(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】タービンブレードおよびこれを含むタービン並びにガスタービン
(51)【国際特許分類】
F01D 5/18 20060101AFI20240604BHJP
F01D 25/12 20060101ALI20240604BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
F01D5/18
F01D25/12 E
F02C7/18 A
(21)【出願番号】P 2021127429
(22)【出願日】2021-08-03
【審査請求日】2021-08-03
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0125082
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507002918
【氏名又は名称】ドゥサン エナービリティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、クワン イル
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジン ウー
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン、ウィリー
(72)【発明者】
【氏名】ブランドル、ハーバート
【合議体】
【審判長】河端 賢
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-115862(JP,A)
【文献】特開2005-54799(JP,A)
【文献】特開2014-66224(JP,A)
【文献】特開2016-173106(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0197160(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 1/00 - 11/24
F01D 13/00 - 15/12
F01D 23/00 - 25/35
F02C 1/00 - 9/58
F23R 3/00 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼形状からなり、吸入面および圧力面を有するエアホイルと、前記エアホイルの下部に結合されたプラットフォーム部と、前記プラットフォーム部から下部に突出してロータディスクに結合されるルート部とを含み、
前記エアホイルは、内部に形成された冷却流路と、前記冷却流路の上部に連結されて冷却空気を排出させる排出ホールとを含み、
前記排出ホールは、タービンブレードのチップに向かう方向に傾斜して内側から外側へ延びており、
前記タービンブレードには、冷却空気を排出する複数の冷却ホールが形成され、前記排出ホールは、前記複数の冷却ホールよりも
上部側に位置し、より大きい直径を有
し、
前記排出ホールは、前記圧力面にのみ形成されたタービンブレード。
【請求項2】
前記排出ホールは、前記タービンブレードの回転方向と平行に延びて形成された請求項1
に記載のタービンブレード。
【請求項3】
前記排出ホールは、前記タービンブレードのリーディングエッジに向かう方向に傾斜して内側から外側へ延びた請求項1
に記載のタービンブレード。
【請求項4】
前記排出ホールが前記タービンブレードの
上下方向に垂直な平面となす傾斜角は、5度~15度、または35度~45度となる請求項1から
3のいずれか一項に記載のタービンブレード。
【請求項5】
前記エアホイルは、前記吸入面および前記圧力面に連結され、
上部側に配置され、開口を有しない塞がれた板からなるチッププレートをさらに含む請求項1から
4のいずれか一項に記載のタービンブレード。
【請求項6】
前記冷却流路には、前記冷却流路の内部に突出し、前記排出ホールに連結された流動延長部が形成され、
前記流動延長部は、前記チッププレートの内面に対して傾斜して突出した上部延長部と、前記圧力面に対して傾斜して突出した側部延長部とを含み、
前記側部延長部は前記圧力面から内側に突出する、請求項
5に記載のタービンブレード。
【請求項7】
前記冷却流路には、前記冷却流路の内部に突出し、前記排出ホールに連結された流動ガイド部が形成され、
前記流動ガイド部は、前記チッププレートの下面および前記吸入面から突出して前記排出ホールに連結され、湾曲した曲面からなる第1ガイド部と、前記圧力面から突出して前記排出ホールに連結された第2ガイド部とを含む請求項
5に記載のタービンブレード。
【請求項8】
前記タービンブレードの内部から外部に排出される空気の排出速度と空気の密度とを乗じた値を、前記タービンブレードの外面を通過する燃焼ガスの速度とガスの密度とを乗じた値で割った値を噴射比率とし、
前記排出ホールを通して排出される空気と、タービンブレードを通るガスとの噴射比率は、4~10となる請求項1から
7のいずれか一項に記載のタービンブレード。
【請求項9】
回転可能なロータディスクと、前記ロータディスクに設けられる複数のタービンブレードとを含むタービンにおいて、
前記複数のタービンブレードは、翼形状からなり、吸入面および圧力面を有するエアホイルと、前記エアホイルの下部に結合されたプラットフォーム部と、前記プラットフォーム部から下部に突出してロータディスクに結合されるルート部とを含み、前記エアホイルは、内部に形成された冷却流路と、前記冷却流路の上部に連結されて冷却空気を排出させる排出ホールとを含み、前記排出ホールは、前記複数のタービンブレードのチップに向かう方向に傾斜して内側から外側へ延びており、
