(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】AMPSポリマー及び多糖を含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/03 20060101AFI20240604BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240604BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240604BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240604BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240604BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20240604BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240604BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20240604BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20240604BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240604BHJP
A61K 8/96 20060101ALI20240604BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240604BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A61K8/03
A61K8/81
A61K8/73
A61Q19/00
A61K8/37
A61K8/33
A61K8/34
A61K8/9789
A61K8/67
A61K8/891
A61K8/96
A61K8/31
A61K8/92
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019155878
(22)【出願日】2019-08-28
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼他 幸穂
(72)【発明者】
【氏名】島谷 満
(72)【発明者】
【氏名】許 宮綺
(72)【発明者】
【氏名】橋本 睦恵
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10045917(US,B1)
【文献】特表2016-520633(JP,A)
【文献】特表2018-538305(JP,A)
【文献】Essence-in-Lotion ,ID 3266627,Mintel GNPD[online],2015年6月,[検索日2023.06.26],URL,https://www.portal.mintel.com
【文献】Double Care Visible Rejuvenating Treatment,ID 5410981,Mintel GNPD[online],2018年1月,[検索日2023.10.23],URL,https://www.portal.mintel.com
【文献】Bi-Phase Detangling Milk,ID 1506898,Mintel GNPD[online],2011年2月,[検索日2023.10.23],URL,https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
CAPLUS/MEDLINE/KOSMET/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚的に区別できる2つの相を有する二相組成物であって、一方の相が油相であり、他方の相が水性相であり、
前記油相が(a)少なくとも1種の油を含み、
前記水性相が
(b)少なくとも1種の架橋又は非架橋アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)ホモポリマー、
(c)
キサンタンガム、及び
(d)水
を含み、
組成物中の(a)油の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~40質量%であり、
組成物中の(b)AMPSホモポリマーの量が、組成物の水性相の総質量に対して、0.01質量%~5質量%であり、
組成物中の(c)キサンタンガムの量が、組成物の水性相の総質量に対して、0.001質量%から5質量%であり、
組成物中の(d)水の量が、組成物の総質量に対して、60質量%~95質量%であり、
界面活性剤を含まず、
混合により視覚的に単相組成物に変換可能である、二相組成物。
【請求項2】
前記単相組成物が、3日以内に二相組成物に変換されるおそれがない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)油が、極性油、無極性油、及びこれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物中の(a)油の量が、組成物の総質量に対して、
0.1質量%~
35質量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
組成物中の(b)AMPSホモポリマーの量が、組成物の水性相の総質量に対して、
0.1質量%~
1質量%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物中の(c)
キサンタンガムの量が、組成物の水性相の総質量に対して、
0.01質量%から
1質量%である、請求項1から
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
組成物中の(d)水の量が、組成物の総質量に対して、
65質量%~
90質量%である、請求項1から
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(e)少なくともAMPSモノマーを含む少なくとも1種の架橋又は非架橋コポリマーを更に含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(f)植物由来の少なくとも1種の多糖を更に含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(g)少なくとも1種の化粧有効成分を更に含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
化粧用組成物である、請求項1から
10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
皮膚化粧用組成物である、請求項1から
11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
スキンケア化粧用組成物である、請求項1から
12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ケラチン物質の美容方法であって、請求項1から
13のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に適用する工程を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚的に区別できる2つの相を有する二相(two-phase又はbi-phase)組成物であって、単相組成物に変換することができるが、この単相組成物は長期間にわたって再度二相組成物に変換されるおそれがない、二相組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
視覚的に区別できる2つの相を有する二相化粧料は、その人目を引く外観のために人気があり、水溶性及び油溶性化粧有効成分の両方を取り入れることができるので有用である。
【0003】
しかしながら、二相化粧料は、魅力的な外観にもかかわらず、使用前に毎回振盪する必要があり、これは実際の利用において厄介でありうる。
【0004】
したがって、混合しなければ安定である、視覚的に区別できる2つの相を有することができ、混合したときに単相組成物に変換することができ、長期間にわたって混合せずに単相の外見を維持でき、そのため、次の使用前に混合を必要としない、二相組成物が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第4,464,362号
【文献】欧州特許第0 043 128号
【非特許文献】
【0006】
【文献】Walter Noll著「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)Academic Press
【文献】Cosmetics and Toiletries、91号、1976年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、視覚的に区別できる2つの相を有し、混合したときに単相組成物に変換することができ、長期間にわたって混合せずに単相を維持できる、組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、
(a)少なくとも1種の油を含む油相と、
(b)少なくとも1種の架橋又は非架橋アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)ホモポリマー、
(c)微生物由来の少なくとも1種の多糖、及び
(d)水
を含む水性相と
を含む二相組成物によって達成することができる。
【0009】
本発明による組成物は、単相組成物、好ましくは単相O/W型組成物に変換することができる。単相組成物は、3日以内、好ましくは7日以内、より好ましくは14日以内に二相組成物に変換されるおそれがないことが好ましい。
【0010】
(a)油は、極性油、無極性油、及びこれらの混合物、好ましくはエステル油、エーテル油、植物性油、脂肪族アルコール、炭化水素、シリコーン、及びこれらの混合物から選択されてよい。
【0011】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~40質量%、好ましくは0.1質量%~35質量%、より好ましくは1質量%~30質量%でありうる。
【0012】
本発明による組成物中の(b)AMPSホモポリマーの量は、組成物の水性相の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.1質量%~1質量%、より好ましくは0.3質量%~0.7質量%でありうる。
【0013】
(c)微生物由来の多糖は、スクレロチウムガム、キサンタンガム、及びこれらの混合物からなる群から選択されてよい。
【0014】
