(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
D06F39/02 A
(21)【出願番号】P 2020079692
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2023-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】税所 貴史
(72)【発明者】
【氏名】北川 宏之
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-090095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/00-39/10
D06F 58/02-58/08
D06F 58/20-58/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置され、洗濯物を収容する洗濯槽と、
風呂水を取り込むための取込口と、
前記取込口に取り込まれる風呂水を前記洗濯槽内に供給するための風呂水供給路と、
前記筐体の外から前記取込口に着脱可能な処理剤供給部であって、洗濯用の処理剤を収容する収容部と、前記収容部と前記取込口とをつなぐ接続路と、前記接続路を開閉する電動の開閉部とを有し、前記収容部内の処理剤を前記風呂水供給路に供給する処理剤供給部とを含
み、
前記収容部は、洗剤を収容する洗剤収容部と、柔軟剤を収容する柔軟剤収容部とを有し、
前記接続路は、前記洗剤収容部につながる第1分岐路と、前記柔軟剤収容部につながる第2分岐路とに分岐する、洗濯機。
【請求項2】
洗濯運転を実行する制御部と、
前記筐体の外に引き出されて前記制御部と前記開閉部とを電気的に接続するケーブルとを含む、請求項
1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記処理剤供給部が前記取込口に装着された場合には、前記制御部は、前記洗濯運転において、前記開閉部によって前記接続路を開く、請求項
2に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の洗濯機には、風呂水に一端が浸かったホースの他端が接続される。この洗濯機では、ホースから供給された風呂水を用いて洗濯物を洗濯することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用者が、特許文献1のように風呂水を用いた洗濯ができる洗濯機を購入したものの、普段の洗濯に風呂水を用いない場合がある。この場合には、この洗濯機において風呂水に関する構成が無用になってしまう。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、風呂水に関する構成の有効利用を図れる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筐体と、前記筐体内に配置され、洗濯物を収容する洗濯槽と、風呂水を取り込むための取込口と、前記取込口に取り込まれる風呂水を前記洗濯槽内に供給するための風呂水供給路と、前記筐体の外から前記取込口に着脱可能な処理剤供給部であって、洗濯用の処理剤を収容する収容部と、前記収容部と前記取込口とをつなぐ接続路と、前記接続路を開閉する電動の開閉部とを有し、前記収容部内の処理剤を前記風呂水供給路に供給する処理剤供給部とを含む、洗濯機である。
【0007】
