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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ウェブ状材料を処理するためのカレンダ
(51)【国際特許分類】
   D06C 15/02 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
D06C15/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021546708
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 IT2020050032
(87)【国際公開番号】W WO2020183504
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】102019000003707
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】506180062
【氏名又は名称】フューチュラ エス ピー エー
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアーニ、ジョヴァッキーノ
(72)【発明者】
【氏名】マッツォーニ、ジョナータ
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0229958(US,A1)
【文献】特開昭59-036770(JP,A)
【文献】特開平06-065887(JP,A)
【文献】特開昭52-068261(JP,A)
【文献】特開2001-271264(JP,A)
【文献】特開2011-236543(JP,A)
【文献】特表2019-503949(JP,A)
【文献】国際公開第2009/071739(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06C 3/00-29/00
D04H 1/00-18/04
F16C 13/00-15/00
D21B 1/00- 1/38
D21C 1/00-11/14
D21D 1/00-99/00
D21F 1/00-13/12
D21G 1/00- 9/00
D21H 11/00-27/42
D21J 1/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ状材料(W)によって横断可能なニップ(N)を形成するように相互に配置された2つの加熱ローラ(R1、R2)を支持するように適合された、横材(10)及び側壁(11H、11K)の固定構造体(10、11H、11K)を備え、
各ローラ(R1、R2)は右側ピン(101)と左側ピン(102)とを有し、前記ピンの各々には互いに所定の距離だけ離間された2つのベアリング(105、106)が取り付けられているウェブ状材料(W)の処理用カレンダであって、
前記構造体は、前記ベアリング(105,106)上に一致しない方向に向けられた力(F1、F2,F3、F4)を加えるために、互いに所定の距離(d)をおいて配置されかつベアリング(105、106)にそれぞれ接触するように取り付けられた2つの下部レバー(303、304)及び2つの上部レバー(316,310)を含み、
各レバー(303、304、310、316)はアクチュエータ(301、307、313、317)と接続されており、該アクチュエータは、それぞれの水平軸を中心とするその回転を制御して、それぞれのベアリング(105、106)の第1の係合位置及び第2の解放位置に該レバーを配置し、その結果、前記レバー(303、304、310、316)の第2の位置において、カレンダからのローラ(R1、R2)の抜き取りが行われ
前記レバーが、それぞれのベアリング(105、106)と相互作用するように適合された凹部(300)を有し、
前記レバーが、前記構造体の4つの垂直壁(11H、11K)に接続され、前記垂直壁は1対の内部垂直壁(11H)及び1対の外部垂直壁(11K)を形成するように配置され、
前記固定構造体の各外壁(11K)に下部レバー(304)及び上部レバー(310)が適用され、
-該下部レバー(304)はアクチュエータ(307)によって制御され、該アクチュエータ(307)は、前記下部レバー(304)が前記外壁(11K)に接続されることにより、水平軸を有するピン(308)を中心とするその回転を制御し、前記下部レバー(304)の自由前端部(350)が下向きの凹部を有する凹形であり;及び
-該上部レバー(310)はアクチュエータ(313)によって制御され、該アクチュエータ(313)は、前記上部レバー(310)が前記外壁(11K)に接続されることにより、水平軸を有するピン(314)を中心とするその回転を制御し、前記上部レバー(310)の自由前端部(311)が上向きの凹部を有する凹形であり:
及び前記固定構造体の各内壁(11H)に下部レバー(303)及び上部レバー(316)が適用され、
-該下部レバー(303)はアクチュエータ(301)によって制御され、該アクチュエータ(301)は、前記下部レバー(303)が前記内壁(11H)に接続されることにより、水平軸を有するピン(340)を中心とするその回転を制御し、前記下部レバー(303)の中間部が上向きの凹部を有する凹形であり;及び
-該上部レバー(316)はアクチュエータ(317)によって制御され、該アクチュエータ(317)は、前記上部レバー(316)が前記内壁(11H)に接続されることにより、水平軸を有するピン(319)を中心とするその回転を制御し、前記上部レバー(316)の前部(318)が前記カレンダの作動中に前記内壁(11H)の後部(P)に面する凹部を有する凹形である、
