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特許7498165分散型の車両を基にしたコンピューティングシステムを用いて、所定のコンピューティングタスクを処理するための方法、ならびに、コンピューティングシステム、サーバデバイス、および自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】分散型の車両を基にしたコンピューティングシステムを用いて、所定のコンピューティングタスクを処理するための方法、ならびに、コンピューティングシステム、サーバデバイス、および自動車
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/50 20060101AFI20240604BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20240604BHJP
【FI】
G06F9/50 150Z
G06Q10/06
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021506427
(86)(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2019071269
(87)【国際公開番号】W WO2020030718
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-02-02
(31)【優先権主張番号】18188325.7
(32)【優先日】2018-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597003088
【氏名又は名称】メルック・パテント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ハウシルト
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム・コリング
(72)【発明者】
【氏名】ヤメス・クグラー
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッド・マーティン
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-157955(JP,A)
【文献】特表2017-530449(JP,A)
【文献】特表2008-505396(JP,A)
【文献】再公表特許第2015/008367(JP,A1)
【文献】SAMIUR ARIF ET AL,Datacenter at the Airport: Reasoning about Time-Dependent Parking Lot Occupancy,IEEE TRANSACTIONS ON PARALLEL AND DISTRIBUTED SYSTEMS,米国,IEEE SERVICE CENTER, LOS ALAMITOS, CA, US,2012年11月01日,pages 2067-2080,URL:https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=6143927,[令和 4年11月2日検索]
【文献】KIM TAESIK ET AL,Analysis on characteristics of vehicle and parking lot as a datacenter,2017 4TH INTERNATIONAL CONFERENCE ON COMPUTER APPLICATIONS AND INFORMATION PROCESSING TECHNOLOGY (CAIPT),米国,IEEE,2017年08月08日,pages 1-4,URL:https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=8320719,令和 4年11月2日検索
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/50
G06Q 10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型の車両を基にしたコンピューティングシステム(10)を用いて、所定のコンピューティングタスク(17)を処理するための方法であって、サーバデバイス(11)を通して、前記コンピューティングタスク(17)が、前記コンピューティングタスク(17)のそれぞれの部分に関するそれぞれの計算データを備えた、複数のデータパケット(18)に分割され、
複数の自動車(12)に対して、各々の場合において、前記自動車(12)が現在、所定の準備状態(27)にあるかどうかが決定され、前記自動車(12)が現在、所定の準備状態(27)にあることが、前記自動車(12)が前記自動車の外部にある電気エネルギー供給デバイス(22)に結合され、前記自動車(12)の見込まれる残りの充電時間が所定の最低値よりも長いことを含み、
前記サーバデバイス(11)が、それぞれのデータパケット(18)を前記自動車(12)のうちの1つに送信し、前記それぞれのデータパケット(18)が、各々の場合において、前記準備状態(27)にあるそのような自動車(12)のみに送信され、
それぞれの自動車(12)が、前記自動車(12)に送信されたこのデータパケット(18)のそれぞれの計算データを処理し、これにより、前記送信されたデータパケット(18)に関するそれぞれの計算結果(28)を生成し、前記それぞれの計算結果(28)を前記サーバデバイス(11)に送信し、
前記サーバデバイス(11)が、前記コンピューティングタスク(17)に関する各々の送信された計算結果(28)から全体的な結果(29)を構築する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記準備状態(27)が、前記それぞれの自動車(12)が、前記自動車(12)の電気エネルギー貯蔵部(16)と前記自動車(12)の外部にある電力網(23)との間で電気エネルギーを交換するための電気充電ステーションに結合されることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記それぞれの自動車(12)が現在のデータパケット(18)に関する前記計算結果(28)を送信する前に前記準備状態(27)が終了する場合、前記自動車(12)が、前記現在のデータパケット(18)の残りの計算データを処理し、かつ/または前記準備状態(27)の終了後、具体的には、運転操作中、結果として生じる計算結果(28)を前記サーバデバイス(11)に送信する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記それぞれの自動車(12)のそれぞれの準備状態(27)の間、各々の場合において、前記データパケット(18)のうちの1つのみが一度に送信され、次のデータパケット(18)は、前記自動車(12)が、現在のデータパケット(18)に関する前記計算結果(28)を送信した場合および/または次のデータパケット(18)を要求する場合にのみ送信される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
