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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20240604BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20240604BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240604BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240604BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H01L27/04 P
H01L21/88 S
H01L27/04 D
H01L27/04 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020191335
(22)【出願日】2020-11-18
(65)【公開番号】P2021090048
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】16/700,485
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 俊次
(72)【発明者】
【氏名】安藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】井尾 英治
(72)【発明者】
【氏名】田島 英幸
(72)【発明者】
【氏名】飯田 哲也
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-273235(JP,A)
【文献】特開昭58-030150(JP,A)
【文献】特開2001-274343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205、21/768、
21/822、27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上に形成された多層配線層と、
前記多層配線層内に形成された第1抵抗素子と、
を有し、
前記第1抵抗素子は、
第1導電部と、
前記第1導電部上に形成された第2導電部と、
前記第1導電部および前記第2導電部を互いに電気的に接続している第3導電部と、
を有し、
前記基材の表面に沿う第1方向における前記第3導電部の長さは、前記基材の表面に沿い、かつ前記第1方向に垂直な第2方向における前記第3導電部の長さより大きく、
その一部が前記多層配線層内に形成されており、かつその残部が前記基材内に形成されている放熱部をさらに有する、半導体装置。
【請求項2】
前記放熱部は、
前記基材の表面に形成された凹部の底面および側面上に形成された第1絶縁膜と、
前記凹部を埋めるように前記第1絶縁膜上に形成された第1熱伝導部と、
を有する、請求項に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記放熱部は、前記第1抵抗素子および前記第1熱伝導部を互いに接続するように、前記多層配線層内に形成された第1接続部をさらに有する、請求項に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記放熱部は、前記第1抵抗素子から離間し、かつ前記第1熱伝導部に接続されるように、前記多層配線層内に形成された第2熱伝導部をさらに有する、請求項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2熱伝導部は、断面視において、前記第3導電部に沿って延在している、請求項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2熱伝導部の一端部は、前記基材の前記表面に沿う前記第2方向において、前記第1抵抗素子の一部と対向し、
前記第2熱伝導部の前記一端部は、前記基材の前記表面に垂直な方向において、前記第1抵抗素子の他の一部と対向している、請求項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2熱伝導部の一端部は、前記基材の前記表面に沿う方向において、前記第1導電部および前記第3導電部と対向し、
前記第2熱伝導部の前記一端部は、前記基材の前記表面に垂直な方向において、前記第2導電部と対向している、請求項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記基材は、
半導体基板と、
前記半導体基板の表面に形成された半導体層と、
を有し、
前記放熱部は、前記半導体層を貫通し、前記半導体基板に到達するように形成されている、請求項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体層は、
第1導電型を有する第1エピタキシャル層と、
前記第1エピタキシャル層上に形成されており、かつ前記第1導電型と反対の第2導電型を有する第1埋め込み層と、
前記第1埋め込み層上に形成されており、かつ第1導電型を有する第2エピタキシャル層と、
を有する、請求項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記多層配線層は、
前記多層配線層の最上層に形成された保護層と、
前記第1抵抗素子および前記保護層の間に形成された熱ストレス緩和部と、
をさらに有し、
前記熱ストレス緩和部は、平面視において、前記第1抵抗素子と重なっている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
第1トランジスタが形成された第1領域と、
第2トランジスタが形成された第2領域と、
を有し、
前記第1抵抗素子は、平面視において、前記第1領域および前記第2領域の間に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記多層配線層内に形成された第2抵抗素子をさらに有し、
前記第2抵抗素子は、
第4導電部と、
前記第4導電部上に形成された第5導電部と、
前記第4導電部および前記第5導電部を互いに電気的に接続する第6導電部と、
を有し、
