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特許7497982光学的に向上させられた高解像度イメージガイド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】光学的に向上させられた高解像度イメージガイド
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/06 20060101AFI20240604BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20240604BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G02B6/06 A
G02B23/24 A
A61B1/00 732
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020003059
(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公開番号】P2020112799
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】62/791,043
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507359579
【氏名又は名称】ショット コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2 International Drive,Suite 105,Rye Brook,NY 10573,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ケー. クレスキィ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エフ. ダッフィー
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-033302(JP,U)
【文献】特開2000-051140(JP,A)
【文献】特表2016-515633(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105040133(CN,A)
【文献】実公昭48-015073(JP,Y1)
【文献】特開2017-007875(JP,A)
【文献】特開昭60-113204(JP,A)
【文献】特開昭56-011415(JP,A)
【文献】国際公開第94/016350(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第1430628(KR,B1)
【文献】特開昭60-211409(JP,A)
【文献】特開昭50-131540(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110208903(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02- 6/10, 6/44
G02B 23/24-23/26
A61B 1/00- 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイババンドルと、前記光ファイババンドルを包囲する保護シースと、を備えるイメージガイドであって、前記光ファイババンドルは、
それぞれイメージ入力端部およびイメージ出力端部を有する複数の光ファイバであって、各光ファイバは、コアおよび前記コアを包囲するクラッディングを有する複数の光ファイバと、
前記光ファイバのうちの1つまたは複数を物理的に分離させるために前記光ファイバの間に分散させられた複数の粒子と、
前記光ファイバの間に配置されたクラッディング延長液体と、
を備え、
前記クラッディングの横断面に対する前記コアの横断面の面積比は、20~60%であり、
前記クラッディング延長液体の屈折率は、前記クラッディングの屈折率より0.200以下だけ小さく、
前記クラッディング延長液体の接触角度は、25~110度である、
イメージガイド。
【請求項2】
前記粒子は、0.10~0.75μmの直径を有する、
請求項1記載のイメージガイド。
【請求項3】
前記粒子は、シリコーン樹脂粒子、滑石末、グラファイト、窒化ホウ素、PTFE粉末またはそれらの組合せを含む、
請求項1記載のイメージガイド。
【請求項4】
