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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】分離装置、および、分離装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/00 20060101AFI20240604BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20240604BHJP
   B01D 71/02 20060101ALI20240604BHJP
   C01B 39/48 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B01D63/00
B01D69/12
B01D71/02
B01D71/02 500
C01B39/48
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020107788
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2021016858
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2019133576
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】野田 憲一
【審査官】本間 友孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-177535(JP,A)
【文献】実開平05-033831(JP,U)
【文献】特開2019-084497(JP,A)
【文献】特開平02-102710(JP,A)
【文献】国際公開第2019/102871(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/067133(WO,A2)
【文献】特開2004-044874(JP,A)
【文献】特開2017-171631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離装置であって、
多孔質の支持体と前記支持体の表面上に形成された分離膜とを備える分離膜複合体と、
前記分離膜複合体を内部に収容する外筒と、
前記外筒を内部に収容する外装体と、
前記外装体の周囲の温度よりも高温の流体を前記外筒の内部に供給する供給部と、
を備え、
前記外筒は、
前記流体のうち前記分離膜複合体を透過した透過物質以外の物質である不透過物質を前記外筒の外部へと排出する第1排出ポートと、
前記流体のうち前記透過物質を前記外筒の外部へと排出する第2排出ポートと、
を備え、
前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートはそれぞれ、前記外装体の内部において前記外筒上に設けられ、
前記外筒から排出された前記透過物質および前記不透過物質のうち一方の物質は、前記外装体の内部における前記外装体と前記外筒との間の空間である外装空間へ、前記外筒の前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートの一方である導入ポートを介して導入可能であり、
前記外装体は、前記導入ポートにより前記外装空間へ導入された前記一方の物質を前記外装体の外部へと排出可能な外装体排出ポートを備え、
前記外装体と前記導入ポートと前記外装体排出ポートとにより囲まれる空間であるポート間空間に、前記分離膜複合体の50体積%以上が含まれ、
前記ポート間空間は、前記外装体の内部空間であって、互いに平行な導入ポート平面と外装体排出ポート平面とにより挟まれる空間であり、
前記導入ポート平面は、前記外筒の前記導入ポートの中心と前記外装体排出ポートの中心とを結ぶ直線に対して鉛直、かつ、前記導入ポートの中心を通る平面であり、
前記外装体排出ポート平面は、前記直線に対して鉛直、かつ、前記外装体排出ポートの中心を通る平面であることを特徴とする分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分離装置であって、
前記外装空間は、前記分離膜の主面の少なくとも法線方向に存在することを特徴とする分離装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の分離装置であって、
前記外筒は、
少なくとも一方の端部に開口を有する筒部と、
前記開口の周囲において前記筒部から外側へと広がるフランジ部と、
前記開口を覆った状態で前記フランジ部に固定されることにより前記開口を密封する蓋部と、
を備えることを特徴とする分離装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の分離装置であって、
前記一方の物質は前記透過物質であることを特徴とする分離装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の分離装置であって、
前記外筒に供給されるよりも前の前記流体を加熱する加熱部をさらに備えることを特徴とする分離装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の分離装置であって、
前記供給部により供給される前記流体の温度が70℃以上であることを特徴とする分離装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の分離装置であって、
前記外装体の周囲に配置されて前記外装体の外表面の少なくとも一部を断熱する断熱部をさらに備えることを特徴とする分離装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1つに記載の分離装置であって、
前記分離膜はゼオライト膜であることを特徴とする分離装置。
【請求項9】
請求項8に記載の分離装置であって、
前記ゼオライト膜を構成するゼオライトの最大員環数は8以下であることを特徴とする分離装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の分離装置であって、
前記流体は、水素、ヘリウム、窒素、酸素、水、水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物、アンモニア、硫黄酸化物、硫化水素、フッ化硫黄、水銀、アルシン、シアン化水素、硫化カルボニル、C1~C8の炭化水素、有機酸、アルコール、メルカプタン類、エステル、エーテル、ケトンおよびアルデヒドのうち、1種類以上の物質を含むことを特徴とする分離装置。
【請求項11】
多孔質の支持体と前記支持体の表面上に形成された分離膜とを備える分離膜複合体と、前記分離膜複合体を内部に収容する外筒と、前記外筒を内部に収容する外装体と、を備える分離装置の運転方法であって、
前記外筒は
記分離膜複合体を透過した透過物質以外の物質である不透過物質を前記外筒の外部へと排出する第1排出ポートと
記透過物質を前記外筒の外部へと排出する第2排出ポートと、
を備え、
前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートはそれぞれ、前記外装体の内部において前記外筒上に設けられ、
前記外筒から排出された前記透過物質および前記不透過物質のうち一方の物質は、前記外装体の内部における前記外装体と前記外筒との間の空間である外装空間へ、前記外筒の前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートの一方である導入ポートを介して導入可能であり、
前記外装体は、前記導入ポートにより前記外装空間へ導入された前記一方の物質を前記外装体の外部へと排出可能な外装体排出ポートを備え、
前記外装体と前記導入ポートと前記外装体排出ポートとにより囲まれる空間であるポート間空間に、前記分離膜複合体の50体積%以上が含まれ、
前記ポート間空間は、前記外装体の内部空間であって、互いに平行な導入ポート平面と外装体排出ポート平面とにより挟まれる空間であり、
前記導入ポート平面は、前記外筒の前記導入ポートの中心と前記外装体排出ポートの中心とを結ぶ直線に対して鉛直、かつ、前記導入ポートの中心を通る平面であり、
前記外装体排出ポート平面は、前記直線に対して鉛直、かつ、前記外装体排出ポートの中心を通る平面であり、
前記分離装置の運転方法は、
a)前記外装体の周囲の温度よりも高温の流体を前記外筒の内部に供給する工程と、
b)前記透過物質および前記不透過物質のうち前記一方の物質を、前記導入ポートを介して前記外装空間へと導入する工程と、
c)前記一方の物質を、前記ポート間空間を通過するようにして前記外装空間から排出する工程と、
を備えることを特徴とする分離装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離装置、および、分離装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多孔質支持体上にゼオライト膜を形成してゼオライト膜複合体とすることにより、ゼオライトの分子篩作用を利用した特定の分子の分離や分子の吸着等の用途について、様々な研究や開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1、2では、ゼオライト膜を利用して、混合ガスを分離する技術が提案されている。特許文献3では、100℃~650℃という高温下でガス分離を行うガス分離体固定構造体の使用方法が開示されている。
【0004】