現在の準備状態に関する第1のデータパケット(18)を送信するのに先立って、計算アルゴリズムが前記それぞれの自動車(12)内に設定され、前記それぞれのデータパケット(18)が、前記計算アルゴリズムによって処理されることになる入力データのみを前記計算データとして含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記サーバデバイス(11)によって、前記データパケット(18)の各々に対して、ステータス信号(30)に応じて前記データパケット(18)の前記計算データの数量および/または種類を選択することによって、前記それぞれの自動車(12)に関するそれぞれのステータス信号(30)に応じて計算労力が構成設定され、前記データパケット(18)が前記計算労力について判定される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ステータス信号(30)によって、前記サーバデバイス(11)および前記自動車(12)が結合される送信経路の少なくとも1つの特性がシグナリングされる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ステータス信号(30)によって、前記自動車(12)内に与えられる、少なくとも1つの環境条件、具体的には、温度および/または場所の指示がシグナリングされる、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記コンピューティングタスク(17)が、気象計算および/または医学計算および/または有限要素計算を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記サーバデバイス(11)が、所定の評価規則を用いて、すべての送信されたデータパケット(18)に対して同等の値を割り当て、前記自動車(12)から受信されたすべての計算結果(28)に対して、車両固有の前記同等の値を累積し、前記車両固有の累積された同等の値に基づいて、前記それぞれの自動車(12)によってもたらされる計算性能を決定する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
所定のコンピューティングタスク(17)を処理するためのコンピューティングシステム(10)であって、前記コンピューティングシステム(10)は、サーバデバイス(11)および複数の自動車(12)を備え、前記コンピューティングシステムが、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される、コンピューティングシステム(10)。
【請求項12】
前記サーバデバイス(11)が、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法の前記サーバデバイス(11)に関するステップを実行するように構成される、請求項11に記載のコンピューティングシステム(10)のためのサーバデバイス(11)。
【請求項13】
前記自動車(12)が、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法の対応するステップを実行するように構成される、請求項11に記載のコンピューティングシステム(10)のための自動車(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの自動車に基づく、コンピューティングシステムを用いて所定のコンピューティングタスクを処理または完了するための方法に関する。この情報は、コンピューティングシステムならびにその構成要素、すなわち、サーバデバイスおよび少なくとも1つの自動車にも関する。
【背景技術】
【0002】
自動車内には、1つまたはいくつかの電子制御ユニットが車上に提供されてよく、このユニットは、自動車の運転操作中、たとえば、シャシー制御機能および/または自律運転機能を提供し得る。そのような車両機能は、アルゴリズムをリアルタイムで実行するための計算性能を必要とする。このために、電子制御ユニットは、コンピューティングユニットまたは処理ユニットを含み、これらは、少なくとも1つのマイクロプロセッサおよび/または少なくとも1つのマイクロコントローラを含み得る。したがって、電子制御ユニットは、計算能力を提供し得る計算機または車両コンピュータを表す。この計算能力は、しかしながら、車両機能が必要とされる場合、運転操作中のみ使用される。対照的に、自動車が駐車しているときまたは駐車状態にあるとき、計算能力は使用されない。
【0003】
DE 10 2013 007 676 A1から、自動車内で、通信リンクを介して自動車に結合され、自動車内の計算を始動させることができる、スマートフォンを操作することができ、この計算は、その場合、自動車の制御デバイスによって実行されることが知られている。これにより、スマートフォンは、インターネットのサーバが計算のために利用可能でないような、サーバに対する無線接続が一時的に中断される場合にサポートされ得る。始動される計算に関する計算データの発生源については本文書で説明しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
自動車内で計算リソースを効率的に使用することが本発明の目的である。
【0005】
このタスクは、独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項、以下の説明、ならびに図面によって説明される。
【0006】
本発明により、分散型の車両を基にしたコンピューティングシステムを用いて、所定のコンピューティングタスクを処理または完了するための方法が提供される。本明細書で、サーバデバイスを通して、コンピューティングタスクは、コンピューティングタスクのそれぞれの部分に関するそれぞれの計算データを備えた、いくつかのデータパケットに分割または分離される。コンピューティングタスクは、したがって、計算データの全体または所定量を表す。サーバデバイスは、いずれの場合も、これらの計算データの一部分またはいくつかをデータパケットの形で提供するかまたは配列する。サーバデバイスは、固定であり、すなわち、サーバデバイスは、モバイル通信デバイスまたは車両の部分ではない。
