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  • 特許-電動式草木カッター 図1
  • 特許-電動式草木カッター 図2
  • 特許-電動式草木カッター 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】電動式草木カッター
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/90 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
A01D34/90 D
A01D34/90 B
A01D34/90 N
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020520506
(86)(22)【出願日】2018-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 SE2018051012
(87)【国際公開番号】W WO2019074424
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-08-18
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】1751263-3
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】511268591
【氏名又は名称】ハスクバーナ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・アレクサンデション
(72)【発明者】
【氏名】エメリ・アテールグリム
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・クルベリ
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・アルヴィドソン
【合議体】
【審判長】有家 秀郎
【審判官】佐藤 史彬
【審判官】土屋 真理子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-132269(JP,A)
【文献】特開2011-254706(JP,A)
【文献】特開平3-119916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D34/412-34/90
A01G3/00-3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式の草木カッター(1)であって、シャフトチューブ(7)と、前記シャフトチューブの下端部の切断器具(3)と、前記シャフトチューブの上端部の上部ハウジング(5)と、前記切断器具(3)および前記上部ハウジング(5)の間の位置で前記シャフトチューブ(7)に接続されたハンドル装置(15)と、を備え、前記草木カッターは、前記切断器具(3)を駆動するよう構成された電気モーター(11)と、前記電気モーターに電力を供給するよう構成されたバッテリー(13)とを備え
前記上部ハウジング(5)が前記電気モーター(11)を備え、使用中に一定の質量を有し、
前記ハンドル装置(15)がコネクタリンク(21)を備え、前記コネクタリンク(21)の第1端部は、枢動接続部(23)を介して前記上部ハウジング(5)に接続され、前記コネクタリンク(21)の第2端部は、前記上部ハウジング(5)から距離(D)をおいた位置で弾性部材(25)を介して前記シャフトチューブ(7)に接続され、かつ
ハンドルバーが第1および第2ハンドル(17,19)を備え、前記コネクタリンク(21)に取り付けられ、かつ
前記コネクタリンク(21)の長さおよび前記弾性部材(25)の動的特性は、使用中に前記切断器具(3)によって生じる1つの予測振動周波数に関して振動減衰を実行するように適合されることを特徴とする草木カッター。
【請求項2】
前記コネクタリンク(21)が前記シャフトチューブ(7)を囲むよう構成されている、請求項1に記載の草木カッター。
【請求項3】
前記バッテリーが前記上部ハウジング(5)に配置される、請求項1または2に記載の草木カッター。
【請求項4】
前記コネクタリンク(21)の前記第2端部は、少なくとも1つのバネの形態の弾性部材(25)によって、前記シャフトチューブ(7)にしっかり取り付けられたシャフトカラー(27)に接続されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の草木カッター。
【請求項5】
前記コネクタリンク(21)が1または複数のブッシュの形態の枢動接続部(23)によって前記上部ハウジング(5)に接続されている、請求項1に記載の草木カッター。
【請求項6】
前記草木カッターの回転質量は、前記弾性部材(25)が接続された前記シャフトチューブ(7)のポイント(33)より下では前記ポイントより上よりも大きい、請求項1~5のいずれか一項に記載の草木カッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シャフトチューブ、シャフトチューブの下端部の切断器具、シャフトチューブの上端部の上部ハウジング、およびハンドル装置を備える、電動式草木カッターに関する。 ハンドル装置は、切断器具と上部ハウジングの間の位置でシャフトチューブに接続され、草木カッターは、切断器具を駆動するように構成された電気モーターと、電気モーターに電力を供給するように構成されたバッテリーとを備える。