前記タービンブレードには、冷却空気を排出する複数の冷却ホールが形成され、前記排出ホールは、前記複数の冷却ホールよりも
上部側に位置し、より大きい直径を有
し、
前記排出ホールは、前記圧力面にのみ形成されたタービン。
【請求項10】
前記排出ホールは、前記複数のタービンブレードの回転方向と平行に延びて形成された請求項
9に記載のタービン。
【請求項11】
前記排出ホールは、前記複数のタービンブレードのリーディングエッジに向かう方向に傾斜して内側から外側へ延びた請求項
9に記載のタービン。
【請求項12】
前記排出ホールが前記複数のタービンブレードの
上下方向に垂直な平面となす傾斜角は、5度~15度、または35度~45度となる請求項
9から
11のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項13】
前記エアホイルは、前記吸入面および前記圧力面に連結され、
上部側に配置され、開口を有しない塞がれた板からなるチッププレートをさらに含む請求項
9から
12のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項14】
前記冷却流路には、前記冷却流路の内部に突出し、前記排出ホールに連結された流動延長部が形成され、
前記流動延長部は、前記チッププレートの内面に対して傾斜して突出した上部延長部と、前記圧力面に対して傾斜して突出した側部延長部とを含み、
前記側部延長部は前記圧力面から内側に突出する、請求項
13に記載のタービン。
【請求項15】
外部から流入した空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された圧縮空気と燃料とを混合して燃焼する燃焼器と、前記燃焼器で燃焼された燃焼ガスによって回転する複数のタービンブレードを含むタービンとを含むガスタービンにおいて、
前記複数のタービンブレードは、翼形状からなり、吸入面および圧力面を有するエアホイルと、前記エアホイルの下部に結合されたプラットフォーム部と、前記プラットフォーム部から下部に突出してロータディスクに結合されるルート部とを含み、前記エアホイルは、内部に形成された冷却流路と、前記冷却流路の上部に連結されて冷却空気を排出させる排出ホールとを含み、前記排出ホールは、前記複数のタービンブレードのチップに向かう方向に傾斜して内側から外側へ延びており、
前記タービンブレードには、冷却空気を排出する複数の冷却ホールが形成され、前記排出ホールは、前記複数の冷却ホールよりも
上部側に位置し、より大きい直径を有
し、
前記排出ホールは、前記圧力面にのみ形成されたガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンブレードおよびこれを含むタービン並びにガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、圧縮機で圧縮された圧縮空気と燃料とを混合して燃焼させ、燃焼で発生した高温のガスでタービンを回転させる動力機関である。ガスタービンは、発電機、航空機、船舶、列車などを駆動するのに用いられる。
【0003】
一般的に、ガスタービンは、圧縮機と、燃焼器と、タービンとを含む。圧縮機は、外部の空気を吸入して圧縮した後、燃焼器に伝達する。圧縮機で圧縮された空気は高圧および高温の状態になる。燃焼器は、圧縮機から流入した圧縮空気と燃料とを混合して燃焼させる。燃焼によって発生した燃焼ガスはタービンに排出される。燃焼ガスによってタービン内部のタービンブレードが回転し、これにより動力が発生する。発生した動力は、発電、機械装置の駆動など多様な分野に使用される。
【0004】
最近は、タービンの効率を増加させるために、タービンに流入するガスの温度(Turbine Inlet Temperature:TIT)が持続的に上昇する傾向にあるが、これによって、タービンブレードの耐熱処理および冷却の重要性が浮かび上がっている。
【0005】
タービンブレードを冷却するための方法には、フィルムクーリングおよびインターナルクーリング方式がある。フィルムクーリング方式は、タービンブレードの外面にコーティング膜を形成して、外部からブレードへの熱伝達を防止する方式である。フィルムクーリング方式によれば、ブレードに塗布される耐熱塗料が、ブレードの耐熱特性および機械的耐久性を決定する。
【0006】
インターナルクーリング方式は、冷却流体とブレードとの熱交換によりブレードを冷却する方式である。一般的に、タービンブレードは、ガスタービンの圧縮機から抽出された圧縮された冷却空気を用いて冷却する。
【0007】
タービンブレードにおいて半径方向に最も外側に位置するエアホイルチップはタービンシュラウドに隣接して配置されて冷却が極めて難しい問題があった。このため、従来は、エアホイルチップの周り方向に延びたチップリブを形成し、エアホイルのチッププレートをチップリブが取り囲むように形成した状態で、チッププレートから空気を噴射してエアホイルチップを冷却した。チッププレートで空気を噴射すれば、圧力損失を防止し、チッププレートを冷却させることはできるが、タービンの回転力のトルクおよび出力を増加させることができない問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の技術的背景に基づき、本発明は、トルクおよび出力が向上したタービンブレード、タービン並びにガスタービンを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によるタービンブレードは、翼形状からなり、吸入面および圧力面を有するエアホイルと、前記エアホイルの下部に結合されたプラットフォーム部と、前記プラットフォーム部から下部に突出してロータディスクに結合されるルート部とを含み、前記エアホイルは、内部に形成された冷却流路と、前記冷却流路の上部に連結されて冷却空気を排出させる排出ホールとを含み、前記排出ホールは、タービンブレードのチップに向かう方向に傾斜して内側から外側へ延びて形成される。
