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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】断面情報計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
G01B11/06 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021092289
(22)【出願日】2021-06-01
(65)【公開番号】P2022184438
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】川口 浩志
(72)【発明者】
【氏名】西岡 智則
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-263818(JP,A)
【文献】特開2000-065535(JP,A)
【文献】特開2016-142672(JP,A)
【文献】特開平08-327329(JP,A)
【文献】特開2016-070691(JP,A)
【文献】特開2012-251816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材の断面情報を計測する断面情報計測装置であって、
前記金属材の厚さ方向である金属材厚さ方向における一方側を第1側、前記第1側とは反対側を第2側としたとき、
前記金属材よりも前記第1側に配置され、前記金属材の前記第1側の面の照射位置である第1照射位置にレーザ光を照射する第1距離計と、
前記金属材よりも前記第2側に配置され、前記金属材の前記第2側の面の照射位置である第2照射位置にレーザ光を照射する第2距離計と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記金属材厚さ方向に沿った方向から見たときに前記第1照射位置と前記第2照射位置とが一致するように、前記第1距離計のレーザ光と前記第2距離計のレーザ光と前記金属材との相対位置を制御する照射位置調整制御を行い、
前記制御装置は、前記第1距離計および前記第2距離計のそれぞれの計測結果に基づいて、前記金属材の厚さを演算
前記金属材厚さ方向は鉛直方向であり、
前記第1距離計および前記第2距離計のそれぞれは、前記金属材厚さ方向から見たとき、前記金属材の外周よりも外側に配置される、
断面情報計測装置。
【請求項2】
請求項に記載の断面情報計測装置であって、
前記第1距離計および前記第2距離計のそれぞれは、前記金属材厚さ方向から見たとき、前記金属材の測定対象となる断面に直交する方向に前記金属材を延長した領域に配置される、
断面情報計測装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の断面情報計測装置であって、
前記第1距離計および前記第2距離計を支持する共通支持部材を備え、
前記制御装置は、前記共通支持部材の前記金属材厚さ方向における位置を制御する、
断面情報計測装置。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の断面情報計測装置であって、
前記制御装置は、前記第1距離計および前記第2距離計の少なくともいずれかのレーザ光の照射角度を制御する、
断面情報計測装置。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の断面情報計測装置であって、
前記制御装置は、前記金属材の厚さの推定値Tを取得し、
前記金属材が無いときに前記第1距離計のレーザ光と前記第2距離計のレーザ光との交点となる位置をビーム交点とし、
前記金属材の前記第2側の面の特定部分を通る面であって前記金属材厚さ方向に直交する面を基準面とし、
前記第1距離計のレーザ光と前記基準面とがなす角度をθ1とし、
前記第2距離計のレーザ光と前記基準面とがなす角度をθ2とし、
前記制御装置は、前記ビーム交点が前記基準面よりもT/((tanθ1/tanθ2)+1)だけ前記第1側の位置になるように、前記照射位置調整制御を行う、
断面情報計測装置。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の断面情報計測装置であって、
前記第1距離計および前記第2距離計のそれぞれは、1次元レーザ距離計であり、
前記制御装置は、前記金属材厚さ方向に交差する方向への前記金属材の移動量を制御し、前記第1距離計および前記第2距離計のそれぞれの計測結果と、前記金属材の前記移動量と、に基づいて前記金属材の断面形状を演算する、
断面情報計測装置。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の断面情報計測装置であって、
前記第1距離計および前記第2距離計のそれぞれは、1次元レーザ距離計であり、
前記制御装置は、前記金属材厚さ方向に交差する方向への前記第1距離計および前記第2距離計の移動量を制御し、前記第1距離計および前記第2距離計のそれぞれの計測結果と、前記第1距離計および前記第2距離計の前記移動量と、に基づいて前記金属材の断面形状を演算する、
断面情報計測装置。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の断面情報計測装置であって、
前記第1距離計および前記第2距離計のそれぞれは、2次元レーザ距離計であり、
前記制御装置は、前記第1距離計および前記第2距離計のそれぞれの計測結果に基づいて前記金属材の断面形状を演算する、
断面情報計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材の断面の情報を計測する断面情報計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに、金属材の断面情報を測定する装置が記載されている。同文献に記載の技術では、金属材の断面の短辺の情報(同文献では形状)が計測される(同文献の[0005]、[0006]などを参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4681508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献に記載の技術では、金属材の断面の長辺の情報、すなわち金属材の厚さ方向両面の断面情報を得ることはできない。また、金属材は、金属材の厚さ方向に曲がっている(反っている)場合がある。このような場合でも、金属材の厚さ方向両面の断面情報を精度良く測定することが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、金属材が金属材厚さ方向に曲がっていても、金属材の断面情報を精度良く測定することができる断面情報計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
断面情報計測装置は、金属材の断面情報を計測する。前記金属材の厚さ方向である金属材厚さ方向における一方側を第1側、前記第1側とは反対側を第2側とする。断面情報計測装置は、第1距離計と、第2距離計と、制御装置と、を備える。前記第1距離計は、前記金属材よりも前記第1側に配置され、前記金属材の前記第1側の面の照射位置である第1照射位置にレーザ光を照射する。前記第2距離計は、前記金属材よりも前記第2側に配置され、前記金属材の前記第2側の面の照射位置である第2照射位置にレーザ光を照射する。前記制御装置は、前記金属材厚さ方向に沿った方向から見たときに前記第1照射位置と前記第2照射位置とが一致するように、前記第1距離計のレーザ光と前記第2距離計のレーザ光と前記金属材との相対位置を制御する照射位置調整制御を行う。前記制御装置は、前記第1距離計および前記第2距離計のそれぞれの計測結果に基づいて、前記金属材の厚さを演算する。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、金属材が金属材厚さ方向に曲がっていても、金属材の断面情報を精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】金属材10および断面情報計測装置20を示す斜視図である。
