(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】吸収性物品の集積体
(51)【国際特許分類】
A61F 13/514 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
A61F13/514 400
(21)【出願番号】P 2020155269
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富田 美奈
(72)【発明者】
【氏名】幸田 拓也
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-177160(JP,A)
【文献】特開2020-005847(JP,A)
【文献】特開2011-136741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
B65D77/04
B65D85/07
B65D85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吸収性物品が重ねられた吸収性物品の集積体であって、
前記複数の吸収性物品は、それぞれ、周辺部とは異なる色を有し且つ該吸収性物品の外部から目視で視認可能な識別領域を有し、
前記集積体は、前記複数の吸収性物品それぞれの前記識別領域が一方向に並んだ識別領域列が形成された識別面を有し、
前記識別領域列では、隣り合う前記識別領域の色が互いに異なり、
前記識別面に、前記識別領域列に沿って該識別領域列と同方向に延在し且つ該識別領域列が有する色とは異なる1種類の色を主体とする非識別領域が存在し、
前記非識別領域は、前記複数の吸収性物品それぞれで色が共通し、
前記識別面における前記識別領域列と前記非識別領域との間に、該識別領域列及び該非識別領域それぞれが有する色とは異なる1種類の色で統一された識別補助領域が、該識別領域列に沿って該識別領域列と同方向に延在している、吸収性物品の集積体。
【請求項2】
前記識別領域列で隣り合う前記識別領域どうしの色差ΔE
*が8以上
70以下である、請求項1に記載の吸収性物品の集積体。
【請求項3】
前記複数の吸収性物品それぞれにおいて、前記識別領域と前記非識別領域との色差ΔE
*が8以上
70以下である、請求項1又は2に記載の吸収性物品の集積体。
【請求項4】
前記識別領域列は、互いに色が異なる3種類以上
4種類以下の前記識別領域が所定の順番で並んだ繰り返し単位を有する、請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品の集積体。
【請求項5】
前記識別領域列は、隣り合う前記識別領域どうしの色差ΔE
*が所定の範囲にある複数の前記識別領域からなる第1の群と、該色差ΔE
*が該第1の群とは異なる範囲にある第2の群とを有し、
前記第1の群と前記第2の群とが前記一方向に交互に並んでいる、請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品の集積体。
【請求項6】
前記識別領域列は、隣り合う前記識別領域どうしの色差ΔE
*が、該識別領域列の延在方向の一方側から他方側に向かって漸次減少する部分を有する、請求項1~5の何れか1項に記載の吸収性物品の集積体。
【請求項7】
前記識別領域列において、隣り合う前記識別領域どうしの色差ΔE
*は、一つおきの該識別領域どうしの色差ΔE
*に比べて大きい、請求項1~6の何れか1項に記載の吸収性物品の集積体。
【請求項8】
前記識別補助領域は、前記識別領域列を挟んで両側に存在している、請求項7に記載の吸収性物品の集積体。
【請求項9】
前記識別領域列における互いに色が異なる複数種類の識別領域のうちの半数以上
全数以下について、該識別領域と前記識別補助領域との色差ΔE
*が、前記非識別領域と該識別補助領域との色差ΔE
*に比べて大きい、請求項1~8の何れか1項に記載の吸収性物品の集積体。
【請求項10】
前記識別領域と前記識別補助領域との色差ΔE
*、及び前記非識別領域と該識別補助領域との色差ΔE
*値が、それぞれ8以上
70以下である、請求項1~9の何れか1項に記載の吸収性物品の集積体。
【請求項11】
前記複数の吸収性物品は、それぞれ、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、
前記識別領域は、前記吸収性物品を前記横方向に横断し、1種類の色相で統一され、且つ該横方向の中央部が最も色が薄く、該中央部から該横方向の外方に向かうに従って色が漸次濃くなる、請求項1~10の何れか1項に記載の吸収性物品の集積体。
【請求項12】
前記複数の吸収性物品は、それぞれ、着用者の股間部に配される股下部と、該股下部よりも着用者の腹側に配される腹側部と、該股下部よりも着用者の背側に配される背側部とに区分され、該背側部の前記縦方向に沿う両側縁部に設けられたファスニングテープと、該腹側部の外面に設けられ、該ファスニングテープが着脱自在に固定されるターゲットテープとを備え、
前記ターゲットテープが前記識別領域として機能する、請求項11に記載の吸収性物品の集積体。
【請求項13】
請求項1~12の何れか1項に記載の吸収性物品の集積体と、該集積体を内部に収容する包装容器とを備える、吸収性物品の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品が複数重ねられた、吸収性物品の集積体に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ等の吸収性物品は従来、コンパクトに折り畳まれた状態で重ねられて集積体とされ、その吸収性物品の集積体が袋状の包装容器に収容された吸収性物品の包装体として、市場に流通している。特許文献1には、このような包装体として、外装シートの全域にカラーデザインを施した使い捨ておむつの集積体を複数カラーについて準備し、該集積体を外部より透視できる包装容器内に該カラー別に配列装填したものが記載されており、その具体例として、カラーデザインの異なる3種類のおむつの集積体がパッケージ内で上段、中段、下段の3段に段積み装填されたものが記載されている。特許文献2には、吸収性物品が包装シートで個別包装された個装体が袋状の包装容器に複数収容された包装体において、複数の個装体を2種類の着色パターンで色分けし、その色違いの2種類の個装体を交互に配置することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-285890号公報
【文献】特開2016-40183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の吸収性物品の集積体は、一見しただけでは吸収性物品を個々に識別することが難しく、そのため、集積体から吸収性物品を必要数取り出す場合、集積体における吸収性物品の残数を把握する場合などに、吸収性物品を1つ1つ手指で指しながら数える操作が必要となり、吸収性物品の数の把握に手間がかかっていた。
【0005】
したがって本発明の課題は、吸収性物品の数の把握が容易で、各種操作を簡便に行うことができる、吸収性物品の集積体を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の吸収性物品が重ねられた吸収性物品の集積体である。
本発明の吸収性物品の集積体の一実施形態では、前記複数の吸収性物品は、それぞれ、周辺部とは異なる色を有し且つ該吸収性物品の外部から目視で視認可能な識別領域を有している。
本発明の吸収性物品の集積体の一実施形態では、前記集積体は、前記複数の吸収性物品それぞれの前記識別領域が一方向に並んだ識別領域列が形成された識別面を有している。
本発明の吸収性物品の集積体の一実施形態では、前記識別領域列では、隣り合う前記識別領域の色が互いに異なる。
本発明の吸収性物品の集積体の一実施形態では、前記識別面に、前記識別領域列に沿って該識別領域列と同方向に延在し且つ該識別領域列が有する色とは異なる1種類の色を主体とする非識別領域が存在する。
本発明の吸収性物品の集積体の一実施形態では、前記非識別領域は、前記複数の吸収性物品それぞれで色が共通する。
