係合部材(17)の前記下半第2回転部材(12L)に対向する側面には前記円弧状スリット(12a)に嵌合する円弧状ボス(17a)が形成され、
前記第2係合部材(18)の前記下半第2回転部材(12L)に対向する側面には前記円弧状スリット(12a)に嵌合する円弧状ボス(18a)が形成されている
ことを特徴とする可撓性表示装置の折り畳み機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性表示装置の折り畳み機構に関し、更に詳細には、左右端末が閉じた状態において液晶の折り曲げ部に十分な弛みを確保しながら端末接合部に隙間がなく、且つ折り畳み機構が単一のカバー部材で覆われている可撓性表示装置の折り畳み機構に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン又はタブレット等の板状の端末に液晶ディスプレイと操作又は設定のためのボタンなどを備えた携帯端末装置において、液晶ディスプレイ(以下、単に「液晶」という。)を含む端末全体が2つに折り畳むことができるように構成された折り畳み式携帯端末装置(以下、「フォルダブル端末装置」という。)が知られている(例えば、非特許文献1を参照。)。
【0003】
図11は、従来のフォルダブル端末装置を示す概念説明図である。
図11(a)は左右端末が完全に閉じた状態を表し、
図11(b)は左右端末が完全に開いた状態を表している。
図11(a)に示されるように、このフォルダブル端末装置においては、左右端末が閉じた状態では液晶の折曲げ近傍に曲げ痕が付かないように、液晶はRを付けて(弛みを付けて)折り曲がっている。液晶は、片側につき2つのR1及びR2で折り曲げられストレート部(R=∞)に連続している。
【0004】
また、左右端末の折り畳み機構については、係合部材と、左右アーム部材と、左右回転部材と、左右円弧部材と、主カバー部材とを備えて構成されている。左右アーム部材は左端末、右端末にそれぞれ固定されながら、係合部材の凸レールにそれぞれ係合している。左右回転部材は、左アーム部材上の回転軸、右アーム部材上の回転軸の回りにそれぞれ回転することができると共に、左円弧部材、右円弧部材にリンク部材(図示せず)を介してそれぞれ係合している。また、左右円弧部材は、左右端末の開閉動作に連動して開閉するように構成されている。
【0005】
上記折り畳み機構の動作を簡単に説明すると、左右端末がそれぞれ開く→左右アーム部材は、係合部材の凸レールに沿ってそれぞれスライドする→左右アーム部材は、左右円弧部材をそれぞれ押す→左右回転部材は、左液晶受け面、右液晶受け面をそれぞれ押し上げる→左右液晶受け面が係合部材の段差部にそれぞれ嵌まる→左右液晶受け面および係合部材の上面がほぼ面一になる。
【0006】
また、左右端末が完全に閉じた状態では、上記折り畳み機構は主カバー部材と左右円弧部材によって覆われている。そのため、外部から折り畳み機構を視認することはできないようになっている。
【0007】
図11(b)に示されるように、左右端末が完全に開いた状態では液晶は平面状態になる。
【0008】
図12は、従来の他のフォルダブル端末装置を示す概念説明図である。
図12(a)は左右端末が完全に閉じた状態を表し、
図12(b)は左右端末が完全に開いた状態を表している。
【0009】
図12(a)に示されるように、この従来のフォルダブル端末装置では、左右端末が端末接合線に関しそれぞれ互いに逆向き傾斜して係合部材に係合している。液晶は、片側につき1つのRで折り曲げられ、ストレート部(R=∞)に連続している。図から明らかな通り、左右端末が完全に閉じた状態では、液晶の折り曲げ近傍において隙間が生じている。
【0010】
また、左右端末の折り畳み機構については、
図11の折り畳み機構から左右回転部材と左右円弧部材に係る機構を除いたものと考えられる。
【0011】
また、左右端末が完全に閉じた状態では、上記折り畳み機構は単一のカバー部材によって覆われている。従って、左右端末が完全に閉じた状態では、外部から上記折り畳み機構を視認することができないようになっている。端末の折り曲げ部分が単一のカバー部材によって覆われているため、端末の折り曲げ部分の外観は好ましい。因みに、非特許文献1に記載のフォルダブル端末装置は、
図12に示されるフォルダブル端末装置の部類に属するものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【非特許文献】
【0013】
【文献】https://www.au.com/mobile/product/smartphone/scv47/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図11に示される従来のフォルダブル端末装置では、折り畳み機構が、主カバー部材と左右円弧部材という3つの部材によって覆われている。そのため、フォルダブル端末装置の折り曲げ部分についての外観が損なわれるという問題がある。
【0015】
また、
図11(b)に示されるように、左右アーム部材に左右円弧部材と干渉しないようにするための切り欠きをそれぞれ形成する必要がある。
【0016】
さらに、左右端末を完全に(90°に)開く場合に、液晶を受けるための液晶受け面を別途設ける必要がある。
【0017】
ところで、
図11のフォルダブル端末装置において、折り畳み機構を単一のカバー部材で覆うため、主カバー部材を、左右円弧部材を覆うまで周方向に拡張させることが考えられる。
【0018】
