(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】魚類用高密度生体輸送箱及び輸送方法
(51)【国際特許分類】
A01K 63/02 20060101AFI20240604BHJP
C02F 1/28 20230101ALI20240604BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20240604BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20240604BHJP
B01D 29/01 20060101ALI20240604BHJP
B01D 29/50 20060101ALI20240604BHJP
C02F 9/00 20230101ALI20240604BHJP
A01K 63/04 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A01K63/02 A
C02F1/28 D
C02F1/32
B01D39/16 Z
B01D29/04 510B
B01D29/04 510D
B01D29/24 M
C02F9/00
A01K63/04 C
A01K63/04 A
(21)【出願番号】P 2022151992
(22)【出願日】2022-09-22
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】202110965283.3
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516217413
【氏名又は名称】上海海洋大学
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI OCEAN UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.999, Huchenghuan Rd, Pudong New District, Shanghai 201306 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】謝晶
(72)【発明者】
【氏名】王▲チィ▼
(72)【発明者】
【氏名】王金鋒
(72)【発明者】
【氏名】賈発銅
(72)【発明者】
【氏名】梅俊
(72)【発明者】
【氏名】丁玉庭
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-150225(JP,A)
【文献】特開2009-278894(JP,A)
【文献】特開平11-127726(JP,A)
【文献】特開2015-104337(JP,A)
【文献】米国特許第5172511(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 63/00 - 63/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送ケース及び輸送カバーを含む魚類用高密度生体輸送箱において、
前記輸送カバーは、前記輸送ケースの開口を被覆し、
前記輸送カバーに排気孔が設けられ、
前記輸送カバーとケースとの接続箇所に封止材が設けられ、
前記輸送ケースは、具体的に、魚輸送領域及び輸送水循環領域を含み、前記輸送ケース内で右側に輸送水循環領域が設けられ、
前記輸送水循環領域は、水質浄化システム、冷凍機及び曝気システムからなり、
前記輸送ケース及び輸送カバーは、PE材料から作られ、
前記魚輸送領域の輸送カバーと輸送ケースとの間が回転軸によって接続され、
前記輸送水循環領域にカバーが設けられ、
前記水質浄化システムは、一次濾過領域、二次濾過領域、活性炭濾過領域及び紫外線殺菌領域からなり、
前記冷凍機に吸水口及び排水口が設けられ、
前記曝気システムは、前記魚輸送領域に位置する曝気装置及び前記輸送水循環領域に位置する曝気機からなり、前記曝気装置に複数の曝気孔が設けられ、前記曝気装置は、前記曝気機に接続され、
