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特許7497934温度調整装着具、及び送風装置付き温度調整装着具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】温度調整装着具、及び送風装置付き温度調整装着具
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/05 20060101AFI20240604BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A41D13/05 112
A41D13/005 101
A41D13/005 103
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024513108
(86)(22)【出願日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2024006496
【審査請求日】2024-02-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517312135
【氏名又は名称】株式会社リブレ
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀井 邦彦
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0185267(US,A1)
【文献】登録実用新案第3181763(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0035602(US,A1)
【文献】特開2011-83498(JP,A)
【文献】特開2012-161446(JP,A)
【文献】特開2020-37933(JP,A)
【文献】特開2018-104845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00-13/12、23/00-25/16
A61F7/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペルチェ素子を有し、冷却面、または加熱面を有するペルチェ素子ユニットを装着可能な温度調整装着具と、前記温度調整装着具を装着した人に向かって空気を送り出す送風装置とを備えた送風装置付き温度調整装着具であって、
前記送風装置は、空気を取り込む吸気口と、前記吸気口から取り込まれた空気を前記温度調整装着具を装着した人に向かって送り出す吐出口とを有し、
前記温度調整装着具に、
前記ペルチェ素子ユニットを前記温度調整装着具の装着時に前記冷却面、または前記加熱面が身体に密着するように取り付けるための保持部と、
前記送風装置の重さによって、前記温度調整装着具の装着位置よりも下方に向かって前記温度調整装着具が引っ張られた状態を保持する保持部材とを設け、
第1の前記ペルチェ素子ユニットは、前記温度調整装着具の装着時に首の右背面と接触する位置に配設可能とし、
第2の前記ペルチェ素子ユニットは、前記温度調整装着具の装着時に首の左背面と接触する位置に配設可能とし、
前記送風装置と前記温度調整装着具とは前記保持部材によって繋がれている送風装置付き温度調整装着具。
【請求項2】
請求項1に記載の送風装置付き温度調整装着具において、
前記温度調整装着具に、柔軟性を有する素材を含む被覆部を備え、
前記被覆部に、前記保持部を設けた送風装置付き温度調整装着具。
【請求項3】
請求項2に記載の送風装置付き温度調整装着具において、
前記被覆部は、首付近配置可能な被覆首部を挟む両側に、鎖骨付近に配置可能な被覆端部を含み、
前記温度調整装着具には、前記被覆首部と前記被覆端部との間に、前記被覆端部の向きを変換する変換部が形成され、
前記変換部により前記被覆端部の向きが変換されることで、前記温度調整装着具が首に装着された状態を保持する送風装置付き温度調整装着具。
【請求項4】
請求項3に記載の送風装置付き温度調整装着具において、
前記変換部は、
前記被覆端部が鎖骨付近に折れ曲がることにより、前記被覆端部の向きを変換する送風装置付き温度調整装着具。
【請求項5】
請求項3に記載の送風装置付き温度調整装着具において、
第3の前記ペルチェ素子ユニットは、
前記被覆端部の前記保持部に取り付け可能とし、
前記温度調整装着具の装着時に鎖骨付近と接触する位置に配設可能とする送風装置付き温度調整装着具。
【請求項6】
ペルチェ素子を有し、冷却面、または加熱面を有するペルチェ素子ユニットを装着可能な温度調整装着具において、
前記温度調整装着具に、
前記ペルチェ素子ユニットを前記温度調整装着具の装着時に前記冷却面、または前記加熱面が身体に密着するように取り付けるための保持部を設け、
第1の前記ペルチェ素子ユニットは、前記温度調整装着具の装着時に首の右背面と接触する位置に配設可能とし、
第2の前記ペルチェ素子ユニットは、前記温度調整装着具の装着時に首の左背面と接触する位置に配設可能とし、
前記保持部は、挿入孔を有し、
前記ペルチェ素子ユニットに、
空気を取り込む空気口が形成された取込部を有する本体部と、
前記本体部の外周面において外側に張り出したフランジと、
前記本体部の外周面において、一方端と他方端との間を、前記本体部の外周面に沿って円弧状に延設された複数のガイドレールと、
前記複数のガイドレールと連結可能な複数の突起を有する環状の固定部材とを備え、
前記複数のガイドレールのそれぞれには、前記突起の移動動作を規制する複数の規制部が、前記一方端と前記他方端とを繋ぐ摺動面に、断続的に設けられ、
前記複数の規制部には、第1規制部と、前記第1規制部よりも前記他方端側に設けられた第2規制部とがあり、
前記複数のガイドレールの間に前記本体部の軸心方向に延設された複数の間隙を設け、
前記ペルチェ素子ユニットの前記温度調整装着具への装着は、
前記複数の突起を構成する各々の突起を前記複数の間隙を構成する各々の間隙に対して前記本体部の軸心方向に進入させて、前記フランジと前記固定部材で前記温度調整装着具の生地を挟み、
前記フランジと前記固定部材とを相対的に回転させて、前記フランジと前記固定部材で前記温度調整装着具の生地を挟んだ状態で、前記複数の突起を構成する各々の突起が前記第1規制部、または前記第2規制部に係合することで行われる温度調整装着具。
【請求項7】
請求項に記載の温度調整装着具において、
前記複数のガイドレールはそれぞれ、前記一方端と前記他方端との間で、前記本体部の軸心方向に高低差を付けた傾斜態様で形成されている温度調整装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペルチェ素子ユニットによって人を冷やす、または温める温度調整装着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人にとって不快な猛暑日は近年、年間を通じて数多くあり、このような猛暑日には、熱中症の防止策として、小まめな水分補給をはじめ、適度な冷房装置の使用が、奨励されている。しかしながら、冷房装置の設備がない、または冷房の効きが十分でない等の理由により、猛暑下の屋外で働く作業者や、屋内の蒸し暑い環境下で働く作業者、炎天下でレクリエーションやスポーツ、観戦等を行っている人は、冷房装置で涼を取ることはできない。そこで、この問題の解決するための一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1には、ペルチェ素子により冷却または発熱するプレートを備える身体用温度調節器(温度調整装着具)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】意匠登録第1730738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の斜視図1から、身体用温度調節器の放熱面が曲面からなる一枚の金属板であること、及びその放熱面が首の右背面と左背面とに接触可能であることが読み取れる。しかしながら、実際に人が身体用温度調節器を装着しても、身体用温度調節器を装着した人の姿勢や人の動きがあるため、放熱面は、均等に人の首の右背面と左背面とに接触できず、均等に人の首の右背面と左背面とを冷やす、または温めることができない。
【0006】
特許文献1の技術では、以下の問題がある。人の首の背面と放熱面の接触箇所のうち、例えば、放熱面による首の右背面への押圧力が高くなると、放熱面による首の左背面への押圧力が低くなってしまうため、接触箇所に応じて放熱面による押圧力が不均衡となる。これにより、人の首の背面と放熱面の接触箇所のうち、例えば、押圧力が高い首の右背面に伝熱する冷熱量は大きくなるが、押圧力が低い首の左背面に伝熱する冷熱量は小さくなるため、接触箇所に応じて伝熱する冷熱量も不均衡となる。このように、特許文献1のような身体用温度調節器では、首の背面と放熱面との接触箇所による押圧力の不均衡によって、接触箇所に応じて伝熱する冷熱量に不均衡が生じ、身体用温度調節器を装着している人に不快感を感じさせるという問題がある。
【0007】
本開示は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ペルチェ素子ユニットによる身体の温度の調整によって人に不快感を感じさせ難い温度調整装着具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本開示の一態様における温度調整装着具は、ペルチェ素子を有し、冷却面、または加熱面を有するペルチェ素子ユニットを装着可能な温度調整装着具において、前記温度調整装着具に、前記ペルチェ素子ユニットを前記温度調整装着具の装着時に前記冷却面、または前記加熱面が身体に密着するように取り付けるための保持部を設け、第1の前記ペルチェ素子ユニットは、前記温度調整装着具の装着時に首の右背面と接触する位置に配設可能とし、第2の前記ペルチェ素子ユニットは、前記温度調整装着具の装着時に首の左背面と接触する位置に配設可能とする。
【0009】
この態様によれば、第1のペルチェ素子ユニットの冷却面、または加熱面は首の右背面に、第2のペルチェ素子ユニットの冷却面、または加熱面は首の左背面といった別々の箇所に接触して押圧する。これにより、第1のペルチェ素子ユニットの冷却面、または加熱面と密着する首の右背面と、第2のペルチェ素子ユニットの冷却面、または加熱面と密着する首の左背面とで押圧力に不均衡が生じ難い。そのため、例えば、第1のペルチェ素子ユニットの冷却面から伝熱する首の右背面への冷熱量と、第2のペルチェ素子ユニットの冷却面から伝熱する首の左背面への冷熱量とに不均衡が生じ難くなり、温度調整装着具を装着している人に不快感を感じさせ難い。したがって、ペルチェ素子ユニットによる身体の温度の調整によって人に不快感を感じさせ難い温度調整装着具を提供することができる。
【0010】
なお、本開示に係る温度調整装着具とは、人体に直接、または肌着等を介して間接的に身に装着するものであり、(a)ジャケット、ジャンパー、スーツ、ベスト等に挙げられる上着類、(b)パンツ、ズボン等に挙げられ下着類、(c)靴下、フットウォーマ等に挙げられる足や脚部に装着するソックス類、(d)首、腕等に装着する装着具等と大別される中、(a)(b)(c)(d)の各概念を含めた概念の総称である。
【0011】
上記の態様において、前記温度調整装着具に、柔軟性を有する素材を含む被覆部を備え、前記被覆部に、前記保持部を設けたこと、が好ましい。
【0012】
特許文献1の身体用温度調節器は剛性が高いため、身体用温度調節器を装着した人の動きにより首から身体用温度調節器がずれ易く、放熱面の接触箇所に応じて押圧力がより不均衡になってしまい、例えば、接触箇所に応じて伝熱する冷熱量もより不均衡となり得る。しかしながら、この態様によれば、柔軟性を有する素材を含む被覆部に設けたそれぞれの保持部に、第1のペルチェ素子ユニットと第2のペルチェ素子ユニットが取り付けた状態となる。これにより、温度調整装着具を装着した人の動きによって生じた力が被覆部によって吸収されるため、それぞれのペルチェ素子ユニットの冷却面、または加熱面を互いに独立してそれぞれの接触箇所を押圧させるため、押圧力の不均衡がより生じ難くなる。そのため、例えば、第1のペルチェ素子ユニットの冷却面から首の右背面に伝熱する冷熱量と、第2のペルチェ素子ユニットの冷却面から首の左背面に伝熱する冷熱量とに不均衡がより生じ難く、温度調整装着具を装着している人により不快感を感じさせ難い。したがって、温度調整装着具に取り付けたペルチェ素子ユニットによる身体の温度の調整によってより不快感を感じさせ難くすることができる。
【0013】
柔軟性を有する素材とは、任意の方向に対して容易に曲げ・ひねり・引っ張り・ねじれを加えることができ、且つ降伏・破断を起こさせないような弾性変形域の幅が広い性質を有するものである。柔軟性を有する素材としては、ナイロン(nylon)、ポリエステル(polyester)等が挙げられる。
【0014】
上記の態様において、前記被覆部は、首付近を配置可能な被覆首部を挟む両側に、鎖骨付近に配置可能な被覆端部を含み、前記温度調整装着具には、前記被覆首部と前記被覆端部との間に、前記被覆端部の向きを変換する変換部が形成され、前記変換部により前記被覆端部の向きが変換されることで、前記温度調整装着具が首に装着された状態を保持すること、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、被覆首部と被覆端部との間にある変換部によって被覆端部の向きを右鎖骨付近に変換させることで、被覆端部と温度調整装着具を装着した人との接触箇所を拡げることで、温度調整装着具が首に装着した状態を保持する。これにより、温度調整装着具を装着した人の姿勢や人の動きがあっても、首から温度調整装着具がずれ難いため、温度調整装着具が人の首に装着した状態を安定させることできる。そのため、温度調整装着具が首に安定して装着された状態で、第1のペルチェ素子ユニットの冷却面、または加熱面を首の右背面を押圧させるとともに、第2のペルチェ素子ユニットの冷却面、または加熱面を首の左背面を押圧させることができる。
【0016】
上記の態様において、前記変換部は、前記被覆端部が鎖骨付近に折れ曲がることにより、前記被覆端部の向きを変換すること、が好ましい。
【0017】
この態様によれば、温度調整装着具を装着した人が被覆端部を折れ曲げることで、変換部によって被覆端部の向きが鎖骨付近に変換する。これにより、例えば、人が作業中に急いで温度調整装着具を装着した場合でも、容易に被覆端部を折り曲げて、身体と温度調整装着具との接触箇所を拡げて、首から温度調整装着具がずれ難くすることができる。そのため、例えば、人が作業中に急いで温度調整装着具を装着した場合でも、容易に被覆端部を折り曲げて、温度調整装着具が首に装着した状態を安定させることができる。
【0018】
上記の態様において、第3の前記ペルチェ素子ユニットは、前記被覆端部の前記保持部に取り付け可能とし、前記温度調整装着具の装着時に鎖骨付近と接触する位置に配設可能とすること、が好ましい。
【0019】
この態様によれば、被覆端部に取り付けられた第3のペルチェ素子ユニットの冷却面、または加熱面は鎖骨付近と接触する。これにより、第3のペルチェ素子ユニットの冷却面、または加熱面と接触する鎖骨付近を温度調整装着具が首に装着した状態を保持するための保持点とするとともに、冷やしたり、または温めたりすることができる。そのため、保持点によって温度調整装着具が首に装着した状態を安定させるとともに、第3のペルチェ素子ユニットの冷却面、または加熱面によって人の鎖骨下静脈を冷やしたり、または温めたりすることで、身体の温度を調整することができる。
【0020】
上記の態様において、前記被覆端部に、前記温度調整装着具の装着箇所よりも下方に向かって前記温度調整装着具が引っ張られた状態を保持する保持部材を備えること、が好ましい。
【0021】
この態様によれば、被覆端部が備える保持部材によって、温度調整装着具の装着箇所よりも下方に向かって温度調整装着具が引っ張られた状態を保持する。これにより、例えば、温度調整装着具を装着している人の動きがあっても、温度調整装着具の装着箇所よりも下方に向かって温度調整装着具を引っ張る張力によって、温度調整装着具が装着箇所からずれてしまうことを防止することができる。