本発明による組成物中の(c)微生物由来の多糖の量は、組成物の水性相の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~1質量%、より好ましくは0.05質量%~0.5質量%でありうる。
【0015】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、60質量%~95質量%、好ましくは65質量%~90質量%、より好ましくは70質量%~85質量%でありうる。
【0016】
本発明による組成物は、(e)少なくともAMPSモノマーを含む少なくとも1種の架橋又は非架橋コポリマーを更に含んでもよい。
【0017】
本発明による組成物は更に、(f)植物由来の少なくとも1種の多糖を含んでよい。
【0018】
本発明による組成物は、(g)少なくとも1種の化粧有効成分、好ましくは水不溶性及び油不溶性化粧有効成分、より好ましくは微生物由来の水不溶性及び油不溶性化粧有効成分を更に含んでもよい。
【0019】
本発明による組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を、組成物の総質量に対して、1質量%以下、0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下の量で含んでもよい。
【0020】
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくは皮膚化粧用組成物、より好ましくはスキンケア化粧用組成物であることができる。
【0021】
本発明はまた、ケラチン物質、好ましくは皮膚のための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に適用する工程を含む、美容方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
鋭意検討の結果、本発明者らは、視覚的に区別できる2つの相を有し、混合したときに単相組成物に変換することができ、長期間にわたって混合せずに単相を維持できる、組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0023】
したがって、本発明の態様の1つは、
(a)少なくとも1種の油を含む油相と、
(b)少なくとも1種の架橋又は非架橋アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)ホモポリマー、
(c)微生物由来の少なくとも1種の多糖、及び
(d)水
を含む水性相と
を含む二相組成物に関する。
【0024】
本発明による組成物は、混合しなければ安定である、視覚的に区別できる2つの相を有することができる。しかしながら、本発明による組成物は、混合したときに単相組成物に変換することができ、長期間にわたって混合せずに単相の外見を維持できる。したがって、本発明による組成物を、毎回、使用前に混合させる必要がない。
【0025】
本発明による組成物中の2つの相は、少なくとも1種の油を含む油相及び水を含む水性相である。本発明による組成物を混合したとき、油相が水性相中に分散して、視覚的に均一である又は単相を形成するO/W型組成物を形成することができる。(b)AMPSホモポリマーは水性相を濃縮してゲルにすることができるため、O/W型組成物はO/W型ゲル組成物、特にO/W型ゲルエマルションの形態であることができる。O/W型ゲルエマルションを形成するために界面活性剤又は乳化剤を使用する必要はない。
【0026】
本発明による組成物は安定であり、したがって最初に混合しないとき、油相及び水性相を維持する。したがって、本発明による組成物の二相の外見を、本発明による組成物の輸送中等に維持することができる。
【0027】
本発明による組成物の混合は、容易に実施することができる。例えば、本発明による組成物の混合は、手で振盪することによって実施できる。本発明による組成物を混合した後、組成物は、単相を形成することができ、長期間にわたって再度混合せずに該単相を維持できる。したがって、最初の混合の後、使用前に本発明による組成物を再度混合する必要をなくすことができる。当然ながら、必要に応じて追加の振盪を実施することもあるが、激しい振盪は必要ない。したがって、本発明による組成物は、利用が容易であり、消費者が手軽に使えるものである。
【0028】
本発明による組成物の水性相は安定であり、したがって1週間超のような長期間の後、ゲル及び水への相分離が生じない。
【0029】
本発明による組成物が、少なくとも1種の化粧有効成分を更に含む場合、化粧有効成分は組成物中に分散することができる。化粧有効成分が水不溶性である場合でも、化粧有効成分が親水性である限り、本発明による組成物の水性相中に分散することができる。本発明による組成物は、化粧有効成分の集合体を形成することなく、その水性相中に化粧有効成分を均一に分散することができ、1週間超のような長期間にわたって、高温下又は温度変化の下でも、均一な分散体を維持することができる。したがって、化粧有効成分は、本発明による組成物、好ましくはその水性相中に安定して分散することができる。
【0030】
以下、本発明による組成物を詳細に説明する。
【0031】
[組成物]
(油)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の油を含む。2種以上の油を使用する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0032】
(a)油は、本発明による組成物の油相を形成する。
【0033】
ここで「油」は、室温(25℃)、大気圧(760mmHg)下で液状又はペースト状(非固体)の形態である脂肪族化合物又は脂肪性物質を意味する。油として、化粧品において一般的に使用されるものを、単独で、又はそれらを組み合わせて使用することができる。これらの油は揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0034】
油は、炭化水素油、シリコーン油等の無極性油、植物性油若しくは動物性油及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油、又はこれらの混合物であることができる。
【0035】
油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油、及び脂肪族アルコールからなる群から選択することができる。
【0036】
植物性油の例として、例えば、メドウフォーム油、亜麻仁油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、菜種油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0037】
動物性油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0038】
合成油の例として、イソドデカン及びイソヘキサデカン等のアルカン油、エステル油、エーテル油、及び人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0039】
エーテル油の例として、ジカプリリルエーテルを挙げることができる。
【0040】
エステル油は、好ましくは、飽和の又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸の液状エステル、及び、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールの液状エステルであり、これらのエステルの合計炭素原子数は10以上である。
【0041】
好ましくは、一価アルコールのエステルの場合、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸の中で、少なくとも1つは分枝状である。
【0042】
一酸及び一価アルコールのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0043】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸及びC1~C22アルコールのエステル、並びにモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸及び非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールのエステルも使用することができる。
【0044】
セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールを特に挙げることができる。
【0045】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、いくつかのアルコール官能基を含み、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有さず、かつ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素含有炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であってよい。
【0046】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はショ糖)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例としてはメチル誘導体、例えばメチルグルコースが含まれる。
【0047】
脂肪酸の糖エステルは、前述の糖と直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和C6~C30、好ましくはC12~C22の脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から特に選択することができる。これらの化合物は、不飽和である場合、1から3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0048】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びポリエステル、並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0049】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、及びアラキドン酸エステル、又はそれらの混合物、例えばとりわけオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであることができる。
【0050】
より具体的には、モノエステル及びジエステル、特にスクロース、グルコース、又はメチルグルコースのモノ-又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0051】
