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特許7498107加工センタにおけるデジタルツインの生成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】加工センタにおけるデジタルツインの生成
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/24 20060101AFI20240604BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B23Q17/24 B
G01B11/24 K
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020504114
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 EP2018071388
(87)【国際公開番号】W WO2019030222
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-05-13
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】102017117840.6
(32)【優先日】2017-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503019925
【氏名又は名称】フランツ・ハイマー・マシーネンバウ・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ツィーグルトラム,フランツ
【合議体】
【審判長】渋谷 善弘
【審判官】鈴木 貴雄
【審判官】大山 健
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0078885(US,A1)
【文献】特許第5367197(JP,B1)
【文献】特開2015-52872(JP,A)
【文献】特開2014-163807(JP,A)
【文献】特開2003-271215(JP,A)
【文献】特開平5-341832(JP,A)
【文献】特開2005-88176(JP,A)
【文献】特開2005-224901(JP,A)
【文献】特開2001-54964(JP,A)
【文献】特開平9-253979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/24
G01B 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削機(2a)及び設定デバイス(5)を含む、材料を切削するマシニングセンタ(1)であって、前記設定デバイス(5)は、位置決め装置(8)と、照明装置(9、9a)と、画像センサ(11)と、を有し、前記位置決め装置(8)は、工具ユニット(10)によって前記画像センサ(11)に部分的に陰影を付けるように、前記画像センサ(11)の前に前記照明装置(9、9a)を介して照明されるべき前記工具ユニット(10)を保持し、
前記画像センサ(11)は、少なくとも1つの空間座標方向において、同じ空間座標方向における前記工具ユニット(10)よりも大きい最大範囲を有し、
前記設定デバイス(5)は、前記切削機(2a)のワークスピンドル(2)に結合されて用いられる予定の前記工具ユニット(10)であって、前記位置決め装置(8)に保持された前記工具ユニット(10)の包囲輪郭、陰影領域の範囲に対する値を用いて判定し、前記包囲輪郭から前記工具ユニット(10)の先領域を除外して衝突関連包囲輪郭を決定し、前記切削機(2a)の制御器(6)に伝送することを特徴とする、マシニングセンタ(1)。
【請求項2】
前記画像センサ(11)は、2つの相互に垂直な空間座標方向において、前記同じ空間座標方向における前記工具ユニット(10)よりも大きい最大範囲を有することを特徴とする、請求項1に記載のマシニングセンタ(1)。
【請求項3】
前記画像センサ(11)は、第1の空間座標方向に延在し、前記第1の空間座標方向に垂直な第2の空間座標方向に沿っていくつかの連続する段階で漸進的に測定するラインセンサであり、前記第1の空間座標方向に沿った方向における前記ラインセンサの範囲は、前記第2の空間座標方向に沿った範囲よりも少なくとも20倍だけ大きいことを特徴とする、請求項1に記載のマシニングセンタ(1)。
【請求項4】
少なくとも前記ラインセンサ及び前記照明装置(9)は、各測定後に前記第2の空間座標方向の方向に移動することを特徴とする、請求項3に記載のマシニングセンタ(1)。
【請求項5】
前記工具ユニット(10)は、各測定後に前記第2の空間座標方向の方向に移動することを特徴とする、請求項3に記載のマシニングセンタ(1)。
【請求項6】
前記照明装置(9、9a)は、平行光、偏光、コヒーレント光のいずれかに調整された光を放出することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のマシニングセンタ(1)。
【請求項7】
前記照明装置(9、9a)の光ビーム(Li)は、前記工具ユニット(10)に集束されていないことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のマシニングセンタ(1)。