【0022】
上記の態様において、空気を取り込む吸気口と、前記吸気口から取り込まれた空気を前記温度調整装着具を装着した人に向かって送り出す吐出口とを備えた送風装置と、前記送風装置を前腰に固定する固定部とを備え、前記送風装置と前記温度調整装着具とは前記保持部材に繋がれており、前記送風装置の重さによって、前記温度調整装着具の装着位置よりも下方に向かって前記温度調整装着具が引っ張られた状態となること、が好ましい。
【0023】
この態様によれば、人の前腰に固定された送風装置の吸気口から取り込まれた空気を吐出口から送り出すことによって、温度調整装着具を装着した人の身体を冷やしたり、または温めたりすることができる。さらに、送風装置の重さによる温度調整装着具の装着位置よりも下方に向かって温度調整装着具が引っ張られた状態が保持部材によって保持されるため、温度調整装着具が装着箇所からずれてしまうことをより防止することができる。
【0024】
上記の態様において、前記ペルチェ素子ユニットは、前記冷却面の反対側、または前記加熱面の反対側に熱交換面を有し、前記熱交換面で熱交換された空気を前記ペルチェ素子ユニットの下方に排出させる排出口を有すること、が好ましい。
【0025】
この態様によれば、冷却面の反対側、または加熱面の反対側にある熱交換面で熱交換された空気は、排出口からペルチェ素子ユニットの下方に排出される。これにより、熱交換面で熱交換された空気が排出口から排出されても、例えば、温度調整装着具を装着している人の頭部に滞留して人に不快感を感じさせてしまうことを回避することができる。
【0026】
上記の態様において、前記温度調整装着具に、前記温度調整装着具の長手方向に沿って、前記温度調整装着具が首に装着された状態を固定する固定芯を備えること、が好ましい。
【0027】
この態様によれば、温度調整装着具の長手方向に沿って備えた固定芯によって、温度調整装着具が人の首に装着された状態を固定する。これにより、例えば、温度調整装着具を装着している人の動きによって、人の首に装着された温度調整装着具がずれてしまうことを防止することができる。
【0028】
上記の態様において、前記保持部は、挿入孔を有し、前記ペルチェ素子ユニットに、空気を取り込む空気口が形成された取込部を有する本体部と、前記本体部の外周面において外側に張り出したフランジと、前記本体部の外周面において、一方端と他方端との間を、前記本体部の外周面に沿って円弧状に延設された複数のガイドレールと、前記複数のガイドレールと連結可能な複数の突起を有する環状の固定部材とを備え、前記複数のガイドレールのそれぞれには、前記突起の移動動作を規制する複数の規制部が、前記一方端と前記他方端とを繋ぐ摺動面に、断続的に設けられ、前記複数の規制部には、第1規制部と、前記第1規制部よりも前記他方端側に設けられた第2規制部とがあり、前記複数のガイドレールの間に前記本体部の軸心方向に延設された複数の間隙を設け、前記ペルチェ素子ユニットの前記温度調整装着具への装着は、前記複数の突起を構成する各々の突起を前記複数の間隙を構成する各々の間隙に対して前記本体部の軸心方向に進入させて、前記フランジと前記固定部材で前記温度調整装着具の生地を挟み、前記フランジと前記固定部材とを相対的に回転させて、前記フランジと前記固定部材で前記温度調整装着具の生地を挟んだ状態で、前記複数の突起を構成する各々の突起が前記第1規制部、または前記第2規制部に係合することで行われること、が好ましい。
【0029】
この態様によれば、人が、温度調整装着具の生地への装着は、複数の突起を構成する各々の突起が複数の間隙を構成する各々の間隔に対して本体部の軸心方向に進入させて、先ずフランジと固定部材で生地を挟む。続いて、人が、本体部と固定部材とを相対的に回転させて、フランジと固定部材で生地を挟んだ状態で、固定部材が有する複数の突起のそれぞれが複数の規制部のそれぞれを乗り越えると、規制部によって移動動作が規制されるとともに、規制部と突起が係合する。これにより、人は、ペルチェ素子ユニットを温度調整装着具の生地に節度感のあるワンタッチ操作で装着することができる。そのため、固定部材の締め付け不良や緩みが生じないため、ペルチェ素子ユニットが温度調整装着具から脱落したり、固定部材だけが紛失してしまうこと回避することができる。
【0030】
上記の態様において、前記複数のガイドレールはそれぞれ、前記一方端と前記他方端との間で、前記本体部の軸心方向に高低差を付けた傾斜態様で形成されていること、が好ましい。
【0031】
この態様によれば、温度調整装着具の生地に厚みがある場合には、フランジと固定部材でその生地を挟んだ状態で、複数の突起を構成する各々の突起が第1規制部に係合させる。温度調整装着具の生地に厚みがない場合には、フランジと固定部材でその生地を挟んだ状態で、複数の突起を構成する各々の突起が第2規制部に係合させる。これにより、どのような温度調整装着具の生地の厚さでも、ペルチェ素子ユニットが温度調整装着具から脱落しないように、フランジと固定部材で生地をしっかりと挟み込んだ状態で装着できる。さらに、フランジと固定部材で温度調整装着具の生地を挟んだ状態で複数の突起を構成する各々の突起が第1規制部、または第2規制部に係合しても、挿入孔周辺の生地が塑性変形し難くなっているため、ガタついたり、傷んでしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
従って、本開示に係る温度調整装着具によれば、ペルチェ素子ユニットによる身体の温度の調整によって人に不快感を感じさせ難い温度調整装着具を提供する、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1実施形態に係る温度調整装着具を首に装着した装着者の正面を模式的に示す模式図である。
図2】第1実施形態に係る温度調整装着具を首に装着した装着者の背面を模式的に示す模式図である。
図3】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを4個装着した場合の温度調整装着具の表面を示す正面図である。
図4】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを4個装着した場合の温度調整装着具の裏面を示す背面図である。
図5】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを2個装着した場合の温度調整装着具の表面を示す正面図である。
図6】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを2個装着した場合の温度調整装着具の表面を示す正面図である。
図7図3のA-A線断面図である。
図8】第1実施形態に係る温度調整装着具の屈曲状態を示す正面図である。
図9】第1実施形態に係る送風ユニットの重さによって、温度調整装着具の装着箇所が保持されていることを説明するための模式的な模式図である。
図10】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを蓋部側から示す説明図である。
図11】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを放熱面側から示す説明図である。
図12】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの構成を示す分解斜視図である。
図13】第1実施形態に係る本体部の外周面を平面上に展開した展開図である。
図14】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを温度調整装着具に装着する方法を示す説明図である。
図15】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第1段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
図16】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第2段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
図17】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第3段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
図18】温度調整装着具に装着されたペルチェ素子ユニットの断面図である。
図19】温度調整装着具に装着されたペルチェ素子ユニットの空気口から取り込まれて、排出口から排出されるまでの空気の流れを説明するための説明図である。
図20図1に示す送風ユニットの本体を示す正面図である。
図21図1に示す送風ユニットの本体を示す平面図である。
図22図1に示す送風ユニットの本体を示す右側面図である。
図23図1に示す送風ユニットの本体を示す左側面図である。
図24】第1実施形態に係る送風ユニットの構成を示す分解斜視図である。
図25】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの排出口から排出される空気の流れを説明するための温度調整装着具を首に装着した装着者の上半身の正面を模式的に示す模式図である。
図26】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの排出口から排出される空気の流れを説明するための温度調整装着具を首に装着した装着者の上半身の背面を模式的に示す模式図である。
図27】第1実施形態に係る吐出口から吐出される空気の流れと排出口から排出される空気の流れを説明するための温度調整装着具を首に装着した装着者の上半身の正面を模式的に示す模式図である。
図28】第1実施形態に係る温度調整装着具に具備する送風操作ユニットの構成を示すブロック図である。
図29】第1実施形態に係る温度調整装着具に具備する温調操作ユニットの構成を示すブロック図である。
図30】第2実施形態に係る温度調整装着具を首に装着した装着者の正面を模式的に示す模式図である。
図31】第2実施形態に係るサスペンダーによって、温度調整装着具の装着箇所が保持されていることを説明するための模式的な模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<第1実施形態>
以下、本開示に係る温度調整装着具について、第1実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下、本開示に係る温度調整装着具は、身体の温度を調整可能なペルチェ素子ユニットを、温度調整装着具をなす生地の挿入孔に装着して構成されるものである。なお、温度調整装着具について、第1実施形態では、人の首に装着するものを挙げて、説明する。
【0035】
なお、第1実施形態~第2実施形態では、上下方向を軸心線AXに沿う軸心方向Lとして、上下方向の上方を上側Lp、下方を下側Lwとし、左右方向を径方向RDとして、それぞれの方向を定義する。第1実施形態~第2実施形態では、軸心線AXを中心とした円周方向を円周方向CRとし、軸心線AXを中心とした反円周方向をACRとして、それぞれの方向を定義する。
【0036】
図1図2図9図25から図27、及び図30から図31に示す左右上下方向は、温度調整装着具1を装着している装着者HMにとっての左右上下方向のことである。なお、上方向の上方を上側U、下方を下側Wとし、右方を右側Rとし、左方を左側Lとして、それぞれの方向を定義する。
【0037】
<温度調整装着具1について>
図1は、第1実施形態に係る温度調整装着具を首に装着した装着者の正面を模式的に示す模式図である。図2は、第1実施形態に係る温度調整装着具を首に装着した装着者の背面を模式的に示す模式図である。なお、本開示に係る温度調整装着具は、本実施形態では、温度調整装着具1と称す。
【0038】
第1実施形態に係る温度調整装着具1は、装着者HMの首に装着されて使用される。温度調整装着具1に装着されたペルチェ素子ユニット30の放熱面31(冷却面31A、加熱面31B)によって、例えば、装着者HMの首の背面NCや、装着者HMの鎖骨付近が冷やされたり、または温められたりする。具体的には、図2に示すように、第1ペルチェ素子ユニット30Aは、温度調整装着具1の装着時に放熱面31(冷却面31A、加熱面31B)が装着者HMの首の右背面RNと接触する位置に配設可能となっている。これにより、第1ペルチェ素子ユニット30Aの放熱面31は、首の右背面RNを冷やしたり、または温めたりできる。図2に示すように、第2ペルチェ素子ユニット30Bは、温度調整装着具1の装着時に放熱面31(冷却面31A、加熱面31B)が装着者HMの首の左背面LNと接触する位置に配設可能となっている。これにより、第2ペルチェ素子ユニット30Bの放熱面31は、首の左背面LNを冷やしたり、または温めたりできる。図1に示すように、第3ペルチェ素子ユニット30Cは、温度調整装着具1の装着時に放熱面31(冷却面31A、加熱面31B)が装着者HMの右鎖骨付近RCと接触する位置に配設可能となっている。これにより、第3ペルチェ素子ユニット30Cの放熱面31は、右鎖骨付近RCを冷やしたり、または温めたりできる。図1に示すように、第4ペルチェ素子ユニット30Dは、温度調整装着具1の装着時に放熱面31(冷却面31A、加熱面31B)が装着者HMの左鎖骨付近LCと接触する位置に配設可能となっている。これにより、第4ペルチェ素子ユニット30Dの放熱面31は、左鎖骨付近LCを冷やしたり、または温めたりできる。
【0039】
図1図5に示すように、温度調整装着具1は、装着具本体2と、一対の保持部材6と、ペルチェ素子ユニット30と、温調操作ユニット70等とを備えている。図1に示すように、第1実施形態に係る温度調整装着具1と送風ユニット20とは、一対の保持部材6によって繋がれている。送風ユニット20は、送風ユニット20を装着者HMの前腰FWに固定するための固定用ベルト11を備えている。送風ユニット20は、第1実施形態では、一例として1つ有している。
【0040】
<装着具本体2について>
図3は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを4個装着した場合の温度調整装着具の表面を示す正面図である。図4は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを4個装着した場合の温度調整装着具の裏面を示す背面図である。図5は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを2個装着した場合の温度調整装着具の表面を示す正面図である。図6は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを2個装着した場合の温度調整装着具の表面を示す正面図である。図7は、図3のA-A線断面図である。
【0041】
はじめに、温度調整装着具1の装着具本体2について、図3から図7を用いて説明する。装着具本体2は、柔軟性を有する素材(本実施形態では、ナイロン(nylon)、ポリエステル(polyester)等から構成されるメッシュ素材)から構成される被覆部3を有する。本実施形態に係る被覆部3がメッシュ素材からなるため、速乾性及び伸縮性があり、風を通して装着している首元や両肩から装着者HMの身体の熱を逃がすことで蒸れ難い。さらに、被覆部3は、メッシュ素材からなるため、装着者HMの身体の動きによって生じた力を吸収することで、被覆部3と身体との接触箇所からずれ難い。装着具本体2は、補強部4と、固定芯5と、一対の保持部材6と、変換部7とも有する。なお、補強部4は、ナイロン(nylon)、ポリエステル(polyester)等、耐熱性、耐強度、蒸散性に優れた合成樹脂繊維により構成されている。固定芯5は、例えば、ナイロン(nylon)とポリエステル(polyester)等を混合したものにより構成されている。保持部材6は、ナイロン(nylon)、ポリエステル(polyester)等、耐熱性、耐強度、蒸散性に優れた合成樹脂繊維により構成されている。
【0042】
