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特許7498178嫌気性消化のための改良された方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】嫌気性消化のための改良された方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/04 20060101AFI20240604BHJP
   C02F 11/00 20060101ALI20240604BHJP
   C02F 11/123 20190101ALI20240604BHJP
【FI】
C02F11/04 A ZAB
C02F11/00 Z
C02F11/123
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021537816
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2019087033
(87)【国際公開番号】W WO2020136213
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】1874158
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519136179
【氏名又は名称】オレージュ
【氏名又は名称原語表記】OREGE
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】カポー,パトリス
(72)【発明者】
【氏名】ジャンドロ,パスカル
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-538125(JP,A)
【文献】特開昭62-201697(JP,A)
【文献】特表2018-519151(JP,A)
【文献】特開2012-045512(JP,A)
【文献】特開2003-320395(JP,A)
【文献】特開平09-299995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F11/00-11/20
B09B1/00-5/00
B01D19/00
B03B5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化槽(47、100)内で、スラッジの加水分解/酸生成の工程と、加水分解されたスラッジから酢酸塩を生成するための酢酸塩生成の工程と、メタンを生成するために酢酸塩から出発するメタン生成の工程とを含む、有機液体スラッジ(21)から出発するメタン化プロセスであって、
前記プロセスが、前記消化槽に供給する前及び/又は前記消化槽を通過した後、前記消化槽に再供給する前に、前記スラッジ中に注入されたガス(27)で前記スラッジをブラストすること(工程1)によって得られる加水分解されたスラッジエマルジョン(23)を作成し、次に、加水分解されたスラッジを前記消化槽に対してインラインである加圧反応器(25、101)に連続的に供給(工程2)した後、加水分解されたスラッジに圧力降下を発生させる部材(29)を介して前記反応器を空にすし(工程3)、
前記スラッジ(21)が、小径dの要素(24)を介して前記加圧反応器(25)に供給され、
前記要素を通って前記スラッジが高速v(v>10m/秒)及び低圧pで通過し、
前記要素内に前記ガス又は空気(27)が高流量(qNm 3 ≧10Qm 3 、Q:スラッジの流量)で注入され、
圧縮性ガスエマルジョン(28)を生成するために、下流部材内で圧力降下を受ける前に、前記圧縮性ガスエマルジョンは、前記エマルジョンが通過する前記要素よりも大きい直径D(D>20d)の前記加圧反応器(25)に、より高い圧力P(P>p)及びより低い速度V(V<v)で供給され、
脱気すること又は脱気しないことが実行され(工程4)、凝集は実行されず(工程5)、前述の工程1~5を少なくとも6回、即ち少なくとも通過数≧7の繰り返しの決定が実行されること(工程6)、である初期工程又はサイクルを含むことを特徴とする、プロセス。
【請求項2】
N(再循環の回数)≧10であることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
N(再循環の回数)≧15であることを特徴とする、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
N(再循環の回数)≧20であることを特徴とする、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記スラッジに対する前記サイクルの後、前記消化槽(47、100)に供給する前に、レスベルト上で、又は単に排水することによって、TS/液体分離工程(7、9)が続くことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記反応器の出口におけるエマルジョンが、次のサイクルの前に脱気される(4)請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
小径の要素(24)がベンチュリであることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
空気が、20°~90°の角度で前記スラッジの流れの方向に注入されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
凝集塊が、前記凝集塊を減速させるために、前記反応器(25、101)への再循環のために、及び/又は濾過及び/又は沈降/熟成装置を通過した後に、前記凝集塊自体又はエネルギー吸収フラップ(73、P)に対する前記凝集塊の柔らかい衝撃によって脱気され、
このように熟成された前記凝集塊が、前記消化槽に供給するために回収されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記反応器内の圧力Pは2バールよりも大きく、有利には3.5バール又は4バールである、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記反応器内の圧力Pは10バール以上であり、20バールより低い、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
N≧であることを特徴とするN回の再循環が前記反応器を通過した後、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセスによって得られた有機スラッジのスープ又はエマルジョン。