前記第1方向における前記第6導電部の長さは、前記第2方向における前記第6導電部の長さより小さい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記多層配線層内に形成された第3抵抗素子をさらに有し、
前記第3抵抗素子は、
第7導電部と、
前記第7導電部上に形成された第8導電部と、
前記第7導電部および前記第8導電部を互いに電気的に接続する第9導電部と、
を有し、
前記第7導電部、前記第8導電部および前記第9導電部は、平面視において、前記第1方向に延在しており、
前記第1導電部は、平面視において、前記第8導電部と隣り合っている、請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、多層配線層内に形成された抵抗素子を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗素子を有する半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された半導体装置は、半導体基板と、当該半導体基板上に形成された配線層とを有する。当該配線層には抵抗素子が形成されている。当該抵抗素子は、第1導電部と、第2導電部と、当該第1導電部および当該第2導電部を接続する層間導電部と、の繰り返しパターンで構成されている。上記半導体基板の表面に沿う断面において、上記層間導電部(以下、「ビア」ともいう)の断面形状は、略円形状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-009345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の半導体装置の上記抵抗素子では、上記抵抗素子を流れる電流の量が多過ぎると、上記ビアを構成する金属原子が動き、上記ビア内に欠陥が生じる現象、いわゆるエレクトロマイグレーションが生じることがある。これにより、上記抵抗素子の特性が劣化する。このように、従来の半導体装置では、半導体装置の信頼性を高める観点から、改善の余地がある。
【0005】
実施の形態の課題は、半導体装置の信頼性を高めることである。その他の課題および新規な特徴は、本明細書および図面の記載から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態に係る半導体装置は、基材、多層配線層および第1抵抗素子を有する。第1抵抗素子は、多層配線層内に形成されている。第1抵抗素子は、第1導電部、第2導電部および第3導電部を有する。第2導電部は、第1導電部に形成されている。第3導電部は、第1導電部および第2導電部を互いに電気的に接続している。基材の表面に沿う第1方向における第3導電部の長さは、基材の表面に沿い、かつ第1方向に垂直な第2方向における第3導電部の長さより大きい。
【発明の効果】
【0007】
実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施の形態に係る半導体装置の回路構成の一例を示す回路図である。
図2図2は、一実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示す平面図である。
図3図3は、一実施の形態に係る半導体装置の要部の構成の一例を示す斜視図である。
図4図4は、一実施の形態に係る半導体装置の要部の構成の一例を示す断面図である。
図5図5は、一実施の形態に係る半導体装置の製造方法に含まれる工程の一例を示す断面図である。
図6図6は、一実施の形態に係る半導体装置の製造方法に含まれる工程の一例を示す断面図である。
図7図7は、一実施の形態に係る半導体装置の製造方法に含まれる工程の一例を示す断面図である。
図8図8は、一実施の形態の変形例1に係る半導体装置の要部の構成の一例を示す斜視図である。
図9図9は、一実施の形態の変形例1に係る半導体装置の要部の構成の一例を示す断面図である。
図10図10は、一実施の形態の変形例2に係る半導体装置の要部の構成の一例を示す斜視図である。
図11図11は、一実施の形態の変形例3に係る半導体装置の要部の構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施の形態に係る半導体装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号またはハッチングを付し、重複する説明は省略する。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。断面図は、端面図として示している場合もある。実施の形態および各変形例の少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0010】
[半導体装置の回路構成]
図1は、本実施の形態に係る半導体装置SDの回路構成の一例を示す回路図である。
【0011】
図1に示されるように、半導体装置SDは、制御部CTR、ハイサイドトランジスタHTr、ローサイドトランジスタLTr、抵抗素子RE、および検出部DTを有する。半導体装置SDは、端子T1および端子T2を介して、負荷LDと接続されている。
【0012】
制御部CTRは、ハイサイドトランジスタHTr、ローサイドトランジスタLTrおよび検出部DTと接続されている。制御部CTRは、ハイサイドトランジスタHTrおよびローサイドトランジスタLTrの動作を制御する。制御部CTRは、検出部DTから受信した信号に基づいて、ハイサイドトランジスタHTrおよびローサイドトランジスタLTrの動作を制御する。制御部CTRは、例えば、フィードバック回路を有する。
【0013】
ハイサイドトランジスタHTrは、電源線Vddおよび接地線GNDの間で接続されている。ハイサイドトランジスタHTrは、端子T3を介して電源線Vddと接続されている。ハイサイドトランジスタHTrは、ローサイドトランジスタLTrよりも電源電位Vddの近くに電気的に接続されている。ハイサイドトランジスタHTrは、電源線Vddおよび抵抗素子REの接続状態を制御する。
【0014】
ローサイドトランジスタLTrは、電源線Vddおよび接地線GNDの間で接続されている。ローサイドトランジスタLTrは、端子T4を介して接地線GNDと接続されている。ローサイドトランジスタLTrは、ハイサイドトランジスタHTrよりも接地電位GNDの近くに電気的に接続されている。ハイサイドトランジスタHTrは、接地線GNDおよび抵抗素子REの接続状態を制御する。
