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特許7498264耐熱性に優れたポリエステルタイヤコード及びそれを含むタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】耐熱性に優れたポリエステルタイヤコード及びそれを含むタイヤ
(51)【国際特許分類】
   D02G 3/48 20060101AFI20240604BHJP
   B60C 9/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
D02G3/48
B60C9/00 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022514269
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 KR2020011203
(87)【国際公開番号】W WO2021045418
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】10-2019-0110267
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】318016191
【氏名又は名称】ヒョスン アドヴァンスト マテリアルズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,シファン
(72)【発明者】
【氏名】キム,チョル
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジンキョン
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0089155(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0079533(KR,A)
【文献】特表2017-503937(JP,A)
【文献】特開2017-226317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D02G 1/00- 3/48
D07B 1/00-9/00
B60C 1/00ー19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル原糸から構成され、80℃でASTMD885によって測定される5%LASEが1.2g/d以上2.4g/d以下であり、120℃でASTMD885によって測定される5%LASEが1.0g/d以上2.2g/d以下であり、80℃及び120℃で数式6によって算出される靭性維持率が65%以上80%以下であり、
[数式6]
靭性維持率(T25-T80)=(T80条件での靭性の値/T25条件での靭性の値)×100
靭性維持率(T25-T120)=(T120条件での靭性の値/T25条件での靭性の値)×100
(前記式で、ポリエステルタイヤコードを25℃、65RH%で24時間放置後、温度を上昇させながらそれぞれ25℃、80℃、120℃で靭性の値を測定し、T25条件での靭性の値は25℃で測定した靭性の値、T80条件での靭性の値は80℃で測定した靭性の値、T120条件での靭性の値は120℃で測定した靭性の値をそれぞれ意味する)、
前記ポリエステル原糸は紡糸工程及び多段延伸工程により製造され、
前記多段延伸工程で固有延伸係数(=スピンドラフト/総延伸比)は800~1400であり、
前記ポリエステル原糸は、中間伸度(@2.25g/d):2.5%~3.0%、中間伸度(@4.5g/d):5.0%~6.0%及び中間伸度(@6.75g/d):7.5~9.0%の条件を同時に満たし、
前記ポリエステルタイヤコードは、コード繊度2000~8000デニール、2~4プライ及び200~400TPMであることを特徴とする、ポリエステルタイヤコード。
【請求項2】
前記ポリエステルタイヤコードは、下記の数式1によって定義されるL/E80値が0.2g/d・%~0.4g/d・%の範囲であり、L/E120値は0.2g/d・%~0.3g/d・%の
範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステルタイヤコード。
[数式1]
L/ET=LASE(g/d,@5%)/中間伸度(%,@2.25g/d)
前記数式で、LASE(Load At Specific Elongation)は所定の温度(T)(℃)で測定した5%伸張時の荷重を示し、Eは2.25g/d荷重の下での中間伸度を示す。
【請求項3】
前記ポリエステルタイヤコードは、強度が5.0g/d以上7.7g/d以下であり、177°Cで2分間0.05g/dの静荷重での乾熱収縮率が0.1%以上3%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステルタイヤコード。
【請求項4】
前記ポリエステル原糸は下記の条件(1)~(6)を同時に満たすことを特徴とする、請求項1に記載のポリエステルタイヤコード。
(1)固有粘度(I.V.):0.85~1.00
