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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】検査治具、検査装置、及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/00 20060101AFI20240604BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20240604BHJP
   A61B 5/1172 20160101ALI20240604BHJP
【FI】
G01M11/00 T
G01N21/01 A
A61B5/1172
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023506592
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2021010837
(87)【国際公開番号】W WO2022195766
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英樹
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109791177(CN,A)
【文献】特開2005-292090(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110503026(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0193115(US,A1)
【文献】特開2020-086749(JP,A)
【文献】特開2003-060186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00 - G01M 11/08
G01N 21/00 - G01N 21/61
A61B 5/06 - A61B 5/22
G06T 1/00
G06T 7/00
G01B 11/00 - G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚紋様入力装置の撮像面に接触される接触面を有し、
前記接触面に設けられると共に前記接触面の外縁に接続された溝部を有する
ことを特徴とする検査治具。
【請求項2】
前記溝部は、
環状に設けられた環状部と、
前記環状部と前記接触面の外縁とを接続する接続部と
を有することを特徴とする請求項1記載の検査治具。
【請求項3】
前記接続部は、前記環状部に対して複数設けられていることを特徴とする請求項2記載の検査治具。
【請求項4】
前記溝部は、解像力を検査可能なパターンに形成された解像力検査部を有することを特徴とする請求項1~3いずれか一項に記載の検査治具。
【請求項5】
少なくとも前記接触面は、シリコン樹脂を用いて形成されていることを特徴とする請求項1~4いずれか一項に記載の検査治具。
【請求項6】
請求項1~5いずれか一項に記載の検査治具を用いて皮膚紋様入力装置で撮像された前記接触面の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段で取得された前記画像に基づいて前記皮膚紋様入力装置の光学特性を算出する光学特性算出手段と、
前記光学特性算出手段で算出された前記光学特性に基づいて前記皮膚紋様入力装置の状態を判定する判定手段と
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項7】
前記光学特性算出手段は、
前記画像に含まれる前記溝部の位置を基準として、前記接触面に沿った第1基準線と、前記接触面に沿うと共に前記第1基準線と直交する第2基準線とを規定し、
前記光学特性の少なくとも1つとして、前記第1基準線と前記第2基準線との交点位置に基づいて前記皮膚紋様入力装置の光軸位置を算出する
ことを特徴とする請求項6記載の検査装置。
【請求項8】
前記光学特性算出手段は、
前記画像に含まれる前記溝部の位置を基準として、前記接触面に沿った第1基準線と、前記接触面に沿うと共に前記第1基準線と直交する第2基準線とを規定し、
前記光学特性の少なくとも1つとして、前記第1基準線の長さ寸法と前記第2基準線の長さ寸法とに基づいて前記皮膚紋様入力装置の画角を算出する
ことを特徴とする請求項6または7記載の検査装置。
【請求項9】
前記検査治具の前記溝部が、解像力を検査可能なパターンに形成された解像力検査部を有し、
前記光学特性算出手段は、前記画像に含まれる前記解像力検査部の形状に基づいて、前記光学特性の少なくとも1つとして前記皮膚紋様入力装置の解像力を算出する
ことを特徴とする請求項6~8いずれか一項に記載の検査装置。
【請求項10】
検査治具が、皮膚紋様入力装置の撮像面に接触される接触面を有し、前記接触面に設けられると共に前記接触面の外縁に接続された溝部を有し、
前記検査治具を用いて皮膚紋様入力装置で撮像された前記接触面の画像を取得し、
前記画像に基づいて前記皮膚紋様入力装置の光学特性を算出し、
前記光学特性に基づいて前記皮膚紋様入力装置の状態を判定する
ことを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、検査治具、検査装置、及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、プリズムを介して、指紋を撮像する撮像装置が開示されている。特許文献1に開示された撮像装置は、プリズムを介して、2つの撮像部を用いて指紋を撮像する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-86749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたような皮膚紋様を撮像する撮像装置は、製造過程において製品性能の光学特性が妥当であることを確認するため、撮像範囲の光軸や画角の光学特性を検査する必要がある。例えば、特許文献1の撮像装置では、指紋が接触するプリズム面が撮像範囲となっている。安定した光学検査を実行するためには、実際の人間の皮膚ではなく、光学特性を測定するためのテストチャートを用いる必要がある。
【0005】
しかし、特許文献1に開示された撮像装置は、人間の皮膚の屈折率(約1.4)と空気の屈折率(約1.0)の違いを利用したプリズム方式である。このため、一般的な光学検査に用いられる印画紙やフィルムに印字したテストチャートを使用する場合、プリズムとテストチャート間の空気を抜く必要があり、安定した光学検査が困難である問題があった。
【0006】
この開示の目的は、上述した課題を鑑みて、安定した光学検査が可能な検査治具、検査装置、及び検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示の一態様である検査治具は、皮膚紋様入力装置の撮像面に接触される接触面を有し、上記接触面に設けられると共に上記接触面の外縁に接続された溝部を有する。
【0008】
この開示の一態様である検査装置は、この開示の一態様である検査治具を用いて皮膚紋様入力装置で撮像された上記接触面の画像を取得する画像取得手段と、上記画像取得手段で取得された上記画像に基づいて上記皮膚紋様入力装置の光学特性を算出する光学特性算出手段と、上記光学特性算出手段で算出された上記光学特性に基づいて上記皮膚紋様入力装置の状態を判定する判定手段とを備える。
【0009】
この開示の一態様である検査方法は、検査治具が、皮膚紋様入力装置の撮像面に接触される接触面を有し、上記接触面に設けられると共に上記接触面の外縁に接続された溝部を有し、上記検査治具を用いて皮膚紋様入力装置で撮像された上記接触面の画像を取得し、上記画像に基づいて上記皮膚紋様入力装置の光学特性を算出し、上記光学特性に基づいて上記皮膚紋様入力装置の状態を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この開示の第1実施形態におけるテストチャートの斜視図である。
図2】この開示の第1実施形態におけるテストチャートの接触面の正面図である。
図3】テストチャートを用いて検査が実施される指紋入力装置の概略構成を示す断面図である。
図4】この開示の第2実施形態の検査システムの概略構成図である。
図5】この開示の第2実施形態において、テストチャート及び検査装置を用いた指紋入力装置の光学特性の検査方法について説明するフローチャートである。
図6】指紋撮像カメラで撮像された画像の写真である。
図7】自然画像撮像カメラで撮像された画像の写真である。
図8】この開示の第3実施形態のテストチャートの接触面の正面図である。
図9】この開示の第4実施形態の検査システムの概略構成図である。
図10】この開示の第4実施形態において、テストチャート及び検査装置を用いた指紋入力装置の光学特性の検査方法について説明するフローチャートである。
図11】この開示の第5実施形態におけるテストチャートの接触面の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この開示に係る各実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、各実施の形態において用いられた図面および具体的な構成を、発明の解釈に用いてはならない。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、この開示の第1実施形態におけるテストチャート1(検査治具)の斜視図である。テストチャート1は、検査対象である後述する指紋入力装置100(皮膚紋様入力装置)の撮像面103aに接触される接触面1aと、接触面1aの外縁1a1に沿って設けられた周面1bとを有するブロック形状に形成されている。本実施形態のテストチャート1は、人間の皮膚の屈折率に近い屈折率(約1.4)を持つシリコン樹脂を材料として形成されている。
【0013】
図2は、テストチャート1の接触面1aの正面図である。図1及び図2に示すように、テストチャート1の接触面1aには、溝部2が設けられている。溝部2は、接触面1aが指紋入力装置100の撮像面に押圧された場合に、接触面1aと撮像面との間に存在する空気を接触面1aと撮像面との界面から外部に排出する案内路である。また、溝部2は、指紋入力装置100の光学特性を検査するテストパターンとして用いられる。この溝部2は、接触面1aから一定の深さ寸法で窪むように形成されており、1つの枠状部3と、複数(本実施形態では4つ)の接続部4とを有している。