【0015】
抵抗素子REは、ハイサイドトランジスタHTrおよびローサイドトランジスタLTrと共通に接続されている。抵抗素子REは、ハイサイドトランジスタHTrおよび負荷LDとの間に接続されている。抵抗素子REは、ローサイドトランジスタLTrおよび負荷LDとの間に接続されている。
【0016】
検出部DTは、抵抗素子REの一端と、抵抗素子REの他端とに接続されている。検出部DTは、抵抗素子REに流れる電流量を検出する。たとえば、検出部DTは、抵抗素子REの一端と、抵抗素子REの他端との電位差(電圧降下)に基づいて、上記電流量を検出する。検出部DTの構成は、上記機能が発揮されれば、特に限定されない。検出部DTは、例えば、増幅回路およびA/D変換回路を有する。
【0017】
負荷LDは、抵抗素子REおよび接地線GNDの間で接続されている。負荷LDの構成は、特に限定されない。たとえば、負荷LDは、ソレノイドコイルを構成するコイルである。本実施の形態では、負荷LDは、コイルである。
【0018】
ここで、半導体装置SDの動作の一例について説明する。
【0019】
まず、制御部CTRは、ハイサイドトランジスタHTrをON状態に制御し、かつローサイドトランジスタLTrをOFF状態に制御する。これにより、電源線VddからハイサイドトランジスタHTrを介して電源電位が抵抗素子REおよび負荷LDに供給される。すなわち、抵抗素子REおよび負荷LDに順方向の電流が流れる。このとき、抵抗素子REにおいて、電圧降下が生じる。検出部DTは、当該電圧降下を検出して、抵抗素子REに流れる電流量に応じたフィードバック信号を生成する。当該フィードバック信号は、制御部CTRに送信される。制御部CTRは、受信した上記フィードバック信号に応じて、ハイサイドトランジスタHTrおよびローサイドトランジスタLTrの動作を制御する。
【0020】
たとえば、制御部CTRは、ハイサイドトランジスタHTrをOFF状態に制御し、かつローサイドトランジスタLTrをON状態に制御する。これにより、接地線GNDからローサイドトランジスタLTrを介して接地電位が抵抗素子REおよび負荷LDに供給される。すなわち、抵抗素子REおよび負荷LDに順方向の電流が流れる。このときも、抵抗素子REにおいて、電圧降下が生じる。検出部DTは、当該電圧降下を検出して、上記したように、制御部CTRに上記フィードバック信号を送信する。
【0021】
[半導体装置の構成]
図2は、本実施の形態に係る半導体装置SDの構成の一例を示す平面図である。図2は、前述した半導体装置SDの上記回路構成を実現するための半導体装置SDの構成のレイアウトの一例を示している。
【0022】
図2に示されるように、半導体装置SDは、ハイサイド領域HSR、ローサイド領域LSR、抵抗素子領域RER、制御回路領域CTRRおよび検出回路領域DTRを有する。
【0023】
ハイサイド領域HSRは、ハイサイドトランジスタHTrが形成された領域である。ハイサイドトランジスタHTrの種類は特に限定されない。たとえば、ハイサイドトランジスタHTrは、LDMOS(laterally-diffused metal-oxide semiconductor)である。
【0024】
ローサイド領域LSRは、ローサイドトランジスタLTrが形成された領域である。ローサイドトランジスタLTrの種類は特に限定されない。たとえば、ローサイドトランジスタLTrは、LDMOSである。
【0025】
抵抗素子領域RERは、電流検出用の抵抗素子REが形成された領域である。抵抗素子領域RERの位置は、特に限定されない。抵抗素子領域RERは、平面視において、ハイサイド領域HSRおよびローサイド領域LSRの間に位置していることが好ましい。これにより、ハイサイド領域HSRおよびローサイド領域LSR間の領域が有効利用される。結果として、半導体装置SDが小型化され得る。また、抵抗素子REが、ハイサイドトランジスタHTrおよびローサイドトランジスタLTrの近くに形成されるため、寄生抵抗が低減され、抵抗素子REによる電流検出の精度が高まる。
【0026】
制御回路領域CTRRは、制御部CTRが形成された領域である。制御回路領域CTRRの位置は特に限定されない。本実施の形態では、制御回路領域CTRRは、平面視において、ハイサイド領域HSRの一辺と、抵抗素子領域RERの一辺の一部とに隣り合うように形成されている。
【0027】
検出回路領域DTRは、検出部DTが形成された領域である。検出回路領域DTRの位置は特に限定されない。本実施の形態では、検出回路領域DTRは、平面視において、ローサイド領域LSRの一辺と、抵抗素子領域RERの上記一辺の他の一部とに隣り合うように形成されている。
【0028】
[半導体装置の要部の構成]
ここで、半導体装置SDの要部の構成について、詳細に説明する。
【0029】
図3は、半導体装置SDの要部の構成の一例を示す斜視図である。図4は、半導体装置SDの要部の構成の一例を示す断面図である。図4は、図2におけるA-A線の断面図である。なお、図3では、見やすさの観点から、基材BMおよび多層配線層MWLは省略されている。
【0030】
半導体装置SDは、基材BM、多層配線層MWL、放熱部HDP、抵抗素子RE、および熱ストレス緩和部TSMを有する。
【0031】
基材BMは、半導体基板SSおよび半導体層SLを有する。基材BMは、多層配線層MWLを支持している。基材BM内には、放熱部HDPの一部が形成されている。基材BMには、凹部RPが形成されている。より具体的には、凹部RPは、基材BMの厚さ方向において、半導体基板SSに達するように、半導体層SLを貫通している。放熱部HDPの一部は、凹部RP内に形成されている。これにより、放熱部HDPの一部の形状、サイズ、および位置が規定される。
【0032】
半導体基板SSは、例えば、p型不純物を含むp型半導体基板、またはn型不純物を含むn型半導体基板である。当該p型不純物の例には、ホウ素(B)およびアルミニウム(Al)が含まれる。当該n型不純物の例には、ヒ素(As)およびリン(P)が含まれる。
【0033】