【請求項8】
前記位置決め装置(8)は、前記工具ユニット(10)を測定中に回転することができるように設計されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のマシニングセンタ(1)。
【請求項9】
前記工具ユニット(10)を測定するための、実質的に完全に暗くされることができる測定室を有することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のマシニングセンタ(1)。
【請求項10】
前記位置決め装置(8)は、前記工具ユニット(10)によって前記画像センサ(11)に部分的に陰影を付けるように前記画像センサ(11)の前で適所に前記照明装置(9、9a)を介して照明されるべき前記工具ユニット(10)を前記位置決め装置(8)が保持するように設計されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のマシニングセンタ(1)。
【請求項11】
前記陰影領域の範囲又は長さは、少なくとも0.5mmの精度で判定されることになっていることを特徴とする、請求項10に記載のマシニングセンタ(1)。
【請求項12】
工具ホルダー及び工具挿入部を含む工具ユニット(10)のデジタルツインを生成して切削機(2a)の制御器(6)に伝送する方法であって、
前記切削機(2a)及び設定デバイス(5)を含む、材料を切削するマシニングセンタ(1)において、前記設定デバイス(5)は、位置決め装置(8)と、照明装置(9、9a)と、少なくとも1つの空間座標方向において、同じ空間座標方向における前記工具ユニット(10)よりも大きい最大範囲を有する画像センサ(11)と、を有し、
前記位置決め装置(8)が、工具ユニット(10)によって前記画像センサ(11)に部分的に陰影を付けるように、前記画像センサ(11)の前に前記照明装置(9、9a)を介して照明されるべき前記工具ユニット(10)を保持するステップと、
前記設定デバイス(5)が、前記切削機(2a)のワークスピンドル(2)に結合されて用いられる予定の前記工具ユニット(10)であって、前記位置決め装置(8)に保持された前記工具ユニット(10)の包囲輪郭を、陰影領域の範囲に対する値を用いて判定し、前記包囲輪郭から前記工具ユニット(10)の刃先領域を除外して衝突関連包囲輪郭を決定し、前記切削機(2a)の制御器(6)に伝送するステップと
を有することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載のマシニングセンタ、対応する方法、及び対応する使用に関する。
【背景技術】
【0002】
技術背景
本出願の文脈で、最初に、工具ユニットは、個々の工具(例えば、フライス)をも意味するものとする。しかし、大部分、従って好ましくは工具ユニットという用語は、工具ホルダー、工具ホルダーに組み込まれた切削工具、及び任意の付属品を含む完全ユニットを意味するものとする。
【0003】
工具プリセットとして知られているもの
工具の刃先の位置は、工作機械においては長く考慮されている。
【0004】
この目的のために、工具ユニットのデータを、工具シートの形で紙に、又は部品リストの形でデジタル的に事前定義した。文書は通常、工具の名称、個々の部品の品目番号、及び公差を有する刃先の目標位置寸法の形で少なくともデータを含む。
【0005】
工具組立中に、完全な工具を、これらのデータに基づいて組み立てて測定し、必要ならば調整する。
【0006】
プリセットとして知られているものを参照する。プリセットは、工具の刃先が、計画機械加工に容認できる位置寸法を有することを保証する。
【0007】
刃先の実際の位置寸法を、手動で、又は既知の電子的方法で、機械の制御器に転送する。
【0008】
次に、切削機の制御器は、移動経路を調整することによって、工具の刃先が一定の範囲内で含む位置ずれを補償することができる。
【0009】
デジタルカメラを用いて、刃先の位置を、光学的に測定することが多い。
【0010】
刃先を測定するために高精度(この精度は通常、0.001mmと0.02mmとの間の範囲にある)を必要とするので、カメラは非常に高い解像度を有する。しかしこれは、小さい記録窓のみを必然的に伴う。従って、現在のシステムは、約5mm×5mmから10mm×10mmの面積を記録するだけである。
【0011】
対応するカメラを工具の回転軸から規定の距離に装着し、Z軸の方向に工具の回転軸と平行に、及びY軸の方向に工具の回転軸と垂直に、移動させることができる。カメラは、工具の回転軸を含むカメラの観察方向と垂直な面に光学部品類の焦点が正確に位置するように設計されている光学部品類を有する。集束領域、即ち被写界深度は、焦点面の前後に小さい領域を含む。一般的に、テレセントリックレンズを使用する。
【0012】
完全工具ユニットに対する衝突検査
しかし、現代のマシニングセンタにおいて、刃先の位置の考慮は、そこで終了しない。
【0013】
代わりに、現代のマシニングセンタにおいて、衝突監視を通常行う。この目的のために、機械加工全体を少なくとも計算的にシミュレートし、工具ユニットと工作物又は周囲構成要素(工作台、締め付けデバイスなど)との間の衝突があるかどうかを検査する。
【0014】
