(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/09 20120101AFI20240604BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B60W30/09
G08G1/16 D
(21)【出願番号】P 2019079964
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2021-10-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100059959
【氏名又は名称】中村 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】大村 博志
【合議体】
【審判長】河端 賢
【審判官】青木 良憲
【審判官】倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102017207463(DE,A1)
【文献】国際公開第2017/170766(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/09
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行を支援する車両制御装置であって、
自車両に接近する対向車両を検出するよう構成された対向車両検出センサと、
前記自車両が対向車線を横断するときに、前記自車両と前記対向車両検出センサにより検出された前記対向車両との衝突を回避するように、前記自車両を自動で制動させる制御を行うよう構成されたコントローラと、を有し、
前記コントローラは、前記対向車両の進行に伴って移動し、且つ前記対向車両の進行方向に延びる仮想壁を前記自車両の側方で前記自車両と前記対向車両との間に設定して、前記自車両と前記対向車両との衝突を回避すべく、前記自車両が前記仮想壁に接触しないように前記自車両を自動で制動させるよう構成され、
前記コントローラは、前記対向車両の進行方向を基準として、対向車両側に設定される前記仮想壁の後端と、自車両側に設定される前記仮想壁の前端とを規定し、前記自車両側にある前記仮想壁の前端を、前記対向車両の前端から、前記自車両と前記対向車両との相対速度に応じた距離だけ離れた位置に設定するよう構成され、
前記コントローラは、前記自車両が前記対向車線を通過し終えるのに要する時間を算出し、前記仮想壁の前端を、前記対向車両の前端から、算出された前記時間を前記相対速度に対して乗算した距離だけ離れた位置に設定するよう構成され、
前記コントローラは、前記対向車両側にある前記仮想壁の後端を、前記対向車両の後端から前記対向車両の進行方向前方へ、前記対向車両の速度に応じた距離だけ離れた位置に設定し、前記対向車両の速度が大きくなるほど前記距離を大きくするよう構成されている、
ことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記自車両及び前記対向車両が走行する道路の中央線に沿って前記仮想壁を設定するよう構成されている、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記自車両が当該自車両及び前記対向車両が走行する道路の中央線に達するまでの時間を算出し、前記仮想壁の後端を、前記対向車両の後端から前記対向車両の進行方向前方へ、算出された前記時間を前記対向車両の速度に対して乗算した距離だけ離れた位置に設定するよう構成されている、請求項
1に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行を支援する車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自車両と、自車両周辺の所定の対象物(対向車両や先行車両や歩行者や障害物など)との衝突を回避するように、自車両を自動で制動させるための自動ブレーキに関する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、自車両の走行軌跡と対向車両の走行軌跡との交差位置を求め、自車両がこの交差位置に到達するまでの時間に応じて自動ブレーキを制御する技術が開示されている。また、例えば特許文献2には、複数の車両の一時停止位置に基づき地図データ上に仮想停止線を設定し、この仮想停止線において車両を一時停止させるように自動ブレーキを制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-95097号公報
【文献】特開2018-197964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、自車両が対向車線を横断するときに、自車両と対向車両との衝突を回避すべく、基本的には、自車両が対向車両に直接的に衝突する可能性(典型的には自車両が対向車両に衝突する衝突余裕時間(TTC:Time to Collision))に基づき、自動ブレーキを制御していた。しかしながら、従来の技術においては、対向車線の横断時に、対向車両に応じた仮想的な対象物を設定して、対向車両ではなく、この仮想的な対象物に基づき自動ブレーキを制御するものは存在しなかった。すなわち、自車両が仮想的な対象物に接触しないように自動ブレーキを制御することで、結果的に、自車両と対向車両との衝突を回避する技術は存在しなかった。このように対向車両に応じた仮想的な対象物に基づき自動ブレーキを制御すると、自車両が対向車線を横断するときに、自車両と対向車両との衝突を効果的に回避できると考えられる。
【0005】
なお、特許文献2に記載された技術は仮想的な停止線(仮想停止線)を設定しているが、この技術は、自車両を一時停止させるべき具体的な停止位置を地図データ上に規定することを目的としており、自車両が対向車線を横断するときに対向車両との衝突を回避させるためのものではない。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、自車両が対向車線を横断するときに、対向車両に応じた仮想壁に基づき自車両を自動で制動させることで、自車両と対向車両との衝突を効果的に回避することができる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、車両の走行を支援する車両制御装置であって、自車両に接近する対向車両を検出するよう構成された対向車両検出センサと、自車両が対向車線を横断するときに、自車両と対向車両検出センサにより検出された対向車両との衝突を回避するように、自車両を自動で制動させる制御を行うよう構成されたコントローラと、を有し、コントローラは、対向車両の進行に伴って移動し、且つ対向車両の進行方向に延びる仮想壁を自車両の側方で自車両と対向車両との間に設定して、自車両と対向車両との衝突を回避すべく、自車両が仮想壁に接触しないように自車両を自動で制動させるよう構成され、コントローラは、対向車両の進行方向を基準として、対向車両側に設定される仮想壁の後端と、自車両側に設定される仮想壁の前端とを規定し、自車両側にある仮想壁の前端を、対向車両の前端から、自車両と対向車両との相対速度に応じた距離だけ離れた位置に設定するよう構成され、コントローラは、自車両が対向車線を通過し終えるのに要する時間を算出し、仮想壁の前端を、対向車両の前端から、算出された時間を相対速度に対して乗算した距離だけ離れた位置に設定するよう構成され、コントローラは、対向車両側にある仮想壁の後端を、対向車両の後端から対向車両の進行方向前方へ、対向車両の速度に応じた距離だけ離れた位置に設定し、対向車両の速度が大きくなるほど距離を大きくするよう構成されている、ことを特徴とする。
