IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 武蔵エンジニアリング株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-棒金収納システム 図1
  • 特許-棒金収納システム 図2
  • 特許-棒金収納システム 図3
  • 特許-棒金収納システム 図4
  • 特許-棒金収納システム 図5
  • 特許-棒金収納システム 図6
  • 特許-棒金収納システム 図7
  • 特許-棒金収納システム 図8
  • 特許-棒金収納システム 図9
  • 特許-棒金収納システム 図10
  • 特許-棒金収納システム 図11
  • 特許-棒金収納システム 図12
  • 特許-棒金収納システム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】棒金収納システム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/23 20190101AFI20240604BHJP
【FI】
G07D11/23
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020154701
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048719
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】592221908
【氏名又は名称】武蔵エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】三瓶 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義一
(72)【発明者】
【氏名】吉村 靖博
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-119808(JP,A)
【文献】特開昭56-024689(JP,A)
【文献】特開2014-059828(JP,A)
【文献】特開2008-192078(JP,A)
【文献】特開2007-219735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒金収納庫と、
前記棒金収納庫に設けられたドロアと、
前記ドロアを前記棒金収納庫に対して引出す方向及び押し込む方向に移動するモータと、
前記ドロアに設けられ、棒金硬貨を個別に収納する複数の棒金収納部と、
前記棒金収納庫に設けられ、前記棒金収納部に収納された前記棒金硬貨の長手方向長さを検出する長さ検出センサと、
前記棒金収納部に収納された前記棒金硬貨の直径を検出する径検出センサと
前記棒金収納部に収納された前記棒金硬貨の穴の有無を検出する穴検出センサと、
前記ドロアの位置の変位を検出するドロア位置センサと、
前記モータを駆動して前記ドロアを移動し、前記長さ検出センサと、前記径検出センサと、前記穴検出センサと、前記ドロア位置センサとの検出結果に基づいて、前記各棒金収納部に収納された前記棒金硬貨の有無及び前記棒金硬貨の金種を検出する制御装置と
を備え
前記棒金収納部は、収納される前記棒金硬貨の長手方向に沿って複数設けられた長さ検出穴を有し、
少なくとも1つの前記長さ検出穴は、前記棒金収納部に前記棒金硬貨が収納されたときに前記棒金硬貨により遮蔽され、
前記長さ検出センサは、前記各長さ検出穴が遮蔽されているか開放されているかを検出する透過型光センサを含み、
前記長さ検出センサの前記透過型光センサは、前記ドロアの移動方向に沿って前記ドロア及び前記棒金収納庫を見たときに、前記透過型光センサの光軸の位置と前記棒金収納部の前記長さ検出穴の位置とが重なるように設けられ、
前記長さ検出穴のうち遮蔽されている穴の数を検出することで、前記棒金収納部に収容された前記棒金硬貨の前記長手方向長さを検出する棒金収納システム。
【請求項2】
前記棒金収納部は、前記ドロアの移動方向に沿って延びる長穴である径検出穴を有し、
前記径検出穴は、前記棒金収納部に前記棒金硬貨が収納されたときに前記棒金硬貨により少なくとも一部分が遮蔽され、
前記径検出センサは、前記棒金収納庫に設けられており、
前記径検出センサは、前記径検出穴の遮蔽されている部分の幅を検出する透過型光センサを含み、
前記径検出センサの前記透過型光センサは、前記ドロアの移動方向に沿って前記ドロア及び前記棒金収納庫を見たときに、前記透過型光センサの光軸の位置と前記棒金収納部の前記径検出穴の位置とが重なるように設けられ、
前記径検出穴の遮蔽されている部分の幅を検出することで、前記棒金収納部に収容された前記棒金硬貨の直径を検出する、請求項1に記載の棒金収納システム。
【請求項3】
前記各長さ検出穴は、前記棒金収納部に収納される前記棒金硬貨の径方向に沿って延びるスリット状に形成されている請求項1又は2に記載の棒金収納システム。
【請求項4】
前記棒金収納部は、水平に形成された底部と、前記底部に対して所定の角度を有し且つ前記棒金収納部に収納される前記棒金硬貨の径方向の外周部に接触するように形成された傾斜部とを有する請求項1~3のいずれか一項に記載の棒金収納システム。
【請求項5】
前記ドロアは、前記棒金収納庫に複数設けられている請求項1~4のいずれか一項に記載の棒金収納システム。
【請求項6】
前記モータはパルスモータであって、前記ドロア位置センサは前記パルスモータに出力するパルスモータステップ数の計数結果に基づいて前記ドロアの位置の変位を検出する請求項1~5のいずれか一項に記載の棒金収納システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、棒金収納システムに関し、特に棒金硬貨が収納可能なドロアを有する棒金収納システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の硬貨を厚さ方向に所定の枚数だけ積層して包装した棒金硬貨を収納するための、棒金収納庫を有する棒金収納システムが一般に知られている。特許文献1の棒金収納庫では、複数の棒金収納部が設けられたドロアを有し、棒金収納部に収納された棒金硬貨の直径を検出する径センサと、棒金硬貨の穴の有無を検出する穴センサと、ドロアの引出し位置を検出するエンコーダとにより、ドロア内の各棒金収納部に収納された棒金硬貨の金種を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-41665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す棒金収納庫では、ドロアを移動したときに棒金収納部に収容された棒金硬貨が転がり、径センサによる棒金硬貨の直径の検出結果が不安定となり、棒金硬貨の金種を誤って検出する可能性があるという問題があった。
【0005】
この発明はこのような問題を解決するためになされ、簡単な構成で精度良く棒金硬貨の金種を検出することができる棒金収納システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明に係る棒金収納システムは、棒金収納庫と、棒金収納庫に引出し自在に設けられたドロアと、ドロアを引出す方向及び押し込む方向へ移動するモータと、ドロアに設けられ、棒金硬貨を個別に収納する複数の棒金収納部と、棒金収納庫に設けられ、棒金収納部に収納された棒金硬貨の長手方向長さを検出する長さ検出センサと、棒金収納部に収納された棒金硬貨の直径を検出する径検出センサと、棒金収納部に収納された棒金硬貨の穴の有無を検出する穴検出センサと、ドロアの引出し位置の変位を検出するドロア位置センサと、モータを駆動してドロアを移動し、長さ検出センサと、径検出センサと、穴検出センサと、ドロア位置センサとの検出結果に基づいて、各棒金収納部に収納された棒金硬貨の有無及び棒金硬貨の金種を検出する制御装置とを備え、棒金収納部は、収納される棒金硬貨の長手方向に沿って複数設けられた長さ検出穴を有し、少なくとも1つの長さ検出穴は、棒金収納部に棒金硬貨が収納されたときに棒金硬貨により遮蔽され、長さ検出センサは、各長さ検出穴が遮蔽されているか開放されているかを検出する透過型光センサを含み、長さ検出センサの透過型光センサは、ドロアの移動方向に沿ってドロア及び棒金収納部を見たときに、透過型光センサの光軸の位置と棒金収納部の長さ検出穴の位置とが重なるように設けられ、長さ検出穴のうち遮蔽されている穴の数を検出することで、棒金収納部に収容された棒金硬貨の長手方向長さを検出する。
