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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】連結構造
(51)【国際特許分類】
   F16M 11/14 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
F16M11/14 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020108809
(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公開番号】P2022006531
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】391019681
【氏名又は名称】株式会社コムテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安江 透
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-233862(JP,A)
【文献】特開2009-057020(JP,A)
【文献】特開2007-118783(JP,A)
【文献】登録実用新案第3116100(JP,U)
【文献】米国特許第10371310(US,B1)
【文献】独国実用新案第202013000883(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16M 11/00,13/00
B60R 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を支持装置に連結するための連結具と、
前記連結具を前記対象物に取り付けるための前記対象物上のマウント構造と、
を備える連結構造であって、
前記連結具は、前記マウント構造との係合部と、前記係合部に傾斜して立設された棒状の胴部であって、前記係合部に固定された第一端とは反対側の第二端で前記支持装置に連結されるように構成される胴部と、を含み、
前記マウント構造は、移動面に沿って接近する前記連結具の前記係合部と係合して、前記連結具を前記対象物に固定するように構成され、
前記係合部は、正三角形のプレート状であり、前記移動面に沿って360度回転したときに、三つの回転角度で前記マウント構造に対して同一の外形を示し、
前記連結具を前記三つの回転角度で前記マウント構造を介して前記対象物に取り付け可能である連結構造。
【請求項2】
対象物を支持装置に連結するための連結具と、
前記連結具を前記対象物に取り付けるための前記対象物上のマウント構造と、
を備える連結構造であって、
前記連結具は、前記マウント構造との係合部と、前記係合部に傾斜して立設された棒状の胴部であって、前記係合部に固定された第一端とは反対側の第二端で前記支持装置に連結されるように構成される胴部と、を含み、
前記マウント構造は、移動面に沿って接近する前記連結具の前記係合部と係合して、前記連結具を前記対象物に固定するように構成され、
前記係合部は、五角形以上の多角形のプレート状であり、前記移動面に沿って360度回転したときに、三以上の回転角度で前記マウント構造に対して同一の外形を示し、
前記連結具を前記三以上の回転角度で前記マウント構造を介して前記対象物に取り付け可能である連結構造。
【請求項3】
前記係合部は、五角形以上の正多角形のプレート状の外形を有する請求項2記載の連結構造。
【請求項4】
前記マウント構造は、前記係合部の接近に伴って、前記係合部の少なくとも二以上の辺と係合する溝を有し、前記溝により前記係合部の外縁を固定するように構成される請求項1~請求項3のいずれか一項記載の連結構造。
【請求項5】
前記マウント構造は、前記係合部が進入する部位である進入口に爪を有し、前記係合部が前記進入口から所定位置まで移動したときに、前記爪が前記係合部と係合して、前記係合部が逆行しないように前記連結具を前記対象物に固定する構成にされる請求項4記載の連結構造。
【請求項6】
前記連結具の前記胴部は、前記第二端にボール状の頭部を備えるボールスタッドであり、前記頭部が前記支持装置のソケットに連結された状態で、前記胴部は、前記ソケットと共にボールジョイントを構成する請求項1~請求項5のいずれか一項記載の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車載器を支持するための支持装置が既に知られている(例えば特許文献1参照)。既知の支持装置によれば、車載器がボールジョイントを介して支持装置に取り付けられる。