図2図1に示す断面情報計測装置20などを上側Z1から見た図である。
図3図2に示す状態から横方向Yに金属材10が移動した状態を示す図2相当図である。
図4図1に示す断面情報計測装置20などを横方向Yから見た図である。
図5図4に示す金属材10の厚さが変化したときの距離計50の位置を示す図4相当図である。
図6図4に示す断面情報計測装置20などの寸法および角度を示す図である。
図7図5に示すビーム交点Oが基準面P上にあるときの図4相当図である。
図8】第2実施形態の図4相当図である。
図9】第3実施形態の図4相当図である。
図10】第4実施形態の図2相当図である。
図11】第5実施形態の図1相当図である。
図12図11に示す断面情報計測装置520、第1ビームB1、および第2ビームB2などを示す斜視図である。
図13図12に示す状態よりも金属材10が厚いときの図12相当図である。
図14図13に示す状態よりも金属材10が厚いときの図13相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1図7を参照して、第1実施形態の断面情報計測装置20、および金属材10について説明する。
【0010】
金属材10は、断面情報計測装置20による計測の対象物である。金属材10を構成する金属は、純金属でも合金でもよい。金属材10を構成する金属は、鉄でもよく、鉄合金(例えば鋼)でもよく、アルミニウムでもよく、アルミニウム合金でもよく、その他の金属でもよい。例えば、金属材10は、直方体状または略直方体状などである。例えば、金属材10は、板状または略板状などである。具体的には例えば、金属材10は、スラブなどである。例えば、金属材10の横方向Yの長さは、金属材10の上下方向Z(金属材厚さ方向)の長さに比べて大きい。なお、「横方向Y」などの方向の定義については後述する。金属材10は、鋳造直後のもの(鋳片)でもよい。金属材10は、加工後のものでもよく、例えば塑性変形後(例えば圧延後)のものでもよく、切削後のものでもよい。金属材10は、熱間でもよく、例えば鋳造直後の赤熱した状態でもよい。金属材10は、冷間(例えば室温または略室温など)でもよい。金属材10が、鋳造直後の熱間の場合は、鋳造後のより早い段階で金属材10の断面情報を計測でき、金属材10の異常を早期に発見することができる。断面情報計測装置20による計測対象となる金属材10の断面を、断面10cとする。図4に示すように、金属材10は、金属材上面11と、金属材下面12と、を備える。
【0011】
金属材上面11は、金属材10の上側Z1の面(第1面)である。金属材下面12は、金属材10の下側Z2の面(第2面)である。金属材下面12の特定部分12aを通る面であって、断面10cに直交する面を、基準面Pとする。例えば、基準面Pは、金属材下面12のうち置台31(後述)に支持される部分を通る面であって、上下方向Zに直交する面(支持面、搬送面、パスライン)である。金属材下面12が理想的な平面であると仮定した場合、基準面Pは、金属材下面12と一致する。金属材下面12が上下方向Zに曲がる場合(反っている場合)は、金属材下面12は、基準面Pに対してずれる。図4などでは、金属材下面12と基準面Pとが一致している場合を図示した。
【0012】
(方向)
図1に示すように、金属材10の厚さ方向を上下方向Z(金属材厚さ方向)とする。上下方向Zにおける一方側を上側Z1(第1側)とし、上側Z1とは反対側を下側Z2(第2側)とする。上下方向Zは、鉛直方向でもよく、鉛直方向でなくてもよい。上下方向Zが鉛直方向の場合、上側Z1は、鉛直方向の上であり、下側Z2は、鉛直方向の下である。金属材10の計測対象となる断面10cに直交する方向を、前後方向Xとする。例えば、前後方向Xは、金属材10の長手方向(金属材長手方向)である。前後方向Xは、金属材10の鋳造方向でもよく、金属材10の加工方向(例えば圧延方向)でもよい。前後方向Xは、上下方向Zに交差(例えば直交)する。前後方向Xの一方側を前側X1とし、前側X1とは反対側を後側X2とする。前後方向Xおよび上下方向Zのそれぞれに交差(例えば直交)する方向を横方向Yとする。例えば、横方向Yは、金属材10の幅方向(金属材幅方向)である。
【0013】
断面情報計測装置20は、金属材10の断面10cの情報(断面情報)を計測する装置である。断面情報計測装置20が計測する断面情報は、少なくとも金属材10の断面10cの上下方向Zの幅(すなわち厚さ)を含む。断面情報は、金属材10の断面10cの横方向Yの幅を含んでもよい。断面情報は、前後方向Xから見た金属材10の断面10cの形状を含んでもよい。断面情報計測装置20は、金属材10の連続した製造プロセスの途中に設けられてもよい。断面情報計測装置20は、鋳造直後の金属材10(鋳片)を計測するために、鋳造設備に設けられてもよい。断面情報計測装置20は、加工された金属材10を計測するために、加工設備に設けられてもよく、具体的には例えば圧延機の近傍などに配置されてもよい。断面情報計測装置20は、金属材10の連続した製造プロセスの途中に設けられなくてもよい。例えば、断面情報計測装置20は、ローラなどにより断面情報計測装置20に運搬された金属材10を計測してもよく、天井クレーンなどにより断面情報計測装置20に運搬された金属材10を計測してもよい。断面情報計測装置20は、金属材支持部30と、距離計支持部40と、距離計50と、制御装置60と、を備える。
【0014】
金属材支持部30は、金属材10を支持する。例えば、上下方向Zが鉛直方向の場合、金属材支持部30は、金属材10を下側Z2から支持する台(架台)でもよい。例えば、上下方向Zが鉛直方向でない場合、金属材支持部30は、例えば金属材10を挟むように支持してもよい。以下では、主に、上下方向Zが鉛直方向である場合について説明する。金属材支持部30は、床F(ベース部)に設置される。金属材支持部30は、置台31と、金属材移動装置33と、を備える。
【0015】
置台31は、金属材10を下側Z2から支持する台であり、金属材10が置かれる台である。置台31は、床Fに設置される。例えば、置台31は、置台支柱31aと、置台支持部31bと、を備える。置台支柱31aは、床Fから上側Z1に突出するように、床Fに設置(固定)される。置台支柱31aは、例えば複数設けられ、図1に示す例では4本設けられる。置台支持部31bは、金属材10に接触する部分である。置台支持部31bは、例えば複数設けられ、図1に示す例では2つ設けられる。置台支持部31bは、横方向Yに延びるように配置される。置台支持部31bは、置台支柱31aに支持される。置台支持部31bは、複数(例えば2本)の置台支柱31aに架け渡されるように配置される。なお、図1に示す置台31の構造は一例であり、置台31の構造は様々に変形可能である(他の部分の構造も同様)。置台支持部31bは、横方向Yに移動可能に金属材10を支持してもよい。この場合、例えば、置台支持部31bは(金属材支持部30は)、ローラテーブルでもよい。置台支持部31bは、金属材10を移動可能に支持しないものでもよい。
【0016】