前記粒子は、メチルシルセスキオキサンを含む、
請求項1記載のイメージガイド。
【請求項5】
前記クラッディング延長液体は、ポリエチレングリコール、シクロプロピルメチルケトン、ジエチルフタレート、ジ-N-ブチルスルホキシド、3-メチルシクロヘキサノン、シクロブタノンジブチルケトン、パーフルオロポリエーテル、屈折率および/または粘度を調節する添加物を含むまたは含まない水、光学ゲル、イマージョンオイルまたはこれらの組合せを含む、
請求項1記載のイメージガイド。
【請求項6】
前記クラッディング延長液体は、染料を含む、
請求項1記載のイメージガイド。
【請求項7】
前記クラッディングの外側に、シランが提供されている、
請求項1記載のイメージガイド。
【請求項8】
各光ファイバは、10μm以下の直径を有する、
請求項1記載のイメージガイド。
【請求項9】
前記イメージガイドは、550nmにおける25%以上の透過率、450~700nmにおける15%以下の透過率変化、100lp/mm以上の解像度および0.90以上のコントラスト値を有する、
請求項1記載のイメージガイド。
【請求項10】
前記イメージガイドは、内視鏡のコンポーネントである、
請求項1記載のイメージガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本特許出願は、2019年1月11日に出願された米国特許出願第62/791043号明細書の利益を請求し、その内容は引用したことにより本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、高解像度、高分光透過率、バランスの取れた分光透過率および低クロストークを備える、コア/クラッディング面積比が大きい、光学的に向上させられたイメージガイドに関する。
【背景技術】
【0003】
浸出ファイババンドルなどのイメージガイドは、例えば、内視鏡において、光学情報を伝送することができる。浸出ファイババンドルは、概して、規定された形式で配置された複数の光ファイバを有する。光ファイバの直径は、10μm未満であることができ、通常、高解像度イメージを提供するために0.5~8μmである。
【0004】
浸出ファイババンドルを製造する方法は公知である。オーダされたファイバ配列を得るために、浸出ファイババンドルは、対応して配置されたファイババンドルプリフォーム、例えば、ガラスロッドまたはチューブを引っ張ることによって製造することができる。プリフォームは、エッチング可能ガラス、すなわち、酸、塩基または脱イオン水を用いた処理によって部分的に溶解させられることができるガラスから形成されたスペーサを有することができる。スペーサは、概して、チューブまたはロッドの形式である。個々の光ファイバの配列の間の距離は、エッチング可能スペーサの配置によって規定することができる。
【0005】
浸出ファイババンドルプリフォームは、所望のファイバまたはファイババンドルの横断面が達成されるまで、公知のプロセスを用いて、熱を加えながら引っ張ることができる。このようなプロセスにおいて、スペーサは、光ファイバに融着させられることができ、個々の光ファイバの間のスペースを満たすことができる。イメージガイドを製造するために、融着されたファイババンドルの端部に、保護層を設けることができる。保護層は、酸および/またはアルカリ液に対して耐性であることができるのに対し、スペーサは、酸および/またはアルカリ液によって除去することができる。これにより、結合され、剛性でありかつ固定されたままの端部を備える可撓性のファイババンドルを製造するために、光ファイバが露出させられるまたはスペーサから分離させられることができる。端部は、光学的特性を高めるために研磨することができる。
【0006】
内視鏡を含む製品のための浸出ファイババンドルシステムを有するイメージガイドのイメージ品質は、より高い解像度のイメージガイドを使用することによって改善することができる。解像度を高めるために、光ファイバコンポーネントの直径は通常減じられるが、減じられた光学クラッディング厚さは、通常、光損失を増大し、近くの光ファイバの間のクロストークを増大する。光損失は、全体的な伝送を低下させ、イメージガイドによって伝送されるイメージに対して目に見える色味を生じさせ、通常、最初は、より長い可視波長(例えば、赤色)が観察され、ファイバ直径が減少するに従って、より短い可視波長(例えば、オレンジ、黄色、緑、青および紫)に連続的に影響する。増大したクロストークは、イメージ中実度を劣化させる。なぜならば、ますます多くの光が1つのファイバから損失され、近くのファイバへ伝送されるからである。
【0007】