【0007】
また、棒金収納部は、ドロアの移動方向に沿って延びる長穴である径検出穴を有し、径検出穴は、棒金収納部に棒金硬貨が収納されたときに棒金硬貨により少なくとも一部分が遮蔽され、径検出センサは、棒金収納庫に設けられており、径検出センサは、径検出穴の遮蔽されている部分の幅を検出する透過型光センサを含み、径検出センサの透過型光センサは、ドロアの移動方向に沿ってドロア及び棒金収納庫を見たときに、透過型光センサの光軸の位置と棒金収納部の径検出穴の位置とが重なるように設けられ、径検出穴の遮蔽されている部分の幅を検出することで、棒金収納部に収容された棒金硬貨の直径を検出してもよい。
また、棒金収納部は、収納される棒金硬貨の長手方向に沿って複数設けられた長さ検出穴を有し、少なくとも1つの長さ検出穴は、棒金収納部に棒金硬貨が収納されたときに棒金硬貨により遮蔽され、長さ検出センサは、長さ検出穴の遮蔽状態を検出することにより、棒金収納部に収容された棒金硬貨の有無及び棒金硬貨の長手方向長さを検出してもよい。
また、長さ検出穴は、棒金収納部に収納される棒金硬貨の径方向に沿って延びるスリット状に形成されてもよい。
また、棒金収納部は、水平に形成された底部と、底部に対して所定の角度を有し且つ棒金収納部に収納される棒金硬貨の径方向の外周部に接触するように形成された傾斜部とを有してもよい。
また、ドロアは、棒金収納庫に複数設けられてもよい。
また、モータはパルスモータであって、ドロア位置センサはパルスモータに出力するパルスモータステップ数の計数結果に基づいてドロアの位置の変位を検出してもよい。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る棒金収納庫は、長さ検出センサと、径検出センサと、穴検出センサと、ドロア位置センサとのそれぞれの検出結果に基づいて、各棒金収納部に収納された棒金硬貨の有無及び棒金硬貨の金種を検出するため、簡単な構成で精度良く棒金硬貨の金種を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係る現金収納機を示す斜視図である。
図2図1に示す棒金収納庫のドロアを示す斜視図である。
図3図2に示すドロアの平面概略図である。
図4図3に示す棒金収納部の平面概略図である。
図5図3に示すドロアのA-A’線断面概略図である。
図6図3に示すドロアのB-B’線断面概略図である。
図7図6に示す棒金収納部の拡大断面図である。
図8図3に示すドロアの別のB-B’線断面概略図である。
図9図3に示す棒金収納庫のセンサ出力のタイミングチャートである。
図10図3に示す棒金収納部への棒金硬貨の第1の収納例を示す平面概略図である。
図11図3に示す棒金収納部への棒金硬貨の第2の収納例を示す平面概略図である。
図12図3に示す棒金収納部への棒金硬貨の第3の収納例を示す平面概略図である。
図13】本発明の実施の形態2に係る棒金収納部の平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、この発明の棒金収納システムの実施の形態1について添付図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の実施の形態1に係る現金収納機1の斜視図である。
現金収納機1は、入金された紙幣及び硬貨を計数、収納して管理するものであり、主制御部2と棒金収納庫3とを有している。主制御部2は、入金された紙幣及び硬貨の計数を行う図示しない計数部、ユーザに提供する情報を表示するとともにユーザからの操作が入力されるタッチパネル21及び現金収納機1の全体を制御し入出金情報を管理する主制御装置22を有している。主制御装置22は、内部に図示しないCPU及びRAM等の電子装置を有している。棒金収納庫3は、棒金硬貨50を収納する収納庫である。棒金硬貨50は、硬貨を金種別に所定の枚数だけ厚さ方向に積層したものを、包装して棒状に形成したものである。棒金硬貨50を形成する硬貨の積層されている方向、すなわち厚み方向を、棒金硬貨の50の長手方向という。また、棒金収納庫3は主制御部2の主制御装置22と電気的に接続されており、棒金収納庫3への各棒金硬貨50の収納状況は主制御装置22に入力される。なお、現金収納機1は棒金収納システムを構成している。
【0011】
また、棒金収納庫3には、棒金硬貨50を収納する引出し状のドロア30が鉛直方向に複数段配置されている。図1に示す棒金収納庫3には、ドロア30が7段配置されている。現金収納機1の正面側に位置する各ドロア30の正面には、前板31が設けられている。なお、この実施の形態1では棒金収納庫3の前板31が設けられている側を棒金収納庫3全体及びドロア30の正面側すなわち前側と定義し、棒金収納庫3の正面側に対する奥行側を棒金収納庫3全体及びドロア30の背面側すなわち後側と定義する。また、図1に示す棒金収納庫3を前側から見たときを基準として棒金収納庫3全体及びドロア30の右側及び左側を定義する。各ドロア30は棒金収納庫3内部に固定されて設けられた、枠状レール部33に取り付けられている。ドロア30は、後に詳しく説明するパルスモータにより前側に引出され、後側に押し込まれることが可能に設けられている。ユーザは、引き出されたドロア30に棒金硬貨50を入出金することができる。
【0012】
図2は、図1に示すドロア30の斜視図である。ドロア30には、棒金硬貨50を収納する細長い凹状の棒金収納部32が複数設けられている。各棒金収納部32は、収納される棒金硬貨50の長手方向が水平方向を向き、且つ棒金硬貨50の長手方向がドロア30の長手方向に対して垂直方向を向くように形成されている。すなわち、棒金収納部32はドロア30の左右方向に延びている。また、棒金収納部32は、右方向又は左方向から見たときに、棒金硬貨50の径中央部が見えるように形成されている。さらに、棒金収納部32はドロア30の長手方向に列をなして10個設けられており、この棒金収納部32の列はドロア30に2列設けられている。なお、本実施の形態1では棒金収納部32のドロア30の長手方向に配置される数は10個であったが、少なくとも2個設けられていればよく、例えば12個であってもよい。また、本実施の形態1では棒金収納部32の列は2列であったが少なくとも1列設けられていればよく、例えば3列であってもよい。
【0013】
ドロア30は、スライドレール構造33aを有する枠状レール部33に取り付けられ、棒金収納庫3(図1参照)の前側及び後側に移動することができる。枠状レール部33の最前部の上側には、水平方向に延びる枠前側上部34が設けられている。枠状レール部33の最前部の下側には、水平方向に延び、枠前側上部34に対向する枠前側下部45が設けられている。枠状レール部33の左側面の最前部には、枠前側左部35が設けられている。枠状レール部33の右側面の最前部には、枠前側右部36が設けられている。枠前側上部34と、枠前側下部45と、枠前側左部35と、枠前側右部36とは、枠状レール部33に差し込まれるドロア30の差込口48を構成している。
【0014】
枠前側上部34及び枠前側下部45には、第1長さ検出センサ61と、第2長さ検出センサ62と、第3長さ検出センサ63と、第4長さ検出センサ64と、径検出センサ65が配置されている。なお、図2には枠前側下部45に配置されている各センサは図示されていない。第1長さ検出センサ61と、第2長さ検出センサ62と、第3長さ検出センサ63と、第4長さ検出センサ64とは、棒金硬貨50の長手方向長さを検出する。径検出センサ65は、棒金硬貨50の径を検出する。
【0015】
枠前側左部35及び枠前側右部36には、穴検出センサ66が配置されている。なお、枠前側右部36側の穴検出センサ66は図2では図示されていない。穴検出センサ66は、棒金硬貨50の硬貨の穴の有無を検出する。枠前側下部45の中央部には、ドロア30を引出す方向(前側)及び押し込む方向(後側)に移動させるためにパルスモータの駆動力を伝達するギアボックス70が設けられている。また、枠前側下部45にはエンコーダ67が設けられている。エンコーダ67は、ドロア30が棒金収納庫3(図1参照)の前後方向の何れに移動しているか及びどの位置に移動しているかを検出する光学式ロータリエンコーダである。すなわち、エンコーダ67は、ドロア30の引出し位置の変位を検出するドロア位置センサを構成する。
【0016】