【0007】
この方法では、その場合、いくつかの自動車、具体的には、少なくとも1つの、より具体的には、3つ以上または4つ以上の自動車が、以下で説明する方法で操作され得る。
【0008】
本発明によれば、自動車の各々に関して、自動車が、現在、所定の準備状態にあるかどうかがそれぞれ決定されることが想定される。準備状態は、自動車が車両の外部にある電気エネルギー供給デバイスに結合されている状態を少なくとも含む。自動車が準備状態にあるとき、自動車には、したがって、外部電気エネルギーが供給され得る。それにより、自動車は、その車両に属するエネルギー貯蔵部から貯蔵されたエネルギーに頼る必要がない。
【0009】
サーバデバイスは、それぞれのデータパケットを、いずれの場合も、自動車のうちの1つに送信し、それぞれのデータパケットは、いずれの場合も、準備状態にある、1つのそのような自動車にのみ送信される。データパケットは、限定数のそのような自動車に送信されることも可能であるが、必ずしも利用可能な自動車のすべてに送信されるとは限らない。準備状態は、したがって、それぞれの自動車がデータパケットのうちの少なくとも1つを受信および/または処理する準備を整えていると決定する。各自動車は、自動車内で、それぞれのデータパケットの計算データが提供されるように、データパケットのうちの異なる1つのデータパケットを受信し得る。それぞれの自動車は、その場合、少なくとも1つの送信されたデータパケットのそれぞれの計算データを扱うかまたは処理する。言い換えれば、自動車は、データパケットの計算データを用いて実行されることになる計算を実行する。このために、自動車は、知られている方法で、少なくとも1つの電子制御ユニットおよび/または少なくとも1つの車両コンピュータを備え得る。計算データの処理により、自動車は、送信されたデータパケットに関するそれぞれの計算結果を作成する。言い換えれば、計算データの処理により、データパケットに関する計算結果を表す出力データが生成される。自動車は、それぞれの計算結果をサーバデバイスに送信する。それにより、サーバデバイス内で、サーバデバイス自体が対応する計算データを処理する必要なしに、それぞれのデータパケットに関するそれぞれの計算結果が与えられる。むしろ、それぞれのデータパケットの計算データを処理するために、それぞれの自動車が使用された。サーバデバイスは、次いで、自動車の各送信または受信された計算結果から、コンピューティングタスクに関する全体的な結果を構築する。言い換えれば、サーバデバイスは、データパケットから生成された個々の計算結果を組み合わせる。これにより、全体的な結果、すなわち、コンピューティングタスクに対する解決策、が取得される。このために、サーバデバイスは、計算結果を生成または決定するために自動車を使用した。特定の自動車を選定するための別の基準は、その自動車の摩耗レベルが事前定義された条件(たとえば、摩耗が最小であるか、または事前定義されたレベルを下回る自動車)を満たすことであり得る。
【0010】
本発明によれば、準備状態は、少なくとも、自動車が車両の外部である電気エネルギー供給に結合されているという条件を常に含む。これにより、自動車の電気運転範囲が計算データの処理により損なわれないことまたは削減されないことが確実にされる。これは、自動車のエネルギー貯蔵部が酷使または低減されないという利点をもたらし、それにより、自動車は、特に、その運転準備を完全に維持する。準備状態において、自動車が、現在、利用可能な計算能力を有すること、すなわち、その計算能力がそれぞれの自動車の運転操作のために現在必要とされないことが確実にされるように、それぞれの自動車が、いずれの場合も、少なくとも1つのデータパケットを受信し、その中に含まれる計算データを処理するために与えられなければならない準備状態が当業者によって設定され得る。準備状態の定義は、したがって、自動車によるデータパケットの処理が所望される、または生じるべき、すべての操作状態を含む。準備状態は、したがって、追加の制約条件を含み得る。
【0011】
本発明により、したがって、全体として、自動車が準備状態にあるときはいつでも、コンピューティングタスクを処理するために自動車が使用され得るという利点をもたらす。
【0012】
本発明は、追加の利点を提供する実施形態をも含む。
【0013】
自動車内で準備状態が生じるためには、そのユーザは、これにより、その場合、少なくとも1つのデータパケットの計算または処理を円滑にするかまたは可能にするために、自動車を一般に駐車状態で、たとえば、公共または私設の電力網に接続することができる。たとえば、自動車は、少なくとも1つのデータパケットが処理されるように、少なくとも1つの搭載コンピュータまたは車両コンピュータに電気エネルギーを供給するためにのみ、電力網に接続されることが想定され得る。電気エネルギー供給デバイスは、しかしながら、一実施形態によれば、好ましくは、自動車の電気エネルギー貯蔵部、具体的には、高電圧電池と、車両の外部にある電力網との間で電気エネルギーを交換するために提供される電気充電ステーションによって実現される。言い換えれば、準備状態は、自動車が電気エネルギーを充電するための電気充電ステーションに結合されているときのみ、データパケットの計算または処理が開始されることを確実にする。充電ステーションは、その場合、述べたエネルギー供給デバイスを表す。準備状態は、その場合、自動車の電気充電動作または充電プロセスにおいて生じる。充電ステーションは、たとえば、自動車および/または電磁誘導充電システムを結合するための充電ケーブルを備え得る。電磁誘導充電システムの場合、データの転送(たとえば、データパッケージの転送)は、ワイヤレス接続(WLAN、モバイルフォン接続)を用いて、かつ/または充電システムの磁場を変調することによって、実行され得る。
【0014】
一実施形態は、予想される残りの停車時間または準備状態の残りの持続時間、具体的には、前記充電ステーションにおいて予想される残りの停車時間または残りの持続時間を決定し、準備状態は、残りの持続時間が所定の最低値よりも長いこと、を含む。残りの利用可能な持続時間、および、それにより、計算データの処理のために依然として利用可能な時間期間が、したがって、決定される。サーバデバイスは、その結果、そのようなデータパケットのみを自動車に送り、そのデータパケットは、残りの持続時間内で自動車によって処理され得る。これにより、処理が準備状態の終了によって中断されること、すなわち、自動車が、たとえば、エネルギー供給デバイスから切断されること、が有利に回避される。準備状態の予想される残りの持続時間は、たとえば、充電ステーションに対する予約データおよび/または自動車の電気エネルギー貯蔵部の充電レベルの充電レベルデータに基づいて決定され得る。投入される充電電力の値と、その充電レベルと最大充電レベルとの間の差異を組み合わせることによって、残りの充電時間を計算することができ、残りの充電時間は、準備状態の残りの持続時間に対する推定として役立ち得る。
