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特許7498167エネルギーを変換するための装置、方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】エネルギーを変換するための装置、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H02N 3/00 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
H02N3/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021513812
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2019074212
(87)【国際公開番号】W WO2020053266
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】1814767.8
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519327445
【氏名又は名称】イオネック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン、ネイサン
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/003625(WO,A1)
【文献】米国特許第04339678(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0211989(US,A1)
【文献】特公昭46-002466(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0231315(US,A1)
【文献】特公昭45-026663(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0149519(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0150611(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0313942(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1191769(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 1/00- 1/12
H02N 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する装置であって、
圧力容器と、
一対の電荷収集電極と、
電場生成器と、を備え、
前記圧力容器は、流体の入口ポートを備え、前記入口ポートから流入した加圧された流体を当該圧力容器内に保持するように構成され、
前記一対の電荷収集電極は、収集方向に沿って互いに間隔を空けて、前記圧力容器内に配置され、
前記電場生成器は、前記流体内の荷電種を分離するために、前記圧力容器内に電場の方向に沿った電場を生成するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記電場は、前記流体をイオン化するためのイオン化電場であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電場生成器は、一対の電場生成電極を備え、
前記一対の電場生成電極は、前記電場の方向に沿って間隔を空けて、前記圧力容器の両側に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記電場生成電極は、前記圧力容器から電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記電荷収集電極上に所定の電荷が蓄積されるまで前記電荷収集電極で電流が発生するのを遅延させ電流発生遅延手段を備え、
前記電流発生遅延手段は、前記圧力容器から突出した前記電荷収集電極の一部の周囲を密封するさらなる圧力容器と、前記さらなる圧力容器内に配置されるさらなる電極と、
前記電荷収集電極及び前記さらなる電極のそれぞれの自由端は、それぞれの電極間に火花間隙を形成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
一対の電荷収集電極に代えて、単一の電荷収集電極を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記圧力容器内の加圧された流体を照射するための電磁放射源を備え
前記電磁放射源は、波長が120nm以上820nm以下の電磁放射を生成するように構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
加圧流体のポテンシャルエネルギーを電気エネルギーに変換する方法であって、
圧力容器内の圧力を維持するために、加圧流体を発生させるステップと、
前記圧力容器を流れる前記加圧流体に電場を与えるステップと、
前記電場により、前記流体の正及び負の荷電種を前記電場の方向に沿って分離するステップと、
正及び負の荷電種の1つ又は各々の少なくとも一部を、それぞれの電流収集器で収集するステップと、
負荷に電気エネルギーを与えるために、前記電流収集器の1つから電流を引き出すステップと、を備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
正及び負の荷電種を含むイオン化された流体を生成するために、流れる前記流体に前記電場を与えることにより、前記流体をイオン化するステップを備え、
前記流体をイオン化するステップは、プラズマを生成するステップまたは暗放電もしくはコロナ放電などの放電を発生させるステップを備えることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
電荷収集電極上に所定の電荷が蓄積されるまで前記電荷収集電極で電流が発生するのを遅延させるステップを備え、
前記電流が発生するのを遅延させるステップは、前記圧力容器外に突出した前記電荷収集電極の自由端とそれぞれの電荷収集電極との間にある火花間隙で火花が発生するまで、電流が発生するのを遅延させるステップを備えることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記圧力容器内の圧力を維持するために前記加圧流体を発生させている間、前記加圧流体を電磁放射で照射するステップを備え、
前記電磁放射の波長が120nm以上820nm以下であることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記流体は、空気、アルゴン又はネオンなどのガスであることを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
流体の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するシステムであって、
請求項1から7のいずれかに記載の装置と、
電場を生成するための、電流制限電圧供給装置と、
一対の電荷収集電極の1つに接続された負荷と、を備えることを特徴とするシステム。
【請求項14】
前記負荷は、電気モータであり、
前記電気モータは、例えば、電気又はハイブリッドの自動車、自転車、三輪車、船、列車又は飛行機などの電気式輸送機関に搭載されることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記負荷は、電力会社サブステーションなどの電力供給ネットワーク又は1つ以上の民間会社もしくは住宅ユニットの電力供給ネットワークを備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エネルギーの貯蔵及び変換に関する。具体的には本開示は、ガス等の流体内の運動エネルギー又はポテンシャルエネルギーの、電気エネルギーへの変換に関する。