半導体層SLは、第1p型エピタキシャル層PE1、n型埋め込み層NBL、p型埋め込み層PBL、および第2p型エピタキシャル層PE2を有する。第1p型エピタキシャル層PE1、n型埋め込み層NBL、p型埋め込み層PBL、および第2p型エピタキシャル層PE2は、半導体基板SS側からこの順番で形成されている。半導体層SLは、半導体基板SS上に形成されている。なお、n型埋め込み層NBLおよびp型埋め込み層PBLは、必須の構成要素ではない。半導体層SLのうち、n型埋め込み層NBLおよびp型埋め込み層PBL上に形成された半導体素子と、半導体基板SSとを電気的に絶縁する観点から、半導体層SLは、n型埋め込み層NBLまたはp型埋め込み層PBLを有することが好ましい。
【0034】
第1p型エピタキシャル層PE1は、半導体基板SSの表面に形成されたエピタキシャル層である。第1p型エピタキシャル層PE1は、上記p型不純物を含む。第1p型エピタキシャル層PE1の不純物濃度は、例えば、1×1013cm-3以上かつ1×1019cm-3以下であり、1×1013cm-3以上かつ1×1016cm-3以下であることが好ましい。
【0035】
n型埋め込み層NBLは、第1p型エピタキシャル層PE1の一部または全部上に形成されている。上記n型不純物の例は、リン(P)、ヒ素(As)およびアンチモン(Sb)を含む。n型埋め込み層NBLの不純物濃度は、例えば、1×1013cm-3以上かつ1×1020cm-3以下である。
【0036】
p型埋め込み層PBLは、例えば、n型埋め込み層NBLの一部または全部上に形成されている。p型埋め込み層PBLの不純物濃度は、例えば、1×1015cm-3以上かつ1×1021cm-3以下であり、1×1015cm-3以上かつ1×1018cm-3以下であることが好ましい。
【0037】
第2p型エピタキシャル層PE2は、p型埋め込み層PBL上に形成されたエピタキシャル層である。n型埋め込み層NBLおよびp型埋め込み層PBLが形成されていない部分においては、第2p型エピタキシャル層PE2は、第1p型エピタキシャル層PE1上に形成されている。第2p型エピタキシャル層PE2は、上記p型不純物を含む。第2p型エピタキシャル層PE2の不純物濃度は、例えば、1×1013cm-3以上かつ1×1019cm-3以下であり、1×1013cm-3以上かつ1×1016cm-3以下であることが好ましい。
【0038】
多層配線層MWLは、基材BMの表面に形成された半導体素子を覆うように、基材BM上に形成されている。多層配線層MWLは、2つ以上の配線層により構成されている。当該配線層は、層間絶縁層と、当該層間絶縁層内に形成された配線およびビアの一方または両方と、を有する層である。当該ビアは、互いに異なる層に形成された2つの配線を電気的に接続する導電体である。
【0039】
図4に示されるように、多層配線層MWLは、第1層間絶縁層IIL1、第1配線WR1、第2層間絶縁層IIL2、第1ビアV1、第2配線WR2、第3層間絶縁層IIL3、第2ビアV2、第3配線WR3、第4層間絶縁層IIL4、第5層間絶縁層IIL5および保護層PLを有する。詳細については後述するが、多層配線層MWL内には、放熱部HDPの一部、抵抗素子RE、および熱ストレス緩和部TSMが形成されている。
【0040】
第1層間絶縁層IIL1、第2層間絶縁層IIL2、第3層間絶縁層IIL3、第4層間絶縁層IIL4、第5層間絶縁層IIL5は、この順番で基材BM上に形成されている。第1層間絶縁層IIL1、第2層間絶縁層IIL2、第3層間絶縁層IIL3、第4層間絶縁層IIL4、および第5層間絶縁層IIL5のそれぞれの材料の例には、酸化シリコンが含まれる。第1層間絶縁層IIL1、第2層間絶縁層IIL2、第3層間絶縁層IIL3、第4層間絶縁層IIL4、および第5層間絶縁層IIL5のそれぞれの厚さは、特に限定されない。
【0041】
第1配線WR1は、第1層間絶縁層IIL1上に形成されている。第1配線WR1については、半導体技術において配線として採用されている公知の構成が採用され得る。第1配線WR1は、例えば、バリアメタル、導電膜およびバリアメタルがこの順で積層された積層膜である。上記バリアメタルを構成する材料の例には、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)および窒化タンタル(TaN)が含まれる。上記導電膜を構成する材料の例には、アルミニウム、銅およびタングステンが含まれる。
【0042】
第1ビアV1は、第1配線WR1に達するように、第2層間絶縁層IIL2内に形成されている。基材BMの表面に沿う断面内において、第1ビアV1の断面形状は、略円形状である。第1ビアV1の構成としては、半導体技術においてビアとして採用されている公知の構成が採用され得る。第1ビアV1は、例えば、バリア膜と、当該バリア膜上に形成された導電膜と、を有する。上記バリア膜の材料の例には、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)および窒化タンタル(TaN)が含まれる。上記導電膜の材料は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)または銅(Cu)である。
【0043】
第2配線WR2および第3配線WR3については、多層配線層MWL内で形成された位置を除いて、第1配線WR1と同様である。第2ビアV2についても、多層配線層MWL内で形成された位置を除いて、第1ビアV1と同様である。
【0044】
保護層PLは、外部の水分などから半導体装置SDを保護する層である。保護層PLは、第5層間絶縁層IIL5上に形成されている。保護層PLは、多層配線層MWL内において、多層配線層MWLの最上層に形成されている。保護層PLは、単層膜であってもよいし、二層以上の積層膜であってもよい。保護層PLの例には、酸化シリコン膜、酸窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、PSG(Phospho Silicate Glass)膜およびこれらの積層膜が含まれる。保護層PLの厚さは、例えば、1.0μm以上かつ2.0μm以下であり、1.5μm程度であることが好ましい。
【0045】
多層配線層MWL内には、放熱部HDPの一部、抵抗素子RE、および熱ストレス緩和部TSMが形成されている。基材BM内には、放熱部HDPの残部が形成されている。以下、これらの構成要素の詳細については説明する。
【0046】