ことを特徴とするウェブ状材料(W)の処理用カレンダ。
【請求項2】
前記アクチュエータ(301、307、313、317)が、前記レバー(303、304、310、316)の動きを自動的に制御するために前記アクチュエータの作動を制御するプログラマブルユニット(UE)によって制御されることを特徴とする請求項1に記載のカレンダ。
【請求項3】
前記ピン(101、102)のうちの1つが、継手(G1;G2)によって駆動ユニット(UM)に接続されるように適合された動力取出装置(103)を備え、
当該継手(G1;G2)は、そのデカップリングも制御するアクチュエータ(203)によって前記動力取出装置(103)と接続されるように適合された側面(200)を有し、
前記継手(G1;G2)は電動モータ(M)に接続され、
前記アクチュエータ(203)は、前記動力取出装置への前記継手の接続及びそれぞれの切断を自動的に制御するためにその駆動を制御するプログラマブルユニット(UE)によって制御されることを特徴とする請求項1に記載のカレンダ。
【請求項4】
前記固定構造体が垂直壁(11K)を有し、前記アクチュエータ(203)が、前記固定構造体の前記垂直壁(11K)に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載のカレンダ。
【請求項5】
前記ローラ(R1、R2)の両方が、加熱流体が循環する内部ダクト(HT、RF)を備えており、
前記ダクト上にそれぞれ遮断弁(108、114)が設けられており、
前記弁の開閉は、当該弁(108、114)の開閉を自動的に制御するためにその作動を制御するプログラマブルユニット(UE)によって制御されるそれぞれのアクチュエータ(508、514)によって制御されることを特徴とする請求項1に記載のカレンダ。
【請求項6】
前記固定構造体が垂直壁(11K)を有し、前記アクチュエータ(508、514)が、前記固定構造体の前記垂直壁(11K)に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載のカレンダ。
【請求項7】
前記弁(108、114)が、前記ピン(102)上に配置されていることを特徴とする請求項に記載のカレンダ。
【請求項8】
前記ローラ(R1、R2)の各々が、各ピン(101、102)のベアリング(105、106)間の中間位置に、前記ローラを移動させるための機械的手段(CP)によって係合されるように適合されたブッシュ(B)を有することを特徴とする請求項1に記載のカレンダ。
【請求項9】
前記ブッシュ(B)は、前記ローラを移動させるための機械的手段(CP)によって係合されるように適合され、前記ローラを移動させるための機械的手段(CP)は、前記カレンダの外部にあるブリッジクレーンを含むことを特徴とする請求項に記載のカレンダ。
【請求項10】
前記ブッシュ(B)は、前記ローラを移動させるための機械的手段(CP)によって係合されるように適合され、前記機械的手段(CP)が、前記ローラの温度が50℃~200℃である間に、前記ローラ(R1、R2)を前記カレンダ自身と1つ以上の待機またはパーキングステーション(S1、S2、S3)との間で移動させるように適合されていることを特徴とする請求項に記載のカレンダ。
【請求項11】
前記ピン(101、102)の少なくとも1つに、前記ベアリング(105、106)の下方に延在する断熱チャンバを画定する内部チャネル(CC)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカレンダ。
【請求項12】
前記内部チャネル(CC)において、空気が、外部と連通しかつヘッド(T1、T2)の近傍に形成された第1の一連の穴(RC)を通って循環し、
前記第1の一連の穴(RC)から所定の距離(a)をおいて形成された第2の一連の外部穴(SC)を通って循環することを特徴とする請求項11に記載のカレンダ。
【請求項13】
前記第1の一連の穴(RC)が放射状の穴であり、
前記第2の一連の穴(SC)は、その軸が前記ローラの回転軸線(r-r)上に収束する穴であり、対応する前記ヘッド(T1、T2)からより離れた入口と、対応する前記ヘッドにより近い出口とを備えることを特徴とする請求項12に記載のカレンダ。
【請求項14】
前記ローラ(R1、R2)の両方が、加熱流体が循環する内部ダクト(HT、RF)を備えており、
前記ダクト上にそれぞれ遮断弁(108、114)が設けられており、
前記弁の開閉は、当該弁(108、114)の開閉を自動的に制御するためにその作動を制御するプログラマブルユニット(UE)によって制御されるそれぞれのアクチュエータ(508、514)によって制御され、
前記ピン(101、102)の少なくとも1つに、前記ベアリング(105、106)の下方に延在する断熱チャンバを画定する内部チャネル(CC)が設けられており、
前記チャネル(CC)が、前記内部ダクト(HT、RF)と同軸でありかつ前記内部ダクト(HT、RF)の外部にあることを特徴とする請求項1に記載のカレンダ。
【請求項15】
前記第1の一連の穴(RC)が、前記第2の一連の穴(SC)が形成される同じピンの領域よりも大きい直径の前記ピン(101、102)の領域に形成されることを特徴とする請求項12に記載のカレンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ状材料を処理するためのカレンダに関する。
【0002】
特に、本発明のカレンダは、加熱ローラによるウェブ状材料の処理に関する。
【背景技術】
【0003】
