(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】二段バルブアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
F16K31/06 305L
(21)【出願番号】P 2022151127
(22)【出願日】2022-09-22
【審査請求日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】202211025165.5
(32)【優先日】2022-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513311479
【氏名又は名称】ビーダブリュアイ(シャンハイ)カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BWI(SHANGHAI)CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【氏名又は名称】三崎 正輝
(74)【代理人】
【識別番号】100219117
【氏名又は名称】金 亨泰
(72)【発明者】
【氏名】インコ アイ.グラジェダ
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-180295(JP,A)
【文献】特開平11-222119(JP,A)
【文献】特開平01-224580(JP,A)
【文献】特開平10-299413(JP,A)
【文献】特開2010-065780(JP,A)
【文献】特開2020-122547(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0178409(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00 - 1/54
F16K 31/12 - 31/165
F16K 31/36 - 31/42
F16K 31/06 - 31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸(A)に沿って第一端部(26)と第二端部(28)との間で延設される外側スリーブ(24)と、
前記第一端部(26)に配置されるステータ(30)と、
前記第二端部(28)に配置されるバルブ開口部(40)と、
前記バルブ開口部(40)を選択的に閉じるとともに前記バルブ開口部(40)を第一段開位置と第二段開位置とで開くためのアーマチュアアセンブリ(32)と、
を備える二段バルブアセンブリであって、
前記アーマチュアアセンブリ(32)は、
前記軸(A)に沿って移動可能であるとともに、前記第二端部(28)に面して配置されるポペットシール(82)を有するポペット部(66)を有するプランジャ(62)と、
前記軸(A)に沿って移動可能であるとともに、前記ポペット部(66)と前記バルブ開口部(40)との間に配置されるプランジャシート(72)と、
を備えており、
前記プランジャシート(72)は、
前記バルブ開口部(40)を封止するためのシートシール(84)と、
前記シートシール(84)および前記プランジャシート(72)を貫通して延び前記バルブ開口部(40)と流体連通状態にあるシート流路(86)と、
を有し、
閉位置において、前記ポペットシール(82)は前記シート流路(86)を閉じ、前記シートシール(84)は前記バルブ開口部(40)を閉じ、
前記ポペットシール(82)は、前記第一段開位置においては前記シート流路(86)から間隔を空けて配置され、
前記シートシール(84)は、前記第二段開位置においては前記バルブ開口部(40)から間隔を空けて配置され
、
第一段予荷重バネ(68)は、前記ステータ(30)から前記プランジャ(62)へと延設されて、前記プランジャ(62)を前記シート流路(86)へと向かって付勢し、
第二段予荷重バネ(70)は、前記ステータ(30)から前記プランジャシート(72)へと延設されて、前記プランジャシート(72)を前記バルブ開口部(40)へと向かって付勢する、
二段バルブアセンブリ。
【請求項2】
請求項
1に記載の二段バルブアセンブリであって、前記第一段予荷重バネ(68)の予荷重は前記第二段予荷重バネ(70)より小さい二段バルブアセンブリ。
【請求項3】
請求項
1または
2に記載の二段バルブアセンブリであって、
