(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】トンネル工事用照明配置構造
(51)【国際特許分類】
E21D 9/00 20060101AFI20240604BHJP
E21F 17/103 20060101ALI20240604BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240604BHJP
F21S 8/08 20060101ALI20240604BHJP
F21V 21/06 20060101ALI20240604BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20240604BHJP
F21Y 113/10 20160101ALN20240604BHJP
【FI】
E21D9/00 Z
E21F17/103
E21D9/00 C
F21S2/00 630
F21S8/08 300
F21V21/06
F21V33/00 430
F21Y113:10
(21)【出願番号】P 2019213514
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-11-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)公開場所 Vision Zero Summit 2019、フィンランド・ヘルシンキ 公開日 令和1年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 英郷
(72)【発明者】
【氏名】金岡 幹
(72)【発明者】
【氏名】三原 泰司
(72)【発明者】
【氏名】藤吉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 曉也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 有
(72)【発明者】
【氏名】奥田 悠太
(72)【発明者】
【氏名】柏 雅一
(72)【発明者】
【氏名】稲田 宏治
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-151678(JP,A)
【文献】特開2018-204263(JP,A)
【文献】特開昭62-284900(JP,A)
【文献】特開2018-127846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/00
E21F 17/103
F21S 2/00
F21S 8/08
F21V 21/06
F21V 33/00
F21Y 113/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内で切羽から坑口までの間に設けられ、切羽側と坑口側を往来するためのゲート口を開閉可能な発破用の隔壁と、
トンネル壁面から所定の間隔を隔てて配置される前記隔壁の支持枠と、
前記支持枠に接続され前記隔壁が開いている場合に、前記切羽側を照射可能に配置される照明装置と、を備え、
前記隔壁は、該隔壁を閉じた時に前記トンネル壁面から前記支持枠までの間、および前記ゲート口を覆
い、かつ前記照明装置の前記切羽側を覆う、
トンネル工事用照明配置構造。
【請求項2】
前記支持枠は、トンネル内を移動可能である、
請求項1に記載のトンネル工事用照明配置構造。
【請求項3】
前記照明装置は、指向性を有する、
請求項1又は請求項2に記載のトンネル工事用照明配置構造。
【請求項4】
前記照明装置は、前記切羽を照らす切羽用照明装置と、前記切羽から前記隔壁までの空間全体を照らす全体用照明装置と、前記隔壁の足元を照らす足元用照明装置と、を備える、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のトンネル工事用照明配置構造。
【請求項5】
さらにスピーカを備える、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のトンネル工事用照明配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトンネル工事の際にトンネル内部で使用する照明の配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル工事の現場ではトンネル内部を照らすための照明が用いられている。例えば、特許文献1には、照明制御装置と、光源と、内部電力源と、を備え、光源が点灯している状態で外部電力源からの電力供給が切断された際に、内部電力源からの電力により光源を点灯させる非常点灯状態とする制御を行う照明装置を用いた照明システムのための制御装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トンネル工事の現場では、切羽は爆薬を用いて発破される。