図3は、図2に示すドロア30が最も後側に移動したとき、すなわち最も枠状レール部33に押し込まれたときのドロア30及び枠状レール部33の平面概略図である。なお、図3においてドロア30の前板31が設けられている側がドロア30の前側であり、前板31に対向する側がドロア30の後側である。また、図3を前側から後側の方向に見たときの左側がドロア30の左側であり、図3を前側から後側の方向に見たときの右側がドロア30の右側である。また、ドロア30の最も前側の棒金収納部32は、枠状レール部33の枠前側上部34に隠れているため図示されていない。
【0017】
各棒金収納部32の各列に対して、ドロア30の左側から順に、第1長さ検出センサ61と、第2長さ検出センサ62と、第3長さ検出センサ63と、第4長さ検出センサ64とが配置されている。第1長さ検出センサ61と第2長さ検出センサ62とが近接して配置されており、第3長さ検出センサ63と第4長さ検出センサ64とが近接して配置されている。径検出センサ65は、第2長さ検出センサ62と第3長さ検出センサ63との中間部に配置されている。また、棒金収納部32の各列に対して左右側に、穴検出センサ66がそれぞれ配置されている。すなわち、第1長さ検出センサ61と、第2長さ検出センサ62と、第3長さ検出センサ63と、第4長さ検出センサ64と、径検出センサ65と、穴検出センサ66とは、各棒金収納部32の各列に対して一組ずつ配置されている。
【0018】
図4は、図3に示す棒金収納部32を示す拡大して示す平面概略図であり、棒金収納部32に棒金硬貨50が収容されていない状態を表している。棒金収納部32には、前側部分には水平に形成された底部47が設けられ、後側部分には傾斜部43が設けられている。傾斜部43には、ドロア30における左側から順に第1長さ検出穴38と、第2長さ検出穴39と、第3長さ検出穴40と、第4長さ検出穴41とが設けられている。第1長さ検出穴38と、第2長さ検出穴39と、第3長さ検出穴40と、第4長さ検出穴41とは、それぞれドロア30(図3参照)の前後方向に沿って延びるスリット状の長穴である。
【0019】
図3及び図4を参照してより詳しく説明すると、第1長さ検出センサ61は左右方向において第1長さ検出穴38に対応する位置に、第2長さ検出センサ62は左右方向において第2長さ検出穴39に対応する位置に、第3長さ検出センサ63は左右方向において第3長さ検出穴40に対応する位置に、第4長さ検出センサ64は左右方向における第4長さ検出穴41に対応する位置にそれぞれ設けられている。傾斜部43の、左右方向の中央且つ後側には、ドロア30の前後方向に沿って延びるスリット状の長穴である径検出穴42が設けられている。すなわち、第1長さ検出穴38、第2長さ検出穴39、第3長さ検出穴40、第4長さ検出穴41及び径検出穴42は、棒金硬貨50を棒金収納部32に収納したときの棒金硬貨50の径方向に沿って延びるように形成されている。
【0020】
図5は、図3に示すドロア30のA-A’線断面概略図である。第1長さ検出センサ61は、枠前側上部34側に設けられた第1発光素子61aと、枠前側下部45側に設けられた第1受光素子61bとから構成された透過型光センサである。第1発光素子61aと第1受光素子61bとは対向して設けられており、両者の間に第1光軸61cが延びている。第1発光素子61a及び第1受光素子61bは、主制御装置22(図2参照)に電気的に接続されている。
【0021】
また、第2長さ検出センサ62は、枠前側上部34側に設けられた第2発光素子62aと、枠前側下部45側に設けられた第2受光素子62bとから構成された透過型光センサである。第2発光素子62aと第2受光素子62bとは対向して設けられており、両者の間に第2光軸62cが延びている。第2発光素子62a及び第2受光素子62bは、主制御装置22に電気的に接続されている。
【0022】
また、第3長さ検出センサ63は、枠前側上部34側に設けられた第3発光素子63aと、枠前側下部45側に設けられた第3受光素子63bとから構成された透過型光センサである。第3発光素子63aと第3受光素子63bとは対向して設けられており、両者の間に第3光軸63cが延びている。第3発光素子63a及び第3受光素子63bは、主制御装置22に電気的に接続されている。
【0023】
また、第4長さ検出センサ64は、枠前側上部34側に設けられた第4発光素子64aと、枠前側下部45側に設けられた第4受光素子64bとから構成された透過型光センサである。第4発光素子64aと第4受光素子64bとは対向して設けられており、両者の間に第4光軸64cが延びている。第4発光素子64a及び第4受光素子64bは、主制御装置22に電気的に接続されている。
【0024】
左側の棒金収納部32の側に配置された第1長さ検出センサ61は、ドロア30の左右方向における第1光軸61cの位置が、左側の棒金収納部32のドロア30の左右方向における第1長さ検出穴38の位置と重なる位置に配置されている。また左側の棒金収納部32の側に配置された第2長さ検出センサ62は、ドロア30の左右方向における第2光軸62cの位置が、左側の棒金収納部32のドロア30の左右方向における第2長さ検出穴39の位置と重なる位置に配置されている。また左側の棒金収納部32の側に配置された第3長さ検出センサ63は、ドロア30の左右方向における第3光軸63cの位置が、左側の棒金収納部32のドロア30の左右方向における第3長さ検出穴40の位置と重なる位置に配置されている。また、左側の棒金収納部32の側に配置された第4長さ検出センサ64は、ドロア30の左右方向における第4光軸64cの位置が、左側の棒金収納部32のドロア30の左右方向における第4長さ検出穴41の位置と重なる位置に配置されている。同様に、右側の棒金収納部32の側に配置された第1,第2,第3,第4長さ検出センサ61,62,63,64は、ドロア30の左右方向における第1,第2,第3,第4光軸61c,62c,63c,64dの位置が、右側の棒金収納部32のドロア30の左右方向における第1,第2,第3,第4長さ検出穴38,39,40,41の位置と重なる位置にそれぞれ配置されている。
【0025】
径検出センサ65は、枠前側上部34側に設けられた径検出センサ発光素子65aと、枠前側下部45側に設けられた径検出センサ受光素子65bとから構成された透過型光センサである。径検出センサ発光素子65aと径検出センサ受光素子65bとは対向して設けられており、両者の間に第5光軸65cが延びている。径検出センサ発光素子65a及び径検出センサ受光素子65bは、主制御装置22に電気的に接続されている。左側の棒金収納部32の側に配置された径検出センサ65は、ドロア30の左右方向における第5光軸の位置が、左側の棒金収納部32のドロア30の左右方向における径検出穴42の位置と重なる位置に配置されている。また、右側の棒金収納部32の側に配置された径検出センサ65は、ドロア30の左右方向における第5光軸の位置が、右側の棒金収納部32のドロア30の左右方向における径検出穴42の位置と重なる位置に配置されている。
【0026】
穴検出センサ66は、ドロア30の棒金収納部32の左側に設けられた穴検出センサ発光素子66aと、棒金収納部32の右側に設けられた穴検出センサ受光素子66bとから構成された透過型光センサである。穴検出センサ発光素子66aと穴検出センサ受光素子66bとは対向して設けられており、両者の間に第6光軸66cが延びている。穴検出センサ発光素子66a及び穴検出センサ受光素子66bは、主制御装置22に電気的に接続されている。
【0027】
図6図3に示すドロア30のB-B’線断面概略図である。なお、図6においては説明の便宜のために、後に詳しく説明するパルスモータ、ギアボックス及びラックギアの記載を省略している。ドロア30の各棒金収納部32の底部47の下側には、各棒金収納部32に対応する位置毎に長方形上のピッチ検出プレート37が互いに隙間を空けて設けられている。また、枠前側下部45には、ピッチ検出センサ68が設けられている。再度図5を参照して説明すると、ピッチ検出センサ68はドロア30の左右方向の中央部にスリットを有する溝型の透過型光センサである。スリット内に図6に示すピッチ検出プレート37が位置しているときには図示しない発光素子と受光素子との間の光が遮断されて出力がオフとなり、スリット内に各ピッチ検出プレート37の間の隙間が位置しているときには受光素子に発光素子の光が検出されて出力がオンになる。また、ピッチ検出センサ68は、主制御部2(図1参照)の主制御装置22に電気的に接続されている。
【0028】