刃先の位置に関するデータは、この目的のために十分でない。代わりに、回転工具ユニットが、必要な間隔を(まだ)有するか、又は機械加工中に任意の点で工作物と誤って衝突するかに関与する、各工具ユニットの包囲輪郭の外観に関する情報を必要とする。従って、「デジタルツイン」として知られている完全工具のデジタル画像を必要とする。
【0015】
包囲輪郭に関するデータは、手動で入力することができ、且つ入力する必要がある。
【0016】
代替案として、最近では、工具又は工具ホルダー及び付属品の製造業者が、製造業者の製品のために記録し、製造業者の顧客に渡しているデータを使用しており、この場合、このようなデータは、決して常に入手できるものではない。しかし、データは、データのフォーマットの点で一様でなく、データは、必ずしも常に完全に正確である必要はない。更に、例えば、包囲輪郭に関する製造業者固有データセットが提供されている工具ホルダー及び切削工具の両方の組立中に誤差が生じることが実際に分かっている。専用工具の場合、図面を製造業者から入手できないことが多い。
【0017】
例えばドイツ工業標準規格(DIN)4000シリーズに準拠する特性リストとして知られている一連の定義済みパラメータを用いて、工具の形状を判定しようとすることも多い。しかし、この方法は、工具の限られた数の特性(例えば、長さ及び直径)を判定するために使用されるだけである。従って、外部輪郭を完全に記述することができない。更に、対応するデータは、必ずしも入手できるとは限らず、不完全な程度でしか入手できないことも多い。
【0018】
とにかく、完全工具のデジタルツインを生成するための努力は非常に大きい。ほんの中規模の会社の場合でも、デジタルツインとして在庫に工具を電子的に保存するために、数人年を超える努力を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の根底にある課題
本発明の目的は、工具ユニットのデジタルツインを効率的に生成することができるデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明による解決策
この課題を解決するために、材料を切削する特別なマシニングセンタを提案する。
【0021】
このマシニングセンタは、切削機及び設定デバイスを含む。
【0022】
設定デバイスは、位置決め装置と、照明装置と、画像センサとを有することが分かる。
【0023】
位置決め装置は、工具ユニットによって画像センサに部分的に陰影を付けるように、画像センサの前で適所に照明装置を介して照明されるべき工具ユニットを保持するように設計されている。
【0024】
本発明によれば、この場合、画像センサは、少なくとも1つの空間座標方向において、同じ空間座標方向における工具ユニットよりも大きい最大範囲を有する。工具ユニットの包囲輪郭は、陰影領域の範囲に対する値を用いて判定されている。
【0025】
本発明は、工具プリセットに必要な非常に高い精度はデジタルツインの生成に必要ないという知見に基づいている。
【0026】
工具プリセットの範囲内で、刃先の光学走査を必要とし、これは一般的に、少なくとも5/1000mmの範囲内で正確である必要がある。
【0027】
寸法の点でより悪い精度は、衝突解析に十分である。これは、動作振動の影響を受けることを含む、容認できない衝突を安全に排除することができるようにするために、動作中に衝突の危険性がある領域から数ミリメートルの距離を、工具ユニットがとにかく維持する必要があるからである。衝突検査に加えて、CAD/CAMにおける他のシミュレーションは、工具モデルを便宜上使用してもよい。例えばViaFit機能として知られているものを用いて、物理的なツインをデジタルテンプレートに対して検査してもよい。ViaFit機能は、本発明で必要な精度よりも高い精度を示す。
【0028】
本発明によれば、少なくとも0.5mm、場合によっては少なくとも0.25mm、理想的には少なくとも0.1mmの精度だけで、陰影領域の範囲又は長さを判定する準備がある。従って、比較的低い解像度を有する大きい画像領域を記録する測定装置を使用して、本発明を実施してもよい。
【0029】
これにより、ほんの数段階で、又は理想的には単一ショットでも、完全な工具を撮像することができる。これは、工具ユニットの比較的大きい在庫でも、迅速且つ容易にデジタル化することができることを意味する。
【0030】
本発明によるマシニングセンタは、工具チャックと工具チャックに装着された切削工具とを含む工具ユニットのデジタルツインを生成するのに特に適している。従って、マシニングセンタを、この目的のために主として使用する。しかし、原則としては、デジタルツインを生成するように、工具チャックだけ及び/又は切削工具だけを測定するために、マシニングセンタを使用してもよい。
【0031】
従って、工具ユニットという用語は、本文脈で二重の意味を有する。
【0032】
より狭い意味で、工具ユニットは、工具チャックに装着された切削工具を有する工具チャックの組立体を示す。より広い意味で、この広い意味が明らかに好ましくない場合でも、工具ユニットは単なる切削工具も示す。
【0033】
マシニングセンタに属する切削機及び設定デバイスは、好ましくは、互いに直接連結されるか、又は共通ベースを有する単一機械の物理的な一部でもある。
【0034】
しかし、他の場合には、切削機及び設定デバイスが互いに協力する単に2つの個別デバイスである場合、本発明の実装形態に十分である。
【0035】