挙げることができる例は、Amerchol社によりGlucate(登録商標)DOの名称で販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0052】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、(カプリル酸/カプリン酸)2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0053】
人工トリグリセリドの例としては、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル(INCI名:カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0054】
シリコーン油の例としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコーン)、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の直鎖状オルガノポリシロキサン、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状オルガノポリシロキサン、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0055】
好ましくは、シリコーン油は、液状ポリジアルキルシロキサン、特に液状ポリジメチルシロキサン(PDMS)及び少なくとも1つのアリール基を含む液状ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0056】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明に従って使用することができる有機変性シリコーンは、上記で定義したようなシリコーン油であり、それらの構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1個又は複数個の有機官能基を含むシリコーン油である。
【0057】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)Academic Pressにおいて、より詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0058】
これらが揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、沸点が60℃から260℃の間であるものから選択され、更に、より詳細には、以下のものから選択される:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特に、Union Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標)7207という名称で、又はRhodia社によりSilbione(登録商標)70045 V2という名称で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標)7158という名称で、Rhodia社によりSilbione(登録商標)70045 V5という名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社によりSilsoft 1217という名称で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109等の、次式の、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマーを挙げることもできる:
【0059】
【0060】
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物も挙げることができる。
(ii)2~9個のケイ素原子を含み、25℃で5×10-6m2/s以下の粘度を有する直鎖状揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社からSH 200の名称で販売されるデカメチルテトラシロキサンである。この分類に属するシリコーンは、Cosmetics and Toiletries、91号、1976年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsに公表された論文にも記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃で測定される。
【0061】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンを使用することもできる。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細には、ポリジアルキルシロキサンから選択され、その中では、トリメチルシリル末端基を含むポリジメチルシロキサンを主に挙げることができる。
【0062】
これらのポリジアルキルシロキサンの中では、非限定的に、以下の市販製品を挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例えば70 047 V 500 000油、
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油;
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば粘度60000mm2/sのDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油及びGeneral Electric社製のSFシリーズのある特定の油(SF 96、SF 18)。
【0063】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られている、ジメチルシラノール末端基を含むポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油も挙げることができる。
【0064】
アリール基を含むシリコーンの中でも、ポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0065】
フェニルシリコーン油は、以下の式のフェニルシリコーンから選択することができる:
【0066】
【0067】
(式中、
R1からR10は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル又はブチル基であり、
m、n、p及びqは、互いに独立に、0から900(両端を含む)、好ましくは0から500(両端を含む)、より好ましくは0から100(両端を含む)の間の整数であるが、
但し、和n+m+qは0以外である)。
【0068】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品が含まれる:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製のDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid油、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えばPK20製品、
- General Electric社製のSFシリーズのある特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0069】
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上記の式中、R1~R10は、メチルであり;p、q、及びn=0であり;m=1である)が好ましい。
【0070】
有機変性液状シリコーンは、とりわけ、ポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を含みうる。そのため、信越化学工業株式会社によって提案されているシリコーンKF-6017、及びUnion Carbide社製Silwet(登録商標)L722油及びL77油を挙げることができる。
【0071】
炭化水素油は、以下から選択できる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。(挙げることができる例としては、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが含まれる)、並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、液状ワセリン(petroleum jelly)、ポリデセン及び水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、並びにスクアラン。
【0072】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱油(例えば、液状パラフィン)、パラフィン、ワセリン(vaseline)又はペトロラタム(petrolatum)、ナフタレン等;水素化ポリイソブテン、イソエイコサン及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0073】
脂肪族アルコールにおける「脂肪族」という用語は、比較的大きい数の炭素原子を包含することを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールは、脂肪族アルコールの範囲内に包含される。脂肪族アルコールは、飽和であっても、不飽和であってもよい。脂肪族アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0074】
脂肪族アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4から40個の炭素原子、好ましくは6から30個の炭素原子、より好ましくは12から20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選択される)を有しうる。少なくとも1つの実施形態において、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選択されうる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもいなくてもよい。
【0075】
脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、ウンデシレニルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0076】
そのため、脂肪族アルコールは、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは、直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
【0077】