【0007】
また本発明は、前記の本発明の吸収性物品の集積体と、該集積体を内部に収容する包装容器とを備える、吸収性物品の包装体である。
本発明の他の特徴、効果及び実施形態は、以下に説明される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、集積体を構成する複数の吸収性物品を個別に識別しやすくなされているため、吸収性物品の数の把握が容易で、集積体から吸収性物品を必要数取り出す操作、吸収性物品の残数を確認する操作などの各種操作を簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の吸収性物品の集積体の一実施形態を、該集積体を構成する複数の吸収性物品の集積方向を水平方向(
図1の左右方向)に一致させて静置した状態を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す集積体を、該集積体を構成する複数の吸収性物品の集積方向を鉛直方向(
図2の上下方向)に一致させて静置した状態を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す集積体を構成する吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつの展開且つ伸長状態における肌対向面側(表面シート側)を模式的に示す展開平面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すおむつの符号CLxで示す縦中心線での断面(おむつの縦方向中央部の厚み方向に沿う横断面)を模式的に示す横断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す集積体の効果を説明する図であり、該集積体の形状が使用前の形状から崩れた状態を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の吸収性物品の包装体の一実施形態の模式的な斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す包装体の使用形態の一例を示す図であり、該包装体から取り出された複数枚のおむつ(集積体)が、該包装体を構成する包装容器とは別の容器に収容された状態を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0011】
本発明の吸収性物品の集積体は、複数の吸収性物品が重ねられたものである。この複数の吸収性物品どうしは、後述する識別領域を除き、一部又は全部が共通し得る。ここでいう、「一部が共通」とは、例えば、吸収性物品の基本構造若しくは主要構造(例えば後述するおむつ1における吸収性本体2)又は当該吸収性物品を特徴づける特徴部分(例えば後述するおむつ1における吸収体5)が構造的又は組成的に共通し、それ以外の他の要素(ただしサイズを除く)が異なることを意味する。
【0012】
本発明でいう「吸収性物品」には、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品が広く包含され、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、生理用ショーツ等が包含される。使い捨ておむつには、ウエスト開口部及びレッグ開口部が形成されたパンツ型と、これらの開口部が形成されておらず、吸収体の非配置部(フラップ部)にファスニングテープなどの止着手段を備えた展開型とがあるが、本発明はどちらの使い捨ておむつにも適用可能である。
【0013】
図1及び
図2には、本発明の吸収性物品の集積体の一実施形態である集積体10が示されている。集積体10は、複数の吸収性物品としての複数の使い捨ておむつ1が重ねられたものである。なお、
図1と
図2とでは、集積体10を構成するおむつ1の枚数のみが異なり、集積体としての構成は同じである。本明細書では、集積体を構成する吸収性物品の数は、集積体の構成要素として考えない。
本実施形態では、集積体10において、複数のおむつ1は折り畳まれた状態で一方向(厚み方向)に集積されており、集積体10は略直方体形状を有している。複数のおむつ1は、それぞれ、着用者の前後方向、すなわち腹側から股間部を介して背側に延びる方向に対応する縦方向Xと、縦方向Xに直交する横方向Yと有しているところ、横方向Yに延びる折曲部18にて縦方向Xに二つ折りされており、集積体10では、複数のおむつ1それぞれの折曲部18が揃うように、具体的には
図1、
図2に示すように、各おむつ1の折曲部18が集積体10の1つの面(
図1では上面、
図2では右側面)に位置するように、複数のおむつ1が向きを揃えて重ねられている。なお、
図1に示す集積体10では8枚のおむつ1、
図2に示す集積体10では4枚のおむつ1が重ねられているが、本発明では、集積体を構成する吸収性物品の数は複数であればよく、特に制限されない。
【0014】
図3及び
図4には、集積体10を構成するおむつ1が示されている。以下、おむつ1について説明する。
おむつ1は、
図3に示すように、横中心線CLyを挟んで一方側と他方側とで対称に形成されている。
おむつ1は、着用者の股間部に配され、陰茎等の排泄部に対向する排泄部対向部(図示せず)を含む股下部Bと、該股下部Bよりも着用者の腹側(前側)に配される腹側部Aと、該股下部Bよりも着用者の背側(後側)に配される背側部Cとの3つに区分される。
腹側部Aは、おむつ1の前身頃Fの一部であり、背側部Cは、おむつ1の後身頃Rの一部である。股下部Bは、縦中心線CLxを縦方向Xに跨いでおり、前身頃Fから後身頃Rに存在している。腹側部A及び背側部Cは、典型的にはそれぞれ、おむつ1の着用時に着用者の胴周りに配される胴周り部を含み、該胴周り部は、おむつ1の縦方向Xの端部であるウエスト端部を含む。
本発明において、腹側部A、股下部B及び背側部Cは、展開且つ伸長状態のおむつ1を縦方向Xに三等分した場合の各領域であり得る。
【0015】
前記の横中心線CLyは、
図3に示す如き展開且つ伸長状態のおむつ1を横方向Yに二等分して縦方向Xに延びる仮想直線である。
前記の縦中心線CLxは、展開且つ伸長状態のおむつ1を縦方向Xに二等分して横方向Yに延びる仮想直線である。前記の横方向Yに延びる折曲部18(
図1、
図2参照)は、おむつ1における、縦中心線CLと一致する折曲線及びその近傍を含む部分である。
前記の「展開且つ伸長状態」とは、おむつを
図3に示す如き展開状態とし、その展開状態のおむつ1を、各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。
【0016】
おむつ1は、尿等の体液を吸収保持する吸収体5を具備する。本実施形態では、吸収体5は、体液を吸収保持可能な吸収性コア50と、該吸収性コア50の肌対向面及び非肌対向面を含む外面を被覆するコアラップシート51とを含んで構成されている。吸収性コア50は、典型的には吸水性材料を主体とし、該吸水性材料として、木材パルプ等の繊維材料及び吸水性ポリマーから選択される1種以上を含有する。コアラップシート51は液透過性を有し、典型的には、紙、不織布等からなる。本発明では、コアラップシート51は無くてもよい。
【0017】
本実施形態では、おむつ1は吸収性本体2を具備し、吸収性本体2が、吸収体5を具備し、更に、吸収体5の肌対向面側に配された表面シート3と、吸収体5の非肌対向面側に配された裏面シート4とを具備する。吸収性本体2の輪郭は、吸収体5の輪郭と一致する。吸収性本体2は、腹側部Aから背側部Cにわたって縦方向Xに延在し、その長手方向が縦方向Xに一致している。表面シート3は、後述する防漏カフ形成用シート13とともにおむつ1の肌対向面(内面)を形成し、裏面シート4は、おむつ1の非肌対向面(外面)を形成する。吸収性本体2の各構成部材どうしは、接着剤等の公知の接合手段により互いに接合されている。吸収性本体2の構成部材としては、当該部材について後で説明がある場合はその説明が適用され得るものであることを前提として、この種の吸収性物品において通常使用されているものを特に制限なく用いることができる。表面シート3としては、液透過性を有する各種のシートを用いることができ、例えば、不織布、織布、紙が挙げられる。裏面シート4としては、防漏性を有するシート、具体的には液不透過性(液を全く通さない性質)又は液難透過性(液不透過性とまでは言えないものの、液を通し難い性質)を有するシートを用いることができ、例えば、透湿性の樹脂フィルム、該樹脂フィルムと不織布との積層体が挙げられる。
