(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】プログラム、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240604BHJP
A63F 13/58 20140101ALI20240604BHJP
A63F 13/69 20140101ALI20240604BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20240604BHJP
【FI】
G06Q50/10
A63F13/58
A63F13/69 510
A63F13/79
(21)【出願番号】P 2021123195
(22)【出願日】2021-07-28
【審査請求日】2021-10-18
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪倉 淑惠
(72)【発明者】
【氏名】奥山 幹樹
(72)【発明者】
【氏名】津原 一成
(72)【発明者】
【氏名】植村 文子
(72)【発明者】
【氏名】田中 大将
(72)【発明者】
【氏名】北口 里英
(72)【発明者】
【氏名】川上 智司
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲
【合議体】
【審判長】佐藤 智康
【審判官】安井 雅史
【審判官】伏本 正典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-171271(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0103275(KR,A)
【文献】特開2018-057713(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0119453(KR,A)
【文献】特開2019-185659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
A63F9/24
A63F13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
トランザクション情報を含んだデータを記録した分散型台帳から前記トランザクション情報を取得する情報取得部と、
前記トランザクション情報が含んでいる取引の履歴情報またはステータス情報に基づいて、アプリケーションにおける追加の処理を決定する処理決定部と、
前記処理決定部が決定した前記処理を行う処理部、
として機能させ、
前記情報取得部は、前記追加の処理に関係の無い前記トランザクション情報を選択可能に構成され、
前記処理決定部は、前記トランザクション情報を用いて複数の候補の中から一つの前記追加の処理を決定
し、
前記アプリケーションは、ゲームであり、
前記情報取得部は、前記ゲームにおける追加の処理において、当該ゲームに関係の無いトランザクション情報を取得する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
請求項1のプログラムにおいて、
前記処理部は、前記分散型台帳へ前記データの記録を行う
ことを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項1または請求項2のプログラムにおいて、
前記情報取得部は、前記トランザクション情報の選択、選択した前記トランザクション情報に含まれる情報の内、いずれの情報を利用するかの決定を所定の規則に基づいて実行し、
前記処理決定部は、選択された前記トランザクション情報をどう使うかを所定の規則に基づいて決定する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1つのプログラムにおいて、
前記分散型台帳は、前記処理を行うアプリケーション以外のデータを含む
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1つのプログラムにおいて
、
前記ゲームは、複数のゲーム機会を備え、
前記分散型台帳には、前記複数のゲーム機会の内の少なくとも1つのゲーム機会に関するデータが記録されており、
前記情報取得部は、所定のゲーム機会において、当該ゲーム機会のものとは異なるトランザクション情報を取得する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項2のプログラムにおいて、
前記情報取得部は、前記処理部が記録を行った前記分散型台帳から前記トランザクション情報を取得する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1つのプログラムにおいて、
前記処理決定部は、前記トランザクション情報に基づいて、非代替性トークンの発行を行うか否かの決定、および発行する非代替性トークンの内容を決定の少なくとも一方を行う