特許文献4~6では、水と有機溶剤とを含む混合液から水を分離する分離膜モジュールが開示されている。当該分離膜モジュールでは、円筒状のモジュール本体の内部に複数の管状の膜分離部材が配置される。各膜分離部材は、管状のゼオライト分離膜と、分離膜の周囲を取り囲む外筒とを備える。混合液は、分離膜と外筒との間の円筒状の空間を流れる。混合液中の水は、分離膜を径方向内方へと透過して分離膜の内側の空間を通過し、モジュール本体から排出される。混合液中の有機溶剤は、分離膜と外筒との間の空間を通過し、モジュール本体から排出される。
【0005】
非特許文献1では、二重円筒管群が真空容器内に収容されている二重円筒型の分離膜モジュールが開示されている。各二重円筒管では、外筒と内筒(ゼオライト膜)との間の円筒状の空間に供給蒸気が流され、ゼオライト膜と親和性のある成分が、内筒を径方向内方へと透過する。内筒の内側へと透過した蒸気は、外筒端部(すなわち、内筒の一方だけ開放された端部)から真空容器内へと流出し、当該蒸気の流出方向近傍に設けられた排出口から吸引されて真空容器外へと排出される。当該モジュールでは、供給蒸気の凝縮を防止するために、真空容器にヒーターが設けられる。
【0006】
特許文献7には、ハウジング内にガス分離膜エレメントを備えた分離膜モジュールと、分離膜モジュールを収容する筐体と、筐体内の温度を調製する熱源部と、を備えるガス分離装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-159518号公報
【文献】特開2015-044162号公報
【文献】特開2011-189335号公報
【文献】特開2009-039654号公報
【文献】特開2009-066503号公報
【文献】特開2009-226374号公報
【文献】特開2019-084497号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】M. Kondo et.al., Separation and Purification Technology, 32 (2003) p191-198
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述のような分離膜モジュールにおいて高温下で流体の分離を行う場合、流体が流れる外筒からの放熱等を考慮して、モジュールに供給される流体を予め分離温度よりも高温に加熱しておく必要がある。あるいは、非特許文献1や特許文献7のように、ヒーター等の外部熱源によりモジュールや筐体内の加熱を行う必要がある。このため、流体の加熱に多大なエネルギーが必要となり、流体の分離に要するエネルギーが増大する。特に、外筒またはモジュール本体が、フランジ構造を有する場合、放熱面積が大きくなるため、上述の放熱は大きくなる。したがって、流体の分離に要するエネルギーがより増大する。
【0010】
また、非特許文献1では、ゼオライト膜を透過し外筒から真空容器内へと流出した蒸気を速やかに排出できるように、真空容器の排出口は、蒸気が流出する外筒端部の近傍に設けられている。このため、ゼオライト膜を透過した蒸気は、外筒の外表面とほとんど接触することなく、真空容器の外に向かって流れる。したがって、非特許文献1の分離膜モジュールでは、外部への放熱による外筒の温度低下を抑制する効果は小さい。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、分離装置に向けられている。本発明の好ましい一の形態に係る分離装置は、多孔質の支持体と前記支持体の表面上に形成された分離膜とを備える分離膜複合体と、前記分離膜複合体を内部に収容する外筒と、前記外筒を内部に収容する外装体と、前記外装体の周囲の温度よりも高温の流体を前記外筒の内部に供給する供給部と、を備える。前記外筒は、前記流体のうち前記分離膜複合体を透過した透過物質以外の物質である不透過物質を前記外筒の外部へと排出する第1排出ポートと、前記流体のうち前記透過物質を前記外筒の外部へと排出する第2排出ポートと、を備える。前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートはそれぞれ、前記外装体の内部において前記外筒上に設けられる。前記外筒から排出された前記透過物質および前記不透過物質のうち一方の物質は、前記外装体の内部における前記外装体と前記外筒との間の空間である外装空間へ、前記外筒の前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートの一方である導入ポートを介して導入可能である。前記外装体は、前記導入ポートにより前記外装空間へ導入された前記一方の物質を前記外装体の外部へと排出可能な外装体排出ポートを備える。前記外装体と前記導入ポートと前記外装体排出ポートにより囲まれる空間であるポート間空間に、前記分離膜複合体の50体積%以上が含まれる。前記ポート間空間は、前記外装体の内部空間であって、互いに平行な導入ポート平面と外装体排出ポート平面とにより挟まれる空間である。前記導入ポート平面は、前記外筒の前記導入ポートの中心と前記外装体排出ポートの中心とを結ぶ直線に対して鉛直、かつ、前記導入ポートの中心を通る平面である。前記外装体排出ポート平面は、前記直線に対して鉛直、かつ、前記外装体排出ポートの中心を通る平面である。
【0013】
好ましくは、前記外装空間は、前記分離膜の主面の少なくとも法線方向に存在する。
【0014】
好ましくは、前記外筒は、少なくとも一方の端部に開口を有する筒部と、前記開口の周囲において前記筒部から外側へと広がるフランジ部と、前記開口を覆った状態で前記フランジ部に固定されることにより前記開口を密封する蓋部と、を備える。
【0016】
好ましくは、前記一方の物質は前記透過物質である。
【0017】
好ましくは、前記分離装置は、前記外筒に供給されるよりも前の前記流体を加熱する加熱部をさらに備える。
【0018】
好ましくは、前記供給部により供給される前記流体の温度が70℃以上である。
【0019】
好ましくは、前記分離装置は、前記外装体の周囲に配置されて前記外装体の外表面の少なくとも一部を断熱する断熱部をさらに備える。
【0020】
好ましくは、前記分離膜はゼオライト膜である。
【0021】
好ましくは、前記ゼオライト膜を構成するゼオライトの最大員環数は8以下である。
【0022】
好ましくは、前記流体は、水素、ヘリウム、窒素、酸素、水、水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物、アンモニア、硫黄酸化物、硫化水素、フッ化硫黄、水銀、アルシン、シアン化水素、硫化カルボニル、C1~C8の炭化水素、有機酸、アルコール、メルカプタン類、エステル、エーテル、ケトンおよびアルデヒドのうち、1種類以上の物質を含む。
【0023】
本発明は、多孔質の支持体と前記支持体の表面上に形成された分離膜とを備える分離膜複合体と、前記分離膜複合体を内部に収容する外筒と、前記外筒を内部に収容する外装体と、を備える分離装置の運転方法にも向けられている。前記外筒は、前記分離膜複合体を透過した透過物質以外の物質である不透過物質を前記外筒の外部へと排出する第1排出ポートと、前記透過物質を前記外筒の外部へと排出する第2排出ポートと、を備える。前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートはそれぞれ、前記外装体の内部において前記外筒上に設けられる。前記外筒から排出された前記透過物質および前記不透過物質のうち一方の物質は、前記外装体の内部における前記外装体と前記外筒との間の空間である外装空間へ、前記外筒の前記第1排出ポートおよび前記第2排出ポートの一方である導入ポートを介して導入可能である。前記外装体は、前記導入ポートにより前記外装空間へ導入された前記一方の物質を前記外装体の外部へと排出可能な外装体排出ポートを備える。前記外装体と前記導入ポートと前記外装体排出ポートとにより囲まれる空間であるポート間空間に、前記分離膜複合体の50体積%以上が含まれる。前記ポート間空間は、前記外装体の内部空間であって、互いに平行な導入ポート平面と外装体排出ポート平面とにより挟まれる空間である。前記導入ポート平面は、前記外筒の前記導入ポートの中心と前記外装体排出ポートの中心とを結ぶ直線に対して鉛直、かつ、前記導入ポートの中心を通る平面である。前記外装体排出ポート平面は、前記直線に対して鉛直、かつ、前記外装体排出ポートの中心を通る平面である。本発明の好ましい一の形態に係る分離装置の運転方法は、a)前記外装体の周囲の温度よりも高温の流体を前記外筒の内部に供給する工程と、b)前記透過物質および前記不透過物質のうち前記一方の物質を、前記導入ポートを介して前記外装空間へと導入する工程と、c)前記一方の物質を、前記ポート間空間を通過するようにして前記外装空間から排出する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施の形態に係る分離装置を示す図である。
図2】ゼオライト膜複合体の断面図である。
図3】ゼオライト膜複合体の拡大断面図である。
図4】分離装置を示す図である。
図5】流体の分離の流れを示す図である。
図6】第2の実施の形態に係る分離装置を示す図である。
図7】分離装置を示す図である。
図8】流体の分離の流れの一部を示す図である。
図9】他の分離装置を示す図である。
図10】他の分離装置を示す図である。
図11】他の分離装置を示す図である。
図12】他の分離装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る分離装置2の概略構造を示す図である。図1では、一部の構成の断面における平行斜線を省略している(図4図6図7図9~12においても同様)。分離装置2は、流体(すなわち、ガスまたは液体)から、後述するゼオライト膜複合体1に対する透過性が高い物質を分離させる装置である。分離装置2における分離は、例えば、透過性が高い物質を流体から抽出する目的で行われてもよく、透過性が低い物質を濃縮する目的で行われてもよい。
【0027】
上述の流体は、1種類のガス、もしくは、複数種類のガスを含む混合ガスであってもよく、1種類の液体、もしくは、複数種類の液体を含む混合液であってもよく、ガスおよび液体の双方を含む気液二相流体であってもよい。