しかし、この場合拡張した主カバー部材が左右アーム部材にそれぞれ干渉し、左右端末を完全に(90°に)開くことができないという問題がある。
【0019】
さらに、
図11のフォルダブル端末装置において、主カバー部材の長さはそのままで、左右円弧部材を廃止することが考えられる。
【0020】
しかし、この場合左右端末が完全に閉じた状態で、端末折り曲げ部分(背面部分)において開口が生じ、その開口を通して折り曲げ機構の内部が外部から視認されるという問題がある。
【0021】
他方、
図12に示される従来のフォルダブル端末装置は、折り畳み機構が単一のカバーで覆われているため、
図11に示されるフォルダブル端末装置に係る上記問題は生じない。
【0022】
しかし、
図12に示される従来のフォルダブル端末装置では、左右端末が閉じたときに左右端末は中心線に関しそれぞれ傾斜して配置されるため、左右端末が閉じた状態で液晶の折り曲げ部分に隙間が生じるという問題がある。
【0023】
そこで本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであり、その目的は、左右端末が閉じた状態において液晶の折り曲げ部に十分な弛みを確保しながら端末接合部に隙間がなく、且つ折り畳み機構が単一のカバー部材で覆われている可撓性表示装置の折り畳み機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するための本発明に係る可撓性表示装置の折り畳み機構は、液晶等の可撓性表示装置(70)と、前記可撓性表示装置(70)に関連する電子基板を収容する左右対称に配置された第1端末(1)および第2端末(2)とを有する携帯端末装置(100)を二つに折り畳むことが可能な折り畳み機構であって、前記第1端末(1)と前記第2端末(2)が閉じた状態で前記第1端末(1)と前記第2端末(2)との間の開口を覆う半円筒状のカバー部材(10)と、前記カバー部材(10)の外側に分離して配置され前記第1端末(1)又は第2端末(2)に一体化して所定の第1回転中心(21L、21R)の回りを回転可能である第1回転部材(11)と、一部が前記カバー部材(10)の内側をスライドしながら起立状態から寝た状態に姿勢を変化させ、且つ所定の第2回転中心(22L、22R)の回りを回転可能である第2回転部材(12)と、前記第1端末(1)と前記第2端末(2)の開閉動作と同期して前記第1回転部材(11)と前記第2回転部材(12)とを連動させるリンク機構(13、13’、23L、23R、24、14)とを備えていることを特徴とする。
【0025】
上記構成では、端末(1、2)に一体化した第1回転部材(11)がカバー部材(10)の外側に分離して配置されているため、第1回転部材(11)の回転動作軌跡がカバー部材(10)に干渉しなくなる。また、第1回転部材(11)は、リンク機構(13、13’、23L、23R、24、14)を介して第2回転部材(12)に連結している。従って、第2回転部材(12)及びリンク機構の動作軌跡がカバー部材(10)に干渉しないようにこれらの形状を構成することにより、折り畳み機構を単一のカバー部材(10)で覆うことが可能となる。
【0026】
本発明に係る可撓性表示装置の折り畳み機構の第2の特徴は、前記第2回転部材(12)が、前記カバー部材(10)の内側をスライド係合する下半第2回転部材(12L)と前記リンク機構(13)に係合する上半第2回転部材(12U)とを基にして構成されていることである。
【0027】
上記構成では、第2回転部材(12)を下半回転部材(12L)と上半回転部材(12U)から成る2部品分離構造とすることが可能となる。
【0028】
本発明に係る可撓性表示装置の折り畳み機構の第3の特徴は、前記下半第2回転部材(12L)と前記上半第2回転部材(12U)は互いに分離して、自身より薄い部材(5、6)によって連結されていることである。
【0029】
上記構成では、第2回転部材(12)が寝た状態で上半第2回転部材(12U)と下半第2回転部材(12L)との間にカバー部材(10)の上端が位置するようにし、第2回転部材(12)の動作軌跡がカバー部材(10)に干渉しないように構成することが可能となる。
【0030】
本発明に係る可撓性表示装置の折り畳み機構の第4の特徴は、前記カバー部材(10)の内側には、前記下半第2回転部材(12L)がスライド係合する係合部材(17、18)が固定されていることである。
【0031】
上記構成では、端末(1、2)の開閉動作と同期させて第2回転部材(12)を安定に動作させることが可能となる。
【0032】
本発明に係る可撓性表示装置の折り畳み機構の第5の特徴は、前記係合部材(17、18)は、前記下半第2回転部材(12L)を両側から挟み込む形態でそれぞれ係合する第1係合部材(17)および第2係合部材(18)から構成されていることである。
【0033】
上記構成では、端末(1、2)の開閉動作と同期させて第2回転部材(12)をより安定に動作させることが可能となる。
【0034】
本発明に係る可撓性表示装置の折り畳み機構の第6の特徴は、前記下半第2回転部材(12L)と前記第1係合部材(17a)又は前記第2係合部材(18)は、円弧状のレール(12a、17a、18a)に沿って凹凸嵌合していることである。
【0035】
上記構成では、第2回転部材(12)は第2回転中心(22L、22R)の回りを回転しながら第1係合部材(17)と第2係合部材(18)をスライドすることが可能となる。
【0036】
本発明に係る可撓性表示装置の折り畳み機構の第7の特徴は、前記リンク機構は、前記カバー部材(10)の内側に配置された回転軸(23L、23R)の回りを回転可能な第3回転部材(13、13’)を備えることである。