前記ポペット部(66)は、径方向外側へと延設される複数のフィン(76)を有し、
前記プランジャシート(72)は、前記フィン(76)を収容して前記ポペット部(66)を前記軸に沿って案内するための複数のフィン流路(78)を有する二段バルブアセンブリ。
【請求項4】
請求項
1または
2に記載の二段バルブアセンブリであって、前記プランジャシート(72)は、前記ポペットシール(82)に面するとともに前記シート流路(86)を囲繞する非平面状の面(90)を有する二段バルブアセンブリ。
【請求項5】
請求項
4に記載の二段バルブアセンブリであって、前記面(90)は、前記ポペットシール(82)へ向かって狭くなる円錐形状の壁(92)を有する二段バルブアセンブリ。
【請求項6】
請求項
3に記載の二段バルブアセンブリであって、
前記プランジャシート(72)は、シートスリーブ(74)内に配置されており、
前記プランジャシート(72)は、本体部(104)と、前記本体部(104)から径方向外側へ延設されるフランジ状部(106)と、を有する二段バルブアセンブリ。
【請求項7】
請求項
6に記載の二段バルブアセンブリであって、前記シートスリーブ(74)は、前記フランジ状部(106)と摺動可能に接触する大きさに構成される第一スリーブ壁(98)を有する二段バルブアセンブリ。
【請求項8】
請求項
7に記載の二段バルブアセンブリであって、前記シートスリーブ(74)は、前記本体部(104)と摺動可能に接触する大きさに構成される第二スリーブ壁(102)を有する二段バルブアセンブリ。
【請求項9】
請求項
8に記載の二段バルブアセンブリであって、前記フィン(76)はそれぞれ、前記第一スリーブ壁(98)と摺動可能に接触する大きさに構成される径方向最外部(107)を有する二段バルブアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載の二段バルブアセンブリであって、さらに、前記外側スリーブ(24)内に配置されるとともに前記ステータ(30)と前記バルブ開口部(40)との間に延設される中央本体(52)を備え、
前記中央本体(52)は、前記軸に沿って延びる流路(54)を有し、
前記ポペットシール(82)は、前記中央本体(52)と前記バルブ開口部(40)との間に配置され、前記軸に沿って移動可能である二段バルブアセンブリ。
【請求項11】
請求項1
0に記載の二段バルブアセンブリであって、
前記第一段予荷重バネ(68)が、前記ステータ(30)から前記中央本体(52)における前記流路(54)を通って前記プランジャ(62)へと延設さ
れ、
前記第二段予荷重バネ(70)が、前記ステータ(30)から前記第一段予荷重バネ(68)の周囲で前記中央本体(52)における前記流路(54)を通って前記プランジャシート(72)へと延設さ
れ、
前記プランジャ(62)はロッド本体(64)を有し、前記第一段予荷重バネ(68)は前記ロッド本体(64)の端面に当接し、前記第二段予荷重バネ(70)は前記ロッド本体(64)の周囲において前記プランジャシート(72)へと延設されている二段バルブアセンブリ。
【請求項12】
請求項1
1に記載の二段バルブアセンブリであって、
バルブカップ(34)が、前記外側スリーブ(24)の前記第二端部を封止しており、
前記バルブカップ(34)は、管状であり前記第二端部(28)から前記外側スリーブ(24)の前記第一端部(26)へと向かって延設されるバルブ構造体(38)を有し、
前記バルブ開口部(40)は、前記バルブ構造体(38)によって形成され、
前記外側スリーブ(24)は少なくとも一の外側孔(33)を有するとともに、前記バルブカップ(34)は前記少なくとも一の外側孔(33)と流体連通状態にある少なくとも一のバルブ本体流路(118)を有しており、
前記プランジャシート(72)は、シートスリーブ(74)内に配置されており、
前記シートスリーブ(74)は、前記外側孔(33)および前記バルブ本体流路(118)と連通状態にある少なくとも一のスリーブ孔(96)を有している二段バルブアセンブリ。
【請求項13】
請求項1~
2および1
0~1
2のいずれか一に記載の二段バルブアセンブリであって、前記第一段開位置では第一流れ速度であり、前記第二段開位置では、前記第一流れ速度より大きい第二流れ速度である二段バルブアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、車両の昇降システムにおいて流体を再配分するための二段バルブアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