【0028】
流体は、例えば、水素(H)、ヘリウム(He)、窒素(N)、酸素(O)、水(HO)、水蒸気(HO)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、窒素酸化物、アンモニア(NH)、硫黄酸化物、硫化水素(HS)、フッ化硫黄、水銀(Hg)、アルシン(AsH)、シアン化水素(HCN)、硫化カルボニル(COS)、C1~C8の炭化水素、有機酸、アルコール、メルカプタン類、エステル、エーテル、ケトンおよびアルデヒドのうち、1種類以上の物質を含む。
【0029】
窒素酸化物とは、窒素と酸素の化合物である。上述の窒素酸化物は、例えば、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(一酸化二窒素ともいう。)(NO)、三酸化二窒素(N)、四酸化二窒素(N)、五酸化二窒素(N)等のNO(ノックス)と呼ばれるガスである。
【0030】
硫黄酸化物とは、硫黄と酸素の化合物である。上述の硫黄酸化物は、例えば、二酸化硫黄(SO)、三酸化硫黄(SO)等のSO(ソックス)と呼ばれるガスである。
【0031】
フッ化硫黄とは、フッ素と硫黄の化合物である。上述のフッ化硫黄は、例えば、二フッ化二硫黄(F-S-S-F,S=SF)、二フッ化硫黄(SF)、四フッ化硫黄(SF)、六フッ化硫黄(SF)または十フッ化二硫黄(S10)等である。
【0032】
C1~C8の炭化水素とは、炭素が1個以上かつ8個以下の炭化水素である。C3~C8の炭化水素は、直鎖化合物、側鎖化合物および環式化合物のうちいずれであってもよい。また、C2~C8の炭化水素は、飽和炭化水素(すなわち、2重結合および3重結合が分子中に存在しないもの)、不飽和炭化水素(すなわち、2重結合および/または3重結合が分子中に存在するもの)のどちらであってもよい。C1~C4の炭化水素は、例えば、メタン(CH)、エタン(C)、エチレン(C)、プロパン(C)、プロピレン(C)、ノルマルブタン(CH(CHCH)、イソブタン(CH(CH)、1-ブテン(CH=CHCHCH)、2-ブテン(CHCH=CHCH)またはイソブテン(CH=C(CH)である。
【0033】
上述の有機酸は、カルボン酸またはスルホン酸等である。カルボン酸は、例えば、ギ酸(CH)、酢酸(C)、シュウ酸(C)、アクリル酸(C)または安息香酸(CCOOH)等である。スルホン酸は、例えばエタンスルホン酸(CS)等である。当該有機酸は、鎖式化合物であってもよく、環式化合物であってもよい。
【0034】
上述のアルコールは、例えば、メタノール(CHOH)、エタノール(COH)、イソプロパノール(2-プロパノール)(CHCH(OH)CH)、エチレングリコール(CH(OH)CH(OH))またはブタノール(COH)等である。
【0035】
メルカプタン類とは、水素化された硫黄(SH)を末端に持つ有機化合物であり、チオール、または、チオアルコールとも呼ばれる物質である。上述のメルカプタン類は、例えば、メチルメルカプタン(CHSH)、エチルメルカプタン(CSH)または1-プロパンチオール(CSH)等である。
【0036】
上述のエステルは、例えば、ギ酸エステルまたは酢酸エステル等である。
【0037】
上述のエーテルは、例えば、ジメチルエーテル((CHO)、メチルエチルエーテル(COCH)またはジエチルエーテル((CO)等である。
【0038】
上述のケトンは、例えば、アセトン((CHCO)、メチルエチルケトン(CCOCH)またはジエチルケトン((CCO)等である。
【0039】
上述のアルデヒドは、例えば、アセトアルデヒド(CHCHO)、プロピオンアルデヒド(CCHO)またはブタナール(ブチルアルデヒド)(CCHO)等である。
【0040】
以下の説明では、分離装置2により分離される流体は、複数種類のガスを含む混合物質(すなわち、混合ガス)であるものとして説明する。
【0041】
分離装置2は、ゼオライト膜複合体1と、封止部21と、外筒22と、2つのシール部材23と、外装体24と、供給部26と、第1回収部27と、第2回収部28とを備える。ゼオライト膜複合体1、封止部21およびシール部材23は、外筒22の内部に収容される。外筒22は、外装体24の内部に収容される。供給部26、第1回収部27および第2回収部28は、外装体24の外部に配置される。
【0042】
図2は、ゼオライト膜複合体1の断面図である。図3は、ゼオライト膜複合体1の一部を拡大して示す断面図である。ゼオライト膜複合体1は、多孔質の支持体11と、支持体11上に形成された分離膜であるゼオライト膜12と、を備える分離膜複合体である。ゼオライト膜12とは、少なくとも、支持体11の表面にゼオライトが膜状に形成されたものであって、有機膜中にゼオライト粒子を分散させただけのものは含まない。また、ゼオライト膜12は、構造や組成が異なる2種類以上のゼオライトを含んでいてもよい。図2では、ゼオライト膜12を太線にて描いている。図3では、ゼオライト膜12に平行斜線を付す。また、図3では、ゼオライト膜12の厚さを実際よりも厚く描いている。
【0043】
支持体11はガスおよび液体を透過可能な多孔質部材である。図2に示す例では、支持体11は、一体成形された一繋がりの柱状の本体に、長手方向(すなわち、図2中の左右方向)にそれぞれ延びる複数の貫通孔111が設けられたモノリス型支持体である。図2に示す例では、支持体11は略円柱状である。各貫通孔111(すなわち、セル)の長手方向に垂直な断面は、例えば略円形である。図2では、貫通孔111の径を実際よりも大きく、貫通孔111の数を実際よりも少なく描いている。ゼオライト膜12は、貫通孔111の内側面上に形成され、貫通孔111の内側面を略全面に亘って被覆する。
【0044】
支持体11の長さ(すなわち、図2中の左右方向の長さ)は、例えば10cm~200cmである。支持体11の外径は、例えば0.5cm~30cmである。隣接する貫通孔111の中心軸間の距離は、例えば0.3mm~10mmである。支持体11の表面粗さ(Ra)は、例えば0.1μm~5.0μmであり、好ましくは0.2μm~2.0μmである。なお、支持体11の形状は、例えば、ハニカム状、平板状、管状、円筒状、円柱状または多角柱状等であってもよい。支持体11の形状が管状または円筒状である場合、支持体11の厚さは、例えば0.1mm~10mmである。
【0045】
支持体11の材料は、表面にゼオライト膜12を形成する工程において化学的安定性を有するのであれば、様々な物質(例えば、セラミックまたは金属)が採用可能である。本実施の形態では、支持体11はセラミック焼結体により形成される。支持体11の材料として選択されるセラミック焼結体としては、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化ケイ素、炭化ケイ素等が挙げられる。本実施の形態では、支持体11は、アルミナ、シリカおよびムライトのうち、少なくとも1種類を含む。
【0046】
支持体11は、無機結合材を含んでいてもよい。無機結合材としては、チタニア、ムライト、易焼結性アルミナ、シリカ、ガラスフリット、粘土鉱物、易焼結性コージェライトのうち少なくとも1つを用いることができる。
【0047】
支持体11の平均細孔径は、例えば0.01μm~70μmであり、好ましくは0.05μm~25μmである。ゼオライト膜12が形成される表面近傍における支持体11の平均細孔径は0.01μm~1μmであり、好ましくは0.05μm~0.5μmである。平均細孔径は、例えば、水銀ポロシメータ、パームポロシメータまたはナノパームポロシメータにより測定することができる。支持体11の表面および内部を含めた全体における細孔径の分布について、D5は例えば0.01μm~50μmであり、D50は例えば0.05μm~70μmであり、D95は例えば0.1μm~2000μmである。ゼオライト膜12が形成される表面近傍における支持体11の気孔率は、例えば20%~60%である。
【0048】
支持体11は、例えば、平均細孔径が異なる複数の層が厚さ方向に積層された多層構造を有する。ゼオライト膜12が形成される表面を含む表面層における平均細孔径および焼結粒径は、表面層以外の層における平均細孔径および焼結粒径よりも小さい。支持体11の表面層の平均細孔径は、例えば0.01μm~1μmであり、好ましくは0.05μm~0.5μmである。支持体11が多層構造を有する場合、各層の材料は上記のものを用いることができる。多層構造を形成する複数の層の材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0049】
ゼオライト膜12は、微細孔(マイクロ孔)を有する多孔膜である。ゼオライト膜12は、複数種類の物質が混合した流体から、分子篩作用を利用して特定の物質を分離する分離膜として利用可能である。ゼオライト膜12では、当該特定の物質に比べて他の物質が透過しにくい。換言すれば、ゼオライト膜12の当該他の物質の透過量は、上記特定の物質の透過量に比べて小さい。
【0050】
ゼオライト膜12の厚さは、例えば0.05μm~30μmであり、好ましくは0.1μm~20μmであり、さらに好ましくは0.5μm~10μmである。ゼオライト膜12を厚くすると分離性能が向上する。ゼオライト膜12を薄くすると透過速度が増大する。ゼオライト膜12の表面粗さ(Ra)は、例えば5μm以下であり、好ましくは2μm以下であり、より好ましくは1μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以下である。
【0051】