【背景技術】
【0002】
大半のポータブルなエネルギー貯蔵技術は、電池又は燃料電池内への化学的なエネルギーの貯蔵、必要なときの電気エネルギーへの変換を含む。電池や燃料電池の開発及び改良に向けて多くの精力的に研究が進められ、電池の製品寿命や燃料電池の安全性といった課題の解決が図られている。
【0003】
ガス又は液体のポテンシャル(圧力)エネルギーの形によるエネルギー貯蔵もまた知られている。例えば、需要が低いときは電気を使って水をより高いポテンシャルまで吸い上げる一方、需要が高いときは吸い上げられた水を発電タービンを通して落下させる技術が知られている。同様に、一定圧力(例えば、海底貯蔵)や一定体積(例えば、地下貯蔵)のガスの形によるエネルギー貯蔵も知られている。しかしながらこうした形のエネルギー貯蔵では、貯蔵したエネルギーを電気エネルギーに変換するための、タービンや電力装置を含む大規模な設備や複雑な構造が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改良された代替的な形でのエネルギー貯蔵が常に求められている。特にこうした新しい形のエネルギー貯蔵では、必須でないとはいえ、例えば電気自動車に搭載できるような小規模なものが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、流体のエネルギーを電気エネルギーに変換する装置は、流体の入口ポートと流体の排出ポートとを備えるフローチェンバを備える。一対の電荷収集電極が、収集方向に沿って互いに間隔を空けて、フローチェンバ内に配置される。電場生成器が、流体内の荷電種を分離するために、フローチェンバ内に電場の方向に沿った電場を生成するように構成される。流体の入口ポートと流体の排出ポートとの間の流路が、収集方向に沿う成分と電場の方向に沿う成分とを有する流れ方向を持つ。
【0006】
電場によって分離された正及び負の荷電種のうち第1のものは、電場によって、一般に流体の流れと同じ方向に運動するようにバイアスされる。正及び負の荷電種のうち第2のものは、一般に流体の流れと逆の方向に運動するようにバイアスされる(これにより、電場により誘起された運動の方向と流れの方向のスカラー積は、それぞれ正及び負となる)。流れは荷電種に異なった効果を与える。従って、電場に起因するものに加えて、電荷収集電極の間に追加的な荷電分離が発生する。これにより、流れの運動エネルギー(これは例えば、圧縮された流体容器内の圧力のポテンシャルエネルギーの結果である)が、負荷で消費可能な電気エネルギーに変換される。荷電種の異なる運動を含むイオン化ガスその他の流体の場合、荷電種の一方(例えばガスイオン)は、荷電種の他方(例えば電子)より強く、流体の流れから影響を受けるだろう。その結果、より強く流れから影響を受けやすい方の荷電種が、優先的に排出ポートを通ってフローチェンバから離れるだろう。これに対し他方の荷電種は、それぞれのキャプチャ電極によって優先的にキャプチャされるだろう。これによりキャプチャ電極間のポテンシャル差が増大し、過剰電荷に相当する電気エネルギーが与えられる。
【0007】
本開示で動作の原理が記述されたとしても、それは説明のためであり、開示の範囲を限定するものではないことが理解されるだろう。
【0008】
いくつかの実施の形態では、電場の方向と流れ方向とは実質的に平行であってもよい。いくつかの実施の形態では、収集方向と流れ方向とは実質的に平行であってもよい。有利なことに、これは流体の効果を最大化するだろう。とはいえ、流れ方向と電場の方向及び/又は収集方向とのスカラー積がゼロでない限り、一定の効果は存在する。いくつかの実施の形態では、電場の方向と流れ方向との間の角度、及び/又は、収集方向と流れ方向との間の角度は、-n度以上n度以下、又は(180-n)度以上(180+n)度以下であってよい。ここでnは45より小さく、例えば30、20又は10である。いくつかの実施の形態では、nは5より小さくてよい。いくつかの実施の形態では、電場の方向と収集方向とは、実質的に平行であってよい。いくつかの実施の形態では、流路は、電荷収集電極の一方又は両方を通る。例えば、電荷収集電極はメッシュ電極であってよい。電荷収集電極の中心軸は、流路の少なくとも一部に相当する軸と一致してよい。
【0009】
第2の態様では、流体のエネルギーを電気エネルギーに変換する装置は、流体の入口ポートを有する圧力容器を備える。一対の電荷収集電極が、収集方向に沿って互いに間隔を空けて、圧力容器内に配置される。電場生成器が、流体内の荷電種を分離するために、圧力容器内に電場の方向に沿った電場を生成するように構成される。第1の態様と同様に、この態様も、運動エネルギー(加圧流体内のランダムな粒子運動の形を取る)を電気エネルギーに変換する。
【0010】
いくつかの実施の形態では、圧力容器は、入口ポートに与えられる圧力が10バールのとき、通過する流体(例えばネオンなどの不活性ガス)の流れを0.1ml/分未満に制限するように構成された排出ポートを有してもよい。
【0011】
前述の態様のいくつかの実施の形態では、装置は、加圧流体及び/又は圧力容器内の電荷収集電極を照射するための電磁放射(例えば紫外線)の源を備えてもよい。電磁放射の源は、波長が120nm以上820nm以下の電磁放射を生成するように構成されてもよい。実際には、使われる波長は、電荷収集電極の材料に依存してもよい(例えば、タングステンの場合、275nmとか、120nm以上275nm以下といったように)。
【0012】
前述の態様のいくつかの実施の形態では、装置は、電荷収集電極上に所定の電荷が蓄積されるまで電荷収集電極で電流が発生するのを遅延させるための、電流発生遅延手段を備えてもよい。電流発生遅延手段は、さらなる圧力容器と、さらなる電極と、を備えてもよい。このとき、さらなる圧力容器は、当該圧力容器から突出した電荷収集電極の一部の周囲を密封し、さらなる電極は、さらなる圧力容器内に配置され、電荷収集電極及びさらなる電極のそれぞれの自由端は、それぞれの電極間に火花間隙を形成してもよい。電流発生遅延手段は、時間スイッチ、電圧又は電流トリガー型リレー、ダイオード等を備えてもよい。
【0013】
第3の態様では、流路は、前述のものに代えて、好適な任意の流路であってよい。このとき装置は、以下を備える。
・加圧流体及び/又は圧力容器内の電荷収集電極を照射するための電磁放射の源。好ましくは、電磁放射の源は、波長が120nm以上820nm以下の電磁放射を生成するように構成される。
・電荷収集電極上に所定の電荷が蓄積されるまで電荷収集電極で電流が発生するのを遅延させるための、電流発生遅延手段。好ましくは、電流発生遅延手段は、さらなる圧力容器と、さらなる電極と、を備える。さらなる圧力容器は、当該圧力容器から突出した電荷収集電極の一部の周囲を密封する。さらなる電極は、さらなる圧力容器内に配置される。電荷収集電極及びさらなる電極のそれぞれの自由端は、それぞれの電極間に火花間隙を形成する。
【0014】
前述の態様のいくつかの実施の形態では、電場は、流体をイオン化するためのイオン化電場である。流体は、空気、アルゴン又はネオンなどのガスであってよい。流体をイオン化することは、フローチェンバ内に、プラズマを生成すること、及び/又は、暗放電又はコロナ放電などの放電を発生させることを含んでよい。このような実施の形態では、荷電種の一方はガス分子から引き剥がされた電子であり、荷電種の他方はそれにより生じた正の荷電ガスイオンである。特に流体の流れは、自由電子より荷電イオンに対して強く影響するだろう。その結果、流体の流れによって、電子より多くの荷電イオンが差動的にフローチェンバを離れる。これにより荷電分離が促進され、電荷収集電極間の電気ポテンシャルが増大する。他の実施の形態では、流体は例えば、溶液内に正及び負に帯電したイオンが存在する液体であってもよい。