(2)強度:7.0g/d以上7.7g/d以下
(3)非晶配向指数(Amorphous Orientation FactorAOF):0.70~0.80
(4)収縮率:0.3%以上4.0%以下
(5)結晶化度:50%以上56・5%以下
(6)寸法安全性(E-S):8.2%以上8.5%以下
【請求項5】
前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレンまたはポリ(トリメチレンテレフタレート)であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステルタイヤコード。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のポリエステルタイヤコードを含む、タイヤ。
【請求項7】
前記タイヤは、トレッド部、トレッド部の両側に配置された一対の側壁、及び側壁のタイヤ半径方向の内側に配置された一対のビード部を含み、前記一対のビード部の間に複数のカーカスが配置されたタイヤであって、前記カーカスが請求項1~5のいずれか1項に記載のポリエステルタイヤコードから構成されることを特徴とする、請求項6に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエステル繊維から構成されたタイヤコード及びそれを含むタイヤに関し、特に耐熱性及び寸法安全性に優れたポリエステルタイヤコード及びそれから構成される高性能タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤコード用繊維としては、ポリエステル、ナイロン及びレーヨンなどが使われており、最近にはアラミド繊維もタイヤコード用に開発されている。ナイロン繊維は強度及び靭性が高いので、昔からタイヤコード用繊維として使われてきた。しかし、ナイロン繊維は熱収縮率が高くモジュラスが低いから、高性能タイヤコードとしては使われることができず、大型車のバイアスタイヤ用に使われている。
【0003】
レーヨン繊維コードは熱的安全性に優れて高温での機械的性質の低下が非常に小さいので、高性能タイヤ用に使われているが、強度水準が低く製造コストが高いし、製造工程が複雑であり、二酸化硫黄を使うから、環境汚染が問題となって使用が徐々に減少している動向である。
【0004】
ポリエステル繊維はナイロン繊維に比べてモジュラスが高く熱収縮率が低いので、タイヤコード用にも広範囲に使われている。しかし、ポリエステル繊維は、温度による耐熱性低下によってタイヤの成形(加硫工程)の際に弾性率が低下し収縮率が増加するなど、寸法安全性が不良な問題点がある。特に、ポリエステル繊維コードの寸法安全性はレーヨン繊維コードの寸法安全性の水準を大きく下回っているから、超高性能タイヤへの適用が難しい限界がある。ポリエステルコードにおいて、レーヨンコード水準の寸法安全性を追い求めるために高速紡糸及びスピンドラフト増加技術を適用している。
【0005】
しかし、このような技術適用の際には、過度な未延伸糸の結晶性増加による紡糸延伸性低下によって原糸及びディップコードの強力水準が低下する問題が発生する。一方、タイヤコードの強力を向上させるために延伸性を高める場合には、工程性不良が発生して原糸の外観不良及び強力利用率が低下する。
【0006】
また、ポリエステル繊維をタイヤコード用に使うためには、強度の他にも、タイヤの走行環境に応じて高温で形態変形が発生しないように寸法安全性の向上が要求される。ポリエステルタイヤコードの場合にも、パーキングの際に高速で加熱されたタイヤを冷却させる結果として引き起こされる一時的な幾何学的変形であるフラットスポット現象が発生し、これにより車両に装着するときに騒音が発生する問題がある。また、ポリエステルタイヤコードは、寸法安全性が多少改善されても、タイヤ走行の際に発生する120℃以上の高温環境で弾性率が改善されない高温耐熱性の低下が発生するので、超高性能タイヤにレーヨンを代替して使うことができない限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第4101525B号公報
【文献】米国特許第5067538B号公報
【文献】米国特許第5472781B号公報
【文献】ヨーロッパ特許第0423213B号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述したような従来技術の問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の一目的は、120℃以上の高温環境でもレーヨンと対等な弾性率を有し、寸法安全性及び耐熱性に優れたポリエステルタイヤコードを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、寸法安全性に優れたタイヤコードを含むことにより、軽量化が可能であり、フラットスポット現象の減少によって走行中に騒音が減少するなど、走行性能が向上し、回転抵抗の減少によって燃費性能が向上した高性能タイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、ポリエステル原糸から構成され、80℃でASTM D885によって測定される5%LASEが1.2g/d以上であり、120℃でASTM D885によって測定される5%LASEが1.0g/d以上であり、80℃及び120℃で数式6によって算出される靭性維持率が65%以上であることを特徴とする、ポリエステルタイヤコードに関するものである。
