(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】スルホンアミド化合物、非イオン系光酸発生剤、およびフォトリソグラフィー用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C07C 311/49 20060101AFI20240604BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240604BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20240604BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
C07C311/49 CSP
G03F7/004 503
G03F7/038 601
G03F7/039 601
(21)【出願番号】P 2021539839
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(86)【国際出願番号】 JP2020026146
(87)【国際公開番号】W WO2021029158
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2019147316
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000106139
【氏名又は名称】サンアプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118061
【氏名又は名称】林 博史
(72)【発明者】
【氏名】木津 智仁
(72)【発明者】
【氏名】白石 篤志
(72)【発明者】
【氏名】中村 友治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 竜輔
【審査官】池上 佳菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-027147(JP,A)
【文献】特開昭51-126222(JP,A)
【文献】特表2004-504298(JP,A)
【文献】ZHAO, XUE ZHI ET AL.,2,3-Dihydro-6,7-dihydroxy-1H-isoindol-1-one-Based HIV-1 Integrase Inhibitors,JOURNAL OF MEDICINAL CHEMISTRY,2008年,vol. 51, no. 2,pages 251 - 259,DOI: 10.1021/JM070715D
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
G03F 7/038
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)または(2)で表されることを特徴とするスルホンアミド化合物(A)。
【化1】
[式中、R
fはそれぞれフッ素原子、フルオロアルキル基、またはフルオロアリール基であり、R
1はそれぞれフッ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、アリール基、またはフルオロアリール基であり、R
fとR
1とは互いに結合して環を形成していてもよく、R
2は酸素、硫黄、窒素(置換基を有してよい)からなる群から選ばれるヘテロ原子であり、R
3はアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、またはAr
1と結合して環を形成する-C(O)-、-C(O)-CH
2-、-C(O)O-、-C(O)-NR
5-、-C(O)S-、-SO
2-であり、R
4はフルオロアルキル基、フルオロアリール基、シアノ基、ニトロアリール基からなる群から選ばれる電子求引性基であり、Ar
1はアリール基、または含ヘテロ原子アリール基である。
R
5
はアルキル基、アリール基またはスルホニル基である。]
【請求項2】
一般式(1)中、R
2は酸素原子であり、R
3はAr
1と結合して6員環を形成する-C(O)-、-C(O)-CH
2-、-C(O)O-、-C(O)-NR
5-、または-C(O)S-であり、R
5は炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、メシル基、ベンゼンスルホニル基、トシル基、またはノシル基であり、Ar
1が炭素数6~14のアリール基、または炭素数4~14の含ヘテロ原子アリール基である請求項1に記載のスルホンアミド化合物(A)。
【請求項3】
一般式(1)中、R
2は酸素原子であり、R
3はAr
1と結合して5員環を形成する-C(O)-、-SO
2-であり、Ar
1は炭素数6~14のアリール基、または炭素数4~14の含ヘテロ原子アリール基である請求項1に記載のスルホンアミド化合物(A)。
【請求項4】
一般式(1)中、R
2は酸素原子であり、R
3は炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数6~10(カルボニル炭素を含めない)のアリールオキシ基、または炭素数1~10(カルボニル炭素を含まめない)のアルコキシカルボニル基であり、Ar
1が炭素数6~14のアリール基、または炭素数4~14の含ヘテロ原子アリール基である請求項1に記載のスルホンアミド化合物(A)。
【請求項5】
一般式(2)中、R
4が炭素数1~8のフルオロアルキル基、またはシアノ基であり、Ar
1が炭素数6~14のアリール基、または炭素数4~14の含ヘテロ原子アリール基である請求項1に記載のスルホンアミド化合物(A)。
【請求項6】
一般式(1)または(2)中、R
f及びR
1が互いに独立にCF
3、C
2F
5,C
3F
7、C
4F
9、C
6F
5である請求項1~5のいずれかに記載のスルホンアミド化合物(A)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のスルホンアミド化合物(A)を含有する非イオン系光酸発生剤(B)。
【請求項8】
請求項7に記載の非イオン系光酸発生剤(B)を含有するフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホンアミド化合物、非イオン系光酸発生剤、及びフォトリソグラフィー用樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、紫外線(i線、KrF線)を作用させて超強酸を発生させうるに好適なスルホンアミド化合物、それを含有する非イオン系光酸発生剤、及び当該非イオン系光酸発生剤を含有するフォトリソグラフィー用樹脂組成物に関する。
【0002】
従前より、半導体の製造に代表される微細加工の分野では、様々な波長の光を用いて望みのパターンをレジストに転写して得るフォトリソグラフィー工程が広く用いられている。
レジスト材料としては、例えば、カルボン酸のtert-ブチルエステル、又はフェノールのtert-ブチルカーボネートを有する重合体と光酸発生剤とを含有する樹脂組成物が用いられている。このレジスト材料を溶媒に溶解したものを基板上に塗布し光を照射することで光酸発生剤が分解してトリフルオロメタンスルホン酸等の超強酸(100%硫酸よりも高い酸性度を示す酸)を発生する。さらに露光後加熱(PEB)を行うことで、発生した酸により重合体中のtert-ブチルエステル基、又はtert-ブチルカーボネート基等の酸反応性基が解離し、カルボン酸、またはフェノール性水酸基が形成され、光照射部がアルカリ現像液に易溶性となる。この現象を利用してパターン形成が行われているため、少ない露光量で望むパターンの得られる高感度なレジスト材料の開発が省エネルギー化や工程時間の短縮のため切望されている。
従って高感度なレジスト材料を実現する光酸発生剤としては、高い光分解率及び発生酸がより高い酸強度を持つことが望ましい。
【0003】
以上の理由から、フォトリソグラフィー工程に好ましい光酸発生剤として、トリアリールスルホニウム塩(特許文献1)、ナフタレン骨格を有するフェナシルスルホニウム塩(特許文献2)等のイオン系光酸発生剤、及びオキシムスルホネート構造(特許文献3)、またはナフタルイミド構造(特許文献4、特許文献5)等を有する非イオン系光酸発生剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭50-151997号公報
【文献】特開平9-118663号公報
【文献】特開平6-67433号公報
【文献】特開2004-217748号公報
【文献】特許第5990447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フォトリソグラフィー用樹脂組成物中の光酸発生剤を分解するフォトリソグラフィー工程用の光源としては、入手性、安定性からi線(365nm)やKrF線(248nm)等の近紫外線が広く用いられており、半導体市場の成長につれてこれらの近紫外線に対し高感度な光酸発生剤開発の需要が高まっている。また、フォトリソグラフィー工程が多様化している現在においては、高濃度なフォトリソグラフィー用樹脂組成物中においても固体の析出や相分離することが無いようにフォトリソグラフィー用樹脂組成物に含有されるレジスト溶媒に高溶解性であることが求められている。
【0006】
しかし、トリアリールスルホニウム塩やフェナシルスルホニウム塩等のイオン系光酸発生剤は、i線に対する光分解率が低く低感度であり、さらに塩であるためにフォトリソグラフィー用樹脂組成物に高濃度に含有させると相分離あるいは析出してしまう問題があった。
【0007】
オキシムスルホネート構造及びナフタルイミド構造を有する非イオン系光酸発生剤は、i線に対する光分解率は高いが、実用上発生酸がスルホン酸に限られ、十分な酸性度が得られず低感度である問題があった。
【0008】
すなわち、本発明の目的はi線、KrF線等の近紫外線に対し高分解率かつ超強酸であるビススルホンアミドを発生し、レジスト溶媒に高溶解なスルホンアミド化合物、これを含有する光酸発生剤、及びこれを含有する近紫外線に高感度なフォトリソグラフィー用樹脂組成物の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)および(2)で表されることを特徴とするスルホンアミド化合物(A);該スルホンアミド化合物(A)を含む非イオン系光酸発生剤(B);及び該非イオン系光酸発生剤(B)を含むフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)である。
【0010】
【0011】
[式中、Rfはそれぞれフッ素原子、フルオロアルキル基、またはフルオロアリール基であり、R1はそれぞれフッ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、アリール基、またはフルオロアリール基であり、RfとR1とは互いに結合して環を形成していてもよく、R2は酸素、硫黄、窒素(置換基を有してよい)からなる群から選ばれるヘテロ原子であり、R3はアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、またはAr1と結合して環を形成する-C(O)-、-C(O)-CH2-、-C(O)O-、-C(O)-NR5-、-C(O)S-、-SO2-であり、R4はフルオロアルキル基、フルオロアリール基、シアノ基、ニトロアリール基からなる群から選ばれる電子求引性基であり、Ar1はアリール基、または含ヘテロ原子アリール基である。]
【発明の効果】
【0012】
本発明のスルホンアミド化合物(A)は近紫外線に高分解率で超強酸を発生する非イオン系光酸発生剤(B)でありレジスト溶媒への溶解性に優れる。また、これを含有するフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)は、近紫外線に対し高感度である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のスルホンアミド化合物(A)は下記一般式(1)または(2)で表される。
【0014】
【0015】
[式中、Rfはそれぞれフッ素原子、フルオロアルキル基、またはフルオロアリール基であり、R1はそれぞれフッ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、アリール基、またはフルオロアリール基であり、RfとR1とは互いに結合して環を形成していてもよく、R2は酸素、硫黄、窒素(置換基を有してよい)からなる群から選ばれるヘテロ原子であり、R3はアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、またはAr1と結合して環を形成する-C(O)-、-C(O)-CH2-、-C(O)O-、-C(O)-NR5-、-C(O)S-、-SO2-であり、R4はフルオロアルキル基、フルオロアリール基、シアノ基、ニトロアリール基からなる群から選ばれる電子求引性基であり、Ar1はアリール基、または含ヘテロ原子アリール基である。R
