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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】背中用にきび予防及び/又は治療薬
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/60 20060101AFI20240604BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240604BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240604BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240604BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/135 20060101ALN20240604BHJP
   A61K 31/18 20060101ALN20240604BHJP
   A61K 31/19 20060101ALN20240604BHJP
   A61K 31/355 20060101ALN20240604BHJP
   A61K 31/4166 20060101ALN20240604BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALN20240604BHJP
   A61K 31/635 20060101ALN20240604BHJP
   A61K 31/704 20060101ALN20240604BHJP
   A61K 33/04 20060101ALN20240604BHJP
   A61K 33/30 20060101ALN20240604BHJP
【FI】
A61K31/60
A61K9/12
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/44
A61P17/10
A61K31/135
A61K31/18
A61K31/19
A61K31/355
A61K31/4166
A61K31/4402
A61K31/635
A61K31/704
A61K33/04
A61K33/30
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017225609
(22)【出願日】2017-11-24
(65)【公開番号】P2018154613
(43)【公開日】2018-10-04
【審査請求日】2020-10-19
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2016229281
(32)【優先日】2016-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017057617
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西元 愛里
(72)【発明者】
【氏名】竹田 幹子
(72)【発明者】
【氏名】太田 経子
【合議体】
【審判長】前田 佳与子
【審判官】渕野 留香
【審判官】岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-525778(JP,A)
【文献】特開2011-11993(JP,A)
【文献】特開2016-193851(JP,A)
【文献】特開2011-231082(JP,A)
【文献】特開平10-95733(JP,A)
【文献】メディアージュクリニック,顔以外にできるニキビ,[online],2014年4月21日保存,[2021年9月3日検索],インターネット<https://web.archive.org/web/20160421081103/https://www.mediage-daikanyama.jp/nikibi-point/>
【文献】大人ニキビに。『アクネス25』シリーズ誕生!,ロート製薬ニュースリリース,[online],2014年5月29日,[2021年9月3日検索],インターネット<https://www.rohto.co.jp/news/release/2014/0529_01/>
【文献】日本化粧品検定2級・3級対策テキスト コスメの教科書,2016年4月30日,株式会社主婦の友社,pp.80-81
【文献】Journal of Cosmetic Dermatology,2014年,vol.13,Issue1,pp.15-21,DOI:10.1111/jocd.12050
【文献】堀田大介,第 2 章 エタノール処理皮膚を用いた化学物質の毛嚢透過性評価,水溶性化合物の皮膚透過経路に及ぼすエタノール適用の影響に関する研究,城西大学,2015年,pp.44-55,http://libir.josai.ac.jp/il/user_contents/02/G0000284repository/pdf/JOS-PhDZ70.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS/REGISTRY(STN)
JMEDPlus/JST7580/JSTPlus(JDreamIII)
A61K31/00-47/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)サリチル酸及び/又はその塩(B)エタノール、及び(C)界面活性剤を含有し、
前記(A)成分の含有量が、0.01重量%~0.5重量%であり、
前記(B)成分の含有量が、3重量%以上22.84重量%未満であり、
前記(C)成分の含有量が、0.1重量%以上4重量%以下であり、
イソプロピルメチルフェノールを含有しない外用剤である、背中における毛包の皮脂の閉塞緩和剤。
【請求項2】
スプレー型容器に収容される、請求項1に記載の背中における毛包の皮脂の閉塞緩和剤。
【請求項3】
pHが2.5~5.5である、請求項1又は2に記載の背中における毛包の皮脂の閉塞緩和剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背中用にきび予防及び/又は治療薬に関する。
【背景技術】
【0002】
にきびは、毛包における皮脂の分泌亢進及び皮脂や角質による閉塞、アクネ菌(Propionibacterium acnes)、黄色ブドウ球菌、マラセチア属真菌等の増殖など、種々の原因による炎症性の皮膚疾患である。にきびは、顔面、背部、胸部、上腕、頸部など、多汗、高温、多湿、衣服等の影響を受けて様々な部位に生じ得るが、生じる部位により原因となる細菌の数や種類が異なっていることが明らかになってきている(非特許文献1)。
【0003】
背中におけるにきびでは、マラセチア属真菌の関与が報告されており(非特許文献2)、マラセチア属真菌としては、M.furfur、M.globosa、M.restricta等の数種が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】清 佳浩著、Jpn.J.Med.Mycol.、Vol.47(No.2)、2006
【文献】清 佳浩著、Visual Dermatology、Vol.9(No.11)、2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、背中におけるにきびに特に効果的な薬剤は報告されていない状況である。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、皮脂なじみが良く、背中におけるにきびの原因菌の増殖を抑制し、使用感にも優れる薬剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題に鑑み、鋭意検討を行った結果、エタノール濃度を十分に下げ、有効成分として、サリチル酸及びその塩、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、硫黄、レゾルシン、イブプロフェンピコノール、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸、アラントイン、酸化亜鉛、ジフェンヒドラミン、ホモスルファミン、スルファジアジン並びにトコフェロール酢酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を用いることで、背中用にきび予防及び/又は治療薬として顕著な効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記に掲げる背中用にきび予防及び/又は治療薬を提供する。
項1.
(A)サリチル酸及びその塩、イソプロピルメチルフェノール、硫黄、レゾルシン、イブプロフェンピコノール、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸、アラントイン、酸化亜鉛、ジフェンヒドラミン、ホモスルファミン、スルファジアジン並びにトコフェロール酢酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種、並びに、
(B)エタノールを22.84重量%未満含有する、背中用にきび予防及び/又は治療薬。
項2.
前記(A)成分の総含有量が、0.0001重量%~30重量%である、項1に記載の背中用にきび予防及び/又は治療薬。
項3.
スプレー型容器に収容される、項1又は2に記載の背中用にきび予防及び/又は治療薬。
項4.
さらに1,3-ブチレングリコール及び/又はグリセリンを含有する、項1~3のいずれか1項に記載の背中用にきび予防及び/又は治療薬。
項5.
pHが2.5~5.5である、項1~4のいずれか1項に記載の背中用にきび予防及び/又は治療薬。
【0009】
また、本発明は、下記に掲げる外用組成物を提供する。
項6.