このため、トンネル内部の切羽側は、発破による爆風又は飛石のために、照明を設置できないか、設置しても発破用の防護壁を付ける必要がある。従って、トンネル内部の切羽側に照明を設置することは容易ではなく、トンネル内部の切羽側の照明の数を増やせない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、切羽側の照明装置を設置することなく、切羽側を明るくすることができるトンネル工事用照明配置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のトンネル工事用照明配置構造は、トンネル内で切羽から坑口までの間に設けられ、発破用の開閉可能な隔壁と、トンネル壁面から所定の間隔を隔てて配置される前記隔壁の支持枠と、前記支持枠に接続され、前記隔壁が開いている場合に、前記切羽側を照射可能に配置される照明装置と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この構成では、トンネル内で切羽から坑口までの間に設けられた隔壁の支持枠に照明装置が配置されている。隔壁は、発破時に閉じられるため、照明装置は、隔壁が閉じた時には切羽側を照らすことができない。しかし、隔壁を閉じた場合には切羽側で作業を行う必要がないため、照明装置は切羽側を照らす必要はない。本発明に係るトンネル工事用照明配置構造は、隔壁が開いている場合に、隔壁から切羽側を照射できる。従って、本発明に係るトンネル工事用照明配置構造は、切羽側に新たに照明を設置することなく、切羽側を明るくすることができる。
【0008】
また、前記支持枠は、トンネル内を移動可能であってもよい。
【0009】
この構成では、支持枠がトンネル内を移動することにより、支持枠に接続された照明装置も同時に移動する。これにより、本発明に係るトンネル工事用照明配置構造は、トンネルを掘り進めた場合でも新たに切羽側に照明を設置することなく、切羽側を照射できる。
【0010】
また、前記照明装置は、指向性を有してもよい。
【0011】
この構成では、照明装置は指向性を有する。これにより、照明装置は、隔壁から切羽に向けて光を確実に照射できる。従って、切羽付近で作業する作業者の視界を良好にし、切羽付近での作業の安全性が高まる。
【0012】
また、前記照明装置は、前記切羽を照らす切羽用照明装置と、前記切羽から前記隔壁までの空間全体を照らす全体用照明装置と、前記隔壁の足元を照らす足元用照明装置と、を備えてもよい。
【0013】
この構成では、切羽用照明装置が切羽を照らし、全体用照明装置が切羽から隔壁までの空間全体を照らし、足元用照明装置が隔壁の足元を照らす。切羽用照明装置が切羽を確実に照らすためには強い指向性が必要となる。この場合、切羽用照明装置は隔壁から切羽を真っ直ぐに照らすが、切羽以外の他の部分が暗くなる。ここで、全体用照明装置及び足元用照明装置が配置されていることにより、照明装置は、切羽だけでなく、切羽から隔壁までの空間全体、及び隔壁の足元を照らすことができる。すなわち、切羽用照明装置、全体用照明装置、及び足元用照明装置は、それぞれ照射対象とする場所に応じた最適な指向性に設定されている。これにより、切羽から隔壁までの空間は、全体的に明るくなる。従って、本発明に係るトンネル工事用照明配置構造は、切羽から隔壁までの空間で作業する作業者の視界を良好にし、安全性を高めることができる。
【0014】
また、この発明のトンネル工事用照明配置構造は、さらにスピーカを備えてもよい。
【0015】
この構成では、トンネル工事用照明配置構造は、さらにスピーカを備える。スピーカは、音による情報を作業者に伝達することができる。これにより、本発明に係るトンネル工事用照明配置構造は、隔壁周辺で作業する作業者に危険等の必要な情報をトンネル内部が暗い場合であっても伝達することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、切羽側の照明装置を設置することなく、切羽側を明るくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るトンネル工事用照明配置構造101をトンネル内部に設置した状態を模式的に示した断面図である。
【
図2】
図2は、隔壁11を開けた状態のトンネル工事用照明配置構造101を坑口側から視た背面図である。
【
図3】
図3は、隔壁11を開けた状態のトンネル工事用照明配置構造101を切羽側から視た正面図である。
【
図4】