また、本発明は、前記収容部が、洗剤を収容する洗剤収容部と、柔軟剤を収容する柔軟剤収容部とを有し、前記接続路が、前記洗剤収容部につながる第1分岐路と、前記柔軟剤収容部につながる第2分岐路とに分岐することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記洗濯機が、洗濯運転を実行する制御部と、前記筐体の外に引き出されて前記制御部と前記開閉部とを電気的に接続するケーブルとを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記処理剤供給部が前記取込口に装着された場合には、前記制御部が、前記洗濯運転において、前記開閉部によって前記接続路を開くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使用者が、外付けの風呂水ポンプにおいて風呂水に浸かったホースを洗濯機の取込口に接続すれば、洗濯機では、風呂水が、取込口から風呂水供給路に取り込まれた後に洗濯槽内に供給される。これにより、洗濯機では、風呂水を用いて洗濯槽内の洗濯物を洗濯することができる。
取込口には、外付けの処理剤供給部が着脱可能であるので、使用者は、処理剤を洗濯槽内に自動投入したければ、好みの処理剤を収容部に収容した処理剤供給部を、取込口に装着すればよい。これにより、洗濯運転において、処理剤供給部では、開閉部が接続路を開くので、収容部内の処理剤が、接続路から風呂水供給路に供給された後に、洗濯槽内に投入される。つまり、この洗濯機では、取込口や風呂水供給路といった風呂水に関する構成を、洗濯槽内への風呂水の供給だけでなく、洗濯槽内への処理剤の自動投入にも利用できるので、この構成の有効利用を図れる。
【0011】
また、本発明によれば、処理剤供給部の収容部が洗剤収容部と柔軟剤収容部とを有するので、使用者は、使用したい洗剤及び柔軟剤を洗剤収容部及び柔軟剤収容部にそれぞれ収容した処理剤供給部を、取込口に装着すればよい。これにより、洗濯運転の洗い工程では、洗剤収容部内の処理剤が洗濯槽内に自動投入され、洗濯運転のすすぎ工程では、柔軟剤収容部内の柔軟剤が洗濯槽内に自動投入される。
【0012】
また、本発明によれば、使用者は、処理剤供給部を洗濯機の取込口に装着した場合には、ケーブルを処理剤供給部につなげばよい。これにより、制御部と処理剤供給部の開閉部とが電気的に接続されるので、制御部が開閉部を開閉することにより、洗濯運転において、処理剤供給部が、収容部内の処理剤を洗濯槽内に自動投入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の一実施形態に係る洗濯機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図2】処理剤供給部が装着された状態における洗濯機の模式的な縦断面右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯機1の模式的な縦断面右側面図である。
図1において紙面に直交する方向を洗濯機1の左右方向Xといい、
図1における左右方向を洗濯機1の前後方向Yといい、
図1における上下方向を洗濯機1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、
図1の紙面の奥側を左側X1といい、
図1の紙面の手前側を右側X2という。前後方向Yのうち、左側を前側Y1といい、右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。
【0015】
洗濯機1には、乾燥機能を有する洗濯乾燥機も含まれるが、以下では、乾燥機能が省略されて洗濯運転だけを実行する洗濯機を例に取って洗濯機1について説明する。洗濯機1は、その外郭をなす筐体2と、筐体2内に配置される外槽3と、外槽3内に収容される洗濯槽4と、洗濯槽4内に収容される回転翼5と、洗濯槽4や回転翼5を回転させる駆動力を発生する電動のモータ6と、モータ6が発生した駆動力の伝達先を切り替える伝達機構7とを含む。
【0016】
筐体2は、例えば金属製であり、ボックス状に形成される。筐体2の上面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。上面2Aには、開口2Bを開閉する扉9が設けられる。上面2Aにおいて、例えば開口2Bよりも前側Y1の領域には、タッチパネルなどで構成された表示操作部10が設けられる。使用者は、表示操作部10を操作することによって、洗濯条件を自由に選択したり、洗濯機1に対して運転開始や運転停止などを指示したりすることができる。表示操作部10には、洗濯運転に関する情報が目視可能に表示される。