【請求項13】
溶解細菌を少なくとも80%含む、請求項12に記載の有機スラッジスープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機液体スラッジを使用して実施される改良されたメタン化プロセスに関する。
【0002】
有機スラッジは、有機物を少なくとも10%含むスラッジを意味すると理解される。
【0003】
本発明はまた、そのようなプロセスを実施するメタン化装置、及びバイオガスを得ることを可能にする実際の分解/消化プロセスの前に得られる中間生成物に関する。
【0004】
本発明は、再生可能エネルギーの分野における、より具体的には、熱、電気及び/又は車両用燃料への変換に適したバイオガスを得るための、排他的ではないが特に重要な用途を見出す。
【0005】
メタン化現象は、動植物の分解箇所である湿原において自然に発生することが知られている。
【0006】
しかし、メタン化現象を液体廃棄物から、特に細菌物質及びその分泌物を含む有機下水スラッジから得ることも可能である。
【0007】
スラッジのメタン化は、複雑な生物学的プロセスである。
【0008】
従来、有機スラッジは、嫌気性細菌の作用に所与の時間さらされる消化槽として知られる密閉タンクに貯蔵されなければならない。
【0009】
酸素が存在しない場合、関与する生物学的反応工程は以下の通りである。
【0010】
(i)複合有機鎖(タンパク質、脂質、多糖類など)がより単純な化合物に変換される加水分解及び酸生成の工程。
【0011】
この分解は、一般に、セルロース、デンプン又は脂肪などの加水分解が困難な化合物の存在による限定的工程である。
【0012】
反応の終わりに、酸生成は、有機酸(脂肪酸、アミノ酸など)並びに水素及び二酸化炭素も生成する。
【0013】
(ii)先に得られた生成物が、本質的に酢酸塩、酢酸、二酸化炭素及び水素から形成されるメタンの直接前駆体である生成物に変換される酢酸生成の工程。
【0014】
これを行うために、及びそれ自体公知の方法で、2種類の細菌、すなわち偏性水素生成アセトゲン(OHPA)及び酢酸塩の生成を指向する非栄養性アセトゲン細菌が特に使用される。
【0015】
この工程は、生成された水素の連続的な除去を必要とする。
【0016】
(iii)酢酸がメタン及び二酸化炭素に変換されるメタン生成の最終工程。
【0017】
公知のように、メタン生成は、古細菌型嫌気性微生物によって行われ、2つのタイプの反応に該当する。
・CO+4H→CH+2H
・CHCOOH→CH+CO
微量元素の存在下で、電位、酸化還元、温度及び圧力条件が十分に満たされたときにメタン生成古細菌が発生することがわかっている。
【0018】
得られたメタンは、消化槽の上部で回収される。
【0019】
残留物(消化物)はそれ自体回収され、貯蔵される。
【0020】
上記のように、メタン化を制限する主な要因は、スラッジ中に最初に存在する脂肪、デンプン及び他のセルロースを正確かつ迅速に加水分解することが困難であるために、スラッジの加水分解中にある。
【0021】
本発明は、特に、公知のメタン化プロセスの第1の加水分解工程を改善することを可能にするという点で、従来知られているものよりも実用的な要件をより良く満たすプロセス、システム及び中間生成物を提供することを目的とし、これは、プロセスの終わりに、生成されるメタンの生成の収率の改善、及びより鉱物であるために、より有用な消化物の取得を可能にする。本発明により、消化槽のサイズを小さくすること、及び/又は既存の消化槽が過負荷状態にあるときに既存の消化槽内の滞留時間を長くすること、又はそうでなければ、それらが過負荷状態でないときに追加の有機供給原料を導入することを可能にすることが可能であり、それにより収率が増加する。
【0022】
したがって、本発明は、環境に優しいグリーン経済の状況において、廃水処理プラントスラッジのさらなるリサイクルを可能にする。
【0023】
したがって、嫌気性消化は、スラッジを処理するための任意の追加の工程となり、スラッジの安定化及びスラッジの体積の減少を可能にし、同時にスラッジの脱水も容易にする。
【0024】
スラッジの全固形分(TS)は、有機物、鉱物質及び溶解塩から形成されることが知られている。この全固形分は、処理前の有機スラッジの平均70%~80%に相当する揮発性固形分(VS)の一部を含み、消化されたスラッジでは50%程度になる。
【0025】
この消化の性能を評価するために、従来、消化槽の入口と出口との間の揮発性固形分の濃度の比較が使用されている。
【0026】
この消化槽の収率は、スラッジの物理的性質、実際の滞留時間、消化槽中の混合の有効性、温度維持、スラッジのpH及び生分解性を含むいくつかのパラメータに依存する。
【0027】
これは、消化によって最初に破壊されるのはスラッジの最も生分解性の部分であることが観察される。
【0028】
したがって、本発明は、消化の前にこの生分解性部分を増加させることによって、プロセス全体がそれによって改善され、他のすべてのパラメータは等しいという考えから出発する。
【0029】
嫌気性消化の前の前処理として使用されるスラッジ崩壊プロセスは既知である。
【0030】
これらの技術の目的は、粒状有機物を溶解し、細菌凝集塊のサイズを減少させることである。
【0031】
しかしながら、これらの機械的又は化学的技術には欠点がある。
【0032】
特に、それらは、所望の効果とは反対の効果をもたらす非生分解性耐性有機物の出現を引き起こす酸化反応のために、不十分な性能を与える。
【0033】
例えば、スラッジに超音波を作用させることによる調製技術が知られている。しかしながら、これらは分子レベルでキャビテーション現象を引き起こし、したがってフリーラジカルの生成による酸化の原因である非常に高い圧力/温度を引き起こす。
【0034】
熱加水分解技術もある。これらはより強力であり、消化槽の性能の著しい改善を得ることを可能にするが、設備及び運転コストの点で高価であり、及び/又は高温(160℃~180℃)への加熱を必要とする。
【0035】
要約すると、これらの技術はすべて高価であり、嫌気性細菌による消化の効果を部分的に相殺する消化プロセスに耐性のある有機物を生成するという欠点を有し、これらの物質は非生分解性排出物の形態でプラントの出口に見出される。
【0036】
最後に、スラッジ調製プロセスの有効性は、これらのスラッジの初期TS負荷量に関連する。
【0037】
したがって、上記のような局所的又は化学的作用を有し、超音波又は化学的酸化を使用する機械的溶解技術の場合、最大推奨負荷量は1リットル当たり6~8gのTSであり、これは必然的に大きなサイズの前消化調製プラントの設計につながる。