【0010】
本発明の一側面による前記排出ホールは、前記吸入面および前記圧力面のうち圧力面にのみ形成される。
【0011】
本発明の一側面による前記排出ホールは、前記タービンブレードの回転方向と平行に延びて形成される。
【0012】
本発明の一側面による前記排出ホールの直径は、前記タービンブレードの壁面の厚さよりも大きく形成される。
【0013】
本発明の一側面による前記タービンブレードには、冷却空気を排出する複数の冷却ホールが形成され、前記排出ホールは、前記冷却ホールよりも外側に位置し、より大きい直径を有するように形成される。
【0014】
本発明の一側面による前記排出ホールが前記タービンブレードの高さ方向に垂直な平面となす傾斜角は、5度~15度、または35度~45度となる。
【0015】
本発明の一側面による前記エアホイルは、前記吸入面および前記圧力面に連結され、外側に配置され、開口を有しない塞がれた板からなるチッププレートをさらに含むことができる。
【0016】
本発明の一側面による前記冷却流路には、前記冷却流路の内部に突出し、前記排出ホールに連結された流動延長部が形成され、前記流動延長部は、前記チッププレートの内面に対して傾斜して突出した上部延長部と、前記圧力面に対して傾斜して突出した側部延長部とを含むことができる。
【0017】
本発明の一側面による前記冷却流路には、前記冷却流路の内部に突出し、前記排出ホールに連結された流動ガイド部が形成され、前記流動ガイド部は、前記チッププレートの下面および前記吸入面から突出して前記排出ホールに連結され、湾曲した曲面からなる第1ガイド部と、前記圧力面から突出して前記排出ホールに連結された第2ガイド部とを含むことができる。
【0018】
本発明の一側面による前記排出ホールは、外側へいくほど内径が漸進的に減少する圧縮通路と、前記圧縮通路から前記圧力面に延び、均一な内径を有する案内通路とを含むことができる。
【0019】
本発明の一側面による前記タービンブレードの内部から外部に排出される空気の排出速度と空気の密度とを乗じた値を、前記タービンブレードの外面を通過する燃焼ガスの速度とガスの密度とを乗じた値で割った値を噴射比率とし、前記排出ホールを通して排出される空気と、タービンブレードを通るガスとの噴射比率は、4~10となる。
【0020】
本発明の一側面によるタービンは、回転可能なロータディスクと、前記ロータディスクに設けられる複数のタービンブレードとを含み、前記タービンブレードは、翼形状からなり、吸入面および圧力面を有するエアホイルと、前記エアホイルの下部に結合されたプラットフォーム部と、前記プラットフォーム部から下部に突出してロータディスクに結合されるルート部とを含み、前記エアホイルは、内部に形成された冷却流路と、前記冷却流路の上部に連結されて冷却空気を排出させる排出ホールとを含み、前記排出ホールは、タービンブレードのチップに向かう方向に傾斜して内側から外側へ延びることができる。
【0021】
本発明の一側面による前記排出ホールは、前記吸入面および前記圧力面のうち圧力面にのみ形成される。
【0022】
本発明の一側面による前記排出ホールは、前記タービンブレードの回転方向と平行に延びて形成される。
【0023】
本発明の一側面による前記排出ホールの直径は、前記タービンブレードの壁面の厚さよりも大きく形成される。
【0024】
本発明の一側面による前記タービンブレードには、冷却空気を排出する複数の冷却ホールが形成され、前記排出ホールは、前記冷却ホールよりも外側に位置し、より大きい直径を有することができる。
【0025】
本発明の一側面による前記排出ホールが前記タービンブレードの高さ方向に垂直な平面となす傾斜角は、5度~15度、または35度~45度となる。
【0026】
本発明の一側面による前記エアホイルは、前記吸入面および前記圧力面に連結され、外側に配置され、開口を有しない塞がれた板からなるチッププレートをさらに含むことができる。
【0027】
本発明の一側面による前記冷却流路には、前記冷却流路の内部に突出し、前記排出ホールに連結された流動延長部が形成され、前記流動延長部は、前記チッププレートの内面に対して傾斜して突出した上部延長部と、前記圧力面に対して傾斜して突出した側部延長部とを含むことができる。
【0028】
本発明の一側面によるガスタービンは、外部から流入した空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された圧縮空気と燃料とを混合して燃焼する燃焼器と、前記燃焼器で燃焼された燃焼ガスによって回転する複数のタービンブレードを含むタービンとを含み、前記タービンブレードは、翼形状からなり、吸入面および圧力面を有するエアホイルと、前記エアホイルの下部に結合されたプラットフォーム部と、前記プラットフォーム部から下部に突出してロータディスクに結合されるルート部とを含み、前記エアホイルは、内部に形成された冷却流路と、前記冷却流路の上部に連結されて冷却空気を排出させる排出ホールとを含み、前記排出ホールは、前記タービンブレードのチップに向かう方向に傾斜して内側から外側へ延びることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一側面によるタービンブレード、タービン並びにガスタービンによれば、排出ホールが傾斜して形成され、圧力面にのみ形成されるので、排出ホールを通して排出される冷却空気によって、タービンのトルクおよび出力が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るガスタービンの内部が示された図である。