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか1つのプログラムにおいて、
前記処理決定部は、前記処理として、抽選を伴うイベントの決定を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1つのプログラムにおいて
、
前記処理決定部は、前記処理として、ゲームオブジェクトのパラメータの決定を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れか1つのプログラムにおいて
、
前記処理決定部は、前記処理として、ユーザの操作によらずに動作するゲームオブジェクトの行動に関する決定を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項1から請求項10の何れか1つのプログラムにおいて、
前記処理決定部は、ユーザに付与する報酬を決定する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項1から請求項11の何れか1つのプログラムを記憶した記憶部と、
前記プログラムを実行する制御部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータで実行されるゲームの中には、ブロックチェーンシステムによってゲーム媒体を管理するものがある(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許出願公開第109260707号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の例では、単に、ゲーム媒体をブロックチェーンで管理するのみであり、ブロックチェーン(分散型台帳)に記憶される種々の情報をアプリケーションに生かせていない。
【0005】
本開示の目的は、分散型台帳に記憶される情報をアプリケーション(ソフトウェア)内で活用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、コンピュータを、
トランザクション情報を含んだデータを記録した分散型台帳から前記トランザクション情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記トランザクション情報に基づいて、アプリケーションにおける追加の処理を決定する処理決定部と、
前記処理決定部が決定した前記処理を行う処理部、
として機能させることを特徴とするプログラムである。
【0007】
また、第1の態様において、前記処理部は、前記分散型台帳へ前記データの記録を行うようにしてもよい。
【0008】
また、前記態様においては、
前記情報取得部は、前記トランザクション情報の選択、選択した前記トランザクション情報に含まれる情報の内、いずれの情報を利用するかの決定を所定の規則に基づいて実行し、
前記処理決定部は、選択された前記トランザクション情報をどう使うかを所定の規則に基づいて決定するようにしてもよい。
【0009】
また、前記態様においては、前記分散型台帳は、前記処理を行うアプリケーション以外のデータを含んでもよい。
【0010】
また、前記態様においては、
前記アプリケーションは、ゲームであり、
前記ゲームは、複数のゲーム機会を備え、
前記分散型台帳には、前記複数のゲーム機会の内の少なくとも1つのゲーム機会に関するデータが記録されており、
前記情報取得部は、所定のゲーム機会において、当該ゲーム機会のものとは異なるトランザクション情報を取得するようにしてもよい。
【0011】
また、前記態様においては、
前記情報取得部は、前記処理部が記録を行った前記分散型台帳から前記トランザクション情報を取得するようにしてもよい。
【0012】
また、前記態様においては、
前記処理決定部は、前記トランザクション情報に基づいて、非代替性トークンの発行を行うか否かの決定、および発行する非代替性トークンの内容を決定の少なくとも一方を行うようにしてもよい。
【0013】
また、前記態様においては、
前記処理決定部は、前記処理として、抽選を伴うイベントの決定を行うようにしてもよい。
【0014】
また、前記態様においては、
第1から第8の態様の何れか1つのプログラムにおいて、
前記アプリケーションは、ゲームであり、
前記処理決定部は、前記処理として、ゲームオブジェクトのパラメータの決定を行うようにしてもよい。
【0015】
また、前記態様においては、
前記アプリケーションは、ゲームであり、
前記処理決定部は、前記処理として、ユーザの操作によらずに動作するゲームオブジェクトの行動に関する決定を行うようにしてもよい。
【0016】
また、前記態様においては、
前記処理決定部は、ユーザに付与する報酬を決定するようにしてもよい。
【0017】
また、第2の態様は、前記何れか1つのプログラムを記憶した記憶部と、