【0038】
最適化された処理のための初期濃度が20g/リットル程度である熱加水分解技術に関しては、すべてのより低い濃度は他方で追加のコストを発生させ、これはここでも空間、均質化及び価格の問題を引き起こす。
【0039】
本発明は、上流に相補的処理を導入することによって、特に公知の消化槽の収率を単純、コンパクト及び安価な方法で改善することによって、これらの欠点を克服することを目的とし、これは驚くべきことに、同時に、消化されるスラッジを増粘させ、その粘度を低下させ、水塊中の有機物の分散を増加させることを可能にし、すべてが細菌の部分的溶解と組み合わされる。
【0040】
このような結果は、よりコンパクトな全体的なメタン化システムを得ること、又は過剰に負荷された消化槽に対してより長い滞留時間を維持することを可能にする小さな補助装置の追加によって経済的に得られる。
【0041】
この目的のために、本発明は、特に、公知の方法で、消化槽内で、スラッジの加水分解/酸生成の工程と、加水分解されたスラッジから酢酸塩を生成するための酢酸塩生成の工程と、メタンを生成するために酢酸塩から出発するメタン生成の工程とを含む、有機液体スラッジから出発するメタン化プロセスであって、このプロセスが、前記スラッジにガスを注入してスラッジをブラストすることによって得られる加水分解されたスラッジエマルジョンを生成し、次に、前記加水分解されたスラッジを消化槽に対してインラインである加圧反応器に連続的に供給した後、前記加水分解されたスラッジに圧力降下を発生させる部材を介して反応器を空にする初期工程であって、前記初期工程が、消化槽に供給する前及び/又は消化槽を通過した後、消化槽に再供給する前に少なくとも1回繰り返される、初期工程を含むことを特徴とする、メタン化プロセスを提案する。
【0042】
この繰り返される補助的な初期工程は、具体的には、処理される有機スラッジによって構成された粘性の非圧縮性流体から開始して、比較的柔らかい圧力/背圧サイクルのために、細菌及び細菌凝集塊を含む圧縮性流体の生成を可能にし、これらのサイクルの数Nが少なくとも2に等しい特定の閾値を超えると、予想外にスラッジ中に存在する細菌の一部を十分に破壊(溶解)することが観察される。
【0043】
有利には、そのような処理は、凝集剤を添加することなく行われ、これは、凝集を可能にしなければならないメタン化装置中でより良好な初期加水分解を可能にする組成物を促進しようとする当業者に対して有害であると思われる。しかしながら、実際には、優れた結果が得られる。
【0044】
しかし、初期工程の後、初期工程が少なくとも1回繰り返される前にスラッジの凝集が実際に行われる別の実施形態では、当業者は、他方で、得られる凝集塊の破壊を予期する可能性がある。
【0045】
しかし、本発明は実際にこの凝集を破壊することが観察されるが、これは実際には、最終的には比較的穏やかに有機物を分散させ、それにより、例えば古細菌型の細菌による消化の次のプロセスへのこの有機物のより大きな供給を可能にする。
【0046】
有利には、使用されるガスは空気である。
【0047】
ここで、細菌培地への空気の注入は、嫌気性細菌によって下流で行われなければならないメタン化処理を妨げると考えられていたかもしれない。観察された結果は実際には異なる。
【0048】
しかし、他の用途では、使用されるガスは、CO、窒素(N)又はバイオガス(例えば、下流の消化槽で得られ、部分的にリサイクルされる)、又は場合によりそれらの空気との組み合わせである。
【0049】
有利には、初期工程のサイクルは、得られた加水分解されたエマルジョンに対して、連続して少なくともN回、N≧4、N≧7又は8、あるいはN≧10、20又は30で行われる。したがって、この繰り返しは、消化槽への導入につながる以下の工程の前に、及び/又は消化槽への直接導入の前に、及び/又は消化槽を通過した後、必要に応じて以下の繰り返しのために再供給する前に行われる。
【0050】
したがって、形成されたエマルジョンの物理的構造は、残りのメタン化プロセスの前に加圧及び減圧されるにつれて変化し、したがって、様々なサイズの気泡、すなわち、反応器の圧力で溶解したガス又は空気から生じる小さな気泡、及び反応器内の既存の気泡の真空圧力に関連する拡大から生じる大きな気泡の形成に有利な現象をもたらす。
【0051】
この分散液は乳化塊の浮遊に非常に有利であることが観察される。
【0052】
有利には、スラッジに対するこの初期工程又はこれらの初期工程の後に、消化槽に供給する前に、例えばプレスベルト上の又は単に排水することによるTS/液体分離工程が続く。
【0053】
この補助的な工程は、繰り返されるエマルジョン生成工程と消化槽内の実際のメタン化との中間であり、スラッジの増粘を可能にする。
【0054】
この増粘は、消化槽内での良好な均質化を保証する混合をより困難かつ高価にするので、良好な消化には好ましくないように見えるが、得られるスラッジエマルジョンは特に低い粘度を有し、これはこの不規則性を補償し、実際に消化槽内の温度及びpHの良好な均質化を可能にすることが観察される。
【0055】
同様に、増粘は、この前処理後に得られるデカントされたスラッジを供給することが困難であることを示唆しているかもしれない。
【0056】
実際には、消化槽に供給することを意図したスラッジ中に(脱気後でさえも)持続性気泡が存在することにより、その容易なポンピングが可能になる。
【0057】
アセンブリの粘度が低い場合、重力供給も可能である。
【0058】
ここで、以下の3つのパラメータが消化槽の収率を改善することに留意されたい。
-混合の強度効果的な混合は、温度差を減少させ、消化槽の質量中の有機物の濃度を改善し、pHを均質化し、微生物と分解される有機物との間の遭遇の反応の機会を増加させる。
-供給の規則性微生物発生の停止及び開始を防止するために、通常の有機原料の供給を確実にすることが重要である。
-有機物の高含有量でのみ達成可能な高収率を得るために、有機物の濃度、性質及び構造も重要である。
【0059】
本発明は、一方ではTSの密度を増加させ、他方では良好な粘度を維持することによって、これらの3つのパラメータの最適化を可能にする。
【0060】
見てきたように、良好な粘度は、特に、より良好な混合及び供給の規則性を可能にする。
【0061】
ここで、この調製工程からの消化槽への供給は、連続的又は半連続的に行うことができることに留意されたい。
【0062】
半連続的という用語は、連続的又は半連続的な処理を可能にし、結果として優れた出力を可能にするために、連続的に又は実質的に停止することなく次々に交換される連続的なバッチを意味すると理解される。