図7はドロア30の各棒金収納部32の拡大断面図である。なお、図7では例として100円棒金硬貨55が棒金収納部32に収納されている場合を示している。棒金収納部32には、前側端部43aと、前側端部43aから中間部までの間に水平に形成されている底部47と、各棒金収納部32の中間部、すなわち底部47の後側端部から各棒金収納部32の後側端部までの間に形成されている傾斜部43とが設けられている。傾斜部43は、各棒金収納部32の後側端部が底部47よりも鉛直方向上側になるように形成された傾斜部であり、その傾斜角は底部47に対して50度の角度となるように形成されている。
【0029】
また、再度図6を参照して説明すると、図6は棒金収納部32に、1円棒金硬貨51と、5円棒金硬貨52と、10円棒金硬貨53と、50円棒金硬貨54と、100円棒金硬貨55と、500円棒金硬貨56とが収納されている例を示している。なお、1円棒金硬貨51と、5円棒金硬貨52と、10円棒金硬貨53と、50円棒金硬貨54と、100円棒金硬貨55と、500円棒金硬貨56とは、各金種の硬貨を金種毎に積層して包装した棒状にしたものである。各棒金収納部32の後側に傾斜部43が形成されていることにより、各棒金硬貨は各棒金収納部32の前側端部43aに寄った状態で、さらに各棒金硬貨の径方向の外周部が前側端部43a及び傾斜部43に接触した状態で収納されている。また、1円棒金硬貨51は、径方向の外周部が各棒金収納部32の底部47に接触した状態で収納されており、5円棒金硬貨52と、10円棒金硬貨53と、50円棒金硬貨54と、100円棒金硬貨55と、500円棒金硬貨56とは、径方向の外周部が底部47に接触していない状態で収納されている。
【0030】
線Cは、穴検出センサ66の第6光軸66c(図5参照)の位置に対応するドロア30の上下方向における位置を示す線である。この線Cは、5円棒金硬貨52の穴52a及び50円棒金硬貨54の穴54aの位置に重なっている。すなわち、5円棒金硬貨52の穴52a及び50円棒金硬貨54の穴54aの上下方向における位置は、穴検出センサ66の第6光軸66cの上下方向位置に重なるように、底部47の寸法及び傾斜部43の寸法と角度とが形成されている。
【0031】
図8は、パルスモータ69及びギアボックス70等の構成を説明するために、図6に対して記載する構成を変更した断面概略図である。図8においては説明の便宜のために、ピッチ検出プレート37の記載を省略している。パルスモータ69は、主制御装置22(図1参照)に接続されており、主制御装置22が有する図示しないモータドライバが出力するパルス信号に対応して制御される。主制御装置22は、パルスモータ69の駆動時にモータドライバが出力するパルスモータステップ数を読み取り検出することができる。なお、主制御装置22はドロア位置センサを構成している。
【0032】
ギアボックス70は、パルスモータ69の図示しない出力軸に設けられたピニオンギアにかみ合う中間ギア73と、前記中間ギア73にかみ合うラック連結ギア72とを有している。ラック連結ギア72は、棒金収納部32の下側に設けられたラックギア71に噛み合っている。ラックギア71は、棒金収納部32の前後方向に沿って設けられている。また、ラックギア71は、パルスモータ69の駆動力によってドロア30を前側及び後側に移動させるために設けられている。ラック連結ギア72の近傍には、ラック連結ギア72の回転角度を検出する光学式ロータリエンコーダであるエンコーダ67が設けられている。
【0033】
次に、この実施の形態1の棒金収納庫3の動作について説明する。
まずは、図8に示すようにパルスモータ69が駆動したときのドロア30の移動について説明する。パルスモータ69が駆動すると、パルスモータ69の図示しない出力軸の回転が中間ギア73を介してラック連結ギア72に伝達される。そして、ラック連結ギア72が回転することで、ラック連結ギア72に噛み合っているラックギア71が前後に移動し、ラックギア71が設けられているドロア30が前側及び後側に移動する。
【0034】
なお、上記の説明では図1に示す棒金収納庫3の1つの段のドロア30の構成を説明したが、本実施の形態1の棒金収納庫3に設けられている各ドロア30は全て上記に説明したドロア30と同じ構成である。
【0035】
次に、図2に示すドロア30の棒金収納部32における棒金硬貨50の検出について説明する。パルスモータ69が駆動することにより、ドロア30が前側又は後側に移動するときには、棒金収納部32及び棒金収納部32に収納された棒金硬貨50が、差込口48すなわち第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63、第4長さ検出センサ64、径検出センサ65及び穴検出センサ66が設けられている枠状レール部33の枠前側上部34、枠前側左部35、枠前側右部36及び枠前側下部45の位置を順次通過する。つまり、棒金収納部32と棒金硬貨50とは、棒金硬貨50の検出位置を順次通過する。
【0036】
またこのとき、図6に示すように各棒金収納部32の下側の各ピッチ検出プレート37が、枠状レール部33の枠前側下部45(図5参照)に設けられたピッチ検出センサ68のスリットを順次通過する。ピッチ検出センサ68は、スリット内の光軸位置にピッチ検出プレート37が存在するときに出力がオフとなり、スリット内の光軸位置にピッチ検出プレート37同士の隙間が存在するときに出力がオンとなる。したがって、ピッチ検出センサ68の出力がオフになっているときには、その上側にある棒金硬貨50及び棒金収納部32が検出位置にあることが検出される。これにより、ピッチ検出センサ68の出力がオフになっているときに、ドロア30を移動させながら第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63、第4長さ検出センサ64、径検出センサ65及び穴検出センサ66の出力を検出することで、検出位置にある各棒金収納部32に収納された棒金硬貨50を順次検出することができる。
【0037】
次に、検出位置に配置されている穴検出センサ66の動作について説明する。図6に示すように、ドロア30が前側に移動してドロア30の各棒金硬貨の直径の中心部が穴検出センサ66の位置に移動した場合に、棒金硬貨の金種が穴を有する硬貨であれば、穴検出センサ66は棒金硬貨により遮光されないため出力がオンとなる。
【0038】
例えば、5円棒金硬貨52の穴52a又は50円棒金硬貨54の穴54aが穴検出センサ66の位置に移動した場合には、穴検出センサ66の穴検出センサ発光素子66aと穴検出センサ受光素子66bとの間の第6光軸66c(図5参照)が遮光されないため、穴検出センサ66の出力がオンとなる。そのため、図9に示すように、ピッチ検出センサ68の出力がオフになっているときに、穴検出センサ66の出力がオンとなる。
【0039】
一方、図6に示す1円棒金硬貨51、10円棒金硬貨53、100円棒金硬貨55及び500円棒金硬貨56の直径の中心部が穴検出センサ66の位置に移動した場合には、これらの棒金硬貨は穴を有さないため穴検出センサ66の穴検出センサ発光素子66aと穴検出センサ受光素子66bとの間の第6光軸66c(図5参照)が遮光される。そのため、穴検出センサ66の出力がオフとなる。これにより図9に示すように、ピッチ検出センサ68の出力がオフになっているときに穴検出センサ66の出力がオフのままとなる。
【0040】
以上述べたように、ピッチ検出センサ68の出力がオフになっているときに、穴検出センサ66の出力がオンとなるか又はオフのままとなるかにより、各棒金硬貨50が穴を有する硬貨であるか又は穴を有さない硬貨であるかを検出することができる。
【0041】
次に、検出位置に配置されている第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64の動作について説明する。図10は、棒金収納部32のうち棒金収納部32a、32b及び32cに、1円棒金硬貨51、5円棒金硬貨52及び10円棒金硬貨53のいずれか1つを収納した場合を示す概略図である。1円棒金硬貨51、5円棒金硬貨52及び10円棒金硬貨53の長手方向長さは、ドロア30の左右方向における棒金収納部32a、32b及び32cの長さよりも短い。そのため、棒金収納部32a、32b及び32c内の1円棒金硬貨51、5円棒金硬貨52及び10円棒金硬貨53の左右方向位置にはばらつきが生じ、このばらつきにより、第1長さ検出穴38、第2長さ検出穴39、第3長さ検出穴40及び第4長さ検出穴41のいずれが遮蔽されて閉塞されるかが異なる。
【0042】
