IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 朋和産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-包装袋 図1
  • 特許-包装袋 図2
  • 特許-包装袋 図3
  • 特許-包装袋 図4
  • 特許-包装袋 図5
  • 特許-包装袋 図6
  • 特許-包装袋 図7
  • 特許-包装袋 図8
  • 特許-包装袋 図9
  • 特許-包装袋 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
B65D33/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020117345
(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公開番号】P2022014792
(43)【公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100214938
【弁理士】
【氏名又は名称】樋熊 政一
(72)【発明者】
【氏名】厚東 達哉
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 聡
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-002155(JP,A)
【文献】実開平04-089760(JP,U)
【文献】特開2001-287767(JP,A)
【文献】特開平05-085563(JP,A)
【文献】特開平08-268467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重ねられる複数のシート状の包材と、
前記複数の包材の周縁部が互いに接着される封止部と、
前記複数の包材の間に形成され、前記封止部に囲まれて封止される収容部と、
前記封止部の任意の2個所の間に設定される開封方向に延びる開封予定ラインに沿って前記包材に設けられる開封誘導帯と、を備え、
前記開封誘導帯は、前記開封予定ラインの略全長にわたって延在し、前記包材の厚み方向の一部を表面から削除して形成されるハーフカットの溝による複数列の弱線部を有し、
前記弱線部は、前記開封方向に対して傾斜する複数の第1直線部と、前記開封方向に対して前記第1直線部と逆向きに傾斜する複数の第2直線部と、を含み、前記第1直線部と前記第2直線部とが前記開封方向に沿って配列されることにより、山状部分と谷状部分とを有するジグザグ状のパターンに設けられ、
前記弱線部は、前記第1直線部の長さが前記第2直線部の長さよりも短く、前記開封方向に沿って2つの前記第1直線部の間に1つの前記第2直線部が配置された略Z字状の第1弱線パターンを有し、複数の前記第1弱線パターンが、前記開封方向に位相をずらして交互に配列されることにより前記山状部分と前記谷状部分とが前記開封方向に略直交する方向において菱形状に重畳しており、前記複数の第1弱線パターンは離間している、包装袋。
【請求項2】
前記第1弱線パターンは、前記第1直線部と前記第2直線部とが連続している、請求項に記載の包装袋。
【請求項3】
前記第1弱線パターンは、前記第1直線部と前記第2直線部とが離間している、請求項に記載の包装袋。
【請求項4】
前記山状部分及び前記谷状部分のそれぞれは、前記開封方向に沿う線を底辺とする二等辺三角形の形状を形成し、
前記山状部分の頂点を形成する角部及び前記谷状部分の底部を形成する角部のそれぞれの角度は同一であって60°~150°である、請求項1~のいずれかに記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、液状、粒状、粉状あるいは固形状等の食品や薬品等の収容物を密封して収容する包装袋として、可撓性を有するシート状の樹脂で形成された2枚の包材を引き裂いて開封する形式の包装袋が使用されている。この種の包装袋としては、引き裂きを容易とする弱線が、開封予定ラインに沿って形成されたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、開封予定ラインの両側(開口側と底部側)に、切れ目を誘導する直線状の主誘導線を表裏の包材に分けて設けるとともに、開封予定ラインの途中の部分における2つの主誘導線の間に、開封予定ラインに交差する方向に傾斜して主誘導線に合流する補助誘導線を表裏の包材において傾斜方向が互いに逆向きになるように設け、切れ目が補助誘導線から主誘導線に導かれる包装袋が開示されている。また、特許文献2には、開封予定ラインに沿った弱線として、表裏の包材のうちの一方側にW字形状の弱線を設け、他方側の包材にW字とは逆さまの形状となるM字形状の弱線を設けた包装袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-123538号公報