【0008】
このように構成された本発明では、コントローラは、自車両が対向車線を横断するときに、自車両と対向車両との衝突を回避するために規定された、自動ブレーキ制御の適用対象となる仮想的な対象物としての仮想壁を設定する。具体的には、コントローラは、対向車両の進行に伴って移動し且つ対向車両の進行方向に延びる仮想壁を自車両と対向車両との間に設定する。この仮想壁は、自車両の前方を遮るように設定されるものではなく、自車両の側方に設定され、また、自車両の走行車線及び対向車線に沿って延びている。このような仮想壁を用いることで、自車両を対向車両から比較的離れた位置において適切に停止させることができる。よって、自車両と対向車両との衝突を効果的に回避することが可能となる。また、本発明によれば、自車両が対向車線を通過し終えるまでの間に、自車両が対向車両に接触することを適切に抑制できる。特に、自車両の後端と対向車両の前端との接触を適切に抑制できる。また、本発明によれば、自車両が対向車線を通過し始めるときに、自車両が対向車両に接触することを適切に抑制できる。特に、自車両の前端と対向車両の後端との接触を適切に抑制できる。
【0009】
本発明において、好ましくは、コントローラは、自車両及び対向車両が走行する道路の中央線に沿って仮想壁を設定するよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、自車両が中央線を跨いで対向車線にはみ出すこと、つまり自車両の一部が対向車線を塞ぐことを抑制できる。よって、自車両と対向車両との衝突をより効果的に回避することが可能となる。
【0013】
本発明において、好ましくは、コントローラは、自車両が当該自車両及び対向車両が走行する道路の中央線に達するまでの時間を算出し、仮想壁の後端を、対向車両の後端から対向車両の進行方向前方へ、算出された時間を対向車両の速度に対して乗算した距離だけ離れた位置に設定するよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、自車両が対向車線を通過し始めるときに対向車両に接触することを確実に抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車両制御装置によれば、自車両が対向車線を横断するときに、対向車両に応じた仮想壁に基づき自車両を自動で制動させることで、自車両と対向車両との衝突を効果的に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態による車両制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による自動ブレーキ制御についての説明図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による自動ブレーキ制御を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第2実施形態による自動ブレーキ制御についての説明図である。
【
図5】本発明の第2実施形態による自動ブレーキ制御を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第3実施形態による自動ブレーキ制御についての説明図である。
【
図7】本発明の第3実施形態による自動ブレーキ制御を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第4実施形態による自動ブレーキ制御についての説明図である。
【
図9】本発明の第4実施形態による自動ブレーキ制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両制御装置について説明する。
【0017】
<車両制御装置の構成>
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態による車両制御装置の構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態による車両制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、車両制御装置100は、主に、ECU(Electronic Control Unit)などのコントローラ10と、複数のセンサ及びスイッチと、複数の制御装置と、を有する。この車両制御装置100は、車両に搭載され、当該車両の走行を支援するように種々の制御を行う。
【0019】
複数のセンサ及びスイッチには、カメラ21、レーダ22、車両の挙動を検出する複数の挙動センサ(車速センサ23、加速度センサ24、ヨーレートセンサ25)及び複数の挙動スイッチ(操舵角センサ26、アクセルセンサ27、ブレーキセンサ28)、測位装置29、ナビゲーション装置30、通信装置31、操作装置32が含まれる。また、複数の制御装置には、エンジン制御装置51、ブレーキ制御装置52、ステアリング制御装置53、警報制御装置54が含まれる。
【0020】
コントローラ10は、プロセッサ11、プロセッサ11が実行する各種プログラムを記憶するメモリ12、入出力装置等を備えたコンピュータ装置により構成される。コントローラ10は、上述した複数のセンサ及びスイッチから受け取った信号に基づき、エンジン制御装置51、ブレーキ制御装置52、ステアリング制御装置53、警報制御装置54に対して、それぞれエンジン装置、ブレーキ装置、ステアリング装置、警報装置を適宜に作動させるための制御信号を出力可能に構成されている。特に、本実施形態では、コントローラ10は、当該コントローラ10が搭載された自車両と、この自車両周辺の所定の対象物(例えば、対向車両や先行車両や歩行者や障害物など)との衝突を回避するように、ブレーキ制御装置52を介してブレーキ装置を制御することで、自車両を自動で制動させる、つまり自動ブレーキを作動させるよう構成されている。
【0021】
カメラ21は、車両の周囲(典型的には車両の前方)を撮影し、画像データを出力する。コントローラ10は、カメラ21から受信した画像データに基づいて、種々の対象物を特定する。例えば、コントローラ10は、先行車両、駐車車両、歩行者、走行路、区画線(中央線、車線境界線、白線、黄線)、交通信号、交通標識、停止線、交差点、障害物などを特定する。
【0022】
レーダ22は、車両の周囲(典型的には車両の前方)に存在する種々の対象物の位置及び速度を測定する。例えば、レーダ22は、先行車両、対向車両、駐車車両、歩行者、走行路上の落下物などの位置及び速度を測定する。レーダ22として、例えばミリ波レーダを用いることができる。このレーダ22は、車両の進行方向に電波を送信し、対象物により送信波が反射されて生じた反射波を受信する。そして、レーダ22は、送信波と受信波に基づいて、車両と対象物との間の距離(例えば車間距離)や、車両に対する対象物の相対速度を測定する。
なお、レーダ22としてミリ波レーダの代わりにレーザレーダを用いてもよいし、また、レーダ22の代わりに超音波センサなどを用いてもよい。更に、複数のセンサ類を組み合わせて用いて、対象物の位置及び速度を測定してもよい。
【0023】