5
はアルキル基、アリール基またはスルホニル基である。]
【0016】
一般式(1)または(2)中、Rfは、フッ素原子、フルオロアルキル基、またはフルオロアリール基であり、置換基を有してもよい。Rfは、R1と結合して環を形成してもよい。
【0017】
フルオロアルキル基とは少なくとも一つの水素がフッ素で置換されたアルキル基であり、炭素数1~10(置換基を含まない。特記なければ以下同じ)のフルオロアルキル基等が挙げられ、直鎖フルオロアルキル基(RF1)、分枝フルオロアルキル基(RF2)、または環状フルオロアルキル基(RF3)等が挙げられる。
【0018】
直鎖フルオロアルキル基(RF1)としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデカニル基、ジフルオロメチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-ドデカフルオロヘキシル基、ジフルオロ(メトキシカルボニル)メチル基及び2-アダマンチルカルボニロキシ-1,1-ジフルオロエチル基等が挙げられる。
【0019】
分枝フルオロアルキル基(RF2)としては、ヘキサフルオロイソプロピル基、ノナフルオロ-tert-ブチル基及びパーフルオロ-2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0020】
環状フルオロアルキル基(RF3)としては、ヘプタフルオロシクロブチル基、ノナフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロヘキシル基及びパーフルオロ(1-シクロヘキシル)メチル基等が挙げられる。
【0021】
フルオロアリール基とは少なくとも一つの水素がフッ素で置換されたアリール基であり、炭素数6~10のフルオロアリール基(RF4)等が挙げられる。
【0022】
炭素数6~10のフルオロアリール基(RF4)としては、3,4,5-トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、パーフルオロナフチル基、3-トリフルオロメチルテトラフルオロフェニル基及び3,5-ビストリフルオロメチルフェニル基等が挙げられる。
【0023】
Rfのうち、フォトレジストの脱保護能、および原料の入手のしやすさの観点から、直鎖フルオロアルキル基(RF1)、分岐フルオロアルキル基(RF2)、及びフルオロアリール基(RF4)が好ましく、直鎖フルオロアルキル基(RF1)、及びフルオロアリール基(RF4)がさらに好ましく、トリフルオロメチル基(CF3)、ペンタフルオロエチル基(C2F5)、ヘプタフルオロプロピル基(C3F7)、ノナフルオロブチル基(C4F9)及びペンタフルオロフェニル基(C6F5)が特に好ましい。
【0024】
一般式(1)または(2)中、R1はフッ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、アリール基、またはフルオロアリール基であり、置換基を有してもよい。
【0025】
アルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基等が挙げられ、直鎖アルキル基(RA1)、分枝アルキル基(RA2)及び環状のアルキル基(RA3)が挙げられる。
【0026】
直鎖アルキル基(RA1)としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基、デカニル基、ベンジル基、ベンジロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、2-メトキシエチル基、1-メトキシエチル基、トリメチルシロキシメチル基、トリエチルシロキシメチル基及びtert-ブチルジメチルシロキシメチル基等が挙げられる。
【0027】
分枝アルキル基(RA2)としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-エチルヘキシル基、イソデカニル基等が挙げられる。
【0028】
環状アルキル基(RA3)としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルナニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、メンチル基、10-カンファーイル基及びオクタヒドロナフチル基等が挙げられる。
【0029】
フルオロアルキル基としては、前記直鎖フルオロアルキル基(RF1)、分枝フルオロアルキル基(RF2)または環状フルオロアルキル基(RF3)と同様のものが挙げられる。
【0030】
アリール基としては炭素数6~10のアリール基(RA4)等が挙げられ、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アズレニル基、2-トリル基、3-トリル基、4-トリル基、2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2-ニトロフェニル基、4-ニトロフェニル基、2,4-キシリル基、2,6-キシリル基、3,5-キシリル基、2,4-ジニトロフェニル基及び2,4,6-メシチル基等が挙げられる。
【0031】
フルオロアリール基としては、前記フルオロアリール基(RF4)と同様のものが挙げられる。
【0032】
これらのうち原料の入手性の観点から好ましくは炭素数1~10の直鎖アルキル基(RA1)、環状アルキル基(RA3)、直鎖フルオロアルキル基(RF1)、炭素数6~8のアリール基及び炭素数6~8のフルオロアリール基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、10-カンファーイル基、トリフルオロメチル基(CF3)、ペンタフルオロエチル基(C2F5)、ヘプタフルオロプロピル基(C3F7)、ノナフルオロブチル基(C4F9)、フェニル基、4-トリル基、2-ニトロフェニル基、4-ニトロフェニル基、2,4-ジニトロフェニル基及びペンタフルオロフェニル基(C6F5)であり、特に好ましくはトリフルオロメチル基(CF3)、ペンタフルオロエチル基(C2F5)、ヘプタフルオロプロピル基(C3F7)、ノナフルオロブチル基(C4F9)及びペンタフルオロフェニル基(C6F5)である。
【0033】
一般式(1)中、R2は酸素、硫黄、窒素(置換基を有してよい)からなる群から選ばれるヘテロ原子である。
【0034】
窒素原子上の置換基としては、特に限定されないが合成容易性からアルキル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アルキルカーボネート基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が好ましい。
【0035】
R2のうち、原料の入手性の観点から、酸素が好ましい。
【0036】
一般式(1)中、R3はアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、またはAr1と結合して環を形成する-C(O)-、-C(O)-CH2-、-C(O)O-、-C(O)-NR5-、-C(O)S-、-SO2-である。
【0037】
アルキル基としては、前記直鎖アルキル基(RA1)、分枝アルキル基(RA2)及び環状のアルキル基(RA3)と同様のものが挙げられる。
【0038】
アルケニル基としては、炭素数2~10のアルケニル基(RE1)等が挙げられ、直鎖、分枝、または環状のアルケニル基(エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテン-1-イル、2-ブテン-1-イル、2-メチル-2-プロペニル、1-シクロペンテン-1-イル、1-シクロヘキセン-1-イル、1-デセン-1-イル及びノルボルネニル等)等が挙げられる。
【0039】
アリール基としては、前記アリール基(RA4)と同様のものが挙げられる。
【0040】
アルキルカルボニル基としては、炭素数1~10(カルボニル炭素を含まない)のアルキルカルボニル基(RC1)等が挙げられ、直鎖または分枝アルキルカルボニル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、2-メチルプロピオニル、ペンタノイル、2-メチルブタノイル、3-メチルブタノイル、2,2-ジメチルプロパノイル、オクタノイル、2-エチルヘキサノイル及びデカノイル等)等が挙げられる。
【0041】
アリールカルボニル基としては、炭素数6~10(カルボニル炭素を含まない)のアリールカルボニル基(RC2)等が挙げられ、ベンゾイル基、ナフトイル基、4-トルイル基等が挙げられる。
【0042】
アルコキシカルボニル基としては、炭素数1~10(カルボニル上の炭素を含まない)のアルコキシカルボニル基(RC3)等が挙げられ、直鎖または分枝アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、tert-アミロキシカルボニル、オクチロキシカルボニル、2-エチルヘキシロキシカルボニル及びベンジロキシカルボニル(Cbz)等)等が挙げられる。
【0043】
アリールオキシカルボニル基としては、炭素数6~10(カルボニル上の炭素を含まない)のアリールオキシカルボニル基(RC4)等が挙げられ、フェノキシカルボニル基、2-トリルオキシカルボニル基、4-トリルオキシカルボニル基、4-メトキシフェノキシカルボニル基、4-クロロフェノキシカルボニル基、1-ナフトキシカルボニル基、2-ナフトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0044】
R3がAr1と結合して環を形成する-C(O)-NR5-の、R5は特に限定されないが合成容易性からアルキル基、アリール基及びスルホニル基等が好ましく、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、メシル基、ベンゼンスルホニル基、トシル基、ノシル基がさらに好ましい。
【0045】
一般式(2)中、R4はフルオロアルキル基、フルオロアリール基、シアノ基、ニトロアリール基からなる群から選ばれる電子求引性基であり、置換基を有してもよい。
【0046】
フルオロアルキル基としては、前記直鎖フルオロアルキル基(RF1)、分枝フルオロアルキル基(RF2)及び環状フルオロアルキル基(RF3)と同様のものが挙げられる。
【0047】
フルオロアリール基としては、前記フルオロアリール基(RF4)と同様のものが挙げられる。
【0048】
ニトロアリール基としては、炭素数6~10のニトロアリール基が挙げられ、2-ニトロフェニル基、3-ニトロフェニル基、4-ニトロフェニル基、2,4-ジニトロフェニル基、4-ニトロ-1-ナフタレニル基、2,4-ジニトロ-1-ナフタレニル基、2,4,6-トリニトロフェニル基等が挙げられる。
【0049】
一般式(1)または(2)中、Ar1はアリール基、または含ヘテロ原子アリール基であり、R3と結合して環を形成してもよい。また置換基を有してもよい。
【0050】
アリール基としては炭素数6~14のアリール基(RA5)等が挙げられ、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、3-フェナントレニル、9-フェナントレニル、1-アズレニル基、2-フルオレニル基、9’,9’-ジメチル-2-フルオレニル基及び9’,9’-ビストリフルオロメチル-2-フルオレニル基等が挙げられる。
【0051】
含ヘテロ原子アリール基としては、炭素数4~14の含ヘテロ原子アリール基(RA6)等が挙げられ、酸素、窒素及び硫黄からなる群から一つ以上のヘテロ原子を含有するフラニル基、ピロリル基、チオフェニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾピラニル基、キサンテニル基、チオキサンテニル基、フェノキサチイニル基、ジベンゾーp-ジオキシニル基、チアントレニル基、キサントニル基、チオキサントニル基、アントラキノニル基、ジベンゾフラニル基、フルオレニル基及びクマリニル基等が挙げられる。
【0052】
Ar1の置換基としては、後述する(R6)に挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0053】
一般式(1)中、Ar1は前記アリール基(RA5)及び含ヘテロ原子アリール基(RA6)の芳香族炭素上の適当な位置でR3と結合し、環状構造を形成することができる。
