(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】キャパシタ部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240604BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 311E
H01G4/30 513
H01G4/30 517
H05K3/46 H
(21)【出願番号】P 2018083511
(22)【出願日】2018-04-24
【審査請求日】2021-03-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】10-2017-0106746
(32)【優先日】2017-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジン マン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ、ジン キュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、イク ファン
(72)【発明者】
【氏名】クウォン、ビヨン チャン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ナ、ド ヘウン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ジェ ヨル
(72)【発明者】
【氏名】チョ、スン ヒュン
【合議体】
【審判長】井上 信一
【審判官】小池 秀介
【審判官】渡辺 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-37187(JP,A)
【文献】特開2012-248581(JP,A)
【文献】特開2015-65394(JP,A)
【文献】特開平5-167225(JP,A)
【文献】特開平10-135073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G4/30
H05K3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1面及び第2面と、前記第1面及び第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面と、を含み、且つ複数の誘電体層を有し、前記誘電体層を間に挟んで交互に配置され、前記第3面及び第4面にそれぞれ露出する第1及び第2内部電極を含む本体と、
前記第3面及び第4面を覆うことで前記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2導電層と、
前記第1及び第2導電層をそれぞれ覆う第1及び第2絶縁層と、
前記第2面において互いに離隔するとともに前記第1及び第2導電層とそれぞれ接続されるように配置される第1及び第2バンド部と、
前記第1バンド部、及び前記第1絶縁層の前記第3面上の一部を覆う第1外部電極と、
前記第2バンド部、及び前記第2絶縁層の前記第4面上の一部を覆う第2外部電極と、
前記第1絶縁層の
前記第3面上の一部と
前記第1導電層の端部と前記第1面のうちの前記第3面側の端部近傍とを覆う第3外部電極と、
前記第2絶縁層の
前記第4面上の一部と
前記第2導電層の端部と前記第1面のうちの前記第4面側の端部近傍とを覆う第4外部電極と、を含む、キャパシタ部品。
【請求項2】
前記第1及び第2外部電極がメッキ層である、請求項1に記載のキャパシタ部品。
【請求項3】
前記メッキ層が、銅層、前記銅層上に形成されるニッケル層、及び前記ニッケル層上に形成されるスズ層を含む、請求項2に記載のキャパシタ部品。
【請求項4】
前記第1~第4外部電極がメッキ層である、請求項1から3のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項5】
複数の誘電体層と第1及び第2内部電極を交互に積層して本体を形成する段階と、
前記本体の上面において互いに離隔するように第1及び第2バンド部を形成する段階と、
前記本体において前記第1及び第2内部電極が露出した側面にそれぞれ、前記第1及び第2バンド部とそれぞれ接続される第1及び第2導電層と、前記第1及び第2導電層をそれぞれ覆う第1及び第2絶縁層を形成する段階と、
前記第1バンド部、及び前記第1絶縁層の前記本体の前記側面上の一部を覆うように第1外部電極を形成し、前記第2バンド部、及び前記第2絶縁層の前記本体の前記側面上の一部を覆うように第2外部電極を形成し、前記第1絶縁層の
前記本体の前記側面上の一部
、前記第1導電層の端部、及び前記本体の下面のうちの前記第1導電層側の端部近傍を覆うように第3外部電極を形成し、前記第2絶縁層の
前記本体の前記側面上の一部
、前記第2導電層の端部、及び前記本体の下面のうちの前記第2導電層側の端部近傍を覆い、且つ前記第3外部電極と離隔するように第4外部電極を形成する段階と、を含む、キャパシタ部品の製造方法。
【請求項6】
前記第1及び第2バンド部を形成する段階は、前記第1及び第2バンド部を前記本体に積層、印刷、及び蒸着のいずれかの方法で形成する、請求項5に記載のキャパシタ部品の製造方法。
