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特許7498004有機電界発光素子及び有機電界発光素子用モノアミン化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】有機電界発光素子及び有機電界発光素子用モノアミン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 493/04 20060101AFI20240604BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20240604BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240604BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20240604BHJP
   H10K 50/155 20230101ALI20240604BHJP
【FI】
C07D493/04 101C
C07D493/04 CSP
C07D495/04 101
H05B33/14 A
H05B33/22 D
H10K50/155
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020049893
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2020152724
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0032405
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】キム ドンジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ウンジェ
(72)【発明者】
【氏名】ハン サンヒュン
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/031833(WO,A1)
【文献】特開2014-131981(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0053902(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1857632(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
H10K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるモノアミン化合物:
【化1】
(化学式1)
前記化学式1において、
XはNAr、S、またはOであり、
A及びBはそれぞれ独立してOまたはSであり、
Ar及びArはそれぞれ独立して置換されたもしくは置換されない環形成炭素数6以上30以下のアリール基であり、
~Rはそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換されたもしくは置換されない炭素数1以上20以下のアルキル基、または置換されたもしくは置換されない環形成炭素数6以上30以下のアリール基であり、
及びLは、それぞれ独立して置換されたもしくは置換されない環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基であり、
a及びbは0以上4以下の整数であり、
c及びdは0以上3以下の整数であり、
m及びnは0以上2以下の整数であり、m又はnが0である場合、L及びLはそれぞれ単結合を表し、
「置換されたもしくは置換されない」とは、重水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、及び置換されないアリール基からなる群から選択される一つ以上の置換基に置換されたもしくは置換されないことを意味する。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式2または化学式3で表される請求項1に記載のモノアミン化合物:
【化2】
(化学式2)
【化3】
(化学式3)
前記化学式2及び化学式3において、
X、Ar、R~R、L、L、a~d、m、及びnは化学式1で定義した通りである。
【請求項3】
前記化学式1は、化学式4または化学式5で表される請求項1に記載のモノアミン化合物:
【化4】
(化学式4)
【化5】
(化学式5)
前記化学式4及び化学式5において、
X、Ar、R~R、L、L、a~d、m、及びnは化学式1で定義した通りである。
【請求項4】
前記m及びnはそれぞれ独立して0または1であり、
前記L及びLはそれぞれ独立して置換されたもしくは置換されない環形成炭素数6以上12以下のアリーレン基であり、m又はnが0である場合、L及びLはそれぞれ単結合を表す請求項1に記載のモノアミン化合物。
【請求項5】
前記Arは、置換されたもしくは置換されない環形成炭素数6以上18以下のアリール基である請求項1に記載のモノアミン化合物。
【請求項6】
前記化学式1は、下記化学式6で表される請求項1に記載のモノアミン化合物:
【化6】
(化学式6)
前記化学式6において、
X、Ar、R~R、L、L、a~d、m、及びnは化学式1で定義した通りである。
【請求項7】
前記化学式1で表されるモノアミン化合物は、下記第1化合物群に示した化合物のうちから選択されるいずれか一つである請求項1に記載のモノアミン化合物。
[第1化合物群]
【化7】
【請求項8】
第1電極と、
前記第1電極の上に配置される第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置される有機層と、含み、
前記有機層は、請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載のモノアミン化合物を含む有機電界発光素子。
【請求項9】
前記有機層は、
前記第1電極の上に配置される正孔輸送領域と、
前記正孔輸送領域の上に配置される発光層と、
前記発光層の上に配置される電子輸送領域と、を含み、
前記正孔輸送領域は前記モノアミン化合物を含む請求項8に記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
前記正孔輸送領域は、
前記第1電極の上に配置される正孔注入層と、
前記正孔注入層の上に配置される正孔輸送層と、を含み、
前記正孔注入層または正孔輸送層が前記モノアミン化合物を含む請求項9に記載の有機電界発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子及び有機電界発光素子用モノアミン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、映像表示装置として、有機電界発光表示装置(Organic Electroluminescence Display)の開発が盛んに行われている。有機電界発光表示装置は液晶表示装置などとは異なって、第1電極及び第2電極から注入された正孔及び電子を発光層において再結合させることで、発光層において有機化合物を含む発光材料を発光させて表示を実現するいわゆる自発光型表示装置である。
【0003】
有機電界発光素子を表示装置に応用するに当たっては、有機電界発光素子の低駆動電圧化、高発光効率化及び長寿命化が要求されており、これを安定的に実現し得る有機電界発光素子用材料の開発が持続的に要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0054262号公報
【文献】米国特許出願公開第2017/0125689号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、有機電界発光素子及び有機電界発光素子用モノアミン化合物を提供することを一目的とし、より詳しくは、高効率の有機電界発光素子及び有機電界発光素子の正孔輸送領域に含まれるアミン化合物を提供することを一目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子は、第1電極と、前記第1電極の上に配置される第2電極と、前記第1電極と第2電極との間に配置される有機層と、を含む。前記有機層は、3つの環が縮合されたヘテロ化合物、及び4つの環が縮合されたヘテロ化合物を置換基として含むモノアミン化合物を含む。前記4つの環が縮合されたヘテロ化合物は、酸素原子及び硫黄原子のうち少なくとも一つの原子を2つ含む。
