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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/08 20060101AFI20240604BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20240604BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B65D77/08 G
B65D81/32 R
B65D81/34 V
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022185336
(22)【出願日】2022-11-19
(65)【公開番号】P2024074200
(43)【公開日】2024-05-30
【審査請求日】2023-03-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2022年10月31日株式会社エスアイシステムにした包装用容器の販売に伴う発表
(73)【特許権者】
【識別番号】390000387
【氏名又は名称】福助工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】524159778
【氏名又は名称】三井物産流通グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003465
【氏名又は名称】弁理士法人OHSHIMA&ASSOCIATES
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】穴山 祐起久
(72)【発明者】
【氏名】須藤 脩平
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0184025(US,A1)
【文献】特開2016-216089(JP,A)
【文献】特開2019-014501(JP,A)
【文献】特開2005-088922(JP,A)
【文献】特開2008-271891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/08
B65D 81/32
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体に収納可能で、前記容器本体よりも高さが低くなるように形成された中皿とを備え、
前記容器本体は、本体側面部の上端近傍において内側に突出形成された段差部を有し、
前記中皿は、中皿側面部の上端から外側に突出形成された中皿フランジ部と、前記中皿側面部のうちの一部に形成された、他の中皿側面部よりも傾斜が緩やかな緩斜面部とを有し、
前記容器本体に前記中皿を収納した状態で、前記段差部が前記中皿フランジ部に当接し、前記容器本体内の前記中皿より下方の空間に第1食品が収容され、前記中皿内に第2食品が収容される包装容器であって、
前記容器本体に前記中皿を収納した包装容器を平面視したときに、前記中皿において、前記緩斜面部に対向する対向面部側の中皿外周縁の一部に、前記容器本体の段差部との間に指を差し入れ可能な隙間が生じるように前記中皿外周縁が内側に凹んだ凹部が形成され
前記凹部は、その一部が前記緩斜面部が傾斜する方向に沿った中皿の中心線にかかる位置に形成され、
前記中皿の緩斜面部から前記第2食品を前記容器本体に移し入れ可能とされた包装容器。
【請求項2】
前記中皿は、前記中心線に対して平面視で略対称形状とされた請求項に記載の包装容器。
【請求項3】
前記容器本体は、前記本体側面部の上端から外側に突出形成された本体フランジ部を有し、前記中皿フランジ部は前記中皿の最上部に形成され、前記容器本体に前記中皿が収納された状態で、前記本体フランジ部にトップシール用フィルムが熱溶着された請求項1又は2に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体と、容器本体に収納可能な中皿とを備えた包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、冷凍食品用又は冷蔵食品の包装容器として、パスタとソース、あるいは米飯とカレーなどのように、主食品と副食品とを別々に収容する包装容器が用いられている。具体的に、特許文献1には、容器本体と、中皿部と、蓋体とを備え、容器本体に固形食品を収容し、中皿部に副食品を収容した冷凍食品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-271891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記冷凍食品は、電子レンジで加熱した後、蓋体を外し、特許文献1の図1におけるA-A線方向の両端部において、両手で中皿を持ち上げて中皿内の副食品を容器本体に注ぎ入れていた。このとき、中皿は、平面視でA-A線と直交する方向に形成された、上端部よりも側壁部の高さが低い部分が下向きになるように傾けて副食品を容器本体に注ぎ入れる必要があった。