ファイバクラッディングに対するファイバコアの比を減じることによって(例えば、ファイバクラッディングの厚さを増大することによってかつ/またはファイバコアの直径を減じることによって)分光透過率損失およびクロストークをある程度まで減じることができるが、これは、(同じファイバコア直径に対する増大したファイバクラッディング厚さの場合には)解像度を低下させ、(減じられたファイバコア直径の場合には)透過率を低下させ、しばしば、許容できる製品を製造することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
ファイバクラッディングに対するファイバコアの比を増大したとき光損失が増大しかつクロストークが増大するという予想に反して、開示のイメージガイドは、高解像度および高透過率を維持しながら、かつ分光透過率損失およびクロストークにおける対応する減少なしに、ファイバクラッディングに対するファイバコアの増大した比を有することができる。これらの利点は、光ファイバのうちの1つまたは複数と、光ファイバのうちの1つまたは複数に提供されたクラッディング延長液体とを物理的に分離させるために、光ファイバの間に分散させられた複数の粒子を有するイメージガイドを使用することによって達成することができる。結果的に生じるイメージガイドは、550nmにおける25%以上の透過率、450~700nmにおける15%以下の透過率変化、100lp/mm以上の解像度および/または0.90以上のコントラスト値を有することができる。
【0009】
開示の光学的に向上させられた高解像度イメージガイドは、イメージ入力端部およびイメージ出力端部をそれぞれ有する複数の光ファイバを備える光ファイババンドルを有することができる。各光ファイバは、コアと、コアを包囲するクラッディングと、を有することができ、複数の光ファイバを、1つの包囲する保護シース内に束ねることができる。ファイババンドルは、光ファイバのうちの1つまたは複数を物理的に分離させるために光ファイバの間に分散させられた複数の粒子を有することができる。ファイババンドルは、光ファイバのうちの1つまたは複数に提供されたクラッディング延長液体を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】分離粒子を有さない4つの光ファイバの集合体を示している。
図1B】光ファイバの間に分散させられた物理的分離粒子を備える4つの光ファイバの集合体を示している。
図2A】光ファイバコアおよび光ファイバクラッディングを有する光ファイバを示している。
図2B】光ファイバクラッディングに提供されたクラッディング延長液体を示している。
図2C】光ファイバクラッディングに提供された、染料を含むクラッディング延長液体を示している。
図3A】光ファイバクラッディングに提供されたクラッディング延長液体と、隣接する光ファイバの間の分離を提供するためにクラッディング延長液体内に配置された物理的分離粒子と、を備える、光ファイバコアおよび光ファイバクラッディングを有する光ファイバを示している。
図3B】光ファイバクラッディングに提供された、染料を含むクラッディング延長液体を示している。
図4】実施例1のイメージガイドAのための透過率スペクトルを示している。
図5】さまざまなクラッディング延長液体のための透過率スペクトルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、ファイバクラッディングに対するファイバコアの増大した比を有してもよくかつ高解像度および高透過率を維持しながら、減じられた分光透過率損失および減じられたクロストークを生じなくてもよい、例えば、内視鏡システムにおいて使用される浸出ファイババンドルおよび巻かれたファイババンドルなどの、光学的に向上させられた高解像度イメージガイドを説明する。イメージガイドは、550nmにおける25%以上の透過率、450~700nmにおける15%以下の透過率変化、100lp/mm以上の解像度および/または0.90以上のコントラスト値を有することができる。
【0012】
光学的に向上させられた高解像度イメージガイドは、イメージ入力端部およびイメージ出力端部をそれぞれ有する複数の光ファイバを備える光ファイババンドルを有することができる。各光ファイバは、コアと、コアを包囲するクラッディングとを有することができ、複数の光ファイバを1つの包囲する保護シース内に束ねることができる。
【0013】