【0007】
前記3つの環が縮合されたヘテロ化合物は、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子のうちいずれか一つを含む。
【0008】
前記ヘテロ化合物は、それぞれ独立してアミノ基とリンカーを介して結合するか、または直接結合する。
【0009】
前記有機層は、前記第1電極の上に配置される正孔輸送領域と、前記正孔輸送領域の上に配置される発光層と、前記発光層の上に配置される電子輸送領域と、を含む。前記正孔輸送領域は、前記モノアミン化合物を含む。
【0010】
前記正孔輸送領域は、前記第1電極の上に配置される正孔注入層、及び前記正孔注入層の上に配置される正孔輸送層を含む。前記正孔注入層または正孔輸送層が、前記モノアミン化合物を含む。
【0011】
前記モノアミン化合物は、下記化学式1で表される。
【化1】
(化学式1)
【0012】
前記化学式1において、XはNAr、S、またはOであり、A及びBはそれぞれ独立してOまたはSであり、Ar及びArはそれぞれ独立して置換されたもしくは置換されない環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換されたもしくは置換されない環形成炭素数2以上30以下ヘテロアリール基であり、R~Rはそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換されたもしくは置換されない炭素数1以上20以下のアルキル基、置換されたもしくは置換されない環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換されたもしくは置換されない環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、L及びLは、はそれぞれ独立して置換されたもしくは置換されない環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、または置換されたもしくは置換されない環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基であり、a及びbは0以上4以下の整数であり、c及びdは0以上3以下の整数であり、m及びnは0以上2以下の整数であり、m及びnが0のとき単結合を表す。
【0013】
前記化学式1は、下記化学式2または化学式3で表される。
【化2】
(化学式2)
【化3】
(化学式3)
【0014】
前記化学式2及び化学式3において、X、Ar、R~R、L、L、a~d、m、及びnは化学式1で定義した通りである。
【0015】
前記化学式1は、下記化学式4または化学式5で表される。
【化4】
(化学式4)
【化5】
(化学式5)
【0016】
前記化学式4及び化学式5において、X、Ar、R~R、L、L、a~d、m、及びnは化学式1で定義した通りである。
【0017】
前記m及びnはそれぞれ独立して0または1であり、前記L及びLはそれぞれ独立して直接結合または置換されたもしくは置換されない環形成炭素数6以上12以下のアリーレン基であり、m及びnが0のとき単結合を表す。
【0018】
前記Arは、置換されたもしくは置換されない環形成炭素数6以上18以下のアリール基である。
【0019】
前記化学式1は、下記化学式6で表される。
【化6】
(化学式6)
【0020】
前記化学式6において、X、Ar、R~R、L、L、a~d、m、及びnは化学式1で定義した通りである。
【0021】
本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子は、第1電極と、前記第1電極の上に配置される第2電極と、前記第1電極と第2電極との間に配置される有機層と、を含む。前記有機層は、前記化学式1で表されるモノアミン化合物を含む。
【0022】
前記有機層は、前記第1電極の上に配置される正孔輸送領域と、前記正孔輸送領域の上に配置される発光層と、前記発光層の上に配置される電子輸送領域と、を含む。前記正孔輸送領域は、前記化学式1で表されるアミン化合物を含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態によれば、発光効率の優れた有機電界発光素子を提供することができる。
【0024】
発明の一実施形態によれば、モノアミン化合物は有機電界発光素子の正孔輸領域層の材料として使用することができ、これを使用することで有機電界発光素子の発光効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
上述した本発明の目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付した図面及び下記好ましい実施形態を介して容易に理解できるはずである。しかし、本発明はここで説明される実施形態に限らず、他の形態に具体化されてもよい。むしろ、ここで紹介される実施形態は開示された内容が徹底で完全なものになるように、そして通常の技術者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするために提供されるものである。
【0027】
各図面を説明しながら、類似した参照符号を類似した構成要素に対して使用している。添付した図面において、構造物の寸法は本発明の明確性のために実際より拡大して示している。第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用されるが、前記構成要素は前記用語に限定されない。上記用語は一つの構造要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながらも第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、類似して第2構成要素も第1構成要素と命名されてもよい。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0028】
本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は明細書の上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解すべきである。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるとする場合、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下部に」にあるとする場合、これは他の部分の「直下」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。
【0029】
図1及び図4を参照して本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子について説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。図4は、本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【0031】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子10は、第1電極EL1、有機層OL、及び第2電極EL2を含む。第1電極EL1及び第2電極EL2は互いに対向して配置され、第1電極EL1と第2電極EL2との間には有機層OLが配置される。
【0032】
一方、図2図1に比べ、有機層OLが正孔輸送領域HTR、発光層EML、及び電子輸送領域ETRを含む一実施形態の有機電界発光素子10の断面図を示している。
【0033】
また、図3図2に比べ、正孔輸送領域HTRが正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTLを含み、電子輸送領域ETRが電子注入層EIL及び電子輸送層ETLを含む一実施例の有機電界発光素子10の断面図を示している。
【0034】
なお、図4図2に比べ、正孔輸送領域HTRが正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、及び電子阻止層EBLを含み、電子輸送領域ETRが正孔阻止層HBL、電子輸送層ETL、及び電子注入層EILを含む一実施例の有機電界発光素子10の断面図を示している。