棒金収納部32aは、1円棒金硬貨51、5円棒金硬貨52又は10円棒金硬貨53が中央の位置に収納されているため、第1長さ検出穴38及び第4長さ検出穴41が遮蔽されず、第2長さ検出穴39及び第3長さ検出穴40が遮蔽されている。したがって、ドロア30が移動して、棒金収納部32aが第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64の位置にあるときには、第1長さ検出センサ61及び第4長さ検出センサ64は遮光されないため出力はオンとなり、第2長さ検出センサ62及び第3長さ検出センサ63は遮光されて出力はオフとなる。
【0043】
棒金収納部32bは、1円棒金硬貨51、5円棒金硬貨52又は10円棒金硬貨53が右寄りの位置に収納されているため、第1長さ検出穴38及び第2長さ検出穴39が遮蔽されず、第3長さ検出穴40及び第4長さ検出穴41が遮蔽されている。したがって、ドロア30が移動して、棒金収納部32bが第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64の位置にあるときには、第1長さ検出センサ61及び第2長さ検出センサ62は遮光されないため出力はオンとなり、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64は遮光されて出力はオフとなる。
【0044】
棒金収納部32cは、1円棒金硬貨51、5円棒金硬貨52又は10円棒金硬貨53が左寄りの位置に収納されているため、第3長さ検出穴40及び第4長さ検出穴41が遮蔽されず、第1長さ検出穴38及び第2長さ検出穴39が遮蔽されている。したがって、ドロア30が移動して、棒金収納部32bが第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64の位置にあるときには、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64は遮光されないため出力はオンとなり、第1長さ検出センサ61及び第2長さ検出センサ62は遮光されて出力はオフとなる。
【0045】
すなわち、棒金収納部32は、1円棒金硬貨51、5円棒金硬貨52及び10円棒金硬貨53のいずれか1個が収納されたときに、第1長さ検出穴38、第2長さ検出穴39、第3長さ検出穴40及び第4長さ検出穴41のうち2個が1円棒金硬貨51、5円棒金硬貨52及び10円棒金硬貨53により遮蔽されるように形成されている。これにより、1円棒金硬貨51、5円棒金硬貨52及び10円棒金硬貨53のいずれかが収納されたときに、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64のうち2個の出力がオンとなる。
【0046】
図11は、棒金収納部32のうち棒金収納部32d、32e及び32fに、50円棒金硬貨54及び100円棒金硬貨55のいずれか1つを収納した場合を示す概略図である。50円棒金硬貨54及び100円棒金硬貨55の長手方向長さも、ドロア30の左右方向における棒金収納部32a、32b及び32cの長さよりは短い。しかし、硬貨一枚当たりの厚さの違いにより、50円棒金硬貨54及び100円棒金硬貨55は、1円棒金硬貨51、5円棒金硬貨52及び10円棒金硬貨53よりも長手方向の長さが長い。そのため、1円棒金硬貨51、5円棒金硬貨52又は10円棒金硬貨53の場合とは、遮蔽される長さ検出穴が異なる。
【0047】
棒金収納部32dは、50円棒金硬貨54又は100円棒金硬貨55が中央の位置に収納されており、第1長さ検出穴38、第2長さ検出穴39、第3長さ検出穴40及び第4長さ検出穴41が遮蔽されている。したがって、ドロア30が移動して、棒金収納部32aが第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64の位置にあるときには、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64は遮光されて出力はオフとなる。
【0048】
棒金収納部32eは、50円棒金硬貨54又は100円棒金硬貨55が右寄りの位置に収納されているため、第1長さ検出穴38が遮蔽されず、第2長さ検出穴39、第3長さ検出穴40及び第4長さ検出穴41が遮蔽されている。したがって、ドロア30が移動して、棒金収納部32bが第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64の位置にあるときには、第1長さ検出センサ61は遮光されないため出力はオンとなり、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64は遮光されて出力はオフとなる。
【0049】
棒金収納部32fは、50円棒金硬貨54又は100円棒金硬貨55が左寄りの位置に収納されているため、第4長さ検出穴41が遮蔽されず、第1長さ検出穴38、第2長さ検出穴39及び第3長さ検出穴40が遮蔽されている。したがって、ドロア30が移動して、棒金収納部32bが第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64の位置にあるときには、第4長さ検出センサ64は遮光されないため出力はオンとなり、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62及び第3長さ検出センサ63は遮光されて出力はオフとなる。
【0050】
すなわち、棒金収納部32は、50円棒金硬貨54及び100円棒金硬貨55が収納されたときに、第1長さ検出穴38、第2長さ検出穴39、第3長さ検出穴40及び第4長さ検出穴41のうち3個又は4個が50円棒金硬貨54及び100円棒金硬貨55により遮蔽されるように形成されている。これにより、50円棒金硬貨54及び100円棒金硬貨55のいずれかが収納されたときに、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64のうち0個又は1個の出力がオンとなる。
【0051】
図12は、棒金収納部32のうち棒金収納部32g、32h及び32iに、500円棒金硬貨56を収納した場合を示す概略図である。500円棒金硬貨56の長手方向長さも、ドロア30の左右方向における棒金収納部32a、32b及び32cの長さよりは短い。しかし、硬貨一枚当たりの厚さの違いにより、500円棒金硬貨56は他のいずれの金種の棒金硬貨よりも長い。
【0052】
棒金収納部32gは、500円棒金硬貨56が中央の位置に収納されている。また、棒金収納部32hは500円棒金硬貨56が右寄りの位置に収納されている。さらに、棒金収納部32iは500円棒金硬貨56が左寄りの位置に収納されている。棒金収納部32g,32h,32iのいずれにおいても、第1長さ検出穴38、第2長さ検出穴39、第3長さ検出穴40及び第4長さ検出穴41が遮蔽されている。したがって、ドロア30が移動して、棒金収納部32aが第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64の位置にあるときには、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64は遮光されて出力はオフとなる。
【0053】
すなわち、棒金収納部32は、500円棒金硬貨56が収納されたときに、第1長さ検出穴38、第2長さ検出穴39、第3長さ検出穴40及び第4長さ検出穴41の全てが500円棒金硬貨56により遮蔽されるように形成されている。これにより、500円棒金硬貨56が収納されたときに、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64のうち0個がオンとなる。
【0054】
なお、棒金収納部32に棒金硬貨50が収納されていない場合には、第1長さ検出穴38、第2長さ検出穴39、第3長さ検出穴40及び第4長さ検出穴41の全てが遮蔽されない。これにより、棒金収納部32に棒金硬貨50が収納されていない場合には、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64の4個がオンとなる。
【0055】
