(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用の負極活物質、負極およびリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/587 20100101AFI20240604BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240604BHJP
C01B 32/205 20170101ALI20240604BHJP
【FI】
H01M4/587
H01M4/36 A
C01B32/205
(21)【出願番号】P 2022557958
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(86)【国際出願番号】 KR2021014881
(87)【国際公開番号】W WO2022092710
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0142661
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ジュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】サン・ウク・ウ
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-023634(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0076504(KR,A)
【文献】特開平08-026709(JP,A)
【文献】国際公開第2013/058347(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2124948(KR,B1)
【文献】国際公開第2019/035580(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00-4/62
C01B 32/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径(D
50)の異なる炭素系1次粒子が造粒化された人造黒鉛2次粒子からなっており、
前記炭素系1次粒子は、平均粒径(D
50)がaである粒子群と平均粒径(D
50)がbである粒子群とを含み、b<0.6aであ
り、
前記aは11μm~15μmである、リチウム二次電池用の負極活物質。
【請求項2】
タップ密度が1.1g/cc以上である、請求項1に記載のリチウム二次電池用の負極活物質。
【請求項3】
タップ密度が1.2g/cc~1.4g/ccである、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用の負極活物質。
【請求項4】
平均粒径がcである粒子群をさらに含み、c<bである、請求項1から
3の何れか一項に記載のリチウム二次電池用の負極活物質。
【請求項5】
c<0.4aである、請求項
4に記載のリチウム二次電池用の負極活物質。
【請求項6】
c<0.6bである、請求項
5に記載のリチウム二次電池用の負極活物質。
【請求項7】
前記負極活物質粒子の平均粒径(D
50)は10μm~25μmである、請求項1から
6の何れか一項に記載のリチウム二次電池用の負極活物質。
【請求項8】
前記2次粒子は、前記1次粒子の間に位置する接着バインダーを含む、請求項1から
7の何れか一項に記載のリチウム二次電池用の負極活物質。
【請求項9】
前記炭素系1次粒子は、石油系コークス、ピッチコークスおよびニードルコークスからなる群から選択された1種または2種以上の組み合わせである、請求項1から
8の何れか一項に記載のリチウム二次電池用の負極活物質。
【請求項10】
請求項1から
9の何れか一項に記載のリチウム二次電池用の負極活物質を含む、負極。
【請求項11】
請求項1から
9の何れか一項に記載のリチウム二次電池用の負極活物質を含む、リチウム二次電池。
【請求項12】
グリーンコークスではない、平均粒径(D
50)が異なる炭素系1次粒子を混合するステップと、
接着バインダーを混合して2次粒子を形成するステップと、
2次粒子を黒鉛化するステップとを含む、リチウム二次電池用の負極活物質の製造方法。
【請求項13】
前記炭素系1次粒子は、平均粒径(D
50)がaである粒子群と平均粒径(D
50)がbである粒子群とを含み、
平均粒径(D
50)がaである粒子群と平均粒径(D
50)がbである粒子群との混合割合は、重量を基準にして2:1~1:2である、請求項
12に記載のリチウム二次電池用の負極活物質の製造方法。
【請求項14】
平均粒径(D
50)がcである粒子群をさらに含み、
前記平均粒径(D
50)がcである粒子群は、平均粒径(D
50)がaである粒子群と平均粒径(D
50)がbである粒子群の総重量100重量部に対して5~25重量部で混合される、請求項
13に記載のリチウム二次電池用の負極活物質の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年10月30日付の韓国特許出願第10-2020-0142661号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、リチウム二次電池用の負極活物質、負極およびリチウム二次電池に関するものであって、より詳細には、負極活物質のタップ密度が高くなることで負極の接着力、圧延率が向上され得るリチウム二次電池用の負極活物質、負極およびリチウム二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0003】