【0014】
枠状部3は、接触面1aの法線方向から見て、長方形状に形成されている。つまり、枠状部3は、環状に設けられている。この枠状部3は、一対の長辺部(第1長辺部3a及び第2長辺部3b)と、一対の短辺部(第1短辺部3c及び第2短辺部3d)とを有している。第1長辺部3aの一端が第1短辺部3cの一端に接続され、第1長辺部3aの他端が第2短辺部3dの一端に接続され、第2長辺部3bの一端が第1短辺部3cの他端に接続され、第2長辺部3bの他端が第2短辺部3dの他端に接続されている。これらの長辺部と短辺部とが接続されることで、枠状部3は上述のように長方形状に形成されている。このような枠状部3に囲まれた領域は、指紋入力装置100の光学特性を検査する際に用いられる中央領域Rとして用いられる。つまり、環状に形成された枠状部3は、指紋入力装置100の光学特性の検査時に用いられる中央領域Rを形成している。
【0015】
接続部4は、枠状部3と接触面1aの外縁1a1とを接続する部位である。本実施形態では、接続部4は4つ設けられている。図1及び図2に示すように、1つの接続部4は、第1長辺部3aの中央と外縁1a1とを接続するように直線状に形成されている。1つの接続部4は、第2長辺部3bの中央と外縁1a1とを接続するように直線状に形成されている。1つの接続部4は、第1短辺部3cの中央と外縁1a1とを接続するように直線状に形成されている。1つの接続部4は、第2短辺部3dの中央と外縁1a1とを接続するように直線状に形成されている。上述のように接触面1aの外縁1a1に沿って周面1bが形成されているため、各々の接続部4は、枠状部3と周面1bとを接続する。
【0016】
本実施形態のテストチャート1を用いて指紋入力装置100の光学特性を検査する場合には、指紋入力装置100が備える後述の自然画像用カメラの光学特性上の水平方向が枠状部3の長辺部に沿った方向となる。また、自然画像用カメラの光学特性上の垂直方向が枠状部3の短辺部に沿った方向となる。このため、図2に示すように、長辺部と平行に延伸しかつ短辺部の長さ方向における中央に配置された仮想的な線分を水平中心線L1と称する。また、短辺部と平行に延伸しかつ長辺部の長さ方向における中央に配置された仮想的な線分を垂直中心線L2と称する。
【0017】
溝部2は、接触面1aを指紋入力装置100の撮像面に対して押圧した場合に、空気が流れる流路となる。溝部2の接続部4が接触面1aの外縁1a1(周面1b)と接続されているため、溝部2を流れる空気は、テストチャート1の外部に排出される。このように、本実施形態のテストチャート1は、指紋入力装置100の撮像面に接するシリコン樹脂面(接触面1a)に周辺へ空気が抜けやすい構造を持つ。さらに溝部2は、指紋入力装置100の光学検査において、光軸及び画角を検査するためのパターン(ガイド)も兼ねている。このテストチャート1を指紋入力装置100の撮像面に向けて加圧することで、撮像面と接触面1aとの間の空気を抜くことができる。なお、接触面1aは、指紋入力装置100の撮像面103aと間に余分な空気が入らないように、鏡面処理が施されていることが好ましい。
【0018】
また、このテストチャート1が人間の皮膚の屈折率に近い材料(シリコン樹脂)を使用していることから、接触面1aを鮮明に撮像することができる。一方で、撮像面に接触しない溝部2の部分は、空気層となる。このため、溝部2が設けられた部分でのコントラストは非常に低い値となる。これを利用し、撮像画像の溝部2の位置から、光軸及び画角を算出し、光学特性を検査することができる。なお、この光学特性の検査方法については、後の実施形態にて詳細に説明する。
【0019】
図3は、テストチャート1を用いて検査が実施される指紋入力装置100の概略構成を示す断面図である。指紋入力装置100は、指端部(人の指の端部)の指紋を撮像し、撮像画像を出力する装置である。なお、テストチャート1を用いた検査の対象装置は、指紋入力装置100に限定されるものではない。手のひらの掌紋を撮像する掌紋入力装置等、皮膚紋様を撮像する皮膚紋様入力装置が検査の対象となる。検査対象となる皮膚紋様入力装置は、撮影面の大きさ等が異なる以外は、略同一の構成である。このため、ここでは、代表して指紋入力装置100の説明を行う。
【0020】
図3に示すように、指紋入力装置100は、白色光LED基板101と、近赤外光LED基板102と、プリズム103と、指紋撮像カメラ104と、自然画像撮像カメラ105と、制御基板106とを備えている。
【0021】
白色光LED基板101は、プリズム103の下方に設けられ、白色LED(Light emitting diode)等の可視光LEDを有していて、白色光を図3の上方へ向けて出力する。白色光は、波長が380~800nm程度の可視光成分を含む。白色光は、プリズム103の対向面103b側からプリズム103の内部に入射し、プリズム103の撮像面103aに載置された指端部(検査時は、テストチャート1の接触面1a)へ照射される。
【0022】
近赤外光LED基板102は、プリズム103を側方から囲うように設けられ、複数の近赤外光LEDを有していて、白色光より波長が長い近赤外光を出力する。近赤外光は、波長が800nm~1000nm程度の赤外光成分を含む。近赤外光LED基板102とプリズム103の撮像面103aの側方との間には、近赤外光を導光するライトガイド107が配置されている。ライトガイド107で導光されることで、近赤外光は、撮像面103aに沿って指端部(検査時は、テストチャート1の接触面1a)へ照射される。
【0023】
ライトガイド107は、撮像面103aを囲むように配置されている。本実施形態のテストチャート1は、ライトガイド107で囲われた範囲に嵌合される形状に形成されている。つまり、テストチャート1の接触面1aが撮像面103aに接触した場合に、テストチャート1の周面1bがライトガイド107に当接するように、テストチャート1が形成されている。
【0024】
プリズム103は、撮像対象である指端部が載置される撮像面103aと、撮像面103aに対向する対向面103bとを有する。このプリズム103は、屈折率が空気と異なる多面体(例えば六面体)であり、例えば、ガラス、水晶等で形成することができる。対向面103bは、撮像面103aと平行であってもよいし、平行でなくてもよい。また、指紋撮像カメラ104が対向配置される面は、撮像面103aと所定の角度で交わる交わり面103cである。また、交わり面103cの反対側に位置する面103dには、画像のコントラストを高めるため、黒色塗料等が塗布されている。なお、黒色塗料の塗布に代えて黒板を貼り付けても良い。
【0025】
指紋撮像カメラ104は、交わり面103c側から対象物である指端部(検査時は、テストチャート1の接触面1a)を撮像する。指紋撮像カメラ104は、CMOS(Complementary metal oxide semiconductor)イメージセンサ、CCD(Charge coupled device)イメージセンサ等の撮像素子を有し、入力された可視光成分と赤外光成分を画像信号に変換して出力する。この場合、指紋撮像カメラ104は、赤外光カットフィルターを有しておらず、白色光と近赤外光に対して高感度である。
【0026】
自然画像撮像カメラ105は、対向面103b側から対象物である指端部(検査時は、テストチャート1の接触面1a)を撮像する。自然画像撮像カメラ105は、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等の撮像素子と、赤外光カットフィルターを有し、入力された可視光成分を画像信号に変換して出力する。この場合、自然画像撮像カメラ105は、近赤外光に対して低感度である。ただし、自然画像撮像カメラ105は、赤外光カットフィルターを有せず、例えば、画像処理等を用いて赤外光カットフィルターを設けた場合と同等の効果を得るようにしてもよい。
【0027】
制御基板106は、演算処理用の演算回路チップや記憶用のメモリチップが実装された基板である。制御基板106は、指紋撮像カメラ104及び自然画像撮像カメラ105を制御する。つまり、制御基板106は、指紋撮像カメラ104に、指紋(検査時には、テストチャート1の接触面1a)を撮像させる。また、制御基板106は、自然画像撮像カメラ105に、指紋(検査時には、テストチャート1の接触面1a)を撮像させる。また、制御基板106は、白色光LED基板101及び近赤外光LED基板102の制御も行う;
【0028】
このような指紋入力装置100で指紋を撮像する場合には、プリズム103の撮像面103aに指端部が載置される。白色光LED基板101が出力した白色光は、指紋の隆線部及び谷線部で反射されてプリズム103へ入射する。また、近赤外光LED基板102が出力した近赤外光は、指端部を透過し、撮像面103aに設置された指紋の隆線部及び谷線部から出射されて、撮像面103aからプリズム103へ入射する。
【0029】
指紋の隆線部は撮像面103aと接触している。このため、隆線部から入射または隆線部で反射された光の屈折率はプリズム103(ガラス等)の屈折率とほぼ同じである。よって、隆線部から出射または隆線部で反射された光は、撮像面103aで反射された光と同様に考えることができ、プリズム103内のほぼ全方位にほぼ均等に放射され、撮像面103aより下側のすべての領域に達する。
【0030】
一方、指紋の谷線部は撮像面103aとは接触しておらず、谷線部と撮像面103aとの間には空気層がある。したがって、谷線部からの出射光または谷線部での反射光は、空気層を介して撮像面103aに入射する。ここで、空気の屈折率は1.0である。ガラスの屈折率は、一般に1.5前後で1.3~2.0の範囲である。水分と皮膚の屈折率は、1.3~1.4である。これらの屈折率に違いがあるため、谷線部からの出射光及び反射光には、隆線部の出射光および反射光とは異なる屈折現象が生じる。このため、谷線部からの出射光及び反射光は、全方位に放射されない。また、入射角より屈折角が小さくなるので、谷線部からの出射光及び谷線部での反射光はプリズム103内の下向きへの光に偏ることになる。
【0031】
上述のように、隆線部からの光は撮像面103aから全方位にほぼ均等に放射され、谷線部からの光は撮像面103aから下向きの方向へ偏って放射される。また、谷線部からの光は下向きの方向へ偏って放射されるため、隆線部からの光と比較して交わり面103cへの入射角が大きくなる。そのため、隆線部からの光と比較して、谷線部からの光は、入射角が臨界角を超える割合が大きくなり、交わり面103cで全反射される割合が大きくなる。したがって、交わり面103c側から指端部を撮像する指紋撮像カメラ104へは、隆線部からの光の方が、谷線部からの光より多く到達する。よって、指紋撮像カメラ104が撮像する画像は、隆線部が明るく、谷線部が暗い画像となり、コントラストの高い指紋画像(以下、ハイコントラスト画像と称する)となる。