【0018】
本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収体)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から遠い側である。なお、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、すなわち当該吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
【0019】
おむつ1は、吸収体5(吸収性本体2)の縦方向Xに沿う両側縁及び該両側縁の仮想延長線から横方向Yの外方に延出するサイドフラップ部11を備える。本実施形態では
図4に示すように、表面シート3は、吸収体5の肌対向面の全域を被覆し、裏面シート4は、吸収体5の非肌対向面の全域を被覆し、両シート3,4は更に、吸収体5の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、後述する防漏カフ形成用シート13とともにサイドフラップ部11を形成している。サイドフラップ部11を構成する複数の部材どうしは、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。
【0020】
図3及び
図4に示すように、吸収性本体2の縦方向Xに沿う両側部に沿って、着用時に着用者の肌側に向かって起立する一対の防漏カフ12,12が配されている。各防漏カフ12は、液抵抗性又は撥水性で且つ通気性の防漏カフ形成用シート13を含み、該シート13は、横方向Yの一端側が他の部材(図示の形態では表面シート3及び裏面シート4)に固定されて固定端部13a、横方向Yの他端側が他の部材に非固定の自由端部13bとされている。シート13の自由端部13bには、防漏カフ形成用弾性部材14が、縦方向Xに伸長状態で固定されることで同方向に伸縮可能に配置されている。おむつ1の着用時には、弾性部材14の収縮力により、少なくとも股下部Bにおいて、シート13の自由端部13b側が、他の部材との固定端部13aを起立基端として着用者側に起立することで一対の防漏カフ12,12が起立し、これにより尿等の排泄物の横方向Yの外方への流出が阻止される。
【0021】
腹側部A及び背側部Cそれぞれの縦方向Xの端部(ウエスト端部)には、複数のウエストギャザー形成用弾性部材15が横方向Yに伸縮可能に配され、それら複数の弾性部材15は縦方向Xに所定間隔を置いて間欠配置されている。このように、弾性部材15がその伸縮性が発現される状態で配置されていることにより、おむつ1の自然状態又は着用状態では、その配置部である腹側部A及び背側部Cのウエスト端部に、弾性部材15の収縮により、該ウエスト端部を構成するシート(本実施形態ではシート3、4)に弾性部材15の収縮方向と交差する方向に延びる複数の襞(ギャザー)が形成され、これにより該ウエスト端部の全周にわたって該襞が実質的に連続したウエストギャザーが形成される。また、フラップ部11における、おむつ1の着用時に着用者の脚周りに配されるレッグ部には、縦方向Xに伸長可能なレッグギャザー形成用弾性部材16が、少なくとも股下部Bの縦方向Xの全長にわたって縦方向Xに延在しており、おむつ1の着用時には、弾性部材16の収縮により、該レッグ部を構成するシート(本実施形態ではシート4、13)に弾性部材16の収縮方向と交差する方向に延びる複数の襞(ギャザー)が形成され、これにより着用者の脚周りの全周にわたって該襞が実質的に連続したレッグギャザーが形成される。これらのギャザー形成用弾性部材15,16は、何れもウエスト端部又はフラップ部11を構成する複数のシート(本実施形態では表面シート3、裏面シート4及び防漏カフ形成用シート13のうちの2種)の間に接着剤等の接合手段により伸長状態で挟持固定されている。前述の各弾性部材14,15,16の形態は特に制限されず、例えば、断面が矩形、正方形、円形、多角形状等の糸状ないし紐状(平ゴム等)のもの、あるいはマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を用いることができる。
【0022】
おむつ1はいわゆる展開型の使い捨ておむつであり、
図3に示すように、おむつ1の背側部Cの縦方向Xに沿う両側縁部に設けられた一対のファスニングテープ6,6と、腹側部Aの外面に設けられ、ファスニングテープ6が着脱自在に固定されるターゲットテープ7とを備える。一対のファスニングテープ6,6はそれぞれ止着部60を備え、止着部60を介してターゲットテープ7に着脱自在に固定される。
【0023】
本実施形態では、ターゲットテープ7は、
図3に示如き平面視において横方向Yに長い長方形形状を有し、腹側部Aにおいておむつ1の外面を形成する裏面シート4の非肌対向面に、接着剤、融着等の公知の接合手段により固定されている。
ターゲットテープ7の素材は特に制限されず、ファスニングテープ6が備える止着部60の素材等に応じて適宜選択し得る。例えば止着部60がメカニカルファスナーのオス材である場合、ターゲットテープ7としては、メカニカルファスナーのメス材として、該オス材の係合突起に係合可能な表面構造を有するループ材を用いることができ、該ループ材の具体例として、編み物地、不織布等の繊維シートが挙げられる。また、止着部60が粘着剤である場合、ターゲットテープ7としては、例えば、合成樹脂製の平滑なフィルムを用いることができる。
【0024】
おむつ1は、周辺部とは異なる色を有し且つおむつ1の外部から目視で視認可能な識別領域20を有しているところ、本実施形態では、ターゲットテープ7が識別領域20として機能する。そして集積体10は、
図1及び
図2に示すように、複数のおむつ1それぞれの識別領域20が一方向(
図1では左右方向、
図2では上下方向)に並んだ識別領域列21が形成された識別面10Sを有している点で特徴付けられる。
【0025】
本実施形態では、集積体10を構成する複数のおむつ1はそれぞれ折り畳まれた状態となっている。このおむつ1の折り畳まれた状態は、
図3に示す如きおむつ1の展開状態において、先ず、一対のサイドフラップ部11,11それぞれを、肌対向面(表面シート3側)を内側にして、
図3中の点線で囲まれた部分具体的にはサイドフラップ部11の内側縁部にて横方向Yに折り曲げ、次におむつ1を、肌対向面(表面シート3側)を内側にして、縦中心線CLx又はその近傍にて縦方向Xに折り曲げる(二つ折りする)ことで形成されている。折り畳まれた状態のおむつ1において、前記サイドフラップ部11の内側縁部は、縦方向Xに延びる折曲部17、縦中心線CLx又はその近傍は、横方向Yに延びる折曲部18となり、折曲部17は、折曲部18(縦中心線CLx)を境界として、前身頃Fに位置する前側折曲部17Fと後身頃Rに位置する後側折曲部17Rとに区分される。前側折曲部17Fは、
図3に示すようにターゲットテープ7の横方向Yの端部を含んでおり、このため、前側折曲部17Fの外面(前側折曲部17Fにおける裏面シート4の非肌対向面)には、ターゲットテープ7が設けられている。そして集積体10は、
図1及び
図2に示すように、複数のおむつ1の前側折曲部17Fの外面と後側折曲部17Rの外面とが一方向に交互に並んでなる、相対向する一対の面10S,10Sを有しているところ、各面10Sにおける前側折曲部17Fからなる部分には、識別領域20として機能するターゲットテープ7が設けられているので、各面10Sは、複数の識別領域20(ターゲットテープ7の一部)が一方向(複数のおむつ1の集積方向)に並んだ識別領域列21が形成された識別面10Sとなっている。また、こうして形成された本実施形態の識別領域列21では、隣り合う識別領域20どうしの間に、識別領域20ではない部分である後側折曲部17Rが存在し、識別領域20と後側折曲部17R(識別領域20ではない部分)とが交互に配置されている。この後側折曲部17Rの色は、後述する非識別領域23の色と同じであり、典型的には、白色又は白色に近い無彩色である。
