(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】流体接触装置及び液体処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/78 20230101AFI20240604BHJP
B01F 23/231 20220101ALI20240604BHJP
B01F 25/31 20220101ALI20240604BHJP
B01J 4/00 20060101ALI20240604BHJP
C02F 1/50 20230101ALI20240604BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20240604BHJP
【FI】
C02F1/78
B01F23/231
B01F25/31
B01J4/00 101
C02F1/50 531R
B01F35/71
(21)【出願番号】P 2023202515
(22)【出願日】2023-11-30
【審査請求日】2023-11-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517039483
【氏名又は名称】WOTA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 育
(72)【発明者】
【氏名】新妻 拓
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03476366(US,A)
【文献】米国特許第04507253(US,A)
【文献】特開昭54-018468(JP,A)
【文献】実開昭57-145597(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/70 - 1/78
B01F 21/00 - 25/90
B01F 35/00 - 35/95
B01J 4/00
C02F 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が導入される導入口と、前記導入口よりも下に位置し前記液体を排出する排出口と、を備える接触管と、
前記
排出口よりも下又は前記排出口と同じ高さ位置から前記接触管の内部に前記液体よりも比重の小さい接触
気体を供給する供給機構と、
を有する流体接触装置。
【請求項2】
前記排出口は前記
接触管における液位の上限である上限液位よりも下の位置にある、請求項1に記載
の流体接触装置。
【請求項3】
前記排出口に連通すると共に前記接触管の外部に延出され、前記導入口よりも下の位置で開放される開放部を備えている排出管、を有する請求項1に記載の流体接触装置。
【請求項4】
少なくとも前記接触管は、曲げ変形可能な曲げ部を有している請求項3に記載の流体接触装置。
【請求項5】
前記供給機構は、前記接触管の内部に前記接触
気体が供給されるように配置され、曲げ変形可能な曲げ部を有する供給管を備えている請求項4に記載の流体接触装置。
【請求項6】
前記排出口の流路の平均断面積は、前記排出口の流路の平均断面積以下である、請求項3に記載の流体接触装置。
【請求項7】
液体が導入される導入口と、前記導入口よりも下に位置し前記液体を排出する排出口と、を備える接触管と、
前記接触管における液位の上限である上限液位よりも下の位置から前記接触管の内部に前記液体よりも比重の小さい接触
気体を供給する供給機構と、
前記排出口に連通すると共に前記接触管の外部に延出され、前記導入口よりも下の位置で開放される開放部と、
を有する流体接触装置。
【請求項8】
請求項1~
請求項7の何れか一項に記載の流体接触装置と、
前記流体接触装置が内部に配置される槽本体と、
を有する液体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体接触装置及び液体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、処理対象の流体に、オゾン発生器で発生されたオゾンを、ハイドロエゼクターによって注入して混合し、混合物をスタティックミキサー及びオゾン溶解反応器に導入する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、流体と気体とをハイドロエゼクターによって混合し、さらに、オゾン溶解反応器等によって混合している。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術を用いても、2種の流体を効率的に接触させるには改善の余地がある。