【0003】
ボールジョイントの車載器側の端部には、車載器のマウント部に取り付けられるアタッチメントプレートが設けられる。マウント部は、スライドレールを備え、アタッチメントプレートとのスライド式嵌め合い構造を構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-233862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アタッチメントプレートは、上下反転した状態でマウント部に取り付けられ得る。すなわち、既知の支持装置によれば、車載器を、ボールジョイントを介して二通りの角度で取り付け可能である。
【0006】
しかしながら、上述の従来技術では、車載器のボールジョイントに対する取り付け自由度が「上」「下」の二自由度であり、高い自由度を求めるユーザの要求に答えることができない。
【0007】
そこで、本開示の一側面によれば、従来よりも高い自由度で連結具を対象物に取り付け可能な連結構造を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面に係る連結構造は、対象物を支持装置に連結するための連結具と、連結具を対象物に取り付けるための対象物上のマウント構造と、を備える。
【0009】
連結具は、マウント構造との係合部と、係合部に傾斜して立設された棒状の胴部と、を含む。胴部は、係合部に固定された第一端とは反対側の第二端で支持装置に連結されるように構成される。
【0010】
マウント構造は、移動面に沿って接近する連結具の係合部と係合して、連結具を対象物に固定するように構成される。具体的には、マウント構造は、移動面に沿って所定の向きで接近する連結具の係合部と係合して、連結具を対象物に固定するように構成され得る。
【0011】
本開示の一側面によれば、連結具の係合部は、移動面に沿って360度回転したときに、三以上の回転角度でマウント構造に対して同一の向きとなる外形を有し得る。上記同一の向きは、上記所定の向きに対応し得る。
【0012】
この外形により、連結構造は、連結具を三以上の回転角度でマウント構造を介して対象物に取り付け可能に構成され得る。この連結構造によれば、従来よりも高い自由度で連結具を対象物に取り付け可能である。
【0013】
本開示の一側面によれば、係合部は、マウント構造に対する向きが三以上の回転角度で同一となる多角形のプレート状の外形を有していてもよい。係合部は、正多角形のプレート状の外形を有していてもよい。
【0014】
本開示の一側面によれば、マウント構造は、係合部の接近に伴って、係合部の少なくとも二以上の辺と係合する溝を有していてもよい。マウント構造は、溝により係合部の外縁を固定するように構成されてもよい。こうしたマウント構造によれば、連結具の係合部を強固に固定することができる。
【0015】
本開示の一側面によれば、マウント構造は、係合部が進入する部位である進入口に爪を有していてもよい。マウント構造は、係合部が進入口から所定位置まで移動したときに、爪が係合部と係合して、係合部が逆行しないように連結具を対象物に固定する構成にされてもよい。こうしたマウント構造によっても、連結具の係合部を強固に固定することができる。
【0016】
本開示の別側面によれば、マウント構造は、移動面に沿う三以上の方向のうちの任意の一方向から接近する連結具の係合部を受け入れるために、連結具との係合構造として、三以上の方向のそれぞれに対して同一の外形を有していてもよい。マウント構造は、移動面に沿って接近する連結具の係合部と係合して、連結具を対象物に固定するように構成されてもよい。
【0017】
こうしたマウント構造によれば、連結具の係合部が三以上の回転角度で同じ向きとなる外形を有していなくても、連結具を三以上の方向からマウント構造を介して対象物に取り付けることができる。従って、この連結構造によっても、高い自由度で連結具を対象物に取り付け可能である。
【0018】
本開示の別側面によれば、マウント構造は、対象物から立設される下部構成体と、下部構成体上に設けられる上部構成体と、を含んでいてもよい。マウント構造は、下部構成体により、上部構成体を対象物から間隙を有した状態で配置するように構成されてもよい。
【0019】
本開示の別側面によれば、上部構成体は、上記係合構造として、移動面に沿う多角形のプレート状の外形を有していてもよい。上部構成体は、正多角形のプレート状の外形を有していてもよい。
【0020】