図4は、隔壁11を閉じた状態のトンネル工事用照明配置構造101を切羽側から視た正面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の変形例に係るトンネル工事用照明配置構造102を切羽側から視た正面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の変形例に係るトンネル工事用照明配置構造103を切羽側から視た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、第1実施形態に係るトンネル工事用照明配置構造101をトンネル10の内部に設置した状態を模式的に示した断面図である。
図2は、トンネル工事用照明配置構造101を坑口4側から視た背面図である。
図3及び
図4は、トンネル工事用照明配置構造101を切羽3側から視た正面図である。なお、
図1は、排気ダクト25、給気ダクト26、及びスピーカ27を省略して示す。また、
図1、
図2、及び
図3は、隔壁11が開いた状態を示し、
図4は、隔壁11が閉じた状態を示す。
図2及び
図3は、隔壁11をハッチングで示す。また、
図4は、隔壁11をハッチングで示し、隔壁11と重なる部材を破線で示す。
【0019】
図1、
図2、及び
図3に示すように、トンネル工事用照明配置構造101は、トンネル10の内部空間において、切羽3から坑口4までの間に設置される。トンネル工事用照明配置構造101は、隔壁11と、支持枠12と、照明装置20と、スピーカ27を備える。
【0020】
支持枠12は、トンネル壁面5から所定の間隔を隔ててトンネル10の内部空間に配置されている。支持枠12は、坑口4側から視た場合の右支柱121、左支柱122、及び梁部123を備える。右支柱121、左支柱122、及び梁部123は、全体としてゲートを形成し、右支柱121、左支柱122、及び梁部123によって囲まれるゲート口15を形成する。重機、車、又は人等は、ゲート口15を介して坑口4側と切羽3側とを往来できる。なお、梁部123の一部は、水平方向に対して傾斜しているが、水平方向沿って真っ直ぐ伸びる形状であってもよい。また、支持枠12は、半円形状等の他の形状であってもよい。
【0021】
支持枠12は、隔壁11を支持する。隔壁11は、ゲート口15を開閉可能に形成されている。隔壁11は、変形可能なバルーンで構成されている。隔壁11は、隔壁11を開けた状態の時、バルーン内部の気体を抜かれた状態で支持枠12に接続されている。すなわち、支持枠12は、萎んだ状態の隔壁11を支持枠12の周りに支持している。また、隔壁11は、隔壁11を閉じた状態の時、バルーン内部に気体が充填された状態で支持枠12に接続されている。隔壁11は、トンネル壁面5から支持枠12までの間、及びゲート口15を覆う。
【0022】
なお、ゲート口15の解放時において、隔壁11は、全て開けられている必要はない。例えば、隔壁11は、必要に応じてゲート口15を除いたトンネル壁面5から支持枠12までの間を覆ってもよい。また、隔壁11は、ゲート口15上部を除き、ゲート口15の左右の部分を覆っていてもよい。これにより、隔壁11は、切羽3側で生じた塵等の坑口4側への拡散を抑制することができる。
【0023】
また、隔壁11は、他に変形可能なシート、鋼製の扉、又は折りたたみ可能なシールド板であってもよい。隔壁11は、発破等によって生じた飛石又は爆風に対して耐久性のある素材で形成されている。これにより、隔壁11は、隔壁11を閉じた状態の時、発破によって生じた飛石又は爆風の隔壁11から坑口4側への影響を防ぐことができる。
【0024】
トンネル工事において、切羽3は、例えば爆薬を用いて発破され、又は削岩機で削られることにより掘り進められる。トンネル内部の切羽3側である切羽3から隔壁11までの間の空間は、発破等によって生じた塵のために、空気が汚染されて作業し難くなる。
【0025】
トンネル工事用照明配置構造101は、排気ダクト25と、給気ダクト26と、を備えていてもよい。排気ダクト25及び給気ダクト26は、切羽3から隔壁11までの間の空間と隔壁11から坑口4までの間の空間に配置されている。排気ダクト25及び給気ダクト26は、それぞれ支持枠12に支持されている。
【0026】
排気ダクト25の坑口4側の先端は、不図示の集塵機に接続されている。不図示の集塵機は、排気ダクト25を介して切羽3から隔壁11までの間の空間の空気を吸い込み、空気中に含まれる塵を回収する。給気ダクト26の坑口4側の先端は、坑口4の外部の不図示の給気装置に接続されている。不図示の給気装置は、給気ダクト26を介して切羽3から隔壁11までの間の空間に空気を送り込む。これにより、切羽3から隔壁11までの間の空間は、きれいな空気を維持することができる。
【0027】
