(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】災害管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240604BHJP
【FI】
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2024003086
(22)【出願日】2024-01-12
【審査請求日】2024-01-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511212033
【氏名又は名称】株式会社ニュージャパンナレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【氏名又は名称】井上 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】笠原 宏文
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-210360(JP,A)
【文献】特開2023-084562(JP,A)
【文献】特開2008-292291(JP,A)
【文献】特開2014-067280(JP,A)
【文献】特開2006-338072(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第115409366(CN,A)
【文献】特開2007-158691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害発生時における被災場所の被災額算定用情報を入力可能な情報入力部、前記被災額算定用情報に対応する予め決められた演算式に基づいて前記被災場所の個別被災額を演算する
個別被災額演算部、及び、人工衛星を利用して被災位置情報を測定可能なGPS機能部を有する携帯情報処理端末と、
前記携帯情報処理端末から無線通信により前記
個別被災額と前記被災位置情報とを取得するとともに互いに紐付けて記憶する情報記憶部、及び、異なる前記各被災場所の前記個別被災額を集計して災害発生時における合計被災額を算定する合計被災額算定部を有するサーバーと、を備え
、
前記被災額算定用情報は、調査者が前記被災場所において実際に計測した情報である被災領域の寸法と、予め決められた選択項目から前記調査者がそれぞれ選んで入力する情報である工種、区分及び復旧工法と、で構成され、前記工種、前記区分及び前記復旧工法のうちの少なくとも1つの情報は、それ以外の情報で選択された選択項目に予め紐付けられた選択項目に絞られて選べるようになっており、
前記携帯情報処理端末及び前記サーバーの少なくとも一方には、前記個別被災額、前記被災位置情報、前記合計被災額、及び、前記被災額算定用情報が互いに紐づけられた状態で閲覧可能な情報表示部が設けられていることを特徴とする災害管理システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の災害管理システムにおいて、
動画又は静止画からなる画像を撮影可能な撮影部をさらに備え、
前記情報記憶部は、前記画像と前記被災位置情報とを互いに紐付けて記憶するように構成されていることを特徴とする災害管理システム。
【請求項3】
請求項
2に記載の災害管理システムにおいて、
前記情報表示部は、前記画像を閲覧可能
に構成されていることを特徴とする災害管理システム。
【請求項4】
請求項
1に記載の災害管理システムにおいて、
選択された前記被災場所の前記被災位置情報と前記GPS機能部において取得する現在位置情報、或いは、指定した位置情報との間における案内ルートを地図データ上において作成する案内ルート作成部をさらに備え、
前記情報表示部は、前記案内ルートが示された前記地図データを表示可能になっていることを特徴とする災害管理システム。
【請求項5】
請求項
2に記載の災害管理システムにおいて、
選択する前記被災場所の前記被災位置情報に基づいて地図データ上に目印を表示するとともに、対応する前記画像を前記地図データの所定の位置に貼り付けた閲覧用の被災状況資料データを作成する資料データ作成部をさらに備えていることを特徴とする災害管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然災害発生時における各被災場所の被災情報を管理する災害管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自然災害が発生した際、例えば、河川やため池等においては、各被災場所を迅速に調査してその被災状況を正確、且つ、効率的に知る必要があり、被災場所の調査漏れや所定の被災場所の調査を異なる調査員が異なるタイミングで実施して調査が重複するといった不正確、且つ、非効率な調査を行わないようにしなければならない。