【0015】
電場生成器は、連続的な電場又は時間的に変化する電場(例えば、強さが連続的なパルスとして時間変化するパルス電場)を生成するように構成されてよい。いくつかの実施の形態では、電場生成器は一対の電場生成電極を備え、この一対の電場生成電極は、電場の方向に沿って間隔を空けて、フローチェンバの両側に配置される。いくつかの実施の形態では、電場生成電極は、電荷生成電極によって与えられてもよい。他の実施の形態では、電場生成電極は、荷電収集電極から分離されてもよく、フローチェンバから電気的に絶縁されてもよい。
【0016】
電場生成電極は、任意の好適な電圧源(例えば、任意の高電圧(HV)供給源で電力源としてバッテリーを備えるもの)によって駆動されてもよい。追加的又は代替的に、好適な電圧源はHVキャパシタを備えてもよい。電圧源は、電荷を分離する電場のパルスの連続を生成するパルス電場生成器を与える、パルス電圧源であってもよい。
【0017】
前述の態様のいくつかの実施の形態では、電荷収集電極の対ではなく、単一の電荷収集電極が、フローチェンバ内又は(状況に応じて)圧力容器内に配置されてもよい。
【0018】
第4の態様では、流体の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する方法は、フローチェンバを通る流れ方向に沿った流体の流れを発生させるステップを備える。流体は加圧流体であってよい。流体の流れを発生させるステップは、加圧流体のポテンシャルエネルギーを流体の流れの運動エネルギーに変換してよい。フローチェンバを流れる流体に電場が与えられる。電場は、流れ方向に沿う成分を有する電場の方向を持つ。これにより、流体の正及び負の荷電種が電場の方向に沿って分離され、正及び負に帯電した荷電種の一方は、流れ方向の成分を有する方向に運動するようにバイアスされ、正及び負に帯電した荷電種の他方は、流れ方向と逆方向の成分を有する方向に運動するようにバイアスされる。正及び負の荷電種の各々は、それぞれの電流収集器で収集される。そして、電流収集器の1つから負荷に電流が流れる。
【0019】
いくつかの実施の形態では、この方法は、負荷で消費されたエネルギーを表す量を検知するステップと、流体の流率を、負荷で消費されたエネルギーを表す量の関数として調整するステップと、を備える。追加的又は代替的に、この方法は、負荷に必要なエネルギーを表す量を受信するステップと、流体の流率を、負荷に必要なエネルギーを表す量の関数として調整するステップと、を備えてもよい。
【0020】
第5の態様では、流体の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する方法は、圧力容器内の圧力を維持するために、加圧流体を発生させるステップを備える。圧力容器内の流体に電場が与えられる。その結果、流体の正及び負の荷電種が前記電場の方向に沿って分離する。正及び負に帯電した荷電種の1つ又は各々の少なくとも一部は、それぞれの電流収集器で収集される。負荷に電気エネルギーを与えるために、電流収集器の1つから電流が引き出される。
【0021】
いくつかの実施の形態では、圧力容器からの流体の小さな流れ(0.1ml/分未満)の存在下で、圧力は維持される。
【0022】
前述の態様のいくつかの実施の形態では、この方法は、加圧流体を発生させている間、加圧流体及び/又は電荷収集電極を電磁放射(好ましくは、波長が120nm以上820nm以下の電磁放射で)で照射するステップを備える。前述の態様のいくつかの実施の形態では、この方法は、電荷収集電極上に所定の電荷が蓄積されるまで電流収集電極からの電流を遅延させるステップを備える。好ましくは、電流を遅延させるステップは、圧力容器外に突出した電流収集電極の自由端とそれぞれの電流収集電極との間にある火花間隙で火花が発生するまで、電流を遅延させるステップを備える。前述の態様のいくつかの実施の形態では、電場は、電場をパルス化することによって(例えば、電場の長さに応じたパルス波形を得るために、電圧をパルス化することによって)与えられる。
【0023】
第6の態様では、前述の方法の実施の形態において、任意の流路が使われる。このとき方法は、以下を備える。
・加圧流体を発生させている間、加圧流体を電磁放射(好ましくは、波長が120nm以上820nm以下の電磁放射で)で照射するステップ。
・電荷収集電極上に所定の電荷が蓄積されるまで電流収集電極からの電流を遅延させるステップ。好ましくは、この電流を遅延させるステップは、圧力容器外に突出した電流収集電極の自由端とそれぞれの電流収集電極との間にある火花間隙で火花が発生するまで、電流を遅延させるステップを備える。
【0024】
前述の態様のいくつかの実施の形態では、この方法は、正及び負の荷電種を含むイオン化された流体を生成するために、流れる流体に電場を与えることにより、流体(例えばガス)をイオン化するステップを備える。流体をイオン化するステップは、プラズマを生成するステップ及び暗放電又はコロナ放電などの放電を発生させるステップを1つ以上備えてもよい。
【0025】
第7の態様では、流体のエネルギーを電気エネルギーに変換するシステムは、前述の任意の装置を備える。システムは、イオン化された電場を生成するための電流制限電圧供給装置さらに備える。いくつかの実施の形態では、負荷は、よりポテンシャルの低い方の電極(すなわち、供給器の負電極に集められる複合電場電極及び電荷収集電極、あるいは供給器の負電極に接続された電場生成電極に隣接する電荷収集電極)に接続されてもよい。
【0026】
いくつかの実施の形態では、システムは、加圧流体を含むコンテナに入口ポートを接続するためのコネクタを備える。コンテナは、コネクタに取り外し可能に接続されてよく、これにより空のコンテナは、加圧流体を含む新しいコンテナに交換可能であってよい。コンテナは、装置と固定的な関係を持った状態でシステムに搭載され、例えば補充ポートを通して加圧流体が補充されてもよい。いくつかの実施の形態では、例えば流体がイオン化されたガスの場合、これにより効率が改善される。例えば、負荷は、電荷収集電極の一方と接地ポテンシャルとの間に接続されてもよい。このとき電荷収集電極の他方は、接地ポテンシャルに接続されてもよい。いくつかの実施の形態では、負荷は、フローティング配置で電荷収集電極に接続されてもよい。負荷は、一方の側が電荷収集電極の一方に接続され、他方の側が電荷収集電極の他方に接続されてもよい。負荷の一方の側と、それに対応する電荷収集電極は接地されてもよい。
【0027】
いくつかの実施の形態では、システムは、流体の流率を調整するための制御器を備える。制御器は、負荷で消費されたエネルギーを表す量を受信し、流体の流率を、負荷で消費されたエネルギーを表す量の関数として調整するように構成されてよい。追加的又は代替的に、制御器は、負荷に必要なエネルギーを表す量を受信し、流体の流率を、負荷に必要なエネルギーを表す量の関数として調整するように構成されてよい。負荷で消費されたエネルギーを表す量は、消費された電力、負荷に流れた電流、負荷での電圧降下、又はこれらの組み合わせであってよく、あるいは負荷がモータの場合、要求される速度やトルクであってもよい。制御器は、流体の流れを制御するバルブを制御してよい。制御器のいくつか又はすべては、対応する流体コンテナの上又は中に与えられてもよく、コンテナとともに取り外し可能であってもよい。
【0028】
負荷は、電気モータであってもよく、例えば、電気又はハイブリッドの自動車、自転車、三輪車、船、列車又は飛行機などの電気式輸送機関に搭載されてもよい。負荷は、電力会社サブステーションなどの電力供給ネットワーク又は1つ以上の民間会社もしくは1つ以上の家、アパートなどの住宅ユニットの電力供給ネットワークを備えてもよい。
【0029】