金属材移動装置33は、床Fに対して金属材10を移動させる装置(シフト装置、シフト手段)である。金属材移動装置33は、上下方向Zに金属材10を移動させてもよい(図8に示す金属材移動装置233を参照)。金属材移動装置33は、上下方向Zに直交する方向に金属材10を移動させてもよい。金属材移動装置33は、断面10cと平行かつ上下方向Zに交差する方向に金属材10を移動させてもよく、具体的には横方向Yに金属材10を移動させてもよい。ここでは、金属材移動装置33が横方向Yに金属材10を移動させる場合について説明する。図1に示す例では、金属材移動装置33は、金属材10よりも横方向Y外側に配置される。例えば、金属材移動装置33は、横方向Yに伸縮する伸縮シリンダなどである。金属材移動装置33は、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。図1に示す例では、金属材移動装置33は、前後方向Xに間隔をあけて複数(例えば2つ)設けられる。金属材移動装置33は、伸縮シリンダでなくてもよく、例えば置台31と兼用されてもよい。具体的には例えば、金属材移動装置33である置台31に設けられた装置が駆動することで、金属材移動装置33が、金属材10を横方向Yに移動させてもよい。具体的には例えば、金属材移動装置33は、トラバーサでもよく、チェーントランスファでもよく、スキッドでもよい。
【0017】
距離計支持部40は、距離計50を支持する。図4に示すように、距離計支持部40は、床Fに設置される。距離計支持部40は、固定支持部材41と、共通支持部材43と、距離計駆動部45と、を備える。
【0018】
固定支持部材41は、床Fに設置され、床Fに固定される。固定支持部材41は、支柱41aと、ガイド部41bと、を備える。支柱41aは、床Fに設置され、床Fに固定される。支柱41aは、床Fから上側Z1に突出する。支柱41aは、例えば柱状であり、図1に示す例では円柱状であり、角柱状などでもよい。図4に示すガイド部41bは、支柱41aに対して共通支持部材43をガイドする。ガイド部41bは、支柱41aに対して上下方向Zに移動可能に共通支持部材43を支持する。ガイド部41bは、支柱41aに対して、上下方向Zに直交する方向への共通支持部材43の移動を制限する。ガイド部41bは、支柱41aに固定される。ガイド部41bは、共通支持部材43をガイド可能な形状を有し、例えば筒状などである。ガイド部41bは、図1に示す例では円筒状であり、角筒状などでもよい。
【0019】
共通支持部材43は、図4に示すように、第1距離計51および第2距離計52を支持する。共通支持部材43は、第1距離計51と第2距離計52との上下方向Zの距離を一定に保つ(維持する)。共通支持部材43は、ガイド部41bに上下方向Zに移動可能に取り付けられる。共通支持部材43は、例えばガイド部41bに差し込まれ、例えばガイド部41bに対して摺動可能である。共通支持部材43は、ガイド部41bにガイドされることが可能な形状を有する。例えば、ガイド部41bが筒状であれば、共通支持部材43は、ガイド部41bに差し込み可能な棒状(図1に示す例では円柱状)などである。
【0020】
この共通支持部材43が設けられることにより、図4に示す第1距離計51と第2距離計52とが一体的に上下方向Zに駆動される。よって、第1距離計51と第2距離計52とが個別に上下方向Zに駆動される場合に比べ、第1距離計51および第2距離計52を駆動するための構造が簡素になる。具体的には、1つの距離計駆動部45が、第1距離計51および第2距離計52を駆動させることができる。また、第1距離計51および第2距離計52のそれぞれの上下方向Zの位置が個別に制御される場合は、第1距離計51および第2距離計52のそれぞれの制御位置(例えば停止位置)の誤差が累積する。その結果、断面情報計測装置20による金属材10の断面情報の測定精度が悪化する場合がある。一方、本実施形態では、第1距離計51と第2距離計52とが一体的に上下方向Zに駆動される。よって、第1距離計51および第2距離計52の制御位置の誤差の累積が生じず、断面情報計測装置20による金属材10の断面情報の測定精度を向上させることができる。なお、変形例として第1距離計51および第2距離計52のそれぞれの上下方向Zの位置が、個別に制御されてもよい。
【0021】
距離計駆動部45(昇降手段)は、第1距離計51および第2距離計52を上下方向Zに移動させる。例えば、距離計駆動部45は、共通支持部材43を上下方向Zに移動させることで、第1距離計51および第2距離計52を一体的に上下方向Zに移動させる。距離計駆動部45は、支柱41aに取り付けられ、例えばガイド部41bを介して支柱41aに取り付けられる。距離計駆動部45は、距離計50に取り付けられ、例えば共通支持部材43を介して距離計50に取り付けられる。距離計駆動部45は、例えば上下方向Zに伸縮する伸縮シリンダでもよく、モータなどでもよい。
【0022】
距離計50は、距離計50から金属材10までの距離を測定する。距離計50は、非接触で距離を測定する装置である。距離計50は、第1距離計51と、第2距離計52と、を備える。
【0023】
第1距離計51は、第1距離計51から、金属材上面11の第1照射位置A1までの距離を測定する。第1距離計51は、レーザ光(第1ビームB1)を照射するレーザ距離計である。第1距離計51は、1次元レーザ距離計でもよく、2次元レーザ距離計(図12に示す第1距離計551を参照)でもよく、3次元レーザ距離計でもよい。第1距離計51が1次元レーザ距離計の場合、第1照射位置A1は、第1ビームB1と金属材上面11との交点である。第1距離計51が2次元レーザ距離計の場合、第1照射位置A1は、第1ビームB1と金属材上面11とが交わる直線である(図12参照)。第1距離計51が3次元レーザ距離計の場合、第1照射位置A1は、第1ビームB1と金属材上面11とが交わる領域である。以下では、主に、第1距離計51が1次元レーザ距離計である場合について説明する。第1距離計51は、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。第1距離計51は、金属材10よりも上側Z1に配置され、さらに詳しくは、金属材上面11よりも上側Z1に配置される。第1距離計51は、後側X2かつ斜め下側Z2に向けて第1ビームB1を照射する。第1距離計51は、距離計支持部40に支持される。第1距離計51は、例えば共通支持部材43に取り付けられ、例えば共通支持部材43の上側Z1部分(例えば上側Z1端部)に取り付けられる。
【0024】
第2距離計52は、第2距離計52から、金属材下面12の第2照射位置A2までの距離を測定する。第2距離計52は、レーザ光(第2ビームB2)を照射するレーザ距離計である。第2距離計52は、1次元レーザ距離計でもよく、2次元レーザ距離計(図12に示す第2距離計552を参照)でもよく、3次元レーザ距離計でもよい。第2距離計52が1次元レーザ距離計の場合、第2照射位置A2は、第2ビームB2と金属材下面12との交点である。第2距離計52が2次元レーザ距離計の場合、第2照射位置A2は、第2ビームB2と金属材下面12とが交わる直線である。第2距離計52が3次元レーザ距離計の場合、第2照射位置A2は、第2ビームB2と金属材下面12とが交わる領域である。以下では、主に、第2距離計52が1次元レーザ距離計である場合について説明する。第2距離計52は、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。第2距離計52は、金属材10よりも下側Z2に配置され、さらに詳しくは、金属材下面12よりも下側Z2に配置される。第2距離計52は、後側X2かつ斜め上側Z1に向けて第2ビームB2を照射する。第2距離計52は、距離計支持部40に支持される。第1距離計51は、例えば共通支持部材43に取り付けられ、例えば共通支持部材43の下側Z2部分(例えば下側Z2端部)に取り付けられる。