前記処理を実行する制御部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、分散型台帳に記憶される情報をアプリケーション内で活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ゲームシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施形態]
以下、本態様の実施形態にかかるプログラム、および情報処理装置について、図面を参照して説明する。なお、本態様のプログラムは、ゲームプログラムとして実装されている。また、本態様の情報処理装置は、ゲーム装置として実現されている。
【0021】
なお、以下の説明において、「ゲーム」とは、所定のルールに従って、何らかの目的を達成する活動であって、コンピュータを利用して実施されるものをいう。前記ゲームには、複数の参加者が競い合うものも(勝敗を定めるもの)がある。前記ゲームには、参加者毎に、得点、時間などの、何らかの指標に基づく評価を受けるものもある。前記ゲームには、ユーザ(プレイヤ)がゲーム機会(ゲーム内のクエスト(課題)など)に参加して報酬を受け取るものもある。ここでの参加者は、個人またはチームの両方を含む。
【0022】
《ゲームシステムの概要》
図1は、実施形態にかかるゲームシステム1の構成を示すブロック図である。ゲームシステム1は、サーバ装置2、ゲーム装置5を備えている。ゲームシステム1では、複数台のゲーム装置5が設けられる場合がある。ゲームシステム1では、サーバ装置2は、例えば、ゲームに参加するユーザの管理、トークンの発行(後述)等に用いられる。
【0023】
ゲームシステム1におけるゲームは、プレイヤ(ユーザ)の操作を受けて進行する。ユーザは、ゲーム装置5(後述)を操作することによって、プレイヤキャラクタを三次元の仮想ゲーム空間(以下、単に仮想空間という)で活動させることができる。また、ユーザは、ゲーム装置5を操作することによって、プレイヤキャラクタの仲間に対して様々なアクションを行わせることもできる。本ゲームは、いわゆるアクションゲームである。
【0024】
本実施形態のゲームは、ユーザがクエスト(ゲームによってはミッションとよばれる場合もある)をクリアすることによってストーリーが進行する。本ゲームでは、モンスター(敵キャラクタ)を捕獲するクエストが設定される場合がある。
【0025】
ユーザは、クエストのプレイ中にゲーム媒体を利用する場合がある。ゲーム媒体は、ゲームに関する要素を表した電子データである。ゲーム媒体には、キャラクタ、キャラクタが仮想空間内にて使用する武器、防具、道具が含まれる。ゲーム媒体は、ゲーム内の通貨である場合もある。ゲーム媒体は、ゲームで用いられるキャラクタである場合もある。
【0026】
《ハードウェアの構成》
〈概要〉
ゲームシステム1では、サーバ装置2とゲーム装置5とが、通信ネットワーク6を介して、通信可能に構成されている。サーバ装置2は、ゲームプログラム(一部または全部)、およびゲームデータを記憶している。サーバ装置2は、ゲーム装置5のゲームデータの管理を行う。ゲーム装置5は、プレイヤの操作に基づいてゲームを実行する。
【0027】
〈サーバ装置2の構成〉
図2は、サーバ装置2の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、サーバ装置2は、ネットワークインターフェース21、記憶部22、および制御部23を備えている。ネットワークインターフェース21、および記憶部22は、バス29を介して制御部23と電気的に接続されている。
【0028】
ネットワークインターフェース21は、インターネットおよびLANなどの通信ネットワーク6を介してゲーム装置5等と通信可能に接続されている。
【0029】
記憶部22は、HDD、SSD、RAMおよびROMなどで構成されている。記憶部22には、ゲームデータ、各種プログラムが記憶されている。記憶部22内のプログラムには、本実施形態に係るゲームプログラム(一部または全部)が含まれる。記憶部22には、例えば、プレイヤ(以下、プレイヤP1)のID情報、レベル、使用するプレイヤキャラクタ等が記憶される。
【0030】
制御部23は、サーバ装置2の動作を制御する。制御部23は、CPU(マイクロコンピュータ)および半導体メモリを備えている(図示は省略)。半導体メモリには、CPUを動作させるためのプログラム(例えばゲームプログラムの一部)などが格納される。
【0031】
〈ゲーム装置5の構成〉
図3は、ゲーム装置5の構成を示すブロック図である。ゲーム装置5には、例えば、パーソナルコンピュータ、プレイステーション(登録商標)、XBox(登録商標)、Nintendo Switch(登録商標)、スマートフォンなどの、市販の装置を利用できる。
【0032】
ゲーム装置5には、
図3に示すように、ディスプレイ61、スピーカ62およびコントローラ63が外部接続または内蔵される。ディスプレイ61およびコントローラ63は、プレイヤP1が使用する。
【0033】