ゼオライト膜12に含まれるゼオライト結晶の平均細孔径(以下、単に「ゼオライト膜12の平均細孔径」とも呼ぶ。)は、好ましくは0.2nm以上かつ0.8nm以下であり、より好ましくは、0.3nm以上かつ0.5nm以下であり、さらに好ましくは、0.3nm以上かつ0.4nm以下である。ゼオライト膜12の平均細孔径とは、ゼオライト膜12を構成するゼオライト結晶の細孔の最大直径(すなわち、酸素原子間距離の最大値である長径)と、当該長径に略垂直な方向における細孔の直径(すなわち、短径)との算術平均である。ゼオライト膜12の平均細孔径は、ゼオライト膜12が形成される表面近傍における支持体11の平均細孔径よりも小さい。
【0052】
ゼオライト膜12を構成するゼオライトの最大員環数がnである場合、n員環細孔の短径と長径の算術平均を平均細孔径とする。ゼオライトが、nが等しい複数のn員環細孔を有する場合には、全てのn員環細孔の短径と長径の算術平均をゼオライトの平均細孔径とする。なお、n員環とは、細孔を形成する骨格を構成する酸素原子の数がn個であって、各酸素原子が後述のT原子と結合して環状構造をなす部分のことである。また、n員環とは、貫通孔(チャンネル)を形成しているものをいい、貫通孔を形成していないものは含まない。n員環細孔とは、n員環により形成される細孔である。ゼオライト膜12に含まれるゼオライトの最大員環数は、8以下(例えば、6または8)であることが好ましい。
【0053】
ゼオライト膜の平均細孔径は当該ゼオライトの骨格構造によって一義的に決定され、国際ゼオライト学会の“Database of Zeolite Structures”[online]、インターネット<URL:http://www.iza-structure.org/databases/>に開示されている値から求めることができる。
【0054】
ゼオライト膜12は、例えば、DDR型のゼオライトである。換言すれば、ゼオライト膜12は、国際ゼオライト学会が定める構造コードが「DDR」であるゼオライトにより構成されたゼオライト膜である。この場合、ゼオライト膜12を構成するゼオライトの固有細孔径は、0.36nm×0.44nmであり、平均細孔径は、0.40nmである。
【0055】
ゼオライト膜12を構成するゼオライトの種類は特に限定されないが、例えば、AEI型、AEN型、AFN型、AFV型、AFX型、BEA型、CHA型、DDR型、ERI型、ETL型、FAU型(X型、Y型)、GIS型、LEV型、LTA型、MEL型、MFI型、MOR型、PAU型、RHO型、SAT型、SOD型等のゼオライトであってよい。より好ましくは、例えば、AEI型、AFN型、AFV型、AFX型、CHA型、DDR型、ERI型、ETL型、GIS型、LEV型、LTA型、PAU型、RHO型、SAT型等のゼオライトである。さらに好ましくは、例えば、AEI型、AFN型、AFV型、AFX型、CHA型、DDR型、ERI型、ETL型、GIS型、LEV型、PAU型、RHO型、SAT型等のゼオライトである。
【0056】
ゼオライト膜12を構成するゼオライトは、T原子(すなわち、ゼオライトを構成する酸素四面体(TO)の中心に位置する原子)として、例えばアルミニウム(Al)を含む。ゼオライト膜12を構成するゼオライトとしては、T原子がケイ素(Si)のみ、もしくは、SiとAlとからなるゼオライト、T原子がAlとリン(P)とからなるAlPO型のゼオライト、T原子がSiとAlとPとからなるSAPO型のゼオライト、T原子がマグネシウム(Mg)とSiとAlとPとからなるMAPSO型のゼオライト、T原子が亜鉛(Zn)とSiとAlとPとからなるZnAPSO型のゼオライト等を用いることができる。T原子の一部は、他の元素に置換されていてもよい。
【0057】
ゼオライト膜12は、例えば、Siを含む。ゼオライト膜12は、例えば、Si、AlおよびPのうちいずれか2つ以上を含んでいてもよい。ゼオライト膜12は、アルカリ金属を含んでいてもよい。当該アルカリ金属は、例えば、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)である。ゼオライト膜12がSi原子およびAl原子を含む場合、ゼオライト膜12におけるSi/Al比は、例えば1以上かつ10万以下である。Si/Al比は、ゼオライト膜12に含有されるAl元素に対するSi元素のモル比率である。当該Si/Al比は、好ましくは5以上、より好ましくは20以上、さらに好ましくは100以上であり、高ければ高いほど好ましい。後述する原料溶液中のSi源とAl源との配合割合等を調整することにより、ゼオライト膜12におけるSi/Al比を調整することができる。
【0058】
20℃~400℃におけるゼオライト膜12のCOの透過量(パーミエンス)は、例えば100nmol/m・s・Pa以上である。また、20℃~400℃におけるゼオライト膜12のCOの透過量/CH漏れ量比(パーミエンス比)は、例えば100以上である。当該パーミエンスおよびパーミエンス比は、ゼオライト膜12の供給側と透過側とのCOの分圧差が1.5MPaである場合のものである。
【0059】
次に、ゼオライト膜複合体1の製造の流れの一例について説明する。ゼオライト膜複合体1が製造される際には、まず、ゼオライト膜12の製造に利用される種結晶が準備される。種結晶は、例えば、水熱合成にてDDR型のゼオライトの粉末が生成され、当該ゼオライトの粉末から取得される。当該ゼオライトの粉末はそのまま種結晶として用いられてもよく、当該粉末を粉砕等によって加工することにより種結晶が取得されてもよい。
【0060】
続いて、種結晶を分散させた溶液に多孔質の支持体11を浸漬し、種結晶を支持体11に付着させる。あるいは、種結晶を分散させた溶液を、支持体11上のゼオライト膜12を形成させたい部分に接触させることにより、種結晶を支持体11に付着させる。これにより、種結晶付着支持体が作製される。種結晶は、他の手法により支持体11に付着されてもよい。
【0061】
種結晶が付着された支持体11は、原料溶液に浸漬される。原料溶液は、例えば、Si源および構造規定剤(Structure-Directing Agent、以下「SDA」とも呼ぶ。)等を、溶媒に溶解させることにより作製する。原原料溶液の溶媒には、例えば、水、または、エタノール等のアルコールが用いられる。原料溶液に含まれるSDAは、例えば有機物である。SDAとして、例えば、1-アダマンタンアミンを用いることができる。
【0062】
そして、水熱合成により当該種結晶を核としてDDR型のゼオライトを成長させることにより、支持体11上にDDR型のゼオライト膜12が形成される。水熱合成時の温度は、好ましくは120~200℃であり、例えば160℃である。水熱合成時間は、好ましくは10~100時間であり、例えば30時間である。
【0063】
水熱合成が終了すると、支持体11およびゼオライト膜12を純水で洗浄する。洗浄後の支持体11およびゼオライト膜12は、例えば80℃にて乾燥される。支持体11およびゼオライト膜12を乾燥した後に、ゼオライト膜12を加熱処理することによって、ゼオライト膜12中のSDAをおよそ完全に燃焼除去して、ゼオライト膜12内の微細孔を貫通させる。これにより、上述のゼオライト膜複合体1が得られる。
【0064】
図1に示す分離装置2の封止部21は、ゼオライト膜複合体1の支持体11の長手方向(すなわち、図1中の左右方向)の両端部に取り付けられ、支持体11の長手方向両端面、および、当該両端面近傍の外側面を被覆して封止する部材である。封止部21は、支持体11の当該両端面からのガスの流入および流出を防止する。封止部21は、例えば、ガラスまたは樹脂により形成された板状部材である。封止部21の材料および形状は、適宜変更されてよい。なお、封止部21には、支持体11の複数の貫通孔111と重なる複数の開口が設けられているため、支持体11の各貫通孔111の長手方向両端は、封止部21により被覆されていない。したがって、当該両端から貫通孔111へのガス等の流入および流出は可能である。
【0065】
外筒22の形状は限定されないが、例えば略円筒状の筒状部材である。外筒22は、例えばステンレス鋼または炭素鋼により形成される。外筒22の長手方向は、ゼオライト膜複合体1の長手方向に略平行である。外筒22の長手方向の一方の端部(すなわち、図1中の左側の端部)には供給ポート221が設けられ、他方の端部には第1排出ポート222が設けられる。外筒22の側面には、第2排出ポート223が設けられる。供給ポート221には、供給部26が接続される。第1排出ポート222には、第1回収部27が接続される。外筒22の内部空間は、外筒22の周囲の空間から隔離された密閉空間である。
【0066】
図1に示す例では、外筒22は、筒部224と、2つのフランジ部225と、2つの蓋部226とを備える。筒部224は、長手方向の両端部に開口を有する略円筒状の部位である。2つのフランジ部225はそれぞれ、筒部224の上記2つの開口の周囲において、筒部224から径方向外側へと広がる略円環板状の部位である。筒部224および2つのフランジ部225は、一繋がりの部材である。2つの蓋部226はそれぞれ、筒部224の上記2つの開口を覆った状態で、2つのフランジ部225にボルト締め等により固定される。これにより、筒部224の当該2つの開口は、気密に封止される。
【0067】
上述の供給ポート221は、図1中の左側の蓋部226に設けられる。第1排出ポート222は、図1中の右側の蓋部226に設けられる。第2排出ポート223は、筒部224の長手方向の略中央に設けられる。なお、外筒22では、筒部224は、長手方向の一方の端部にのみ開口を有していてもよい。この場合、フランジ部225および蓋部226は、長手方向の当該一方側にのみ設けられる。
【0068】
2つのシール部材23は、ゼオライト膜複合体1の長手方向両端部近傍において、ゼオライト膜複合体1の外側面と外筒22の内側面との間に、全周に亘って配置される。各シール部材23は、ガスが透過不能な材料により形成された略円環状の部材である。シール部材23は、例えば、可撓性を有する樹脂により形成されたOリングである。シール部材23は、ゼオライト膜複合体1の外側面および外筒22の内側面に全周に亘って密着する。図1に示す例では、シール部材23は、封止部21の外側面に密着し、封止部21を介してゼオライト膜複合体1の外側面に間接的に密着する。シール部材23とゼオライト膜複合体1の外側面との間、および、シール部材23と外筒22の内側面との間は、シールされており、ガスの通過はほとんど、または、全く不能である。