次に、装着具本体2の被覆部3について説明する。装着具本体2において、被覆部3は、図3から図6に示すように、例えば、被覆部3を上側から見た平面視において、略長方形状に形成されている。被覆部3の表面3Fは、温度調整装着具1を人が装着した場合に、装着者HMの首の背面NCや両肩等に接触可能な面となっている。一方で、被覆部3の裏面3Iは、表面3Fの裏面であり、温度調整装着具1を人が装着した場合には装着者HMの首の背面NCや両肩等に接触しない面となっている。本実施形態に係る被覆部3は、人が温度調整装着具1を首に装着した場合に首付近(例えば、首の背面NC)に配置できる被覆首部3Aと、その被覆首部3Aを挟む両側に被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)とから構成されている。被覆端部には、右被覆端部3Bと、左被覆端部3Cとがある。右被覆端部3Bは、人が温度調整装着具1を装着した場合に右被覆端部3Bを人の右鎖骨付近RCに向けて折り曲げることによって右鎖骨付近RCに配置できる被覆部である。左被覆端部3Cは、人が温度調整装着具1を装着した場合に左被覆端部3Cを人の左鎖骨付近LCに向けて折り曲げることによって左鎖骨付近LCに配置できる被覆部である。
【0043】
図3から図6に示すように、装着具本体2において、被覆部3には、ペルチェ素子ユニット30を装着可能な素子取付部8が、複数(本実施形態では、4箇所)箇所に配設されている。素子取付部8は、被覆首部3Aに2箇所配設されている。素子取付部8は、右被覆端部3Bに1箇所配設されている。素子取付部8は、左被覆端部3Cに1箇所配設されている。
【0044】
図1及び図2に示すように、被覆首部3Aに第1ペルチェ素子ユニット30Aと第2ペルチェ素子ユニット30Bとが左右対称に装着されている。第1ペルチェ素子ユニット30Aの放熱面31と首の右背面RNとの点接触した箇所と、第2ペルチェ素子ユニット30Bの放熱面31と首の左背面LNとの点接触した箇所とが温度調整装着具1が装着者HMに装着された状態を保持する保持点となる。これにより、温度調整装着具1に左右対称に装着されたペルチェ素子ユニット30の放熱面31と首の背面NCとが点接触した保持点により、温度調整装着具1が首に装着された状態を安定させることで、首から温度調整装着具1がずれ落ちることを防止できる。さらに、図1に示すように、第3ペルチェ素子ユニット30Cの配置箇所と第4ペルチェ素子ユニット30Dの配置箇所とが左右対称となるように、それぞれのペルチェ素子ユニット30が右被覆端部3B、左被覆端部3Cに装着されている。これにより、第3ペルチェ素子ユニット30Cの放熱面31と右鎖骨付近RCが点接触した箇所と、第4ペルチェ素子ユニット30Dの放熱面31と左鎖骨付近LCとが点接触した箇所とも温度調整装着具1が装着者HMに装着された状態を保持する保持点となる。そのため、図1に示すように、4つの保持点によって、温度調整装着具1が装着者HMに装着された状態をより安定化させることができるため、装着者HMの首から温度調整装着具1がずれ落ちることをより防止することができる。
【0045】
図5及び図6に示すように、素子取付部8は、素子取付部8に形成された素子挿入孔10と、この素子挿入孔10の周囲に素子外周縁部9を有している。素子取付部8は、被覆部3に比べて、剛性の高い材質(例えば、皮製)からなる生地で構成されている。なお、素子取付部8は、ゴム製、樹脂製等の生地で構成されていても良い。なお、素子取付部8は、被覆部3の上から縫い付けられている。
【0046】
人は、温度調整装着具1において、4箇所の素子取付部8に最大4個のペルチェ素子ユニット30を配置することができる。例えば、人が、4箇所の素子取付部8に4個のペルチェ素子ユニット30を配置することを選択した場合には、被覆首部3Aの2箇所の素子取付部8に、第1ペルチェ素子ユニット30Aと第2ペルチェ素子ユニット30Bとを装着する。さらに、人は、右被覆端部3Bの1箇所の素子取付部8に第3ペルチェ素子ユニット30Cを装着し、左被覆端部3Cの1箇所の素子取付部8に第4ペルチェ素子ユニット30Dを装着する。これにより、図3及び図4に示すように、4箇所の素子取付部8のそれぞれに、各々のペルチェ素子ユニット30が装着された状態となる。人は、図3及び図4に示す温度調整装着具1を装着すると、装着者HMの首の背面NC(右背面RN、左背面LN)と鎖骨付近(右鎖骨付近RC、左鎖骨付近LC)を放熱面31によって冷やしたり、または温めたりすることができる。
【0047】
例えば、人が、被覆首部3Aの2箇所の素子取付部8のみにペルチェ素子ユニット30を配置することを選択した場合には、被覆首部3Aの2箇所に第1ペルチェ素子ユニット30Aと第2ペルチェ素子ユニット30Bとを装着する。これにより、図5に示すように、被覆首部3Aの2箇所の素子取付部8に、ペルチェ素子ユニット30が1個ずつ装着された状態となる。図5に示す温度調整装着具1を装着すると、装着者HMの首の背面NC(右背面RN、左背面LN)を放熱面31(冷却面31A、加熱面31B)によって冷やしたり、または温めたりすることができる。
【0048】
例えば、人が右被覆端部3Bの素子取付部8と左被覆端部3Cの素子取付部8のみにペルチェ素子ユニット30の配置を選択した場合、例えば、人は、右被覆端部3Bの素子取付部8に第3ペルチェ素子ユニット30Cを装着する。続いて、人は、左被覆端部3Cの素子取付部8に第4ペルチェ素子ユニット30Dを装着する。これにより、図6に示すように、右被覆端部3Bと左被覆端部3Cとに1個ずつペルチェ素子ユニット30が装着された状態となる。図6に示す温度調整装着具1を装着すると、装着者HMの鎖骨付近(右鎖骨付近RC、左鎖骨付近LC)を放熱面31(冷却面31A、加熱面31B)によって冷やしたり、または温めたりすることができる。
【0049】
次に、補強部4について説明する。図3から図6に示すように、装着具本体2において、被覆部3の周囲には、被覆部3の周囲を補強するための補強部4が縫い付けられている。図3から図7に示すように、温度調整装着具1の内部に固定芯5が追加されている箇所がある。具体的には、固定芯5は、例えば、糸等で温度調整装着具1の端に沿って、且つ長手方向BHに2箇所縫い付けられている(図3から図6参照)。図7に示すように、固定芯5は被覆部3の生地と補強部4の生地で挟まれた状態となっている。これにより、固定芯5は、温度調整装着具1の内部に一体となって固定されている。本実施形態に係る固定芯5は、温度調整装着具1の端に沿って、且つ短手方向EHには縫い付けられていない(図3から図6参照)。
【0050】
第1実施形態に係る装着具本体2は、固定芯5が温度調整装着具1の内部に一体となって固定されているため、装着者HMの首に温度調整装着具1が装着された状態を固定することができる。これにより、温度調整装着具1自体に直接的に力を作用させない限り、被覆首部3Aに装着したペルチェ素子ユニット30の放熱面31(冷却面31A、加熱面31B)によって、安定的に装着者HMの首の背面NCを冷やしたり、または温めたりすることができる。さらに、右被覆端部3Bと左被覆端部3Cとが装着者HMの鎖骨付近に向かって折れ曲がった状態を固定芯5によって固定される。これにより、右被覆端部3Bと左被覆端部3Cとに装着したペルチェ素子ユニット30の放熱面31(冷却面31A、加熱面31B)によって、安定的に装着者HMの鎖骨付近を冷やしたり、または温めたりすることができる。
【0051】
<変換部7について>
図8は、第1実施形態に係る温度調整装着具の屈曲状態を示す正面図である。
【0052】
次に、装着具本体2の変換部7について説明する。図3から図6に示すように、温度調整装着具1には、被覆首部3Aと被覆端部との間に被覆端部の向きを変換する変換部7が形成されている。変換部7には、右変換部7Aと、左変換部7Bとがある。右変換部7Aは、被覆首部3Aと右被覆端部3Bとの間に、装着具本体2の右一端2aから右他端2cに直線形状に形成されていて、右被覆端部3Bの向きを変換する。具体的には、人が、右変換部7Aに沿って右被覆端部3Bを装着者HMの右鎖骨付近RCに向かって折り曲げることによって、右被覆端部3Bの向きが右鎖骨付近RCに変換されることで、温度調整装着具1が首に装着された状態を保持する。左変換部7Bは、被覆首部3Aと左被覆端部3Cとの間に、装着具本体2の左一端2bから左他端2dに直線形状に形成されていて、左被覆端部3Cの向きを変換する。具体的には、人が、左変換部7Bに沿って左被覆端部3Cを装着者HMの左鎖骨付近LCに向かって折り曲げることによって、左被覆端部3Cの向きが左鎖骨付近LCに変換されることで、温度調整装着具1が首に装着された状態を保持する。
【0053】
右変換部7Aに沿って右被覆端部3Bを装着者HMの右鎖骨付近RCに向かって折り曲げるとともに、左変換部7Bに沿って左被覆端部3Cを装着者HMの左鎖骨付近LCに向かって折り曲げることで、温度調整装着具1が図8に示した屈曲状態になる。これにより、図8に示した屈曲状態となった温度調整装着具1を装着者HMの首の背面NC、両肩、及び鎖骨付近等を被せた状態となり、温度調整装着具1が装着者HMとの接触面積が大きくなる。そのため、温度調整装着具1が装着者HMの首に装着された状態が保持されるため、装着者HMの姿勢や装着者HMの動きがあっても、温度調整装着具1を装着者HMの首、両肩、及び鎖骨付近等に被せた状態を安定させることができる。温度調整装着具1の内部に追加された固定芯5によって、温度調整装着具1が図8に示した屈曲状態が固定されるため、温度調整装着具1の屈曲状態は保持される。
【0054】
温度調整装着具1を装着した装着者HMは、右変換部7Aを設けたところで、右被覆端部3Bを右鎖骨付近RCに向かって屈曲する。これにより、図1及び図8に示すように、右被覆端部3Bが装着者HMの右鎖骨付近RCに向かって折り曲がると、右被覆端部3Bの向きは、右鎖骨付近RCに変換される。装着者HMの右鎖骨付近RCの向きに変換された右被覆端部3Bに装着されている第3ペルチェ素子ユニット30Cの放熱面31(冷却面31A、加熱面31B)は、右鎖骨付近RCの表面に、直接または肌着等を介して間接的に当接させることができる。温度調整装着具1を装着した装着者HMは、左変換部7Bを設けたところで、左被覆端部3Cを左鎖骨付近LCに向かって屈曲する。これにより、図1及び図8に示すように、左被覆端部3Cが装着者HMの左鎖骨付近LCに向かって折り曲がると、左被覆端部3Cの向きは、左鎖骨付近LCに変換される。装着者HMの左鎖骨付近LCの向きに変換された左被覆端部3Cに装着されている第4ペルチェ素子ユニット30Dの放熱面31(冷却面31A、加熱面31B)は、左鎖骨付近LCの表面に、直接または肌着等を介して間接的に当接させることができる。
【0055】
特許文献1に開示されている身体用温度調節器の放熱面は、曲面からなる一枚の金属板であって、特許文献1の斜視図1からは首の右背面と左背面とに接触可能であることが読み取れる。しかしながら、実際に身体用温度調節器を装着した人の姿勢や人の動きによって、金属板が均等に右背面と左背面とに接触できず、均等に首の右背面と左背面とを冷やす、または温めることはできない。また、首の背面には多くの神経が集中している。そのため、特許文献1の身体用温度調節器では、装着者の首の背面と金属板の接触箇所のうち、例えば、金属板による首の右背面への押圧力が高くなると、金属板による首の左背面への押圧力が低くなるため、金属板との接触箇所によって押圧力が不均衡となる。これにより、例えば、金属板による首の右背面への押圧力が高くなると金属板から首の右背面に伝熱する冷熱量が大きくなるが、金属板による首の左背面への押圧力が低くなると金属板から首の左背面に伝熱する冷熱量が小さくなる。このように、特許文献1の身体用温度調節器では、身体と金属板との接触箇所によって、金属板による押圧力に不均衡が生じて、接触箇所によって伝熱する冷熱量に不均衡が生じることで、身体用温度調節器を装着している人に不快感を感じさせた。さらに、特許文献1の身体用温度調節器自体は剛性が高いため、例えば、身体用温度調節器を装着している人が作業を行った際には、首に装着している身体用温度調節器がずれが生じる。これにより、例えば、金属板による首の右背面への押圧力がより高くなって伝熱する首の右背面への冷熱量がより大きくなり、金属板による首の左背面への押圧力がより低くなって伝熱する首の左背面への冷熱量がより小さくなる。そのため、身体と金属板との接触箇所で押圧力による不均衡がより生じて、接触箇所によって冷熱量の不均衡がより生じることで、身体用温度調節器を装着している人により不快感を感じさせてしまうことになる。本実施形態に係る温度調整装着具1によれば、別々の素子取付部8に第1ペルチェ素子ユニット30Aと、第2ペルチェ素子ユニット30Bとが取り付けられている。これにより、例えば、装着者HMの動きによって、第1ペルチェ素子ユニット30Aに力が作用しても、その力によって第2ペルチェ素子ユニット30Bが影響を受け難い。そのため、第1ペルチェ素子ユニット30Aと第2ペルチェ素子ユニット30Bとを首の右背面RNと左背面LNに別々に接触して押圧させることができる。第1ペルチェ素子ユニット30Aの放熱面31と右背面RNとの接触箇所と、第2ペルチェ素子ユニット30Bの放熱面31と左背面LNとの接触箇所とで押圧力に不均衡が生じ難い。そのため、例えば、第1ペルチェ素子ユニット30Aの冷却面31Aから伝熱する冷熱量と、第2ペルチェ素子ユニット30Bの冷却面31Aから伝熱する冷却量とに不均衡が生じ難くなり、温度調整装着具1を装着している人に不快感を感じさせ難い。したがって、温度調整装着具1を装着している装着者HMに安心感を持たせつつ、ペルチェ素子ユニット30による放熱面31によって装着者HMの身体を冷やしたり、または温めたりすることができる。さらに、温度調整装着具1の装着者HMによる作業によって、温度調整装着具1に力が作用しても、被覆部3によってその力が吸収される。これにより、第1ペルチェ素子ユニット30Aと第2ペルチェ素子ユニット30Bとは、首の右背面RNと左背面LNに密着して、互いに独立して押圧する。これにより、首の右背面RNと左背面LNとで、それぞれペルチェ素子ユニット30の放熱面31による押圧力に不均衡が生じ難くなる。そのため、例えば、第1ペルチェ素子ユニット30Aの冷却面31Aから伝熱する冷熱量と、第2ペルチェ素子ユニット30Bの冷却面31Aから伝熱する冷熱量とに不均衡がより生じ難くなる。したがって、温度調整装着具1を装着している人に不快感を感じさせ難くなり、ペルチェ素子ユニット30による放熱面31によって装着者HMの身体を適切に冷やしたり、または温めたりすることができる。
【0056】
<保持部材6について>
図9は、第1実施形態に係る送風ユニットの重さによって、温度調整装着具の装着箇所が保持されていることを説明するための模式的な模式図である。
【0057】
次に、温度調整装着具1と送風ユニット20とを繋ぐ一対の保持部材6について説明する。図1及び図9に示すように、一対の保持部材6には、右保持部材6Rと、左保持部材6Lとがある。右被覆端部3Bに右保持部材6Rが設けられている。左被覆端部3Cに左保持部材6Lが設けられている。保持部材6は、扁平かつ長尺状の部材である。一対の保持部材6(右保持部材6R、左保持部材6L)は、送風ユニット20の各側面に設けられた各連結部24(右連結部24A、左連結部24B)と被覆部3とを繋いでいる。より詳細には、右保持部材6Rは、送風ユニット20の右側面に設けられた右連結部24Aと右被覆端部3Bの一端を繋げている。左保持部材6Lは、送風ユニット20の左側面に設けられた左連結部24Bと左被覆端部3Cの一端を繋げている。
【0058】
図1及び図9に示すように、第1実施形態に係る温度調整装着具1には、装着者HMの前腰FWに送風ユニット20を固定するために固定用ベルト11が設けられている。固定用ベルト11で装着者HMの前腰FWに送風ユニット20を固定することで、送風ユニット20が温度調整装着具1を装着している装着者HMの下方に落ちてしまうことを防止することができる。固定用ベルト11には、固定用ベルト11の長さを調整するための調整部が設けられている。この調整部によって、温度調整装着具1を装着している装着者HMの体格に応じて固定用ベルト11の長さを調整することができる。
【0059】