【0015】
この残り時間の予測に対して、一実施形態は、残りの持続時間が、自動車のユーザのユーザプロファイルおよび/もしくはカレンダーデータ、ならびに/またはユーザがエネルギー供給デバイスを予約した予約持続時間に応じて決定されることを想定する。そのような残り時間の予測は、自動車自体によって、またはサーバデバイス、もしくは車両の部分を形成しない別のユニットによって、提供され得る。また、残り時間予測が、一方で、自動車自体によって部分的に行われ、他方で、サーバデバイスおよび/または車両の部分を形成しないユニットによって部分的に行われる、結合モデルが想定され得る。たとえば、サーバデバイスは、エネルギー供給デバイスに関するデータをデータベースから取り出すことができる。自動車は、対照的に、履歴および/または統計的に決定された移動時間に関してユーザプロファイルを生成し得る。自動車内で、これは、インフォテインメント(infotainment)システム(情報エンターテインメントシステム)に関してなど、たとえば、制御ユニットによって実行され得る。車両の部分を形成しないユニットとして、たとえば、スマートフォンおよび/またはインターネットサーバがそれぞれ提供されてよい。前記ユーザプロファイルは、ユーザの少なくとも1つの習慣、たとえば、過去に一度もしくは複数回、または定期的に訪れた、少なくとも1つの滞在場所およびそこで費やした時間の持続時間を記述し得る。カレンダーデータは、現在のかつ/または将来のタイムテーブルおよび/またはユーザの滞在の計画を記述し得る。したがって、そこから、準備状態の予想される持続時間が、いずれの場合も、具体的には、自動車の予想される残りの駐車持続時間が、決定され得る。次いで、確立された、予想される全体的な持続時間または準備状態の予想される残りの持続時間がシグナリングされ得る。たとえば、結果として、自動車は、その予想される駐車時間または駐車期間をシグナリングし得る。たとえば、一時間よりも長い、具体的には、一日を超える、長期駐車がたとえばシグナリングされ得る。これにより、準備状態の残りの持続時間が考慮および/または活用されるような方法で、サーバデバイスによって、データパケットが生成または配列されるという利点がもたらされる。予想される残りの駐車持続時間を定義する能力は、タスク仕様および/または指向を管理するために有利である。事前定義された範囲内で、事前定義された最低数の自動車が駐車され、その日の所与の時点で1つの/それらのそれぞれの充電ステーションに接続されることを予測するために、1つまたは複数の充電ステーションの統計的使用データが使用されてもよい。また、このために予約データが評価されてもよい。ユーザが予約を取り消した場合、これは、したがって、事前に考慮に入れられてよい。
【0016】
しかしながら、準備状態が不意に終了することが生じることもある。一実施形態は、したがって、それぞれの自動車が現在のデータパケットに関する計算結果を送信する前に準備状態が終了する場合、計算結果がすでに与えられている場合、自動車が、準備状態の終了後、具体的には、自動車の運転操作中、結果として生じる計算結果をサーバデバイスに送信することを含む。計算結果が与えられない場合、自動車は、計算を終了し、自動車が準備状態に再度入ると再開する。これにより、有利には、中断の場合の機構が定義されるか、または示される。それにより、自動車が電力に接続されていないとき、データパケットの新しい計算または自動車に対する送信は可能にされない。データパケットが自動車に転送されているとき、データパケットは自動車による予約のために利用可能である。自動車が限定された時間量内に結果を戻さないとき、予約は無効になり、新しい自動車がそれを予約することができる。代替として、各データパケットは、2台以上の自動車によって行われた要求/予約を有し得る。第2の自動車からの結果が廃棄されて、結果を返した第1の自動車が獲得する。
【0017】
計算結果の損失を最小限に維持するために、本発明の一実施形態によれば、それぞれの準備状態の間、いずれの場合も、データパケットのうちの1つのみが一度に送信される。次のデータパケットは、自動車が、現在のデータパケットに関する計算結果を送信したときおよび/または次のデータパケットを要求するときのみ、送信される。これにより、自動車内で、いずれの場合も、1つのデータパケットのみが一度に処理または計算され、それにより、準備状態が不意に終了する場合、かつ/またはサーバデバイスと自動車との間の通信リンクの中断の場合、この1つのデータパケットのみが失われるという利点がもたらされる。好ましくは、単一の自動車は、任意の時点で1つのデータパケットのみを有し得る。
【0018】
自動車の場合、自動車は、予想可能なもしくは予測可能なまたは再生可能な車両状態を常に有するべきであるという、さらなる特定の問題が存在する。これは、自動車の意図される運転行為が保証されることを確実にする。したがって、自動車の少なくとも1つの車両コンピュータの場合、計算データの処理によって、何の未定義の操作状態も採用されないことが確実にされなければならず、これは、運転行為に影響を及ぼし得る。(プログラミング命令を備えた)プログラムコードを、計算データのみを備えたデータパケットの代わりに、データパッケージとして転送することは、そのようなプログラムコードが自動車内部で実行され得る前に、自動車環境においてより多くのテストを必要とし得る(また、場合によっては、追加のテストに合格しなければならない)。一実施形態は、この点で、現在の準備状態に関する第1のデータパケットの送信に先立って、計算アルゴリズムがそれぞれの自動車内に設定され、またそれぞれのデータパケット内に、計算アルゴリズムによって計算されることになる入力データのみが計算データとして含まれること、を含む。計算アルゴリズムは、たとえば、自動車の製造中、または自動車内のソフトウェア更新の際に、記憶され得る。それぞれの自動車内の計算アルゴリズムは、したがって、永続的に、または、たとえば、準備状態がサーバデバイスによって自動車に送信されると認識されるときはいつでも、インストールされ得る。それを用いて計算データが処理される実際の計算アルゴリズムが自動車内のデータパケットに依存せずに提供されることにより、自動車内でそれぞれのデータパケットの処理中に実行される計算動作または計算ステップは、安定して提供されるかまたは事前に知られる。したがって、データパケットの処理中、計算アルゴリズムがこれを防ぐ場合、所望されないまたは知られていない操作状態は生じ得ない。計算アルゴリズムに従って生じ得る操作状態のみが生じる。これは、しかしながら、計算アルゴリズム自体に基づいて検査されてよく、それにより、各データパケットに対して個々に監視または検査されなくてよい。