【0063】
さらに、上記の圧力/真空圧力作用は、細菌に関してより良好に分散され、より良好に溶解される有機物の性質及び構造を改善し、交換の可能性、したがって消化反応の収率、したがってメタン生成反応の可能性を増加させることによって、有機物のより良好なアクセス性及び生分解性をもたらす。
【0064】
有利な実施形態では、以下の構成のうちの1つ及び/又は別の構成が追加的に及び/又はさらに用いられる。
-N≧10、例えば15以上、
-反応器の出口のエマルジョンが、次の工程の前に脱気される、
-凝集剤は、反応器の出口で、メタン化装置に導入される前にエマルジョンに注入されない、
-凝集塊を形成するために、次の工程の前に反応器の出口で凝集剤をエマルジョンに注入する。初期工程が繰り返される場合、この凝集剤の添加は、繰り返される初期工程の後に行われる。
-凝集剤は、ベント前に反応器のすぐ出口で注入されるポリマーである。
【0065】
別の実施形態において、ポリマーの注入は、ベント後に行われる。凝集剤は、例えば、カチオン型の有機凝集剤である。
-凝集スラッジエマルジョンは、濃縮器として機能する容器内で凝集エマルジョンが浮遊/沈降することによって濃縮され、濃縮スラッジは、例えばオーバーフローによって消化槽に連続的に排出される。
-スラッジは、小径d(例えば、d<50mm又は1cm)の要素を介して加圧反応器に供給され、スラッジは小径の要素を高速v(例えば、v>10m/秒)及び低圧pで通過し、小径の要素にはガス又は空気が高流量で注入され(例えば、流量qNm3≧10Qm3であり、Qはスラッジの流量である)、圧縮性ガスエマルジョンを生成し、次に、圧縮性ガスエマルジョンは、エマルジョンが通過する要素よりも大きい直径D(D>20d)の下流反応器に、より高い圧力P(P>p、例えばP>2バール、有利にはP≧10バール及び<20バール又は15バール)及びより低い速度V(V<v)で供給され、その後、例えばボールバルブ、グローブバルブ又はスリーブバルブによって形成された下流部材において圧力降下を受ける。
【0066】
注入ゾーンの特に小さいサイズ(例えば、0.001m3)は、優れたスラッジ/空気混合を可能にする。
【0067】
したがって、この場所には特に高速ゾーンがあり、動的衝撃をもたらし、スラッジがガス中に分散することを可能にする。
-小径の要素はベンチュリである。
-空気は、流れの方向に、及び/又はスラッジの流れに逆らって注入され、及び/又はスラッジの流れの方向に対して20°~90°、例えば30°又は45°の角度で注入される。
-凝集塊のエマルジョンは、凝集塊を減速させるために、凝集塊のエマルジョンがそれ自体又はエネルギー吸収フラップに柔らかい衝撃を与えることによって脱気される。
-このように熟成されたエマルジョン又は凝集塊は、それを濾過及び/又は沈降/熟成装置に通して消化槽に排出するために回収される。
【0068】
エネルギー吸収という用語は、凝集塊の運動エネルギーを少なくとも2倍減少させるために構成されることを意味すると理解される。
【0069】
これは、液体/液体タイプの衝撃である。
【0070】
過剰な空気のこのような柔らかく部分的な脱気は、エマルジョンを損傷せず、次に脱気のエネルギーを使用してエマルジョンをより良好に凝集させることを可能にし、ポリマーの混合時間の10%~20%又はさらには最大50%の減少、及び使用されるポリマーの量の減少を可能にする。
【0071】
とりわけ、処理されたスラッジ中にその低い粘度及びその作業性(容易なポンピング)を保持しながらの空気のこの優れた脱気は、嫌気性細菌がその存在を好まないメタン化に注入される酸素の量を最小限に抑えることを可能にする。
【0072】
柔らかい衝撃は、例えば重力によってそれ自体に落下することによる、又はエネルギーを吸収するためのフラップ若しくは仕切り若しくはディスク上に落下することによる、エマルジョン又は凝集塊自体に対する緩やかな衝撃又は衝突なしの接触を意味し、例えば、フラップは、可撓性であるか、例えば数cm2の縮小サイズを有し(例えば、x×yであり、x及びy<10cmである)、流れを減速させるように構成されているが、流れに突然の過剰な圧力を発生させる不規則性を構成することはない。
【0073】
可撓性フラップ又は仕切りは、減速によって圧力降下に耐える及び/又は圧力降下を発生させるのに適した、例えばゴムなどで作られた弾性又は半剛性要素を意味すると理解され、スラッジの凝集塊を破壊することなく圧力脱気を可能にする。
【0074】
そのようなシステムは、エマルジョン又は凝集塊の構成の連続性及びプロセス中のエマルジョンの流量又は移送のコンプライアンスを確保しながら、過剰空気の脱気を可能にする。
【0075】
ポリマーに関して、従来、作業者は、確実により重いが、破壊の危険性がない凝集塊を得るために、ポリマーを過剰に供給する傾向がある。
【0076】
本発明のこの実施形態では、脱気エネルギーを使用することによって凝集プロセスを単純な方法で改善することにより、プラントの作業者が過量に供給する傾向がもはやないため、この危険性はかなり最小限に抑えられる。
【0077】
具体的には、凝集剤を最大30%節約することを可能にする処理ラインで結果が得られる。
【0078】
本発明はまた、上記のようなプロセスを実施する装置を提案する。
【0079】
本発明はまた、公知の方法で、消化槽を含む、有機スラッジから出発するメタン化のための装置であって、この装置がさらに、消化槽の上流の反応器と、小径d(例えばd<50mm又は1cm)の要素又は注入器を含む前記反応器にスラッジを供給するための手段と、小径の要素よりも大きな直径D(D>20d)の下流反応器に供給するように配置された、圧縮性ガスエマルジョンを生成するために前記注入器にガス又は空気を注入するための手段と、反応器の出口で圧力降下を発生させる部材と、スラッジを消化槽に移送するための手段と、スラッジを上流に及び/又は消化槽を介してリサイクルするためのマージンとを含むことを特徴とする、装置を提案する。
【0080】
有利な一実施形態では、本発明はさらに、反応器の下流に位置する混合手段を備えた脱気チャンバを提案する。
【0081】
有利には、リサイクル手段は、消化槽の上流に配置され、N回のリサイクル作業を可能にするのに十分な容積の中間バッファタンクを備える。
【0082】
また有利には、本発明は、消化槽を介して、部材の出口で得られたエマルジョンをループ内で循環させるための手段を含む。
【0083】
有利な一実施形態では、装置は、圧力降下発生部材の後(ただし再循環分岐接続の前)に凝集剤を注入するための手段を含む。
【0084】
また有利には、装置は、それ自体又は可撓性仕切りに対するエマルジョン又は凝集塊の柔らかい衝撃によって、大気圧でエマルジョン又は凝集塊を脱気するための手段を含む。