【0017】
外槽3は、例えば樹脂製であり、有底円筒状に形成される。外槽3は、上下方向Zに沿って配置された略円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を下側Z2から塞ぐ底壁3Bと、円周壁3Aの上側Z1の端縁を縁取りつつ円周壁3Aの円中心側へ張り出したリング状の環状壁3Cとを有する。環状壁3Cの内側には、開口3Dが形成される。開口3Dは、筐体2の開口2Bの真下に配置される。円周壁3Aの中空部分が、開口3Dから上側Z1へ露出される。底壁3Bは、水平方向に沿って延びる円板状に形成され、底壁3Bの円中心位置には、底壁3Bを貫通する貫通穴3Eが形成される。後述するように、外槽3には、水が溜められる。
【0018】
外槽3には、排水路11が下側Z2から接続され、外槽3内の水は、排水路11から機外に排出される。排水路11の途中には、排水を開始したり停止したりするために開閉される排水弁12が設けられる。
【0019】
洗濯槽4は、例えば金属製であり、上下方向Zに延びる中心軸Jを有し、外槽3よりも一回り小さい有底円筒状に形成され、内部に洗濯物Qを収容することができる。洗濯槽4は、上下方向Zに沿って配置された略円筒状の円周壁4Aと、円周壁4Aの中空部分を下側Z2から塞ぐ底壁4Bとを有する。
【0020】
円周壁4Aの内周面の上端部によって囲まれた空間は、円周壁4Aの中空部分を上側Z1に露出させる出入口4Cである。出入口4Cは、外槽3の開口3Dと筐体2の開口2Bとに下側Z2から連通した状態にある。洗濯機1の使用者は、扉9を開いて開口2B、開口3D及び出入口4Cを開放し、開口2B、開口3D及び出入口4Cを介して、洗濯槽4に対して洗濯物Qを出し入れする。
【0021】
洗濯槽4は、外槽3内に同軸状で収容され、上下方向Zに沿って配置される。外槽3内に収容された状態の洗濯槽4は、中心軸Jまわりに回転可能である。洗濯槽4の円周壁4A及び底壁4Bには、図示しない貫通穴が複数形成され、外槽3内の水は、当該貫通穴を介して、外槽3と洗濯槽4との間で行き来できる。そのため、外槽3内の水位と洗濯槽4内の水位とは一致する。
【0022】
洗濯槽4の底壁4Bは、外槽3の底壁3Bに対して上側Z1に間隔を隔てて略平行に延びる円板状に形成され、底壁4Bにおいて中心軸Jと一致する円中心位置には、底壁4Bを貫通する貫通穴4Dが形成される。底壁4Bには、貫通穴4Dを取り囲みつつ中心軸Jに沿って下側Z2へ延び出た管状の支持軸13が設けられる。支持軸13は、外槽3の底壁3Bの貫通穴3Eに挿通されて、支持軸13の下端部は、底壁3Bよりも下側Z2に位置する。
【0023】
回転翼5は、いわゆるパルセータであり、中心軸Jを円中心とする円盤状に形成され、洗濯槽4内において底壁4Bに沿って洗濯槽4と同心状に配置される。回転翼5において洗濯槽4の出入口4Cを下側Z2から臨む上面には、放射状に配置される複数の羽根5Aが設けられる。回転翼5には、その円中心から中心軸Jに沿って下側Z2へ延びる回転軸14が設けられる。回転軸14は、支持軸13の中空部分に挿通されて、回転軸14の下端部は、外槽3の底壁3Bよりも下側Z2に位置する。
【0024】
モータ6は、筐体2内において、外槽3の下側Z2に配置される。モータ6は、中心軸Jを中心として回転する出力軸15を有する。伝達機構7は、支持軸13及び回転軸14のそれぞれの下端部と、出力軸15の上端部との間に介在される。伝達機構7は、モータ6が出力軸15から出力する駆動力を、支持軸13及び回転軸14の一方又は両方に対して選択的に伝達する。伝達機構7として、公知のクラッチなどが用いられる。
【0025】
モータ6からの駆動力が支持軸13に伝達されると、洗濯槽4が中心軸Jまわりに回転する。モータ6からの駆動力が回転軸14に伝達されると、回転翼5が中心軸Jまわりに回転する。モータ6の出力軸15の回転方向が変更できるので、洗濯槽4及び回転翼5のそれぞれは、一方向だけでなく、当該一方向とは反対の他方向にも回転できる。