【0011】
[数式6]
靭性維持率(T25-T80)=(T80条件での靭性値/T25条件での靭性値)×100
靭性維持率(T25-T120)=(T120条件での靭性値/T25条件での靭性値)×100
(前記数式で、T25条件での靭性値は25℃、65RH%で24時間放置した後、測定したポリエステルコードの靭性値であり、T80条件での靭性値は80℃雰囲気温度の下で測定したコードの靭性値であり、T120条件での靭性値は120℃雰囲気温度の下で測定したコードの靭性値である。)
【0012】
上述した課題を解決するための本発明の他の様相は、本発明のポリエステルタイヤコードを含むタイヤに関するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のポリエステルタイヤコードは、レーヨンと対等な弾性率を有し、耐熱性及び寸法安全性に優れるので、レーヨンコードを使う超高性能タイヤ(Ultra High Performance Tire、UHPT)の一部規格をポリエステルタイヤコードに代替することができるので、本発明によれば、レーヨンコード製造の際に発生する環境汚染の問題も解決することができるだけでなく、相対的に低価のポリエステルタイヤコードを使うことにより、超高性能タイヤの製造コストを節減する著しい効果を収得することができる。
【0014】
また、本発明のポリエステルタイヤコードは耐熱性及び寸法安全性に優れるので、タイヤ成形の際にコードの使用量を減らしてもコード弾性率が維持され、タイヤ性能の低下なしにタイヤ軽量化及び低回転抵抗が可能であり、自動車の燃費を向上させることができる。
【0015】
また、本発明の高耐熱性及び高弾性ポリエステルタイヤコードは、相対的に切断伸度が高くて靭性が良く、高温環境での靭性維持率が優れるので、タイヤの耐久性及び高温弾性率の向上によるフラットスポット現象改善、走行騒音減少、乗り心地向上、ハンドリング向上、高速耐久性向上及び優れたタイヤ走行性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施例によるポリエステルタイヤコードに使われるポリエステル原糸の6段紡糸設備及び延伸工程を概略的に示す図である。
図2】本発明の一実施例によるポリエステルタイヤコードから製造されたタイヤの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な具現例についてより詳細に説明する。
【0018】
本発明の説明において、関連した公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨をあいまいにする可能性があると判断される場合、その詳細な説明を省略する。本明細書で、ある部分がある構成要素(成分)を“含む”というとき、これは、特に相反する記載がない限り、他の構成要素(成分)を排除するものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0019】
本明細書で使われる場合、“コード(cord)”はタイヤの補強構造を構成する補強ストランドであり、多数本の糸を撚り合わせることによって形成された製品を意味する。
【0020】
本明細書で、“LASE(Load at Specified Elongation)”は特定の延伸率での荷重を意味する。
【0021】
本発明で、“寸法安全性(E-S)”は中間伸度(E)と乾熱収縮率(S)の和を示す。寸法安全性(E-S)の数値が低いタイヤは熱による変形量が小さいから、E-S数値が低いコードを使ったタイヤの場合、高いコードを使ったタイヤよりタイヤの均一度が高くなり、タイヤ性能の向上も可能である。
【0022】
本明細書で、“カーカス(carcass)”はタイヤのベルト構造、トレッド、アンダートレッド(undertread)、及びプライ上の側壁ゴムを除いたビードを含むタイヤ構造を意味する。
【0023】
本明細書で、“特定延伸比(Specificd raw ratio)”は総延伸比に対するスピンドラフト(spin draft)の比を意味する。
【0024】
本明細書で、“スピンドラフト(spin draft)”は紡糸ノズルでの単位面積当たりポリマー吐出速度に対する第1延伸ローラーの線速度(m/min)の比を意味する。
【0025】
本明細書で、“フラットスポット”という用語は、タイヤコードのガラス転移温度が低く熱収縮率が高い場合、フットプリントで収縮した後、この位置で冷却される場合、タイヤコードがそのガラス転移温度に再び到逹するまでフラットスポット(flatspot)を維持する現象を意味する。
【0026】
本発明の一様相は、ポリエステル原糸から構成され、80℃でASTM D885によって測定される5%LASEが1.2g/d以上であり、120℃でASTM D885によって測定される5%LASEが1.0g/d以上であり、80℃及び120℃で数式6によって算出された靭性維持率が65%以上であることを特徴とするポリエステルタイヤコードに関するものである。
【0027】
[数式6]
靭性維持率(T25-T80)=(T80条件での靭性値/T25条件での靭性値)×100
靭性維持率(T25-T120)=(T120条件での靭性値/T25条件での靭性値)×100
(前記数式で、T25条件での靭性値は25℃、65RH%で24時間放置した後、測定したポリエステルコードの靭性値であり、T80条件での靭性値は80℃雰囲気温度の下で測定したコードの靭性値であり、T120条件での靭性値は120℃雰囲気温度の下で測定したコードの靭性値である。)
【0028】
本発明で使用可能なポリエステル繊維としては、ジカルボン酸及びグリコールからなるポリエステルを好ましく挙げることができる。前記ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などを挙げることができる。
【0029】
また、グリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどを挙げることができる。前記ジカルボン酸成分の一部を、アジピン酸(adipic acid)、セバシン酸(sebacic acid)、ダイマー酸、スルホン酸金属置換イソフタル酸などに代替しても良い。
【0030】
また、前記グリコール成分の一部を、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、またはポリアルキレングリコールなどに代替しても良い。
【0031】
これらの中でも、ジカルボン酸成分の90モル%以上がテレフタル酸から構成され、グリコール成分の90モル%以上がエチレングリコールから構成されるポリエチレンテレフタレートが好適である。ポリエステル原糸としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)の他に、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレン(PEN)、またはポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を使うこともできる。
【0032】
最も好ましいポリエステルポリマー類型はポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートである。
【0033】
ポリエステルには、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、窒化ケイ素、泥土、タルク、カオリン、ジルコニウム酸などの各種の無機粒子や架橋高分子粒子、各種の金属粒子などの粒子類の他、従来から使っている抗酸化剤、金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、ワックス類、シリコンオイル、各種の界面活性剤などを添加することができる。
【0034】
本発明の一実施例によるタイヤコードは下記の数式1によって定義されるL/E80値が1.5kg/%~3.5kg/%の範囲であり、L/E120は1.0kg/%~3.0kg/%の範囲である。
【0035】
[数式1]
L/ET=LASE(kg,@5%)/中間伸度(%,@2.25g/d)
前記数式で、LASE(Load At Specific Elongation)は所定の温度(T)(℃)で測定した5%伸張時の荷重を示し、Eは2.25g/d荷重の下での中間伸度を示す。
【0036】
本発明のタイヤコードは、強度が5.0g/d以上であり、177℃の温度で0.05g/dの荷重で2分経過後の乾熱収縮率が3%以下であり、室温での5%LASEは2g/d以上であり、2.25g/dの荷重の下での中間伸度は4~6%の範囲であることができる。タイヤコードの収縮率が3%を超えれば、タイヤ製作の際、タイヤ変形の増加によってタイヤ性能が低下することがある。
【0037】
本発明のタイヤコードに使われるポリエステル原糸は、中間伸度(@2.25g/d):2.5%~3.0%、中間伸度(@4.5g/d):5.0%~6.0%及び中間伸度(@6.75g/d):7.5~9.0%の条件を同時に満たす。中間伸度が前記要件を満たすことができない場合には、タイヤコード用に使用する場合、タイヤ製作の際にコード弾性率の差による形態変形が増加し、タイヤ不良及び性能低下が発生することがある。
【0038】
また、前記ポリエステル原糸は下記の条件(1)~(6)を同時に満たすことができる。
(1)固有粘度(I.V.):0.85~1.00
(2)強度:7.0g/d以上
(3)非晶配向指数(Amorphous Orientation Factor;AOF):0.70~0.80
(4)収縮率:4.0%以下
(5)結晶化度:50%以上
(6)寸法安全性(E-Sindex):8.5%以下
【0039】
本発明で、寸法安全性(E-Sindex)の値は乾熱収縮率(@177℃の温度で0.05g/dの荷重の下で2分経過)と中間伸度(@2.25g/dの荷重)の和であり、その数値が低いほどタイヤコードの形態変化が小さく耐熱特性に優れることを示す。