【0026】
識別領域列21は、前述のとおり、集積体10を構成する複数のおむつ1それぞれの識別領域20が一方向に並んで列を形成している部分である。
ここで、「複数の識別領域が識別領域列を形成している」というためには、集積体を構成する複数の吸収性物品それぞれの識別領域が、集積体の1つの面において、列を形成しているとみなすことができる程度のまとまりを持って配置されていることが必要であり、そのためには、1)集積体の1つの面に存在する複数の識別領域が、複数のおむつ1の集積方向(おむつ1の厚み方向)と直交する方向(以下、「集積直交方向」とも言う。)において互いに同位置にあること、及び2)該複数の識別領域の集積直交方向の長さ(すなわち幅)が互いに同じであることを満たす必要がある。
前記1)に関し、
図1又は
図2を参照して、集積体10を構成する複数のおむつ1から任意に選択された1枚のおむつ1における、識別領域20の集積直交方向(縦方向X)の中心位置の折曲部18(おむつ1を縦方向Xに折り曲げたときに生じる折曲線)からの離間距離Dと、集積体10を構成する複数のおむつ1の離間距離Dの平均値との差が、該平均値に対して10%未満である場合は、前記1)を満たすと言える。
前記2)に関し、
図1又は
図2を参照して、集積体10を構成する複数のおむつ1から任意に選択された1枚のおむつ1の識別領域20の幅20Wと、集積体10を構成する複数のおむつ1の幅20Wの平均値との差が、該平均値に対して10%未満である場合は、前記2)を満たすと言える。
この点、
図1、
図2に示す集積体10は、前記1)でいう、各おむつ1の離間距離Dとその平均値との差がゼロであり、また前記2)でいう、各おむつ1の識別領域20の幅20Wとその平均値との差がゼロであり、前記1)及び2)を完全な形で満たし、集積体10の1つの面(識別面)10Sの複数の識別領域20は、平面視で幅が一定の帯状(直線状)の識別領域列21を形成している。
【0027】
識別領域列21では、隣り合う識別領域20の色が互いに異なる。本発明において、「色が異なる」あるいは「異なる色」などと言うときの「色」とは、色相(色合い)を意味する。すなわち、前記の「隣り合う識別領域20の色が互いに異なる」とは、隣り合う識別領域20の色相が互いに異なることを意味し、隣り合う識別領域20の色相が同じで色調(濃淡)のみが異なる場合は、その隣り合う識別領域20の色は互いに同じである。例えば、隣り合う2つの識別領域20の一方が赤色、他方が青色の場合は、両者で色相が異なるので、その2つの識別領域20の色は互いに異なるが、一方が濃い赤色、他方が薄い赤色の場合は、両者で色相が同じであるので、その2つの識別領域20の色は互いに同じである。
なお、複数のおむつ1それぞれの識別領域20は、典型的には、1種類の色で統一されている。ここでいう「1種類の色で統一」とは、識別領域20における任意の2箇所どうしの色差ΔE*が5未満であることを意味する。また、ここでいう「識別領域20における任意の2箇所」は、識別領域20が、文字、数字、図柄等のデザインとその背景色とから構成されている場合は、該背景色における任意の2箇所を意味する。前記背景色は通常、識別領域20において最も面積が大きく、識別領域20の主体をなす部分である。色差ΔE*については後述する。
【0028】
図1に示す集積体10では、識別領域列21は、互いに色が異なる3種類以上の識別領域20が所定の順番で並んだ繰り返し単位22を有しており、隣り合う識別領域20どうしの色が互いに異なっている。より具体的には、
図1に示す集積体10では、識別領域列21は、互いに色が異なる4種類の識別領域20が所定の順番で並んだ繰り返し単位22が複数(2列)連結されて形成されており、繰り返し単位22からなる。
図2は、この集積体10における繰り返し単位22を有する部分を取り出して横置きした状態を示した図である。繰り返し単位22を構成する識別領域20の数(色数)は3以上であればよく、特に制限されない。
【0029】
識別面10Sには、識別領域列21に沿って識別領域列21と同方向に延在し且つ識別領域列21が有する色とは異なる1種類の色を主体とする非識別領域23が存在する。
本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、識別面10Sにおいて識別領域列21を挟んで集積直交方向(縦方向X)の両側に一対の非識別領域23,23が存在する。一対の非識別領域23,23のうち、股下部B側(折曲部18側)の方が、反対側(ウエスト端部側)に比べて集積直交方向の長さ(すなわち幅)が長く、面積が大きい。
【0030】
非識別領域23の色の主体は、前述のとおり、「識別領域列21が有する色とは異なる1種類の色」であるところ、これは典型的には、非識別領域23(識別面10S)を形成する素材が本来有する色、いわゆる地色である。この地色の具体例として、この種の吸収性物品の形成材料として汎用されている不織布等の各種シート材の地色である、白色又は白色に近い無彩色が挙げられる。すなわち非識別領域23の色は、典型的には、白色又は白色に近い無彩色である。おむつ1における、識別領域20及び後述する識別補助領域24以外の部分は、典型的には、白色又は白色に近い無彩色である。
【0031】
非識別領域23は、複数のおむつ1それぞれで色が共通する。すなわち、集積体10を構成する複数のおむつ1どうしは、非識別領域23を構成する部分の色が共通する。ここでいう「色が共通する」とは、非識別領域23の色の主体が共通することを意味し、より具体的には、対比するおむつ1どうしで、非識別領域23の色の主体の色差ΔE*が5未満であることを意味する。非識別領域23の色の主体については後述する。
【0032】
一方、識別領域20及び後述する識別補助領域24は、典型的には、白色若しくは白色に近い無彩色の部材を印刷等の公知の染色方法によって所望の色に着色したもの、又は、所望の色の原着繊維から構成されたものであり、両領域20,24の色は、典型的には、白色又は白色に近い無彩色とは色相(色合い)が異なる。なお、前記原着繊維は、繊維製造段階で着色された繊維であり、例えば、樹脂の製造から繊維化に至る段階で製造中間物に顔料等の色素を添加する、着色工程を経て製造される。
【0033】
非識別領域23の色は、前述のとおり、非識別領域23を形成する素材の地色等の1種類の色(単色)を主体とするものであるところ、ここでいう「主体とする」とは、識別面10Sに存在する非識別領域23の総面積(例えば、
図1に示す集積体10であれば、識別領域列21の両側の一対の非識別領域23,23それぞれの面積の合計)の50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは90%以上において、任意の2箇所どうしの色差ΔE
*が5未満であることを意味する。換言すれば、非識別領域23の単色占有率は少なくとも50%以上であることを要する。
なお、本明細書において、非識別領域23の色に関する各種指標(例えば色差ΔE
*)は、特に断らない限り、非識別領域23の色の主体をなす1種類の色についての指標である。
【0034】
本明細書において、色差ΔE*は、JIS-Z-8729に規定する「L*a*b*表色系」に基づくものであり、以下の方法で測定することができる。色差ΔE*の値が大きいほど、対比する色の違いが認識されやすくなる。
【0035】
<色差ΔE*の測定方法>
色差ΔE*は色差計を用いて測定する。色差計としては、日本電色工業株式会社製の簡易型分光色差計NF333(商品名)等を用いることができる。JIS-Z-8729に規定する「L*a*b*表色系」では、明度L*は明るさを、色度a*及び色度b*はそれぞれ色の方向を示しており、a*は略赤方向、-a*は略緑方向、b*は略黄色方向、-b*は略青方向を示している。そして、色差ΔE*は、下記式(1)で求められる値である。