車高の調整は多くの場合有用である。例えば、車体を拡張位置に上昇させるまたは車体を収縮位置へと降下させることによって、地面と屋根との差を変更し、他の場合では不可能なまたは推奨されないであろう条件での移動(トラベル)を可能にする。この調整の実現に役立つデバイスは、一般的には、車両のサスペンション支柱内にまたはその周囲に配置される。典型的には、このようなデバイスは、中心軸上に配置されるとともにチャンバを有する昇降筐体を有する。支持管状部がチャンバ内に配置されており、昇降筐体は支持管状部に対して中心軸に沿って移動可能である。昇降筐体の移動は、多くの場合油圧式または空気圧式アクチュエータを用いて駆動される。これらのアクチュエータは、多くの場合、チャンバ内の圧力を制御するために電磁(ソレノイド)ポペット弁(バルブ)を有する。ポペットバルブは、複数の動作サイクルにおいても機能する頑丈さ(ロバストネス)を有しながらシステムフロー、圧力、温度および電圧仕様に適うよう設計しなければならない。
【0003】
より大きい流れ(フロー)要求下での動作では、より大きい流れおよび封止面積の増加により、圧力に関する性能が低下する。このため、閉位置におけるバルブは、一般的には、カウンタ・シール・リークおよび圧力の増加に対応できるよう、より大きな戻りバネ(リターン・スプリング)を必要とする。これらの制約を克服するために、ソレノイドに対する電力入力を増加することができる。しかしながら、ソレノイド動作の増加は、例えばシステム構成部品の物理的寸法等のシステムの制限によって限定される。その結果、いくつかの動作パラメータのためには、ソレノイドバルブ・パッケージ全体を大きくする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、車高を調整するデバイスの動作上の構成および効率を向上することが求められ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより理解しやすくするために、本発明の特徴および技術的利点を概括的に概説した。本発明の特許請求の範囲の主題を形成している本発明のさらなる特徴および利点を以下に説明する。開示する概念および特定の態様を、本発明の同じ目的を実施するために変更し他の態様を設計することによってもそのまま利用できることは、当業者には理解されよう。また、添付の請求項に記載する本発明の精神および範囲から逸脱しないこのような均等物に相当する態様を、当業者は実現できよう。ここでの記載事項は、本開示の概略的要約を提供するものであって、本開示に関係する対象、面、特徴および利点のすべてを完全に包括的に列記するものではない。
【0006】
本発明は、第一段の流体流れおよび第二段の流体流れが得られ、これにより流体流れを選択的に得るよう用いられる従来のデバイスの動作上の構成および効率を向上できる、二段バルブアセンブリを提供する。また、本発明は、設計が単純であり、低価格で生産できる二段バルブアセンブリを提供する。
【0007】
本発明の一の面では、二段バルブアセンブリを提供する。二段バルブアセンブリは、軸に沿って第一端部と第二端部との間で延設される外側スリーブを備える。ステータが第一端部に配置される。バルブ開口部が第二端部に配置される。二段バルブアセンブリは、バルブ開口部を選択的に閉じるとともにバルブ開口部を第一段開位置と第二段開位置とで開くためのアーマチュアアセンブリを備える。二段バルブアセンブリは、軸に沿って移動可能であるプランジャを備える。プランジャは、第二端部に面して配置されるポペットシールを有するポペット部を有する。軸に沿って移動可能であるプランジャシートが、ポペット部とバルブ開口部との間に配置される。プランジャシートは、バルブ開口部を封止するためのシートシールを有する。シート流路が、シートシールおよびプランジャシートを貫通して延びて、バルブ開口部と流体連通状態にある。閉位置において、ポペットシールは、シート流路を閉じ、シートシールは、バルブ開口部を閉じる。ポペットシールは、第一段開位置においてはシート流路から間隔を空けて配置される。シートシールは、第二段開