(A)サリチル酸及びその塩、イソプロピルメチルフェノール、硫黄、レゾルシン、イブプロフェンピコノール、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸、アラントイン、酸化亜鉛、ジフェンヒドラミン、ホモスルファミン、スルファジアジン並びにトコフェロール酢酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種、並びに、
(B)エタノールを22.84重量%未満含有する、背中におけるマラセチア属真菌の増殖抑制用外用組成物。
別の態様において、前記(A)成分の総含有量が、0.0001重量%~30重量%である、項6に記載の外用組成物を提供することができる。
別の態様において、スプレー型容器に収容される、項6に記載の外用組成物を提供することができる。
別の態様において、さらに1,3-ブチレングリコール及び/又はグリセリンを含有する、項6に記載の外用組成物を提供することができる。
別の態様において、pHが2.5~5.5である、項6に記載の外用組成物を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、背中におけるにきびの原因菌を効果的に抑制することができ、刺激感等の不快な使用感が少ない背中用にきび予防及び/又は治療薬を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】試験例1-1において、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂へのなじみ性を評価した結果を示す図である。
図2】試験例1-2において、(A)成分としてサリチル酸を含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂へのなじみ性を評価した結果を示す図である。
図3】試験例1-3において、(A)成分としてサリチル酸を含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂へのなじみ性を評価した結果を示す図である。
図4】試験例1-4において、(A)成分としてイソプロピルメチルフェノールを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂へのなじみ性を評価した結果を示す図である。
図5】試験例1-5において、(A)成分としてイブプロフェンピコノールを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂へのなじみ性を評価した結果を示す図である。
図6】試験例1-6において、(A)成分としてアラントインを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂へのなじみ性を評価した結果を示す図である。
図7】試験例1-7において、(A)成分としてグリチルレチン酸を含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂へのなじみ性を評価した結果を示す図である。
図8】試験例1-8において、(A)成分としてイオウを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂へのなじみ性を評価した結果を示す図である。
図9】試験例1-9において、(A)成分としてレゾルシンを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂へのなじみ性を評価した結果を示す図である。
図10】試験例1-10において、(A)成分としてトコフェロール酢酸エステルを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂へのなじみ性を評価した結果を示す図である。
図11】試験例1-11において、(A)成分としてサリチル酸、アラントイン、硫黄を含有し、界面活性剤としてPOE(9)ラウリルエーテルを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂へのなじみ性を評価した結果を示す図である。
図12】試験例2において、3種のマラセチア属真菌に対する増殖抑制効果を評価した結果を示す図である。
図13】試験例3-1において、(A)成分としてサリチル酸を含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「刺激感(ぴりぴり感)」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図14】試験例3-1において、(A)成分としてサリチル酸を含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「ほてり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図15】試験例3-1において、(A)成分としてサリチル酸を含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「つっぱり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図16】試験例3-1において、(A)成分としてサリチル酸を含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「かゆみ」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図17】試験例3-1において、(A)成分としてサリチル酸を含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「違和感」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図18】試験例3-2において、(A)成分としてアラントインを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「刺激感(ぴりぴり感)」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図19】試験例3-2において、(A)成分としてアラントインを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「ほてり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図20】試験例3-2において、(A)成分としてアラントインを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「つっぱり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図21】試験例3-2において、(A)成分としてアラントインを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「かゆみ」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図22】試験例3-2において、(A)成分としてアラントインを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「違和感」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図23】試験例3-3において、(A)成分としてイブプロフェンピコノールを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「刺激感(ぴりぴり感)」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図24】試験例3-3において、(A)成分としてイブプロフェンピコノールを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「ほてり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図25】試験例3-3において、(A)成分としてイブプロフェンピコノールを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「つっぱり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図26】試験例3-3において、(A)成分としてイブプロフェンピコノールを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「かゆみ」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図27】試験例3-3において、(A)成分としてイブプロフェンピコノールを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「違和感」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図28】試験例3-4において、(A)成分としてイソプロピルメチルフェノールを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「刺激感(ぴりぴり感)」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図29】試験例3-4において、(A)成分としてイソプロピルメチルフェノールを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「ほてり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図30】試験例3-4において、(A)成分としてイソプロピルメチルフェノールを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「つっぱり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図31】試験例3-4において、(A)成分としてイソプロピルメチルフェノールを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「かゆみ」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図32】試験例3-4において、(A)成分としてイソプロピルメチルフェノールを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「違和感」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図33】試験例3-5において、(A)成分としてイオウを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「刺激感(ぴりぴり感)」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図34】試験例3-5において、(A)成分としてイオウを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「ほてり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図35】試験例3-5において、(A)成分としてイオウを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「つっぱり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図36】試験例3-5において、(A)成分としてイオウを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「かゆみ」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図37】試験例3-5において、(A)成分としてイオウを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「違和感」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図38】試験例3-6において、(A)成分としてレゾルシンを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「刺激感(ぴりぴり感)」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図39】試験例3-6において、(A)成分としてレゾルシンを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「ほてり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図40】試験例3-6において、(A)成分としてレゾルシンを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「つっぱり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図41】試験例3-6において、(A)成分としてレゾルシンを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「かゆみ」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図42】試験例3-6において、(A)成分としてレゾルシンを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「違和感」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図43】試験例3-7において、(A)成分としてサリチル酸を含有し、界面活性剤としてPOE(9)ラウリルエーテルを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「刺激感(ぴりぴり感)」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図44】試験例3-7において、(A)成分としてサリチル酸を含有し、界面活性剤としてPOE(9)ラウリルエーテルを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「ほてり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図45】試験例3-7において、(A)成分としてサリチル酸を含有し、界面活性剤としてPOE(9)ラウリルエーテルを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「つっぱり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図46】試験例3-7において、(A)成分としてサリチル酸を含有し、界面活性剤としてPOE(9)ラウリルエーテルを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「かゆみ」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図47】試験例3-7において、(A)成分としてサリチル酸を含有し、界面活性剤としてPOE(9)ラウリルエーテルを含有し、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「違和感」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図48】試験例3-8において、(A)成分としてアラントインを含有し、界面活性剤を含有せず、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「刺激感(ぴりぴり感)」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図49】試験例3-8において、(A)成分としてアラントインを含有し、界面活性剤を含有せず、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「ほてり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図50】試験例3-8において、(A)成分としてアラントインを含有し、界面活性剤を含有せず、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「つっぱり」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図51】試験例3-8において、(A)成分としてアラントインを含有し、界面活性剤を含有せず、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「かゆみ」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
図52】試験例3-8において、(A)成分としてアラントインを含有し、界面活性剤を含有せず、エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、「違和感」の評価項目について官能試験を行った結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[背中用にきび予防及び/又は治療薬]
本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬は、
(A)サリチル酸及びその塩、イソプロピルメチルフェノール、硫黄、レゾルシン、イブプロフェンピコノール、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸、アラントイン、酸化亜鉛、ジフェンヒドラミン、ホモスルファミン、スルファジアジン並びにトコフェロール酢酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種、並びに、
(B)エタノールを22.84重量%未満含有するものである。
【0013】
[(A)成分]
(A)成分のうち、サリチル酸及びその塩としては、公知の物質を用いることができ、特に制限されない。サリチル酸の塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される限り、特に制限されず、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機塩基等との塩が例示される。サリチル酸塩は、例えば、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カルシウム、サリチル酸マグネシウム及びサリチル酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。(A)サリチル酸及びその塩は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カルシウム、サリチル酸マグネシウム及びサリチル酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、サリチル酸及び/又はサリチル酸ナトリウムがより好ましい。(A)サリチル酸及びその塩は合成して用いてもよく、市販品を用いてもよい。別の態様において、(A)成分として、サリチル酸の誘導体を用いることも可能である。このようなサリチル酸の誘導体としては、にきびの予防及び/又は治療に用いられ得る公知の物質であれば特に制限されないが、例えば、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸メチル、サリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸Ti等が含まれる。
【0014】
(A)成分のうち、イソプロピルメチルフェノールは、非イオン性抗菌剤として公知の物質であり、合成して用いてもよく、市販品を用いてもよい。
【0015】
(A)成分のうち、硫黄(イオウ)は、抗菌剤として公知の物質であり、天然から採取及び抽出してもよく、化学的な方法により得てもよい。天然から得る場合、硫黄は、例えば、天然の硫黄鉱床から採取、抽出することが可能である。化学的な方法で得る場合、硫黄は、例えば、原油を精製する過程で抽出された液状硫黄等の硫黄分を原料とすることが可能である。市販品を用いる場合は、例えば、イオウ(株式会社松本交商製)を用いることが可能である。
【0016】
(A)成分のうち、レゾルシンは、レゾルシノールとも呼ばれ、殺菌剤として公知の物質であり、合成して用いてもよく、市販品を用いてもよい。
【0017】
(A)成分のうち、イブプロフェンピコノール、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸、アラントインは、消炎成分として公知の物質であり、合成して用いてもよく、市販品を用いてもよい。
【0018】
(A)成分のうち、酸化亜鉛は、収れん・保護成分として公知の物質であり、合成して用いてもよく、市販品を用いてもよい。
【0019】
(A)成分のうち、ジフェンヒドラミンは、抗ヒスタミン薬として公知の物質であり、合成して用いてもよく、市販品を用いてもよい。
【0020】
(A)成分のうち、ホモスルファミン、スルファジアジンは、殺菌剤として公知の物質であり、合成して用いてもよく、市販品を用いてもよい。
【0021】
(A)成分のうち、トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)は、血行改善成分として公知の物質であり、合成して用いてもよく、市販品を用いてもよい。
【0022】
これらの(A)成分は、すべて、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。限定はされないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、(A)成分は、サリチル酸及びその塩、イソプロピルメチルフェノール、硫黄、レゾルシン、イブプロフェンピコノール、グリチルレチン酸、トコフェロール酢酸エステル並びにアラントインからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。また、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、(A)成分は、2種以上組み合わせることが好ましい。(A)成分を2種以上組み合わせる場合、限定はされず、他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。限定はされないが、(A)成分を2種以上の好ましい組み合わせは、以下の表1に例示する。
【0023】
【表1】
【0024】
これらの(A)成分の組み合わせは限定されるものではないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、サリチル酸及びその塩、イソプロピルメチルフェノール、並びにアラントインの組み合わせが更に好ましい。
【0025】
本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬において、(A)成分の含有量は、(A)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定されるが、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは0.0001重量%以上であり、より好ましくは、0.001重量%以上、さらに好ましくは0.005重量%以上、特に好ましくは0.01重量%以上、最も好ましくは0.2重量%以上である。また、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下、最も好ましくは3重量%以下である。該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは0.0001重量%~30重量%であり、より好ましくは0.001重量%~20重量%、更に好ましくは0.005重量%~10重量%、特に好ましくは0.01重量%~5重量%、最も好ましくは0.2重量%~3重量%である。
【0026】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、サリチル酸及びその塩を(A)成分として含有する場合に、例えば、サリチル酸及びその塩の単独の含有量は、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、0.0001重量%~5重量%とすることが好ましく、0.0005重量%~3重量%とすることがより好ましく、0.001重量%~1重量%とすることが更に好ましく、0.01重量%~0.5重量%とすることが更により好ましく、0.5重量%とすることが特に好ましい。
【0027】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、イソプロピルメチルフェノールを(A)成分として含有する場合に、例えば、イソプロピルメチルフェノールの単独の含有量は、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、0.0001重量%~5重量%とすることが好ましく、0.0005重量%~3重量%とすることがより好ましく、0.001重量%~1重量%とすることが更に好ましく、0.01重量%~0.3重量%とすることが更により好ましく、0.3重量%とすることが特に好ましい。
【0028】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、硫黄を(A)成分として含有する場合に、例えば、硫黄の単独の含有量は、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、0.0001重量%~10重量%とすることが好ましく、0.0005重量%~8重量%とすることがより好ましく、0.001重量%~5重量%とすることが更に好ましく、0.01重量%~3重量%とすることが更により好ましく、3重量%とすることが特に好ましい。
【0029】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、レゾルシンを(A)成分として含有する場合に、例えば、レゾルシンの単独の含有量は、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、0.0001重量%~10重量%とすることが好ましく、0.0005重量%~7重量%とすることがより好ましく、0.001重量%~5重量%とすることが更に好ましく、0.01重量%~2重量%とすることが更により好ましく、2重量%とすることが特に好ましい。