【請求項7】
前記第1及び第2導電層がグリーン転写工法で形成されるようにする、請求項5または6に記載のキャパシタ部品の製造方法。
【請求項8】
前記第1及び第2導電層と前記第1及び第2絶縁層を形成する段階は、前記本体に前記第1及び第2導電層と前記第1及び第2絶縁層の積層体を一度に転写して形成されるようにする、請求項5から7のいずれか一項に記載のキャパシタ部品の製造方法。
【請求項9】
前記第1及び第2外部電極は、前記第1及び第2バンド部をシードにしてメッキで形成する、請求項5から8のいずれか一項に記載のキャパシタ部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ部品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャパシタ部品の一つである積層セラミックキャパシタは、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップタイプのコンデンサである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、小型でありながら高容量が保障され、実装が容易であるという長所により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。最近は、モバイル機器や自動車などに用いられる積層セラミックキャパシタの場合、高水準の機械的強度、例えば、外部の繰り返される衝撃、振動、厳しい温度及び湿度などの環境に耐えることが求められる。
【0004】
また、積層セラミックキャパシタは、外部電極の形成時に転写工法を用いることができる。しかし、外部電極のバンドと転写工法により形成される接続部との間の連結が難しく、薄く形成された接続部とバンドの連結のために、ディッピング法をさらに行うか、又はチップを整列してバンド部を連結するさらなる作業が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国登録特許第1514558号公報
【文献】韓国公開特許第2015-0018650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、本体の内部電極の露出面に形成される外部電極の接続部とバンドとの間の連結を容易にする外部電極を形成することにより、ハーメチックシール(Hermetic Sealing)を強化し、アコースティックノイズを低減するとともに、セット(set)への実装時における部品実装密度を高めることができるキャパシタ部品及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための方法として、本発明は、一実施形態を通じて新たなキャパシタ部品を提案する。具体的には、互いに対向する第1面及び第2面と、上記第1面及び第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面と、を含み、且つ複数の誘電体層を有し、上記誘電体層を挟んで交互に配置され、上記第3面及び第4面にそれぞれ露出する第1及び第2内部電極を含む本体と、上記第3面及び第4面を覆うことで上記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2導電層と、上記第1及び第2導電層をそれぞれ覆う第1及び第2絶縁層と、上記第2面において互いに離隔するように配置される第1及び第2バンド部と、上記第1バンド部、及び上記第1絶縁層の一部を覆う第1外部電極と、上記第2バンド部、及び上記第2絶縁層の一部を覆う第2外部電極と、上記第1絶縁層の一部及び上記第1層のうち一部を覆う第3外部電極と、上記第2絶縁層の一部及び上記第1層のうち一部を覆う第4外部電極と、を含む形態である。
【0008】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2外部電極はメッキ層であることができる。
【0009】
本発明の一実施形態において、上記メッキ層は、銅層、上記銅層上に形成されるニッケル層、及び上記ニッケル層上に形成されるスズ層を含むことができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2バンド部は、上記第1及び第2導電層とそれぞれ接続されるように配置されることができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、上記第1面において互いに離隔するように配置される第3及び第4バンド部をさらに含み、上記第3外部電極は上記第3バンド部を覆い、上記第4外部電極は上記第4バンド部を覆うことができる。
【0012】
本発明の一実施形態において、上記第3及び第4バンド部は、上記第1及び第2導電層とそれぞれ接続されるように配置されることができる。
【0013】
本発明の一実施形態において、第1から第4外部電極はメッキ層であることができる。
【0014】