【0037】
上記構成では、第1回転部材(11)の回転動作と、第2回転部材(12)のカバー部材(10)内側に対するスライド動作とを連動させることが可能となる。
【0038】
本発明に係る可撓性表示装置の折り畳み機構の第8の特徴は、前記第3回転部材(13、13’)は、前記カバー部材(10)の外側に配置され、前記回転軸(23L、23R)に対して相対回転可能である回転部材(24)に一体化されることである。
【0039】
上記構成では、第3回転部材(13)はカバー部材(10)に干渉することなく、第2回転部材(12)に係合しながら回転軸(23L、23R)の回りを回転することが可能となる。これにより、端末(1、2)の開閉動作と同期して第1回転部材(11)と第2回転部材(12)を連動させることが可能となる。
【0040】
本発明に係る可撓性表示装置の折り畳み機構の第9の特徴は、前記回転部材(24)は、傾斜した段差板構造を成していることである。
【0041】
上記構成では、第3回転部材(13)はカバー部材(10)と干渉しなくなると共に、端末(1、2)が閉じた状態において可撓性表示装置(70)を収納するスペースを確保することが可能となる。
【0042】
本発明に係る可撓性表示装置の折り畳み機構の第10の特徴は、前記回転部材(24)は、前記第1回転部材(11)が嵌まる切り欠き構造を有することである。
【0043】
上記構成では、第1回転部材(11)の両側からリンク機構(13、13’)を係合させることが可能となる。
【0044】
本発明に係る可撓性表示装置の折り畳み機構の第11の特徴は、前記リンク機構(13)は前記第1回転部材(11)および前記第2回転部材(12)に凹凸嵌合して相対移動するように構成されていることである。
【0045】
上記構成では、端末(1、2)の開閉動作と同期させて第1回転部材(11)と第2回転部材(12)を安定に連動させることが可能となる。
【0046】
本発明に係る可撓性表示装置の折り畳み機構の第12の特徴は、前記リンク機構(13)は、前記第1端末(1)又は第2端末(2)に一体化されながら前記第2回転部材(12)に係合する第4回転部材(14)を有することである。
【0047】
上記構成では、端末(1、2)の開閉動作と同期させて第2回転部材(12)を安定に動作させることが可能となる。
【0048】
本発明に係る可撓性表示装置の折り畳み機構の第13の特徴は、前記第1回転部材(11)の両側面にはスリット(11a、11a’)が形成され、前記第2回転部材(12)の前記上半第2回転部材(12U)の両側面には円筒状ボス(12b、12b’)がそれぞれ形成され、前記第3回転部材(13)の一方の側面にはスリット(13a)が且つ他方の側面には円筒状ボス(13b)がそれぞれ形成され、前記第4回転部材(14)の前記第2回転部材に対向する側面にはスリット(14a)が形成されていることである。
【0049】
上記構成では、端末(1、2)の開閉動作と同期させて第1回転部材(11)と第2回転部材(12)を安定に連動させることが可能となる。
【0050】
本発明に係る可撓性表示装置の折り畳み機構の第14の特徴は、前記第2回転部材(12)の前記下半第2回転部材(12L)の両側面には円弧状スリット(12a、12a)がそれぞれ形成され、前記第1係合部材(17)の前記下半第2回転部材(12L)に対向する側面には前記円弧状スリット(12a)に嵌合する円弧状ボス(17a)が形成され、前記第2係合部材(18)の前記下半第2回転部材(12L)に対向する側面には前記円弧状スリット(12a)に嵌合する円弧状ボス(18a)が形成されていることである。
【0051】
上記構成では、端末(1、2)の開閉動作と同期させて下半第2回転部材(12L)を第1係合部材(17)と第2係合部材(18)に係合しながら、第1係合部材(17)と第2係合部材(18)との間を安定にスライドさせることが可能となる。下半第2回転部材(12L)の表面は可撓性表示装置を受ける受け面になることができるため、従来の折り畳み機構が備えていた液晶受け面を省略することが可能となる。
【発明の効果】
【0052】
本発明の可撓性表示装置の折り畳み機構によれば、左右端末が閉じた状態において液晶の折り曲げ部に十分な弛みを確保しながら端末接合部に隙間がなく、且つ折り畳み機構が単一のカバー部材で覆われている可撓性表示装置の折り畳み機構にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフォルダブル端末装置が開いた状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るフォルダブル端末装置が閉じた状態を示す縦断面図である。
【
図3】本発明に係る動作ユニット部を示す平面図である。
【
図4】第1回転部材についての回転動作を示す説明図である。
【
図5】第2回転部材についての回転動作を示す説明図である。
【
図6】第3回転部材についての回転動作を示す説明図である。
【
図7】第1回転部材、第2回転部材および第3回転部材の各回転軸を示す説明図である。
【
図8】左右端末が完全に開いた状態のフォルダブル端末装置から左端末、左固定板金、左第1/左第2連結部材、左折り畳み機構、及び上下トルクユニット部を除いた構成を示す説明図である。
【
図9】左右端末が完全に開いた状態の右折り畳み機構を示す説明図である。
【
図10】左右端末が完全に開いた状態の右折り畳み機構の隣り合う回転部材の係合、並びに回転部材と係合部材との係合を示す説明図である。