本開示の別側面によれば、連結具の係合部は、マウント構造への接近に伴って、対象物とマウント構造の上部構成体の下面との間の間隙に進入してスライド移動する突条を有していてもよい。係合部は、突条と上部構成体との接触により、マウント構造と係合するように構成されてもよい。
【0021】
連結具の胴部は、第二端にボール状の頭部を備えるボールスタッドであってもよい。すなわち、連結具の胴部は、頭部が支持装置のソケットに連結された状態で、ソケットと共にボールジョイントを構成するように形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】支持装置に対する車載器の設置に関する説明図である。
図2】第一実施形態の連結構造が設けられた車載器の斜視図である。
図3図2とは別の方向から見た車載器の斜視図である。
図4】第一実施形態における連結具の取り付けを説明した図である。
図5】マウント部に対する連結具の進入方向に沿う車載器の断面であって連結具が取り付けられていない状態での断面を示す車載器の一部拡大断面図である。
図6】マウント部に対する連結具の進入方向に沿う車載器の断面であって連結具が取り付けられた状態での断面を示す車載器の一部拡大断面図である。
図7図7Aは、連結具の側面図であり、図7Bは、連結具の背面図である。
図8図8Aは、連結具の平面図であり、図8Bは、連結具の底面図である。
図9図9A-9Dは、車載器に異なる角度で取り付けられた連結具を示す図である。
図10】第二実施形態の連結構造が設けられた車載器の斜視図である。
図11図10とは別の方向から見た車載器の斜視図である。
図12図12Aは、第二実施形態における連結具の平面図であり、図12Bは、底面図である。
図13】連結具が取り付けられていない車載器の斜視図である。
図14】第三実施形態の連結構造が設けられた車載器の斜視図である。
図15】連結具が取り付けられたマウント部の正面図である。
図16】第三実施形態における連結具の取り付けを説明した図である。
図17図17Aは、車載器の側面図であり、図17Bは、車載器の平面図である。
図18】車載器の一部を拡大して表す背面図である。
図19図19Aは、連結具の正面図であり、図19Bは、連結具の底面図である。
図20】第三実施形態のマウント部に対する連結具の進入方向に沿う車載器の断面であって連結具が取り付けられた状態での断面を示す車載器の一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[第一実施形態]
本実施形態の連結構造100は、対象物をボールジョイントのソケットSTに連結するために用いられる。
【0024】
例えば対象物は、車載器10である。車室内には、図1に示すように、ボールジョイントのソケットSTを備える支持装置50が設けられる。車載器10は、本実施形態の連結構造100を通じて、支持装置50に連結される。連結された状態で、車載器10は、支持装置50に支持される。
【0025】
図2図3、及び図4に示すように、連結構造100は、車載器10の筐体後面BSに設けられたマウント部110と、マウント部110に対して着脱可能な連結具150と、を備える。連結具150は、マウント部110と嵌合するプレート160と、プレート160上のボールスタッド190と、を備える。
【0026】
ボールスタッド190は、棒状の胴部191と、ボール状の頭部195と、を備える。胴部191は、第一端でプレート160に固定される。胴部191は、プレート160の中心で、プレート160の表面から、プレート160の法線に傾斜するように立設される。
【0027】
頭部195は、胴部191の第一端とは反対側の第二端に設けられる。頭部195は、ボールジョイントのソケットSTに嵌合可能なボール形状を有する。連結具150は、ボールスタッド190の頭部195がソケットSTに嵌合することにより、ソケットSTに連結される。ボールジョイントは、互いに嵌合されるボールスタッド190とソケットSTとにより構成される。
【0028】
連結具150は更に、プレート160とマウント部110との嵌合により、車載器10に連結される。連結具150のマウント部110への取り付けに際し、連結具150は、筐体後面BSに沿って、プレート160が所定の向きでマウント部110に接近するように、マウント部110の進入口115に向けてスライド移動される。
【0029】