【0030】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、イブプロフェンピコノールを(A)成分として含有する場合に、例えば、イブプロフェンピコノールの単独の含有量は、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、0.0001重量%~10重量%とすることが好ましく、0.0005重量%~7重量%とすることがより好ましく、0.001重量%~5重量%とすることが更に好ましく、0.01重量%~3重量%とすることが更により好ましく、3重量%とすることが特に好ましい。
【0031】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、グリチルリチン酸二カリウムを(A)成分として含有する場合に、例えば、グリチルリチン酸二カリウムの単独の含有量は、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、0.0001重量%~10重量%とすることが好ましく、0.0005重量%~7重量%とすることがより好ましく、0.001重量%~5重量%とすることが更に好ましく、0.01重量%~0.5重量%とすることが更により好ましく、0.5重量%とすることが特に好ましい。
【0032】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、グリチルレチン酸を(A)成分として含有する場合に、例えば、グリチルレチン酸の単独の含有量は、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、0.0001重量%~10重量%とすることが好ましく、0.0005重量%~7重量%とすることがより好ましく、0.001重量%~5重量%とすることが更に好ましく、0.01重量%~0.3重量%とすることが更により好ましく、0.3重量%とすることが特に好ましい。
【0033】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、アラントインを(A)成分として含有する場合に、例えば、アラントインの単独の含有量は、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、0.0001重量%~5重量%とすることが好ましく、0.0005重量%~3重量%とすることがより好ましく、0.001重量%~1重量%とすることが更に好ましく、0.01重量%~0.5重量%とすることが更により好ましく、0.01重量%~0.2重量%とすることが特に好ましい。
【0034】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、酸化亜鉛を(A)成分として含有する場合に、例えば、酸化亜鉛の単独の含有量は、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、0.0001重量%~10重量%とすることが好ましく、0.0005重量%~7重量%とすることがより好ましく、0.001重量%~5重量%とすることが更に好ましく、0.01重量%~2重量%とすることが更により好ましく、2重量%とすることが特に好ましい。
【0035】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、ジフェンヒドラミンを(A)成分として含有する場合に、例えば、ジフェンヒドラミンの単独の含有量は、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、0.0001重量%~5重量%とすることが好ましく、0.0005重量%~3重量%とすることがより好ましく、0.001重量%~1重量%とすることが更に好ましく、0.01重量%~0.5重量%とすることが更により好ましく、0.5重量%とすることが特に好ましい。
【0036】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、ホモスルファミンを(A)成分として含有する場合に、例えば、ホモスルファミンの単独の含有量は、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、0.0001重量%~10重量%とすることが好ましく、0.0005重量%~7重量%とすることがより好ましく、0.001重量%~5重量%とすることが更に好ましく、0.01重量%~0.3重量%とすることが更により好ましく、0.3重量%とすることが特に好ましい。
【0037】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、スルファジアジンを(A)成分として含有する場合に、例えば、スルファジアジンの単独の含有量は、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、0.0001重量%~10重量%とすることが好ましく、0.0005重量%~7重量%とすることがより好ましく、0.001重量%~5重量%とすることが更に好ましく、5重量%とすることが特に好ましい。
【0038】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、トコフェロール酢酸エステルを(A)成分として含有する場合に、例えば、トコフェロール酢酸エステルの単独の含有量は、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、0.0001重量%~5重量%とすることが好ましく、0.0005重量%~3重量%とすることがより好ましく、0.001重量%~1重量%とすることが更に好ましく、0.01重量%~0.5重量%とすることが更により好ましく、0.5重量%とすることが特に好ましい。
【0039】
[(B)成分]
本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬は、エタノールとして0重量%以上22.84重量%未満含有する。本発明は、(A)成分を含有する背中用にきび予防及び/又は治療薬において、エタノールの含有量を22.84重量%未満にすることにより、又はエタノールを非含有とすることにより、背中におけるにきびの予防及び/又は治療において特に有効な効果を奏するものである。
【0040】
エタノールとしては、医薬品、医薬部外品、化粧品等で用いられている等級、グレードであれば、特に制限されない。エタノールは、例えば、95%エタノール、99%エタノール(無水エタノール)等を適宜用いることが可能である。
【0041】
本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬において、エタノールの含有量は他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定されるが、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、エタノールの含有量は、0重量%以上とすることができ、0.00001重量%以上、0.001重量%以上、0.01重量%以上、0.1重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、3重量%以上とすることもできる。また、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、エタノールの含有量は、22.84重量%未満とすることができ、21重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、14重量%以下、12重量%以下、9重量%以下、3重量%以下とすることもできる。また、該背中用にきび予防及び/又は治療薬の全量に対して、エタノールの含有量は、0重量%以上22.84重量%未満とすることができ、好ましくは0重量%~21重量%、より好ましくは0重量%~20重量%、更に好ましくは0重量%~15重量%、更により好ましくは0.00001重量%~15重量%、更により好ましくは0.01重量%~15重量%、更により好ましくは1重量%~14重量%、更により好ましくは1重量%~9重量%、更により好ましくは2重量%~9重量%、特に好ましくは3重量%~9重量%である。
【0042】
本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬において、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、(A)成分に対する(B)成分の配合比率は、例えば、(A)成分の総含有量1重量部に対して、(B)成分の総含有量が0~500重量部とすることができ、0~300重量部、0~250重量部、0~200重量部、0~150重量部、0~100重量部、0~50重量部、0~30重量部、0~20重量部、0~17重量部、0~10重量部、0~5重量部、0~3重量部、0~0.7重量部、0~0.1重量部、0.01~2重量部、0.1~1重量部とすることも可能である。
【0043】
[用途]
本発明は、背中におけるにきびの治療に用いられる。背中におけるにきびの原因は、毛包における皮脂の分泌亢進及び皮脂や角質による閉塞、アクネ菌(Propionibacterium acnes)、黄色ブドウ球菌やマラセチア属真菌等の増殖等、種々のものが挙げられ、これらが複合的に生じている場合もある。本明細書において「背中におけるにきび」とは、背中においてにきびが生じているものであれば限定はされない。「背中におけるにきび」は(尋常性)ざ瘡に限らず、原因菌等によって、赤色、紅色、褐色、白色又は皮膚と同色の色を有する皮疹、発疹又は丘疹として患部が認識され得るものである。一般の消費者の認識においては、「背中におけるにきび」は、背中に生じるブツブツ、吹き出物、おでき等と呼称される場合もある。患部の分布は、背中に広範に現れる場合もあり、一部分に限局している場合もあり、散在している場合もある。
【0044】
特に背中は、顔面、頸部、腕等とは異なり、衣服着用時に開放部が無いため、多汗、高温、多湿の環境を生じやすい。更に、背中は衣服が常に接している状態であるため、物理的な刺激を受けやすい環境でもある。また、背中はイスの背もたれによる圧迫や刺激もあり、換気や空気の循環が起こりにくい環境である。このような環境では、背中におけるにきびの原因菌のなかでも、高温、多湿な環境を好む、マラセチア属真菌の増殖が起こりやすい傾向にある。また、顔面におけるにきびはアクネ菌が主要な原因菌であることが知られており、背中におけるにきびとは原因菌の種類やその割合が異なる。
【0045】
マラセチア属真菌としては、M.globosa、M.restricta、M.furfur、M.dermatis、M.slooffiae、M.sympodialis、M.japonica、M.yamatoensis、M.obtusa、M.nana、M.pachydermatis、M.equina、M.caprae等が知られている。これらのマラセチア属真菌は、種々の皮膚疾患への関与が報告されており、癜風、マラセチア毛包炎、脂漏性湿疹(脂漏性皮膚炎とも言う)、脂漏性角化症、アトピー性皮膚炎、外耳炎等の原因又は増悪因子として知られている。
【0046】
本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬は、種々のにきびの原因菌に効果的に用いることが可能であるが、好ましくは、M.restricta、M.globosa及びM.furfurからなる群より選択される少なくとも1種の増殖を抑制するために用いられ、なかでもM.furfur及びM.globosaの増殖を抑制するために有益に用いられ、より好ましくは、M.restricta、M.globosa、及びM.furfurの増殖を抑制するために用いられる。
【0047】
M.globosaは、背中に生じやすいマラセチア毛包炎において優位に存在し、その病変の憎悪に関与しており、他のマラセチア属真菌に比べ比較的優位に存在することが知られている。M.globosaは、マラセチア属真菌のなかでも特にリパーゼ活性が高く、皮脂分解を促進して、皮膚刺激を誘発する遊離脂肪酸を生じさせやすい傾向があることが知られている。また、M.restrictaは、皮膚に常在するマラセチア属真菌のうち、マラセチア毛包炎において高頻度に検出され、リパーゼ活性も高い。M.furfurは、リパーゼ活性は前記2種と比較して低いものの、炎症性サイトカインを誘導しやすいことが知られており、免疫反応による炎症作用が高い可能性がある。本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬は、特にこれらのマラセチア属真菌の増殖を抑える効果に優れているので、これらのマラセチア属真菌種の増殖が関与する疾患又はその症状を効果的に治療、改善、又は予防することができる。
【0048】
[pH]
本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬のpHは、(A)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定され、生理学的又は薬学的に許容できる範囲であれば制限されないが、例えば、pH2~9とすることができる。本発明の効果を安定的に発揮する観点から、本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬のpHは、好ましくは2~8、より好ましくは2~7、更に好ましくは2~6、更により好ましくは2.5~5.5、更により好ましくは2.6~5、更により好ましくは2.6~4.8、更により好ましくは2.6~4.5とすることができる。
【0049】
[剤形]
本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬は、医薬品、医薬部外品又は化粧品として公知の形態であれば、特に限定されないが、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、パウダー剤、不織布等のシートに背中用にきび予防及び/又は治療薬を含浸させたシート剤等の形態により、公知の方法で製剤化することができる。