【0032】
また、撮像の際、指端部は、白色光で対向面103b側から照射されるとともに、近赤外光で撮像面103aの周辺部から照射される。この場合、白色光が到達し難い指端部の周辺部を近赤外光で明るくことができる。よって、指紋撮像カメラ104は、指紋全体が適切に照明された状態で指紋を撮像することができる。したがって、指紋入力装置100によれば、指紋画像の全体にわたってコントラストを高くすることができる。
【0033】
一方、対向面103b側から指端部を撮像する自然画像撮像カメラ105へは、隆線部からの光と谷線部からの光が、指紋撮像カメラ104への到達割合と比較して、おおむね均等な割合で到達する。この自然画像撮像カメラ105が撮像する画像は撮像面103aに設置された指端部を対向面103bから直視するものと同様な画像となる。また、自然画像撮像カメラ105が撮像した画像は、赤外光成分が抑制された画像である。したがって、自然画像撮像カメラ105で撮像される画像は、指端部の自然な画像(以下、自然画像と称する)となる。
【0034】
指紋撮像カメラ104で撮像されたハイコントラスト画像は例えば指紋照合に使用される。指紋入力装置100では、指紋撮像カメラ104が全体にわたってコントラストが高い指紋画像を撮像することができるので、例えば指紋照合の精度を容易に高めることができる。一方、自然画像撮像カメラ105が撮像する自然画像は例えば偽物か本物が判断するために使用される。
【0035】
次に、テストチャート1を撮像する例について説明する。指紋入力装置100の製造時には、指紋入力装置100の光学特性の合否を判定する検査が行われる。本実施形態のテストチャート1は、このような指紋入力装置100の製造時に行われる光学特性の合否検査に用いられる。ただし、製造時に限らず、メンテナンス時等にテストチャート1を用いて指紋入力装置100の検査を行っても良い。
【0036】
テストチャート1を用いて検査を行う場合には、テストチャート1の姿勢を接触面1aが下側に向けられた姿勢とし、接触面1aを指紋入力装置100の撮像面103aに接触させる。この状態で接触面1aの撮像を行う。白色光LED基板101が出力した白色光は、テストチャート1の接触面1aで反射されてプリズム103へ入射する。また、近赤外光LED基板102が出力した近赤外光は、テストチャート1の周面1bを透過し、テストチャート1の接触面1aから出射されて、撮像面103aからプリズム103へ入射する。
【0037】
接触面1aの溝部2を除く部位(以下、接触部位と称する)は撮像面103aと接触している。このため、接触部位から入射または接触部位で反射された光の屈折率はプリズム103(ガラス等)の屈折率とほぼ同じである。よって、接触部位から出射または接触部位で反射された光は、撮像面103aで反射された光と同様に考えることができ、プリズム103内のほぼ全方位にほぼ均等に放射され、撮像面103aより下側のすべての領域に達する。
【0038】
一方、溝部2は撮像面103aとは接触しておらず、溝部2の内壁面と撮像面103aとの間には空気層がある。したがって、溝部2からの出射光または溝部2での反射光は、空気層を介して撮像面103aに入射する。上述のように、空気の屈折率は1.0である。ガラスの屈折率は、一般に1.5前後で1.3~2.0の範囲である。テストチャート1の屈折率は、人間の皮膚の屈折率に近い屈折率(約1.4)である。これらの屈折率に違いがあるため、溝部2からの出射光及び反射光には、接触部位の出射光および反射光とは異なる屈折現象が生じる。このため、溝部2からの出射光及び反射光は、全方位に放射されない。また、入射角より屈折角が小さくなるので、溝部2からの出射光及び溝部2での反射光はプリズム103内の下向きへの光に偏ることになる。
【0039】
上述のように、接触部位からの光は撮像面103aから全方位にほぼ均等に放射され、溝部2からの光は撮像面103aから下向きの方向へ偏って放射される。また、溝部2からの光は下向きの方向へ偏って放射されるため、接触部位からの光と比較して交わり面103cへの入射角が大きくなる。そのため、接触部位からの光と比較して、溝部2からの光は、入射角が臨界角を超える割合が大きくなり、交わり面103cで全反射される割合が大きくなる。したがって、交わり面103c側から指紋撮像カメラ104へは、接触部位からの光の方が、溝部2からの光より多く到達する。よって、指紋撮像カメラ104が撮像する画像は、接触部位が明るく、溝部2が暗い画像となり、ハイコントラスト画像となる。
【0040】
また、撮像の際、テストチャート1は、白色光で対向面103b側から照射されるとともに、近赤外光で撮像面103aの周辺部から照射される。この場合、白色光が到達し難いテストチャート1の外縁1a1付近を近赤外光で明るくことができる。よって、指紋撮像カメラ104は、接触面1a全体が適切に照明された状態で接触面1aを撮像することができる。したがって、指紋入力装置100によれば、接触面1aの画像の全体にわたってコントラストを高くすることができる。
【0041】
一方、対向面103b側から接触面1aを撮像する自然画像撮像カメラ105へは、接触部位からの光と溝部2からの光が、指紋撮像カメラ104への到達割合と比較して、おおむね均等な割合で到達する。この自然画像撮像カメラ105が撮像する画像は撮像面103aに設置された指端部を対向面103bから直視するものと同様な画像となる。また、自然画像撮像カメラ105が撮像した画像は、赤外光成分が抑制された画像である。したがって、自然画像撮像カメラ105で撮像される画像は、接触面1aの自然画像となる。
【0042】
このようなテストチャート1を用いて得られた画像に基づいて、指紋入力装置100の光学特性の合否の検査が行われる。具体的には、上述の指紋撮像カメラ104で撮像された接触面1aのハイコントラスト画像に基づいて、指紋撮像カメラ104の光学特性の検査が行われる。また、上述の自然画像撮像カメラ105が撮像する接触面1aの自然画像に基づいて自然画像撮像カメラ105の光学特性の検査が行われる。なお、このような画像に基づく光学特性の検査の詳細については、後の実施形態で説明する。
【0043】
以上のような本実施形態のテストチャート1は、指紋入力装置100の撮像面103aに接触される接触面1aを有している。また、テストチャート1は、接触面1aに設けられると共に接触面1aの外縁1a1に接続された溝部2を有する。このため、接触面1aを指紋入力装置100の撮像面103aに対して押圧した場合に、接触面1aと撮像面103aとの間の空気が溝部2を流れ、テストチャート1の外部に排出される。したがって、本実施形態のテストチャート1を用いることで、安定した光学検査が可能となる。
【0044】
また、本実施形態のテストチャート1において溝部2は、環状に設けられた枠状部3と、枠状部3と接触面1aの外縁1a1とを接続する接続部4とを有している。このため、接触面1aと撮像面103aとの間の空気を排出すると共に、例えば枠状部3の形状を光学特性の検査用パターンとして用いることが可能となる。なお、枠状部3の形状を用いた検査方法については、後の実施形態で詳説する。
【0045】
また、本実施形態のテストチャート1において接続部4は、枠状部3に対して複数設けられている。このため、各々の接続部4を介して、空気を接触面1aと指紋入力装置100の撮像面103aとの界面から排出することができる。したがって、より効率的かつ確実に空気を排出することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態のテストチャート1においてこのテストチャート1が人間の皮膚の屈折率に近いシリコン樹脂を使用して形成されている。つまり、接触面1aがシリコン樹脂で形成されている。このため、接触面1aを鮮明に撮像することができる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、この開示の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0048】
図4は、本実施形態の検査システム10の概略構成図である。この図に示すように、本実施形態の検査システム10は、上記第1実施形態のテストチャート1と、検査装置20とを備えている。
【0049】
検査装置20は、検査対象の指紋入力装置100の光学特性を検出すると共に、光学特性が予め定められた範囲の性能を有しているか否かの合否反転を行う装置である。この検査装置20は、図4に示すように、設置台21(固定手段)と、加圧台22と、重り23と、アクチュエータ24と、制御演算部25とを備えている。
【0050】
設置台21は、検査対象の指紋入力装置100が設置される台であり、指紋入力装置100を検査位置に固定する。加圧台22は、指紋入力装置100の撮像面103aに接触面1aが接触されたテストチャート1に対して上方から当接する台であり、昇降可能に支持されている。重り23は、加圧台22上に載置され、加圧台22による支持されている。なお、図4に示すように、重り23の数は変更可能である。アクチュエータ24は、制御演算部25の制御の下にロッドを上下方向に伸縮することで加圧台22を昇降する装置であり、設置台21に固定されている。また、アクチュエータ24は、加圧台22の支持力を調整可能であり、支持力を調整することで加圧台22からテストチャート1に作用する荷重を調整可能に構成されている。
【0051】
これらの加圧台22と、重り23と、アクチュエータ24とが連動することでテストチャート1の接触面1aを指紋入力装置100の撮像面103aに押圧する。つまり、これらの加圧台22と、重り23と、アクチュエータ24とは、テストチャート1の接触面1aを指紋入力装置100の撮像面103aに押圧する押圧部26を構成する。なお、設置台21と、加圧台22と、重り23と、アクチュエータ24とを備えずに、制御演算部25からなる検査装置20とすることも可能である。
【0052】
制御演算部25は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信モジュール等の各ハードウェアを有するコンピュータからなる。制御演算部25は、図4に示すように、上記ハードウェアで具現化される機能部として、アクチュエータ制御部30と、指紋入力装置制御部31と、画像取得部32(画像取得手段)と、光学特性算出部33(光学特性算出手段)と、記憶部34と、判定部35(判定手段)とを有している。