マウント部110は、プレート160の外縁と係合する細長いレール120を有する。レール120は、プレート160の厚みに対応する幅の溝120Aを有する。溝120Aには、上記スライド移動の過程で、プレート160の外縁が挿入される。これにより、レール120とプレート160とが係合する。この係合により、連結具150は筐体後面BSに対する法線方向には移動しないように、マウント部110に固定される。
【0030】
マウント部110は、図4に示すように、プレート160の進入口115に爪130を有する。爪130は、プレート160が進入口115からマウント部110の奥に移動する過程で、図5破線で示すように、プレート160によって筐体後面BS内側まで押し込まれる。これにより、プレート160は、爪130に阻害されずに、進入口115よりマウント部110の奥の所定位置まで進むように移動する。
【0031】
プレート160の外縁であってマウント部110に対する進入方向とは反対側の部位が、爪130よりもマウント部110の奥まで進むと、プレート160による爪130の押し込みがなくなることにより、爪130は、筐体後面BSの内側から外側に飛びだした初期位置まで戻る。
【0032】
初期位置まで戻ったとき、爪130は、図6に示すように、プレート160が進入方向とは反対方向に逆行しないように、プレート160の外縁と係合する。マウント部110は、この係合により、進入方向前後に関して、連結具150を車載器10に固定する。
【0033】
図7A図7B図8A、及び図8Bに示すように、プレート160は、一定の厚みを有する各辺の長さが同一の正四角形の外形を有する。このため、連結具150を筐体後面BSに沿って移動させてマウント部110に取り付ける際に、筐体後面BSに沿って、プレート160を360度一回転させるとき、プレート160は、回転角度0度、90度、180度、及び270度の四つの角度のそれぞれで、マウント部110に対して同一の向きとなる。
【0034】
すなわち、連結具150のプレート160に注目したとき、マウント部110から見たプレート160の外形は、プレート160の回転角度が上記四つの角度のいずれの角度であっても、上記四つの角度のうちの残りの角度と同じである。
【0035】
換言すれば、プレート160の回転角度が上記四つの角度のいずれであっても、三次元座標系におけるプレート160の外形は、残りの回転角度におけるプレート160の外形と一致する。いずれの回転角度でも、マウント部110から見たプレート160の姿勢及び配置に差異はない。
【0036】
このため、本実施形態によれば、プレート160の回転角度を、マウント部110に対して0度、90度、180度、270度のいずれかに調整して、連結具150を筐体後面BSに沿ってマウント部110にスライド移動させれば、上記四つの回転角度のいずれでも、連結具150をマウント部110に取り付けることができる。
【0037】
図9Aに示すように、連結具150は、プレート160の回転角度を0度に調整した取り付けによって、ボールスタッド190が上を向いた状態でマウント部110に取り付けられ得る。図9B図9C図9Dにそれぞれ示すように、連結具150は、プレート160の回転角度をそれぞれ90度、180度、270度に調整した取り付けによって、ボールスタッド190が右、下、左を向いた状態でマウント部110に取り付けられ得る。
【0038】
このように、本実施形態によれば、連結具150を、対象物、具体的には車載器10の筐体後面BSに対して、四通りの向きで取り付け可能である。従って、車載器10の支持装置50に対する取り付け自由度が四通りと高い。
【0039】
本実施形態によれば、ボールスタッド190は、プレート160に対して傾斜しているので、連結具150を介して、車載器10と支持装置50とが連結されるとき、支持装置50に対する車載器10の可動範囲は、連結具150の向きによって変化する。
【0040】
従って、本実施形態の連結構造100によれば、ユーザは、支持装置50に対して車載器10をより利用しやすい向きに配置することができる。この配置の自由度は、所望の配置ができないことによるユーザの不満を抑制することに貢献する。
【0041】
付言すれば、マウント部110のレール120は、プレート160の形状に合わせて、プレート160の第一辺と係合する第一のレール部分121と、プレート160の第二辺と係合する第二のレール部分123と、プレート160の第一辺と第二辺との間の第三辺と係合する第三のレール部分125と、を備える。
【0042】
プレート160は、各辺が同じ長さの正四角形状であることから、プレート160の回転角度を、0度、90度、180度、270度のいずれに調整しても、プレート160の三辺を、マウント部110に対して同じようにしっかりと固定することができる。
【0043】