例えば、単に温度調整装着具1が装着者HMの首に装着した状態だと、温度調整装着具1自体に直接的に力を作用して、例えば、装着者HMから温度調整装着具1が外れてしまい、温度調整装着具1が装着者HMの背側の下方に落ちる可能性がある。しかしながら、図1及び図9に示すように、一対の保持部材6によって、送風ユニット20と装着具本体2とが繋がれている。そのため、送風ユニット20が温度調整装着具1を装着している装着者HMの下方へと向かう重力(図9に示す矢印GR)によって、一対の保持部材6と繋がれている温度調整装着具1を装着者HMの下方へ引っ張る張力が生じることになる(図9に示す矢印TE)。これにより、装着者HMが温度調整装着具1を装着している場合には、一対の保持部材6で送風ユニット20と繋がれている温度調整装着具1が装着者HMの首で装着されている状態が保持されることになる。そのため、装着者HMの首と両肩で装着されている温度調整装着具1が装着者HMの背側の下方に落ちてしまうことを防止することができる。さらに、ペルチェ素子ユニット30(第1~第4ペルチェ素子ユニット30A,30B,30C,30D)の放熱面31(冷却面31A、加熱面31B)が、装着者HMの接触箇所(首の背面NC、鎖骨付近)からずれてしまうことを防止することができる。
【0060】
<第1実施形態のペルチェ素子ユニット30について>
次に、ペルチェ素子ユニット30について、図10図12を用いて説明する。図10は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを蓋部側から示す説明図である。図11は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを放熱面側から示す説明図である。図12は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの構成を示す分解斜視図である。図13は、第1実施形態に係る本体部の外周面を平面上に展開した展開図である。
【0061】
ペルチェ素子ユニット30は、ペルチェ素子PEをカバー部材に内蔵したものとなっている。ペルチェ素子は、板状の半導体熱電素子の一種である。ペルチェ素子PEに直流電流が供給されると、ペルチェ素子PEの平板部では、ペルチェ効果により、一面が例えば、十℃程度に吸熱して吸熱下の状態(冷却面)になると同時に、その反対側の他面が例えば、三十数℃程度に発熱して発熱下の状態(加熱面)となる。ペルチェ素子は、冷却面の熱を加熱面側に移動させ、加熱面側に大量の熱が発生させる素子である。ペルチェ素子ユニット30は、通電下のペルチェ素子PEにより、吸熱下となった冷却面に呈する冷熱、または冷却面の反対側で、吸熱と同時に発熱下となった加熱面に呈する温熱のいずれかの放熱を、身体に伝熱可能に構成されたものである。
【0062】
図10から図12に示すように、ペルチェ素子ユニット30は、その一面である放熱面31と、円筒状に形成された本体部32と、ペルチェ素子ユニット30の外部の空気を流入させる空気口34aを有するとともに、円筒状に形成された空気円筒部34とを有する。図11に示すように、空気円筒部34は、円周に4つの空気口34aが形成されている。図10に示すように、本体部32は、蓋部36を有する。蓋部36には、熱交換面35により熱交換された空気をペルチェ素子ユニット30外部に排出する第1排出口36aが形成されている。蓋部36には、熱交換面35により熱交換された空気をペルチェ素子ユニット30外部に排出する第2排出口36bが形成されている。ペルチェ素子ユニット30は、ペルチェ素子PEによる熱を取り込んで空気中に放散させて熱交換を行う熱交換面35も有する。さらに、ペルチェ素子ユニット30は、熱交換面35により熱交換された空気を第1排出口36aと第2排出口36bへと送風する排熱装置37と、本体部32のカバー部材に形成された内側フランジ33と、リング締結具50等も有する。
【0063】
図12に示すように、本体部32の外周面には、ガイドレール40が設けられている。ガイドレール40は、第1排出口36aと第2排出口36bとを有する蓋部36側に向かう。さらに、ガイドレール40は、一方端40aと他方端40bとの間を本体部32の円周方向CRに沿って、円弧状に延設されている(図12図13参照)。ガイドレール40は、本体部32の円周方向CRで異なる位置に複数(例えば、4)設けられている。複数のガイドレール40と内側フランジ33との間に取り付け溝部43がそれぞれ設けられている。複数(例えば、4)の取り付け溝部43は、本体部32の円周方向CRに沿って設けられている。円周方向CRに隣り合うガイドレール40とガイドレール40同士は、軸心方向Lに同じ高さで配設されている(図15図17参照)。4つのガイドレール40は、断続的に隣接するガイドレール40とガイドレール40との間に、間隙42をそれぞれ設けている。本体部32の外周面には、間隙42が複数(例えば、4)設けられている。図12に示すように、間隙42は取り付け溝部43につながっている。
【0064】
図13に示すように、複数のガイドレール40は、それぞれのガイドレール40の一方端40aからガイドレール40の他方端40bとの間を繋ぐとともに、リング締結具50のそれぞれの突起52と接触する摺動面44を有する。図12及び図13に示すように、複数のガイドレール40の摺動面44のそれぞれには、複数(例えば、4)の規制部41が配設されている。複数の規制部41のそれぞれは、摺動面44に沿って本体部32の反円周方向ACRに向かって移動する複数の突起52の移動動作を規制する。それぞれのガイドレール40の一方端40aと他方端40bとを繋ぐ摺動面44には、第1規制部41a⇒第2規制部41b⇒第3規制部41c⇒第4規制部41dの順に、断続的に規制部41が配設されている。
【0065】
次に、図13を用いて、平面上に展開した本体部32の外周面に設けられた複数のガイドレール40について説明する。図13に示すように、複数のガイドレール40は、本体部32の軸心線AXに沿う軸心方向Lと平行な面に対して、空気口34aを有する空気円筒部34側に傾斜している。第1実施形態における複数のガイドレール40の全ては、一方端40aと他方端40bとの間で一例である傾斜角度θとして3°を付している。これにより、第1実施形態における複数のガイドレール40の全ては、一方端40aと他方端40bとの間で、軸心方向Lに高低差△Hを付けた傾斜態様で形成されている。すなわち、第1実施形態に係る摺動面44の傾斜角度θは、本体部32の軸心線AXに沿う軸心方向Lと平行な面に対して、空気口34aを有する空気円筒部34側に3°である。
【0066】
リング締結具50は、放熱面31(冷却面31A、加熱面31B)と反対側の端部である本体部32と自在に締結または、その解除可能に形成されている。リング締結具50は、合成樹脂で構成されており、略多角形状に形成された環状の外側フランジ51を備えている。外側フランジ51は、図12に示すように、楕円形状の貫通孔が12個形成されている。リング締結具50の内径は、蓋部36の外径よりも大きく、且つ、内側フランジ33の外径よりも小さい。
【0067】
リング締結具50の内周面50aに、複数のガイドレール40のそれぞれと連結可能な突起52が配設されている。突起52は、リング締結具50の円周方向CRに間隔をおいて複数(例えば、4つ)設けられている。複数の突起52のそれぞれは、複数のガイドレール40の複数の規制部41のそれぞれと係合可能である。円周方向CRに隣り合う突起52と突起52同士は、軸心方向Lに同じ高さで配設されている。複数の突起52は、外側フランジ51の表面と平行な面に対して表面側に傾斜しており、傾斜角度θは、3°である。これにより、複数の突起52のそれぞれは、複数のガイドレール40のそれぞれと連結し易くなっている。温度調整装着具1では、最大4つのペルチェ素子ユニット30(第1ペルチェ素子ユニット30A、第2ペルチェ素子ユニット30B、第3ペルチェ素子ユニット30C、第4ペルチェ素子ユニット30D)を4箇所の素子取付部8に装着することができる。
【0068】
放熱面31は、外部に露出した状態になっており、ペルチェ素子ユニット30では、放熱面31と第1排出口36aと第2排出口36bとを有する蓋部36とが、互いに反対側に配置されている。ここで放熱面31は、例えば、ステンレス、熱伝導性等に優れた金属製により構成されている。
【0069】
放熱面31の裏側に形成された熱交換面35は、例えば、アルミニウム、銅等、熱伝導性等に優れた金属製により構成されている。熱交換面35は、突起形状で構成されている複数(例えば、117)の放熱フィン35aを有する。放熱フィン35aは、突起形状で構成されていることで、放熱フィン35aの表面積の拡大によって空気に接触する部分が拡大され、ペルチェ素子の熱を効率良く放出することが可能となる。熱交換面35では、放熱フィン35aと放熱フィン35aとの間に空気口34aから流れ込んだ空気が通過可能となるように、一定の間隔を空けるように、放熱フィン35aが整列して配置されている。これにより、例えば、放熱フィン35aと放熱フィン35aとの間を流れ込んできた冷却空気が、放熱フィン35aと接触するため、ペルチェ素子PEの熱を効率良く交換させることができる。
【0070】
図12に示すように、本体部32の軸心線AXに沿う軸心方向Lに、本体部32と反対側の端部に放熱面31(冷却面31A、加熱面31B)が設けられている。本体部32は、円筒状に形成され、外周端部から円環板形状に張り出した内側フランジ33が設けられている。
【0071】
図12に示すように、第1実施形態の排熱装置37は、送風を行う排熱ファン38と、この排熱ファン38の回転を行うモータ(図示省略)で制御する排熱駆動部39とを備える。これにより、熱交換面35により熱交換された空気は、温調制御部71の制御によって排熱駆動部39の駆動により排熱ファン38が回転して発生された風によって第1排出口36aと第2排出口36bから排出される。
【0072】
ペルチェ素子ユニット30では、ペルチェ素子PEは、図1に示すように、配線75により、温調操作ユニット70を介して、送風ユニット20が備えるバッテリー64と電気的に接続される。
【0073】
例えば、温度調整装着具1に4つのペルチェ素子ユニット30を装着する場合、配線75は、一条状にまとめた本線から分岐部で分割して延びる4本の支線の態様となる。第1実施形態に係る支線の本数は、ペルチェ素子ユニット30の数と一致している。
【0074】
配線75の本線と送風ユニット20が備えるバッテリー64とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)接続等、コネクタを介した接続により、自在に着脱可能となっている。バッテリー64の電力は、配線75を通じて、ペルチェ素子PE及び排熱駆動部39のモータに供給される。例えば、4本の支線のそれぞれは、それぞれのペルチェ素子ユニット30(第1~第4ペルチェ素子ユニット30A,30B,30C,30D)に接続される。しかしながら、これに限定されるものではない。4本の支線は、4つのペルチェ素子ユニット30(第1~第4ペルチェ素子ユニット30A,30B,30C,30D)と1対1の接続関係であれば、装着者HMによる判断の下、特に配線経路をシンプル化して、任意に接続されれば良い。
【0075】
<第1実施形態のペルチェ素子ユニット30の装着について>
図14を用いてペルチェ素子ユニット30の装着について説明する。図14は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを温度調整装着具に装着する方法を示す説明図である。
【0076】
図14を用いてペルチェ素子ユニット30を素子取付部8に装着する方法について説明する。図14に示すように、ペルチェ素子ユニット30の装着では、ペルチェ素子ユニット30の蓋部36の第1排出口36a及び第2排出口36b側は、素子取付部8に形成された素子挿入孔10内に、素子取付部8の内側8aから挿入される。ペルチェ素子ユニット30は、素子外周縁部9に内側フランジ33を当接させた状態で、素子挿入孔10内に配置する。素子挿入孔10は、ペルチェ素子ユニット30の放熱面31(冷却面31Aまたは加熱面31B)と温度調整装着具1の装着者HM自身の身体(首の背面NC、鎖骨)を密着させるように取り付けるための孔である。
【0077】
続いて、外側フランジ51は、素子取付部8の外側8bから部材に当接させる。人は、本体部32をリング締結具50の内側に進入させ、かつリング締結具50の突起52を間隙42に進入させる。これにより、素子外周縁部9は、本体部32の内側フランジ33とリング締結具50の外側フランジ51により挟み込んだ状態となる。続いて、人は、本体部32とリング締結具50とを本体部32の円周方向CRに相対的に回転させることで、ガイドレール40の一方端40aからそれぞれの突起52を取り付け溝部43へと進入させる。さらに、人は、本体部32とリング締結具50とを本体部32の円周方向CRに相対的に回転させることで、それぞれの突起52が、本体部32の円周方向CRに沿って、それぞれのガイドレール40の摺動面44上を摺動していく。続いて、人は、本体部32とリング締結具50とを本体部32の円周方向CRに相対的に回転させていき、複数の突起52を複数の摺動面44のそれぞれに配設されている規制部41を乗り越えさせる。複数の突起52のそれぞれが、複数の規制部41のそれぞれを乗り越えた場合、その複数の規制部41によって、複数の突起52は、本体部32の反円周方向ACRへの移動が規制される。規制部41を乗り越えて、移動が停止した突起52がその規制部41と面接触して係合することで固着する。これにより、素子外周縁部9は、内側フランジ33と外側フランジ51によって挟み込まれた状態で固定される。複数の突起52とガイドレール40の規制部41とは連結可能ではあるが、互いに相反する螺旋状のネジ等には当たらない。従って、リング締結具50の突起52とガイドレール40の規制部41とは係合によって固着するものであり、螺合によって固着するものではない。ここで螺合とは、ネジを嵌め合わせることである(特許技術用語集(日刊工業新聞社)参照)。ここでネジとは、物をしめつけるための螺旋状のみぞ・突起があるものである(広辞林 第六版)。すなわち、螺合とは、互いに相反する螺旋状のネジ等を嵌め合わせて物をしめつけることである。
【0078】
被覆首部における2箇所の素子取付部8に第1ペルチェ素子ユニット30Aと、第2ペルチェ素子ユニット30Bがそれぞれ装着される。この場合、放熱面31(冷却面31Aまたは加熱面31B)が、温度調整装着具1の装着者HM自身の身体側(首の背面NC)に対向させて接触可能な状態となる(図2参照)。第1ペルチェ素子ユニット30Aと第2ペルチェ素子ユニット30Bの放熱面31(冷却面31Aまたは加熱面31B)が、首の背面NCの表面に、直接または肌着等を介して間接的に当接させて、装着者HMの外頸静脈を冷やしたり、または温めたりできる。
【0079】
右被覆端部3Bにおける1つの素子取付部8に第3ペルチェ素子ユニット30Cが装着される。この場合、放熱面31(冷却面31Aまたは加熱面31B)が、温度調整装着具1の装着者HM自身の身体側(右鎖骨付近RC)に対向させて接触可能な状態となる(図1参照)。第3ペルチェ素子ユニット30Cの放熱面31(冷却面31Aまたは加熱面31B)が、装着者HM自身の身体表面に、直接または肌着等を介して間接的に当接させて、装着者HMの右鎖骨下静脈を冷やしたり、または温めたりできる。
【0080】
左被覆端部3Cにおける1つの素子取付部8に第4ペルチェ素子ユニット30Dが装着される。この場合、放熱面31(冷却面31Aまたは加熱面31B)が、温度調整装着具1の装着者HM自身の身体側(左鎖骨付近LC)に対向させて接触可能な状態となる(図1参照)。第4ペルチェ素子ユニット30Dの放熱面31(冷却面31Aまたは加熱面31B)が、装着者HM自身の身体表面に、直接または肌着等を介して間接的に当接させて、装着者HMの左鎖骨下静脈を冷やしたり、または温めたりできる。
【0081】
<内側フランジ33と外側フランジ51に挟み込む生地の厚さについて>