前記魚輸送領域と前記輸送水循環領域とは、透かし彫り部分を有する第1の透かし彫りの仕切り板によって仕切りされ、前記透かし彫り部分が、前記輸送水循環領域における前記一次濾過領域と前記魚輸送領域との間の前記第1の透かし彫りの仕切り板の部分のみに位置し、前記輸送水循環領域における前記冷凍機と前記魚輸送領域との間の前記第1の透かし彫りの仕切り板の部分にケース排水口が設けられ、
前記第1の透かし彫りの仕切り板の前記透かし彫り部分は、前記魚輸送領域の水が前記一次濾過領域に流入するためのものであり、前記一次濾過領域と前記二次濾過領域との間には、前記一次濾過領域の水が前記二次濾過領域に流入するための第2の透かし彫りの仕切り板が設けられ、前記二次濾過領域と前記活性炭濾過領域との間には、前記二次濾過領域の水が前記活性炭濾過領域に流入するための第3の透かし彫りの仕切り板が設けられ、前記活性炭濾過領域と前記紫外線殺菌領域との間には、前記活性炭濾過領域の水が前記紫外線殺菌領域に流入するための第4の透かし彫りの仕切り板が設けられ、前記紫外線殺菌領域と前記冷凍機との間に中実の仕切り板が設けられ、前記中実の仕切り板の下方に排水孔が設けられ、前記紫外線殺菌領域に設けられるポンプは、前記中実の仕切り板の下方に設けられる排水孔を介して前記冷凍機に設けられる吸水口に接続され、前記紫外線殺菌領域の水を前記冷凍機に吸入するためのものであり、前記冷凍機に設けられる排水口が前記ケース排水口に接続されることを特徴とする魚類用高密度生体輸送箱。
【請求項2】
前記一次濾過領域内に不規則の多孔質濾過用篩及び多孔質スポンジが設けられ、
前記多孔質濾過用篩は、PE材料から作られることを特徴とする請求項1に記載の魚類用高密度生体輸送箱。
【請求項3】
前記二次濾過領域内に濾過スポンジが設けられることを特徴とする請求項1に記載の魚類用高密度生体輸送箱。
【請求項4】
前記活性炭濾過領域内に活性炭粒子が設けられることを特徴とする請求項1に記載の魚類用高密度生体輸送箱。
【請求項5】
前記紫外線殺菌領域に紫外線殺菌ランプが設けられることを特徴とする請求項1に記載の魚類用高密度生体輸送箱。
【請求項6】
前記輸送ケース内の冷凍機及び曝気機の給電条件は、交流電圧220Vであり、
前記輸送ケース内の冷凍機及び曝気機の所在する乾燥領域と外部との間に、排気口が設けられることを特徴とする請求項1に記載の魚類用高密度生体輸送箱。
【請求項7】
(1)臨時飼育:輸送前に36h臨時飼育し、臨時飼育の期間中に、水温20~22℃、塩度16‰、溶存酸素4~6mg/L、pH7.5~8.5、魚水比1:50であり、
(2)輸送前処理:メリッサオイル:50%アルコール及びTween‐80を10:200:1の体積比で3分間均一に混合させる方法で乳化されたメリッサオイルを40mg/Lの濃度で高密度生体輸送箱の輸送水に加え、
(3)降温:魚を1:4の魚水比で高密度生体輸送箱内に置き、その後、冷凍機によって3℃/hの降温速率で水温を20~22℃から輸送温度12℃まで下げるように設置し、
(4)輸送:輸送箱にカバーを被って封じって輸送し、輸送期間中に、水温12℃、温度制御の精度±1℃であり、72h輸送し、
(5)回復:輸送終了後の魚を、水温12℃、温度制御の精度±1℃の漁業水質基準にかなうきれいな水に置き、水温を室温に回復させることを特徴とする請求項1~
6の何れか1項に記載の輸送箱による魚類の輸送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚類の生体輸送の分野に関し、特に、輸送水質の悪化を遅らせ且つ魚類の高密度の長距離輸送に好適に用いられる生体輸送箱及び輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、魚類の長距離輸送として、一定の体積の水を有するPEバッグに魚を入れてから、水に酸素を加えた後でPEバッグを縛り、最後に、氷塊の入れた発泡スチロール箱又はクーラーボックスに加えて輸送することは、一般的である。
【0003】
