(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】水性アイオノマー分散液とその方法
(51)【国際特許分類】
C08L 23/26 20060101AFI20240604BHJP
C08J 3/03 20060101ALI20240604BHJP
C08L 23/02 20060101ALI20240604BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20240604BHJP
C09D 123/26 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
C08L23/26
C08J3/03 CES
C08L23/02
C09D5/02
C09D123/26
(21)【出願番号】P 2021535126
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(86)【国際出願番号】 US2019066898
(87)【国際公開番号】W WO2020131902
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-08
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】モグリア、ロバート エス.
(72)【発明者】
【氏名】サバ、ステイシー エー.
(72)【発明者】
【氏名】カテパリ、ハリ
(72)【発明者】
【氏名】クリミンズ、マシュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、ジェシカ イー
(72)【発明者】
【氏名】デグラヴィッラ、ジェームズ アール.
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、リチャード ティエンファ
(72)【発明者】
【氏名】モリス、バリー アラン
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-273659(JP,A)
【文献】特開平11-263848(JP,A)
【文献】特開昭52-013539(JP,A)
【文献】特開2016-186071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/26
C08J 3/03
C08L 23/02
C09D 5/02
C09D 123/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイオノマー組成物および水を含む水性アイオノマー分散液であって、
前記アイオノマー組成物が、
a)前記アイオノマー組成物の総重量パーセントに基づいて、少なくとも20重量%のアイオノマーであって
、前記アイオノマーが少なくとも部分的に中和されているエチレン酸コポリマーであり、前記エチレン酸コポリマーが、前記エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、
70~85重量%のエチレンと、
15~30重量%のモノカルボン酸との重合反応生成物であり、
前記エチレン酸コポリマーの総酸単位の少なくとも50モル%が中和されて前記アイオノマーを形成し、前記エチレン酸コポリマーの総酸単位の25モル%~60モル%がマグネシウムカチオンで中和され、前記エチレン酸コポリマーの総酸単位の少なくとも20モル%が一価カチオンで中和される、アイオノマーと、
b)前記アイオノマー組成物の総重量パーセントに基づいて、最大80重量%のポリオレフィンと、を含む、水性アイオノマー分散液。
【請求項2】
前記水性アイオノマー分散液が、10~60重量%の前記アイオノマー組成物を含む、請求項1に記載の水性アイオノマー分散液。
【請求項3】
前記エチレン酸コポリマーが、前記エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの前記総重量に基づいて、75~85重量%のエチレンと15~25重量%の前記モノカルボン酸との前記重合反応生成物である、請求項1または2に記載の水性アイオノマー分散液。
【請求項4】
前記エチレン酸コポリマーの総酸単位の30モル%~60モル%が、マグネシウムカチオンで中和される、請求項1~3に記載の水性アイオノマー分散液。
【請求項5】
前記アイオノマー組成物が、10~80重量%の前記ポリオレフィンを含む、請求項1~4に記載の水性アイオノマー分散液。
【請求項6】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレンまたはポリプロピレンからなる群から選択される、請求項1~5に記載の水性アイオノマー分散液。
【請求項7】
前記ポリオレフィンが、ASTM D1238(190℃において2.16kg)に従って決定される、0.1~100.0g/10分のメルトインデックスI2を有するエチレン/アルファ-オレフィン共重合体である、請求項1~6に記載の水性アイオノマー分散液。
【請求項8】
水性アイオノマー分散液を製造するための方法であって、前記方法が、
アイオノマー組成物を準備する
工程であって、前記アイオノマー組成物が、
a)前記アイオノマー組成物の総重量パーセントに基づいて、少なくとも20重量%のアイオノマーであって、前記アイオノマーが少なくとも部分的に中和されているエチレン酸コポリマーであり、前記エチレン酸コポリマーが、前記エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、
70~85重量%のエチレンと、
15~30重量%のモノカルボン酸との重合反応生成物であり、
総酸単位の25モル%~60モル%がマグネシウムカチオンで中和される、アイオノマーと、