ここで、「飽和脂肪族アルコール」という用語は、長鎖の脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪族アルコールは、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30脂肪族アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪族アルコールの中で、直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20脂肪族アルコールが、好ましくは使用されうる。任意の直鎖状又は分枝状の飽和C16~C20脂肪族アルコールが、より好ましくは使用されうる。分枝状のC16~C20脂肪族アルコールが、更により好ましくは使用されうる。
【0078】
飽和脂肪族アルコールの例としては、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、ウンデシレニルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、オクチルドデカノール及びヘキシルデカノールを、飽和脂肪族アルコールとして使用することができる。
【0079】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物において使用される脂肪族アルコールは、好ましくは、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール及びそれらの混合物から選択される。
【0080】
(a)油は、極性油、無極性油、及びこれらの混合物、より好ましくはエステル油、エーテル油、植物性油、脂肪族アルコール、炭化水素、シリコーン、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0081】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上でありうる。
【0082】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下であることができ、但し、(a)油の量は、0ではない。
【0083】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~40質量%、好ましくは0.1質量%~35質量%、より好ましくは1質量%~30質量%でありうる。
【0084】
(AMPSホモポリマー)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の架橋又は非架橋アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)ホモポリマーを含む。以下、このポリマーをAMPSホモポリマーと呼ぶ。2種以上の(b)AMPSホモポリマーが使用される場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
【0085】
(b)AMPSホモポリマーは、本発明による組成物中の水性相中に存在することができる。(b)AMPSホモポリマーは、本発明による組成物の水性相を増粘化することができる親水性増粘剤として機能することができる。
【0086】
(b)AMPSホモポリマーは、好ましくは、完全に中和されていてもよいし、又は実質的に完全に中和されていてもよい、即ち少なくとも90%中和されていてもよい。
【0087】
(b)AMPSホモポリマーは、架橋されていても、架橋されていなくてもよい。
【0088】
(b)AMPSホモポリマーが架橋されている場合、架橋するために使用される架橋剤は、フリーラジカル重合によって得られるポリマーの架橋に一般的に使用されるポリオレフィン性不飽和化合物の中から選択されうる。
【0089】
挙げることができる架橋剤の例には、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコール若しくはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、糖系列のアルコールのアリルエーテル、又は他の多官能性アルコールのアリルエーテル若しくはビニルエーテル、また、リン酸誘導体及び/又はビニルホスホン酸誘導体のアリルエステル、或いはこれらの化合物の混合物が含まれる。
【0090】
本発明の1つの実施形態によると、架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)のうちから選択される。架橋度は、ポリマーに対して、一般的に0.01mol%~10mol%、より特定的には0.2mol%~2mol%の範囲である。
【0091】
本発明による(b)AMPSホモポリマーは、水溶性又は水分散性でありうる。
【0092】
「水溶性又は水分散性」という用語は、1%に等しい質量濃度で、水性相に25℃で導入されると、巨視的に均質で透明な溶液、すなわち、500nmに等しい波長で、厚さ1cmの試料を通して、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%の最大光透過値を有する溶液を得ることを可能にするポリマーを意味する。
【0093】
本発明による(b)AMPSホモポリマーは、好ましくは完全に中和されていてもよいし、又は実質的に完全に中和されていてもよい、即ち少なくとも90%中和されていてもよいAMPSの重合によって調製することができる。
【0094】
本発明による「ホモポリマー」は、好ましくは架橋及び中和されており、これらは、以下の工程:
(a)遊離形態のAMPS等のモノマーを、tert-ブタノールの溶液又は水及びtert-ブタノールの溶液中に分散又は溶解する工程と、
(b)(a)で得られたモノマーの溶液又は分散体を、ポリマーのスルホン酸官能基の中和度が90%~100%の範囲で得られることを可能にする量で、1種以上の無機又は有機塩基、好ましくはアンモニアNH3を用いて中和する工程と、
(c)架橋モノマーを(b)で得られた溶液又は分散体に添加する工程と、
(d)標準的なフリーラジカル重合を、フリーラジカル開始剤の存在下、10~150℃の範囲の温度で実施して、ポリマーをtert-ブタノールをベースとした溶液又は分散体中に沈殿させる工程と
を含む調製方法に従って調製されうる。
【0095】
(b)AMPSホモポリマーは、50,000g/mol~10,000,000g/mol、好ましくは80,000g/mol~8,000,000g/mol、更により好ましくは100,000g/mol~7,000,000g/molの範囲のモル質量を有しうる。
【0096】
挙げることができる(b)AMPSホモポリマーの例には、市販製品のSimulgel 800のポリマー(INCI名:ポリアクリロイルジメチルタウリンナトリウム)又はHostacerin AMPSのポリマー(INCI名:ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム)等のアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの架橋又は非架橋ポリマーが含まれる。
【0097】
本発明による組成物中の(b)AMPSホモポリマーの量は、組成物の水性相の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であることができる。
【0098】
本発明による組成物中の(b)AMPSホモポリマーの量は、組成物の水性相の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下であることができ、但し、(b)AMPSホモポリマーの量は0ではない。
【0099】
本発明による組成物中の(b)AMPSホモポリマーの量は、組成物の水性相の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.1質量%~1質量%、より好ましくは0.3質量%~0.7質量%でありうる。
【0100】
本発明による組成物中の(b)AMPSホモポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であることができる。
【0101】
本発明による組成物中の(b)AMPSホモポリマーの量は、組成物の総質量に対して、8質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下であることができ、但し、(b)AMPSホモポリマーの量は0ではない。
【0102】
本発明による組成物中の(b)AMPSホモポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~8質量%、好ましくは0.1質量%~3質量%、より好ましくは0.2質量%~0.8質量%でありうる。
【0103】
(微生物由来の多糖)
本発明による組成物は、(c)微生物由来の少なくとも1種の多糖を含む。言い換えれば、(c)多糖は、微生物を起源とする。単一のタイプのこのような多糖を使用してもよいし、又は2種以上の異なるタイプのこのような多糖を組み合わせて使用してもよい。
【0104】
(c)微生物由来の多糖は、本発明による組成物中の水性相中に存在することができる。(c)微生物由来の多糖は、本発明による組成物の水性相を増粘化することができる親水性増粘剤として機能することができる。
【0105】
(c)微生物由来の多糖は、細菌又はバクテリア等の微生物によって生成される多糖を意味する。
【0106】
(c)微生物由来の多糖は、植物由来の多糖ではない。(c)微生物由来の多糖は、セルロースをベースとしないことが好ましい場合がある。
【0107】
(c)微生物由来の多糖の例として、カルドラン(cardollan)、キサンタンガム、ジェランガム、デキストラン、プルラン、スクレロチウムガム、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0108】
(c)微生物由来の多糖は、スクレロチウムガム、キサンタンガム、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0109】
本発明による組成物中の(c)微生物由来の多糖の量は、組成物の水性相の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であることができる。
【0110】
本発明による組成物中の(c)微生物由来の多糖の量は、組成物の水性相の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下であることができ、但し、(c)微生物由来の多糖の量は0ではない。
【0111】
本発明による組成物中の(c)微生物由来の多糖の量は、組成物の水性相の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~1質量%、より好ましくは0.05質量%~0.5質量%の範囲でありうる。
【0112】
本発明による組成物中の(c)微生物由来の多糖の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であることができる。
【0113】
本発明による組成物中の(c)微生物由来の多糖の量は、組成物の総質量に対して、3質量%以下、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下であることができ、但し、(c)微生物由来の多糖の量は0ではない。