【
図11】従来のフォルダブル端末装置を示す概念説明図である。
【
図12】従来の他のフォルダブル端末装置を示す概念説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0055】
図1及び
図2は、本発明の一実施形態に係るフォルダブル端末装置100を示す説明図である。なお、
図1はフォルダブル端末装置100が完全に開いた状態を示す斜視図である。
図2はフォルダブル端末装置100が完全に閉じた状態を示す縦断面図である。また、説明の都合上、左端末1及び右端末2に収容される電子部品・電子基板および液晶等については図示されていない。
【0056】
図2に示されるように、このフォルダブル端末装置100は、液晶を含む端末全体を2つに折り畳むことが可能であり、スマートフォン、タブレット又はモバイルコンピュータ等の携帯端末装置として使用される。このフォルダブル端末装置100の特徴としては、左右端末を完全に閉じたときに端末接合部に隙間がなく、動作ユニット部50の折り畳み機構が単一のカバー部材10で覆われている。また、左右端末が完全に閉じたときに動作ユニット部50において液晶の曲げ癖が付かないように十分な弛み(2つの円弧部R1,R2)を持たせて液晶を折り畳むことができるように、このフォルダブル端末装置100は構成されている。
【0057】
なお、詳細については
図3から
図6を参照しながら後述するが、左右端末1,2を開閉させる同一の折り畳み機構が左右に一組ずつ配置されている。左端末1又は右端末2に一体化される左右の第1回転部材11は、それぞれ左第1回転軸21L、右第1回転軸21Rを中心として回転される。他方、左右端末1,2が開く際に液晶70を受ける左右の第2回転部材12は、第1係合部材17に凹凸嵌合し所定の円弧レールをスライドしながら左第2回転軸22L又は右第2回転軸22Rを中心として回転される。そして、第1回転部材11と第2回転部材12は、左第3回転軸23L又は右第3回転軸23Rを中心として回転される第3回転部材13にそれぞれ係合している。
【0058】
このように、このフォルダブル端末装置100では左右端末1,2に一体化される第1回転部材11は第1係合部材17に係合するのではなく、第1回転部材11にリンクした第3回転部材13を介して第2回転部材12が第1係合部材17に係合するように構成されている。
【0059】
その結果、左右端末1,2が完全に開いたときに、左右の第1回転部材11がカバー部材10に干渉することがなくなる。また、左右の第3回転部材13が、第3回転軸23L,23Rに段差板24を介して係合することにより、第3回転部材13はカバー部材10に干渉することがなくなる。さらに、左右の第2回転部材12を板によって結合された2部品分離構造とすることにより、第2回転部材12はカバー部材10に干渉することがなくなる。これにより、端末接合部に隙間が生じない位置に、左右端末1,2についての回転軸を設定することが可能となり、これにより、カバー部材10を単一の部品で構成しながら、各回転部材がカバー部材10と干渉せずに第1回転軸21L,21Rを中心とした端末開閉が可能となる。なお、第1回転軸21L,21R、及び第2回転軸22L,22Rは仮想軸であるのに対し、第3回転軸23L,23Rは実回転軸である。
【0060】
図1に示されるように、構成としては、CPU、RAM及びROM等のメモリー、及びCCDカメラ等の電子デバイスが集積化された各種電子基板、並びにバッテリー、スピーカー等のパワーデバイスを収容する左端末1及び右端末2と、液晶を含む端末全体を2つに折り畳む/開くことを可能にする動作ユニット部50と、端末の開閉動作に対し適度な回転抵抗を与える上/下トルクユニット部60U,60Lと、動作ユニット部50の回転部材(例えば第1回転部材11)又は上/下トルクユニット部60U,60Lを左端末1及び右端末2に一体化する右固定板金3および左固定板金4と、動作ユニット部50と上/下トルクユニット部60U,60Lとを連結する左第1/左第2連結板金5,7および右第1/右第2連結板金6,8と、動作ユニット部50の固定部材(例えば第1係合部材17)を固定するカバー部材10(
図2)とを具備して構成されている。なお、ここで言う動作ユニット部の回転部材とは、動作ユニット部の構成部材のうちで左右端末1,2と一緒に回転する構成部材を意味している。動作ユニット部50の回転部材および固定部材については
図3を参照しながら後述する。
【0061】
図2に戻って、上述した通り、液晶受け面となる第2回転部材12はカバー部材10に干渉しないように2部品が分離しながら板によって連結した2部品分離構造を成している。従って、上に位置する部品を上半第2回転部材12Uと、下に位置する部品を下半第2回転部材12Lとしそれぞれ区別することにする。なお、
図3を参照しながら後述するが、上半第2回転部材12Uは、第3回転部材13及び第4回転部材14に係合する一方、下半第2回転部材12Lは第1係合部材17及び第2係合部材18に係合するようにそれぞれ構成されている。
【0062】
図3は、本発明に係る動作ユニット部50を示す平面図である。なお、説明の都合上、左固定板金3及び右固定板金4についてはハッチングが施されている。同様に、左第1連結板金5、右第1連結板金6、左第2連結板金7、及び右第2連結板金8についてもハッチングが施されている。
【0063】