化石燃料の使用が急激に増すことにより、代替エネルギーやクリーンエネルギーの使用に対する要求が増加しており、その一環として最も活発に研究されている分野が電気化学反応を利用した発電、蓄電分野である。
【0004】
現在、このような電気化学的エネルギーを用いる電気化学素子の代表的な例としては、二次電池を挙げることができ、その使用領域がますます拡大されている情勢である。最近では、携帯用コンピュータ、携帯電話、カメラなどの携帯機器に対する技術開発と需要が増加するにつれて、エネルギー源としての二次電池の需要が急激に増している。一般的に、二次電池は、正極、負極、電解質、および分離膜から構成される。負極は、正極から出るリチウムイオンを挿入し脱離させる負極活物質を含み、上記負極活物質としては、黒鉛系活物質、例えば天然黒鉛または人造黒鉛が使用され得る。
【0005】
上記人造黒鉛は主に2次粒子の形態で使用される。そのために、一般的に1次粒子の材料であるコークスを造粒化して2次粒子の形態に製造した後、熱処理を通じて黒鉛化させて2次粒子の形態の人造黒鉛が得られる。
【0006】
ただし、1次粒子の大きさが制御されない上記通常の製造方法に従うとき、2次粒子形態の人造黒鉛は、不規則な形状に起因してタップ密度を高めることに限界があり(1.1g/cc未満)、タップ密度が低いと負極形成用スラリーの固形分の含量が低くならざるを得ず、これは電極製造工程上の接着力低下、圧延率の減少という問題を引き起こした。
【0007】
そこで、人造黒鉛のタップ密度を高めるために、1次粒子と2次粒子を混合する方案が提案されたこともあったが、これには負極の配向度が高くなって、スウェリングや急速充電性能が低下するという問題があった。
【0008】
韓国公開特許第2020-0076504号公報は、粒径を制御したグリーンコークスを用いた負極活物質が二次電池の放電容量と充放電効率を向上させ、高速放電および充電出力特性も向上させる技術を開示している。しかし、上記技術はグリーンコークスを原料として使用するため、2次粒子を炭化する追加工程を必要とする短所がある。
【0009】
したがって、従来の人造黒鉛製造の工程に従い、かつ別途の追加工程がなくてもタップ密度を向上させることができる技術開発が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するために案出されたものであって、従来の2次粒子人造黒鉛の製造工程に別途の工程を追加することなくタップ密度を向上させた、リチウム二次電池用の負極活物質を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るリチウム二次電池用の負極活物質は、平均粒径(D50)が異なる炭素系1次粒子が造粒化された人造黒鉛2次粒子からなり、上記炭素系1次粒子は、平均粒径(D50)がaである粒子群と平均粒径(D50)がbである粒子群を含み、b<0.6aである。
【0012】
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池用の負極活物質は、タップ密度が1.1g/cc以上であり、好ましくは1.2~1.4g/ccである。
【0013】
本発明の一実施形態において、上記aは11~15μmである。
【0014】
本発明の一実施形態において、上記炭素系1次粒子は、平均粒径がcである粒子群をさらに含み、c<bである。
【0015】
本発明の一実施形態において、c<0.4aである。
【0016】
本発明の一実施形態において、c<0.6bである。
【0017】
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池用の負極活物質は、平均粒径(D50)が10~25μmである。
【0018】
本発明の一実施形態において、上記2次粒子は上記1次粒子の間に位置する接着バインダーを含む。
【0019】
本発明の一実施形態において、上記炭素系1次粒子は、石油系コークス、ピッチコークスおよびニードルコークスからなる群から選択された1種または2種以上の組み合わせである。
【0020】
本発明は、上記リチウム二次電池用の負極活物質を含む負極を提供する。
【0021】
本発明は、上記リチウム二次電池用の負極活物質を含むリチウム二次電池を提供する。
【0022】
本発明に係るリチウム二次電池用の負極活物質の製造方法は、平均粒径(D50)が異なる炭素系1次粒子を混合するステップと、接着バインダーを混合して2次粒子を形成するステップと、上記2次粒子を黒鉛化するステップとを含む。
【0023】
本発明の一実施形態において、上記炭素系1次粒子は、平均粒径(D50)がaである粒子群と、平均粒径(D50)がbである粒子群とを含み、平均粒径(D50)がaである粒子群と平均粒径(D50)がbである粒子群の混合割合は、重量を基準にして2:1~1:2である。
【0024】