【0035】
有機層OLは、本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物を含む。以下、本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物を詳しく説明した上、有機電界発光素子10の各層について説明する。
【0036】
本明細書において、「置換されたもしくは置換されない」とは重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、シリル基、ホウ素基、ホスフィン基、アルキル基、アリール基、及びヘテロ環基からなる群から選択される一つ以上の置換基に置換されたもしくは置換されないことを意味する。また、上記例示された置換基それぞれは、置換されたもしくは置換されないものである。例えば、ビフェニリル基はアリール基と解釈されてもよく、フェニル基に置換されたフェニル基と解釈されてもよい。
【0037】
本明細書において、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられる。
【0038】
本明細書において、アルキル基は直鎖、分枝鎖、または環状である。アルキル基の炭素数は、1以上30以下、1以上20以下、1以上10以下、または1以上4以下である。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、2-エチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、シクロペンチル基、1-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-エチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-ブチルヘキシル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-t-ブチルシクロヘキシル基、n-ヘプチル基、1-メチルペプチル基、2,2-ジメチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、2-ブチルヘプチル基、n-オクチル基、tーオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルオクチル基、3,7-ジメチルオクチル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、アダマンチル基、2-エチルデシル基、2-ブチルデシル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルデシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、2-エチルドデシル基、2-ブチルドデシル基、2-ヘキシルドデシル基、2-オクチルデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、2-エチルヘキサデシル基、2-ブチルヘキサデシル基、2-ヘキシルヘキサデシル基、2-オクチルヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、2-エチルイコシル基、2-ブチルイコシル基、2-ヘキシルイコシル基、2-オクチルイコシル基、n-ヘンイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基、n-ペンタコシル基、n-ヘキサコシル基、n-ヘプタコシル基、n-オクタコシル基、n-ノナコシル基、及びn-トリアコンチル基などが挙げられるが、これに限定されない。
【0039】
本明細書において、アリール基は芳香族炭化水素環から誘導された任意の官能基または置換基を意味する。アリール基は、単環式アリール基または多環式アリール基である。アリール基の環形成炭素数は、6以上30以下、6以上20以下、または6以上12以下である。アリル基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、クォーターフェニリル基、クインクフェニリル基、セクシフェニリル基、ビフェニレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、ベンゾフルオランテニル基、クリセニル基などが挙げられるが、これに限定されない。
【0040】
本明細書において、フルオレニル基は置換されてもよく、2つの置換基が互いに結合してスピロ構造を形成してもよい。フルオレニル基が置換される場合の例示は以下のようである。但し、これに限定されない。
【0041】
【化7】



本明細書において、ヘテロアリール基はヘテロ原子としてO、N、P、Si及びSのうち一つ以上を含むヘテロアリール基である。ヘテロアリール基がヘテロ原子を2つ含む場合、2つのヘテロ原子は互いに同じであってもよく、異なってもよい。ヘテロアリール基の環形成炭素数は、2以上30以下、または5以上12以下である。多環式ヘテロアリール基は、例えば2環または3還構造を有してもよい。多環式ヘテロアリール基は、例えば2環または3還構造を有してもよい。ヘテロアリル基の例としては、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジニル基、ビピリジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジル基、ピリダジニル基、ピリジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フェノキサニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、N-アリールカルバゾリル基、N-ヘテロアリールカルバゾリル基、N-アルキルカルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、チエノチオフェニル基、ベンゾフラニル基、フェナントロリニル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基、ジベンゾシロリル基、及びジベンゾフラニル基などが挙げられるが、これに限定されない。
【0042】
本明細書において、シリル基はアルキルシリル基及びアリールシリル基を含む。シリル基の例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これに限定されない。
【0043】
本明細書において、アリーレン基は、2価基であることを除いては上述したアリール基に関する説明が適用される。
【0044】
本明細書において、ヘテロアリーレン基は、2価基であることを除いては上述したヘテロアリール基に関する説明が適用される。
【0045】
一実施形態において、モノアミン化合物は3つの環が縮合されたヘテロ化合物、及び4つの環が縮合されたヘテロ化合物を置換基として含むが、4つの環が縮合されたヘテロ化合物は酸素原子及び硫黄原子のうち少なくとも一つの原子を2つ含む。例えば、モノアミン化合物に含まれる4つの環が縮合されたヘテロ化合物は酸素原子を2つ含んでもよい。または、モノアミン化合物に含まれる4つの環が縮合されたヘテロ化合物は硫黄原子を2つ含んでもよい。または、モノアミン化合物に含まれる4つの環が縮合されたヘテロ化合物は、酸素原子及び硫黄原子をそれぞれ一つずつ含んでもよい。
【0046】
モノアミン化合物に含まれる3つの環が縮合されたヘテロ化合物は、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子のうちいずれか一つを含む。
【0047】
一実施例において、モノアミン化合物に含まれる3つの環が縮合されたヘテロ化合物は、リンカーを介してアミノ基と結合するか、またはアミノ基と直接結合する。
【0048】
一実施例において、モノアミン化合物に含まれる4つの環が縮合されたヘテロ化合物は、リンカーを介してアミノ基と結合するか、またはアミノ基と直接結合する。
【0049】
一実施形態に係るモノアミン化合物は、下記化学式1で表される。
【化8】
(化学式1)
【0050】
化学式1において、XはNAr、S、またはOである。
【0051】