【
図2】
図1のガスタービンの一部を切断した縦断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るタービンブレードを示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るタービンブレードの一部を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るタービンブレードの一部を示す縦断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係るタービンブレードの一部を示す横断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係るブレードで形成された排出ホールの傾斜角の変化によるトルク増加率を示すグラフである。
【
図8】第1実施形態に係るブレードで形成された排出ホールの傾斜角の変化による出力増加率を示すグラフである。
【
図9】本発明の第1実施形態の変形例によるタービンブレードの一部を示す横断面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係るタービンブレードの一部を示す縦断面図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係るタービンブレードの一部を示す縦断面図である。
【
図12】本発明の第4実施形態に係るタービンブレードの一部を示す斜視図である。
【
図13】本発明の第4実施形態に係るタービンブレードの一部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は多様な変換が加えられて様々な実施例を有し得ることから、特定の実施例を例示して詳細な説明に詳しく説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態について限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物または代替物を含むことが理解されなければならない。
【0032】
本発明で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0033】
以下、添付した図面を参照して、本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。この時、添付した図面において同一の構成要素は、できる限り同一の符号で表していることに留意する。また、本発明の要旨をあいまいにしうる公知の機能および構成に関する詳細な説明は省略する。同様の理由から、添付図面において一部の構成要素は誇張または省略されるか、概略的に示された。
【0034】
以下、本発明の第1実施形態に係るガスタービンについて説明する。
【0035】
図1は、本発明の第1実施形態に係るガスタービンの内部が示された図であり、
図2は、
図1のガスタービンの一部を切断した縦断面図である。
【0036】
図1および
図2を参照して説明すれば、本実施形態に係るガスタービン1000の熱力学的サイクルは、理想的にはブレイトンサイクル(Brayton cycle)によることができる。ブレイトンサイクルは、等エントロピー圧縮(断熱圧縮)、定圧急熱、等エントロピー膨張(断熱膨張)、定圧放熱につながる4つの過程からなる。すなわち、大気の空気を吸入して高圧に圧縮した後、定圧環境で燃料を燃焼して熱エネルギーを放出し、この高温の燃焼ガスを膨張させて運動エネルギーに変換させた後に、残留エネルギーを含む排気ガスを大気中に放出することができる。すなわち、圧縮、加熱、膨張、放熱の4過程でサイクルが行われる。
【0037】
このようなブレイトンサイクルを実現するガスタービン1000は、
図1に示されるように、圧縮機1100と、燃焼器1200と、タービン1300とを含むことができる。以下の説明は
図1を参照するが、本発明の説明は、
図1に例示的に示されたガスタービン1000と同等の構成を有するタービン機関に対しても幅広く適用可能である。
【0038】
図1を参照すれば、ガスタービン1000の圧縮機1100は、外部から空気を吸入して圧縮することができる。圧縮機1100は、圧縮機ブレード1130によって圧縮された圧縮空気を燃焼器1200に供給し、また、ガスタービン1000で冷却が必要な高温領域に冷却用空気を供給することができる。この時、吸入された空気は圧縮機1100で断熱圧縮過程を経るので、圧縮機1100を通過した空気の圧力と温度は上昇する。
【0039】
圧縮機1100は、遠心圧縮機(centrifugal compressors)や軸流圧縮機(axial compressor)で設計されるが、小型ガスタービンでは遠心圧縮機が適用されるのに対し、
図1に示されるような大型ガスタービン1000は、大量の空気を圧縮しなければならないため、多段軸流圧縮機1100が適用されることが一般的である。この時、多段軸流圧縮機1100では、圧縮機1100のブレード1130は、センタータイロッド1120とロータディスクの回転により回転して、流入した空気を圧縮しながら圧縮された空気を後段の圧縮機ベーン1140に移動させる。空気は多段に形成されたブレード1130を通過しながら次第により高圧に圧縮される。
【0040】