本発明の一実施形態において、上記炭素系1次粒子は、平均粒径(D50)がcである粒子群をさらに含み、上記平均粒径(D50)がcである粒子群は平均粒径(D50)がaである粒子群と平均粒径(D50)がbである粒子群との総重量100重量部に対して5~25重量部で混合される。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、平均粒径の異なる炭素系1次粒子から2次粒子を造粒化することで、相対的に平均粒径の大きい1次粒子群によって形成された空隙内に、相対的に平均粒径の小さい1次粒子群が充填されることによって、タップ密度が画期的に高くなるので、負極の接着力および高温貯蔵の性能に優れた効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明について詳細に説明する。その前に、本明細書および特許請求の範囲で使用された用語または単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者が彼自身の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義し得るという原則に立脚して、本発明の技術的思想に合致する意味と概念として解釈されるべきである。
【0027】
本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、本明細書に記載の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解されるべきである。
【0028】
本明細書においてD50は、粒子の粒度分布曲線において、体積累積量の50%に該当する粒径として定義し得る。Dmaxは上記粒度分布曲線に現れる粒径のうちの最大の粒径として定義することができ、Dminは上記粒度分布曲線に現れる粒径のうちの最小の粒径として定義することができる。上記D50、DminおよびDmaxは、例えば、レーザー回折法(laser diffraction method)を通じて導出される粒度分布図(Partice Size Distrubition:PSD)を用いて測定し得る。上記レーザー回折法は、一般的に、サブミクロン(submicron)領域から数mm程度の粒径の測定が可能であり、高再現性および高分解性の結果が得られる。
【0029】
本明細書においてタップ密度は、負極活物質粒子40gを容器に入れ、1000回タップ(tapping)して計算された密度であり得る。
【0030】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0031】
<リチウム二次電池用の負極活物質>
本発明に係るリチウム二次電池用の負極活物質は、平均粒径(D50)が異なる炭素系1次粒子が造粒化された人造黒鉛2次粒子からなり、上記炭素系1次粒子は平均粒径(D50)がaである粒子群と平均粒径(D50)がbである粒子群を含み、b<0.6aである。
【0032】
本発明の明細書において、上記「1次粒子(initial particle)」という用語は、ある粒子から他の種類の粒子が形成されるときの元の粒子を意味し、複数の1次粒子が集合、結合または造粒化して2次粒子を形成し得る。
【0033】
本発明の明細書において、上記「2次粒子(secondary particles)」という用語は、個々の1次粒子が集合、結合または造粒化して形成された、物理的に分別し得る大きな粒子を意味する。
【0034】
本発明の明細書において、上記用語1次粒子の「造粒化」というのは、1次粒子の複数個が自発的または人為的に凝集したり固まったりして1次粒子からなる集合体を成すことで、2次粒子化される過程を意味するものであって、集合または結合などの用語と同じ意味として混用され得る。
【0035】
上記炭素系1次粒子は、例えば、石油系コークス、ピッチコークス、およびニードルコークスからなる群から選択された1種または2種以上の組み合わせを含む。
【0036】
本発明では、2次粒子の人造黒鉛からなる負極活物質のタップ密度を向上させるために、炭素系1次粒子の粒径を制御した。本発明では、平均粒径(D50)が互いに異なる1次粒子を造粒することで、粒子と粒子との間に形成された内部空隙を減らしてタップ密度を向上させた。本発明の発明者らは、炭素系1次粒子が、平均粒径(D50)がaである粒子群と平均粒径(D50)がbである粒子群とを含み、特にb<0.6aである条件を満たすとき、2次粒子である人造黒鉛のタップ密度が1.1g/cc以上に高くなることを見出し、本発明に至ることになった。
【0037】
本発明の一具現例によると、平均粒径(D50)がaである粒子群と平均粒径(D50)がbである粒子群の各粒径および混合割合を制御することで、タップ密度が1.2~1.4g/ccであるリチウム二次電池用の負極活物質を提供し得る。そして、このようにタップ密度が1.1g/cc以上である負極活物質を用いて負極形成用スラリーを製造する場合には、スラリー内固形分の含量を56wt%以上に製造し得る。それにより、乾燥過程でのバインダーの移動(migration)が抑制されるに従って、負極と集電体との間の接着力を改善することができ、電極の厚さが減少されて、圧延工程時の圧延率および電極の損傷が減少し、高温貯蔵の性能が向上され得る。
【0038】
本発明の一具現例によると、上記平均粒径(D50)がaである粒子群の平均粒径aは11~15μm、好ましくは12~13μmである。
【0039】
本発明の一具現例によると、上記炭素系1次粒子は、平均粒径(D50)がaである粒子群と平均粒径(D50)がbである粒子群の他に、平均粒径がcである粒子群を追加でさらに含むことができ、このとき上記cは上記bより小さい。平均粒径がcである粒子群をさらに含むことで、上記平均粒径(D50)がaである粒子群と、平均粒径(D50)がbである粒子群が形成する微細孔隙内に上記平均粒径がcである粒子群が充填されることができ、これによりタップ密度がさらに向上され得るのである。このとき、タップ密度の向上効果を極大化させるためには、c<0.4aであることが好ましく、c<0.6bの条件を満たすことがさらに好ましい。