化学式1において、A及びBはそれぞれ独立してOまたはSである。
【0052】
化学式1において、Ar及びArはそれぞれ独立して置換されたもしくは置換されない環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換されたもしくは置換されない環形成炭素数2以上30以下ヘテロアリール基である。
【0053】
化学式1において、R~Rはそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換されたもしくは置換されない炭素数1以上20以下のアルキル基、置換されたもしくは置換されない環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換されたもしくは置換されない環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。
【0054】
化学式1において、L及びLは、置換されたもしくは置換されない環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、または置換されたもしくは置換されない環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基である。
【0055】
化学式1において、a及びbは0以上4以下の整数である。一方、aが2以上であれば複数のRは互いに同じであるか異なり、bが2以上であれば複数のRは互いに同じであるか異なる。
【0056】
化学式1において、c及びdは0以上3以下の整数である。一方、cが2以上であれば複数のRは互いに同じであるか異なり、dが2以上であれば複数のRは互いに同じであるか異なる。
【0057】
化学式1において、m及びnは0以上2以下の整数である。一方、mが2以上であれば複数のLは互いに同じであるか異なり、nが2以上であれば複数のLは互いに同じであるか異なる。
【0058】
一実施形態において、化学式1のm及びnはそれぞれ独立して0であり、L及びLはそれぞれ独立して窒素原子と直接結合している。
【0059】
一実施例において、化学式1のm及びnはそれぞれ独立して1であり、L及びLはそれぞれ独立して置換されたもしくは置換されない環形成炭素数6以上12以下のアリーレン基である。L及びLは、例えば、それぞれ独立して置換されたもしくは置換されないフェニレニル基、または置換されたもしくは置換されないビフェニレニル基であってもよい。但し、これに限定されない。
【0060】
一実施例において、化学式1のArは置換されたもしくは置換されない環形成炭素数6以上20以下のアリール基である。例えば、Arは置換されたもしくは置換されないフェニル基、置換されたもしくは置換されないビフェニリル基、置換されたもしくは置換されないナフチル基、または置換されたもしくは置換されないフルオレニル基であってもよい。但し、これに限定されない。
【0061】
一実施例において、化学式1のA及びBは互いに同じ原子である。この場合、化学式1は、下記化学式2または化学式3で表される。
【化9】
(化学式2)
【化10】
(化学式3)
【0062】
化学式2及び化学式3において、X、Ar、R~R、L、L、a~d、m、及びnは化学式1で定義した通りである。
【0063】
一実施形態において、化学式1のA及びBは互いに異なる原子である。この場合、化学式1は、下記化学式4または化学式5で表される。
【化11】
(化学式4)


(化学式5)
【0064】
化学式4及び化学式5において、X、Ar、R~R、L、L、a~d、m、及びnは化学式1で定義した通りである。
【0065】
一実施形態において、化学式1は下記化学式6で表される。
【化12】
(化学式6)
【0066】
化学式6において、X、Ar、R~R、L、L、a~d、m、及びnは化学式1で定義した通りである。
【0067】
発明の一実施形態に係る化学式1で表されるモノアミン化合物は、下記第1化合物群に示した化合物のうちから選択されるいずれか一つである。但し、これに限定されない。
【0068】
[第1化合物群]
【化13】
【0069】
更に図1及び図3を参照して、本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子について説明する。有機層OLは、上述した本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物を含む。例えば、有機層OLが化学式1で表されるモノアミン化合物を含んでもよい。
【0070】
以下では上述した本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物との差を中心に詳しく説明するが、説明されていない部分は上述した本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物に従う。
【0071】
第1電極EL1は導電性を有する。第1電極EL1は画素電極または正極である。第1電極EL1は、透過型電極、半透過型電極、または反射型電極である。第1電極EL1が透過型電極であれば、第1電極EL1は透明金属酸化物、例えば、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)などを含む。第1電極EL1が半透過型電極または反射型電極であれば、第1電極EL1はAg、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、またはこれらの化合物や混合物(例えば、AgとMgの混合物)を含む。また、前記物質からなる反射膜や半透過膜、及びITO、IZO、ZnO、ITZOなどからなる透明導電膜を含む複数の層構造である。例えば、第1電極EL1はITO/Ag/ITOの3槽構造を有してもよいが、これに限定されない。
【0072】
第1電極EL1の厚さは、約100nm以上約1000nm以下、例えば、約100nm以上約300nm以下である。
【0073】
第1電極EL1の上には有機層OLが配置される。有機層OLは、正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETRを含む。有機層OLが正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETRを含めば、このうち少なくとも一つの層に一実施形態に係るモノアミン化合物が含まれる。
【0074】
正孔輸送領域HTRは第1電極EL1の上に配置される。正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、正孔バッファ層、及び電子阻止層EBLのうち少なくとも一つを含む。
【0075】
正孔輸送領域HTRは、単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、または複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有する。
【0076】
例えば、正孔輸送領域HTRは正孔注入層HILまたは正孔輸送層HTLの単一層の構造を有してもよく、正孔注入物質と正孔輸送物質からなる単一構造を有してもよい。また、正孔輸送領域HTRは、複数の互いに異なる物質で形成される単一層の構造を有するか、第1電極EL1から順番に積層された正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL、正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/正孔バッファ層、正孔注入層HIL/正孔バッファ層、正孔輸送層HTL/正孔バッファ層、または正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/正孔阻止層EBLの構造を有してもよいが、これに限定されない。
【0077】
一実施形態において、正孔輸送領域HTRは本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物を含む。正孔輸送領域HTRは複数の層を有する多層構造を有し、複数の層のうちいずれか一つの層が化学式1で表されるモノアミン化合物を含む。例えば、正孔輸送領域HRTは、第1電極EL1の上に配置される正孔注入層HIL及び正孔注入層HILの上に配置される正孔輸送層HTLを含み、正孔輸送層HTLが化学式1で表されるモノアミン化合物を含む。但し、これに限らず、例えば、正孔注入層HILが一実施形態のモノアミン化合物を含んでもよい。