圧縮機ベーン1140は、ハウジング1150の内部に装着され、複数の圧縮機ベーン1140が段を形成して装着できる。圧縮機ベーン1140は、前段の圧縮機ブレード1130から移動した圧縮空気を後段のブレード1130側に案内する。一実施形態において、複数の圧縮機ベーン1140の少なくとも一部は、空気の流入量の調節などのために定められた範囲内で回転可能に装着できる。
【0041】
圧縮機1100は、タービン1300から出力される動力の一部を用いて駆動できる。このために、
図1に示されるように、圧縮機1100の回転軸とタービン1300の回転軸とは、トルクチューブ1170によって直結できる。大型ガスタービン1000の場合、タービン1300で生産される出力のほぼ半分程度が圧縮機1100を駆動させるのに費やされる。
【0042】
一方、燃焼器1200は、圧縮機1100の出口から供給される圧縮空気を燃料と混合して、等圧燃焼させて高いエネルギーの燃焼ガスを作ることができる。燃焼器1200では、流入した圧縮空気を燃料と混合、燃焼させて高いエネルギーの高温、高圧燃焼ガスを作り、等圧燃焼過程で燃焼器およびタービン部品が耐えられる耐熱限度まで燃焼ガスの温度を上昇させる。
【0043】
燃焼器1200は、セル状に形成されるハウジング内に複数配列され、燃料噴射ノズルなどを含むバーナ(Burner)と、燃焼室を形成する燃焼器ライナ(Combustor Liner)と、燃焼器とタービンとの連結部になるトランジションピース(Transition Piece)とを含んで構成される。
【0044】
一方、燃焼器1200から出た高温、高圧の燃焼ガスはタービン1300に供給される。供給された高温高圧の燃焼ガスが膨張しながらタービン1300のタービンブレード1400に衝動、反動力を与えて回転トルクがもたらされ、このように得られた回転トルクは上述したトルクチューブ1170を経て圧縮機1100に伝達され、圧縮機1100の駆動に必要な動力を超える動力は発電機などを駆動するのに用いられる。
【0045】
タービン1300は、ロータディスク1310と、ロータディスク1310に放射状に配置される複数のタービンブレード1400と、タービンベーン1500とを含む。ロータディスク1310は、略円板形状を有しており、その外周部には複数の溝が形成されている。溝は屈曲面を有するように形成され、溝にタービンブレード1400が挿入される。タービンブレード1400は、ダブテールなどの方式でロータディスク1310に結合できる。タービンベーン1500は、回転しないように固定され、タービンブレード1400を通過した燃焼ガスの流れ方向を案内する。
【0046】
図3は、本発明の第1実施形態に係るタービンブレードを示す斜視図であり、
図4は、本発明の第1実施形態に係るタービンブレードの一部を示す斜視図であり、
図5は、本発明の第1実施形態に係るタービンブレードの一部を示す縦断面図であり、
図6は、本発明の第1実施形態に係るタービンブレードの一部を示す横断面図である。
【0047】
図3~
図6を参照して説明すれば、タービンブレード1400は、翼形状のエアホイル1410と、エアホイル1410の下部に結合されたプラットフォーム部1420と、プラットフォーム部1420の下に突出してロータディスクに結合されるルート部1425とを含む。エアホイル1410は、翼形状の曲面板からなってもよいし、ガスタービン1000の仕様によって最適化された翼形を有するように形成される。
【0048】
プラットフォーム部1420は、エアホイル1410とルート部1425との間に位置し、略四角板または四角柱形状からなってもよい。プラットフォーム部1420は、隣り合うタービンブレード1400のプラットフォーム部1420とその側面とが互いに接してタービンブレード1400間の間隔を維持させる役割を果たす。
【0049】
ルート部1425は、略モミ形態の屈曲部を有し、これはロータディスク1310のスロットに形成された屈曲部の形態に対応するように形成される。ここで、ルート部1425の結合構造は必ずしもモミ形態を有する必要はなく、ダブテール形態を有するように形成されてもよい。ルート部1425の下端には、冷却空気の供給のための流入口が形成される。
【0050】
エアホイル1410は、燃焼ガスの流れ方向を基準として上流側に配置されるリーディングエッジLEと、下流側に配置されるトレーリングエッジTEとを備えることができる。また、エアホイル1410において燃焼ガスの流入する前面には、外側方に凸の曲面をなして突出した吸入面S1が形成され、エアホイルの後面には、吸入面側に凹に陥没した曲面をなす圧力面S2が形成される。エアホイル1410の吸入面S1と圧力面S2との圧力差が発生してタービン1300が回転する。
【0051】
エアホイル1410の内部には複数の冷却流路CPが形成され、冷却流路CPには冷媒の空気が供給される。冷却流路CPは、エアホイル1410の高さ方向に延びて形成される。エアホイル1410は、冷却ホールを有しておらず、内部冷却のみを行う構造からなるか、外面にフィルムクーリングのための複数の冷却ホールを有する構造からなってもよい。
【0052】
一方、エアホイル1410は、半径方向の外側端部にはプラットフォーム部1420に対向するチッププレート1430が形成されるが、チッププレート1430は、タービン1300のシュラウド1350から間隔をおいて離隔する。チッププレート1430は、エアホイル1410の側壁に固定されて側壁の内部に冷却空間を形成する。チッププレート1430は、エアホイル1410の横断面に対応する形状からなる。チッププレート1430の周りには、外側に突出したリブ1450が形成される。
【0053】