ウェブ状材料、特に不織布(TNT)の処理は特許文献1に記載されており、そこには、熱可塑性繊維を含有するTNTウェブによって横断されるニップを画定する2つの加熱エンボス加工ローラによって形成されるカレンダを含むシステムが開示されている。2つのローラ間のニップを横断する材料は、ウェブに含まれる繊維の配置及び物理的状態の変化を決定する圧力及び熱の組み合わされた作用を受ける。特に、処理される材料にかかる圧力、ローラの作動温度、材料の厚さ及び組成、並びにローラの表面仕上げに応じて、所定のパターンに対応する変形を材料上に形成することができる。TNTの処理のために加熱ローラを使用するカレンダを含む別のシステムは、特許文献2に記載されている。
【0004】
特許文献3は2つの側面を有する固定構造体を備えるエンボス加工ローラのための支持装置を開示しており、この支持装置は前記側面の間にそれぞれの水平軸を有しかつローラが予め設定された角速度でそれぞれの軸の周りを回転するようにローラを駆動する対応するモータに接続された1つ又は複数のエンボス加工ローラのための複数の支持体を提示している。
【0005】
特許文献4は、取り外し可能なパターンローラを含む、織物、紙、プラスチック等のためのカレンダを開示している。
【0006】
従来の生産システムにおけるTNTの処理に加熱ローラを使用することの欠点は、ローラを交換するために使用されるブリッジクレーンシステムにローラを安全に取り付けるためには、ローラを冷却させるために長時間待つ必要があるということにある。
【0007】
従来の生産システムの別の欠点は、それらのコスト効果を減少させる構造的及び操作的複雑さを伴うカレンダローラ上に適用されるベアリングのための適切な冷却システムを提供する必要性に関わるものである。
【0008】
従来の生産システムのさらなる欠点はカレンダからローラを切り離すために多くの手動操作を行う必要性に関連しており、現状の生産ニーズと比較してローラ交換時間が過剰でありかつこのような操作を行うオペレータの安全性に対するリスクが増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】US3507943
【文献】US4005169
【文献】WO2005/123374A1
【文献】DE1054952B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主な目的は、前述の欠点を排除することができ、又は少なくとも大幅に低減することができるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的は、請求項1に示された特徴を有するカレンダを提供することによって達成された。他の特徴は、本従属クレームの主題である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ローラの交換時期を短縮することができ、同時にこの作業の安全性を高めることができる。更に、ローラ交換時間を更に短縮するためにカレンダの構造を簡素化することができる。
【0013】
本発明のこれらさらなる利点及び特徴は以下の記載及び添付の図面によって、例示として提供され、当業者には一層かつより良好に明白であるが、限定的な意味で考慮されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】作動位置にある本発明のカレンダの透視的概略側面図である。
図2】ローラ(R1、R2)の許容された抜き取り位置における本発明のカレンダの透視的概略側面図である。
図3】本発明のカレンダの概略正面図である。
図4図3のC-C線に沿った断面図である。
図5図3のD-D線に沿った断面図である。
図6】作動位置にあるレバー(304)及び(310)を概略的に示す第1の図面である。
図7】作動位置にあるレバー(304)及び(310)を概略的に示す第2の図面である。
図8】ローラの許容された抜き取り位置におけるレバー(316)を概略的に示す図面である。
図9】操作位置におけるレバー(316)を概略的に示す図面である。
図10】前記図面に示したカレンダのローラに作用する力を表す第1の図面である。
図11】前記図面に示したカレンダのローラに作用する力を示す第2の図である。
図12】本発明のカレンダの第1の斜視図である。
図13】本発明のカレンダの第2の斜視図である。
図14A】他の部分をより良く示すために一部を省略した図11のカレンダを示す図面である。
図14B図12の詳細を示す図面である。
図15】ローラの内部構造を示す図14の構造群の概略水平断面図である。
図16A図15の詳細を拡大した第1の図面である。
図16B図15の詳細を拡大した第2の図面である。
図16C図15の詳細を拡大した第3の図面である。
図17図1のH-H線に沿った断面図である。
図18A】ローラのピン上の係合位置における継手を示す詳細図である。
図18B】ローラのピン上の解放位置における継手を示す詳細図である。
図19A】前記図面に示されるカレンダローラへの加熱流体の導入のための弁(108)の開閉の開を示す図面である。
図19B】前記図面に示されるカレンダローラへの加熱流体の導入のための弁(108)の開閉の閉を示す図面である。
図20】2つの詳細拡大図付きのローラの概略水平断面図である。
図21】垂直壁(11H)の側面図である。
図22図15の第1のさらなる拡大詳細図である。
図23図15の第2のさらなる拡大詳細図である。
図24図23の詳細図である。
図25】本発明によるカレンダのローラの取扱いを概略的に示す第1の図面である。
図26】本発明によるカレンダのローラの取扱いを概略的に示す第2の図面である。
図27】本発明によるカレンダのローラの取扱いを概略的に示す第3の図面である。
図28】本発明によるカレンダのローラの取扱いを概略的に示す第4の図面である。
図29】本発明によるカレンダのローラの取扱いを概略的に示す第5の図面である。
図30】本発明によるカレンダのローラの取扱いを概略的に示す第6の図面である。
図31】本発明によるカレンダのローラの取扱いを概略的に示す第7の図面である。
図32】本発明によるカレンダのローラの取扱いを概略的に示す第8の図面である。
図33】本発明によるカレンダのローラの取扱いを概略的に示す第9の図面である。
図34】本発明によるカレンダのローラの取扱いを概略的に示す第10の図面である。
図35】前記図面に示したカレンダの動作に使用されるアクチュエータの制御システムの可能な構成に関する簡略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
その本質的な構造に変形されかつ添付図面を参照して、本発明のカレンダ(1)は、金属製横材(10)及び側壁(11H、11K)を備えた空間を画定する耐力フレームによって形成された構造を備え、当該空間には、それぞれの長手方向軸が前記側壁(11H、11K)に直交するように配向されかつ処理される材料(W)によって横断されることができるニップ(N)を設定するように配置された2つのローラ(R1、R2)が存在する。前記ローラ(R1、R2)は加熱可能なローラでありかつ前記構造体(10、11H、11K)によって取り外し可能に支持されており、その結果、必要に応じて取り外して他の加熱可能なローラと交換可能とされている。前記ローラ(R1、R2)は、それぞれの長手方向軸を中心として、所定の角速度で逆方向に回転するようになっている。このために、駆動ユニット(UM)が設けられ、この駆動ユニットに前記ローラ(R1、R2)が接続可能とされており、前記したようにそれらの回転を制御可能とする。簡略化のために、材料(W)は図4においてのみ横方向の点線によって示され、その点線の上方には材料自身が従う方向を示す矢印が配置されている。
【0016】
前記ウェブ状材料(W)は、不織布製品を製造するために通常使用されるタイプのものである。例えば、前記材料はもっぱら熱可塑性繊維によって、又は熱可塑性繊維とセルロースのような非熱可塑性繊維との混合物、すなわち、加熱ローラを有するカレンダを通過させることによって処理されることが予定される材料によって構成され得る。
【0017】
各ローラ(R1、R2)は、滑らかであるか、又は所定のパターンに従って配置された浮き彫り及び/又は窪みを備えることができる外部被覆体(100)を備える。
【0018】
したがって、カレンダ(1)上には、両方とも滑らかな被覆体を有する2つのローラ(R1、R2)、両方ともレリーフ及び/又は陥凹を備えた被覆体(100)を有する2つのローラ(R1、R2)、又は一方のローラの被覆体(100)が滑らかであり、他方のローラの被覆体(100)が浮き彫り及び/又は陥凹を備えるカレンダを形成する2つのローラ(R1、R2)を取り付けることができる。
【0019】
さらに、各ローラ(R1、R2)は端部ヘッド(T1、T2)の各々にピンを有し、駆動ユニット(UM)に接続可能な第1のピン(101)と、ローラを加熱するための流体を挿入することができる第2のピン(102)とを有している。前記ピン(101、102)は前記構造体上の動作位置に位置決めされたときに、前記ローラの回転軸(r-r)に一致する前記ローラの長手方向軸に沿って整列される。
【0020】
例えば、ローラ(R1、R2)はいずれも彫刻ローラであり、いわゆる「先端から先端」の構成で配置されている。
【0021】
例えば、駆動ユニット(UM)は、構造体(10、11H、11K)の外部に配置されたカータ(CM)内に収納されたベルト伝動装置又は鎖伝動装置(図示せず)によって2つの軸方向弾性継手(G1、G2)に接続された電動モータ(M)を備える。各継手(G1、G2)は、それぞれのローラ(R1、R2)の回転軸(r-r)に対応して配置され、継手自体に対して軸方向に摺動する端部(200)を備えている。前記端部(200)において、アーム(201)は、ベアリング(202)の介在部材に連結されている。反対側では、アーム(201)が油圧アクチュエータ(203)に接続されており、このアクチュエータは、次いで前記構造体の側壁(11K)に固定される。
【0022】
前記端部(200)は、それぞれのローラ(R1、R2)の第1ピン(101)の端部に配置された動力取出装置(103)と結合される形状とされている。添付図面に示した実施形態によれば、動力取出装置(103)は、嵌合リング(104)によって第1のピン(101)にキー止めされている。継手は2つの数、すなわちローラ(R1、R2)の数に等しい数であるので、2つのアクチュエータ(203)が設けられ、それぞれのアーム(201)に作用し、そして各アーム(201)は対応する継手(G1、G2)の端部(200)に接続される。図18Aでは継手(G1)が第1のピン(101)上で係合位置にあり、図18Bでは解放位置にある。第1のピン(101)上の係合/解放位置における継手の位置決めは、アクチュエータ(203)によって制御される。
【0023】
図18Bに示すように、継手の解放位置においては、後述するように、端部(200)と動力取出装置(103)との間に十分な空間(y)が形成され、そして前記ローラを取り外すことができる。
【0024】
添付図面に示す実施形態によれば、2つの外壁(11K)及び2つの内壁(11H)を設けるように、前記した構造体は各側面に対して一対の側壁(11H、11K)、即ち、駆動ユニット(UM)の側に一対の側壁(11H、11K)及び反対側に一対の側壁(11H、11K)を有している。前記内壁(11H)間の距離は前記外壁(11K)間の距離より小さい。
【0025】