【0050】
液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤等の形態で背中用にきび予防及び/又は治療薬を液状に製剤化した場合、限定はされないが、スプレー型容器に収容されることにより、本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬を患部に直接的に噴霧して使用することが可能となるため好ましい。噴霧した後に、不織布や指等により、塗り拡げて用いることも可能である。液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤等の形態で背中用にきび予防及び/又は治療薬を液状又は半固形状に製剤化した場合、限定はされないが、ノズル付き容器に収容することにより、本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬を、患部に直接的に塗布することができる。ノズルの先端にロール又はボール等の回転体を用いることにより、本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬を患部に均一に塗布するよう設計することも可能である。患部に本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬を塗布した後に、不織布や指等により、塗り拡げて用いることも可能である。
【0051】
本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬を背中に適用する際には、手の届きにくい患部にも適用しやすいように、スプレー型容器を用いることが好ましい。スプレー型容器は、逆さまにしても噴霧が可能なミストタイプのスプレー型容器がより好ましい。スプレー型容器の形状は特に制限されないが、例えば、ポンプ式スプレーやトリガー式スプレー、エアゾール式スプレー等の公知の形状を用いることが可能である。ポンプ式スプレーでは、例えば、ポンプ式ノズルを容器に装着した形状とすることができ、汎用性や携帯性に優れる。トリガー式スプレーでは、例えば、ピストル型のノズル付噴霧器を容器に装着した形状とすることができ、小さな力で噴霧力を得られる。エアゾール式スプレーでは、例えば、炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガス、フロンガス等の噴射剤を充填した容器形状とすることができ、より細かな液滴を噴霧することができるようになる。スプレー型容器の材質は特に制限されないが、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の公知のプラスチック素材を用いることが可能である。
【0052】
前記ポンプ式ディスペンサー、トリガー式ディスペンサーは、ミスト(霧)状に吐出する機能を有するディスペンサーであり、一般流通しているものであれば特に限定されない。一回の吐出工程により吐出される量は、本発明の効果が十分に発揮される量であれば特に限定されないが、背中の所望の範囲に均一塗布できる観点から、0.05~1.5mL/1回の範囲の量とすることが好ましく、より好ましくは、0.5~1mL/1回である。本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬を充填する容器としては、市販されている容器を用いることができ、例えばポンプ式ディスペンサーとしては、吉野工業所社製のY-150(1プッシュ約0.15mL排出)、三谷バルブ社製Z-155(1プッシュ約0.15mL排出);トリガー式ディスペンサーとしては、吉野工業所社製のM3-M(1回約0.5mL排出)、三谷バルブ社製のZ-305、T-305(1回約0.3mL排出)等が挙げられる。
【0053】
本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬の使用方法は、使用する対象者の背中のにきびの状態、年齢、性別などによって適宜変更され得るが、例えば、1日数回(例えば、約1回~5回、好ましくは2回~3回)、適量を背中の皮膚に塗布することで使用することができ、1日2回(朝・晩)適量を患部に塗布することがより好ましい。塗布期間は、使用する対象者の背中のにきびの状態、年齢、性別などによって適宜変更され得るが、例えば、約1~14日間、好ましくは約3~14日間とすることができる。
【0054】
本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬は、公知の方法により製造することができる。必要に応じて、滅菌工程を含めることができる。
【0055】
本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬は、本発明の効果を損なわない範囲で、医薬品、医薬部外品、化粧品等として用いられ得る、公知の基剤又は担体と共に混合して製剤化することができる。その他に、本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬には、例えば、界面活性剤、油分、アルコール類、増粘剤、防腐剤、抗酸化剤、酸化防止剤、保存剤、キレート剤、pH調整剤、安定化剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤、分散剤、香料、着色剤、色素、水等の添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0056】
基剤又は担体としては、流動パラフィン、スクワラン、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィンのような炭化水素;メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、シリコーンレジンのようなシリコーン油;ポリエチレングリコール;ジオキサン;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリットのようなエステル類;エタノール、イソプロパノールのような低級アルコール;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル;ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、イソプレングリコールなどの多価アルコール;水などの水系基剤などが挙げられる。本発明の効果を安定的に発揮する観点から、基剤又は担体は、1,3-ブチレングリコール及び/又はグリセリンが好ましい。
【0057】
基剤又は担体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0058】
界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタンのようなソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコールのようなプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO-40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO-50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO-60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80などの硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンのようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル;グリセリンアルキルエーテル;アルキルグルコシド;ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテルのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ステアリルアミン、オレイルアミンのようなアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンのようなシリコーン系界面活性剤;ラウリン酸塩、パルミチン酸塩、ココイルグルタミン酸塩、ヤシ油メチルアラニン塩、アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩のようなアニオン性界面活性剤、ラウリルジアミノエチルグリシン塩、ヤシ油脂肪酸ベタイン塩などの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテルなどの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。なお、本明細書において、ポリオキシエチレンは「POE」とも記載され、括弧内の数値はエチレンオキシドの付加モル数を示す。
【0059】
油分としては、天然動植物油脂類、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、高級アルコール、高級脂肪酸、動植物や合成の精油などが挙げられる。
【0060】
天然動植物油脂類としては、例えば、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、牛脂、キリ油、小麦胚芽油、ゴマ油、米胚芽油、米糠油、サフラワー油、大豆油、月見草油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、豚脂、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、綿実油、モクロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、落花生油、ラノリン、卵黄油、ローズヒップ油等が挙げられる。
【0061】
炭化水素油としては、パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素が用いられ、例えば、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、プリスタン、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、ワセリン等が挙げられる。
【0062】
エステル油としては、合成エステル類、高級アルコールと高級脂肪酸とのエステル類が用いられ、例えば、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2-エチルヘキサン酸セチル、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、乳酸セチル、乳酸テトラデシル、ミリスチン酸イソプリピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、リンゴ酸ジイソステアリル、パラメトキシケイ皮酸エステル、テトラロジン酸ペンタエリスリット等が挙げられる。
【0063】
シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロヘキサシロキサン、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン等が挙げられる。
【0064】
高級アルコールとしては、例えば、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、セタノール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。
【0065】
高級脂肪酸としては、飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数12~22の脂肪酸を用いることができ、例えば、イソステアリン酸、オキシステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ラノリン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
【0066】
増粘剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレングリコール、ベントナイト、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマーなどが挙げられる。
【0067】
防腐剤の好適な例としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
【0068】
抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
【0069】
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸、L-システイン塩酸塩などが挙げられる。
【0070】
保存剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノールなどが挙げられる。
【0071】
キレート剤としては、EDTA・2ナトリウム塩、EDTA・カルシウム・2ナトリウム塩などが挙げられる。本発明の効果を顕著に奏する観点から、本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬は、EDTA・2ナトリウム塩をさらに含むことが好ましい。