図から明らかな通り、動作ユニット部50では同一の折り畳み機構50R,50Lが、第1係合部材17,17に関して点対称に左端末1と右端末2にそれぞれ配置されている。従って、以降において動作ユニット部50の説明については、主に図上右側の右折り畳み機構50Rに基づいて説明することにする。
【0064】
右折り畳み機構50Rは、両隣りの第3回転部材13と第3’回転部材13’に係合しながら右端末2と一体化して回転する第1回転部材11と、第3回転部材13と第14回転部材14に係合しながら第1係合部材17と第2係合部材18にも係合して液晶70(図示せず)の受け面となる第2回転部材12と、第1回転部材11と第2回転部材12に係合しながらカバー部材10内側に実回転軸(第3回転軸23R)を持つ第3回転部材13と、第2回転部材12に係合しながら右端末2と一体化して回転する第4回転部材14と、第3’回転部材13’と第6回転部材16に係合しながら第2係合部材18と第3係合部材19にも係合して液晶70(図示せず)の受け面となる第5回転部材15と、第5回転部材15と係合しながら右端末2と一体化して回転する第6回転部材16と、第2回転部材12と係合する第1係合部材17と、第2回転部材12と第5回転部材15の双方に係合する第2係合部材18と、第5回転部材15に係合する第3係合部材19と、第2回転部材12と下トルクユニット部60Lを連結する右第1連結板金6と、第5回転部材15と上トルクユニット部60Uを連結する右第2連結板金8と、第1回転部材11、第4回転部材14および第6回転部材16を右端末2に一体化する右固定板金4と、第1係合部材17、第2係合部材18および第3係合部材19を固定して支持するカバー部材10(
図2)とを具備して構成されている。
【0065】
第1回転部材11、第2回転部材12、第3回転部材13、第4回転部材14、第5回転部材15、及び第16回転部材16、並びに右固定板金4及び右第1/右第2連結板金6,8は、カバー部材10に対し相対回転することができる。それに対し、第1係合部材17、第2係合部材18及び第3係合部材19は、カバー部材10に対し相対回転不能である。
【0066】
第1回転部材11は、右固定板金4を介して右端末2に直結している。従って、第1回転部材11は右第1回転軸21R(
図4)を中心軸に持ちながら右端末2と一体化して回転する。なお、この右第1回転軸21Rは仮想軸である。これについては
図4を参照しながら後述する。
【0067】
また、第1回転部材11の第3回転部材13に対向する側面にはスリット(凹レール)がそれぞれ形成され、その各スリットは第3係合部材13の側面に形成された円筒ボス(凸部)に凹凸嵌合している。これについては
図10を参照しながら後述する。
【0068】
上半第2回転部材12Uの第3回転部材13に対向する側面には円筒ボス(凸部)が形成され、その円筒ボス(凸部)は第3回転部材13の側面に形成されたスリット(凹レール)に係合している。同様に、上半第2回転部材12Uの第4回転部材14に対向する側面には円筒ボス(凸部)が形成され、その円筒ボス(凸部)は第14回転部材14の側面に形成されたスリット(凹レール)に係合している。これについては
図10を参照しながら後述する。
【0069】
下半第2回転部材12Lは右第2回転軸22Rを中心軸に持ちながら第1係合部材17及び第2係合部材18にスライドしている。なお、この右第2回転軸22Rは仮想軸である。これについては
図5を参照しながら後述する。
【0070】
また、下半第2回転部材12Lの第1係合部材17に対向する側面にはスリット(凹レール)が形成され、そのスリットは第1係合部材17の側面に形成された円弧ボス(凸レール)に係合している。同様に、下半第2回転部材12Lの第2係合部材18に対向する側面にはスリット(凹レール)が形成され、そのスリットは第2係合部材18の側面に形成された円弧ボス(凸レール)に係合している。これについては
図10を参照しながら後述する。
【0071】
なお、第5回転部材15についても、第2回転部材12と同様な機能・構成であり、上半第5回転部材15U及び下半第5回転部材15Lが右第2連結板金8によって連結した2部品分離構造を成している。
【0072】
第3回転部材13は、段差板24上に固定されている。段差板24は右第3回転軸23R(
図2)に相対回転自在に係合している。従って、第3回転部材13は、右第3回転軸23Rの回りに回転可能である。なお、この右第3回転軸23Rは実回転軸である。これについては
図6を参照しながら後述する。
【0073】
また、第3回転部材13の側面には円筒ボス(凸部)およびスリット(凹レール)が形成され、第2回転部材12の円筒ボス(凸部)と第1回転部材11のスリット(凹レール)にそれぞれ係合している。これについては
図10を参照しながら後述する。
【0074】
なお、第3’回転部材13’についても、第3回転部材13と同様な機能・構成である。
【0075】
第4回転部材14は、右固定板金4を介して右端末2に直結している。上半第2回転部材12に対向する側面にはスリット(凹レール)が形成されている。第6回転部材16についても第4回転部材14と同様な構成である。なお、第6回転部材16についても第4回転部材14と同様な機能・構成である。
【0076】
図4は、第1回転部材11についての回転動作を示す説明図である。なお、
図4(a)は
図3のA-A断面図であり、同(b)は左右端末1,2が完全に閉じた状態を表している。
【0077】
図4(a)に示されるように、第1回転部材11は、右固定板金4を介してボルト(図示せず)によって右端末2に一体化される。第1回転部材11は、カバー部材10の外側に分離して配置されている。つまり、第1回転部材11はカバー部材10の内側に係合していない。カバー部材10の内側に係合しているのは下半第2回転部材12Lである。