【0053】
アクチュエータ制御部30は、アクチュエータ24を制御し、アクチュエータ24に加圧台22を昇降させる。また、アクチュエータ制御部30は、アクチュエータ24を制御することで、加圧台22の支持力を調整すると共にテストチャート1に作用する押圧力を調整する。
【0054】
指紋入力装置制御部31は、設置台21に固定された指紋入力装置100と接続され、指紋入力装置100の制御基板106を通じて指紋入力装置100の全体を制御する。つまり、指紋入力装置制御部31は、指紋入力装置100の指紋撮像カメラ104及び自然画像撮像カメラ105にテストチャート1の接触面1aを撮像させる。
【0055】
画像取得部32は、指紋入力装置制御部31の制御の下に、指紋入力装置100の指紋撮像カメラ104及び自然画像撮像カメラ105で撮像したテストチャート1の接触面1aの画像を取り込む。つまり、画像取得部32は、テストチャート1を用いて指紋入力装置100で撮像された接触面1aの画像を取得する。
【0056】
光学特性算出部33は、画像取得部32で取得された画像に基づいて指紋入力装置100の光学特性を算出する。光学特性算出部33は、指紋入力装置100の光学特性として、指紋撮像カメラ104及び自然画像撮像カメラ105の光軸と、指紋撮像カメラ104及び自然画像撮像カメラ105の画角を算出する。
【0057】
光学特性算出部33は、光軸を算出する場合には、まず画像に含まれる溝部2の位置を基準として、上述の水平中心線L1(接触面1aに沿った第1基準線)と、上述の垂直中心線L2(接触面1aに沿うと共に第1基準線と直交する第2基準線)とを規定する。続いて、光学特性算出部33は、水平中心線L1と垂直中心線L2との交点位置に基づいて光軸位置を算出する。
【0058】
より具体的には、光学特性算出部33は、指紋撮像カメラ104の光軸を算出する場合には、まず指紋撮像カメラ104で撮像した画像に含まれる溝部2の位置を基準として、水平中心線L1と垂直中心線L2とを規定する。続いて、光学特性算出部33は、水平中心線L1と垂直中心線L2との交点位置に基づいて指紋撮像カメラ104の光軸位置を算出する。
【0059】
また、光学特性算出部33は、自然画像撮像カメラ105の光軸を算出する場合には、まず自然画像撮像カメラ105で撮像した画像に含まれる溝部2の位置を基準として、水平中心線L1と垂直中心線L2とを規定する。続いて、光学特性算出部33は、水平中心線L1と垂直中心線L2との交点位置に基づいて自然画像撮像カメラ105の光軸位置を算出する。
【0060】
光学特性算出部33は、画角を算出する場合には、水平中心線L1の長さ寸法と、垂直中心線L2の長さ寸法とに基づいて、指紋撮像カメラ104及び自然画像撮像カメラ105の画角を算出する。より具体的には、光学特性算出部33は、指紋撮像カメラ104の画角を算出する場合には、指紋撮像カメラ104で撮像した画像から水平中心線L1の長さ寸法と垂直中心線L2の長さ寸法とを求め、これらの長さ寸法から指紋撮像カメラ104の画角を算出する。また、光学特性算出部33は、自然画像撮像カメラ105の画角を算出する場合には、自然画像撮像カメラ105で撮像した画像から水平中心線L1の長さ寸法と垂直中心線L2の長さ寸法とを求め、これらの長さ寸法から自然画像撮像カメラ105の画角を算出する。
【0061】
記憶部34は、各種データを記憶しており、例えば判定部35で光学特性の合否を判定するための判定基準値を記憶している。本実施形態では、判定基準値として、指紋撮像カメラ104の光軸位置の設計値、指紋撮像カメラ104の画角の設計値、自然画像撮像カメラ105の光軸位置の設計値、及び自然画像撮像カメラ105の画角の設計値を記憶している。
【0062】
判定部35は、光学特性算出部33で算出された上述の光学特性に基づいて指紋入力装置100の状態を判定する。ここで言う指紋入力装置100の状態とは、光学特性算出部33で算出した各種光学特性が記憶部34に記憶された各種光学特性の設計値に対して予め定められた範囲に収まっているか否かを示す。なお、光学特性算出部33で算出した各種光学特性が記憶部34に記憶された各種光学特性の設計値に対して予め定められた範囲に収まっている場合には、正常判定となる。一方で、光学特性算出部33で算出した各種光学特性が記憶部34に記憶された各種光学特性の設計値に対して予め定められた範囲に収まっていない場合には、異常判定となる。
【0063】
続いて、このようなテストチャート1及び検査装置20を用いた指紋入力装置100の光学特性の検査方法について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0064】
事前作業として、実際に検査で使用するテストチャート1の水平中心線L1と垂直中心線L2の寸法測定を行う(ステップS101)。指紋入力装置100の光学特性の検査における後述のステップS207及びステップS212の光軸、画角の算出の際に、ステップS101で測定した寸法を使用する。ステップS101の測定は、指紋入力装置100の検査毎に行う必要はない。テストチャート1の寸法個体差を反映させることが目的のため、実際に指紋入力装置100の検査に使用するテストチャート1の個体毎に実施する。
【0065】
検査開始後、被検査装置である指紋入力装置100を検査装置20に設置するため、アクチュエータ24を動作させ、加圧台22及び加圧調整用の重り23を、指紋入力装置100が設置できる位置まで上昇させる(ステップS201)。ここでは、制御演算部25のアクチュエータ制御部30でアクチュエータ24が制御される。
【0066】
加圧台22及び加圧調整用の重り23を上昇後、設置台21の検査位置に合わせて、指紋入力装置100を設置する(ステップS202)。指紋入力装置100の設置後、テストチャート1を、ライトガイド107とプリズム103に接する形でかつ、接触面1aが撮像面103aと接触する形で設置する。これらの指紋入力装置100及びテストチャート1の設置は、作業者や作業ロボットにて行われる。
【0067】
テストチャート1の設置後、アクチュエータ24を動作させ、テストチャート1が指紋入力装置100の撮像面103aに押し付けられる方向(本実施形態では下方向)に、加圧台22と重り23を移動させる(ステップS204)。加圧量(押圧力)は加圧調整用の重り23の自重により調整することができる。また、アクチュエータ24の重り23(加圧台22)の支持力を調整することで加圧量(押圧力)をさらに調整することができる。本実施形態では、一例として加圧量(押圧力)が約10Nとなるように調整されている。ここでは、制御演算部25のアクチュエータ制御部30でアクチュエータ24が制御される。
【0068】
ステップS204における加圧台22の移動により、テストチャート1は、指紋入力装置100の撮像面103a向けて加圧される。このとき、テストチャート1の溝部2により、テストチャート1の接触面1aと指紋入力装置100の撮像面103aと間の空気層が抜ける。これにより、指紋撮像カメラ104でのテストチャート1の撮像準備が整う。
【0069】
ステップS204の加圧台22の移動後、指紋撮像カメラ104の光学検査を行う(ステップS205~ステップS209)。まず、制御演算部25の指紋入力装置制御部31が、指紋入力装置100の制御基板106に指令を出力する。制御基板106は、指紋入力装置制御部31の制御の下で、近赤外光LED基板102のLEDを制御し、近赤外光を発光させる。なお、制御基板106への指令は、必ずしも制御演算部25が出力する必要はない。例えば、作業者が直接的に指紋入力装置100の制御基板106を操作するようにしても良い。
【0070】
近赤外光LED基板102から近赤外光が射出されると、指紋撮像カメラ104にて、テストチャート1の撮像を行う(ステップS205)。光源となる近赤外光は、ライトガイド107により導光され、テストチャート1の周面1bに照射される。テストチャート1に入光した近赤外光の一部が、プリズム103の撮像面103aに照射される。
【0071】
テストチャート1の接触面1aの内、溝部2以外の部分(接触部位)は、空気を介さずにプリズム103に接触する。シリコン樹脂の屈折率(約1.4)と光学ガラス製のプリズムの屈折率(約1.5)がほぼ同等であることから、接触部位では近赤外光はほぼ直進する。このため、指紋撮像カメラ104では、接触部位の高いコントラストの像を撮像することができる。
【0072】
一方、テストチャート1の接触面1aの内、溝部2の部分は、空気を介してプリズム103に接触する。シリコン樹脂の屈折率(約1.4)と空気の屈折率(約1.0)の違いにより、接触面1aと空気の接触面にて、近赤外光は直進できず乱反射する。このため、指紋撮像カメラ104では、溝部2が低いコントラストの像として撮像される。
【0073】
このようにして指紋撮像カメラ104でテストチャート1の接触面1aが撮像されると、指紋撮像カメラ104から画像のデータが出力される。制御演算部25の画像取得部32は、指紋撮像カメラ104から出力される画像のデータを取得することで、指紋撮像カメラ104で撮像されたテストチャート1の接触面1aの画像を取得する。
【0074】
指紋撮像カメラ104の画像が得られたら、指紋撮像カメラ104の光軸、画角の算出に必要な情報を得るための画像分析を行う(ステップS206)。この画像分析について、実際に指紋撮像カメラ104で撮像された画像を用いて説明する。図6は、指紋撮像カメラ104で撮像された画像の写真である。ただし、図6の破線矢印、引き出し線及び符号は、説明のために追加したもので、実際の画像には含まれない。画像分析として、指紋撮像カメラ104で撮像された画像から、溝部2の枠状部3で囲まれた中央領域Rを抽出する。次に、抽出した中央領域Rの水平中心線L1のピクセル数と、垂直中心線L2のピクセル数を測定する。
【0075】
続いて、得られた値と記憶部34に記憶された指紋入力装置100の設計値から、指紋撮像カメラ104の光軸、画角を算出する(ステップS207)。指紋撮像カメラ104の光軸位置は、画像解析で得られた水平中心線L1と垂直中心線L2の交点と、指紋入力装置100の光軸設計値の差より算出する。指紋撮像カメラ104の画角は、指紋入力装置100の撮像面103aの設計値から、1ピクセル当たりに対応する実際の寸法を求め、水平中心線L1及び垂直中心線L2の実際の寸法を算出した値と、指紋入力装置100の指紋撮像カメラ104の主点から撮像面103aまでの距離の設計値にて算出する。