内側壁(11H)は、それぞれの前側部(F)にそれぞれの側部ヘッド(T1、T2)の近傍のローラ(R1、R2)に関連する部分的にハウジングに対応するベアリング(105)に適した2つの重なり合う凹部(300)を有する。さらに、アクチュエータ(301)が、各内側壁(11H)の前側部(F)、例えば油圧アクチュエータに取り付けられ、そのステム(302)はレバー(303)の前端部に拘束される。
【0026】
前記レバーは凹面が上向きの凹部を有し、前記下部凹部(300)の背面、即ち前記構造体の基部(BA)に最も近い凹部(300)の背面に配置された水平軸を有するピン(340)によってそれぞれの内側壁(11H)にヒンジ止めされている。実際には、前記ピン(340)は前記ステム(302)を前記レバー(303)の前端部に接続する点(305)に対して反対側に位置している。前記接続点(305)とピン(340)との間の中間に位置する前記レバー(303)の前記凹部は、それぞれの下部凹部(300)と協働して、前記下部ローラ(R2)の対応するベアリング(105)の下部ハウジングを画定する。前記アクチュエータ(301)は同期され、その結果、前記2つのレバー(303)は、それぞれのピン(340)の周りを同期して回転する。
【0027】
それぞれの外側壁(11K)には、より正確にはそれぞれの内側壁(11H)に面する側には、凹面が下向きの凹部を有する好ましくは凹状の前側部(350)を有しかつ対応する油圧アクチュエータ(307)のステム(306)に拘束されかつその凹状の前側部(350)とアクチュエータステム(307)への連結点(309)との間の中間位置において水平軸(308)を有するピンによって前記壁(11K)にヒンジ止めされるレバー(304)が適用される。
【0028】
各レバー(304)の前側部は、前記ベアリング(105)から所定の距離をおいて、各ローラ(R1、R2)のベアリング(106)の上方から係合するものである。前記レバー(304)の上方には別のレバー(310)があり、これは前記第1のレバー(304)と同一であるが、鏡面反射位置、即ち、それぞれの前端部(311)の凹部が下向きの替わりに上向きに回転された位置に存在している。前記レバー(310)は、またそれぞれの油圧アクチュエータ(313)のステム(312)に拘束され、そしてその前側部(311)とアクチュエータステム(313)への連結点(315)との中間位置において水平軸を有するそれぞれのピン(314)によって前記側壁(11K)にヒンジ結合される。前記レバー(310)の前側部は、対応するベアリング(106)と下方から係合するものである。
【0029】
各内側壁(11H)の前側部(F)には、後側部が対応する油圧アクチュエータ(317)に接続された追加的なレバー(316)が取り付けられており、そしてその追加的レバーは、その前側部に、カレンダの動作位置が前記壁(11H)の後側部(P)に向かう凹部(318)を有し、そしてその追加的なレバーは、その前側部(318)とアクチュエータ(317)のステムとの接続点(320)との中間位置にある水平軸を有するそれぞれのピン(319)によって前記壁(11H)にヒンジ止めされている。
【0030】
実際には、各外側壁(11K)には下記する各レバーが適用される:
-水平軸を有するピン(308)を中心とするその回転を制御するアクチュエータ(307)によって制御される下部レバー(304)(前記下部レバーは水平軸を介して前記壁(11K)に接続されかつ前記下部レバー(304)の自由前端部(350)は下向きの凹部を有する凹状であることが好ましい);及び
-水平軸を有するピン(314)を中心とするその回転を制御するアクチュエータ(313)によって制御される上部レバー(310)(前記上部レバーは水平軸を介して前記壁(11K)に接続されかつ前記上部レバー(310)の自由前端部(311)は上向きの凹部を有する凹状であることが好ましい)。
【0031】
同様に、各内側壁(11H)にも下記する各レバーが適用される:
-水平軸を有するピン(340)を中心とするその回転を制御するアクチュエータ(301)によって制御される下部レバー(303)(前記下部レバーは水平軸を介して前記壁(11H)に接続されかつ前記下部レバー(303)の中間部は上向きの凹部を有する凹状であることが好ましい);及び
-水平軸を有するピン(319)を中心とするその回転を制御するアクチュエータ(317)によって制御される上部レバー(316)(前記上部レバーは水平軸を介して前記壁(11H)に接続されかつ前記カレンダが動作位置にあるときに前記上部レバー(316)の前部(318)は前記壁(11H)の後部(P)に面する凹部を有する凹状であることが好ましい)。
【0032】
従って、本発明のカレンダには、その左右のそれぞれに、2つの下部レバー(303、304)と2つの上部レバー(316、310)とが互いに所定の距離(d)を介して配置され、そして一致しない方向に向けられている力(F1、F2、F3、F4)を前記ベアリング(105、106)に作用させるために、前記ローラ(R1、R2)に配置された対応するベアリング(105、106)に接触するように取り付けられる。実際には、両方のローラ(R1、R2)の右側又は左側のそれぞれについて、前記レバー(303、304、310、316)は所定の値(d)だけ離間した平行な平面に沿って作用する2つの顎部を形成する。
【0033】
添付図面に示す例を参照して、前記下部レバー(303)及び(308)は、前記下部ローラ(R2)の端部ヘッド(T1、T2)に隣接する前記ベアリング(105)に上向きの推力(F1)を作用させ、そして前記ローラ(R2)の最外側ベアリング(106)に下向き推力(F2)をそれぞれ作用させる。前記上部レバー(310)及び(316)は、上側ローラ(R1)の最外側ベアリング(106)に上向き推力(F3)を作用させ、そして前記上側ローラ(R1)の端部ヘッド(T1、T2)に隣接する前記ベアリング(105)上の前記カレンダの後側部(P)方向への推力(F4)をそれぞれ作用させる。