【0069】
外装体24の形状は限定されないが、例えば長手方向の両端部が閉鎖された略円筒状の部材である。外装体24は、例えばステンレス鋼または炭素鋼により形成される。外装体24の長手方向は、ゼオライト膜複合体1および外筒22の長手方向に略平行である。外装体24の内部空間は、外装体24の周囲の空間から隔離された密閉空間である。外装体24の内部空間では、外筒22が図示省略の支持部材等により、外装体24の内側面から離間して支持される。外筒22は、外装体24の内部空間において、径方向略中央かつ長手方向略中央に配置される。したがって、外装体24の内部において、外装体24と外筒22との間に空間240(以下、「外装空間240」とも呼ぶ。)が形成される。外装体24の内側面と外筒22の筒部224の外側面との間では、外装空間240の径方向の幅は、周方向の全周に亘って略均一である。
【0070】
なお、図1に示す例では、外筒22の全体が外装体24の内部に収容されるが、外筒22の一部は外装体24から外部に露出していてもよい。換言すれば、外筒22は部分的に外装体24の内部に収容されていればよい。例えば、外筒22の筒部224全体が外装体24の内部に収容され、外筒22の筒部224以外の部位は、外装体24から外部に露出してもよい。この場合、外装空間240は、筒部224の外側面の少なくとも法線方向に存在する。換言すれば、外装空間240は、ゼオライト膜複合体1のゼオライト膜12の主面の少なくとも法線方向(すなわち、支持体11の貫通孔111の内側面の少なくとも法線方向)に存在する。
【0071】
外筒22の供給ポート221は、外装体24を気密に貫通する配管を介して、供給部26に接続される。外筒22の第1排出ポート222は、外装体24を気密に貫通する配管を介して第1回収部27に接続される。外筒22の第2排出ポート223は、外装体24の内部空間に向けて開口している。外筒22内において第2排出ポート223へと導かれたガスは、第2排出ポート223から外装空間240へと排出される。すなわち、図1に示す例では、第2排出ポート223は、外装空間240へガスを導入可能な導入ポートである。外装空間240内のガスは、外装体24の長手方向の端部(例えば、図1中の左側の端部)に設けられた外装体排出ポート241を介して、外装体24の外部へと排出される。外装体排出ポート241には、第2回収部28が接続される。
【0072】
なお、外筒22の第2排出ポート223は、外装体24の内部空間にて延びて外装体24を気密に貫通する配管を介して第2回収部28に接続されていてもよい。この場合、バルブ等により、第2排出ポート223からのガスの送出先が切り替えられることにより、第2排出ポート223は、上述の配管を介して第2回収部28に接続される状態と、外装体24の内部空間に向けて開口する導入ポートとして機能する状態との間で切り替えられる。なお、この場合、外装体排出ポート241は、第2回収部28に接続されていてもよいし、接続されていなくてもよい。第2排出ポート223が、上記配管を介して第2回収部28に接続された状態では、第2排出ポート223から排出されたガスは、外装空間240に供給されることなく外装体24の外部へと排出される。すなわち、外筒22の第2排出ポート223から排出されるガスは、第2排出ポート223(すなわち、導入ポート)を介して外装空間240へと導入可能であるが、外装空間240に導入されない状態とすることもできる。
【0073】
また、第2排出ポート223から排出されるガスのうち、一部は第2排出ポート223を介して外装空間240に導入され、残りは外装空間240に導入されることなく外装体24から排出されてもよい。外装体24に設けられる外装体排出ポート241の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。各外装体排出ポート241は、必要に応じて開または閉とすることができる。外装体24に複数の外装体排出ポート241が設けられている場合、外装空間240へと導入されたガスは、1つ以上の外装体排出ポート241から外装体24の外部へと排出されればよい。
【0074】
分離装置2では、図4中において平行斜線を付して示す空間243に、ゼオライト膜複合体1の少なくとも一部が含まれる。当該空間243は、外装体24と、導入ポート(図4に示す例では、第2排出ポート223)と、外装体排出ポート241とにより囲まれる空間であり、以下、「ポート間空間243」とも呼ぶ。分離装置2では、ゼオライト膜複合体1の少なくとも一部がポート間空間243に含まれるように、導入ポートと外装体排出ポート241とが配置される。好ましくは、ポート間空間243には、ゼオライト膜複合体1の50体積%以上が含まれる。
【0075】
ここで、ポート間空間243とは、外装体24の内部空間であって、導入ポート平面244と外装体排出ポート平面245とにより挟まれる空間である。導入ポート平面244は、外筒22の導入ポートの略中心と外装体排出ポート241の略中心とを結ぶ直線246に対して鉛直、かつ、導入ポートの略中心を通る平面である。外装体排出ポート平面245は、上記直線246に対して鉛直、かつ、外装体排出ポート241の略中心を通る平面である。すなわち、ポート間空間243は、平行である導入ポート平面244と外装体排出ポート平面245との間の空間で、かつ、外装体24の内部に含まれる空間である。
【0076】
分離装置2において、1つの外装体24およびその内部に、外装体排出ポート241および/または導入ポートが複数設けられている場合、上述のポート間空間243は、外装体排出ポート241と導入ポートとの全ての組み合わせにそれぞれ対応する全てのポート間空間の集合である。すなわち、上述のポート間空間243は、1つの外装体24およびその内部に設けられたいずれかの外装体排出ポート241と導入ポートとの組み合わせにおいて求められる全てのポート間空間を含む。なお、ポート間空間243の容積を求める際には、当該全てのポート間空間の集合において、各ポート間空間の重複部分を重複して容積計上することはない。
【0077】
供給部26は、混合ガスを、供給ポート221を介して外筒22の内部空間に供給する。供給部26は、例えば、外筒22に向けて混合ガスを圧送するブロワーまたはポンプを備える。当該ブロワーまたはポンプは、外筒22に供給する混合ガスの圧力を調節する圧力調節部を備える。供給部26には、外筒22に供給されるよりも前の混合ガスを加熱する加熱部261が設けられる。加熱部261は、例えば、電気ヒーターを備える。第1回収部27は、例えば、外筒22から導出されたガスを貯留する貯留容器、または、当該ガスを移送するブロワーもしくはポンプを備える。第2回収部28は、例えば、外装体24から導出されたガスを貯留する貯留容器、または、当該ガスを移送するブロワーもしくはポンプを備える。
【0078】
次に、図5を参照しつつ、分離装置2による混合ガスの分離の流れ(すなわち、分離装置2の運転方法)の一例について説明する。混合ガスの分離が行われる際には、まず、上述の分離装置2が用意されることにより、ゼオライト膜複合体1が準備される。続いて、供給部26により、ゼオライト膜12に対する透過性が異なる複数種類のガスを含む混合ガスが、外筒22の内部空間に供給される(ステップS11)。例えば、混合ガスの主成分は、COおよびCHである。混合ガスには、COおよびCH以外のガスが含まれていてもよい。
【0079】
供給部26から外筒22の内部空間に供給される混合ガスの圧力(すなわち、導入圧)は、例えば、0.1MPa~20.0MPaである。供給部26から供給される混合ガスの温度は、外装体24の周囲の温度(すなわち、外装体24の外側の温度)よりも高温である。供給部26から供給される混合ガスの温度は、例えば、30℃~250℃であり、好ましくは50℃~250℃であり、より好ましくは70℃~200℃である。当該混合ガスは、加熱部261により加熱されることにより外装体24の周囲の温度よりも高温とされてもよく、元々、外装体24の周囲の温度よりも高温であってもよい。
【0080】
供給部26から外筒22に供給された混合ガスは、矢印251にて示すように、ゼオライト膜複合体1の図1中の左端から、支持体11の各貫通孔111内に導入される。混合ガス中の透過性が高いガス(例えば、COであり、以下、「高透過性物質」と呼ぶ。)は、各貫通孔111の内側面上に設けられたゼオライト膜12、および、支持体11を透過して支持体11の外側面から導出される。これにより、高透過性物質が、混合ガス中の透過性が低いガス(例えば、CHであり、以下、「低透過性物質」と呼ぶ。)から分離される(ステップS12)。
【0081】
ゼオライト膜複合体1を透過して支持体11の外側面から導出されたガス(以下、「透過物質」と呼ぶ。)は、矢印253にて示すように、第2排出ポート223を介して外筒22から外装空間240へと導かれる(ステップS13)。外筒22から外装空間240に導入された透過物質は、外装空間240の略全体に亘って拡散し、外筒22の外表面および外装体24の内表面と直接的に接触しつつ外装体排出ポート241に向かって流れる。分離装置2では、外装体24の周囲の温度よりも高温の透過物質が外装空間240に充填されることにより、外部への放熱による外筒22の温度低下を抑制することができる。外装空間240を流れる透過物質は、矢印254にて示すように、外装体排出ポート241を介して外装空間240から外装体24の外部へと排出され、第2回収部28により回収される(ステップS14)。第2回収部28により回収されるガスの圧力(すなわち、透過圧)は、例えば、約1気圧(0.101MPa)である。
【0082】