【文献】特開2007-331804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示される包装袋は、主誘導線に導く補助誘導線は、開封予定ラインの途中に部分的に設けられているため、包材を引き裂いた切り口端縁が補助誘導線を横断して補助誘導線から外れてしまい、開封しにくい事態となる可能性がある。この点、特許文献2に開示される包装袋の弱線は開封予定ライン上の全長にわたって形成されているため、常に弱線が引き裂かれて切り口端縁が弱線と一致する。しかし、弱線の形状が円弧と直線との組み合わせであるため複雑であり、弱線の形成に手間がかかる点で改善の余地がある。
【0006】
そこで本発明は、包材を引き裂いて開封する際に開封予定ラインの全長にわたり確実に切れ目が弱線に誘導されて開封がしやすく、かつ弱線を容易に形成することができる包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の包装袋は、互いに重ねられる複数のシート状の包材と、前記複数の包材の周縁部が互いに接着される封止部と、前記複数の包材の間に形成され、前記封止部に囲まれて封止される収容部と、前記封止部の任意の2個所の間に設定される開封方向に延びる開封予定ラインに沿って前記包材に設けられる開封誘導帯と、を備え、前記開封誘導帯は、前記開封予定ラインの略全長にわたって延在し、前記包材の厚み方向の一部を表面から削除して形成されるハーフカットの溝による複数列の弱線部を有し、前記弱線部は、前記開封方向に対して傾斜する複数の第1直線部と、前記開封方向に対して前記第1直線部と逆向きに傾斜する複数の第2直線部と、を含み、前記第1直線部と前記第2直線部とが前記開封方向に沿って配列されることにより、山状部分と谷状部分とを有するジグザグ状のパターンに設けられる。
【0008】
(2)(1)において、前記第1直線部と前記第2直線部とは、長さが略同一であり、前記開封方向に沿って間欠的に、かつ交互に配列されており、前記開封誘導帯においては、隣り合う前記弱線部の前記第1直線部及び前記第2直線部のそれぞれの位置が前記開封方向において略同じである。
なお、本明細書での「略」は厳密にその状態を特定するものではなく、それらの機能や効果を達成可能な範囲で近似する状態を含むという意味である。
【0009】
(3)(1)において、前記弱線部は、前記第1直線部の長さが前記第2直線部の長さよりも短く、前記開封方向に沿って2つの前記第1直線部の間に1つの前記第2直線部が配置された略Z字状の第1弱線パターンを有し、複数の前記第1弱線パターンが、前記開封方向に位相をずらして交互に配列されることにより前記山状部分と前記谷状部分とが前記開封方向に略直交する方向において菱形状に重畳しており、前記複数の第1弱線パターンは離間している。
【0010】
(4)(3)において、前記第1弱線パターンは、前記第1直線部と前記第2直線部とが連続している。
【0011】
(5)(3)において、前記第1弱線パターンは、前記第1直線部と前記第2直線部とが離間している。
【0012】
(6)(1)において、前記弱線部は、1つの前記山状部分と1つの前記谷状部分とが前記開封方向に略直交する方向において離間した状態で菱形状に重畳する第2弱線パターンを有し、複数の前記第2弱線パターンが前記開封方向に沿って間欠的に配列され、前記開封誘導帯においては、隣り合う前記弱線部の前記第2弱線パターンの位置が前記開封方向において略同じである。
【0013】