図15図17を用いて、内側フランジ33と外側フランジ51とで挟み込む生地の厚さに応じて、突起52と摺動面44を係合させて固着させる箇所について説明する。図15は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第1段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。図16は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第2段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。図17は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第3段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
【0082】
図15を用いて、複数の突起52のそれぞれが、それぞれのガイドレール40の第1規制部41aを乗り越えて、1段階目でガイドレール40と突起52が係合する場合について説明する。温度調整装着具1からなる生地の厚さがX1(例えば、約3mm)となる場合、その生地を内側フランジ33と外側フランジ51とで挟み込んだ状態で、人が、本体部32をリング締結具50の内側に進入させる。これにより、複数の突起52のそれぞれは、複数の間隙42それぞれに進入していく。続いて、人が、本体部32とリング締結具50とを本体部32の円周方向CRに相対的に回転させると、リング締結具50のそれぞれの突起52は、ガイドレール40の一方端40aから取り付け溝部43に進入する。さらに、人が本体部32とリング締結具50とを本体部32の円周方向CRに相対的に回転させていくと、複数の突起52のそれぞれは、本体部32の円周方向CRに沿って、それぞれのガイドレール40の摺動面44上を摺動していく。本体部32とリング締結具50が本体部32の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転されていくと、複数の突起52のそれぞれが、摺動面44に配設されている複数の第1規制部41aのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第1規制部41aによって、それぞれの突起52の反円周方向ACRへの移動が規制される。複数の突起52のそれぞれが複数の第1規制部41aのそれぞれを乗り越えるために、本体部32とリング締結具50が本体部32の円周方向CRに沿って相対的に回転させる角度は、15度に限定されることはない。例えば、15度から20度のいずれかであることが好適である。
【0083】
図15に示すように、1段階目で本体部32の円周方向CRへの移動が停止した複数の突起52のそれぞれは、複数の第1規制部41aのそれぞれと面接触して係合することで固着する。この場合、温度調整装着具1からなる生地の厚さがX1(例えば、約3mm)となる生地を内側フランジ33と外側フランジ51とで挟み込んだ状態で、ペルチェ素子ユニット30を温度調整装着具1に装着することができる。ペルチェ素子ユニット30の装着を解除する場合、人が本体部32とリング締結具50を本体部32の反円周方向ACRに一例として15度相対的に回転させることで、複数の突起52のそれぞれが第1規制部41aのそれぞれを乗り越える。これにより、ペルチェ素子ユニット30は、温度調整装着具1から装着を解除できる。
【0084】
次に、図16を用いて、複数の突起52のそれぞれが、それぞれのガイドレール40の第2規制部41bを乗り越えて、2段階目でガイドレール40と突起52が係合する場合について説明する。温度調整装着具1からなる生地の厚さがX2(例えば、約2mm)となる場合、その生地を内側フランジ33と外側フランジ51とで挟み込んだ状態で、人が、本体部32をリング締結具50の内側に進入させる。これにより、それぞれの突起52は、それぞれの間隙42を進入していく。続いて、人が、本体部32とリング締結具50とを本体部32の円周方向CRに相対的に回転させると、リング締結具50のそれぞれの突起52は、ガイドレール40の一方端40aから取り付け溝部43に進入する。さらに、人が本体部32とリング締結具50とを本体部32の円周方向CRに相対的に回転させていくと、複数の突起52のそれぞれは、本体部32の円周方向CRに沿って、それぞれのガイドレール40の摺動面44上を摺動していく。本体部32とリング締結具50が本体部32の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転されていくと、複数の突起52のそれぞれが、摺動面44に配設されている複数の第1規制部41aのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第1規制部41aによって、それぞれの突起52の反円周方向ACRへの移動が規制される。
【0085】
さらに、人が、本体部32とリング締結具50を本体部32の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転させていくと、複数の突起52のそれぞれが摺動面44上を摺動していき、複数の第2規制部41bのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第2規制部41bによって、それぞれの突起52の反円周方向ACRへの移動が規制される。複数の突起52のそれぞれが複数の第2規制部41bのそれぞれを乗り越えるために、本体部32とリング締結具50が本体部32の円周方向CRに沿って相対的に回転させる角度は、15度に限定されることはない。例えば、15度から20度のいずれかであることが好適である。
【0086】
図16に示すように、2段階目で本体部32の円周方向CRへの移動が停止した複数の突起52のそれぞれは、複数の第2規制部41bのそれぞれと面接触して係合することで固着する。この場合、温度調整装着具1からなる生地の厚さがX2(例えば、約2mm)となる生地を内側フランジ33と外側フランジ51とで挟み込んだ状態で、ペルチェ素子ユニット30を温度調整装着具1に装着することができる。ペルチェ素子ユニット30の装着を解除する場合、人が本体部32とリング締結具50を本体部32の反円周方向ACRに一例として30度相対的に回転させることで、複数の突起52のそれぞれが第1規制部41aと第2規制部41bのそれぞれを乗り越える。これにより、ペルチェ素子ユニット30は、温度調整装着具1から装着を解除できる。
【0087】
次に、図17を用いて、複数の突起52のそれぞれが、それぞれのガイドレール40の第3規制部41cを乗り越えて、3段階目でガイドレール40と突起52が係合する場合について説明する。温度調整装着具1からなる生地の厚さがX3(例えば、約1mm)となる場合、その生地を内側フランジ33と外側フランジ51とで挟み込んだ状態で、人が、本体部32をリング締結具50の内側に進入させる。これにより、それぞれの突起52は、それぞれの間隙42を進入していく。続いて、人が、本体部32とリング締結具50とを本体部32の円周方向CRに相対的に回転させると、リング締結具50のそれぞれの突起52は、ガイドレール40の一方端40aから取り付け溝部43に進入する。さらに、人が本体部32とリング締結具50とを本体部32の円周方向CRに相対的に回転させていくと、複数の突起52のそれぞれは、本体部32の円周方向CRに沿って、それぞれのガイドレール40の摺動面44上を摺動していく。本体部32とリング締結具50が本体部32の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転されていくと、複数の突起52のそれぞれが、摺動面44に配設されている複数の第1規制部41aのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第1規制部41aによって、それぞれの突起52の反円周方向ACRへの移動が規制される。
【0088】
さらに、人が、本体部32とリング締結具50を本体部32の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転させていくと、複数の突起52のそれぞれが摺動面44上を摺動していき、複数の第2規制部41bのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第2規制部41bによって、それぞれの突起52の反円周方向ACRへの移動が規制される。
【0089】
さらに、人が、本体部32とリング締結具50を本体部32の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転させていくと、複数の突起52のそれぞれが摺動面44上を摺動していき、複数の第3規制部41cのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第3規制部41cによって、それぞれの突起52の反円周方向ACRへの移動が規制される。複数の突起52のそれぞれが複数の第3規制部41cのそれぞれを乗り越えるために、本体部32とリング締結具50が本体部32の円周方向CRに沿って相対的に回転させる角度は、15度に限定されることはない。例えば、15度から20度のいずれかであることが好適である。
【0090】
図17に示すように、3段階目で本体部32の円周方向CRへの移動が停止した複数の突起52のそれぞれは、複数の第3規制部41cのそれぞれと面接触して係合することで固着する。この場合、温度調整装着具1からなる生地の厚さがX3(例えば、約1mm)となる生地を内側フランジ33と外側フランジ51とで挟み込んだ状態で、ペルチェ素子ユニット30を温度調整装着具1に装着することができる。ペルチェ素子ユニット30の装着を解除する場合、人が本体部32とリング締結具50を本体部32の反円周方向ACRに一例として45度相対的に回転させることで、複数の突起52のそれぞれが第1規制部41a~第3規制部41cのそれぞれを乗り越える。これにより、ペルチェ素子ユニット30は、温度調整装着具1から装着を解除できる。
【0091】
複数の突起52のそれぞれが第3規制部41cを乗り越えた場合、人が本体部32とリング締結具50を本体部32の円周方向CRに相対的に回転させても、複数の突起52のそれぞれは、複数の第4規制部41dのそれぞれを乗り越えることができない。これにより、本体部32の円周方向への本体部32とリング締結具50の相対的に回転によって、ペルチェ素子ユニット30が温度調整装着具1から脱落してしまうことを防止することができる。
【0092】
第1実施形態に係るペルチェ素子ユニット30を温度調整装着具1に装着する場合、先ず複数(例えば、4)の突起52を構成する各々の突起が複数(例えば、4)の間隙42に対して本体部32の軸心線AXに沿う軸心方向Lに進入させる。これにより、内側フランジ33とリング締結具50は温度調整装着具1の生地を挟む。続いて、本体部32とリング締結具50とを相対的に回転されて、内側フランジ33とリング締結具50で温度調整装着具1の生地を挟んだ状態で、複数の突起52のそれぞれは、乗り越えた規制部41のそれぞれによって移動動作が規制される。さらに、複数の突起52のそれぞれが規制部41のそれぞれと係合することで、内側フランジ33とリング締結具50で温度調整装着具1の生地を挟んだ状態で、ペルチェ素子ユニット30は温度調整装着具1に装着される。そのため、人は、ワンタッチ操作でペルチェ素子ユニット30を温度調整装着具1に装着できる。さらに、本体部32とリング締結具50とを相対的に回転させていくと、複数の突起52のそれぞれと係合する箇所を段階的に変更することができる。これにより、温度調整装着具1の生地の厚みが約3mmであれば、複数の突起52のそれぞれが、複数の第1規制部41aのそれぞれと係合して、ペルチェ素子ユニット30を温度調整装着具1に装着できる。温度調整装着具1の生地の厚みが約2mmであれば、複数の突起52のそれぞれが第2規制部41bのそれぞれと係合して、ペルチェ素子ユニット30を温度調整装着具1に装着できる。温度調整装着具1の生地の厚みが約1mmであれば、複数の突起52のそれぞれが第3規制部41cのそれぞれと係合して、ペルチェ素子ユニット30を温度調整装着具1に装着できる。そのため、どのような温度調整装着具1の生地の厚みでも、その厚みに対応して、人は、ペルチェ素子ユニット30を温度調整装着具1に装着することができる。したがって、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニット30を温度調整装着具1の生地に装着することが簡単となり、温度調整装着具1の使い易さの向上を図ることができる。さらに、内側フランジ33とリング締結具50で素子取付部8を何度も挟み込んでも、素子取付部8が塑性変形し難くすることができる。そのため、温度調整装着具1にペルチェ素子ユニット30を取り付けてもガタついたり、素子取付部8が傷んでしまうことを防止することができる。
【0093】
<空気口と排出口について>
図18及び図19を用いて、ペルチェ素子ユニットの空気口34aから取り込まれた空気が第1排出口36a、第2排出口36bから排出されることについて説明する。図18は、温度調整装着具に装着されたペルチェ素子ユニットの断面図である。図19は、温度調整装着具に装着されたペルチェ素子ユニットの空気口から取り込まれて、排出口から排出されるまでの空気の流れを説明するための説明図である。なお、図18及び図19は、素子取付部8に装着されている状態のペルチェ素子ユニット30(第1ペルチェ素子ユニット30A、第2ペルチェ素子ユニット30B、第3ペルチェ素子ユニット30C、第4ペルチェ素子ユニット30D)の断面図である。
【0094】
図18に示すように、ペルチェ素子ユニット30の内側フランジ33の表面と外側フランジ51の表面は、素子取付部8に接触、すなわち面接触している。内側フランジ33の表面と外側フランジ51の表面の面接触は、素子取付部8からペルチェ素子ユニット30が外れてしまうことを防止することができる。図18に示すように、内側フランジ33の裏面と外側フランジ51の裏面は、素子取付部8に接触していない。図18から図19に示すように、ペルチェ素子ユニット30(第1~第4ペルチェ素子ユニット30A,30B,30C,30D)の放熱面31(冷却面31Aまたは加熱面31B)及び空気円筒部34は、温度調整装着具1の身体側に取り付けられている。
【0095】
内側フランジ33の表面及び裏面は、放熱面31(冷却面31Aまたは加熱面31B)と平行な面に対して、第1排出口36aと第2排出口36bとが形成されている蓋部36側に傾斜している。なお、第1実施形態における内側フランジ33の表面及び裏面の傾斜角度θは、20°である。外側フランジ51の表面は、内側フランジ33と同様に、放熱面31(冷却面31Aまたは加熱面31B)と平行な面に対して、第1排出口36aと第2排出口36bとが形成されている蓋部36側に傾斜している。なお、第1実施形態における外側フランジ51の表面の傾斜角度θは、20°である。第1実施形態に係る内側フランジ33の傾斜角度θが20°であることで、内側フランジ33に接触した空気の流れを空気口34aに向かわせることができる。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、る内側フランジ33の表面及び裏面と、外側フランジ51の表面とは、放熱面31(冷却面31Aまたは加熱面31B)と平行であっても良い。
【0096】
図18に示すように、蓋部36には、空気口34aから取り込まれて、熱交換面35や放熱フィン35aに接触して、熱交換された空気を第1排出口36aから排出させるために第1排出口36aへと誘導する空気誘導部36cが形成されている。この空気誘導部36cによって、熱交換面35や放熱フィン35aに接触して、熱交換された空気を第1排出口36aからペルチェ素子ユニット30よりも下方に排出させることができる。
【0097】
