(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】温度センサが測定した温度値を多重補償するエアロゾル生成装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/57 20200101AFI20240604BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20240604BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F40/50
(21)【出願番号】P 2022558547
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 KR2021009660
(87)【国際公開番号】W WO2022025573
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0093174
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンファン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,スンウク
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンウォン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ソクス
(72)【発明者】
【氏名】ハン,デナム
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0057488(KR,A)
【文献】特開2009-103572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成基質を加熱するヒータと、
測定された温度値を獲得するために前記ヒータの温度を測定するように構成された温度センサと、
プロセッサと、を含み、
前記プロセッサは、
前記ヒータに供給される電力を制御し、
第1補償された温度値を獲得するために前記測定された温度値に第1補償値を加算し、
第2補償された温度値を獲得するために前記第1補償
値が加算された温度値に第2補償値を加算し、
前記第2補償
値が加算された温度値を前記ヒータの温度に決定
し、
前記第1補償値は、前記ヒータが加熱される間に、前記温度センサが測定した温度の変化率によって決定される多項式に基づいて決定され、
前記第1補償値が加算される区間は、前記第1補償値の大きさに応じて、少なくとも2以上の区間に区分され、
前記第2補償値は、前記区間別に設定された所定の値である
エアロゾル生成装置。
【請求項2】
前記多項式は、2次式である、請求項
1に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項3】
前記第1補償値は、前記第2補償値よりさらに大きい、請求項1に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項4】
前記第1補償値は、前記第2補償値よりさらに小さい、請求項1に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記少なくとも2以上の区間別に第2補償値が対応しているマッチングテーブルを参照し、前記第2補償値を決定する、請求項
1に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記測定された温度値が既設定の温度に到逹した後、前記第1補償値を加算するようにさらに構成される、請求項1に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記第1補償された温度値が既設定の温度に到逹した後、前記第2補償値を加算するようにさらに構成される、請求項1に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項8】
エアロゾル生成基質を加熱するように構成されたヒータの温度を測定し、測定された温度値を獲得する段階と、
第1補償された温度値を獲得するために前記測定された温度値に第1補償値を加算する段階と、
第2補償された温度値を獲得するために前記第1補償
値が加算された温度値に第2補償値を加算する段階と、
前記第2補償
値が加算された温度値を前記ヒータの温度に決定する段階と、を含
み、
前記第1補償値は、前記ヒータが加熱される間に、測定された温度の変化率によって決定される多項式に基づいて決定され、
前記第1補償値が加算される区間は、前記第1補償値の大きさに応じて、少なくとも2以上の区間に区分され、
前記第2補償値は、前記区間別に設定された所定の値である
エアロゾル生成装置を作動する方法。
【請求項9】
前記多項式は、2次式である、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1補償値は、前記第2補償値よりさらに大きい、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
請求項
8~10のうち、いずれか1項に記載の方法を実行させるためのプログラムを保存しているコンピュータで読取り可読な非一時的記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサが測定した温度値を多重補償するエアロゾル生成装置及びその方法に係り、さらに具体的には、温度測定の精度を向上するために、測定されたヒータの温度に対する補償を遂行するエアロゾル生成装置及びエアロゾル生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、一般的なシガレットの短所を克服する代替方法に係わる需要が増加している。例えば、シガレットを燃焼させてエアロゾルを生成させる方法ではない、シガレット内のエアロゾル生成物質が加熱されることにより、エアロゾルが生成する方法に関する需要が増加している。これにより、加熱式シガレットまたは加熱式エアロゾル生成装置に対する研究が活発に進められている。