次に、径検出センサ65の動作について説明する。図4に示すように棒金収納部32に棒金硬貨50が収納されていない場合には、径検出穴42は全体が径検出センサ65の光を遮光しない状態であり、径検出センサ65の出力はオンとなる。一方、図9図12に示すように、棒金収納部32a~32iに1円棒金硬貨51、5円棒金硬貨52、10円棒金硬貨53、50円棒金硬貨54、100円棒金硬貨55及び500円棒金硬貨56のいずれかが収納されることにより径検出穴42が遮蔽され、径検出センサ65の径検出センサ発光素子65aと径検出センサ受光素子65bの間の第5光軸65c(図5参照)が遮光される。
【0056】
棒金収納部32に収納される棒金硬貨50は金種により直径が異なる。例えば、図10に示す1円棒金硬貨51は直径約20mm、5円棒金硬貨52は直径約22mm、10円棒金硬貨53は直径約23.5mmである。また例えば、図11に示す50円棒金硬貨54は直径約21mm、100円棒金硬貨は直径約22.6mmである。また例えば、図12に示す500円棒金硬貨は直径約26.5mmである。そのため、径検出穴42が棒金硬貨50により遮蔽される幅は棒金硬貨50の金種ごとに異なる。棒金硬貨50の直径が大きいほど、径検出穴42が棒金硬貨50により遮蔽される幅が広くなる。
【0057】
そのため、ドロア30のある移動速度に対して径検出センサ65の出力がオフとなる時間は、棒金硬貨50の直径が大きいほど長くなる。よって図9に示すように、主制御部2(図1参照)の主制御装置22がピッチ検出センサ68のオフになっている時間と径検出センサ65のオフになっている時間との比を計算することで、棒金硬貨50の直径を検出することができる。また、主制御装置22の有するモータドライバからパルスモータ69へ出力される出力パルス数と、径検出センサ65のオフになっている時間との比を計算することでも、主制御装置22が棒金硬貨50の直径を検出することができる。さらに、ピッチ検出センサ68がオフになっている時間に、径検出センサ65がオンのままである場合には、棒金収納部32に棒金硬貨50が収納されていないことを検出することができる。
【0058】
図1に示す主制御装置22は、上記に説明した第1長さ検出センサ61(図5参照)、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63、第4長さ検出センサ64、径検出センサ65及び穴検出センサ66の出力の値の組み合わせから、下記の表1に基づいて各棒金収納部32に収納された棒金硬貨50の金種を検出する。
【0059】
【表1】
【0060】
例えば、第1の例として、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64のうち出力がオンとなっているセンサが2個であり、穴検出センサ66の出力がオフであり、且つ径検出センサ65の検出した直径が20mmの場合には、主制御装置22は棒金硬貨が1円棒金硬貨51(図6参照)であると検出する。
【0061】
また、例えば第2の例として、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64のうち出力がオンとなっているセンサが2個であり、穴検出センサ66の出力がオンであり、且つ径検出センサ65の検出した直径が22mmの場合には、主制御装置22は棒金硬貨が5円棒金硬貨52であると検出する。また、例えば第3の例として、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64のうち出力がオンとなっているセンサが2個であり、穴検出センサ66の出力がオフであり、且つ径検出センサ65の検出した直径が23.5mmの場合には、主制御装置22は棒金硬貨が10円棒金硬貨53であると検出する。
【0062】
また、例えば第4の例として、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64のうち出力がオンとなっているセンサが0個又は1個であり、穴検出センサ66の出力がオンであり、且つ径検出センサ65の検出した直径が21mmの場合には、主制御装置22は棒金硬貨が50円棒金硬貨54であると検出する。また、例えば第5の例として、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64のうち出力がオンとなっているセンサが0個又は1個であり、穴検出センサ66の出力がオフであり、且つ径検出センサ65の検出した直径が22.6mmの場合には、主制御装置22は棒金硬貨が100円棒金硬貨55であると検出する。
【0063】
また、例えば第6の例として、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64のうち出力がオンとなっているセンサが0個であり、穴検出センサ66の出力がオフであり、且つ径検出センサ65の検出した直径が26.5mmの場合には、主制御装置22は棒金硬貨が500円棒金硬貨56であると検出する。また、例えば第7の例として、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64のうち出力がオンとなっているセンサが4個である場合には、主制御装置22は棒金硬貨50が収納されていないと検出する。
【0064】
上記のように、この実施の形態1の棒金収納庫3は第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63、第4長さ検出センサ64、径検出センサ65及び穴検出センサ66の出力の値の組み合わせから棒金硬貨50の金種を検出するため、従来の径検出センサ及び穴検出センサにより棒金硬貨の金種を検出する棒金収納庫に比べて、棒金収納部32内で棒金硬貨50の転がりが発生した場合であっても主制御装置22は精度良く棒金収納部32に収納された棒金硬貨50の有無及び金種を検出できる。
【0065】
また、各棒金収納部32に収納された棒金硬貨50の金種は、主制御装置22が、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63、第4長さ検出センサ64、径検出センサ65及び穴検出センサ66の出力の値の組み合わせと表1の内容とを照合することで検出できるため、複雑な測定パラメータを主制御装置22のCPUやRAMに記録する必要がない。
【0066】
また、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63、第4長さ検出センサ64、径検出センサ65及び穴検出センサ66はドロア30の右側及び左側の棒金収納部32の列に対してそれぞれ設けられているため、棒金収納部32の列ごとに収納されている棒金硬貨50の有無及び金種が検出される。
【0067】
また、パルスモータ69によりドロア30を前側又は後側に移動させるときには、主制御装置22の図示しないモータドライバがパルスモータ69へ出力するパルスモータステップ数を計数して記録することにより、ドロア30の前側又は後側の移動位置が検出される。すなわち、主制御装置22はドロア30の位置の変位を検出するドロア位置センサである。また、このとき同時に主制御装置22にエンコーダ67の検出結果が入力されることにより、主制御装置22はドロア30が前側又は後側に移動していること及びドロア30の前側又は後側の移動位置が検出される。
【0068】
したがって、主制御装置22がパルスモータ69を駆動し、ドロア30が前側又は後側に移動して順次棒金硬貨50の測定位置を通過したときには、主制御装置22は、ドロア30の移動方向及び前側又は後側の移動位置の検出結果と、その移動位置における棒金収納部32の棒金硬貨50の有無及び金種の検出結果とに基づいて、ドロア30の各棒金収納部32に対応する棒金硬貨50の有無及び金種の情報を検出して記録することができる。
【0069】
次に、図1に示す現金収納機1をユーザが操作して、棒金収納庫3にユーザが棒金硬貨50を装填する場合の動作について説明する。棒金硬貨50を装填するときには、ユーザはタッチパネル21の、装填キーを押下する。次に、ユーザがタッチパネル21に棒金硬貨50の希望装填本数を入力して実行キーを押下すると、主制御装置22が棒金硬貨の装填動作を開始する。主制御装置22は、前回動作時の棒金収納庫3の各ドロア30における棒金硬貨50の収納状態に基づいて、ユーザが希望した棒金硬貨50の本数分の棒金収納部32の空きを有するドロア30のパルスモータ69を駆動させ、ドロア30を前方に移動させて最も引き出した状態にする。次に、ユーザは所望のドロア30の棒金収納部32に、収納対象の棒金硬貨50を収納する。次に、ユーザがタッチパネル21の収納キーを押下すると、主制御装置22は、引き出されたドロア30のパルスモータ69を駆動させ、ドロア30を後方に移動して押し込む収納動作を実施する。