車速センサ23は、車両の速度(車速)を検出し、加速度センサ24は、車両の加速度を検出し、ヨーレートセンサ25は、車両に発生するヨーレートを検出し、操舵角センサ26は、車両のステアリングホイールの回転角度(操舵角)を検出し、アクセルセンサ27は、アクセルペダルの踏み込み量を検出し、ブレーキセンサ28は、ブレーキペダルの踏み込み量を検出する。コントローラ10は、車速センサ23により検出された車両1の速度とレーダ22により検出された対象物の相対速度とに基づいて、対象物の速度を算出することができる。
【0024】
測位装置29は、GPS受信機及び/又はジャイロセンサを含み、車両の位置(現在車両位置情報)を検出する。ナビゲーション装置30は、内部に地図情報を格納しており、コントローラ10に地図情報を提供することができる。コントローラ10は、地図情報及び現在車両位置情報に基づいて、車両の周囲(特に進行方向)に存在する道路、交差点、交通信号、建造物などを特定する。地図情報は、コントローラ10内に格納されていてもよい。
【0025】
通信装置31は、自車両周辺の他車両と車車間通信を行うと共に、自車両周辺に設置された路側通信装置と路車間通信を行う。通信装置31は、このような車車間通信及び路車間通信により、他車両からの通信データ、及び交通インフラからの交通データ(交通渋滞情報、制限速度情報など)を取得し、これらのデータをコントローラ10に出力する。
【0026】
操作装置32は、車室内に設けられており、車両に関する種々の設定を行うためにドライバにより操作される入力装置である。操作装置32は、例えば、インストルメントパネル、ダッシュパネル、センターコンソールに設けられたスイッチ、ボタンや、表示装置に設けられたタッチパネルなどであり、ドライバの操作に対応する操作信号をコントローラ10に出力する。本実施形態では、操作装置32は、車両の走行を支援する制御のオン/オフの切り替えや、車両の走行を支援する制御内容の調整を行えるように構成されている。例えば、ドライバが操作装置32を操作することで、自車両と対象物との衝突を回避するための自動ブレーキのオン/オフの切り替えや、自動ブレーキ時に適用する仮想壁に関する種々の設定や、自車両と対象物との衝突を回避するための警報タイミングの設定や、自車両と対象物との衝突を回避するためにステアリングホイールを振動させる制御のオン/オフの切り替えなどを行えるようになっている。
【0027】
なお、カメラ21、レーダ22及び通信装置31の少なくとも1つは、自車両に接近する対向車両を検出するための本発明における「対向車両検出センサ」の一例に相当する。
【0028】
エンジン制御装置51は、車両のエンジンを制御する。エンジン制御装置51は、エンジン出力(駆動力)を調整可能な構成部であり、例えば、点火プラグや、燃料噴射弁や、スロットルバルブや、吸排気弁の開閉時期を変化させる可変動弁機構などを含む。コントローラ10は、車両を加速又は減速させる必要がある場合に、エンジン制御装置51に対して、エンジン出力を変更するために制御信号を送信する。
【0029】
ブレーキ制御装置52は、車両のブレーキ装置を制御する。ブレーキ制御装置52は、ブレーキ装置による制動力を調整可能な構成部であり、例えば液圧ポンプやバルブユニットなどのブレーキアクチュエータを含む。コントローラ10は、車両を減速させる必要がある場合に、ブレーキ制御装置52に対して、制動力を発生させるために制御信号を送信する。
【0030】
ステアリング制御装置53は、車両のステアリング装置を制御する。ステアリング制御装置53は、車両の操舵角を調整可能な構成部であり、例えば電動パワーステアリングシステムの電動モータなどを含む。コントローラ10は、車両の進行方向を変更する必要がある場合に、ステアリング制御装置53に対して、操舵方向を変更するために制御信号を送信する。
【0031】
警報制御装置54は、ドライバに対して所定の警報を発することが可能な警報装置を制御する。この警報装置は、車両に設けられた表示装置やスピーカなどである。例えば、コントローラ10は、自車両が対象物に衝突する可能性が高くなると、警報装置から警報が発せられるように、警報制御装置54に対して制御信号を送信する。この例では、コントローラ10は、対象物との衝突可能性が高いことを報知するための画像を表示装置に表示させたり、対象物との衝突可能性が高いことを報知するための音声をスピーカから出力させたりする。
【0032】
<自動ブレーキ制御>
次に、本発明の実施形態による自動ブレーキ制御について説明する。本実施形態では、コントローラ10は、自車両が対向車線(自車両が走行する自車線に沿って延び、自車線と対向する車線を意味する)を横断するときに、自車両が対向車線を走行する対向車両と衝突するのを回避するように、自動ブレーキを作動させる制御を行う。以下では、自動ブレーキ制御に関する種々の実施形態について説明する。
【0033】
(第1実施形態)
まず、
図2を参照して、本発明の第1実施形態による自動ブレーキ制御について説明する。
図2は、自車両1が交差点において右折して対向車線を横断しようとしている状況を示している。
【0034】
図2に示すような状況においては、自車両1が対向車両2と衝突する可能性があるため、コントローラ10は、自車両1と対向車両2との衝突を回避するように自動ブレーキの作動を制御する。特に、本実施形態においては、コントローラ10は、対向車両2の進行に伴って移動し、換言すると対向車両2と一緒に自車両1に向かって進行し、且つ対向車両2の進行方向に延びる仮想壁W1を、自車両1と対向車両2との間に設定して、自車両1がこの仮想壁W1に接触しないように自動ブレーキを制御する。すなわち、本実施形態では、コントローラ10は、自車両1が仮想壁W1に接触しないように自動ブレーキを制御することで、結果的に、自車両1が対向車両2に衝突することを防ぐようにする。これにより、自車両1と対向車両2との衝突回避を効果的に実現できるようになる。
【0035】
なお、本実施形態において、仮想壁は、自車両1と対向車両2との衝突を回避するために規定された、自動ブレーキ制御の適用対象となる仮想的な対象物である。また、仮想壁は、自車両側の前端W1aと対向車両側の後端W1bとによって規定される長さ(つまり前端W1aから後端W1bまでの長さ)を少なくとも有する。また、仮想壁は、このような長さと共に、ある程度の幅(一定の幅でもよいし、状況に応じて変えることができる幅でもよい)を規定してもよい。ただし、基本的には、仮想壁には高さが規定されない。
【0036】
また、本実施形態においては、コントローラ10は、自車両1及び対向車両2が走行する道路の中央線に沿って仮想壁W1を設定する。具体的には、コントローラ10は、中央線に平行に延び且つ中央線上に位置するように、仮想壁W1を設定する。こうすることで、自車両1が中央線を跨いで対向車線にはみ出すこと、つまり自車両1の一部が対向車線を塞ぐことを抑制するようにする。
【0037】
ここで、一般的に交差点の中には中央線が引かれていないことが多いので、コントローラ10は、そのように中央線が引かれていない交差点において自車両1が対向車線を横断する場合には、仮想中央線L3を作成して仮想壁W1を設定する。具体的には、コントローラ10は、自車両1及び対向車両2が走行する道路において交差点を挟んで自車両側にある道路上の中央線L1と、自車両1及び対向車両2が走行する道路において交差点を挟んで対向車両側にある道路上の中央線L2とを結ぶことで、仮想中央線L3を作成する。より詳しくは、コントローラ10は、中央線L1の端点と中央線L2の端点とを直線により接続することで、仮想中央線L3を作成する。こうすることで、中央線が引かれていない交差点において自車両1が対向車線を横断する場合に、上述した仮想壁W1を設定するために用いる中央線を適切に規定できるようになる。