放熱部HDPは、絶縁膜ILF、熱伝導部HCPおよび接続部CPを有する。放熱部HDPは、抵抗素子REで発生した熱を多層配線層MWL外に伝達するように構成されている。たとえば、放熱部HDPの一部が、多層配線層MWL内に形成され、放熱部HDPの他の一部が、多層配線層MWLから露出していればよい。本実施の形態では、放熱部HDPの一部は、多層配線層MWL内に形成されており、かつ放熱部HDPの残部は、基材BM内に形成されている。これにより、抵抗素子REで発生した熱は、放熱部HDPを介して、基材BMに伝達される。
【0047】
絶縁膜ILFは、基材BMの表面に形成された凹部RPの底面および側面上に形成されている。絶縁膜ILFは、熱伝導部HCPおよび基材BMが互いに短絡することを抑制する。絶縁膜ILFの厚さは、上記機能が得られれば特に限定されない。絶縁膜ILFの厚さは、例えば、0.1μm程度である。絶縁膜ILFの材料は、例えば、酸化シリコンである。
【0048】
熱伝導部HCPは、凹部RP内を埋めるように絶縁膜ILF上に形成されている。熱伝導部HCPは、熱伝導性を有する材料で構成されている。熱伝導性を高める観点から、熱伝導部HCPの材料の例は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)およびタングステン(W)を含むことが好ましい。
【0049】
放熱性を高める観点から、熱伝導部HCPのサイズは、大きいことが好ましい。熱伝導部HCPは、基材BMのうち、p型埋め込み層PBLに達していることが好ましく、n型埋め込み層NBLに達していることがより好ましく、第1p型エピタキシャル層PE1に達していることがさらに好ましく、半導体基板SSに達していることがより一層好ましい。
【0050】
放熱性を高める観点から、熱伝導部HCPの形状は、板形状であることが好ましい。すなわち、Y方向における熱伝導部HCPの長さは、X方向における熱伝導部HCPの長さより大きいことが好ましい。Y方向における熱伝導部HCPの長さは、Y方向における抵抗素子REの長さより大きいことが好ましい。本実施の形態では、Y方向における熱伝導部HCPの長さは、Y方向における抵抗素子REの長さと同程度である。
【0051】
なお、本明細書において、「Y方向」は、基材BMの表面(上面、主面)に沿う第1方向である。Y方向は、平面視において、第3導電部CL3a(後述)の長辺が延在する方向でもある。「X方向」は、平面視において、Y方向に垂直な第2方向である。Y方向は、平面視において、第3導電部CL3a(後述)の短辺が延在する方向でもある。「Z方向」は、多層配線層MWLの厚さ方向である。なお、X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交している。
【0052】
接続部CPは、抵抗素子REと直接的に接するように、第1層間絶縁層IIL1内に形成されている。接続部CPが抵抗素子REと直接的に接していることは、放熱部HDPによる放熱性を高める観点から好ましい。接続部CPは、熱伝導性を有する材料で構成されている。接続部CPは、例えば、第1層間絶縁層IIL1内に形成されたビア(不図示)と同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。接続部CPは、例えば、バリア膜と、当該バリア膜上に形成された導電膜と、を有する。上記バリア膜の材料の例には、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)および窒化タンタル(TaN)が含まれる。上記導電膜の材料は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)または銅(Cu)である。
【0053】
放熱性を高める観点から、接続部CPの形状は、いわゆるスリット形状であることが好ましい。すなわち、Y方向における接続部CPの長さは、X方向における接続部CPの長さより大きいことが好ましい。本実施の形態では、Y方向における接続部CPの長さは、Y方向における第1導電部CL1bの長さと同程度である。
【0054】
抵抗素子REは、多層配線層MWL内に形成されている。抵抗素子REの用途は特に限定されない。本実施の形態では、抵抗素子REは、半導体装置SDにおいて、所望の位置の電流値を検出するために用いられる、いわゆるセンス抵抗である。
【0055】
抵抗素子REは、第1導電部CL1a、CL1b、第2導電部CL2a、CL2b、および第3導電部CL3a、CL3b、CL3cを有する。第1導電部CL1a、第3導電部CL3a、第2導電部CL2a、第3導電部CL3b、第1導電部CL1b、第3導電部CL3cおよび第2導電部CL2bは、この順番で互いに接続されている。
【0056】
抵抗素子REを構成する上記第1導電部、上記第2導電部および上記第3導電部のそれぞれの数は、所望の抵抗値に応じて適宜調整される。第1導電部CL1aおよび第1導電部CL1bは、位置およびサイズを除いて互いに同様である。第2導電部CL2aおよび第2導電部CL2bも、位置を除いて互いに同様である。第3導電部CL3a、第3導電部CL3bおよび第3導電部CL3cも、位置を除いて互いに同様である。重複した説明を省略する観点から、以下、第1導電部CL1a、第2導電部CL2aおよび第3導電部CL3aについてのみ説明する。
【0057】
第1導電部CL1aは、多層配線層MWL内に形成されている。第1導電部CL1aは、多層配線層MWL内において、第1配線WR1が形成された層と同じ層内に形成されている。本実施の形態では、第1導電部CL1aは、第1層間絶縁層IIL1上に形成されている。
【0058】
第1導電部CL1aの形状、サイズ、および材料は、所望の抵抗値および占有面積に応じて適宜調整される。Y方向における第1導電部CL1aの長さは、X方向における第1導電部CL1aの長さより大きいことが好ましい。
【0059】
第1導電部CL1aは、例えば、同じ層内に形成された第1配線WR1と同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。第1導電部CL1aは、例えば、バリア膜、導電膜およびバリア膜がこの順で積層された積層膜である。上記バリア膜の材料の例には、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)および窒化タンタル(TaN)が含まれる。上記導電膜の材料の例には、アルミニウム、銅およびタングステンが含まれる。本実施の形態では、第1導電部CL1aは、アルミニウム配線である。