次に、図19を用いて、空気口34aから取り込まれた空気が熱交換面35や放熱フィン35aに接触して、熱交換された空気がペルチェ素子ユニット30の外側に排出されるまでの空気の流れについて説明する。例えば、図19に示すように、空気円筒部34に形成された空気口34aから取り込まれた空気AR1は、熱交換面35や放熱フィン35aに接触する。空気口34aから流入した空気が熱交換面35や放熱フィン35aに接触することで、熱交換面35による熱交換が行われる。図19に示すように、熱交換面35や放熱フィン35aに接触して熱交換された空気AR1は、排熱駆動部39の駆動により排熱ファン38が回転して発生された風によって蓋部36に向かって流れていく。続いて、図19に示すように、蓋部36に流れた空気AR1は、空気誘導部36cに接触して、第1排出口36aに向かって流れていく。図19に示すように、空気誘導部36cによって第1排出口36aに向かって流れた空気AR1は、第1排出口36aからペルチェ素子ユニット30の外側であって、かつペルチェ素子ユニット30の下方へと排出されていく。
【0098】
例えば、図19に示すように、空気円筒部34に形成された空気口34aから取り込まれた空気AR2は、熱交換面35や放熱フィン35aに接触する。続いて、図19に示すように、熱交換面35や放熱フィン35aに接触して熱交換された空気AR2は、排熱駆動部39の駆動により排熱ファン38が回転して発生された風によって第2排出口36bからペルチェ素子ユニット30の外側に排出される。続いて、図19に示すように、第2排出口36bから排出された空気AR2の流れは、第1排出口36aからペルチェ素子ユニット30の下方に流れる空気AR1に接触することで、ペルチェ素子ユニット30の下方へと変更される。これにより、第2排出口36bから排出された空気が第1排出口36aから排出された空気によってペルチェ素子ユニット30の下方へと導かれるため、温度調整装着具1を装着している装着者HMの頭部に流れてしまうことを防止することができる。
【0099】
<第1実施形態の送風ユニット20について>
次に、第1実施形態に係る送風ユニット20について、図20図24を用いて説明する。図20は、図1に示す送風ユニットの本体を示す正面図であり、図21は、図1に示す送風ユニットの本体を示す平面図であり、図22は、図1に示す送風ユニットの本体を示す右側面図であり、図23は、図1に示す送風ユニットの本体を示す左側面図である。図24は、第1実施形態に係る送風ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【0100】
上記第1実施形態に係る送風ユニット20は、ランナ28aの回転により、送風ユニット20外部から吸い込まれた空気を、吐出口26aから温度調整装着具1を装着している装着者HMの上半身(例えば、頭部)に向かって送風可能な装置となっている。なお、第1実施形態の送風ユニット20は、温度調整装着具1を装着している装着者HMの前腰FWに固定用ベルト11によって固定されている。
【0101】
図20から図24に示すように、第1実施形態に係る送風ユニット20は、本体21と、ケーシング22と、送風ユニット用蓋部23と、連結部24と、吸気部25と、送風ユニット用ファン28を有する送風装置27と、バッテリー64等とを備えている。吸気部25は、送風ユニット20外部から送風ユニット20内部に空気を取り込むための孔として、吸気口25aを有する。ケーシング22の上面26は、送風ユニット20内部の空気を上面26よりも上方に向けて吐出するための孔として、吐出口26aを有する。図24に示すように、送風ユニット20の軸心線AXの軸心方向において吸気部25と反対側に送風ユニット用蓋部23が設けられている。
【0102】
図20から図24に示すように、送風ユニット20の右側面には、右保持部材6Rと連結するための右連結部24Aが設けられている。図20から図24に示すように、送風ユニット20の左側面には、左保持部材6Lと連結するための左連結部24Bが設けられている。
【0103】
図22及び図24に示すように、バッテリー64は、充電用の端子65を備える。図22に示すように、例えば、充電用の端子65はUSB端子であり、そのUSB端子に、充電用のケーブルの端子を接続できる。充電用のケーブルを他の電源に接続すれば、第1実施形態に係るバッテリー64の充電を行ったり、その電源の電力で第1実施形態に係る送風ユニット用駆動部29を駆動させることができる。図22及び図24に示すように、例えば、バッテリー64は、充電用の端子65と異なる接続端子66を備える。図22に示すように、例えば、接続端子66はUSB端子であり、そのUSB端子に、配線75の本線の端子と接続できる。接続端子66と配線75の本線の端子とを接続することで、バッテリー64の電力は、配線75を通じて、ペルチェ素子PE及び排熱駆動部39のモータに供給される。
【0104】
図24に示すように、第1実施形態の送風ユニット用ファン28は、例えば、シロッコファンから構成されている。シロッコファンとは、遠心送風機の一種で、細長い板状の羽根(ランナ28a)が筒状に取り付けられ、多翼送風機とも呼ばれている。なお、ランナ28aは、吸気口25aからの吸入空気量を増加させるとともに、吐出口26aから吐出させる風量を増大させるために、送風装置27の過給圧を上げる形状となっている。送風ユニット用駆動部29は、送風ユニット用ファン28の回転をモータ(図示省略)で制御する。
【0105】
図24に示すように、送風装置27は、送風ユニット用ファン28を送風カバー部材80に内在したものとなっている。この送風カバー部材80は、送風カバー部材80の上部に開口部80aが形成されている。送風ユニット用ファン28の回転によって発生した風は、開口部80aから吐出口26aに送り込まれ、吐出口26aから温度調整装着具1を装着している装着者HMの上半身に向けて吐出される。
【0106】
<空気の流れについて>
次に、第1排出口36aと第2排出口36bと吐出口26aとから放出される空気の流れについて、図25から図27を用いて説明する。図25は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの排出口から排出される空気の流れを説明するための温度調整装着具を首に装着した装着者の上半身の正面を模式的に示す模式図である。図26は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの排出口から排出される空気の流れを説明するための温度調整装着具を首に装着した装着者の上半身の背面を模式的に示す模式図である。図27は、第1実施形態に係る吐出口から吐出される空気の流れと排出口から排出される空気の流れを説明するための温度調整装着具を首に装着した装着者の上半身の正面を模式的に示す模式図である。なお、図25から図27では、ペルチェ素子ユニットが4個装着された温度調整装着具1であって(図3図4図8参照)、且つ右被覆端部3Bと左被覆端部3Cを装着者の鎖骨付近に折り曲げた温度調整装着具1が装着者HMに装着されている。
【0107】
先ず、図25を用いて、右被覆端部3Bと左被覆端部3Cとに装着されたペルチェ素子ユニット30の第1排出口36aと第2排出口36bとから排出される空気の流れについて説明する。ペルチェ素子PEに直流電流が供給されると、図25に示すように、右被覆端部3Bに装着されている第3ペルチェ素子ユニット30Cの第1排出口36aと第2排出口36bとから熱交換面35や放熱フィン35aによって熱交換された空気HA1が排出される。その排出された空気HA1は、例えば、温度調整装着具1を装着している装着者HMの右肩RSの下方に向かって流れる。これにより、装着者HMの頭部HEに空気HA1が流れてしまうことを防止することで、装着者HMの頭部HEに空気HA1が滞留して装着者HMが不快になってしまうことを回避することができる。
【0108】
ペルチェ素子PEに直流電流が供給されると、図25に示すように、左被覆端部3Cに装着されている第4ペルチェ素子ユニット30Dの第1排出口36aと第2排出口36bとから熱交換面35や放熱フィン35aによって熱交換された空気HA2が排出される。その排出された空気HA2は、例えば、温度調整装着具1を装着している装着者HMの左肩LSの下方に向かって流れる。これにより、装着者HMの頭部HEに空気HA2が流れてしまうことを防止することで、装着者HMの頭部HEに空気HA2が滞留して装着者HMが不快になってしまうことを回避することができる。
【0109】
次に、図26を用いて、被覆首部3Aに装着されたペルチェ素子ユニット30の第1排出口36aと第2排出口36bとから排出される空気の流れについて説明する。ペルチェ素子PEに直流電流が供給されると、図26に示すように、被覆首部3Aに装着されている第1ペルチェ素子ユニット30Aの第1排出口36aと第2排出口36bとから熱交換面35や放熱フィン35aによって熱交換された空気HA3が排出される。その排出された空気HA3は、例えば、温度調整装着具1を装着している装着者HMの背中BAに向かって流れる。これにより、装着者HMの頭部HEに空気HA3が流れてしまうことを防止することで、装着者HMの頭部HEに空気HA3が滞留して装着者HMが不快になってしまうことを回避することができる。
【0110】
ペルチェ素子PEに直流電流が供給されると、図26に示すように、被覆首部3Aに装着されている第2ペルチェ素子ユニット30Bの第1排出口36aと第2排出口36bとから熱交換面35や放熱フィン35aによって熱交換された空気HA4が排出される。その排出された空気HA4は、例えば、温度調整装着具1を装着している装着者HMの背中BAに向かって流れる。これにより、装着者HMの頭部HEに空気HA4が流れてしまうことを防止することで、装着者HMの頭部HEに空気HA4が滞留して装着者HMが不快になってしまうことを回避することができる。
【0111】
次に、図27を用いて、右被覆端部3Bと左被覆端部3Cとに装着されたペルチェ素子ユニット30の第1排出口36aと第2排出口36bとから排出される空気の流れと、送風ユニット20の吐出口26aから吐出される空気の流れとについて説明する。送風ユニット20の吸気口25aから取り込まれた空気が吐出口26aから吐出される。吐出口26aから吐出された空気CAは、温度調整装着具1を装着している装着者HMの頭部HEに向かって流れることになる。
【0112】
図27に示すように、右被覆端部3Bに装着されている第3ペルチェ素子ユニット30Cの第1排出口36aと第2排出口36bから排出された空気HA1が装着者HMの右肩RSの下方に向かって流れる。これにより、空気HA1が吐出口26aから吐出された空気CAと衝突することを回避している。そのため、吐出口26aから吐出された空気CAと衝突した空気HA1が装着者HMの頭部HEに流れてしまい、空気HA1が装着者HMの頭部HEに滞留して装着者HMが不快に感じてしまうことを防止することができる。
【0113】
図27に示すように、左被覆端部3Cに装着されている第4ペルチェ素子ユニット30Dの第1排出口36aと第2排出口36bから排出された空気HA2が装着者HMの左肩LSの下方に向かって流れる。これにより、空気HA2が吐出口26aから吐出された空気CAと衝突することを回避している。そのため、吐出口26aから吐出された空気CAと衝突した空気HA2が装着者HMの頭部HEに流れてしまい、空気HA2が装着者HMの頭部HEに滞留して装着者HMが不快に感じてしまうことを防止することができる。
【0114】
<送風操作ユニットについて>
図28は、第1実施形態に係る温度調整装着具に具備する送風操作ユニットの構成を示すブロック図である。図28に示すように、送風操作ユニット60は、送風制御部61と、送風操作部62と、送風表示部63等を有する。送風操作ユニット60内では、送風操作部62と送風表示部63が、送風制御部61と電気的に接続されている。
【0115】
送風操作部62は、送風操作ユニット60左側面にある押下部を、所定の操作モードに基づいて、指で軽く押すことにより、送風ユニット用駆動部29のモータへの通電のオン/オフの切替え操作を制御するための操作を可能とした態様で構成されている。送風表示部63は、送風操作ユニット60左側面にある表示部で、白色に発光可能とした態様で構成されている。
【0116】
<温調操作ユニットについて>
図29は、実施形態に係る温度調整装着具に具備する温調操作ユニットの構成を示すブロック図である。図29に示すように、温調操作ユニット70は、温調制御部71と、温調操作部72と、温調表示部73等を有する。温調操作ユニット70内では、温調操作部72と温調表示部73が、温調制御部71と電気的に接続されている。
【0117】
温調操作部72は、温調操作ユニット70上面にある押下部の押下により、第1~第4ペルチェ素子ユニット30A,30B,30C,30Dに対し、ペルチェ素子PEへの通電のオン/オフの切替え操作を制御するための操作が可能な態様で構成される。さらに、温調操作部72は、温調操作ユニット70上面にある押下部の押下によって、排熱ファン38の回転を行うモータ(図示省略)への通電のオン/オフの切替え操作を制御するための操作を可能とした態様で構成されている。温調表示部73は、温調操作ユニット70上面にある表示部で、複数種の色から選択的に発光可能とした態様で構成されている。
【0118】
温調制御部71が、バッテリー64からペルチェ素子PEに供給する直流電流の向きを逆転させる制御を有する場合、温調操作部72は温調操作ユニット70上面の押下部を通電のオン/オフの切替え操作とは異なった所定の操作モードに基づいて、軽く押す。これにより、第1~第4ペルチェ素子ユニット30A、30B、30C、30Dに通電する電流の極性を切替ることが可能である。
【0119】
ペルチェ素子ユニット30では、ペルチェ素子PEにおいて、供給する直流電流の向きが逆方向になると、一面の機能と他面の機能が相互に反転する。そのため、温調制御部71が、ペルチェ素子PEに供給する電流の極性を逆転可能に構成されている場合、放熱面31は、温調制御部71により、吸熱によって冷却された冷却面31Aと、発熱によって加熱された加熱面31Bを、選択的に可変できるようになる。これにより、放熱面31では、冷却面31Aと加熱面31Bとが相互に入れ替わる。なお、温調制御部71が、ペルチェ素子PEに対し、電流の向きを切替える機能を有していない場合、放熱面31は、冷却面31Aまたは加熱面31Bのいずれか一方である。
【0120】
次に、第1実施形態に係る温度調整装着具1の作用・効果について説明する。
【0121】
第1実施形態に係るペルチェ素子PEを有し、冷却面31A、または加熱面31Bを有するペルチェ素子ユニット30を装着可能な温度調整装着具1において、温度調整装着具1に、ペルチェ素子ユニット30を温度調整装着具1の装着時に冷却面31A、または加熱面31Bが身体に密着するように取り付けるための素子取付部8を設け、第1ペルチェ素子ユニット30Aは、温度調整装着具1の装着時に首の右背面RNと接触する位置に配設可能とし、第2ペルチェ素子ユニット30Bは、温度調整装着具1の装着時に首の左背面LNと接触する位置に配設可能とする。
【0122】
この態様によれば、被覆首部3Aに設けられた素子取付部8に取り付けた第1ペルチェ素子ユニット30Aが、温度調整装着具1の装着時に装着者HMの首の右背面RNに接触して押圧する。被覆部3に設けられた素子取付部8に取り付けた第2ペルチェ素子ユニット30Bが、温度調整装着具1の装着時に装着者HMの首の左背面LNに接触して押圧する。これにより、第1ペルチェ素子ユニット30Aの放熱面31と密着する首の右背面RNと、第2ペルチェ素子ユニット30Bの放熱面31と密着する首の左背面LNとでの押圧力に不均衡が生じ難い。そのため、例えば、第1ペルチェ素子ユニット30Aの冷却面31Aから首の右背面RNに伝熱する冷熱量と、第2ペルチェ素子ユニットの冷却面31Aから首の左背面LNに伝熱する冷熱量に不均衡が生じ難くなり、装着者HMに不快感を感じさせ難い。したがって、ペルチェ素子ユニット30による身体の温度の調整によって人に不快感を感じさせ難い温度調整装着具1を提供することができる。
【0123】
また、第1実施形態に係る温度調整装着具1に、柔軟性を有する素材を含む被覆部3を備え、被覆部3に、素子取付部8を設けた。
【0124】