【0076】
ステップS206における画像分析と、ステップS207における光軸及び画角の算出は、制御演算部25の光学特性算出部33が行う。つまり、光学特性算出部33は、画像取得部32がステップS205で取得した指紋撮像カメラ104の撮像画像に基づいて、指紋撮像カメラ104の光軸及び画角を光学特性として算出する。
【0077】
続いて、算出にて得られた指紋撮像カメラ104の光軸位置が、設計許容範囲内かどうかで、光軸判定を行う(ステップS208)。ここでは、制御演算部25の判定部35が、ステップS207で算出された光軸位置と、記憶部34に記憶された設計値とを比較する。算出された光軸位置が設計値に対して許容範囲を超えていない位置にある場合には、光軸位置は設計許容範囲内であると判定される。一方で、算出された光軸位置が設計値に対して許容範囲を超えた位置にある場合には、光軸位置は設計許容範囲外であると判定される。算出で得られた指紋撮像カメラ104の光軸位置が、設計許容範囲外の場合は、製造不良(異常)として判定し、指紋入力装置100を検査装置20より、取り外せるよう加圧台22を移動(ステップS216)させ、検査を終了させる。
【0078】
算出にて得られた指紋撮像カメラ104の光軸位置が、設計許容範囲内の場合は、算出にて得られた指紋撮像カメラ104の画角が、設計許容範囲内かどうかで、画角判定を行う(ステップS209)。ここでは、制御演算部25の判定部35が、ステップS207で算出された画角と、記憶部34に記憶された設計値とを比較する。算出された画角が設計値に対して許容範囲を超えていない場合には、画角は設計許容範囲内であると判定される。一方で、算出された画角が設計値に対して許容範囲を超えている場合には、画角は設計許容範囲外であると判定される。算出で得られた指紋撮像カメラ104の画角が、設計許容範囲外の場合は、製造不良(異常)として判定し、指紋入力装置100を検査装置20より、取り外せるよう加圧台22を移動(ステップS216)させ、検査を終了させる。
【0079】
算出にて得られた指紋撮像カメラ104の画角が、設計許容範囲内の場合には、続いて、自然画像撮像カメラ105の光学検査を行う(ステップS210~ステップS214)。まず、制御演算部25の指紋入力装置制御部31が、指紋入力装置100の制御基板106に指令を出力する。制御基板106は、指紋入力装置制御部31の制御の下で、白色光LED基板101のLEDを制御し、白色光を発光させる。なお、制御基板106への指令は、必ずしも制御演算部25が出力する必要はない。例えば、作業者が直接的に指紋入力装置100の制御基板106を操作するようにしても良い。
【0080】
白色光LED基板101から白色光が射出されると、自然画像撮像カメラ105にて、テストチャート1の撮像を行う(ステップS210)。光源となる白色光は、プリズム103の対向面103bからプリズム103の内部に入射し、プリズム103の撮像面103aに照射される。
【0081】
自然画像撮像カメラ105でテストチャート1の接触面1aが撮像されると、自然画像撮像カメラ105から画像のデータが出力される。制御演算部25の画像取得部32は、自然画像撮像カメラ105から出力される画像のデータを取得することで、自然画像撮像カメラ105で撮像されたテストチャート1の接触面1aの画像を取得する。
【0082】
自然画像撮像カメラ105の画像が得られたら、自然画像撮像カメラ105の光軸、画角の算出に必要な情報を得るための画像分析を行う(ステップS211)。この画像分析について、実際に自然画像撮像カメラ105で撮像された画像を用いて説明する。図7は、自然画像撮像カメラ105で撮像された画像の写真である。ただし、図7の破線矢印、引き出し線及び符号は、説明のために追加したもので、実際の画像には含まれない。また、図7の画像は、自然画像撮像カメラ105の実際の画像を時計周り方向に90度回転した画像であり、自然画像撮像カメラ105の光学特性方向としては、図7の水平中心線L1が水平方向、図7の垂直中心線L2が垂直方向となる。画像分析として、自然画像撮像カメラ105で撮像された画像から、溝部2の枠状部3で囲まれた中央領域Rを抽出する。次に、抽出した中央領域Rの水平中心線L1のピクセル数と、垂直中心線L2のピクセル数を測定する。
【0083】
続いて、得られた値と記憶部34に記憶された指紋入力装置100の設計値から、自然画像撮像カメラ105の光軸、画角を算出する(ステップS212)。自然画像撮像カメラ105の光軸位置は、画像解析で得られた水平中心線L1と垂直中心線L2の交点と、指紋入力装置100の光軸設計値の差より算出する。自然画像撮像カメラ105の画角は、指紋入力装置100の撮像面103aの設計値から、1ピクセル当たりに対応する実際の寸法を求め、水平中心線L1及び垂直中心線L2の実際の寸法を算出した値と、指紋入力装置100の自然画像撮像カメラ105の主点から撮像面103aまでの距離の設計値にて算出する。
【0084】
ステップS211における画像分析と、ステップS212における光軸及び画角の算出は、制御演算部25の光学特性算出部33が行う。つまり、光学特性算出部33は、画像取得部32がステップS210で取得した自然画像撮像カメラ105の撮像画像に基づいて、自然画像撮像カメラ105の光軸及び画角を光学特性として算出する。
【0085】
続いて、算出にて得られた自然画像撮像カメラ105の光軸位置が、設計許容範囲内かどうかで、光軸判定を行う(ステップS213)。ここでは、制御演算部25の判定部35が、ステップS212で算出された光軸位置と、記憶部34に記憶された設計値とを比較する。算出された光軸位置が設計値に対して許容範囲を超えていない位置にある場合には、光軸位置は設計許容範囲内であると判定される。一方で、算出された光軸位置が設計値に対して許容範囲を超えた位置にある場合には、光軸位置は設計許容範囲外であると判定される。算出で得られた自然画像撮像カメラ105の光軸位置が、設計許容範囲外の場合は、製造不良(異常)として判定し、指紋入力装置100を検査装置20より、取り外せるよう加圧台22を移動(ステップS216)させ、検査を終了させる。
【0086】
算出にて得られた自然画像撮像カメラ105の光軸位置が、設計許容範囲内の場合は、算出にて得られた自然画像撮像カメラ105の画角が、設計許容範囲内かどうかで、画角判定を行う(ステップS214)。ここでは、制御演算部25の判定部35が、ステップS212で算出された画角と、記憶部34に記憶された設計値とを比較する。算出された画角が設計値に対して許容範囲を超えていない場合には、画角は設計許容範囲内であると判定される。一方で、算出された画角が設計値に対して許容範囲を超えている場合には、画角は設計許容範囲外であると判定される。算出で得られた自然画像撮像カメラ105の画角が、設計許容範囲外の場合は、製造不良(異常)として判定し、指紋入力装置100を検査装置20より、取り外せるよう加圧台22を移動(ステップS216)させ、検査を終了させる。
【0087】
算出にて得られた自然画像撮像カメラ105の画角が、設計許容範囲内の場合は、指紋入力装置100を検査装置20より、取り外せるよう加圧台22を移動(ステップS215)させ、指紋撮像カメラ104と自然画像撮像カメラ105とに、光軸及び画角の光学特性に関する製造異常はないと判断し、検査を終了させる。
【0088】
以上のような本実施形態の検査装置20は、テストチャート1を用いて指紋入力装置100で撮像された接触面1aの画像を取得する画像取得部32を備える。また、検査装置20は、画像取得部32で取得された画像に基づいて指紋入力装置100の光学特性を算出する光学特性算出部33を備える。さらに、検査装置20は、光学特性算出部33で算出された光学特性に基づいて指紋入力装置100の状態を判定する判定部35を備える。上記第1実施形態において説明したように、テストチャート1によれば、接触面1aと撮像面103aとの間の空気が溝部2を流れて外部に排出される。このため、検査装置20によれば、安定した光学検査が可能となる。
【0089】
また、本実施形態の検査装置20において光学特性算出部33は、画像に含まれる溝部2の位置を基準として、接触面1aに沿った水平中心線L1と、接触面1aに沿うと共に水平中心線L1と直交する垂直中心線L2とを設定する。さらに、光学特性算出部33は、光学特性として、水平中心線L1と垂直中心線L2との交点位置に基づいて指紋入力装置100(指紋撮像カメラ104及び自然画像撮像カメラ105)の光軸位置を算出する。このため、本実施形態の検査装置20によれば、簡易的な画像処理で光軸位置を算出することが可能となる。
【0090】
また、本実施形態の検査装置20において光学特性算出部33は、光学特性として、水平中心線L1の長さ寸法と垂直中心線L2の長さ寸法とに基づいて指紋入力装置100(指紋撮像カメラ104及び自然画像撮像カメラ105)の画角を算出する。このため、本実施形態の検査装置20によれば、簡易的な画像処理で画角を算出することが可能となる。
【0091】
また、本実施形態の検査装置20は、指紋入力装置100を固定する設置台21と、指紋入力装置100の撮像面103aにテストチャート1の接触面1aを押圧する押圧部26とを備える。このため、本実施形態の検査装置20によれば、指紋入力装置100の撮像面103aとテストチャート1の接触面1aの接触部位との間から空気を確実に排出することが可能となる。
【0092】
また、本実施形態の検査装置20において押圧部26は、テストチャート1に上方から当接される加圧台22と、加圧台22により支持される重り23と、加圧台22を昇降可能に支持するアクチュエータ24とを備える。このため、アクチュエータ24の動力を用いて加圧台22を容易に昇降することが可能となる。また、アクチュエータ24の加圧台22の支持力を調整することで、容易にテストチャート1の加圧量(押圧力)を調整することが可能となる。
【0093】
また、本実施形態における検査方法によれば、テストチャート1を用いる。テストチャート1は、指紋入力装置100の撮像面103aに接触される接触面1aを有し、接触面1aに設けられると共に接触面1aの外縁1a1に接続された溝部2を有している。本実施形態における検査方法では、テストチャート1を用いて指紋入力装置100で撮像された接触面1aの画像を取得する。また、取得した画像に基づいて指紋入力装置100の光学特性を算出し、算出した光学特性に基づいて指紋入力装置100の状態を判定する。上記第1実施形態において説明したように、テストチャート1によれば、接触面1aと撮像面103aとの間の空気が溝部2を流れて外部に排出される。このため、本実施形態の検査方法によれば、安定した光学検査が可能となる。