【0040】
本発明の2次粒子は、上記のように粒子群の各粒径を制御した炭素系1次粒子が造粒化されて形成され得る。すなわち、上記2次粒子は、上記1次粒子が造粒化工程を通じて互いに凝集して形成された構造体であり得る。上記2次粒子は、上記1次粒子を凝集させる接着バインダーを含むことができる。上記接着バインダーは1次粒子の間に配置されて、上記1次粒子間に接着力を提供する。そして、これらが集合、結合、または造粒化して2次粒子を形成し得るようにすることができる。上記接着バインダーの具体的な例としては、石油系ピッチ、石炭系ピッチおよびメソフェーズピッチから選択される1種又は2種以上の組み合わせであり得る。
【0041】
このように炭素系1次粒子の粒径を制御して造粒化された人造黒鉛2次粒子は、平均粒径(D50)が10~25μmであり、好ましくは11~20μmであり得る。上記範囲を満たすと、負極活物質粒子が負極スラリー内に均一に分散され得る。また、電池の充電性能も改善され得る。
【0042】
<リチウム二次電池用の負極活物質の製造方法>
これに限定されるものではないが、本発明のリチウム二次電池用の負極活物質は、平均粒径(D50)が異なる炭素系1次粒子を混合するステップ、接着バインダーを混合して2次粒子を形成するステップ、2次粒子を黒鉛化するステップを含む。
【0043】
本発明の負極活物質の製造方法において、上記負極活物質を製造するための混合方法は、当分野で公知された通常の方法を用いて単純混合または機械的ミーリングによって混合し得る。例えば、単に乳鉢を用いて混合するか、ブレードまたはボールミルを用いて回転数100~1000rpmで回転させて機械的に圧縮応力を加えて混合し得る。
【0044】
上記平均粒径(D50)が異なる炭素系1次粒子を混合するステップは、1次粒子の粒径を制御するステップであって、平均粒径(D50)がaである粒子群と平均粒径(D50)がbである粒子群を準備して混合するステップを含む。平均粒径(D50)がaである粒子群と平均粒径(D50)がbである粒子群との混合割合は、重量を基準にして2:1~1:2であることが好ましい。上記混合割合を充たすときに、タップ密度の向上効果が最大化され得る。
【0045】
本発明の一実施形態において、上記平均粒径(D50)が異なる炭素系1次粒子を混合するステップは、平均粒径(D50)がaである粒子群と平均粒径(D50)がbである粒子群の他に追加で、平均粒径(D50)がcである粒子群を混合する過程をさらに含み得る。このとき、上記平均粒径(D50)がcである粒子群は、平均粒径(D50)がaである粒子群と平均粒径(D50)がbである粒子群の総重量100重量部に対して5~25重量部で混合されることが、タップ密度の向上効果が極大化され得るので、より好ましい。
【0046】
上記a、b、cの具体的な数値範囲および関係は、先で詳細に説明したので、これ以上の説明は省略する。
【0047】
上記接着バインダーを混合して2次粒子を形成するステップは、上記粒度が制御された炭素系1次粒子に接着バインダーを混合および撹拌することを含み得る。これにより、上記炭素系1次粒子が互いに凝集されて造粒化され得る。上記接着バインダーは石炭系ピッチまたは石油系ピッチであり得る。また、上記混合および撹拌は200~900℃で行われ得る。具体的には300~500℃で行われ得る。
【0048】
上記2次粒子を黒鉛化するステップは、上記炭素系1次粒子と接着バインダーが混合して形成された2次粒子を焼成により黒鉛化させる過程を含み得る。
【0049】
上記焼成は、2500℃~3500℃の温度、具体的には2800℃~3200℃の温度で加熱して行われ得る。このように焼成により黒鉛化された2次粒子は、その平均粒径(D50)が10~25μmであり得る。
【0050】
<負極>
本発明は、上述した負極活物質を含むリチウム二次電池用の負極を提供する。
【0051】
上記リチウム二次電池用の負極は、負極集電体および負極活物質層を含む。
【0052】
上記負極集電体は、当分野で一般的に使用される負極集電体が制限なく使用され得る。例えば、リチウム二次電池の化学的変化を誘発せずに高い導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、上記負極集電体は、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用され得る。
【0053】
上記負極集電体は、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用され得る。
【0054】
上記負極集電体は、一般的に3μm~500μmの厚さを有し得る。
【0055】
上記負極活物質層は、上記負極集電体上に形成される。
【0056】
上記負極活物質層は、上述した本発明の平均粒径(D50)が異なる炭素系1次粒子が造粒化された人造黒鉛2次粒子のリチウム二次電池用の負極活物質を含む。上記リチウム二次電池用の負極活物質は、負極活物質層100重量部に対して80重量部~99重量部で含まれ得る。
【0057】
上記負極活物質層は、上述したリチウム二次電池用の負極活物質の他に、バインダーおよび導電材のうちの少なくとも1種以上をさらに含み得る。
【0058】