本発明の他の側面は、複数の誘電体層と第1及び第2内部電極を交互に積層して本体を形成する段階と、上記本体の上面において互いに離隔するように第1及び第2バンド部を形成する段階と、上記本体において上記第1及び第2内部電極が露出した面にそれぞれ、第1及び第2導電層と、上記第1及び第2導電層をそれぞれ覆う第1及び第2絶縁層を形成する段階と、上記第1バンド部、及び上記第1絶縁層の一部を覆うように第1外部電極を形成し、上記第2バンド部、及び上記第2絶縁層の一部を覆うように第2外部電極を形成し、上記第1絶縁層の一部及び上記本体の下面のうち一部を覆うように第3外部電極を形成し、上記第2絶縁層の一部及び上記本体の下面のうち一部を覆い、上記第3外部電極と離隔するように第4外部電極を形成する段階と、を含むキャパシタ部品の製造方法を提供する。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2バンド部を形成する段階は、上記第1及び第2バンド部を上記本体に積層、印刷、及び蒸着のいずれかの方法で形成することができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2導電層がグリーン転写工法により形成されるようにすることができる。
【0017】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2導電層と上記第1及び第2絶縁層を形成する段階では、上記本体に上記第1及び第2導電層と上記第1及び第2絶縁層の積層体を一度に転写して形成することができる。
【0018】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2外部電極は、上記第1及び第2バンド部をシードにしてメッキで形成することができる。
【0019】
本発明の一実施形態において、上記外部電極を形成する前に、上記本体において上記第1及び第2バンド部が形成された面と対向する面に、互いに離隔するように第3及び第4バンド部を形成する段階をさらに含むことができる。
【0020】
本発明の一実施形態において、上記第3外部電極は上記第3バンド部を覆うように形成し、上記第4外部電極は上記第4バンド部を覆うように形成することができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、上記第3及び第4外部電極は、上記第3及び第4バンド部をシードにしてメッキで形成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の様々な効果のうちの一効果は、本体の内部電極の露出面に形成される外部電極の接続部とバンドの間の連結を容易にする外部電極を形成することにより、ディッピング法、及びチップ整列後にバンド部を接続部と連結するためのさらなる作業を行わなくても、ハーメチックシール(Hermetic Sealing)を強化し、アコースティックノイズを低減するとともに、セット(set)への実装時における部品実装密度を高めることができるという効果を奏する。但し、本発明の多様且つ有益な利点と効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1のキャパシタ本体の内部電極の構造を示す分離斜視図である。
【
図3】
図1のキャパシタ本体、及び外部電極の一部を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第2実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す斜視図である。
【
図6】
図5のII-II'線に沿った断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態において、キャパシタ本体に第1及び第2接続部を形成する工程を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0025】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対である記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0026】
図1は本発明の第1実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す斜視図であり、
図2は
図1のキャパシタ本体の内部電極の構造を示す分離斜視図であり、
図3は
図1のキャパシタ本体、及び外部電極の一部を示す斜視図であり、
図4は
図1のI-I'線に沿った断面図である。
【0027】
図1~
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品100は、本体110と、上記本体110に含まれた第1及び第2内部電極121、122と、第1及び第2導電層131、141と、第1及び第2絶縁層132、142と、第1及び第2バンド部133、134と、第1~第4外部電極150、160、170、180と、を主な構成として含む。
【0028】
本実施形態の場合、後述するように、本体110の側面を覆う第1及び第2導電層131、141と第1及び第2絶縁層132、142の多層構造を採用することにより、キャパシタ部品100のコーナーなどで発生する可能性がある外部の物質流入を防止することができ、キャパシタ部品100の小型化に有利でありながらもシール特性や耐湿信頼性などを向上させることができる。