コントローラ63は、ゲームシステム1において標準で装備されたものに代えて、プレイヤP1自身によって用意されたものが接続される場合もある。ディスプレイ61には、例えば液晶型のディスプレイを採用できる。
【0034】
ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55、および制御部56を有する。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、および記憶部55は、バス59を介して制御部56と電気的に接続されている。
【0035】
ネットワークインターフェース51は、ゲーム装置5とサーバ装置2との間で、各種データを送受信する。ネットワークインターフェース51は、通信ネットワーク6に通信可能に接続されている。
【0036】
ゲーム装置5は、通信ネットワーク6を介してサーバ装置2からゲームプログラムおよびゲームデータを受信(ダウンロード)する場合がある。ゲーム装置5は、ゲームプログラム等を受信したら、受信したゲームプログラム等をインストールする。
【0037】
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報に従って、仮想空間に関する各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。グラフィック処理部52は、ディスプレイ61と接続されている。動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ61上に表示される。
【0038】
オーディオ処理部53は、スピーカ62と接続されている。オーディオ処理部53は、制御部56の指示に従ってゲーム音声を再生および合成し、これをスピーカ62から出力させる。
【0039】
操作部54は、コントローラ63と接続されている。操作部54は、操作入力に関するデータをコントローラ63との間で送受信する。プレイヤP1は、コントローラ63のボタン等の各種操作子を操作することで、ゲーム装置5に操作信号を入力する。ゲーム装置5は、プレイヤの操作に応じて、ゲームを開始する。
【0040】
記憶部55は、HDD、SSD、RAM、ROMなどで構成されている。記憶部55には、サーバ装置2からダウンロードされたゲームデータ、ゲームプログラム(一部または全部)を含む各種プログラムなどが格納されている。
【0041】
制御部56は、ゲーム装置5の動作を制御する。制御部56は、CPU(マイクロコンピュータ)および半導体メモリを備えている(図示は省略)。半導体メモリには、CPUを動作させるためのプログラム(例えばゲームプログラムの一部)などが格納される。
【0042】
《サーバ装置2における制御部23の機能的構成》
制御部23は、そのCPUが各種プログラム(ゲームプログラムを含む)を実行することにより、トークン化部231、トークン記録部232として機能する。
【0043】
トークン化部231は、情報のトークン化を行う。ここでのトークン化とは、所有権を明確化したい事項を、送受信可能な情報として表現することである。
【0044】
トークン化された情報は、分散型台帳に記録される。分散型台帳は、電子的な台帳(一種のデータベース)である。分散型台帳は、複数のノード(一般的にはコンピュータ)によって共有される。このゲームプログラムの下では、複数のゲーム機会の内の少なくとも1つのゲーム機会(クエストなど)に関するデータが分散型台帳に記録される。
【0045】
例えば、ゲーム中のクエストに関しては、クエストの参加キャラクタや使用装備、ドロップアイテムの数や種類、成功あるいは失敗度合などを分散型台帳に記録することが考えられる。また、抽選(いわゆるガチャ)に関しては、当選したゲームオブジェクトの種類、引いたガチャ、発生した演出、排出されたゲームオブジェクトの排出順などを分散型台帳に記録することが考えられる。
【0046】
分散型台帳の実装には、一例として、いわゆるブロックチェーンが挙げられる。本実施形態でも、分散型台帳として、ブロックチェーンの仕組みが採用されている。
【0047】
ブロックチェーンでは、データが、数珠繋ぎにされたひとまとまりの複数のデータ(ブロックとも呼ばれる)として記録される。ブロックチェーンは、各ノードがこれらのブロックを共有するように実装される。サーバ装置2は、分散型台帳のノードとして機能する。分散型台帳には、初期値として、最初のブロックが登録されているものとする。次に新たに生成されたブロックは、最初のブロックに繋がれる。
【0048】
ブロックは、トランザクション情報を含んでいる。トランザクション情報は、取引(ブロックの移転)の履歴情報を含んでいる。また、トランザクション情報は、種々のステータス情報も含んでいる。本実施形態のトランザクション情報は、以下の情報を含んでいるものとする。
【0049】
(1)そのトランザクションが確認済か否かの情報
(2)取引内容(例えばゲーム内通貨の金額など)
(3)インプット回数、アウトプット回数