b)前記アイオノマー組成物の前記総重量パーセントに基づいて、最大80重量%のポリオレフィンと、を含む、
工程と、
前記アイオノマー組成物を水および一価カチオンを含む水性組成物と混合して水性アイオノマー分散液を形成する
工程であって、前記水性アイオノマー分散液中の前記アイオノマーが、中和された総酸単位の少なくとも50モル%を有し、総酸単位の少なくとも20モル%が前記一価カチオンで中和される、
工程と、
を含む、方法。
【請求項9】
前記アイオノマー組成物が、
前記エチレン酸コポリマーを準備し、前記エチレン酸コポリマーの総酸単位の25モル%~60モル%を前記マグネシウムカチオンで中和してアイオノマーを形成することと、
前記アイオノマーを前記ポリオレフィンと合わせて前記アイオノマー組成物を形成することと、によって形成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アイオノマー組成物が、
前記エチレン酸コポリマーを前記ポリオレフィンとを合わせて混合物を形成することと、
前記混合物に前記エチレン酸コポリマーの総酸単位の25モル%~60モル%を中和するのに十分な量の前記マグネシウムカチオンを添加して前記アイオノマー組成物を形成することと、によって形成される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
混合が摂氏100度~摂氏300度の温度で行われる、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
コーティングされた物品を形成する方法であって、
請求項1~7のいずれか一項に記載の水性アイオノマー分散液を基材上にコーティングして、コーティングされた基材を形成することと、
前記コーティングされた基材を乾燥させてコーティングされた物品を形成することと、を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法に従って形成された、コーティングされた物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、一般に、アイオノマーの水性分散液、およびアイオノマーの水性分散液を形成する方法に関する。より具体的には、本明細書に記載の水性分散液の実施形態は、基材をコーティングするために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
アイオノマーは、金属塩をポリ(エチレン(メタ)アクリル酸)コポリマー(ベース樹脂)と反応させることにより製造できる。二価および三価のカチオンなどの多価カチオンで中和されたアイオノマーは、多価カチオンが高分子架橋を形成する傾向があるため、水に分散しにくいことが判っている。一方、カリウム、ナトリウム、またはアンモニアなどの揮発性塩基の一価塩で中和されたアイオノマーも、溶融粘度と疎水性が増加するため、水中での分散が困難である。
【0003】
したがって、アイオノマーの水性分散液をより容易に形成する代替組成物を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
水性アイオノマー分散液が、本明細書の実施形態において開示される。水性アイオノマー分散液は、アイオノマー組成物および水を含み、アイオノマー組成物は、a)アイオノマー組成物の総重量パーセントに基づいて、少なくとも20重量%のアイオノマーであって、アイオノマーが少なくとも部分的に中和されているエチレン酸コポリマーであり、エチレン酸コポリマーが、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、70~85重量%のエチレンと、15~30重量%のモノカルボン酸との重合反応生成物であり、エチレン酸コポリマーの総酸単位の少なくとも50モル%が中和されており、エチレン酸コポリマーの全酸単位の25モル%~60モル%がマグネシウムカチオンで中和され、エチレン酸コポリマーの全酸単位の20モル%が一価カチオンで中和されている、アイオノマーと、b)アイオノマー組成物の総重量パーセントに基づいて、最大80重量%のポリオレフィンと、を含む。
【0005】
また、本明細書の実施形態において、水性アイオノマー分散液を製造する方法が開示される。この方法は、アイオノマー組成物を準備することであって、アイオノマー組成物が、a)アイオノマー組成物の全重量パーセントに基づいて、少なくとも20重量%のアイオノマーであって、アイオノマーが少なくとも部分的に中和されたエチレン酸コポリマーであり、エチレン酸コポリマーが、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの全重量に基づいて、70~85重量%のエチレンおよび15~30重量%のモノカルボン酸との重合反応生成物であり、エチレン酸コポリマーの総酸単位の25モル%~60モル%がマグネシウムカチオンで中和される、アイオノマーと、b)アイオノマー組成物の全重量パーセントに基づいて、最大80重量%のポリオレフィンと、を含む、準備することと、アイオノマー組成物を水および一価カチオンを含む水性組成物と混合して、水性アイオノマー分散液を形成することであって、水性アイオノマー分散液中のアイオノマーが、中和されたエチレン酸コポリマーの総酸単位の少なくとも50モル%を有し、エチレン酸共重合体の総酸単位の少なくとも20モル%が一価カチオンで中和される、形成することと、を含む。
【0006】
コーティングされた物品を形成する方法が、本明細書の実施形態においてさらに開示される。方法は、本明細書の1つ以上の実施形態に記載された水性アイオノマー分散液を基材にコーティングして、コーティングされた基材を形成し、コーティングされた基材を乾燥させて、コーティングされた物品を形成することを含む。本明細書に記載の方法により形成されたコーティングされた物品。
【0007】