【0029】
本体110は、複数の誘電体層111が積層された積層構造を有し、誘電体層111を間に挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含む。
【0030】
この場合、本体110は、六面体形状、又は同様の形状を有することができ、Z方向において互いに対向する第1面1及び第2面2と、第1面1及び第2面2と連結され、X方向において互いに対向する第3面3及び第4面4と、第1面1及び第2面2と連結され、第3面3及び第4面4と連結され、且つY方向において互いに対向する第5面5及び第6面6と、を含む。
【0031】
また、本体110に含まれる誘電体層111は、当業界で知られているセラミックなどの誘電物質を用いることができ、例えば、BaTiO3(チタン酸バリウム)系セラミック粉末などを含むことができる。
【0032】
この場合、上記BaTiO3系セラミック粉末は、例えば、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3又はBa(Ti1-yZry)O3などがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
また、本体110は、電気容量を形成する活性領域と、その上部及び下部に位置するカバー領域とに区分されることができる。
【0034】
具体的には、
図4に基づくと、活性領域は、第1及び第2内部電極121、122により容量を形成するように配置され、カバー領域は、上記活性領域の上部及び下部に配置される。
【0035】
この場合、カバー領域は、物理的又は化学的ストレスによる第1及び第2内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができ、第1及び第2内部電極121、122を含まない点を除いては、活性領域の誘電体層と実質的に同一の材料及び構成を有することができる。
【0036】
ここで、カバー領域は、グリーンシートの積層及び焼結工程によりともに得ることができる。
【0037】
かかるカバー領域は、1つ又は2つ以上のグリーンシートが活性領域の上下面に積層されて焼結された形で実現されることができる。
【0038】
第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層を間に挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ露出することができる。
【0039】
この際、第1及び第2内部電極121、122は、中央に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0040】
第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は、特に制限されず、例えば、パラジウム(Pd)、パラジウム-銀(Pd-Ag)合金などの貴金属材料、ニッケル(Ni)、及び銅(Cu)の1つ以上の物質からなる導電性ペーストを用いて形成することができる。
【0041】
上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
第1及び第2導電層131、132は、本体110の第3面3及び第4面4をそれぞれ覆い、且つ第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ接続される。
【0043】
この場合、第1及び第2導電層131、141は、
図1に示された形態のように本体110の第3面3及び第4面4の全体をそれぞれ覆う形であればよく、第1及び第2導電層131、141において本体110に向かう面は本体110の第3面3及び第4面4とそれぞれ同一の面積を有することができる。
【0044】
また、第1及び第2導電層131、141は、本体110の第3面3及び第4面4を基準に均一な厚さを有することができる。
【0045】
かかる形態の第1及び第2導電層131、141を得ることができる1つの例として、後述するように、第1及び第2導電層131、141を本体110の表面に転写する工程を活用することができる。
【0046】
従来は、内部電極と接続される外部電極を形成するにあたり、導電性ペーストを塗布した後、これを焼結する工程を用いていた。その結果、外部電極において中央領域の厚さが外側領域の厚さよりも厚いという厚さ不均一が生じた。
【0047】
本実施形態の場合、均一な厚さを有する第1及び第2導電層131、141を用いることにより電気的特性を均一にするとともに、キャパシタ部品100の外部から浸入する水分を遮断して、特にコーナー領域での耐湿信頼性を向上させることができる。
【0048】
第1及び第2絶縁層132、142は、第1及び第2導電層131、141をそれぞれ覆うように形成される。
【0049】
かかる第1及び第2絶縁層132、142は、チタン酸バリウムなどのセラミック材料からなることができる。この場合、第1及び第2絶縁層132、142は、本体110に含まれるものと同一のセラミック物質を含むことができ、本体110と同一の物質からなることができる。
【0050】
また、