上記バインダーは、導電材、活物質および集電体間の結合に助力する成分であって、通常、負極活物質層の100重量部を基準にして1重量部~30重量部で含まれ得る。
【0059】
上記バインダーは、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、またはこれらの2以上の組み合わせを含み得る。
【0060】
上記増粘剤としては、従来のリチウム二次電池に使用される全ての増粘剤が使用され得る。一例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)などがある。
【0061】
上記導電材は、負極活物質の導電性をさらに向上させるための成分であって、負極活物質層100重量部を基準として1重量部~30重量部で含まれ得る。
【0062】
上記導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維、フッ化炭素、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末、酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用され得る。市販されている導電材の具体例としては、アセチレンブラック系であるシェブロンケミカルカンパニー(Chevron Chemical Company)やデンカブラック(Denka Singapore Private Limited)、ガルフオイルカンパニー(Gulf Oil Company)製品など、ケトゼンブラック(Ketjenblack)、EC系(アルマックカンパニー(Armark Company)製品)、ブルカン(Vulcan)XC-72(キャボットカンパニー(Cabot Company)製品)、およびスーパー(Super)P(Timcal社製品)などがある。
【0063】
上記負極活物質層は、上述したリチウム二次電池用の負極活物質とバインダー、導電材および増粘剤から選択された少なくとも1種の添加剤を溶媒に混合して負極スラリーを製造し、上記負極スラリーを上記負極集電体に塗布、圧延、乾燥して製造され得る。
【0064】
上記溶媒は、水またはNMP(N-methyl-2-pyrrolidone)などの有機溶媒を含み得る。また、上記負極活物質、および選択的にバインダーおよび導電材などを含むときに、好ましい粘度となる量で使用され得る。例えば、リチウム二次電池用の負極活物質、および選択的にバインダー、増粘剤および導電材を含む固形分の濃度が50重量%~95重量%となるように含まれ得る。
【0065】
<リチウム二次電池>
また、本発明は、上述したリチウム二次電池用の負極を含むリチウム二次電池を提供する。
【0066】
上記リチウム二次電池は、上述したリチウム二次電池用の負極、リチウム二次電池用の正極および上記リチウム二次電池用の負極と上記リチウム二次電池用の正極との間に介在された分離膜を含み得る。
【0067】
具体的に、本発明のリチウム二次電池は、正極、リチウム二次電池用の負極およびリチウム二次電池用の正極とリチウム二次電池用の負極との間に介在された分離膜からなる電極構造体に本発明の非水電解液を注入して製造し得る。このとき、電極構造体を成す正極、負極および分離膜は、リチウム二次電池の製造に通常的に使用されるものが全て使用され得る。
【0068】
このとき、上記正極は、正極集電体上に正極活物質および、選択的にバインダー、導電材および溶媒などを含む正極活物質スラリーをコーティングした後、乾燥および圧延して製造することができる。
【0069】
上記正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば、特に制限されるものではない。例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、又はアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用され得る。
【0070】
上記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物であって、具体的には、コバルト、マンガン、ニッケル又はアルミニウムのような1種以上の金属とリチウムを含むリチウム複合金属酸化物を含み得る。より具体的には、上記リチウム複合金属酸化物は、リチウム-マンガン系酸化物(例えば、LiMnO2、LiMn2O4など)、リチウム-コバルト系酸化物(例えば、LiCoO2など)、リチウム-ニッケル系酸化物(例えば、LiNiO2など)、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物(例えば、LiNi1-YMnYO2(ここでは、0<Y<1)、LiMn2-ZNiZO4(ここでは、0<Z<2)など)、リチウム-ニッケル-コバルト系酸化物(例えば、LiNi1-Y1CoY1O2(ここでは、0<Y1<1)など)、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、LiCo1-Y2MnY2O2(ここでは、0<Y2<1)、LiMn2-Z1CoZ1O4(ここで、0<Z1<2)など)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、Li(NipCoqMnr1)O2(ここで、0<p<1、0<q<1) 、0<r1<1、p+q+r1=1)又はLi(Nip1Coq1Mnr2)O4(ここで、0<p1<2、0<q1<2、0<r2<2、p1+q1+r2=2)など)、またはリチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip2Coq2Mnr3Ms2)O2(ここで、MはAl、Fe、V、Cr、Ti、Ta、MgおよびMoからなる群から選択され、p2、q2、r3およびs2はそれぞれ独立的な元素の原子分率であって、0<p2<1、0<q2<1、0<r3<1、0<s2<1、p2+q2+ r3+s2=1である)など)などが挙げられ、これらのうちのいずれか1つ又は2つ以上の化合物が含まれ得る。