【0003】
これに対応するために、例えば、特許文献1に開示されているシステムを導入して各被災場所の被災情報を管理することが考えられる。このシステムは、災害発生時においてGPS機能を有する携帯端末を用いて被災場所から被災情報報告メールをサーバーへと送信するようになっていて、被災情報報告メールを受け取ったサーバーは、被災場所を地図データ上に所定の目印で表示するとともに、その場所に被災情報を関連付けて被災状況提示画像として記憶するようになっている。そして、作成した被災状況提示画像は、携帯端末へと送信され、携帯端末の使用者は、各被災場所を正確に把握できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、各被災場所における復旧対策には、多くの費用が必要となるため、災害発生後、各市町村は、予め決められた短い期間において復旧に必要な概算費用を算定するとともに国に対して提出する必要がある。この概算費用の算定は、各被災場所へと調査員を派遣し、被災状況の調査結果を各調査員がそれぞれ持ち帰った後、各々の調査結果に対応する予め決められた演算式に基づいて被災場所の個別被災額を演算し、その後、各被災場所の個別被災額を集計して災害発生時における合計被災額を算定するのが一般的であって、多くの時間と手間が掛かるのが課題として挙げられるが、この課題に関しては、特許文献1の如きシステムを導入したとしても以前として解決することができない。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自然災害発生時において、各被災場所の復旧に必要な費用を、正確、且つ、効率良く算定可能な災害管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、各被災場所において調査員が調査した情報をその場で携帯情報処理端末に入力してサーバーに送信し、その情報に基づいてサーバーが被災額を演算するようにしたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、自然災害発生時における各被災場所の被災情報を管理する災害管理システムを対象とし、次のような対策を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明に係る災害管理システムは、災害発生時における被災場所の被災額算定用情報を入力可能な情報入力部、前記被災額算定用情報に対応する予め決められた演算式に基づいて前記被災場所の個別被災額を演算する個別被災額演算部、及び、人工衛星を利用して被災位置情報を測定可能なGPS機能部を有する携帯情報処理端末と、前記携帯情報処理端末から無線通信により前記個別被災額と前記被災位置情報とを取得するとともに互いに紐付けて記憶する情報記憶部、及び、異なる前記各被災場所の前記個別被災額を集計して災害発生時における合計被災額を算定する合計被災額算定部を有するサーバーと、を備え、前記被災額算定用情報は、調査者が前記被災場所において実際に計測した情報である被災領域の寸法と、予め決められた選択項目から前記調査者がそれぞれ選んで入力する情報である工種、区分及び復旧工法と、で構成され、前記工種、前記区分及び前記復旧工法のうちの少なくとも1つの情報は、それ以外の情報で選択された選択項目に予め紐付けられた選択項目に絞られて選べるようになっており、前記携帯情報処理端末及び前記サーバーの少なくとも一方には、前記個別被災額、前記被災位置情報、前記合計被災額、及び、前記被災額算定用情報が互いに紐づけられた状態で閲覧可能な情報表示部が設けられていることを特徴とする。
このように構成される災害管理システムでは、携帯情報処理端末を携帯した調査員が被災場所まで行き、その被災場所を調査して得た被災額算定用情報を情報入力部に入力すると、その被災場所における個別被災額が演算されるとともに、その被災場所の被災位置情報とともにサーバーに記憶されるように作用する。そして、各被災場所において調査が終了すると、各被災場所の個別被災額がサーバーにおいて合計されて合計被災額が算定されるように作用する。また、各被災場所に到着した調査員が、各被災場所の具体的な復旧領域の寸法を測定した後、その測定値に加えて被災場所の工種、区分及び復旧工法を情報入力部に入力するだけで個別被災額が演算されるように作用する。
【0011】
第2の発明に係る災害管理システムは、第1の発明において、動画又は静止画からなる画像を撮影可能な撮影部をさらに備え、前記情報記憶部は、前記画像と前記被災位置情報とを互いに紐付けて記憶するように構成されていることを特徴とする。
このように構成される災害管理システムでは、被災場所における被災状況の情報を画像付きで記録できるように作用する。
【0012】