場合によっては物理的分離粒子およびクラッディング延長液体の提供前に、クラッディングの外側に、非機能性シランを提供することができる。非機能性シランは、繊維に疎水性表面および潤滑性表面を提供することができる。疎水性質は水をはじく。さもなければ、水は、機械的荷重の存在においてガラスを弱める。これにより、疎水性質は、繊維強度を高める。表面潤滑性は、隣接する繊維の間の摩耗を防止する助けとなる。
【0014】
イメージガイドは、光ファイバのうちの1つまたは複数を物理的に分離させるために光ファイバの間に分散させられた複数の粒子を有することができる。粒子は、個々の光ファイバの全てまたはいくつかの部分を物理的に分離させ、個々の光ファイバの間の摩耗および摩擦を低減することがあり、いかなる特定の理論にも拘束されることなく、粒子は、イメージガイドの長さに沿って個々の光ファイバの間のクロストークを低下させることにも貢献することができる。
【0015】
図1Aに、分離粒子を有さない4つの光ファイバ1の集合体を備えるファイババンドルが示されている。図1Bは、光ファイバ1の間の物理的接触を緩和し、場合によっては、光ファイバ1の間のクロストークを低下させるために、光ファイバ1の間に分散させられた物理的分離粒子2を備える4つの光ファイバ1の集合体を示している。
【0016】
いくつかの実施の形態における物理的分離粒子は、約0.10~0.75μm、約0.5~0.7μmまたは約0.45~0.55μmの直径を有することができる。粒子は、粒子がガラス繊維に擦り傷を付けないまたはガラス繊維を摩耗させないように、ガラス繊維の硬さより低い硬さを有することができる。粒子は、それぞれ球形またはあらゆるその他の形状であることができる、シリコーン樹脂粒子、滑石末、グラファイト、窒化ホウ素、PTFE粉末またはそれらの組合せを含むがこれらに限定されない、個々の光ファイバの間に物理的分離を提供するあらゆる適切な粒子を含むことができる。シリコーン樹脂粒子は、例えば、メチルシルセスキオキサンを含むことができる。
【0017】
イメージガイドは、光ファイバの間に配置されたクラッディング延長液体を有することができる。クラッディング延長液体は、全内部反射を補助するために、ファイバクラッディングの屈折率と等しいまたはそれより低い屈折率を有するべきである。クラッディング延長液体の屈折率が増大しかつクラッディングの屈折率に近づくにつれて、透過率が改善することがある。イメージガイドの最終用途のための意図された波長において、クラッディング延長液体の屈折率が、0.300以下、0.250以下、0.200以下、0.150以下、0.100以下、0.050以下、0.025以下だけクラッディングの屈折率より低いとき、適切な透過率を達成することができる。コアとクラッディングとの屈折率の差は、システムの開口数を決定し、より大きな差がより大きなNAを生じる。ある範囲のNAは、入力および出力光学系へのイメージガイドのカップリングのために望ましい。
【0018】
いかなる特定の理論にも拘束されることなく、クラッディング延長液体は、ファイバクラッディングの有効光学厚さを延長することができ、これにより、分光透過率損失を減じる。クラッディング延長液体は、可視スペクトルにわたって実質的に透過すべきであり、すなわち、400~700nmの低い吸収を有するべきである。吸収がこの範囲であるならば、クラッディング延長液体は、光ファイバから損失された光を反射するのではなく、吸収する。ポリエチレングリコール(PEG)および水などのある液体は、図5に示したようにファイババンドルに提供されたとき、異なる透過率スペクトルを提供する。クラッディング延長液体の有効性に関係する、その他の光学分散に関連する特性もあり得る。
【0019】
クラッディング延長液体は、光ファイバクラッディングまたはシランコーティングされたガラスクラッディングとの好ましい範囲の接触角度を有してもよい。接触角度は、空気-液体-固体の境界面の空気側において測定した、固体表面と液滴との間に形成される角度であると定義される。いくつかの実施の形態において、クラッディング延長液体の接触角度は、20度以上、25度以上、30度以上、35度以上または40度以上である。接触角度の上限は、例えば、110、100または90度であることができる。
【0020】
クラッディング延長液体の選択は、温度および環境的安定性の制約を考慮すべきである。例えば、いくつかのPEG配合物は、中温で固化し、これは、クラッディング延長液体の利点を低減するまたは完全に排除する。さらに、クラッディング延長液体は、製品の合理的な貯蔵寿命および現場における使用を提供するために、長期間にわたって安定しているべきである。
【0021】