【0114】
本発明による組成物中の(c)微生物由来の多糖の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~3質量%、好ましくは0.01質量%~0.8質量%、より好ましくは0.05質量%~0.3質量%の範囲でありうる。
【0115】
(水)
本発明による組成物は、(d)水を含む。
【0116】
(d)水は、本発明による組成物の水性相を形成することができる。
【0117】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、60質量%以上、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上であることができる。
【0118】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下であることができる。
【0119】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、60質量%~95質量%、好ましくは65質量%~90質量%、より好ましくは70質量%~85質量%でありうる。
【0120】
(AMPSコポリマー)
本発明による組成物は、(e)少なくともアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)モノマーを含む少なくとも1種の架橋又は非架橋コポリマーを含んでもよい。以下、このポリマーをAMPSコポリマーと呼ぶ。2種以上の(e)AMPSコポリマーが使用される場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
【0121】
(e)AMPSコポリマーは、本発明による組成物中の水性相中に存在することができる。(e)AMPSコポリマーは、本発明による組成物の水性相を増粘化することができる親水性増粘剤として機能することができる。
【0122】
(e)AMPSコポリマーは、好ましくは、完全に中和されていてもよいし、又は実質的に完全に中和されていてもよい、即ち少なくとも90%中和されていてもよい。
【0123】
(e)AMPSコポリマーは、架橋されていても、架橋されていなくてもよい。
【0124】
(e)AMPSコポリマーが架橋されている場合、架橋するために使用される架橋剤は、フリーラジカル重合によって得られるポリマーの架橋に一般的に使用されるポリオレフィン性不飽和化合物の中から選択されうる。
【0125】
挙げることができる架橋剤の例には、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコール若しくはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、糖系列のアルコールのアリルエーテル、又は他の多官能性アルコールのアリルエーテル若しくはビニルエーテル、また、リン酸誘導体及び/又はビニルホスホン酸誘導体のアリルエステル、或いはこれらの化合物の混合物が含まれる。
【0126】
本発明の1つの実施形態によると、架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)のうちから選択される。架橋度は、ポリマーに対して、一般的に0.01mol%~10mol%、より特定的には0.2mol%~2mol%の範囲である。
【0127】
本発明による(e)AMPSコポリマーは、水溶性又は水分散性である。
【0128】
「水溶性又は水分散性」という用語は、1%に等しい質量濃度で、水性相に25℃で導入されると、巨視的に均質で透明な溶液、すなわち、500nmに等しい波長で、厚さ1cmの試料を通して、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%の最大光透過値を有する溶液を得ることを可能にするポリマーを意味する。
【0129】
(e)AMPSコポリマーは、AMPS及び1種以上の親水性又は疎水性エチレン性不飽和モノマーから、及びこれらが架橋されている場合は上記に定義されたもの等の1種以上の架橋剤から重合される「コポリマー」でありうる。
【0130】
前記コポリマーが、疎水性エチレン性不飽和モノマーから重合される場合、これらのモノマーは脂肪鎖を含まず、好ましくは少量で存在する。本発明の目的において、用語「脂肪鎖」は、少なくとも7個の炭素原子を含有する任意の炭化水素系鎖を意味する。
【0131】
したがって、(e)AMPSコポリマーは、AMPSから及び1種以上の親水性エチレン性不飽和モノマー又は脂肪鎖を含有しない疎水性エチレン性不飽和モノマーから得られる架橋又は非架橋コポリマーから選択することができる。
【0132】
本発明による(e)AMPSコポリマーは、水溶性エチレン性不飽和モノマー、疎水性モノマー又はこれらの混合物の重合によって調製することができる。
【0133】
水溶性コモノマーはイオン性であっても非イオン性であってもよい。
【0134】
イオン性の水溶性コモノマーのうち、挙げることができる例には、以下の化合物及びそれらの塩が含まれる:
(メタ)アクリル酸、
スチレンスルホン酸、
ビニルスルホン酸及び(メタ)アリルスルホン酸、
ビニルホスホン酸、
マレイン酸、
イタコン酸、
クロトン酸、
下記式(A):
【0135】
【0136】
[式中、
R1は、H、-CH3、-C2H5、又は-C3H7であり、
X1は、
-OR2型のアルキルエーテルから選択され、R2は直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素系基であって、1~6個の炭素原子を有し、少なくとも1つのスルホン酸基(-SO3-)及び/又は硫酸基(-SO4-)及び/又はリン酸基(-PO4H2-)により置換されている]
の水溶性ビニルモノマー。
【0137】
非イオン性の水溶性コモノマーのうち、挙げることができる例には、以下が含まれる:
(メタ)アクリルアミド、
N-ビニルアセトアミド及びN-メチル-N-ビニルアセトアミド、
N-ビニルホルムアミド及びN-メチル-N-ビニルホルムアミド、
無水マレイン酸、
ビニルアミン、
4~9個の炭素原子を含有する環状アルキル基を含むN-ビニルラクタム、例えば、n-ビニルピロリドン、N-ブチロラクタム及びN-ビニルカプロラクタム、
式CH2=CHOHのビニルアルコール、
下記式(B):
【0138】
【0139】
[式中、
R15は、H、-CH3、-C2H5、又は-C3H7であり、
X2は、
-OR16型のアルキルエーテル(ここでR16は、任意選択によりハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素又はフッ素)で置換されている、1~6個の炭素を含有する直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素系基である)、ヒドロキシル(-OH)基、エーテルの中から選択される]
の水溶性ビニルモノマー。
【0140】
例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びエチレングリコールの、ジエチレングリコールの、又はポリアルキレングリコールの(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0141】
脂肪鎖不含疎水性コモノマーのうち、挙げることができる例には、以下が含まれる:
スチレン及びその誘導体、例えば4-ブチルスチレン、α-メチルスチレン及びビニルトルエン、
式CH2=CH-OCOCH3の酢酸ビニル、
式CH2=CHORのビニルエーテル(式中、Rは、1~6個の炭素を含有する直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和炭化水素系基である)、
アクリロニトリル、
カプロラクトン、
塩化ビニル及び塩化ビニリデン、
シリコーンポリマーを重合後に生じるシリコーン誘導体、例えば、メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン及びシリコーンメタクリルアミド、
下記式(C):
【0142】
【0143】
[式中、
R23は、H、-CH3、-C2H5、又は-C3H7であり、
X3は、
-OR24型のアルキルエーテル(式中、R24は、1~6個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和炭化水素系基である]
の疎水性ビニルモノマー。
【0144】
例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。
【0145】
(e)AMPSコポリマーは、50,000g/mol~10,000,000g/mol、好ましくは80,000g/mol~8,000,000g/mol、更により好ましくは100,000g/mol~7,000,000g/molの範囲のモル質量を有しうる。
【0146】
挙げることができる本発明による(e)AMPSコポリマーの例には、以下が含まれる:
アクリルアミド/アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの架橋コポリマー、例えば市販製品のSepigel 305のコポリマー(INCI名:ポリアクリルアミド/C13~C14イソパラフィン/ラウレス-7)又はSEPPIC社によりSimulgel 600の商標名で販売されている市販製品のコポリマー(INCI名:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム/イソヘキサデカン/ポリソルベート-80)、
AMPSとビニルピロリドンとの又はビニルホルムアミドとのコポリマー、例えば、Clariantにより名称Aristoflex AVCで販売されている市販製品のコポリマー(INCI名:アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/V-Pコポリマー)であるが、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムで中和されているもの、
AMPSとアクリル酸ナトリウムとのコポリマー、例えば、SEPPIC社により名称Simulgel EGで販売されている市販製品のコポリマー(INCI名:アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー(及び)イソヘキサデカン(及び)ポリソルベート-80)等のAMPS/アクリル酸ナトリウムコポリマー、並びに
AMPSとアクリル酸ヒドロキシエチルとのコポリマー、例えば、名称Sepinov EMT 10で販売されている市販製品のコポリマー(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー)又はSEPPIC社により名称Simulgel NSで販売されている市販製品のコポリマー(INCI名称:アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー(及び)スクアラン(及び)ポリソルベート-60)等のAMPS/アクリル酸ヒドロキシエチルコポリマー。