【0070】
このとき、主制御装置22のモータドライバがパルスモータ69へ出力するパルスモータステップ数を、主制御装置22が計数して記録することにより、ドロア30の後側へ移動位置が検出される。また、このとき同時に主制御装置22にエンコーダ67の検出結果が入力されることにより、主制御装置22はドロア30が後側に移動していること及びドロア30の後側への移動位置が検出される。
【0071】
またこのとき、ドロア30の棒金収納部32は後側から順に検出位置を通過する。検出位置に設けられた第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63、第4長さ検出センサ64、径検出センサ65及び穴検出センサ66により、検出位置を通過した棒金収納部32に収納される棒金硬貨50の有無及び金種が順次検出され、主制御装置22に検出結果が入力される。そして、主制御装置22は、ドロア30の後側への移動位置の検出結果と、その移動位置における棒金収納部32の棒金硬貨50の有無及び金種の検出結果とに基づいて、各棒金収納部32に対応する棒金硬貨50の有無及び金種の情報を記録する。
【0072】
次に、主制御装置22は、今回の棒金硬貨50の装填前におけるドロア30の各棒金収納部32の棒金硬貨50の有無及び金種の情報と、今回の棒金硬貨50の装填後における各棒金収納部32の棒金硬貨50の有無及び金種の情報とを対比して、今回装填された棒金硬貨の金種及び本数をタッチパネル21に表示する。ユーザは、タッチパネル21に表示された棒金硬貨の金種及び本数を確認し、誤りがなければ確認キーを押下する。これにより、棒金収納庫3への棒金硬貨50の装填が終了する。また、誤りがある場合にはユーザが取消キーを押下することで、主制御装置22はパルスモータ69を駆動し、棒金硬貨50を収納するドロア30を最も前側に引き出す。そして、ユーザが各棒金収納部32への棒金硬貨の収納状況を確認して、再度タッチパネル21の収納キーを押下すると、主制御装置22はドロア30の収納動作を再度実施する。
【0073】
次に、図1に示す現金収納機1をユーザが操作して、棒金収納庫3からユーザが所望の棒金硬貨50を放出する場合の動作について説明する。このときには、ユーザはタッチパネル21により所望する棒金硬貨50の金種及び本数を入力して、実行キーを押下する。主制御装置22には、前回の現金収納機1の操作終了時における、棒金収納庫3のドロア30の各棒金収納部32にどの金種の棒金硬貨50が収納されているかという情報が記録されている。主制御装置22はその情報に基づいて図6に示すパルスモータ69を駆動し、所望する棒金硬貨50が収納されているドロア30を、その所望する棒金硬貨50をユーザが棒金収納部32から取り出すことのできる位置まで棒金収納庫3の前側へ自動的に引き出す。このとき、主制御装置22がパルスモータ69へ出力するパルスモータステップ数を計数して記録することにより、ドロア30の前側への移動位置が検出される。また、このとき同時に主制御装置22にエンコーダ67の検出結果が入力されることにより、主制御装置22はドロア30が前側に移動していること及びドロア30の移動位置を検出することができる。
【0074】
次に、ユーザは棒金収納部32から必要な棒金硬貨50を取り出す。このとき主制御装置22が、ユーザの所望する棒金硬貨50をユーザが棒金収納部32から取り出すことのできる位置までドロア30を棒金収納庫3の前側へ自動的に引き出しているために、ユーザが接触することが可能な棒金収納部32がユーザの所望する棒金硬貨50が収納されている棒金収納部32よりも前側に限定される。そのため、ユーザがそれ位置より後側の棒金収納部32に接触することが防止され、ユーザが誤って所望する金種以外の棒金硬貨50を取り出す可能性を低減することができる。次に、ユーザがタッチパネル21の収納キーを押下すると、主制御装置22は、棒金収納庫3全てのドロア30のパルスモータ69を駆動させ、各ドロア30を後方に移動して押し込む収納動作を実施する。
【0075】
このとき、主制御装置22がパルスモータ69へ出力するパルスモータステップ数を計数して記録することにより、ドロア30の後側への移動位置が検出される。また、このとき同時に主制御装置22にエンコーダ67の検出結果が入力されることにより、主制御装置22はドロア30が後側に移動していること及びドロア30の移動位置が検出される。
【0076】
またこのとき、ドロア30の棒金収納部32は後側から順に検出位置を通過する。第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63、第4長さ検出センサ64、径検出センサ65及び穴検出センサ66により、検出位置を通過した棒金収納部32に収納される棒金硬貨50の有無及び金種が順次検出され、主制御装置22に検出結果が入力される。そして、主制御装置22は、ドロア30の後側への移動位置の検出結果と、その移動位置における棒金収納部32の棒金硬貨50の有無及び金種の検出結果とに基づいて、各棒金収納部32に対応する棒金硬貨50の有無及び金種の情報を記録する。
【0077】
次に、主制御装置22は、今回の棒金硬貨50の放出動作において、今回の放出前の各棒金収納部32に対応する棒金硬貨50の有無及び金種の情報と、今回の放出後における各棒金収納部32に対応する棒金硬貨50の有無及び金種の情報とを対比する。放出の前後における各棒金収納部32に対応する棒金硬貨50の有無及び金種の変化と、ユーザが放出を希望して放出動作開始時にタッチパネル21に入力した、所望の棒金硬貨50の金種及び本数の内容とが一致していれば、正しく放出が行われたとして放出動作を終了する。例えば、ユーザが1円棒金硬貨51を1本放出することを放出動作開始時にタッチパネル21に入力していた場合に、放出動作の前後の棒金収納庫3内の各棒金収納部32の棒金硬貨50の有無及び金種の変化より、放出動作において1円棒金硬貨51が1本放出されていることが確認された場合には、放出が正しく行われたとして放出動作は終了される。
【0078】
一方、放出動作の前後における各棒金収納部32に対応する棒金硬貨50の有無及び金種の変化と、ユーザが放出を希望して、放出動作開始時にタッチパネル21に入力されたた所望の棒金硬貨50の金種及び本数の内容が一致していなければ、主制御装置22はユーザが棒金硬貨50の金種、本数を誤って取り出したと判定する。この場合には、主制御装置22はタッチパネル21へのエラーメッセージの表示及び音声等によりユーザに誤放出を警告する。例えば、ユーザが1円棒金硬貨51を1本放出することを放出動作開始時にタッチパネル21に入力していた場合に、ドロア30の各棒金収納部32の棒金硬貨50の有無及び金種の変化より、10円棒金硬貨53が放出されていることが確認された場合には、タッチパネル21にその旨のエラーメッセージが表示され、音声による警告が行われる。
【0079】
また、上記のように、主制御装置22は棒金収納庫3に棒金硬貨50を収納する場合及び棒金収納庫3から棒金硬貨50を放出する場合に、棒金収納庫3の各ドロア30の検出された各棒金収納部32内の棒金硬貨50の金種とその棒金収納部32の位置とを結びつけて、各棒金収納部32の棒金硬貨50の収納の有無及び棒金硬貨の金種を特定することができる。これにより、主制御装置22(図1参照)はユーザが棒金収納庫3のドロア30に収納した棒金硬貨50の有無及び金種を、棒金収納部32毎に検出し、管理することができる。そのため、例えば特定のドロア30の特定の棒金収納部32を1円棒金硬貨51のみを収納する棒金収納部32とする等の規定をユーザが設けて管理しなくとも、ドロア30内の各棒金硬貨50の有無、金種、収納位置及び合計金額等を主制御装置22が自動的に管理することができる。
【0080】
このように、この実施の形態1に係る現金収納機1は、棒金収納庫3と、棒金収納庫3に引出し自在に設けられたドロア30と、ドロア30を棒金収納庫3に対して引出す方向及び押し込む方向に移動するパルスモータ69と、ドロア30に設けられ、棒金硬貨50を個別に収納する複数の棒金収納部32と、棒金収納部32に収納された棒金硬貨50の長手方向長さを検出する第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64と、棒金収納部32に収納された棒金硬貨50の直径を検出する径検出センサ65と、棒金収納部32に収納された棒金硬貨50の穴の有無を検出する穴検出センサ66と、ドロア30の位置を検出し、パルスモータ69を駆動してドロア30を移動し、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64と、径検出センサ65と、穴検出センサ66と、パルスモータ69のパルスモータステップ数の検出結果に基づいて、各棒金収納部32に収納された棒金硬貨50の有無及び棒金硬貨50の金種を検出する主制御装置22と備えるため、簡単な構成で精度良く棒金硬貨の金種を検出することができる。