【0060】
第2導電部CL2aは、多層配線層MWL内に形成されている。第2導電部CL2aは、多層配線層MWL内において、第3配線WR3が形成された層と同じ層内に形成されている。本実施の形態では、第2導電部CL2aは、第3層間絶縁層IIL3上に形成されている。
【0061】
また、第2導電部CL2aは、第1導電部CL1a上に形成されている。すなわち、Z方向における第2導電部CL2aと基材BMの表面との間隔は、Z方向における第1導電部CL1aと基材BMの表面との間隔より大きい。第2導電部CL2aの一部は、平面視において、第1導電部CL1aの一部と重なるように形成されている。第2導電部CL2aは、平面視において、第1導電部CL1aと沿うように形成されていることが好ましい。
【0062】
第2導電部CL2aの形状、サイズおよび材料は、所望の抵抗値および占有面積に応じて適宜調整される。第2導電部CL2aの形状、サイズおよび材料は、第1導電部CL1aの形状、サイズおよび材料とそれぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施の形態では、X方向における第2導電部CL2aの長さは、X方向における第1導電部CL1aの長さより大きく、かつX方向における第2導電部CL2aの長さは、X方向における第1導電部CL1bの長さと同程度である。
【0063】
第3導電部CL3aは、多層配線層MWL内において、第1導電部CL1aおよび第2導電部CL2aの間に形成されている。第3導電部CL3aは、第1導電部CL1aおよび第2導電部CL2aを互いに電気的に接続している。第3導電部CL3aは、第1導電部CL1aおよび第2導電部CL2aに挟まれた層間絶縁層IIL2および層間絶縁層IIL3を貫通している。
【0064】
第3導電部CL3aは、第1ビアV1a、連結部CNTaおよび第2ビアV2aを有する。第1ビアV1aの構成と、第2ビアV2aの構成とは、位置を除いて互いに同様である。重複した説明を省略する観点から、以下、第1ビアV1aについてのみ説明する。なお、第3導電部CL3bは、第1ビアV1b、連結部CNTbおよび第2ビアV2bを有する。第3導電部CL3cは、第1ビアV1c、連結部CNTcおよび第2ビアV2cを有する。
【0065】
第1ビアV1aは、多層配線層MWL内に形成されている。第1ビアV1aは、第1導電部CL1a上に形成されている。第1ビアV1aは、多層配線層MWL内において、ビアV1が形成された層と同じ層内に形成されている。本実施の形態では、第1ビアV1aは、第2層間絶縁層IIL2内に形成されている。
【0066】
Y方向における第1ビアV1aの長さLyは、X方向における第1ビアV1aの長さLxより大きい。これにより、基材BMの表面に沿う断面内において断面視形状が略円形状であるビアV1と比較して、大電流が第1ビアV1a内を流れたとしても、エレクトロマイグレーションに起因する欠陥が第1ビアV1a内で生じにくい。このような観点から、上記Lxに対する上記Lyの比(Ly/Lx)は、50以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。上記比(Ly/Lx)は、特に限定されず、電流値の大きさによって、適宜調整される。
【0067】
一方で、半導体装置SDを小型化する観点から、上記Ly/Lxは、5000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましい。
【0068】
上記のエレクトロマイグレーション耐性を高める観点から、X方向における第1ビアV1aの長さLx(短幅)は、X方向におけるビアV1の長さ(径)より大きいことが好ましい。なお、ビアV1は、ハイサイド領域HSRおよびローサイド領域LSRの一方または両方に形成されている。
【0069】
第1ビアV1aのサイズおよび材料は、所望の抵抗値に応じて適宜調整される。また、第1ビアV1aの構成は、例えば、第2層間絶縁層IIL2内に形成されたビアV1と同じであってもよいし、異なってもよい。第1ビアV1aは、例えば、バリア膜と、当該バリア膜上に形成された導電膜と、を有する。上記バリア膜の材料の例には、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)および窒化タンタル(TaN)が含まれる。上記導電膜の材料は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)または銅(Cu)である。
【0070】
連結部CNTaは、多層配線層MWL内において、第1ビアV1aおよび第2ビアV2aを連結している。本実施の形態では、連結部CNTaは、第2層間絶縁層IIL2上に形成されている。抵抗素子REの抵抗値のばらつきを抑制する観点から、連結部CNTaは、第1ビアV1aおよび第2ビアV2aの間に形成されていることが好ましい。より具体的には、第3導電部CL3aが連結部CNTaを有することによって、第1ビアV1aおよび第2ビアV2aの位置ずれに発生したとしても、抵抗素子REの抵抗値ばらつきを抑制できる。
【0071】
連結部CNTaの形状および大きさは、所望の抵抗値に応じて適宜調整される。連結部CNTaの構成は、例えば、第2層間絶縁層IIL2上に形成された配線WR2と同じであってもよいし、異なっていてもよい。連結部CNTaの構成の例は、第1導電部CL1aの構成の例と同様である。
【0072】
熱ストレス緩和部TSMは、多層配線層MWL内に形成されている。熱ストレス緩和部TSMは、抵抗素子REおよび保護層PLの間に形成されている。熱ストレス緩和部TSMは、多層配線層MWL外からの熱に起因して生じるストレスが抵抗素子REに加わることを抑制するように構成されている。より具体的には、熱ストレス緩和部TSMによって、抵抗素子REの熱膨張係数と、多層配線層MWLを構成する層間絶縁層の熱膨張係数との差に起因して抵抗素子REに加わるストレスが緩和される。熱ストレス緩和部TSMは、平面視において、抵抗素子REの少なくとも一部と重なっていることが好ましい。断熱性を高める観点からは、熱ストレス緩和部TSMは、平面視において、抵抗素子REの全部と重なっていることがより好ましい。断熱性を高める観点からは、熱ストレス緩和部TSMは、抵抗素子REを囲うように形成されていることが好ましい。たとえば、熱ストレス緩和部TSMは、側面視において、抵抗素子REの全部と重なっていることがより好ましく、正面視において、抵抗素子REの全部と重なっていることがより好ましく、背面視において、抵抗素子REの全部と重なっていることがより好ましい。本実施の形態では、熱ストレス緩和部TSMは、平面視において、抵抗素子REの全部と重なっている。