【0094】
(第3実施形態)
次に、この開示の第3実施形態について図8を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0095】
図8は、本実施形態のテストチャート1Aの接触面1aAの正面図である。この図に示すように、溝部2Aは、上述の枠状部3及び接続部4の他に、解像力を検査可能なパターンに形成された解像力検査部5を有している。解像力検査部5は、指紋入力装置100の光学特性の1つである解像力を検査するための部位である。解像力検査部5は、指紋入力装置100が設計値通りの性能を有している場合には、分離して再現することが可能なピッチの平行な複数の線溝で形成されている。
【0096】
本実施形態においては、解像力検査部5は、枠状部3で囲われた中央領域Rに配置されている。ただし、解像力検査部5は、枠状部3で囲われた中央領域Rの外に配置しても良い。解像力検査部5を形成する線溝は、各々が枠状部3や接続部4よりも幅寸法が小さい直線状の溝である。これらの線溝は、図8に示すように、各々の一端が枠状部3に接続されている。このように解像力検査部5を形成する各々の線溝が枠状部3に接続されていることで、各々の線溝も枠状部3や接続部4と同様に空気を接触面1aAの外部へ排出する流路として用いることが可能となる。
【0097】
本実施形態においては、解像力検査部5は、1つ設けられている。ただし、複数の解像力検査部5を設けても良い。このような場合には、各々の解像力検査部5を形成する線溝のピッチを変更することで、指紋入力装置100の解像力をレベル分けして判定することが可能となる。
【0098】
このように、本実施形態のテストチャート1Aにおいて溝部2Aは、解像力を検査可能なパターンに形成された解像力検査部5を有している。このようなテストチャート1Aを用いて指紋入力装置100の光学特性を検査することで、指紋入力装置100の解像力を判定することが可能となる。例えば、指紋入力装置100で撮像した画像に含まれる解像力検査部5の形状が、各々の線溝を再現可能な形状である場合には、指紋入力装置100の解像力は設計値を満たして正常であると判断することが可能である。
【0099】
(第4実施形態)
次に、この開示の第4実施形態について図9及び図10を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第2実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0100】
図9は、本実施形態の検査システム10Aの概略構成図である。この図に示すように、本実施形態の検査システム10Aは、上記第2実施形態のテストチャート1Aと、検査装置20Aとを備えている。
【0101】
検査装置20Aの制御演算部25Aにおいて光学特性算出部33は、上述した光軸及び画角の他に、光学特性の1つである指紋入力装置100の解像力を算出する。光学特性算出部33は、解像力を算出する場合には、まず画像に含まれる解像力検査部5を抽出する。続いて、光学特性算出部33は、例えば画像から抽出した解像力検査部5の形状の再現度や粗さを数値化して解像力として算出する。
【0102】
より具体的には、光学特性算出部33は、指紋撮像カメラ104の解像力を算出する場合には、まず指紋撮像カメラ104で撮像した画像に含まれる解像力検査部5を抽出する。続いて、光学特性算出部33は、指紋撮像カメラ104で撮像した画像から抽出した解像力検査部5の形状の再現度や粗さを数値化して解像力として算出する。
【0103】
また、光学特性算出部33は、自然画像撮像カメラ105の解像力を算出する場合には、まず自然画像撮像カメラ105で撮像した画像に含まれる解像力検査部5を抽出する。続いて、光学特性算出部33は、自然画像撮像カメラ105で撮像した画像から抽出した解像力検査部5の形状の再現度や粗さを数値化して解像力として算出する。
【0104】
記憶部34は、判定部35で光学特性の正常あるいは異常を判定するための判定基準値として、指紋撮像カメラ104の光軸位置の設計値、指紋撮像カメラ104の画角の設計値、自然画像撮像カメラ105の光軸位置の設計値、及び自然画像撮像カメラ105の画角の設計値の他、指紋撮像カメラ104の解像力の設計値と、自然画像撮像カメラ105の解像力の設計値とを記憶している。
【0105】
判定部35は、光軸及び画角の正常あるいは異常の判定を行う他、解像力の正常あるいは異常の判定を行う。具体的には、判定部35は、指紋撮像カメラ104の解像力の正常あるいは異常の判定を行う。また、判定部35は、自然画像撮像カメラ105の解像力の正常あるいは異常の判定を行う。
【0106】
図10は、テストチャート1A及び検査装置20Aを用いた指紋入力装置100の光学特性の検査方法を示すフローチャートである。
【0107】
本実施形態においては、ステップS206の画像分析において、光学特性算出部33は、指紋撮像カメラ104で撮像された画像から、中央領域Rに加えて、解像力検査部5を抽出する。そして、ステップS207において、光学特性算出部33は、光軸及び画角の算出に加えて、解像力を算出する。
【0108】
また、本実施形態においては、ステップS209にて指紋撮像カメラ104の画角が設計許容範囲内の場合には、自然画像撮像カメラ105の光学検査を行う前に、ステップS207の算出にて得られた指紋撮像カメラ104の解像力が、設計許容範囲内かどうかで、解像力判定を行う(ステップS220)。ここでは、制御演算部25Aの判定部35が、ステップS207で算出された解像力と、記憶部34に記憶された設計値とを比較する。算出された解像力が設計値に対して許容範囲を超えていない場合には、解像力は設計許容範囲内であると判定される。一方で、算出された解像力が設計値に対して許容範囲を超えている場合には、解像力は設計許容範囲外であると判定される。算出で得られた指紋撮像カメラ104の解像力が、設計許容範囲外の場合は、製造不良(異常)として判定し、指紋入力装置100を検査装置20Aより、取り外せるよう加圧台22を移動(ステップS216)させ、検査を終了させる。そして、算出にて得られた指紋撮像カメラ104の解像力が、設計許容範囲内の場合には、続いて、自然画像撮像カメラ105の光学検査を行う。
【0109】
また、本実施形態においては、ステップS212の画像分析において、光学特性算出部33は、自然画像撮像カメラ105で撮像された画像から、中央領域Rに加えて、解像力検査部5を抽出する。そして、ステップS212において、光学特性算出部33は、光軸及び画角の算出に加えて、解像力を算出する。
【0110】
また、本実施形態においては、ステップS214にて自然画像撮像カメラ105の画角が設計許容範囲内の場合には、加圧台22の移動(ステップS215)を行う前に、ステップS212の算出にて得られた自然画像撮像カメラ105の解像力が、設計許容範囲内かどうかで、解像力判定を行う(ステップS221)。ここでは、制御演算部25Aの判定部35が、ステップS212で算出された解像力と、記憶部34に記憶された設計値とを比較する。算出された解像力が設計値に対して許容範囲を超えていない場合には、解像力は設計許容範囲内であると判定される。一方で、算出された解像力が設計値に対して許容範囲を超えている場合には、解像力は設計許容範囲外であると判定される。算出で得られた自然画像撮像カメラ105の解像力が、設計許容範囲外の場合は、製造不良(異常)として判定し、指紋入力装置100を検査装置20Aより、取り外せるよう加圧台22を移動(ステップS216)させ、検査を終了させる。
【0111】
以上のような本実施形態の検査装置20Aは、テストチャート1Aを用いて指紋入力装置100の光学特性の検査を行う。テストチャート1Aは、溝部2が解像力を検査可能なパターンに形成された解像力検査部5を有している。本実施形態の検査装置20Aにおいて光学特性算出部33は、画像に含まれる解像力検査部5の形状に基づいて、指紋入力装置100の解像力を算出する。このため、本実施形態の検査装置20Aによれば、指紋入力装置100の解像力が設計値を満たして正常であると判断することが可能である。
【0112】
(第5実施形態)
次に、この開示の第5実施形態について図11を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0113】
図11は、本実施形態のテストチャート1Bの接触面1aBの正面図である。この図に示すように、テストチャート1Bの接触面1aBには、溝部2Bが設けられている。接触面1aBは、指紋入力装置100の撮像面103aに接触される面である。溝部2Bは、接触面に103aに設けられると共に接触面1aBの外縁1a1Bに接続されている。
【0114】
このような本実施形態のテストチャート1Bによれば、接触面1aBを指紋入力装置100の撮像面103aに対して押圧した場合に、接触面1aBと撮像面103aとの間の空気が溝部2Bを流れ、テストチャート1Bの外部に排出される。したがって、本実施形態のテストチャート1Bを用いることで、安定した光学検査が可能となる。
【0115】
(第6実施形態)
次に、この開示の第6実施形態について説明する。本実施形態のテストチャートは、上記第1実施形態のテストチャート1と同様に、上述の指紋入力装置100の撮像面103aに接触される接触面1aを有している。また、本実施形態のテストチャートは、上記第1実施形態のテストチャート1と同様に、接触面1aに設けられると共に接触面1aの外縁1a1に接続された溝部2を有する。このため、本実施形態のテストチャートによれば、接触面1aを指紋入力装置100の撮像面103aに対して押圧した場合に、接触面1aと撮像面103aとの間の空気が溝部2を流れ、テストチャートの外部に排出される。したがって、本実施形態のテストチャートを用いることで、安定した光学検査が可能となる。
【0116】
また、本実施形態のテストチャートは、上記第1実施形態のテストチャート1と同様に溝部2を備える。溝部2は、環状に設けられた枠状部3と、枠状部3と接触面1aの外縁1a1とを接続する接続部4とを有している。このため、接触面1aと撮像面103aとの間の空気を排出すると共に、例えば枠状部3の形状を光学特性の検査用パターンとして用いることが可能となる。
【0117】
(第7実施形態)