この態様によれば、メッシュ素材を含む被覆部3に設けたそれぞれの素子取付部8に、第1ペルチェ素子ユニット30Aと第2ペルチェ素子ユニット30Bが取り付けられた状態となる。これにより、温度調整装着具1の装着者HMの動きによって生じた力が被覆部3によって吸収されるため、それぞれのペルチェ素子ユニット30の放熱面31を互いに独立して首の背面箇所のそれぞれを押圧させるため、押圧力の不均衡がより生じ難くなる。そのため、例えば、第1ペルチェ素子ユニット30Aの冷却面31Aから首の右背面RNに伝熱する冷熱量と、第2ペルチェ素子ユニット30Bの冷却面31Aから首の左背面LNに伝熱する冷熱量とに不均衡がより生じ難くなる。この場合、温度調整装着具1を装着している人は、より不快感を感じ難くなる。したがって、温度調整装着具1に取り付けたペルチェ素子ユニット30による適切な身体の温度の調整によって、不快感を感じさせ難くすることができる。
【0125】
また、第1実施形態に係る温度調整装着具1では、被覆部3は、首付近を配置可能な被覆首部3Aを挟む両側に、鎖骨付近に配置可能な被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)を含み、温度調整装着具1には、被覆首部3Aと被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)との間に、被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)の向きを変換する変換部7(右変換部7A、左変換部7B)が形成され、変換部7(右変換部7A、左変換部7B)により被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)の向きが変換されることで、温度調整装着具1が首に装着された状態を保持する。
【0126】
この態様によれば、被覆首部3Aと被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)との間にある変換部7(右変換部7A、左変換部7B)によって被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)の向きが鎖骨付近に変換される。これにより、被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)と装着者HMとの接触箇所を拡げて、温度調整装着具1を首に装着した状態が保持することができる。そのため、例えば、装着者HMが動いたとしても、首から温度調整装着具1がずれ難いため、首に装着している温度調整装着具1を安定させることができる。そのため、温度調整装着具1が首に安定して装着された状態で、第1ペルチェ素子ユニット30Aの放熱面31を首の右背面RNに押圧させるとともに、第2ペルチェ素子ユニット30Bの放熱面31を首の左背面LNに押圧させることができる。
【0127】
また、第1実施形態に係る温度調整装着具1では、変換部(右変換部7A、左変換部7B)は、被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)が鎖骨付近に折れ曲がることにより、被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)の向きを変換する。
【0128】
この態様によれば、装着者HMが被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)を折れ曲げることで、変換部(右変換部7A、左変換部7B)によって被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)の向きが鎖骨付近に変換する。これにより、例えば、人が作業中に急いで温度調整装着具1を装着した場合でも、容易に被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)を折り曲げて、身体と温度調整装着具1との接触箇所を拡げる。これにより、例えば、人が作業中に急いで温度調整装着具1を装着した場合でも、人は容易に首から温度調整装着具1が外れてしまうことを防止できる。
【0129】
また、第1実施形態に係る温度調整装着具1では、第3ペルチェ素子ユニット30Cと第4ペルチェ素子ユニット30Dは、被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)の素子取付部8に取り付け可能とし、温度調整装着具1の装着時に鎖骨付近と接触する位置に配設可能とする。
【0130】
この態様によれば、被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)に取り付けられたペルチェ素子ユニット30(第3ペルチェ素子ユニット30C、第4ペルチェ素子ユニット30D)の放熱面31が鎖骨付近に接触される。これにより、第3ペルチェ素子ユニット30Cの放熱面31と第4ペルチェ素子ユニット30Dの放熱面31によって、鎖骨下静脈を冷やしたり、または温めたりすることができる。さらに、4つのペルチェ素子ユニット30(第1~第4ペルチェ素子ユニット30A,30B,30C,30D)の放熱面31と装着者HMの身体の接触によって生じる保持点によって、温度調整装着具1が装着者HMに装着した状態を安定させることができる。
【0131】
また、第1実施形態に係る温度調整装着具1では、被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)に、温度調整装着具1の装着箇所よりも下方に向かって温度調整装着具1が引っ張られた状態を保持する保持部材6を備える。
【0132】
この態様によれば、被覆端部((右被覆端部3B、左被覆端部3C))が備える保持部材6(右保持部材6R、左保持部材6L)によって、温度調整装着具1の装着箇所よりも下方に向かって温度調整装着具1が引っ張られた状態を保持する。これにより、例えば、装着者HMが作業中に動作を行ったとしても、温度調整装着具1の装着箇所よりも下方に向かって温度調整装着具1を引っ張る張力によって、温度調整装着具1が装着箇所からずれてしまうことを防止することができる。
【0133】
また、第1実施形態に係る温度調整装着具1では、空気を取り込む吸気口25aと、吸気口25aから取り込まれた空気を装着者HMに向かって送り出す吐出口26aとを備えた送風ユニット20と、送風ユニット20を前腰FWに固定する固定用ベルト11とを備え、送風ユニット20と温度調整装着具1とは保持部材6に繋がれており、送風ユニット20の重さによって、温度調整装着具1の装着位置よりも下方に向かって温度調整装着具1が引っ張られた状態となる。
【0134】
この態様によれば、装着者HMの前腰FWに固定された送風ユニット20の吸気口25aから取り込まれた空気を吐出口26aから送り出すことによって、例えば、装着者HMの頭部HEを冷やしたり、または温めたりすることができる。さらに、送風ユニット20の重さによる温度調整装着具1の装着位置よりも下方に向かって温度調整装着具1が引っ張られた状態が保持部材6によって保持されるため、温度調整装着具1が装着箇所からずれてしまうことをより防止することができる。
【0135】
また、第1実施形態に係る温度調整装着具1では、ペルチェ素子ユニット30は、冷却面31Aの反対側、または加熱面31Bの反対側に熱交換面35を有し、熱交換面35で熱交換された空気をペルチェ素子ユニット30の下方に排出させる第1排出口36aと第2排出口36bを有する。
【0136】
この態様によれば、放熱面31の反対側にある熱交換面35で熱交換された空気が第1排出口36aと第2排出口36bとからペルチェ素子ユニット30の下方に排出される。これにより、第1排出口36aと第2排出口36bとから排出された熱交換面35で熱交換された空気が、例えば、装着者HMの頭部HEに滞留してしまうことを防止することができる。
【0137】
また、第1実施形態に係る温度調整装着具1では、温度調整装着具1に、温度調整装着具1の長手方向BHに沿って、温度調整装着具1が首に装着された状態を固定する固定芯5を備える。
【0138】
この態様によれば、温度調整装着具1の長手方向BHに沿って縫い付けた固定芯5によって、温度調整装着具1が装着者HMの首に装着された状態を固定する。これにより、温度調整装着具1が装着者HMの首に装着された状態が保持されるため、例えば、装着者HMが作業中の動作によって、温度調整装着具1の装着箇所からずれてしまうことを防止することができる。
【0139】
また、第1実施形態に係る温度調整装着具1では、ペルチェ素子ユニット30に、空気を取り込む空気口34aが形成された空気円筒部34を有する本体部32と、本体部32の外周面において外側に張り出した内側フランジ33と、本体部32の外周面において、一方端40aと他方端40bとの間を、本体部32の外周面に沿って円弧状に延設された複数のガイドレール40と、複数のガイドレール40と連結可能な複数の突起52を有する環状のリング締結具50とを備え、複数のガイドレール40のそれぞれには、突起52の移動動作を規制する複数の規制部41が、一方端40aと他方端40bとを繋ぐ摺動面44に、断続的に設けられ、複数の規制部41には、第1規制部41aと、第1規制部41aよりも他方端40b側に設けられた第2規制部41bとがあり、複数のガイドレール40の間に本体部32の軸心方向Lに延設された複数の間隙42を設け、ペルチェ素子ユニット30の温度調整装着具1への装着は、複数の突起52を構成する各々の突起52を複数の間隙42を構成する各々の間隙42に対して本体部32の軸心方向Lに進入させて、内側フランジ33とリング締結具50で温度調整装着具1の生地を挟み、内側フランジ33とリング締結具50とを相対的に回転させて、内側フランジ33とリング締結具50で温度調整装着具1の生地を挟んだ状態で、複数の突起52を構成する各々の突起52が第1規制部41a、または第2規制部41bに係合することで行われる。
【0140】
上記第1実施形態に係る温度調整装着具1によれば、温度調整装着具1の生地への装着は、複数の突起52が複数の間隔42に対して本体部の軸心方向に進入させて、先ず内側フランジ33とリング締結具50で生地を挟む。続いて、人が、本体部32とリング締結具50とを相対的に回転させて、内側フランジ33とリング締結具50で生地を挟んだ状態で、リング締結具50が有する複数の突起52のそれぞれが複数の規制部41のそれぞれを乗り越える。これにより、規制部41によって移動動作が規制されるとともに、規制部41と突起52が係合する。そのため、人は、ペルチェ素子ユニット30を温度調整装着具1の生地に節度感のあるワンタッチ操作で装着することができる。そのため、リング締結具50の締め付け不良や緩みが生じないため、ペルチェ素子ユニット30が温度調整装着具1から脱落したり、固定部材だけが紛失してしまうこと回避することができる。
【0141】
また、上記第1実施形態に係る態様の温度調整装着具1では、複数のガイドレール40はそれぞれ、一方端40aと他方端40bとの間で、本体部32の軸心方向Lに高低差を付けた傾斜態様で形成されている。
【0142】
上記第1実施形態に係る温度調整装着具1によれば、温度調整装着具1の生地に厚みがある場合には、内側フランジ33とリング締結具50でその生地を挟んだ状態で、複数の突起52を構成する各々の突起52が第1規制部41aに係合させる。一方で、温度調整装着具1の生地に厚みがない場合には、内側フランジ33とリング締結具50でその生地を挟んだ状態で、複数の突起52を構成する各々の突起52が第2規制部41bに係合させる。これにより、どのような温度調整装着具1の生地の厚さに対応してもペルチェ素子ユニット30が温度調整装着具1から脱落しないように、内側フランジ33とリング締結具50で生地をしっかりと挟み込んだ状態で装着できる。内側フランジ33とリング締結具50で温度調整装着具1の生地を挟んだ状態で複数の突起52が第1規制部41a、または第2規制部41bに係合しても、素子挿入孔10周辺の生地が塑性変形し難いため、生地が傷んでしまうことを防止することができる。
【0143】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態の温度調整装着具1の特徴点を詳細に説明する。特に述べない限り、上記第1実施形態の温度調整装着具1が上記第2実施形態にも適用される。勿論、第2実施形態に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。上記第1実施形態、および下記第2実施形態中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0144】
上記第1実施形態に係る温度調整装着具1と上記第1実施形態に係る送風ユニット20とは、一対の保持部材6(右保持部材6R、左保持部材6L)に繋がれていた。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、一対のサスペンダー12(右サスペンダー12R、左サスペンダー12L)が温度調整装着具1のズボンPNに取り付けられることで、温度調整装着具1の装着者HMの下方に引っ張られた状態を保持しても良い。
【0145】
第2実施形態に係る温度調整装着具1について、図30及び図31を用いて説明する。図30は、第2実施形態に係る温度調整装着具を首に装着した装着者HMの正面を模式的に示す模式図である。図31は、第2実施形態に係るサスペンダーによって、温度調整装着具の装着箇所が保持されていることを説明するための模式的な模式図である。
【0146】
図30に示すように、第2実施形態に係る温度調整装着具1は、装着具本体2と、一対のサスペンダー12と、ペルチェ素子ユニット30と、温調操作ユニット70と、携帯用バッテリー81等とを備えている。図30に示すように、第2実施形態に係る温度調整装着具1と装着者HMのズボンPNとは、一対のサスペンダー12によって繋がれた状態となっている。なお、第2実施形態に係る温度調整装着具1は、一対の保持部材6によって送風ユニット20と繋がれていない。送風ユニット20は、第2実施形態では有していない。第2実施形態では、バッテリー64を備える送風ユニット20を有していないため、温度調整装着具1を装着している装着者HMは、例えば、ズボンPNのポケットに携帯用バッテリー81を入れて携帯している。配線75の本線と携帯用バッテリー81とは、例えば、USB接続等、コネクタを介した接続により、自在に着脱可能となっている。携帯用バッテリー81の電力は、配線75を通じて、ペルチェ素子PE及び排熱駆動部39のモータに供給される。
【0147】
図30に示すように、第2実施形態に係る温度調整装着具1は、右被覆端部3Bと左被覆端部3Cのそれぞれの一端と連結されている一対のサスペンダー12を備えている。具体的には、温度調整装着具1は、右被覆端部3Bの一端と連結されている右サスペンダー12Rと、左被覆端部3Cの一端と連結されている左サスペンダー12Lとを備えている。一対のサスペンダー12は、図30に示すように、サスペンダー12の一端に設けられたクリップ13と、サスペンダー12の長さを調整するためのアジャスター14等を含んでいる。第2実施形態に係るサスペンダー12は、ゴム、ポリエステル(polyester)等、伸縮性に優れた素材により構成されている。
【0148】
第2実施形態に係る右サスペンダー12Rは、右被覆端部3Bの一端と連結されている左サスペンダー12Lの一端の反対側の他端にクリップ13が設けられている。第2実施形態に係る左サスペンダー12Lは、左被覆端部3Cの一端と連結されている右サスペンダー12Rの一端の反対側の他端にクリップ13が設けられている。左サスペンダー12Lと右サスペンダー12Rのそれぞれの他端に設けたクリップ13が、装着者HMのズボンPNの上端部を挟んで保持することで、図30に示すように、温度調整装着具1が装着者HMのズボンPNと繋がれた状態となる。これにより、一対のサスペンダー12は、装着者HMの首元よりも下方に向かって温度調整装着具1が引っ張られた状態を保持する。
【0149】