【0073】
熱ストレス緩和部TSMの構成は、例えば、第4層間絶縁層IIL4上に形成された配線(不図示)と同じであってもよいし、異なっていてもよい。熱ストレス緩和部TSMは、例えば、バリア膜と、当該バリア膜上に形成された導電膜と、を有する。上記バリア膜の材料の例には、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)および窒化タンタル(TaN)が含まれる。上記導電膜の材料は、例えば、アルミニウム(Al)または銅(Cu)である。
【0074】
[半導体装置の製造方法]
次いで、本実施の形態に係る半導体装置SDの製造方法の一例について説明する。図5図7は、半導体装置SDの製造方法に含まれる工程の一例を示す断面図である。
【0075】
半導体装置SDの製造方法は、例えば、(1)半導体ウェハSWの準備工程、(2)放熱部HDPの一部の形成工程、(3)多層配線層MWL、放熱部HDPの残部、および熱ストレス緩和部TSMの形成工程を含む。
【0076】
(1)半導体ウェハSWの準備
まず、図5に示されるように、半導体ウェハSWを準備する。半導体ウェハSWは、市販品として購入されてもよいし、製造されてもよい。半導体ウェハSWは、半導体基板SSと、第1p型エピタキシャル層PE1、n型埋め込み層NBL、p型埋め込み層PBL、および第2p型エピタキシャル層PE2で構成された半導体層SLとを有する。半導体ウェハSWの各層は、例えば、エピタキシャル成長法によって、半導体基板SS上にエピタキシャル層を形成するとともに、所望の不純物を上記エピタキシャル層の所望の位置に注入することによって形成される。
【0077】
(2)放熱部HDPの一部の形成
次いで、図6に示されるように、絶縁膜ILFおよび熱伝導部HCPを半導体ウェハSW内に形成する。まず、半導体ウェハSWの表面(上面)に凹部RPを形成した後に、凹部RPの底面および側面と、半導体ウェハSWの上面との上に絶縁膜ILFを形成する。凹部RPは、例えば、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術によって形成される。絶縁膜ILFの形成方法は、例えば、CVD法である。次いで、凹部RPを埋めるように、絶縁膜ILF上に熱伝導部HCPを形成する。熱伝導部HCPの形成方法は、例えば、CVD法である。なお、絶縁膜ILFおよび熱伝導部HCPのうち、凹部RP外に形成された余分な部分については、例えば、CMP法によって除去される。
【0078】
(3)多層配線層MWL、放熱部HDPの残部、および熱ストレス緩和部TSMの形成
次いで、図7に示されるように、多層配線層MWL、接続部CP、および熱ストレス緩和部TSMを半導体ウェハSW上に形成する。多層配線層MWL、接続部CP、および熱ストレス緩和部TSMの形成方法としては、半導体技術における多層配線層の形成方法として公知の方法が採用され得る。
【0079】
第1層間絶縁層IIL1、第2層間絶縁層IIL2、第3層間絶縁層IIL3、第4層間絶縁層IIL4および第5層間絶縁層IIL5は、例えば、CVD法によって形成される。接続部CPは、例えば、第1層間絶縁層IIL1に貫通孔を形成した後に、当該貫通孔を導電材料で埋めることによって形成される。第1ビアV1、V1a、V1b、V1cは、例えば、第2層間絶縁層IIL2に貫通孔を形成した後に、当該貫通孔を導電材料で埋めることによって形成される。第2ビアV2、V2a、V2b、V2cは、例えば、第3層間絶縁層IIL3に貫通孔を形成した後に、当該貫通孔を導電材料で埋めることによって形成される。
【0080】
第1導電部CL1a、CL1bおよび第1配線WR1は、スパッタリング法によって導電膜を第1層間絶縁層IIL1上に形成した後に、当該導電膜を所望の形状にパターニングすることによって形成される。第2導電部CL2a、CL2bおよび第3配線WR3は、スパッタリング法によって導電膜を第3層間絶縁層IIL3上に形成した後に、当該導電膜を所望の形状にパターニングすることによって形成される。連結部CNTa、CNTb、CNTcおよび第2配線WR2は、スパッタリング法によって導電膜を第2層間絶縁層IIL2上に形成した後に、当該導電膜を所望の形状にパターニングすることによって形成される。保護層PLは、スパッタリング法によって、第5層間絶縁層IIL5上に形成される。
【0081】
次いで、上記工程により得られた構造体を上記静電チャックから脱離し、ダイシングすることによって、個片化された複数の半導体装置SDが得られる。最後に、半導体装置SDは、封止樹脂で封止される。
【0082】
(効果)
本実施の形態に係る半導体装置SDの抵抗素子REは、第1導電部CL1a、CL1bおよび第2導電部CL2a、CL2bを電気的に互いに接続している第3導電部CL3a、CL3b、CL3cを有する。基材BMの表面に沿うY方向(第1方向)における第3導電部CL3a、CL3b、CL3cの長さは、基材BMの表面に沿い、かつY方向に垂直なX方向(第2方向)における第3導電部CL3a、CL3b、CL3cの長さより大きい。特に、Y方向における第1ビアV1a、V1b、V1cの長さLyは、X方向における第1ビアV1a、V1b、V1cの長さLxより大きい。Y方向における第2ビアV2a、V2b、V2cの長さLyも、X方向における第2ビアV2a、V2b、V2cの長さLxより大きい。これにより、基材BMの表面に沿う断面内において断面視形状が略円形状であるビアV1、V2と比較して、第1ビアV1a、V1b、V1cおよび第2ビアV2a、V2b、V2cにおける電流密度が小さくなる。これにより、基材BMの表面に沿う断面内において断面視形状が略円形状であるビアを有する抵抗素子と比較して、本実施の形態では、大電流が抵抗素子RE内を流れたとしても、エレクトロマイグレーションに起因する欠陥が第1ビアV1a、V1b、V1cおよび第2ビアV2a、V2b、V2c内で生じにくい。結果として、半導体装置SDの信頼性を高めることができる。
【0083】