いくつかの実施の形態では、システムによって、圧力容器からの流体の流れが0.1ml/分未満に制限されてもよい。例えば圧力容器は、入口ポートに10バールの圧力(例えば、ネオンなどの注入ガスで)が加えられたとき、通過する排出圧が0.1ml/分未満に制限されるように(例えば、排出ポートのサイズや可変バルブによって)構成された排出ポートを有してもよい。
【0030】
第8の態様は、本明細書に記載の装置及び/又はシステムを備える電気式輸送機関に関する。第9の態様は、本明細書に記載の装置及び/又はシステムを備える電力供給ネットワークに関する。
【0031】
さらなる態様及び実施の形態が開示される。この態様及び実施の形態では、入口ポートと排出ポートとの間にある流体の流路は、収集方向及び電場の方向に対して任意の成分を有する流れ方向(例えば、収集方向及び電場の方向のいずれか又は両方に垂直な方向)を持つ。すなわち、この態様及び実施の形態では、流体の流路の方向は、収集方向に沿う成分と電場の方向に沿う成分とを有するようには制限されない。
【0032】
前述のいずれの態様及び実施の形態でも、流れ方向と電場の方向とのスカラー積は負であってよい。すなわち電場は、負に帯電した種(例えば電子)を、一般に流体の流れと同じ方向に加速するように作用する。これに対し流体の流れは、正に帯電した種(例えば、正のガスイオン)に対して、電場の作用と反対の作用を行う。これは、より大きな効果を与える。なぜなら、流体の流れは電子の運動よりイオンの運動により大きな影響を与え、流体の流れは正イオンの少なくとも一部が負の電荷収集電極に到達することを防ぐからである。別の実施の形態では、流れ方向と電場の方向のスカラー積は正であってもよい。この場合電場は、正に帯電した種(例えばガスイオン)を、一般に流体の流れと同じ方向に加速するように作用してよい。
【0033】
第1の方向が一般に第2の方向に沿うこと、あるいは第1の方向が第2の方向に沿う成分を持つことは、第1の方向に沿うベクトルと第2の方向に沿うベクトルとの間に(簡単にいえば、2つの方向の間に)ゼロでないスカラー積が存在すること、あるいは2つの方向が直行しておらず、従って両方向の間に0度から90度の角度、又は90度から180度の角度(あるいは角度の測定の意味に応じて、180度から270度の角度、又は270度から360度の角度)が存在することと等価であることが理解されるだろう。
【0034】
流体は、空気、アルゴン又はネオンなどのガスであってよい。有利なことに、アルゴン又はネオンは化学的に不活性ガスであり、これらの荷電イオンは安全に大気に開放することができる。同じことが、別の実施の形態に使うことのできる他の不活性ガスにも当てはまる。非不活性ガス(例えば酸素と窒素を含む空気)を使う実施の形態では、有毒ガスが大気に放出されるのを防ぐため、排出ポートを離れる流体内のイオンをキャプチャする及び/又は集めるキャプチャ装置の使用を含んでもよい。もちろん、他の実施の形態、例えば不活性ガスを使う形態がこのようなキャプチャ装置を使用してもよいことが理解されるだろう。
【0035】
上記の技術のいずれにおいても、装置又はシステムは、フローチェンバ又は圧力容器に出入りする流体の流率を0.1ml/分未満(例えば、9×10-2ml/分未満、8×10-2ml/分未満、7×10-2ml/分未満)に制限するように構成されてよい。あるいは、より一般的には、フローチェンバ又は圧力容器を通る流れの流率が0.1ml/分と異なるように(例えば、9×10-2ml/分未満、8×10-2ml/分未満、7×10-2ml/分未満となるように、あるいは0.1ml/分より大きくなるように、例えば、0.5ml/分以上、1ml/分以上、0.05l/分以上、0.1l/分以上、0.2l/分以上となるように)構成されてもよい。同様に、装置及び/又はシステムは、特定の圧力(例えば10バールと異なる圧力、例えば10バールより高い圧力、例えば11バール以上あるいは12バール)で動作するように構成されてもよい。圧力は9バールより低い圧力(例えば8バール未満、7、6、5バール以下)であってもよい。いずれの場合も、圧力は、1バールより高くてもよく、2バールより高くてもよく、3バールより高くてもよく、4バールより高くてもよい。いくつかの実施の形態では、流率は実質的にゼロである。例えば、いくつかの実施の形態では、入口ポートは、圧力容器への(さらに圧力容器からの)唯一の流体連通路である。対応する方法のカテゴリーも可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
以下、添付の図面を参照しながら、例示と説明を用いて、本開示の実施の形態を説明する。図面の同様の要素には同様の符号を付す。
図1】流体の流れを用いるエネルギー貯蔵及び変換システムの実施の形態を示す図である。
図2】エネルギー貯蔵及び変換システムの代替的な実施の形態を示す図である。
図3図1又は2のシステムを含む電気自動車を示す図である。
図4】流体のエネルギーを電気エネルギーに変換する方法を示す図である。
図5】エネルギー貯蔵及び変換システムのさらなる実施の形態を示す図である。
図6】さらなる実施の形態の簡略化した回路図である。
図7】エネルギー貯蔵及び変換システムのさらなる実施の形態を示す図である。
図8】エネルギー貯蔵及び変換システムのさらなる実施の形態を示す図である。
図9】エネルギー貯蔵及び変換システムのさらなる実施の形態を示す図である。
図10】エネルギー貯蔵及び変換システムのさらなる実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1を参照すると、加圧流体内に貯蔵されたエネルギーを変換するシステム2は、加圧流体のためのリザーバ6(例えば、加圧流体コンテナ)に接続されたエネルギー変換装置4を備える。いくつかの実施の形態では、流体は、例えばアルゴンやネオンのような不活性ガスである。フローチェンバ8は、一方の端部に、流路12によってリザーバ6に接続された流体の入口ポート10を備える。フローチェンバ8は、上記端部と反対側の他方の端部に、流体の排出ポート14を備える。それぞれ電荷収集メッシュ電極15が、各端部に与えられる。これにより、入口ポート10から排出ポート14への(又は排出ポート14から入口ポート10への)流体の流れは、メッシュ電極を通って流れる。いくつかの実施の形態では、ポートは、それぞれの電極15を通って延びるか、又はそれぞれの電極15に注がれる。いくつかの実施の形態では、別の電気的配置が取られてもよい。例えば、各ポートを取り囲むかポートに隣接して配置されるリング電極、それぞれのポートに隣接して配置される点電極などが使われてもよい。電極15の各々は、同じであるように構成されてもよいし、互いに異なるように構成されてもよい。電極15は、ここで開示されるものの組み合わせであってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0038】
一対の電場生成電極16が、間にフローチェンバ8を挟んで配置される。電場生成電極16はそれぞれ、入口ポート10,排出ポート14に隣接する。誘電体材料18が、各電場生成電極16とフローチェンバ8の端部との間に、フローチェンバ8の端部に隣接して配置される。誘電体材料18は、いくつかの実施の形態では固体であり、他の実施の形態では空気その他好適な誘電体である。従って電場生成電極16は、フローチェンバ8から電気的に絶縁される。いくつかの実施の形態では、流路12は誘電体材料18を通してフローチェンバ8に接続され、及び/又は、排出流路20が誘電体材料18を通して排出ポート14に接続される。いくつかの実施の形態では、排出流路20は、排出イオントラップを通して直接又は間接に外気に流体的に接続される。
【0039】