【0026】
外槽3及び洗濯槽4への給水に関連して、洗濯機1は、蛇口(図示せず)からの水道水を洗濯槽4内に供給するための給水路20と、筐体2内で給水路20に合流した風呂水供給路22とをさらに含む。給水路20の一端(図示せず)は、筐体2の外に引き出されて、蛇口に接続される。給水路20の他端は、筐体2内に配置されて、給水口20Aとして洗濯槽4の出入口4Cに上側Z1から臨む。給水路20において、筐体2の外に配置される上流部20Bと、筐体2内に配置されて給水口20Aを有する下流部20Cとは分離可能であってもよく、この場合、上流部20Bと下流部20Cとは、ジョイント(図示せず)によって連結される。下流部20Cには、開閉可能な給水弁23が設けられる。給水弁23は、電磁弁などによって構成される。給水弁23が開くと、蛇口からの水道水が給水路20を流れて、給水口20Aから洗濯槽4内に供給され、外槽3内及び洗濯槽4内に溜まる。給水弁23が閉じると、水道水による給水が停止される。
【0027】
風呂水供給路22に関連して、筐体2の上面2Aには、風呂水を取り込むための取込口35が設けられる。風呂水供給路22の一端22Aは、取込口35に接続され、風呂水供給路22の他端22Bは、給水路20において給水弁23よりも給水口20Aに近い下流領域20Dに接続される。取込口35は、上面2Aつまり筐体2の表面に露出された穴である。取込口35は、筐体2に形成された穴を指してもよいし、この穴から露出される一端22Aの開口を指してもよい。
【0028】
取込口35には、市販される外付けの風呂水ポンプ40を取り付けることができる。風呂水ポンプ40は、電動のポンプである。風呂水ポンプ40は、一端が風呂水に浸けられて他端が取込口35に接続されるホース41も有する。風呂水ポンプ40が駆動されると、筐体2の外の風呂水が、ホース41内に吸い込まれて、取込口35において風呂水供給路22に取り込まれる。風呂水供給路22に取り込まれた風呂水は、給水路20の下流領域20Dに供給された後に、給水口20Aから洗濯槽4内に供給される。風呂水ポンプ40が停止すると、風呂水による給水が停止される。
【0029】
洗濯機1は、マイコンなどによって構成された制御部50と、制御部50に接続されて筐体2の外に引き出されたケーブル51とをさらに含む。ケーブル51は、信号線及び電力供給線の少なくともいずれかを含む。制御部50には、モータ6、伝達機構7、表示操作部10、排水弁12及び給水弁23のそれぞれが電気的に接続される。風呂水ポンプ40が取込口35に取り付けられた場合には、使用者によってケーブル51が風呂水ポンプ40に接続されることによって、風呂水ポンプ40も制御部50に対して電気的に接続される。
【0030】
制御部50は、モータ6、伝達機構7、排水弁12、給水弁23及び風呂水ポンプ40の動作を制御することによって洗濯運転を実行する。洗濯運転は、洗濯槽4内の洗濯物Qを洗う洗い工程と、洗い工程の後に洗濯物Qをすすぐすすぎ工程と、すすぎ工程後に洗濯物Qを脱水する脱水工程とを含む。すすぎ工程は、複数回実行されてもよく、最後のすすぎ工程を最終すすぎ工程という。脱水工程は、洗い工程やすすぎ工程の直後に実行される中間脱水工程と、洗濯運転の最後に実行される最終脱水工程とを含む。
【0031】
洗い工程では、制御部50は、まず、排水弁12を閉じた状態で給水弁23を所定時間開くことによって洗濯槽4内に給水する(
図1の破線矢印を参照)。なお、制御部50は、給水時において、給水弁23を開くのでなく、風呂水ポンプ40を駆動させることによって風呂水を洗濯槽4内に供給してもよい。給水の前又は後のタイミングにおいて、使用者は、扉9を開いて洗剤を出入口4Cから洗濯槽4内に投入してもよい。
【0032】
洗濯槽4内の水位が所定水位まで上昇すると、制御部50は、給水を停止した後にモータ6及び伝達機構7を制御することによって、回転翼5を回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qは、撹拌されたり、洗剤によって汚れが分解されたりすることによって洗浄される。最後に、制御部50は、排水弁12を開くことによって洗濯槽4を排水する。