【0147】
したがって、(e)AMPSコポリマーは、以下からなる群から選択されることが好ましいことがある:
アクリルアミド/アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)架橋コポリマー、
AMPSとビニルピロリドン又はビニルホルムアミドとのコポリマー、
AMPSとアクリル酸ナトリウムとのコポリマー(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー)、
AMPSとアクリル酸ヒドロキシエチルとのコポリマー、及び
これらの混合物。
【0148】
(e)AMPSコポリマーは、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマーであることが、より好ましいことがある。
【0149】
本発明による組成物中の(e)AMPSコポリマーの量は、組成物の水性相の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であることができる。
【0150】
本発明による組成物中の(e)AMPSコポリマーの量は、組成物の水性相の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であることができ、但し、(e)AMPSコポリマーの量は0ではない。
【0151】
本発明による組成物中の(e)AMPSコポリマーの量は、組成物の水性相の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~5質量%、より好ましくは0.3質量%~1質量%でありうる。
【0152】
本発明による組成物中の(e)AMPSコポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であることができる。
【0153】
本発明による組成物中の(e)AMPSコポリマーの量は、組成物の総質量に対して、8質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下であることができ、但し、(e)AMPSコポリマーの量は0ではない。
【0154】
本発明による組成物中の(e)AMPSコポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~8質量%、好ましくは0.1質量%~3質量%、より好ましくは0.2質量%~0.8質量%でありうる。
【0155】
(植物由来の多糖)
本発明による組成物は、(f)植物由来の少なくとも1種の多糖を含んでもよい。言い換えれば、(f)多糖は、植物を起源とする。単一のタイプのこのような多糖を使用してもよいし、又は2種以上の異なるタイプのこのような多糖を組み合わせて使用してもよい。
【0156】
(f)植物由来の多糖は、本発明による組成物中の水性相中に存在することができる。(f)植物由来の多糖は、本発明による組成物の水性相を増粘化することができる親水性増粘剤として機能することができる。
【0157】
本発明によれば、「植物由来の多糖」又は「植物起源の多糖」という用語は、微生物由来の多糖、例えば、特に細菌、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)の発酵によって生成されるキサンタンガム等とは対照的に、植物界(植物又は藻類)から得られる多糖を特に意味する。
【0158】
本発明に従って使用されうる(f)植物由来の多糖の例として、特に以下が挙げられうる:
a)藻類エキス、例えばアルギネート、カラギナン及び寒天、並びにこれらの混合物 [挙げることができるカラギナンの例には、Degussa社製のSatiagum UTC30(登録商標)及びUTC10(登録商標)が含まれ、挙げることができるアルギネートは、ISP社により名称Kelcosol(登録商標)で販売されているアルギン酸ナトリウムである]、
b)ガム、例えばグアーガム及びその非イオン性誘導体(ヒドロキシプロピルグアー)、アラビアゴム、コンニャクガム又はマンナンガム、トラガカントガム、ガッチゴム、カラヤゴム又はローカストビーンガム[挙げることができる例には、Rhodia社により名称Jaguar HP105(登録商標)で販売されているグアーガム、GfN社により販売されているマンナン及びコンニャクガム(登録商標)(1%グルコマンナン)が含まれる]、
c)加工又は未加工デンプン、例えば、穀類、例としてコムギ、トウモロコシ又はコメから得られるもの、マメ類、例としてブロンドマメ(blonde peas)から得られるもの、塊茎、例としてジャガイモ又はキャッサバから得られるもの、及びタピオカデンプン等、トウモロコシデキストリン等のデキストリン(特に挙げることができる例には、Remy社より販売されているコメデンプンRemy DR I(登録商標)、Roquette社製のコーンスターチB(登録商標)、National Starch社より名称Structure Solanace(登録商標)で販売されている、水酸化ナトリウムで中和された2-クロロエチルアミノジプロピオン酸で修飾されたジャガイモデンプン、National Starch社より名称Tapioca pure(登録商標)で販売されている天然タピオカデンプン粉が含まれる)、
d)デキストリン、例えばNational Starch社製の名称Index(登録商標)のトウモロコシから抽出されたデキストリン、
e)セルロース及びその誘導体、特にアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、及びアルキルヒドロキシアルキルセルロース(特にメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースを挙げることができる)。[挙げることができる例には、ステアリル及びヒドロキシエチルセルロースが含まれる。挙げることができるセチルヒドロキシエチルセルロースの例には、Aqualon社製のPolysurf 67CS(登録商標)及びNatrosol Plus 330(登録商標)が含まれる]、
並びにそれらの混合物。
【0159】
好ましくは、(f)植物由来の多糖は、藻類エキス、ガム及びセルロース誘導体、並びにこれらの混合物から選択することができる。より好ましくは、寒天、ローカストビーンガム、マンナンコンニャクガム、セチル又はステアリルヒドロキシエチルセルロース及びタピオカデンプンを使用することができる。
【0160】
第1の実施形態によれば、(f)植物由来の多糖は、アルギネート、カラギナン及び寒天、並びにこれらの混合物から選択される藻類エキスであることができる。好ましくは、アルギネート若しくは寒天、又はこれらの混合物が使用されるであろう。
【0161】
別の実施形態によれば、(f)植物由来の多糖は、ガム、例えば、グアーガム、アラビアゴム、マンナン及びコンニャクガム並びにローカストビーン(イナゴマメ)ガム、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0162】
別の実施形態によれば、(f)植物由来の多糖は、コムギデンプン、コーンスターチ、コメデンプン、ジャガイモデンプン及びタピオカデンプン、並びにこれらの混合物から選択される加工又は未加工デンプンであることができる。
【0163】
別の実施形態によれば、(f)植物由来の多糖は、トウモロコシデキストリン等のデキストリンであることができる。
【0164】
別の実施形態によれば、(f)植物由来の多糖は、セルロース誘導体であることができる。セルロース誘導体は、特に、疎水性鎖、特に8~30個の炭素原子を含有する疎水性基で特に修飾された(C1~C3)ヒドロキシアルキルセルロースであることができる。一実施形態によれば、使用される疎水性置換基は、C8~C30、好ましくはC10~C22アルキル、アリールアルキル又はアルキルアリール基であることができる。好ましくは、本発明による疎水性置換基は、飽和C10~C22、好ましくはC16~C20アルキル鎖、例えばセチル(C16)、ステアリル(C18)及びベヘニル(C20)基であることができる。好ましい一実施形態によれば、本発明による疎水性置換基は、セチル基であることができる。本発明による疎水性置換基を含有するこれらのセルロース誘導体は、水中に1質量%のポリマーを含有する溶液中、25℃で測定して、好ましくは100から100000mPasの間、好ましくは200から20000mPasの間の粘度を有しうるが、この粘度は、6rpmでNo.3スピンドルを備えたBrookfield LVT型の粘度計を通常通りに使用して決定される。本発明の組成物中で使用されうる疎水性置換基を含有するセルロース誘導体の中でも、好ましくは、Aqualon/Hercules社により名称Natrosol Plus Grade 330 CS及びPolysurf 67 CS(INCI名:セチルヒドロキシエチルセルロース)で販売されているセチルヒドロキシエチルセルロースを挙げることができる。
【0165】
一実施形態において、(f)植物由来の多糖は、非セルロース多糖から選択することができる。
【0166】
本発明による組成物中の(f)植物由来の多糖の量は、組成物の水性相の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であることができる。
【0167】
本発明による組成物中の(f)植物由来の多糖の量は、組成物の水性相の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下であることができ、但し、(f)植物由来の多糖の量は0ではない。
【0168】
本発明による組成物中の(f)植物由来の多糖の量は、組成物の水性相の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~1質量%、より好ましくは0.05質量%~0.5質量%の範囲でありうる。
【0169】
本発明による組成物中の(f)植物由来の多糖の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であることができる。
【0170】
本発明による組成物中の(f)植物由来の多糖の量は、組成物の総質量に対して、3質量%以下、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下であることができ、但し、(f)植物由来の多糖の量は0ではない。
【0171】
本発明による組成物中の(f)植物由来の多糖の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~3質量%、好ましくは0.01質量%~0.8質量%、より好ましくは0.05質量%~0.3質量%の範囲でありうる。
【0172】
(化粧有効成分)
本発明による組成物は、(g)少なくとも1種の化粧有効成分を含んでもよい。単一のタイプの(g)化粧有効成分を用いてもよいし、又は2種以上の異なるタイプの(g)化粧有効成分を組み合わせて用いてもよい。
【0173】