このなかでも電池の容量特性および安定性を高めることができるという点で、上記リチウム複合金属酸化物は、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(例えば、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O2、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O2、又はLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)O2など)、又はリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O2など)などであり得る。また、リチウム複合金属酸化物を形成する構成元素の種類および含量比の制御による改善効果の顕著さを考慮すると、上記リチウム複合金属酸化物は、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O2、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O2、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)O2またはLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)O2などであり得る。また、これらのうちのいずれか1つまたは2つ以上の混合物が使用され得る。
【0071】
上記正極活物質は、それぞれの正極合剤の全体重量を基準として、80重量%~99重量%で含まれ得る。
【0072】
上記バインダーは、活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合に助力する成分であって、通常、正極合剤の全重重量を基準にして1~30重量%で添加される。そのようなバインダーの例としては、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、 ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンテルポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などが挙げられる。
【0073】
上記導電材は、通常、正極合剤全重の重量を基準にして、1~30重量%で添加される。
【0074】
このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどの炭素系物質、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維、フッ化炭素、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末、酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウイスカー、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、ポリフェニレン誘導体などの導電性材料などが使用され得る。市販されている導電材の具体的な例としては、アセチレンブラック系であるシェブロンケミカルカンパニー(Chevron Chemical Company)やデンカブラック(Denka Singapore Private Limited)、ガルフオイルカンパニー(Gulf Oil Company)製品など、ケトゼンブラック(Ketjenblack)、EC系(アルマックカンパニー(Armark Company)製品)、ブルカン(Vulcan)XC-72(キャボットカンパニー(Cabot Company)製品)、およびスーパー(Super)P(Timcal社製品)などがある。
【0075】
上記溶媒は、NMP(N-methyl-2-pyrrolidone)などの有機溶媒を含むことができ、上記正極活物質、および選択的にバインダーおよび導電材などを含むときに好ましい粘度となる量で使用され得る。
【0076】
上記リチウム二次電池において、セパレータは負極と正極を分離してリチウムイオンの移動通路を提供するものであって、通常リチウム二次電池でセパレータとして使用されるものであれば特に制限なく使用可能であり、特に、電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら電解液の含湿能力に優れたものが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体およびエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルム又はこれら2層以上の積層構造体が使用され得る。また、通常的な多孔性不織布、例えば、高融点ガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用され得る。また、耐熱性または機械的強度を確保するために、セラミック成分または高分子物質が含まれたコーティングされたセパレータが使用されることもあり、選択的に単層または多層構造で使用され得る。