図3に示された形態のように、第1及び第2絶縁層132、142は、第1及び第2導電層131、141の全体を覆う形であることができる。この場合、本体110の第3面3及び第4面4に基づくと、第1及び第2導電層131、141の面積と、第1及び第2絶縁層132、142の面積は、互いに同一であればよい。
【0051】
そして、第1及び第2絶縁層132、142は、第1及び第2導電層131、141と同様に、本体110の表面に転写する方法で形成することができる。
【0052】
転写工程のために、焼結前の第1及び第2絶縁層132、142は、高い接着力を有することが好ましいため、バインダーなどの有機物質を比較的多く含むことができる。
【0053】
この場合、焼結後にも一部の有機物質が残存し得るため、第1及び第2絶縁層132、142は、本体110よりも多くの量の有機物質成分を含むことができる。
【0054】
本実施形態のように、本体110の外側に第1及び第2絶縁層132、142を形成することにより、外部電極のシール特性をさらに向上させるとともに、外部から水分やメッキ液などが浸透することを最小限に抑えることができる。
【0055】
この場合、第1及び第2絶縁層132、142は、隣接する第1及び第2導電層131、141により、焼結時の緻密化が急速に行われることができるため、耐湿特性の向上に適した構造が効果的に得られる。
【0056】
第1及び第2絶縁層132、142は、基板への実装時に、半田の高さを制限することでアコースティックノイズを低減させるという効果が期待できる。
【0057】
第1及び第2バンド部133、134は、本体110の第2面2においてX方向に互いに離隔するように配置される。ここで、第1及び第2バンド部133、134は導電性物質からなることができる。
【0058】
また、第1バンド部133は第1導電層131と接続されるように配置されることができ、第2バンド部134は第2導電層141と接続されるように配置されることができる。
【0059】
具体的には、第1導電層131の上端を本体110の第2面2と平行に形成し、第1バンド部133の端部を本体110の第3面3よりも突出するように形成すると、第1導電層131の上部と第1バンド部133の端部が互いに接触して電気的に連結されることができるようになる。
【0060】
そして、第2バンド部134の場合には、第2導電層141の上端を本体110の第2面2と平行に形成し、第2バンド部134の端部を本体110の第4面4よりも突出するように形成すると、第2導電層141の上端と第2バンド部134の端部が互いに接触して電気的に連結されることができるようになる。
【0061】
第1外部電極150は、本体110の第2面2、第3面3、第5面5、及び第6面6を連結するコーナーに形成される。
【0062】
かかる第1外部電極150は、第1バンド部133を覆い、且つ第1導電層131及び第1絶縁層132の一部を覆うように形成される。
【0063】
また、第1外部電極150は、第1内部電極121と電気的に連結される。
【0064】
具体的には、第1外部電極150は、第1絶縁層132の一部を覆い、且つ第1導電層131と接続されて、第1内部電極121と電気的に連結された形態である。
【0065】
この際、第1外部電極150は、メッキ層であればよく、多層構造を有することができる。
【0066】
例えば、第1外部電極150は、第1層151、第2層152、及び第3層153を含むことができる。
【0067】
ここで、第1層151は、銅メッキを行って得られた銅層で形成されることができる。この際、銅層は、第1バンド部133をシードにしてメッキを行うことで得られることができる。
【0068】
第2層152は、第1層151を覆う形であって、ニッケルメッキを行って得られたニッケル層で形成されることができ、第3層153は、第2層152を覆う形であって、スズメッキを行って得られたスズ層で形成されることができる。
【0069】
一方、第2及び第3層を形成する代わりに、銅層である第1層に銀(Ag)メッキを行って、第1外部電極を、銅層と銀(Ag)層の2重層で形成することもできる。
【0070】
第2外部電極160は、本体110の第2面2、第4面4、第5面5、及び第6面6を連結するコーナーに形成される。
【0071】
かかる第2外部電極160は、第2バンド部134を覆い、且つ第2導電層141及び第2絶縁層142の一部を覆うように形成され、本体110の第2面2において第1外部電極150と離隔するように配置される。
【0072】
また、第2外部電極160は、第2内部電極122と電気的に連結される。
【0073】
具体的には、第2外部電極160は、第2絶縁層142の一部を覆い、且つ第2導電層141と接続されて、第2内部電極122と電気的に連結された形態である。
【0074】
この際、第2外部電極160は、メッキ層であればよく、多層構造を有することができる。
【0075】
例えば、第2外部電極160は、第1層161、第2層162、及び第3層163を含むことができる。
【0076】
ここで、第1層161は、銅メッキを行って得られた銅層で形成されることができる。この際、銅層は、第2バンド部134をシードにしてメッキを行うことで得られることができる。
【0077】