色差ΔE*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2・・・(1)
ΔL*、Δa*、Δb*は、それぞれ、対比する2色間のL*値、a*値、b*値の差である。例えばΔL*は、ΔL*=L*
2-L*
1により計算される。
前記簡易型分光色差計NF333による測定方法においては、光源C、視野角2°の条件で測定する。
白色板の上に、測定対象の吸収性物品を展開して引き伸ばした状態で載置し、該吸収性物品における測定対象部位(識別領域、非識別領域、識別補助領域等)に、色差計が備えるセンサーの先端部を直接接触させ、測定対象部位と該センサーの先端部との間に隙間が生じないように該センサーを測定対象部位に押し当てて測定する。測定は1つの測定対象部位につき5回行い、その平均を当該測定対象部位の色差ΔE*とする。
【0036】
集積体10は、前述したとおり、a)複数のおむつ1それぞれの識別領域20(本実施形態ではターゲットテープ7)が一方向に並んだ識別領域列21が形成された識別面10Sを有し、b)識別領域列21では、隣り合う識別領域20の色が互いに異なり、且つc)識別面10Sに、識別領域列21に沿って識別領域列21と同方向に延在し且つ識別領域列21が有する色とは異なる色を主体とする非識別領域23が存在し、且つ非識別領域23は複数のおむつ1それぞれで色が共通することにより、従来の吸収性物品の集積体に比べておむつ1(吸収性物品)の数の把握が容易であり、斯かる数の把握を伴う各種操作、例えば、集積体10からおむつ1を必要数取り出す操作、おむつ1の残数を確認する操作などを簡便に行うことができる。特に、前記a)及びb)の採用により、集積体10を構成する複数のおむつ1を個別に識別することが容易になり、また、前記c)を採用し、識別面10Sに識別領域列21とともに非識別領域23が存在することにより、識別領域列21を構成する複数の識別領域20を個別に識別することが容易になる。
【0037】
また本実施形態では、前述したように、識別領域列21が、互いに色が異なる3種類以上の識別領域20が所定の順番で並んだ繰り返し単位22を有しているため、集積体10からおむつ1を1枚取り除いても、隣り合う識別領域20どうしの色が互いに異なる状態が維持されるため、前述した集積体10の特徴的な構成による作用効果が比較的長期間にわたって奏され得る。
【0038】
前記c)の採用による作用効果を一層確実に奏させるようにする観点から、集積体10を構成する複数のおむつ1それぞれにおける非識別領域23の集積直交方向(縦方向X)の全長(例えば、
図1に示す集積体10であれば、識別領域列21の両側の一対の非識別領域23,23それぞれの縦方向Xの全長の合計)の50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは90%以上が、非識別領域23の識別領域20側の端部との色差ΔE
*が5未満であることが好ましい。換言すれば、非識別領域23では、該非識別領域23の識別領域側の端部の色の占有率が50%以上であることが好ましい。これにより、識別領域20(識別補助領域24)が一層目立つようになる。前記の「非識別領域23の識別領域20側の端部」とは、非識別領域23と識別領域20との境界から該非識別領域23側に15mm以内の領域を意味し、識別領域20と非識別領域23との間に後述する識別補助領域24が存在する場合は、非識別領域23と識別補助領域24との境界から該非識別領域23側に15mm以内の領域を意味する。
【0039】
なお、非識別領域23は、排泄物が集中する股下部Bを含んでいるところ、非識別領域23の色次第では、股下部Bにおける排泄物の有無を目視で確認することが困難になるおそれがある。例えば、おむつ1の着用者が乳幼児である場合に、その乳幼児の母親などの第三者が着用状態のおむつ1の股下部Bを目視で視認して排泄の有無を確認する場合があり、その際、股下部Bなどを一見してすぐに排泄物の有無を確認できることが望まれる。斯かる観点から、非識別領域23の色は、明度L*が90以上であることが好ましい。白色又は白色に近い無彩色は、明度L*が90以上である。
【0040】
前述した集積体10の特徴的な構成による作用効果を一層確実に奏させるようにする観点、特に、集積体10を構成する複数のおむつ1を個別に識別することを一層容易にする観点から、識別領域列21で隣り合う識別領域20どうしの色差ΔE*は、好ましくは8以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上である。斯かる色差ΔE*の上限は特に制限されないが、斯かる色差ΔE*が大きすぎる場合、例えば、識別領域列21を構成する複数の識別領域20の色が赤、青、黄、黒のような原色であると、識別領域列21の印象が強烈過ぎてこれを見る者に不快な印象を与えかねない。そこで、集積体10全体の統一感の向上を図るとともに、集積体10を見る者にやわらかい印象を与える観点から、好ましくは70以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは50以下である。斯かる色差ΔE*は、具体的には、好ましくは8以上70以下、より好ましくは15以上60以下、更に好ましくは20以上50以下である。
【0041】
前述した集積体10の特徴的な構成による作用効果を一層確実に奏させるようにする観点、特に、識別領域列21を構成する複数の識別領域20を個別に識別することを一層容易にする観点から、集積体10を構成する複数のおむつ1それぞれにおいて、識別面10Sを構成する部分について、識別領域20と非識別領域23との色差ΔE*は、好ましくは8以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上である。斯かる色差ΔE*の上限は特に制限されないが、おむつ1全体の統一感の向上を図るとともに、おむつ1を見る者にやわらかい印象を与える観点から、好ましくは70以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは50以下である。斯かる色差ΔE*は、具体的には、好ましくは8以上70以下、より好ましくは15以上60以下、更に好ましくは20以上50以下である。
【0042】
集積体10の好ましい一実施形態として、下記構成Aを具備するものが挙げられる。後述する実施例1は、下記構成Aを具備する。
構成A:識別領域列21は、隣り合う複数の識別領域20どうしの色差ΔE*が所定の範囲にある複数の識別領域20からなる第1の群G1と、隣り合う複数の識別領域20どうしの色差ΔE*が第1の群G1とは異なる範囲にある第2の群G2とを有し、第1の群G1と第2の群G2とが一方向(複数のおむつ1の集積方向)に交互に並んでいる。
【0043】
前記構成Aに関し、
図1に示す形態では、第1の群G1は隣り合う4つの識別領域20からなり、第2の群G2は隣り合う2つの識別領域20からなる。また、第1の群G1と第2の群G2とが一方向に交互に並び、且つ隣り合う第1の群G1と第2の群G2とで1つの識別領域20を共有している、換言すれば、第1の群G1における第2の群G2側の一方向端に位置する識別領域20と、第2の群G2における第1の群G1側の一方向端に位置する識別領域20とが同じである。
前記のとおり、第1の群G1の隣り合う複数の識別領域20どうしの色差ΔE
*の範囲と、第2の群G2のそれとは、重複しない。例えば、
図1に示す形態では、第1の群G1は隣り合う4つの識別領域20からなるので、3つの色差ΔE
*を有するところ、その3つの色差ΔE
*で確定される第1の群G1の色差ΔE
*の範囲は、これと同様に確定される第2の群G2の色差ΔE
*の範囲と重複しない。
前記構成Aを有する集積体10は、識別領域列21において、隣り合う複数の識別領域20どうしの色差ΔE
*の範囲が互いに異なる2つの群G1,G2が、識別領域列21の延在方向に沿って周期的に存在するため、各群G1,G2の識別性に優れ、集積体10を構成するおむつ1の枚数の数えやすさが一層向上されている。
