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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 9/02 20060101AFI20240604BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20240604BHJP
   F21V 14/04 20060101ALI20240604BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240604BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240604BHJP
【FI】
F21S9/02 430
F21V7/00 350
F21V14/04
F21V23/00 200
F21Y115:10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019235233
(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公開番号】P2021093342
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-05-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年4月11日三重県熊野市井戸町において西山ひろ子に灯具1個譲渡
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年5月11日大阪府門真市新橋町において藤家栄子に灯具写真を公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年7月7日大阪府茨木市真砂において寺井富美子に灯具1個譲渡
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年7月18日三重県熊野市井戸町において西山ひろ子に灯具6個譲渡
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年8月13日大阪府東大阪市菱屋西において瀬山哲隆に灯具1個譲渡
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年9月22日淡路島リゾートマンション、ウエント淡路東海岸にて越川洋光、山本幸二、山下健一に灯具模擬ロウソク実物を公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年11月10日大阪府東大阪市菱屋西、発明者自宅において植内、橋本、浅野、福井、川井、辻、佐瀬、澤田に灯具各1個譲渡
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年11月23日大阪府東大阪市菱屋西、発明者自宅において木村隆良に灯具1個譲渡
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519462492
【氏名又は名称】西村 文友
(72)【発明者】
【氏名】西村 文友
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3224245(JP,U)
【文献】特開2000-300677(JP,A)
【文献】米国特許第8408746(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 9/02
F21V 7/00
F21V 14/04
F21V 23/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射板を用いて炎形状に形成された炎部と、前記炎部を揺動自在に支持する支持シャフトと、前記炎部から下方に延びる延伸部と、前記延伸部の下部に取り付けられた磁石と、流れる電流の変化に伴って前記磁石の配置領域における磁界を変化させる磁界発生部と、前記炎部に光りを照射し、不規則に点灯間隔と明るさの少なくとも一方が変化する光源を備え、前記光源と前記磁界発生部は直列接続されており、前記光源には前記電流の変化を不規則に生じさせる電流変化機能が内蔵され、前記磁界は不規則に変化し、前記磁石は不規則に揺動し、前記炎部と前記延伸部と前記磁石とは繋がっており、前記炎部は、前記支持シャフトを軸とし、不規則な揺動をすることを特徴とする灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に仏事等で使用する和ろうそく等を模した灯具であり、炎の形や揺らぎ方等を実物の炎の灯りに近づけたものである。
【背景技術】
【0002】
ロウソクは灯具として昔から使用されてきたものであるが、「火」を使っているので、火災等安全には十分注意をしなければならない。しかしながらちょっとした油断から火災につながることもある。
平成29年度の消防白書によると灯火による火災が全国で403件発生している。
この事故を未然に防ぐために、火を使わず安全で、しかも本物の炎の灯りに近いものを発明した。
例えば、本物のロウソクは火をつけると熱により芯の下部のロウが融け、液体となったロウが毛細管現象により芯の上部へ移動し気体となり燃えている。均一でない芯の微妙な細工や僅かな空気の流れがロウソクの灯りである神秘的な揺らぎをつくっている。
静寂の中においても「動」があるものに「生」を感じる。無機なものであれ「動」を加えることが灯具には必要と考え、その灯りをより本物の炎に近づくように「揺らぎ」を追求した。
仏具としての模擬ロウソクには、炎の形を模した電球やLEDを使用したものがある。また複数のLEDを組み合わせて行灯の中でロウソクの灯りを表現しているものがあるがこれは炎の動きを表現できない。