【0033】
すすぎ工程では、制御部50は、まず、排水弁12を閉じた状態で給水弁23を所定時間開くことによって、水道水を洗濯槽4内に溜める。給水を終えた制御部50は、モータ6及び伝達機構7を制御することによって、回転翼5を回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qがすすがれる。特に、最終すすぎ工程では、給水の前又は後のタイミングにおいて、使用者は、扉9を開いて柔軟剤を出入口4Cから洗濯槽4内に投入してもよい。柔軟剤は、洗濯物Qに染み渡る。最後に、制御部50は、洗濯槽4を排水する。
【0034】
脱水工程では、制御部50は、排水弁12を開いた状態でモータ6及び伝達機構7を制御することによって、洗濯槽4を所定の脱水回転数で回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qは、遠心力が作用することによって脱水される。なお、中間脱水工程と最終脱水工程とでは、運転条件が異なってもよく、一例として、最終脱水工程の脱水回転数は、中間脱水工程の脱水回転数よりも高くてもよい。
【0035】
以上のように、洗濯機1では、給水路20から洗濯槽4内に供給された水道水を用いて洗濯槽4内の洗濯物Qを洗濯することができるし、風呂水を用いて洗濯物Qを洗濯することもできる。なお、風呂水を用いない場合には、風呂水ポンプ40のホース41は、取込口35に取り付けられなくてもよい。
【0036】
使用者が、洗剤や柔軟剤などの洗濯用の処理剤を洗濯槽4内に自動投入したい場合も想定される。その場合には、風呂水ポンプ40のホース41が使用者によって取込口35から取り外され、
図2に示す処理剤供給部52が洗濯機1の筐体2の外から取込口35に装着される。処理剤供給部52は、例えばねじ止めによって取込口35に装着される。なお、
図2では、給水路20の一部である上流部20B(
図1参照)の図示が省略される。処理剤供給部52は、洗濯機1に含まれる付属部品である。取込口35に装着された処理剤供給部52は、処理剤を取込口35から風呂水供給路22に供給する。つまり、処理剤供給部52は、外付けの処理剤供給装置である。
【0037】
処理剤供給部52は、処理剤を収容するボックス状又はタンク状の収容部53と、収容部53と取込口35とをつなぐ接続路54と、接続路54を開閉する電動の開閉部55とを有する。この実施形態における収容部53は、洗剤を収容する洗剤収容部53Aと、柔軟剤を収容する柔軟剤収容部53Bとを有する。
【0038】
洗剤収容部53A及び柔軟剤収容部53Bのそれぞれの上面部には、開閉可能又は着脱可能な蓋56が設けられる。使用者は、洗剤収容部53Aの蓋56を開いたり取り外したりすると、洗剤収容部53Aの内部が露出されるので、使用者は、洗剤を洗剤収容部53A内に補充することができる。洗剤収容部53A内には、洗濯運転を複数回数実施できる量の洗剤を収容することができる。洗剤の補充を終えた使用者は、蓋56を閉じたり洗剤収容部53Aに取り付けたりする。使用者は、洗剤収容部53Aと同様の手順によって、柔軟剤収容部53Bに柔軟剤を補充することができる。
【0039】
接続路54は、取込口35から少なくとも上側Z1へ延びる合流路54Aを有し、合流路54Aから第1分岐路54Bと第2分岐路54Cとに分岐する。第1分岐路54Bは、少なくとも上側Z1へ延びて洗剤収容部53Aの下端部につながる。第2分岐路54Cは、少なくとも上側Z1へ延びて柔軟剤収容部53Bの下端部につながる。洗剤収容部53Aに収容された洗剤は、自重によって第1分岐路54Bにも存在する。柔軟剤収容部53Bに収容された柔軟剤は、自重によって第2分岐路54Cにも存在する。
【0040】