前に設定された計算アルゴリズムを通して考えられる計算ステップを制約することによって、定義された、再生可能なプロセスが自動車内でもたらされる。設定された計算アルゴリズムは、事前に、すべてのデータパケットに対して妥当であり、再生可能かつ/または検証可能である。それにより、操作プロセスまたは自動車内のデータパケットによってトリガされるプロセスは、まさに最初から知られている。データパケット内で、計算アルゴリズムによって計算されることになる入力データのみが常に生じ、新しいプログラムコードまたは計算命令は生じない。計算アルゴリズムは、コンピューティングタスクに依存している。計算アルゴリズムは、これにより、別のコンピューティングタスクを解決または処理することが可能であるために、当然、自動車内で変更され得る。計算アルゴリズムの一例は、FEM(有限要素方法)またはシミュレータである。FEMまたはシミュレータは、自動車内に事前にインストールされてよく、各データパケットは、物理的対象またはシミュレートされることになるモデルを記述する計算データのみを備える必要がある。データパケットは、たとえば、バイナリプログラムコードなど、いずれの処理命令も備える必要がなく、たとえば、モデルパラメータのみを備える必要がある。
【0019】
データパケット内で提供される計算データは、しかしながら、概して、自動車の処理デバイスによって実行され得るプログラムコードをやはり表し得る。その場合、既成の計算アルゴリズムは不要である。計算アルゴリズムは、製造プロセスの一部としてインストールされ、かつ/または、充電ステーションに接続されるとき、またはサーバデバイスと通信する責任を担うワイヤレス接続を介して遠隔に、更新/フラッシュされる、ファームウェアの部分であってよい。更新は、自動車が、サーバデバイスから作業(少なくとも1つのデータパッケージ)を要求/予約するとき、かつ/またはペイロード/フレームワークに基づいて実行する計算のインスタンスを作成するとき、最初に実行され得る。
【0020】
サーバデバイスは、好ましくは、少なくとも1つのさらなる基準に基づいて、データパケットを自動車に送ることが道理にかなうかどうか、またはどのデータパケットが送られるべきか、を決断する。
【0021】
一実施形態は、サーバデバイスによって、データパケット内で、それぞれの自動車に関するそれぞれのステータス信号に応じて、計算労力が構成設定されることを含み、データパケットが計算労力について判定される。計算労力は、たとえば、必要とされる時間量、すなわち、データパケット内に含まれたすべての計算データを処理するために自動車が必要とする推定時間期間を示し得る。計算労力は、たとえば、追加または代替として、エネルギー消費、すなわち、データパケット内に含まれたすべての計算データを処理するとき、自動車が先を見越して提供する必要があるエネルギー量を示すこともできる。計算労力は、ステータス信号に応じて、データパケットの計算データの数量および/または種類を選択することによって、調整または設定される。言い換えれば、ステータス信号に応じた計算データまたはデータパケットの複雑性が選択されるか、または設定されるか、または変えられる。ステータス信号に応じて、より多数のまたはより少数の計算データおよび/または一定の種類の計算データが結合されてもよく、またはデータパケット内に含まれてもよい。これは、データパケットによって自動車内に必要とされる計算労力が自動車のステータス信号に調整されるという利点をもたらす。ステータス信号は、自動車自体によって、かつ/またはサーバデバイスおよび/または、それを介してサーバデバイスおよび自動車が通信する、第三の外部ユニット、たとえば、通信ネットワークのネットワーク制御によって全体的にまたは部分的に生成または定義され得る。計算労力に必要とされる時間量は、0.5秒から5分の範囲内で異なり得る。ステータス信号を用いて、以下の側面、すなわち、自動車の位置、自動車内にインストールされた技術能力(任意選択)のうちの1つが考慮され得、それは、その能力が均一/標準でないことがあるためである。追加または能力代替として、自動車のモデル/シリーズが考慮されてよい。データパケットのフォーマットは、好ましくは均一であり、これは、複雑性およびコストに対して有利である。
【0022】
いくつかの実施形態は、自動車のステータスがステータス信号によって記述され得る問題を考慮する。
【0023】
一実施形態は、ステータス信号によって、サーバデバイスおよび自動車がそれを介して結合される送信経路または送信ルートの少なくとも1つの特性がシグナリングされることを含む。言い換えれば、送信品質または送信等級がステータス信号によって記述される。たとえば、送信範囲もしくは送信速度および/または送信コストが記述され得る。これにより、このために、送信されるデータパケットの数に対する、自動車内で生じる計算負荷の比率が送信経路に対して調整されるという利点がもたらされる。たとえば、ステータス信号に従って、可能な限り少数のデータパケットがサーバデバイスによって送信されるのであれば(たとえば、高い送信コストおよび/または低い送信速度により)、少数の計算データを備えたデータパケットが、比較的長い計算時間を必要とするものの、コンパイルされ得る。その場合、この1つのデータパケットを送信すれば十分であり、これにより、自動車内で、所定の最小時間期間にわたって計算負荷を依然として生成する。高い送信速度(所定のしきい値を超える)を備えた送信経路の場合も同様であり、より短い予想される計算時間、すなわち、具体的には、たとえば、10秒未満または60秒未満のデータパケットのみを送信することが想定され得る。これは、準備状態および/または通信リンクの終了時に、最後の、現在のデータパケットに関する計算結果を送信することがもはや可能でない場合、このデータパケットの計算時間のみが失われ、この損失は、その場合、小さい(すなわち、たとえば、1時間の計算時間と比較して、たとえば、最大で10秒または60秒)という利点を伴う。これは、たとえば、請求/支払いを成立させる際に使用され得る。当然、送信速度よりも単純な信号が使用されてもよい。
【0024】