屈折率は、波長の関数である。クラッディング延長液体の屈折率は、400~700nmの全波長にわたってファイバクラッディング以下であることが望ましい。いくつかの実施の形態において、クラッディング延長液体は、589nmにおける1.30より大きいまたは1.45より大きい屈折率、200℃より高い沸点および/または0.4未満のログ(粘度)を有する。クラッディング延長液体が希釈剤において提供されるならば、希釈剤は、589nmにおける1.38~1.45の屈折率、70~200℃の沸点および/または0.4~1.0のログ(粘度)を有するべきである。
【0022】
いくつかの実施の形態におけるクラッディング延長液体は、ポリエチレングリコール、シクロプロピルメチルケトン、ジエチルフタレート、ジ-N-ブチルスルホキシド、3-メチルシクロヘキサノン、シクロブタノンジブチルケトン、クライトックスなどのパーフルオロポリエーテル、屈折率および/または粘度を調節する添加物を含むまたは含まない水、Nye Lubricants Inc.から提供されている光学カップリング流体OCF-446などの光学ゲル、天然の炭化水素とのテルフェニルの組合せなどのイマージョンオイル、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0023】
物理的分離粒子およびクラッディング延長液体は、同じ混合物においてまたはクラッディングに順次提供されてもよいが、いくつかの実施の形態において、まず液体キャリアを使用して物理的分離粒子を提供し、次いでキャリアを蒸発させ、次いでクラッディング延長液体を提供することが有利である可能性がある。順次付加は、液体キャリアとクラッディング延長液体との特性の差を埋め合わせるために有利であることがある。液体キャリアの特性は、物理的分離粒子が適切に懸濁させられ、均一に分散させられかつ適切な分散密度を有することを保証するように選択することができる。いくつかの場合において、物理的分離粒子がクラッディング延長液体と同じ混合物に入っている場合、物理的分離粒子は十分に提供されることができないことがある。物理的分離粒子は、完全にまたは部分的にクラッディング延長液体に入っていてもよいかつ/または例えば液滴またはクラッディング延長液体がファイバに配置されているときクラッディング延長液体の近くにあってもよい。
【0024】
図2Aは、光ファイバコア1および光ファイバクラッディング2を有する光ファイバを示している。図2Bは、光ファイバクラッディング2に提供されたクラッディング延長液体3を示している。図2Cは、光ファイバクラッディング2に提供された、染料4を含むクラッディング延長液体を示している。図3Aは、光ファイバクラッディング2に提供されたクラッディング延長液体3と、隣接する光ファイバの間の分離を提供するためにクラッディング延長液体3内に配置された物理的分離粒子4と、を備える、光ファイバコア1および光ファイバクラッディング2を有する光ファイバを示している。図3Bは、光ファイバクラッディング2に提供された、染料5を含むクラッディング延長液体を示している。
【0025】
ファイババンドルも、クラッディング延長液体に加えることができる染料を含むことができる。いかなる特定の理論にも拘束されることなく、染料は、光学的透過率スペクトルの特定の部分の減衰を調節することができる。これは、時には有利である。なぜならば、染料なしに使用されるクラッディング延長液体は、最適未満の光透過を生じる可能性があるからである。加えて、いかなる特定の理論にも拘束されることなく、染料は、クラッディング延長液体および分離粒子の組合せによって十分に減じられないことがあるクロストークを減衰させることができる。
【0026】
各光ファイバは、10μm以下または約1~5μmの直径を有することができる。クラッディングの断面積に対するコアの断面積の面積比は、20%以上、30%以上、40%以上または50%以上であることができる。いくつかの実施の形態において、比は、20~60%である。コアおよびクラッディングと、酸に可溶性でないガラスと、を備える円形の光ファイバの場合、約1μmのファイバ直径のための400nmにおける光透過率のための下限は、約10%の面積比である。700nmにおける光透過率の場合、約2μmのファイバ直径のための下限は、約10~20%の面積比である。これらの限度は、延長させられてもよい。
【0027】