(7)(1)~(6)のいずれかにおいて、前記山状部分及び前記谷状部分のそれぞれは、前記開封方向に沿う線を底辺とする二等辺三角形の形状を形成し、前記山状部分の頂点を形成する角部及び前記谷状部分の底部を形成する角部のそれぞれの角度は同一であって60°~150°である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、包材を引き裂いて開封する際に開封予定ラインの全長にわたり確実に切れ目が弱線に誘導されて開封がしやすく、かつ弱線を容易に形成することができる包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る包装袋を示す平面図である。
図2】第1実施形態に係る開封誘導帯の一部を示す図である。
図3】第1実施形態に係る開封誘導帯が破断されて形成された切り口端縁を示す図である。
図4】弱線が全周にわたり形成された開封誘導帯の参考例を示す図である
図5】本発明の第2実施形態に係る包装袋の開封端部側を示す平面図である。
図6】第2実施形態に係る開封誘導帯の一部を示す図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る包装袋の開封端部側を示す平面図である。
図8】第3実施形態に係る開封誘導帯の一部を示す図である。
図9】本発明の第4実施形態に係る包装袋の開封端部側を示す平面図である。
図10】第4実施形態に係る開封誘導帯の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る包装袋1の平面図である。包装袋1は、重ねられる2枚の包材2を備える。図1では、表側の包材2が示されている。包材2は、シート状の樹脂を矩形状に形成したものである。本実施形態の包装袋1は平面視が縦長の長方形状であって、図1の上側の端部が開封される。本発明に係る包装袋1の外形形状は長方形状に制限されず、正方形状、多角形状、あるいは外形線に曲線が含まれる形状であってもよい。
【0018】
包装袋1は、図1において図面表裏方向である厚み方向に重ねられた2枚の包材2の周縁部3が互いに接着された封止部4を有する。周縁部3は、図1において、上側の端部であり開封側の端部となる周縁部3aと、周縁部3aと平行な下端の周縁部3bと、互いに平行な左右の端縁の周縁部3c、3dと、を含む。周縁部3の接着は、例えば、熱溶着(ヒートシール)や超音波溶着等の手段で行われる。2枚の包材2の間には、封止部4で囲まれて封止される空間からなる収容部5が形成される。すなわち包装袋1は、シート状の樹脂からなる2枚の包材2と、2枚の包材2の周縁部3が互いに接着される封止部4と、2枚の包材2の間に形成され、封止部4に囲まれて封止される収容部5と、を備える。包装袋1は、さらに後述する開封誘導帯6を備える。
【0019】
包材2は、例えば、塩化ビニール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン(ポリアミド)等の樹脂により成形された可撓性を有するシートである。包材2は、例えば上記樹脂のうちの1種からなるフィルムの単層構造のものや、1種または複数種のフィルムが貼り合わされた複層構造のものなどが用いられる。単層構造の場合、包材2の厚さは20~100μm程度とされ、複層構造の場合、包材2の厚さは30~200μm程度とされる。収容部5には、例えば、所定量の、液状、粒状、粉状あるいは固形状等の食品や薬品等の収容物が収容される。収容物は、例えば開封側の端部の周縁部3a以外を封止し、封止されていない開口から収容部5に収容される。この後、開口していた周縁部3aを接着して封止して、収容物は包装袋1内に密封される。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の包装袋1は、矢印Yで示す長手方向の一端部(図1で上端部)の周縁部3aに近接する内側部分に、矢印Xで示す幅方向に延在する開封誘導帯6を備える。本実施形態の包装袋1は、開封誘導帯6を上側に配置するとともに横方向に延在するように保持して、開封誘導帯6を引き裂いて開封することが行われる。以下の説明では、この開封時の姿勢に基づき、図1において、矢印Y方向を上下方向といい、矢印X方向を左右方向あるいは開封方向という。
【0021】