【0085】
有利には、脱気手段は、大気圧に開放された容器と、大気圧に開放された前記容器内に湿し水としてエマルジョン又は凝集塊を垂直又は実質的に垂直に流出させることによるエマルジョン又は凝集塊の供給とを含む。
【0086】
また有利には、脱気手段は、流れを減速させるための仕切りを含む中間入口チャンバを備えたエマルジョン又は凝集塊を通過させるためのエンクロージャを含む。
【0087】
有利には、仕切りは可撓性及び/又は湾曲しており(例えば、数センチメートル、例えば5cm~100cmの曲率半径を有する)、先端は流れの方を向いている。
【0088】
有利には、凝集剤を添加する場合にのみ、容器が反応器の出口又は下流にさらに設けられ、容器は、濃縮器として機能し、所与の高さにわたって凝集スラッジの浮遊を可能にするように配置される。
【0089】
本発明はまた、消化槽に供給するために、N≧4、有利にはN≧7で、N回の再循環が上記の反応器を通過した後に得られる有機スラッジのスープ又はエマルジョンを提案する。
【0090】
有利には、有機スラッジスープは、溶解細菌を少なくとも80%含む。既に20%~30%の溶解であり得る初期状態に依存するこのような結果は、これまで達成されたことがない。
【0091】
溶解した細菌は、その細胞膜が破壊され、その死が引き起こされた細菌を意味すると理解されるべきである。
【0092】
スラッジの前処理中、反応器内の混合物の低い滞留時間(数秒、例えば1秒~10秒)と組み合わせたスラッジへのガスの導入は、メタン化に有利なHS及びNHなどの小分子の抽出をもたらし、その後これらの有毒物質は過剰になる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
本発明は、非限定的な例として以下に示される実施形態の以下の説明を読むことによってよりよく理解されるであろう。説明は、添付の図面を参照する。
【0094】
図1】本発明によるプロセスの一実施形態の主要な工程を示すフローチャートである。
図1A】初期工程による凝集のない、本発明によるプロセスの別の実施形態を示すフローチャートである。
図2】本発明によるプロセスを実施する装置の第1の実施形態を示す図である。
図2A】本発明と共に使用可能なエマルジョンを得るために、本発明と共に使用可能なエジェクタの実施形態を断面で示す。
図2B】本発明に従って使用可能なエジェクタの別の実施形態を示す。
図2C】本発明に従って使用可能なエジェクタの別の実施形態を示す。
図2D】本発明に従って使用可能なエジェクタの別の実施形態を示す。
図2E】本発明に従って使用可能なエジェクタの別の実施形態を示す。
図2F】本発明に従って使用可能なエジェクタの別の実施形態を示す。
図3】本明細書でより詳細に説明される本発明の実施形態による装置の脱気/熟成ユニットを断面で概略的に示す。
図3A図3を参照して説明したタイプの装置の脱気/熟成ユニットの一実施形態の正面図である。
図3B図3AのIIIA-IIIAに沿った断面図である。
図4】減速仕切りを有する脱気/熟成ユニットの別の実施形態の上面図である。
図4A図4のIVA-IVAに沿った断面図である。
図4B】本発明の別の実施形態による脱気/熟成ユニットの長手方向の変形例を示す。
図5】凝集によって増粘されていない液体スラッジ上での、本発明による初期工程の通過なし及び1回、8回及び10回通過後に得られた有機材料の分散を示す図である。
図6】凝集によって増粘した液体スラッジ上での、本発明による初期工程の通過なし及び1回、8回及び10回通過後に得られた有機材料の分散を示す図である。
図7】液体スラッジ上での本発明による初期工程の通過なし、1回通過及び8回通過後における細菌凝集塊の多孔性及び構造、それが含有する凝集体のサイズ、及びEPS構造(EPSは、細菌凝集塊の機械的安定性を維持することを可能にする有機及び鉱物のコヒーレント構造である)を示す。
図8A】本発明による装置の別の実施形態を示す。
図8B】本発明による装置の別の実施形態を示す。
図8C】本発明による装置の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1は、本明細書でより詳細に説明される本発明の実施形態による有機スラッジのメタン化プロセスの工程を概略的に示す。
【0096】
有機スラッジは、例えば沈降タンクから連続的に汲み上げられる。
【0097】
本発明によれば、スラッジとガスとの間に衝撃が生じて(工程1)、反応器に供給されるエマルジョンが生成され、エマルジョンは、大気圧に対して加圧され(工程2)、圧力降下を発生させる部材を介して排出され(工程3)、次に任意選択的に脱気され(工程4)、任意選択的に凝集され(工程5)、前述の工程1~5を合計N回、N≧2又は3、例えばN=7、8又は10、実行するために繰り返すことが決定される(試験6)。
【0098】
圧力/真空圧力を加えるこのプロセスは、培地の細菌の数十パーセントの溶解をもたらし、これは、工程1~5が十分な数で繰り返される場合に、所望の溶解結果に応じて、80%~90%に達し得る。
【0099】
この溶解は、細菌が存在する培地の巨視的条件のために起こる。
【0100】
使用される局所エネルギー条件も非常に低く、他の先行技術の技法(超音波キャビテーション、化学的及び/又は熱処理)とは異なり、非生分解性耐性有機分子の望ましくない産生を防ぐことを可能にする。
【0101】
図1Aには、上述の工程1~4と同一の工程1’~4’が示されている。しかしながら、この好ましい実施形態では凝集は行われない。対照的に、リサイクルリザーバに5’で供給され、反応器を通る循環を少なくともN回可能にする。例えば、スラッジ流量10m3/時間、及び数N=5の場合、11m3/時間のタンクが設けられ、これにより、反応器の入口と出口との間で流量を連続的に維持することができる(再循環された初期工程が実行される反応器内の滞留時間が非常に短い(数秒又は数分でさえある)ことがわかる)。
【0102】
本発明によるメタン化前に有機スラッジを調製するための技術はさらに、以下の組成のスラッジを用いて得られたペトリ皿細菌増殖型(下記の表Iを参照されたい)の分析の結果として、スラッジのより大きな増粘を可能にし、基質の高い利用可能性を維持しながら、低い粘度をもたらし、したがって好気性細菌の部分的溶解を可能にし、同時にスラッジの生分解性を高める。
全固形分のVS(揮発性固形分)%:60%
VFA揮発性脂肪酸:185mg/l
AGC/TAC:0.4
pH:6.8
【0103】
これらの例では、初期工程は、図1Aを参照して説明した通りである(凝集なし)。
【表1】