【0034】
その結果、前記ローラ(R1、R2)の曲がりが減少する。実際には前記力(F1、F2、F3、F4)は平行面及び不一致面に作用する。
【0035】
添付図面に示された実施形態に関して、各ローラ(R1、R2)の内側には、市場で通常入手可能なタイプの透熱性油(diathermic oil)のような加熱流体を供給するための導管(HT)がある。例えば、以下の表1に示すタイプの透熱性油を使用することができ、ここで、文字A~Fは以下の意味を有する:
A:製造者。
B:タイプ。
C:40℃での粘度(cSt又はmm/s)。
D:100℃での粘度(cSt又はmm/s)。
E:15℃での濃度(Kg/m)。
F:自己発火温度(℃)。
【0036】
【表1】
【0037】
例えば、選択された透熱性油は、前記カレンダのローラ(R1、R2)の間に導入される材料(W)に対して行われる特定の処理に応じて、170℃~200℃の間に含まれる温度で前記導管(HT)に導入される。
【0038】
前記導管(HT)は、前記ローラ(R1、R2)の長手方向軸に沿って配置され、そして前記ローラの前記第2のピン(102)に形成された注入口(107)を有する。前記導管(HT)の前記注入口(107)には弁(108)が装備されており、この弁を介して加熱流体を前記導管(HT)に導入することができ、そして前記注入口(107)を閉じることもできる。前記弁(108)は前記導管(HT)の前記注入口(107)と一体になっており、つまり、前記ローラ(R1、R2)と一体になっている。動作位置において、前記弁(108)は開いており、前記加熱流体が前記導管(HT)内を循環することを可能としているが、以下にさらに説明されるように、前記ローラ(R1、R2)が前記カレンダから取り外されなければならないときには前記弁は閉じている。
【0039】
前記ローラ(R1、R2)の内側で各端部ヘッドの近くに対応するチャンバ(C1、C2)が形成され、第1のチャンバ(C1)が前記注入口(107)からより離れ、前記第2のチャンバ(C2)が前記注入口に近づくように、各端部ヘッド(T1、T2)から所定の距離に隔壁(S1、S2)が配置される。前記導管(HT)は前記第1のチャンバ(C1)で終わり、即ち、前記導管(HT)の排出口(109)は、前記第1のチャンバ(C1)内にある。前記第1のチャンバは、前記導管(HT)に対して同軸でかつ外部にある熱交換器(111)を備えた複数の連通孔(110)を有する。
【0040】
また、第2チャンバ(C2)は、前記熱交換器(111)を備えた複数の連通孔(110)を有する。第2の導管(RF)が第2のピン(102)に設けられ、前記加熱流体のための戻りラインを形成する。前記第2の導管(RF)は前記第1の導管(HT)と同軸でかつ外部にあり、さらに前記第2の端部ヘッド(T2)に形成された注入口部分(112)と、対応する弁(114)が適用される排出口部分(113)とを有し、前記弁は加熱流体が第2の導管(RF)の排出口部分(113)を通って出ることを可能にし、かつ前記排出口部分(113)を閉鎖することも可能にする。前記弁(114)は前記導管(RF)の排出口(113)と一体になっており、つまり、前記ローラ(R1、R2)と一体になっている。
【0041】
作動状態では、前記弁(113)は開いており、前記加熱流体が前記第2導管(RF)を通過できるようになっているが、前記ローラ(R1、R2)を前記カレンダから取り外さなければならないときは閉鎖する。
【0042】
従って、前記注入口(107)を通って前記導管(HT)内に所定の圧力で導入された前記加熱流体は前記第1チャンバ(C1)を満たし、前記熱交換器(111)内を循環し、前記第2チャンバ(C2)に入り、前記第2導管(RF)を通って出る。前記流体供給導管(HT)の前記注入口(107)及び前記戻り導管(RF)の前記排出口(113)は前記それぞれの弁(108、114)を介して加熱及び流体供給システム(それ自体公知でありかつ添付図面には図示されていない)に接続される。
【0043】
添付図面に示される実施形態によれば、前記第2のピン(102)は前記加熱流体のための流体供給導管(HT)及び戻り導管(RF)の両方によって交差されており、そして前記弁(108、114)は両方とも同じ側にありかつ両方とも前記第2のピン(102)の自由端に配置される。さらに、前記弁(108、114)は、前記加熱流体の供給及び排出のためにそれぞれ設けられた導管(添付図面には図示されていない)との接続のためのそれぞれの接続部(180、141)を有している。
【0044】
前記ローラ(R1、R2)の前記被覆体(100)は、前記熱交換器(111)と同軸でかつ外部にあり、この熱交換器から前記加熱流体によって搬送される熱を受け取る。
【0045】
例えば、前記ローラ(R1、R2)の内側の前記熱交換器(111)は螺旋コイルからなり、正しい熱交換を確実に行うために、その螺旋コイルの外径が前記被覆体(100)の内径に対応している。例えば、前記コイルは、螺旋状に巻かれた長方形断面管によって形成される。記載した実施形態によれば、前記熱交換器(111)は、2つの端部ヘッド(T1、T2)の間で、前記ローラ(R1、R2)の全長にわたって延びている。
【0046】
好ましくは、前記ピン(102)の端部には第1内部軸方向導管(401)を有する中空体(400)によって形成された油圧継手が取り付けられており、前記第1内部軸方向導管には前記導管(HT)の端子部と第1内部軸方向導管(401)の同軸及び外部にある第2導管(402)が挿入されており、前記加熱流体戻り導管(RF)の延長部を構成している。前記導管(401)は前記弁(108)で終わり、一方前記導管(402)は前記弁(114)で終わる。
【0047】