【0078】
正孔輸送領域HTRは、一実施例のモノアミン化合物を1種または2種以上含む。例えば、正孔輸送領域HTRは、上述した第1化合物群に示した化合物のうちから選択される少なくとも一つを含んでもよい。
【0079】
正孔輸送領域HTRは、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(Langmuir-Blodgett)、インクジェットプリント法、レーザプリント法、レーザ熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)などのような多様な方法を利用して形成される。
【0080】
但し、正孔輸送領域は各層別に下記材料を更に含んでもよい。
【0081】
正孔注入層HTLは、例えば、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物と、DNTPD(N,N’-ビス[4-ジ(m-トリル)アミノフェニル]-N,N'-ジフェニルベンジジン)、m-MTDATA(4,4’,4’’-トリス[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン)、TDATA(4,4’,4’’-トリス(ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン)、2-TNATA(4,4’,4”-トリス{N,-(2-ナフチル)-N-フェニルアミノ}-トリフェニルアミン)、PEDOT/PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルフォナート)、PANI/DBSA(ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸)、PANI/CSA(ポリアニリンカーンファースルホン酸)、PANI/PSS(ポリアニリン)/ポリ(4-スチレンスルフォナート)、NPD(N,N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ジフェニル-ベンジジン)、トリフェニルアミンを含むポリエテールケトン(TPAPEK)、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、HAT-CN(ジピラジノ[2,3-f:2’,3’-h]キノキサリン-2,3,6,7,10、11-ヘキサカルボニトリル)などを含んでもよい。
【0082】
正孔輸送層HTLは、上述したように、一実施例のモノアミン化合物を含む。但し、これに限らず、該当技術分野で知られている一般的な材料を含んでもよい。例えば、N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール系誘導体、フルオレン系誘導体、TPD(N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジアミン)、TCTA(4,4’,4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン)などのようなトリフェニルアミン系誘導体、NPD(N,N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ジフェニル-ベンジジン)、TAPC(4,4’-シクロへキシリデンビス[N,N-ビス(4-メチルフェニル)ベンゼンアミン])、HMTPD(4,4’-ビス[N,N’-(3-トリル)アミノ]-3,3’-ジメチルビフェニル)などを更に含んでもよい。
【0083】
電子阻止層EBLは、例えば、N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール系誘導体、フルオレン系誘導体、TPD(N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジアミン)、TCTA(4,4’、4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン)などのようなトリフェニルアミン系誘導体、NPD(N,N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ジフェニル-ベンジジン)、TAPC(4,4’-シクロへキシリデンビス[N,N-ビス(4-メチルフェニル)ベンゼンアミン])、HMTPD(4,4’-ビス[N,N’-(3-トリル)アミノ]-3,3’-ジメチルビフェニル)、またはmCPなどを含んでもよい。
【0084】
正孔輸送領域HTRの厚さは、約10nm以上約1000nm以下、例えば、約10nm以上約500nm以下である。正孔注入層HILの厚さは、例えば約3nm以上約100nm以下であり、正孔輸送層HTLの厚さは、約3nm以上約100nm以下である。例えば、電子阻止層EBLの厚さは、約1nm以上約100nm以下である。正孔輸送領域HTR、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、及び電子阻止層EBLの厚さが上述したような範囲を満足すれば、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の正孔輸送特性が得られる。
【0085】
正孔輸送領域HTRは、上述した物質以外に、導電性を向上するために電荷生成物質を更に含む。電荷発生物質は、正孔輸送領域HTR内に均一にまたは不均一に分散されている。電荷発生物質は、例えば、p-ドーパント(dopant)である。p-ドーパントはキノン誘導体、金属酸化物及びシアノ基含有化合物のうち一つであってもよいが、これに限定されない。例えば、p-ドーパントの非制限的な例としては、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)及びF4-TCNQ(2,3,5,6-テトラフルオロ-テトラシアノキノジメタン)などのようなキノン誘導体、タングステン酸化物、及びモリブデン酸化物のような金属酸化物などが挙げられるが、これに限定されない。
【0086】
正孔輸送領域HTRは、正孔バッファ層及び電子阻止層EBLのうち少なくとも一つを更に含む。正孔バッファ層は、発光層EMLから放出される光の波長による共振距離を補償して光放出効率を増加させる。正孔バッファ層に含まれる物質としては、正孔輸送領域HTRに含まれ得る物質を使用する。電子阻止層EBLは、電子輸送領域ETRから正孔輸送領域HTRへの電子の注入を防止する役割をする層である。
【0087】
発光層EMLは正孔輸送領域HTRの上に配置される。発光層EMLは、例えば約10nm以上100nm以下、または約10nm以上約60nm以下の厚さを有する。発光層EMLは、単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、または複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有する。
【0088】
発光層EMLの材料としては公知の発光材料を使用してもよく、特に限定されないが、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、アリールアセチレン誘導体、アントラセン誘導体、フルオレン誘導体、ぺリレン誘導体、クリセン誘導体などから選択される。好ましくは、ピレン誘導体、ぺリレン誘導体、アントラセン誘導体が挙げられる。例えば、発光層EMLのホスト材料として、下記化学式7で表されるアントラセン誘導体を使用してもよい。
【化14】
(化学式7)
【0089】
化学式7において、W~Wはそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換されたもしくは置換されないシリル基、置換されたもしくは置換されない炭素数1以上20以下のアルキル基、置換されたもしくは置換されない環を形成する炭素数6以上30以下のアリール基、または置換されたもしくは置換されない環を形成する炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、隣接する基と互いに結合して環を形成し、m1及びm2はそれぞれ独立して0以上4以下の整数であり、m3及びm4はそれぞれ独立して0以上5以下の整数である。
【0090】