開閉部55は、電磁弁などによって構成される。開閉部55は、接続路54の合流路54Aに設けられる。この実施形態における開閉部55は、合流路54Aと第1分岐路54Bと第2分岐路54Cとに別々につながる多方弁であり、第2分岐路54Cを閉じた状態で第1分岐路54Bを開いて洗剤収容部53A内の洗剤だけを合流路54Aに流したり、第1分岐路54Bを閉じた状態で第2分岐路54Cを開いて柔軟剤収容部53B内の柔軟剤だけを合流路54Aに流したりする。なお、開閉部55は、多方弁でなく、第1分岐路54B及び第2分岐路54Cのそれぞれに個別で設けられて、対応する分岐路だけを開閉してもよい。
【0041】
使用者は、処理剤供給部52を取込口35に装着する際に、それまで風呂水ポンプ40(
図1参照)につながった状態にあったケーブル51を風呂水ポンプ40から外して処理剤供給部52につなぐ。これにより、洗濯機1の制御部50と開閉部55とが電気的に接続される。制御部50は、開閉部55に信号を送ったり、開閉部55への通電、つまり開閉部55のON・OFFを制御したりすることによって、開閉部55の動作を制御する。
【0042】
処理剤供給部52が取込口35に装着された場合の洗濯運転の洗い工程では、制御部50は、まず、排水弁12を閉じた状態で給水弁23を所定時間開くことによって洗濯槽4内に給水する(
図2の破線矢印を参照)。その際、制御部50は、処理剤供給部52の開閉部55を制御して開閉部55によって接続路54の第1分岐路54Bを所定時間開く。これにより、接続路54において第1分岐路54Bと合流路54Aとの間が開通するので、処理剤供給部52では、洗剤収容部53A内における洗濯運転1回分の洗剤が、合流路54Aから風呂水供給路22に供給される。風呂水供給路22に供給された洗剤は、給水路20の下流領域20Dを流れる水道水に乗って洗濯槽4内に供給される。
【0043】
洗濯槽4内の水位が所定水位まで上昇すると、制御部50は、給水を停止した後にモータ6及び伝達機構7を制御することによって、回転翼5を回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qは、撹拌されたり、洗剤によって汚れが分解されたりすることによって洗浄される。最後に、制御部50は、排水弁12を開くことによって洗濯槽4を排水する。
【0044】
すすぎ工程では、制御部50は、まず、排水弁12を閉じた状態で給水弁23を所定時間開くことによって、水道水を洗濯槽4内に溜める。次に、制御部50は、モータ6及び伝達機構7を制御することによって、回転翼5を回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qがすすがれる。特に、最終すすぎ工程では、制御部50は、処理剤供給部52の開閉部55を制御して開閉部55によって接続路54の第2分岐路54Cを所定時間開く。これにより、接続路54において第2分岐路54Cと合流路54Aとの間が開通するので、処理剤供給部52では、柔軟剤収容部53B内における洗濯運転1回分の柔軟剤が、合流路54Aから風呂水供給路22に供給される。風呂水供給路22に供給された柔軟剤は、給水路20の下流領域20Dを流れる水道水に乗って洗濯槽4内に供給される。その後、回転翼5が回転することにより、洗濯槽4内で柔軟剤が洗濯物Qに染み渡る。最後に、制御部50は、洗濯槽4を排水する。
【0045】
脱水工程では、前述したように、制御部50は、排水弁12を開いた状態でモータ6及び伝達機構7を制御することによって、洗濯槽4を所定の脱水回転数で回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qは、遠心力が作用することによって脱水される。脱水工程の終了に応じて洗濯運転が終了すると、使用者は、処理剤供給部52を取込口35に装着したままにしてもよいし、処理剤供給部52を取込口35から離脱させてもよい。
【0046】
以上のように、洗濯機1では、取込口35や風呂水供給路22といった風呂水に関する構成を、洗濯槽4内への風呂水の供給だけでなく、洗濯槽4内への処理剤の自動投入にも利用できるので、この構成の有効利用を図れる。この場合には、使用者は、手作業で洗浄剤を洗濯槽4内に投入せずに済む。