【0040】
本発明で、ポリエステル延伸糸は1000~4000デニールの太繊度を有するように製造されることができるので、優れた物性を示しながら大きな纎度を有するタイヤコードを得ようとする当該分野の要求に応えることができる。ポリエステル原糸の纎度が1000デニール未満であればタイヤコードとしての十分な強力を確保することができなく、4000デニールを超えれば安定した製糸が困るだけでなく、タイヤの軽量化を阻害することができる。
【0041】
本発明によるポリエステルタイヤコードの製造方法を説明すれば次のようである。まず、本発明で、タイヤコード用ポリエステル原糸の製造においては、紡糸速度3,500以上の超高速紡糸によってスピンドラフト(Spin-draft)を1500~2500の範囲に増加させ、固有延伸係数を800~1400の範囲にし、原糸の総延伸比を1.6~1.9の範囲に調整して最終原糸の微細構造を変化させることにより、従来のポリエステル高弾性低収縮(High Modulus Low Shrinkage、HMLS)原糸及びディップコード(Dip Cord)に比べて向上した耐熱性及び寸法安全性を有するタイヤコードを製造することができる。
【0042】
まず、固有粘度が1.0~1.15のポリエチレンテレフタレートチップを溶融し、ノズルを通過させながら押し出して放出糸を製造する。ここで、ポリエチレンテレフタレート重合物は少なくとも85モル%のエチレンテレフタレート単位を含むことができるが、選択的にエチレンテレフタレート単位のみを含むこともできる。
【0043】
選択的には、前記ポリエチレンテレフタレートはエチレングリコール及びテレフタレートジカルボン酸またはこれらの誘導体、そして1種またはそれ以上のエステル形成成分から誘導された少量の単位を共重合体単位として含むことができる。
【0044】
ポリエチレンテレフタレート単位と共重合可能な他のエステル形成成分の例は、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどのようなグリコールと、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、スチルベンジカルボン酸、二安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなジカルボン酸を含む。
【0045】
製造されたポリエチレンテレフタレートチップにテレフタル酸(TPA)とエチレングリコール原料が2.0~2.3の比で溶融混合され、溶融混合物はエステル交換反応及び縮重合反応してローチップ(raw chip)に形成される。
【0046】
その後、前記ローチップは220℃~240℃の温度及び真空の下で1.00~1.15の固有粘度を有するように固相重合される。ここで、固相重合チップの固有粘度が1.00未満の場合、最終延伸糸の固有粘度が低くなるから、熱処理の後、処理コードとして高強度を発揮することができなくなる。チップの固有粘度が1.15を超える場合には、ポリマー溶融物の不均一及び未溶解結晶物質の増加によって紡糸張力及び放出糸の断面が不均一になり、延伸中にフィラメントカットが多く発生して紡糸作業性が不良になる。
【0047】
また、選択的には、縮重合反応過程で、重合触媒として、アンチモン化合物、好ましくは三酸化アンチモンが、最終重合体中のアンチモン金属の残存量が180~300ppmになるように添加されることができる。残存量が180ppm未満の場合、重合反応速度が遅くなって重合効率が低下し、残存量が300ppmを超える場合には、必要以上のアンチモン金属が異物として作用して紡糸延伸作業性が低下することができる。
【0048】
前記のようなポリエチレンテレフタレートチップを溶融し、ノズルを通して押し出して放出糸を製造する。ここで、前記ノズルの直径は1.1~1.4mmであることが好ましい。その後、前記放出糸を冷却区域に通過させて急冷固化させる。ここで、必要に応じて、ノズルの直下から冷却区域開始地点までの距離、すなわちフードの長さLの区間にある程度の長さを有する加熱装置を設置する。この区域を遅延冷却区域または加熱区域と言う。この区域は、50~150mmの長さ及び300~400℃の温度(空気接触表面の温度)を有する。
【0049】
前記冷却区域では、冷却空気を吹き込む方法によって、オープン冷却(open quenching)法、円形密閉冷却(circular closed quenching)法、放射状アウトフロー冷却(radial outflow quenching)法、及び放射状インフロー冷却(radial inflow quenching)法などを適用することができるが、これに限定されない。
【0050】
ここで、前記冷却区域内に急冷却のために注入される冷却空気の温度は10~30℃に調節される。このようなフードと冷却区域との間の急激な温度差を用いた急冷却は、紡糸された重合体の固化点及び紡糸張力を高めて未延伸糸の配向及び結晶と結晶との間の連結鎖の形成を増加させるためである。その後、冷却区域を通過しながら固化した放出糸を、単糸間の摩擦係数を減らすとともに、延伸性、熱効率に優れた油剤を適用した油剤付与装置によって放出糸に対して0.3~1.0重量%でオイリングすることができる。