m1が2以上であれば、複数のWは互いに同じであるか異なる。m2が2以上であれば、複数のWは互いに同じであるか異なる。m3が2以上であれば、複数のWは互いに同じであるか異なる。m4が2以上であれば、複数のWは互いに同じであるか異なる。
【0091】
化学式7で示される化合物としては、一例として下記構造式で示した化合物が挙げられる。但し、前記化学式7で表示される化合物は以下に限定されない。
【化14】
【0092】
発光層EMLは、例えば、スピロ-DPVBi、スピロ-6P、2,2’,7,7’-テトラキス(ビフェニル-4-イル)-9,9’-スピロビフルオレン(スピロ-セクシフェニル))、DSB(ジスチリル-ベンゼン)、DSA(ジスチリル-アリレン)、PFO(ポリフルオレン)系高分子、及びPPV(ポリ(p-フェニレンビニレン)系高分子からなる群より選択されるいずれか一つを含む蛍光物質を含んでもよい。
【0093】
発光層EMLは、例えば、ドーパントを更に含んでもよいが、ドーパントとしては公知の材料を使用する。例えば、スチリル誘導体(例えば、1,4-ビス[2-(3-N-エチルカルバゾリル)ビニル」ベンゼン(BCzVB)、4-(ジ-p-トリルアミノ)-4”-[(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]スチルベン(DPAVB)、N-(4-((E)-2-(6-((E)-4-(ジフェニルアミノ)スチリル)ナフタレン-2-イル)ビニル)フェニル)-N-フェニルベンゼンアミン(N-BDAVBi)、ぺリレン及びその誘導体(例えば、2,5,8,8,11-テトラ-t-ブチルぺリレン(TBPe))、ピレン及びその誘導体(例えば、1,1-ジピレン、1,4-ジピレニルベンゼン、1-4-ビス(N,N-ジフェニルアミノ)ピレン、1,6-ビス(N,N-ジフェニルアミノ)ピレン)、2,5,8,11-テトラ-t-ブチルぺリレン(TBP)、TPBi(1,3,5-トリス(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ベンゼン)などをドーパントして使用してもよい。
【0094】
発光層EMLは、例えば、Alq(トリス(8-ヒドロキシキノリノ)アルミニウム)、CBP(4,4’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1’-ビフェニル)、PVK(ポリ(n-ビニルカルバゾール)、ADN(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、TCTA(4,4’,4”-トリス(カルバゾール-9-イル)-トリフェニルアミン)、TPBi(1,3,5-トリス(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ベンゼン)、TBADN(3-tert-ブチル-9,10-ジ(ナフト-2-イル)アントラセン)、DSA(ジスチリルアリレン)、CDBP(4,4’-ビス(9-カルバゾリル)-2,2’-ジメチル-ビフェニル)、MADN(2-メチル-9,10-ビス(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、DPEPO(ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキシド)、CP1(ヘキサフェニルシクロトリホスファゼン)、UGH2(1,4-ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン)、DPSiO(ヘキサフェニルシクロトリシロキサン)、DPSiO(オクタフェニルシクロテトラシロキサン)、またはPPF(2,8-ビス(ジフェニルホスフォリル)ジゼンゾフラン)などを含んでもよい。
【0095】
電子輸送領域ETRは、発光層EMLの上に配置される。電子輸送領域ETRは、正孔阻止層HBL、電子輸送層ETL及び電子注入層のEILうち少なくとも一つを含むが、これに限定されない。
【0096】
電子輸送領域ETRは、単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、または複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有する。
【0097】
例えば、電子輸送領域ETRは電子注入層のEILまたは電子輸送層ETLの単一層構造を有してもよく、電子注入物質と電子輸送物質からなる単一層構造を有してもよい。また、電子輸送領域ETRは、複数の互いに異なる物質からなる単一層の構造を有するか、発光層EMLから順番に積層された電子輸送層ETL/電子注入層EIL、正孔阻止層HBL/電子輸送層ETL/電子注入層EILの構造を有してもよいが、これに限定されない。電子輸送領域ETRの厚さは、例えば、約10nm以上約150nm以下である。
【0098】
電子輸送領域ETRは、真空蒸着法、スピンコート法、LB法(Langmuir-Blodgett)、インクジェットプリント法、レーザプリント法、レーザ熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)などのような多様な方法を利用して形成される。
【0099】
電子輸送領域ETRが電子輸送層ETLを含めば、電子輸送領域ETRは、Alq(トリス(8-ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム)、1,3,5-トリ[(3-ピリジル)-フェン-3-イル]ベンゼン、2,4,6-トリス(3’-ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン、DPEPO(ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキシド)、2-(4-(N-フェニルベンゾイミダゾリル-1-イルフェニル)-9,10-ジナフチルアントラセン、TPBi(1,3,5-トリス(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ベンゼン)、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Bphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、TAZ(3-(4-ビフェニルイル)-4-フェニル-5-テルト-ブチルフェニル-1,2,4-トリアゾール)、NTAZ(4-(ナフタレン-1-イル)-3,5-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾール)、tBu-PBD(2-(4-ビフェニルイル)-5-(4-テルトーブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール)、BAlq(ビス(2-メチル-8-キノリノラト-N1,O8)-(1,1’-ビフェニル-4-オラト)アルミニウム)、Bebq(ベリリウムビス(ベンゾキノリン-10-オラト)、ADN(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、またはこれらの混合物を含むが、これに限定されない。正孔輸送層ETLの厚さは、約10nm以上約100nm以下、例えば、約15nm以上約50nm以下である。電子輸送層HTLの厚さが上述したような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の電子輸送特性が得られる。
【0100】
電子輸送領域ETRが電子注入層EILを含めば、電子輸送領域ETRは、LiF、Cul、RbCl、Rbl、NaCl、CsFのようなハロゲン化金属、LiO、BaOのような金属酸化物、Ybのようなランタン族金属、またはLiq(リチウムキノラート)などが使用されてもよいが、これに限定されない。電子注入層EILはまた、電子輸送物質と絶縁性の有機金属塩(organo metal salt)が混合された物質からなる。有機金属塩は、エネルギーバンドギャップ(energy band gap)が約4eV以上の物質である。詳しくは、例えば、有機金属塩は、酢酸金属塩(metal acetate)、安息香酸金属塩(metal benzoate)、アセト酢酸金属塩(metal acetoacetate)、金属アセチルアセトナート(metal acetylacetonate)、またはステアリン酸金属塩(stearate)を含む。電子注入層EILの厚さは、約0.1nm以上約10nm以下、例えば、約0.3nm以上約9nmである。電子注入層EILの厚さが上述したような範囲を満足すれば、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の電子注入特性が得られる。