位置においてはバルブ開口部から間隔を空けて配置される。第一段予荷重バネは、ステータからプランジャへと延設されて、プランジャをシート流路へと向かって付勢する。二段予荷重バネは、ステータからプランジャシートへと延設されて、プランジャシートをバルブ開口部へと向かって付勢する。
【0008】
本発明の他の面では、二段バルブアセンブリを提供する。二段バルブアセンブリは、軸に沿って第一端部と第二端部との間で延設される外側スリーブを備える。ステータが第一端部に配置される。バルブ開口部が第二端部に配置される。中央本体が、外側スリーブ内に配置されるとともに、ステータとバルブ開口部との間で延設される。中央本体には、軸に沿って延びる流路が形成される。二段バルブアセンブリは、バルブ開口部を選択的に開閉するためのアーマチュアアセンブリを有する。アーマチュアアセンブリは、中央本体とバルブ開口部との間に配置され、軸に沿って移動可能であるポペットシールを備える。軸に沿って移動可能であるプランジャシートが、プランジャとバルブ開口部との間に配置される。プランジャシートは、バルブ開口部を封止するためのシートシールと、シートシールおよびポペット部を貫通して延びてバルブ開口部と流体連通状態にあるシート流路と、を有する。閉位置において、ポペットシールはシート流路を閉じ、シートシールはバルブ開口部を閉じる。
【0009】
適用可能性のあるさらなる分野があることは、ここで提供する記載から明らかとなろう。この要約における説明および具体例は、説明の目的のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0010】
本発明の他の利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明からより理解され、明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の原理にかかる車両の高さを昇降するための二段バルブアセンブリの側面図である。
【
図2】閉位置における二段バルブアセンブリのアーマチュアアセンブリの拡大図である。
【
図3】第一段開位置における二段バルブアセンブリのアーマチュアアセンブリの拡大図である。
【
図4】第二段開位置における二段バルブアセンブリのアーマチュアアセンブリの拡大図である。
【
図5】二段バルブアセンブリの特定の特徴部分の分解図である。
【
図6】プランジャシートの第一側を示すアーマチュアアセンブリの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、例示の実施形態を、添付の図面を参照してより詳細に説明する。概して、本実施形態は、車両の高さを昇降するための二段(ツーステージ)バルブアセンブリに適用されたものである。なお、例示の実施形態を、本開示を完全とすべくその範囲を当業者に十分に伝えるためにのみ、提供する。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、例えば構成部品、デバイスおよび方法の例といった多数の具体的な細部を説明する。具体的な細部を必ずしも用いる必要はなく、例示の実施形態を多くの異なる態様で実現でき、本開示の範囲を限定するものではないことは、当業者には明らかであろう。いくつかの例示の実施形態において、周知のプロセス、周知のデバイス構造および周知の技術は詳細には説明しない。
【0013】
図面を参照して、流体を再配分することによって車両の高さを昇降するための二段バルブアセンブリを説明する。図面では、対応する部品には同じ符号を付している。二段バルブアセンブリは、車高を調整するよう用いられている従来のデバイスの動作上の構成および効率を向上する。
【0014】
まず
図1を参照して、バルブアセンブリ20は、軸Aに沿って第一端部26と第二端部28との間で延設される外側スリーブ24を有する。バルブアセンブリ20は、第一端部26に配置されるステータ30と、外側スリーブ24内に配置され軸Aに沿って移動可能な電機子(アーマチュア)アセンブリ32と、を有する。バルブ収容部(カップ)34は、第二端部28の外側の周囲に配置されるとともに、第二端部28の周囲を閉じる略環状形状を有する。バルブカップ34は、外側スリーブ24の周囲で第二端部28へと向かって延設されるとともにバルブ構造体38へと狭くなるバルブ本体36を有する。バルブ構造体38は、第二端部28へと挿入され、外側スリーブ24内で第一端部26へと向かって軸Aに沿って延設される。