【0025】
(上下方向Zから見た距離計50の配置)
図2に示す距離計50は、様々な位置に配置されてもよい。
【0026】
[配置例1]例えば、上下方向Zから見たとき、距離計50は、金属材10の外周よりも内側に配置されてもよい(図示なし)。
【0027】
[配置例2A]例えば、第1距離計51は、上下方向Zから見たとき、金属材10の外周よりも外側に配置される。この[配置例2A]の場合、第1距離計51は、金属材10から対流熱や輻射熱を受けにくく、熱によって故障しにくい。第1距離計51にカバーが設けられた場合、第1距離計51の熱による故障をより抑制することができる。また、上記[配置例2A]の場合であって、断面情報計測装置20への金属材10の搬入時および搬出時の少なくともいずれかに、天井クレーンなどにより金属材10が吊り上げられる場合がある。この場合でも、吊り上げられた金属材10が、第1距離計51に干渉(例えば接触)することが抑制される。また、この場合、吊上げられた金属材10が、第1距離計51を支持する距離計支持部40に干渉することが抑制される。よって、金属材10が距離計50および距離計支持部40の少なくともいずれかに干渉することが抑制される。
【0028】
[配置例2B]例えば、第2距離計52は、上下方向Zから見たとき、金属材10の外周よりも外側に配置される。この[配置例2B]の場合、第2距離計52は、金属材10から輻射熱を受けにくく、熱によって故障しにくい。第2距離計52にカバーが設けられた場合、第2距離計52の熱による故障をより抑制することができる。また、上記[配置例2B]の場合、第2距離計52が、金属材10からの落下物(スケールなど)の影響を受けることが抑制される。
【0029】
上記[配置例2A]および[配置例2B]のうち一方のみの条件が満たされてもよい。上記[配置例2A]および[配置例2B]の両方の条件が満たされることが好ましい。具体的には、第1距離計51および第2距離計52のそれぞれは、上下方向Zから見たとき、金属材10の外周よりも外側に配置されることが好ましい。
【0030】
[配置例3]距離計50および距離計支持部40は、上下方向Zから見たとき、金属材10よりも横方向Y外側に配置されてもよい。この場合、例えば断面情報計測装置20での金属材10の測定前や測定後などに、金属材10を前後方向Xに容易に移動させることができる。
【0031】
[配置例4]第1距離計51および第2距離計52のそれぞれは、上下方向Zから見たとき、延長領域Eに配置されてもよい。延長領域Eは、上下方向Zから見たとき、断面10cに直交する方向(例えば前後方向X)に金属材10を延長した領域である。例えば、延長領域Eは、上下方向Zから見たとき、金属材10の横方向Y外側の端の位置よりも横方向Y内側、かつ、金属材10の前後方向X外側の端よりも前後方向X外側(例えば前側X1の端よりも前側X1)の領域である。なお、図3に示すように、金属材10と距離計50との相対位置が変化する場合がある。このような場合に、断面情報計測装置20による金属材10の断面情報の測定中に、常に上記[配置例4]が満たされてもよく、測定中の一部のタイミングでのみ上記[配置例4]が満たされてもよい。
【0032】
上記[配置例4]の場合、図1に示す第1距離計51から第1照射位置A1までの距離、および第2距離計52から第2照射位置A2までの距離のそれぞれの距離を小さくすることができる。この作用の具体例は次の通りである。断面10cの横方向Yの長さ(幅)は、断面10cの上下方向Zの長さ(厚さ)よりも大きい。ここで、金属材10よりも横方向Y外側(例えば左側とする)に第1距離計51が配置された場合を考える。このとき、第1距離計51が、金属材10の横方向Y両端部のうち第1距離計51とは反対側の端部(例えば右端部)を測定するとする。
【0033】
[問題の例1]すると、第1距離計51に近い側の部分(左側部分)が測定される場合に比べ、第1距離計51から遠い側の部分(右側部分)が測定される場合に、金属材上面11と第1ビームB1とがなす角度が小さくなる(例えば鋭角になる)。そのため、金属材10の横方向Y両端部のうち第1距離計51とは反対側(右側部分)の端部での、断面情報計測装置20による断面情報の測定精度が低下する。
【0034】
[問題の例2]また、金属材10の横方向Y両端部のうち第1距離計51とは反対側の端部が測定されるとき、第1距離計51に近い側の部分が測定される場合に比べ、第1距離計51から第1照射位置A1までの距離が長くなる。そのため、金属材10の横方向Y両端部のうち第1距離計51とは反対側の端部での、断面情報計測装置20による断面情報の測定精度が低下する。
【0035】
[問題の例3]また、金属材上面11と第1ビームB1とがなす角度を大きくするために、金属材上面11から第1距離計51までの上下方向Zの距離を大きくすると、第1距離計51から第1照射位置A1までの距離が長くなる。そのため、金属材10の横方向Y両端部のうち第1距離計51とは反対側の端部での、断面情報計測装置20による断面情報の測定精度が低下する。第2距離計52についても上記[問題の例1]、[問題の例2]、および[問題の例3]と同様の問題がある。一方、上記[配置例4]では、上記[配置例4]を満たさない場合に比べ、第1距離計51から第1照射位置A1までの距離を短くすることができ、また、金属材上面11と第1ビームB1とがなす角度を小さくすることができる(第2距離計52についても同様)。よって、断面情報計測装置20による断面情報の測定精度を向上させることができる。
【0036】
制御装置60は、信号の入出力、情報の記憶、および演算などを行う。例えば、制御装置60は、距離計50の位置を制御してもよい。制御装置60は、距離計50の上下方向Zの位置を制御してもよく、距離計50の照射角度を制御してもよく(図9参照)、距離計50の横方向Yの位置を制御してもよい(図10参照)。制御装置60は、金属材10の位置を制御してもよい。制御装置60は、金属材10の横方向Yの位置を制御してもよく(図3参照)、金属材10の上下方向Zの位置を制御してもよい(図8参照)。
【0037】
(照射位置調整制御)
この制御装置60は、上下方向Zに沿った方向から見たときに第1照射位置A1と第2照射位置A2とが一致するように、第1ビームB1(第1距離計51のレーザ光)と第2ビームB2(第2距離計52のレーザ光)と金属材10との相対位置を制御する。この制御を照射位置調整制御という。上記「上下方向Zに沿った方向」は、上下方向Zと一致する方向であり、上下方向Zに対して傾いた方向を含まない。
【0038】
上下方向Zから見たときに第1照射位置A1と第2照射位置A2とを一致させることで、金属材10が上下方向Zに曲がっていても、金属材10の断面情報を精度良く計測することができる。この作用の詳細は次の通りである。図4に示すように、金属材下面12が基準面Pと一致し、金属材下面12が理想的な平面である場合(金属材10が上下方向Zに曲がっていない、反っていない場合)は、第1距離計51のみで金属材10の断面情報を測定することが可能である。しかし、実際は、金属材下面12は、基準面Pに対してわずかに上下方向Zにずれている(浮き上がっている、または下がっている)。そのため、第1距離計51のみで金属材10の断面情報が測定されると、基準面Pからの金属材下面12の上下方向Zのズレが、金属材10の厚さに加算または減算される。すると、実際の金属材10の厚さよりも大きいまたは小さい値が、金属材10の厚さとして算出されてしまう。そこで、制御装置60が、上下方向Zに沿った方向から見たときに第1照射位置A1と第2照射位置A2とを一致させるように制御する。これにより、金属材10が上下方向Zに曲がっていても、金属材10の断面情報を精度良く計測することができる。