【0104】
コロニー形成ユニット
次に、上記の工程を完全に又は部分的に含むエマルジョンを作成する初期工程の後に、場合により熟成工程7、次に、排出/加圧工程(工程8)が続き、消化槽に供給することを可能にし、消化槽ではそれ自体公知の実際のメタン化の工程9が行われ、10でのメタン含有バイオガスの抽出を可能にする。
【0105】
バイオガスの一部(試験11)は、グリッドに注入するためのガスとして再利用することができる。
【0106】
図2は、本発明の一実施形態による装置20の一実施形態を示す。
【0107】
液体有機スラッジ21は、供給ポンプ22及び管路23を介して、例えば高さ1m及び直径50cmの管状エンクロージャ25内の例えばベンチュリによって形成された制限部24に向かって導入される。
【0108】
圧縮機26は、エマルジョン28又はスラッジ/空気/水の三相混合物を形成するために、圧縮空気27をベンチュリ24の内部に斜めに、例えば流体の方向に対して30°の角度で供給する。
【0109】
管状エンクロージャ25は、例えば、相対的に1.2~2バール程度、又は2バールを超える圧力に維持される。
【0110】
これは、エンクロージャの内圧の関数として調整弁29によって実行することができる。この弁29は、一実施形態では、それ自体公知の供給計量装置31を介して凝集剤30が供給される下流の制限部を構成する。
【0111】
凝集剤供給の下流で、このようにして凝集したエマルジョンは、本明細書でより詳細に説明される本発明の実施形態による脱気装置32に供給される。
【0112】
凝集したエマルジョン又は凝集塊のための脱気装置は、33で大気圧に開放され、湿し水として凝集塊を供給するための垂直管34を備え、凝集塊がそれ自体に対して柔らかい衝撃を与えることを可能にし、凝集したエマルジョンの所与の非破壊的な脱気を可能にする。
【0113】
スラッジは、所与の時間、例えば1~5分程度、脱気装置内に留まり、その後、管路35を介して濃縮装置36に重力によって排出される。
【0114】
本明細書でより詳細に説明される本発明の実施形態によれば、即時浮遊の現象は、濃縮装置36内で、大きな凝集塊の装置内の上向き速度20m/時間、50m/時間、又はさらには100m/時間で発生する。
【0115】
したがって、脱気されたエマルジョン37は、装置の下側中間部38に到達し、すぐに固形分39に分離し、固形分は表面に上昇し、透明水40に分離し、透明水は41で重力によって連続的に排出される。
【0116】
固形分39は、例えばシュート42を介して濃縮器/浮遊ユニット36の上部に排出され、これにより脱水スラッジ(固形分)を有孔ベルト43上に重力によって排出することが可能になり、41で得られた未結合水と混合するために回収される残留水の追加の濾過(矢印44)が可能になる。
【0117】
有利には、それ自体公知の方法でスラッジに圧力Pが加えられ、装置の出口で得られるスラッジの脱水及び増粘をさらに増加させることを可能にする。
【0118】
次に、粘性のある、増粘され、脱水されたスラッジ45は、重力によって、又は消化槽47をポンピング46することによって供給するためにベルトの下流で回収され、消化槽では、金属化工程が公知の方法で行われる。
【0119】
次に、メタン含有バイオガスが脱気装置の上部48で抽出され、その一部は、スラッジエマルジョンを生成するためにガス注入圧縮機26に供給するために再循環(一点鎖線49)することが可能である。
【0120】
本発明によれば、有利には、凝集なしで(一点鎖線回路50)、又は凝集中、凝集後かつ脱気前に(一点鎖線回路51)、又は脱気後に(一点鎖線回路52)、管状エンクロージャ25への再循環が一回又は数回行われる。
【0121】
図2Aには、スラッジ/ガスエマルジョンが生成される制限部24の実施形態が示されている。
【0122】
制限部はベンチュリ53によって形成され、ベンチュリは、小径の円筒形ボア部分56内に開口する円錐台形ボア55によって形成されたスラッジ入口(流れF)を含む中空体54を含み、ベンチュリの軸方向58に対して20°~80°、例えば30°の角度を形成する2つの対称分岐接続部57は、スラッジ流Fの方向にガス59の供給を可能にする。
【0123】
スラッジ/ガスエマルジョンは、例えば容積1リットルのこの円筒状剪定部分で、スラッジ流量50m3/時間及び注入ガス、有利には空気の流量250Nm3/時間に対して生成される。
【0124】
円筒形ボア部分は、エマルジョンをエンクロージャ/反応器25に排出するために逆円錐台形部分に開口する。
【0125】
このベンチュリ及び分岐接続部の構成は、10m/秒を超えるエマルジョン速度を可能にする。
【0126】
図2B図2Fは、ベンチュリの中心にガスを注入するベンチュリ53の実施形態を示し、例えば角度45°でスラッジの流れに対する分岐接続部(図2B)、流れの方向に垂直な分岐接続部(図2C)、例えば角度45°の流れ方向の分岐接続部(図2D)、流れの方向に垂直な2つの対称分岐接続部(図2E)、又は例えば角度45°で流れに対する2つの対称分岐接続部(図2F)を有する。
【0127】
図3は、本発明の一実施形態による脱気装置56を概略的に断面図で示す。
【0128】
脱気装置は、例えば円筒形であり、実質的に1mに等しい高さを有する容器57を備える。
【0129】
容器の直径は、例えば200~300ミリメートルである。
【0130】
スラッジは、58で例えば80mmの直径を有する管路によって供給され、管路は、容器の下部29に入り、次に90°の屈曲部60及び例えば100の直径を有する円筒形の垂直部分61を有する。
【0131】
円筒状垂直部分61は、湿し水としてスラッジを送るために首部62内で終端する。
【0132】
容器は、円筒状管路61が開口する内部容積Vを画定する。
【0133】
容積は、凝集エマルジョンの入口管路の直径と同一の直径を有する出口管路63を備えた基部55を有する。
【0134】
有利には、排出管路の上部に、容器を通過した後に凝集塊をさらに脱気するための分岐接続部64が設けられ、前記上部65は、容器内のスラッジのレベルよりも低い高さにある。
【0135】
上部65の高さは、脱気装置内の凝集塊の所与の滞留/熟成時間、例えば20秒を可能にするために、容積Vの基部に対して首部62の高さと等しいか、又はわずかに低くなるように配置される。
【0136】
容積Vは、スラッジの突出を遮断するためのスポイラ67によって有利に保護された大気への出口開口66を有する上部で終端する。説明したような、またDN80mmの様々な供給管の入口/出口寸法を用いる実施形態では、凝集塊の熟成を可能にする、すなわち容器の底部と円筒状垂直部分61の首部の周囲との間の凝集塊の高さHは、例えば400~600mm、例えば500mmである。