透過率は、表面反射のための補正なしの透過である。透過率を測定するために、モノクロメータからの平行光源がイメージガイド内へ発射され、そこで、発射された光の開口は完全にイメージガイドのイメージング領域内に閉じ込められ、光は、検出器を備えた積分球ぎ装品を使用してイメージガイドの反対側の端部において収集される。イメージガイド透過率を測定する前に、基線測量が行われ、そこで、光路は直接的であり、発射開口から積分球の入口までクローズカップルされている。これは、全波長のための100%Tを確立するための基準状態として使用される。なぜならば、光源は、全波長のために均一な出力を有しておらず、検出器も、波長に影響されるからである。透過率は、0.4mmの直径の発射開口を備える透過ベンチ(Optronic Laboratories Inc. model OL 750-D モノクロメータ)を使用しかつ基線状態として空気(光路にイメージガイドは存在しない)を使用して決定される。透過率スペクトルは、10nmの増分で400から700nmまで収集される。光源は、タングステンランプである。積分球内の検出器は、シリコンタイプである。透過率変化は、450~700nmの範囲にわたる全波長のための最大透過率と最小透過率との差である。例えば、450~700nmの図4における透過率変化は、7.5%であり、これは、450nmにおける36.3%の透過率と、700nmにおける43.8%の透過率との差である。本明細書に記載されたイメージガイドは、550nmにおける25%以上の透過率、100lp/mm以上の解像度および/または0.90以上のコントラスト値を同時に有しながら450~700nmにおいて15%以下の透過率変化を有することができる。
【0028】
解像度は、グループ6および7に中心合わせされた、バックライトされたUSAF 1951ターゲットと直接接触するようにイメージガイドの一方の端部を配置することによって決定される。バックライトは、照明ガイドを介してオパールガラスディフューザに提供される白色LED光源(Moritex SCHOTT LLS 3)からの光である。オパールガラスは、クロム・オン・ガラスUSAF 1951ターゲットの裏側と接触してクローズカップルされている。イメージガイドの反対側の端部は、約200xの総合倍率において顕微鏡(Keyence VHX-5000)によって観察される。透過されたイメージは、分解可能なグループ/エレメント対のために検査される。グループ/エレメントは、バーが、バックライトされた光によって視覚的に輪郭を描かれたならば分解されたと考えられる。注意したいのは、ターゲットの鉛直方向および水平方向のバーを分解する能力においてターゲットの向きに対するイメージガイドにおける光ファイバ配列の向きにある程度の依存があるということである。本明細書に記載されたイメージガイドは、550nmにおける25%以上の透過率、450~700nmにおける15%以下の透過率変化および/または0.90以上のコントラスト値を同時に有しながら100lp/mm以上の解像度を有することができる。
【0029】
コントラスト値は、バックライトされるUSAF 1951ターゲットを使用して測定され、ここで、マスクされた領域と、均等の空間的寸法の隣接する透過領域とが、それぞれ、ダークパッチおよび光パッチとして使用される。イメージガイドは、USAFターゲットのこの領域と直接接触して配置されており、この領域のイメージをイメージガイドの反対側の端部へ透過する。デジタルカメラが装備された顕微鏡は、イメージガイドによって透過されるイメージのデジタルイメージをキャプチャするために使用される。キャプチャされたイメージから、各パッチにおける平均的なグレースケール値が決定される。関連するコントラスト測定基準は、CV=(gw-gb)/(gw+gb)として計算され、CVはコントラスト値、gwは光パッチにおける平均的なグレースケール値、gbはダークパッチにおける平均的なグレースケール値である。0.0のコントラスト値は、光パッチとダークパッチとの間にコントラストがないことを示しており、1.0のコントラスト値は、光パッチとダークパッチとの間に最大限のコントラストがあることを示している。コントラストは、グループ4-グループ5基準インジケータに中心合わせされた、バックライトされたUSAF 1951ターゲットと直接接触するように各イメージガイドの一方の端部を配置することによって決定される。バックライトは、照明ガイドを介してオパールガラスディフューザに提供される白色LED光源(Moritex SCHOTT LLS 3)からの光である。オパールガラスは、クロム・オン・ガラスUSAF 1951ターゲットと接触してクローズカップルされている。イメージガイドの反対側の端部は、デジタルカメラが取り付けられた、約200x総合倍率における顕微鏡(Keyence VHX-5000)を使用して観察される。カメラは、固定された開口および固定された露光時間に設定される。セッションの始めに、バックライト強度は、カメラのダイナミックレンジをウォッシュアウトすることを回避するように設定され、この設定は、全ての測定のために一定に保持される。本明細書に記載されたイメージガイドは、550nmにおける25%以上の透過率、450~700nmにおける15%以下の透過率変化および/または100lp/mm以上の解像度を同時に有しながら0.90以上のコントラスト値を有する。