ある態様では、バルブ構造体38を管状とすることもできる。バルブ構造体38は、軸Aに沿って延びてアーマチュアアセンブリ32と接続するバルブ開口部40を有する。外側スリーブ24は、バルブカップ34の端部の近傍に一つ以上の外側孔33を有することができる。下側封止器(シール)42は、バルブ本体36の外面の周囲に、第二端部28と軸方向に関して並んで、配置される。上側シール44は、外側スリーブ24の周囲に、第一端部26に面するバルブカップ34の端部の近傍に配置される。下側シール42および上側シール44はともに、環状形状に、弾性ゴムで形成できる。下側シール42の太さを、上側シール44より大きくできる。
【0015】
引き続き
図1を参照して、装着円筒部(カラー)46が、第一端部26に面するバルブカップ34に隣接して配置される。装着カラー46は、外側スリーブ24の周囲を覆うよう装着される本体部48と、本体部48から径方向外側へ延設されるフランジ部50と、を有する。上側シール44は、本体部48の外面の周囲に装着される。外側スリーブ24の内面は、軸Aを中心として円筒形状に延びるチャンバを形成することができる。ステータ30は、外側スリーブ24の第一端部26へと挿入される。ステータは、中心が軸Aと一致する凹部58を有する。ブッシング60は、凹部58内に配置される。ブッシング60は、第二端部28に向かって軸方向に延設されることができる。中央本体52は、外側スリーブ24内に配置されるとともに、ステータ30と第二端部28との間で延設される。中央本体52には、軸Aに沿って中央本体52を貫通するよう延びる流路54が形成される。以降でより詳しく説明する通り、流路54は、アーマチュアアセンブリ32の特定の特徴部分を案内する。バルブアセンブリ20は、閉位置(
図1)と第一段(第一ステージ)開位置(
図3)と第二段(第二ステージ)開位置(
図4)とを有する。閉位置において、隙間56を、中央本体52とステータ30との間に形成することもできる。
【0016】
図2からよく分かる通り、アーマチュアアセンブリ32は、第一端部26に向けて配置されるロッド本体64と第二端部28に向けて配置されるポペット部66との間で軸Aに沿って延設されるプランジャ62を有する。アーマチュアアセンブリ32には、第一段予荷重バネ68と第二段予荷重バネ70とからなる一対のバネによって予め荷重が印加される。第一段予荷重バネ68は、ロッド本体64の端面69に当接するとともに、ブッシング60を貫通して凹部58へと入りステータ30と当接するよう延設される。第二段予荷重バネ70は、プランジャ受け部(シート)72から、ロッド本体64の周囲および第一段予荷重バネ68の周囲に、ブッシング60を貫通して凹部58へと入りステータ30と当接するよう延設される。プランジャシート72は、外側スリーブ24内にポペット部66と第二端部28との間に配置される。シートスリーブ74は、プランジャシート72を囲繞して、そのプランジャシートを外側スリーブ24内に配置する。第二段予荷重バネ70は、ステータ30とプランジャシート72の前端面73との間で延設され、ステータ30およびプランジャシート72の前端面73と当接する。中央本体52は、ステータ30とプランジャシート72の前端面73との間で延設される。動作において、中央本体52内の流路54は、第一段予荷重バネ68、第二段予荷重バネ70およびロッド本体64を位置決めし、案内する。
【0017】
ポペット部66は、ポペット本体67と、ポペット本体から径方向外側へ延設される複数のフィン76と、を有する。ある態様では、複数のフィン76は、周方向に等間隔で配置される三つ以上のフィン76を有する。プランジャシート72は、フィン76を摺動可能に収容するための複数の(例えば、三つの)フィン流路78と、フィン76の間のポペット本体67を摺動可能に収容するための中央開口部80と、を有する。ポペット部66の前端面はポペットシール82を有する。プランジャシート72の前端面はシートシール84を有する。シート流路86は、シートシール84およびプランジャシート72を貫通して延びて、バルブ開口部40と流体連通状態にある。シート流路86は、中央開口部80と位置合わせされているとともに、ポペット部66を直接接続するよう中央開口部80へと延びている。ポペットシール82と接続する中央開口部80内のプランジャシート72の面90の形状を非平面状とすることができる。例えば、面90は、外形が部分的にシート流路86と同じでポペットシール82に面している境界面94へと向かって狭くなる円錐形状の壁92を有することができる。シート流路86を、境界面94の近傍でより広くすることもできる。この場合、バルブアセンブリ20が閉位置にあるときに、ポペットシール82が、壁92の外面の一部の周囲で、境界面94を少なくとも部分的にシート流路86内へと入るよう押圧することができる。ある態様では、シート流路86を、バルブ開口部40とは異なる断面寸法とできる、例えば、断面寸法をより小さくしてより遅い流速とすることができる。