(g)化粧有効成分は、好ましくは水不溶性及び油不溶性化粧有効成分、より好ましくは微生物由来の水不溶性及び油不溶性化粧有効成分であることができる。
【0174】
本発明の実施形態において、(g)化粧有効成分は、微生物の溶解質、例えばビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の溶解質であることができる。
【0175】
溶解質は、一般的に、細胞溶解と呼ばれる現象による生体細胞の破壊又は溶解の終わりに、検討中の微生物の細胞内に天然で含まれる細胞内生物学的構成要素が放出されて得られる材料を示す。
【0176】
本発明の目的において、「溶解質」という用語は、当該微生物の溶解によって得られる全溶解質又はそのごく一部を示すために区別なく用いられる。
【0177】
したがって、(g)化粧有効成分は、ビフィドバクテリウム種の溶解質及び/又はその一部であることが好ましい。
【0178】
したがって、使用される溶解質は、細胞内生物学的構成要素から並びに細胞壁及び細胞膜の構成要素から全体的に又は部分的に形成される。
【0179】
より具体的には、乳酸脱水素酵素、ホスファターゼ、ホスホケトラーゼ及びトランスアルドラーゼ等の酵素を含有する細胞質性細胞分画、並びに代謝産物が含まれる。実例として、細胞壁構成要素は、特に、ペプチドグリカン、ムレイン又はムコペプチド及びテイコ酸であり、細胞膜構成要素は、グリセロリン脂質で構成される。
【0180】
この細胞溶解は、例えば、浸透圧衝撃、熱ショック等の様々な技術によって、超音波によって、さもなくば遠心分離タイプの機械的応力下で達成することができる。
【0181】
より具体的には、この溶解質は、米国特許第4,464,362号に記載の技術に従って、特に以下のプロトコルに従って得ることができる。
【0182】
検討されるビフィドバクテリウムタイプの微生物は、例えば米国特許第4,464,362号及び欧州特許第0 043 128号の文献に記載の条件に従って、好適な培地中で嫌気的に培養する。発育の定常期に達したら、培地を、例えば60~65℃の温度で、30分間低温殺菌することによって不活性化できる。次いで、従来の分離技術、例えば膜ろ過によって微生物を回収し、遠心分離し、生理学的濃度のNaCl滅菌溶液中に再懸濁させる。培地から細胞質断片、細胞壁断片及び代謝によって誘導される産物を放出させるように、超音波で該培地を崩壊することによって溶解質を得ることができる。次に、天然分布の全成分を弱酸性水溶液中で続けて安定化させる。
【0183】
こうして一般的に、その総質量に対して約0.1質量%~50質量%、特に1質量%~20質量%、とりわけ約5質量%の濃度の活物質を有する溶解質が得られる。
【0184】
溶解質は、様々な形態で、溶液形態で又は粉末形態で使用することができる。
【0185】
本発明に最も特定的に適した微生物は、ビフィドバクテリウム属に属し、好ましくは以下の種から選択される: ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)又はビフィドバクテリウム・シュードカテヌラータム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、及びこれらの混合物。
【0186】
ビフィドバクテリウム・ロンガム種が、本発明に最も特定的に適している。
【0187】
溶解質は、有利には、INCI名:ビフィズス菌培養溶解質(Bifida Ferment Lysate)、EINECS名:ビフィドバクテリウム・ロンガム、EINECS番号:306-168-4及びCAS番号:96507-89-0で登録されている溶解質であることができる。
【0188】
K. Richter GmbH社により名称Repair Complex CLR(登録商標)で販売されている、ビフィドバクテリウム・ロンガム種の不活性化溶解質から形成される製品が、本発明の趣旨の範囲内に含まれる。
【0189】
本発明による組成物中の(g)化粧有効成分の量は、組成物の水性相の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であることができる。
【0190】
本発明による組成物中の(g)化粧有効成分の量は、組成物の水性相の総質量に対して、30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下であることができ、但し、(g)化粧有効成分の量は0ではない。
【0191】
本発明による組成物中の(g)化粧有効成分の量は、組成物の水性相の総質量に対して、0.1質量%~30質量%、好ましくは1質量%~25質量%、より好ましくは5質量%~20質量%の範囲でありうる。
【0192】
本発明による組成物中の(g)化粧有効成分の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であることができる。
【0193】
本発明による組成物中の(g)化粧有効成分の量は、組成物の総質量に対して、25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であることができ、但し、(g)化粧有効成分の量は0ではない。
【0194】
本発明による組成物中の(g)化粧有効成分の量は、組成物の総質量に対して0.1質量%から25質量%、好ましくは1質量%から20質量%、より好ましくは5質量%から15質量%の範囲であってよい。
【0195】
(界面活性剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を含んでもよい。2種以上の界面活性剤が使用される場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0196】
しかし、界面活性剤の量は、少量であることが好ましいことがある。
【0197】
界面活性剤の量は、本発明による組成物の総質量に対して、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下でありうる。本発明による組成物は、界面活性剤を含まないことが特に好ましい。
【0198】
(他の成分)
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の任意選択の又は追加の成分も含んでもよい。
【0199】
任意選択の又は追加の成分の量は、限定されないが、本発明による組成物の総質量に対して、0.01質量%から30質量%、好ましくは0.1質量%から20質量%、より好ましくは1質量%から10質量%であることができる。
【0200】
任意選択の又は追加の成分は、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性ポリマー;有機又は無機UV遮蔽剤;ペプチド及びその誘導体;タンパク質加水分解物;膨潤剤及び浸透剤;脱毛に有効な薬剤;ふけ防止剤;疎水性増粘剤;懸濁化剤;金属イオン封鎖剤;乳白剤;染料;ビタミン又はプロビタミン;香料;保存剤、共保存剤、安定剤;並びにこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0201】
本発明による組成物は、1種又は数種の化粧品として許容される有機溶媒を含んでもよく、これは、アルコール、特に一価アルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、及びフェニルエチルアルコール;ジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、及びブチレングリコール;他のポリオール、例えばグリセロール、糖、及び糖アルコール;並びにエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル、及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル、及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル、及びモノブチルエーテルであることができる。
【0202】
このとき、有機溶媒は、組成物の総質量に対して、0.01質量%から20質量%、好ましくは0.1質量%から15質量%、より好ましくは1質量%から10質量%の濃度で存在することができる。
【0203】
本発明による組成物のpHは、制御することができる。pHは、例えば、3から11、好ましくは3.5から9、より好ましくは4から7であることができる。pHは、少なくとも1種の酸性化剤及び/又は少なくとも1種の塩基性化剤を使用して、所望の値に調整することができる。
【0204】
酸性化剤は、例えば、無機又は有機酸、例として塩酸、オルトリン酸、カルボン酸、例として酒石酸、クエン酸、乳酸、又はスルホン酸であることができる。
【0205】
塩基性化剤は、例えば、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、モノ-、ジ-、及びトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、更にはそれらの誘導体、好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム並びに下式の化合物であることができる:
【0206】
【0207】
[式中、
Rは、任意選択によりヒドロキシル又はC1~C4アルキル基で置換されるプロピレン等のアルキレンを表し、R1、R2、R3、及びR4は、独立して、水素原子、アルキル基、又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を表し、これは、1,3-プロパンジアミン及びその誘導体によって例示されうる。アルギニン、尿素、及びモノエタノールアミンが好ましい場合がある。
【0208】
酸性化剤又は塩基性化剤は、組成物の総質量に対して、5質量%未満、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下の範囲の量で存在することができる。
【0209】
(形態)
本発明による組成物は、2つの視覚的に区別できる相を有することができる。二相のうちの一方は油相であり、他方は水性相である。
【0210】
本発明による組成物は、混合したとき、単相組成物に変換しうる。混合後の本発明による組成物は、O/W型のもの、好ましくはO/W型ゲルの形態、より好ましくはO/W型ゲルエマルションであることができる。
【0211】
水性相中に分散する油相を含むO/W型構築物又は構造物は、外部水性相を有し、したがってO/W型構築物又は構造物をベースとした製品が、それが与え得る即座のフレッシュな感触のために、より快適に使用される。
【0212】
本発明による組成物は、O/W型に変換される場合、連続水性相中に分散した油相を含む。分散した油相は、水性相中の油滴として認識され得る。
【0213】
本発明によるO/W型の組成物は、微細なエマルション、より好ましくはナノ又はマイクロエマルション、更により好ましくはナノエマルションの形態であることが好ましいことがある。
【0214】
[調製]
本発明による組成物は、成分(a)~(d)、並び任意選択の又は追加の成分を混合することによって調製することができる。
【0215】