(4)ブロックの登録時刻
トークン化部231は、ゲーム媒体をNon-Fungible Token(略称:NFT)としてトークン化する。NFTは、非代替性トークンとも呼ばれる。非代替性トークンは、分散型台帳(例えばブロックチェーン)上のデータ(トークン)である。それぞれの非代替性トークンは、識別子を有している。
【0050】
以下では、ゲーム媒体等をNFTとしてデータ化することをNFT化と表記する場合がある。本実施形態では、NFT化されるデータには、ゲーム媒体のほか、ゲーム結果が含まれる。「ゲーム結果」とは、ゲームプログラムを実行することにより出力される情報をすべて含む。例えば、ゲーム結果は、ゲームの勝敗、ユーザが獲得したレベル、キャラクタの状態(例えば強さ、体力)などである。また、「ゲーム結果」は、クエストや抽せんによる成功や失敗、報酬、ドロップアイテム、ガチャ(抽選)結果などでもよい。
【0051】
トークン記録部232は、通信網(通信ネットワーク6)を介して、トランザクション情報を含んだブロックを所定の送信先に送信する。この場合、トークン記録部232は、送信したいブロックに、送信元および送信先を特定するための情報を含めて、分散型台帳に情報を記録する(ブロックを送信する)。
【0052】
これにより、ブロックチェーンにブロックが繋がれる。なお、送信元および送信先を特定するための情報は、一般的なブロックチェーンの仕組みと同様に、送信元および送信先がそれぞれ用意した暗号鍵を利用して構築できる。
【0053】
このゲームでは、例えば、クエストの報酬であるゲーム媒体(例えば、ゲーム内の通貨、アイテムなど)がNFT化される。トークン記録部232は、報酬を受け取るプレイヤP1のゲーム装置5(ノード)にブロックを送信する。
【0054】
《ゲーム装置5における制御部56の機能的構成》
制御部56は、そのCPUが各種プログラム(ゲームプログラムを含む)を実行することにより、情報取得部561、処理決定部562、ゲーム実行部563として機能する。
【0055】
情報取得部561は、本ゲームで用いる分散型台帳からトランザクション情報を取得する。つまり、ゲーム装置5は、分散型台帳を操作するノードとしての機能を有する。情報取得部561は、取得するトランザクション情報の選択、選択したトランザクション情報に含まれる情報の内、いずれの情報を利用するかの決定を所定の規則に基づいて実行する。
【0056】
「所定の規則」は、ゲームプログラムの開発者が任意に設定できる。例えば、情報取得部561が、ブロックの登録時間に応じてトランザクション情報を選択するように規則を設定してもよい。情報取得部561が、一旦、ランダムにトランザクション情報を仮選択し、それが確認済みのトランザクション情報の場合に選択するように、規則を設定してもよい。また、情報取得部561が、最新のトランザクション情報を選択するように規則を設定してもよい。
【0057】
選択したトランザクション情報内の値の抽出方法も任意に定めてよい。例えば、トランザクション情報中の値を確率として用いたい場合には、前記値の所定の桁を取り出すことが考えられる。例えば、前記値における先頭の2桁の数字を確率として用いることができる。この例では、値が823XTSであるとすれば、確率は82%となる。このように定めた確率は、抽選の確率(当選の確率など)に利用できる。
【0058】
トランザクション情報から抽出する情報は、数字以外の情報でもよい。例えば、ブロックの登録順は、処理を決定する情報として利用できる。また、ブロック内のトランザクションの数は、処理を決定する情報として利用してもよい。
【0059】
トランザクションに関わるトークンの種類は、処理を決定する情報として利用してもよい。トークンの種類には、取引額やゲーム結果を例示できる。例えば、抽選の際に、トークンの種類が所定の種類の場合(抽選の結果のトークン等)に、ユーザに都合が良いテーブルで抽選を実施したり、クエスト報酬を良くしたりするといった利用ができる。要は、情報の抽出には、トランザクション情報やブロックをどのように利用してもよい。
【0060】
また、トランザクション情報中の値から、ランダムに抜き出した数値を使うようにしてもよい。数値が欲しい場合に、トランザクション情報中の値がアルファベットを含む場合は、値を選びなおしたり、アルファベットと数値を対象づけたルールで変換したりするとよい。また、複数のトランザクション情報中の値を合計した結果についいて、何処かの桁の数値を利用してもよい。トランザクション情報中で一番多い数字を利用してもよい。
【0061】
処理決定部562は、トランザクション情報をどう使うかを決定する。具体的に、処理決定部562は、情報取得部561が取得したトランザクション情報に基づいて、ゲームにおける追加の処理を実施するか否か、および処理内容の少なくとも一方を決定する。なお、「追加の処理」とは、本ゲームプログラムにおける元々の処理内容(元々の機能)に何らかの処理を加えることである。以下では、「追加の処理」を単に「処理」と言う場合がある。