位置決め装置は一般的に、摩擦及び/又はぴったり合う方法で所定の位置に、測定されるべき工具ユニットを保持し、又は少なくとも局所的に把持し、次に、測定されるべき工具ユニットの異なる直径に対処することができる保持装置を意味するものとする。
【0036】
しかし、より単純な場合、せぎり面は、これが明らかに好ましくない場合でも、既にこのような位置決め装置であってもよい。
【0037】
陰影領域の範囲は、陰影領域の長さ又は表面積を意味するものとする。より詳細に手短に説明されるように、ラインセンサを画像センサとして使用する場合、第1の実施形態において、陰影領域の範囲は、ラインセンサに陰影を付け、ラインセンサの2つの照明部分の間に位置する長さである。第2の好ましい実施形態において、工具ユニットの半分だけを、即ち、工具ユニットの回転軸から工具ユニットの外縁まで直交して照明する。この場合、陰影領域は、回転軸からセンサの照明領域まで直交して延在する。
【0038】
より詳細に手短に説明されるように、プレートセンサを画像センサとして使用する場合、陰影領域の範囲は、測定されるべき工具ユニットの側に位置決めされた2つの照明領域の間に少なくとも、工具ユニットの回転軸と直交して位置し、又は回転軸と照明領域との間に位置する陰影領域、及び測定されるべき工具ユニットの上に位置決めされた照明領域と、測定されるべき工具ユニットの下に更に照明され位置決めされた領域又は測定されるべき工具ユニットが置かれている床面との間で回転軸の方向に同時に位置する陰影領域の表面積を表す。
【0039】
この場合、照明装置は、可視及び/又は不可視周波数範囲で放射線を放出する装置であり、この放射線は画像センサによって検出可能であり、即ち、そこで電気信号を引き起こす。
【0040】
この場合、画像センサは、個々の画素の群又はマトリックスから光感度を得る装置である。画素を照明するか否かを、及び/又は画素を特定の限界強度よりも多く若しくは少なく照明するかどうかを、これらの画素、好ましくは個々に若しくはクラスタ(例えば、4つのクラスタ)に結合された画素に対して、設定することができる。これにより、問題の画素又は問題のクラスタが、測定されるべき工具ユニットによって投じられた影に静止しているか否かを、画素毎に又はクラスタで、設定することができる。
【0041】
これにより、陰影領域の前記範囲を判定することができる。
【0042】
本発明の好ましい進展
理想的には、画像センサは、2つの相互に垂直な空間座標方向において、同じ空間座標方向における工具ユニットよりも大きい最大範囲を有するプレートセンサである。400mm×200mmを超えるフォーマットが理想的である。
【0043】
例えば、測定されるべき工具ユニットとプレートセンサとの間の直交距離をX軸として定義する場合、このようなプレートセンサは、Y軸及びZ軸に沿って、前記Y軸及びZ軸に沿った工具ユニットよりも大きい最大範囲を有する。
【0044】
このようなプレートセンサは、一度で検査されるべき工具ユニットによって陰影を付けられた表面積全体のサイズを記録することができるという利点を有する。
【0045】
このようなプレートセンサは、プレートセンサによって供給される写真画像は任意に焦点が合っていないので、写真のようにリアルな描写のディスプレイに使用できない。任意に焦点が合っていない写真画像の場合、投じられた影も、非常に不正確であり、実装形態が特に問題になる。しかし、上述の比較的寛容な公差のうち1つの公差で、投じられた影を判定するために、それに応じて大きい表面積を有するプレートセンサを、問題なく形成することができる。
【0046】
例えばコストの理由で、前述のプレートセンサなどの独特なセンサを必要としない場合、第1の空間座標方向に延在するラインセンサとして画像センサを設計するのが得策である。最も単純な場合、ファックスに事前設置されたラインセンサのうち1つは、画像センサとしての機能を果たす。
【0047】
この第1の空間座標方向において、ラインセンサは、同じ空間座標方向における工具ユニットよりも大きい最大範囲を有する。第1の空間座標方向に沿った方向におけるラインセンサの範囲は、好ましくは、第2の空間座標方向に沿った範囲よりも少なくとも20倍だけ大きい。このようなラインセンサは、画素又は同じように接続された画素のクラスタを有する単一ラインだけ、又は数ラインを含んでもよい。
【0048】
例えば、測定されるべき工具ユニットとラインセンサとの間の直交距離を、例示を目的として、ここでX軸として再度定義する場合、このようなラインセンサは、例えば、Y軸に沿った方向において、前記Y軸に沿った工具ユニットよりも大きい最大範囲を有する。
【0049】
次に、測定が数連続段階で行われる。ラインセンサの前記第1の空間座標方向に垂直な第2の空間座標方向に沿って、測定を漸進的に行う。上述の例を支持するために、これはZ軸であってもよい。この目的のために、少なくともラインセンサ及び光源又は工作物を、各測定後に第2の空間座標方向の方向に移動させる。
【0050】
これにより、幾つかの個々の部品を含む、測定されるべき工具ユニットによって投じられた影の実際の画像を得る。
【0051】
重要な点は、各測定段階でデータセットの範囲の点で問題のあるデータセットを生成することなく、ラインセンサを、非常に大きくなるように構成することができることである。このような用途の場合においては、データセットの範囲の点で制限されるデータセットだけを最初に生成する場合、より効率的である。ラインセンサが次の位置に移動する場合、このデータセットは、既に評価されていてもよい。これにより、より迅速に、同期して作業することができる。