【0018】
次に
図3を参照して、第一段開位置におけるアーマチュアアセンブリ32を説明する。第一段開位置において、ステータ30は、プランジャ62を引きつけて、第一段予荷重バネ68の予荷重に打ち克ち、その結果、ポペットシール82がプランジャシート72から移動して境界面94から離間する。第一段開位置では、流体が、バルブ開口部40およびシート流路86を通り、そしてフィン流路78を通って流れることができ、これにより、第一減圧が得られる。
【0019】
次に
図4を参照して、第二段開位置におけるアーマチュアアセンブリ32を説明する。第一減圧の後、ステータ30は、プランジャシート72を引きつけて、第二段予荷重バネ70の予荷重を打ち克ち、その結果、シートシール84がバルブ開口部40から離れるよう移動し、第二段開位置においては大きな流体流れおよび減圧が得られる。第一減圧によって、カウンタ・シール・リークおよび圧力の増加に対応するための従来のより大きなリターン・バネの必要性はなくなる。
【0020】
図5は、アーマチュアアセンブリ32の分解図である。シートスリーブ74は、流体が流れることができる少なくとも一のスリーブ孔96を有する。少なくとも一のスリーブ孔96を、フィン流路78のうちの一つ以上と周方向に位置合わせして配置することができる。シートスリーブ74は、さらに、第一スリーブ壁98と、第二スリーブ壁102内へと径方向内側へ延設される段部100と、を有する。プランジャシート72は、フランジ状部106とシール保持部108との間に延設される本体部104を有する。フランジ状部106は、前端面73と隣接しており、本体部104から径方向外側へと延設される。シール保持部108は、シートシール84に隣接して配置されており、本体部104から径方向内側へと延設される。
【0021】
組み立てられると、第一スリーブ壁98には、フィン76およびフランジ状部106を収容するとともに案内する大きさに構成される第一開口部110を形成できる。ある態様では、第一開口部110は円筒状であり、第一スリーブ壁98はフィン76の径方向最外部107およびフランジ状部106と摺動可能に係合している。第二スリーブ壁102には、本体部104を収容する大きさに構成される第二開口部112を形成できる。ある態様では、本体部104は、第二スリーブ壁102と摺動可能に係合する。シール保持部108を収容するよう、スリーブフランジ114を、段部100とは反対側で、第二スリーブ壁102から径方向内側へ延設することができる。ある態様では、シール保持部108は、スリーブフランジ114と摺動可能に係合する。ある態様では、中央本体52は、シートスリーブ74へと向かって径方向内側へ延設される段差部116を有することができ、この場合、段差部116が第一開口部110内に位置し、中央本体52の非段差部が第一スリーブ壁98に当接できる。
【0022】
図3および
図5を参照して、第一段開位置および第二段開位置において流体を送出できるよう、バルブ本体36は、外側孔33のうちの少なくとも一つおよびスリーブ孔96のうちの少なくとも一つと流体連通状態にある一連のバルブ本体流路118を有する。バルブカップ72は、さらに、順に、第一カップ部122、第二カップ部124、第三カップ部126および第四カップ部128を有する内側カップ壁120を有することができる。第四カップ部128は、外側スリーブ24の第二端部28と当接するための基部(ベース)130の周辺部分で終端している。各カップ部122,124,126,128を、円錐状とすることができるカップ接続段部132によって間隔を空けて配置することもできる。この場合、第一カップ部122を、カップ接続段部132のうちの第二カップ部124へと径方向内側へ延設される一つに延設でき、第二カップ部124を、カップ接続段部132のうちの第三カップ部126へと径方向内側へ延設される他の一つに延設でき、第三カップ部126を、カップ接続段部132のうちの第四カップ部128へと径方向内側へ延設される他の一つに延設できる。