【0039】
照射位置調整制御が行われることで、上下方向Zに沿った方向から見たときに第1照射位置A1と第2照射位置A2とが、できるだけ一致することが好ましいが、厳密に一致する必要はなく、略一致してもよい。照射位置調整制御では、上下方向Zに沿った方向から見たときに第1照射位置A1と第2照射位置A2とが一致する方向に、第1ビームB1と第2ビームB2と金属材10との相対位置を、制御装置60が制御すればよい。
【0040】
距離計50が1次元レーザ距離計の場合、照射位置調整制御が行われると、第1照射位置A1(点)と第2照射位置A2(点)とが、上下方向Zに延びる1本の直線α上、または略直線α上に配置される。距離計50が2次元レーザ距離計の場合(図12に示す距離計550参照)、照射位置調整制御が行われると、第1照射位置A1(直線)と第2照射位置A2(直線)とが、上下方向Zおよび横方向Yに延びる同一の平面β上または略平面β上に配置される(後述)。
【0041】
(金属材10の幅と照射位置との関係)
金属材10の上下方向Zの幅(厚さ)と第1照射位置A1との関係は、次のようになる。図5に示すように、金属材10の厚さがある大きさのときに、上下方向Zから見て第1照射位置A1と第2照射位置A2とが一致しているとする。この状態から、図5において二点鎖線で示すように、金属材10の厚さが増やされるとする。ここでは、金属材下面12の位置は変化しないとする。金属材10の厚さが増やされると、第1照射位置A1は、第2照射位置A2に比べて前側X1に移動する。すると、上下方向Zから見たとき、第1照射位置A1と第2照射位置A2とに前後方向Xのズレが生じる。金属材10の厚さが大きくなる程、このズレ量が増大する。
【0042】
(制御対象)
そこで、制御装置60は、このズレ量を減らす向きに、第1ビームB1と第2ビームB2と金属材10との相対位置を制御する。例えば、制御装置60は、距離計50の上下方向Zにおける位置を制御してもよく、金属材10の上下方向Zにおける位置を制御してもよく(図8参照)、距離計50のレーザ光の照射角度を制御してもよい(図9参照)。ここでは、主に、制御装置60が、距離計50の上下方向Zにおける位置を制御する場合について説明する。
【0043】
例えば、制御装置60は、第1距離計51および第2距離計52の少なくともいずれかの、上下方向Zにおける位置を制御する。制御装置60は、第1距離計51および第2距離計52のそれぞれの上下方向Zにおける位置を、個別に制御してもよい。制御装置60は、共通支持部材43の上下方向Zにおける位置を制御することで、第1距離計51および第2距離計52の上下方向Zにおける位置を制御してもよい。
【0044】
(金属材10の厚さが変化する場合)
例えば複数種類の金属材10の断面情報が測定される場合に、金属材10の種類が変わり、金属材10の厚さが変化し、上下方向Zから見た第1照射位置A1と第2照射位置A2とにズレが生じる場合がある。この場合、制御装置60は、上下方向Zから見た第1照射位置A1と第2照射位置A2とのズレ量を減らす向きに、第1距離計51と第2距離計52と金属材10との相対位置を制御する。これにより、金属材10の厚さが変化する場合でも、断面情報計測装置20は、厚さが変化した後の金属材10の断面情報を精度良く計測することができる。
【0045】
(制御の具体例)
具体的には例えば、図6に示すように、制御装置60は、ビーム交点Oが基準面Pよりも差D(下記の式4参照)だけ上側Z1の位置になるように、照射位置調整制御を行う。この具体例の詳細は、次の通りである。図6に示す推定値T、ビーム交点O、交点平面Op、角度θ1、角度θ2、距離L0、および差Dについて説明する。
【0046】
推定値Tは、金属材10の厚さの推定値である。推定値Tは、実際の金属材10の厚さに一致するとは限らない。推定値Tは、制御装置60に取得される。推定値Tは、断面情報計測装置20の外部から制御装置60に取得されてもよい。例えば、推定値Tは、鋳造工程で鋳型の寸法の情報でもよく、圧延工程での圧延寸法の情報でもよい。推定値Tは、断面情報計測装置20で計測済みの金属材10の厚さの情報でもよい。例えば、断面情報計測装置20が計測しようとしている金属材10と同じ条件で製造や加工された金属材10の寸法であって、断面情報計測装置20で計測済みの金属材10の厚さの情報でもよい。
【0047】
ビーム交点Oは、図7に示すように、金属材10が無いときの第1ビームB1と第2ビームB2との交点となる位置である。ビーム交点Oは、第1ビームB1と第2ビームB2とが実際に交わっている位置である必要はなく、金属材10が無い状態であれば第1ビームB1と第2ビームB2との交点となる位置である。距離計50が二次元レーザの場合は、ビーム交点Oは、金属材10がないときの、第1ビームB1と第2ビームB2とが交わる直線上の任意の点である。図7に、ビーム交点Oと基準面Pとが一致している状態を示す。図6に示すように、ビーム交点Oを通り、基準面Pと平行な面(上下方向Zに直交する面)を、交点平面Opとする。
【0048】
角度θ1は、第1ビームB1(第1距離計51のレーザ光)と、基準面Pと、がなす角度(例えば伏角)である。なお、基準面Pと交点平面Opとは平行であるため、角度θ1は、第1ビームB1と交点平面Opとがなす角度でもある。角度θ1は、既知の値であり、例えば距離計支持部40への第1距離計51の取り付け角度などから決まる。角度θ2は、第2ビームB2(第2距離計52のレーザ光)と、基準面Pと、がなす角度(例えば迎角)である。角度θ2は、既知の値であり、例えば距離計支持部40への第2距離計52の取り付け角度などから決まる。
【0049】
距離L0は、ビーム交点Oから直線αまでの前後方向Xにおける距離である。
【0050】
差Dは、上下方向Zに沿った方向から見たときに第1照射位置A1と第2照射位置A2とが一致するときの、基準面Pからビーム交点Oまでの、上下方向Zにおける距離である。差Dは、例えば次のように求められる。
【0051】
図6から明らかなように、次の式1および式2が成り立つ。
tanθ1=(T-D)/L0 (式1)
tanθ2=D/L0 (式2)
上記の式1および式2からL0を消すと、次の式(3)となる。
D/tanθ2=(T-D)/tanθ1 (式3)
上記の式3を変形すると、次の式4が導き出される。
D=T/((tanθ1/tanθ2)+1) (式4)
【0052】
制御装置60(図4参照)は、基準面Pよりも、T/((tanθ1/tanθ2)+1)だけ上側Z1の位置にビーム交点Oが配置されるように、照射位置調整制御を行う。図4に示すように、制御装置60が照射位置調整制御を行った結果、上下方向Zから見て第1照射位置A1と第2照射位置A2とが略一致する。ここで、金属材下面12が基準面Pに対して上下方向Zにずれている場合は、上下方向Zから見て第1照射位置A1と第2照射位置A2とがずれる。また、前後方向Xおよび横方向Yにおける金属材10の位置によって金属材10の厚さに差異がある場合も、上下方向Zから見て第1照射位置A1と第2照射位置A2とがずれる。しかし、これらのズレ量は、実用上問題ない量であり、具体的には、断面情報計測装置20による測定精度を適切に確保できる程度の量である。
【0053】
(金属材10の厚さの測定値Taの演算)
制御装置60が照射位置調整制御を行った状態で、第1距離計51および第2距離計52が、距離の計測を行う。そして、制御装置60は、図6に示す第1距離計51の距離計測値L1(計測結果)および第2距離計52の距離計測値L2(計測結果)に基づいて、金属材10の厚さを演算する。
【0054】