【0077】
また、本発明で用いられる電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されない。
【0078】
具体的に、上記電解質は有機溶媒およびリチウム塩を含み得る。
【0079】
上記有機溶媒としては、電池の電気化学反応に関与するイオンが移動し得る媒質として役割を果たし得るものであれば、特に制限なく使用され得る。具体的に、上記有機溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、ガンマ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンなどのエステル系溶媒、ジブチルエーテル、またはテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、ベンゼン、フルオロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート系溶媒、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、R-CN(Rは、C2~C20の直鎖状、分岐状または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含み得る)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類、またはスルホラン(sulfolane)類などが使用され得る。このなかでもカーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能を高めることができる高いイオン伝導度および高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の線状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートなど)の混合物がより好ましい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは約1:1~約1:9の体積比で混合して使用することで電解液の性能がよりよく現れ得る。
【0080】
上記リチウム塩は、リチウム二次電池で使用されるリチウムイオンを提供し得る化合物であれば、特に制限なく使用され得る。具体的に、上記リチウム塩は、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlO4、LiAlCl4、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiN(C2F5SO3)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiCl、LilまたはLiB(C2O4)2などが使用され得る。上記リチウム塩の濃度は、0.1~2.0Mの範囲内で使用するのがよい。リチウム塩の濃度が上記範囲に含まれると、電解質が適切な導電率および粘度を有するので、優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動し得る。
【0081】
上記のように本発明に係るリチウム二次電池は、優れた放電容量、急速充電特性および容量維持率を安定的に示している。そのため、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなどの携帯機器、およびハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)などの電気自動車分野などに有用である。特に、中大型電池モジュールの構成電池として好適に使用され得る。したがって、本発明は、上記のような二次電池を単位電池として含む、中大型電池モジュールをも提供する。
【0082】
このような中大型電池モジュールは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、電力貯蔵装置などのような高出力、大容量が要求される動力源に好適に適用され得る。
【0083】
以下、本発明の理解を助けるために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は多様な異なる形態に変形され得る。そのため、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0084】
実施例1
コークス1次粒子を粉砕して、粉砕された粒子の平均粒径が13μmである粒子群(粒子群A)と粉砕された粒子の平均粒径が7μm(粒子群B)である粒子群を用意した。
【0085】
これらの粒子群Aおよび粒子群Bを1:1の重量比で混合した後、上記混合物100重量部に対して軟化点が120℃であるピッチを11重量部で混合した。その後、加熱可能な混合ミキサーを用いて3時間混合して2次粒子を製造した。
【0086】
その後、3000℃の温度で昇温して黒鉛化することで、平均粒径が18μmである負極活物質を製造した。
【0087】
実施例2
コークス1次粒子を粉砕し、粉砕された粒子の平均粒径が7μmである粒子群(粒子群B)と粉砕された粒子の平均粒径が4μm(粒子群C)である粒子群を用意して混合した。