次に、この開示の第7実施形態について説明する。本実施形態のテストチャートは、上記第1実施形態のテストチャート1と同様に、上述の指紋入力装置100の撮像面103aに接触される接触面1aを有している。また、本実施形態のテストチャートは、上記第1実施形態のテストチャート1と同様に、接触面1aに設けられると共に接触面1aの外縁1a1に接続された溝部2を有する。このため、本実施形態のテストチャートによれば、接触面1aを指紋入力装置100の撮像面103aに対して押圧した場合に、接触面1aと撮像面103aとの間の空気が溝部2を流れ、テストチャートの外部に排出される。したがって、本実施形態のテストチャートを用いることで、安定した光学検査が可能となる。
【0118】
また、本実施形態のテストチャートは、上記第1実施形態のテストチャート1と同様に溝部2を備える。溝部2は、環状に設けられた枠状部3と、枠状部3と接触面1aの外縁1a1とを接続する接続部4とを有している。このため、接触面1aと撮像面103aとの間の空気を排出すると共に、例えば枠状部3の形状を光学特性の検査用パターンとして用いることが可能となる。
【0119】
また、本実施形態のテストチャートは、上記第1実施形態のテストチャート1と同様に接続部4を備える。接続部4は、枠状部3に対して複数設けられている。このため、各々の接続部4を介して、空気を接触面1aと指紋入力装置100の撮像面103aとの界面から排出することができる。したがって、より効率的かつ確実に空気を排出することが可能となる。
【0120】
(第8実施形態)
次に、この開示の第8実施形態について説明する。本実施形態のテストチャートは、本実施形態のテストチャート1Aと同様に、溝部2Aを有している。溝部2Aは、解像力を検査可能なパターンに形成された解像力検査部5を有している。このようなテストチャートを用いて上述の指紋入力装置100の光学特性を検査することで、指紋入力装置100の解像力を判定することが可能となる。例えば、指紋入力装置100で撮像した画像に含まれる解像力検査部5の形状が、各々の線溝を再現可能な形状である場合には、指紋入力装置100の解像力は設計値を満たして正常であると判断することが可能である。
【0121】
なお、本実施形態のテストチャートにおいては、溝部2が、上記第1実施形態のテストチャート1と同様に、環状に設けられた枠状部3と、枠状部3と接触面1aの外縁1a1とを接続する接続部4とを有していても良い。
【0122】
また、本実施形態のテストチャートにおいては、上記第1実施形態のテストチャート1と同様に、接続部4が、枠状部3に対して複数設けられていても良い。
【0123】
(第9実施形態)
次に、この開示の第9実施形態について説明する。本実施形態のテストチャートは、上記第1実施形態のテストチャート1と同様に、上述の指紋入力装置100の撮像面103aに接触される接触面1aを有している。また、本実施形態のテストチャートは、上記第1実施形態のテストチャート1と同様に、接触面1aに設けられると共に接触面1aの外縁1a1に接続された溝部2を有する。このため、本実施形態のテストチャートによれば、接触面1aを指紋入力装置100の撮像面103aに対して押圧した場合に、接触面1aと撮像面103aとの間の空気が溝部2を流れ、テストチャートの外部に排出される。したがって、本実施形態のテストチャートを用いることで、安定した光学検査が可能となる。
【0124】
また、本実施形態のテストチャートは、人間の皮膚の屈折率に近いシリコン樹脂を使用して形成されている。つまり、接触面1aがシリコン樹脂で形成されている。このため、接触面1aを鮮明に撮像することができる。
【0125】
なお、本実施形態のテストチャートでは、上記第1実施形態と同様に、溝部2が、環状に設けられた枠状部3と、枠状部3と接触面1aの外縁1a1とを接続する接続部4とを有していても良い。
【0126】
また、本実施形態のテストチャートでは、上記第1実施形態と同様に、接続部4が、枠状部3に対して複数設けられていても良い。
【0127】
また、本実施形態のテストチャートでは、上記第2実施形態と同様に、解像力を検査可能なパターンに形成された解像力検査部5を有しても良い。
【0128】
(第10実施形態)
次に、この開示の第10実施形態について説明する。本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、テストチャート1を用いて上述の指紋入力装置100で撮像された接触面1aの画像を取得する画像取得部32を備える。また、本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、画像取得部32で取得された画像に基づいて指紋入力装置100の光学特性を算出する光学特性算出部33を備える。さらに、本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、光学特性算出部33で算出された光学特性に基づいて指紋入力装置100の状態を判定する判定部35を備える。上記実施形態で説明したように、テストチャート1によれば、接触面1aと撮像面103aとの間の空気が溝部2を流れて外部に排出される。このため、本実施形態の検査装置によれば、安定した光学検査が可能となる。
【0129】
また、本実施形態の検査装置では、上記第2実施形態等の他の実施形態のテストチャートを用いても良い。
【0130】
(第11実施形態)
次に、この開示の第11実施形態について説明する。本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、テストチャート1を用いて上述の指紋入力装置100で撮像された接触面1aの画像を取得する画像取得部32を備える。また、本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、画像取得部32で取得された画像に基づいて指紋入力装置100の光学特性を算出する光学特性算出部33を備える。さらに、本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、光学特性算出部33で算出された光学特性に基づいて指紋入力装置100の状態を判定する判定部35を備える。上記実施形態で説明したように、テストチャート1によれば、接触面1aと撮像面103aとの間の空気が溝部2を流れて外部に排出される。このため、本実施形態の検査装置によれば、安定した光学検査が可能となる。
【0131】
また、本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、光学特性算出部33が、画像に含まれる溝部2の位置を基準として、接触面1aに沿った水平中心線L1と、接触面1aに沿うと共に水平中心線L1と直交する垂直中心線L2とを設定する。さらに、光学特性算出部33は、光学特性として、水平中心線L1と垂直中心線L2との交点位置に基づいて指紋入力装置100(指紋撮像カメラ104及び自然画像撮像カメラ105)の光軸位置を算出する。このため、本実施形態の検査装置によれば、簡易的な画像処理で光軸位置を算出することが可能となる。
【0132】
また、本実施形態の検査装置では、上記第2実施形態等の他の実施形態のテストチャートを用いても良い。
【0133】
(第12実施形態)
次に、この開示の第12実施形態について説明する。本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、テストチャート1を用いて上述の指紋入力装置100で撮像された接触面1aの画像を取得する画像取得部32を備える。また、本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、画像取得部32で取得された画像に基づいて指紋入力装置100の光学特性を算出する光学特性算出部33を備える。さらに、本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、光学特性算出部33で算出された光学特性に基づいて指紋入力装置100の状態を判定する判定部35を備える。上記実施形態で説明したように、テストチャート1によれば、接触面1aと撮像面103aとの間の空気が溝部2を流れて外部に排出される。このため、本実施形態の検査装置によれば、安定した光学検査が可能となる。
【0134】
また、本実施形態の検査装置においては、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、光学特性算出部33が、光学特性として、水平中心線L1の長さ寸法と垂直中心線L2の長さ寸法とに基づいて指紋入力装置100(指紋撮像カメラ104及び自然画像撮像カメラ105)の画角を算出する。このため、本実施形態の検査装置20によれば、簡易的な画像処理で画角を算出することが可能となる。
【0135】
なお、本実施形態の検査装置においては、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、光学特性算出部33が、画像に含まれる溝部2の位置を基準として、接触面1aに沿った水平中心線L1と、接触面1aに沿うと共に水平中心線L1と直交する垂直中心線L2とを設定しても良い。さらに、光学特性算出部33は、光学特性として、水平中心線L1と垂直中心線L2との交点位置に基づいて指紋入力装置100(指紋撮像カメラ104及び自然画像撮像カメラ105)の光軸位置を算出しても良い。
【0136】
また、本実施形態の検査装置では、上記第2実施形態等の他の実施形態のテストチャートを用いても良い。
【0137】
(第13実施形態)
次に、この開示の第13実施形態について説明する。本実施形態の検査装置は、上記第4実施形態の検査装置20Aと同様に、テストチャート1Aを用いて上述の指紋入力装置100で撮像された接触面1aの画像を取得する画像取得部32を備える。また、本実施形態の検査装置は、上記第4実施形態の検査装置20Aと同様に、画像取得部32で取得された画像に基づいて指紋入力装置100の光学特性を算出する光学特性算出部33を備える。さらに、本実施形態の検査装置は、上記第4実施形態の検査装置20Aと同様に、光学特性算出部33で算出された光学特性に基づいて指紋入力装置100の状態を判定する判定部35を備える。上記実施形態で説明したように、テストチャート1Aによれば、接触面1aAと撮像面103aとの間の空気が溝部2Aを流れて外部に排出される。このため、本実施形態の検査装置によれば、安定した光学検査が可能となる。
【0138】
また、本実施形態の検査装置は、テストチャート1Aを用いて指紋入力装置100の光学特性の検査を行う。テストチャート1Aは、溝部2Aが解像力を検査可能なパターンに形成された解像力検査部5を有している。本実施形態の検査装置において光学特性算出部33は、画像に含まれる解像力検査部5の形状に基づいて、指紋入力装置100の解像力を算出する。このため、本実施形態の検査装置によれば、指紋入力装置100の解像力が設計値を満たして正常であると判断することが可能である。