前記継手中空体(400)は前記ローラ(R1、R2)と一体であり、それぞれの付属物(403)によって、前記ローラが作動位置に配置されたときに前記カレンダ(1)の対応する壁面(11K)にロックされる。このようにして、前記弁(108、114)は前記ローラ(R1、R2)の回転中は常に同じ位置にある。実際、前記ピン(102)は、前記弁(108、114)が取り付けられている前記継手中空体(400)の内側で回転する。
【0048】
好ましくは、前記した弁(108、114)は、前記ローラ(R1、R2)の動作位置において、前記カレンダ(1)の後側部(P)に面する前記継手中空体(400)の側に適用される。
【0049】
前記弁(108、114)は通常閉鎖されており、そして前記カレンダ(1)の側壁(11K)上の所定位置に取り付けられたそれぞれのアクチュエータ(508、514)によって開放される。図14Bに示す実施形態に関して、側壁(11K)には、2対のアクチュエータ(508、514)、即ち、各ローラ(R1、R2)に対する1対のアクチュエータ(508、514)が存在する。
【0050】
前記カレンダ(1)のこの部分の動作は図19A及び図19Bに関連して以下に説明される。図19A及び図19Bは単一の弁(108)に関するものであるが、加熱流体用の全ての前記弁、前記注入口弁(108)及び前記排出口弁(114)の両方について作動は同じであると理解される。前記加熱流体を前記導管(HT)に導入するとき、前記アクチュエータ(508)のピストン(581)が前記弁(108)の前ベース部(181)を押し、その動きは内部グループ(182,184)の下部部材(182)と上部部材(184)とを連結するブリッジ部材(183)によって内部グループの下部部材(182)に伝達され、それによって、前部加熱流体は図19Aの矢印「T」によって示されるように、自由に弁を通過する。逆に、前記弁(108)を閉鎖しなければならない場合、図19Bに示されるように前記アクチュエータ(508)のピストンが引き込まれ、前記グループ(182、184)の下部部材(182)が上部部材(184)から離間しており、接続部(180)が挿入される下部部材(182)を介して流体が通過できず、そして前記接続部(180)を通過する流体の漏れが防止される。
【0051】
特に図22及び23に示すように、各ピン(101、102)には、その温度を下げ、それによってベアリング(105、106)の完全性を保持するために、空気を通過させるように設計された内部導管を設けることができる。従って、ベアリング(105、106)の動作温度の制御は、ホットカレンダで通常予見されるように外部冷却回路を設けることなく行うことができる。図22及び図23に示された実施形態に関して、各ピン(101、102)にローラ回転軸(r-r)に平行な流路(CC)を形成することができる。前記流路(CC)は、加熱流体によって伝達される熱からベアリングを隔離するピン内に熱絶縁チャンバを形成する。場合によっては、流路(CC)内に空気又は断熱材料さえもが存在するかもしれない。添付図面に示すように、前記流路(CC)は、前記弁ベアリング(105、106)の下に伸びている。
【0052】
また前記流路(CC)は、ピンの直径がより大きいそれぞれの端部ヘッド(T1、T2)の近くに配置された第1の一連の半径方向穴(RC)と、ピンの直径がより小さい第1の一連の穴(RC)から所定の距離(a)にある第2の一連の穴(SC)とを介して外部と連絡することができる。第2の一連の穴(SC)の軸は前記ローラの前記回転軸(r‐r)上に収束し、端部ヘッドからより遠い注入口及び端部ヘッドにより近い排出口を示す。前記距離(a)はベアリング(105、106)間の距離よりも大きく、その結果、前記流路(CC)内を流れる空気は両方のベアリングを冷却することができる。図24に示すように、前記弁(108、114)が取り付けられているピン(102)では、前記流路(CC)は流体戻り導管(RF)に対して同軸でかつ外部側にある。
【0053】
前記外部の空気は前記穴(SC)を介して前記流路(CC)に入り、前記半径方向穴(RC)を介して前記流路(CC)から排出され、その結果、前記ローラ(R1、R2)の前記ベアリング(105、106)が適切な断熱が行われる。図18Cは、空気を前記穴(SC)の方向に吹き付けるノズル(UR)を示し、このノズルは、必要に応じて、前記流路(CC)を通る空気の循環をさらに容易にするものである。
【0054】
好ましくは、前記流路(CC)が前記ローラ(R1、R2)の両方のピン(101、102)内に配置されるが、前記ピン(102)内にのみ流路を設けることもできる。また、図22においては、前記ピン(101)にも、流路(CC)によって形成された冷却ダクトが設けられている。
【0055】
有利には、2つのブッシュ(B)が前記ローラ(R1、R2)の各ピン(101、102)に適用され、各ブッシュは2つの対応するベアリング(105、106)の間の中間位置にありかつブリッジクレーン(CP)によって係合されるように適合される。前記ブリッジクレーン(CP)の機能は、以下でさらに説明するように、前記ローラ(R1、R2)を前記カレンダ(1)と前記ローラの1つ又は複数のパーキング又は待機ステーション(SI、S2、S3)との間で移動させることである。前記ブリッジクレーン(CP)は前記カレンダの外部に位置する。
【0056】
より具体的には、添付図面の図25図34に関して、例えば、前記ローラ(R1、R2)を前記カレンダ(1)から取り外すことを可能にするために、前記レバー(303、304、310、316)をそれぞれのピンの周りに回転させ、それぞれに対応する前記アクチュエータ(301、307、313、317)によって、前記ベアリング(105、106)を解放し、前記ローラを前記シート凹部(300)から解放する。この段階で前記ローラと前記駆動ユニットとの連結が解放され、それぞれの動力取出装置(103)が自由になり、加熱流体の供給が前記アクチュエータ(508、514)によって前記弁(108、114)を閉じることによって中断される。
