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  • 特許-基板収容構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】基板収容構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20240604BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20240604BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20240604BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H05K5/02 J
H05K5/00 A
H05K5/03 A
H05K7/14 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020139828
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035482
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】望月 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 潤
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-56478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H05K 5/00
H05K 5/03
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一面側が開口して前記基板が収容され、前記基板の外縁部に対向して配置される周壁を有するケースと、
を備え、
前記周壁には、前記基板の外縁部と前記周壁の内面との間の隙間を保持し、前記ケースに対して前記基板を位置決めするリブが設けられ、
前記周壁には、温度変化によって前記リブ又は前記周壁が前記基板と当接したときに、前記周壁を前記ケースの外方に向けて撓ませる変形部が設けられ
前記変形部は、前記周壁を切り欠いて形成され、前記基板の角部が配置される凹部である、基板収容構造。
【請求項2】
前記ケースには、開口を閉塞するカバーが組付けられ、
前記カバーには、前記凹部の外面を覆う覆壁が設けられている請求項に記載の基板収容構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板収容構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板収容構造としては、基板と、基板の一面側が開口して収容され、基板の外縁部に対向して配置される周壁としての側壁部を有するケースとしての筐体とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この基板収容構造では、側壁部に、基板の外縁部と側壁部の内面との間の隙間を保持し、筐体に対して基板を位置決めするリブとしての凸部が設けられている。このような基板収容構造では、筐体に基板が配置された状態で、凸部が基板の外縁部に接して、筐体に対して基板が水平方向に位置決めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-231895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のような基板収容構造では、ケースのリブによって、基板の外縁部と周壁の内面との隙間を保持するように、ケースに対して基板が位置決めされている。この基板の外縁部と周壁の内面との隙間は、非常に狭く設定されている。
【0006】
このため、温度変化、特に、高温から低温への温度変化によって、ケースに収縮が生じたとき、リブが基板の外縁部に強く当接され、隙間を埋めるように、基板の外縁部と周壁の内面とが当接される可能性がある。このような基板の外縁部と周壁の内面との当接が生じると、基板に大きな負荷がかかり、基板に搭載された電子部品や電子部品と基板との電気的な接続部などに悪影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、温度変化による基板への負荷を低減することができる基板収容構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る基板収容構造は、基板と、前記基板の一面側が開口して前記基板が収容され、前記基板の外縁部に対向して配置される周壁を有するケースと、を備え、前記周壁には、前記基板の外縁部と前記周壁の内面との間の隙間を保持し、前記ケースに対して前記基板を位置決めするリブが設けられ、前記周壁には、温度変化によって前記リブ又は前記周壁が前記基板と当接したときに、前記周壁を前記ケースの外方に向けて撓ませる変形部が設けられている。
【0009】
前記変形部は、前記周壁を切り欠いて形成され、前記基板の角部が配置される凹部であることが好ましい。
【0010】
前記ケースには、開口を閉塞するカバーが組付けられ、前記カバーには、前記凹部の外面を覆う覆壁が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、温度変化による基板への負荷を低減することができる基板収容構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る基板収容構造のカバーを組付ける前の斜視図である。
図2】本実施形態に係る基板収容構造のカバーを組付けたときの斜視図である。
図3】本実施形態に係る基板収容構造の基板とケースの斜視図である。
図4】本実施形態に係る基板収容構造の基板とケースの上面図である。
図5図4の要部拡大図である。
図6図3の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本実施形態に係る基板収容構造について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0014】
本実施形態に係る基板収容構造1は、基板3と、基板3の一面側が開口して基板3が収容され、基板3の外縁部に対向して配置される周壁5を有するケース7とを備えている。
【0015】
また、周壁5には、基板3の外縁部と周壁5の内面との間の隙間Sを保持し、ケース7に対して基板3を位置決めするリブ9が設けられている。
【0016】
そして、周壁5には、温度変化によってリブ9又は周壁5が基板3と当接したときに、周壁5をケース7の外方に向けて撓ませる変形部11が設けられている。
【0017】
また、変形部11は、周壁5を切り欠いて形成され、基板3の角部が配置される凹部13である。
【0018】
さらに、ケース7には、開口を閉塞するカバー15が組付けられる。そして、カバー15には、凹部13の外面を覆う覆壁17が設けられている。