流体内の荷電種を分離する目的で、フローチェンバ8内に十分な強さの電場を生成するために、電流の制限された高電圧を供給する給電装置22が、電場生成電極16に接続される。いくつかの実施の形態では、電場は、流体をイオン化するのに十分な強さの電場である。例えば、給電装置22によって電場生成電極間に与えられるポテンシャル差は、アルゴンを流体としてイオン化するために、6000V/cm以上の強さの電場を生成するものであってよい。いくつかの流体では、それより小さい電場が必要とされる(例えばネオンでは、600V/cm)。一方別の流体では、それより大きい電場が必要とされる(例えば空気では、30kV/cm)。給電装置22は、電気的エネルギーのソース24(例えば24Vバッテリーなどのバッテリーのような直流電源)から給電される。いくつかの実施の形態では、給電装置22は、電流が制限されるように構成される。これにより、いくつかの実施の形態では、バッテリー(又はその他の電流源)からの電流は2Aより小さいように制限される。いくつかの実施の形態では、給電装置22に接続される回路内の電流(出力電流)は、例えば2Aより小さいように制限されてよい。いくつかの実施の形態では、チェンバ8が空気で満たされスパークが発生するときは、出力電流は降伏電流によって制限される。いくつかの実施の形態では、その値は、概ね50mA以上100mA以下である。いくつかの実施の形態では、給電装置への入力電圧は、例えば9V以上12V以下であってよい。いくつかの実施の形態では、給電装置22とソース24は、好適なソースによって予め充電された高電圧キャパシタで置き換えられてもよい。
【0040】
ステップダウンコンバータ26が、いくつかの実施の形態では電荷収集電極15のポテンシャルの低い方に、別の実施の形態では電荷収集電極15のポテンシャルの高い方に(図示されるように)、接続される。これにより、ステップダウンコンバータ26から(すなわち装置4から)電流を流すために、電極15の間のポテンシャル差が、ステップダウンコンバータ26に接続された負荷28に必要な動作電圧までステップダウンされる。負荷28は、電荷収集電極15に接続される。いくつかの実施の形態では、負荷の一端とこれに対応する電荷収集電極とは接地される。別の実施の形態では、負荷28は、フローティング配置で2つの電荷収集電極15の間に接続される。いくつかの実施の形態では、負荷28はグランドと電荷収集電極15の一端との間に接続され、電荷収集電極15の他端もまた接地される。
【0041】
いくつかの実施の形態では、電荷収集電極15は、1cmの面積を持ち、1.6cmの間隔を空けて配置される。一方、電場生成電極は5cmの面積を持ち、7cmの間隔を空けて配置される。フローチェンバは、7cmの長さを持ち、34cmの内部容積を持つ。リザーバ内の圧力が10バールのとき、フローチェンバの流率は0.1ml/分(1.7×10-3ml/秒)である。この流率の値は、流路及びポート10、12、14、20の流動抵抗、特に排出ポート14の比較的小さい断面積と比較的大きい流体抵抗に起因する。
【0042】
図2を参照すると、いくつかの実施の形態では、装置4は、前述の図1を参照して説明した装置4と同様に構成される(同様の部品には同様の符号を付す)。しかしながら、電荷収集電極15と電場生成電極16が、電荷収集と電場生成の統合電極17で置き換えられている点で異なる。電極17は、フローチェンバ8の各端部でフローチェンバ8内に配置され、給電装置22に接続される。いくつかの実施の形態では、電極17はチューブ状の電極として構成される。このとき2つの電極17は、同じ方向に沿うように調整された軸を持つ。いくつかの実施の形態では、入口ポート10と排出ポート14は、各電極17の側面に配置される。いくつかの実施の形態では、給電装置22は、給電装置22の正極に流入する電子による電流を防止する(又は強く制限する)ように構成される。これは、例えば給電装置22の正極に関するダイオードを用いて実現される。
【0043】
電荷収集と電場生成の統合電極17は、給電装置22のそれぞれの電極に接続される。ステップダウンコンバータ26が、給電装置22の電極の1つに、給電装置22と並列に接続される。これにより、電流が電極17から給電装置22に逆流するのを制限する(又は防ぐ)。負荷28が、ステップダウンコンバータ26に接続される。特にステップダウンコンバータ26と負荷28は、電極17の間に接続される。いくつかの実施の形態では、負荷の片側と電極17の1つは接地される。いくつかの実施の形態では、負荷は、電極17の1つ(例えばポテンシャルの低い方)とグランドとの間に接続される。このとき電極17の他方は、回路を閉じるために接地される。
【0044】
図3を参照すると、例えば電気自動車30は、前述のエネルギー変換装置4に接続されたリザーバ6を含む。エネルギー変換装置4は、前述の給電装置22と負荷28に接続される。負荷28は、自動車(例えば、自動車の駆動輪)を動かすための自動車のドライブトレーン32に結合された電気モータである。いくつかの実施の形態では、リザーバ内の加圧流体6に貯蔵されたエネルギーは、自動車を動かすための唯一のエネルギー源である。いくつかの実施の形態では、リザーバ6は装置4に取り外し可能に接続され、空になったときは満杯のリザーバに交換されることができる。別の実施の形態では、リザーバ6は、取り外し可能/交換可能であろうとなかろうと、電気自動車30の補充ポートを通して加圧流体を補充されることができる。
【0045】
制御器33は、1つ以上の運転者インタフェースからの入力(例えば、必要な速度又はトルク)、負荷/モータ28からの入力(例えば、必要電流や実電流)及びリザーバ6からの入力(例えば、リザーバに関係する圧力センサ及び/又はフローセンサなどで測定されたリザーバ内圧力)を受け付ける。そして制御器33は、給電装置22(特に電極16、17の電圧)や、場合によってはリザーバ6から装置4への流体の流れを調整するバルブ(図示しない)を制御する。特定の実施の形態では、制御器33は、適切な制御規則に基づいて(例えば、電流、フラックス、モータのトルク出力及び速度を調整するネガティブフィードバックを用いて)、印加電圧とフローを制御する。例えば、電場強度(すなわち、電極15/17に印加される電圧)は、必要な電力に基づいて制御されてよい。このとき電場強度は、必要な電力はとともに強くなる。いくつかの実施の形態では、適切な制御規則を実現するのに好適な制御器は、図1及び2の実施の形態で図3を参照して説明された装置に含まれる(すなわち、特定の応用と無関係に)ことが理解できるだろう。もちろん、実現される特定の制御規則や、検知量、受信量、制御量は、応用に応じて変わることが理解できるだろう。
【0046】
次に図4を参照して、エネルギー貯蔵及び変換システムを動作させる方法を説明する。ステップ34で、リザーバ6から装置4への流体の流れが引き起こされる。流体内の荷電種を分離するために、ステップ36で、電極16/17に電場が与えられる。
いくつかの実施の形態では、流体の流れが存在せず(又は実質的に存在せず)、運動エネルギーは主に圧力に起因する熱運動によって与えられると考えられる。後述するようにこの実施の形態では、排出口を閉じた状態(又は排出口が存在しない状態)の圧力下で、かつチェンバ8を加圧流体源(例えばリザーバ6)に接続させたままで(あるいはチェンバをリザーバから隔離した状態で、流体を充填することによって、圧力がチェンバ8に与えられる。いくつかの実施の形態では、流体はガスであり、このガスは電場によってイオン化される。例えば、いくつかの実施の形態では、電場は、ガス内に暗放電又はコロナ放電を発生させる。いくつかの実施の形態では、デバイス4のジオメトリに応じて、流体は電場の方向に沿って流れる。ステップ38で、荷電種(流体で固有の荷電種か、ガスイオンや電子などイオン化によって生成された荷電種)が、電荷収集電極16によって収集される。荷電種は、例えば各種の運動及び/又は流れに対する電極の配置に起因して、流体の流れによって差動的に影響されてよい。その結果、状況に応じて、荷電種のあるものが排出ポート20を通って装置4を優先的に離れ、荷電種の別のものが関係する電極15/17で優先的に収集されてよい。その結果、ステップ40で、流体の流れに起因して電極15/17間のポテンシャル差が増した結果、過剰電荷が電流として流れ、負荷28が電気的に動作してもよい。