【0101】
電子輸送領域ETRは、上述したように、正孔阻止層HBLを含む。正孔阻止層HBLは、例えば、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Bphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、またはDPEPO(ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキシド)などを含んでもよいが、これに限ることはない。
【0102】
第2電極EL2は電子輸送領域ETRの上に配置される。第2電極EL2は、共通電極または負極である。第2電極EL2は、透過型電極、半透過型電極、または反射型電極である。第2電極EL2が透過型電極であれば、第2電極EL2は透明金属酸化物、例えば、ITO、IZO、ZnO、ITZOなどからなる。
【0103】
第2電極EL2が半透過型電極または反射型電極であれば、第2電極EL2はAg、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、またはこれらを含む化合物や混合物(例えば、AgとMgの混合物)を含む。また、前記物質からなる反射膜や半透過膜、及びITO、IZO、ZnO、ITZOなどからなる透明導電膜を含む複数の層構造である。
【0104】
図示していないが、第2電極EL2は補助電極と連結される。第2電極EL2が補助電極と連結されれば、第2電極EL2の抵抗を減少させることができる。
【0105】
有機電解発光素子10において、第1電極EL1と第2電極EL2にそれぞれ電圧が印加されることで、第1電極EL1から注入された正孔(hole)は正孔輸送領域HTRを経て発光層EMLに移動し、第2電極EL2から注入された電子は電子輸送領域ETRを経て発光層EMLに移動する。電子と正孔は発光層EMLで再結合して励起子(exciton)を生成し、励起子が励起状態から底状態に落ちながら発光するようになる。
【0106】
有機電界発光素子10がトップエミッション型であれば、第1電極EL1は反射型電極であり、第2電極EL2は透過型電極または半透過型電極である。有機電界発光素子10が背面発光型であれば、第1電極EL1は透過型電極または半透過型電極であり、第2電極EL2は反射型電極である。
【0107】
本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子10は、一実施例のモノアミン化合物を含むことを特徴とし、それによって高効率化及び長寿命化効果を実現することができる。また、低駆動電圧の効果もある。
【実施例
【0108】
以下、具体的な実施例及び比較例を介して本発明をより詳細に説明する。下記実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲はこれに限定されない。
【0109】
(合成例)
【0110】
本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物は、例えば、下記のように合成される。但し、本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物の合成方法はこれに限定されない。
【0111】
1.化合物5の合成
(1)化合物Aの合成
【化15】
【0112】
A-1(1.1g)と2,3-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン(2.5g)、Pd(PPh(0.5g)、KCO(3.1g)をTHF(50ml)に溶かした後、80℃で10時間攪拌した。この反応液を常温まで温度を下げた後、水で反応を終結し、エチルエーテルで3回抽出した。分離した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥及び減圧蒸留して得た残渣を、カラムクロマトグラフィ法で分離及び精製して、中間体A-2(2.6g、収率:65%)を得た。
【0113】
中間体A-2(2.6g)とKCO(3.7g)をTHF(50ml)に溶かした後、80℃で3時間攪拌した。この反応液を常温まで温度を下げた後、水で反応を終結し、エチルエーテルで3回抽出した。分離した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥及び減圧蒸留して得た残渣を、カラムクロマトグラフィ法で分離及び精製して、中間体A-3(1.5g、収率:80%)を得た。
【0114】
中間体A-3(1.5g)に、ジクロロメタン(30ml)に溶かしたBr(1.24g)を入れた後、常温で3時間攪拌した。この反応液を水で反応を終結し、Na水溶液(100ml)を入れて、ジクロロメタンと水で3回抽出した。分離した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥及び減圧蒸留して得た残渣を、再結晶で分離及び精製して、中間体A(1.43g、収率:70%)を得た。
(2)化合物5の合成
【化16】
【0115】
反応物5-1(1.6g)と3-ヨード-9-フェニル-9H-カルバゾール(4.6g)、Pd(dba)(0.5g)、PtBu(0.2ml)、及びKOtBu(2.8g)をトルエン(50ml)に溶かした後、85℃で1時間攪拌した。この反応液を常温まで温度を下げた後、水で反応を終結し、エチルエーテルで3回抽出した。分離した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥及び減圧蒸留して得た残渣を、カラムクロマトグラフィ法で分離及び精製して、中間体5-2(2.6g、収率:65%)を得た。
【0116】
中間体5-2(2.6g)と3-ヨード-9-フェニル-9H-カルバゾールの代わりに化合物A(2.2g)を使用したことを除いては、中間体5-2の合成方法と同じく行って、化合物5(2.8g、収率:80%)を得た。
【0117】
2.化合物24の合成
【化17】
反応物24-1(1.1g)と2-(4-ブロモフェニル)ジベンゾ[b,d]チオフェン(3.3g)、Pd(dba)(0.5g)、PtBu(0.2ml)、及びKOtBu(2.8g)をトルエン(50ml)に溶かした後、85℃で1時間攪拌した。この反応液を常温まで温度を下げた後、水で反応を終結し、エチルエーテルで3回抽出した。分離した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥及び減圧蒸留して得た残渣を、カラムクロマトグラフィ法で分離及び精製して、中間体24-2(2.5g、収率:75%)を得た。
【0118】
中間体24-2(2.5g)と2-(4-ブロモフェニル)ジベンゾ[b,d]チオフェンの代わりにA(2.2g)を使用したことを除いては、中間体24-2の合成方法と同じく行って、化合物24(2.2g、収率:70%)を得た。
【0119】
3.化合物32の合成
(1)反応物Cの合成
【化18】
【0120】
2,3-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフランの代わりに2,3-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾ[b]チオフェン(2.6gh)を使用したことを除いては、中間体A-2の合成方法と同じく行って、中間体B-1(2.4g)を得た。中間体B-1(2.4g)を化合物A-3の合成方法と同じく行って、中間体B-2(1.6g、収率:80%)を得た。
【0121】
中間体B-2(1.6g)を化合物Aの合成方法と同じく行って、化合物C(1.5g、収率:70%)を得た。
【0122】
(2)化合物32の合成
【化19】
【0123】