なお、第1の群G1及び第2の群G2ともに、当該群(G1又はG2)に含まれる識別領域20の数は複数であることを前提として特に制限されず、また、当該群に含まれる識別領域20の数は互いに同じでもよく、異なっていてもよい。
【0044】
前記構成Aによる作用効果を確実に奏させるようにする観点から、第1の群G1及び第2の群G2のうちの一方の「隣り合う複数の識別領域20どうしの色差ΔE
*の平均値」(
図1に示す形態の第2の群G2のように、色差ΔE
*が1つしか存在しない場合はその1つの色差ΔE
*を指す。以下、「色差ΔE
*平均値」とも言う。)と他方の色差ΔE
*平均値との差は、好ましくは5以上、より好ましくは8以上である。前記色差ΔE
*平均値の
差の上限は特に制限されないが、おむつ1全体の統一感の向上を図るとともに、おむつ1を見る者にやわらかい印象を与える観点から、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。
第1の群G1及び第2の群G2のうちの何れか一方の色差ΔE
*平均値は、好ましくは8以上、より好ましくは15以上、そして、好ましくは25以下、より好ましくは20以下である。
【0045】
識別領域列21は、隣り合う識別領域20どうしの色差ΔE
*が、該識別領域列21の延在方向(集積体10を構成する複数のおむつ1の集積方向)の一方側から他方側に向かって漸次減少する部分を有することが好ましい。すなわち例えば、
図2を参照して、識別領域列21を構成する複数の識別領域20として、識別領域列21の延在方向(
図2の上下方向)の一方側から他方側に向かって識別領域として、20A、20B、20C、20Dの4種類が存在する場合に、以下の大小関係(i)が成立することが好ましい。
(i)20Aと20Bとの色差ΔE
*>20Bと20Cとの色差ΔE
*>20Cと20Dとの色差ΔE
*
前記大小関係(i)が成立することにより、集積体10を構成する複数のおむつ1を個別に識別することが一層容易になる。特に、
図1に示す集積体10は、前述したように識別領域列21が、互いに色が異なる3種類以上の識別領域20が所定の順番で並んだ繰り返し単位22を有しているところ、更に前記大小関係(i)が成立することにより、繰り返し単位22の識別性が向上するため、集積体10を構成するおむつ1の枚数を数えることが一層容易になる。
【0046】
識別領域列21において、隣り合う識別領域20どうしの色差ΔE
*は、一つおきの識別領域20どうしの色差ΔE
*に比べて大きいことが好ましい。すなわち例えば、
図2を参照して、4種類の識別領域20A、20B、20C、20Dについて、以下の大小関係(ii)~(v)が全て成立することが好ましい。
(ii)20Aと20Bとの色差ΔE
*>20Aと20Cとの色差ΔE
*、20Bと20Dとの色差ΔE
*
(iii)20Bと20Cとの色差ΔE
*>20Aと20Cとの色差ΔE
*、20Bと20Dとの色差ΔE
*
(iv)20Cと20Dとの色差ΔE
*>20Aと20Cとの色差ΔE
*、20Bと20Dとの色差ΔE
*
(v)20Dと20Aとの色差ΔE
*>20Aと20Cとの色差ΔE
*、20Bと20Dとの色差ΔE
*
前記大小関係(ii)~(v)が全て成立することにより、識別領域列21で隣り合う識別領域20どうしの色差ΔE
*を十分に確保して、集積体10を構成する複数のおむつ1の個別の識別性を高めつつ、識別領域列21を構成する色の種類を比較的多くすることが可能となり、集積体10を構成するおむつ1の数が比較的多い場合にも、本発明を適用することが可能となる。
【0047】
なお本実施形態では、前述したように、ターゲットテープ7が識別領域20として機能するところ、識別領域20としてのターゲットテープ7の好ましい形態の一例として、
図3を参照して、おむつ1を横方向Yに横断し、1種類の色相(例えば赤色)で統一され、且つ横方向Yの中央部が最も色が薄く、該中央部から横方向Yの外方に向かうに従って色が漸次濃くなる形態が挙げられる。ターゲットテープ7がこのように構成されていると、前述した識別領域20としての機能発現を確保しつつ、おむつ1のデザイン性を高めることが可能となる。
【0048】
本実施形態では、集積体10は、前記a)~c)の特徴的な構成に加えて更に別の特徴的な構成を有している。すなわち本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、集積体10の識別面10Sにおける識別領域列21と非識別領域23との間に、識別領域列21及び非識別領域23それぞれが有する色とは異なる1種類の色で統一された識別補助領域24が、識別領域列21に沿って識別領域列21と同方向に延在している。
ここでいう「1種類の色で統一」とは、識別補助領域24における任意の2箇所どうしの色差ΔE
*が5未満であることを意味する。
識別面10Sに識別補助領域24が存在することで、これに隣接する識別領域20が目立ちやすくなるため、前述した非識別領域23による作用効果と相俟って、複数の識別領域20を個別に識別することが一層容易になり、各種操作を一層簡便に行うことが可能となる。
識別補助領域24が識別領域列21に対して集積直交方向(縦方向X)の片側のみに存在する場合でも前述の効果は奏されるが、
図1及び
図2に示すように、識別補助領域24が識別領域列21を挟んで両側に存在すると、前述の効果が一層確実に奏されるため好ましい。
【0049】
識別補助領域24による作用効果に関し、例えば集積体10が、後述するおむつ包装体30のように、包装容器の内部に収容され、且つ該包装容器内において
図1に示す如くに、複数のおむつ1の縦方向Xを鉛直方向(
図1の上下方向)に一致させて配置されている場合において、集積体10を構成するおむつ1の数が使用により徐々に減少していくと、それに伴って集積体10の形状が、使用前(おむつ1を取り出す前)の形状(略直方体形状)から崩れ、例えば
図5に示す如くに、おむつ1の縦方向Xが鉛直方向に対して傾いた状態となり、その結果、識別領域列21における複数の識別領域20の並びに乱れが生じ、識別領域列21に視認性が低下し、前述した作用効果が十分に奏されなくなることが懸念される。しかしながら、識別領域列21と非識別領域23との間に識別補助領域24が存在することで、
図5に示す如くに集積体10の形状が崩れて識別領域20の並びに多少の乱れが生じても、識別面10Sを観察する者の視線が識別領域列21に集中しやすくなるため、斯かる懸念が払拭される。この識別領域列21を目立たせる効果は、特に
図5に示すように、識別補助領域24が識別領域列21を挟んで両側に存在する場合に顕著である。
【0050】
前述した識別補助領域24による作用効果を確実に奏させるようにする観点から、識別補助領域24の集積直交方向(縦方向X)の長さ(すなわち幅)24W(
図1参照)は、識別領域20の同方向の長さすなわち幅20W(
図1参照)の三分の一以下であることが好ましい。
識別補助領域24の幅24Wは、好ましくは2mm以上、より好ましくは3.5mm以上、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは7.5mm以下である。
識別領域20の幅20Wは、好ましくは20mm以上、より好ましくは25mm以上、そして、好ましくは60mm以下、より好ましくは45mm以下である。
【0051】
前述した識別補助領域24による作用効果を高めて、識別領域列21を構成する複数の識別領域20を個別に識別することを一層容易にする観点から、識別領域列21における互いに色が異なる複数種類の識別領域20のうちの半数以上について、以下の大小関係(vi)が成立することが好ましい。
(vi) 識別領域20と識別補助領域24との色差ΔE
*が、非識別領域23と識別補助領域24との色差ΔE
*に比べて大きい(識別領域20と識別補助領域24との色差ΔE
*>非識別領域23と識別補助領域24との色差ΔE
*)。
例えば、
図2に示す集積体10では、識別領域列21に、互いに色が異なる複数種類の識別領域20として、20A、20B、20C、20Dの4種類が存在するところ、この4種類のうちの少なくとも2種類について、前記大小関係(vi) が成立することが好ましい。識別領域列21に互いに色が異なる複数種類の識別領域20が並んだ状態では、1種類の色を主体とし、典型的には、実質的に全域で色が統一されている非識別領域23と識別補助領域24との境界よりも、識別領域20と識別補助領域24との境界の方が目立ちにくいため、前記大小関係(vi) が成立することが好ましい。