制御装置60が演算する金属材10の厚さを、測定値Taとする。測定値Taの演算の具体例は、次の通りである。測定値Taは、角度θ1と、角度θ2と、距離計測値L1と、距離計測値L2と、高さHと、により求められる。高さHは、第1距離計51のレーザ光の第1放出位置51bから、第2距離計52のレーザ光の第2放出位置52bまでの、上下方向Zにおける距離である。具体的には、測定値Taは、次の式5のように表すことができる。
Ta=H-H1-H2 (式5)
【0055】
式5におけるH1は、第1照射位置A1から第1放出位置51bまでの上下方向Zにおける距離である。H1は、L1・sinθ1である。H2は、第2照射位置A2から第2放出位置52bまでの上下方向Zにおける距離である。H2は、L2・sinθ2である。よって、測定値Taは、次の式6のように表すことができる。
Ta=H-(L1・sinθ1)-(L2・sinθ2) (式6)
【0056】
上記式6のように、θ1およびθ2が90°でなくても測定値Taを求めることができる。すなわち、金属材上面11および金属材下面12に対して垂直に第1ビームB1および第2ビームB2を照射せず、金属材上面11および金属材下面12に対して斜めに第1ビームB1および第2ビームB2を照射しても、測定値Taを求めることができる。
【0057】
(金属材10の断面形状の計測)
図1に示す制御装置60は、第1距離計51および第2距離計52の計測結果に基づき、第1照射位置A1および第2照射位置A2の位置情報を演算する。具体的には例えば、基準面Pを基準としたときの、第1照射位置A1の上下方向Zにおける位置、および、第2照射位置A2の上下方向Zにおける位置が演算される。制御装置60は、金属材10と距離計50との横方向Y(断面10cと平行かつ上下方向Zに交差する方向)における相対位置を変化させながら(図3参照)、第1照射位置A1および第2照射位置A2の位置情報の演算を繰り返す。そして、制御装置60は、金属材10と距離計50との横方向Yにおける相対位置の移動量と、第1距離計51および第2距離計52の計測結果(第1照射位置A1および第2照射位置A2の位置情報)と、に基づいて、金属材10の断面形状を演算する。
【0058】
金属材10と距離計50との横方向Yにおける相対位置の変化は、距離計50を横方向Yに移動させることにより行われてもよく(図10参照)、金属材10を横方向Yに移動させることにより行われてもよい。ここでは、図3に示すように、距離計50を横方向Yに移動させずに、金属材10を横方向Yに移動させる場合について説明する。この場合、制御装置60は、横方向Yへの金属材10の移動量を制御する。具体的には例えば、制御装置60は、金属材移動装置33を制御することで、横方向Yへの金属材10の移動量を制御する。このとき、制御装置60は(断面情報計測装置20は)、金属材10および距離計50のそれぞれの上下方向Zの位置は変化させない。
【0059】
さらに具体的には、制御装置60は、金属材10よりも横方向Y外側にビーム交点Oがある状態(図3において実線で示す金属材10を参照)から、金属材移動装置33が、金属材10を横方向Yに移動させる。距離計50が金属材10を検出していない状態から金属材10を検出している状態(図2参照)に変化することで、金属材10の横方向Y外側の一方の端(例えば左端)の位置が検出される。図1に示すように、さらに金属材移動装置33が金属材10を横方向Yに移動させながら、第1照射位置A1および第2照射位置A2の位置情報が測定される。そして、距離計50が金属材10を検出している状態から金属材10を検出していない状態(図3において二点鎖線で示す金属材10を参照)に変化することで、金属材10の横方向Y外側の、上記「一方の端」とは反対側の端(例えば右端)の位置が検出される。このように、図1に示す金属材10の断面10cの全体にわたって、第1照射位置A1および第2照射位置A2の位置情報が演算される。その結果、金属材10の断面10cの、形状、上下方向Zの長さ(厚さ)、および横方向Yの長さ(幅)が、計測される。
【0060】
(第1の発明の効果)
図1に示す金属材10の断面情報を計測する断面情報計測装置20による効果は、次の通りである。金属材10の厚さ方向である上下方向Z(金属材厚さ方向)における一方側を上側Z1(第1側)、上側Z1とは反対側を下側Z2(第2側)とする。断面情報計測装置20は、第1距離計51と、第2距離計52と、制御装置60と、を備える。
【0061】
[構成1-1]図4に示すように、第1距離計51は、金属材10よりも上側Z1に配置され、金属材10の上側Z1の面(金属材上面11)の照射位置である第1照射位置A1にレーザ光を照射する。第2距離計52は、金属材10よりも下側Z2に配置され、金属材10の下側Z2の面(金属材下面12)の照射位置である第2照射位置A2にレーザ光を照射する。
【0062】
[構成1-2]制御装置60は、上下方向Zに沿った方向から見たときに第1照射位置A1と第2照射位置A2とが一致するように、第1距離計51のレーザ光と第2距離計52のレーザ光と金属材10との相対位置を制御する照射位置調整制御を行う。制御装置60は、第1距離計51および第2距離計52のそれぞれの計測結果に基づいて、金属材10の厚さを演算する。
【0063】
上記[構成1-1]により、金属材10の上側Z1の面(金属材上面11)の第1照射位置A1の計測を第1距離計51が行い、金属材10の上側Z1の面とは反対側の面(金属材下面12)の第2照射位置A2の計測を第2距離計52が行う。よって、第1距離計51および第2距離計52が、金属材10の厚さ方向の両面(金属材上面11および金属材下面12)で距離を計測する。そして、上記[構成1-2]では、上下方向Zに沿った方向から見たときに第1照射位置A1と第2照射位置A2とが一致または略一致した状態で、第1距離計51および第2距離計52のそれぞれの計測結果が得られる。この計測結果に基づいて、制御装置60が金属材10の厚さを演算する。よって、上下方向Zに沿った方向から見たときに第1照射位置A1と第2照射位置A2とが一致または略一致する位置(具体的には直線αの位置)での、金属材10の厚さ(上下方向Zの長さ)を測定することができる。したがって、金属材10が上下方向Z(金属材厚さ方向)に曲がっていても、金属材10の断面情報(具体的には厚さ)を精度良く測定することができる。
【0064】
(第2の発明の効果)
[構成2]金属材10の厚さ方向(上下方向Z)は、鉛直方向である。図2に示すように、第1距離計51および第2距離計52のそれぞれは、上下方向Zから見たとき、金属材10の外周よりも外側に配置される。
【0065】
上記[構成2]により、第1距離計51および第2距離計52への、金属材10からの輻射熱の影響を、抑制することができる。また、第1距離計51および第2距離計52のうち、金属材10よりも上側Z1に配置される方(具体的には第1距離計51)への、金属材10からの対流熱の影響を、抑制することができる。また、第1距離計51および第2距離計52のうち、金属材10よりも下側Z2に配置される方(具体的には第2距離計52)への、金属材10からの落下物の影響を、抑制することができる。その結果、金属材10の断面情報の測定精度を向上させることができる。
【0066】
(第3の発明の効果)
[構成3]第1距離計51および第2距離計52のそれぞれは、上下方向Zから見たとき、延長領域Eに配置される。延長領域Eは、金属材10の測定対象となる断面10cに直交する方向(例えば前後方向X)に、金属材10を延長した領域である。
【0067】