【0052】
理想的には、照明装置は、平行光、更に良好には偏光、好ましくはコヒーレント光を放出するように設計されている。
【0053】
従って、最も単純な場合、照明装置は、細長い開口を介して光ビームを導き、従って棒状領域を単に照明するランプである。
【0054】
しかし、照明装置は、好ましくは、偏光フィルターを介して、場合によって更に、測定されるべき工具ユニットに光ビームを供給する前に開口を介して、光ビームを導くランプを含む。偏光の使用は、明暗境界がより鮮明であることを意味する。これにより、測定されるべき工具ユニットによって投じられた影が始まって終わる場所をより正確に判定することができる。
【0055】
理想的には、照明装置は、コヒーレント光を放出するようなものである。この目的のために、照明装置は、単一レーザー、又は更に良好にはリニアレーザーアレイである。コヒーレント光が散乱しないという事実のために、非常に高い精度で、明暗境界をここで判定することができる。
【0056】
本発明によれば、直接隣接するレーザービーム間で少なくとも0.5mm、更に良好には少なくとも0.25mm、又は更に一層良好には0.1mmの距離を有するレーザーアレイを使用するのが特に得策である。このような構成は、それに応じて少数の画素を画像センサが同様に有しさえすればよいという利点を有し、その結果、非常に高速の作業システムが得られる。
【0057】
これは、ラインセンサを使用する場合、既に非常に有利である。しかし、二次元レーザーアレイを使用する場合、特に有益である。
【0058】
100%鮮明な明暗境界がなく、むしろ明領域と暗領域との間に多少とも顕著な薄明領域がある場合における比較的正確な測定を達成するために、本発明によるデバイスは、単一画素又は画素のクラスタが光の入射下で送出する信号強度を評価するように設計されている。理想的には、画素の信号強度が、100%照明されているとして認識されている画素の多くて75%である場合、画素は暗くされたと見なされる。
【0059】
位置決め装置が、工具ユニットを測定中に回転で設定するように設計されている場合、特に得策である。この場合、回転速度は、好ましくは、影を投じるのに十分高速であり、静止線で投じられる影として認識可能である。単に一例として、これは、回転のために、投じられる影の領域に少なくとも一時的に位置する画素の全部が、問題の画素を陰影として認識する、100%照明画素の信号強度から十分遠い平均信号強度だけを送出する場合である。
【0060】
本発明によるデバイスが、実質的に完全に暗くされることができる測定室を有する場合、特に得策である。これにより、迷光を囲むことによって邪魔されずに作業することができる。
【0061】
理想的には、測定室は光吸収内面を有するので、測定されるべき工具ユニットによって偏向された光反射は測定結果を偽らず、即ち、画像センサで信号を生成しないか、又は重要な信号を生成しない。
【0062】
本発明に関連した別の課題
特に小さい系列の場合、本発明による測定を行うために、入手できる構成要素を出来るだけ使用する解決策を指定する問題が生じる。
【0063】
本発明による代替解決策
発明手法に関連したこの他の課題を、他の主な請求項の前文を有する方法、並びにそれに応じて構成されたデバイス及び使用(両方とも同様に特許請求の範囲に記載されている)によって解決する。
【0064】
従って、工具ホルダー及び工具挿入部を含む工具ユニットのデジタルツインを生成する方法を提案する。この方法は、好ましくは回転工具ユニットを、測定グリッドの前に位置決めすることが分かる。
【0065】
次に、工具ユニットが測定グリッドの前にある状態の測定グリッドのデジタル画像を記録する。
【0066】
次に、2つの空間方向(通常、直交する)に交差する測定線の長さを判定する。
【0067】
同じ方向における乱されない連続測定線の長さよりも長さが短い測定線に対して、測定線が終わる位置(外縁、又は最も近い交差点から離れて)を計算する。好ましくは、この計算によって得られる終点から、直接隣接する終点の間の補間によって、工具ユニットの包囲輪郭、従って画像を計算する。
【0068】
この方法の主な利点は、市販の画像センサを用いて、マシニングセンタ又はこのマシニングセンタの設定デバイスをセットアップすることができることであり、その結果、このシステムが小さい系列に特に適しているという理由で、行われるべきカスタマイズ作業を、ソフトウェア側で基本的に実行する必要がある。
【0069】
その他
本発明の更なる設計の選択肢、動作形態及び利点は、図面を参照して様々な例示的な実施形態の下記の説明から明らかになる。
【0070】
回転工具ユニットによって生じる陰影領域又は輪郭を判定する画像センサ及び好ましくは視準光源又は単一レーザー若しくはマルチランプレーザーバーの使用の保護も特許請求の範囲に記載されていることに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図面のリスト
図1】本発明による機械加工システムの概観を示す。
図2】視準光及びラインセンサで動作する、本発明による記録デバイスを示す。
図3図2の側面図を示す。