【0078】
図4(b)に示されるように、右端末2はカバー部材10の外周面に沿ってスライドしながら右第1回転軸21Rを中心として回転する。従って、右第1回転軸21Rの位置については、左右端末1,2が完全に閉じた状態で液晶70のストレート部が隙間なく接合し、左右端末1,2が完全に開いた状態で液晶70が同一平面になる位置である。これについては
図7を参照しながら後述する。
【0079】
図5は、第2回転部材12についての回転動作を示す説明図である。なお、
図5(a)は
図3のB-B断面図であり、同(b)は左右端末1,2が完全に閉じた状態を表している。
【0080】
図5(a)に示されるように、第2回転部材12は、上半第2回転部材12Uと下半第2回転部材12Lとが右第1連金板金6によって連結した2部品分離構造を成している。左右端末1,2が完全に開いた状態でカバー部材10の縁部が右第1連結板金6に当接し、それ以外では上半第2回転部材12U及び下半第2回転部材12Lはカバー部材10に干渉しないように構成されている。
【0081】
図5(b)に示されるように、下半第2回転部材12Lの第1係合部材17に対向する側面には円弧状の第2スリット(凹レール)12aが形成されている。一方、第1係合部材17の下半第2回転部材12Lに対向する側面には、第2スリット12aに凹凸嵌合する第1円弧ボス17aが形成されている。従って、下半第2回転部材12Lは、第1係合部材17の第1円弧ボス17aに凹凸嵌合してスライドしながら右第2回転軸22Rを中心として回転する。なお、右第2回転軸22Rは、例えば第1円弧ボス17aの外周面に基づいて設定することができる。これについては
図7を参照しながら後述する。
【0082】
このように、下半第2回転部材12Lは左右端末1,2が完全に開いた状態ではカバー部材10に干渉することはなくなる。また、左右端末1,2が完全に閉じた状態では液晶70の円弧部に干渉しないように下半第2回転部材12Lは構成されている。
【0083】
図6は、第3回転部材13についての回転動作を示す説明図である。なお、
図6(a)は
図3のC-C断面図であり、同(b)は左右端末1,2が完全に閉じた状態を表している。また、右端末2において第3’回転部材13’が図示されているが、第3回転部材13とみなして説明することにする。
【0084】
図6(a)に示されるように、第3回転部材13は、右第3回転軸23Rに対し相対回転可能な段差板24上に固定されている。従って、第3回転部材13は右第3回転軸23Rの回りを一定半径で回転可能である。
【0085】
右第3回転軸23Rは、例えばカバー部材10の内側で、且つ左右端末1,2が完全に開いた状態でカバー部材10縁部が段差板14に当接する位置に形成されている。これについては
図7を参照しながら後述する。
【0086】
図6(b)に示されるように、段差板24は、左右端末1,2が完全に閉じた状態で液晶70の折り曲げ部と干渉しないように傾斜段差形状を成している。上段部は右第3回転軸23Rに相対回転可能に係合すると共に、下段部は第3回転部材13を支持・固定している。
【0087】
また、第3回転部材13の先端は、左右端末1,2が完全に閉じた状態で液晶70の折り曲げ部と干渉しないように段差板24と逆向きに傾斜している。その為、第3回転部材13と右第3回転軸23Rとの間に液晶70の折り曲げ部を収容するための空間が好適に確保されている。
【0088】
図7は、第1回転部材11、第2回転部材12および第3回転部材13の各回転軸を示す説明図である。
【0089】
図7(a)に示されるように、液晶70表面の任意の点を点Aとすると共に、液晶70中心線と折り曲げ部との交点を点Bとする。第1回転部材11の回転中心である右第1回転軸21Rの位置は、例えば下記(1)および(2)を満足する定位置として求めることができる。
(1)点Bから点Aに到る液晶70の曲線の長さL1が、液晶70を90°時計方向に回転させたときの当初の点Bと回転後の点A’を結んだ直線の長さL2に等しくなる。
(2)その定位置と点Aを結ぶ直線と、その定位置と点A’を結ぶ直線との成す角度が90°である。
【0090】
この場合、点B又は点A’から板厚tだけ下がった水平線が液晶受け面に相当する。従って、右固定板金4は上端面が液晶受け面に接する位置であって、液晶70のストレート部に接する位置に設定される。カバー部材10は上端面が液晶受け面に接する位置であって、液晶70の中心線と自身の中心線が一致する位置に設定される。
【0091】
また、カバー部材10の外周面の円弧形状は、左右端末1,2を開閉させた時に左右端末1,2がカバー部材10(円弧形状部)に接触しないこと、且つ、カバー部材10との隙間が大きくならない様に決定される。
【0092】
図7(b)に示されるように、第2回転部材12の回転中心である右第2回転軸22Rの位置は、例えば下記(3)および(4)を満足する定位置として求めることができる。
(3)第2回転部材12の下半第2回転部材12Lの上端面が液晶受け面に接するとき、カバー部材10に干渉することがない。
(4)その定位置を中心に回転させる場合、液晶70の円弧部(R部)に干渉することがない。
【0093】
なお、この場合、下半第2回転部材12Lの第2スリット12aの円弧中心は右第2回転軸22Rとなる。
【0094】
図7(c)に示されるように、第3回転部材13の回転中心である右第3回転軸23Rの位置は、例えば下記(5)から(7)を満足する定位置として求めることができる。