【0003】
エアロゾル生成装置は、携帯性が強調された電子式タバコであって、ヒータの温度を測定し、ヒータに供給される電力を制御するために温度センサを備えている。エアロゾル生成装置のヒータは、加熱するエアロゾル生成基質によって、高くは、300℃を超過する温度まで加熱されるので、ヒータの温度を測定するために備えられる温度センサは、ヒータに直接付着する形態によって具現されないことが一般的である。
【0004】
前述したような温度センサの位置特性によって、温度センサが測定する温度は、ヒータの温度と正確には一致せず、エアロゾル生成装置に含まれるマイクロコントローラは、温度センサが測定した温度値を伝達され、一連の補償(calibration)過程を経た後、ヒータの最終温度を決定し、それにより、ヒータに供給される電力を制御する。
【0005】
従来のエアロゾル発生装置は、ヒータの温度を正確に測定するために、ヒータに赤外線を照射して温度を測定するIR計測器を含む。しかし、コストの問題によって、エアロゾル生成装置においてIRセンサを用いた温度測定を実現することが容易ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、温度センサがヒータの温度を測定して制御部に伝達すれば、伝達された温度値を多重的に補償し、ヒータの実際温度と同一であるか、それに準ずる温度が得られるエアロゾル生成装置及びその装置を具現するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な実施例の一側面によれば、エアロゾル生成基質を加熱するヒータ;測定された温度値を獲得するために前記ヒータの温度を測定するように構成された温度センサ;及びプロセッサ;を含み、前記プロセッサは、前記ヒータに供給される電力を制御し、第1補償された温度値を獲得するために前記測定された温度値に第1補償値を加算し、第2補償された温度値を獲得するために前記第1補償された温度値に第2補償値を加算し、前記第2補償された温度値を前記ヒータの温度に決定する、エアロゾル生成装置が提供される。
【0008】
前記プロセッサは、前記ヒータが加熱される間に前記測定された温度値の変化率によって決定される多項式に基づいて前記第1補償された温度値を決定するようにさらに構成されうる。
【0009】
前記多項式は、2次式でもある。
前記プロセッサは、前記第1補償値の大きさによって少なくとも2区間に分割された区間に前記第1補償値を加算するようにさらに構成されうる。
【0010】
前記プロセッサは、既設定の時間間隔によって、少なくとも2区間に分割された区間に前記第1補償値を加算するようにさらに構成されうる。
【0011】
前記第1補償値は、前記第2補償値よりさらに大きい。
前記第1補償値は、前記第2補償値よりさらに小さい。
前記プロセッサは、前記ヒータが加熱される間に、前記測定された温度値の変化率によって決定される多項式に基づいて第1補償値を決定するようにさらに構成され、前記第2補償値は、前記多項式を除いた基準によっても決定される。
【0012】
前記プロセッサは、前記第1補償値の大きさによって、少なくとも2区間に分割された区間に前記第1補償値を加算するようにさらに構成され、前記第2補償値は、前記少なくとも2区間それぞれに対して予め決定されうる。
【0013】
前記プロセッサは、前記少なくとも2以上の区間別に第2補償値が対応しているマッチングテーブルを参照し、前記第2補償値を決定する。
【0014】
前記プロセッサは、前記測定された温度値が既設定の温度に到逹した後、前記第1補償値を加算するようにさらに構成されうる。
【0015】
前記プロセッサは、前記第1補償された温度値が既設定の温度に到逹した後、前記第2補償値を加算するようにさらに構成されうる。
【0016】
例示的な実施例の他の側面によれば、エアロゾル生成基質を加熱するように構成されたヒータの温度を測定し、測定された温度値を獲得する段階;第1補償された温度値を獲得するために前記測定された温度値に第1補償値を加算する段階;第2補償された温度値を獲得するために前記第1補償された温度値に第2補償値を加算する段階;及び前記第2補償された温度値を前記ヒータの温度に決定する段階;を含む、エアロゾル生成装置を作動する方法が提供される。
【0017】
前記第1補償された温度値は、前記ヒータが加熱される間に前記測定された温度値の変化率によって決定される多項式に基づいて決定されうる。
【0018】
前記多項式は、2次式でもある。
前記第1補償値を加算する段階は、前記第1補償値の大きさによって、少なくとも2区間に分割された区間に第1補償値を加算する段階を含む。
【0019】
前記第1補償値を加算する段階は、既設定の時間間隔によって少なくとも2区間に分割された区間に前記第1補償値を加算する段階を含む。
【0020】
前記第1補償値は、前記第2補償値よりさらに大きい。
前記第1補償値は、前記ヒータが加熱される間に前記測定された温度値の変化率によって決定される多項式に基づいて決定され、前記第2補償値は、前記多項式を除いた基準を通じて決定されうる。
【0021】
例示的な実施例の他の側面によれば、前記エアロゾル生成装置を作動する方法を実行させるためのプログラムを保存しているコンピュータで読取り可読な非一時的記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本開示の実施例によれば、温度センサによって測定されたヒータの温度に対して多重補償を遂行することで、ヒータの温度が信頼性を有し、正確に獲得されうる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】例示的な実施例によるエアロゾル生成装置にシガレットが挿入された例を示す図面である。
【
図2】例示的な実施例によるエアロゾル生成装置にシガレットが挿入された例を示す図面である。
【
図3】例示的な実施例によるエアロゾル生成装置にシガレットが挿入された他の例を示す図面である。
【
図4】例示的な実施例によるシガレットを示す図面である。
【
図5】例示的な他の実施例によるシガレットを示す図面である。