【0054】
一般式(1)中、前述のR2~R3、Ar1のうち、原料の入手性、合成容易性及び安定性の観点から、好ましくは以下(a)~(c)が挙げられる。
【0055】
(a):一般式(1)中、R2は酸素原子であり、R3はAr1と結合して6員環を形成する-C(O)-、-C(O)-CH2-、-C(O)O-、-C(O)-NR5-、または-C(O)S-であり、R5は炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、メシル基、ベンゼンスルホニル基、トシル基、またはノシル基であり、Ar1が炭素数6~14のアリール基、または炭素数4~14の含ヘテロ原子アリール基である。
好ましくは下記一般式(1)-a-1~(1)-a-4が挙げられる。さらに好ましくは、一般式(1)-a-1、(1)-a-2、(1)-a-4である。
式(1)-a-4中、複数のR1は互いに独立である。
【0056】
【0057】
(b):一般式(1)中、R2は酸素原子であり、R3はAr1と結合して5員環を形成する-C(O)-、-SO2-であり、Ar1は炭素数6~14のアリール基、または炭素数4~14の含ヘテロ原子アリール基である。
好ましくは下記一般式(1)-b-1~(1)-b-6が挙げられる。さらに好ましくは、一般式(1)-b-1、(1)-b-2、(1)-b-5、及び(1)-b-6である。
式(1)-b-6中、複数のR1は互いに独立である。
【0058】
【0059】
(c):一般式(1)中、R2は酸素原子であり、R3は炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数6~10(カルボニル炭素を含めない)のアリールオキシ基、または炭素数1~10(カルボニル炭素を含まめない)のアルコキシカルボニル基であり、Ar1が炭素数6~14のアリール基、または炭素数4~14の含ヘテロ原子アリール基である。
好ましくは下記一般式(1)-c-1~(1)-c-4が挙げられる。さらに好ましくは、一般式(1)-c-2である。なお、R3は上記の基から選ばれる基である。
【0060】
【0061】
一般式(2)中、前述のR4、Ar1のうち、原料の入手性、合成容易性及び安定性の観点から、好ましくは以下(d)が挙げられる。
【0062】
(d):一般式(2)中、R4が炭素数1~8のフルオロアルキル基、またはシアノ基であり、Ar1が炭素数6~14のアリール基、または炭素数4~14の含ヘテロ原子アリール基である。
好ましくは下記一般式(2)-1~(2)-5が挙げられる。なお、R4は上記の基から選ばれる基である。
【0063】
【0064】
一般式(1)-a-3中、G1は、Ar1と結合して環を形成する基であり、-CH2-、-O-、-NR8-、または-S-等が挙げられる(R8は前記R5と同様である)。
【0065】
一般式(1)-b-1中、G2は、Ar1と結合して環を形成する基であり、-C(O)-または-SO2-等が挙げられる。
【0066】
一般式(1)-b-5、一般式(1)-c-4、一般式(2)-4中、G3とG4は縮合環を構成する基であり、その組み合わせを(G3,G4)と表す時、(-O-,-O-)、(-S-,-S-)、(-C(O)-,-O-)、(-C(O)-,-S-)、(-C(O)-、-C(O)-)、(-CH=CH-,単結合)、(-O-,単結合)、(-CH2-、単結合)または(-C(O)-,単結合)等が挙げられる。
【0067】
一般式(1)-b-6中、G5は、二つの芳香環を結合する基または単結合であり、-CH2-、-C(O)-、-O-、-CMe2-、-C(CF3)2-、-SO2-、または単結合等が挙げられ、後述する(R6)に含まれる。
【0068】
上記一般式中、(R6)nはAr1上の任意の位置の互いに独立なn個(nは0~8の整数)の置換基であり、互いに結合して環を形成してもよく、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、含ヘテロ原子アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルカーボネート基、アリールカーボネート基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ハロゲン原子及び下記式で表される置換基等が挙げられる。
【0069】
【0070】
[式中、R1、G5は前記と同様である。R7は特に限定されないが、互いに独立なアルキル基またはアリール基であり、置換基を有しても互いに結合して環を形成してもよく、好ましくは炭素数1~4のアルキル基、フェニル基及び互いに結合するプロピレン基、ブチレン基である。]
【0071】
(R6)の、アルキル基としては、前記直鎖アルキル基(RA1)、分枝アルキル基(RA2)、環状アルキル基(RA3)と同様のものが挙げられ、原料の入手性、合成の容易性の観点から好ましくは炭素数1~8の直鎖、分枝、又は環状のアルキル基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2-エチルへキシル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基である。
【0072】
(R6)の、アルケニル基としては、前記アルケニル基(RE1)と同様のものが挙げられる。
【0073】
(R6)の、アルキニル基としては、炭素数2~10のアルキニル基(RY1)等が挙げられ、直鎖、分枝、又は環状のアルキニル基(エチニル、1-プロピン-1-イル、2-プロピン-1-イル、1-ブチン-1-イル、2-ブチン-1-イル、3-ブチン-1-イル、1-ペンチン-1-イル、2-ペンチン-1-イル、3-ペンチン-1-イル、4-ペンチン-1-イル、1-ヘキシン-1-イル、3-メチル-1-ブチン-1-イル、1-メチル-2-ブチン-1-イル、1-メチル-3-ブチン-1-イル、1,1-ジメチル-2-プロピン-1-イル、1-シクロオクチン-1-イル及び2-フェニルエチン-1-イル等)等が挙げられ、合成の容易性の観点から、1-プロピン-1-イル基、1-ブチン-1-イル基、1-ペンチン-1-イル基、2-フェニルエチン-1-イル基が好ましい。
【0074】
(R6)の、アリール基としては、前記アリール基(RA4)と同様のものが挙げられる。
【0075】
(R6)の、含ヘテロ原子アリール基としては、炭素数4~10の含ヘテロ原子アリール基(RA7)等が挙げられ、酸素、窒素及び硫黄からなる群から一つ以上のヘテロ原子を芳香環上に含有するフラニル基、ピロリル基、チオフェニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基及びベンゾピラニル基等が挙げられる。
【0076】
(R6)の、アルコキシ基としては、炭素数1~10のアルコキシ基(RC5)等が挙げられ、直鎖、分枝または環状アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ヘキシルオキシ、フェノキシ、トリルオキシ、ベンジロキシ、デシルオキシ、ナフトキシ、メトキシメトキシ、エトキシメトキシ、2-メトキシエトキシ、1-メトキシエトキシ、ベンジロキシメトキシ、トリメチルシロキシ、トリエキルシロキシ、トリイソプロピルシロキシ及びtert-ブチルジメチルシロキシ等)等であり、合成の容易性の観点から好ましくはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチロキシ、ヘキシロキシ、ベンジロキシ及びtert-ブチルジメチルシロキシである。
【0077】
(R6)の、アルキルチオ基としては、炭素数1~10のアルキルチオ基(RC6)等が挙げられ、直鎖、分枝または環状アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、tert-ペンチルチオ、フェニルチオ、トリルチオ、ベンジルチオ、オクチルチオ、デシルチオ及びナフチルチオ等)等であり、合成の容易性の観点から好ましくはメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、ベンジルチオ、オクチルチオ、フェニルチオである。
【0078】
(R6)の、アルキルカルボニル基としては、前記アルキルカルボニル基(RC1)と同様のものが挙げられ、合成の容易性の観点から好ましくはアセチル、プロピオニル、ブタノイル、2-メチルブタノイル及び2,2-ジメチルプロパノイルである。
【0079】
(R6)の、アリールカルボニル基としては、前記アリールカルボニル基(RC2)と同様のものが挙げられる。
【0080】
(R6)の、アルコキシカルボニル基としては、前記アルコキシカルボニル基(RC3)と同様のものが挙げられ、合成の容易性の観点から好ましくは分枝アルコキシカルボニル基であり、特に好ましくはイソプロポキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、tert-アミロキシカルボニル、及び2-エチルヘキシロキシカルボニルである。
【0081】
(R6)の、アリールオキシカルボニル基としては、前記アリールオキシカルボニル基(RC4)と同様のものが挙げられる。
【0082】
(R6)の、アルキルカルボニロキシ基としては、炭素数1~10(カルボニル上の炭素を含まない)のアルキルカルボニロキシ基(RC7)等が挙げられ、直鎖または分枝アルキルカルボニロキシ基(アセトキシ、エチルカルボニロキシ、プロピルカルボニロキシ、イソプロピルカルボニロキシ、ブチルカルボニロキシ、イソブチルカルボニロキシ、sec-ブチルカルボニロキシ、tert-ブチルカルボニロキシ、オクチルカルボニロキシ、2-エチルヘキシルカルボニロキシ、デシルカルボニロキシ及びベンジルカルボニロキシ等)等であり、原料の入手性の観点から好ましくはアセトキシ、エチルカルボニロキシ、プロピルカルボニロキシ、イソプロピルカルボニロキシ、ブチルカルボニロキシ、イソブチルカルボニロキシ、sec-ブチルカルボニロキシ、tert-ブチルカルボニロキシ、ペンチルカルボニロキシ、ヘキシルカルボニロキシ及び2-エチルヘキシルカルボニロキシである。
【0083】
(R6)の、アリールカルボニロキシ基としては、炭素数6~10(カルボニル上の炭素を含まない)のアリールカルボニロキシ基(RC8)等が挙げられ、フェニルカルボニロキシ基、1-ナフチルカルボニロキシ基、2-ナフチルカルボニロキシ基、1-アズレニルカルボニロキシ基、2-トリルカルボニロキシ基、3-トリルカルボニロキシ基、4-トリルカルボニロキシ基、2-クロロフェニルカルボニロキシ基、3-クロロフェニルカルボニロキシ基、4-クロロフェニルカルボニロキシ基、2,4-キシリルカルボニロキシ基、2,6-キシリルカルボニロキシ基、3,5-キシリルカルボニロキシ基、2,4,6-メシチルカルボニロキシ基、3,5-ビストリフルオロメチルフェニルカルボニロキシ基及びペンタフルオロフェニルカルボニロキシ基等が挙げられる。
【0084】
(R6)の、アルキルカーボネート基としては、炭素数1~10(カルボニル上の炭素を含まない)のアルキルカーボネート基(RC9)等が挙げられ、メチルカーボネート基、エチルカーボネート基、プロピルカーボネート基、2-プロピルカーボネート基、ブチルカーボネート基、2-ブチルカーボネート基、イソブチルカーボネート基、tert-ブチルカーボネート基、tert-アミルカーボネート基、ベンジルカーボネート基、2-エチルヘキシルカーボネート基及びメンチルカーボネート基等であり、原料の入手性の観点から好ましくはメチルカーボネート基、エチルカーボネート基、プロピルカーボネート基、イソプロピルカーボネート基、ブチルカーボネート基、イソブチルカーボネート基、tert-ブチルカーボネート基、tert-アミルカーボネート基、2-エチルヘキシルカーボネート基である。
【0085】
(R6)の、アリールカーボネート基としては、炭素数6~10(カルボニル上の炭素を含まない)のアリールカーボネート基(RC10)等が挙げられ、フェニルカーボネート基、1-ナフチルカーボネート基、2-ナフチルカーボネート基、1-アズレニルカーボネート基、2-トリルカーボネート基、3-トリルカーボネート基、4-トリルカーボネート基、2-クロロフェニルカーボネート基、3-クロロフェニルカーボネート基、4-クロロフェニルカーボネート基、2,4-キシリルカーボネート基、2,6-キシリルカーボネート基、3,5-キシリルカーボネート基、2,4,6-メシチルカーボネート基、3,5-ビストリフルオロメチルフェニルカーボネート基及びペンタフルオロフェニルカーボネート基等が挙げられる。
【0086】