本明細書の実施形態においてさらに開示されるのは、コーティングされた物品である。コーティングされた物品は、基材および基材上にコーティングされたアイオノマー組成物を含み得る。
【0008】
本明細書の1つ以上の実施形態において、水性アイオノマー分散液は、10~60重量%のアイオノマー組成物を含む。本明細書の1つ以上の実施形態において、エチレン酸コポリマーは、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、75~85重量%のエチレンと15~25重量%のモノカルボン酸との重合反応生成物である。本明細書の1つ以上の実施形態において、エチレン酸コポリマーの総酸単位の30モル%~60モル%がマグネシウムカチオンで中和される。本明細書の1つ以上の実施形態において、アイオノマー組成物は、10~80重量%のポリオレフィンを含む。本明細書の1つ以上の実施形態において、ポリオレフィンは、ポリエチレンまたはポリプロピレンからなる群から選択される。本明細書の1つ以上の実施形態において、ポリオレフィンは、ASTM D1238に従って測定されるメルトインデックスI2(190℃で2.16kg)が0.1~100.0g/10分であるエチレン/アルファ-オレフィン共重合体である。
【0009】
本明細書のいくつかの実施形態において、アイオノマー組成物は、エチレン酸コポリマーを準備し、エチレン酸コポリマーの全酸単位の25モル%~60モル%をマグネシウムカチオンで中和してアイオノマーを形成し、アイオノマーをポリオレフィンと合わせてアイオノマー組成物を形成することによって形成される。本明細書の他の実施形態において、アイオノマー組成物は、エチレン酸コポリマーをポリオレフィンと合わせて混合物を形成し、エチレン酸コポリマーの全酸単位の25モル%~60モル%を中和してアイオノマー組成物を形成するのに十分な量のマグネシウムカチオンを混合物に添加することによって形成される。本明細書の1つまたは複数の実施形態において、混合は、摂氏100度~摂氏300度の温度で行われる。
【0010】
実施形態のさらなる特徴および利点は、以下の発明を実施するための形態に記述され、その説明から一部は当業者に容易に明らかになるか、または、以下の発明を実施するための形態を含む本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されるであろう。上述および後述の説明は、様々な実施形態を記載し、特許請求される主題の性質および特性を理解するための概要または枠組みを提供するものであることが理解されるべきである前述および以下の説明の両方が様々な実施形態を説明し、特許請求される主題の性質および特徴を理解するための概要またはフレームワークを提供することを意図していることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、水性アイオノマー分散液および水性アイオノマー分散液の製造方法の実施形態について詳細に言及する。水性アイオノマー分散液は、例えば床材、プラスチック部品、木材、繊維、金属、セラミック、繊維、ガラス、または紙などの基材をコーティングするために使用し得る。しかしながら、これは、本明細書に開示される実施形態の例示的な実施態様に過ぎないことに留意すべきである。実施形態は、上述したものと同様の問題の影響を受けやすい他の技術にも適用可能である。例えば、本明細書に記載の水性アイオノマー分散液は、塗料(または他のコーティング)、コンクリート/セメント、紙、プラスチック、複合材料、電極、接着剤の添加剤として、および接着剤として、または結合剤(アスファルト、ビチューメン、紙、繊維、プラスチック)として使用し得る。
【0012】
本明細書の実施形態において、水性アイオノマー分散液は、10重量%~60重量%のアイオノマー組成物を含む。10重量%~60重量%のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、本明細書に開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、水性アイオノマー分散液は、10重量%~55重量%、15重量%~55重量%、15重量%~50重量%、または15重量%~45重量%のアイオノマー組成物を含む。本明細書の実施形態において、水性アイオノマー分散液は、40重量%~90重量%の水も含み得る。水の40重量%~90重量%のすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態において、水性アイオノマー分散液は、45重量%~90重量%、45重量%~85重量%、50重量%~85重量%、または55重量%~85重量%の水を含む。
【0013】
本明細書に記載の水性アイオノマー分散液は、水溶液中に分散した粒子を有する。水性アイオノマー分散液中に存在する粒子は、4μm以下の平均粒子サイズを有することができる。全ての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、開示されている。例えば、水性アイオノマー分散液は、3.5μm以下、3.0μm以下、0.1~4μm、0.1~3.5μm、または0.1~3.0μmの平均粒子サイズを有し得る。本明細書に記載の水性分散液は、10~60重量%、15~60重量%、20~60重量%、25~60重量%、または30~60重量%の総樹脂固形分を有することもできる。
【0014】
アイオノマー組成物
アイオノマー組成物は、アイオノマーおよびポリオレフィンを含む。本明細書の実施形態において、アイオノマー組成物は、アイオノマー組成物の総重量パーセントに基づいて少なくとも20重量%のアイオノマーと、アイオノマー組成物の総重量パーセントに基づいて最大80重量%のポリオレフィンと、を含む。全ての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、アイオノマー組成物は、20重量%~90重量%(あるいは、20重量%~85重量%、20重量%~80重量%、または20重量%~60%)のアイオノマーおよび10重量%~80重量%(あるいは、15重量%~80重量%、20重量%~80重量%、または40重量%~80重量%)のポリオレフィンを含む。