開封誘導帯6は、ある程度の幅(上下方向の長さ寸法)をもって包材2における左右の周縁部3c、3dの間に設けられる。開封誘導帯6の上下方向の中央に、開封方向に延びる開封予定ライン7が設定される。本実施形態の包装袋1は、開封予定ライン7に沿って2枚の包材2に引き裂く力を与えると、開封誘導帯6にその力が伝わって開封誘導帯6が引き裂かれ、開封される。開封誘導帯6が破断されることにより、包装袋1は、開封誘導帯6より下側の袋部1Aと、開封誘導帯6より上側の切り離し部1Bとに切り離され、収容部5が外部に開放される。袋部1Aは、収容部5のほとんどの部分を備える。
【0022】
左右の周縁部3c、3dには、それぞれノッチ8が形成されている。ノッチ8は、引き裂きの始点として開封予定ライン7の延長線上に形成されている。本実施形態では、ノッチ8はV字形状の切り欠きである。ノッチとしては、U字形状の切り欠きや、周縁部3c、3dを表裏方向に貫通する貫通孔でもよく、単なる切れ目でもよい。
【0023】
包装袋1における開封誘導帯6の下側には、左右の周縁部3c、3dの間において幅方向に延びるインナーファスナー9が設けられる。包装袋1は、開封誘導帯6が破断されて開封した後は、インナーファスナー9を繰り返し開閉して、収容部5を繰り返し密封したり開いたりすることができる。なお、インナーファスナー9は、本発明の実施に際しては必須ではなく、必要に応じて設けられる。
【0024】
開封誘導帯6は、開封方向に沿って延在している。開封誘導帯6は、開封方向に延在する3列の弱線部10を有する。すなわち弱線部10は、上下方向に3列形成されている。3列の弱線部10のそれぞれは、開封予定ライン7の略全長にわたって延在している。
【0025】
図2に示すように、弱線部10のそれぞれは、複数の第1直線部11と、複数の第2直線部12と、を含む。複数の第1直線部11及び第2直線部12は、開封方向に間欠的に、かつ交互に配列されている。第1直線部11及び第2直線部12は、いずれも、包材2の厚み方向の一部を表面から所定深さ削除したハーフカットの溝である。第1直線部11及び第2直線部12の形成方法としては、高い精度で微細な溝を形成し得るため、レーザビームを走査させるレーザ加工が好適に採用される。本実施形態では、開封誘導帯6は、一方の包材2の外面に形成される。なお、開封誘導帯6は包材2の内面に形成されてもよく、双方の包材2に形成されてもよい。
【0026】
図2に示すように、第1直線部11は、矢印Xで示す開封方向に対して傾斜する方向に直線状に延在する。第2直線部12は、開封方向に対して第1直線部11と逆向きに傾斜する方向に直線状に延在する。第1直線部11と第2直線部12とは、長さが略同一である。第1直線部11及び第2直線部12の長さは、包材2を引き裂きやすくなる適度な長さでよく、長すぎると引き裂きの誘導性が低下する観点から、例えば0.5mm~20mm程度とされ、より好ましくは2mm~10mmとされる。
【0027】
3列の弱線部10のそれぞれは、第1直線部11と第2直線部12とが、開封方向に沿って互いに交わることなく配列され、山状部分13と谷状部分14とを有するジグザグ状のパターンに設けられる。各弱線部10は、開封方向に隣り合う第1直線部11と第2直線部12との間に、ハーフカットされない包材2の厚みのままの非弱線部15を有する。
【0028】
3列の弱線部10の上下方向の間隔は、等間隔である。各弱線部10のそれぞれの第1直線部11の開封方向の位置、及び、それぞれの第2直線部12の開封方向の位置は、ともに同じ位置であって揃っており、上下方向に重畳している。1つの弱線部10において、開封方向に隣り合う第1直線部11と第2直線部12とは上下方向にややずれている。また、開封方向に隣り合う第1直線部11の端部と第2直線部12の端部の開封方向の位置はともに同じであって揃っている。山状部分13及び谷状部分14の1つ1つの幅寸法や配列数は、包装袋1の幅に応じて適宜選択される。
【0029】
図2に示すように、開封方向に対する第1直線部11の傾斜角度θ1と、開封方向に対する第2直線部12の傾斜角度θ2とは同じ角度であって、例えば10°~60°程度である。したがって、第1直線部11と第2直線部12とにより形成される山状部分13及び谷状部分14のそれぞれは、開封方向に沿う線を底辺とする二等辺三角形の形状を形成する。これとともに、山状部分13の頂点を形成する角部13a及び谷状部分14の底部を形成する角部14aのそれぞれの角度は同一であって、60°~150°であり、より好ましくは90°~120°である。
【0030】