【0030】
いくつかの実施の形態において、550nmにおける透過率は、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上または50%以上である。いくつかの実施の形態において、450~700nmの透過率変化は、15%以下、10%以下、7.5%以下、5%以下または2.5%以下である。いくつかの実施の形態において、解像度は、100lp/mm以上(これは、5.0μmのファイバ直径に対応することができる)、110lp/mm以上(これは、4.5μmのファイバ直径に対応することができる)、125lp/mm以上(これは、4.0μmのファイバ直径に対応することができる)、140lp/mm以上(これは、3.5μmのファイバ直径に対応することができる)、165lp/mm以上(これは、3.0μmのファイバ直径に対応することができる)、200lp/mm以上(これは、2.5μmのファイバ直径に対応することができる)、250lp/mm以上(これは、2.0μmのファイバ直径に対応することができる)である。いくつかの実施の形態において、コントラスト値は、0.90以上、0.92以上、0.94以上または0.96以上である。
【0031】
実施例
実施例1
1.605のガラスコア屈折率、1.556のガラスクラッディング屈折率、4.8μmの光ファイバ直径、41%の面積比(エッチング可能なガラススペーサを有さない)、0.45mmのバンドル直径、1000mmのバンドル長さおよび7800の近似ファイバ数を備える浸出ファイババンドルが、以下のように処理された。
【0032】
浸出された状態における6つのバンドルA~F、すなわちルーズファイバは、200証明エタノール(Pharmco-AAPER SIS Formula A-I)における球形シリコーン樹脂粒子(直径が約0.5~0.7μm、Momentive brand, XC99-A8808)の23g/Lの十分に混合された溶液に浸された。バンドルは溶液から除去され、エタノールは、空気中で2時間バンドルから蒸発させられた。体積による染料の1000ごとの約5.6パートを備えるポリエチレングリコール400(EMD Millipore Corp)の容積が、各バンドルに液滴で50mmごとに提供され、各液滴は約10~15μLであった。染料は、イメージガイドの結果として生じる透過率スペクトルのバランスを取るように選択された、FD&C赤40、FD&C赤3およびFD&C青1の組合せから成っていた。溶液は、2時間バンドル内に染み込まされ、その後、各バンドルは、イメージガイドA~Fを製造するためにシースによってカバーされた。
【0033】
イメージガイドA~Fは、透過率、解像度およびコントラストのために測定された。透過率は、0.4mmの直径の発射開口を備える、前に詳述したように配置された透過ベンチ(Optronic Laboratories Inc. model OL 750-D モノクロメータ)を使用しかつ基準状態として空気(光路にイメージガイドは存在しない)を使用して決定された。透過率スペクトルは、10nmの増分で400から700nmまで収集された。イメージガイドAのために図4に示されかつ全てのイメージガイドのために表1にさらに詳述されているように、全てのイメージガイドは、550nmにおいて40%の透過率を超えていた。全てのイメージガイドは、450~700nmにおいて最大透過率と最小透過率との間で10%未満の透過率変化も示した。
【0034】
【表1】
【0035】
イメージガイドA~Fの解像度は、グループ6および7に中心合わせされた、バックライトされたUSAF 1951ターゲットと直接接触するように各イメージガイドの一方の端部を配置することによって決定された。イメージガイドの反対側の端部は、約200xの総合倍率において顕微鏡(Keyence VHX-5000)によって観察された。透過されたイメージは、分解可能なグループ/エレメント対のために検査された。グループ/エレメントは、バーが、バックライトされた光によって視覚的に輪郭を描かれたならば分解されたと考えられた。ターゲットの鉛直方向および水平方向のバーを分解する能力においてターゲットの向きに対するイメージガイドにおける光ファイバ配列の向きにある程度の依存があった。全てのバンドルは、解像度グループ6/エレメント5(102lp/mmにほぼ等しい)またはそれよりも良い(表2に示されている)まで観察された。より高い周波数グループ/エレメントを分解する能力が示されたが、バーターゲットトゥイメージガイドファイバアレイ向きにおける不一致は、イメージガイドのフルセットのためのグループ6/エレメント6(114lp/mmにほぼ等しい)およびより高い完全な解像度を妨げた。