(R6)の、アルキルスルホニル基としては、炭素数1~10のアルキルスルホニル基(RC11)等が挙げられ、直鎖又は分枝アルキルスルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル、tert-ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、tert-ペンチルスルホニル、オクチルスルホニル、デシルスルホニル、トルフルオロメタンスルホニル、ペンタフルオロエタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル及びパーフルオロオクタンスルホニル等)等が挙げられ、原料の入手性の観点から好ましくはメチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル及びパーフルオロオクタンスルホニルである。
【0087】
(R6)の、アリールスルホニル基としては、炭素数6~10のアリールスルホニル基(RC12)(ベンゼンスルホニル、2-トルエンスルホニル、4-トルエンスルホニル、2-ニトロベンゼンスルホニル、4-ニトロベンゼンスルホニル、2,4-ジニトロベンゼンスルホニル、ナフチルスルホニル、ペンタフルオロベンゼンスルホニル及び3,5-ビストリフルオロメチルフェニル等)等が挙げられ、原料の入手性の観点から好ましくはベンゼンスルホニル、4-トルエンスルホニル、2-ニトロベンゼンスルホニル及びペンタフルオロベンゼンスルホニルである。
【0088】
(R6)の、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、原料の入手性及び合成の容易性の観点から好ましくはフッ素原子、塩素原子及び臭素原子である。
【0089】
本発明のスルホンアミド化合物(A)の合成方法は目的物を合成できれば特に限定はされないが、例えば、一般式(1)の化合物は以下に述べる製造方法で製造できる。
【0090】
【0091】
上記の反応式中、R1~R3、Ar1及びRfは一般式(1)における定義に同じである。
第1段目の反応は、前駆体(P1)、R1SO2Xで表されるスルホン酸ハロゲン化物等価体、塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ピリジン、クロロピリジン、ジクロロピリジン、ルチジン、2,6-ジターシャリーブチルピリジン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、テトラメチルピペリジン(TMP)、テトラメチルグアニジン(TMG)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、カリウムターシャリーブトキシド、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムビスヘキサメチルジシラザン等)を有機溶剤(トルエン、酢酸ブチル、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンズトリフルオリド等)や水中、-78℃~還流条件で5分~3時間反応させる。反応完了後、析出する固体をろ過するか適当な溶剤で抽出することで前駆体(P2)が得られる。(P2)は必要に応じて再結晶するか溶剤で洗浄して精製することができる。場合により未精製のまま引き続く反応を行うこともできる。
【0092】
第2段目の反応は、前駆体(P2)、RfSO2Xで表されるスルホン酸ハロゲン化物等価体、塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、ピリジン、クロロピリジン、ジクロロピリジン、2,6-ジターシャリーブチルピリジン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、TMP、TMG、HMDS、カリウムターシャリーブトキシド、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムビスヘキサメチルジシラザン等)を有機溶剤(トルエン、酢酸ブチル、アセトニトリル、DMF、DMAc、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンズトリフルオリド等)中、-78~30℃で5分~3時間反応させる。反応完了後、析出する固体をろ過するか適当な溶剤で抽出し揮発分を留去することで固体の一般式(1)のスルホンアミド化合物(A)が得られる。得られた固体は、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、有機溶剤で洗浄、再結晶などで精製することができる。
【0093】
また、例えば一般式(2)の化合物は以下に述べる製造方法で製造できる。
【0094】
【0095】
上記の反応式中、R1、R4、Ar1及びRfは一般式(2)における定義に同じである。
第1段目の反応は、前駆体(P3)とR1SO2NHNH2で表されるスルホニルヒドラジドとを有機溶剤(トルエン、酢酸ブチル、アセトニトリル、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、DMF、DMAc、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンズトリフルオリド等)や水中、-78℃~還流条件で5分~3時間反応させる。反応完了後、析出する固体をろ過するか適当な溶剤で抽出することで前駆体(P4)が得られる。前駆体(P4)は必要に応じて再結晶するか溶剤で洗浄して精製することができる。
【0096】
第2段目の反応は、前駆体(P4)、RfSO2Xで表されるスルホン酸ハロゲン化物等価体、塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、ピリジン、クロロピリジン、ジクロロピリジン、2,6-ジターシャリーブチルピリジン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、TMP、TMG、HMDS、カリウムターシャリーブトキシド、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムビスヘキサメチルジシラザン等)を有機溶剤(トルエン、酢酸ブチル、アセトニトリル、DMF、DMAc、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンズトリフルオリド等)中、-78~30℃で5分~3時間反応させる。反応完了後、析出する固体をろ過するか適当な溶剤で抽出し揮発分を留去することで固体の一般式(2)のスルホンアミド化合物(A)が得られる。得られた固体は、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、有機溶剤で洗浄、再結晶などで精製することができる。
【0097】
本発明のスルホンアミド化合物(A)は、光照射によって超強酸が発生することから、フォトリソグラフィー用樹脂組成物(レジスト)用の非イオン系光酸発生剤として好適である。
【0098】
本発明のスルホンアミド化合物(A)を含有する非イオン系光酸発生剤(B)は、レジスト材料への溶解を容易にするため、あらかじめ反応を阻害しない溶剤に溶かしておいてもよい。
【0099】
レジスト材料への溶解を容易にする溶剤としては、カーボネート(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等)、エステル(酢酸エチル、乳酸エチル、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン及びε-カプロラクトン等)、エーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等)、及びエーテルエステル(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等)等が挙げられる。
【0100】
溶剤を使用する場合、溶剤の使用割合は、本発明の非イオン系光酸発生剤(B)100重量部に対して、15~1000重量部が好ましく、30~500重量部がさらに好ましい。
【0101】
本発明のフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)は、非イオン系光酸発生剤(B)を必須成分として含むため、紫外線照射及び露光後加熱(PEB)を行うことで、露光部と未露光部の現像液に対する溶解性に差がつく。非イオン系光酸発生剤(B)は1種単独、又は2種以上を組み合わせて使用することも、スルホニウム塩等のイオン系光酸発生剤と併用することもできる。
フォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)としては、ネガ型化学増幅樹脂(QN)と非イオン系光酸発生剤(B)との混合物;及びポジ型化学増幅樹脂(QP)と非イオン系光酸発生剤(B)との混合物が挙げられる。
【0102】
ネガ型化学増幅樹脂(QN)としては、フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)と架橋剤(QN2)から構成される。
【0103】
フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)としてはフェノール性水酸基を含有している樹脂であれば特に制限はなく、例えば、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレンとスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレン、スチレン及び(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体、フェノール/キシリレングリコール縮合樹脂、クレゾール/キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール性水酸基を含有するポリイミド、フェノール性水酸基を含有するポリアミック酸、フェノール-ジシクロペンタジエン縮合樹脂が用いられる。これらのなかでも、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレンとスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレン、スチレン及び(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体、フェノール/キシリレングリコール縮合樹脂が好ましい。尚、これらのフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0104】
上記ノボラック樹脂は、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを触媒の存在下で縮合させることにより得ることができる。
上記フェノール類としては、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、o-ブチルフェノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、1-ナフトール、2-ナフトールが挙げられる。
また、上記アルデヒド類としてはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0105】
上記ノボラック樹脂としては、例えば、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール/ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂が挙げられる。
【0106】
また、上記フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)には、成分の一部としてフェノール性低分子化合物が含有されていてもよい。
上記フェノール性低分子化合物としては、例えば、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,3-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼン、1,4-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼン、4,6-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]-1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-[4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル]エタン、1,1,2,2-テトラ(4-ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’-{1-[4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノールが挙げられる。これらのフェノール性低分子化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0107】