【0006】
本開示の目的は、比重の異なる2種の流体を効率良く接触させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の流体接触装置は、液体が導入される導入口と、前記導入口よりも下に位置し前記液体を排出する排出口と、を備える接触管と、前記接触管における液位の上限である上限液位よりも下の位置から前記接触管の内部に前記液体よりも比重の小さい接触流体を供給する供給機構と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術では、比重の異なる2種の流体を効率良く接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は第一実施形態の流体接触装置及び液体処理装置を示す概略図である。
【
図2】
図2は第一実施形態の流体接触装置及び液体処理装置を内部に流体が収容された状態で示す概略図である。
【
図3】
図3は第二実施形態の流体接触装置及び液体処理装置を示す概略図である。
【
図4】
図4は第三実施形態の流体接触装置及び液体処理装置を示す概略図である。
【
図5】
図5は第四実施形態の流体接触装置及び液体処理装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して第一実施形態について説明する。
【0011】
図1には、本開示の技術に係る流体接触装置12と、この流体接触装置12を有する液体処理装置10と、が示されている。
図2には、流体接触装置12及び液体処理装置10が、処理前水TW1、処理途中水TW2、処理済水TW3と共に示されている。
【0012】
本実施形態では、流体接触装置12は、処理対象の一例である処理前水TW1に対し、接触流体を接触させる装置である。液体処理装置10では、処理前水TW1に対し接触流体が接触される。液体処理装置10により処理されている途中の水が処理途中水TW2である。そして、液体処理装置10により処理されることで、その結果として処理済み水TW3が得られる。
【0013】
接触流体は、処理対象の液体と異なる種類で、且つ処理対象の液体より比重の小さい流体であればよく、液体であっても気体であってもよい。本実施形態の流体接触装置12は、例えば、図示しない水浄化システムに適用され、処理対象である処理前水TW1に対し、接触流体の一例としてのオゾンを接触させる装置である。
【0014】
液体処理装置10は、槽本体14を有している。槽本体14は、たとえば上面が開放可能な容器である。槽本体14の内部には、流体接触装置12による所定の処理が済んだ処理済水TW3を貯留することが可能である。槽本体14の上面は、蓋部材56によって閉じられるようになっている。
【0015】
槽本体14には図示しない液位維持装置が設けられている。槽本体14の内部で処理済水TW3の液位が所定の設定液位LLを超えないように、液位維持装置によって、処理済水TW3が適切に外部に排出されるようになっている。本実施形態において、槽本体14の設定液位LLは、後述する排出管20の開放部30よりも下の位置にある。
【0016】
第一実施形態の流体接触装置12は、接触管18と、排出管20と、供給機構22と、を有している。接触管18には、後述する被処理液貯留部42から、被処理液が処理前水TW1として供給される。処理前水TW1は、流体接触装置12において、オゾンの気泡GBと接触されて所定の処理が成される前の水である。そして、接触管18及び排出管20の内部では、処理途中水TW2として移動し、開放部30に至る。
【0017】
接触管18は、図示の例では略円筒形状の管であり、内部に処理途中水TW2を収容可能な容器として機能する。接触管18の容積は、槽本体14の容積と比較して小さい。
【0018】
接触管18は、槽本体14又は蓋部材56に固定されている。この状態で、接触管18の下端18Bは、槽本体14の底板26に接触するか、又は所定の間隔をあけて離隔している。
【0019】