本実施形態の包装袋1においては、一方のノッチ8から開封誘導帯6に向かって包材2を引き裂いていくことにより、引き裂きによって生じる切れ目が弱線部10の各直線部11、12に順次伝わって、各直線部11、12及びこれら直線部11、12の間の非弱線部15が誘導的に引き裂かれる。引き裂きによる包材2の破断が開封方向に進行し、包装袋1は開封誘導帯6が破断されて開封される。
【0031】
図3において、矢印X1方向に引き裂く力が与えられた場合、その力はいずれか1つの弱線部10の第1直線部11(11a)を引き裂き、続いて、その第1直線部11(11a)の延びる方向(矢印F1で示す)に引き裂き力が導かれて非弱線部15が引き裂かれ、切れ目が隣りの第2直線部12(12a)に到達し、次いで、この第2直線部12(12a)が引き裂かれる。さらに第2直線部12(12a)が引き裂かれると、その第2直線部12(12a)の延びる方向(矢印F2で示す)に引き裂き力が導かれて次の非弱線部15が引き裂かれ、切れ目が次の第1直線部11(11b)に到達する。
【0032】
このようにして、各直線部11、12の間の非弱線部15が破断されながら、各直線部11、12に切れ目が必ず引き継がれてこれら各直線部11、12が交互に、かつ次々に引き裂かれることにより、開封誘導帯6の破断がジグザグ状に進行し、包装袋1は開封される。第1直線部11、非弱線部15、第2直線部12の順で切れ目が形成されていく過程では、引き裂きにより生じる音が一定のリズムで聞こえるとともに、切り裂きによって断続的に生じる抵抗感が手指に感触として伝わることにより、心地よい感覚を得ることができる。
【0033】
上述した開封操作において、引き裂き力が強いと、切れ目が非弱線部15から例えば第2直線部12を横断して隣りの弱線部10に至る場合が生じる。しかしその場合には、その隣の弱線部10の第2直線部12あるいは第1直線部11が引き裂かれて切れ目となる。すなわち、破断される弱線部10が隣りの弱線部10に移行し、引き続きその弱線部10で開封方向に沿った破断が進行する。このように引き裂き力が開封予定ライン7に対して交差する方向に強く掛かった場合でも、引き裂き力は各直線部11、12によって開封予定ライン7に沿うように導かれ、破断が進行する。
【0034】
以上説明した本実施形態に係る包装袋1は、互いに重ねられる複数のシート状の包材2と、複数の包材2の周縁部3が互いに接着される封止部4と、複数の包材2の間に形成され、封止部4に囲まれて封止される収容部5と、封止部4の任意の2個所の間に設定される開封方向に延びる開封予定ライン7に沿って包材2に設けられる開封誘導帯6と、を備え、開封誘導帯6は、開封予定ライン7の略全長にわたって延在し、包材2の厚み方向の一部を表面から削除して形成されるハーフカットの溝による複数列(3列)の弱線部10を有し、弱線部10は、開封方向に対して傾斜する複数の第1直線部11と、開封方向に対して第1直線部11と逆向きに傾斜する複数の第2直線部12と、を含み、第1直線部11と第2直線部12とが開封方向に沿って配列されることにより、山状部分13と谷状部分14とを有するジグザグ状のパターンに設けられる。
【0035】
これにより、包材2を開封する際に開封予定ライン7の全長にわたり確実に切れ目が第1直線部11及び第2直線部12に誘導されるため、円滑に開封することができる。また、開封を誘導する弱線としては、直線状の第1直線部11及び第2直線部12であり、曲線を有さないため、弱線をレーザ加工等により容易に形成することができる。
【0036】
本実施形態に係る包装袋1は、第1直線部11と第2直線部12とは、長さが略同一であり、開封方向に沿って間欠的に、かつ交互に配列されており、開封誘導帯6においては、隣り合う弱線部10の第1直線部11及び第2直線部12のそれぞれの位置が開封方向において略同じである。
【0037】
これにより、第1直線部11及び第2直線部12による開封誘導帯6のジグザグ状のパターンが規則的、かつシンプルな形状となるため、開封誘導帯6をレーザ加工等により容易に形成することができる。また、弱線部10の第1直線部11及び第2直線部12のそれぞれの位置が開封方向において略同じで揃っていることから、引き裂き力が強い場合において切れ目が隣りの弱線部10の各直線部11、12に確実に導かれ、開封操作を開封予定ライン7に沿って円滑に進行させることができる。
【0038】