図1に示す例では、第2排出ポート223から外筒22の外部へと排出される透過物質の排出方向253(すなわち、透過物質の外装空間240への導入方向253)は、外筒22の外側面の法線方向(すなわち、上述の長手方向に垂直な径方向)に略平行な方向である。また、外装体排出ポート241から外装体24の外部へと排出される透過物質の排出方向254は、上述の長手方向に略平行な方向である。したがって、透過物質の外装空間240への導入方向253と、外装空間240からの排出方向254との成す角度は、約90度である。分離装置2では、当該角度は、0度以上かつ180度以下の範囲で適宜変更されてよい。
【0083】
また、混合ガスのうち、ゼオライト膜複合体1を透過したガス以外のガス(以下、「不透過物質」と呼ぶ。)は、支持体11の各貫通孔111を図1中の左側から右側へと通過する。不透過物質は、矢印252にて示すように、第1排出ポート222を介して外筒22および外装体24の外部へと排出され、第1回収部27により回収される。第1排出ポート222を介して第1回収部27により回収されるガスの圧力は、例えば、導入圧と略同じ圧力である。不透過物質には、上述の低透過性物質以外に、ゼオライト膜12を透過しなかった高透過性物質が含まれていてもよい。
【0084】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る分離装置について説明する。図6は、本発明の第2の実施の形態に係る分離装置2aの概略構造を示す図である。分離装置2aでは、外筒22の第1排出ポート222と第1回収部27との接続態様、および、第2排出ポート223と第2回収部28との接続態様が、図1に示すものとは異なる。分離装置2aの他の構成は、図1に示す分離装置2と略同様であり、以下の説明では、分離装置2aの構成のうち分離装置2の構成と対応する構成に同符号を付す。
【0085】
図6に示すように、分離装置2aでは、外筒22の第2排出ポート223は、外装空間240に向けて開口されておらず、外装体24を気密に貫通する配管を介して、外装体24の外部に配置される第2回収部28と接続されている。したがって、第2排出ポート223から排出された透過物質は、外装空間240に導入されることなく、第2回収部28により回収される。
【0086】
一方、外筒22の第1排出ポート222は、外装空間240に向けて開口されている。また、外装体排出ポート241には第1回収部27が接続されている。第1排出ポート222から外装空間240へと排出された不透過物質は、外装体排出ポート241に向かって外装空間240の内部を流れる。すなわち、図6に示す例では、第1排出ポート222は、外装空間240へガスを導入可能な導入ポートである。不透過物質は、外装体排出ポート241を介して外装体24の外部へと排出され、第1回収部27により回収される。
【0087】
なお、外筒22の第1排出ポート222は、外装体24の内部空間にて延びて外装体24を気密に貫通する配管を介して第1回収部27に接続されていてもよい。この場合、バルブ等により、第1排出ポート222からのガスの送出先が切り替えられることにより、第1排出ポート222は、上述の配管を介して第1回収部27に接続される状態と、外装体24の内部空間に向けて開口する導入ポートとして機能する状態との間で切り替えられる。なお、この場合、外装体排出ポート241は、第1回収部27に接続されていてもよいし、接続されていなくてもよい。第1排出ポート222が、上記配管を介して第1回収部27に接続された状態では、第1排出ポート222から排出されたガスは、外装空間240に供給されることなく外装体24の外部へと排出される。すなわち、外筒22の第1排出ポート222から排出されるガスは、第1排出ポート222(すなわち、導入ポート)を介して外装空間240へと導入可能であるが、外装空間240に導入されない状態とすることもできる。
【0088】
また、第1排出ポート222から排出されるガスのうち、一部は第1排出ポート222を介して外装空間240に導入され、残りは外装空間240に導入されることなく外装体24から排出されてもよい。上述のように、外装体24に設けられる外装体排出ポート241の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。各外装体排出ポート241は、必要に応じて開または閉とすることができる。外装体24に複数の外装体排出ポート241が設けられている場合、外装空間240へと導入されたガスは、1つ以上の外装体排出ポート241から外装体24の外部へと排出されればよい。
【0089】
分離装置2aでは、図7中において平行斜線を付して示すポート間空間243aに、ゼオライト膜複合体1の少なくとも一部が含まれる。ポート間空間243aは、上述のように、外装体24と、導入ポート(図7に示す例では、第1排出ポート222)と、外装体排出ポート241とにより囲まれる空間である。換言すれば、ポート間空間243aは、外装体24の内部空間であって、導入ポート平面244a(外筒22の導入ポートの略中心と外装体排出ポート241の略中心とを結ぶ直線246aに対して鉛直、かつ、導入ポートの略中心を通る平面)と外装体排出ポート平面245a(外筒22の導入ポートの略中心と外装体排出ポート241の略中心とを結ぶ直線246aに対して鉛直、かつ、外装体排出ポート241の略中心を通る平面)とにより挟まれる空間である。分離装置2aでは、ゼオライト膜複合体1の少なくとも一部がポート間空間243aに含まれるように、導入ポートと外装体排出ポート241とが配置される。好ましくは、ポート間空間243aには、ゼオライト膜複合体1の50体積%以上が含まれる。
【0090】
分離装置2aによる混合ガスの分離の流れは、図5中のステップS13~S14に代えて、図8に示すステップS23~S24が行われる点を除き、分離装置2による混合ガスの分離の流れと略同様である。分離装置2aでは、まず、外装体24の周囲の温度よりも高温の混合ガスが、供給部26により外筒22の内部空間に供給される(図5:ステップS11)。
【0091】
外筒22に供給された混合ガスは、矢印251にて示すように、支持体11の各貫通孔111内に導入される。混合ガス中の高透過性物質は、各貫通孔111の内側面上に設けられたゼオライト膜12、および、支持体11を透過して支持体11の外側面から導出される。これにより、高透過性物質が低透過性物質から分離される(図5:ステップS12)。
【0092】
ゼオライト膜複合体1を透過した透過物質は、矢印253にて示すように、第2排出ポート223を介して外筒22および外装体24の外部へと排出され、第2回収部28により回収される。第2回収部28により回収されるガスの圧力(すなわち、透過圧)は、例えば、約1気圧(0.101MPa)である。
【0093】
一方、混合ガスのうち透過物質以外の不透過物質は、支持体11の各貫通孔111を通過し、矢印252にて示すように、第1排出ポート222を介して外筒22から外装空間240へと導かれる(図8:ステップS23)。外筒22から外装空間240に導入された不透過物質は、外装空間240の略全体に亘って拡散し、外筒22の外表面および外装体24の内表面と直接的に接触しつつ外装体排出ポート241に向かって流れる。分離装置2aでは、外装体24の周囲の温度よりも高温の不透過物質が外装空間240に充填されることにより、外部への放熱による外筒22の温度低下を抑制することができる。外装空間240を流れる不透過物質は、矢印254にて示すように、外装体排出ポート241を介して外装空間240から外装体24の外部へと排出され、第1回収部27により回収される(図8:ステップS24)。第1回収部27により回収されるガスの圧力は、例えば、導入圧と略同じ圧力である。不透過物質には、上述の低透過性物質以外に、ゼオライト膜12を透過しなかった高透過性物質が含まれていてもよい。
【0094】
図6に示す例では、第1排出ポート222から外筒22の外部へと排出される不透過物質の排出方向252(すなわち、不透過物質の外装空間240への導入方向252)は、上述の長手方向に略平行、かつ、図6中の右向きの方向である。また、外装体排出ポート241から外装体24の外部へと排出される不透過物質の排出方向254は、上述の長手方向に略平行、かつ、図6中の左向きの方向である。したがって、不透過物質の外装空間240への導入方向252と、外装空間240からの排出方向254との成す角度は、約180度である。分離装置2aでは、当該角度は、0度以上かつ180度以下の範囲で適宜変更されてよい。
【0095】
以上に説明したように、分離装置2,2aは、分離膜複合体(すなわち、ゼオライト膜複合体1)と、外筒22と、外装体24と、供給部26とを備える。ゼオライト膜複合体1は、多孔質の支持体11と、支持体11上に形成された分離膜(すなわち、ゼオライト膜12)とを備える。外筒22は、ゼオライト膜複合体1を内部に収容する。外装体24は、外筒22を内部に収容する。供給部26は、流体を外筒22の内部に供給する。当該流体は、外装体24の周囲の温度よりも高温である。外筒22は、第1排出ポート222と、第2排出ポート223とを備える。第1排出ポート222は、流体のうち、ゼオライト膜複合体1を透過した透過物質以外の物質である不透過物質を外筒22の外部へと排出する。第2排出ポート223は、流体のうち透過物質を外筒22の外部へと排出する。
【0096】
外筒22から排出された透過物質および不透過物質のうち一方の物質は、外装体24の内部における外装体24と外筒22との間の空間である外装空間240へ導入ポート(すなわち、第2排出ポート223または第1排出ポート222)を介して導入可能である。このように、分離装置2,2aでは、外装体24の周囲の温度よりも高温の上記一方の物質が外装空間240を流れることにより、周囲への放熱による外筒22の温度低下を抑制することができる。これにより、外筒22の内部の流体、透過物質および不透過物質の温度低下を抑制することができる。その結果、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減することができる。なお、当該一方の物質は、分離装置2では透過物質であり、分離装置2aでは不透過物質である。外筒22の温度低下をより抑制できることから、外装空間240を流れる物質の圧力は大気圧以上であることが好ましい。また、外装体24の構造をより簡便・安価にできることから、外装空間240を流れる物質の圧力は10気圧以下であることが好ましい。