次に、第2実施形態に係るサスペンダー12によって、温度調整装着具1が装着者HM及び両肩で保持されていることについて、図31を用いて説明する。例えば、単に温度調整装着具1が装着者HMの首及び両肩に装着した状態だと、温度調整装着具1自体に直接的に力を作用して、例えば、装着者HMから温度調整装着具1が外れてしまい、温度調整装着具1が装着者HMの背側の下方に落ちる可能性がある。第2実施形態に係る温度調整装着具1では、右サスペンダー12Rによって右被覆端部3Bと装着者HMのズボンPNとが繋がれた状態となる。さらに、第2実施形態に係る温度調整装着具1では、左サスペンダー12Lによって左被覆端部3Cと装着者HMのズボンPNとが繋がれた状態となる。これにより、図31の矢印TEが示すように、一対のサスペンダー12と連結されている温度調整装着具1を装着者HMの腹側の下方に引っ張る張力が生じることになる。これにより、装着者HMが温度調整装着具1を装着している場合には、一対のサスペンダー12によって繋がれた温度調整装着具1が装着者HMの首と両肩に密着した状態となり、温度調整装着具1が首に装着されている状態が保持される。そのため、装着者HMの首と両肩で装着されている温度調整装着具1が装着者HMの背側の下方に落ちてしまうことを防止することができる。さらに、ペルチェ素子ユニット30(第1~第4ペルチェ素子ユニット30A,30B,30C,30D)の放熱面31(冷却面31A、加熱面31B)が、装着者HMの接触箇所(首の背面NC、鎖骨付近)からずれてしまうことを防止することができる。
【0150】
次に、第2実施形態に係る温度調整装着具1の作用・効果について説明する。
【0151】
以上詳細に説明したように上記第2実施形態に係る温度調整装着具1によれば、温度調整装着具1に備えたサスペンダー12によって、装着者HMの首元よりも下方に向かって温度調整装着具1が引っ張られた状態で保持される。これにより、4つのペルチェ素子ユニット30(第1~第4ペルチェ素子ユニット30A,30B,30C,30D)の放熱面31と装着者HMの身体の接触によって生じる保持点によって、温度調整装着具1が装着者HMに装着した状態を保持することができる。そのため、温度調整装着具1が装着されている首及び両肩から温度調整装着具1が外れてしまって、温度調整装着具1が装着者HMの背側で落ちてしまうことを防止することができる。
【0152】
以上において、本開示を実施形態に即して説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
【0153】
上記実施形態では、4箇所の素子取付部8を設けた温度調整装着具1を挙げた。しかしながら、これに限定されるものではない。温度調整装着具1に設ける素子取付部の数、配置位置、並び方は、本開示に係る温度調整装着具(製品)の用途、装着者HMの体格等、製品の仕様に応じて、適宜変更可能である。
【0154】
上記実施形態に係る温度調整装着具1では、ペルチェ素子ユニット30は、素子挿入孔10を有する素子取付部8に取り付けられた。しかしながら、これに限定されることはない。ペルチェ素子ユニット30を温度調整装着具1の装着時に放熱面31が装着者HMの身体に密着するように取り付けるためのものであれば、例えば、被覆部3の表面3Fにペルチェ素子ユニット30を取り付けるためのレールを設けても良い。これによれば、被覆部3にわざわざ挿入孔を設けなくても、被覆部3の表面3Fに設けたレールにペルチェ素子ユニット30を差し込むことで簡単に取り付けることが可能となる。その他にも、例えば、被覆部3の表面3Fにペルチェ素子ユニット30を取り付けるための紐が設けられても良い。これにより、被覆部3にわざわざ挿入孔を設けなくても、簡易にペルチェ素子ユニット30を取り付けることができる。
【0155】
上記実施形態に係る被覆部3はメッシュ素材を含んでいた。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、被覆部3は、通気性、速乾性及び吸水性等がある素材として麻素材を含んでも良い。被覆部3が麻素材を含む場合には、変換部7は、例えば、メッシュ素材といった柔軟性を有する素材で構成されても良い。変換部7がメッシュ素材といった柔軟性を有する素材にすることで、被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)とを鎖骨付近に折り曲げ易くなる。その他にも、例えば、被覆部3は、速乾性、耐熱性、及び耐強度等がある素材としてダブルラッセル素材を含んでも良い。
【0156】
上記実施形態に係る被覆部3は、被覆首部3Aと、右被覆端部3Bと、左被覆端部3Cとから構成されていた。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、被覆部3は、被覆首部3Aのみで構成されていても良い。その他にも、例えば、被覆部3は、被覆首部3Aと、右被覆端部3B、または左被覆端部3Cのうちの一方のみとで構成されていても良い。例えば、被覆部3は、被覆首部3Aと、右被覆端部3Bと、左被覆端部3Cと、その他の被覆部とから構成されても良い。
【0157】
上記実施形態に係る温度調整装着具1では、右変換部7Aは、右被覆端部3Bが右鎖骨付近RCに折れ曲がることにより、右被覆端部3Bの向きを右鎖骨付近RCに変換した。左変換部7Bは、左被覆端部3Cが左鎖骨付近LCに折れ曲がることにより、左被覆端部3Cの向きを左鎖骨付近LCに変換した。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、被覆首部3Aの右端に右変換部7Aを設け、その右変換部7Aに右被覆端部3Bを取り付けることによって、右変換部7Aは、右被覆端部3Bの向きを装着者HMの右鎖骨付近RCに変換するようにしても良い。例えば、被覆首部3Aの左端に左変換部7Bを設け、その左変換部7Bに左被覆端部3Cを取り付けることによって、左変換部7Bは、左被覆端部3Cの向きを装着者HMの左鎖骨付近LCに変換するようにしても良い。これにより、人がペルチェ素子ユニット30によって鎖骨付近を冷やす、または温めたいと思ったときに、被覆首部3Aに右被覆端部3Bや左被覆端部3Cを取り付けることができるため、人の様々なニーズに応じた温度調整装着具1を提供することが可能となる。
【0158】
上記実施形態に係る被覆部3には、ペルチェ素子ユニット30を装着可能な素子取付部8が、複数(本実施形態では、4箇所)箇所に配設されていた。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、被覆部3に配設されている素子取付部8の数は、3箇所以下であっても良いし、5箇所以下であっても良い。
【0159】
上記実施形態に係る変換部7(右変換部7A、左変換部7B)は、装着具本体2の一端(右一端2a、左一端2b)から他端(右他端2c、左他端2d)に直線形状に形成されていた。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、変換部7(右変換部7A、左変換部7B)は、装着具本体2の一端(右一端2a、左一端2b)から他端(右他端2c、左他端2d)に湾曲形状に形成されていても良い。これにより、温度調整装着具1を装着した装着者HMの右肩及び左肩により密着させることで、温度調整装着具1が装着された状態をより保持することができる。
【0160】
上記実施形態に係る変換部7(右変換部7A、左変換部7B)は、温度調整装着具1を装着している装着者HMの鎖骨付近に被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)の向きを変換させた。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、変換部7(右変換部7A、左変換部7B)は、温度調整装着具1を装着している装着者HMの首の正面に向けて被覆端部(右被覆端部3B、左被覆端部3C)の向きを変換させても良い。これにより、装着者HMの首回りを覆うことができ、温度調整装着具1と装着者HMの首回りとの接触箇所を拡大させて、温度調整装着具1を首に装着した状態を保持することができる。
【0161】
上記第1実施形態に係る送風ユニット20は、ランナ28aの回転により、送風ユニット2HM0外部から吸い込まれた空気を吐出口26aから温度調整装着具1を装着している装着者の上半身に向かって送風可能な装置となっていた。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、送風ユニット20は、ランナ28aの回転により、送風ユニット20外部から吸い込まれた空気に通電下のペルチェ素子PEによる冷熱、または放熱を取り込ませて、熱を取り込んだ空気を吐出口26aから吐出可能な送風ユニットであっても良い。これにより、送風ユニット20の吐出口26aから吐出された空気によって、装着者HMをより冷やしたり、またはより温めたりすることができる。
【0162】
上記第1実施形態に係る送風ユニット20は、温度調整装着具1の装着者HMの前腰FWに固定されていた。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、送風ユニット20は、固定用ベルト11によって、温度調整装着具1の装着者HMの背側(例えば、後腰)に固定されても良い。
【0163】
上記第1実施形態に係る送風ユニット20は、温度調整装着具1の装着者HMの前腰FWに固定用ベルト11によって固定されていた。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、上記第1実施形態に係る送風ユニット20は、温度調整装着具1の装着者HMの正面(例えば、胸付近)で抱え込むように固定するための固定用装着具で装着者HMに固定されても良い。これにより、送風ユニット20が作業の邪魔になることを回避することができる。
【0164】
上記実施形態に係る固定芯5は、温度調整装着具1の端に沿って、且つ長手方向BHに縫い付けられていたが、短手方向EHには縫い付けられていなかった(図3から図6参照)。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、固定芯5は、温度調整装着具1の端に沿って、且つ長手方向BH及び短手方向EHに縫い付けられていても良い。これにより、人の好みに合わせて折り曲げられた温度調整装着具1を固定することができる。
【0165】
上記実施形態では、突起52の数は、4であった。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、突起52の数は、3以下であっても良いし、5以上であっても良い。ただし、突起52の数は、ガイドレール40の数と同じであることが好ましい。なぜなら、突起52の数とガイドレール40の数とが異なってしまうと、ペルチェ素子ユニット30が温度調整装着具1に装着し難くなるからである。
【0166】
上記実施形態では、ガイドレール40の数は、4であった。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、ガイドレール40の数は、3以下であっても良いし、5以上であっても良い。ただし、ガイドレール40の数は、突起52の数と同じであることが好ましい。なぜなら、突起52の数とガイドレール40の数とが異なってしまうと、ペルチェ素子ユニット30が温度調整装着具1に装着し難くなるからである。
【0167】
上記実施形態における複数の摺動面44のそれぞれに設けられている規制部41の数は、4であった。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、複数の摺動面44のそれぞれに設けられている規制部41の数は、3以下であっても良いし、5以上であっても良い。
【0168】
上記実施形態における間隙42の数は、4であった。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、間隙42の数は、3以下であっても良いし、5以上であっても良い。
【0169】
上記実施形態における複数のガイドレール40の全ては、摺動面44における一方端40aと他方端40bとの間である傾斜角度θを3°とした。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、複数のガイドレールの全ては、摺動面44における一方端と他方端との間である傾斜角度θは、3°未満であっても良いし、3°を超えても良い。ただし、傾斜角度θが1度未満になると、ガイドレールの一方端と他方端との高低差がなくなるため、様々な生地の厚さに対応できなり、好ましくない。一方で、傾斜角度θが10度以上になると、温度調整装着具1の生地を挟み込んで温度調整装着具1に装着することが困難となってしまうため、好ましくない。
【0170】
上記実施形態では、空気円筒部34側に3°を有する摺動面44上に、規制部41が設けられていた。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、複数のガイドレール40は、本体部32の外周面に沿って円弧状であって、且つ階段状に延設されても良い。
【0171】
上記実施形態では、ペルチェ素子において、吸熱下の冷却面の温度は、一例として挙げた十℃程度とした。しかしながら、このような温度に限定されない。例えば、零℃より高く、十℃近傍までの温度域であっても良く、ペルチェ素子での吸熱特性は、適宜変更可能である。同様に、発熱下の加熱面の温度は、一例として挙げた三十数℃程度としたが、このような温度に限定されない。例えば、体温より少し高く、火傷をしない四十℃前後の温度であっても良く、ペルチェ素子での発熱特性は、適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0172】
以上の説明から明らかなように、本開示に係る温度調整装着具によれば、ペルチェ素子ユニットによる身体の温度の調整によって人に不快感を感じさせ難い温度調整装着具を提供するできる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0173】
1 温度調整装着具(温度調整装着具)
2 装着具本体
3 被覆部(被覆部)
3A 被覆首部
3B 右被覆端部(被覆端部)
3C 左被覆端部(被覆端部)
5 固定芯(固定芯)
6 保持部材(保持部材)
7 方向変換部
7A 右変換部(変換部)
7B 左変換部(変換部)
8 素子取付部(保持部)
10 素子挿入孔
11 固定用ベルト
20 送風ユニット(送風装置)
25a 吸気口
26a 吐出口
30 ペルチェ素子ユニット(ペルチェ素子ユニット)
30A 第1ペルチェ素子ユニット(第1のペルチェ素子ユニット)
30B 第2ペルチェ素子ユニット(第2のペルチェ素子ユニット)
30C 第3ペルチェ素子ユニット(第3のペルチェ素子ユニット)
30D 第4ペルチェ素子ユニット(第4のペルチェ素子ユニット)
31 放熱面
31A 冷却面
31B 加熱面
32 本体部
33 内側フランジ
34 空気円筒部(取込部)
34a 空気口
35 熱交換面
35a 放熱フィン
36 蓋部
36a 第1排出口
36b 第2排出口
40 ガイドレール
40a 一方端
40b 他方端
41 規制部
43a 第1規制部
43b 第2規制部
42 間隙(間隙)
44 摺動面(摺動面)
50 リング締結具(固定部材)
51 外側フランジ
52 突起(突起)
AX 軸心線
HM 装着者
PE ペルチェ素子
【要約】
ペルチェ素子ユニットによる身体の温度の調整によって人に不快感を感じさせ難い温度調整装着具を提供することを課題とし、温度調整装着具は、ペルチェ素子(PE)を有し、冷却面(31A)、または加熱面(31B)を有するペルチェ素子ユニット(30)を装着可能な温度調整装着具において、温度調整装着具に、ペルチェ素子ユニット(30)を温度調整装着具の装着時に冷却面(31A)、または加熱面(31B)が身体に密着するように取り付けるための保持部(8)を設け、第1ペルチェ素子ユニット(30A)は、温度調整装着具の装着時に首の右背面(RN)と接触する位置に配設可能とし、第2ペルチェ素子ユニット(30B)は、温度調整装着具の装着時に首の左背面(LN)と接触する位置に配設可能とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
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図20
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図22
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図26
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図28
図29
図30
図31