更に、プレート160の回転角度を、0度、90度、180度、及び270度のいずれに調整しても、連結具150がマウント部110に取り付けられた状態で、マウント部110に設けられた爪130が連結具150に対して有効に機能する。
【0044】
このように、本実施形態の連結構造100は、連結具150の四通りの取り付けを実現しながら、いずれの取り付けにおいても、連結具150を、プレート160の三辺と三つのレール部分121,123,125との間の係合、プレート160の残りの一辺と爪130との間の係合によって、しっかりと車載器10に連結できる。従って、本実施形態によれば、非常に便利な連結構造100を提供することができる。
【0045】
本実施形態では、正四角形状のプレート160を有する連結具150を説明したが、プレート160は、五角形以上の正多角形状に変形されてもよいし、正三角形状に変形されてもよい。
【0046】
[第二実施形態]
第二実施形態の連結構造200は、図10及び図11に示すように、第一実施形態のマウント部110及び連結具150とは異なる形状の、マウント部210及び連結具250を備える。
【0047】
一方、第二実施形態の連結構造200は、連結具250が、正三角形状のプレート260を有すること、及び、マウント部210が、正三角形状のプレート260に対応したレール配置を備えること、を除けば、概ね、第一実施形態の連結構造100と同様に構成される。
【0048】
図12A及び図12Bに示されるように、本実施形態の連結具250は、均一な厚さの正三角形状のプレート260と、プレート260の中心でプレート260の表面から傾斜して立設されたボールスタッド290とを備える。ボールスタッド290は、棒状の胴部291とボール状の頭部295とを備える。胴部291の第一端にプレート260が固定され、胴部291の第二端に頭部295が固定される。
【0049】
図10及び図13に示すように、マウント部210は、プレート260の外縁と係合するレール220として、プレート260の第一辺と係合する第一のレール部分221と、プレート260の第二辺と係合する第二のレール部分223と、を含むレール220を備える。第一及び第二のレール部分221,223は、互いに対して60度の角度を有した状態でV字形状に配置される。
【0050】
第一及び第二のレール部分221,223は、それぞれプレート260の厚みに対応する溝220Aを備える。プレート260の第一辺及び第二辺は、連結具250のマウント部210に対する取り付け時にスライド移動に伴って、溝220Aに挿入されて、マウント部210と係合する。
【0051】
マウント部210におけるプレート260の進入口215には、プレート260の第三辺と係合する爪230が設けられる。爪230は、プレート260が進入口215から所定位置までマウント部210の奥に移動するまでは、筐体後面BSの内側に押し込まれる。
【0052】
爪230は、プレート260の第三辺が通過する所定位置に移動すると、筐体後面BSの外側に飛び出した初期位置に戻り、図10及び図11に示すように、プレート260の第三辺と係合する。これにより、連結具250は、プレート260が進入方向に対して逆行しないようにマウント部210に固定される。
【0053】
本実施形態によれば、プレート260は、マウント部210のプレート260底面との接触面に対応する筐体後面BSに沿って、360度回転したときに、回転角度0度、120度、及び240度の三つの角度のそれぞれで、マウント部210に対して同一の向きとなる。
【0054】
従って、本実施形態によれば、プレート260の回転角度を、マウント部210に対して0度、120度、240度のいずれかに調整して、連結具250をマウント部210に対してスライド移動させれば、上記三つの角度のいずれの角度でも、連結具250をマウント部210に取り付けることができる。
【0055】
本実施形態の連結構造200によれば、連結具250の三通りの取り付けを実現しながら、いずれの取り付けにおいても、連結具250を、プレート260の二辺と二つのレール部分221,223との間の係合、プレート260の残りの一辺と爪230との間の係合によって、しっかりと車載器10に固定できる。
【0056】
従って、第二実施形態によっても、第一実施形態と同様に、取り付け自由度の高い、ユーザにとって使い勝手のよい便利な連結構造200を提供することができる。
【0057】
[第三実施形態]
続いて、第三実施形態の連結構造300を説明する。本実施形態の連結構造300は、第一実施形態とは異なる方式で、マウント部310と連結具350とを連結するように構成される。