エアホイル1410は、冷却流路CPに連結されて冷却空気を排出させる排出ホール1460をさらに含むことができる。本第1実施形態に係るタービンブレード1400は、フィルムクーリングのための冷却ホールを有しておらず、タービンブレード1400の内側から供給された冷却空気は、タービンブレード1400の内部を冷却した後に、排出ホール1460およびトレーリングエッジTEを通して排出される。排出ホール1460は、吸入面S1および圧力面S2のうち圧力面S2にのみ形成される。
【0054】
排出ホール1460は、冷却流路CPの側面に形成されかつ、側面の上端に形成される。また、排出ホール1460は、圧力面S2に連結されて、冷却流路CPから圧力面S2に冷却空気を排出する。排出ホール1460は、一般的な冷却ホールよりも大きい直径を有するが、排出ホール1460の直径D1は、タービンブレード1400の壁面1411の厚さT1よりも大きく形成される。
【0055】
排出ホール1460の直径D1は、タービンブレード1400の壁面1411の厚さT1の1.2倍~100倍となる。これによって、排出ホール1460を通して排出される空気の速度が増加し、多量の空気が速やかに排出できる。タービンブレード1400の内部に供給された空気の50重量%~70重量%の空気が排出ホール1460を通して排出できる。
【0056】
排出ホール1460は、タービンブレード1400のチップに向かう方向に傾斜して内側から外側へ延び、排出ホール1460がタービンブレード1400の高さ方向に垂直な仮想平面P1となす傾斜角A1は、5度~15度、または35度~45度となる。ここで、タービンブレード1400のチップは、タービンブレード1400の外側端部からなる。
【0057】
図7は、本発明の第1実施形態に係るブレードで形成された排出ホールの傾斜角の変化によるトルク増加率を示すグラフであり、
図8は、第1実施形態に係るブレードで形成された排出ホールの傾斜角の変化による出力増加率を示すグラフである。
【0058】
図7および
図8は、タービンブレード1400の回転速度が3600rpmであり、圧縮比が18.16であり、タービンブレード1400を通過する燃焼ガスの流量に対する排出ホール1460を通して排出される空気の流量比は0.6%であり、フルスピードフルロード(FSFL)で運転する時の、傾斜角の変化によるガスタービンのトルクおよび出力増加率を示す。
【0059】
図7および
図8に示されるように、傾斜角A1が0度の場合、最も大きなトルク値を有するが、出力は低いことが分かる。また、傾斜角A1が0度の場合には、空気がチッププレート1430にうまく流入できない問題が発生しうる。
【0060】
一方、
図7および
図8に示されるように、傾斜角A1が50度よりも大きければ、トルク増加率および出力増加率が低くなる問題がある。また、傾斜角A1が15度~35度の場合には、出力が低くなる問題がある。
【0061】
一方、排出ホール1460は、タービンブレード1400の回転方向と平行に延びて形成される。すなわち、排出ホール1460は、タービン1300の中心軸X1の方向に垂直な方向に延びて形成される。一般的に、タービンブレード1400に形成される冷却ホールは、曲面であるタービンブレード1400の表面に対して垂直な方向に延びて形成される。しかし、排出ホール1460がタービンブレード1400の表面に対して垂直に延びると、タービンブレード1400の回転力を十分に増加させることが困難である。
【0062】
排出ホール1460は、タービンブレード1400の回転方向と平行に延びて形成され、タービンブレード1400が回転する方向と反対方向に空気を排出すれば、排出ホール1460を通して排出される空気によって、タービンブレード1400の回転力が増加できる。
【0063】
ただし、本発明がこれに限定されるものではなく、
図9に示されるように、排出ホール1461は、リーディングエッジLEに向かう方向に内側から外側へ傾斜して延びて形成されてもよい。すなわち、排出ホール1460は、タービン1300の中心軸X1の方向に予め設定された傾斜角A2に傾斜して形成されてもよいし、ここで、傾斜角A2は、60度~85度となる。
【0064】
一方、排出ホール1460を通して排出される空気の速度は、従来の冷却ホールを通して排出される空気の速度よりも速い。また、排出ホール1460を通して排出される空気と、タービンブレード1400を通るガスとの噴射比率(blowing ratio;BR)は、4~10となる。
【0065】
噴射比率は、タービンブレード1400の内部から外部に排出される空気の排出速度(VA)と空気の密度(DA)とを乗じた値を、タービンブレード1400の外面を通過する燃焼ガスの速度(VG)と燃焼ガスの密度(DG)とを乗じた値で割った値で定義される。
【0066】
これによって、噴射比率(BR)は、下記の数式1のように表すことができる。
(数1)
噴射比率(BR)=(VA*DA)/(VG*DG)
【0067】
噴射比率が4よりも小さければ、タービンの出力増加率が低い問題があり、噴射比率が10よりも大きければ、圧縮機の負荷が増加する問題がある。チッププレート1430は、吸入面S1および圧力面S2に連結され、外側に配置され、開口を有しない塞がれた板からなる。チッププレート1430が塞がれた構造からなると、排出ホール1460を通してより多量の空気が排出されて、出力およびトルクが向上できる。
【0068】
上記のように、本第1実施形態によれば、タービンブレード1400の上部に傾斜した複数の排出ホール1460が形成されるので、排出ホール1460から排出される空気の力によって、タービン1300のトルクおよび出力が向上できる。また、排出ホール1460から排出された空気がチッププレート1430に移動して、圧力の漏洩を防止し、チッププレート1430を冷却することができる。
【0069】