【0097】
上述のように、分離装置2,2aでは、外装体24は、上記導入ポートにより外装空間240へ導入された当該一方の物質を排出可能な外装体排出ポート241を備える。また、外装体24と導入ポートと外装体排出ポート241とにより囲まれる空間(すなわち、ポート間空間243,243a)に、ゼオライト膜複合体1の少なくとも一部が含まれる。これにより、外筒22から導入ポートを介して外装空間240に導入されて外装体24の外部へと向かう上記一方の物質が、外装空間240において、一方向に短い距離だけ流れるのではなく、外筒22を囲むように比較的複雑な経路で比較的長い距離を流れる。その結果、外筒22から周囲への放熱をさらに抑制することができる。したがって、高温下における流体の分離に要するエネルギーをさらに低減することができる。
【0098】
上述のように、外装空間240は、ゼオライト膜12の主面の少なくとも法線方向に存在することが好ましい。これにより、外筒22の外側面が外装空間240に覆われるため、外筒22から周囲への放熱を効率良く抑制することができる。
【0099】
上述のように、外筒22は、筒部224と、フランジ部225と、蓋部226とを備えることが好ましい。筒部224は、少なくとも一方の端部に開口を有する。フランジ部225は、当該開口の周囲において、筒部224から外側へと広がる。蓋部226は、当該開口を覆った状態でフランジ部225に固定されることにより、当該開口を密封する。当該構造を有する外筒22では、フランジ部225からの放熱により、外筒22の温度低下が比較的大きくなる可能性がある。したがって、外筒22の温度低下を抑制することができる分離装置2,2aは、上記構造を有する外筒22を備える分離装置に特に適している。
【0100】
上述のように、外装体24と上記導入ポートと外装体排出ポート241とにより囲まれる空間(すなわち、ポート間空間243,243a)には、ゼオライト膜複合体1の50体積%以上が含まれることが好ましい。これにより、外筒22から周囲への放熱をより一層抑制することができ、高温下における流体の分離に要するエネルギーをより一層低減することができる。
【0101】
上述のように、分離装置2では、上記一方の物質は透過物質である。このように、不透過物質に比べて低圧である透過物質を外装空間240に導入することにより、外装体24の構造を簡素化(例えば、小型化および/または軽量化)することができる。
【0102】
上述のように、分離装置2,2aは、外筒22に供給されるよりも前の流体を加熱する加熱部261をさらに備えることが好ましい。これにより、分離装置2,2aに供給される前の流体が低温である場合であっても、分離装置2,2aにおいて、高温下における流体の分離を容易に実現することができる。なお、加熱部261としては、電気ヒーター、熱交換器、ヒートポンプ等の様々なものを採用可能である。
【0103】
上述のように、供給部26により供給される流体の温度は70℃以上であることが好ましい。分離装置2,2aでは、上述のように、外筒22の温度低下を抑制することができるため、分離装置2,2aの構造は、供給部26から供給される流体の温度が比較的高い場合(すなわち、流体と外装体24の周囲との温度差が大きい場合)に特に適している。
【0104】
上述のように、分離膜複合体の分離膜は、ゼオライト膜12であることが好ましい。このように、固有細孔径を有するゼオライト膜12を分離膜として利用することにより、分離膜における透過対象物質の選択的透過を好適に実現し、当該透過対象物質を流体から効率良く分離することができる。
【0105】
また、ゼオライト膜12を構成するゼオライトの最大員環数は8以下であることが好ましい。これにより、分子径が比較的小さいH、CO等の透過対象物質の選択的透過を好適に実現し、当該透過対象物質を流体から効率良く分離することができる。
【0106】
上述のように、分離装置2,2aの運転方法は、外装体24の周囲の温度よりも高温の流体を外筒22の内部に供給する工程(ステップS11)と、流体中の分離膜複合体(すなわち、ゼオライト膜複合体1)を透過した透過物質、および、流体中の透過物質以外の物質である不透過物質のうち一方の物質を、外装体24の内部における外装体24と外筒22との間の空間である外装空間240へと導入する工程(ステップS13,S23)と、当該一方の物質を、分離膜(すなわち、ゼオライト膜12)の主面の法線方向に存在する外装空間240の少なくとも一部を通過するようにして外装空間240から排出する工程(ステップS14,S24)と、を備える。これにより、上述のように、周囲への放熱による外筒22の温度低下を抑制することができ、その結果、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減することができる。
【0107】
図1に示す分離装置2では、外装空間240において、外筒22の外側面と外装体24の内側面との間の空間に仕切り板が設けられ、外筒22の周囲を長手方向に螺旋状に延びる流路が形成されてもよい。当該流路は、外筒22よりも右側の空間と左側の空間とを接続する。第2排出ポート223から排出された比較的高温の透過物質は、当該流路流れることにより、外筒22の外側面の略全体と直接的に接触する。これにより、外筒22から周囲への放熱を抑制することができるため、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減することができる。なお、上述の流路は、必ずしも螺旋状である必要はない。例えば、外筒22の外側面から径方向外方に広がる仕切り板、および、外装体24の内側面から径方向内方に広がる仕切り板が、長手方向に交互に配置されることにより、ラビリンス状(いわゆる、ジグザグ状)の流路が形成されてもよい。分離装置2aにおいても同様である。
【0108】
上述の分離装置2では、図9に示すように、外装体24の周囲に配置されて外装体24の外表面の少なくとも一部を断熱する断熱部242が設けられてもよい。これにより、外装体24から周囲への放熱を抑制することができるため、高温下におけるゼオライト膜複合体1による流体の分離に要するエネルギーをさらに低減することができる。断熱部242は、外装体24の外表面の略全体を断熱することがさらに好ましい。これにより、外装体24から周囲への放熱をより一層抑制することができる。図6に示す分離装置2aにおいても同様である。なお、断熱部242は、例えば、外装体24の外表面を被覆するグラスウールまたはセルロースファイバ等の断熱材である。また、断熱部242は、外装体24の周囲に配置された別の外装体であってもよい。断熱部242としては、当該断熱材以外の様々なものが採用可能である。
【0109】
図10は、他の好ましい分離装置2bの概略構造を示す図である。分離装置2bでは、外装体24の内部に2つの外筒22が収容される。2つの外筒22の内部の構造は上述の外筒22と略同じである。図10中の左側の外筒22では、供給ポート221は供給部26に接続され、第2排出ポート223は外装空間240に向けて開口している。図10中の左側の外筒22の第1排出ポート222は、右側の外筒22の供給ポート221に接続される。当該第1排出ポート222から排出された不透過物質は、右側の外筒22に供給され、右側の外筒22において高透過性物質の分離が再度行われる。右側の外筒22の第1排出ポート222は第1回収部27に接続され、第2排出ポート223は外装空間240に向けて開口している。すなわち、図10に示す例では、2つの第2排出ポート223が、外装空間240へガスを導入可能な導入ポートである。
【0110】
2つの外筒22から外装空間240に導入された比較的高温(すなわち、外装体24の周囲の温度よりも高温)の透過物質は、当該2つの外筒22の外側面および外装体24の内側面と直接的に接触しつつ外装空間240を流れ、外装体排出ポート241を介して外装体24の外部へと排出されて第2回収部28により回収される。これにより、周囲への放熱による2つの外筒22の温度低下を抑制することができ、その結果、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減することができる。
【0111】
なお、各第2排出ポート223は、外装体24の内部空間にて延びて外装体24を気密に貫通する配管を介して第2回収部28に接続されていてもよい。この場合、バルブ等により、各第2排出ポート223からのガスの送出先が切り替えられることにより、各第2排出ポート223は、上述の配管を介して第2回収部28に接続される状態と、外装体24の内部空間に向けて開口する導入ポートとして機能する状態との間で切り替えられる。
【0112】
また、分離装置2bのポート間空間243bには、2つの外筒22の中のゼオライト膜複合体1の少なくとも一部が含まれる。これにより、上述のように、外筒22から周囲への放熱をさらに抑制することができ、その結果、高温下における流体の分離に要するエネルギーをさらに低減することができる。好ましくは、ポート間空間243bには、ゼオライト膜複合体1の50体積%以上(すなわち、ゼオライト膜複合体1の1本分の体積以上)が含まれる。これにより、高温下における流体の分離に要するエネルギーをより一層低減することができる。なお、分離装置2bでは、3つ以上の外筒22が外装体24の内部に収容されてもよい。
【0113】