【0015】
アイオノマー組成物、アイオノマー、および/またはポリオレフィンはまた、当技術分野で知られている他の添加剤を含んでもよい。添加剤の例としては、加工助剤、流動性向上添加剤、潤滑剤、顔料、染料、難燃剤、耐衝撃性改良剤、核剤、シリカなどのブロッキング防止剤、熱安定剤、UV吸収剤、UV安定剤、界面活性剤、キレート剤、およびカップリング剤が挙げられるが、これらに限定されない。添加剤は、アイオノマー組成物、アイオノマー、またはポリオレフィン中の材料の重量に基づいて、約0.01重量%~約10重量%の範囲の量で使用することができる。
【0016】
アイオノマー
アイオノマーは、少なくとも部分的に中和されたエチレン酸コポリマーである。エチレン酸コポリマーは、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、70~85重量%のエチレンと、15~30重量%のモノカルボン酸との重合反応生成物である。全ての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、エチレン酸コポリマーは、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、72~85重量%のエチレンと、15~28重量%のモノカルボン酸との重合反応生成物である。他の実施形態において、エチレン酸コポリマーは、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの全重量に基づいて、75~85重量%のエチレンと、15~25重量%のモノカルボン酸との重合反応生成物である。エチレン酸共重合体は、米国特許第3,404,134号、同第5,028,674号、同第6,500,888号、および同6,518,365号に開示されたプロセスに従って重合され得る。いくつかの実施形態において、2種以上のエチレン酸コポリマーの混合物を使用することができるが、但し混合物の凝集体成分および特性がエチレン酸コポリマーについて上に記載された制限内にある。例えば、メタクリル酸の総重量%が全ポリマー材料の15重量%~30重量%となるように、2種のエチレンメタクリル酸コポリマーを使用することができる。
【0017】
中和された総酸単位を参照する場合、中和パーセントの計算は、モノカルボン酸コモノマーの既知のモル数に基づいて存在すると考えられる酸単位の数、および添加された金属当量の数に基づく。本明細書の実施形態において、エチレン酸コポリマーの総酸単位の少なくとも50モル%が中和されてアイオノマーを形成し、エチレン酸コポリマーの総酸単位の25モル%~60モル%がマグネシウムカチオンで中和され、エチレン酸コポリマーの総酸単位の少なくとも20モル%が一価カチオンで中和される。全ての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、開示されている。例えば、他の実施形態において、エチレン酸コポリマーの総酸単位の少なくとも50モル%(あるいは、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも75モル%、または少なくとも80モル%)が中和されてアイオノマーを形成し、エチレン酸コポリマーの総酸単位の25モル%~60モル%(あるいは、30モル%~60モル%、35モル%~60モル%、または25モル%~55モル%)がマグネシウムカチオンで中和され、エチレン酸コポリマーの総酸単位の少なくとも20モル%(あるいは、少なくとも25モル%、少なくとも30モル%、少なくとも35モル%、少なくとも40モル%、少なくとも50モル%、25モル%~75モル%、30モル%~75モル%、35モル%~75モル%、または40モル%~75モル%)が一価カチオンで中和される。エチレン酸共重合体は、例えば米国特許第3,404,134号に開示されている方法を用いて中和され得る。他の実施形態において、エチレン酸コポリマーの総酸単位の少なくとも60モル%(あるいは、少なくとも70モル%、または少なくとも75モル%)が中和されてアイオノマーを形成し、エチレン酸コポリマーの総酸単位の25モル%~60モル%(あるいは、30モル%~60モル%または35モル%~60モル%)がマグネシウムカチオンで中和され、エチレン酸コポリマーの総酸単位の少なくとも20モル%(あるいは、少なくとも25モル%、少なくとも30モル%、25モル%~75モル%、または30モル%~75モル%)が一価カチオンで中和される。
【0018】
例示的な一価カチオンは、ナトリウム、カリウム、リチウム、アミン(例えば、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、トリメチルアミン、アンモニアなど)またはそれらの組み合わせを含む。本明細書のいくつかの実施形態において、一価カチオンは、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニア、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。本明細書の1以上の実施形態において、一価カチオンはナトリウム、カリウム、アンモニア、またはそれらの組み合わせである。
【0019】
本明細書のいくつかの実施形態において、アイオノマーは、1~100g/10分のメルトインデックス(I2)を有し得る。個々の値および部分範囲はすべて、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態において、アイオノマーは、1~75g/10分または1~50g/10分のメルトインデックス(I2)を有し得る。I2は、ASTM D1238に従って、190℃、2.16kgで測定される。