【0005】
すなわち、中皿を両手で持ち上げた不安定な状態で中皿を傾ける必要があり、副食品を容器本体に注ぎ入れる操作が煩雑である上に、中皿を傾ける過程で副食品を容器本体の外部にこぼしたり、中皿の傾け方が適正でないために中皿の上端部と係止部の間に副食品が残ったり、高い位置から副食品を容器本体に注ぎ入れることで副食品のしずくが容器本体の外部に飛び散ったりするといった衛生上の問題があった。
【0006】
そこで、本発明においては、中皿と容器本体とを備え、中皿に収容された食品が容器本体の外部にこぼれたり、飛び散ったりすることなく簡単な操作で確実に容器本体に移し入れ可能な包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様としての包装容器は、
容器本体と、前記容器本体に収納可能な中皿とを備え、
前記容器本体は、本体側面部の上端近傍において内側に突出形成された段差部を有し、
前記中皿は、中皿側面部の上端から外側に突出形成された中皿フランジ部と、前記中皿側面部のうちの一部に形成された、他の中皿側面部よりも傾斜が緩やかな緩斜面部とを有し、
前記容器本体に前記中皿を収納したときに、前記段差部が前記中皿フランジ部に当接する包装容器であって、
前記容器本体に前記中皿を収納した包装容器を平面視したときに、前記中皿において、前記緩斜面部に対向する対向面部側の中皿外周縁の一部に、前記容器本体の段差部との間に隙間が生じるように前記中皿外周縁が内側に凹んだ凹部が形成された構成とすることができる。
【0008】
前記凹部は、その一部が前記緩斜面部が傾斜する方向に沿った中皿の中心線にかかる位置に形成された構成としてもよい。
【0009】
前記中皿は、前記中心線に対して平面視で略対称形状としてもよい。
【0010】
前記容器本体は、前記本体側面部の上端から外側に突出形成された本体フランジ部を有し、前記中皿フランジ部は前記中皿の最上部に形成され、前記容器本体に前記中皿が収納された状態で、前記本体フランジ部にトップシール用フィルムが熱溶着された構成としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
上記態様によれば、中皿において、緩斜面部に対向する対向面部側の中皿外周縁の一部に凹部を形成したため、中皿に収容された食品を容器本体に注ぎ入れる際は、凹部と容器本体との間の隙間に指を差し入れて対向面部側を摘んで持ち上げればよい。これにより、緩斜面部側を低い位置としたまま中皿を傾斜させることが可能となり、中皿に収容された食品を容器本体の外部にこぼしたり、飛散させることなく、簡単な操作で確実に容器本体に移し入れることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の包装容器を示す分解斜視図
図2】本実施形態の包装容器を示す平面図
図3図1の中皿を示す平面図
図4図2のA-A断面図
図5図3において、包装容器に食品を収容して密封した状態を示す断面図
図6】本実施形態の包装容器の対向面部を持ち上げた状態を示す斜視図
図7】包装容器に蓋体を嵌合させた状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を基に説明する。図1は本実施形態における包装容器を示す分解斜視図であり、図2図1の包装容器を示す平面図であり、図3図1の中皿を示す平面図であり、図4図2のA-A断面図である。
【0014】
図1図4に示すように、本実施形態の包装容器1は、樹脂シートを成形して形成されており、容器本体2と、容器本体2に収納可能な中皿3とを備える。容器本体2は、上部に開口を有し、平面視で略矩形状のトレー状に形成され、本体底面部4と、本体底面部4の周縁部から上方に拡がるように延びる本体側面部5とを備える。また、容器本体2は、本体側面部5の上端近傍において内側に水平方向に突出形成された段差部6と、本体側面部5の上端から外側に水平方向に突出形成された本体フランジ部7を有する。なお、段差部6及び本体フランジ部7は、いずれも本体側面部5の全周にわたって形成されている。