第2層162は、第1層161を覆う形であって、ニッケルメッキを行って得られたニッケル層で形成されることができ、第3層163は、第2層162を覆う形であって、スズメッキを行って得られたスズ層で形成されることができる。
【0078】
一方、第2及び第3層を形成する代わりに、銅層である第1層に銀メッキを行って、第2外部電極を、銅層と銀層の2重層で形成することもできる。
【0079】
第3外部電極170は、本体110の第1面1、第3面3、第5面5、及び第6面6を連結するコーナーに形成される。
【0080】
かかる第3外部電極170は、第1導電層131及び第1絶縁層132の一部ならびに本体110の第1面1のうち一部を覆うように形成される。
【0081】
また、第3外部電極170は、第1内部電極121と電気的に連結される。
【0082】
具体的には、第3外部電極170は、第1絶縁層132の一部を覆い、且つ第1導電層131と接続されて、第1内部電極121と電気的に連結された形態である。
【0083】
この際、第3外部電極170は、多層構造を有することができる。
【0084】
例えば、第3外部電極170は、第1層171、第2層172、及び第3層173を含むことができる。
【0085】
ここで、第1層171は、導電性ペーストを焼結して得られた焼結電極で形成されることができ、上記導電性ペーストは銅であることができる。
【0086】
第2層172は、第1層171を覆う形であって、ニッケルメッキを行って得られたニッケル層で形成されることができ、第3層173は、第2層172を覆う形であって、スズメッキを行って得られたスズ層で形成されることができる。
【0087】
第4外部電極180は、本体110の第1面1、第4面4、第5面5、及び第6面6を連結するコーナーに形成される。
【0088】
かかる第4外部電極180は、第2導電層141及び第2絶縁層142の一部ならびに本体110の第1面1のうち一部を覆うように形成され、本体110の第1面1において第3外部電極170と離隔するように配置される。
【0089】
また、第4外部電極180は、第2内部電極122と電気的に連結される。
【0090】
具体的には、第4外部電極180は、第2絶縁層142の一部を覆い、且つ第2導電層141と接続されて、第2内部電極122と電気的に連結された形態である。
【0091】
この際、第4外部電極180は、多層構造を有することができる。
【0092】
例えば、第4外部電極180は、第1層181、第2層182、及び第3層183を含むことができる。
【0093】
ここで、第1層181は、導電性ペーストを焼結して得られた焼結電極で形成されることができ、上記導電性ペーストは銅であることができる。
【0094】
第2層182は、第1層181を覆う形であって、ニッケルメッキを行って得られたニッケル層で形成されることができ、第3層183は、第2層182を覆う形であって、スズメッキを行って得られたスズ層で形成されることができる。
【0095】
図5は本発明の第2実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す斜視図であり、
図6は
図5のII-II'線に沿った断面図である。
【0096】
ここで、本体110、第1及び第2内部電極121、122、第1及び第2導電層131、141、第1及び第2絶縁層132、142、第1及び第2外部電極150、160の構造は、上述した実施形態と同一であるため、重複を避けるために、これについての具体的な説明を省略し、上述した実施形態と異なる構造を有する第3及び第4バンド部と第3及び第4外部電極を図示して、これに基づいて具体的に説明する。
【0097】
図5及び
図6を参照すると、本実施形態によるキャパシタ部品100'は、第3及び第4バンド部135、136をさらに含むことができる。
【0098】
第3及び第4バンド部135、136は、本体110の第1面1においてX方向に互いに離隔するように配置される。
【0099】
また、第3バンド部135は第1導電層131と接続されるように配置されることができ、第4バンド部136は第2導電層141と接続されるように配置されることができる。
【0100】
具体的には、第1導電層131の下端を本体110の第1面1と平行に形成し、第3バンド部135の端部を本体110の第3面3よりも突出するように形成すると、第1導電層131の下端と第3バンド部135の端部が互いに接触して電気的に連結されることができるようになる。
【0101】
そして、第4バンド部136の場合には、第2導電層141の下端を本体110の第1面1と平行に形成し、第4バンド部136の端部を本体110の第4面4よりも突出するように形成すると、第2導電層141の下端と第4バンド部136の端部が互いに接触して電気的に連結されるようになる。
【0102】
また、本実施形態において、第3外部電極は第3バンド部を覆うように形成され、第4外部電極は第4バンド部を覆うように形成される。
【0103】
この際、第3外部電極170'は、焼結電極を含むことなく、すべてメッキ層であることができ、多層構造を有することができる。
【0104】
例えば、第3外部電極170'は、第1層171'、第2層172'、及び第3層173'を含むことができる。
【0105】