【0047】
前述のようなステップ34における流体の流れ(例えばバルブを通る)のいずれか又は両方、あるいはステップ36で与えられた電場(例えば、給電装置22の電圧設定によって)は、いくつかの実施の形態では、1つ以上の検知された又は受信されたパラメータに基づいて制御されてよい。検知されたパラメータは、負荷によって消費されたエネルギーを表してもよい。また受信されたパラメータ、負荷に必要なエネルギーを表してもよい。さらに制御は、リザーバ6内の圧力のような、検知されたパラメータに基づいてもよい。さらに、例えば前述のように流体がガスである場合、給電装置22による電圧は、流体をイオン化するのに十分な電場を与えるために必要な電力に基づいて、装置4が必要な電力を供給できるように制御される。いくつかの実施の形態では、電圧は時間とともに変化してよい。例えばいくつかの実施の形態では、最初に給電装置22は、ガス内で放電が起こるまで及び/又はプラズマが生成されるまで高い電圧を与える。その後電圧は、放電又はプラズマを維持するのに必要なより低いレベルまで減少する。流体を効率的に利用し、必要な電力を与えるために、電場強度の制御は、フィードバック、時間プロトコル又はその両方に基づいてもよい。
【0048】
例えばリザーバ6内の圧力、及び/又は、必要な又は実際に負荷で消費される電力(又は関連する測定値、前述を参照)は変化する。従って流率は、可能な限り実質的に一定であるように制御されてよい。いくつかの実施の形態では、制御器は、流率及び/又は供給電圧を増加させることによって、必要な電力/消費される電力に応答してもよい。追加的又は代替的に、いくつかの実施の形態では、制御器は、例えばフローチェンバ8内の圧力センサからの信号に応答して、フローチェンバ8内の圧力を制御してもよい。流率及び/又は圧力は、一方では入口流路及びポート12、10の流体抵抗を制御することにより、他方では排出流路及びポート14、20の流体抵抗を制御することにより、制御されてもよい。例えばある実施の形態では、流路12、14のいずれか一方又は両方にスロットルバルブが与えられてもよく、及び/又は、ポート10、20は可変開口を備えてもよい。いくつかの実施の形態では、スロットルバルブ及び/又は可変開口は状況に応じて、制御器によって制御されてよい(例えば、前述のように流率及び/又は圧力を制御することにより)。
【0049】
前述の制御態様は、前述のすべての実施の形態(図1、2又は3を参照して説明したものや、以下の流れる流体に関する実施の形態を含む)に適用可能であることが理解されるだろう。
【0050】
いくつかの実施の形態では、流れの方向及び電場の方向は、一般に反対を向いてよい(すなわち負のスカラー積を持つ)。これらの実施の形態では、正の荷電種は、電場及び流れによって、異なる方向に運動するようにバイアスされる。動作流体としてイオン化されたガスが使われる場合、これは、ガス中の正イオンが、流れによって、対応する電荷収集電極16/17から実効的に吹き飛ばされ、実効的に装置4から分離することを意味する。一方、より高速な電子の運動が流体の流れから受ける影響はより少ないが、いずれにしても、流体の流れによって、対応する電荷収集電極16/17に向かうようにバイアスされる。しかしながらいくつかの実施の形態では、流体の流れと電場の相対的方向は、反転してもよい。
【0051】
前述の図1を参照して説明した特定の実施の形態の性能が、給電装置22の入力電圧を9Vから12Vに変化させることによって特徴付けられた。このとき流率は0.1ml/分の固定値であり、リザーバ圧力は10バールであり、供給電流は2Aの固定値であり、負荷は2つある。この結果、電力の変化が、閾値入力電圧を超えて負荷で消費された。
給電装置の出力電圧は、閾値入力電圧で約30kVであり、最大入力電圧12Vで約45kVであった。いくつかの結果が以下の表に示される。
【表1】
【0052】
図5を参照すると、システム2のいくつかの実施の形態では、電荷収集電極10、14はタングステン(例えば、トリエーテッドタングステンや、フローチェンバ8(例えば、クォーツチェンバ又はガラス/シリカチェンバ)の壁面及び電荷収集電極を取り巻く壁面シールを貫いて配置されたロッド)である。各実施の形態における圧力及び温度に耐える任意の非導電性材料を使うことができると理解されたい。同様に、任意の好適な電極材料を使うこともできる。チェンバ8に対する注入口12及び排出口20の向きは、流体がチェンバ8を実質的に斜めに横切って流れるような向きである。図5には、チェンバ8とその部品のみが示され、明確化のため、その他の要素(いくつかの実施の形態では、図1に示されている)は省かれている。図6に、簡略化された回路図が示される。図6では、デバイス4が、電荷収集電極10、14に対応する正極及び負極を備えた電圧源によって示される。
【0053】
いくつかの実施の形態(例えば、前述の任意の実施の形態)では、ステップ36で、与えられる電場がパルス化される。すなわち給電装置22の出力電圧は、電場の強度のパルス化された波形/パルスの連続を含む電極16間のポテンシャルを生成するために、パルス化される。例えば、パルスは複雑な形状(例えば、パルス幅が1msで、周期4msの、両側に小さなパルスを持つ大きなパルス)をしていてもよい。他の形状のパルス(例えば、実質的にシルクハット型、正弦波形、釣鐘型その他の任意の好適な形状)が使われてもよいことを理解されたい。いくつかの実施の形態では、追加的又は代替的に、チェンバ8内のイオン化を促進するために、チェンバ8(例えば、具体的には電荷収集電極)は、波長が120nm以上820nm以下の電磁放射(例えば、紫外光)を照射されてもよい。従ってこのような実施の形態では、チェンバを照射するために、対応する放射源/光源(図示せず)がチェンバ8に対して配置されてもよい。
【0054】
図5の実施の形態を用いてパルス電場を与え、チェンバ8を流れるガス流(ネオンガス)に関し、1分間のランタイムの実験を行った。そのパラメータ及び結果を以下に示す。
【表2】
【0055】
ポテンシャル差は、電極16全体にわたるパルス化されたポテンシャル差、すなわち給電装置22のパルス化された出力(前述の例で、最大強度50kv、rms4kvの波形を持つもの)に相当する。抵抗値は、図6の負荷/抵抗測定値である。このとき、実験全体を通した電圧の2乗平均平方根は、オシロスコープを用いて測定される。電流と電力のRMS値は、負荷抵抗値を基に計算される。入力電力は、ポテンシャル差を生成するために、給電装置22に供給される電力である。流率(リットル/分)及びガス圧は、それぞれチェンバ9内の流率及びガス圧を指す。負荷内で消費された電力のRMSの計算値は、入力電力より大きいことが分かる。その電力差は、加圧されイオン化されたガスの流れの運動エネルギーによってもたらされると考えられる。
【0056】
一定に与えられた電場に関し(その他の実験パラメータは前述のものと同じである)、対応するデータが以下の表に示される。
【表3】
【0057】
パルス化された電場を与えることにより、加圧されたガスの流れからより効率的にエネルギーを引き出すことができることが分かる。すなわち、負荷全体で消費される電力と入力電力との比は、パルス化された電場では68、一定電場では39と計算される。
【0058】
図7を参照すると、前述の実施の形態のある変形例では、単一の電荷収集電極14がチェンバ8内に配置される。この単一の電荷収集電極14は、フローティング又は接地により負荷に接続されてよい。
【0059】