【0038】
1つの例では、コントローラ10は、中央線L1、L2がある程度の幅を有するので、上記のように仮想中央線L3を作成するときに用いる中央線L1、L2の端点として、中央線L1、L2における自車線側の側端にある点を適用する。また、コントローラ10は、仮想壁W1における自車線側の側端が仮想中央線L3(仮想中央線L3について幅を規定した場合には当該仮想中央線L3における自車線側の側端)に重なるように、仮想壁W1を位置決めする。
【0039】
なお、中央線が引かれていない交差点において自車両1が対向車線を横断する場合であっても、対向車両2が自車両1から大きく離れている場合、つまり対向車両2が交差点から大きく離れている場合には、対向車両側の中央線L2を用いて仮想壁W1を設定すればよい。また、対向車両2が自車両1にかなり近付いた場合(例えば対向車両2が交差点を通過している場合)には、自車両側の中央線L1を用いて仮想壁W1を設定すればよい。
【0040】
また、本実施形態においては、コントローラ10は、自車両側にある仮想壁W1の前端W1aを、対向車両2の前端2aから、自車両1と対向車両2との相対速度に応じた距離X1だけ離れた位置に設定する。具体的には、まず、コントローラ10は、自車両1が対向車線を通過し終えるのに要する時間(以下では「t2」と表記する)を求める。より詳しくは、コントローラ10は、自車両1が対向車線を横断するときの走行軌跡と、中央線と反対側にある対向車線の側端(破線L4で示す)とが交わる点P2を特定し、自車両1の後端が点P2に到達するまでの時間(到達時間)を、自車両1が対向車線を通過し終えるのに要する時間t2として求める。
【0041】
そして、コントローラ10は、仮想壁W1の前端W1aを、対向車両2の前端2aから、求められた到達時間t2を自車両1と対向車両2との相対速度に対して乗算した距離X1だけ離れた位置に設定する。自車両1の速度(絶対値)を「V1」と表記し、対向車両2の速度(絶対値)を「V2」と表記すると、距離X1は「X1=(V1+V2)×t2」により表される。このように仮想壁W1の前端W1aを規定することで、自車両1が対向車線を通過し終えるまでの間に、自車両1が対向車両2に接触することを適切に抑制できるようになる。特に、自車両1の後端と対向車両2の前端2aとの接触を適切に抑制できる。
【0042】
また、本実施形態においては、コントローラ10は、対向車両側にある仮想壁W1の後端W1bを、対向車両2の後端2bから、対向車両2の速度V2に応じた距離X2だけ離れた位置に設定する。具体的には、まず、コントローラ10は、自車両1が仮想中央線L3に達するまでの時間(以下では「t1」と表記する)を求める。より詳しくは、コントローラ10は、自車両1が対向車線を横断するときの走行軌跡と仮想中央線L3とが交わる点P1を特定し、自車両1の前端が点P1に到達するまでの時間(到達時間)を、自車両1が仮想中央線L3に達するまでの時間t1として求める。
【0043】
そして、コントローラ10は、仮想壁W1の後端W1bを、対向車両2の後端2bから、求められた到達時間t1を対向車両2の速度V2(絶対値)に対して乗算した距離X2だけ離れた位置に設定する。この距離X2は、「X2=V2×t1」により表される。このように仮想壁W1の後端W1bを規定することで、自車両1が対向車線を通過し始めるときに、自車両1が対向車両2に接触することを適切に抑制できるようになる。特に、自車両1の前端と対向車両2の後端2bとの接触を適切に抑制できる。なお、対向車両2の速度V2が0の場合、つまり対向車両2が停止している場合には、距離X2は0になる。この場合には、コントローラ10は、仮想壁W1の後端W1bを対向車両2の後端2bの位置に設定する。
【0044】
次に、
図3は、本発明の第1実施形態による自動ブレーキ制御を示すフローチャートである。このフローチャートに係る処理は、コントローラ10によって所定の周期(例えば100ms毎)で繰り返し実行される。
【0045】
まず、ステップS101において、コントローラ10は、上述した複数のセンサ及びスイッチから各種情報を取得する。具体的には、コントローラ10は、カメラ21、レーダ22、車速センサ23、加速度センサ24、ヨーレートセンサ25、操舵角センサ26、アクセルセンサ27、ブレーキセンサ28、測位装置29、ナビゲーション装置30、通信装置31、操作装置32から入力された信号を取得する。
【0046】
次いで、ステップS102において、コントローラ10は、自車両1が対向車線を横断しようとしているか否かを判定する。特に、コントローラ10は、自車両1が交差点において右折して対向車線を横断しようとしているか否かを判定する。例えば、コントローラ10は、ドライバにより右折のためのウィンカー操作が行われた場合や、自車両1の速度が所定速度未満に低下した状況においてステアリングホイールが時計回りの方向に操作された場合や、ナビゲーション装置30により設定された案内ルートが次の交差点で右折するルートを含む場合に、自車両1が交差点において右折して対向車線を横断しようとしていると判定する。この場合(ステップS102:Yes)、コントローラ10は、ステップS103に進む。これに対して、自車両1が交差点において右折して対向車線を横断しようとしていると判定されなかった場合(ステップS102:No)、コントローラ10は、本フローチャートに示す一連のルーチンを抜ける。
【0047】
次いで、ステップS103において、コントローラ10は、自車両1に接近する対向車両2が存在するか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、カメラ21から入力された信号(画像データに対応する)や、レーダ22から入力された信号や、通信装置31から入力された信号(車車間通信に対応する信号)などに基づき、自車両1に接近する対向車両2を検出するための処理を行う。その結果、自車両1に接近する対向車両2が検出された場合、コントローラ10は、対向車両2が存在すると判定し(ステップS103:Yes)、ステップS104に進む。これに対して、自車両1に接近する対向車両2が検出されなかった場合、コントローラ10は、対向車両2が存在しないと判定し(ステップS103:No)、本フローチャートに示す一連のルーチンを抜ける。
【0048】
次いで、ステップS104において、コントローラ10は、対向車両2が直進するか否か、つまり対向車両2が交差点を右左折せずに直進するか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、まず、カメラ21やレーダ22から入力された信号に基づき、対向車両2の進行方向と中央線(対向車両側の道路の中央線L2、又は、従前の処理により適用可能な仮想中央線L3が求められている場合には当該仮想中央線L3)とが成す角度を求める。そして、コントローラ10は、求められた角度が所定角度(0度に近い比較的小さな角度)未満であるか否かを判定する。コントローラ10は、対向車両2の進行方向と中央線とが成す角度が所定角度未満である場合には、対向車両2が直進すると判定し(ステップS104:Yes)、ステップS105に進む。これに対して、コントローラ10は、対向車両2の進行方向と中央線とが成す角度が所定角度以上である場合には、対向車両2が直進しないと判定し(ステップS104:No)、つまり対向車両2が交差点を右折又は左折すると判定し、本フローチャートに示す一連のルーチンを抜ける。このように対向車両2が交差点を右折又は左折する状況は、本実施形態による仮想壁W1に基づく自動ブレーキ制御を行うべき状況に該当しない。そのため、コントローラ10は、自動ブレーキの無駄な作動を抑制すべく、本実施形態による自動ブレーキ制御を実施しない。なお、ステップS104の処理において、コントローラ10は、センサデータ(例えば、カメラ21により取得した画像データ)に基づいて、対向車両2が方向指示器を点滅させていないと判定した場合に、対向車両2が直進すると判定してもよい。