【0081】
また、棒金収納部32は、収納される棒金硬貨50の長手方向に沿って複数設けられた第1長さ検出穴38、第2長さ検出穴39、第3長さ検出穴40及び第4長さ検出穴41を有し、第1長さ検出穴38、第2長さ検出穴39、第3長さ検出穴40及び第4長さ検出穴41の少なくとも一つは、棒金収納部32に棒金硬貨50が収納されたときに棒金硬貨50により遮蔽され、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63及び第4長さ検出センサ64は、第1長さ検出穴38、第2長さ検出穴39、第3長さ検出穴40及び第4長さ検出穴41の遮蔽状態を検出することにより、棒金収納部32に収容された棒金硬貨50の長手方向長さを検出するため、長さ検出センサとして比較的高価な画像検出センサ等を用いることなく、比較的安価な透過型光センサを用いて棒金硬貨50の金種の検出に必要な棒金硬貨の長手方向長さを検出することができる。
【0082】
また、第1長さ検出穴38、第2長さ検出穴39、第3長さ検出穴40及び第4長さ検出穴41は、棒金収納部32に収納される棒金硬貨50の径方向に沿って延びるスリット状に形成されているため、第1長さ検出穴38、第2長さ検出穴39、第3長さ検出穴40及び第4長さ検出穴41がゴミ等の詰まりにより完全に閉塞される可能性が低減され、棒金硬貨50の金種を誤検出する可能性を低減することができる。
【0083】
また、棒金収納部32は、水平に形成された底部47と、底部47に対して所定の角度を有し且つ棒金収納部32に収納される棒金硬貨50の外周部に接触するように形成された傾斜部43とを有するため、日本国内において発行されている1円棒金硬貨51と、5円棒金硬貨52と、10円棒金硬貨53と、50円棒金硬貨54と、100円棒金硬貨55と、500円棒金硬貨56とが棒金収納部32の前側端部43aに寄った状態で前側端部43aと傾斜部43に支持されて安定して収納され、ドロア30の移動により棒金収納部32内で棒金硬貨50が転がる可能性を低減することができる。
【0084】
また、ドロア30は棒金収納庫3に複数配置されているため、同じドロア30を用いて多数の棒金硬貨50を収納し、棒金硬貨50の金種を検出して管理することができる。
【0085】
また、パルスモータ69を有し、主制御装置22は、パルスモータ69に出力するパルスモータステップ数の計測結果に基づいてドロア30の位置の変位を検出するため、簡単にドロア30の位置の変位を検出することができる。
【0086】
なお、本実施の形態1では、ドロア30には複数の金種の棒金硬貨50が収納されていたが、各ドロア30にはそれぞれ単一の金種の棒金硬貨50が収納されてもよい。このときには、棒金収納庫3からユーザが所望の棒金硬貨50を放出する場合において、主制御装置22はその所望の棒金硬貨50が収納されているドロア30を、最も前側の位置まで引き出してもよい。
【0087】
また、本実施の形態1では棒金収納庫3に7段のドロア30が設けられていたが、棒金収納庫3に設けられるドロアの数は少なくとも1つ以上の任意の数であればよい。例えば、棒金収納庫3にドロア30が10段配置されている構成であってもよい。
【0088】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係る棒金収納システムについて説明する。なお、実施の形態2において、実施の形態1の図1図12の参照符号と同一の符号は、同一または同様な構成要素であるのでその詳細な説明は省略する。本実施の形態2に係る棒金収納システムは、実施の形態1に対して棒金収納部の第1長さ検出穴、第2長さ検出穴、第3長さ検出穴及び第4長さ検出穴の形状を円形としたものである。
【0089】
図13は、本実施の形態2に係る棒金収納部32の平面図である。棒金収納部32には、底部47にドロア30(図3参照)における左側から順に第1長さ検出穴39a、第2長さ検出穴39b、第3長さ検出穴40a及び第4長さ検出穴41aが形成されている。第1長さ検出穴39a、第2長さ検出穴39b、第3長さ検出穴40a及び第4長さ検出穴41aの形状は、ドロア30を上方から見たときに円形である。その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0090】
このように、本実施の形態2に係る現金収納機1の第1長さ検出穴39a、第2長さ検出穴39b、第3長さ検出穴40a及び第4長さ検出穴41aの形状が円形であっても、実施の形態1と同じ効果を得ることができる。
【0091】
また、本実施の形態1及び2では、第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63、第4長さ検出センサ64、径検出センサ65及び穴検出センサ66は透過型光センサであったが、これらのセンサとして例えば反射型光センサ等のこれ以外の任意の種類のセンサを用いてもよい。
【0092】
また、本実施の形態1及び2ではドロア30の前側及び後側の位置を検出するために、ドロア30の位置検出センサとして主制御装置22がパルスモータ69のパルスモータステップ数を計数し、さらにエンコーダ67がドロア30の位置を検出していたが、ドロア30の位置検出手段はこれに限定されない。例えば、パルスモータステップ数の計数をする主制御装置22又はエンコーダ67のいずれか一方のみをドロア30の位置検出センサとして用いてもよいし、エンコーダ67に替えてリニアエンコーダを用いてもよい。
【0093】
また、本実施の形態1及び2では、ドロア30を引出し方向及び押し込み方向に移動するためにパルスモータ69を用いていたが、エンコーダ67等他の手段でドロア30の位置の変位を検出できれば、他の種類のモータを用いてもよい。
【0094】
また、本実施の形態1及び2では現金収納機1は棒金硬貨50を収納するためのドロア30が設けられた棒金収納庫3を有しているが、棒金収納庫3にはこれ以外に棒金として包装されていない硬貨を収納するための硬貨収納用ドロアや紙幣を収納するための紙幣収納用ドロア等の任意のドロアが設けられていてもよい。また、各ドロア30の一部箇所のみに棒金収納部32を設け、他の箇所を包装されていない硬貨の収納部や紙幣収納部としてもよい。
【0095】
また、新たな硬貨の発行、既存の硬貨の廃止又は外国硬貨への対応等により、検出すべき棒金硬貨の形状が変更される場合には、現金収納機1の一部の構成を変更することにより変更に対応することができる。例えば、新たに検出する棒金硬貨が現行の各金種の棒金硬貨と形状及び大きさとが近似している場合には、適当に表1の内容を変更することにより異なる形状を有する棒金硬貨への対応が可能となる。また、新たに検出する棒金硬貨が現行の各金種の棒金硬貨と形状又は大きさ等が大きく異なる場合には、適当にドロア30の第1長さ検出センサ61、第2長さ検出センサ62、第3長さ検出センサ63、第4長さ検出センサ64、径検出センサ65及び穴検出センサ66の位置を変更し、さらに、センサ位置の変更にあわせて第1長さ検出穴38,38a、第2長さ検出穴39,39a、第3長さ検出穴40,40a、第4長さ検出穴41,41a及び径検出穴42の位置と棒金収納部32の形状等を変更することにより、現金収納機1のドロア30以外の構成を変更することなく、形状が異なる棒金硬貨の測定に対応することができる。
【符号の説明】
【0096】
3 棒金収納庫、22 主制御装置(制御装置、ドロア位置センサ)、30 ドロア、32 棒金収納部、50 棒金硬貨、38,38a 第1長さ検出穴、39,39a 第2長さ検出穴、40,40a 第3長さ検出穴、41,41a 第4長さ検出穴、50 棒金硬貨、61 第1長さ検出センサ、62 第2長さ検出センサ、63 第3長さ検出センサ、64 第4長さ検出センサ、65 径検出センサ、66 穴検出センサ、67 エンコーダ(ドロア位置センサ)、69 パルスモータ(モータ)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13