このフェノール性低分子化合物のフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)中における含有割合は、フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)を100重量%とした場合、40重量%以下であることが好ましく、1~30重量%がさらに好ましい。
【0108】
フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)の重量平均分子量は、得られる絶縁膜の解像性、熱衝撃性、熱安定性、残膜率等の観点から、2000以上であることが好ましく、2000~20000がさらに好ましい。
また、ネガ型化学増幅樹脂(QN)中におけるフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)の含有割合は、溶剤を除いた組成物の全体を100重量%とした場合に、30~90重量%であることが好ましく、40~80重量%がさらに好ましい。このフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)の含有割合が30~90重量%である場合には、感光性絶縁樹脂組成物を用いて形成された膜がアルカリ水溶液による十分な現像性を有しているため好ましい。
【0109】
架橋剤(QN2)としては、非イオン系光酸発生剤(B)から発生した強酸によりフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)を架橋し得る化合物であれば特に限定されない。
【0110】
架橋剤(QN2)としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ化合物、ビスフェノールF系エポキシ化合物、ビスフェノールS系エポキシ化合物、ノボラック樹脂系エポキシ化合物、レゾール樹脂系エポキシ化合物、ポリ(ヒドロキシスチレン)系エポキシ化合物、オキセタン化合物、メチロール基含有メラミン化合物、メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物、メチロール基含有尿素化合物、メチロール基含有フェノール化合物、アルコキシアルキル基含有メラミン化合物、アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物、アルコキシアルキル基含有尿素化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物、カルボキシメチル基含有メラミン樹脂、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン樹脂、カルボキシメチル基含有尿素樹脂、カルボキシメチル基含有フェノール樹脂、カルボキシメチル基含有メラミン化合物、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物、カルボキシメチル基含有尿素化合物及びカルボキシメチル基含有フェノール化合物が挙げられる。
【0111】
これら架橋剤(QN2)のうち、メチロール基含有フェノール化合物、メトキシメチル基含有メラミン化合物、メトキシメチル基含有フェノール化合物、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物、メトキシメチル基含有ウレア化合物及びアセトキシメチル基含有フェノール化合物が好ましく、メトキシメチル基含有メラミン化合物(例えばヘキサメトキシメチルメラミン)、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物及びメトキシメチル基含有ウレア化合物等がさらに好ましい。メトキシメチル基含有メラミン化合物は、CYMEL300、CYMEL301、CYMEL303、CYMEL305(三井サイアナミッド(株)製)等の商品名で、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物はCYMEL1174(三井サイアナミッド(株)製)等の商品名で、またメトキシメチル基含有ウレア化合物は、MX290(三和ケミカル(株)製)等の商品名で市販されている。
【0112】
架橋剤(QN2)の含有量は、残膜率の低下、パターンの蛇行や膨潤及び現像性の観点から、フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)中の全酸性官能基に対して、通常、5~60モル%であり、10~50モル%が好ましく、15~40モル%がさらに好ましい。
【0113】
ポジ型化学増幅樹脂(QP)としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はスルホニル基等の1種以上の酸性官能基を含有するアルカリ可溶性樹脂(QP1)、及び(QP1)中の酸性官能基の水素原子の一部あるいは全部を、酸解離性基で置換した保護基導入樹脂(QP2)が挙げられる。
保護基導入樹脂(QP2)は、それ自体としてはアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性である。
なお、酸解離性基とはスルホンアミド化合物(A)から発生した超強酸の存在下で解離することができる基である。
【0114】
アルカリ可溶性樹脂(QP1)としては、例えば、フェノール性水酸基含有樹脂(QP11)、カルボキシル基含有樹脂(QP12)、及びスルホン酸基含有樹脂(QP13)等が挙げられる。
フェノール性水酸基含有樹脂(QP11)としては、上記水酸基含有樹脂(QN1)と同じものが使用できる。
【0115】
カルボキシル基含有樹脂(QP12)としては、カルボキシル基を有するポリマーであれば特に制限はなく、例えば、カルボキシル基含有ビニルモノマー(Va)と、必要により疎水基含有ビニルモノマー(Vb)とをビニル重合することで得られる。
【0116】
カルボキシル基含有ビニルモノマー(Va)としては、例えば、不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、クロトン酸および桂皮酸等]、不飽和多価(2~4価)カルボン酸[(無水)マレイン酸、イタコン酸、フマル酸およびシトラコン酸等]、不飽和多価カルボン酸アルキル(炭素数1~10のアルキル基)エステル[マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステルおよびシトラコン酸モノアルキルエステル等]、並びにこれらの塩[アルカリ金属塩(ナトリウム塩およびカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩およびマグネシウム塩等)、アミン塩およびアンモニウム塩等]が挙げられる。
これらのうち重合性、及び入手のしやすさの観点から不飽和モノカルボン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がさらに好ましい。
【0117】
疎水基含有ビニルモノマー(Vb)としては、(メタ)アクリル酸エステル(Vb1)、及び芳香族炭化水素モノマー(Vb2)等が挙げられる。
【0118】
(メタ)アクリル酸エステル(Vb1)としては、アルキル基の炭素数1~20のアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレートおよび2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等]および脂環基含有(メタ)アクリレート[ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シジクロペンテニル(メタ)アクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
【0119】
芳香族炭化水素モノマー(Vb2)としては、例えば、スチレン骨格を有する炭化水素モノマー[スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレンおよびベンジルスチレン等]およびビニルナフタレンが挙げられる。
【0120】
カルボキシル基含有樹脂(QP12)における、(Va)/(Vb)の仕込みモノマーモル比は、通常10~100/0~90であり、現像性の観点から10~80/20~90が好ましく、25~85/15~75がさらに好ましい。
【0121】
スルホン酸基含有樹脂(QP13)としては、スルホン酸基を有するポリマーであれば特に制限はなく、例えば、スルホン酸基含有ビニルモノマー(Vc)と、必要により疎水基含有ビニルモノマー(Vb)とをビニル重合することで得られる。
疎水基含有ビニルモノマー(Vb)としては、上記と同じものが使用できる。
【0122】
スルホン酸基含有ビニルモノマー(Vc)としては、例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、α-メチルスチレンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸およびこれらの塩が挙げられる。塩としてはアルカリ金属(ナトリウムおよびカリウム等)塩、アルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウム等)塩、第1~3級アミン塩、アンモニウム塩および第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0123】
スルホン酸基含有樹脂(QP13)における、(Vc)/(Vb)の仕込みモノマーモル比は、通常10~100/0~90であり、現像性の観点から10~80/20~90が好ましく、25~85/15~75がさらに好ましい。
【0124】
アルカリ可溶性樹脂(QP1)のHLB値は、アルカリ可溶性樹脂(QP1)の樹脂骨格によって好ましい範囲が異なるが、4~19が好ましく、5~18がさらに好ましく、6~17が特に好ましい。
HLB値が4以上であれば現像を行う際に、現像性がさらに良好であり、19以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好である。
【0125】
なお、本発明におけるHLB値は、小田法によるHLB値であり、親水性-疎水性バランス値のことであり、有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
<HLBの評価方法>
HLB≒10×無機性/有機性
また、無機性の値及び有機性の値は、文献「界面活性剤の合成とその応用」(槇書店発行、小田、寺村著)の501頁;または、「新・界面活性剤入門」(藤本武彦著、三洋化成工業株式会社発行)の198頁に詳しく記載されている。
【0126】
保護基導入樹脂(QP2)中の酸解離性基としては、置換メチル基、1-置換エチル基、1-分枝アルキル基、シリル基、ゲルミル基、アルコキシカルボニル基、アシル基及び環式酸解離性基等を挙げることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0127】
置換メチル基としては、例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、ブロモフェナシル基、メトキシフェナシル基、メチルチオフェナシル基、α-メチルフェナシル基、シクロプロピルメチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、ブロモベンジル基、ニトロベンジル基、メトキシベンジル基、メチルチオベンジル基、エトキシベンジル基、エチルチオベンジル基、ピペロニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、tert-ブトキシカルボニルメチル基が挙げられる。
【0128】
1-置換エチル基としては、例えば、1-メトキシエチル基、1-メチルチオエチル基、1,1-ジメトキシエチル基、1-エトキシエチル基、1-エチルチオエチル基、1,1-ジエトキシエチル基、1-エトキシプロピル基、1-プロポキシエチル基、1-シクロヘキシルオキシエチル基、1-フェノキシエチル基、1-フェニルチオエチル基、1,1-ジフェノキシエチル基、1-ベンジルオキシエチル基、1-ベンジルチオエチル基、1-シクロプロピルエチル基、1-フェニルエチル基、1,1-ジフェニルエチル基、1-メトキシカルボニルエチル基、1-エトキシカルボニルエチル基、1-プロポキシカルボニルエチル基、1-イソプロポキシカルボニルエチル基、1-ブトキシカルボニルエチル基、1-tert-ブトキシカルボニルエチル基が挙げられる。