【0049】
次いで、ステップS105において、コントローラ10は、交差点内において仮想中央線L3を作成する。具体的には、コントローラ10は、まず、カメラ21から入力された信号に基づき、つまりカメラ21により撮影された自車両前方の画像に基づき、自車両1及び対向車両2が走行する道路において交差点を挟んで自車両側にある道路上の中央線L1、及び、自車両1及び対向車両2が走行する道路において交差点を挟んで対向車両側にある道路上の中央線L2を特定する。特に、コントローラ10は、中央線L1の端点(中央線L1において交差点により寸断された点)、及び、中央線L2の端点(中央線L2において交差点により寸断された点)を特定する。そして、コントローラ10は、これら中央線L1の端点と中央線L2の端点とを接続した線分を、仮想中央線L3として用いる。
【0050】
次いで、ステップS106において、コントローラ10は、自車両1が仮想中央線L3上の点P1に到達するまでの時間t1を求める。具体的には、コントローラ10は、まず、自車両1の速度V1やステアリングホイールの操舵角度や交差点の地図データ(特に道路形状)などに基づき、自車両1が対向車線を横断するときの走行軌跡を求め、この走行軌跡と仮想中央線L3とが交わる点P1を特定する。そして、コントローラ10は、自車両1の速度V1などに基づき、現在の自車両1の前端が点P1に到達するまでの時間(到達時間)t1を求める。
【0051】
次いで、ステップS107において、コントローラ10は、自車両1が点P2に到達するまでの時間t2、つまり自車両1が対向車線を通過し終えるのに要する時間t2を求める。具体的には、コントローラ10は、まず、上述したように求められた自車両1が対向車線を横断するときの走行軌跡と、中央線と反対側にある対向車線の側端L4とが交わる点P2を特定する。そして、コントローラ10は、自車両1の速度V1などに基づき、現在の自車両1の後端が点P2に到達するまでの時間(到達時間)t2を求める。
【0052】
次いで、ステップS108において、コントローラ10は、自車両1及び対向車両2の速度V1、V2、上述したように求めた到達時間t1、t2、及び、仮想中央線L3に基づき、仮想壁W1を設定する。具体的には、コントローラ10は、まず、仮想壁W1の前端W1aを、対向車両2の前端2aから、自車両1と対向車両2との相対速度に対して到達時間t2を乗算した距離X1(X1=(V1+V2)×t2)だけ離れた位置に設定する。また、コントローラ10は、仮想壁W1の後端W1bを、対向車両2の後端2bから、対向車両2の速度V2に対して到達時間t1を乗算した距離X2(X2=V2×t1)だけ離れた位置に設定する。そして、コントローラ10は、このような前端W1a及び後端W1bを有する仮想壁W1を、仮想中央線L3に平行に延び且つ仮想中央線L3上に位置するように配置する。
【0053】
次いで、ステップS109において、コントローラ10は、点P1が仮想壁W1上に存在するか否かを判定する。換言すると、コントローラ10は、対向車両2の進行により仮想壁W1(特に仮想壁W1の前端W1a)が点P1まで達したか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、上述したように求めた点P1の位置と仮想壁W1の前端W1aの位置に基づき、ステップS109の判定を行う。その結果、点P1が仮想壁W1上に存在すると判定された場合(ステップS109:Yes)、コントローラ10は、ステップS110に進む。これに対して、点P1が仮想壁W1上に存在すると判定されなかった場合(ステップS109:No)、コントローラ10は、本フローチャートに示す一連のルーチンを抜ける。このように点P1が仮想壁W1上に存在しない場合には、対向車両2が自車両1から十分に離れているので、つまり自車両1が対向車線を横断しても対向車両2と衝突することはないので、コントローラ10は、本実施形態による仮想壁W1に基づく自動ブレーキの制御を行わない。
【0054】
次いで、ステップS110において、コントローラ10は、自車両1が仮想壁W1に衝突する衝突余裕時間/衝突予測時間(TTC:Time to Collision)を求める。具体的には、コントローラ10は、まず、車速センサ23やカメラ21やレーダ22などから入力された信号に基づき、自車両1の速度V1、仮想壁W1の速度(対向車両2の速度V2に一致する)、及び自車両1と仮想壁W1との距離を求める。そして、コントローラ10は、自車両1と仮想壁W1との距離を、自車両1と仮想壁W1との相対速度(つまり自車両1と対向車両2との相対速度(V1+V2))によって除算することにより、TTCを求める。なお、自車両1が仮想中央線L3上の点P1に到達したときに自車両1が仮想壁W1に衝突することになるので、コントローラ10は、上記のようにTTCを求めずに、ステップS106で求められた時間t1をそのままTTCとして用いてもよい。
【0055】
次いで、ステップS111において、コントローラ10は、上述したように求められたTTCが所定時間未満であるか否かを判定する。この所定時間は、自車両1が仮想壁W1の手前で停車するように自動ブレーキの作動を開始すべきタイミングを規定するTTCの閾値であり、所定の演算式やシミュレーションや実験などにより設定される(固定値でもよいし可変値でもよい)。
【0056】
ステップS111の結果、TTCが所定時間未満であると判定された場合(ステップS111:Yes)、コントローラ10は、ステップS112に進む。ステップS112において、コントローラ10は、自動ブレーキを作動させるように、つまり自車両1を自動で制動させるように、ブレーキ制御装置52を介してブレーキ装置を制御する。これにより、自車両1に制動力を付与して減速させることで、自車両1を仮想壁W1の手間で停車させるようにする。
【0057】
なお、コントローラ10は、このように自動ブレーキを作動させるときに、警報装置から警報が発せられるように警報制御装置54を制御してもよい。つまり、コントローラ10は、自動ブレーキの作動と共に、対向車両2との衝突可能性が高いことを報知するための画像及び/又は音声を表示装置及び/又はスピーカにより出力させてもよい。例えば、自動ブレーキを作動させる前に、警報装置から警報を発するのがよい。
【0058】
一方で、ステップS111の結果、TTCが所定時間未満であると判定されなかった場合(ステップS111:No)、つまりTTCが所定時間以上である場合、コントローラ10は、本フローチャートに示す一連のルーチンを抜ける。この場合には、コントローラ10は、自動ブレーキを作動させない。
【0059】
次に、本発明の第1実施形態による作用及び効果について説明する。第1実施形態では、コントローラ10は、対向車両2の進行に伴って移動し且つ対向車両2の進行方向に延びる仮想壁W1を自車両1と対向車両2との間に設定して、自車両1がこの仮想壁W1に接触しないように自動ブレーキを制御するので、自車両1を対向車両2から比較的離れた位置において適切に停止させることができる。よって、自車両1と対向車両2との衝突を効果的に回避することが可能となる。
【0060】