接触管18の上面は開放された導入口18Hである。導入口18Hは、後述する開放部30よりも上の位置にある。
【0020】
接触管18の下部には、排出口28が備えられている。本実施形態では、排出口28は、接触管18の側面で、且つ下端18Bに近い位置に形成されている。第一実施形態において、接触管18の「下部」とは、例えば開放部30よりも下の位置であり、好ましくは、接触管18の内寸での高さHの半分以下の位置である。
【0021】
接触管18の下部には、排出口28に連通する排出管20が設けられている。排出管20は、接触管18の外周面から外部に延出されている。排出管20は上方に延出されている。排出管20の先端(上端)は開放部30である。開放部30では、排出管20が槽本体14の内部で開放されている。開放部30では、接触管18の処理途中水TW2が排出管20を経て排出される。
【0022】
接触管18の上部には、接触管18から外側に延出される保持板32が取り付けられている。排出管20の先端部分は、槽本体14の内部において保持板32によって保持されている。図示の例では、開放部30は、後述する流入管38の流入口40よりも低く、且つ槽本体14の設定液位LLよりも高い位置にある。
【0023】
第一実施形態では、接触管18と排出管20とは、それぞれの下部において排出口28で連通しており、全体としてU字管16を成している。接触管18と排出管20とが下部で連通し、且つそれぞれの管の上端は開放されているので、接触管18の液位と排出管20の液位とは一致した状態が維持される。排出管20を上昇した処理途中水TW2は開放部30から流出する(
図2の矢印F4参照)ので、接触管18の液位は、開放部30の高さ位置よりも高くなることはない。すなわち、接触管18には、処理途中水TW2の液位の上限として、開放部30と同じ高さ位置である上限液位SLが設定されている。なお、開放部30は、槽本体14の設定液位LLより低い位置にあってもよいが、開放部30が設定液位LLより高い位置にあるほうが、設定液位LLより高くでき、より好ましい。すなわち、処理途中水TW2を接触管18の内部で設定液位LLよりも高い位置まで保持することで、オゾンとの接触時間を長く確保できる。開放部30が槽本体14の設定液位LLより低い位置にある場合は、上限液位SLは設定液位LLと同じ高さ位置となる。
【0024】
排出口28及び排出管20の流路の平均断面積(以下、流路の平均断面積を単に「平均断面積」という)は、接触管18の平均断面積より大きくてもよいが、本実施形態では、排出口28及び排出管20の平均断面積は、接触管18の平均断面積以下である。この「平均断面積」は、対象としている管において、長手方向と直交する方向の流路の断面積の積分値を長さで除した数値である。例えば本実施形態では、後述するように接触管18が蛇腹46を、排出管20が蛇腹48をそれぞれ有する形状であるが、この場合には、平均断面積は流路の断面積の最大値と最小値の中間値で近似できる。
【0025】
供給機構22は、供給管54と、気泡生成部材36を有している。供給管54は接触管18の内部に配置されている。供給管54の上端は、導入口18Hを通って槽本体14の外部に延出され、気体発生装置34に接続されている。気体発生装置34は、本実施形態ではオゾンを発生させる装置である。すなわち、処理途中水TW2に対しオゾンが接触されることにより、処理途中水TW2に対し所定の処理を施すことができる。
【0026】
供給管54の下端には気泡生成部材36が取り付けられている。気泡生成部材36は、流入した気体を微細な気体として外部に放出する。気泡生成部材36は、エアストーンと称されることがある。図示の例では、気泡生成部材36は、接触管18の内部において、排出口28よりも下の位置にあるが、排出口28と同じ高さ位置、または排出口28よりも高い位置であってもよい。ただし、気泡生成部材36は、排出管28の開放部30よりは下の高さ位置にあるように設置される。気体発生装置34で発生されたオゾンは、気泡生成部材36から接触管18の内部に排出される。
【0027】
供給管54は、気泡生成部材36が所定の高さ位置となるように、図示しない保持具によって、接触管18に対し保持されている。排出口28は、排出管20の開放部30よりも下の位置にあるので、気泡生成部材36も、開放部30より下の位置にある。これにより、気泡生成部材36が、上限液位SLよりも下の位置から、接触管18の内部に接触流体であるオゾンを供給する構造が実現されている。