【0062】
具体的に、処理決定部562は、トランザクション情報に基づいて、非代替性トークンの発行を行うか否かの決定、および発行する非代替性トークンの内容を決定する。より具体的には、処理決定部562は、以下の決定を行う。
【0063】
(1)クリアしたクエストの報酬の付与
処理決定部562は、処理として、クリアしたクエストの報酬の付与を決定する場合がある。この場合、処理決定部562は、トランザクション情報に基づいて、報酬の内容、および誰に付与するかを決定する。報酬の内容には、例えば、報酬額、ユーザに付与するアイテム(ゲーム媒体)などがある。
【0064】
なお、報酬の内容は、任意に定めてよい。報酬としては、抽選の権利(ガチャ用の石やチケット)、ゲーム内通貨、経験値、アイテムやキャラクタ、NFT、仮想通貨、クエストの成功自体、スキルの付与、パラメータ変更などを例示できる。
【0065】
(2)ゲーム媒体、ゲーム結果のNFT化
処理決定部562は、処理として、ゲーム媒体、ゲーム結果のNFT化を決定する場合がある。この場合には、処理決定部562は、トランザクション情報に基づいて、NFT化の対象(ゲーム媒体、ゲームの結果(勝敗)など)、およびNTFを誰の所有とするかを決定する。
【0066】
なお、NFT化されるゲーム媒体としては、例えば報酬として付与されるゲーム媒体、ゲーム内で購入したゲーム媒体などを例示できる。もちろん、NFT化の対象は、例示したゲーム媒体には限定されない。
【0067】
NFT化においては、トランザクション情報以外の条件を課してもよい。例えば、モンスターを捕獲するクエストにおいて、プレイヤ(ひとりもしくはグループ)が閾値以上の数のモンスター捕獲したことを示すゲーム結果を条件にすることが考えられる。
【0068】
実際のNFT化は、処理決定部562の指示に応じて、トークン化部231が行う。NFT化されたゲーム媒体やゲーム結果は、トークン記録部232が分散型台帳に記録する。これにより、本実施形態では、情報取得部561は、ゲーム実行部563(処理部)が記録を行った分散型台帳からトランザクション情報を取得することになる。
【0069】
(3)キャラクタの出現数(出現確率)、種類
処理決定部562は、処理として、キャラクタ(例えば敵キャラクタ)の出現数(出現確率)、種類を決定する場合がある。この場合には、処理決定部562は、トランザクション情報に基づいて、出現数等を決定する。
【0070】
(4)各種パラメータの決定
処理決定部562は、処理として、ゲームにおけるパラメータを決定する場合がある。パラメータとしては、キャラクタのレベル(例えば強さ)を例示できる。勿論、パラメータは、キャラクタ以外に関するものでもよい。例えば、パラメータとしては、時間、武器のパラメータ、経験値、抽選確率なども例示できる。パラメータを決定する場合には、処理決定部562は、トランザクション情報に基づいて、それらを決定する。
【0071】
(5)ゲームのストーリー展開
処理決定部562は、処理として、ゲームのストーリー展開を決定する場合がある。この場合には、処理決定部562は、トランザクション情報に基づいて、複数あるストーリーの選択肢の中から何れのストーリーを選択するかを決定する。
【0072】
(6)イベントの決定
処理決定部562は、ゲーム内のイベントについて決定する場合がある。この場合にも、処理決定部562は、トランザクション情報に基づいて、イベントに関する決定を行う。例えば、処理決定部562は、ゲーム媒体の抽選を伴うイベントの開催タイミング、および内容(賞品の内容、当たる確率など)の少なくとも一方の決定を行う場合がある。また、処理決定部562は、開催される抽選の種類を決定してもよい。抽選の種類は、排出率(媒体の出現確率)と排出される媒体の違い等を例示できる。
【0073】
(7)ゲームオブジェクトの行動の決定
ゲームでは、ユーザの操作によらずに動作するゲームオブジェクトが用意される場合がある。ユーザの操作によらずに動作するゲームオブジェクトとしては、例えばAI(Artificial Intelligence)で動作するオブジェクトを例示できる。
【0074】
処理決定部562は、ユーザの操作によらずに動作するゲームオブジェクトの行動に関する決定を行う場合がある。この場合にも、処理決定部562は、トランザクション情報に基づいて、ゲームオブジェクトの行動に関する決定を行う。なお、「ゲームオブジェクトの行動」としては、ノンプレイヤキャラクタがプレイヤキャラクタに協力する場合において、ノンプレイヤキャラクタの攻撃、技、防御、回復、移動などの行動が考えられる。また、障害物が動く、霧がかかって視界が遮られる、といった内容もゲームオブジェクトの行動の例である。
【0075】
「ゲームオブジェクト」は、キャラクタに限定されない。ゲームに登場する建物やエフェクトなど、ゲームに登場するものは全てゲームオブジェクトである。
【0076】