これらの模擬ロウソクは炎の揺らぎはなく、小型電球を点灯しているにすぎない。また近年LEDを使用したものがあるが明るさが変化するのみでロウソク独特の揺らぎはない。
特許文献1の装飾用灯具は発光体に電球を使用し、下部に鉄錘を付けている。電球と鉄錘の間に導線を兼ねたコイルにより浮遊支持されている。揺らぎの支点となるコイルは発光体から離れている。電球の下部に取り付けた鉄錘を電磁石で引きつける仕組みのため、上下動となり炎の揺らぎには見えない。電磁石を断続励磁する電子回路のスペースが必要となる。また構造上動作音がある。
特許文献2による模造蝋燭は電球から下方に管があり永久磁石を付けている。支点は永久磁石の上にあり電球から離れている。電磁石は永久磁石の下に置かれて、電流を流すことにより揺れを作ろうとしているが、支点からの電球までの距離が長くまた電磁石に対して永久磁石はN極・S極を磁界内においている。パルス電流で磁界を発生させて永久磁石を動かす仕組みとなっているが、パルス発生時の動きが常に同じで単調である。電球が支点から離れた位置で振れる動きとなり炎の揺れとは見えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-52709号公報
【文献】特開昭60-86701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の炎を模した灯具は炎の揺らぎは無く、実物の炎に近いとは言えない。
本発明は実物の炎に近い灯りとなる灯具を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決すべく、反射板を用いて炎形状に形成された炎部と、前記炎部を揺動自在に支持する支持シャフトと、前記炎部から下方に延びる延伸部と、前記延伸部の下部に取り付けられた磁石と、流れる電流の変化に伴って前記磁石の配置領域における磁界を変化させる磁界発生部と、前記炎部に光りを照射し、不規則に点灯間隔と明るさの少なくとも一方が変化する光源を備え、前記光源と前記磁界発生部は直列接続されていることを特徴とする灯具である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の灯具は炎形の反射板が光源の炎色の光を反射し、揺らいでいる。
反射板は電流が流れると磁力の反発で振れ、電流が少なくなると磁界の力が弱くなり重力でもとの位置に戻ろうとする。更に慣性により振れた方向とは反対側に振れるのであるが、振り子のように単純な左右の動きではなく不規則な電流変化により規則性のない自然な揺れとなる。
例えば灯具が模擬ロウソクである場合、実物のロウソクとは違い「火」を使用せずロウソク本来の炎色や揺らぎを再現できた。
これを使用することにより火災等の危険は無くなり違和感なく「火」を使わない安全な灯具として使用でき、就寝時の消し忘れの不安もなく長時間の点灯が可能となる。
本発明は安全であり、本物の炎の揺らぎを再現したものであることから、リビングや寝室等で癒しの効果のある灯具として、利用範囲の拡大が期待できる。
図6は本発明をインテリア灯具として利用した一例である。図6(a)は本発明を球形ガラス容器の口部に炎部を設けた灯具である。図6(b)は模擬ロウソクとして複数使用したインテリア灯具である。図6(c)は動作中の図6(a)のインテリア灯具の写真である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】 実施形態に係わる模擬ロウソクの構造図である。
図2】 可動反射板支持部及びLED配置図である。
図3】 模擬ロウソクを上部から見た構成の説明図である。
図4】 電池及びまたはACアダプターを使った配線図である。
図5】 仏具としての全体図とロウソク外筒部及び外観付け替え図である。
図6】 インテリア灯具としての応用図である。
【発明を実施するための形態】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであって本発明を限定するものではない。説明中において使用する用語等は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲は限定されない。
図面では実際に提供される本発明品のサイズや縮尺を正確に表すものではない。
【0008】
[動作部構成]
図1は装置全体を正面から見た断面図である。図2は動作支持枠7の正面及び横面の断面図であって反射板3の支持シャフト1、反射板位置調整2、LED4の位置関係及び前記反射板3の延伸部に取り付けた磁石8と緩衝材9を示したものである。図3は模擬ロウソクを上面から見た図である。
【0009】
[電源部]
回路はLED4とソレノイドコイル10を直列に接続しており、図4(a)は内蔵電池15による回路図である。図4(b)はACアダプター11を使った回路図である。図4(c)は前記内蔵電池15と前記ACアダプター11を使い分けて使用する回路図である。
ACアダプター接続コネクター13に前記ACアダプター11を接続することにより前記内蔵電池15が切り離され前記ACアダプター11による駆動に切り替わる。
図4(a)、(b)、(c)の回路における電流制限抵抗12の値は前記内蔵電池15、前記ACアダプター11の種類によるものであるが、前記LED4の定格電流を超えることがないようにするものである。
【0010】