図4】工具ユニットの回転動作軸に沿った方向に測定を段階的に行わず、むしろ工具ユニットの回転動作軸と平行に測定を漸進的に段階的に行う、図2の変型例を示す。
図5】ファンアウト光ビームを用いて測定を行う変型例を示す。
図6】単一レーザービームを用いて測定を行う変型例を示す。
図7】従来の画像センサ及び測定グリッドを用いた完全に代替タイプの測定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
例示的な実施形態
本発明による構成の原理
図1は、本発明によるマシニングセンタ1の第1の例示的な実施形態を示す。
【0073】
この場合のマシニングセンタ1は、好ましくは多軸フライス盤の形で、少なくとも1つのワークスピンドル2を有する切削機2aを含む。好ましくはフライスの形の切削工具4を、前記ワークスピンドル2に結合する。
【0074】
切削工具4は通常、工具チャック3を介在させて結合する。工具チャック3は、トルクによって固定して、ワークに対して準備ができた状態で締め付けられて、切削工具を保持する。前記工具チャック自体は、トルクによって固定して工作機械のワークスピンドルに結合され、切削工具と個々のワークスピンドルとの間の標準化インターフェースとして役立つ。
【0075】
設定デバイス5を切削機2aに連結し、好ましくは、設定デバイス5に暗い測定室7を搭載する。
【0076】
工具マガジンMは、他のシステム構成要素に同様に連結することが多い。この工具マガジンMを、図1にも示す。
【0077】
位置決め装置8は、測定室7に設置する。最も単純な場合、位置決め装置8は、多くの場合、積極的に作動する位置決め補助器具を有するせぎり面である。位置決め補助器具は、切削機で測定されるべき工具ユニットが回転することになっている軸が同じ位置に常時位置することを保証するように設計されている。
【0078】
本発明による測定は、設定デバイス5、又は設定デバイス5の測定室7で行われる。この測定は、回転工具ユニット10を完全に収容する、即ち、所謂回転工具ユニットの画像を表す、デジタルツインとも呼ばれる包囲体の幾何学的データを送出する。回転工具ユニットの画像は、実質的に、又は0.5mm、好ましくは0.25mm、特に好ましくは0.1mmの公差で、回転工具ユニットの実際の形状、即ち、所謂実際の画像に一致する。
【0079】
好ましくは、設定デバイス5は、このようにして得られるデータを、切削機の制御器6に伝送する。
【0080】
これにより、工具ユニットが切削機上でとるプログラムされた経路で予想外のどこかに当たらない、従って、工具ユニットを損傷しない、又は工具ユニットが損傷を与えないことを確認する目的で、コンピュータシミュレーションを実行するために、設定デバイス5によって送出されたデータを使用する。
【0081】
実際の測定構成の第1の変型例
図2は、本発明による測定のために使用される測定構成の基本的な第1の変型例を示す。
【0082】
平行指向性光ビームを通常生成する光源9を使用する。
【0083】
この目的のために、好ましくは、ビーム方向に実際のランプの後部で配置されたピンホール開口9aを使用する。これは、点光源としての機能を果たす。
【0084】
これによって放出された光線Liを、それらの光線が実質的に平行に進む、即ち、それらの光線の焦点が無限遠又は実質的に無限遠にあるような方法で、散乱レンズ12によって分散させる。
【0085】
本発明によれば、視準器として知られているものを使用する。
【0086】
画像センサ上の明暗境界を出来るだけ小さく形成する「薄明領域」を保持するために、ここで図示しない偏光フィルターを更に使用することは、賢明な選択肢であってもよい。
【0087】
同様にここで図示しない細長い開口を任意選択的に与えてもよく、これは、光カーテンだけが全体に出力されることを保証し、前記光カーテンの範囲は、光カーテンの断面積が画像センサの表面積に(完全に、又は少なくとも実質的に)対応するようになっている。
【0088】
最初に定義された意味でラインセンサとしてここで設計された画像センサ11を、測定されるべき工具ユニット10の他方の側に配置し、好ましくは、測定中に回転で設定する。本例において、このラインセンサは、空間座標方向(ここで具体的には、X空間座標方向)において、同じ空間座標方向における工具ユニット10よりも大きい最大範囲を両側に有することに留意すべきである。
【0089】
同様に、測定されるべき工具ユニット10が、使用されることが好ましい平行ビーム経路で影を投じることがはっきりと分かる。この影は、回転工具ユニット10の画像である。
【0090】
図3は、図2による構成を側面図で示す。この例示的な実施形態において、工具ユニット10のその後の回転動作軸Lの方向に、測定を段階的に行う。この目的のために、光源9、散乱レンズ12及び画像センサ11を、回転動作軸と平行に移動させる。例えば、次に投じられる影を、0.1mm毎に判定する。この目的のために、移動を、動作縦軸と平行に暫時停止してもよい。しかし、「移動しながら」、スナップショットを撮ってもよい。回転工具ユニットの完全な画像が生成されるまで、この手順を何度も繰り返す。
【0091】
理想的には、光源9、散乱レンズ12及び画像センサ11を、連動式可動往復台又はフレームに配置する。
【0092】