支持枠12は、照明装置支持部13を備える。照明装置支持部13は、梁部123より上方の、かつ支持枠12より坑口4側に突出している。照明装置支持部13は、照明装置20を支持する。照明装置20は、切羽用照明装置21、全体用照明装置22、足元用照明装置23、及び切羽用照明装置24を備える。切羽用照明装置21及び切羽用照明装置24は、梁部123の上方に2列に水平に並んで配置されている。全体用照明装置22及び足元用照明装置23は、切羽用照明装置21及び切羽用照明装置24の上方に配置されている。なお、照明装置20の配置は、トンネル工事用照明配置構造101の使用状況に応じて適宜変更可能である。
【0028】
トンネル10を掘り進めるにつれ、切羽3は坑口4から遠くなるため、切羽3付近は暗くなる。従来、隔壁11から切羽3までの空間は、発破による爆風又は飛石のために、照明を設置できないか、設置しても発破用の防護壁を付ける必要があった。切羽3付近に照明を設置できない場合、作業者は暗い環境下で作業する必要が生じ、危険で効率の悪い作業に従事することになる。また、隔壁11から切羽3までの空間において照明を設置した場合には、発破前に発破用の防護壁を付ける必要があるため作業の工程が増え、作業効率が悪くなる。
【0029】
作業者が切羽3付近で作業する場合、隔壁11は開かれている。隔壁11が開いている場合、切羽用照明装置21及び切羽用照明装置24は、隔壁11から切羽3側を照射することにより、切羽3を照らす。切羽用照明装置21は、例えば白色の光を照射する。切羽用照明装置21は、切羽3側を明るくすることができる。従って、トンネル工事用照明配置構造101は、切羽3側に新たに照明を設置することなく、切羽3側を明るくすることができる。また、トンネル10を掘り進めるにつれ、切羽3付近では急な湧水の発生又は、岩盤の崩落等の危険な状態が急に生じることが多い。このような場合でも、本実施形態のトンネル工事用照明配置構造101は、切羽3側を明るくする。そのため、作業者は湧水及び岩盤の状態を把握することができる。従って、本実施形態のトンネル工事用照明配置構造101によれば、作業者の安全性及び作業の効率が上がる。
【0030】
切羽用照明装置24は、例えば赤色の光を照射する。切羽用照明装置21及び切羽用照明装置24のいずれか一方又は両方を点灯することにより、切羽3を照らす光の色を変えることができる。例えば、作業者が切羽3付近で作業する場合、切羽用照明装置21は白色の光を照射する。また、切羽3付近で危険な状態が発生した場合、切羽用照明装置24は赤色の光を照射する。切羽3は、白色の光と赤色の光とを同時に照射される。これにより、切羽3に照射される光の色が変化するため、作業者は視覚を通じて危険な状態の発生を認識することができる。従って、作業者の安全性が向上する。
【0031】
なお、切羽用照明装置21及び切羽用照明装置24から照射される光の色は、使用状況に応じて適宜変更可能である。例えば、トンネル10の内部空間の湿度が高く霧が発生している場合、切羽用照明装置21は、黄色の混じった色の光を照射することが好ましい。黄色光は霧の水滴によって散乱され難く、これに対して、白色光は霧の水滴によって散乱され易い。このため、霧が発生している状態で、切羽用照明装置21が黄色の混じった色の光を照射することにより、作業者の視界が向上する。
【0032】
トンネル工事用照明配置構造101は、スピーカ27を備えることが好ましい。スピーカ27は照明装置支持部13に接続されている。スピーカ27は、音による情報を作業者に伝達することができる。これにより、トンネル工事用照明配置構造101は、隔壁11周辺で作業する作業者に危険等の必要な情報をトンネル内部が暗い場合であっても伝達することができる。
【0033】
切羽用照明装置21及び切羽用照明装置24は、指向性を有していることが好ましい。これにより、切羽用照明装置21及び切羽用照明装置24は、隔壁11から切羽3に向けて光を適切に照射できる。従って、トンネル工事用照明配置構造101は、切羽3付近で作業する作業者の視界をさらに良好にし、切羽3付近での作業の安全性を高めることができる。
【0034】
切羽用照明装置21は、切羽3を確実に照らすためには強い指向性を必要とする。切羽用照明装置21が強い指向性有する場合、切羽用照明装置21は、隔壁11から切羽3を真っ直ぐに照らすが、切羽3以外の他の部分は暗くなる。
【0035】
全体用照明装置22は、切羽3から隔壁11までの空間全体を照らす。足元用照明装置23は、隔壁11の足元を照らす。照明装置20は、切羽3だけでなく、切羽3から隔壁11までの空間全体、及び隔壁11の足元を照らすことができる。すなわち、切羽用照明装置21、全体用照明装置22、及び足元用照明装置23は、それぞれ照射対象とする場所に応じた最適な指向性に設定されている。これにより、切羽3から隔壁11までの空間は、全体的に明るくなる。
【0036】