【0015】
中皿3は、上部に開口を有し、平面視で略矩形状のトレー状に形成され、中皿底面部8と、中皿底面部8の周縁部から上方に拡がるように延びる中皿側面部9とを備える。また、中皿3は、中皿側面部9の上端から外側に水平方向に突出形成された中皿フランジ部11と、中皿側面部9のうちの一部に形成された、他の中皿側面部よりも傾斜が緩やかな緩斜面部12とを有する。
【0016】
図4に示すように、緩斜面部12は、二点鎖線で示す水平線と、中皿側面部との間の傾斜角度αが他の中皿側面部よりも小さくなるように形成される。中皿3は浅皿状に形成されており、容器本体2の高さ(深さ)は、中皿3の高さ(深さ)の2倍程度の深皿状に形成されている。中皿3は容器本体2に収納可能とされ、容器本体2に中皿3を収納したときに、段差部6が中皿フランジ部11に当接して中皿3を支持するように構成される。
【0017】
図2及び図3に示すように、中皿3を平面視したときに、緩斜面部12は、矩形形状の中皿3の長手方向に傾斜している。以下、中皿3及び容器本体2の長手方向を第1の方向Xとし、第1の方向Xに直交する短手方向を第2の方向Yとする。Cは第1の方向Xに平行な包装容器1(容器本体2及び中皿3)の中心線を示す。
【0018】
図3に示すように、中皿3を平面視したときに、中皿3の輪郭を形成する中皿外周縁13のうち、緩斜面部12に対向する対向面部14側の中皿外周縁13(図3中、2本の二点鎖線の間の領域Lの範囲に位置する中皿外周縁13の部分)の一部に、中皿外周縁13が内側に凹んだ凹部15が形成される。いいかえれば、領域Lに収まるように凹部15が形成される。
【0019】
すなわち、対向面部14側の中皿外周縁13の形状は、緩斜面部12側の中皿外周縁13の形状と対称形状に形成されるのではなく、中皿3の(開口の半径方向)内側に凹むように形成される。なお、領域Lの二点鎖線の幅は、緩斜面部12上端の幅または下端の幅(第2の方向Yの長さ)のうち、長い方の幅と同程度とされる。
【0020】
これにより、図2に示すように、容器本体2に中皿3を収納した包装容器1を平面視したときに、凹部15と容器本体2の段差部6との間に隙間が形成される。なお、対向面部14は、中皿側面部9のうち、緩斜面部12に対して第1の方向Xに距離をおいて対向する面であり、中心線Cが通過する面とされる。
【0021】
中皿フランジ部11は中皿側面部9上端の全周にわたって連続形成してもよいし、断続的に形成してもよい。中皿フランジ部11が中皿側面部9上端の全周にわたって連続形成される場合は、中皿フランジ部11の外周縁が中皿外周縁13を構成する。一方、中皿フランジ部11が断続的に形成される場合は、中皿フランジ部11が形成されている部分は中皿フランジ部11の外周縁が中皿外周縁13を構成し、中皿フランジ部11が形成されていない部分は中皿側面部9の上端が中皿外周縁13を構成する。
【0022】
本実施形態においては、対向面部14の幅方向中央部(第2の方向Yにおける中央部)が、対向面部14の下端から上端にかけて全体的に内側に凹むように湾曲形成されている。そして、中皿側面部9の上端の全周にわたって一定幅の中皿フランジ部11が形成されている。したがって、対向面部14の中央部では対向面部14の形状に沿って中皿フランジ部11の外周縁、すなわち、中皿外周縁13も内側に凹むように湾曲形成され、この中皿外周縁13の湾曲形成された部分が凹部15とされる。これにより、湾曲形成された中皿3の対向面部14の中央部及び凹部15と、容器本体2との間に隙間が形成され、この隙間が包装容器を電子レンジ加熱する際に発生する蒸気が通過可能な通気路16として機能する。
【0023】
本実施形態では、凹部15における中皿フランジ部11の幅を他の部分の中皿フランジ部の幅と同じ幅としているがこれに限らず、たとえば、凹部15の部分の中皿フランジ部11の幅を狭くする、または、中皿フランジ部11を形成しないようにすることも可能である。この場合、対向面部14の幅方向中央部を内側に大きく湾曲形成させずとも、または、まったく湾曲させなくとも、中皿フランジ部11の幅を変化させることで凹部15を形成することが可能となる。
【0024】
図5に示すように、本実施形態の包装容器は、容器本体2に第1食品17を収容し、中皿3に第2食品18を収容し、中皿3を容器本体2に収納した後、トップシール用フィルム19によって密封することが可能である。ここで、トップシール用フィルム19は熱溶着可能な単層構成又は複層構成の樹脂フィルムである。この場合、中皿フランジ部11は、中皿3の最上部に形成されていることが好ましい。