【0052】
前述した識別補助領域24による作用効果を高めて、識別領域列21を構成する複数の識別領域20を個別に識別することを一層容易にする観点から、「識別領域20と識別補助領域24との色差ΔE*」及び「非識別領域23と識別補助領域24との色差ΔE*」は、それぞれ、好ましくは8以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上である。斯かる色差ΔE*の上限は特に制限されないが、おむつ1全体の統一感の向上を図るとともに、おむつ1を見る者にやわらかい印象を与える観点から、好ましくは70以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは50以下である。斯かる色差ΔE*は、具体的には、好ましくは8以上70以下、より好ましくは15以上60以下、更に好ましくは20以上50以下である。
【0053】
本発明には、前述した本発明の吸収性物品の集積体を含む、吸収性物品の包装体が包含される。
図6には、本発明の吸収性物品の包装体の一実施形態であるおむつ包装体30が示されている。後述する実施形態については、前記実施形態(集積体10)と異なる構成を主として説明し、同様の構成は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成は、前記実施形態についての説明が適宜適用される。
【0054】
おむつ包装体30は、集積体10と、該集積体10を内部に収容する包装容器31とを備える。おむつ包装体30では、集積体10がおむつ包装体30の高さ方向(おむつ1の縦方向Xと同方向)に複数(具体的には2段)積み重ねられて一体的に圧縮された状態で、包装容器31の内部に収容されている。
【0055】
包装容器31は、複数のおむつ1(吸収性物品の集積体)を収容できるものであればよく、素材及び構成は特に限定されない。本実施形態では、包装容器31は、可撓性を有するシートからなる包装袋である。
包装容器31における、集積体10の識別面10Sと対向する面31Sには、おむつ1の取り出し口32が形成されている。おむつ包装体30の未使用(未開封)状態では、取り出し口32は形成されておらず、代わりに、取り出し口32の形成予定位置に取り出し口32の輪郭線に対応するミシン目等の切り取り誘導線(図示せず)が設けられており、この切り取り誘導線に沿って包装容器31の一部を切り取ることで、取り出し口32が形成される。
【0056】
おむつ包装体30は、この種のおむつ包装体と同様に使用することができ、前述した集積体10による作用効果により、包装容器31内のおむつ1の数の把握が容易で、包装容器31内からおむつ1を必要数取り出す操作、包装容器31内のおむつ1の残数を把握する操作などの各種操作を簡便に行うことができる。
この種のおむつ包装体の典型的な使用形態の1つとして、予め、おむつ包装体から必要数のおむつを取り出して別の容器に移し替えておき、おむつを使用する際にはこの別の容器から取り出す形態があるところ、おむつ包装体30によれば、このようなおむつの別の容器への移し替えをスムーズに行うことができる。
図7には、おむつ包装体30から取り出された複数枚のおむつ1(集積体10)が、包装容器31とは別の容器である収容箱33に収容された状態が示されている。
【0057】
前述した集積体10による作用効果を確実に発現させて、おむつ1の取り出しなどの各種操作をスムーズに行うことを可能にする観点から、おむつ1を包装容器31から1枚も取り出していない状態で取り出し口32を目視観察した場合に、取り出し口32を介して識別領域列21が有する色を全て視認できることが好ましい。
この点、
図6に示す形態では、包装容器31内の集積体10における識別領域列21が、前述したように
図2に示す如くに繰り返し単位22からなるところ、おむつ1を包装容器31から1枚も取り出していない状態で取り出し口32を目視観察した場合に、取り出し口32を介して繰り返し単位22が視認できるようになっており、したがって、識別領域列21が有する色を全て視認できるようになっている。
【0058】
また、おむつ包装体30の使用者に対し、おむつ包装体30の開封前に識別領域20(識別領域列21)の存在を認知させることができると、前述した集積体10の特徴的な構成を十分に活かして、おむつ1の取り出しなどの各種操作をスムーズに行うことが可能となるため好ましい。おむつ包装体30の開封前に識別領域20の存在を使用者に認知させる手段としては、例えば、包装容器31の素材として透明性の高いものを用いる、包装容器31の外面に識別領域20が存在する旨表示する、などの手段が挙げられる。
【0059】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の吸収性物品は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。前述した一の実施形態のみが有する部分は、すべて適宜相互に利用できる。
例えば、吸収性や防漏性等の向上の観点から、表面シート3と吸収体5との間に、セカンドシート、サブレイヤーシートなどとも呼ばれる、紙や各種不織布からなる液透過性シートが介在配置されていてもよい。
本発明の吸収性物品は、前記実施形態の如き展開型使い捨ておむつに制限されず、人体から排出される体液(尿、経血、軟便、汗等)の吸収に用いられる物品を広く包含し、ファスニングテープ6及びターゲットテープ7の如き止着構造を有しないパンツ型の使い捨ておむつ、生理用ナプキン、生理用ショーツ等も包含する。
【0060】
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
<1>
複数の吸収性物品が重ねられた吸収性物品の集積体であって、
前記複数の吸収性物品は、それぞれ、周辺部とは異なる色を有し且つ該吸収性物品の外部から目視で視認可能な識別領域を有し、
前記集積体は、前記複数の吸収性物品それぞれの前記識別領域が一方向に並んだ識別領域列が形成された識別面を有し、
前記識別領域列では、隣り合う前記識別領域の色が互いに異なり、
前記識別面に、前記識別領域列に沿って該識別領域列と同方向に延在し且つ該識別領域列が有する色とは異なる1種類の色を主体とする非識別領域が存在し、
前記非識別領域は、前記複数の吸収性物品それぞれで色が共通するする、吸収性物品の集積体。
<2>
前記識別領域列で隣り合う前記識別領域どうしの色差ΔE*が8以上である、前記<1>に記載の吸収性物品の集積体。
<3>
前記複数の吸収性物品それぞれにおいて、前記識別領域と前記非識別領域との色差ΔE*が8以上、好ましくは8以上70以下、より好ましくは15以上60以下、更に好ましくは20以上50以下である、前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品の集積体。
<4>
前記識別領域列は、互いに色が異なる3種類以上の前記識別領域が所定の順番で並んだ繰り返し単位を有する、前記<1>~<3>の何れか1に記載の吸収性物品の集積体。
<5>
前記識別領域列は、隣り合う前記識別領域どうしの色差ΔE*が所定の範囲にある複数の前記識別領域からなる第1の群と、該色差ΔE*が該第1の群とは異なる範囲にある第2の群とを有し、
前記第1の群と前記第2の群とが前記一方向に交互に並んでいる、前記<1>~<4>の何れか1に記載の吸収性物品の集積体。
<6>
前記第1の群及び前記第2の群のうちの一方の隣り合う複数の前記識別領域どうしの色差ΔE*の平均値と他方の隣り合う複数の前記識別領域どうしの色差ΔE*の平均値との差は、好ましくは5以上20以下、より好ましくは8以上15以下である、前記<5>に記載の吸収性物品の集積体。
<7>
前記識別領域列は、隣り合う前記識別領域どうしの色差ΔE*が、該識別領域列の延在方向の一方側から他方側に向かって漸次減少する部分を有する、前記<1>~<6>の何れか1に記載の吸収性物品の集積体。