しかしながら、このような輸送形態には、下記の不足がある。第一、氷塊が魚類に直接接触することで、魚類がケガをしやすく、且つ氷塊が溶解しやすく、蓄冷時間が短く、昇温すると、魚類の死亡率が上がる。第二、生体輸送中に、魚類が酸素を消耗する次第に、酸素充填バッグが水における溶存酸素のレベルを長時間に維持できず、魚類が酸欠の原因で容易に死んでしまう。第三、酸素充填バッグでは、水循環濾過を行うことができず、水質の悪化が加速され、水における毒性有害物質(例えば、アンモニア窒素及び亜硝酸塩等の物質のレベルの向上、pH値の低下による酸性水質等)の累積につれて、魚類が中毒で死亡しやすくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、溶存酸素のレベル及び低温の輸送環境を長時間に維持し、水質を効果的に浄化することができ、活魚の長距離輸送に好適に用いられる高密度生体輸送箱及び輸送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成させるために、本発明の一実施形態は、輸送ケース及び輸送カバーを含む魚類用高密度生体輸送箱において、輸送ケースは、魚輸送領域及び輸送水循環領域に分けられ、活魚輸送領域の輸送カバーと輸送ケースとの間が回転軸によって接続され、輸送カバーに水はね防止用の排気孔が設けられ、輸送カバーと輸送ケースとの接続箇所に封止材が設けられ、輸送水循環領域は、輸送ケース内で右側に設けられ、具体的に、水質浄化システム、冷凍機及び曝気システムを含み、水質浄化システムは、一次濾過、二次濾過、活性炭濾過及び紫外線殺菌の4つの領域からなり、一次濾過領域と魚輸送領域との間に透かし彫りの仕切り板が設けられ、一次濾過領域内に不規則の多孔質濾過用篩及び多孔質スポンジが設けられ、一次濾過領域と二次濾過領域との間に透かし彫りの仕切り板が設けられ、二次濾過領域内に濾過用スポンジが設けられ、二次濾過領域と活性炭濾過領域との間に透かし彫りの仕切り板が設けられ、活性炭濾過領域内に活性炭粒子が設けられ、活性炭濾過領域と紫外線殺菌領域との間に透かし彫りの仕切り板が設けられ、紫外線殺菌領域に紫外線ランプが設けられ、紫外線殺菌領域と冷凍機との間に中実の仕切り板が設けられ、仕切り板の下方に排水孔が設けられ、紫外線殺菌領域に、排水孔を介して冷凍機吸水口に接続されるポンプが設けられ、冷凍機排水口がケース排水口に接続され、曝気システムは、曝気装置及び曝気機からなり、両者が密着され、曝気装置に若干の曝気孔が設けられ、冷凍機及び曝気機は乾燥領域にあり、且つ乾燥領域と外部との間に排気口が設けられる魚類用高密度生体輸送箱を提供する。
【0006】
本発明の提供する上述の技術案により、水質の悪化を効果的に遅らせ、活魚輸送の存活率を向上させることができる。
【0007】
一実施形態において、前記輸送ケース及び輸送カバーは、PE材料から作られる。
【0008】
一実施形態において、前記一次濾過領域と魚輸送領域との間に透かし彫りの仕切り板が設けられる。
【0009】
一実施形態において、前記一次濾過領域内に多孔質濾過用篩及び多孔質スポンジが設けられる。
【0010】
一実施形態において、前記多孔質濾過用篩は、PE材料から作られる。
【0011】
一実施形態において、前記一次濾過領域と二次濾過領域との間に透かし彫りの仕切り板が設けられる。
【0012】
一実施形態において、前記二次濾過領域内に濾過用スポンジが設けられる。
【0013】
一実施形態において、前記二次濾過領域と活性炭濾過領域との間に透かし彫りの仕切り板が設けられる。
【0014】
一実施形態において、前記活性炭濾過領域内に活性炭粒子が設けられる。
【0015】
一実施形態において、前記活性炭濾過領域と紫外線殺菌領域との間に透かし彫りの仕切り板が設けられる。
【0016】
一実施形態において、前記紫外線殺菌領域内に紫外線ランプが設けられる。
【0017】
一実施形態において、前記紫外線殺菌領域に、排水口を介して冷凍機吸水口に接続されるポンプが設けられる。
【0018】