また、第1実施形態では、コントローラ10は、自車両1及び対向車両2が走行する道路の中央線に沿って仮想壁W1を設定するので、自車両1が中央線を跨いで対向車線にはみ出すこと、つまり自車両1の一部が対向車線を塞ぐことを抑制できる。よって、自車両1と対向車両2との衝突をより効果的に回避することが可能となる。
【0061】
また、第1実施形態では、コントローラ10は、仮想壁W1の前端W1aを、対向車両2の前端2aから、自車両1と対向車両2との相対速度(V1+V2)に応じた距離X1だけ離れた位置に設定するので、自車両1が対向車線を通過し終えるまでの間に、自車両1が対向車両2に接触することを適切に抑制できる。特に、自車両1の後端と対向車両2の前端2aとの接触を適切に抑制できる。より詳しくは、コントローラ10は、仮想壁W1の前端W1aを、対向車両2の前端2aから、自車両1が対向車線を通過し終えるのに要する時間t2を相対速度(V1+V2)に対して乗算した距離X1だけ離れた位置に設定するので、自車両1が対向車線を通過し終えるまでの間に対向車両2に接触することを確実に抑制できる。
【0062】
また、第1実施形態では、コントローラ10は、仮想壁W1の後端W1bを、対向車両2の後端2bから、対向車両2の速度に応じた距離X2だけ離れた位置に設定するので、自車両1が対向車線を通過し始めるときに、自車両1が対向車両2に接触することを適切に抑制できる。特に、自車両1の前端と対向車両2の後端2bとの接触を適切に抑制できる。より詳しくは、コントローラ10は、仮想壁W1の後端W1bを、対向車両2の後端2bから、自車両1が中央線に達するまでの時間t1を対向車両2の速度V2に対して乗算した距離X2だけ離れた位置に設定するので、自車両1が対向車線を通過し始めるときに対向車両2の後端2bに接触することを確実に抑制できる。
【0063】
なお、上述した第1実施形態では、自車両1が交差点において右折する状況において、仮想壁W1を設定して自動ブレーキ制御を行う例を示したが、この自動ブレーキ制御は、交差点以外の場所においても適用可能である。すなわち、本実施形態による自動ブレーキ制御は、自車両1が交差点以外の場所において曲がって対向車線を横断する状況に対しても適用可能である。例えば、本実施形態による自動ブレーキ制御は、自車両1が対向車線を挟んだ場所にある店の駐車場等に進入すべく対向車線を横断する状況に対しても適用可能である。
【0064】
また、このように本実施形態による自動ブレーキ制御を自車両1が交差点以外の場所において対向車線を横断する状況に適用する場合、交差点以外の場所では一般的に道路上に中央線が引かれているので、コントローラ10は、本実施形態による自動ブレーキ制御を実施するに当たって、上述したような仮想中央線L3を作成する必要はない。この場合には、コントローラ10は、カメラ21により撮影された自車両前方の画像に基づき、道路上に実際に引かれている中央線を特定し、この中央線に基づき仮想壁W1を設定すればよい。
【0065】
また、上述した本実施形態では、自動ブレーキ制御において、ブレーキ装置(ブレーキ制御装置52)により制動力を車両に付与していたが、他の例では、電気モータの回生により制動力を車両に付与してもよい。
【0066】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による自動ブレーキ制御について説明する。なお、以下では、第1実施形態と異なる制御、作用及び効果について主に説明し、第1実施形態と同様の制御、作用及び効果についてはその説明を適宜省略する。
【0067】
図4は、本発明の第2実施形態による自動ブレーキ制御についての説明図である。
図4も、自車両1が交差点において右折して対向車線を横断しようとしている状況を示している。
【0068】
図4に示すように、第2実施形態では、コントローラ10は、対向車両2の後端2bを基点として自車両1に向かって延びる仮想壁W2を、自車両1と対向車両2との間の仮想中央線L3上に設定する。すなわち、上述した第1実施形態では、コントローラ10は、仮想壁W1の後端W1bを対向車両2の後端2bから対向車両2の速度に応じた距離X2だけ離れた位置に設定していたが(
図2参照)、第2実施形態では、コントローラ10は、仮想壁W2の後端W2bを対向車両2の後端2bの位置に設定する。第1実施形態と第2実施形態とは、この点でのみ異なっており、それ以外の点は同一である。より具体的には、第1実施形態では、コントローラ10は、仮想壁W1の後端W1bを、対向車両2の後端2bから、自車両1が仮想中央線L3上の点P1に到達するまでの時間t1を対向車両2の速度V2に対して乗算した距離X2だけ離れた位置に設定していたが、第2実施形態では、コントローラ10は、このような到達時間t1や対向車両2の速度V2によらずに、仮想壁W2の後端W2bを対向車両2の後端2bの位置に一律に設定する。
【0069】
次に、
図5は、本発明の第2実施形態による自動ブレーキ制御を示すフローチャートである。このフローチャートに係る処理も、コントローラ10によって所定の周期(例えば100ms毎)で繰り返し実行される。
【0070】
第2実施形態による自動ブレーキ制御における
図5のステップS201~S205、ステップS206、S208~S211の処理は、それぞれ、第1実施形態による自動ブレーキ制御における
図3のステップS101~S105、S107、S109~S112の処理と同一である。一方で、第2実施形態では第1実施形態のステップS106の処理は行われず、また、第2実施形態のステップS207は第1実施形態のステップS108とは処理内容が異なる。
【0071】
具体的には、第2実施形態では、コントローラ10は、第1実施形態のように、仮想中央線L3上の点P1までの到達時間t1を求める処理(ステップS106)を行わない。なお、コントローラ10は、点P1の位置を求める処理については行うものとする(ステップS208において点P1の位置を用いるため)。そして、第2実施形態では、コントローラ10は、ステップS207において、このような点P1までの到達時間t1を用いずに、自車両1及び対向車両2の速度V1、V2、到達時間t2、及び、仮想中央線L3に基づき、仮想壁W2を設定する。具体的には、コントローラ10は、まず、仮想壁W2の前端W2aを、対向車両2の前端2aから、自車両1と対向車両2との相対速度に対して到達時間t2を乗算した距離X1(X1=(V1+V2)×t2)だけ離れた位置に設定する。また、コントローラ10は、仮想壁W2の後端W2bを対向車両2の後端2bの位置に設定する。そして、コントローラ10は、このような前端W2a及び後端W2bを有する仮想壁W2を、仮想中央線L3に平行に延び且つ仮想中央線L3上に位置するように配置する。
【0072】
以上説明した第2実施形態によれば、コントローラ10は、対向車両2の進行に伴って移動し且つ対向車両2の後端2bを基点として自車両1に向かって延びる仮想壁W2を自車両1と対向車両2との間に設定して、自車両1がこの仮想壁W2に接触しないように自動ブレーキを制御するので、自車両1と対向車両2との衝突をより効果的に回避することが可能となる。具体的には、第2実施形態によれば、自車両1が対向車線を通過し始めるときに対向車両2に接触すること、特に自車両1の前端と対向車両2の後端2bとの接触を効果的に抑制できる。
【0073】