【0072】
pH調整剤としては、無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウムなど)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)などが挙げられる。
【0073】
安定化剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。
【0074】
溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0075】
懸濁化剤の好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。
【0076】
等張化剤の好適な例としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトールなどが挙げられる。
【0077】
緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
【0078】
無痛化剤の好適な例としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。
【0079】
分散剤としては、例えば、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸架橋コポリマー、有機酸等が挙げられる。
【0080】
着色剤としては、無機顔料、天然色素などが挙げられる。
【0081】
本発明の背中用にきび予防及び/又は治療薬は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の有効成分を含むことができる。有効成分の具体例としては、例えば、保湿成分、パール光沢付与剤、コンディショニング剤、スクラブ剤、血行促進成分、収斂成分、紫外線吸収成分、紫外線散乱成分、洗浄成分、抗菌成分、抗炎症剤、ビタミン類、ペプチド又はその誘導体、アミノ酸又はその誘導体、細胞賦活化成分などが挙げられる。
【0082】
保湿成分としては、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジグリセリンのような多価アルコール;トレハロース、キシリトール、オリゴ糖のような糖類;ヒアルロン酸ナトリウム、ヘパリン類似物質、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサンのような高分子化合物;グリシン、アスパラギン酸、アルギニンのようなアミノ酸;乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウムのような天然保湿因子;セラミド、コレステロール、リン脂質のような脂質;カミツレエキス、ハマメリスエキス、チャエキス、シソエキスのような植物抽出エキスなどが挙げられる。本発明の効果を安定的に発揮する観点から、保湿成分は、グリセリン及び/又は1,3-ブチレングリコールが好ましい。
【0083】
パール光沢付与剤としては、例えば、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0084】
コンディショニング剤としては、例えば、カチオン化セルロース、カチオン化澱粉、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化キサンタンガム、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、ポリクオタニウム、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体等が挙げられる。
【0085】
スクラブ剤としては、例えば、アプリコット核粉末、アーモンド殻粉末、アンズ核粉末、塩化ナトリウム粒、オリーブ核粉末、海水乾燥物粒、キャンデリラワックス、くるみ殻粉末、さくらんぼ核粉末、サンゴ粉末、炭粉末、はしばみ殻粉末、ポリエチレン末、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0086】
血行促進剤としては、例えば、アセチルコリン、イクタモール、カフェイン、カプサイシン、カンタリスチンキ、ガンマーオリザノール、ショオウキョウチンキ、ジンゲロン、セファランチン、センブリエキス、タンニン酸、トウガラシチンキ、トラゾリン、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジルエステル等が挙げられる。
【0087】
収斂成分としては、硫酸亜鉛、ヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛及びタンニン酸等が挙げられる。
【0088】
紫外線吸収成分としては、オクチルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、メトキシケイヒ酸オクチル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルなどが挙げられる。
【0089】
紫外線散乱成分としては、含水ケイ酸、ケイ酸亜鉛、ケイ酸セリウム、ケイ酸チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化鉄、無水ケイ酸等の無機化合物、それらの無機化合物を含水ケイ酸、水酸化アルミニウム、マイカやタルク等の無機粉体で被覆したり、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、ナイロン等の樹脂粉体に複合化したもの、さらにシリコン油や脂肪酸アルミニウム塩等で処理したものなどが挙げられる。
【0090】
洗浄成分としては、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム又はステアリン酸カリウムなどのアルカリ金属塩、アルカノールアミド塩又はアミノ酸塩などの石けん類、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウムなどのアミノ酸系界面活性剤、ラウレス硫酸ナトリウムなどのエーテル硫酸エステル塩、ラウリルエーテル酢酸ナトリウムなどのエーテルカルボン酸塩、アルキススルホコハク酸エステルナトリウムなどのスルホコハク酸エステル塩、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸時エタノールアミドなどの脂肪酸アルカノールアミド、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどのモノアルキルリン酸エステル塩、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウムなどのベタイン型両性界面活性剤、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムなどのアミノ酸型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0091】
抗菌成分としては、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、エタノール、塩化ベンゼトニウム、クレゾール、グルコン酸及びその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシン、ピロクトオラミン、ミコナゾールなどが挙げられる。
【0092】
抗炎症剤としては、ステロイド系抗炎症剤、又は非ステロイド系抗炎症剤のいずれも用いることができる。具体的には、吉草酸酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾン、吉草酸酢酸プロドニゾロン(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)、酢酸プロドニゾロン、プロドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、ウフェナマート、ブフェキサマク等が例示されるが、これに限定されない。さらに、例えば、ジクロフェナク、ピロキシカム、イプシロン-アミノカプロン酸、ブロメライン、セラペプターゼ、セミアルカリプロティナーゼ、及びそれらの薬学的に許容される塩が例示される。抗炎症剤としてステロイド系抗炎症剤を用いる場合は、塗布した患部で薬理活性を示し、体内で低活性な物質に代謝される、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(PVA)等のアンテドラッグステロイドが好適に用いられる。
【0093】
ビタミン類としては、dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム等のビタミンE類;リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類;ニコチン酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、ニコチン酸1-(4-メチルフェニル)エチル等のニコチン酸類;アスコルビゲン-A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L-アスコルビルなどのビタミンC類;メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなどのビタミンD類;フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類、γ-オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩;チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類;塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’-リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類;シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類;葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類;ニコチン酸、ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D-パンテサイン、D-パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類;ビオチン、ビオチシン等のビオチン類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体であるビタミンC類;カルニチン、フェルラ酸、α-リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子などが挙げられる。
【0094】
ペプチド又はその誘導体としては、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、加水分解大豆蛋白、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド(パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等)などが挙げられる。
【0095】
アミノ酸又はその誘導体としては、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、β-アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、ヒスチジン、タウリン、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、カルニチン、カルノシン、クレアチン等が挙げられる。
【0096】
細胞賦活化成分としては、γ-アミノ酪酸、ε-アミノカプロン酸などのアミノ酸類、レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類などのビタミン類、グリコール酸、乳酸などのα-ヒドロキシ酸類、タンニン、フラボノイド、サポニン、感光素301号などが挙げられる。
【0097】
[背中におけるマラセチア属真菌の増殖抑制用外用組成物]
別の実施態様において、本発明は、(A)サリチル酸及びその塩、イソプロピルメチルフェノール、硫黄、レゾルシン、イブプロフェンピコノール、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸、アラントイン、酸化亜鉛、ジフェンヒドラミン、ホモスルファミン、スルファジアジン並びにトコフェロール酢酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種、並びに、(B)エタノールを22.84重量%未満含有する、背中におけるマラセチア属真菌の増殖抑制用外用組成物を提供することが可能である。このような外用組成物に用いられる(A)成分、(B)成分やその他の成分、剤形等は[背中用にきび予防及び/又は治療薬]と同様である。
【0098】
本明細書において、「マラセチア属真菌の増殖を抑制する」とは、マラセチア属真菌の生育を抑えることをいい、マラセチア属真菌の生菌数を増加させないことや減少させること、マラセチア属真菌を殺菌することを含む。例えば、実施例で示すように、マラセチア属真菌をMLNA培地で10日間、33℃好気条件下で培養した場合の阻止円の大きさ(拡散法(穿孔平板法))が、エタノールを22.84%含有する比較例と比較して大きくなることをいう。
【実施例