図8を参照すると、前述のすべての実施の形態のいくつかの変形例では、電荷収集電極10、14上の電荷蓄積を増加させるための、電流発生遅延手段が与えられる。特にいくつかの実施の形態では、電荷収集電極10、14の自由端50は、チェンバ8に対して密封されたさらなる各チェンバ52内に閉じ込められる。さらなる各チェンバ52には、さらなる各注入口を通して、降伏電圧の低い不活性ガス(例えば、ネオン)が注入される。さらなる各電極56(例えば、タングステン電極)が、チェンバ52の壁を通して密閉的に、自由端50と並列して配置される。これにより、自由端50とこれに対応するさらなる電極56との間に火花間隙が形成される。電荷収集電極10、14の代わりに、さらなる電極56がシステム2の残りの部分(図示せず)に接続される。
【0060】
チェンバ8を通して流体が流れると、加えられた電場により当該流体がイオン化される。それとともに、電荷収集電極10、14間のポテンシャル差が、さらなるチェンバ52内の火花間隙での不活性ガスの降伏電圧を超えるまで、電荷収集電極10、14上に電荷が蓄積する。この火花間隙で放電が発生し、放電が持続する限りさらなる電極56を通して電流が流れる。このように、放電を発生させるのに十分な電荷が電荷収集電極10、14上に蓄積されるまでの間、電流の発生が遅延することが分かる。もちろん、他の任意の電流発生遅延手段(火花間隙の代わりに、例えば、電圧トリガー型リレー、スイッチ、ダイオード、時間スイッチなどを用いたもの)を使ってもよいことを理解されたい。
【0061】
上で簡単に説明したように、加圧された流体内に蓄積したエネルギーは、主に又は排他的に流体自体をに加圧することによって、電気エネルギーに変換することができる。前述の流れベースの実施の形態は、例えば止水栓を使って、永久に又は取外し可能に排出口20を閉じることによって、圧力ベースの実施の形態に変えることもできる。いくつかの実施の形態では、図9に示されるように、チェンバ8は、排出口20を完全に取り除いたものに変えられる。これによりチェンバ8は、注入口12のみを通して流体連通する。
【0062】
図5及び6の実施の形態を用いて、排出口20を閉じ、圧力ベースのエネルギー変換に関する1分間のランタイムの実験を行った。パルス化された電場に関し、そのパラメータ及び結果を以下に示す(その他のパルス化された、前述の流れベースのものと同じである)。実験の最初に、チェンバは圧力10バールのネオンガスで満たされた。その後ガス供給が止められ、チェンバは密封された。実験中に圧力低下が観測されたが、これはエネルギー変換によるものと考えられる。なぜなら、コレクタからの電流引き込みがなければ、同じ期間に圧力は実質的に一定だからである。
【表4】
【0063】
1分間の全ランタイム中の電力のrmsが計算され、ランタイム中の圧力変化の間で平均化される。
【0064】
前述の流れの実施の形態と同様に、圧力ベースの実施の形態も、パルス化された又は一定の電場を与えて扱うことができる(他の実験パラメータは変えずに)。実験パラメータ及び結果を以下の表に示す。
【表5】
【0065】
表から分かるように、前述の流れベースの実験と同様の傾向が見られる。完璧を期すために、入力パワーが比較的低いのは別の電源を使ったためであり、給電装置22による電流引き込みが低いのは(電場電極を一定に充電及び放電するのと逆に)電場を一定に保つためであることに注意されたい。
【0066】
前述のように、任意の流れベースの実施の形態は、排出口20を閉じることにより圧力ベースの実施の形態に変えることができる。いくつかの実施の形態では、図9に示されるように、チェンバ8は、排出口20を完全に取り除いたものに変えられる。これにより、他の実施の形態におけるデバイス4の部品を変えることなく、チェンバ8は、注入口12のみを通して流体連通する。いくつかの実施の形態では、図10に示されるように、隔壁58(例えば、クォーツウィンドウ)が、チェンバ8を2つの部分に密閉的に隔てる。2つの部分のそれぞれは、電荷収集電極10、14の一方を備える。排出口20は、さらなる注入口12として接続される。これにより、チェンバ8のそれぞれの部分は、加圧流体源に接続されたそれぞれの注入口12を備える。他の実施の形態におけるデバイス4の部品を変えることなく、圧力は、チェンバ8のそれぞれの部分で独立に保たれる。いくつかの実施の形態では、チェンバは、チェンバ壁と隔壁58とを備える統合部品として製造される。
【0067】
以上、本開示の態様を示すために、特定の実施の形態を、例示を用いて説明した。本発明の範囲は、添付の請求項で説明されることが理解されるだろう。本発明の範囲内で、例えば前述のような多くの変形や、異なる特徴の組み合わせが可能であることが当業者には明らかだろう。さらに、本実施形態の方法のステップの順番は適切に変更可能であり、ステップのいくつか又はすべてが時間的に一部又は完全にオーバーラップして実行されてよいことも理解されるだろう。同様に、前述の様々な実施の形態の特徴は、適切に組み合わされてもよい。いくつかの実施の形態は流れる流体に基づき、別の実施の形態は流れを伴わない(又は最小の流れを伴う)加圧に基づく。応用上、前述の流れに基づく特徴は加圧に基づく特徴に応用可能であり、その逆も真であることを理解されたい。本開示で「荷電種」(それぞれ正、及び負の)というとき、それぞれの種は単一の実体(例えば、それぞれ、単独で帯電した正電荷イオン、電子)であってもよいし、それぞれが例えば亜種(例えば、それぞれが異なる電荷を持つ正に帯電したガス)を備えてもよい。同様の考察は、流体が溶液中にそれぞれのイオンが含まれる液体溶液である実施の形態にも当てはまる。
【0068】
疑念を排除するために、いくつかの態様及び実施の形態を以下のリストで提示する。
【0069】
1.流体の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する装置であって、
フローチェンバと、
一対の電荷収集電極と、
電場生成器と、を備え、
前記フローチェンバは、流体の入口ポートと流体の排出ポートとを備え、
前記一対の電荷収集電極は、収集方向に沿って互いに間隔をあけて配置され、前記フローチェンバ内に配置され、
前記電場生成器は、前記流体内の荷電種を分離するために、前記フローチェンバ内に電場の方向に沿った電場を生成するように構成され、
前記流体の前記入口ポートと前記流体の前記排出ポートとの間の流路が、前記収集方向に沿う成分と前記電場の方向に沿う成分とを有する流れ方向を持つことを特徴とする装置。
【0070】
2.前記電場は、前記流体をイオン化するためのイオン化電場であることを特徴とする項番1に記載の装置。
【0071】
3.前記電場生成器は、一対の電場生成電極を備え、
前記一対の電場生成電極は、前記電場の方向に沿って間隔をあけて配置され、前記フローチェンバの両側に配置されることを特徴とする項番1または2に記載の装置。
【0072】
4.前記電場生成電極は、前記フローチェンバから電気的に絶縁されていることを特徴とする項番3に記載の装置。
【0073】
5.前記電場の方向と前記収集方向とは、実質的に平行であることを特徴とする項番1から4のいずれかに記載の装置。
【0074】
6.前記収集方向と前記流れ方向とは、実質的に平行であることを特徴とする項番1から5のいずれかに記載の装置。
【0075】
7.前記電荷収集電極の中心軸は、前記流路の少なくとも一部に相当する軸と一致することを特徴とする項番1から6のいずれかに記載の装置。
【0076】
8.前記流路は、前記電荷収集電極を通ることを特徴とする項番1から7のいずれかに記載の装置。
【0077】
9.前記電荷収集電極は、メッシュ電極であることを特徴とする項番1から8のいずれかに記載の装置。
【0078】
10.流体の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するシステムであって、
項番1から9のいずれかに記載の装置と、
イオン化された電場を生成するための、電流制限電圧供給装置と、
前記電荷収集電極の1つに接続された負荷と、を備えることを特徴とするシステム。
【0079】