【0137】
説明の残りの部分では、同一又は類似の要素を示すために同一の参照番号が使用される。
【0138】
図3A及び図3Bは、本発明による脱気装置の別の実施形態を表し、凝集塊がそれ自体に柔らかい衝撃を与えることによって凝集塊の脱気を可能にする。
【0139】
これは、1.50m×1m×600mmの平行六面体内に刻印することができ、20m3の流量で連続的に供給されるスラッジを、市販のパイプ及び/又はプラスチック若しくは鋼のシートを使用して処理することができ、これは大きな利点である。
【0140】
具体的には、通気による単純な脱気と比較して、又はそうでなければ凝集塊から空気を分離するために機械的混合を使用する脱気装置と比較して、凝集塊を破壊することなく、凝集時間の改善が得られ、この改善は、通常よりも安定した凝集塊を生成しながら20%又はさらには50%に達し得る。
【0141】
したがって、例えば、図3を参照して説明したタイプの装置では、最大作動容積64l(400mm×400mm正方形基部)、入口屈曲部DN120mm、及び動作5~12m3/時間(空気流量30Nm3/時間)で、より良好で、非常に一貫した浮遊凝集塊が得られ、これは従来技術よりもはるかに迅速に得られる。このことは、特に、以下の表IIから明らかになり、表には湿し水の落下高さH(柔らかい衝撃を支配する)の条件も示されている。
【表2】
【0142】
図4及び図4Aは、本発明の別の実施形態による脱気/熟成ユニット70の一例を上面図及びIVA-IVAに沿った断面図で示し、このユニットはエンクロージャEを備え、エンクロージャは、例えば、カットオフ角Cを有する平行六面体形状であり、スラッジ流Fの入口に対して水平に配置され、例えば寸法L×w×H:300×400×300で処理流量10-13m3/時間、TS8~10g/l及びVeff 30リットルである。
【0143】
Veff:(有効体積)は、エマルジョンの伝播及び成熟に必要なエネルギーを吸収することを可能にする復調器の入口におけるスラッジ/水の体積である。
【0144】
この体積は、種々のサイズによって異なる。
【0145】
この体積は、例えば約30~40リットルである。
【0146】
エンクロージャEは、流れチャンバ71内に開口する流れの入口を備え、流れチャンバは、例えば円筒形であり、チャンバの全長(例えば、上記の数値例では200mm)にわたって底部に開いたシリンダ部分72を有し、水平方向の端部に、凝集塊を減速させるのに適した、又は仕切りが可撓性である場合には、凝集塊Fの穏やかな圧力下で内側39’に移動するための仕切り73が装備されている。
【0147】
エンクロージャは、上部に向かって脱気装置から空気を排出するためのチューブTと、他端に出口オリフィスSとを備える。エンクロージャEは、例えばその長さの2/3において、拡大されたスリットZを介して凝集塊を底部に排出することを可能にする中間分配仕切りPを有してもよいし、有しなくてもよい。
【0148】
そのような仕切りは、凝集塊の直接的な減速を可能にするか、又はエマルジョンの均一性をさらに高める。
【0149】
図4Bには、本発明の別の実施形態による脱気/熟成ユニット70’の長手方向の変形例が示されている。
【0150】
後述するように浮遊ユニットと組み合わせて脱気装置を使用する場合、混合物の衝撃を吸収するように意図された内部仕切りは、ゴム又は別の軟質材料で作製されることが有利であり得、ベルトフィルタと共に使用する場合、追加の処理として、例えばより剛性の高い仕切り、例えば多かれ少なかれ凸形状のものが使用され、製造された凝集塊をわずかではあるが完全ではない程度に破壊し、単に凝集塊のサイズを小さくし、それによってより圧縮性にし得る。
【0151】
より具体的には、図4Bの変形例は、底部にスラッジXが充填され、上部にガスが充填されたエンクロージャ70’のゾーンBへのエマルジョン及び過剰ガスの入口Aを示す。
【0152】
ゾーンBは、流れのエネルギーを吸収する仕切りL、すなわち可撓性又は硬質の仕切り(有利には凸状である)によって閉じられている。
【0153】
過剰ガスは、ベント/ベントDによってガス塔頂から抽出される。
【0154】
仕切りを介してアンダーフローした液体流の抽出Vは、例えば1m/秒未満の穏やかな層流を提供するゾーンGを通って行われ、多孔質凝集塊を懸濁状態にすることを可能にする。
【0155】
エマルジョンを形成するために10~30g/l装填され、100Nm3/時間までの空気が添加されたスラッジ20~23m3/時間の場合、エンクロージャは、例えば、L×w×H=500×200×250の寸法を有し、130mmの出口チューブによってエンクロージャ内に浸透し、160cmの吸収剤仕切り高さを有する。
【0156】
図2を参照して(しかし、凝集がない場合には、以下の図8B及び図8Cも参照して)より詳細に説明された実施形態による装置のために、及び脱気の前に、必要に応じて、増加した分散を示す液体スラッジが得られ、各液体スラッジはエンクロージャ25を通過し、このようにして処理されたスラッジが消化槽で終了したときに嫌気性細菌に対するより良好なアクセスを可能にする。
【0157】
このようにして、物質の分散液が得られ(図5及び図6の写真を参照)、これは、本発明による前処理がない場合と比較して、凝集なし(図5)又は凝集あり(図6)の各通過で改善する。
【0158】
より正確には、図5を参照すると、列80、81、82及び83は、それぞれ0回通過、1回通過、8回通過及び10回通過後の有機材料84の分散を示す。材料は通過ごとにますます分散され、したがって、消化槽に送るために細菌のより良好な利用可能性を可能にすることが観察される。
【0159】
同様に、図6の列85、86、87、88、89及び90には、エンクロージャ25を通過しない(85)、2回通過(86)、4回通過(87)、6回通過(88)、8回通過(89)、10回通過(90)で行われた凝集後の肥厚したスラッジ中の有機物91の分散が示されている。
【0160】
ここでも、分散は通過数の関数としてかなり改善されるが、分散は8回通過後に多かれ少なかれ安定になる。
【0161】
細菌の壁の破壊も、特に好ましい様式で起こる(膜壁の破壊)(図7参照)。
【0162】
通過なし(列92)では、細菌93は生存している。1回通過後(94)、細菌95の溶解度は既に30%を超えている(膜96の破壊/破裂を参照)。
【0163】
8回通過後(列97)、破壊(溶解)の程度は80%以上であり、凝集体のサイズはさらに減少し、このことはここでも消化槽によって放出された有機物のより良好な消化を可能にする。
【0164】