【背景技術】
【0002】
このような草木カッターは、例えば、特許文献1に開示されている。このようなカッターに関連する1つの問題は、これらをどのようにしてプロの使用により適したものにするかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2011/005156号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本開示の1つの目的は、プロ使用により適した草木カッターを提供することである。この目的は、請求項1に定義された草木カッターによって達成される。より具体的には、最初に述べた種類の草木カッターでは、上部ハウジングは、電気モーターおよびバッテリーの少なくとも1つを含む。ハンドル装置は、コネクタリンクを備え、その第1の端部が枢動接続部を介して上部ハウジングに接続され、第2の端部が弾性部材を介して上部ハウジングから離れたシャフトチューブに接続されている。草木カッターはさらに、コネクタリンクに取り付けられた第1および第2のハンドルを備えるハンドルバーを備える。
【0005】
このような草木カッターでは、切断器具から発生する振動がハンドルに到達するには、シャフトチューブを伝わり、上部ハウジングとコネクタリンクを介する必要がある。電気モーターおよび/またはバッテリーによって決定される明確な質量、および上部ハウジングに対するハンドルの弾性サスペンションにより、振動、特に高い周波数に対して非常に効果的な減衰効果があり、モーター/バッテリーの質量に簡単に影響を与えない効果がある。これにより、草木カッターをハンドルで保持する場合に発生する振動が減少し、草木カッターが長時間のプロの使用により適したものになる。
【0006】
コネクタリンクは、シャフトチューブを取り囲むように構成することができ、強力でコンパクトな構造の両方を提供する。
【0007】
電気モーターとバッテリーの両方が上部ハウジングに配置され、これにより、かなりの明確な質量が得られ、振動が大幅に減衰する。
【0008】
コネクタリンクは、少なくとも1つのばねの形態の弾性部材によって、シャフトチューブしっかりと取り付けられたシャフトカラーに接続されてもよい。これにより、シャフトチューブに信頼性の高い接続ポイントが提供される。
【0009】
コネクタリンクは、1つまたは複数のブッシングの形態の枢動接続部によって上部ハウジングに接続されてもよい。
【0010】
草木カッターの回転質量は、弾性部材が接続されているシャフトチューブのポイントより下では上よりも高くなることがある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示による草木カッターを示す。
図2】本開示による振動低減構成の動作を概略的に示す。
図3図1の草木カッターのハンドル配置の分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示による草木カッター1の一例が図1に示されている。草木カッター1は、シャフトチューブ7の下端に取り付けられた切断器具3を備える。図の場合、切断器具3は、例えば草を切ることを意図した切断ワイヤーである。しかし、切断ワイヤーをクリアリングソーブレード等と交換することは可能であり、草木カッターは、使用される切断器具および草木カッターの所望の用途に応じて、トリマー、ブラシカッターまたはクリアリングソーとして考案される可能性がある。使用者を破片から保護するために、切断器具3にスクリーン9を設けることができる。
【0013】
上部ハウジング5は、シャフトチューブ7の上端に位置し、電気モーター11および電気モーター11に電力を供給するバッテリー13のいずれかまたは両方を備え得る。第1および第2のハンドル17、19を備えるハンドル装置15が設けられ、図示のように、いずれかにモーターを制御するスロットルなどの制御装置を設けることができる。
【0014】
本開示では、ハンドル装置15は、切断器具3の動作によって装置に誘発される振動を低減するように考案されている。非電気式草木カッターには防振策が存在するが、このような解決策は、燃焼エンジンから使用者が握るハンドルへの振動の伝達を最小限に抑えるように適合されている。一方、電気モーターは、比較的無視できる振動を生成するものである。本開示では、上部ハウジング5内のモーターおよび/またはバッテリー11、13は、代わりに、シャフトチューブ7の下端の切断器具から使用者によって保持されるハンドル17、19に移動する振動を低減するのに役立つ減衰質量として使用される。
【0015】
バッテリー13とモーター11の両方が上部ハウジング5に配置されている場合に最も重要な上部ハウジングの質量が提供されるが、上部ハウジングにこれらのアイテムの1つだけを含める場合でも減衰効果が得られる。これは、たとえば、大きなバックパック式バッテリーが使用され、モーターのみが上部ハウジングに配置されている場合、またはモーターが切断器具に配置されており、バッテリーのみが上部ハウジングに配置されている場合である。