5-1(2.0g)と3-(4-ブロモフェニル)-9-フェニル-9H-カルバゾール(4.3g)、Pd(dba)(0.5g)、PtBu(0.2ml)、及びKOtBu(2.8g)をトルエン(50ml)に溶かした後、85℃で1時間攪拌した。この反応液を常温まで温度を下げた後、水で反応を終結し、エチルエーテルで3回抽出した。分離した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥及び減圧蒸留して得た残渣を、カラムクロマトグラフィ法で分離及び精製して、中間体32-1(3.5g、収率:80%)を得た。
【0124】
中間体32-1(3.5g)と3-(4-ブロモフェニル)-9-フェニル-9H-カルバゾール(4.3g)の代わりにC(2.3g)を使用したことを除いては、中間体32-1の合成方法と同じく行って、化合物32(2.5g、収率:70%)を得た。
【0125】
4.化合物59の合成
(1)化合物Dの合成
【化20】
【0126】
D-1(1.7g)に、ジクロロメタン(30ml)に溶かしたBr(1.24g)を入れた後、常温で3時間攪拌した。この反応液を水で反応を終結し、Na水溶液(100ml)を入れて、ジクロロメタンと水で3回抽出した。分離した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥及び減圧蒸留して得た残渣を、再結晶で分離及び精製して、化合物D(1.6g、収率:70%)を得た。
【0127】
(2)化合物59の合成
【化21】
【0128】
反応物24-1(1.2g)と3-ヨード-9-フェニル-9H-カルバゾール(3.4g)、Pd(dba)(0.5g)、PtBu(0.2ml)、及びKOtBu(2.4g)をトルエン(50ml)に溶かした後、85℃で1時間攪拌した。この反応液を常温まで温度を下げた後、水で反応を終結し、エチルエーテルで3回抽出した。分離した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥及び減圧蒸留して得た残渣を、カラムクロマトグラフィ法で分離及び精製して、中間体59-1(2.2g、収率:65%)を得た。
【0129】
中間体59-1(2.2g)と3-ヨード-9-フェニル-9H-カルバゾールの代わりにD(2.2g)を使用したことを除いては、中間体59-1の合成方法と同じく行って、化合物59(2.4g、収率:75%)を得た。
【0130】
5.化合物67の合成
【化22】
【0131】
中間体24-1(1.2g)と2-(4-ブロモフェニル)ジベンゾ[b,d]フラン(3.3g)、Pd(dba)(0.5g)、PtBu(0.2ml)、及びKOtBu(2.5g)をトルエン(50ml)に溶かした後、85℃で1時間攪拌した。この反応液を常温まで温度を下げた後、水で反応を終結し、エチルエーテルで3回抽出した。分離した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥及び減圧蒸留して得た残渣を、カラムクロマトグラフィ法で分離及び精製して、中間体67-1(2.1g、収率:66%)を得た。
【0132】
中間体67-1(2.1g)と2-(4-ブロモフェニル)ジベンゾ[b,d]フランの代わりにD(2.3g)を使用し、67-1のような方法で化合物67(3.6g、収率:80%)を得た。
【0133】
6.化合物75の合成
(1)化合物Bの合成
【化23】
【0134】
2,3-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフランの代わりに2,3-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾ[b]チオフェン(2.6g)を使用したことを除いては、中間体A-2と同じ方法で中間体B-1(2.4g)を得た。
【0135】
中間体B-1(2.4g)を化合物A-3と同じ方法で中間体B-2(1.6g、収率:80%)を得た。
【0136】
中間体B-2(1.6g)を化合物Aと同じ方法で化合物B(1.5g、収率:70%)を得た。
【0137】
(2)化合物75の合成
【化24】
【0138】
反応物75-1(1.8g)と3-ヨード-9-フェニル-9H-カルバゾール(3.9g)、Pd(dba)(0.5g)、PtBu(0.2ml)、及びKOtBu(2.7g)をトルエン(50ml)に溶かした後、85℃で1時間攪拌した。この反応液を常温まで温度を下げた後、水で反応を終結し、エチルエーテルで3回抽出した。分離した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥及び減圧蒸留して得た残渣を、カラムクロマトグラフィ法で分離及び精製して、中間体75-2(2.0g、収率:60%)を得た。
【0139】
中間体75-2(2.0g)とB(2.2g)を使用して、75-2と同じ方法で化合物75(2.5g、収率:79%)を得た。
【0140】
(素子作成例)
上述した化合物5、24、32、59、67、及び75を正孔輸送領域の材料として使用し、実施例1~6の有機電界発光素子を製作した。
[実施例化合物]
【化25】
【0141】
下記比較例化合物R-1~R-4を正孔輸送領域として使用し、比較例1~4の有機電界発光素子を製作した。
[比較例化合物]
【化26】




【0142】
実施例及び比較例の有機電界発光素子は、以下の方法で製造した。アノードは、コーニングの15Ω/cm(120nm)ITOガラス基板を50mmX50mmX0.7mmのサイズに切り取って、イソプロピルアルコールと純水を利用して各5分間超音波洗浄した後、30分間紫外線を照射し、オゾンに露出させて洗浄して、真空蒸着装置にこのガラス基板を設置した。前記基板の上部に、まず正孔注入層として公知の物質である2-TNATAを真空蒸着して60nmの厚さで形成した後、次に正孔輸送性化合物として実施例または比較例化合物を30nmの厚さで蒸着して、正孔輸送層を形成した。
【0143】
上記正孔輸送層の上部に公知の青色蛍光ホストとして、9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン(以下、DNA)と、青色蛍光ドーパントとして公知の化合物である4,4’-ビス[2-(4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル)ビニル]ビフェニル(以下、DPAVBiを、重量比98:2で同時蒸着し、30nmの厚さで発光層を形成した。
【0144】
次に、前記発光層の上部に電子輸送層としてAlqを30nmの厚さで蒸着した後、電子輸送層の上部にハロゲン化アルカリ金属であるLiFを電子注入層として1nmの厚さで蒸着し、Alを300nm(負極電極)の厚さで真空蒸着してLiF/Al電極を形成することで、有機電界発光素子を製造した。各層は、全て真空蒸着法で形成した。
[素子形成化合物]
【化27】
【0145】
実施例1~6、及び比較例1~4による有機電界発光効率を下記表1に示す。発光効率は50mA/cmで測定した値であり、半減寿命は1.0mA/cmにおける試験結果である。
【0146】
【表1】


表1を参照すると、実施例1~6は、比較例1~5と比べると、いずれも低電圧、長寿命、高効率化が実現されていることが分かる。特に、素子の寿命改善効果において、比較例に比べ寿命が大幅に向上されている結果を確認することができる。
【0147】
本発明によるモノアミン化合物は、比較例物質に比べ薄い(shallow)HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)を有するため、電荷注入速度を調節することで正孔と電子の電荷バランスが向上されて、素子の効率及び寿命が向上されたと判断される。
【0148】
本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物は正孔輸送材料として使用されることで、有機電界発光素子の低駆動電圧化、高効率化、及び長寿命化に寄与する。
【0149】
これまで本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須的特徴を変更せずとも他の具体的な形態に実施され得ることを理解できるはずである。よって、上述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解することができる。
【符号の説明】
【0150】
10:有機電界発光素子, EL1:第1電極, HTR:正孔輸送領域, HIL:正孔注入層, HTL:正孔輸送層, EML:発光層, ETR:電子輸送領域, ETL:電子輸送層, EIL:電子注入層, EL2:第2電極
図1
図2
図3
図4