【0020】
ポリオレフィン
上記のように、本明細書の実施形態に記載のアイオノマー組成物は、ポリオレフィンを含む。ポリオレフィンは、ポリエチレンまたはポリプロピレンからなる群から選択することができる。いくつかの実施形態において、ポリオレフィンはポリエチレンである。ポリエチレンは、エチレンと、任意選択の、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーとの反応生成物である。他の実施形態において、ポリオレフィンはエチレン/アルファ-オレフィン共重合体である。本明細書で使用される「エチレン/アルファ-オレフィン共重合体」という用語は、エチレンと1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーとの反応生成物を指す。
【0021】
エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、(a)55重量%以上、例えば、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、92重量%以上、95重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、99.5重量%以上、50重量%超~99重量%、50重量%超~97重量%、50重量%超~94重量%、50重量%超~90重量%、70重量%~99.5重量%、70重量%~99重量%、70重量%~97重量%70重量%~94重量%、80重量%~99.5重量%、80重量%~99重量%、80重量%~97重量%、80重量%~94重量%、80重量%~90重量%、85重量%~99.5重量%、85重量%~99重量%、85重量%~97重量%、88重量%~99.9重量%、88重量%~99.7重量%、88重量%~99.5重量%、88重量%~99重量%、88重量%~98重量%、88重量%~97重量%、88重量%~95重量%、88重量%~94重量%、90重量%~99.9重量%、90重量%~99.5重量%、90重量%~99重量%、90重量%~97重量%、90重量%~95重量%、93重量%~99.9重量%、93重量%~99.5重量%、93重量%~99重量%、または93重量%~97重量%のエチレン由来の単位および、(b)30重量パーセント未満、例えば25重量パーセント未満、または20重量パーセント未満、18重量%未満、15重量%未満、12重量%未満、10重量%未満、8重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1~20重量%、0.1~15重量%、0.1~12重量%、0.1~10重量%、0.1~8重量%、0.1~5重量%、0.1~3重量%、0.1~2重量%、0.5~12重量%、0.5~10重量%、0.5~8重量%、0.5~5重量%、0.5~3重量%、0.5~2.5重量%、1~10重量%、1~8重量%、1~5重量%、1~3重量%、2~10重量%、2~8重量%、2~5重量%、3.5~12重量%、3.5~10重量%、3.5~8重量%、3.5~7重量%、または4~12重量%、4~10重量%、4~8重量%、または4~7重量%の1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導された単位を含む。コモノマー含有量は、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術などの任意の適切な技術を使用して、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,498,282号に記載されるような13C NMR分析により測定されてもよい。
【0022】
好適なアルファ-オレフィンコモノマーは、典型的には20個以下の炭素原子を有する。1つ以上のアルファ-オレフィンは、C3~C20アセチレン性不飽和モノマーおよびC4~C18ジオレフィンからなる群から選択されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、アルファ-オレフィンコモノマーは、3~10個の炭素原子または3~8個の炭素原子を有し得る。例示的なアルファ-オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、および4-メチル-1-ペンテンが挙げられるが、これらに限定されることはない。1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーは、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択されてもよいか、または代替的に、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択されてもよい。
【0023】
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、0.850g/cc~0.910g/ccの密度を有し得る。少なくとも0.850g/cc~0.910g/ccのすべての個々の値および部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、0.855~0.905g/cc、0.855~0.900g/cc、0.855~0.900g/cc、または0.865~0.895g/ccの密度を有する。密度は、ASTM D792に従って測定することができる。
【0024】