ここで、第1層171'は、銅メッキを行って得られた銅層で形成されることができる。この際、銅層は、第3バンド部135をシードにしてメッキを行うことで得られることができる。
【0106】
第2層172'は、第1層171'を覆う形であって、ニッケルメッキを行って得られたニッケル層で形成されることができ、第3層173'は、第2層172'を覆う形であって、スズメッキを行って得られたスズ層で形成されることができる。
【0107】
また、第4外部電極180'は、焼結電極を含むことなく、すべてメッキ層であることができ、多層構造を有することができる。
【0108】
例えば、第4外部電極180'は、第1層181'、第2層182'、及び第3層183'を含むことができる。
【0109】
ここで、第1層181'は、銅メッキを行って得られた銅層で形成されることができる。この際、銅層は、第4バンド部136をシードにしてメッキを行うことで得られることができる。
【0110】
第2層182'は、第1層181'を覆う形であって、ニッケルメッキを行って得られたニッケル層で形成されることができ、第3層183'は、第2層182'を覆う形であって、スズメッキを行って得られたスズ層で形成されることができる。
【0111】
以下、上述した構造を有するキャパシタ部品の製造方法の一例を説明する。製造方法についての説明により、キャパシタ部品の構造をより明確に理解することができる。
【0112】
キャパシタ部品の製造工程は、まず、複数の誘電体層と、第1及び第2内部電極を交互に積層して本体を形成する。
【0113】
ここで、本体は、複数の誘電体層のうち一誘電体層に第1内部電極を形成し、他の誘電体層に第2内部電極を形成した後、これを交互に積層することで形成されることができる。例えば、セラミックグリーンシートに、内部電極用の導電性ペーストを塗布した後、これを積層する方法を用いることができる。
【0114】
次に、本体の第2面に、互いに離隔するように第1及び第2バンド部を形成する。
【0115】
第1及び第2バンド部は、積層、印刷、及び蒸着のいずれかの方法を用いて本体に形成することができる。
【0116】
次に、
図7のように、本体110の表面に、第1及び第2導電層131、141と、第1及び第2導電層131、141をそれぞれ覆う第1及び第2絶縁層132、142とを転写する。
【0117】
第1及び第2導電層131、141は、本体110において第1及び第2内部電極が露出した面に形成する。
【0118】
例えば、第1及び第2導電層131、141を転写する工程は、支持台210上にシート状の絶縁層132'と、絶縁層132'上に導電層131'とが積層された形となるようにした後、上記積層体に対して本体110の一面が圧着されるようにして、本体110の一面に導電層131'の一部及び絶縁層132'の一部が同時にくっつくようにする。これにより、第1導電層131及び第1絶縁層132を一回の転写工程により形成することができる。本体110に転写された導電層及び絶縁層は、焼結前の状態であって、上記導電層及び絶縁層にはバインダー及び有機溶媒などの成分が含まれる。
【0119】
以上、本体110に第1導電層131及び第1絶縁層132を形成する方法の一例について説明した。同様に、第2導電層141及び第2絶縁層142も、本体110の反対側に同一の工程を適用して形成することができる。
【0120】
次に、外部電極を形成する。
【0121】
第1外部電極は、第1バンド部、及び第1絶縁層の一部を覆うように形成し、第2外部電極は、第2バンド部、及び第2絶縁層の一部を覆い、第1外部電極と離隔するように形成する。また、第1及び第2外部電極は、第1及び第2バンド部をシードにしてメッキで形成することができる。
【0122】
第3外部電極は、第1絶縁層の一部及び本体の下面のうち一部を覆うように形成し、第4外部電極は、第2絶縁層の一部及び本体の下面のうち一部を覆い、第3外部電極と離隔するように形成する。第3及び第4外部電極は、まず第1層を形成し、その上にメッキ層をさらに形成することで形成することができる。
【0123】
この際、上記第1層は、導電性ペーストに本体をディッピング(dipping)する方法などにより形成することができる。その後、本体、導電層、絶縁層、及び第1層を焼成することができる。ここで、これらは同時焼成することができる。
【0124】
一方、外部電極を形成する前に、本体の第1及び第2バンド部が形成された面と対向する面に、互いに離隔するように第3及び第4バンド部を形成する段階をさらに行うことができる。
【0125】
ここで、第3外部電極は上記第3バンド部を覆うように形成し、第4外部電極は第4バンド部を覆うように形成する。この際、第3及び第4外部電極は、焼成電極を含むことなく、第3及び第4バンド部をシードにしてメッキを行うことで得られることができる。
【0126】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0127】
100、100' キャパシタ部品
110 本体
111 誘電体層
121、122 内部電極
131、141 第1及び第2導電層
132、142 第1及び第2絶縁層
133~136 第1~第4バンド部
150、160、170、180 第1~第4外部電極
170'、180' 第3及び第4外部電極