一実施形態は、ステータス信号によって、自動車内で与えられる、少なくとも1つの環境条件、および/または場所の1つの指示がシグナリングされることを含む。1つの環境条件は、たとえば、自動車の領域内で一般的な温度であり得る。環境条件および/または場所の指示を考慮することによって、データパケットは、自動車の局所条件に調整され得る。温度が、たとえば、所定のしきい値に満たない場合、自動車に対して十分な冷却性能が与えられていると仮定することができる。しきい値は、たとえば、一領域において、15度より低く、具体的には、10度未満にあってよい。対照的に、温度が第2のしきい値を超える場合、データパケットの送信は、さらに伴わずに行われてよい。第2のしきい値は、たとえば、25度の範囲を超える、具体的には、35度を超えてよく、または2つのデータパケットの送信の間に、自動車内の冷却を可能にするために、所定の最低時間にわたって待機する。場所の指示は、たとえば、自動車が、たとえば、自動車の1つまたはいくつかの換気装置によって生じ得るような雑音を生成し得るかどうかのヒントを提供し得る。そのような雑音が生成されてはならない場合、データパケットの送信または提供を伴わずに同様に行われてよいか、または自動車内の受動的な冷却を可能にするために、2つのデータパケットの送信同士の間に所定の最低時間にわたって待機する。加えて、その準備状態を決定するとき、すでに説明したように、自動車によって、さらなる環境要因がやはり考慮されてよいか、または織り込まれてよい。
【0025】
ステータス信号は、自動車の電気高速充電プロセスをシグナリングすることもできる。高速充電(所定のしきい値よりも大きい、たとえば、10キロワットよりも大きい、具体的には、20キロワットよりも大きい、電気性能を備えた電気エネルギー貯蔵部の充電)の場合、サーバデバイスは、計算のためのデータパケットを自動車に送信しないことになる。これにより、自動車内で、計算性能、それにより、電気性能がやはり消費されるため、高速充電が延長されることが有利に回避される。それにより、充電プロセスの持続時間がユーザの視点から不意に延長されない。ユーザが自動車を使用して移動しており、車両のエネルギー貯蔵部を充電するために限定された時間量にわたって停止することのみを計画しているとき、これは重要であり得る。
【0026】
一実施形態は、ステータス信号によって、バッテリーが充電される速度がシグナリングされることを含む。これは、バッテリーの充電速度が1つのデータパケットのエネルギー消費より低い場合、データパケットを取得する資格を自動車から奪うために使用され得る。言い換えれば、これは、データパケットの処理が一定の電力(ワット)を必要とし、自動車が少なくともその電力量を提供し得ること、または自動車が指定された時間範囲内または平均(たとえば、xワット/分)内でデータパッケージを処理するための事前定義されたエネルギーおよび/または電力量をまだ使い尽くしていないこと、を考慮に入れることになる。これは、特定の自動車内でデータパケットを処理するために使い尽くされるエネルギー量を制限するのに役立つ。
【0027】
一実施形態は、自動車を用いて、説明する方法でサーバデバイスによって解決されるコンピューティングタスクが、気象計算(気象データの計算)および/または医学計算(たとえば、ゲノム研究および/または癌研究)および/またはシミュレーション(たとえば、車両事故および/または交通の流れの)および/または有限要素計算を含むことを含む。この方法は、しかしながら、一般に適用可能である。それは単に、パケット単位で計算され得る、すなわち、計算データをいくつかの独立したデータパケットに分割することを可能にする、コンピューティングタスクであればよい。このために、コンピューティングタスクの並列化の技法が適用され得る。概して、したがって、モデルコンピューティングおよび/またはパターン認識がコンピューティングタスクとして想定され得る。このために必要とされるアルゴリズムは、説明した計算アルゴリズムの形で事前に決定され得る。データパケットの計算データは、その場合、たとえば、パターン認識が行われることになるカメラ画像であってよい。計算結果は、その場合、パターン認識の結果、すなわち、たとえば、一定の対象が認識されたという指示、または概して、分類結果であってよい。これは、任意のデータパッケージを処理することによって、車両のコンピュータが未定義状態で終了し得ないことを保証し得る。
【0028】
一実施形態は、サーバデバイスが、所定の評価規則を用いて、すべての送信されたデータパケットに対して同等の値を割り当て、少なくとも1つの自動車から受信されたすべての計算結果に対して、車両固有の、すなわち、すべての自動車に対して個々に、同等の値を累積し、車両固有の累積された同等の値に基づいて、それぞれの自動車によってもたらされる計算性能を決定することを含む。言い換えれば、各自動車がどの計算性能を個々にもたらしたかが決定される。これにより、たとえば、エネルギー消費を監視することができる。使用される評価規則は、たとえば、個々の計算データに、いずれの場合も、部分値を割り当てることを含み得る。同様に、これにより、データパケットの同等の値を決定するために、すべてのデータパケットは全体として、この評価規則によって評価され得る。たとえば、データパケットを計算するために自らの自動車を提供することに対してその自動車の運転者に報酬を出すために、請求システムを形成することができる。プロセス全体を通して観測データを作成することは有利であり得る。この主要な側面は、それが各自動車の作業結果に対して品質保証を実行することを可能にすることである。各データパケットが少なくとも2台の自動車によって処理された場合、結果を比較し、データパケットを割り当てられたすべての(定数の)自動車が同一の結果を送った結果のみを受け入れることができる。異なる結果を送ったグループ内のいずれの自動車も個々に審査し、その自動車が正確な結果を提供することが可能であったかどうかを確かめることができる。
【0029】
少なくとも1つのデータパケットおよび/またはそれぞれの関連する計算結果の送信は、無線接続を介して、少なくとも部分的に、すなわち、全体的にまたは部分的に、達成され得る。そのような無線接続は、具体的には、モバイル無線ネットワークおよび/もしくはWLAN接続(ワイヤレスローカルエリアネットワーク)ならびに/またはBluetooth接続によって実現され得る。モバイル無線接続の場合、SIMカードをそれぞれの自動車内に永続的にインストールすることができる。無線接続によって、送信が自動車の環境内のケーブルインフラストラクチャに依存しないという利点がもたらされる。追加または代替として、送信は、少なくとも部分的に、自動車に結合されたモバイル端末を介して、かつ/または電気充電ステーションを介して、間接的に達成され得る。モバイル端末は、いずれの場合も、たとえば、スマートフォン、またはタブレットPC、またはスマートウォッチであってよい。その場合、モバイル端末によって提供される無線接続が使用され得る。モバイル端末を介した結合は、通信ハードウェアおよび/または通信ソフトウェアが自動車自体の中に提供される必要がなく、端末内の通信ハードウェアおよび/または通信ソフトウェアが使用され得るという利点を有する。また、自動車用の電気充電ステーションは、たとえば、請求データを送信するための、通信ハードウェアおよび/または通信ソフトウェアを有し得る。無線接続は、送信のために自動車によって有利に使用されることも可能である。追加または代替として、送信は、自動車に接続されたケーブルを介して少なくとも部分的に達成され得る。たとえば、充電ケーブルは、説明する電気エネルギー供給デバイスまたは充電ステーションによって提供され得るため、充電ケーブルを使用することができる。送信は、PLC(電力線通信)接続を介して、かつ/またはUSB(ユニバーサルシリアルバス)を介して実現され得る。PLC接続の場合、したがって、送信は、充電電流または自動車の電気エネルギー貯蔵部を充電するための充電性能の送信のためにも使用される電気ケーブルを用いて実行される。つながれた送信は、送信速度が自動車の周囲の無線干渉に依存しないという利点を有する。