【0028】
接触管18の内部には、流入管38の先端部分が配置されている。流入管38は、接触管18の導入口18Hを通って槽本体14の外部に延出されており、水浄化システムにおける被処理液貯留部42に接続されている。被処理液貯留部42は、液体処理装置10によって処理され前段階の処理前水TW1に対し、浄化等の所定の処理、たとえば液体処理装置10により施される処理とは異なる処理を施す。
【0029】
流入管38の下端は流入口40である。流入口40は、接触管18の内部において、接触管18の上端よりも低く、且つ排出管20の開放部30よりも高い位置にある。流入管38は、流入口40が、このような高さ位置となるように、図示しない保持具によって保持されている。あるいは、接触管18の周壁に貫通孔を穿ち、この貫通孔に流入管38を挿通する構造とすることにより、流入管38が保持されるようにしてもよい。
【0030】
流入管38は、接触管18の導入口18Hを通っているので、導入口18Hは、接触管18に処理前水TW1が導入される場合の導入口として作用している。たとえば、流入口40が導入口18Hの上にある構成であっても、流入口40から流れ出た処理前水TW1は導入口18Hを通る。
【0031】
接触管18において、高さ方向(長手方向)の中間部分は蛇腹46を有する構造である。接触管18は、蛇腹46において湾曲可能である。また、排出管20においても、高さ方向(長手方向)の中間部分は蛇腹48を有する構造である。排出管20は蛇腹48において曲げ変形可能である。蛇腹46及び蛇腹48はいずれも、曲げ部44の一例である。
【0032】
供給管54において、少なくとも接触管18の内部に位置する一部は、柔軟部50である。柔軟部50は、供給管54を曲げ変形可能な曲げ部44の一例である。接触管18が蛇腹46によって曲げ変形した場合に、供給管54も柔軟部50によって、接触管18に追従して曲げ変形可能である。供給管54の曲げ部44は、接触管18及び排出管20と同様に蛇腹によって構成されていてもよいし、供給管54自体が、可撓性を有する材料、たとえば可撓性の樹脂材料やゴム等で形成されることで、曲げ部44としての柔軟部50が構成されていてもよい。また、接触管18及び排出管20の曲げ部44が、蛇腹46、48に代えて、柔軟な材料、すなわち、上記した可撓性の樹脂材料やゴム等で形成されていてもよい。要するに、接触管18、排出管20、及び供給管54に曲げ部44を設けるにあたって、形状として蛇腹を形成する構成であっても、また、材質として柔軟な材質を用いる構成であってもよく、これらを併用してもよい。
【0033】
接触管18の下部には、錘部材52が設けられている。接触管18は、錘部材52を下にして槽本体14の内部に位置しており、接触管18の姿勢が安定するようになっている。
【0034】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0035】
本実施形態の流体接触装置12及び液体処理装置10では、槽本体14の外部の被処理液貯留部42から、流入管38を通じて、処理前水TW1が接触管18の内部に流入される。流入管38の流入口40から流出した処理前水TW1は、
図2に矢印F1で示すように、処理途中水TW2として接触管18の内部を流れ、下側から接触管18の内部に溜まっていく。
【0036】
接触管18には排出口28が備えられている。排出口28からは排出管20が延出されており、排出管20の先端は開放部30である。したがって、接触管18の内部の処理途中水TW2は、排出管20にも流れ込む(矢印F3参照)。排出管20の内部の液位は、接触管18の内部の液位と等しい高さ位置を維持しつつ上昇する。そして、排出管20の内部の液位が開放部30に達した後は、流入管38から接触管18の内部に処理途中水TW2が流れ込んでも、液位は上昇せず、排出管20の開放部30から処理済水TW3として槽本体14の内部に流出する(矢印F4参照)。
【0037】
このように接触管18の内部に処理途中水TW2が溜まっていく状態、及び処理途中水TW2の液位が開放部30と同じ高さまで達した状態で、槽本体14の外部の気体発生装置34で発生されたオゾンを、供給管54を通じて接触管18の内部に供給することが可能である。