【0016】
振動低減構成が図2に概略的に示されている。ハンドル装置15は、コネクタリンク21を備え、コネクタリンク21は、一端が枢動接続部23を介して上部ハウジング5に接続され、他端は、弾性部材25を介して、上部ハウジング5から距離D離れたところでシャフトチューブに接続される。コネクタリンク21は、たとえばマグネシウム合金で一体成形することができ、これは、鋳造でき、軽量で丈夫である。
【0017】
典型的には、より詳細に示されるように、枢動接続部23は、上部ハウジング5または上部ハウジングの隣のシャフトチューブ7に接続されたゴムブッシュであり得る。弾性部材25は、シャフトチューブ7に取り付けられたシャフトカラーに接続されたばねであってもよい。距離Dは、この範囲に限定されないが、通常35cm~50cmの範囲であってもよい。第1および第2のハンドル17、19を含むハンドルバーは、コネクタリンク21に取り付けることができる。この配置では、上部ハウジングにある質量が振動絶縁装置として機能し、切断器具3からハンドル17、19に伝わる振動を減衰させる。ハウジング内に電気モーター11および/またはバッテリー13を使用することにより、この質量は使用中ほぼ一定である。つまり、コネクタリンク21の長さと弾性部材25の動的特性は、作動する切断器具によって生成される予測振動周波数に関して所望の方法で振動減衰を実行するように適合され得る。これは、例えば、ガソリンが消費されるにつれて使用中にガソリンタンクの重量が低下する燃焼エンジンとは対照的である。さらに、液体燃料は、タンク内を移動できるため、予測できない方法で機能してしまう。
【0018】
現在開示されている構成では、それ自体が知られているように、位相がずれて共振することによって特定の周波数振動をキャンセルする周波数適応スプリング質量システムとして上部ハウジングの質量を考案することも可能である。
【0019】
図3は、図1の草木カッターのハンドル装置15の分解図を示す。図示のように、コネクタリンク21は、シャフトチューブ7が通る中空要素であってもよいが、シャフトチューブ7の上側にコネクタリンクを配置するような他の構成も可能である。示されている構成は、コンパクトであり、断面二次モーメントを提供する、つまり、強力であり、コネクタリンク21がシャフトチューブ7に対して、また逆に、移動可能である。したがって、シャフトチューブ7とコネクタリンク21との間に遊びが提供される。
【0020】
図示の場合、コネクタリンク21の一端は、上述の枢動接続部23を提供する2つのブッシングによって上部ハウジング5に取り付けられている。もちろん、異なる数のブッシングを使用することも可能である。上部ハウジング5に近い位置でシャフトチューブ7またはシャフトチューブ7に接続された中間部材にコネクタリンクを取り付けることも可能である。典型的には、枢動接続部23はモーターブラケット29に取り付けられ、これは電気モーターのベースとしても使用される。モーターブラケット29は、シャフトチューブ7にしっかりと取り付けられてもよい。
【0021】
他端では、コネクタリンクは、上記の弾性部材25を形成する2つのばねを介して、シャフトカラー27に取り付けられ、シャフトカラー27は、シャフトチューブ7にしっかりと取り付けられる。言うまでもなく、この目的のために1つまたは2つ以上のばねを使用することができ、他の形態の弾性部材が可能である。
【0022】
ハンドル17、19は、中間バー31によってコネクタリンク21に取り付けられ、中間バーは、その下端でコネクタリンク21にしっかりと接続されている。他のハンドル構成も可能である。
【0023】
この一般的な構成により、切断器具に起因する振動がハンドル17、19に伝播することを大幅に防止することができ、これは、より少ない振動にさらされるユーザーの作業状態を改善する。これは、公園やレクリエーションエリアのメンテナンスなど、長時間使用される専門的に使用される草木カッターで特に有利である。
【0024】
支配的な振動周波数を予測できる場合は、特にこの周波数を減衰させるように質量スプリングシステムを調整できる。たとえば、700rpmで回転する三歯ブラシカッターは、2100Hzの支配的な振動を生成するため、スプリング質量システムは、それ自体はよく知られているように、特にこの周波数を減衰させるように調整できる。草木カッターの回転質量は、弾性部材25がシャフトチューブ7に接続されるポイント33(図2を参照)より下では、このポイントの上より大きく、振動の減衰に役立つ。
【0025】
本明細書で使用される「上部」および「下部」ならびに「上」および「下」という用語は、シャフトチューブ7の下端にある切断器具3が地面に近く、 上部ハウジング5はそうではない草木カッターの通常使用時の場合を参照するものである。
【0026】
本開示は、上記の例に限定されず、添付の特許請求の範囲内で異なる方法で変更および変更され得る。
【符号の説明】
【0027】
1 草木カッター
3 切断器具
5 上部ハウジング
7 シャフトチューブ
9 スクリーン
11 モーター
13 バッテリー
15 ハンドル装置
17 第1のハンドル
19 第2のハンドル
21 コネクタリンク
23 枢動接続部
25 弾性部材
27 シャフトカラー
29 モーターブラケット
31 中間バー
33 ポイント
図1
図2
図3