図3からよく分かる通り、一連のカップ部122,124,126,128および各カップ接続段部132の輪郭に対応するよう、第二端部28の近傍の、外側スリーブ24を、一連の外側段部134間でテーパー状とすることもできる。
【0023】
図6は、第二端部28へと向かう位置にあるプランジャシート72の側を示すアーマチュアアセンブリ32の分解図である。ある態様において、ポペットシール82は、フィン76へとモールド成形されるタブ部136を有する。各フィン76は、組み立ておよび摺動移動を容易にするための角を丸めた縁部138を有することもできる。
図7は、第一端部26に面して配置されたプランジャシート72の斜視図である。ポペット本体67の摺動および接触を円滑に行うために、中央開口部80は、フィン流路78間に曲面140を有することができる。
【0024】
二段バルブアセンブリ20は、種々の車両システムと一体化することもできる。ある態様では、二段バルブアセンブリ20を、車両昇降システムと例えば空気圧昇降システムと一体化することもできる。この場合、二段バルブアセンブリ20は、二つ以上のチャンバ間に流体を選択的に送出することもできる。例えば開位置のうちの一つにおいて、流体を第一チャンバからバルブ開口部40を通って流れさせた後、その流体を、バルブ本体流路118、外側孔33およびスリーブ孔96を通して第二チャンバへと送出することもできる。動作において、二段バルブアセンブリ20を、標準的には閉位置で概して動作させることもできる。力(例えば気圧)およびバネ68,70の予荷重に打ち克つために、ステータ30から生成される磁力によってアーマチュアアセンブリ32を引きつける。流れを増加する要求は、一般的にはより大きなバルブ開口部および圧力増加を必要とするので、本発明は初期圧力低減を行うための第一段開位置を提供する。第一段開位置において、ポペットシール82は、シート流路86から間隔を空けて配置される。圧力低減が達成されると、ステータ30はシートシール84を移動することができ、そして二段バルブアセンブリ20はより多くの流体を流すことができる第二段開位置へ移行する。ある態様では、ポペットシール82を、第二段開位置において、シート流路86から間隔を空けて配置することもシート流路86と封止係合することもでき、または間隔を空けた係合と封止係合との間で移動させることもできる。
【0025】
実施形態に関する上記の説明は例示のためのものであることは理解されよう。つまり、本開示の主題は、他を排除するものではなく、本開示にのみ限定されるものではない。特定の実施形態のそれぞれの要素または特徴はその特定の実施形態に必ずしも限定されるものではなく、特段の定めや記載がない限り、適用可能な場合には実施形態間で置き換え可能である。それぞれの要素または特徴は、種々の変形が可能である。このような変形は、本開示から逸脱するものではなく、このような変更はすべて本開示の範囲内にある。
【符号の説明】
【0026】
20 バルブアセンブリ
24 外側スリーブ
26 第一端部
28 第二端部
30 ステータ
32 アーマチュアアセンブリ
33 外側孔
34 バルブカップ
36 バルブ本体
38 バルブ構造体
40 バルブ開口部
42 下側シール
44 上側シール
46 装着カラー
48 本体部
50 フランジ部
52 中央本体
54 流路
56 隙間
58 凹部
60 ブッシング
62 プランジャ
64 ロッド本体
66 ポペット部
67 ポペット本体
68 第一段予荷重バネ
70 第二段予荷重バネ
72 プランジャシート
74 シートスリーブ
76 フィン
78 フィン流路
80 中央開口部
82 ポペットシール
84 シートシール
86 シート流路
90 非平面状の面
92 円錐形状の壁
94 境界面
96 スリーブ孔
98 第一スリーブ壁
100 段部
102 第二スリーブ壁
104 本体部
106 フランジ状部
107 径方向最外部
108 シール保持部
110 第一開口部
112 第二開口部
114 スリーブフランジ
116 段差部
120 内側カップ壁
122,124,126,128 カップ部
130 ベース
136 タブ部
140 曲面
A 軸