上記[構成3]により、第1距離計51および第2距離計52の少なくともいずれかが、金属材10よりも前後方向Xの外側(例えば金属材10よりも前側X1)、かつ、上下方向Zから見て延長領域Eの外に配置される場合に比べ、次の効果が得られる。図1に示す第1距離計51から第1照射位置A1までの距離を短くすることができる、または、第2距離計52から第2照射位置A2までの距離を短くすることができる(詳細は上記の[配置例4]の説明を参照)。その結果、第1距離計51および第2距離計52の測定精度を向上させることができる。その結果、金属材10の断面情報の測定精度を向上させることができる。
【0068】
(第4の発明の効果)
[構成4]制御装置60は、第1距離計51および第2距離計52の少なくともいずれかの、上下方向Zにおける位置を制御する。
【0069】
上記[構成4]により、金属材10の上下方向Zの位置を制御しなくても、上下方向Zに沿った方向から見たときに第1照射位置A1と第2照射位置A2とが一致するような照射位置調整制御を行うことができる。よって、第1距離計51および第2距離計52よりも質量の大きい金属材10の位置を制御する場合に比べ、照射位置調整制御の精度を向上させることができる。その結果、金属材10の断面情報の測定精度を向上させることができる。
【0070】
(第5の発明の効果)
[構成5]断面情報計測装置20は、第1距離計51および第2距離計52を支持する共通支持部材43を備える。制御装置60は、共通支持部材43の上下方向Zにおける位置を制御する。
【0071】
上記[構成5]により、次の効果が得られる。第1距離計51および第2距離計52のそれぞれの上下方向Zの位置が個別に制御される場合は、第1距離計51および第2距離計52のそれぞれの制御位置(例えば停止位置)の誤差が、累積される。一方、上記[構成5]では、共通支持部材43の上下方向Zにおける位置が制御されるので、第1距離計51および第2距離計52のそれぞれの上下方向Zの位置が一体的に制御される。よって、上記の誤差の累積が生じない。よって、金属材10の断面情報の測定精度を向上させることができる。
【0072】
上記[構成5]により、第1距離計51および第2距離計52のそれぞれを個別に上下方向Zに駆動するための、複雑な機構や装置を設ける必要がない。共通支持部材43を上下方向Zに駆動するための、装置(例えば距離計駆動部45)および機構(例えばガイド部41bなど)が設けられればよい。よって、断面情報計測装置20の構造をシンプルにすることができる。
【0073】
(第7の発明の効果)
制御装置60は、図6に示す金属材10の厚さの推定値Tを取得する。金属材10が無いときに第1距離計51のレーザ光(第1ビームB1)と第2距離計52のレーザ光(第2ビームB2)との交点となる位置を、ビーム交点Oとする。金属材10の下側Z2の面(金属材下面12)の特定部分12aを通る面であって上下方向Zに直交する面を、基準面Pとする。第1ビームB1と基準面Pとがなす角度を、θ1とする。第2ビームB2と基準面Pとがなす角度を、θ2とする。
【0074】
[構成7]制御装置60は、ビーム交点Oが基準面PよりもT/((tanθ1/tanθ2)+1)だけ上側Z1の位置になるように、照射位置調整制御を行う。
【0075】
上記[構成7]により、上下方向Zに沿った方向から見たときに第1照射位置A1と第2照射位置A2とを、確実に一致または略一致させることができる。その結果、金属材10の断面情報の測定精度を確保することができる。
【0076】
(第8の発明の効果)
[構成8]図1に示すように、第1距離計51および第2距離計52のそれぞれは、1次元レーザ距離計である。制御装置60は、上下方向Zに交差する方向(具体的には横方向Y)への金属材10の移動量を制御する(図3参照)。制御装置60は、第1距離計51および第2距離計52のそれぞれの計測結果と、金属材10の上記の移動量と、に基づいて金属材10の断面形状を演算する。
【0077】
上記[構成8]により、第1距離計51および第2距離計52として、1次元レーザ距離計よりも高価な2次元レーザ距離計を用いなくても、金属材10の断面形状を測定することができる。
【0078】
金属材10を上下方向Zに直交する方向に移動させる装置(トラバーサなど)が、断面情報計測装置20を設けようとする設備に、既設の設備としてある場合が考えられる。このような場合には、既設の設備に対して、第1距離計51、第2距離計52、および制御装置60などを追加すれば、断面情報計測装置20を構成することができる。
【0079】
(第2実施形態)
図8を参照して、第2実施形態の断面情報計測装置220について、第1実施形態との相違点を説明する。なお、第2実施形態の断面情報計測装置220のうち、第1実施形態との共通点については、説明を省略する。共通点の説明を省略する点については、後述する他の実施形態の説明も同様である。
【0080】
上記のように、制御装置60による照射位置調整制御では、第1距離計51のレーザ光(第1ビームB1)と第2距離計52のレーザ光(第2ビームB2)と金属材10との相対位置が制御される。図5に示す例では、金属材10の上下方向Zの位置は制御されず、距離計50の上下方向Zの位置が制御された。一方、図8に示すように、距離計50の上下方向Zの位置が制御されず、金属材10の上下方向Zの位置が制御されてもよい。具体的には、本実施形態の断面情報計測装置220は、金属材移動装置233を備える。共通支持部材43は、床Fに対して固定され、具体的には支柱41aに固定される。
【0081】
金属材移動装置233は、金属材10を上下方向Zに移動させる。例えば、金属材移動装置233は、置台31と兼用されてもよく、置台31とは別に設けられてもよい。例えば、金属材移動装置233は、置台支持部31bを上下方向Zに移動させる装置でもよく、例えば置台支柱31aと兼用されてもよい。具体的には例えば、金属材移動装置233は、上下方向Zに伸縮可能な伸縮シリンダでもよい。制御装置60は、金属材移動装置233を制御することで、金属材10の上下方向Zの位置を制御する。具体的には例えば、図8において二点鎖線で示す金属材10では、第1照射位置A1と第2照射位置A2とが前後方向Xにずれている。この例では、制御装置60は、金属材10を下側Z2に移動させる。このとき、制御装置60は、上記の式4を満たすように金属材10の上下方向Zの位置を制御する。その結果、上下方向Zから見て、第1照射位置A1と第2照射位置A2とが一致または略一致する。
【0082】
(第3実施形態)
図9を参照して、第3実施形態の断面情報計測装置320について、第1実施形態との相違点を説明する。上記のように、制御装置60による照射位置調整制御では、第1距離計51のレーザ光(第1ビームB1)と第2距離計52のレーザ光(第2ビームB2)と金属材10との相対位置が制御される。図5に示す例では、第1ビームB1および第2ビームB2の照射角度(図6に示す角度θ1および角度θ2)は制御されず、図5に示す第1距離計51および第2距離計52の上下方向Zの位置が制御された。一方、図9に示すように、第1距離計51および第2距離計52の上下方向Zの位置は制御されず、照射角度(角度θ1および角度θ2)の少なくともいずれかが制御されてもよい。
【0083】
断面情報計測装置320では、図5に示すガイド部41b、および距離計駆動部45は不要である。図9に示すように、共通支持部材43は、床Fに対して固定され、具体的には支柱41aに固定される。
【0084】
第1距離計51のレーザ光(第1ビームB1)と第2距離計52のレーザ光(第2ビームB2)の少なくともいずれかの照射角度は、可変であり、制御装置60に制御される。第1ビームB1および第2ビームB2の両方の照射角度が制御されてもよく、第1ビームB1および第2ビームB2のうち一方のみの照射角度が制御されてもよい。ここでは、第1ビームB1の照射角度が可変であり制御される場合について説明する。例えば、第1ビームB1の照射角度は、距離計支持部40(さらに詳しくは共通支持部材43)に対して第1距離計51が回転されることで、変えられてもよい。第1ビームB1の照射角度は、第1距離計51の内部で変えられてもよい。制御装置60は、第1ビームB1の照射角度を制御する。具体的には、制御装置60は、上記の式4を満たすように制御を行う。