処理決定部562は、例えば、上記の決定をクエストの完了をトリガとして実行する。また、処理決定部562は、ゲームの開始時にも、上記の決定を行う場合がある。処理決定部562は、決定した処理の内容をゲーム実行部563に通知する。
【0077】
ゲーム実行部563(処理部)は、プレイヤによるコントローラ63の操作に従って、ゲームデータに含まれるオブジェクト、およびテクスチャなどのデータを読み出し且つゲームプログラムを実行する。ゲームプログラムの実行によって、二次元または三次元のゲーム画像情報が生成される。
【0078】
ゲーム画像情報は、グラフィック処理部52によって処理される。グラフィック処理部52の処理により、ディスプレイ61には処理後のゲーム画像が表示される。
【0079】
また、ゲーム実行部563は、処理決定部562が決定した処理を実行する。ゲーム実行部563は、処理決定部562が決定した処理の一環として、分散型台帳へデータ(NFT)の記録を行う場合がある。本実施形態では、ゲーム実行部563は、トークン化部231を介してデータ(NFT)を作成する。ゲーム実行部563は、トークン記録部232を介してデータ(NFT)の記録を実現している。
【0080】
《動作例》
ユーザがコントローラ63の特定の操作を行うと、ゲームが開始される。そうすると、情報取得部561が、分散型台帳からトランザクション情報を読み取る。情報取得部561は、読み取ったトランザクション情報を処理決定部562に送信する。なお、初期状態等の場合は、トランザクション情報が分散型台帳に、記録されていない場合がある。この場合、情報取得部561は、情報が存在しないことを処理決定部562に通知する。
【0081】
処理決定部562は、処理の決定が必要なタイミングになったら、受け取ったトランザクション情報に基づいて処理内容を決定する。処理決定部562は、決定した処理内容をゲーム実行部563に通知する。なお、処理決定部562は、トランザクション情報が分散型台帳に、記録されていない旨の通知を受けた場合には、他の方法(例えば乱数)に基づいて、処理内容を決定する。
【0082】
ゲーム実行部563は、処理決定部562から通知された処理を実行する。この処理によって、分散型台帳が更新される場合がある。例えば、ゲーム媒体がNFT化される場合に、分散型台帳が更新される。
【0083】
以上をまとめると、本件態様は、コンピュータを、トランザクション情報を含んだデータを記録した分散型台帳から前記トランザクション情報を取得する情報取得部561と、前記情報取得部561が取得した前記トランザクション情報に基づいて、ゲームにおける追加の処理を決定する処理決定部562と、前記処理決定部が決定した前記処理を行う処理部(ゲーム実行部563)、として機能させることを特徴とするゲームプログラムである。
【0084】
《本実施形態の効果》
以上のように、本実施形態によれば、トランザクション情報(分散型台帳に記憶される情報)がゲームにおける処理に用いられる。すなわち、本実施形態によれば、分散型台帳に記憶される情報をゲーム内で活用することが可能になる。
【0085】
ゲーム装置5では、処理の決定にトランザクション情報を用いられる。それによって、ゲーム装置5では、乱数を用いて処理を決定する場合と比べて処理内容に偏りを作ることが可能になる。この偏りによって、本実施形態では、ゲームに個性を持たせることが可能になる。
【0086】
また、本実施形態では、乱数を用いる必要がなくなるし、予め使用するトランザクション情報をユーザに告知することで、ゲーム進行を予想させる遊びを提供できる。
【0087】
[その他の実施形態]
処理の決定に用いるトランザクション情報は、ひとつでもよいし複数でもよい。また、トランザクション情報内の情報は、何れを処理の決定に用いてもよい。複数のトランザクション情報を用いることで、例えば、複数のトランザクション情報の中から選択したトランザクション情報に基づいてキャラクタを作成するゲームを構成できる。
【0088】
ゲーム実行部563(処理部)は、処理の決定に用いたトランザクション情報と本ゲームとの関係有無にかかわらず、ゲーム処理に関するトランザクション情報を分散型台帳に記録するように構成できる。
【0089】
本ゲームに関する情報を記録する分散型台帳に、本ゲームとは関わりのない情報(トークン等)が記録されていてもよい。「本ゲームと関わりのない情報」は、トランザクション情報でもよい。「本ゲームと関わりのない情報」は、他のゲームのトランザクション情報でもよいでもよいし、ゲーム以外のトランザクション情報でもよい。処理の決定に本ゲームとは関係の無い情報を利用できると、ゲームの運営開始時から様々な処理が可能になる。
【0090】
この場合において、情報取得部561は、当該分散型台帳から、本ゲームに関係するトランザクション情報のみを選択したり、本ゲームに無関係のトランザクション情報のみを選択したり、ゲームに関わる情報か否かを問わず任意の情報を選択したりできる。
【0091】