上述した第1実施形態では、前後方向において仮想壁W1と対向車両2との間に隙間があるため、この隙間に対して自動ブレーキが作動しないので、自車両1が隙間を通り抜けて対向車線を横断する可能性(つまり自車両1が対向車両2にすれすれで対向車線を横断する可能性)がある。しかしながら、第2実施形態では、仮想壁W2の後端W2bを対向車両2の後端2bまで延ばすため、前後方向において仮想壁W2と対向車両2との間に隙間が生じないので、自車両1が隙間を通り抜けて対向車線を横断することを確実に抑制できる。
【0074】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による自動ブレーキ制御について説明する。なお、以下では、第1実施形態と異なる制御、作用及び効果について主に説明し、第1実施形態と同様の制御、作用及び効果についてはその説明を適宜省略する。
【0075】
図6は、本発明の第3実施形態による自動ブレーキ制御についての説明図である。
図6も、自車両1が交差点において右折して対向車線を横断しようとしている状況を示している。
【0076】
図6に示す例では、道路上に中央線が引かれていないので、コントローラ10は、上述した第1実施形態のように仮想中央線L3を作成することができない(
図2参照)。第3実施形態では、コントローラ10は、このように仮想中央線L3を作成することができない場合に、対向車両2の側面2cに沿って延びる仮想線L5を仮想中央線L3の代わりに用いる。すなわち、第1実施形態では、コントローラ10は、自車両側の中央線L1と対向車両側の中央線L2とを結ぶことで仮想中央線L3を作成し、この仮想中央線L3上に仮想壁W1を設定していたが、第3実施形態では、コントローラ10は、対向車両2における自車両側の側面2cに沿って延びる仮想線L5を作成し、この仮想線L5上に仮想壁W3を設定する。また、第3実施形態では、コントローラ10は、仮想中央線L3の代わりに仮想線L5を用いて、車両1が対向車線を横断するときの走行軌跡と仮想線L5とが交わる点P1を特定する。コントローラ10は、この点P1を用いて、自車両1が点P1に到達するまでの時間(到達時間)t1を求め、この到達時間t1に基づき仮想壁W3の後端W3bの位置を設定する。第1実施形態と第3実施形態とは、このような点で異なっており、それ以外の点は同一である。
【0077】
次に、
図7は、本発明の第3実施形態による自動ブレーキ制御を示すフローチャートである。このフローチャートに係る処理も、コントローラ10によって所定の周期(例えば100ms毎)で繰り返し実行される。
【0078】
第3実施形態による自動ブレーキ制御における
図7のステップS301~S304、ステップS306、S309~S314の処理は、それぞれ、第1実施形態による自動ブレーキ制御における
図3のステップS101~S104、S105、S107~S112の処理と同一である。一方で、第3実施形態は、ステップS305及びS307の処理を更に行う点で第1実施形態と異なる。また、第3実施形態のステップS308は、第1実施形態のステップS106とは処理内容が異なる。よって、ここでは、ステップS305、S307、S308のみを説明する。
【0079】
ステップS305において、コントローラ10は、仮想中央線L3を作成することができるか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、カメラ21により撮影された自車両前方の画像に基づき、自車両1及び対向車両2が走行する道路上の中央線(具体的には自車両側の中央線L1及び対向車両側の中央線L2)を検出するための処理を行う。その結果、自車両1及び対向車両2が走行する道路上の中央線を検出できた場合には、コントローラ10は、仮想中央線L3を作成することができると判定して(ステップS305:Yes)、ステップS306に進む。この場合には、コントローラ10は、上述した第1実施形態のステップS105と同様にして、仮想中央線L3を作成する(ステップS306)。
【0080】
一方で、自車両1及び対向車両2が走行する道路上の中央線を検出できなかった場合には、コントローラ10は、仮想中央線L3を作成することができないと判定して(ステップS305:No)、ステップS307に進む。中央線を検出できない状況としては、中央線が道路に引かれていない場合や、道路上の中央線が不鮮明な場合や、カメラ21により撮影された中央線が不鮮明な場合などが挙げられる。
【0081】
次いで、ステップS307において、コントローラ10は、対向車両2の側面2cに沿って延びる仮想線L5を作成する。具体的には、コントローラ10は、まず、カメラ21により撮影された自車両前方の画像に基づき、対向車両2における自車両側の側面2c、特に対向車両2の側面2cにおける前後方向に沿った線分を特定する。そして、コントローラ10は、この特定された対向車両2の側面2cに沿った線分に平行に延び、且つ当該線分上に位置するような仮想線L5を作成する。
【0082】
次いで、ステップS308において、コントローラ10は、自車両1が仮想線L5上の点P1に到達するまでの時間t1を求める。具体的には、コントローラ10は、まず、自車両1が対向車線を横断するときの走行軌跡を求め、この走行軌跡と仮想線L5とが交わる点P1を特定する。そして、コントローラ10は、自車両1の速度V1などに基づき、現在の自車両1の前端が点P1に到達するまでの時間(到達時間)t1を求める。
【0083】
以上説明した第3実施形態によれば、コントローラ10は、仮想中央線L3を作成することができない場合に、対向車両2における自車両側の側面2cに沿って延びる仮想線L5を作成し、この仮想線L5上に仮想壁W3を設定する。これにより、自車両1及び対向車両2が走行する道路上の中央線を検出できないような場合(例えば中央線が道路に引かれていない場合など)にも、自車両1と対向車両2との衝突を回避すべく自動ブレーキを作動させるための仮想壁W3を適切に設定することができる。
【0084】
なお、上述した第3実施形態では、対向車両2の側面2cに接するような仮想線L5を用いていたが、他の例では、対向車両2の側面2cから離間させた仮想線L5を用いてもよい。具体的には、対向車両2の側面2cにおける前後方向に沿った線分を仮想線L5として用いる代わりに、対向車両2の側面2cにおける前後方向に沿った線分を自車両側に所定距離(例えば数十cm)だけシフトさせた線分を、仮想線L5として用いてもよい。このように対向車両2の側面2cから離間させた仮想線L5を用いて仮想壁W3を設定した場合には、対向車両2の側面2cに接するような仮想線L5を用いて仮想壁W3を設定した場合と比べて、自車両1と対向車両2との衝突を効果的に回避することができる。
【0085】
また、上述した第3実施形態では、仮想壁W3の後端W3bを対向車両2の後端2bから距離X2だけ離れた位置に設定していたが(
図6参照)、他の例では、第2実施形態のように、仮想壁W3の後端W3bを対向車両2の後端2bの位置に設定してもよい。
【0086】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態による自動ブレーキ制御について説明する。なお、以下では、第1実施形態と異なる制御、作用及び効果について主に説明し、第1実施形態と同様の制御、作用及び効果についてはその説明を適宜省略する。
【0087】
図8は、本発明の第4実施形態による自動ブレーキ制御についての説明図である。
図8は、自車両1が、カーブ区間にある交差点(つまり湾曲した道路上の交差点)において右折して対向車線を横断しようとしている状況を示している。
【0088】