【0038】
本実施形態において、気泡生成部材36は、供給機構22の一例を成している。そして、気泡生成部材36は、接触管18の内部において、上限液位SLよりも下の位置にある。したがって、接触管18の内部に供給されたオゾンが気泡GBとなって処理途中水TW2に接触しながら、処理途中水TW2の内部を上昇する状態が実現される。特に、接触管18の内部において、処理途中水TW2の下向きの流れ(矢印F1参照)と、これとは逆向き(上向き)に上昇するオゾンの気泡GBの流れ(矢印F2参照)とが生成される。このように、処理途中水TW2とオゾンの気泡GBとが互いに異なる方向に流れるので、処理途中水TW2に対するオゾンの気泡GBの接触状態を良好に維持し、処理途中水TW2とオゾンの気泡GBとを効率的に接触させることができる。
【0039】
また、本実施形態では、接触管18の内部で処理途中水TW2とオゾンの気泡GBとの接触時間を長く確保するために、接触管18内でオゾンの気泡GBの上昇を抑制して一時的に保持する仕切板(邪魔板、又は阻流板と称されることもある)等の部材が不要である。このため、接触管18の内部としても、また、流体接触装置12の全体としても、構造の簡素化を図ることが可能である。
【0040】
しかも、本実施形態では、接触管18の容積は、槽本体14の容積と比較して小さい。ここで、槽本体14の内部に収容された処理水を処理途中水TW2として、オゾンの気泡GBを導入して接触させる場合を想定する。この場合、オゾンの気泡GBが槽本体14の内部に拡散されてしまうので、単位体積あたりで処理途中水TW2に対するオゾンの気泡GBの接触面積が狭くなり、接触機会は低下する。これに対し本実施形態では、槽本体14よりも容積の小さい接触管18の内部で処理途中水TW2にオゾンの気泡GBを接触させるので、単位体積当たりで処理途中水TW2に対するオゾンの気泡GBの接触面積が広くなる。これによっても、処理途中水TW2に対するオゾンの接触状態を良好に維持し、処理途中水TW2とオゾンとを効率的に接触させることが可能である。
【0041】
本実施形態では、排出口28は、上限液位SLよりも下の位置にある。したがって、接触管18の内部において、上限液位SLの位置から排出口28まで下向きに流れる処理途中水TW2の流れを生成できる。
【0042】
本実施形態では、排出管20を有している。排出管20には、導入口18Hよりも下の位置で開放される開放部30が形成されている。この開放部30の位置は、上限液位SLの位置でもある。すなわち、開放部30の位置によって、上限液位SLの位置を任意に設定することが可能である。
【0043】
本実施形態では、排出口28及び排出管20の平均断面積は、接触管18の平均断面積以下である。これにより、排出口28及び排出管20の平均断面積が接触管18の平均断面積よりも大きい場合と比較して、排出口28及び排出管20が狭くなっており、接触管20の内部にオゾンの気泡GBが入りづらい構造である。これにより、接触管18においてオゾンの気泡GBが処理途中水TW2に存在している状態を実現し、オゾンの気泡GBを処理途中水TW2に効果的に接触させることができる。
【0044】
本実施形態では、液体処理装置10として、槽本体14の内部に接触管18を配置している。接触管18の内部で処理途中水TW2の液位まで上昇したオゾンの気泡GBを、槽本体14の内部に排出することができる。
【0045】
さらに、本実施形態では、排出管20の開放部30も槽本体14の内部に配置されている。したがって、排出管20の開放部30から流出した処理済水TW3は槽本体14の内部に貯留される。槽本体14に貯留された処理済水TW3は、必要に応じて槽本体14の外部に送られる。
【0046】
本実施形態では、接触管18の下部に錘部材52が設けられている。したがって、接触管18が槽本体14の内部の処理途中水TW2において、錘部材52を下にして、接触管18の長手方向が鉛直方向と一致している姿勢を維持しやすい。接触管18の長手方向が鉛直方向と一致した姿勢であることで、接触管18内で、流入口40から排出口28までの処理途中水TW2の流れ(矢印F1参照)と、この逆向きであるオゾンの気泡GBの移動(矢印F2参照)とが、接触管18の長手方向に沿って生じやすい構成を実現できる。
【0047】