また、トランザクション情報を取得する分散型台帳は、本ゲームに関する情報を全く含まないものでもよい。また、トランザクション情報を取得する分散型台帳は、既に終了したゲーム(ゲームに限定はない)にかかる分散型台帳でもよい。
【0092】
情報取得部561は、所定のゲーム機会においてトランザクション情報を取得する場合には、当該ゲーム機会のものとは異なるトランザクション情報を取得するように構成してもよい。例えば、クエストAの報酬を決定するために、クエストBについてのトランザクション情報(クエストAとは直接関わりのないトランザクション情報)を用いることが考えられる。
【0093】
また、抽選、ストーリーモード、対人戦、対CPU(コンピュータ)戦、育成モードなどのゲームモードにおける処理の決定に、別のゲームモードのトランザクション情報を用いてもよい。例えば、抽選における抽選結果、育成モードにおけるパラメータの変更などを用いて、クエストの成否を判定することが考えられる。
【0094】
ゲーム的に関係のない処理に関するトランザクション情報も利用可能である。例えば、ユーザのプレイによって成否を決するクエストにおいて、ゲームオブジェクトの抽選結果のトランザクション情報(ゲーム的に関係のない処理)を利用することが考えられる。
【0095】
制御部56で行っていた処理をそれに代わってサーバ側で行ってもよい。すなわち、サーバ装置2は、必須ではない。
【0096】
制御部56で行っていた処理をサーバ側とクライアント(ゲーム装置5)側とで分担してもよい。例えば、NFT化の処理(トークン化部231における処理)をゲーム装置5で行ってもよい。
【0097】
ゲームの種類には、限定はない。ゲームシステム1(コンピュータシステム)は、種々のゲームプレイに利用できる。例えば、ゲームは、対人戦でもよい。ゲームは、複数のプレイヤが互いに協力してプレイするゲームでもよいし、個人でプレイするゲーム(例えばタイムアタックなど)でもよい。例えば、ゲームは、ロールプレイングゲーム、シューティングゲーム、シミュレーションゲーム、ボードゲーム、パズルゲーム、育成ゲームなどでもよい。また、ゲームプログラムは、いわゆるオンラインゲーム用のゲームプログラムとして実装してもよい。
【0098】
ブロックチェーンのトークン化を実行する装置(サーバ装置2)は、必ずしも、ノードとしての機能を有する必要はない。また、ゲーム装置5も、必ずしも、ノードとしての機能を有する必要はない。
【0099】
トランザクション情報は、前記実施形態で例示した以外にも種々の態様で利用できる。例えば、キャラクタ育成のアプリケーションでは、トランザクション情報によって、複数のキャラクタから子供のキャラクタを生成したり、キャラクタのパラメータを成長させたり、キャラクタを譲渡したりできる。トランザクション情報は、素材として、キャラクタの育成、アイテム(武器など)を改良等に用いることも可能である。
【0100】
また、ゲームアプリケーションでは、トランザクション情報に基づいて、キャラクタを行動させたり、アイテムやオブジェクトなどを生成したり、取得したり、攻撃したりできる。
【0101】
抽選結果やクエストの報酬などの内容(処理内容)は、ランダムに選択したトランザクション情報の内容によって決定できる。また、抽選結果やクエストの報酬などの内容(処理内容)は、特定のブロックに含まれるトランザクション情報によって決定してもよい。
【0102】
抽選イベントでのトランザクション情報の利用例としては、例えばピックアップガチャと呼ばれるイベントにおいて、特定のブロックを指定して抽選イベントを行うことが考えられる。ピックアップガチャでは、常設のガチャとは違うテーブルで抽選されたり、特定のキャラクタが出やすかったりする。特定キャラクタは、そのピックアップガチャでしか出ない限定キャラクタであることがある。ピックアップガチャでは、開催期限があるものが多い。この抽選イベントでは、そのブロックに含まれるトランザクション情報のみに基づいて抽選を行うことが考えられる。特定のトランザクション情報しか利用しないことで結果の予想が可能になる。
【0103】
なお、個々のトランザクション情報によって制御されるゲームアプリケーションと、ブロックに含まれる複数のトランザクション情報によって処理されるゲームアプリケーションは、同じであっても、異なっていてもよい。
【0104】
また、トランザクション情報の利用は、ゲームプログラムには限定されない。種々のアプリケーションに適用できる。例えば、仮想通貨の取引を行うアプリケーションでは、このトランザクション情報に応じて仮想通貨の取引を行ってもよい。
【0105】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本態様の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0106】
5 ゲーム装置(情報処理装置)
22 記憶部
23 制御部(コンピュータ)
55 記憶部
56 制御部(コンピュータ)
561 情報取得部
562 処理決定部
563 ゲーム実行部(処理部)