[変形例1]
図8は、本実施の形態の変形例1に係る半導体装置mSD1の要部の構成の一例を示す斜視図である。図9は、半導体装置mSD1の要部の構成の一例を示す断面図である。
【0084】
変形例1に係る半導体装置mSD1は、絶縁膜ILF、熱伝導部HCP、接続部CPおよび熱伝導部mHCPを有する。変形例1に係る放熱部mHDP1は、抵抗素子REと直接的に接続されていない。すなわち、放熱部mHDP1は、抵抗素子REから離間し、かつ熱伝導部mHCPに接続されるように、多層配線層MWL内に形成されている。
【0085】
熱伝導部mHCPは、多層配線層MWL内に形成された配線およびビアにより形成されている。図9に示されるように、熱伝導部mHCPは、断面視において、第3導電部CL3a、CL3b、CL3cに沿うように延在している。熱伝導部mHCPは、第1配線mWR1、ビアmV1および第2配線mWR2を有する。第1配線mWR1の構成例は、第1導電部CL1aと同様である。ビアmV1の構成例は、第1ビアV1aと同様である。第2配線mWR2の構成例は、連結部CNTaと同様である。
【0086】
熱伝導部mHCPの一端部は、基材BMの表面に沿う方向において、抵抗素子REの一部と対向している。変形例1では、熱伝導部mHCPの上記一端部は、X方向において、第1導電部CL1a、CL1bおよび第3導電部CL3a、CL3bと対向している。熱伝導部mHCPの上記一端部は、基材BMの表面に垂直な方向において、抵抗素子REの他の一部と対向している。変形例1では、熱伝導部mHCPの上記一端部は、Z方向において、第2導電部CL2aと対向している。
【0087】
変形例1では、放熱部mHDP1が抵抗素子REと離間していることによって、抵抗素子REからの電流が放熱部mHDP1に流れることを抑制できる。これにより、放熱性と、電流値の検出精度とを両立できる。
【0088】
[変形例2]
図10は、本実施の形態の変形例2に係る半導体装置mSD2の要部の構成の一例を示す斜視図である。
【0089】
変形例2に係る半導体装置mSD2は、複数の抵抗素子を有する。当該抵抗素子の数は、特に限定されない。変形例2に係る半導体装置mSD2は、第1抵抗素子mRE1および第2抵抗素子mRE2を有する。第1抵抗素子mRE1の構成例と、第2抵抗素子mRE2の構成例とは、抵抗素子REと同様である。変形例2では、第1抵抗素子mRE1の第1導電部mCL1aは、平面視において、第2抵抗素子mRE2の第2導電部mCL2aと隣り合うように配置されている。これにより、第1抵抗素子mRE1内に電流が流れることにより生じる磁界と、第2抵抗素子mRE2内に電流が流れることにより生じる磁界とが、互いに打ち消し合う。これによって、抵抗素子に電流が流れることによって生じる磁界によって、周辺の半導体素子の特性が変化することを抑制できる。結果として、半導体装置の特性をさらに高めることができる。
【0090】
[変形例3]
図11は、本実施の形態の変形例3に係る半導体装置mSD3の要部の構成の一例を示す斜視図である。
【0091】
変形例3に係る半導体装置mSD3は、抵抗素子mRE3を有する。抵抗素子mRE3は、第1導電部CL1d、第2導電部CL2dおよび第3導電部CL3dをさらに有する。Y方向における第1導電部CL1dの長さは、X方向における第1導電部CL1dの長さより小さい。Y方向における第2導電部CL2dの長さは、X方向における第2導電部CL2dの長さより小さい。Y方向における第3導電部CL3dの長さは、X方向における第3導電部CL3dの長さより小さい。
【0092】
変形例3では、抵抗素子mRE3は、Y方向における各構成要素(第1導電部CL1a、CL1b、第2導電部CL2a、CL2bおよび第3導電部CL3a、CL3b、CL3c)がY方向に沿って延在する部分と、各構成要素(第1導電部CL1d、第2導電部CL2dおよび第3導電部CL3d)がX方向に沿って延在する部分とを有する。これにより、これにより、半導体装置mSD3が封止樹脂で封止されるとき、X方向における応力と、Y方向における応力とに差がある場合に、半導体装置mSD3に加わる応力の合計値を平均的に低減できる。
【0093】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更され得る。たとえば、第3導電部CL3は、第1導電部CL1aおよび第2導電部CL2aを互いに電気的に接続できればよく、連結部CNTaを有していなくてもよい。
【0094】
また、特定の数値例について記載した場合であっても、理論的に明らかにその数値に限定される場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値であってもよい。また、成分については、「Aを主要な成分として含むB」などの意味であり、他の成分を含む態様を排除するものではない。
【0095】
さらに、実施の形態の少なくとも一部と、各変形例の少なくとも一部とは、互いに任意に組み合わされてもよい。たとえば、熱伝導部および放熱部の構造、位置および材料は、適宜設計され得る。
【符号の説明】
【0096】
CL1a、mCL1a、CL1b、mCL1d 第1導電部
CL2a、mCL2a、CL2b、mCL2d 第2導電部
CL3a、CL3b、CL3c、mCL3d 第3導電部
CNTa、CNTb 連結部
CP 接続部
CTR 制御部
CTRR 制御回路領域
DT 検出部
DTR 検出回路領域
GND 接地線
HCP、mHCP 熱伝導部
HDP、mHDP1 放熱部
HSR ハイサイド領域
HTr ハイサイドトランジスタ
ILF 絶縁膜
LD 負荷
LSR ローサイド領域
LTr ローサイドトランジスタ
NBL n型埋め込み層
PBL p型埋め込み層
PE1 第1p型エピタキシャル層
PE2 第2p型エピタキシャル層
RE、mRE1、mRE2、mRE3 抵抗素子
RER 抵抗素子領域
SD、mSD1、mSD2、mSD3 半導体装置
SL 半導体層
SS 半導体基板
SW 半導体ウェハ
T1、T2、T3、T4 端子
TSM 熱ストレス緩和部
V1、mV1、V1a、V1b、V1c 第1ビア
V2、V2a、V2b、V2c 第2ビア
Vdd 電源線
WR1、mWR1 第1配線
WR2、mWR2 第2配線
WR3 第3配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11