【0129】
1-分枝アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1-メチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基が挙げられる。
【0130】
シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、ジエチルメチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、ジイソプロピルメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、ジ-tert-ブチルメチルシリル基、トリ-tert-ブチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等のトリカルビルシリル基が挙げられる。
【0131】
ゲルミル基としては、例えば、トリメチルゲルミル基、エチルジメチルゲルミル基、メチルジエチルゲルミル基、トリエチルゲルミル基、イソプロピルジメチルゲルミル基、メチルジイソプロピルゲルミル基、トリイソプロピルゲルミル基、tert-ブチルジメチルゲルミル基、ジ-tert-ブチルメチルゲルミル基、トリ-tert-ブチルゲルミル基、ジメチルフェニルゲルミル基、メチルジフェニルゲルミル基、トリフェニルゲルミル基等のトリカルビルゲルミル基が挙げられる。
【0132】
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基が挙げられる。
【0133】
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、p-トルエンスルホニル基、メシル基が挙げられる。
【0134】
環式酸解離性基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、4-メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、3-ブロモテトラヒドロピラニル基、4-メトキシテトラヒドロピラニル基、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル基、3-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド基が挙げられる。
【0135】
これらの酸解離性基のうち、tert-ブチル基、ベンジル基、1-メトキシエチル基、1-エトキシエチル基、トリメチルシリル基、tert-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基及びテトラヒドロチオフラニル基が好ましい。
【0136】
保護基導入樹脂(QP2)における酸解離性基の導入率{保護基導入樹脂(QP2)中の保護されていない酸性官能基と酸解離性基との合計数に対する酸解離性基の数の割合}は、酸解離性基や該基が導入されるアルカリ可溶性樹脂の種類により一概には規定できないが10~100%が好ましく、15~100%がさらに好ましい。
【0137】
保護基導入樹脂(QP2)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は1,000~150,000が好ましく、3,000~100,000がさらに好ましい。
【0138】
また、保護基導入樹脂(QP2)のMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常1~10であり、1~5が好ましい。
【0139】
フォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づく非イオン系光酸発生剤(B)の含有量は、0.001~20重量%が好ましく、0.01~15重量%がさらに好ましく、0.05~7重量%が特に好ましい。
0.001重量%以上であれば紫外線に対する感度がさらに良好に発揮でき、20重量%以下であればアルカリ現像液に対し不溶部分の物性がさらに良好に発揮できる。
【0140】
本発明のフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)を用いたレジストは、露光後のパターンの形状や経時変化等を改善する目的で、クエンチャー(酸拡散制御剤)を含有していても良い。クエンチャーとしては、非イオン系光酸発生剤(B)が発生する酸より大きいpKaを示す塩基性サイトを持つ化合物であれば特に限定されない。例えば、公知のアミン類(トリペンチルアミン、トリイソプロパノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン等)、公知のピリジン類(ピリジン、2,6-ルチジン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、2,6-ジフェニルピリジン等)、公知のアニリン類(2,6-ジイソプロピルアニリン等)、公知のイミダゾール類(2,4,5-トリフェニルイミダゾール、4,5-ジフェニルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール等)、及び露光時に分解して弱酸を発生する公知のオニウムと弱酸アニオンとの塩類(安息香酸トリフェニルスルホニウム、サリチル酸トリフェニルスルホニウム、3,5-ビストリフルオロメチル安息香酸トリフェニルスルホニウム、ペンタフルオロ安息香酸ジフェニルヨードニウム、4-フルオロ安息香酸-4-イソブチル-4’-トリルヨードニウム等)が挙げられる。クエンチャーの含有量は、非イオン系光酸発生剤(B)の含有量に依存するが、フォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)の全固形分に対して5重量%以下であり、好ましくは3重量%以下である。5重量%を超えると露光時に発生した酸の有効濃度が減少し、現像後にパターンが得られない問題がある。
【0141】
本発明のフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)を用いたレジストは、例えば、所定の有機溶剤に溶解(無機微粒子を含んだ場合は溶解と分散)した樹脂溶液を、スピンコート、カーテンコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷等公知の方法を用いて基板に塗布後、加熱又は熱風吹き付けにより溶剤を乾燥させることで形成することができる。
【0142】
フォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)を溶解させる有機溶剤(レジスト溶媒)としては、樹脂組成物を溶解させることができ、樹脂溶液をスピンコート等に適用できる物性(粘度等)に調整できるものであれば特に限定されない。例えば、N-メチルピロリドン、DMF、ジメチルスルホキシド、トルエン、エタノール、シクロヘキサノン、メタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン及びキシレン等の公知の溶媒が使用できる。
これらの溶剤のうち、乾燥温度等の観点から、沸点が200℃以下のもの(トルエン、エタノール、シクロヘキサノン、メタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン及びキシレン)が好ましく、単独又は2種類以上組み合わせで使用することもできる。
有機溶剤を使用する場合、溶剤の配合量は、特に限定されないが、フォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づいて、通常30~1,000重量%が好ましく、40~900重量%がさらに好ましく、50~800重量%が特に好ましい。
【0143】
塗布後の樹脂溶液の乾燥条件は、使用する溶剤により異なるが好ましくは50~200℃で1~30分の範囲で実施され、乾燥後のフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)の残留溶剤量(重量%)等で適宜決定する。
【0144】
基板にレジストを形成した後、配線パターン形状の光照射を行う。その後、露光後加熱(PEB)を行った後に、アルカリ現像を行い、配線パターンを形成する。
【0145】
光照射する方法として、配線パターンを有するフォトマスクを介して活性光線により、レジストの露光を行う方法が挙げられる。光照射に用いる活性光線としては、本発明の
フォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)中のスルホンアミド化合物(A)を分解させることができれば特に制限はない。
活性光線としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハロゲンランプ、電子線照射装置、X線照射装置、レーザー(アルゴンレーザー、アルゴン・フッ素(ArF)エキシマレーザー、クリプトン・フッ素(KrF)エキシマレーザー、色素レーザー、窒素レーザー、LED、ヘリウムカドミウムレーザー等)等がある。これらのうち、好ましくは高圧水銀灯、超高圧水銀灯、LED及びクリプトン・フッ素(KrF)エキシマレーザーである。
【0146】
露光後加熱(PEB)の温度としては、通常40~200℃であって、50~190℃が好ましく、60~180℃がさらに好ましい。40℃未満では脱保護反応、又は架橋反応が十分にできないため、紫外線照射部と紫外線未照射部の溶解性に差が不足しパターンが形成できず、200℃より高いと生産性が低下する問題がある。
加熱時間としては、通常0.5~120分であり、0.5分未満では時間と温度の制御が困難で、120分より大きいと生産性が低下する問題がある。
【0147】
アルカリ現像する方法としては、アルカリ現像液を用いて配線パターン形状に溶解除去する方法が挙げられる。アルカリ現像液としては、フォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)の紫外線照射部と紫外線未照射部の溶解性に差ができる条件であれば特に制限はない。
アルカリ現像液としては水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム及びテトラメチルアンモニウム塩水溶液等がある。
これらアルカリ現像液は水溶性の有機溶剤を加えてもよい。水溶性の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、THF、N-メチルピロリドン等がある。
【0148】
現像方法としては、アルカリ現像液を用いたディップ方式、シャワー方式、及びスプレー方式があるが、スプレー方式が好ましい。
現像液の温度は、好ましくは25~40℃で使用される。現像時間は、レジストの厚さに応じて適宜決定される。
【実施例】
【0149】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。また、置換位置はAr1を母骨格とみなして決定した。
【0150】
<製造例1>
<N-アミノ-1,8-ナフタルイミド[前駆体(P1-1)]の合成>
1,8-ナフタル酸無水物を原料として、文献(Polym.Chem.,2015,6,1171.)に記載の方法に従って前駆体(P1-1)を得た。
【0151】
<製造例2>
<N-アミノ-2,6-ジイソプロピル-1,8-ナフタルイミド[前駆体(P1-2)]の合成>
2,6-ジイソプロピル-1,8-ナフタル酸無水物(文献Org.Lett.,2010,12,4690.に従って合成)を原料として、製造例1に記載の方法に従って前駆体(P1-2)を得た。
【0152】
<製造例3>
<N-アミノ-3-ブトキシ-1,8-ナフタルイミド[前駆体(P1-3)]の合成>
3-ブトキシ-1,8-ナフタル酸無水物を原料として、製造例1に記載の方法に従って前駆体(P1-3)を得た。
【0153】
<製造例4>
<3-ブトキシ-N-メシルアミノ-1,8-ナフタルイミド[前駆体(P2-1)]の合成>
製造例3で合成した前駆体(P1-3)をアセトニトリルに分散し-78℃に冷却したスラリーにメタンスルホン酸クロライドを加え、5分間攪拌した。次いでトリエチルアミンを滴下し1時間攪拌後、0℃まで昇温した。脱イオン水を入れて反応停止後、析出した固体をろ過して減圧乾燥することで前駆体(P2-1)を得た。
【0154】
<製造例5>
<N-アミノ-4-フェニルチオフタルイミド[前駆体(P1-4)]の合成>