【0058】
第三実施形態の連結構造300は、図14図15、及び図16に示すように、車載器10の筐体後面BSに立設されるマウント部310と、マウント部310を包囲するようにマウント部310に取り付けられる連結具350と、を備える。
【0059】
マウント部310は、筐体後面BSの法線方向に沿う断面が概略T字形状の外形を有する。具体的に、マウント部310は、図17A及び図17Bに示すように、筐体後面BSから立設された下部構成体320と、上部構成体330と、を備える。
【0060】
下部構成体320は、角が丸められた角柱形状の外形を有し、その軸が筐体後面BSの法線に平行であるように、筐体後面BSに立設される。具体的に、下部構成体320は、筐体後面BSの法線に垂直な断面が正四角形状である外形を有する。
【0061】
下部構成体320は、軸方向の第一端で筐体後面BSに接続され、軸方向の第二端で上部構成体330に接続される。具体的に、下部構成体320は、その軸の延長線上に上部構成体330の中心が配置されるように、上部構成体330に接続される。
【0062】
上部構成体330は、下部構成体320の筐体後面BSから離れた第二端で下部構成体320に接続されるように、下部構成体320上に設けられる。上部構成体330は、マウント部310への連結具350の取り付け時に連結具350が移動する筐体後面BSに平行な面に沿って広がり、この面に沿う三以上の方向のそれぞれに対して、同一の外形を示す。
【0063】
具体的に、上部構成体330は、図18に示すように、正四角形のプレート状の外形を有し、筐体後面BSに沿う四方向に対して同一の外形を示す。上部構成体330の外形に対応する正四角形のサイズは、下部構成体320の断面の正四角形のサイズより大きい。
【0064】
上部構成体330は、その正四角形の辺が、下部構成体320の断面における正四角形の辺と平行であるように、下部構成体320に接続される。上部構成体330は、その表面に、連結具350の爪380と係合する溝330Aであって、上部構成体330の表面中心の周りに、上部構成体330の外縁と平行に配置された溝330Aを有する。
【0065】
連結具350は、図19A及び図19Bに示すように、マウント部310に対する係合部360と、係合部360の表面から立設されたボールスタッド390と、を備える。
【0066】
係合部360は、正四角形の上面を備える中空の直方体形状の外形を有する。上面は、マウント部310の上部構成体330より若干大きいサイズの正四角形状に構成される。中空部分は、マウント部310の上部構成体330を収容できるように、上部構成体330に対応するサイズの空間を形成する。マウント部310と対向する係合部360の下面は、マウント部310の下部構成体320の軸に垂直な断面よりも大きいサイズの切り欠き360Aを有する。
【0067】
具体的に、係合部360は、上面を構成するプレート状の上部構成体371と、側面を構成する側部構成体373と、切り欠き360Aを有する下面を構成する下部構成体375と、を備える。上部構成体371は、マウント部310の上部構成体330に設けられた溝330Aと係合する爪380を備える。
【0068】
側部構成体373は、係合部360の上面の法線に沿って上部構成体371の三辺に対応する外縁部位から下方に延びる。側部構成体373は、係合部360の中空部分にマウント部310の上部構成体330が収まるように、マウント部310の上部構成体330の厚みよりも若干長い上下方向の幅を有する。
【0069】
上部構成体371の残りの一辺に対応する部位からは側部構成体373が延設されていない。側部構成体373が延設されていない係合部360の部位は、マウント部310への進入口365として機能する。
【0070】
下部構成体375は、側部構成体373の下端から係合部360の上面の法線とは垂直に延びる。下部構成体375は、車載器10の筐体後面BSに対する連結具350のスライド移動によって連結具350がマウント部310に取り付けられるときに、車載器10の筐体後面BSとマウント部310の上部構成体330の下面との間の間隙に進入する突条として機能する。
【0071】
下部構成体375は、連結具350がマウント部310に取り付けられた状態で、マウント部310の上部構成体330との接触により、マウント部310と係合して、連結具350が筐体後面BSの法線方向には移動しないように機能する。
【0072】