代替案として、光源9、散乱レンズ12及び画像センサ11の代わりに、測定されるべき工具ユニット10だけを工具ユニット10の回転動作軸の方向に移動させるように、本発明によるデバイスを設計してもよい。この目的のために、位置決め装置8を、電動昇降台として設計してもよい。
【0093】
代わりに、ラインセンサは、空間座標方向(ここで具体的には、X空間座標方向)において、同じ空間座標方向における工具ユニット10よりも大きい最大範囲を片側だけに有してもよい(ここでは図示せず)ことに注目すべきである。次に、測定されるべき工具ユニットを、工具ユニットの外縁から工具ユニットの回転動作軸まで、半分測定するだけである。これにより、より小さい表面積を有する画像センサが可能になるだけでなく、データ処理量も減少し、その結果、ワーク加工が迅速になる。
【0094】
同様に、従来の光源の代わりに、互いに隣接して配置され、互いに平行に出射する複数のレーザービームを有するバーを使用することが好ましいことに注目すべきである。レーザービームは、コヒーレント光を与える。これは、「薄明領域」が明暗境界の間に特に発生しないという非常に多くの利点を有する。従って、単純な手段を用いて、測定を非常に正確に行うことができる。
【0095】
この場合、バーは、例えば欧州特許第0 486 175号におけるテンプレートに従い、前記バーの上に互いに隣接して位置する多くのレーザーダイオードによって供給してもよい。
【0096】
しかし、好ましくは、バーを、単一の、主に中心レーザー光源によって供給する。このレーザー光源の光ビームを、ビーム分割器によって数回分割する。次に、この光ビームを、通常ガラスファイバーの形で光導体を介して、前記光ビームにおける個々の出口開口部に導く。
【0097】
このレーザーの実施形態において、個々のレーザー光源又はレーザー出口開口部の数及び距離、並びにレーザービームに関与する個々の画素又は画素クラスタの数及び距離を、互いに一致させる。これらの数及び距離は通常、互いに対応する。
【0098】
実際の測定構成の第2の変型例
図4に示すこの第2の変型例の機能及び構造は、後で明示的に記載の違い又は選択肢を除いて、第1の変型例の機能及び構造に対応する。
【0099】
従って、全ての考え得る変形例を含め、第1の変型例に対して説明されている内容は、ここでも当てはまる。
【0100】
違いは、この場合、測定されるべき工具ユニット10の回転動作軸Lに沿った方向に測定を段階的に行わず、むしろ回転動作軸Lと垂直に測定を段階的に行い、即ち、ラインセンサの最大長を回転動作軸Lと平行に整列させることである。
【0101】
これにより、工具ユニットの外縁から工具ユニットの回転動作軸まで、測定されるべき工具ユニットの半分だけを非常に容易に測定することができ、その結果、上述の利点を実現することができる。
【0102】
第1の変型例で使用されてもよい更なる選択肢を、図4に例示する。ダウンストリーム視準器を有する従来のランプの代わりに、ダイオード又はレーザーバーを使用して、一列に配置された多数の光ビームを形成する。これらの光ビームは、平坦な光カーテンの方法で形成される。
【0103】
実際の測定構成の第3の変型例
図5は、本発明による測定構成の更なる変型例を示す。
【0104】
視準光を含む光カーテンの代わりに、ファンアウト光ビームを、ここで使用することが好ましい。
【0105】
速度が重要である場合、このような本質的に光学的なファンアウト光ビームを推奨する。光ビームを、図5に示すように、例えば、三角形の益々広がる光ビームを与えるような方法で、光学的に扇形に広げてもよい。
【0106】
画像センサ、例えば、上述のようなラインセンサを、測定されるべき工具ユニットの後部に再度装着する。
【0107】
好ましくは、ファンアウト光ビームは線形画像センサ全体を一度に露光することがはっきりと分かる。しかし、光ビームのファンアウトは、一種の視差を引き起こし、これは図5ではっきりと更に分かる。投じられる影は、測定されるべき工具ユニットのサイズによって揃えられるよりも広いように見える。しかし、視誤差を、数学的に容易に計算することができ、これによって、補正することができる。
【0108】
この実施形態において、光ビームを広く又は個々のサブビームに後で扇形に広げるレーザーが、光源としての機能を果たす場合、特に好都合である。これは、ファンアウトにもかかわらず、(個々のサブビームに扇形に広げる場合)光は当然コヒーレントのままであり、又は少なくとも光の非常に正確な扇形が、(広く、言わば「不鮮明な」扇形に広がって)存在し、その結果、優れた検出可能明暗境界が得られるからである。
【0109】
光の扇形を、水平に整列させてもよく、垂直に移動させることができ、逆もまた同様である。
【0110】
上述のタイプのラインセンサを使用する場合、既に上述のように、このラインセンサを、光の扇形と同期して直線的に移動させる。
【0111】
実際の測定構成の第4の変型例
代替案として、ファンアウトの代わりに、単一の少なくとも実質的に直線の光又はレーザービームを使用してもよい。この光若しくはレーザービームを、例えば、図6に示す方法で、ピボット機構を介して、又は、個別ミラー若しくは電気制御可能マイクロミラーマトリックスなどの光学部品類を介して、段階的に偏向させる。
【0112】
いずれの場合にも、測定されるべき工具ユニットが邪魔になっていない場合、光が、画像センサに衝突するか、又は衝突する必要があるような方法で、偏向が行われる。
【0113】