(5)カバー部材10の内側かつ径方向外側で、軸の半径に段差板24の板厚t’を加えた位置が液晶受け面上に位置する。
(6)第3回転部材13が第1回転部材11と第2回転部材12(上半第2回転部材12U)の双方に係合することができる。
(7)第3回転部材13の上端面が液晶受け面に接しながら液晶70のストレート部に接する。
【0095】
図8は、左右端末1,2が完全に開いた状態のフォルダブル端末装置100から左端末1、左固定板金3、左第1/左第2連結部材5,7、左折り畳み機構50L、及び上下トルクユニット部60U,60Lを除いた構成を示す説明図である。
【0096】
図8に示されるように、例えば、第1回転部材11、第4回転部材14、及び第6回転部材16は、右固定板金4にボルト(図示せず)によってそれぞれ固定される。そして、第4回転部材14、第6回転部材16は、右固定板金4を支持した状態で右端末2の取付台12a,12aにボルト(図示せず)によってそれぞれ固定される。これによって、第1回転部材11、第4回転部材14及び第6回転部材16は、右端末2に一体化されることになる。
【0097】
また、第1係合部材17、第2係合部材18及び第3係合部材19は、カバー10の内側にボルト(図示せず)によってそれぞれ固定される。以下に、右折り畳み機構50Rについて更に説明する。
【0098】
図9は、左右端末1,2が完全に開いた状態の右折り畳み機構50Rを示す説明図である。なお、第1係合部材17と第2係合部材18との空間には、左折り畳み機構50L(
図3)の第2回転部材12の下半第2回転部材12Lが嵌ることになる。
【0099】
図9に示されるように、右第3回転軸23Rは、第1係合部材17と第2係合部材18との間に設けられ、両端が第1係合部材17と第2係合部材18にそれぞれ固定されている。
【0100】
右第3回転軸23Rには、段差板24が相対回転可能に取り付けられている。段差板24は上段で右第3回転軸23Rに係合し、下段に第3回転部材13及び第3’回転部材13’がボルト(図示せず)によって固定されている。なお、第1回転部材11は段差板24に何ら係合していない、段差板24に対しフリー状態である。
【0101】
第3回転部材13の図上左隣りには第2回転部材12の上半第2回転部材12Uが、第3回転部材13と第4回転部材14の双方に係合可能に、且つ下半第2回転部材12Lが第1係合部材17と第2係合部材18の双方にスライド可能に設けられている。そして、上半第2連結部材12Uと下半第2連結部材12Lは右第2連結板金8によって一体に連結されている。
【0102】
第2回転部材12は、右第2連結板金8によって下トルクユニット部60L(
図1)に連結している。従って、第2回転部材12は下トルクユニット部60Lによってスライド位置(回転位置)が保持される場合、第2回転部材12に係合している第3回転部材13の回転位置が保持される。これにより、第3回転部材13に係合している第1回転部材11の回転位置が保持されるようになる。その結果、右端末2の回転位置が保持されるようになる。
【0103】
同様に、第3’回転部材13’の図上右隣りには第5回転軸15の上半第5回転部材15Uが、第3’回転部材13’と第6回転部材16の双方に係合可能に、且つ下半第5回転部材15Lが第2係合部材18と第3係合部材19の双方にスライド可能に設けられている。
【0104】
第5回転部材15は、右第1連結板金6によって上トルクユニット部60U(
図1)に連結している。従って、第5回転部材15は上トルクユニット部60Uによってスライド位置(回転位置)が保持される場合、第5回転部材15に係合している第3’回転部材13’の回転位置が保持される。これにより、第3’回転部材13’に係合している第1回転部材11の回転位置が保持されるようになる。その結果、右端末2は、第5回転部材15によっても回転位置が保持されるようになる。以下に、隣り合う回転部材の係合、回転部材と係合部材との係合について説明する。
【0105】
図10は、左右端末1,2が完全に開いた状態の右折り畳み機構50Rの隣り合う回転部材の係合、並びに回転部材と係合部材との係合を示す説明図である。なお、説明の都合上、第3回転部材13、第3’回転部材13’、第4回転部材14及び第6回転部材16についてはその係合相手から分離してそれぞれ表されている。
【0106】
第1回転部材11の第3回転部材13に対向する側面には、円弧状の第1スリット11aが形成されている。一方、第1回転部材11の第3’回転部材13’に対向する側面には、円弧状の第1’スリット11a’(図示せず)が形成されている。
【0107】
第3回転部材13の第1回転部材11に対向する側面には、第1スリット11aに嵌合する第3円筒ボス13bが形成されている。一方、第3回転部材13の第1係合部材11とは反対側の側面には、上半第2回転部材12Uの第2円筒ボス12bに嵌合する第3スリット13aが形成されている。
【0108】
同様に、第3’回転部材13’の第1回転部材11に対向する側面には、第1回転部材11の第1’スリット11a’(図示せず)に嵌合する第3’円筒ボス13b’が形成されている。一方、第3’回転部材13’の第1係合部材11とは反対側の側面には、上半第5回転部材15Uの第5円筒ボス15bに嵌合する第3’スリット13a’(図示せず)が形成されている。
【0109】
上半第2回転部材12Uの第3回転部材13に対向する側面には、第3スリット13aに嵌合する第2円筒ボス12bが形成されている。一方、第3回転部材13とは反対側の側面には、第4回転部材14の第4スリット14a(図示せず)に嵌合する第2’円筒ボス12b’が形成されている。