図8A図8Cは、本発明によるメタン化装置の3つの他の実施形態を示す。
【0165】
図8Aの装置99では、消化槽100は、脱気装置102及び熟成ユニット103を介して反応器101から直接供給され、反応器と脱気装置との間で第1の凝集剤104が導入され、脱気装置と熟成ユニットとの間で第2の凝集剤105が添加され、この脱気装置及びこの熟成ユニットは、例えば、先行する図2図4Bを参照して説明したタイプのものである。
【0166】
分離された水は、103での分離/熟成後、107で凝集塊を消化槽100に注入する前に、106で回収される。
【0167】
消化槽中における数日間の消化時間の後、消化物は108で排出され、バイオガスは109で回収される。
【0168】
図8Aの実施形態では、3000m3の中温性消化槽(動作温度:37.5℃;pH=7.4;平均滞留時間:16.3日間、1日当たり1立方メートル当たり2.5~3.4kgのVS(揮発性固形分)の投入、及び1日当たり160~220立方メートルの流量の場合、例えば、以下の表III~表VIに対応する反応器101の寸法及び動作パラメータを提供することが可能である。
【0169】
これらは、生物学的スラッジで観察されており、その初期特性は特に以下の通りである。
VS揮発性固形分(全固形分の%):60%
VFA揮発性脂肪酸:185mg/l
TAC総アルカリ度:500mg/l
AGC/TAC:0.4
pH:6.8
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】
【0170】
前(すなわち、凝集しているが本発明によって処理されていないスラッジ)及び後(すなわち、スラッジの凝集後に本発明によって1回通過した)の75g/リットルのスラッジに関するRheomat RM180相対粘度計を用いた測定値は、以下の通りである。
14.6Pa.s及び5.8Pa.s
19.8Pa.s及び11.6Pa.s
18.3Pa.s及び9.2Pa.s
16.5Pa.s及び7.7Pa.s
【0171】
図8Bは、本発明による装置111の別の実施形態を示す。
【0172】
ここで、これは消化槽の上流で非凝集エマルジョンを生成するためのより単純化された解決策であり、エマルジョンを貯蔵タンク113に再循環させるためのポンプ112を含み、タンクを所定回数、例えば8回通過することを可能にする(矢印114)。
【0173】
ここでも、これにより、所与の特性のスラッジから生成されたエマルジョンの非常に低い粘度(114で凝集あり又はなし)を得ることが可能になる。
【0174】
例えば、30.98Pa.sの初期粘度で、46.2g/リットルの(例えばプレスによって)増粘された生スラッジから出発して、単一の通過の後に以下のパラメータを考慮して得ることが可能である。
【表7】
【0175】
図8Cは、本発明による装置115の第3の実施形態を示し、凝集していないが、消化によって得られたノノキシノールガスから得られたエマルジョン(一点鎖線116)は、今度は消化槽自体に再循環されることが意図されている(矢印117)。
【0176】
実施形態では、脱気(一点鎖線102)及び/又は熟成(一点鎖線103)は、消化槽への再挿入の前に行われる。
【0177】
凝集剤を含まない図8B及び図8Cの処理は、スラッジの構成の改善を可能にし、予想外にも消化槽の最適化された動作を促進する。
【0178】
ここで、図2を参照して、本発明の実施形態によるプロセスの実施をより詳細に説明する。
【0179】
スラッジ21は、例えば直径DN50及び数メートルに等しい長さlを有するパイプを介して、例えば20m3/時間の流量Qで圧送することによって連続流量で供給される。同時に、大流量の空気、例えば60Nm3/時間がベンチュリ24に連続的に注入され、これにより三相エマルジョンが形成され、次に三相エマルジョンは抑制されながらエンクロージャ25に入る。次に、エマルジョンは、制限部29、例えばゲート/弁を通過し、新たな圧力/真空圧力ショックを生じさせる。
【0180】
有利には、空気の注入、エンクロージャ内の減圧、及び制限のこのサイクルは、N≧2又はN≧7で少なくともN回繰り返される。
【0181】
次に、必要な処理含量の凝集剤を導入して、高度に曝気された凝集塊を生成する。
【0182】
凝集塊は脱気容器32内に流れ落ちる。
【0183】
凝集塊自体に対する凝集塊の柔らかい衝撃は、凝集塊を損傷することなく良好な脱気を可能にし、凝集塊は、湾曲管の寸法、容積V及び流量を考慮すると、排出される前の容器内で数秒間(数分まで)しか留まらず、これは優れた熟成につながる。
【0184】
次に、熟成した凝集塊は、浮遊ユニット/分離器36に重力によって移送され、そこで凝集塊は、多かれ少なかれ画定された浮遊ラインを残す未結合水の表面に対して実質的に瞬時に上昇する(数秒)。非常に透明な未結合水が下方に排出される。
【0185】
(粘性)凝集塊自体は、オーバーフロー及び重力同伴によって、又はドラムによって上部を介して排出され、さらに押圧され、次に46で消化槽47に圧送することによって重力によって排出される。
【0186】
次に、それ自体公知の消化操作を、数日間、例えば消化槽中で15又は16日間行う。
【0187】
上記の上流処理によって生分解性が大幅に改善された複合有機物は、次に加水分解性細菌によって加水分解され、それが単純な有機物に変換される。
【0188】
次に、酸生成細菌を用いて酸生成反応が行われ、単純な物質を有機酸及びアルコールに変換し、次に、これらを酢酸生成細菌で攻撃して、公知の方法で酢酸塩、水素及びCOを得る。
【0189】
次の工程は、特にホモアセトゲン細菌によって、メタン、二酸化炭素(2つは、残留水素と共にバイオガスを形成する)及び水の形成をもたらすメタン生成の工程である。
【0190】
より詳細に説明された実施形態では、及び上記のような平均特性を有する生物学的スラッジを用いて(表III~表VIIの説明を参照)、メタン生成において、他のすべてのことは同等であり、10%程度又はそれ以上の改善が得られる。
【0191】
言うまでもなく、また上記からも明らかなように、本発明は、より詳細に説明された実施形態に限定されない。反対に、本発明は、非常にコンパクトであることを考慮して、すべての変形形態、特に、例えばトラックトレーラに取り付けられることによって装置全体が可動である変形形態を包含する。これにより、必要に応じてある場所から別の場所に輸送することができる。
図1
図1A
図2
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図3A
図3B
図4
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C