密度に加えて、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、0.1g/10分~100.0g/10分のメルトインデックスI2を有し得る。0.1g/10分~100.0g/10分の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態において、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は0.1、0.5、1.0、1.5、2.5、または5.0の下限~100.0、75、0、50.0、35.0、25.0、または20.0g/10分の上限の範囲のメルトインデックスI2を有し得る。他の実施形態において、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は0.5g/10分~100.0g/10分、1.0g/10分~100.0g/10分、2.0g/10分~100.0g/10分、5.0g/10分~100.0g/10分、1.0g/10分~75.0g/10分、5.0g/10分~75.0g/10分、1.0g/10分~50.0g/10分または5.0g/10分~50.0g/10分のメルトインデックスI2を有し得る。メルトインデックスI2は、ASTM D1238(190℃および2.16kg)に従って測定することができる。
【0025】
方法
水性アイオノマー分散液を製造する方法も本明細書で提供される。この方法は、アイオノマー組成物を準備することと、アイオノマー組成物を、水および一価カチオンを含む水性組成物と混合して水性アイオノマー分散液を形成することと、を含む。アイオノマー組成物と水性組成物との混合は、100℃~300℃の温度で行われる。加熱された水性アイオノマー分散液が結果として得られる。さらなる任意選択のステップは、加熱された水性アイオノマー分散液を20~30℃の温度に冷却することを含み得、アイオノマーは液相に分散されたままである。本明細書で使用される場合、「分散する(disperse)」、「分散(dispersing)」および関連する用語は、ポリマーのペレットなどの固形物品を指し、水と混合され、短時間で液相に消失する。
【0026】
水性アイオノマー分散液中のアイオノマー組成物および水の量の態様は、本明細書の実施形態において以前に記載されている。アイオノマー組成物は、アイオノマーおよびポリオレフィンを含む。ポリオレフィンは、本明細書の実施形態において以前に記載されている。アイオノマー組成物中のアイオノマーおよびポリオレフィンの量もまた、本明細書の実施形態において以前に記載されている。アイオノマーは、少なくとも部分的に中和されたエチレン酸コポリマーである。エチレン酸コポリマーおよびエチレン酸コポリマーの中和は、本明細書の実施形態において以前に記載されている。。
【0027】
前述のように、アイオノマー組成物は、水および一価カチオンを含む水性組成物と混合されて、水性アイオノマー分散液を形成する。本明細書の実施形態において、水性組成物は、一価カチオンによってエチレン酸コポリマーの総酸単位を中和するのに十分な量の一価カチオンを含み得る。
【0028】
本明細書のいくつかの実施形態において、アイオノマー組成物は、エチレン酸コポリマーを準備し、エチレン酸コポリマーの全酸単位の25モル%~60モル%をマグネシウムカチオンで中和してアイオノマーを形成し、アイオノマーをポリオレフィンと合わせてアイオノマー組成物を形成することによって形成される。
【0029】
本明細書のいくつかの実施形態において、アイオノマー組成物は、エチレン酸コポリマーをポリオレフィンと合わせて混合物を形成し、エチレン酸コポリマーの全酸単位の25モル%~60モル%を中和してアイオノマー組成物を形成するのに十分な量のマグネシウムカチオンを混合物に添加することによって形成される。
【0030】
用途
本明細書に記載の水性分散液は、基材をコーティングするために使用することができる。適切な基材には、板紙、ボール紙、パルプ成形形状、織布、不織布、フィルム、連続気泡発泡体、独立気泡発泡体、または金属箔が含まれ得る。本明細書のいくつかの実施形態において、基材をコーティングするための方法は、本明細書の実施形態に記載されるような水性アイオノマー分散液を準備し、水性アイオノマー分散液を基材に塗布してコーティングされた基材を形成すること含む。塗布は、浸漬法、スプレー法、ロールコーティング法、ドクターブレード法、フローコーティング法、または当技術分野で知られている液体コーティングを塗布するための他の適切な方法によって実施することができる。この方法は、乾燥工程をさらに含み得る。
【0031】
本明細書の他の実施形態において、コーティングされた物品を形成する方法は、本明細書の1つ以上の実施形態に記載の水性アイオノマー分散液を基材上にコーティングして、コーティングされた基材を形成することと、およびコーティングされた基材を乾燥させて、コーティングされた物品を形成することと、を含む。
【0032】
コーティングされた物品は、基材の少なくとも1つの表面上に形成された、本明細書に記載のアイオノマー組成層を含む。アイオノマー組成物層は、アイオノマー組成物を含む。アイオノマー組成物は、a)本明細書の実施形態に記載される、アイオノマー組成物の総重量パーセントに基づいて少なくとも20重量%のアイオノマーと、b)本明細書の実施形態に記載される、アイオノマー組成物の総重量パーセントに基づいて最大80重量%のポリオレフィンと、を含む。
【0033】
本明細書の実施形態において、コーティングされた物品は、コーティングされていない物品と比較して、改善された静電荷を示し得る。
【0034】
試験方法
密度
密度は、ASTM D-792に従って測定され、1立方センチメートル当たりのグラム数(g/cc)で報告される。
【0035】
メルトインデックス/メルトフローレート