【0036】
【表2】
【0037】
イメージガイドA~Fのコントラストは、グループ4-グループ5基準インジケータに中心合わせされた、バックライトされたUSAF 1951ターゲットと直接接触するように各イメージガイドの一方の端部を配置することによって決定された。イメージガイドの反対側の端部は、デジタルカメラが取り付けられた、約200x総合倍率における顕微鏡(Keyence VHX-5000)を使用して観察された。カメラは、固定された開口および固定された露光時間に設定された。セッションの始めに、バックライト強度は、カメラのダイナミックレンジをウォッシュアウトすることを回避するように設定され、この設定は、全ての測定のために一定に保持された。全てのバンドルのためのコントラスト値は、表3に示されているように0.92を超えていた。
【0038】
【表3】
【0039】
実施例2
以下の浸出ファイババンドルは、物理的分離粒子、クラッディング延長液体および/または染料が以下の表に示されたように使用されたことを除き、実施例1の浸出ファイババンドルと類似の形式で準備された。
【0040】
【表4】
【0041】
表は、550nmにおいて25%以上の透過率および0.90以上のコントラスト値を有するイメージガイドを準備することができることを示している。
【0042】
実施例3
以下の浸出ファイババンドルは、クラッディング延長液体が以下の表に示されたように変化させられたことを除き、実施例1の浸出ファイババンドルと類似の形式で準備された。
【0043】
【表5】
【0044】
クラッディング延長液体の詳細は以下のとおりであった。クライトックスは、Krytox type GPL104潤滑剤(DuPont Corp)、蒸留水(Poland Springs brand)、光学流体は、Nye OCF-446光学カップリング流体(Nye Optical Products)であった、PEG400は、平均分子質量380~420g/molを備えるポリエチレングリコール(EMD Millipore Corp)であった、かつイマージョンオイルは、Cargille Type A イマージョンオイル(Cargille Laboratories)であった。
【0045】
表4は、浸出ファイババンドルの透過率がさまざまなクラッディング延長液体によって改良されたことを示している。クラッディング延長液体によって可能にされる透過率改善の大きさは、クラッディングガラスのものに近い屈折率、この実施例では1.556を備えるクラッディング液体のためにより高かった。
【0046】
クラッディング延長液体によって可能にされる透過率改善の大きさは、非機能性シランコーティングされたガラスにおける大きな接触角度を有する液体のためにも高かった。
【0047】
図5に、さまざまなクラッディング延長液体を用いて準備された浸出ファイババンドルのための透過率スペクトルが示されている。図5は、類似の屈折率を有するにもかかわらず、蒸留水およびクライトックスが異なる分光透過率を示したことを示している。いかなる特定の理論にも拘束されることなく、矛盾は、表4に示されているように接触角度の違いによって生じることがある。例えば、蒸留水は、あるガラスファイバに提供されたときKrytox GPL104より大きい接触角度を有する。より大きな接触角度は、場合によってはクラッディングにおけるクラッディング延長液体の“ビーディング”につながり、これ自体は、隣接するファイバの間におけるクラッディング延長液体のブリッジングを促進することがあり、クラッディング延長液体の有効厚さを改善することがある。より小さな接触角度は、クラッディングにおけるクラッディング延長液体の比較的薄いフィルムを結果として生じることがあり、光ファイバを伝わる光のエバネッセント場を規則的に含むために不十分であることがある。接触角度の類似の効果は、PEG400とイマージョンオイルとの比較によって見ることができる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5