【0051】
前記オイリングされた放出糸を紡糸して未延伸糸を形成する。ここで、スピンドラフトは1500~2500、紡糸速度(第1ゴデットローラー6の速度)は3,000m/min以上、好ましく3,500m/min以上が好ましい。
【0052】
前記範囲のスピンドラフト及び紡糸速度で紡糸する場合、低延伸比でも原糸の優れた強力を確保することができる。前記スピンドラフトが1500未満であるか紡糸速度(第1ゴデットローラー6の速度)が3,000m/min未満であれば、原糸の断面均一性が悪くなって延伸作業性が落ち、未延伸糸の配向度が減少して結晶化度が低下し、結晶部が発達しないので、延伸及びディッピング処理するとき、熱安全性が低くなってタイヤコードの強力が低下し、強力及びモジュラスの向上のために高延伸を遂行する場合には寸法安全性が低下することがあり、4,000m/分を超えれば、未延伸糸の延伸性が減少して原糸の強度及び延伸作業性が低下する。
【0053】
一方、固有延伸係数(スピンドラフト/総延伸比)が800未満の場合には、中間伸度及び収縮率の増加によって寸法安全性が低下することができ、反対に固有延伸係数が1500を超える場合には、過度な結晶化の増加によって原糸の強度水準が低くなることがある。
【0054】
また、前記未延伸糸の配向度が0.06未満であれば、原糸の微細構造において結晶化度及び結晶の緻密性を増大することができなく、0.09を超えれば、延伸作業性が低下するので好ましくない。その後、前記未延伸糸を延伸ローラーで多段延伸して原糸を製造する。
【0055】
第1延伸ローラーを通過した糸を、スピンドロー(spin draw)工法によって、一連の延伸ローラーによって延伸させることにより、原糸を形成する。延伸工程で、未延伸糸は多段延伸されることができ、それぞれの延伸ローラーの温度は未延伸糸のガラス転移温度より高く95℃より低い温度であるが、最後の延伸ローラー温度は200~250℃であることが好ましい。前記最後延伸ローラーの温度が200℃未満であれば、延伸工程で結晶化度及び結晶のサイズが増加しなく、原糸の強度及び熱的安全性を発現することができなくて高温での寸法安全性が低下し、前記最後延伸ローラーの温度が250℃を超えれば、融点に余りに近接してむしろ結晶が分解するなど、原糸の微細構造が不均一になって原糸の強度が低下する問題点がある。
【0056】
ここで、延伸された原糸の巻取速度は6,000m/min以上であることが好ましい。前記巻取速度が6,000m/min未満であれば生産性が低下することがある。
【0057】
また、前記のように巻取によって形成された原糸の総延伸比が1.6倍~1.9倍であることが好ましい。延伸比が1.6倍未満であれば、生産性が低下し、原糸及びコードの強度及び形態安全性が低下し、延伸比が1.9倍を超える場合には、配向された比結晶部の結晶化が増大して延伸作業性が低下し、糸切れが発生し、原糸の微細構造において比結晶部の分子鎖が切れて分子鎖の均一性が低下し、むしろ強力利用率が減少することがあるので好ましくない。特に、超高速紡糸の場合、紡糸設備による延伸比調整の制約のため、延伸比は1.9倍以下であることが好ましい。
【0058】
その後、製造されたポリエチレンテレフタレート原糸を用い、撚糸、製織及びディッピング処理を遂行することにより、ディップコードを製造する。まず、前記ポリエチレンテレフタレート原糸3本を、加撚及び合撚を段階的に遂行する撚糸機または同時に遂行するダイレクト撚糸機によって撚糸することにより、タイヤコード用ローコード(Raw Cord)を製造する。前記撚糸は、ポリエチレンテレフタレート原糸に下撚(ply twist)をかけた後、上撚(cable twist)をかけることによってなされる。一般的に、上撚と下撚は同じ撚数(撚りの程度)、あるいは必要に応じて相異なる撚数を加える。
【0059】
本発明で、ポリエチレンテレフタレートディップコードの撚数は上撚/下撚が同じ数、つまり200/200TPM(Twist Per Meter)~400/400TPMである。上撚と下撚を同じ数にする場合、製造されたディップコードが回転または撚りなしに一直線上に維持しやすいようにして物性の発現を最大にすることができる。ここで、上撚/下撚の撚数が200/200TPM未満の場合には、ローコードの切断伸度が減少して耐疲労度が低下しやすく、400/400TPMを超える場合には、強力低下が大きくてタイヤコード用に適切ではない。
【0060】
その後、製織された糸をディッピング液にディッピングした後、乾燥し、延伸及び熱固定した後、さらにディブピング液に浸漬した後、乾燥し、熱固定することにより、ディップコードを製造する。前記ディッピング液は、特に限定されないが、エポキシ、パラクロロフェノール系レゾルシノール/ホルマリン混合樹脂(Pexul)であることが好ましい。ここで、前記乾燥は高温で急激に遂行することを避けなければならなく、90~180℃で180~220秒間実施することが好ましい。
【0061】