メルトインデックス(I2)は、エチレンベースのポリマーに対してはASTM D-1238、手順B(条件190℃/2.16kg)に従って測定され、10分ごとに溶出されるグラム数(g/10分)で報告される。メルトインデックス(MFR)は、エチプロピレンベースのポリマーに対してはASTM D-1238、手順B(条件230℃/2.16kg)に従って測定され、10分ごとに溶出されるグラム数(g/10分)で報告される。
【0036】
平均粒子サイズ
平均粒子サイズは、エポキシ粒子モデル(実際の流体屈折率=1.332、実際の試料屈折率=1.5、仮想サンプルの屈折率=0)を実装したBeckman Coulter LS 13-320レーザ光散乱粒子サイズ分析器(Beckman Coulter Inc.,Fullerton,California)で測定された体積平均粒子直径によって定義される。サンプルは、測定前にpH>10のKOH水溶液に希釈される。
【0037】
動粘度
動粘度は、スピンドル10を備えたBrookfield CAP2000+平行平板粘度計を介して測定される。約0.5mLの分散液をデバイスにロードし、適切なrpmで測定して、動粘度を記録する前に15秒間安定した粘度値を取得する。
【実施例】
【0038】
表3に概説されているポリオレフィン分散液は、Berstorff(KraussMaffei)押出機(ねじ径25mm、450rpmで回転する48L/D)を使用して、表4に概説されている手順と条件に従って調製される。ベースポリオレフィン樹脂とアイオノマー界面活性剤を以下の表1および2で説明するように、それぞれSchenck Mechatron減量フィーダーおよびK-Tronペレットフィーダーを介して押出機のフィードスロートに供給される。ポリオレフィン樹脂とアイオノマー界面活性剤を溶融ブレンドし、最初の水流の存在下で乳化してエマルジョン相を形成する。最初の水流は、水と一価カチオンの溶液を含む。一価カチオン溶液は、水酸化ナトリウムの50重量%の溶液である。次に、エマルジョン相は、押出機の希釈および冷却ゾーンに運ばれ、そこで追加の希釈水が加えられて、表3に概説されるような固形レベルを有する水性分散液を形成する。押出機のバレル温度は150℃に設定されるが、例外として最初の2つのバレルセグメントはそれぞれ25℃と90℃に設定される。分散液が押出機を出た後、それをさらに冷却し、200μmのメッシュサイズのバグフィルターを介して濾過した。
【0039】
以下の表5では、示された温度で分散を形成しなかった材料を「いいえ」と示し、示された温度で分散を形成した材料を「はい」と示している。「水性分散液」は、(i)固形の95%超が直径4μm以下の微粒子に変換された、および(ii)分散液は安定しており、製造温度で実質的に固形が見えない濁ったまたは乳白色の液体は、室温に最初に冷却した後、視覚的な変化を示さなかったときに形成される。
【0040】
アイオノマー界面活性剤は、以下の表1に要約されており、エチレンとメタクリル酸(MAA)との重合反応生成物であるエチレン酸コポリマーから調製される。MAAの量を以下の表1に示す。アイオノマーの追加の態様を以下に示す。
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
表5の分散液結果によって示されるように、本発明の実施例2および3は、30%固形超の固形分で分散液を形成し、本発明の実施例1は、20%固形超の固形分で分散物を形成した。本発明の分散液は、固形の95%超が4μm以下の直径を有する微粒子に変換された。また、分散液は安定しており、製造温度で実質的に固形が見えない濁ったまたは乳白色の液体は、室温に最初に冷却した後、視覚的な変化を示さなかった。
【0047】
本明細書に開示される寸法および値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されると理解されるべきではない。代わりに、別段特定されない限り、そのような各寸法は、記述された値およびその値を取り巻く機能的に同等の範囲の両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0048】
存在する場合、あらゆる相互参照されるか、または関連する特許または出願、および本出願が優先権または利益を主張するあらゆる特許出願または特許を含む、本明細書に挙げられる全ての文献は、明示的に除外されるか、または別段限定されない限り、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。任意の文書の引用は、本明細書に開示または特許請求された任意の発明に関する先行技術であること、またはそれ単独で、もしくは任意の他の参考文献との任意の組み合わせで、そのような発明を教示、示唆、または開示していることを認めるものではない。さらに、本文書内の用語の任意の意味または定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味または定義と矛盾する範囲で、本文書内でその用語に割り当てられた意味または定義が適用されるべきである。
【0049】
本発明の特定の実施形態が図示し、説明したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくさまざまな他の変更および修正を行い得ることは当業者には明らかであろう。そのため、添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲内にあるそのような変更および修正をすべて網羅することが意図されている。
本出願の発明の例として、以下のものが挙げられる。
[1] アイオノマー組成物および水を含む水性アイオノマー分散液であって、
前記アイオノマー組成物が、
a)前記アイオノマー組成物の総重量パーセントに基づいて、少なくとも20重量%のアイオノマーであって、前記アイオノマーが少なくとも部分的に中和されているエチレン酸コポリマーであり、前記エチレン酸コポリマーが、前記エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、