【0025】
上記構成により、トップシール用フィルム19を伸ばした状態で包装容器1を覆うようにセットし、トップシール用フィルム19と本体フランジ部7とを容易に熱溶着することが可能となる。トップシール用フィルム19を熱溶着した包装容器は、中皿3を段差部6に保持した状態を維持しつつ、包装容器1を密封することができる。トップシール用フィルム19は剛性を有する蓋体に比べて使用する合成樹脂量が少量で済み、環境負荷を低減できるという利点を有する。
【0026】
なお、本実施形態では、容器本体2に中皿3を収納した状態で、本体フランジ部7の上面と、中皿フランジ部11の上面とがほぼ同一平面上に位置するように構成される。これにより、包装容器1をトップシールした状態で、中皿3は、段差部6とトップシール用フィルム19に挟持され、包装容器1を運搬する際に中皿3のガタツキを抑制することが可能となる。
【0027】
図5に示す密封状態の包装容器1に収容された冷凍食品または冷蔵食品を食する場合には、トップシール用フィルム19の一部を開放するか、トップシール用フィルム19の一部に内部圧力が上昇した場合に、容器の外部に蒸気を排出する公知の蒸気抜き機構を形成した上で、包装容器1を電子レンジで加熱する。第1食品17が加熱されて発生した蒸気は、通気路16を通って一部開放されたトップシール用フィルム19から外部に排出される。
【0028】
電子レンジ加熱が終了した後は、トップシール用フィルム19を剥がし、図6に示すように、凹部15に指を差し入れて中皿3の対向面部14側を摘んで持ち上げる。これにより、緩斜面部12側を低い位置としたまま中皿3を傾斜させることが可能となり、中皿3に収容された第2食品18を容器本体2の外部にこぼしたり、飛散させることなく、簡単な操作で確実に容器本体2内に移し入れることが可能となる。なお、中皿3から第2食品18を容器本体2に移し入れる位置は、指で中皿3の対向面部側を摘んで持ち上げて緩斜面部12側が容器本体2に接触した状態のまま、指で中皿3を第1の方向Xにスライド移動させて調整すればよい。
【0029】
凹部15は、対向面部14側の中皿外周縁13の一部に形成されていればよく、凹部15の一部が、緩斜面部12が傾斜する第1の方向Xに沿った中皿の中心線Cにかかる位置に形成されるのが好ましく、凹部15を含めた中皿3の形状が、中心線Cに対して平面視で略対称形状に形成されるのがより好ましい。これにより、中皿3がぐらつくことなく、中皿3の対向面部14側をより安定した状態で持ち上げることができる。
【0030】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。本実施形態では、包装容器を密封するためにトップシール用フィルムを用いているがこれに限らず、図7に示すように、一般的な外嵌合方式の蓋体20を用いることも可能である。この場合、蓋体20は、容器本体2に嵌合した状態で、中皿フランジ部11の少なくとも一部を覆う蓋フランジ部21を備えたものを使用すればよい。これにより、蓋体20を嵌合した包装容器1は、中皿3を段差部6に保持した状態を良好に維持することが可能となる。
【0031】
また、本実施形態では、段差部6は容器本体2に中皿3を収納した状態で、本体フランジ部7の上面と、中皿フランジ部11の上面とがほぼ同一平面上に位置するように形成されているが、中皿3を段差部6に保持可能な範囲で、本体フランジ部7の上面位置が中皿フランジ部11の上面位置よりも高くなるように形成することも可能である。
【0032】
また、本実施形態では、中皿及び容器本体は平面視で略矩形形状とされているがこれに限らず、たとえば、中皿及び容器本体の各側面を外側に湾曲させた形状としてもよいし、平面視で多角形状とすることも可能である。
【0033】
なお、実施形態及び上記変形例に開示されている構成要件は互いに組合せ可能であり、組合せることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 包装容器
2 容器本体
3 中皿
4 本体底面部
5 本体側面部
6 段差部
7 本体フランジ部
8 中皿底面部
9 中皿側面部
11 中皿フランジ部
12 緩斜面部
13 中皿外周縁
14 対向面部
15 凹部
16 通気路
17 第1食品
18 第2食品
19 トップシール用フィルム
20 蓋体
21 蓋フランジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7