以下、本発明の第2実施形態に係るタービンについて説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係るタービンブレードの一部を示す縦断面図である。
【0070】
図10を参照して説明すれば、本第2実施形態に係るタービンは、タービンブレード2400を除けば、上記の第1実施形態に係るタービンと同一の構造からなるので、同一の構成に関する重複説明は省略する。
【0071】
本実施形態に係るタービンブレード2400は、翼形状のエアホイル2410を含み、エアホイル2410は、翼形状の曲面板からなってもよいし、タービンの仕様によって最適化された翼形を有するように形成される。
【0072】
エアホイル2410において燃焼ガスの流入する前面には、外側方に凸の曲面をなして突出した吸入面S1が形成され、エアホイルの後面には、吸入面側で凹に陥没した曲面をなす圧力面S2が形成される。
【0073】
エアホイル2410の内部には複数の冷却流路CPが形成され、冷却流路CPには冷媒の空気が供給される。冷却流路CPは、エアホイル2410の高さ方向に延びて形成される。エアホイル2410は、冷却ホールを有しておらず、内部冷却のみを行う構造からなるか、外面にフィルムクーリングのための複数の冷却ホールを有する構造からなってもよい。
【0074】
一方、エアホイル2410は、半径方向の外側端部にはチッププレート2430が形成されるが、チッププレート2430は、タービン2300のシュラウド2350から間隔をおいて離隔する。チッププレート2430の外側端には、周り方向に延びたリブ2450が形成される。
【0075】
エアホイル2410は、冷却流路CPに連結されて冷却空気を排出させる排出ホール2460をさらに含むことができる。排出ホール2460は、吸入面S1および圧力面S2のうち圧力面にのみ形成される。排出ホール2460は、タービンブレード2400のチップに向かう方向に傾斜して内側から外側へ延びる。また、排出ホール2460は、タービンブレード2400の回転方向と平行に延びて形成される。チッププレート2430は、エアホイル2410の外側端に配置され、開口を有しない塞がれた板からなる。
【0076】
チッププレート2430とエアホイル2410の壁面2411との接するコーナー部には、冷却流路CPの内部に突出した流動延長部2470が形成される。流動延長部2470は、チッププレート2430から内側に突出した上部延長部2471と、圧力面S2から内側に突出した側部延長部2472とを含むことができる。
【0077】
上部延長部2471は、チッププレート2430の内面に対して傾斜して突出し、排出ホール2460に連結される。また、上部延長部2471は、排出ホール2460から遠くなるほど厚さが漸進的に減少するように形成される。側部延長部2472は、圧力面S2に対して傾斜して突出し、排出ホール2460に連結される。
【0078】
このように流動延長部2470が形成されると、排出ホール2460の長さが増加でき、冷却空気の流動が均一化できる。また、上部延長部2471と側部延長部2472が冷却流路CPの表面に対して傾斜して形成されるので、渦流の発生を防止しながら空気を排出ホールに案内して空気の噴射速度を向上させることができる。
【0079】
以下、本発明の第3実施形態に係るタービンについて説明する。
図11は、本発明の第3実施形態に係るタービンブレードの一部を示す縦断面図である。
【0080】
図11を参照して説明すれば、本第3実施形態に係るタービンは、タービンブレード2400を除けば、上記の第1実施形態に係るタービンと同一の構造からなるので、同一の構成に関する重複説明は省略する。
【0081】
本実施形態に係るタービンブレード2400は、翼形状のエアホイル2410を含み、エアホイル2410は、翼形状の曲面板からなってもよいし、タービンの仕様によって最適化された翼形を有するように形成される。
【0082】
エアホイル2410において燃焼ガスの流入する前面には、外側方に凸の曲面をなして突出した吸入面S1が形成され、エアホイルの後面には、吸入面側に凹に陥没した曲面をなす圧力面S2が形成される。
【0083】
エアホイル2410の内部には複数の冷却流路CPが形成され、冷却流路CPには冷媒の空気が供給される。冷却流路CPは、エアホイル2410の高さ方向に延びて形成される。エアホイル2410は、冷却ホールを有しておらず、内部冷却のみを行う構造からなるか、外面にフィルムクーリングのための複数の冷却ホールを有する構造からなってもよい。
【0084】
一方、エアホイル2410は、半径方向の外側端部にはチッププレート2430が形成されるが、チッププレート2430は、タービン2300のシュラウド2350から間隔をおいて離隔する。チッププレート2430の外側端には、周り方向に延びたリブ2450が形成される。
【0085】
エアホイル2410は、冷却流路CPに連結されて冷却空気を排出させる排出ホール2460をさらに含むことができる。排出ホール2460は、吸入面S1および圧力面S2のうち圧力面にのみ形成される。排出ホール2460は、タービンブレード2400のチップに向かう方向に傾斜して内側から外側へ延びる。また、排出ホール2460は、タービンブレード2400の回転方向と平行に延びて形成される。チッププレート2430は、エアホイル2410の外側端に配置され、開口を有しない塞がれた板からなる。
【0086】
チッププレート2430とエアホイル2410の壁面2411との接するコーナー部には、排出ホール2460を通して排出される空気を案内する流動ガイド部2480が形成される。流動ガイド部2480は、チッププレート2430から吸入面S1まで延びた第1ガイド部2481と、圧力面S2から内側に突出した第2ガイド部2482とを含むことができる。