70~85重量%のエチレンと、
15~30重量%のモノカルボン酸との重合反応生成物であり、
前記エチレン酸コポリマーの総酸単位の少なくとも50モル%が中和されて前記アイオノマーを形成し、前記エチレン酸コポリマーの総酸単位の25モル%~60モル%がマグネシウムカチオンで中和され、前記エチレン酸コポリマーの総酸単位の少なくとも20モル%が一価カチオンで中和される、アイオノマーと、
b)前記アイオノマー組成物の総重量パーセントに基づいて、最大80重量%のポリオレフィンと、を含む、水性アイオノマー分散液。
[2] 前記水性アイオノマー分散液が、10~60重量%の前記アイオノマー組成物を含む、上記[1]に記載の水性アイオノマー分散液。
[3] 前記エチレン酸コポリマーが、前記エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの前記総重量に基づいて、75~85重量%のエチレンと15~25重量%の前記モノカルボン酸との前記重合反応生成物である、上記[1]または[2]に記載の水性アイオノマー分散液。
[4] 前記エチレン酸コポリマーの総酸単位の30モル%~60モル%が、マグネシウムカチオンで中和される、上記[1]~[3]に記載の水性アイオノマー分散液。
[5] 前記アイオノマー組成物が、10~80重量%の前記ポリオレフィンを含む、上記[1]~[4]に記載の水性アイオノマー分散液。
[6] 前記ポリオレフィンが、ポリエチレンまたはポリプロピレンからなる群から選択される、上記[1]~[5]に記載の水性アイオノマー分散液。
[7] 前記ポリオレフィンが、ASTM D1238(190℃において2.16kg)に従って決定される、0.1~100.0g/10分のメルトインデックスI2を有するエチレン/アルファ-オレフィン共重合体である、上記[1]~[6]に記載の水性アイオノマー分散液。
[8] 水性アイオノマー分散液を製造するための方法であって、前記方法が、
アイオノマー組成物を準備する工程であって、前記アイオノマー組成物が、
a)前記アイオノマー組成物の総重量パーセントに基づいて、少なくとも20重量%のアイオノマーであって、前記アイオノマーが少なくとも部分的に中和されているエチレン酸コポリマーであり、前記エチレン酸コポリマーが、前記エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、
70~85重量%のエチレンと、
15~30重量%のモノカルボン酸との重合反応生成物であり、
総酸単位の25モル%~60モル%がマグネシウムカチオンで中和される、アイオノマーと、
b)前記アイオノマー組成物の前記総重量パーセントに基づいて、最大80重量%のポリオレフィンと、を含む、工程と、
前記アイオノマー組成物を水および一価カチオンを含む水性組成物と混合して水性アイオノマー分散液を形成する工程であって、前記水性アイオノマー分散液中の前記アイオノマーが、中和された総酸単位の少なくとも50モル%を有し、総酸単位の少なくとも20モル%が前記一価カチオンで中和される、工程、を含む、方法。
[9] 前記アイオノマー組成物が、
前記エチレン酸コポリマーを準備し、前記エチレン酸コポリマーの総酸単位の25モル%~60モル%を前記マグネシウムカチオンで中和してアイオノマーを形成することと、
前記アイオノマーを前記ポリオレフィンと合わせて前記アイオノマー組成物を形成することと、によって形成される、上記[8]に記載の方法。
[10] 前記アイオノマー組成物が、
前記エチレン酸コポリマーを前記ポリオレフィンとを合わせて混合物を形成することと、
前記混合物に前記エチレン酸コポリマーの総酸単位の25モル%~60モル%を中和するのに十分な量の前記マグネシウムカチオンを添加して前記アイオノマー組成物を形成することと、によって形成される、上記[8]に記載の方法。
[11] 混合が摂氏100度~摂氏300度の温度で行われる、上記[8]~[10に記載の方法。
[12] 前記水性アイオノマー分散液が、10~60重量%の前記アイオノマー組成物を含む、上記[8]~[11]に記載の方法。
[13] 前記エチレン酸コポリマーが、前記エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの前記総重量に基づいて75~85重量%のエチレンと15~25重量%のモノカルボン酸との前記重合反応生成物である、上記[8]~[12]に記載の方法。
[14] 前記エチレン酸コポリマーの総酸単位の30モル%~60モル%がマグネシウムカチオンで中和される、上記[8]~[13]に記載の方法。
[15] 前記アイオノマー組成物が、10~80重量%の前記ポリオレフィンを含む、上記[8]~[14]に記載の方法。
[16] 前記ポリオレフィンが、ポリエチレンまたはポリプロピレンからなる群から選択される、上記[8]~[15]に記載の方法。
[17] 前記ポリオレフィンが、ASTM D1238(190℃において2.16kg)に従って決定される、0.1~100.0g/10分のメルトインデックスI2を有する、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体である、上記[8]~[16]に記載の方法。
[18] コーティングされた物品を形成する方法であって、
上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の水性アイオノマー分散液を基材上にコーティングして、コーティングされた基材を形成することと、
前記コーティングされた基材を乾燥させてコーティングされた物品を形成することと、を含む、方法。
[19] 上記[18]に記載の方法に従って形成された、コーティングされた物品。