【0099】
次に、実施例や試験例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例や試験例に限定されるものではない。
【0100】
[試験例1-1.皮脂なじみ試験1]
組成物中の(B)エタノールを22.84重量%未満とすることによる、皮脂に対するなじみ性への影響を検討した。厳密にエタノールの濃度による影響を検討するため、各サンプルでは(A)成分を含んでいないが、(A)成分を含んでいるサンプルであっても、結果が示す傾向には影響がないものと推測される。
【0101】
表2に示す各組成物を、攪拌子を用いて攪拌し(500rpm、15分間、室温)、試験サンプルとした。
【0102】
【表2】
【0103】
表3に示す人工皮脂0.01gをスライドガラス上に1cm×2cmの範囲に均一に塗布し、各スライドガラスの重量(X)を測定した。各サンプル15mlを充填した50mlチューブに人工皮脂を塗布したスライドガラスを入れて180r/分、振幅30mmでDOUBLE SHAKER NR-30 (TAITEC社)で1分間振とうした後、スライドガラスを垂直に抜き取る。人工皮脂を塗布した面を上にして室温にて1晩乾燥させた。乾燥後のスライドガラスの重量(Y)を測定し、落ちた人工皮脂量(g)=(X)-(Y)を算出し、この値が大きい程、皮脂なじみが良いとした。皮脂なじみが良いと、脱脂効果が期待される。この結果を図1に示した。
【0104】
【表3】
【0105】
図1に示されるように、(B)エタノールを22.84重量%含有するサンプル(参考比較例1)では、皮脂なじみが低下し、皮脂の除去が不十分となるという新たな課題が見出された。一方、(B)エタノールを22.84重量%未満とすることにより、皮脂なじみが向上し、皮脂の除去に効果的であることが明らかとなった(参考例1~3)。参考例1~3に対して(A)成分を含有させることにより、毛包における皮脂の閉塞を緩和させつつ、(A)成分を作用させることが可能となり、背中のにきびに対してより効果的に予防や治療ができることが期待される。
【0106】
[試験例1-2.皮脂なじみ試験2]
表4に示す各組成物を、試験例1-1と同様の方法で調製し、試験サンプルとした。(A)成分を含有させ、(B)エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂に対するなじみ性への影響を検討した。試験方法は試験例1-1と同様である。この結果を図2に示した。
【0107】
【表4】
【0108】
図2に示されるように、(A)成分としてサリチル酸を含んでいるサンプルであっても、試験例1-1と同様の傾向を示す結果が得られた。具体的には、(A)成分と(B)エタノールを22.84重量%含有するサンプル(比較例1)では、皮脂なじみが低下し、皮脂の除去が不十分となったのに対して、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例1及び実施例2では、皮脂なじみが向上することが示された。
【0109】
[試験例1-3.皮脂なじみ試験3]
表5に示す各組成物を、試験例1-1と同様の方法で調製し、試験サンプルとした。(A)成分を含有させ、(B)エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂に対するなじみ性への影響を検討した。試験方法は試験例1-1と同様である。この結果を図3に示した。
【0110】
【表5】
【0111】
図3に示されるように、(A)成分としてサリチル酸を含んでいるサンプルであっても、試験例1-1と同様の傾向を示す結果が得られた。具体的には、(A)成分と(B)エタノールを22.84重量%含有するサンプル(比較例2)では、皮脂なじみが低下し、皮脂の除去が不十分となったのに対して、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例3~5では、皮脂なじみが向上することが示された。
【0112】
[試験例1-4.皮脂なじみ試験4]
表6に示す各組成物を、試験例1-1と同様の方法で調製し、試験サンプルとした。(A)成分を含有させ、(B)エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂に対するなじみ性への影響を検討した。試験方法は試験例1-1と同様である。この結果を図4に示した。
【0113】
【表6】
【0114】
図4に示されるように、(A)成分としてIPMPを含んでいるサンプルであっても、試験例1-1と同様の傾向を示す結果が得られた。具体的には、(A)成分と(B)エタノールを22.84重量%含有するサンプル(比較例3)では、皮脂なじみが低下し、皮脂の除去が不十分となったのに対して、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例6~8では、皮脂なじみが向上することが示された。
【0115】
[試験例1-5.皮脂なじみ試験5]
表7に示す各組成物を、試験例1-1と同様の方法で調製し、試験サンプルとした。(A)成分を含有させ、(B)エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂に対するなじみ性への影響を検討した。試験方法は試験例1-1と同様である。この結果を図5に示した。
【0116】
【表7】
【0117】
図5に示されるように、(A)成分としてイブプロフェンピコノールを含んでいるサンプルであっても、試験例1-1と同様の傾向を示す結果が得られた。具体的には、(A)成分と(B)エタノールを22.84重量%含有するサンプル(比較例4)では、皮脂なじみが低下し、皮脂の除去が不十分となったのに対して、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例9~11では、皮脂なじみが向上することが示された。
【0118】
[試験例1-6.皮脂なじみ試験6]
表8に示す各組成物を、試験例1-1と同様の方法で調製し、試験サンプルとした。(A)成分を含有させ、(B)エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂に対するなじみ性への影響を検討した。試験方法は試験例1-1と同様である。この結果を図6に示した。
【0119】
【表8】
【0120】
図6に示されるように、(A)成分としてアラントインを含んでいるサンプルであっても、試験例1-1と同様の傾向を示す結果が得られた。具体的には、(A)成分と(B)エタノールを22.84重量%含有するサンプル(比較例5)では、皮脂なじみが低下し、皮脂の除去が不十分となったのに対して、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例12~14では、皮脂なじみが向上することが示された。
【0121】
[試験例1-7.皮脂なじみ試験7]
表9に示す各組成物を、試験例1-1と同様の方法で調製し、試験サンプルとした。(A)成分を含有させ、(B)エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂に対するなじみ性への影響を検討した。試験方法は試験例1-1と同様である。この結果を図7に示した。
【0122】
【表9】
【0123】
図7に示されるように、(A)成分としてグリチルレチン酸を含んでいるサンプルであっても、試験例1-1と同様の傾向を示す結果が得られた。具体的には、(A)成分と(B)エタノールを22.84重量%含有するサンプル(比較例6)では、皮脂なじみが低下し、皮脂の除去が不十分となったのに対して、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例15~17では、皮脂なじみが向上することが示された。
【0124】
[試験例1-8.皮脂なじみ試験8]
表10に示す各組成物を、試験例1-1と同様の方法で調製し、試験サンプルとした。(A)成分を含有させ、(B)エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂に対するなじみ性への影響を検討した。試験方法は試験例1-1と同様である。この結果を図8に示した。
【0125】
【表10】
【0126】
図8に示されるように、(A)成分としてイオウを含んでいるサンプルであっても、試験例1-1と同様の傾向を示す結果が得られた。具体的には、(A)成分と(B)エタノールを22.84重量%含有するサンプル(比較例7)では、皮脂なじみが低下し、皮脂の除去が不十分となったのに対して、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例18~20では、皮脂なじみが向上することが示された。
【0127】
[試験例1-9.皮脂なじみ試験9]
表11に示す各組成物を、試験例1-1と同様の方法で調製し、試験サンプルとした。(A)成分を含有させ、(B)エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂に対するなじみ性への影響を検討した。試験方法は試験例1-1と同様である。この結果を図9に示した。
【0128】
【表11】
【0129】
図9に示されるように、(A)成分としてレゾルシンを含んでいるサンプルであっても、試験例1-1と同様の傾向を示す結果が得られた。具体的には、(A)成分と(B)エタノールを22.84重量%含有するサンプル(比較例8)では、皮脂なじみが低下し、皮脂の除去が不十分となったのに対して、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例21~23では、皮脂なじみが向上することが示された。
【0130】
[試験例1-10.皮脂なじみ試験10]
表12に示す各組成物を、試験例1-1と同様の方法で調製し、試験サンプルとした。(A)成分を含有させ、(B)エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂に対するなじみ性への影響を検討した。試験方法は試験例1-1と同様である。この結果を図10に示した。ただし、定量誤差により落ちた人工皮脂量の値が負となったものは、その値を0とみなした。
【0131】
【表12】
【0132】
図10に示されるように、(A)成分としてトコフェロール酢酸エステルを含んでいるサンプルであっても、試験例1-1と同様の傾向を示す結果が得られた。具体的には、(A)成分と(B)エタノールを22.84重量%含有するサンプル(比較例9)では、皮脂なじみが低下し、皮脂の除去が不十分となったのに対して、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例24、25では、皮脂なじみが向上することが示された。
【0133】
[試験例1-11.皮脂なじみ試験11]
表13に示す各組成物を、試験例1-1と同様の方法で調製し、試験サンプルとした。(A)成分を含有させ、(B)エタノールを22.84重量%未満とした組成物における、皮脂に対するなじみ性への影響を検討した。試験方法は試験例1-1と同様である。この結果を図11に示した。
【0134】
【表13】
【0135】
図11に示されるように、界面活性剤としてPOE(9)ラウリルエーテルを含んでいるサンプルであっても、試験例1-1と同様の傾向を示す結果が得られた。具体的には、(A)成分と(B)エタノールを22.84重量%含有するサンプル(比較例10~12)では、皮脂なじみが低下し、皮脂の除去が不十分となったのに対して、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例26~31では、皮脂なじみが向上することが示された。
【0136】
[試験例2.阻止円試験]
にきびの原因菌に対する増殖抑制効果を評価するために、以下の拡散法(穿孔平板法)による試験を行った。にきびの原因菌のうち、3種のマラセチア属真菌を用いて以下の試験を行った。比較例13~15、実施例32として表14に記載の組成物を用いた。比較例13は、エタノールの含有量が22.84%であり背中にきび用である、商品名:セナキュア(小林製薬株式会社製)であり、表14に記載の有効成分及び精製水の他、添加物として、BG(ブチレングリコール)、濃グリセリン、パラベン、EDTA-Na及びpH調整剤を含有している。比較例14は、表14に記載の有効成分の他、添加物として、BG、パラベン及びキサンタンガムを含有している。比較例15は、表14に記載の有効成分及び精製水の他、添加物は特に含有していない。実施例32は、表14に記載の有効成分及び精製水の他、添加物として、EDTA-Na、pH調整剤、キサンタンガム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート20、L-アルギニン、クロロブタノール、ニコチン酸アミド及び香料を含有している。
【0137】
【表14】
【0138】
1種類のマラセチア属真菌(M.furfur(ATCC:46266))を用意し、その菌液を約10CFU/mL接種したPM培地(ATCC medium:1072 Pityrosporum medium)を作製した。別途、他の2種類のマラセチア属真菌(M.restricta(ATCC:MYA-4611)、M.globosa(ATCC:MYA-4612))を用意し、各菌液を同様に約10CFU/mL接種したMLNA培地(ATCC Medium:2737 Leeming & Notman agar Modified MLNA media)を作製した。滅菌済みの穿孔カッター(TOYOBO製、バイオプシーパンチ8mm、ステンレス製)で各培地に直径8mmの穴を開けた。穴内一杯(約0.1g)に各組成物(比較例13~15、実施例32)を注入した。その後、M.furfurを接種したPM培地は6日間33℃好気条件下で培養し、M.restricta又はM.globosaを接種したMLNA培地は10日間33℃好気条件下で培養した。培養期間終了後、それぞれの阻止円の直径(大きさ、mm)を測定し、マラセチア真菌種毎に平均値(n=3)を算出した。この結果を以下の図12に示す。