本実施形態において、図示の例では、流入管38の流入口40は、排出管20の開放部30よりも上の位置にある。排出管20の開放部30は、接触管18において、液位の上限である上限液位SLである。すなわち、接触管18の内部で液位が最も高くなった状態でも、流入管38の流入口40は処理途中水TW2によって塞がれることはなく、スムーズに処理前水TW1を接触管18の内部に流入させることができる。
【0048】
本実施形態では、供給管54の気泡生成部材36は、排出管20の排出口28よりも下の位置にある。供給管54の気泡生成部材36が、排出管20の排出口28よりも上の位置にある構成と比較して、排出口28よりも下の位置にある処理途中水TW2に対し、オゾンの気泡GBを接触させることができる。また、オゾンの気泡GBが処理途中水TW2の内部を上昇する長さ(空間的な長さ)を長く確保できる。
【0049】
本実施形態では、接触管18、排出管20及び供給管54は曲げ部44を有している。曲げ部44によって、接触管18、排出管20及び供給管54を曲げることで、これらを槽本体14の所定の位置に組み付ける作業を容易にできる。たとえば、槽本体14の上に他の部材が配置されている等により、槽本体14の上側のスペースが狭い場合に、接触管18、排出管20及び供給管54を曲げることによって、このような狭いスペースに差し入れることが可能となる。
【0050】
特に、接触管18及び排出管20において、曲げ部44は蛇腹46、48である。すなわち、蛇腹46、48を設ける簡単な構造で、接触管18及び排出管20を曲げ変形可能な構造にできる。なお、供給管54の曲げ部44として蛇腹46、48と同様の蛇腹を適用してもよい。この場合には供給管54においても、蛇腹を設ける簡単な構造で曲げ変形可能な構造にできる。
【0051】
本実施形態では、供給管54は、接触管18の内部に配置されている。供給管54が接触管18の外部に配置されている構成では、気泡生成部材36が接触管18の内部に位置するように、供給管54を接触管18の外部から内部へ貫通させる必要が生じるが、本実施形態ではその必要がなく、構造の簡素化を図ることが可能である。
【0052】
次に、第二実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態において、第一実施形態と同一の要素、部材等については、第一実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0053】
図3に示すように、第二実施形態の流体接触装置62及び液体処理装置60では、排出管20に湾曲部64が形成されている。第二実施形態における排出管20は、湾曲部64が形成されていることにより、第一実施形態における排出管20と比較して、処理途中水TW2が流れる場合の抵抗が大きくなっている。
【0054】
したがって、第二実施形態の流体接触装置62及び液体処理装置60では、第一実施形態の流体接触装置12と比較して、接触管18から排出管20に処理途中水TW2が流れ込む場合に、処理途中水TW2と共にオゾンの気泡GB(
図2参照)が流れ込みにくい構造である。すなわち、オゾンの気泡GBを、接触管18の内部において、処理途中水TW2と確実に接触させることができる。
【0055】
次に、第三実施形態について説明する。
【0056】
図4に示すように、第三実施形態の流体接触装置72及び液体処理装置70では、第一実施形態の排出管20(
図1参照)は設けられていない。そして、接触管18の下端18Bに、排出口28が形成されている。図示の例では、排出口28の位置18Bは接触管18の下端の中央である。錘部材52は、排出口28を取り囲むように環状に形成されている。排出口28の断面積は、接触管18の断面積よりも小さい。この場合の接触管18の断面積は、例えば、前述した平均断面積である。
【0057】
第三実施形態の流体接触装置72及び液体処理装置70では、このように接触管18の下端が排出口28として開放されているので、接触管18の内部の液位は、槽本体14の液位と一致する。すなわち、接触管18における上限液位SLは、槽本体14の設定液位LLと同じ高さ位置となる。槽本体14の設定液位LLは所定の位置に設定されるものであり、また、流体接触装置72は槽本体14の内部において所定の高さ位置に保持される。これにより、接触管18の内部の上限液位SLは一定の高さ位置に決まる。