本実施形態に係る包装袋1は、山状部分13及び谷状部分14のそれぞれは、開封方向に沿う線を底辺とする二等辺三角形の形状を形成し、山状部分13の頂点を形成する角部及び谷状部分14の頂点を形成する角部のそれぞれの角度は同一であって60°~150°である。
【0039】
これにより、山状部分13及び谷状部分14を形成する第1直線部11及び第2直線部12は開封方向に対してなだらかに傾斜するため、引き裂き力は第1直線部11及び第2直線部12に沿うように確実に伝わり、これら直線部11、12を確実に引き裂くことができる。また、開封誘導帯6のジグザグ状のパターンが規則的、かつシンプルな形状となるため、開封誘導帯6をレーザ加工等により容易に形成することができる。
【0040】
本実施形態に係る包装袋1は、第1直線部11と第2直線部12とが互いに交わることなく開封方向に沿って配列されることにより、各直線部11、12によって全周が囲まれる領域は形成されない。例えば、図4に示すように、ハーフカットによる2本のジグザグ状の弱線19が開封方向に位相をずらして形成された場合、弱線19で全周が囲まれる複数の菱形状の領域19aが形成される。この場合、例えばその領域19aを囲む弱線19が全周にわたり破断されると、領域19aは脱落し、収容物に異物として混入するおそれがある。しかし、本実施形態では第1直線部11と第2直線部12とが互いに交わっていないため、包材2に部分的な破片が生じ、その破片が脱落する事態は起こらない。
【0041】
本実施形態に係る包装袋1において、開封誘導帯6は、2枚の包材2のうちの一方の包材2の外面に形成される。このため、図3に示すように、開封誘導帯6が形成されていない側の包材2Bにおいては、図3に示すように切り口端縁2bが、開封誘導帯6が形成されている側の包材2Aの切り口端縁2aと揃わない部分が生じる。これにより、双方の切り口端縁2a、2bを離間させて開口を開く作業が行いやすくなる。
【0042】
次いで、以下に本発明に係る第2~第4実施形態を説明する。なお、これら実施形態において上記第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、それらの説明を省略して第1実施形態と相違する点を主に説明する。
【0043】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る包装袋1を示している。第2実施形態に係る包装袋1は、上記第1実施形態の開封誘導帯6に代えて、開封誘導帯20を備える。開封誘導帯20は、上記第1実施形態と同様に3列の弱線部10を有する。それぞれの弱線部10は、開封方向に沿って複数の第1弱線パターン21を有する。
【0044】
図6に示すように、第1弱線パターン21は、開封方向に対して傾斜する第1直線部11と、開封方向に対して第1直線部11と逆向きに傾斜する第2直線部12と、を含む。第1直線部11の長さは第2直線部12の長さよりも短い。第1弱線パターン21は、開封方向に沿って2つの第1直線部11の間に1つの第2直線部12が配置された略Z字状のパターンを有する。第1直線部11の長さは、例えば0.5mm~10mm程度とされ、第2直線部12の長さは、例えば1mm~30mm程度とされる。この範囲では、第1直線部11の長さは1mm~5mmがより好ましく、第2直線部12の長さは2mm~10mmがより好ましい。
【0045】
第1弱線パターン21は、第2直線部12に対して第1直線部11が左右両側に連続しており、図6において左側の端部には山状部分13が形成され、右側の端部には谷状部分14が形成されている。3列の弱線部10のそれぞれは、複数の第1弱線パターン21が、開封方向に位相をずらして交互に配列されることにより、山状部分13と谷状部分14とが開封方向に略直交する上下方向において菱形状に重畳し、かつ互いに離間している。第1弱線パターン21が上下方向に離間することにより、弱線部10は、第1直線部11の端部と第2直線部12の中間部分との間に、ハーフカットされない包材2の厚みのままの非弱線部15を有する。
【0046】
各直線部11、12の開封方向に対する傾斜角度は互いに同じであって、山状部分13及び谷状部分14のそれぞれは、開封方向に沿う線を底辺とする二等辺三角形の形状を形成する。山状部分13の頂点を形成する角部13a及び谷状部分14の底部を形成する角部14aのそれぞれの角度は同一であって、上記第1実施形態と同様に60°~150°である。