第3の発明に係る災害管理システムは、第2の発明において、前記情報表示部は、前記画像を閲覧可能に構成されていることを特徴とする。
このように構成される災害管理システムでは、携帯情報処理端末又はサーバーにおいて、各被災場所の位置や被災状況を確認できるように作用する。
【0013】
第4の発明に係る災害管理システムは、第1の発明において、選択された前記被災場所の前記被災位置情報と前記GPS機能部において取得する現在位置情報、或いは、指定した位置情報との間における案内ルートを地図データ上において作成する案内ルート作成部をさらに備え、前記情報表示部は、前記案内ルートが示された前記地図データを表示可能になっていることを特徴とする。
このように構成される災害管理システムでは、携帯情報処理端末を携帯する調査員等が各被災場所にまで行く際に、道に迷うおそれがなくなるように作用する。
【0014】
第5の発明に係る災害管理システムは、第2の発明において、選択する前記被災場所の前記被災位置情報に基づいて地図データ上に目印を表示するとともに、対応する前記画像を前記地図データの所定の位置に貼り付けた閲覧用の被災状況資料データを作成する資料データ作成部をさらに備えていることを特徴とする。
このように構成される災害管理システムでは、災害発生後における会議等で情報を共有し易い資料を作成できるように作用する。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明の災害管理システムでは、携帯情報処理端末を携帯した調査員が被災場所まで行き、その被災場所を調査して得た被災額算定用情報を情報入力部に入力すると、その被災場所における個別被災額が演算されるとともに、その被災場所の被災位置情報とともにサーバーに記憶されるようになる。そして、各被災場所において調査が終了すると、各被災場所の個別被災額がサーバーにおいて合計されて合計被災額が算定されるようになる。このように、個別被災額が位置情報付きで記憶されるので、重複して合計されたり、合計被災額への加算漏れが無くなるようになり、正確な合計被災額を算定することができる。また、被災場所の状況を携帯情報処理端末に入力するだけで個別被災額が演算されるようになり、調査員が被災場所の状況を調査した後、持ち帰って個別被災額を演算する必要が無いので、効率良く合計被災額を算定することができる。
また、各被災場所に到着した調査員が、各被災場所の具体的な復旧領域の寸法を測定した後、その測定値に加えて被災場所の工種、区分及び復旧工法を情報入力部に入力するだけで個別被災額が演算されるようになる。したがって、個別被災額を演算するための情報を得るために各調査員が各被災場所において行う作業が必要最小限になり、各調査員が効率良く被災場所における被災状況の調査を行うことができる。
【0017】
第2の発明の災害管理システムでは、被災場所における被災状況の情報を画像付きで記録できるようになる。したがって、被災場所に行かなかった人が被災場所の被災状況を視覚的に確認することが可能になり、災害管理のし易いシステムにすることができる。
【0018】
第3の発明の災害管理システムでは、携帯情報処理端末又はサーバーにおいて、各被災場所の位置や被災状況を確認可能になる。したがって、災害発生時における各被災場所の状況を一元管理することができる。
【0019】
第4の発明の災害管理システムでは、携帯情報処理端末を携帯する調査員等が各被災場所にまで行く際に、道に迷うおそれがなくなる。したがって、農地やため池等の土地勘が無いと特定し難い被災場所であっても確実に到着することができる。
【0020】
第5の発明の災害管理システムでは、災害発生後における会議等で情報を共有し易い資料を作成できるようになる。したがって、被災場所に行かなかった人であっても資料を介して被災状況を容易に理解して災害対応を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例に係る災害管理システムのブロック図である。
【
図2】本発明の実施例に係る災害管理システムにおける携帯情報処理端末の動作を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例に係る携帯情報処理端末にて被災場所の情報を入力する画面の一例を示す図である。
【
図4】被災場所にて携帯情報処理端末に入力する情報の一覧を示す表である。
【
図5】被災場所における被災領域の寸法を測定している状況の一例を示す図である。
【
図6】被災場所における個別被災額の演算例を示す図である。
【
図7】本発明の実施例に係る災害管理システムにおけるサーバーの動作を示すフローチャートである。
【
図8】各被災場所の個別被災額を集計して合計被災額が算定された表と、各被災場所にそれぞれ目印が表示された地図とを示す。
【