例えば、全体用照明装置22は、切羽3から隔壁11までの空間全体を照らすため、切羽3以外の場所の明るさを補うことができる。また、足元用照明装置23は、隔壁11のゲート口15付近も照らすため、ゲート口15を出入りする重機、車両、及び人が視認され易くなる。従って、トンネル工事用照明配置構造101は、切羽3から隔壁11までの空間で作業する作業者の視界を良好にし、安全性を高めることができる。
【0037】
隔壁11は、発破時に閉じられる。
図4に示すように、ゲート口15は、切羽3の発破時に隔壁11により閉じられる。また、隔壁11は、支持枠12、排気ダクト25及び給気ダクト26を除いたトンネル壁面5から支持枠12までの間も覆っている。照明装置20の切羽3側は、隔壁11により覆われている。照明装置20は、発破時に使用できない状態となるが、隔壁11を閉じた場合には、作業者は切羽3側で作業を行う必要がない。このため、照明装置20は、発破時に切羽側を照らす必要はない。また、隔壁11は、照明装置20を覆っているため、発破による爆風又は飛石による照明装置20の破損を防止できる。
【0038】
支持枠12は、トンネル10内を移動可能であることが好ましい。例えば、支持枠12は、支持枠12の下部に不図示の車輪を備える。トンネル10を掘り進めるにつれ、切羽3は移動する。支持枠12がトンネル内を切羽3側へ移動することにより、支持枠12に接続された照明装置20も同時に切羽3側へ移動する。これにより、トンネル工事用照明配置構造101は、トンネル10を掘り進めた場合でも新たに切羽3側に照明を設置することなく、切羽3側を照射できる。
【0039】
なお、トンネル工事用照明配置構造101は、切羽3側のみを照らす照明装置20のみ配置されているが、これには限定されない。例えば、トンネル工事用照明配置構造101は、隔壁11から坑口4側を照らす照明装置をさらに設けていてもよい。これにより、ゲート口15を往来する重機、車、及び人等が視認され易くなるため、安全性が向上する。
【0040】
以下、第1実施形態の変形例について説明する。
図5は、第1実施形態の変形例1に係るトンネル工事用照明配置構造102を切羽側から視た正面図である。
図6は、第1実施形態の変形例2に係るトンネル工事用照明配置構造103を切羽側から視た正面図である。
図5及び
図6は、隔壁11をハッチングで示す。なお、トンネル工事用照明配置構造102及びトンネル工事用照明配置構造103の説明については、それぞれ第1実施形態に係るトンネル工事用照明配置構造101と異なる構成についてのみ説明を行い、後は省略する。
【0041】
図5に示すように、トンネル工事用照明配置構造102は、トンネル工事用照明配置構造101と足元用照明装置23の位置が異なる。支持枠12は、照明装置支持部13に加えて、二つの照明装置支持部53を備える。照明装置支持部53はそれぞれ、右支柱121及び左支柱122から支持枠12より坑口4側に突出している。照明装置支持部53は、足元用照明装置23を支持する。これにより、足元用照明装置23は、トンネル10の床面に近い位置に配置されるため、隔壁11の足元を確実に照射することができる。
【0042】
図6に示すように、トンネル工事用照明配置構造103は、トンネル工事用照明配置構造101と切羽用照明装置21及び切羽用照明装置24の位置が異なる。支持枠12は、照明装置支持部63及び照明装置支持部64を備える。照明装置支持部63は、梁部123より上方の、かつ支持枠12より坑口4側に突出している。照明装置支持部63は、全体用照明装置22及び足元用照明装置23を支持する。照明装置支持部64は、梁部123より下方の、かつ支持枠12より坑口4側に突出している。照明装置支持部63は、切羽用照明装置21及び切羽用照明装置24を支持する。
【0043】
これにより、切羽用照明装置21及び切羽用照明装置24は、ゲート口15に配置される。トンネル工事用照明配置構造103の切羽用照明装置21及び切羽用照明装置24の位置は、トンネル工事用照明配置構造101と比べて低い。切羽用照明装置21及び切羽用照明装置24の切羽3に対する照射角度は、トンネル工事用照明配置構造101と比べて水平に近くなる。切羽3における切羽用照明装置21及び切羽用照明装置24からの光の照度が高くなる。このため、トンネル工事用照明配置構造103は、切羽3をより明るく照らすことができる。
【0044】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
1,2…トンネル工事用照明配置構造
3…切羽
4…坑口
5…トンネル壁面
10…トンネル
11…隔壁
12…支持枠
13,53…照明装置支持部
15…ゲート口
20…照明装置
21,24…切羽用照明装置
22…全体用照明装置
23…足元用照明装置
25…排気ダクト
26…給気ダクト
27…スピーカ
121…右支柱
122…左支柱
123…梁部