【0088】
その後、上記実施例1と同じ方法で造粒および黒鉛化して平均粒径が12μmである負極活物質を製造した。
【0089】
実施例3
コークス1次粒子を粉砕し、粉砕された粒子の平均粒径が13μmである粒子群(粒子群A)、粉砕された粒子の平均粒径が7μm(粒子群B)である粒子群および粉砕された粒子の平均粒径が4μmである粒子群(粒子群C)を用意して混合した。このとき、粒子群Aと粒子群Bの混合割合は重量比を基準にして1:1であり、粒子群Cは粒子群Aおよび粒子群Bの総重量100重量部に対して20重量部を混合した。
【0090】
その後、上記実施例1と同じ方法で造粒および黒鉛化して平均粒径が15μmである負極活物質を製造した。
【0091】
比較例1
上記実施例1において、粒子群Aで造粒および黒鉛化して平均粒径が20μmである負極活物質を製造した。
【0092】
比較例2
上記実施例1において、粒子群Bで造粒および黒鉛化して平均粒径が15μmである負極活物質を製造した。
【0093】
比較例3
上記実施例1において、粒子群Cで造粒および黒鉛化して平均粒径が7μmである負極活物質を製造した。
【0094】
比較例4
上記比較例1の負極活物質と上記比較例3の負極活物質を1:1の重量比で混合した負極活物質を用意した。
【0095】
実験例1:タップ密度の測定
上記実施例1~実施例3、比較例1~比較例4の負極活物質粒子のそれぞれ40gを容器に入れて1000回タップ(tapping)してタップ密度を計算し、その結果を表1に示した。
【0096】
実験例2:負極接着力の評価
上記実施例1の負極活物質96重量部、カーボンブラック導電材0.5重量部およびSBRバインダー2.3重量部、CMC1.2重量部を蒸留水に分散して負極スラリーを製造した後、それを15μmである銅集電体に塗布および乾燥して負極を作製した。このとき、循環される空気の温度は110℃であった。次いで、圧延して130℃の真空オーブンで2時間乾燥した。
【0097】
実施例2~3および比較例1~4の各負極活物質については、上記と同じ方法で各負極を製造した。
【0098】
上記負極を20mm×150mmに打ち抜き、25mm×75mmスライドガラスの中央部にテープを用いて固定した後、UTMを用いて集電体を剥がしながら剥離強度を測定した。評価は5つ以上の剥離強度を測定して、その平均値とした。その結果を表1に示す。
【0099】
実験例3:電池の容量および高温寿命性能の評価
正極活物質としてLi[Ni0.6Mn0.2Co0.2]O2を用いた。上記正極活物質、導電材であるカーボンブラック、バインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を94:4:2の重量比で溶媒N-メチル-2ピロリドンに混合して正極スラリーを製造した。製造された正極スラリーを厚さ15μmである正極集電体のアルミニウム金属薄膜に塗布および乾燥した。このとき、循環される空気の温度は110℃であった。次に、圧延し、130℃の真空オーブンで2時間を乾燥して正極活物質層を含む正極を製造した。
【0100】
上記負極および上記製造された正極と多孔質ポリプロピレン分離膜とをスタッキング(Stacking)方式を用いて組み立てし、組み立てられた電池に電解液を注入してリチウム二次電池を製造した。
【0101】
その後、0.2C電流でSOC30%まで充電してリチウム二次電池を活性化させた後、CC/CVモード(4.2V、0.05Ccut-off)で充電、CCモード(0.2C電流、3.0Vcut-off )で放電を3回行った。その後、上記二次電池を45℃チャンバーにおいて1C電流で充放電を繰り返し、100回、200回、300回サイクルでの各容量維持率を評価し、その結果を表1に示した。表1の電池容量および高温寿命性能はそれぞれ300回サイクルでの残存容量、300回サイクルでの容量維持率を示し、容量維持率は下記式(1)に代入して算出した。
【0102】
式(1):容量維持率(%)=(高温充放電後の放電容量/初期の放電容量)×100
【0103】
【0104】
上記表1を参照すると、本発明の実施例1~実施例3の負極活物質が比較例1~比較例4の負極活物質と比べてタップ密度が画期的に向上した効果があり、これにより、実施例1~実施例3の負極活物質が適用された負極は、スラリー固形分の濃度が向上され得るので、バインダーの移動が抑制される。その結果、比較例1~比較例4の負極活物質が適用された負極と比べて接着力も向上される効果があることを確認し得る。
【0105】
また、実施例1~実施例3に係る負極活物質が適用された二次電池は、比較例と比べて高温寿命性能も優れている。これは、本発明に係る負極活物質が圧延性能に影響を及ぼし、負極と界面で発生する副反応が減少された結果に起因するものとして考えられる。
【0106】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであって、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正および変形が可能であると言える。したがって、本発明に開示された図面は、本発明の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、このような図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものとして解釈されるべきである。