図9】サーバーにて作成した閲覧用の被災状況資料データの一例を示す図である。
【
図10】被災場所までの案内ルートを地図データ上において作成した一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の好ましい実施例の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0023】
図1は、本発明の実施例に係る災害管理システム1のブロック図を示す。この災害管理システム1は、自然災害発生時における各被災場所D(
図5参照)の被災情報を管理するものであり、各被災場所Dにおいて被災状況を調査する調査員が使用する複数の携帯情報処理端末2と、各携帯情報処理端末2との間でデータの送受信が可能なサーバー3とで構成されている。
【0024】
携帯情報処理端末2は、災害管理システム1を作動させるプログラムが保存されており、情報入力部2a、個別被災額演算部2b、GPS機能部2c、撮影部2d、データ保存部2e、情報表示部2f及び案内ルート作成部2gを備えている。
【0025】
情報入力部2aは、自然災害が発生した時の被災場所Dの被災額算定用情報4を入力可能になっている。具体的には、
図3に示すように、携帯情報処理端末2における表示画面20において、調査日、調査者、箇所番号、所在地、工種、区分、復旧工法及び計測事項を入力可能になっている。工種、区分及び復旧工法については、
図4に示すように、それぞれ予め決められた選択項目から選んで入力するようになっている。例えば、工種について「農地」を選ぶと、区分について「田」と「畑」とが選べるようになり、復旧工法について「田」を選ぶと、「ブロック積」、「フトン篭」及び「排土」のいずれかを選べるようになっている。
【0026】
また、計測事項については、被災場所Dにおける被災領域の寸法を具体的に入力するようになっている。例えば、
図5に示すように、被災場所Dにおいて測定した復旧延長がL=5.0mで、復旧高がH=3.0mであったとすると、「復旧延長」欄に「5.0」を入力し、「復旧高」欄に「3.0」を入力するようになっている。
【0027】
個別被災額演算部2bは、被災額算定用情報4に対応する予め決められた演算式に基づいて被災場所Dの個別被災額を演算するようになっている。例えば、
図6に示すように、工種が「農地」、区分が「畑」、復旧工法が「排土」の場合、予め決められた演算式は、
・
被災額=排土量×単価(総合単価本体+機械小運搬単価)×120%
・排土量=排土延長(縦)×排土延長(横)×排土厚さ×排土形状
・総合単価本体:6,500円
・機械小運搬単価:1,500円
となっている。なお、排土形状は、排土が側方から見て明らかに三角形状をなす場合には、0.5mを掛けて計算するというものであり、通常は、1.0mを掛けて計算する。
被災場所を調査した結果、排土延長(縦):10m、排土延長(横):5.0m、排土厚さ:9.0m、及び、排土形状:0.5mであった場合、この被災場所の個別被災額は、
・個別被災額=(10m×5.0m×9.0m×0.5m)×(6,500円+1,500円)×1.2=2160(千円)
と演算されるようになっている。
【0028】
また、例えば、工種が「ため地」、区分が「なし」、復旧工法が「刃金土」の場合、予め決められた演算式は、
・被災額=210(千円)×堤長(m)×堤高(m)
となっている。被災場所を調査した結果、堤長:5.0m、堤高:10mであった場合、この被災場所の個別被災額は、
・個別被災額=210(千円)×5.0m×10m=10500(千円)
と演算されるようになっている。
【0029】
GPS機能部2cは、人工衛星を利用して被災位置情報を測定可能になっている。また、撮影部2dは、静止画又は動画からなる画像を撮影可能になっている。
データ保存部2eは、各種データを保存可能になっている。具体的には、情報入力部2aにて入力された被災額算定用情報4や、個別被災額演算部2bにて演算した個別被災額、さらには、GPS機能部2cにて測定した被災位置情報や、撮影部2dにて撮影した画像を保存可能になっている。
【0030】
情報表示部2fは、データ保存部2eにて保存されている、被災額算定用情報4、個別被災額、被災位置情報及び画像を表示画面20に表示して、調査員が閲覧できるようになっている。
また、案内ルート作成部2gは、GPS機能部2cにおいて取得する現在位置情報や指定した位置情報と、データ保存部3eにおいて既に登録されている各被災場所Dの被災位置情報との間における案内ルートRを地図データ5上において作成可能になっている。例えば、
図10に示すように、スタート位置を指定すると、それぞれ指定したスタート位置から被災場所Dまでの案内ルートRを作成し、情報表示部2fは、案内ルートRが示された地図データ5を表示画面20に表示するようになっている。
【0031】