4-フェニルチオフタルイミド(文献Bioorg.Med.Chem.,2014,22,5738.に従って合成)を原料に文献(J.Org.Chem.,2007,72,9395.)に記載の方法に従って前駆体(P1-4)を合成した。
【0155】
<製造例6>
<N,N’-ビス(トシルアミノ)ピロメリット酸ジイミド[前駆体(P2-2)]の合成>
ピロメリット酸ジイミドをアセトニトリルに分散したスラリーを氷浴し、トシルヒドラジドを加えた。3時間攪拌後、脱イオン水を加え析出した固体を濾過した。これを減圧乾燥器で乾燥することで前駆体(P2-2)を得た。
【0156】
<製造例7>
<N’-トリフルオロメタンスルホニル-N-ベンジロキシカルボニルベンゾヒドラジド[前駆体(P4-1)]の合成>
ベンゾイルクロライドのジクロロメタン溶液を氷浴し、ベンジル2-((トリフルオロメチル)スルホニル)ヒドラジン-1-カルボキシレート(文献Org.Lett.2016,18,3850.に従って合成)を加えた。3時間攪拌後、脱イオン水を加え有機層を3回水洗した。有機層を濃縮し減圧乾燥器で乾燥することで前駆体(P4-1)を得た。
【0157】
<製造例8>
<1-(p-トリル)-2,2,2-トリフルオロエタノンヒドラゾンの合成>
文献Org.Lett.2007,9,2625.に記載の方法に従って1-(p-トリル)-2,2,2-トリフルオロエタノンヒドラゾンを合成した。
【0158】
<製造例9>
<1-(7-メトキシ-3-クマリニル)-2,2,2-トリフルオロエタノンヒドラゾンの合成>
1-(7-メトキシ-3-クマリニル)-2,2,2-トリフルオロエタノン(合成法はWO2016/124493に開示)とヒドラジン塩酸塩とを、エタノール中で24時間還流した後、反応液を多量の水に入れ析出した固体をろ過、乾燥することで1-(7-メトキシ-3-クマリニル)-2,2,2-トリフルオロエタノンヒドラゾンを得た。
【0159】
<実施例1>
<化合物(A1)の合成>
製造例1で合成した前駆体(P1-1)10部をジクロロメタン125部に分散し-78℃に冷却したスラリーにトリフルオロメタンスルホン酸無水物39部を滴下し、5分間攪拌した。次いでトリエチルアミン12部を滴下し30分攪拌した。反応液を0℃まで昇温後、脱イオン水を加えて反応を停止し、有機層を脱イオン水で3回洗浄した。有機層を濃縮した後、残渣をクロロホルム/IPAで再結晶することで乳白色固体の化合物(A1)13部を得た。各種分析の結果を表1に示す。
【0160】
【0161】
<実施例2>
<化合物(A2)の合成>
製造例2で合成した前駆体(P1-2)10部をジクロロメタン90部に分散し-78℃に冷却したスラリーにトリフルオロメタンスルホン酸無水物29部を滴下し、5分間攪拌した。次いでN-エチルジイソプロピルアミン11部を滴下し30分攪拌した。反応液を0℃まで昇温後、脱イオン水を加えて反応を停止し、有機層を脱イオン水で3回洗浄した。有機層を濃縮した後、残渣をIPAで再結晶することで乳白色固体の化合物(A2)11部を得た。各種分析の結果を表2に示す。
【0162】
【0163】
<実施例3>
<化合物(A3)の合成>
前駆体(P1-1)を製造例4で合成した前駆体(P2-1)10部、ジクロロメタンを73部、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を12部、トリエチルアミンを3.4部にした以外は実施例1と同様にすることで化合物(A3)9.2部を得た。
【0164】
<実施例4~実施例9>
<表6中の一般式(1)-aの化合物(A4)~(A9)の合成>
実施例1に記載の合成法と同様に化合物(A4)~(A9)を合成した。化合物(A4)の各種分析の結果を表3に示す。
【0165】
【0166】
<実施例10>
<化合物(A10)の合成>
製造例5で合成した前駆体(P1-4)を原料に実施例2と同様にすることで、化合物(A10)を得た。
【0167】
<実施例11>
<化合物(A11)の合成>
製造例6で合成した前駆体(P2-2)を原料に実施例3と同様にすることで下記式の化合物(A11)を得た。
【0168】
【0169】
<実施例12~実施例21>
<表7中の一般式(1)-bの化合物(A12~A21)の合成>
実施例10または11に記載の合成法と同様にすることで対応する原料から化合物(A12~A21)を合成した。
【0170】
<実施例22>
<化合物(A22)の合成>
製造例7で合成した前駆体(P4-1)を原料に、トリフルオロメタンスルホン酸
無水物をトシルクロライドとしたこと以外実施例3と同様にすることで化合物(A22)を得た。
【0171】
<実施例23>
<化合物(A23)の合成>
対応する原料から製造例7に記載の方法に従って合成した前駆体を用いた以外は実施例3と同様にすることで化合物(A23)を合成した。
【0172】
<実施例24~実施例27>
<表8中の一般式(1)-cの化合物(A24~A27)の合成>
実施例22または23に記載の合成法と同様にすることで対応する原料から化合物(A24~A27)を合成した。
【0173】
<実施例28>
<化合物(A28)の合成>
製造例8で合成した1-(p-トリル)-2,2,2-トリフルオロエタノンヒドラゾンを原料に実施例1と同様にすることで化合物(A28)を得た。
【0174】
<実施例29~実施例32>
<表9中の一般式(2)の化合物(A29~A32)の合成>
実施例28に記載の合成法と同様にすることで対応する原料から化合物(A29~A32)を合成した。
【0175】
<実施例33>
<化合物(A33)の合成>
トリフルオロメタンスルホン酸無水物を市販のペルフルオロプロパン-1,3-ジスルホニルジフルオライド45部にした以外は実施例1と同様にすることで化合物(A33)12部を得た。
【0176】
<実施例34>
<化合物(A34)の合成>
前駆体(P1-1)を3-tert-ブトキシカルボニル-N-アミノ-1,8-ナフタルイミド15部にした以外は実施例1と同様にすることで化合物(A34)22部を得た。
【0177】
<実施例35>
<化合物(A35)の合成>
前駆体(P1-1)をN-アミノ-N-メチル-2-ナフトアミド(ナフトイルクロライドとメチルヒドラジンをジクロロメタン溶媒下反応させて合成)、ジクロロメタンを133部、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を56部、トリエチルアミンを15部、再結晶溶媒をエタノール/水にした以外は実施例1と同様にすることで化合物(A35)9.3部を得た。各種分析の結果を表4に示す。
【0178】
【0179】
<実施例36>
<化合物(A36)の合成>
N-アミノ-N-メチル-2-ナフトアミドを対応するナフトイルクロライドから得られた3,6-ジメトキシ-N-アミノ-N-メチル-2-ナフトアミド13部にした以外は実施例35と同様にすることで化合物(A36)9.2部を得た。各種分析の結果を表5に示す。
【0180】
【0181】
<実施例37>
<化合物(A37)の合成>
前駆体(P1-2)の代わりに製造例9で合成した1-(7-メトキシ-3-クマリニル)-2,2,2-トリフルオロエタノンヒドラゾン、ジクロロメタンを93部、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を24部、ジイソプロピルエチルアミンを14部にした以外実施例2と同様にすることで化合物(A37)5.8部を得た。
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
[表8中、Ar1結合位置とは、一般式(1)-c中、Ar1-C(O)-Nで表されるAr1と結合する炭素のAr1上の結合位置を表す。]
【0186】
【0187】
[表9中、Ar1結合位置とは一般式(2)中、Ar1-CR4=Nで表されるAr1と結合する炭素のAr1上の結合位置を表す。]
【0188】
<比較例1>
<イオン系光酸発生剤[化合物(A’1)]の合成>
トリフェニルスルホニウムブロミド10部をクロロホルム109部に分散し、ナトリウムビストリフルオロメタンスルホンアミド9.3部と脱イオン水109部を加えた。1時間激しく撹拌した後静置して分離した水層を取り除き、さらに2回有機層を水洗した。有機層を濃縮し減圧乾燥器で乾燥することで比較例のイオン系光酸発生剤[化合物(A’1)]13部を得た。
【0189】
<比較例2>
<非イオン系光酸発生剤[化合物(A’2)]の合成>
1,8-ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート(A’2)(Aldrich社製)をそのまま使用した。
【0190】
【0191】
<実施例1~37、比較例1及び2>
実施例1~37で得られたスルホンアミド化合物(非イオン系光酸発生剤)(A1)~(A37)、比較のためのイオン系光酸発生剤(A’1)及び非イオン系光酸発生剤(A’2)のi線感度およびレジスト溶媒溶解性について以下の方法で評価し、その結果を表10、表11に記載した。
【0192】
<i線分解率>
重アセトニトリル100部に合成した実施例及び比較例の化合物0.3部と、標準物質であるパーフルオロベンゼン0.1部とを溶解しNMR管に0.6mL注入し、19F-NMR分析を行った。次いでこのNMR管に紫外線照射装置(株式会社オーク製作所社製、HMW-661F-01)を用いて、L-34(株式会社ケンコー光学製、340nm未満の光をカットするフィルター)フィルターによって波長を限定した紫外光を500mJ・cm2露光した。なお積算露光量は365nmの波長を測定した。露光後のNMR管を再度19F-NMRで分析し、露光前後の化合物の19F-NMRシグナルの積分値(標準物質を基準とした)からi線分解率を算出した。同一の露光量で高い分解率が光酸発生剤として優れているのでi線分解率を以下のように評価し、結果を表10、11に記載した。
i線分解率=(露光前の化合物シグナルの積分値-露光後の化合物シグナルの積分値)/(露光前の化合物シグナルの積分値)
【0193】
<溶解性>
実施例及び比較例の化合物を50%濃度になるように汎用レジスト溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに加え、ボルテクスミキサーで一分間攪拌した後25℃の恒温槽に浸けて一時間静置し、均一に溶解したか目視で確認した。不均一の場合、濃度が5%ずつ減少するようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを追加し、操作を繰り返した。濃度5%以下は1%刻みで繰り返した。初めて均一になった濃度をその化合物のレジスト溶媒への溶解性とした。溶解性が高い方がフォトリソグラフィー用樹脂組成物にしたとき析出や相分離しにくいので優れている。結果を表10、11に記載した。
【0194】
<ポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物の評価>
<ポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QP-1)の調製>
下記式で示される樹脂40部、m-クレゾールとp-クレゾールとをホルムアルデヒド及び酸触媒の存在下で付加縮合して得たノボラック樹脂60部と実施例及び比較例の化合物1部とをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセトート152部に溶解し、メンブレンフィルター(孔径0.45μm、PTFE膜)を通して濾過することでポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QP-1)を調製した。
【0195】
【0196】
<最低露光量>
シリコンウェハー基板上に,上記で調製したポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QP-1)をスピンコートした後,乾燥して約20μmの膜厚を有するフォトレジスト層を得た。このレジスト層をホットプレートにより130℃で6分間プリベークした。次いでTME-150RSC(トプコン社製)を用いてパターン露光(i線)を行い,ホットプレートにより75℃で5分間の露光後加熱(PEB)を行った。その後,2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた浸漬法により,5分間の現像処理を行い,流水洗浄し,窒素でブローして10μmのラインアンドスペース(L&S)パターンを得た。更に,それ以下ではこのパターンの残渣が認められなくなる最低限の露光量、すなわちレジストパターンを形成するのに必要な最低露光量[mJ/cm2]を測定した。最低露光量はi線感度に対応し少ない方が優れる。その結果を表10、11に記載した。