連結具350がマウント部310に取り付けられた状態で、係合部360の上部構成体371は、図15及び図20に示すように、マウント部310の上部構成体330の上面を覆う。係合部360の側部構成体373は、進入口365に対応するマウント部310の上部構成体330の一辺を除く残りの三辺の側縁を覆う。係合部360の下部構成体375は、マウント部310の上部構成体330の下面を覆う。
【0073】
連結具350がマウント部310に取り付けられるとき、連結具350は、係合部360の切り欠き360Aに、マウント部310の下部構成体320が収まるように、マウント部310に対してスライド移動する。
【0074】
連結具350がマウント部310に取り付けられた状態で、係合部360の爪380は、図20に示すように、マウント部310の溝330Aと係合し、連結具350がマウント部310への進入方向とは逆方向に移動しないように、連結具350をマウント部310に固定する。
【0075】
ボールスタッド390は、このように構成された係合部360の上面に傾斜して立設される。ボールスタッド390は、棒状の胴部391と、ボールジョイントのソケットSTに対応するボール形状の頭部395と、を備える。胴部391の第一端は、係合部360の上面に固定され、頭部395は、胴部391の第二端に固定される。
【0076】
第三実施形態によれば、マウント部310が、連結具350の進入方向に平行な筐体後面BSに対して四方向に同一の外形を示す。このため、マウント部310に対する連結具350の進入口365の向きを調整することにより、連結具350を、四通りの向きで筐体後面BSに沿って、対応する方向からマウント部310に近づけて、マウント部310に取り付けることができる。
【0077】
すなわち、連結具350を、回転角度0度、90度、180度、270度の向きでマウント部310に対して取り付けることができる。従って、本実施形態によれば、第一実施形態と同様に、車載器10の支持装置50に対する取り付け自由度を高めることができる。換言すれば、ユーザは、支持装置50に対して車載器10をより利用しやすい向きに配置することができる。従って、本実施形態によっても、ユーザにとって利便性の高い連結構造300を提供することができる。
【0078】
以上に、本開示の例示的実施形態を説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、第三実施形態において、マウント部310の上部構成体330は、正三角形のプレート状にされてもよいし、正五角形以上の正多角形のプレート状にされてもよい。この場合、連結具350の係合部360は、マウント部310の上部構成体330の形状に適合する中空部分を備えることができる。
【0079】
連結具150,250,350は、分解可能な複数の部品を組み立てることにより構成されてもよいし、単一部品として成型されてもよい。マウント部110,210,310も、同様に単一部品として構成されてもよいし、複数部品の組み立てによって構成されてもよい。マウント部110,210,310は、車載器10等の対象物の筐体と一体成形されてもよいし、その筐体とは別体として構成されてもよい。
【0080】
マウント部110,210,310及び連結具150,250,350は、それぞれ樹脂材料で構成されてもよいし、金属材料で構成されてもよい。ボールジョイントにおけるソケットとボールとの関係は逆であってもよい。すなわち、連結具150,250,350に、ソケット構造が設けられてもよく、支持装置50にボール構造が設けられてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0081】
10…車載器、100…連結構造、110…マウント部、115…進入口、120…レール、120A…溝、121,123,125…レール部分、130…爪、150…連結具、160…プレート、190…ボールスタッド、191…胴部、195…頭部、200…連結構造、210…マウント部、215…進入口、220…レール、221,223…レール部分、220A…溝、230…爪、250…連結具、260…プレート、290…ボールスタッド、291…胴部、295…頭部、300…連結構造、310…マウント部、320…下部構成体、330…上部構成体、330A…溝、350…連結具、360…係合部、360A…切り欠き、365…進入口、371…上部構成体、373…側部構成体、375…下部構成体、380…爪、390…ボールスタッド、391…胴部、395…頭部、BS…筐体後面、ST…ソケット。
図1
図2
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