前記乾燥温度が90℃未満であれば、十分に乾燥されないことがあり、乾燥して熱処理するとき、ディッピング液樹脂によるゲルが発生することができ、180℃を超えれば、急激な乾燥よってディッピング液樹脂によるゲルが発生することができ、コードと前記ディップ液樹脂との不均一な接着が発生することができる。
【0062】
前記熱固定は、前記ディップ液樹脂に含浸されたコードがタイヤゴムとの適切な接着力を有するために遂行するものである。前記熱固定は220~250℃で50~90秒間遂行することが好ましい。50秒未満で熱固定を遂行する場合、接着液の反応時間が足りなくて接着力が低くなり、90秒以上熱固定を遂行する場合は、接着液の硬度が低くなってコードの耐疲労性が低下することができる。
【0063】
本発明の他の様相は、耐熱性及び寸法安全性に優れた高強力ポリエステルコードをカーカスに適用したタイヤに関するものである。図2は本発明によるポリエチレンテレフタレートコードをカーカスに適用して製造した乗用車用タイヤの概略断面図である。
【0064】
図2を参照すると、本発明のタイヤは、トレッド部23から側壁部13を経て対向するビード部17のビードコア18のそれぞれまで延びるカーカス14と、トレッド部23からカーカス14の半径方向の外側に配置されたベルト部22とを含む。
【0065】
カーカス14は、タイヤの赤道に対して本発明のポリエステルカーカスコード(cord)が、例えば80°~90°の角度に配置されている少なくとも1つのカーカスプライ15を含む。
【0066】
カーカスプライ15は、1つのビードコア18から対向するビードコア18まで延びてタイヤのクラウン領域を通過する環状(toroidal)本体部15’と、この本体部15’の両端部から延びてカーカスプライを固定させるように、タイヤの軸方向の内側から軸方向の外側にビードコア18の周囲に折り返されるターンアップ部(turnup portion)16とからなることができる。図2で説明しない図面符号19はビードフィラーを示し、図面符号20及び21はそれぞれベルト構造体及びキャッププライを示す。
【0067】
上述したように、本発明のポリエステルタイヤコードは、モジュラス、強度及び伸び率などのその他の諸般特性に優れ、高温環境でも高い耐熱性及び寸法安全性を有してフラットスポット現象を低減し、本発明のコードを採用したタイヤは乗り心地及び走行性能に優れるとともに燃費性能も向上した特性を示す。
【0068】
以下で、実施例に基づいて本発明についてより詳細に説明するが、このような実施例はただ例示のためのものであり、本発明の権利範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0069】
[ポリエステル繊維及びタイヤコードの物性評価方法]
以下の実施例で収得したポリエチレンテレフタレート原糸及びタイヤコードの物性評価は下記のように測定または評価した。
【0070】
(1)固有粘度(I.V.)
フェノールと1,1,2,3-テトラクロロエタノールを6:4の重量比で混合した試薬(90℃で試料0.1gを濃度0.4g/100mlになるように90分間溶解させた後、ウベローデ(Ubbelohde)粘度計に移して入れ、30℃の恒温槽で10分間維持させ、粘度計と吸引装置(aspirator)を用いて溶液の落下秒数を求めた。溶媒の落下秒数も同様な方法で求め、下記の数式2及び3によってR.V.値及びI.V.値を計算した。
【0071】
[数式2]
相対粘度(R.V.)=試料の落下秒数/溶媒の落下秒数
【0072】
[数式3]
固有粘度(I.V.)=1/4×(R.V.-1)/濃度+3/4×(ln R.V./濃度)
【0073】
(2)LASE(Load At Specified Elongation)
ASTM D885測定法によって得られた伸張荷重曲線において5%に相当する伸度での荷重を取った。測定前の試料は、20℃、65%RHの雰囲気で24時間放置した後、測定した。
【0074】
(3)タイヤコードの強力(kgf)
25℃、65%の相対湿度で24時間放置した後、インストロン社の低速伸張型引張試験器を用いた。80TPMの撚りを加えた後、試料長250mm、引張速度300m/minで測定した。
【0075】
(4)タイヤコードの中間伸度(%)
中間伸度(Elongation at specific load)は、強伸度S-Sカーブ上において、原糸は2.25g/d、4.5g/d及び6.75g/dに相当する荷重での伸度を測定し、処理コードは荷重2.25g/dでの伸度を測定した。
【0076】
(5)乾熱収縮率(%,Shrinkage)
25℃、65%相対湿度で24時間放置した後、0.05g/dの静荷重で測定した長さ(L0)と177℃で2分間0.05g/d静荷重で処理した後の長さ(L1)の比を用いて下記の数式4によって乾熱収縮率を算出した。
【0077】
[数式4]
S(%)=(L0-L1)/L0×100
【0078】
(6)寸法安全性指数(E-S)
本実施例で、寸法安全性指数は、原糸の場合は4.5g/d、処理コードの場合は2.25g/dの荷重での中間伸度(E)と乾熱収縮率の和から求める。
【0079】
[数式5]
寸法安全性(E-S)=中間伸度(E)+乾熱収縮率(S)
【0080】
(7)靭性維持率(%)