【0057】
前記ブリッジクレーンによって除去される前記ローラの解放手順、ならびに前記弁(108、114)を閉じる手順及び前記ベアリング(105、106)を解放する手順は、前述したアクチュエータを制御するプログラマブル制御ユニット(UE)によって自動的に管理される。この時点で、前記ブリッジクレーン(CP)の前記アーム(BC)は、その自由端で前記ローラ(R1、R2)の前記ブッシュ(B)と係合するように形成され、係合される前記ローラのブッシュ(B)に接近し、前記ブッシュと係合することによって、ローラを取り上げ、それを目的地ステーション(S3)に搬送し、同じように構成された1つ又は複数のローラを使用されるために待機して配置することができる構造にする。図25-28は前記ブリッジクレーン(CP)による前記カレンダ(1)からのローラ(R1)の取外し、前記目的地ステーション構造(S3)への搬送、及び前記ローラの解放を模式的に示す。
【0058】
前記ブリッジクレーン(CP)による前記ローラの取り上げは前記ローラが冷えるのを待たずに行われ、この段階では、前記ローラの外面は一般に50℃から200℃の間の温度とすることができる。従って、カレンダローラ(1)の取り上げを実行するために必要な全体的な時間は従来のシステムと比較してかなり短くなる。従来のシステムでは前記ローラのブリッジクレーンへの結合は手動で操作されるために、ローラが十分に冷えてオペレータに火傷を生じさせないように待つことが必要であった。先に前記カレンダ(1)から取り出された前記ローラは、前記カレンダ(1)内に新しいローラを位置決めする場合に先のローラに対して逆の動きを行う同一のブリッジクレーン(CP)によって、先のステーション(S3)とは恐らく異なったステーション(S2)内に配置された別のローラと置き換えることができる。
【0059】
前記新しいローラを前記カレンダ(1)内に位置決めした後、前記レバー(303、304、310、316)をそれぞれに対応するアクチュエータ(301、307、313、317)によってそれぞれのピンの周りに回転させ、それによって新しいローラのベアリング(105、106)と係合し、前記新しいローラを目的地のシート凹部(300)に拘束する。図29-34は、新しいローラのステーション(S2)からの取り外し、このローラのカレンダ(1)への搬送、及び待機位置における前記ブリッジクレーン(CP)の再位置決めを模式的に示している。図25図34において、符号“CF”は、ホットカレンダから出てくる材料(W)を冷却するのに通常用いられるタイプの冷間ローラを備えた冷却ユニットを表す。
【0060】
前記ローラ(R1、R2)の前記ピン(101、102)上に配置されたブッシュ(B)は、前記カレンダ(1)と1つ又は複数の待機又はパーキングステーション(S1、S2、S3)との間で前記ローラ(R1、R2)を移動させるための機械的手段によって係合されるように適合された係合面を形成し、一方前記ローラは前記構造から解放され、前記駆動ユニットから切り離され、そしてプログラマブル制御ユニット(UE)によって制御される前記自動手段によって前記暖房装置から切り離された後50℃~200℃の間に含まれる温度にある。前記した実施形態において、前記ローラを移動させるための機械的手段はブリッジクレーン(CP)で構成されているが、ブリッジクレーン(CP)の代わりに、前記係合面でローラを係合するのに適した他の任意の運動システムを用いることができる。
【0061】
同様に、前記係合面(B)は、任意の形状であってもよい。好ましくは、前記係合面(B)がそれぞれのピンに取り付けられたブッシュによって形成されるが、ピン上に直接形成された係合面でもよい。
【0062】
好ましくは、前記ローラ(R1、R2)を取り扱うための機械的手段の介在を容易にするために、前記形成面は2つの対応するベアリング(105、106)の間の中間位置に位置するが、前記機械的取り扱い装置による係合を可能にするために任意の有効な位置に同様に配置することができる。
【0063】
本発明のカレンダは、上述したように、カレンダ自体を含むことに加えて、前記ローラが50℃~200℃の温度にある間に、前記カレンダ(1)と1つ以上の待機又はパーキングステーション(S1、S2、S3)との間で前記ローラ(R1、R2)を移動させるのに適した機械的手段、例えば前述したブリッジクレーン(CP)をさらに備えるプラントに設置されるように適合される。
【0064】
しかしながら、実際には、実施の細部は、記載されかつ添付図面に示された個々の要素及びそれらの相互の配置に関して、それによって採用された解決策の概念から逸脱することなく均等の態様で変化することが可能であり、従って、それらは以下のクレームに従って本特許によって与えられる保護の範囲内にとどまる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図20
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図22
図23
図24
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図26
図27
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図31
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図33
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図35