11.加圧流体を含むコンテナに前記入口ポートを接続するためのコネクタを備えることを特徴とする項番10に記載のシステム。
【0080】
12.前記コンテナは、前記コネクタに取り外し可能に接続され、
これにより空のコンテナは、加圧流体を含む新しいコンテナに交換可能であることを特徴とする項番11に記載のシステム。
【0081】
13.前記流体の流率を調整するための制御器を備えることを特徴とする項番10から12のいずれかに記載のシステム。
【0082】
14.前記制御器は、前記負荷で消費されたエネルギーを表す量を受信し、前記流体の流率を、前記負荷で消費されたエネルギーを表す量の関数として調整するように構成されることを特徴とする項番13に記載のシステム。
【0083】
15.前記制御器は、前記負荷に必要なエネルギーを表す量を受信し、前記流体の流率を、前記負荷に必要なエネルギーを表す量の関数として調整するように構成されることを特徴とする項番13または14に記載のシステム。
【0084】
16.前記負荷は、電気モータであることを特徴とする項番10から15のいずれかに記載のシステム。
【0085】
17.前記電気モータは、例えば、電気またはハイブリッドの自動車、自転車、三輪車、船、列車または飛行機などの電気式輸送機関に搭載されることを特徴とする項番16に記載のシステム。
【0086】
18.前記負荷は、電力会社サブステーションなどの電力供給ネットワークまたは1つ以上の民間会社もしくは住宅ユニットの電力供給ネットワークを備えることを特徴とする項番10から15のいずれかに記載のシステム。
【0087】
19.加圧流体のポテンシャルエネルギーを電気エネルギーに変換する方法であって、
フローチェンバを通る流れ方向に沿った前記加圧流体の流れを発生させるステップと、
前記フローチェンバを流れる前記流体に電場を与えるステップと、
正および負の荷電種の1つまたは各々の少なくとも一部を、それぞれの電流収集器で収集するステップと、
電気エネルギーを与えるために、前記電流収集器の1つから負荷に電流を流すステップと、を備え、
前記流れを発生させるステップにより、前記加圧流体のポテンシャルエネルギーが、流体の流れの運動エネルギーに変換され、
前記電場は前記流れ方向に沿う成分を有する電場の方向を持ち、これにより、前記流体の正および負の荷電種が前記電場の方向に沿って分離され、
前記正および負の荷電種の一方は、前記流れ方向の成分を有する方向に運動するようにバイアスされ、
前記正および負の荷電種の他方は、前記流れ方向と逆方向の成分を有する方向に運動するようにバイアスされることを特徴とする方法。
【0088】
20.正および負の荷電種を含むイオン化された流体を生成するために、流れる前記流体に前記電場を与えることにより、前記流体をイオン化するステップを備えることを特徴とする項番19に記載の方法。
【0089】
21.前記流体をイオン化するステップは、プラズマを生成するステップを備えることを特徴とする項番20に記載の方法。
【0090】
22.前記流体をイオン化するステップは、暗放電またはコロナ放電などの放電を発生させるステップを備えることを特徴とする項番20または21に記載の方法。
【0091】
23.前記負荷で消費されたエネルギーを表す量を検知するステップと、
前記流体の流率を、前記負荷で消費されたエネルギーを表す量の関数として調整するステップと、を備えることを特徴とする項番19から22のいずれかに記載の方法。
【0092】
24.前記負荷に必要なエネルギーを表す量を受信するステップと、
前記流体の流率を、前記負荷に必要なエネルギーを表す量の関数として調整するステップと、を備えることを特徴とする項番19から23のいずれかに記載の方法。
【0093】
25.前記流れ方向と前記電場の方向とのスカラー積は負であることを特徴とする項番1から24のいずれかに記載の装置、システム、または方法。
【0094】
26.前記流れ方向と前記電場の方向とのスカラー積は正であることを特徴とする項番1から24のいずれかに記載の装置、システム、または方法。
【0095】
27.前記流体は、空気、アルゴンまたはネオンなどのガスであることを特徴とする項番1から26のいずれかに記載の装置、システム、または方法。
【0096】
28.前記流体は、不活性ガスであることを特徴とする項番1から27のいずれかに記載の装置、システム、または方法。
【0097】
29.流体の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する装置であって、
フローチェンバと、
一対の電荷収集電極と、
電場生成器と、を備え、
前記フローチェンバは、流体の入口ポートと流体の排出ポートとを備え、
前記一対の電荷収集電極は、収集方向に沿って互いに間隔をあけて配置され、前記フローチェンバ内に配置され、
前記電場生成器は、前記流体内の荷電種を分離するために、前記フローチェンバ内に電場の方向に沿った電場を生成するように構成されることを特徴とする装置。
【0098】
30.加圧流体のポテンシャルエネルギーを電気エネルギーに変換する方法であって、
前記加圧流体のフローチェンバを通る流れ方向に沿った流れを発生させるステップと、
電場生成器で、前記フローチェンバを流れる前記流体に電場を与えるステップと、
正および負の荷電種の1つまたは各々の少なくとも一部を、それぞれの電流収集器で収集するステップと、
電気エネルギーを与えるために、前記電流収集器の1つから負荷に電流を流すステップと、を備え、
前記流れを発生させるステップにより、前記加圧流体のポテンシャルエネルギーが、流体の流れの運動エネルギーに変換されることを特徴とする方法。
【0099】
31.前記電場生成器は、一対の電場生成電極を備え、
前記一対の電場生成電極は、前記電場の方向に沿って間隔をあけて配置され、前記フローチェンバの両側に配置され、
前記電場生成電極は、前記フローチェンバから電気的に絶縁されることを特徴とする項番29に記載の装置、または項番30に記載の方法。
【0100】
これらの技術のいずれにおいても、与えられる電場はパルス化された電場であってよく、及び/又は、フローチェンバは電磁放射(例えば、紫外線又は波長が120nm以上820nm以下の電磁放射)で照射されてよい。追加的又は代替的に、電極に電荷が蓄積するまで電流の発生を遅延させてよい。追加的又は代替的に、上記の技術に対する特定の又は任意の変形例において、一対の電荷収集電極を単一の電荷収集電極で置き換えてもよい。
【0101】
上記の技術のいずれにおいても、装置又はシステムは、フローチェンバ又は圧力容器に出入りする流体の流率を0.1ml/分未満(例えば、9×10-2ml/分未満、8×10-2ml/分未満、7×10-2ml/分未満)に制限するように構成されてよい。あるいは、より一般的には、フローチェンバ又は圧力容器を通る流れの流率が0.1ml/分と異なるように(例えば、9×10-2ml/分未満、8×10-2ml/分未満、7×10-2ml/分未満となるように、あるいは0.1ml/分より大きくなるように、例えば、0.5ml/分以上、1ml/分以上、0.05l/分以上、0.1l/分以上、0.2l/分以上となるように)構成されてもよい。同様に、装置及び/又はシステムは、特定の圧力(例えば10バールと異なる圧力、例えば10バールより高い圧力、例えば11バール以上あるいは12バール)で動作するように構成されてもよい。圧力は9バールより低い圧力(例えば8バール未満、7、6、5バール以下)であってもよい。いずれの場合も、圧力は、1バールより高くてもよく、2バールより高くてもよく、3バールより高くてもよく、4バールより高くてもよい。いくつかの実施の形態では、流率は実質的にゼロである。例えば、いくつかの実施の形態では、入口ポートは、圧力容器への(さらに圧力容器からの)唯一の流体連通路である。対応する方法のカテゴリーも可能であることを理解されたい。
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