【0030】
サーバデバイスとの間の自動車コンジットとして充電ステーションを利用することが好ましい。充電ステーション上にデータパケットを準備することは、自動車がそこでスケジュールされることになることがすでに知られているかまたは予測される場合、考慮されてもよい。PLCは、任意選択で、たとえば、ファームウェアとともに、データパケットに対する好ましい移送機構である。
【0031】
データパケットおよび/または計算結果の送信は、当然、セキュリティ機構を用いて保護され得る。たとえば、一方でサーバデバイスと他方で各自動車との間の通信リンクは、TLS(トランスポートレイヤセキュリティ)接続に依存し得る。
【0032】
1つのさらなる問題は、準備状態の決定に関する。自動車のうちの少なくとも1つまたはいくつかによって、独力で、いずれの場合も、その自動車が現在準備状態にあるかどうかを決定することができ、自動車が準備状態にある場合、準備状態がサーバデバイスにシグナリングされ得る。自動車のうちの少なくとも1つまたはいくつかの場合、サーバデバイスは、それぞれの自動車が準備状態にあるかどうかを調査することができる。自動車は、結果として、準備状態に対するすべての条件が満たされた場合、自動車は、自ら進み出るか、またはウェイクアップ機構が使用される、すなわち、サーバデバイスによって外部から調査が実行される、のいずれかである。データパケットまたはサーバデバイスからのサーバデータパケットを予約するために、自動車自体が進み出るものであることが好ましい。自動車はデータパケットを予約し、サーバデバイスは、その予約に対してタイマーを開始する。何らかの結果が受信される前にタイマーが終了した場合、そのデータパケットは別の自動車に送られる。
【0033】
サーバデバイスおよび一団の自動車全体によって、コンピューティングシステムが形成される。本発明は、ある所定のコンピューティングタスクを処理または扱うために、このコンピューティングシステムをやはり含む。コンピューティングシステムは、したがって、サーバデバイスおよびいくつかの自動車、具体的には、少なくとも1台の、より具体的には、3台以上または4台以上の自動車を含む。サーバデバイスおよび自動車は、この点で、本発明による方法の一実施形態を実行するように構成される。サーバデバイスは、1つのコンピュータ、またはいくつかのコンピュータの複合体を含んでよい。いくつかのコンピュータの場合、これらは、通信ネットワーク、たとえば、インターネットを介して結合される。自動車内で、自動車に対して想定される方法のステップが、たとえば、前記処理ユニットによって、すなわち、たとえば、電子制御ユニットによって、またはいくつかの電子制御ユニットの複合体によって、実行(executed)または実行(performed)され得る。このために、プログラムコードが自動車のデータ記憶内に提供可能であり、プログラムコードは、処理ユニットを通した実行時に、自動車に対して想定される方法のステップを実行する。サーバデバイスの場合、同様に、サーバデバイスを通した実行時に、サーバデバイスに対して想定される方法のステップを実行するプログラムコードが、たとえば、データ記憶装置内に想定され得る。処理ユニットは、少なくとも1つのCPU(中央処理装置)および/または少なくとも1つのGPU(グラフィカル処理ユニット)および/または少なくとも1つのFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)および/または少なくとも1つのASIC(特定用途向け集積回路)および/または少なくとも1つのDSP(デジタル信号処理ユニット)に基づき得る。
【0034】
サーバデバイスは、同様に、本発明の部分を表す。本発明は、したがって、本発明によるコンピューティングシステム用のサーバデバイスも含み、サーバデバイスは、サーバデバイスに関する本発明による方法のステップを実行するように構成される。このために、サーバデバイスは、説明した方法で説明したプログラムコードを含み得る。プログラムコードは、サーバデバイスのデータ記憶装置内に記憶され得る。
【0035】
本発明は、最後に、本発明によるコンピューティングシステムの構成要素として使用され得る自動車も含む。自動車は、それぞれの自動車に関する本発明による方法のステップを実行するように構成される。このために、自動車は、説明した方法でプロセッサデバイスを含み得る。その上、説明したプログラムコードは自動車内に記憶され得る。
【0036】
本発明は、説明した実施形態の組合せも含む。
【0037】
本発明のさらなる特徴は、請求項、図面、および図面の説明から派生する。説明において前に述べた特徴および特徴の組合せ、ならびに図面の説明において以下で述べ、かつ/または図面に示した特徴および特徴の組合せのみが、それぞれ示された組合せのみではなく、他の組合せで使用されてよく、または単独で利用されてもよい。
【0038】
次に、好ましい実施形態に基づいて、図面を参照することによって、本発明についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明によるコンピューティングシステムの一実施形態の概略図である。
図2】本発明による方法の一実施形態の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、サーバデバイス11および自動車12を備えたコンピューティングシステム10である。自動車12は、いくつかの自動車を表し、それらはすべて、1つの自動車12のみが示される、以下で説明する方法で構成され得る。サーバデバイス11は、1つまたはいくつかのコンピュータ13を備え、いくつかのコンピュータ13である場合、これらは、データネットワーク14を介して結合され得る。コンピュータ13は、複合体またはコンピュータクラウドを形成し得る。
【0041】
自動車12は、たとえば、自動車12を自動的または自律的に導くように構成され得る、車両コンピュータ15を備え得る。自動車12は、その上、たとえば、高電圧バッテリーであってよい電気エネルギー貯蔵部16を備え得る。本発明に関する「高電圧」という用語は、60Vを上回る、より具体的には、100Vを上回る電圧を指す。自動車12は、たとえば、電気駆動自動車、たとえば、ハイブリッド車両または電気自動車であってよい。