【0058】
そして、第三実施形態の流体接触装置72及び液体処理装置70においても、気泡生成部材36は、上限液位SLよりも下の位置にある。すなわち、供給機構22は、上限液位SLよりも下の位置から、オゾンの気泡GBを接触管18の内部に供給する構造が実現されている。
【0059】
第三実施形態の流体接触装置72では、排出管20が設けられていないので、構造を簡素化できる。
【0060】
これに対し、第一実施形態の流体接触装置12及び第二実施形態の流体接触装置62では、排出管20を有しており、排出管20の先端は開放部30として槽本体14の内部に開放されている。これにより、開放部30の高さ位置として、接触管18の上限液位SLを設定できる。開放部30を所望の高さ位置となるように排出管20の形状を決めることで、上限液位SLの高さ位置を所望の位置に設定できる。
【0061】
なお、第三実施形態では、接触管18の「下部」とは、例えば接触管18の内寸での高さHの半分以下の位置である。
【0062】
次に、第四実施形態について説明する。
【0063】
図5に示すように、第四実施形態の流体接触装置82及び液体処理装置80では、錘部材52(
図1等参照)は設けられていない。また、排出口28は、接触管18の下端18Bに近接する位置(実質的に接触管18の下端18Bと同じ高さ位置)に設けられている。
【0064】
第四実施形態の流体接触装置82及び液体処理装置80は、第一実施形態の流体接触装置12から錘部材52を省略すると共に、接触管18の下端18Bの位置を、排出口28の位置まで上げた例である、とも言える。そして、気泡生成部材36の高さ位置が、排出口28と同じ高さ位置となっている。
【0065】
第四実施形態の流体接触装置82及び液体処理装置80では、このように錘部材52を有さないので、接触管18の構造を簡素化でき、また、流体接触装置80の軽量化を図ることが可能である。
【0066】
さらに、以下の付記を開示する。
(付記1)
液体が導入される導入口と、前記導入口よりも下に位置し前記液体を排出する排出口と、を備える接触管と、
前記接触管における液位の上限である上限液位よりも下の位置から前記接触管の内部に前記液体よりも比重の小さい接触流体を供給する供給機構と、
を有する流体接触装置。
(付記2)
前記排出口は前記上限液位よりも下の位置にある、付記1に記載に流体接触装置。
(付記3)
前記排出口に連通すると共に前記接触管の外部に延出され、前記導入口よりも下の位置で開放される開放部を備えている排出管、を有する付記1又は付記2に記載の流体接触装置。
(付記4)
少なくとも前記接触管は、曲げ変形可能な曲げ部を有している付記3に記載の流体接触装置。
(付記5)
前記供給機構は、前記接触管の内部に前記接触流体が供給されるように配置され、曲げ変形可能な曲げ部を有する供給管を備えている付記4に記載の流体接触装置。
(付記6)
前記排出口の流路の平均断面積は、前記排出口の流路の平均断面積以下である、付記3~付記5のいずれか一項に記載の流体接触装置。
(付記7)
付記1~付記6の何れか一項に記載の流体接触装置と、
前記流体接触装置が内部に配置される槽本体と、
を有する液体処理装置。
【符号の説明】
【0067】
10 液体処理装置
12 流体接触装置
14 槽本体
16 U字管
18 接触管
18B 接触管の下端
18H 導入口
20 排出管
22 供給機構
28 排出口
30 開放部
32 保持板
34 気体発生装置
36 気泡生成部材
38 流入管
40 流入口
42 被処理液貯留部
44 曲げ部
46 蛇腹
48 蛇腹
50 柔軟部
52 錘部材
54 供給管
56 蓋部材
60 液体処理装置
62 流体接触装置
64 湾曲部
70 液体処理装置
72 流体接触装置
LL 上限液位
SL 上限液位
80 液体処理装置
82 流体接触装置
TW1 処理前水
TW2 処理途中水
TW3 処理済水
【要約】
【課題】比重の異なる2種の流体を効率良く接触させる。
【解決手段】流体接触装置は、液体が導入される導入口と、導入口よりも下に位置し液体を排出する排出口と、を備える接触管と、接触管における液位の上限である上限液位よりも下の位置から接触管の内部に液体よりも比重の小さい接触流体を供給する供給機構と、を有する。
【選択図】
図1