【0085】
(第6の発明の効果)
[構成6]制御装置60は、第1距離計51および第2距離計52の少なくともいずれかのレーザ光の照射角度(角度θ1および角度θ2の少なくともいずれか)を制御する。
【0086】
上記[構成6]では、第1距離計51および第2距離計52を上下方向Zに移動させるための駆動装置(図5に示す距離計駆動部45)を設ける必要がない。また、金属材10を上下方向Zに移動させるための装置を設ける必要がない。
【0087】
(第4実施形態)
図10を参照して、第4実施形態の断面情報計測装置420について、第1実施形態との相違点を説明する。
【0088】
上記のように、距離計50が1次元レーザ距離計の場合、金属材10の断面形状を計測するために、金属材10と距離計50との横方向Y(断面10cと平行かつ上下方向Zに交差する方向)の相対位置が制御される。図3に示す例では、距離計50の横方向Yの位置は制御されず、金属材10の横方向Yの位置が制御された。一方、図10に示すように、金属材10の横方向Yの位置は制御されず、距離計50の横方向Yの位置が制御されてもよい。具体的には、本実施形態の断面情報計測装置420は、距離計移動装置447を備える。金属材移動装置33(図3参照)は、設けられなくてもよい。
【0089】
距離計移動装置447は、距離計50を横方向Yに移動させる。例えば、距離計移動装置447は、距離計支持部40を横方向Yに移動させることで、第1距離計51および第2距離計52を一体的に移動させてもよい。距離計移動装置447は、第1距離計51および第2距離計52を個別に横方向Yに移動させてもよい。
【0090】
制御装置60は、距離計移動装置447を制御することで、第1距離計51および第2距離計52の横方向Yの移動量を制御する。制御装置60は、第1距離計51および第2距離計52のそれぞれの計測結果と、第1距離計51および第2距離計52の横方向Yの移動量と、に基づいて金属材10の断面形状を演算する。
【0091】
(第9の発明の効果)
[構成9]第1距離計51および第2距離計52のそれぞれは、1次元レーザ距離計である。制御装置60は、上下方向Zに交差する方向(例えば横方向Y)への第1距離計51および第2距離計52の移動量を制御する。制御装置60は、第1距離計51および第2距離計52のそれぞれの計測結果と、第1距離計51および第2距離計52の上記の移動量と、に基づいて金属材10の断面形状を演算する。
【0092】
上記[構成9]により、第1距離計51および第2距離計52として、1次元レーザ距離計よりも高価な2次元レーザ距離計を用いなくても、金属材10の断面形状を測定することができる。また、金属材10を横方向Yに移動させる装置を設ける必要がない。
【0093】
(第5実施形態)
図11図14を参照して、第5実施形態の断面情報計測装置520について、第1実施形態などとの相違点を説明する。図1に示す例では、第1距離計51および第2距離計52のそれぞれが、1次元レーザ距離計であった。図11に示すように、第1距離計551および第2距離計552のそれぞれ(距離計550)は、2次元レーザ距離計でもよい。
【0094】
第1距離計551および第2距離計552のそれぞれは、平面状にレーザ光を照射する2次元レーザ距離計である。第1距離計551は、横方向Yに延びる直線状の第1照射位置A1の各位置から第1距離計551までの距離を測定する。第2距離計552は、横方向Yに延びる直線状の第2照射位置A2の各位置から第2距離計552までの距離を測定する。
【0095】
図12に示すように、制御装置60は、上下方向Zに沿った方向から見たときに第1照射位置A1と第2照射位置A2とが一致するように、第1ビームB1と第2ビームB2と金属材10との相対位置を制御する。例えば、図12図14に示す例では、図5に示す例と同様に、制御装置60は、金属材10の厚さ(上下方向Zの長さ)に応じて、距離計550の上下方向Zにおける位置を制御する。この制御により、第1照射位置A1と第2照射位置A2とは、同一の平面β上または略平面β上に配置される。平面βは、図4に示す直線αが横方向Yに連続したものである(平面βは直線αを含む)。図12に示す平面βは、上下方向Zおよび横方向Yに延びる平面である。平面βは、断面情報計測装置520の測定対象の断面10cと一致または略一致する。
【0096】
第1距離計551および第2距離計552は2次元レーザ距離計であるため、断面情報計測装置520は、金属材10および距離計550の横方向Yの相対位置を変化させなくても、金属材10の断面形状を測定することができる。断面情報計測装置520では、金属材移動装置33(図1参照)および距離計移動装置447(図10参照)は設けられなくてもよい。距離計550の横方向Yの照射範囲に対して金属材10の横方向Yの幅が大きい場合にも測定を行えるように、金属材移動装置33(図1)および距離計移動装置447(図10参照)の少なくともいずれかが設けられてもよい。距離計550の横方向Yの照射範囲に対して金属材10の横方向Yの幅が大きい場合にも測定を行えるように、第1距離計551が複数設けられてもよい(第2距離計552も同様)。複数の第1距離計551は、例えば互いに横方向Yに間隔をあけて配置されてもよい。
【0097】
(第10の発明の効果)
[構成10]図12に示すように、第1距離計551および第2距離計552のそれぞれは、2次元レーザ距離計である。制御装置60は、第1距離計551および第2距離計552のそれぞれの計測結果に基づいて金属材10の断面形状を演算する。
【0098】
上記[構成10]により、金属材10および距離計550の横方向Yの相対位置を変化させなくても、金属材10の断面形状を測定することができる。
【0099】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、互いに異なる実施形態の構成要素どうしが組み合わされてもよい。例えば、各構成要素の配置や形状が変更されてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
【0100】
具体的には例えば、図1に示す第1距離計51の位置の制御、第2距離計52の位置の制御、第1ビームB1の照射角度の制御、第2ビームB2の照射角度の制御、および金属材10の位置の制御が、様々に組み合わされてもよい。例えば、第1距離計51および第2距離計52のうち、一方が1次元レーザ距離計であり、もう一方が2次元レーザ距離計でもよい。この場合、2次元レーザ距離計を床Fに対して移動させずに、1次元レーザ距離計の横方向Yの位置を制御装置60が制御してもよい。図1などでは、制御装置60が距離計支持部40にのみ接続されているように図示したが、制御装置60は、金属材支持部30(具体的には金属材移動装置33など)に接続されてもよい。
【符号の説明】
【0101】
10 金属材
10c 断面
12a 特定部分
20、220、320、420、520 断面情報計測装置
43 共通支持部材
51、551 第1距離計
52、552 第2距離計
60 制御装置
A1 第1照射位置
A2 第2照射位置
B1 第1ビーム(第1距離計51のレーザ光)
B2 第2ビーム(第2距離計52のレーザ光)
E 延長領域(金属材10を延長した領域)
O ビーム交点
P 基準面
Z 上下方向(金属材厚さ方向)
Z1 上側(第1側)
Z2 下側(第2側)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14