半透明樹脂で形成された、長尺円筒形の筐体6の上部に、動作支持枠7を取り付け、さらに、前記動作支持枠7に支持シャフト1を取り付けている。前記支持シャフト1は反射板3を回転自由に支持している。前記支持シャフト1が前記反射板3を支持する位置は前記反射板3の重心近傍である。前記支持シャフト1には前記反射板3の位置がずれて前記動作支持枠7に当たらずに炎が中央で揺らぐようにする目的で反射板位置調整2を設けている。前記動作支持枠7に、不規則に間隔と明るさが変化するLED4を、前記反射板3の炎形状に形成された炎部に光りが集中するように角度をつけて取り付けている。前記動作支持枠7は半透明樹脂で形成されており前記筐体6の上部に半透明シリコンチューブのスペーサー5で固定されている。
前記反射板3の炎部から下方に伸びる延伸部の下部に、磁石8が装着されている。前記磁石8は筐体下部に装着された、ソレノイドコイル10の磁界内に臨ませている。
【0011】
安全な灯具を作るため、明かりとして不規則に間隔と明るさが変化するように構成されたLED4としてoptosupply 5mmキャンドルLED(黄)OSY5MK5A31Aを使用した。前記LED4を回路に接続することにより回路を流れる電流が不規則に変化する。
【0012】
本物のロウソクの揺らぎを再現するには、作動部位が軽くなければならない。炎にあたる部分に発光体(電球、LED等)を使うと重くなり、また電流供給のための接点等の仕組みにより動作を妨げることになり、揺らぎの再現に支障がある。
上記の理由より可動部を反射板として炎形に形成し、外部より光を投射しロウソクの明かりを模した。
【0013】
炎部分の揺らぎはソレノイドコイル10と磁石8の反発と重力及び慣性により実現している。自然な揺らぎを作るために、前記ソレノイドコイル10に流れる電流を不規則にした。これにより前記ソレノイドコイル10に発生する不規則な磁界の変化により炎形の反射板3の延伸部に取り付けている前記磁石8を揺動させている。
【0014】
ソレノイドコイル10に流す不規則な強弱のある電流は、不規則に間隔と明るさが変化するLED4に内蔵されている電流変化機能を利用している。この前記LED4と前記ソレノイドコイル10を直列接続することにより実現している。
したがって、前記ソレノイドコイル10に流れる電流値は前記LED4に流れる電流値と同じであり、前記LED4を点灯させるための電流で前記ソレノイドコイル10に磁界を発生させている。
これにより不規則電流を作る電子回路を無くしたシンプルな回路となり、かつ消費電力を少なくした。
【0015】
反射板3の揺れを妨げる支持シャフト1と前記反射板3のシャフト穴との摩擦を少なくするため、前記反射板3のシャフト穴は前記支持シャフト1の太さより大きくしている。
そのため、前記反射板3は前記支持シャフト1の方向に動いたり、前記支持シャフト1と直角方向に揺れ動いたり、すりこぎ運動をする。前記反射板3のすりこぎ運動を防ぎ、前記支持シャフト1の方向より前記支持シャフト1と直角方向に大きく揺動させるために、本発明ではコイルボビンの巻き芯部分の断面形状が円ではなく楕円もしくは長方形のボビンを使用することにより前記支持シャフト1と直角方向の揺れが大きくなることを明確に確認した。
【0016】
さらに本発明では自然な炎の揺れを作るために、LED4と直列接続することによる不規則な電流でソレノイドコイル10を励磁し、発生した磁界内に臨ませた磁石8が電流の不規則な強弱に応じて、電流が強くなると緩やかに反発し、電流が弱くなると重力の働きで鉛直方向に動く磁界の強さを作るため、前記ソレノイドコイル10の巻き数と、反射板3の質量と、前記反射板3の炎部と延伸部の長さの比と、前記反射板3の炎部と延伸部の質量バランスと、前記磁石8の質量及び前記磁石8の磁力の強度を研究し結果を出した。
【0017】
反射板3が大きく振れ、前記反射板3の延伸部に取り付けた磁石8が筐体に接触する場合があるので前記磁石8は緩衝材9により保護している。これにより動作音を消している。
【0018】
実物のロウソクでは燃焼による明かりがロウソク本体上部をほんのりと照らしている。
この状態を模擬ロウソクとして再現するために動作支持枠7及び筐体6、前記動作支持枠7と前記筐体6の間のスペーサー5はLED4の発光色を遮らないような透明もしくは半透明樹脂を使用し、前記LED4の側部や下部からの明かりを使い再現した。
【0019】
このため図5(a)で示したように、筐体6に被せ、かつ交換できるロウソク外筒部16は、ロウソクの質感を持つ半透明乳白色樹脂を使用し、季節の花等を描き、つけ換えることにより内側から図柄の紋様を柔らかく照らし出し風情を楽しむことができる。
また、仏事では前記ロウソク外筒部16に文字や故人の俗名・法名等を書くこともできるようにした。
【0020】
反射板3には灯具の炎色を再現するためLED4の発光色を妨げない半透明樹脂を使い、前記LED4の光を反射させている。なお炎部の灯りは後方からも視認できる。
【0021】
本発明は長時間の連続使用を前提にしているため部品点数を極力減らして消費電力を少なくしている、これにより乾電池等の内蔵電池15の使用でも長時間の動作を可能としている。
【0022】
図5(a)は一例として燭台に瓢箪を使った実施例である。図5(b)の交換出来るロウソク外筒部16は、筐体6の上に被せて使用するものであり、季節の花等を描いた図である。図5(c)は動作中の模擬ロウソクの写真である。
【0023】
部品点数が少なくパーツの全てが筐体内に収まるため、燭台のデザインは自由度がある。図6(a)は筐体6と燭台14を一体化した実施例である。図6(b)は燭台14を使用せず灯具本体のみで構成した灯具の一例である。図6(c)は図6(a)の動作中の写真である。このように灯具としての利用の範囲が広く、様々なデザインや活用シーンが考えられる。
【符号の説明】
【0024】
1 支持シャフト
2 反射板位置調整
3 反射板
4 LED
5 スペーサー
6 筐体
7 動作支持枠
8 磁石
9 緩衝材
10 ソレノイドコイル
11 ACアダプター
12 電流制限抵抗
13 ACアダプター接続コネクター
14 燭台
15 内蔵電池
16 ロウソク外筒部
図1
図2
図3
図4
図5
図6