【0019】
図3図6に示すように、基板3は、回路パターンを形成する導体(不図示)が配索されたプリント基板などからなる。この基板3には、電子部品(不図示)や基板3への電力の供給、電子部品への信号を送信、或いは電子部品からの信号を受信するコネクタ19,19が搭載されている。この電子部品やコネクタ19,19は、基板3の導体に対して、例えば、はんだ付けなどによって、電気的に接続されている。このような基板3は、ケース7に収容される。
【0020】
図1図6に示すように、ケース7は、基板3より線膨張係数の大きい樹脂からなる。このケース7は、基板3の一面側(ここではコネクタ19,19側)が開口され、基板3の外縁部を囲うように、基板3の外縁部に対向して配置される周壁5を有する。このようなケース7には、複数(ここでは2つ)の固定部21が設けられ、例えば、車両に搭載された機器などに固定部21を介して組付けられる。このケース7の周壁5には、ケース7に対して基板3を位置決めする複数(ここでは4つ)のリブ9が設けられている。
【0021】
図3図4に示すように、複数のリブ9は、周壁5の内面から周壁5と連続する一部材でケース7の内方に向けて突出するように形成されている。この複数のリブ9は、基板3の外縁部と当接し、基板3の外縁部と周壁5の内面との間の隙間S(図5参照)を保持するように、ケース7に対して基板3を平面方向に位置決めする。このような複数のリブ9は、基板3の対角線上に位置する固定部21,21の近傍に、それぞれ2箇所の計4箇所設けられている。このように複数のリブ9を基板3の対角線上にそれぞれ配置することにより、最小限のリブ9で、基板3を位置決めすることができる。
【0022】
ここで、ケース7は、基板3より線膨張係数の大きい樹脂からなる。また、基板3の外縁部と周壁5の内面との間の隙間Sは、ケース7の大型化を抑制するために、非常に狭く設定されている。このため、温度変化、特に、高温から低温への温度変化によって、ケース7と基板3とに収縮が生じたときに、ケース7の線膨張係数は、基板3より大きいため、複数のリブ9が基板3の外縁部に強く当接される。このとき、基板3の外縁部と周壁5の内面との間の隙間Sは、非常に狭いので、基板3の外縁部と周壁5の内面とが当接する可能性がある。
【0023】
このような温度変化による基板3とリブ9との当接や基板3と周壁5との当接は、基板3に対して、基板3を内方に向けて押圧する大きな負荷をかける可能性がある。このような大きな負荷が基板3にかかると、基板3に搭載された電子部品やコネクタ19,19の損傷、電子部品及びコネクタ19,19と基板3との電気的な接続部に損傷が生じるなどの悪影響を及ぼす懸念がある。そこで、周壁5には、温度変化による基板3への負荷を低減するために、変形部11が設けられている。
【0024】
図3図6に示すように、変形部11は、周壁5を切り欠いて形成された凹部13となっている。この凹部13は、基板3の角部が配置されるように、周壁5に複数(ここでは6つ)設けられている。このような凹部13は、周壁5を切り欠いて形成されているので、凹部13と隣り合う周壁5,5の剛性を低下させる。
【0025】
このように変形部11としての凹部13を周壁5に設けることにより、温度変化によって基板3とリブ9とが強く当接、或いは基板3と周壁5とが当接したときに、周壁5をケース7の外方に向けて撓ませることができる。詳細には、図6の矢印で示すように、凹部13と隣り合う周壁5,5をケース7の外方に向けて撓ませることができる。
【0026】
このため、リブ9が基板3に強く当接、或いは周壁5が基板3と当接するような温度変化が生じたときに、凹部13と隣り合う周壁5,5がケース7の外方に向けて撓む。この周壁5,5の撓みにより、リブ9や周壁5の内面が、基板3を内方に向けて押圧する押圧力を低減することができる。従って、基板3に大きな負荷がかかることがなく、基板3に搭載された電子部品やコネクタ19,19の損傷、電子部品及びコネクタ19,19と基板3との電気的な接続部に損傷が生じるなどの悪影響を抑制することができる。このような変形部11としての凹部13が設けられたケース7には、カバー15が組付けられる。
【0027】
図1図2に示すように、カバー15は、樹脂などの絶縁性材料からなる。このカバー15は、ケース7との間に設けられた複数(ここでは6つ)の係合部23を介して、ケース7の基板3の一面側に位置する開口を閉塞するように、ケース7に組付けられる。このようなカバー15には、ケース7に組付けられた状態で、凹部13の外面を覆う覆壁17が設けられている。このようにカバー15に覆壁17を設けることにより、ケース7にカバー15を組付けた状態では、凹部13から基板3が外部に露出することがなく、基板3を保護することができる。
【0028】
このような基板収容構造1では、周壁5に、温度変化によってリブ9又は周壁5が基板3と当接したときに、周壁5をケース7の外方に向けて撓ませる変形部11が設けられている。このため、リブ9や周壁5が基板3と当接するような温度変化が生じたときに、変形部11によって、周壁5がケース7の外方に向けて撓まされる。
【0029】
この周壁5の撓みにより、リブ9や周壁5の内面が、基板3を内方に向けて押圧する押圧力を低減することができる。このため、温度変化によって基板3にかかる負荷を低減することができ、基板3に搭載された電子部品や電子部品と基板3との電気的な接続部などへの悪影響を抑制することができる。
【0030】
従って、このような基板収容構造1では、ケース7に、周壁5をケース7の外方に向けて撓ませる変形部11が設けられているので、温度変化による基板3への負荷を低減することができる。
【0031】
また、変形部11は、周壁5を切り欠いて形成され、基板3の角部が配置される凹部13である。このため、変形部11を簡易な構造とすることができ、ケース7の構造を複雑化することなく、温度変化による基板3への負荷を低減することができる。
【0032】
さらに、カバー15には、凹部13の外面を覆う覆壁17が設けられている。このため、ケース7にカバー15が組付けられた状態では、覆壁17によって、凹部13から基板3が外部に露出することがなく、基板3を保護することができる。
【0033】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0034】
例えば、本実施形態に係る基板収容構造では、変形部が、周壁を切り欠いて形成された凹部となっているが、これに限るものではない。例えば、変形部として、周壁の一部を、弾性部材などで形成し、周壁をケースの外方に向けて撓ませるようにしてもよい。
【0035】
また、リブは、周壁において、基板の対角線上にそれぞれ配置されているが、これに限らず、リブを、周壁のどの位置に配置してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 基板収容構造
3 基板
5 周壁
7 ケース
9 リブ
11 変形部
13 凹部
15 カバー
17 覆壁
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6