【0139】
図12に示されるように、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例32では、予想外なことに、M.furfur、M.restrictaだけでなく、M.globosaを含めた3菌種全てに対して、顕著な抗菌効果を示した。有効成分が一部共通するが、エタノールの含有量が22.84重量%以上である比較例13や比較例14では、M.furfur、M.restrictaに対する抗菌効果は低く、且つM.globosaに対する抗菌効果は認められなかった(阻止円の大きさが8mm)。M.globosaは、背中におけるにきびの一種であるマラセチア毛包炎の原因菌と推測されている菌種であるため、実施例32は背中のにきびの予防及び/又は治療に顕著な効果を奏することが期待される。なお、エタノールの含有量が100重量%である比較例15では、3菌種全てに対して抗菌効果は認められなかった。
【0140】
[試験例3-1.官能試験1]
試験例1-1と同様の方法で、表15に示す組成物を調製し、試験サンプルとした。各試験サンプルについて官能を評価した。
【0141】
【表15】
【0142】
具体的には、試験前に被験者(健常者3名)の背中と腕を拭き、5分乾燥させた。スプレー容器に収容した各試験サンプルを背中と腕にそれぞれ2回噴霧(約0.3g)してから服を着させた。噴霧から5分後に「刺激感(ぴりぴり感)」、「ほてり」、「つっぱり」、「かゆみ」、「違和感」の評価項目について、以下の評価基準に従って評価し、スコアの平均値を算出した。「刺激感(ぴりぴり感)」についての結果を図13、「ほてり」についての結果を図14、「つっぱり」についての結果を図15、「かゆみ」についての結果を図16、「違和感」についての結果を図17に、それぞれ示す。
【0143】
評価基準
<5>とても感じる
<4>やや感じる
<3>どちらともいえない
<2>あまり感じない
<1>全く感じない
【0144】
図13図17に示されるように、エタノールの含有量が22.84重量%以上である比較例16では、背中に適用した場合、噴霧5分後において、刺激感(図13)、ほてり(図14)、つっぱり(図15)、かゆみ(図16)及び違和感(図17)を感じるとの結果が得られた。比較例16を腕に適用した場合、刺激感、ほてり、つっぱり、かゆみ及び違和感が共に感じられなかったとの評価から、上記使用感は、背中特有の課題であることが見出された。
【0145】
限定はされないが、着衣中の背中は、腕とは異なり袖のような開放口が無いため、上記の課題が生じたものと推測される。特に刺激感やかゆみは、背中におけるにきびの掻痒感に繋がる可能性があるため好ましくない。また、ほてりが体温や湿気の上昇により生じている場合、背中におけるにきびの原因菌の増殖を促進させてしまうおそれがあるため好ましくない。
【0146】
一方で、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例33及び実施例34では、噴霧5分後において、刺激感(図13)、ほてり(図14)、つっぱり(図15)、かゆみ(図16)及び違和感(図17)は特に感じられなかったとの結果が得られた。また、エタノールを含有しない参考例4においても、実施例33及び実施例34と同様の結果であった。参考例4において(A)成分を含有させた場合であっても、同様の結果となることが推測される。
【0147】
[試験例3-2.官能試験2]
試験例1-1と同様の方法で、表16に示す組成物を調製し、試験サンプルとした。各試験サンプルについて官能を評価した。試験方法は試験例3-1と同様である。「刺激感(ぴりぴり感)」についての結果を図18、「ほてり」についての結果を図19、「つっぱり」についての結果を図20、「かゆみ」についての結果を図21、「違和感」についての結果を図22に、それぞれ示す。
【0148】
【表16】
【0149】
図18図22に示されるように、エタノールの含有量が22.84重量%以上である比較例17では、背中に適用した場合、噴霧5分後において、刺激感(図18)、ほてり(図19)、つっぱり(図20)、かゆみ(図21)及び違和感(図22)を感じるとの結果が得られた。比較例17を腕に適用した場合、刺激感、ほてり、つっぱり、かゆみ及び違和感が共に感じられなかったとの評価から、上記使用感は、背中特有の課題であることが見出された。
【0150】
一方で、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例35及び実施例36では、噴霧5分後において、刺激感(図18)、ほてり(図19)、つっぱり(図20)、かゆみ(図21)及び違和感(図22)は特に感じられなかったとの結果が得られた。
【0151】
[試験例3-3.官能試験3]
試験例1-1と同様の方法で、表17に示す組成物を調製し、試験サンプルとした。各試験サンプルについて官能を評価した。試験方法は試験例3-1と同様である。「刺激感(ぴりぴり感)」についての結果を図23、「ほてり」についての結果を図24、「つっぱり」についての結果を図25、「かゆみ」についての結果を図26、「違和感」についての結果を図27に、それぞれ示す。
【0152】
【表17】
【0153】
図23図27に示されるように、エタノールの含有量が22.84重量%以上である比較例18では、背中に適用した場合、噴霧5分後において、刺激感(図23)、ほてり(図24)、つっぱり(図25)、かゆみ(図26)及び違和感(図27)を感じるとの結果が得られた。比較例18を腕に適用した場合、刺激感、ほてり、つっぱり、かゆみ及び違和感が共に感じられなかったとの評価から、上記使用感は、背中特有の課題であることが見出された。
【0154】
一方で、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例37及び実施例38では、噴霧5分後において、刺激感(図23)、ほてり(図24)、つっぱり(図25)、かゆみ(図26)及び違和感(図27)は特に感じられなかったとの結果が得られた。
【0155】
[試験例3-4.官能試験4]
試験例1-1と同様の方法で、表18に示す組成物を調製し、試験サンプルとした。各試験サンプルについて官能を評価した。試験方法は試験例3-1と同様である。「刺激感(ぴりぴり感)」についての結果を図28、「ほてり」についての結果を図29、「つっぱり」についての結果を図30、「かゆみ」についての結果を図31、「違和感」についての結果を図32に、それぞれ示す。
【0156】
【表18】
【0157】
図28図32に示されるように、エタノールの含有量が22.84重量%以上である比較例19では、背中に適用した場合、噴霧5分後において、刺激感(図28)、ほてり(図29)、つっぱり(図30)、かゆみ(図31)及び違和感(図32)を感じるとの結果が得られた。比較例19を腕に適用した場合、刺激感、ほてり、つっぱり、かゆみ及び違和感が共に感じられなかったとの評価から、上記使用感は、背中特有の課題であることが見出された。
【0158】
一方で、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例39及び実施例40では、噴霧5分後において、刺激感(図28)、ほてり(図29)、つっぱり(図30)、かゆみ(図31)及び違和感(図32)は特に感じられなかったとの結果が得られた。
【0159】
[試験例3-5.官能試験5]
試験例1-1と同様の方法で、表19に示す組成物を調製し、試験サンプルとした。各試験サンプルについて官能を評価した。試験方法は試験例3-1と同様である。「刺激感(ぴりぴり感)」についての結果を図33、「ほてり」についての結果を図34、「つっぱり」についての結果を図35、「かゆみ」についての結果を図36、「違和感」についての結果を図37に、それぞれ示す。
【0160】
【表19】
【0161】
図33図37に示されるように、エタノールの含有量が22.84重量%以上である比較例20では、背中に適用した場合、噴霧5分後において、刺激感(図33)、ほてり(図34)、つっぱり(図35)、かゆみ(図36)及び違和感(図37)を感じるとの結果が得られた。比較例20を腕に適用した場合、刺激感、ほてり、つっぱり、かゆみ及び違和感が共に感じられなかったとの評価から、上記使用感は、背中特有の課題であることが見出された。
【0162】
一方で、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例41及び実施例42では、噴霧5分後において、刺激感(図33)、ほてり(図34)、つっぱり(図35)、かゆみ(図36)及び違和感(図37)は特に感じられなかったとの結果が得られた。
【0163】
[試験例3-6.官能試験6]
試験例1-1と同様の方法で、表20に示す組成物を調製し、試験サンプルとした。各試験サンプルについて官能を評価した。試験方法は試験例3-1と同様である。「刺激感(ぴりぴり感)」についての結果を図38、「ほてり」についての結果を図39、「つっぱり」についての結果を図40、「かゆみ」についての結果を図41、「違和感」についての結果を図42に、それぞれ示す。
【0164】
【表20】
【0165】
図38図42に示されるように、エタノールの含有量が22.84重量%以上である比較例21では、背中に適用した場合、噴霧5分後において、刺激感(図38)、ほてり(図39)、つっぱり(図40)、かゆみ(図41)及び違和感(図42)を感じるとの結果が得られた。比較例21を腕に適用した場合、刺激感、ほてり、つっぱり、かゆみ及び違和感が共に感じられなかったとの評価から、上記使用感は、背中特有の課題であることが見出された。
【0166】
一方で、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例43及び実施例44では、噴霧5分後において、刺激感(図38)、ほてり(図39)、つっぱり(図40)、かゆみ(図41)及び違和感(図42)は特に感じられなかったとの結果が得られた。
【0167】
[試験例3-7.官能試験7]
試験例1-1と同様の方法で、表21に示す組成物を調製し、試験サンプルとした。各試験サンプルについて官能を評価した。試験方法は試験例3-1と同様である。「刺激感(ぴりぴり感)」についての結果を図43、「ほてり」についての結果を図44、「つっぱり」についての結果を図45、「かゆみ」についての結果を図46、「違和感」についての結果を図47に、それぞれ示す。
【0168】
【表21】
【0169】
図43図47に示されるように、エタノールの含有量が22.84重量%以上である比較例22では、背中に適用した場合、噴霧5分後において、刺激感(図43)、ほてり(図44)、つっぱり(図45)、かゆみ(図46)及び違和感(図47)を感じるとの結果が得られた。比較例22を腕に適用した場合、刺激感、ほてり、つっぱり、かゆみ及び違和感が共に感じられなかったとの評価から、上記使用感は、背中特有の課題であることが見出された。
【0170】
一方で、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例45及び実施例46のように、界面活性剤としてPOE(9)ラウリルエーテルを少量含んでいるサンプルであっても、噴霧5分後において、刺激感(図43)、ほてり(図44)、つっぱり(図45)、かゆみ(図46)及び違和感(図47)は特に感じられなかったとの結果が得られた。
【0171】
[試験例3-8.官能試験8]
試験例1-1と同様の方法で、表22に示す組成物を調製し、試験サンプルとした。各試験サンプルについて官能を評価した。試験方法は試験例3-1と同様である。「刺激感(ぴりぴり感)」についての結果を図48、「ほてり」についての結果を図49、「つっぱり」についての結果を図50、「かゆみ」についての結果を図51、「違和感」についての結果を図52に、それぞれ示す。
【0172】
【表22】
【0173】
図48図52に示されるように、エタノールの含有量が22.84重量%以上である比較例23では、背中に適用した場合、噴霧5分後において、刺激感(図48)、ほてり(図49)、つっぱり(図50)、かゆみ(図51)及び違和感(図52)を感じるとの結果が得られた。比較例23を腕に適用した場合、刺激感、ほてり、つっぱり、かゆみ及び違和感が共に感じられなかったとの評価から、上記使用感は、背中特有の課題であることが見出された。
【0174】
一方で、(A)成分と(B)22.84重量%未満のエタノールとを含有する実施例47及び実施例48のように、界面活性剤を含まないサンプルであっても、噴霧5分後において、刺激感(図48)、ほてり(図49)、つっぱり(図50)、かゆみ(図51)及び違和感(図52)は特に感じられなかったとの結果が得られた。
【0175】
このように実施例33~48は、「刺激感(ぴりぴり感)」、「ほてり」、「つっぱり」、「かゆみ」、「違和感」を背中以外の部位よりも強く抑えることでにきび周辺の皮膚環境を整えることができる。従って、本発明は背中以外の部位に生じたにきびと比べ、背中に生じたにきびに対して、より好適に用いることが可能である。
【0176】
[製剤処方例]
以下、本発明の製剤処方例を示す。表23~表25に記載の処方で、液剤、クリーム剤又は軟膏剤を常法により調製した。これらの製剤は、背中におけるにきびに有効に用いられる。液剤はスプレー型容器に収容して用いることも可能である。
【0177】
【表23】
【0178】
【表24】
【0179】
【表25】
図1
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