図11は、他の好ましい分離装置2cの概略構造を示す図である。分離装置2cでは、図10に示す分離装置2bと同様に、外装体24の内部に2つの外筒22が収容される。2つの外筒22の内部の構造は上述の外筒22と略同じである。図11中の左側の外筒22では、供給ポート221は供給部26に接続され、第2排出ポート223は第2回収部28に接続されている。図11中の左側の外筒22の第1排出ポート222は、右側の外筒22の供給ポート221に接続される。当該第1排出ポート222から排出された不透過物質は、右側の外筒22に供給され、右側の外筒22において高透過性物質の分離が再度行われる。右側の外筒22の第1排出ポート222は外装空間240に向けて開口しており、第2排出ポート223は第2回収部28に接続されている。すなわち、図11に示す例では、右側の外筒22の第1排出ポート222が、外装空間240へガスを導入可能な導入ポートである。
【0114】
2つの外筒22を通過して右側の外筒22の第1排出ポート222から外装空間240に導入された比較的高温(すなわち、外装体24の周囲の温度よりも高温)の不透過物質は、当該2つの外筒22の外側面および外装体24の内側面と直接的に接触しつつ外装空間240を流れ、外装体排出ポート241を介して外装体24の外部へと排出されて第1回収部27により回収される。これにより、周囲への放熱による2つの外筒22の温度低下を抑制することができ、その結果、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減することができる。
【0115】
なお、右側の外筒22の第1排出ポート222は、外装体24の内部空間にて延びて外装体24を気密に貫通する配管を介して第1回収部27に接続されていてもよい。この場合、バルブ等により、右側の外筒22の第1排出ポート222からのガスの送出先が切り替えられることにより、当該第1排出ポート222は、上述の配管を介して第1回収部27に接続される状態と、外装体24の内部空間に向けて開口する導入ポートとして機能する状態との間で切り替えられる。
【0116】
また、分離装置2cのポート間空間243cには、2つの外筒22の中のゼオライト膜複合体1の少なくとも一部が含まれる。これにより、上述のように、外筒22から周囲への放熱をさらに抑制することができ、その結果、高温下における流体の分離に要するエネルギーをさらに低減することができる。好ましくは、ポート間空間243cには、ゼオライト膜複合体1の50体積%以上(すなわち、ゼオライト膜複合体1の1本分の体積以上)が含まれる。これにより、高温下における流体の分離に要するエネルギーをより一層低減することができる。なお、分離装置2cでは、3つ以上の外筒22が外装体24の内部に収容されてもよい。
【0117】
図12は、他の好ましい分離装置2dの概略構造を示す図である。分離装置2dでは、外筒22dの内部に、円筒型のゼオライト膜複合体1dが収容される。ゼオライト膜複合体1dは、略円筒状の支持体11dと、支持体11dの外側面に形成されたゼオライト膜12dとを備える。ゼオライト膜複合体1dでは、図12中の左側の端部は封止部21dにより被覆されており、支持体11dの内側の流路111d(以下、「内部流路111d」とも呼ぶ。)を含めて、ガスの流入および流出は不能である。一方、図12中の右側の端部は、支持体11dの端面のみが封止部21dにより被覆されており、内部流路111dは開口している。したがって、内側流路内のガスは、当該開口からゼオライト膜複合体1dの外部へと流出可能である。シール部材23dは、ゼオライト膜複合体1dの図12中の右側の端部近傍において、ゼオライト膜複合体1dの外側面と外筒22dの内側面との間に配置される。
【0118】
外筒22dの図12中の左側の端部には供給ポート221dが設けられ、右側の端部には第2排出ポート223dが設けられる。また、外筒22dの外側面には第1排出ポート222dが設けられる。外筒22dは、外装体24の内部に収容されている。供給ポート221dは、外装体24を貫通する配管により供給部26に接続される。第1排出ポート222dは、外装体24を貫通する配管により第1回収部27に接続される。第2排出ポート223dは、外装体24と外筒22dとの間の外装空間240に向けて開口する。すなわち、図12に示す例では、第2排出ポート223dが、外装空間240へガスを導入可能な導入ポートである。
【0119】
ゼオライト膜複合体1dを透過した透過物質は、支持体11dの内部流路111dを流れ、矢印253にて示すように、第2排出ポート223dを介して外筒22dから外装空間240へと導かれる。外筒22dから外装空間240に導入された透過物質は、外装空間240の略全体に亘って拡散し、外筒22dの外表面および外装体24の内表面と直接的に接触しつつ外装体排出ポート241に向かって流れる。外装空間240を流れる透過物質は、矢印254にて示すように、外装体排出ポート241を介して外装空間240から外装体24の外部へと排出され、第2回収部28により回収される。
【0120】
なお、第2排出ポート223dは、外装体24の内部空間にて延びて外装体24を気密に貫通する配管を介して第2回収部28に接続されていてもよい。この場合、バルブ等により、第2排出ポート223dからのガスの送出先が切り替えられることにより、第2排出ポート223dは、上述の配管を介して第2回収部28に接続される状態と、外装体24の内部空間に向けて開口する導入ポートとして機能する状態との間で切り替えられる。
【0121】
図12に示す例では、外筒22dの外部へとガスを排出する第2排出ポート223d(すなわち、導入ポート)は、図12中の外装体24内の右部に位置し、透過物質の排出方向253(すなわち、透過物質の外装空間240への導入方向253)は、上述の長手方向に略平行、かつ、図12中の右向きの方向である。また、外装体24の外部へとガスを排出する外装体排出ポート241は、図12中の外装体24の左側に位置し、透過物質の排出方向254は、上述の長手方向に略平行、かつ、図12中の左向きの方向である。したがって、分離装置2dの外装体24と、第2排出ポート223dと、外装体排出ポート241とにより囲まれるポート間空間243dには、ゼオライト膜複合体1dの全体が含まれる。なお、ポート間空間243dには、ゼオライト膜複合体1dの少なくとも一部が含まれていればよい。これにより、分離装置2dにおいても、上記と同様に、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減することができる。好ましくは、ポート間空間243dには、ゼオライト膜複合体1dの50体積%以上が含まれる。これにより、高温下における流体の分離に要するエネルギーをより一層低減することができる。
【0122】
分離装置2dでは、外筒22dの第1排出ポート222dが外装空間240に向かって開口し、第2排出ポート223dは外装体24を気密に貫通する配管を介して第2回収部28に接続されていてもよい。この場合、外装体排出ポート241は第1回収部27に接続される。この場合も、ポート間空間にゼオライト膜複合体1dの少なくとも一部が含まれることより、上述のように、高温下における流体の分離に要するエネルギーを低減することができる。なお、分離装置2dでは、分離装置2b,2cと略同様に、2つ以上の外筒22dが外装体24の内部に収容されてもよい。
【0123】
上述の分離装置2,2a~2d、および、上述の分離装置の運転方法では、様々な変更が可能である。
【0124】
例えば、供給部26により供給される流体の温度は、外装体24の周囲の温度よりも高温であれば、70℃未満であってもよい。また、流体を加熱する加熱部261は省略されてもよい。
【0125】
外筒22の形状は様々に変更されてよく、例えば、フランジ部225は設けられなくてもよい。外筒22dにおいても同様である。
【0126】
外筒22は、複数のゼオライト膜複合体1を内部に収容していてもよい。この場合、ポート間空間243には、当該複数のゼオライト膜複合体1のうちいずれかのゼオライト膜複合体1の一部が含まれていればよい。外筒22dにおいても同様である。
【0127】
外装体24は、さらに別の外装体によって囲まれていてもよい。また、外装体24は、複数の外装体を内部に収容していてもよい。
【0128】
分離装置2では、外装体24が外筒22の少なくとも一部を内部に収容していれば、外装空間240は必ずしもゼオライト膜12の法線方向に存在する必要はない。分離装置2a~2dにおいても同様である。
【0129】
ゼオライト膜12を構成するゼオライトの最大員環数は8よりも大きくてもよい。
【0130】
分離装置2では、ゼオライト膜12に代えて、ゼオライト以外の無機物により形成される無機膜、または、無機膜以外の膜が、分離膜として支持体11上に形成されていてもよい。分離装置2a~2dにおいても同様である。
【0131】
分離装置2,2a~2dでは、上記説明にて例示した物質以外の物質が、流体から分離されてもよい。
【0132】
分離装置2,2a~2dは、結果的に実現される高透過性物質と低透過性物質との分離を目的とするのではなく、ゼオライト膜複合体1に高温の高透過性物質を透過させることを目的として使用されてもよい。
【0133】
分離装置2,2a~2dに供給される流体は、複数種類のガスまたは液体を含む混合物質でなくてもよい。
【0134】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明の分離装置およびその運転方法は、様々な流体の分離に利用可能である。
【符号の説明】
【0136】
1,1d ゼオライト膜複合体
2,2a~2d 分離装置
11,11d 支持体
12,12d ゼオライト膜
22,22d 外筒
24 外装体
26 供給部
221,221d 供給ポート
222,222d 第1排出ポート
223,223d 第2排出ポート
224 筒部
225 フランジ部
226 蓋部
240 外装空間
243,243a,243b,243c,243d ポート間空間
261 加熱部
S11~S14,S23~S24 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図12