【0139】
なお、本実施形態においては、光学特性算出部33が、画像に含まれる溝部2Aの位置を基準として、接触面1aAに沿った水平中心線L1と、接触面1aAに沿うと共に水平中心線L1と直交する垂直中心線L2とを設定しても良い。
【0140】
また、本実施形態においては、光学特性算出部33が、光学特性として、水平中心線L1の長さ寸法と垂直中心線L2の長さ寸法とに基づいて指紋入力装置100(指紋撮像カメラ104及び自然画像撮像カメラ105)の画角を算出するようにしても良い。
【0141】
(第14実施形態)
次に、この開示の第14実施形態について説明する。本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、テストチャート1を用いて上述の指紋入力装置100で撮像された接触面1aの画像を取得する画像取得部32を備える。また、本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、画像取得部32で取得された画像に基づいて指紋入力装置100の光学特性を算出する光学特性算出部33を備える。さらに、本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、光学特性算出部33で算出された光学特性に基づいて指紋入力装置100の状態を判定する判定部35を備える。上記実施形態で説明したように、テストチャート1によれば、接触面1aと撮像面103aとの間の空気が溝部2を流れて外部に排出される。このため、本実施形態の検査装置によれば、安定した光学検査が可能となる。
【0142】
また、本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、 指紋入力装置100を固定する設置台21と、指紋入力装置100の撮像面103aにテストチャート1の接触面1aを押圧する押圧部26とを備える。このため、本実施形態の検査装置によれば、指紋入力装置100の撮像面103aとテストチャート1の接触面1aの接触部位との間から空気を確実に排出することが可能となる。
【0143】
なお、本実施形態においては、光学特性算出部33が、画像に含まれる溝部2の位置を基準として、接触面1aに沿った水平中心線L1と、接触面1aに沿うと共に水平中心線L1と直交する垂直中心線L2とを設定しても良い。
【0144】
また、本実施形態においては、光学特性算出部33が、光学特性として、水平中心線L1の長さ寸法と垂直中心線L2の長さ寸法とに基づいて指紋入力装置100(指紋撮像カメラ104及び自然画像撮像カメラ105)の画角を算出するようにしても良い。
【0145】
また、本実施形態の検査装置では、上記第2実施形態等の他の実施形態のテストチャートを用いても良い。
【0146】
(第15実施形態)
次に、この開示の第15実施形態について説明する。本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、テストチャート1を用いて上述の指紋入力装置100で撮像された接触面1aの画像を取得する画像取得部32を備える。また、本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、画像取得部32で取得された画像に基づいて指紋入力装置100の光学特性を算出する光学特性算出部33を備える。さらに、本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、光学特性算出部33で算出された光学特性に基づいて指紋入力装置100の状態を判定する判定部35を備える。上記実施形態で説明したように、テストチャート1によれば、接触面1aと撮像面103aとの間の空気が溝部2を流れて外部に排出される。このため、本実施形態の検査装置によれば、安定した光学検査が可能となる。
【0147】
また、本実施形態の検査装置は、上記第2実施形態の検査装置20と同様に、 指紋入力装置100を固定する設置台21と、指紋入力装置100の撮像面103aにテストチャート1の接触面1aを押圧する押圧部26とを備える。このため、本実施形態の検査装置によれば、指紋入力装置100の撮像面103aとテストチャート1の接触面1aの接触部位との間から空気を確実に排出することが可能となる。
【0148】
また、本実施形態において押圧部26は、テストチャート1に上方から当接される加圧台22と、加圧台22により支持される重り23と、加圧台22を昇降可能に支持するアクチュエータ24とを備える。このため、アクチュエータ24の動力を用いて加圧台22を容易に昇降することが可能となる。また、アクチュエータ24の加圧台22の支持力を調整することで、容易にテストチャート1の加圧量(押圧力)を調整することが可能となる。
【0149】
また、本実施形態の検査装置では、上記第2実施形態等の他の実施形態のテストチャートを用いても良い。
【0150】
以上、この開示を実施の形態を用いて説明したが、この開示の技術的範囲は、上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更または改良を加えた形態もこの開示の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0151】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0152】
(付記1)皮膚紋様入力装置の撮像面に接触される接触面を有し、前記接触面に設けられると共に前記接触面の外縁に接続された溝部を有することを特徴とする検査治具。
【0153】
(付記2)前記溝部は、環状に設けられた環状部と、前記環状部と前記接触面の外縁とを接続する接続部とを有することを特徴とする付記1記載の検査治具。
【0154】
(付記3)前記接続部は、前記環状部に対して複数設けられていることを特徴とする付記2記載の検査治具。
【0155】
(付記4)前記溝部は、解像力を検査可能なパターンに形成された解像力検査部を有することを特徴とする付記1~3いずれか一項に記載の検査治具。
【0156】
(付記5)少なくとも前記接触面は、シリコン樹脂を用いて形成されていることを特徴とする付記1~4いずれか一項に記載の検査治具。
【0157】
(付記6)付記1~5いずれか一項に記載の検査治具を用いて皮膚紋様入力装置で撮像された前記接触面の画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段で取得された前記画像に基づいて前記皮膚紋様入力装置の光学特性を算出する光学特性算出手段と、前記光学特性算出手段で算出された前記光学特性に基づいて前記皮膚紋様入力装置の状態を判定する判定手段とを備えることを特徴とする検査装置。
【0158】
(付記7)前記光学特性算出手段は、前記画像に含まれる前記溝部の位置を基準として、前記接触面に沿った第1基準線と、前記接触面に沿うと共に前記第1基準線と直交する第2基準線とを規定し、前記光学特性の少なくとも1つとして、前記第1基準線と前記第2基準線との交点位置に基づいて前記皮膚紋様入力装置の光軸位置を算出することを特徴とする付記6記載の検査装置。
【0159】
(付記8)前記光学特性算出手段は、前記画像に含まれる前記溝部の位置を基準として、前記接触面に沿った第1基準線と、前記接触面に沿うと共に前記第1基準線と直交する第2基準線とを規定し、前記光学特性の少なくとも1つとして、前記第1基準線の長さ寸法と前記第2基準線の長さ寸法とに基づいて前記皮膚紋様入力装置の画角を算出することを特徴とする付記6または7記載の検査装置。
【0160】
(付記9)前記検査治具の前記溝部が、解像力を検査可能なパターンに形成された解像力検査部を有し、前記光学特性算出手段は、前記画像に含まれる前記解像力検査部の形状に基づいて、前記光学特性の少なくとも1つとして前記皮膚紋様入力装置の解像力を算出することを特徴とする付記6~8いずれか一項に記載の検査装置。
【0161】
(付記10)前記皮膚紋様入力装置を固定する固定手段と、前記皮膚紋様入力装置の前記撮像面に前記検査治具の接触面を押圧する押圧手段とを備えることを特徴とする付記6~9いずれか一項に記載の検査装置。
【0162】
(付記11)前記押圧手段は、前記検査治具に上方から当接される加圧台と、前記加圧台により支持される重りと、前記加圧台を昇降可能に支持するアクチュエータとを備えることを特徴とする付記10記載の検査装置。
【0163】
(付記12)検査治具が、皮膚紋様入力装置の撮像面に接触される接触面を有し、前記接触面に設けられると共に前記接触面の外縁に接続された溝部を有し、前記検査治具を用いて皮膚紋様入力装置で撮像された前記接触面の画像を取得し、前記画像に基づいて前記皮膚紋様入力装置の光学特性を算出し、前記光学特性に基づいて前記皮膚紋様入力装置の状態を判定することを特徴とする検査方法。
【産業上の利用可能性】
【0164】
上述した一態様によれば、皮膚紋様入力装置に対して安定した光学検査が可能となる。
【符号の説明】
【0165】
1 テストチャート(検査治具)
1a 接触面
1A テストチャート(検査治具)
1a1 外縁
1a1B 外縁
1aA 接触面
1aB 接触面
1b 周面
1B テストチャート(検査治具)
2 溝部
2A 溝部
2B 溝部
3 枠状部(環状部)
3a 第1長辺部
3b 第2長辺部
3c 第1短辺部
3d 第2短辺部
4 接続部
5 解像力検査部
10 検査システム
10A 検査システム
20 検査装置
20A 検査装置
21 設置台(固定手段)
22 加圧台
23 重り
24 アクチュエータ
25 制御演算部
25A 制御演算部
26 押圧部(押圧手段)
30 アクチュエータ制御部
31 指紋入力装置制御部
32 画像取得部(画像取得手段)
33 光学特性算出部(光学特性算出手段)
34 記憶部
35 判定部(判定手段)
100 指紋入力装置(皮膚紋様入力装置)
101 白色光LED基板
102 近赤外光LED基板
103 プリズム
103a 撮像面
103b 対向面
103c 交わり面
103d 面
104 指紋撮像カメラ
105 自然画像撮像カメラ
106 制御基板
107 ライトガイド
L1 水平中心線(第1基準線)
L2 垂直中心線(第2基準線)
R 中央領域
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10
図11