【0197】
<ネガ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物の評価>
<ネガ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QN-1)の調製>
フェノール樹脂(DIC社製、「フェノライトTD431」)75部、メラミン硬化剤(三井サイアナミッド株式会社製、「サイメル300」)25部、合成した実施例及び比較例の化合物1部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部に溶解し、メンブレンフィルター(孔径0.45μm、PTFE膜)を通して濾過することでそれぞれのネガ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QN-1)を調製した。
【0198】
<露光部硬化性>
上記で調製した各々のネガ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QN-1)を10cm角のガラス基板上にスピンコーターを用いて200rpmで10秒の条件で塗布した。次いで25℃で5分間真空乾燥した後、100℃のホットプレート上で5分間乾燥させることで、膜厚約40μmのレジストを形成した。このレジストに紫外線照射装置(株式会社オーク製作所社製、HMW-661F-01)を用いて、L-34(株式会社ケンコー光学製、340nmローパスフィルター)によって波長を限定した紫外光を所定量全面に露光した。なお積算露光量は365nmの波長を測定した。次いで、150℃の順風乾燥機で10分間露光後加熱(PEB)を行った後、0.5%水酸化カリウム溶液を用いて60秒間浸漬することで現像し、直ちに水洗、乾燥を行った。このレジストの膜厚を形状測定顕微鏡(超深度形状測定顕微鏡UK-8550、株式会社キーエンス製)を用いて測定した。ここで現像前後のレジストの膜厚変化が10%以内となる最低露光量[mJ/cm2]を露光部硬化性とした。露光部硬化性はi線感度に対応し、最低露光量が少ないほどi線感度は優れる。その結果を表10、11に記載した。
【0199】
【0200】
【0201】
<実施例38~52、比較例3~8>
スルホンアミド化合物(非イオン系光酸発生剤)及び比較のためのイオン系光酸発生剤(A’1)及び非イオン系光酸発生剤(A’2)のポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QP-2)~(QP-4)におけるi線感度およびKrF線感度について以下の方法で評価し、その結果を表12~表14に記載した。
【0202】
<ポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物の評価>
<ポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QP-2)の調製>
メタクリル酸tert-ブチル43部、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール30部、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール45部、アゾビスイソブチロニトリル0.4部をジオキサン下で反応させて得られた下記構造単位(m≒9)を有する樹脂10部と、ノボラック樹脂20部(m-クレゾールとp-クレゾールとをホルムアルデヒドにより縮合させた共縮合体(m-クレゾール/p-クレゾール=40/60(質量比)、Mw=7,000))と、実施例及び比較例の化合物1部と、N,N-ジシクロヘキシメチルアミン0.03部とをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート87部に混合して溶解させた後、メンブレンフィルター(孔径0.45μm、PTFE膜)を通して濾過することでポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QP-2)を調製した。
【0203】
【0204】
<最低露光量>
シリコンウェハー上に銅が蒸着された基板に,上記で調製したポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QP-2)をスピンコートした後,乾燥してフォトレジスト層を得た。このレジスト層をホットプレートにより110℃で3分間プリベークし膜厚約5μmの塗膜を得た。次いでTME-150RSC(トプコン社製)を用いてパターン露光(i線)を行い,ホットプレートにより90℃で60秒間の露光後加熱(PEB)を行った。その後,2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた浸漬法により,5分間の現像処理を行い,流水洗浄し,窒素でブローして10μmのラインアンドスペース(L&S)パターンを得た。更に,それ以下ではこのパターンの残渣が認められなくなる最低限の露光量、すなわちレジストパターンを形成するのに必要な最低露光量[mJ/cm2]を測定した。最低露光量はi線感度に対応し少ない方が優れる。その結果を表12に記載した。
【0205】
【0206】
<ポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QP-3)の調製>
下記構造単位(構造式中の括弧の右下の数字は、樹脂中の構造単位の含有重量%を表す)を有する樹脂35部と、ポリヒドロキシスチレン樹脂10部(p-ヒドロキシスチレン:スチレン:tert-ブチルアクリレート=12:3:5の共重合体、Mw=1.0×104)と、ノボラック樹脂27.5部(m-クレゾールとp-クレゾールとをホルムアルデヒドにより縮合させた共縮合体(m-クレゾール/p-クレゾール=40/60(質量比)、Mw=5,000))とノボラック樹脂27.5部(m-クレゾールとp-クレゾールとをホルムアルデヒドにより縮合させた共縮合体(m-クレゾール/p-クレゾール=40/60(質量比)、Mw=7,000))と、界面活性剤(BYK310、ビッグケミー社製)0.05部と、実施例及び比較例の化合物1部とを、固形分濃度が40重量%になるように混合溶剤(メトキシブチルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=60/40(質量比))に混合して溶解させた後、メンブレンフィルター(孔径0.45μm、PTFE膜)を通して濾過することでポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QP-3)を調製した。
【0207】
【0208】
<最低露光量>
銅基板上に,上記で調製したポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QP-3)をスピンコートした後、乾燥して膜厚約11μmのフォトレジスト層を得た。このレジスト層をホットプレートにより130℃で5分間プリベークした。次いでTME-150RSC(トプコン社製)を用いてパターン露光(i線)を行い,ホットプレートにより90℃で90秒間の露光後加熱(PEB)を行った。その後,2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を基板上に滴下し23℃で30秒間静置する操作を2回行った後,流水洗浄し,窒素でブローして10μmのラインアンドスペース(L&S)パターンを得た。更に,それ以下ではこのパターンの残渣が認められなくなる最低限の露光量、すなわちレジストパターンを形成するのに必要な最低露光量[mJ/cm2]を測定した。最低露光量はi線感度に対応し少ない方が優れる。その結果を表13に記載した。
【0209】
【0210】
<ポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QP-4)の調製>
下記構造単位(構造式中の括弧の右下の数字は、樹脂中の構造単位の含有重量%を表す)を有する樹脂100部と、実施例及び比較例の化合物1部と、2-フェニルベンズイミダゾール0.2部と、界面活性剤(フタージェントFTX-218、ネオス製)0.1部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート230部に混合して溶解させた後、メンブレンフィルター(孔径0.45μm、PTFE膜)を通して濾過することでポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QP-4)を調製した。
【0211】
【0212】
<最低露光量>
シリコンウェハー上に銅が蒸着された基板上に,上記で調製したポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QP-4)をスピンコートした後、乾燥してフォトレジスト層を得た。このレジスト層をホットプレートにより110℃で1分間プリベークし膜厚6μmの塗膜を得た。次いでTME-150RSC(トプコン社製)を用いてパターン露光(i線)を行い,ホットプレートにより90℃で1分間の露光後加熱(PEB)を行った。その後,2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた浸漬法により,80秒間の現像処理を行い,流水洗浄し,窒素でブローして10μmのラインアンドスペース(L&S)パターンを得た。更に,それ以下ではこのパターンの残渣が認められなくなる最低限の露光量、すなわちレジストパターンを形成するのに必要な最低露光量(i線)[mJ/cm2]を測定した。最低露光量はi線感度に対応し少ない方が優れる。その結果を表14に記載した。
【0213】
<最低露光量(KrF線)>
シリコンウェハー上に銅が蒸着された基板上に,上記で調製したポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物(QP-4)をスピンコートした後、乾燥してフォトレジスト層を得た。このレジスト層をホットプレートにより110℃で1分間プリベークし膜厚6μmの塗膜を得た。次いでFPA-5000ES3(キヤノン社製)を用いてパターン露光(KrF線)を行い,ホットプレートにより90℃で1分間の露光後加熱(PEB)を行った。その後,2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた浸漬法により,80秒間の現像処理を行い,流水洗浄し,窒素でブローして10μmのラインアンドスペース(L&S)パターンを得た。更に,それ以下ではこのパターンの残渣が認められなくなる最低限の露光量、すなわちレジストパターンを形成するのに必要な最低露光量(KrF線)[mJ/cm2]を測定した。最低露光量はKrF線感度に対応し少ない方が優れる。その結果を表14に記載した。
【0214】
【0215】
表10~表14から明らかなように、本発明の実施例1~52のスルホンアミド化合物(A)は、i線照射によって効率よく分解し、またフォトリソグラフィー用樹脂組成物に汎用されるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに対して高い溶解性を発揮すると分かるので、本発明のスルホンアミド化合物(A)はi線感度及びレジスト溶剤への溶解性に優れた光酸発生剤である。また、本発明の化合物はi線照射によって効率よく超強酸であるビススルホンアミドを発生するので、これを含有するポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物の最低露光量は少なく、ネガ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物の露光部硬化性は良好であり、i線感度に優れる。
また表14から明らかなように、本発明のスルホンアミド化合物(A)は、KrF線照射によって効率よく分解し、超強酸であるビススルホンアミドを発生するので、これを含有するポジ型フォトリソグラフィー用樹脂組成物の最低露光量は少なく、KrF線感度に優れるので、近紫外線感度に優れるといえる。
一方でイオン系光酸発生剤である比較例(1、3、5、7)は、発生酸はビススルホンアミドであるがi線分解率、溶解性が悪いためにそれを含有するフォトリソグラフィー用樹脂組成物はi線感度及びKrF線感度が悪い。また非イオン系光酸発生剤である比較例(2、4、6、8)は、i線分解率は同等であるが、発生酸がトリフルオロメタンスルホン酸であるために、それを含有するフォトリソグラフィー用樹脂組成物はi線及びKrF線感度が低く近紫外線感度が悪いと分かる。
【産業上の利用可能性】
【0216】
本発明のスルホンアミド化合物(A)は近紫外線(i線、KrF線)高感度に分解し超強酸を発生するため、半導体の製造に代表される微細加工用のフォトリソグラフィー材料として有用である。