【0047】
第2実施形態に係る開封誘導帯20によれば、例えば、図5および図6において左側から開封誘導帯20を引き裂く場合、開封誘導帯20は次のようにして引き裂かれる。1つの弱線部10において、最初の第1弱線パターン21の第1直線部11が引き裂かれ、引き続きその第1直線部11に連なる第2直線部12が引き裂かれて山状部分13が引き裂かれ、続いて第2直線部12に連なる第1直線部11が引き裂かれて谷状部分14が引き裂かれる。すなわち、まず1つの第1弱線パターン21が引き裂かれる。次に、第1直線部11を引き裂いた力は、その第1直線部11に誘導されて非弱線部15を引き裂き、切れ目が上側の第1弱線パターン21の第2直線部12に移る。そしてその第2直線部12がほぼ中央部から右側に引き裂かれて谷状部分14が引き裂かれ、次いで、第1直線部11に誘導されて次の非弱線部15が引き裂かれ、次の上側の第1弱線パターン21の第2直線部12の中央部付近に切れ目が移る。なお、このような切れ目の遷移のパターンは一例であり、これに限られない。
【0048】
このように第1弱線パターン21の下側部分から上側の第1弱線パターン21に切れ目が順次移るようにして、各直線部11、12の間の非弱線部15が破断されながら、各直線部11、12に切れ目が必ず引き継がれてこれら各直線部11、12が交互に、かつ次々に引き裂かれることにより、開封誘導帯20の破断がジグザグ状に進行し、包装袋1は開封される。なお、図5および図6において右側から開封誘導帯20を引き裂く場合には、上記と逆の順序で各直線部11、12は引き裂かれ、その場合は第1弱線パターン21の上側部分から下側の第1弱線パターン21に切れ目が順次移るようにして切り裂きが右側から左側に進行する。開封の方向は、例えば利き手に応じて利用者に選択される。
【0049】
第2実施形態によれば、包材2を開封する際に開封予定ライン7の全長にわたり確実に切れ目が第1直線部11及び第2直線部12に誘導されるため、円滑に開封することができる。また、開封を誘導する弱線としては、直線状の第1直線部11及び第2直線部12であり、曲線を有さないため、弱線をレーザ加工等により容易に形成することができる。
【0050】
また、第2実施形態によれば、弱線部10において、第1弱線パターン21の山状部分13と谷状部分14とが上下方向において菱形状に重畳し、かつ互いに離間しており、非弱線部15を有する。これにより、第1直線部11及び第2直線部12で全周が囲まれる領域が包材2に形成されない。このため、開封時において図4に示したような破片は生じず、その破片が脱落して収容物に混入する事態は起こらない。
【0051】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係る包装袋1を示している。第3実施形態に係る包装袋1は、図8に示すように、上記第2実施形態の開封誘導帯20において、第1弱線パターン21の第1直線部11と第2直線部12とが離間しており、その離間する部分に、非弱線部16を有する点のみが上記第2実施形態と相違している。
【0052】
第3実施形態によれば、上記第2実施形態と同様に、開封誘導帯20により円滑に開封することができるとともに、開封誘導帯20を容易に形成することができるといった効果を奏する。また、第2実施形態に対して非弱線部16が付加された構成により、第2実施形態よりも開封誘導帯20の強度がやや強くなるので、包材2の厚みが比較的薄い場合に適用することにより、開封誘導帯20が過度に弱くなりにくいという利点を備える。
【0053】
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態に係る包装袋1を示している。第4実施形態に係る包装袋1は、上記第1実施形態の開封誘導帯6に代えて、開封誘導帯30を備える。開封誘導帯30は、上記第1実施形態と同様に3列の弱線部10を有する。それぞれの弱線部10は、開封方向に沿って間欠的に配列された複数の第2弱線パターン31を有する。
【0054】