【0110】
同様に、上半第5回転部材15Uの第3’回転部材13’に対向する側面には、第3’スリット13a’(図示せず)に嵌合する第5円筒ボス15bが形成されている。一方、第3’回転部材13’とは反対側の側面には、第6回転部材16の第6スリット16aに嵌合する第5’円筒ボス15b’が形成されている。
【0111】
第4回転部材14は右固定板金4(
図8)を介して右端末2に一体化されている。第4回転部材14の上半第2回転部材12Uに対向する側面には、第2’円筒ボス12b’に嵌合する第4スリット14a(図示せず)が形成されている。
【0112】
同様に、第6回転部材16は右固定板金4(
図8)を介して右端末2に一体化されている。第6回転部材16の上半第5回転部材15Uに対向する側面には、第5’円筒ボス15b’に嵌合する第6スリット16aが形成されている。以上が隣り合う回転部材の係合である。以下に回転部材と係合部材との係合について説明する。
【0113】
下半第2回転部材12Lの第1係合部材17に対向する側面には、第1係合部材17の第1円弧ボス17aに嵌合する円弧状の第2スリット12aが形成されている。一方、第1係合部材17とは反対側の側面には、第2係合部材18の第2円弧ボス18aに嵌合する円弧状の第2スリット12aが形成されている。
【0114】
同様に、下半第5回転部材15Lの第2係合部材18に対向する側面には、第2係合部材18の第2円弧ボス18aに嵌合する円弧状の第5スリット15aが形成されている。一方、第2係合部材18とは反対側の側面には、第3係合部材19の第3円弧ボス19aに嵌合する円弧状の第5スリット15aが形成されている。
【0115】
このように、右端末2が右第1回転軸21Rを中心に開閉するためには、右第2回転軸22Rを中心に回転する第2回転部材12と右端末2に固定される第4回転部材14を第2’円筒ボス12b’と第4スリット14a(図示せず)によって、或いは第2回転軸22Rを中心に回転する第5回転部材15と右端末2に固定される第6回転部材16を第5’円筒ボス15b’と第6スリット16aによって連結する必要がある。それに加えて、右第3回転軸23Rを中心に回転する第3回転部材13及び第3’回転部材13’と右端末2に固定される第1回転部材11を、第3円筒ボス13bと第1スリット11a並びに第3’円筒ボス13b’と第1’スリット11a’(図示せず)によって連結する必要がある。
【0116】
さらに、右第2回転軸22Rを中心に回転する第2回転部材12と右第3回転軸23Rを中心に回転する第3回転部材13を第2円筒ボス12bと第3スリット13aによって、或いは第2回転軸22Rを中心に回転する第5回転部材15と右第3回転軸23Rを中心に回転する第3’回転部材13’を第5円筒ボス15bと第3’スリット13a’(図示せず)によって連結する必要がある。
【0117】
その結果、本発明に係る左右折り畳み機構50L,50Rが組み込まれたフォルダブル端末装置100は、左右端末1,2が閉じた状態において液晶70の折り曲げ部に十分な弛みを確保しながら端末接合部に隙間がなく、且つ動作ユニット部50及び上下トルクユニット部60U,60Lが単一のカバー部材10で覆われている端末装置にすることが可能となる。
【0118】
以上、図面を参照しながら、本発明に係る可撓性表示装置の折り畳み機構の一実施形態について説明してきたが、本発明は上記実施形態だけに限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲内において種々の変更・修正を加えることが可能である。例えば、左右折り畳み機構50L,50Rにおいて、第5回転部材15と第6回転部材16の係合ならびに第5回転部材15と第2係合部材18及び第3係合部材19との係合を省略しても良い。
【0119】
また、各スリット11a,11a’,12a,13a,13a’,14a,15a,16aの形状は円弧状に限定されない。同様に、各ボス12b,12b’,13b,13b’,15b,15b’の形状は円筒状に限定されない。同様に各凸レール17a,18a,18a’,19aの形状は円弧状に限定されない。
【0120】
また、上半第2回転部材12Uと下半第2回転部材12Lは別体物ではなく一体物として構成されていてもよい。同様に、第3回転部材13又は第3’回転部材13’と段差板24は別体物ではなく一体物として構成されていてもよい。同様に、第1係合部材17と第2係合部材18は別体物ではなく一体物として構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1 左端末
2 右端末
3 左固定板金
4 右固定板金
5 左第1連結板金
6 右第1連結板金
7 左第2連結板金
8 右第2連結板金
10 カバー部材
11 第1回転部材
12 第2回転部材
12U 上半第2回転部材
12L 下半第2回転部材
13 第3回転部材
13’ 第3’回転部材
14 第4回転部材
15 第5回転部材
16 第6回転部材
17 第1係合部材
18 第2係合部材
19 第3係合部材
21L 左第1回転軸
21R 右第1回転軸
22L 左第2回転軸
22R 左第2回転軸
23L 左第3回転軸
23R 左第3回転軸
24 段差板(回転部材)
50 動作ユニット部(可撓性表示装置の折り畳み機構)
60 トルクユニット部
70 液晶(可撓性表示装置)
100 フォルダブル端末装置(携帯端末装置)