一実施形態において、前記冷凍機排水口は、ケース排水口に接続される。
【0019】
一実施形態において、前記曝気装置は、曝気機に密着される。
【0020】
一実施形態において、前記曝気機と冷凍機の所在する乾燥領域と外部との間に、排気口が設けられる。
【0021】
本発明は、更に、前述の輸送箱による活魚輸送方法を提供する。輸送方法の簡単な操作工程は、具体的に、下記の通りである。(1)臨時飼育:輸送前に36h臨時飼育し、臨時飼育の期間中に、水温20~22℃、塩度16‰、溶存酸素4~6mg/L、pH7.5~8.5、魚水比1:50であり、(2)輸送前処理:乳化されておいたメリッサオイルを、高密度生体輸送箱の輸送水に加え(メリッサオイルの乳化方法としては、V(精油):V(50%アルコール):V(Tween‐80)=10:200:1で3分間均一に混合させ、精油を完全に乳化させる)、メリッサオイルの濃度は40mg/Lであり、(3)降温:魚を1:4の魚水比で高密度生体輸送箱内に置き、その後、冷凍機によって3℃/hの降温速率で水温を20~22℃から輸送温度12℃まで下げるように設置し、(4)輸送:輸送箱にカバーを被って封じって輸送し、輸送期間中に、水温12(±1)℃で、72h輸送し、(5)回復:輸送終了後の魚を水温12(±1)℃の漁業水質基準にかなうきれいな水に置き、室温で回復させる。本発明の提供する生体輸送方法によれば、鰓の鰓糸の萎縮及び変形を効果的に遅らせ、血清コルチゾール、ストレスタンパク質、血糖及びCaspase-3、表現量を低下させ、血清リゾチーム及び免疫グロブリンのレベルを向上させ、輸送による酸化ストレス反応を低下させ、輸送の存活率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施例における魚類用高密度生体輸送箱の全体構造の三面図である。
【
図2】
図1に示す実施例における魚類用高密度生体輸送箱の全体構造の上面図である。
【
図3】
図1に示す実施例における魚類用高密度生体輸送箱の全体構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に合わせて、具体的な実施例を例にして、本発明の実施形態を詳しく説明する。
【0024】
図1~3は、本発明の魚類用高密度生体輸送箱の一実施例を示す。
【0025】
この魚類用高密度生体輸送箱1は、魚輸送領域2及び輸送水循環領域3に分けられる。輸送時に水が飛び散らないように、輸送箱1にカバー4が設けられ、輸送水循環領域3の上方の輸送カバー4と輸送箱1との間が回転軸によって接続され、カバー4と輸送箱1との接続箇所に、漏水を防止するための封止材が設けられ、箱及びカバーは環境に優しいPE材料から作られる。曝気して輸送すると、箱内の気体が膨張するため、魚輸送領域2のカバー4に水はね防止用の排気孔5が設けられる。輸送水循環領域3は、輸送箱1内で右側に設けられ、水における溶存酸素のレベル、低温の輸送環境を維持し、及び水質を効果的に浄化するために、水質浄化システム6、冷凍機7及び曝気システム8に分けられる。水質浄化システム6は、一次濾過領域9、二次濾過領域10、活性炭濾過領域11及び紫外線殺菌領域12からなる。魚輸送領域2の水は、透かし彫りの仕切り板13を流れて一次濾過領域9内に設けられた不規則の多孔質濾過用篩及び多孔質スポンジによって大粒子の不純物が濾過されるが、一次濾過された水は、一次濾過領域9から透かし彫りの仕切り板13を流れて二次濾過領域10内に設けられた濾過用スポンジによって小粒子の不純物が濾過されるが、二次濾過された水は、二次濾過領域10から透かし彫りの仕切り板13を流れて活性炭濾過領域11内に設けられた活性炭粒子によって有機高分子及び残留塩素等の有害物質が吸着されるが、活性炭濾過された水は、活性炭濾過領域11から透かし彫りの仕切り板13を流れて紫外線殺菌領域に入り、紫外線殺菌領域12に、殺菌機能を達成するための紫外線ランプが設けられ、紫外線殺菌領域12と冷凍機7との間に中実の仕切り板14が設けられ、仕切り板の下方に排水孔15が設けられ、紫外線殺菌領域12に設けられるポンプは、仕切り板の下方の排水口を介して冷凍機7に接続され、冷凍機7とケース排水口16とが接続され、最終的に、冷凍と濾過を一体化した水循環機能を達成させる。