<8>
前記識別領域列において、隣り合う前記識別領域どうしの色差ΔE*は、一つおきの該識別領域どうしの色差ΔE*に比べて大きい、前記<1>~<7>の何れか1に記載の吸収性物品の集積体。
<9>
前記識別面における前記識別領域列と前記非識別領域との間に、該識別領域列及び該非識別領域それぞれが有する色とは異なる1種類の色で統一された識別補助領域が、該識別領域列に沿って該識別領域列と同方向に延在している、前記<1>~<8>の何れか1に記載の吸収性物品の集積体。
<10>
前記識別補助領域は、前記識別領域列を挟んで両側に存在している、前記<9>に記載の吸収性物品の集積体。
<11>
前記識別領域列における互いに色が異なる複数種類の識別領域のうちの半数以上について、該識別領域と前記識別補助領域との色差ΔE*が、前記非識別領域と該識別補助領域との色差ΔE*に比べて大きい、前記<9>又は<10>に記載の吸収性物品の集積体。
<12>
前記識別領域と前記識別補助領域との色差ΔE*、及び前記非識別領域と該識別補助領域との色差ΔE*値が、それぞれ8以上である、前記<9>~<11>の何れか1に記載の吸収性物品の集積体。
<13>
前記複数の吸収性物品は、それぞれ、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、
前記識別領域は、前記吸収性物品を前記横方向に横断し、1種類の色相で統一され、且つ該横方向の中央部が最も色が薄く、該中央部から該横方向の外方に向かうに従って色が漸次濃くなる、前記<1>~<12>の何れか1に記載の吸収性物品の集積体。
<14>
前記複数の吸収性物品は、それぞれ、着用者の股間部に配される股下部と、該股下部よりも着用者の腹側に配される腹側部と、該股下部よりも着用者の背側に配される背側部とに区分され、該背側部の前記縦方向に沿う両側縁部に設けられたファスニングテープと、該腹側部の外面に設けられ、該ファスニングテープが着脱自在に固定されるターゲットテープとを備え、
前記ターゲットテープが前記識別領域として機能する、前記<13>に記載の吸収性物品の集積体。
<15>
前記非識別領域の色が、白色又は白色に近い無彩色である、前記<1>~<14>の何れか1に記載の吸収性物品の集積体。
<16>
前記<1>~<15>の何れか1に記載の吸収性物品の集積体と、該集積体を内部に収容する包装容器とを備える、吸収性物品の包装体。
【0061】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
【0062】
〔実施例1~5、比較例1~3〕
前述のおむつ1と基本構成が同様の展開型使い捨ておむつを複数枚用意し、それらを厚み方向に重ねて、
図1に示す如き集積体を作製した。作製した集積体は、2~4枚のおむつの繰り返し単位を複数組み合わせたもので、該繰り返し単位が一方向(該繰り返し単位の集積方向)に複数連結された部分を有し、且つ相対向する一対の面に、該集積体を構成するおむつの識別領域(識別領域列)が存在するものであった。表1に、各集積体の繰り返し単位における各部の色の特性等を示す。例えば実施例1は、繰り返し単位を構成する識別領域の数(色数)が4であり、その4色(桃色、緑色、橙色、紫色)の識別領域が複数連結されて識別領域列が形成されている。また、実施例4は色数が3であり、その3色(桃色、緑色、橙色)の識別領域が複数連結されて識別領域列が形成されている。一方、比較例1は色数が1であり、識別領域列を形成する複数の識別領域は互いに同色(桃色)である。なお実施例1~3では、識別領域の色として、桃色、緑色、橙色、紫色の4色を使用しているが、実施例1~3どうしで各色の色相(色合い)は互いに異なる。例えば、実施例1~3では何れも識別領域の色として「桃色」を使用しているが、実施例1~3の「桃色」は厳密には色相が互いに異なっており、同じ色ではない。識別領域の他の色についても同様である。
【0063】
<おむつの数えやすさの評価試験>
各実施例及び比較例の集積体を包装袋に収容して、
図6に示す如きおむつ包装体を作製し、サンプルとした。サンプルにはおむつが20枚以上収容されていた。サンプルについて、下記の2つの評価法(評価法1、評価法2)でおむつの数えやすさを評価し、その評価結果(正解率、回答時間)に基づき下記評価基準でおむつの数えやすさを評価した。その結果を表1に示す。
(おむつの数えやすさの評価基準)
A:評価法1、2ともに、正解率が90%以上且つ回答時間が2.5秒以下(スムーズに回答)。
B:評価法1、2ともに、正解率が90%以上且つ評価法1、2の何れか一方の回答時間が2.5秒を超えて3.0秒以下(ややスムーズに回答)。
C:評価法1、2の何れか一方の正解率が90%未満。
D:評価法1、2ともに、正解率が90%未満。
【0064】
(評価法1)
サンプル(おむつ包装体)から5~10枚のおむつからなる集積体を抜き取って5名のパネラーに示し、各パネラーに、該集積体を構成するおむつの数を該集積体に手を触れずに数えてもらってその数を回答してもらい、その正解率(%)、回答時間(秒/枚)をそれぞれ評価した。
【0065】
(評価法2)
サンプル(おむつ包装体)から7~12枚のおむつからなる集積体を抜き取り(1回目の抜き取り作業)、次に、その1回目の抜き取り作業を行った者とは異なる者に、該集積体からランダムに1~3枚のおむつを抜き取ってもらい(2回目の抜き取り作業)、こうして2回の抜き取り作業を経た集積体を、これらの抜き取り作業を行っていない5名のパネラーに示し、各パネラーに、該集積体を構成するおむつの数を該集積体に手を触れずに数えてもらってその数を回答してもらい、その正解率(%)、回答時間(秒/枚)をそれぞれ評価した。評価法2は、おむつ包装体における包装袋を開封してからおむつを数枚使った後の、おむつの数えやすさを想定した評価である。
【0066】
前記評価法1、2ともに、5名のパネラーの正解率の平均値を、当該サンプルの正解率とし、5名のパネラーの回答時間の平均値を、当該サンプルの回答時間とした。
また回答時間は、パネラーが回答までに要した時間を測定し、その測定値を、パネラーに提示した集積体を構成するおむつの数で除することで算出した。
また、前記評価法1、2それぞれにおいて、おむつの数の回答終了後に、回答した5名のパネラーに、おむつの数えやすさを下記評価基準で評価してもらい、5名分の評価スコアの平均値を当該サンプルの「数えやすさスコア」とした。数えやすさスコアの数値が大きいほど、当該サンプルはおむつが数えやすく高評価となる。
5点:とても数えやすい。
4点:やや数えやすい。
3点:数えやすいとも数えにくいとも言えない。
2点:やや数えにくい。
1点:数えにくい。
【0067】
【0068】
表1に示すとおり、各実施例の集積体は、該集積体の一面に、該集積体を構成する複数のおむつそれぞれの識別領域が一方向に並んだ識別領域列が形成され、且つ該識別領域列において隣り合う識別領域の色が互いに異なり、且つ該一面に、識別領域列が有する色とは異なる1種類の色を主体とする非識別領域が存在するため、斯かる構成を有さない各比較例に比べて、おむつの数の把握が容易であった。
比較例1、比較例2は、集積体の一面に識別領域は形成されているものの、隣り合う識別領域の色すなわち色相が互いに異なってないため、また比較例3は、非識別領域が多色柄で単色占有率が50%未満である、すなわち1種類の色を主体とするものではないため、それぞれ実施例に比べて低評価となった。
また、実施例1~3と実施例4との対比から、識別補助領域が存在することで集積体を構成するおむつの数の把握が一層容易になることがわかる。
【符号の説明】
【0069】
1 使い捨ておむつ(吸収性物品)
2 吸収性本体
3 表面シート
4 裏面シート
5 吸収体
6 ファスニングテープ
7 ターゲットテープ
10 集積体
10S 識別面
20、20A、20B、20C、20D 識別領域
21 識別領域列
22 繰り返し単位
23 非識別領域
24 識別補助領域
30 おむつ包装体(吸収性物品の包装体)
31 包装容器
32 取り出し口
33 収容箱
A 腹側部
B 股下部
C 背側部
X 縦方向
Y 横方向