例えば、本発明による組成物は、
(i)
(b)少なくとも1種のAMPSホモポリマー、
(c)微生物由来の少なくとも1種の多糖、及び
(d)水
を混合して、水性相を形成する工程と、
(ii)
(a)少なくとも1種の油を水性相に添加して、水性相上に油相を形成する工程と
を含む方法によって調製することができる。
【0216】
混合する工程は、任意の従来の手段によって実施することができる。
【0217】
水性相への(a)油の添加は、(a)油が水性相中に分散しないように、穏やかに実施することが好ましい。
【0218】
[使用及び方法]
本発明による組成物を使用する場合、例えば、手で振盪すること(手振盪)によって混合する。本発明による組成物を混合した後、組成物は単相を形成することができる。単相は、第1の使用の後、長期間にわたって維持されうるため、本発明による組成物の使用者は、第2の使用の前に組成物を再度混合しなくてもよい可能性がある。
【0219】
本発明による組成物は、好ましくは、化粧用組成物として、より好ましくは皮膚化粧用組成物として、更により好ましくはスキンケア化粧用組成物として使用することができる。
【0220】
本発明による組成物は、フレッシュな感覚、良好な質感、及び柔らかい皮膚の仕上げ等の美容効果をもたらすことができる。
【0221】
本明細書において皮膚は、顔面の皮膚、首の皮膚及び頭皮を包含する。本発明による組成物はまた、粘膜、例えば口唇等に使用することができる。
【0222】
本発明による組成物は、そのまま(局所用製品として)使用することができ、又は好ましくはセルロース繊維製の不織布等の多孔質基材に含浸させて、美容マスク等の化粧料を調製することによって使用することができる。
【0223】
特に、本発明による組成物は、ケラチン物質、例えば皮膚又は口唇、好ましくは皮膚への適用を意図することができる。したがって、本発明による組成物は、皮膚又は口唇、好ましくは皮膚のための美容方法に使用することができる。
【0224】
本発明による組成物は、皮膚メイクアップにではなく、スキンケアに使用されることが好ましい。換言すると、本発明による組成物は、ローション及びクリーム等のスキンケア製品に使用され、ファンデーション等のスキンメイクアップ製品に使用されないことが好ましい。好ましくは、本発明による組成物は、酸化鉄を含まない、又は酸化鉄を、本発明による組成物の総質量に対して、0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、更により好ましくは0.1質量%以下の量で含む。
【0225】
本発明による皮膚等のケラチン物質のための美容方法は、少なくとも、本発明による組成物をケラチン物質に適用する工程を含みうる。
【0226】
本発明はまた、水性相と油相を混合した後でも長期間にわたって、(a)少なくとも1種の油を含む油相を分散させることができる水性相を提供するための、(d)水を含む組成物中における、
(b)少なくとも1種の架橋又は非架橋アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)ホモポリマー、及び
(c)微生物由来の少なくとも1種の多糖
の使用にも関する。
【0227】
加えて、本発明はまた、(d)水を含む水性相中に(g)少なくとも1種の化粧有効成分を安定して分散させるための、(d)水を含む組成物中における、
(b)少なくとも1種の架橋又は非架橋アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)ホモポリマー、及び
(c)微生物由来の少なくとも1種の多糖
の使用にも関する。組成物は、(a)少なくとも1種の油を含む1つ又は複数の油相を更に含みうる。
【実施例】
【0228】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明することにする。しかしながら、これら実施例が本発明の範囲を限定するものとは解釈すべきでない。以下の実施例は、本発明の技術分野の非限定的な例示として提示される。
【0229】
(実施例1~7及び比較例1~5)
表1及び表2に示す実施例1~7及び比較例1~5による以下の組成物を、以下の表1及び表2に示す成分を混合することによって調製した。水酸化ナトリウムを加えることにより、組成物のpHを4.9に調整した。表1及び表2に示す成分の量についての数値はすべて、活性原料としての「質量%」に基づく。
【0230】
【0231】
【0232】
【0233】
【0234】
NOMCORT CG: Nisshin Oillio社製の(キサンタンガム(及び)イナゴマメ(キャロブ)ガム)
[評価1]
実施例1~7及び比較例1~5による組成物を次のように評価した。
【0235】
(安定性(10サイクル))
38gの実施例1~7及び比較例1~5による各組成物を、50mlバイアルに充填し、バイアルをオーブンに10日間入れた。オーブン中、20℃の一定温度で6時間維持し、6時間-20℃に低下させ、-20℃の一定温度で維持し、6時間20℃に上げることによってバイアルの温度を制御した。上記の温度サイクルを1日行った。上記の温度サイクルを10日間の間に10回繰り返した。10日後、各組成物の外見を目視観察し、以下の基準に従って評価した。
【0236】
安定:安定性試験の前後で外見に変化がない
不安定:安定性試験の後に小さな集合体が観察された
【0237】
この小さな集合体は、ビフィズス菌培養溶解質に由来したものである。
【0238】
これらの結果を表1及び表2に示す。
【0239】
(安定性(50℃、2週))
38gの実施例1~7及び比較例1~5による各組成物を、50mlバイアルに充填し、バイアルをオーブンに14日間入れた。オーブン中、50℃の一定温度で14日間維持することによってバイアルの温度を制御した。14日後、各組成物の外見を目視観察し、以下の基準に従って評価した。
【0240】
安定:安定性試験の前後で外見に変化がない
不安定:安定性試験の後、外見にむらがある
【0241】
不安定な組成物は均質でなく、液体により一部がゼリー状になっていた。
【0242】
これらの結果を表1及び表2に示す。
【0243】
(安定性(油と共に振盪後))
実施例1~7及び比較例1~5による各組成物7.5g並びに油2.5gを、20mlバイアルに充填した。油の配合物を表3に示す。一方の相(水性相)が実施例1~7及び比較例1~5の各組成物による組成物で構成され、他方の相(油相)が油で構成される二相配合物をバイアル中で形成させた。二相配合物は、本発明による組成物に相当する。バイアルを手振盪により激しく60回振盪し、組成物及び油を混合した。72時間後、各バイアルの外見を目視観察し、以下の基準に従って評価した。
【0244】
4:単相が観察される(油が完全に乳化される)
3:単相が観察されるが、瓶を傾けるとごくわずかな量の水が観察されうる。1回又は2回、手で再振盪後、単相が形成されうる。
2:相分離(少量の水が底に存在する)が観察されるが、数回より多く、例えば5回より多く再振盪することによって単相が形成される
1:二相(乳化された不透明な上相及び半透明の水性の下相)が観察される
【0245】
【0246】
実施例1~7に関する上記の結果から、本発明による組成物が、混合すると単相を形成することができ、その単相を長期間にわたって維持することができることが理解できる。
【0247】
実施例6及び比較例5に関する結果を考慮して、微生物由来の多糖の不在が、油と混合して得られる単相組成物の安定性を低下させることが理解できる。
【0248】
比較例2~4に関する結果を考慮して、AMPSホモポリマーの不在も、油と混合して得られる単相組成物の安定性を低下させることが理解できる。
【0249】
[評価2]
水性相としての実施例3による各組成物10g及び油相としての様々な量の油を、20mlバイアルに充填した。油の配合物を表3に示す。一方の相(水性相)が実施例3による組成物で構成され、他方の相(油相)が油で構成される二相配合物をバイアル中で形成させた。二相配合物は、本発明による組成物に相当する。油相:水性相の質量比を、表4に示す。バイアルを手振盪により激しく60回振盪し、組成物及び油を混合した。72時間後、各バイアルの外見を目視観察し、以下の基準に従って評価した。観察の結果を表4に示す。
【0250】
4:単相が観察される(油が完全に乳化される)
3:ごくわずかな相分離(少量の油が上部に存在する)が観察される
【0251】
【0252】
上記の結果から、本発明による組成物が、混合されることによって単相を形成することができ、特に油の量が組成物の総質量に対して、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下である場合、この単相を長期間にわたって維持できることが理解できる。
【0253】
[評価3]
水性相としての実施例3による各組成物7.5g及び油相としての単一のタイプの油2.5gを、20mlバイアルに充填した。油のタイプを表5に示す。一方の相(水性相)が実施例3による組成物で構成され、他方の相(油相)が油で構成される二相配合物をバイアル中で形成させた。二相配合物は、本発明による組成物に相当する。バイアルを手振盪により激しく60回振盪し、組成物及び油を混合した。45℃で72時間後、各バイアルの外見を目視観察し、以下の基準に従って評価した。観察の結果を表5に示す。
【0254】
4:単相が観察される(油が完全に乳化される)
3:ごくわずかな相分離(少量の油が上部に存在する)が観察される
【0255】
【0256】
上記の結果から、本発明による組成物が、混合すると単相を形成することができ、様々なタイプの油を使用した場合でもその単相を維持することができることが理解できる。
【0257】
[評価3]
水性相としての表6に示す各組成物7.5g及び油相としての量の油2.5gを、20mlバイアルに充填した。油の配合物を表3に示す。一方の相(水性相)が表6に示す組成物で構成され、他方の相(油相)が油で構成される二相配合物をバイアル中で形成させた。二相配合物は、本発明による組成物に相当する。バイアルを手振盪により激しく60回振盪し、組成物及び油を混合した。
【0258】
ピペットを使用して、得られた混合物2滴を7名のパネリストの前腕に適用した。皮膚親和性及び乾燥後の皮膚の柔らかさを、以下のスコア基準に従って評価し、平均スコアを算出した。評価の結果を表6に示す。試料Aを比較のための基準として設定し、したがってスコアを3に設定した。
【0259】
(皮膚親和性)
5 良好な浸透感を伴う非常に優れた皮膚親和性
4 浸透感を伴う優れた皮膚親和性
3 普通(基準と同じ)
2 浸透感がより少なく、良好でない皮膚親和性
1 浸透感がより少なく、劣悪な皮膚親和性
【0260】
(乾燥後の皮膚の柔らかさ)
5 非常に柔らかい皮膚の仕上げ
4 柔らかい皮膚の仕上げ
3 普通(基準と同じ)
2 堅い皮膚の仕上げ
1 非常に堅い皮膚の仕上げ
【0261】
【0262】
上記の結果から、本発明による組成物が、皮膚等のケラチン物質のための美容効果をもたらすことができることが理解できる。例えば、本発明による組成物は、皮膚に良好な親和性を有することができ、皮膚に良好な浸透感を与えることができる。また、本発明による組成物は、皮膚に柔らかさを与えることができる。