【0042】
コンピューティングシステム10内で、サーバデバイス11は、少なくとも1つの自動車12を用いて、コンピューティングタスク17を処理または完了し得る。このために基礎としてコンピューティングシステム10内で使用される1つの例示的な方法が図2に示され、以下で、図1および図2に関して説明される。
【0043】
コンピューティングタスク17は、ステップS10において、いくつかのデータパケット18にセグメント化または分割され得る。言い換えれば、処理されることになる、コンピューティングタスク17を具現または表す、計算データはいくつかのデータパケット18を介して配信される。
【0044】
自動車12およびサーバデバイス11は、通信デバイス19を介して結合され得る。通信デバイス19は、たとえば、自動車12に対する無線接続20および/または電気充電ステーション22を介した間接的無線接続21および/または電力網24を介したテザード型通信リンク23および/またはLAN(ローカルエリアネットワーク)および接続ケーブル25を含むことができる。自動車12は、したがって、ケーブルを用いて、かつ/またはモバイル無線または異なる無線接続を介して、概して、サーバデバイス11とデータを双方向に交換することができる。
【0045】
自動車12は、たとえば、データ送信のための接続ケーブル25として使用されてもよい、電気エネルギー貯蔵部16を充電するための充電ケーブル26を介して充電動作のために電気充電ステーション22に接続され得る。充電ステーション22は、エネルギー貯蔵部16を充電するためのエネルギー供給デバイスを表す。
【0046】
ステップS11における充電動作は、自動車によって準備状態27として認識されることが想定され得る。準備状態27で、自動車12は、いずれの運転タスクも実行しなくてよい。したがって、車両コンピュータ15は、他のコンピューティングタスクのために、具体的には、データパケット18内で計算データを処理するために、使用され得る。自動車12は、ステップS11において、準備状態27をサーバデバイス11にシグナリングし得る。
【0047】
サーバデバイス11は、その後、ステップS12において、通信デバイス19を介してデータパケット18を自動車12に送信し得る。自動車12は、車両コンピュータ15を用いて、送信されたデータパケット18からの計算データを処理し、この結果生じる出力データを計算結果28としてサーバデバイス11に再送信する。
【0048】
それぞれのデータパケットを自動車12に割り当てるとき、一定のデータパケット18を選択またはコンパイルするために、ステータス信号30も考慮されてよい。ステータス信号30は、すでに説明した方法で構成され得る。
【0049】
ステップS12は、繰り返し実行されてよい。
【0050】
サーバデバイス11内で、すべての送信されたデータパケット18に関する計算結果28が収集され、ステップS13において、コンピューティングタスク17に関する全体的な結果29がそこから形成される。
【0051】
サーバデバイスは、それにより、クラウドコンピューティングを実現し、遠隔サブシステムは、計算能力を提供し、それにより、要するに、累積された計算能力を達成する。それぞれのまたはいくつかのサブシステムは、この点で、自動車12によって実現される。これにより、コンピューティングタスクは、たとえば、ゲノムもしくは癌の研究において、または天候シミュレーションおよび/もしくは交通シミュレーションなど、シミュレーションの場合において、多くの車両を介して分散され得る。
【0052】
コンピューティングシステム10の場合、その停車時間またはその駐車状態の場合、クラウドコンピューティングまたは分散型コンピューティングと自動車12のフリートの組合せが生じる。運転中の自動車12の計算能力は運転タスク(運転支援、エンターテインメント、通信、ナビゲーション)のために使用されるが、この計算能力は、自動車が停車または駐車している間に十分利用可能である。理想的には、自動車が電気駆動自動車(電気自動車、プラグインハイブリッド車両)である場合、自動車は、それぞれのデータパケットの計算データの計算または処理のために利用可能な十分なエネルギーを有するために、エネルギー供給デバイス、たとえば、充電ステーションに配置される。
【0053】
サーバデバイスによって、自動車が準備状態にあるときはいつでも、この個々の自動車がトリガされ、かつ/または、セキュリティ機構、たとえば、TLS接続を介して、自動車の搭載コンピュータまたは車両コンピュータに通じる通信接続が確立される。このとき、計算データを備えたデータパケットは自動車に送信され得る。これは、2つのステップでやはり達成され得る。このために、最初に、どの計算ステップが実行されることになるかを示す、一般的な計算アルゴリズムが自動車に送信され得る。次いで、それぞれのさらなるデータパケット内で、パラメータセットが自動車に送信され得る。このパラメータセットは、計算アルゴリズムに対する入力データを提供する。自動車は、次いで、計算アルゴリズムを実行し、結果として生じる出力を計算結果としてサーバデバイスに送信する。それにより、自動車内で、計算が自律的に実行され、その後、完成した計算結果がサーバデバイスに送り戻され得る。この後、計算アルゴリズム自体は自動車内で削除されてよく、データ接続は閉じられてよい。また、自動車が準備状態にある限り、電気負荷動作ごとにいくつかのパラメータセットが連続的に送信され得る、すなわち、データパケットの送信は、任意の回数繰り返されてよい。また、準備状態が終了した後、たとえば、充電状態が終了した後、完成した計算結果は、自動車の運転操作中、依然として送信されてよい。
【0054】
一般的な計算アルゴリズムの採用、およびそれぞれのパラメータセットの後の送信は、データパケットの要求または送信が繰り返される場合、計算アルゴリズムが自動車内に一時的に記憶され得るため、データ量がより少ないという利点を有する。
【0055】
全体として、実施形態によって、これにより、車両フリート内でクラウドコンピューティングのためにそれぞれの車両コンピュータがどのように使用され得るかを示した。
【符号の説明】
【0056】
10 コンピューティングシステム
11 サーバデバイス
12 自動車
13 コンピュータ
14 データネットワーク
15 車両コンピュータ
16 エネルギー貯蔵部
17 コンピューティングタスク
18 データパケット
19 通信デバイス
20 無線接続
21 無線接続
22 充電ステーション
23 通信リンク
24 電力網
25 接続ケーブル
26 充電ケーブル
27 準備状態
28 計算結果
29 全体的な結果
30 ステータス信号
図1
図2