曝気システム8は、曝気装置17及び曝気機18からなり、曝気装置17は、曝気機18に密着され、曝気装置17に、輸送箱内の曝気機能を達成させるための若干の曝気孔19が設けられる。冷凍機7及び曝気機18の何れも乾燥領域にあり、且つこの領域と外部との間に排気口20が設けられる。本発明の提供する上述の技術案により、水質の悪化を効果的に遅らせ、魚類の輸送中のストレス反応を低下させ、活魚輸送の存活率を向上させることができる。
【0026】
以下、スズキを例にして、本発明の提供する魚類用高密度生体輸送箱の使用形態を説明する。
【0027】
事前に、高密度生体輸送箱をきれいに洗浄し、且つ清潔な輸送用水を入れた後で、乳化されておいたメリッサオイル(Melissa Oil)を40mg/Lの濃度で輸送水中に添加した。36h臨時飼育されたスズキを高密度生体輸送箱に置き、冷凍機によって3℃/hの降温速率で水温を20~22℃から輸送温度12℃まで下げるように設置し、最後に、輸送箱にカバーを被って封じって輸送し、輸送期間中に、水温12(±1)℃、塩度16‰、溶存酸素4~6mg/L、pH7.5~8.5、魚水比1:4であった。72h輸送した後で目的地に到達し、スズキを水温12(±1)℃のきれいな水に置き、室温で回復させ、存活率は96%であり、12h回復された後で、存活率は96%であった。この技術案によって生体輸送をすると、輸送を完成した72h後に、輸送水における溶存酸素のレベル及び輸送の存活率は、普通の酸素充填バッグによる輸送の2倍であり、且つ鰓組織の微細構造を観察し(光学顕微鏡による観察、走査電子顕微鏡による観察)、酸化ストレス(コルチゾール、ストレスタンパク質、血糖、Caspase-3)、免疫能力(リゾチーム、免疫グロブリン)等の指標を測定し、実験の結果によると、メリッサオイルの適用により、鰓の鰓糸の萎縮及び変形を効果的に遅らせることができ、且つ酸化ストレスによる傷害に対する抵抗及び免疫力の向上等の点で、著しい効果を持つことが判明された。
【0028】
本発明の具体的な実施形態についての上記説明から、本発明の提供する魚類用高密度生体輸送形態は、従来の技術に比べると、輸送中に誘発されたストレス反応及び組織傷害を効果的に緩和させ、魚類の免疫能力及び輸送の存活率を向上させるという顕著な有益効果を持つことが判明される。特に、水循環濾過及び曝気の条件で低温輸送を行うことで、水における十分な溶存酸素のレベルの維持を効果的に保証するが、メリッサオイルを添加した後で低温輸送を行うことで魚類の呼吸代謝レベルを効果的に低下させ、魚類の抗ストレス能力及び免疫能力を向上させ、鎮定及びストレス緩和の効果を達成させる。水質浄化システムによって、魚類の排出した代謝廃物を段階的に濾過及び殺菌し、輸送水における有害細菌及びアンモニア窒素レベルを効果的に低下させ、輸送中の健康な水質を確実に保証する。本発明は、魚類の生体輸送のために好適な条件とプロセスを創造し、活魚輸送の存活率を向上させる。
【0029】
上述の実施例は、単に本発明の原理及びその効果を例示的に説明するものであるが、本発明を制限するためのものではない。当業者であれば、何れも本発明の精神や範囲を違反せずに、上述の実施例に修正や変更を加えてもよい。そのため、当業者が本発明の開示した精神及び技術思想から逸脱せずに完成した全ての同等な修正や変更も、本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
1 輸送箱
2 魚輸送領域
3 輸送水循環領域
4 カバー
5 水はね防止用の排気孔
6 水質浄化システム
7 冷凍機
8 曝気システム
9 一次濾過領域
10 二次濾過領域
11 活性炭濾過領域
12 紫外線殺菌領域
13 透かし彫りの仕切り板
14 中実の仕切り板
15 排水孔
16 ケース排水口
17 曝気装置
18 曝気機
19 曝気孔
20 排気口