第2弱線パターン31は、山状部分13と谷状部分14とが開封方向に略直交する上下方向において離間した状態で菱形状に重畳したパターンである。山状部分13及び谷状部分14のそれぞれは、同じ長さを有し、かつ互いに連続する第1直線部11と第2直線部12とを有する。第1直線部11及び第2直線部12は、開封方向に対して互いに逆向きに傾斜しており、その傾斜角度は互いに同じであって、山状部分13及び谷状部分14のそれぞれは、開封方向に沿う線を底辺とする二等辺三角形の形状を形成する。山状部分13の頂点を形成する角部13a及び谷状部分14の底部を形成する角部14aのそれぞれの角度は同一であって、上記第1実施形態と同様に60°~150°である。
【0055】
第2弱線パターン31の上下方向に離間する山状部分13と谷状部分14とは、それぞれの左右方向両端部において、第1直線部11と第2直線部12の端部どうしが近接して離間している。第2弱線パターン31は、その離間部分に、ハーフカットされない包材2の厚みのままの非弱線部17を有する。さらに弱線部10は、開封方向に隣接する第2弱線パターン31の間に、ハーフカットされない包材2の厚みのままの非弱線部18を有する。第4実施形態に係る開封誘導帯30においては、上下方向に隣り合う弱線部10の第2弱線パターン31の位置が開封方向において略同じであって揃っている。
【0056】
第4実施形態に係る開封誘導帯30によれば、開封誘導帯30に開封方向に沿って引き裂く力が与えられると、1つの弱線部10において、最初の第2弱線パターン31の山状部分13または谷状部分14のうちのいずれか一方が引き裂かれる。例えば、最初に山状部分13が引き裂かれる場合には、その山状部分13の第1直線部11、第2直線部12の順に切れ目が生じ、次いで非弱線部17が引き裂かれて隣りの山状部分13に移り、第1直線部11、第2直線部12が順に切り裂かれ、次いで非弱線部17が引き裂かれて隣りの山状部分13に移る。このようにして非弱線部17を引き裂きながら山状部分13が順次引き裂かれて、開封誘導帯30はジグザグ状に破断して開封される。また、最初に谷状部分14が引き裂かれた場合には、谷状部分14が順次引き裂かれて、開封誘導帯30はジグザグ状に破断して開封される。なお、必ずしも山状部分13のみ、あるいは谷状部分14のみが引き裂かれるとは限らず、山状部分13と谷状部分14に交互に切れ目が伝達して引き裂かれたり、順不同で引き裂かれたりする場合もある。
【0057】
第4実施形態によれば、包材2を切り裂いて開封する際に開封予定ライン7の全長にわたり確実に切れ目が第2弱線パターン31に誘導されるため、円滑に開封することができる。また、開封を誘導する弱線としては、直線状の第1直線部11及び第2直線部12であり、曲線を有さないため、弱線をレーザ加工等により容易に形成することができる。
【0058】
また、第4実施形態によれば、弱線部10において、第2弱線パターン31の山状部分13と谷状部分14とが上下方向において菱形状に重畳し、かつ互いに離間しており、非弱線部17を有する。これにより、山状部分13と谷状部分14とで全周が囲まれる領域が包材2に形成されない。このため、開封時において破片は生じず、その破片が脱落して収容物に混入する事態は起こらない。
【0059】
本発明は上記各実施形態の態様に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、包材2は、樹脂以外のシート状の材料であってよく、例えば、適宜厚さのシート状の紙で構成されてもよい。また、第1直線部11及び第2直線部12の開封方向に対する傾斜角度は、上記各実施形態では同一であるが異なっていてもよい。また、例えば複数の第1直線部11の傾斜角度が2種類あって、開封方向に交互に異なるように配列されてもよい。
【0060】
上記各実施形態では、開封方向に延在する弱線部10は3列となっているが、本発明では2列以上の複数列であればその数に制限はなく、例えば弱線部10の幅(上下方向の長さ寸法)などに応じて列の数が選択される。山状部分13と谷状部分14の開封方向の配列数及びその間隔(ピッチ)は任意であり、例えば包材2の材質に応じた引き裂きやすさなどに応じて適宜決定される。
【符号の説明】
【0061】
1 包装袋
2 包材
3 周縁部
4 封止部
5 収容部
6、20、30 開封誘導帯
7 開封予定ライン
10 弱線部
11 第1直線部
12 第2直線部
13 山状部分
13a 山状部分の頂点を形成する角部
14 谷状部分
14a 谷状部分の頂点を形成する角部
21 第1弱線パターン
31 第2弱線パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10