25℃、65%の相対湿度で24時間放置した後、測定したポリエステルコードの靭性と80℃及び120℃のそれぞれの温度で測定した靭性を用いて下記の数式6によって靭性維持率を算出した。
【0081】
[数式6]
靭性維持率(T25-T80)=(T80条件での靭性値/T25条件での靭性値)×100
靭性維持率(T25-T120)=(T120条件での靭性値/T25条件での靭性値)×100
(前記数式で、T25条件での靭性値は25℃、65RH%で24時間放置した後、測定したポリエステルコードの靭性値であり、T80条件での靭性値は80℃雰囲気温度の下で測定したコードの靭性値であり、T120条件での靭性値は120℃雰囲気温度の下で測定したコードの靭性値である。)
【0082】
(8)結晶化度(%)
結晶化度(degree of crystalinity)は、密度法によって密度勾配管を使って測定する。結晶領域の密度をρc、非結晶領域の密度をρa、試料の密度をρとすれば、結晶化度(X)は下記の数式7によって算出する。
【0083】
[数式7]
X(%)=(ρc-ρ)/(ρc-ρa)×100
ポリエステルの場合、ρc=1.455g/cm3、ρa=1.355g/cm3である。
【0084】
(9)非晶配向関数(Fa)
偏光顕微鏡を使って測定した複屈折率とXRDから測定された結晶配向関数指数とを使って下記の数式8によって非晶配向関数を算出した。
【0085】
[数式8]
Fa=(複屈折率-結晶配向関数×0.251×(結晶化度(%)/100))/(0.24×(1-結晶化度(%)/100))
【0086】
実施例1
250ppmのアンチモン金属を含む、固有粘度(I.V.)1.08dl/g、水分率10ppmの固相重合ポリエチレンテレフタレートチップを製造した。製造されたチップを押出機によって300℃の温度で1500g/分の吐出量及び1800のスピンドラフト比で溶融紡糸した。
【0087】
次いで、放出糸をノズル直下の長さ100mmの加熱区域(雰囲気温度380℃)及び長さ530mmの冷却区域(20℃、0.5m/秒の風速の冷却空気吹込)を通過させて固化させた後、ソルベントを適用した紡糸油剤(パラフィンオイル成分30%含有)でオイリングした。紡糸速度(第1ゴデットローラー6の速度)3,500m/分でPOY糸を巻き取り、第1段階延伸は65℃で1.3倍に、第2段階延伸は70℃で1.1倍に、第3段階延伸は75℃で1.2倍に遂行し、250℃で熱固定し、1.5%弛緩させてから巻き取ることにより、2040デニールの最終延伸糸(原糸)を製造した。
【0088】
製造された原糸3本を276TPMで加撚及び合撚してローコード(Raw Cord)を製造した後、このローコードをディブピングタンク内でエポキシ樹脂とPexul接着液に浸漬した後、乾燥地域で、170℃で3.5%延伸し、150秒間乾燥し、高温延伸地域で、245℃で3.0%延伸し、150秒間熱固定した後、さらにRFLに浸漬した後、170℃で100秒間乾燥し、245℃で-5.0%延伸し、40秒間熱固定することにより、ディップコードを製造した。
【0089】
このように製造されたポリエステル延伸糸及びディップコードの物性を評価して下記の表1及び表2に示した。
【0090】
実施例2~4及び比較例1~3
スピンドラフト、延伸比、固有延伸係数のような紡糸条件を下記の表1のように変化させながら前記実施例1と同様な方法で実施して比較例1~3のポリエチレンテレフタレート延伸糸及びディップコードを製造した。
【0091】
このように製造されたポリエチレンテレフタレート延伸糸及びディップコードの物性を評価して下記の表1及び表2に示した。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
前記表2の結果から確認することができるように、本発明の実施例1~4で製造されたタイヤコードは比較例1~3で製造されたタイヤコードに比べて靭性維持率及び寸法安全性指数(E-S)に優れる。特に、実施例1~4で製造されたタイヤコードは高温環境(120℃)で測定された中間伸度が向上して高温耐熱性に優れることを確認することができる。
【0095】
以上で本発明を前述した具体例のみについて詳細に説明したが、このような説明は本発明を例示するための目的で開示したものであり、本発明の範囲を逸脱せずに多様な変化及び変更が可能であるというのが、本発明が属する技術分野の通常の技術者に明らかであろう。よって、そのような変化は下記の添付特許請求範囲によって定義されるような本発明の保護範囲に含まれるものに理解しなければならない。
【符号の説明】
【0096】
1 紡糸パック
2 紡糸ノズル
3 冷却区域
4 放出糸
5 油剤付与装置
6 第1延伸ローラー(GR1)
7 第2延伸ローラー(GR2)
8 第3延伸ローラー(GR3)
9 第4延伸ローラー(GR4)
10 第5延伸ローラー(GR5)
11 第6延伸ローラー(GR6)
12 ポリエステルタイヤコード用原糸
13 側壁
14 カーカス
15 カーカスプライ
15’ 本体部
16 ターンアップ部
17 ビード部
18 ビードコア
19 ビードフィラー
20 ベルト構造体
21 キャッププライ
22 ベルト部
23 トレッド
図1
図2