図8に示すように、第4実施形態では、コントローラ10は、自車両1がカーブ区間において対向車線を横断する場合に、このカーブ区間の曲率に合わせて湾曲した仮想壁W4を設定する。この第4実施形態でも、コントローラ10は、自車両側の道路の中央線L1及び対向車両側の道路の中央線L2に基づき仮想中央線L3を作成し、この仮想中央線L3上に仮想壁W4を設定する。特に、第4実施形態では、中央線L1及び中央線L2がカーブ区間に存在するため、これらが曲線であるので、コントローラ10は、中央線L1及びL2の曲率に合わせて湾曲した仮想中央線L3を作成する。具体的には、コントローラ10は、中央線L1及びL2の曲率を求め(基本的には中央線L1の曲率と中央線L2の曲率は等しくなる)、この求められた曲率を有し、中央線L1の端点と中央線L2の端点とを通る仮想中央線L3を作成する。コントローラ10は、このような仮想中央線L3に平行に延び且つ当該仮想中央線L3上に位置するように、仮想壁W4を設定する。これにより、自車両1が横断しようとしているカーブ区間の曲率に合わせて湾曲した仮想壁W4が設定されることとなる。
【0089】
第1実施形態と第4実施形態とは、このような点で異なっており、それ以外の点は同一である。具体的には、第4実施形態でも、第1実施形態と同様に、コントローラ10は、車両1が対向車線を横断するときの走行軌跡を求め、この走行軌跡と仮想中央線L3とが交わる点P1及びこの走行軌跡と対向車線の側端L4とが交わる点P2を特定し、自車両1が点P1、P2に到達するまでの時間(到達時間)t1、t2を求める。そして、コントローラ10は、仮想壁W4の前端W4aを、対向車両2の前端2aから、自車両1と対向車両2の相対速度及び到達時間t2に応じた距離X1だけ離れた位置に設定すると共に、仮想壁W4の後端W4bを、対向車両2の後端2bから、対向車両2の速度及び到達時間t1に応じた距離X2だけ離れた位置に設定する。なお、第4実施形態では、
図8に示すように、これら距離X1、X2をカーブ区間の湾曲に沿った長さにより規定するのがよい。
【0090】
次に、
図9は、本発明の第4実施形態による自動ブレーキ制御を示すフローチャートである。このフローチャートに係る処理も、コントローラ10によって所定の周期(例えば100ms毎)で繰り返し実行される。
【0091】
第4実施形態による自動ブレーキ制御における
図9のステップS401~S407、S410~S413の処理は、それぞれ、第1実施形態による自動ブレーキ制御における
図3のステップS101~S107、S109~S112の処理と同一である。一方で、第4実施形態は、ステップS408の処理を更に行う点で第1実施形態と異なる。また、第4実施形態のステップS409は、第1実施形態のステップS108とは処理内容が異なる。よって、ここでは、主にステップS408、S409について説明する。
【0092】
ステップS408において、コントローラ10は、自車両1が横断しようとしているカーブ区間の曲率を求める。具体的には、コントローラ10は、上述したように求められた仮想中央線L3の曲率をカーブ区間の曲率として適用する。この仮想中央線L3は、ステップS408の前のステップS405において作成される。具体的には、ステップS405において、コントローラ10は、カメラ21により撮影された自車両前方の画像に基づき、自車両側の道路の中央線L1及び対向車両側の道路の中央線L2を特定し、特に中央線L1及びL2の曲率と端点を求め、この求められた曲率を有し且つ中央線L1の端点と中央線L2の端点とを通る仮想中央線L3を作成する。そして、コントローラ10は、ステップS408において、作成された仮想中央線L3の曲率(基本的には中央線L1、L2の曲率と同じ)を、カーブ区間の曲率として求める。
【0093】
次いで、ステップS409において、コントローラ10は、自車両1及び対向車両2の速度V1、V2、点P1、P2の到達時間t1、t2、及び、カーブ区間の曲率に基づき、仮想壁W4を設定する。具体的には、コントローラ10は、まず、仮想壁W4の前端W4aを、対向車両2の前端2aから、自車両1と対向車両2との相対速度に対して到達時間t2を乗算した距離X1(X1=(V1+V2)×t2)だけ離れた位置に設定する。また、コントローラ10は、仮想壁W4の後端W4bを、対向車両2の後端2bから、対向車両2の速度V2に対して到達時間t1を乗算した距離X2(X2=V2×t1)だけ離れた位置に設定する。そして、コントローラ10は、このような前端W4a及び後端W4bを有し、且つステップS408で求められたカーブ区間の曲率にて湾曲する仮想壁W4を設定する。
【0094】
なお、
図9では、自車両1が横断しようとしているカーブ区間の曲率を求めて、このカーブ区間の曲率に基づき仮想壁W4を設定する例を示したが、他の例では、カーブ区間の曲率を求めずに、仮想中央線L3(ステップS405で作成される)に基づき仮想壁W4を設定してもよい。仮想中央線L3はカーブ区間の曲率に応じて湾曲しているので、この仮想中央線L3に平行に延び且つ当該仮想中央線L3上に位置するように仮想壁W4を設定すれば、カーブ区間の曲率に合わせて湾曲する仮想壁W4が設定されることとなる。
【0095】
以上説明した第4実施形態によれば、コントローラ10は、自車両1が対向車線をカーブ区間において横断する場合に、このカーブ区間の曲率に合わせて湾曲した仮想壁W4を設定する。これにより、カーブ区間においても、自車両1と対向車両2との衝突を回避すべく自動ブレーキを作動させるための仮想壁W4を適切に設定することができる。また、第4実施形態によれば、コントローラ10は、自車両1及び対向車両2が走行する道路の中央線(仮想中央線L3)の曲率をカーブ区間の曲率として用いるので、カーブ区間の曲率に応じて適切に湾曲した仮想壁W4を設定することができる。
【0096】
なお、上述した第4実施形態では、自車両1が横断する交差点に中央線が引かれていなかったため、仮想中央線L3を作成する例を示したが、他の例では、自車両1が横断する交差点に中央線が引かれている場合には(カーブ区間にある交差点には中央線が引かれている場合が多い)、仮想中央線L3を作成する必要はない。この他の例では、コントローラ10は、カメラ21により撮影された自車両前方の画像に基づき、道路上に実際に引かれている中央線を特定し、この中央線の曲率などに基づき仮想壁W4を設定すればよい。
【0097】
また、上述した第4実施形態では、仮想壁W4の後端W4bを対向車両2の後端2bから距離X2だけ離れた位置に設定していたが(
図8参照)、他の例では、第2実施形態のように、仮想壁W4の後端W4bを対向車両2の後端2bの位置に設定してもよい。
【0098】
また、他の例では、第4実施形態と第3実施形態とを組み合わせて実施してもよい。すなわち、自車両1及び対向車両2が走行する道路上の中央線を取得できない場合(この場合には仮想中央線L3も作成することができない)、第3実施形態のように、対向車両2における自車両側の側面2cに沿って延びる仮想線L5を作成し、この仮想線L5に沿った仮想壁W4を設定してもよい。また、この場合には、道路形状などからカーブ区間の曲率を求めて、この曲率を仮想壁W4に適用すればよい。
【0099】
また、他の例では、自車両1が横断するカーブ区間の曲率が所定値以上の場合、つまり自車両1が緩やかなカーブを横断する場合には、湾曲させた仮想壁W4を設定せずに、第1実施形態などのように、ほぼ直線の仮想壁W4を設定してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 自車両
2 対向車両
10 コントローラ
21 カメラ
22 レーダ
23 車速センサ
52 ブレーキ制御装置
100 車両制御装置
L3 仮想中央線
W1、W2、W3、W4 仮想壁