この場合も、測定されるべき工具ユニットのシルエットを、数学的補正で容易に判定することができる。
【0114】
実際の測定構成の第5の変型例
図7は、本発明による測定構成の更に概念的に基本的に異なる変型例を示す。
【0115】
これは、上述したように、工具ホルダー又はチャック3及び工具4を含む工具ユニット10のデジタルツインを生成する特別な方法を使用する測定構成である。
【0116】
直交交差線を含む測定グリッド14、及び測定グリッド14の前に配置された工具ユニットが、はっきりと分かる。
【0117】
ここで、デジタルカメラに使用されるように、従来の画像センサを用いて、作業を通常行う。画像センサを、測定グリッドを含む平面に対して、測定されるべき工具ユニットの全く反対側に配置する。
【0118】
図7に図示できない画像センサは、個々の測定線の長さを水平及び垂直方向に判定することができるデジタル画像を記録するように設計されている。完全に垂直又は水平な連続測定線を無視する。完全に連続でない測定線は、測定されるべき工具ユニットによって部分的に覆われているので、完全に連続でない測定線を判定する。
【0119】
次に、各測定線が終わる測定グリッドの縁からの距離を、例えば判定する。各終点は、測定中に回転することが好ましい工具ユニットの包囲輪郭上の点に対応する。次に、線形又は高次補間を、例えば、それぞれ隣接する終点の間で実行する場合、工具ユニットの包囲輪郭に基本的に対応する画像が、この補間によって得られる。
【0120】
全変型例に対する選択肢
一般的に、工具の使用可能刃先領域を、任意の衝突解析に対して無視する必要があることに留意すべきである。これは、衝突が起こることなく、工具の刃先領域が工作物の中に入ることができるからである。
【0121】
使用可能刃先領域を除外するために、選択肢では、プロセスで行われた工具プリセット及び測定から使用可能刃先領域の位置に関する情報を採用し、次にそれに応じて、本発明によって生成された画像を計算的に削除する。
【0122】
代替案として、実際の工具上の刃先領域を色分けして、着色領域を自動的に認識することができる。このような色分けは、例えば、紫外線下で認識可能な光反射を単に示す紫外線発光塗料から行われた噴射を用いて実行されてもよく、他の点では透過的に作用する。
【0123】
次に、同様に放出する光源、及び光源の側に位置決めされた更なるセンサを使用し、このセンサは、紫外線発光塗料が示す表面積を考慮することができるように、前記表面積を認識することができる。
【0124】
代替案として、手動マーキングをデジタル画像で実行してもよく、又は、手動マーキングはより単純であることが多く、本発明による記録を行う前に、開口を設定してもよい。この開口は、使用可能刃先領域全体に陰影を付け、画像センサに顕著な影パターンを残す。この影パターンは、衝突関連包囲輪郭を判定するために考慮されるべきでない領域として容易に認識することができる。
【0125】
更なる機能
測定されるべき工具ユニット、工具又は工具ホルダーを適切にマーキングした場合、これらの工具ユニット、工具又は工具ホルダーを自動的に認識することができる。データマトリックスコード、バーコード、他の機械可読タグ及び電磁データキャリア(例えば、RFIDチップ)として知られるものが、ここで考えられる。有利なことに、EEPROM又はフラッシュメモリなどを、RFIDチップに使用する。追加の読み取りユニット(例えば、RFIDチップ用の読み書きヘッド、又はバーコード用のスキャナー)は、ある状況下で、この目的のために必要である場合がある。
【0126】
工具、工具ホルダー又は工具ユニットの新しく生成されたデジタルツインを、既存のデータセットと比較し、これによって、識別してもよい。
【0127】
工具ユニットの個々の構成要素を識別する場合、工具ユニット全体に対する部品リストを、場合により組立指示を用いて、データから生成してもよい。幾何学的データ(例えば、工具又は工具ユニットの全長)を、部品リストと一緒に記憶してもよい。
【0128】
工具ユニット、個々の工具又は工具ホルダーのデジタルツインに基づいて、他の機械加工の場合に既に使用されている代替又は同様の工具を判定してもよい。従って、起こり得る衝突、又はとにかく非常に小さい隙間が確定される場合、使用されるべき代替の工具ユニットを容易に判定して提案することができる。
【0129】
これにより、幾つかの同様な工具を共通の設計によって交換することができるので、必要ならば、工具在庫を最小にすることもできる。
【0130】
本発明による方法は、既存の物理的な工具ユニット又は工具及び工具ホルダーを迅速且つ容易にデジタル化する。従って、個々の構成要素を含む電子データベースを生成するのが容易である。
【符号の説明】
【0131】
符号のリスト
1 マシニングセンタ
2 ワークスピンドル
2a 切削機
3 チャック又は工具ホルダー
4 切削工具
5 設定デバイス
6 切削機の制御器
7 暗い測定室
8 位置決め装置
9 光源
9a ピンホール又は細長い開口(ランプ側)
10 測定されるべき工具ユニット
11 画像センサ
11a 開口又は細長い開口(画像センサ側)
12 散乱レンズ
13 未使用
14 測定グリッド
M 工具交換装置のマガジン又は工具マガジン
Li 光ビーム又は光ビーム経路
L 工具ユニットの回転動作軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7