【0087】
第1ガイド部2481は、チッププレート2430の下面および吸入面S1から突出して排出ホール2460に連結され、湾曲した曲面からなってもよい。第2ガイド部2482は、圧力面から突出し、排出ホール2460に連結される。
【0088】
このように流動ガイド部2480が形成されると、冷却流路CPの内側から外側に移動する空気を排出ホール2460に誘導して、渦流の発生を防止しながら噴射速度を増加させることができる。また、流動ガイド部2480が排出ホール2460へいくほど狭くなるので、空気の排出速度が向上できる。
【0089】
以下、本発明の第4実施形態に係るタービンについて説明する。
【0090】
図12は、本発明の第4実施形態に係るタービンブレードの一部を示す斜視図であり、
図13は、本発明の第4実施形態に係るタービンブレードの一部を示す縦断面図である。
【0091】
図12および
図13を参照して説明すれば、本第4実施形態に係るタービンは、タービンブレード3400を除けば、上記の第1実施形態に係るタービンと同一の構造からなるので、同一の構成に関する重複説明は省略する。
【0092】
本実施形態に係るタービンブレード3400は、翼形状のエアホイル3410を含み、エアホイル3410は、翼形状の曲面板からなってもよいし、ガスタービン3000の仕様によって最適化された翼形を有するように形成される。
【0093】
エアホイル3410において燃焼ガスの流入する前面には、外側方に凸の曲面をなして突出した吸入面S1が形成され、エアホイルの後面には、吸入面側に凹に陥没した曲面をなす圧力面S2が形成される。
【0094】
エアホイル3410の内部には複数の冷却流路CPが形成され、冷却流路CPには冷媒の空気が供給される。冷却流路CPは、エアホイル3410の壁面3411の高さ方向に延びて形成される。エアホイル3410には、フィルムクーリングのための複数の冷却ホールが形成される。
【0095】
一方、エアホイル3410は、半径方向の外側端部には、プラットフォーム部3420に対向するチッププレート3430が形成されるが、チッププレート3430は、タービン3300のシュラウド3350から間隔をおいて離隔する。チッププレート3430の外側端には、周り方向に延びたリブ3450が形成される。
【0096】
エアホイル3410は、冷却流路CPに連結されて冷却空気を排出させる排出ホール3460をさらに含むことができる。冷却流路CPに沿って移動する冷却空気の一部は冷却ホール3480を通して排出され、残りの空気は排出ホール3460を通して排出される。排出ホール3460は、吸入面S1および圧力面S2のうち圧力面S2にのみ形成される。
【0097】
排出ホール3460は、タービンブレード3400のチップに向かう方向に傾斜して内側から外側へ延びる。排出ホール3460と冷却ホール3480は、互いに異なる方向に延びて形成されるが、冷却ホール3480は、湾曲したタービンブレード3400の表面に対して垂直な方向に延びるのに対し、排出ホール3460は、タービンブレード3400の回転方向と平行に延びて形成される。また、冷却ホール3480は、タービンブレード3400の高さ方向に垂直な仮想の平面と平行に延びたのに対し、排出ホール3460は、タービンブレード3400の高さ方向に垂直な仮想の平面に対して傾斜して延びて形成される。
【0098】
排出ホール3460は、チッププレート3430とタービンブレード3400の側壁との接するコーナー部から圧力面S2に延びて形成される。また、排出ホール3460は、外側へいくほど内径が漸進的に減少する圧縮通路3461と、圧縮通路3461から圧力面S2に延び、均一な内径を有する案内通路3462とを含むことができる。圧縮通路3461が形成されると、冷却ホール3460に沿って移動する冷却空気がより容易に排出ホール3460に流入し、排出ホール3460に沿って移動する過程で冷却空気が圧縮されてより強く排出されることが可能である。
【0099】
排出ホール3460は、冷却ホール3480よりも外側に配置され、排出ホール3460は、冷却ホール3480よりも大きい直径を有する。排出ホール3460の最小直径D2は、冷却ホール3480の最大直径D3の2倍~5倍となる。
【0100】
また、排出ホール3460を通して噴射される空気は、冷却ホール3480を通して噴射される空気よりも大きい速度を有し、排出ホール3460での噴射比率は、冷却ホール3480での噴射比率よりも大きくなる。
【0101】
これによって、排出ホール3460を通して多量の空気が排出されて、タービン3300のトルクおよび出力が向上できる。
【0102】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想を逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加などによって本発明を多様に修正および変更可能であり、これも本発明の権利範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1000:ガスタービン
1100:圧縮機
1130:圧縮機ブレード
1140:ベーン
1150:ハウジング
1170:トルクチューブ
1200:燃焼器
1300:タービン
1310:ロータディスク
1400、2400、3400:タービンブレード
1410、2410、3410:エアホイル
1420:プラットフォーム部
1425:ルート部
1430、2430、3430:チッププレート
1460、2460、3460:排出ホール
2470:流動延長部
2480:流動ガイド部
3480:冷却ホール