【0047】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0048】
例えば、処理剤供給部52は、この実施形態では洗剤及び柔軟剤の両方を供給するが、洗剤及び柔軟剤のどちらか一方だけを供給してもよく、その場合の収容部53は、洗剤収容部53A及び柔軟剤収容部53Bのどちらか一方だけを有する。
【0049】
洗濯機1では、処理剤を収容する別の処理剤収容部(図示せず)が、給水路20の途中に設けられてもよい。この場合には、給水時に処理剤収容部内の処理剤が水に乗って洗濯槽4内に投入される。洗濯機1では、この処理剤収容部と外付けの処理剤供給部52とを使い分けることによって、複数種類の処理剤を使い分けて洗濯することができる。
【0050】
洗濯機1は、処理剤供給部52から供給される処理剤を吸い込んで洗濯槽4側へ吐出する処理剤ポンプ(図示せず)をさらに含んでもよい。処理剤ポンプは、処理剤供給部52の接続路54又は風呂水供給路22に設けられる。制御部50は、開閉部55の開度や当該処理剤ポンプの動作を制御することによって、洗濯槽4内への処理剤の供給量を調整することができる。
【0051】
また、洗濯機1は、取込口35への処理剤供給部52の着脱を検出するセンサなどの検出部(図示せず)を含んでもよい。その場合、検出部は、制御部50に対して電気的に接続されて検出結果を制御部50にリアルタイムで入力する。検出部が取込口35への処理剤供給部52の装着を検出すると、制御部50は、処理剤供給部52の存在を自動判別する。これに応じて、制御部50は、処理剤供給部52から供給される洗剤や柔軟剤を使用して洗濯運転を実行する。そのため、制御部50は、この洗濯運転において、前述したように開閉部55によって接続路54を開いて処理剤供給部52から風呂水供給路22に洗剤や柔軟剤を選択的に供給する。検出部が取込口35への処理剤供給部52の装着を検出しない場合には、制御部50は、処理剤を用いずに、又は、使用者によって手動投入された処理剤を用いて洗濯運転を実行する。
【0052】
また、使用者は、表示操作部10を操作することによって、処理剤供給部52の処理剤を使用して洗濯するかを選択することができてもよい。制御部50は、この選択に沿って、処理剤を洗濯槽4内に投入したり、投入しなかったりする。
【0053】
制御部50は、前述した実施形態では、本来は風呂水ポンプ40用であるケーブル51を介して処理剤供給部52と接続されることによって、処理剤供給部52を制御する。処理剤供給部52と制御部50とをつなぐ専用のケーブルを、ケーブル51とは別に設けてもよい。または、制御部50と処理剤供給部52とが無線通信可能に接続されてもよく、その場合には、ケーブルを用いずに、制御部50は、無線によって処理剤供給部52を制御してもよい。この場合、処理剤供給部52は、電池を内蔵して、この電池によって駆動されてもよい。
【0054】
洗濯機1は、処理剤供給部52を装着するための装着口を、取込口35とは別に備えてもよい。この場合の洗濯機1は、処理剤供給部52からの処理剤を装着口から洗濯槽4内に供給する専用の供給路を、風呂水供給路22とは別に備えてもよい。風呂水供給路22は、給水路20に合流せずに、風呂水を洗濯槽4内に直接供給してもよい。
【0055】
洗濯機1は、この実施形態では洗濯槽4が縦に配置された縦型洗濯機であったが、洗濯槽4の中心軸Jは、上下方向Zつまり垂直方向に沿って配置される以外に、垂直方向に対して傾斜して配置されてもよい。さらに、洗濯機1は、中心軸Jが水平になったドラム式洗濯機であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 洗濯機
2 筐体
4 洗濯槽
22 風呂水供給路
35 取込口
50 制御部
51 ケーブル
52 処理剤供給部
53 収容部
53A 洗剤収容部
53B 柔軟剤収容部
54 接続路
54B 第1分岐路
54C 第2分岐路
55 開閉部
Q 洗濯物