サーバー3は、
図1に示すように、災害管理システム1を作動させるプログラムが携帯情報処理端末2と同様に保存されており、情報記憶部3a、合計被災額算定部3b、資料データ作成部3c及び情報表示部3dを備えている。
情報記憶部3aは、携帯情報処理端末2から無線通信により、被災額算定用情報4や個別被災額、さらには被災位置情報や画像を取得するとともに、個別被災額、被災位置情報及び画像を互いに紐付けて記憶するようになっている。
【0032】
合計被災額算定部3bは、
図8に示すように、異なる各被災場所の個別被災額を集計して災害発生時における合計被災額を算定するようになっている。
また、資料データ作成部3cは、
図9に示すように、選択する被災場所Dの被災位置情報に基づいて地図データ5上に目印を表示するとともに、対応する画像を地図データ5の周囲に貼り付けた閲覧用の被災状況資料データ6を作成するようになっている。
【0033】
情報表示部3dは、情報記憶部3aにて保存されている、被災額算定用情報4、個別被災額、被災位置情報及び画像をサーバー3の図示しないモニタ画面に表示して、調査員が閲覧できるようになっている。例えば、
図8に示すように、各被災場所Dに目印(番号)が付された地図データ5を表示したり、合計被災額が算定されたデータシートを表示できるようになっている。
【0034】
次に、本発明の実施例の災害管理システム1における携帯情報処理端末2の動作フローについて詳述する。
図2に示すように、まず、ステップSA1において、GPS機能部2cによって被災位置情報を測定するか、或いは、調査員によって入力された被災位置情報をデータ保存部2eに保存した後、ステップSA2に進む。
ステップSA2では、調査員によって入力された工種及び区分をデータ保存部2eに保存した後、ステップSA3に進む。
ステップSA3では、調査員によって入力された復旧工法をデータ保存部2eに保存した後、ステップSA4に進む。
【0035】
ステップSA4では、被災場所Dにおいて静止画又は動画の撮影が行われたか否かを判定する。このステップSA4の判定がYESのとき、すなわち、被災場所Dにおいて静止画又は動画の撮影が行われたと判定した場合には、ステップSA5に進んで撮影画像をデータ保存部2eに保存した後、ステップSA6に進む。
一方、ステップSA5の判定がNOのとき、すなわち、被災場所Dにおいて静止画又は動画の撮影が行われなかったと判定した場合には、そのままステップSA6に進む。
【0036】
ステップSA6では、調査員によって入力された被災領域の寸法をデータ保存部2eに保存した後、ステップSA7に進む。
ステップSA7では、データ保存部2eに保存された工種、区分及び復旧工法に対応する予め決められた演算式に基づいて被災場所Dの個別被災額を演算して、ステップSA8に進む。
ステップSA8では、データ保存部2eに保存された被災位置情報、個別被災額及び画像をサーバー3に送信して携帯情報処理端末2の処理を終了する。
【0037】
次に、本発明の実施例の災害管理システム1におけるサーバー3の動作フローについて詳述する。
図7に示すように、まず、ステップSB1において、携帯情報処理端末2から送信された被災位置情報、個別被災額及び画像を受信した後、ステップSB2に進む。
ステップSB2では、被災位置情報、個別被災額及び画像を紐付けて情報記憶部3aに保存した後、ステップSB3に進む。
【0038】
ステップSB3では、情報記憶部3aにおいて同じ被災位置情報のデータが既に保存されているか否かを判定する。このステップSB3の判定がYESのとき、すなわち、同じ被災位置情報のデータが既に保存されている場合には、ステップSB5に進んで図示しないモニタに警告表示を行ってサーバー3の処理を終了する。
一方、ステップSB3の判定がNOのとき、すなわち、同じ被災位置情報のデータが保存されていない場合には、ステップSB4に進む。
【0039】
ステップSB4では、サーバー3が各携帯情報処理端末2から新たな被災場所Dのデータを受け取ったか否かを判定する。このステップSB4の判定がYESのとき、すなわち、新たな被災場所Dのデータをサーバー3が受信した場合には、ステップSB2に戻ってその新たなデータを情報記憶部3aに保存する。
一方、ステップSB4の判定がNOのとき、すなわち、新たな被災場所Dのデータを受信しない場合には、ステップSB6に進んで合計被災額算定部3bにおいて異なる各被災場所の個別被災額を集計して災害発生時における合計被災額を算定してサーバー3の処理を終了する。
【0040】
以上より、本発明の実施例によると、携帯情報処理端末2を携帯した調査員が被災場所Dまで行き、その被災場所Dを調査して得た被災額算定用情報4を情報入力部2aに入力すると、その被災場所Dにおける個別被災額が演算されるとともに、その被災場所Dの被災位置情報とともにサーバー3に記憶されるようになる。そして、各被災場所Dにおいて調査が終了すると、各被災場所Dの個別被災額がサーバー3において合計されて合計被災額が算定されるようになる。このように、個別被災額が位置情報付きで記憶されるので、重複して合計されたり、合計被災額への加算漏れが無くなるようになり、正確な合計被災額を算定することができる。
【0041】
また、被災場所Dの状況を携帯情報処理端末2に入力するだけで個別被災額が演算されるようになり、調査員が被災場所Dの状況を調査した後、持ち帰って個別被災額を演算する必要が無いので、効率良く合計被災額を算定することができる。
【0042】
また、各被災場所Dに到着した調査員が、各被災場所Dの具体的な復旧領域の寸法を測定した後、その測定値に加えて被災場所Dの工種、区分及び復旧工法を情報入力部2aに入力するだけで個別被災額が演算されるようになる。したがって、個別被災額を演算するための情報を得るために各調査員が各被災場所Dにおいて行う作業が必要最小限になり、各調査員が効率良く被災場所Dにおける被災状況の調査を行うことができる。
【0043】
また、携帯情報処理端末2では、被災場所Dにおける被災状況の情報を画像付きで記録できるので、被災場所Dに行かなかった人が被災場所Dの被災状況を視覚的に確認することが可能になり、災害管理のし易いシステムにすることができる。
また、携帯情報処理端末2には情報表示部2fにて各種データを表示可能である一方、サーバー3には情報表示部3dにて各種データを表示可能であるので、携帯情報処理端末2やサーバー3において各被災場所Dの位置や被災状況を確認可能になる。したがって、災害発生時における各被災場所Dの状況を一元管理することができる。
【0044】
また、選択された被災場所Dの被災位置情報とGPS機能部2cにおいて取得する現在位置情報、或いは、指定した位置情報との間における案内ルートRを地図データ上において作成可能であるので、携帯情報処理端末2を携帯する調査員等が各被災場所Dにまで行く際に、道に迷うおそれがなくなる。したがって、農地やため池等の土地勘が無いと特定し難い被災場所Dであっても確実に到着することができる。
【0045】
また、サーバー3において、選択する被災場所Dの被災位置情報に基づいて地図データ5上に目印を表示するとともに、対応する画像を地図データ5の周囲に貼り付けた閲覧用の被災状況資料データ6を作成できるので、災害発生後における会議等で情報を共有し易くなる。したがって、被災場所Dに行かなかった人であっても資料を介して被災状況を容易に理解して災害対応を行うことができる。
【0046】
なお、本発明の実施例では、合計被災額算定部3bによる集計結果について、被災場所D別に集計した結果を表示しているが、例えば、市町村別に集計した結果を表示させるようにしてもよいし、工種別に集計した結果を表示させるようにしてもよい。
また、本発明の実施例の災害管理システム1において作成される被災状況資料データ6は、各被災場所Dにおいて撮影された画像を地図データ5の周囲に貼り付けているが、地図データ5の周囲でなくてもよく、所定の位置に貼り付けるようにすればよい。
また、本発明の実施例では、携帯情報処理端末2とサーバー3との両方に情報表示部2f、3dが設けられているが、少なくとも一方に設けられていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、自然災害発生時における各被災場所の被災情報を管理する災害管理システムに適している。
【符号の説明】
【0048】
1…災害管理システム 2…携帯情報処理端末 2a…情報入力部 2b…個別被災額演算部 2c…GPS機能部 2d…撮影部 2e…データ保存部 2f…情報表示部 2g…案内ルート作成部 3…サーバー 3a…情報記憶部 3b…合計被災額算定部 3c…資料データ作成部 3d…情報表示部 3e…データ保存部 4…被災額算定用情報 5…地図データ 6…被災状況資料データ D…被災場所 R…案内ルート
【要約】
【課題】自然災害発生時において、各被災場所の復旧に必要な費用を、正確、且つ、効率良く算定可能な災害管理システムを提供する。
【解決手段】災害管理システム1は、携帯情報処理端末2と、サーバー3とで構成される。携帯情報処理端末2は、災害発生じにおける被災場所Dの被災額算定用情報4を入力可能な情報入力部2a、被災額算定用情報4に対応する予め決められた演算式に基づいて被災場所Dの個別被災額を演算する個別被災額演算部2b及び人工衛星を利用して被災位置情報を測定可能なGPS機能部2cを有する。サーバー3は、携帯情報処理端末2から
個別被災額と被災位置情報とを取得して互いに紐付けて記憶する情報記憶部3a及び異なる各被災場所Dの個別被災額を集計して災害発生時における合計被災額を算定する合計被災額算定部3bを有する。
【選択図】
図1