【
図6】例示的な実施例による
図3の装置で使用される二重媒質シガレットを示す図面である。
【
図7】例示的な実施例による液状カートリッジを含むエアロゾル生成装置の斜視図である。
【
図8】例示的な実施例によるエアロゾル生成装置の斜視図である。
【
図9】例示的な実施例による
図8で説明した装置の側面図である。
【
図10】例示的な実施例によるエアロゾル生成装置の制御部を示すブロック図である。
【
図11】温度センサが測定したヒータの温度とヒータの実際温度の差を直観的に示す図面である。
【
図12】例示的な実施例による温度センサが測定した温度の変化率に基づいて決定される多項式によって第1補償値が加算されたヒータの温度が決定される一例を示す図面である。
【
図13】例示的な実施例による第1補償値が加算されたヒータの温度とヒータの実際温度のグラフを図式的に示す図面である。
【
図14】例示的な実施例による第2補償値を説明するための図面である。
【
図15】例示的な実施例によって温度センサが測定した温度値を多重的に補償する方法を示すフローチャートである。
【
図16】他の例示的な実施例によって温度センサが測定した温度値に多重補償を遂行する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
前記及び/または他の側面は、添付図面を参照して特定の例示的な実施例を説明することで、さらに明確になるであろう。
【0025】
前記技術的課題を解決するための本発明の一実施例による装置は、エアロゾル生成基質を加熱し、エアロゾルを生成するヒータ;前記ヒータの温度を測定する温度センサ;及び前記ヒータに供給される電力を制御する制御部;を含み、前記制御部は、前記温度センサが測定した温度に第1補償値を加算し、前記第1補償値が加算された温度に第2補償値をさらに加算した温度を前記ヒータの最終温度に決定する。
【0026】
前記装置において、前記第1補償値が加算された温度は、前記ヒータが加熱される間に、前記温度センサが測定した温度の変化率に基づいて決定される多項式によっても決定される。
【0027】
前記装置において、前記多項式は、2次式でもある。
前記装置において、前記第1補償値が加算される区間は、前記第1補償値の大きさによって、少なくとも2つ以上の区間に区分されうる。
【0028】
前記装置において、前記第1補償値が加算される区間は、既設定の時間間隔によって、少なくとも2つ以上の区間に区分されうる。
【0029】
前記装置において、前記第1補償値は、前記第2補償値よりもさらに大きい。
【0030】
前記装置において、前記第1補償値は、前記第2補償値よりもさらに小さい。
【0031】
前記装置において、前記第1補償値は、前記ヒータが加熱される間に、前記温度センサが測定した温度の変化率に基づいて決定される多項式によって決定され、前記第2補償値は、前記多項式を除いた基準を通じて決定されうる。
【0032】
前記装置において、前記第1補償値が加算される区間は、前記第1補償値の大きさによって、少なくとも2つ以上の区間に区分され、前記第2補償値は、前記区間別に既設定の値でもある。
【0033】
前記装置において、前記制御部は、前記少なくとも2以上の区間別に第2補償値が対応しているマッチングテーブルを参照し、前記第2補償値を決定する。
【0034】
前記装置において、前記第1補償値は、前記温度センサの測定した温度が既設定の温度に到逹した以後から加算されうる。
【0035】
前記装置において、前記第2補償値は、前記第1補償値が加算された温度が既設定の温度に到逹した以後から加算されうる。
【0036】
前記技術的課題を解決するための本発明の他の一実施例による方法は、エアロゾル生成基質を加熱し、エアロゾルを生成するヒータの温度を温度センサから受信する段階;前記受信された温度に第1補償値を加算する段階;及び前記第1補償値が加算された温度に第2補償値をさらに加算する段階;を含む段階を含む。
【0037】
前記方法において、前記第1補償値が加算された温度は、前記ヒータが加熱される間に、前記温度センサが測定した温度の変化率に基づいて決定される多項式によっても決定される。
【0038】
前記方法において、前記多項式は、2次式でもある。
前記方法において、前記第1補償値が加算される区間は、前記第1補償値の大きさによって、少なくとも2つ以上の区間に区分されうる。
【0039】
前記方法において、前記第1補償値が加算される区間は、既設定の時間間隔によって、少なくとも2つ以上の区間に区分されうる。
【0040】
前記方法において、前記第1補償値は、前記第2補償値よりもさらに大きい。
【0041】
前記方法において、前記第1補償値は、前記ヒータが加熱される間に、前記温度センサが測定した温度の変化率に基づいて決定される多項式によって決定され、前記第2補償値は、前記多項式を除いた基準を通じて決定されうる。
【0042】
本発明の一実施例は、前記方法を実行させるためのプログラムを保存しているコンピュータ可読記録媒体を提供することができる。
【0043】
実施例で使用される用語は、本開示の機能を考慮しながら可能な限り、現在広く使用される一般的な用語を選択したが、それは、当分野に従事する技術者の意図または判例、新たな技術の出現などによっても異なる。また、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、その場合、当該発明の説明部分において、詳細にその意味を記載する。したがって、本開示で使用される用語は、単なる用語の名称ではない、その用語が有する意味と本開示の全般にわたる内容に基づいて定義されなければならない。
【0044】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、それは、特別に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいということを意味する。また、明細書に記載された「...部」、「...モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、それは、ハードウェアまたはソフトウェアによって具現されるか、あるいは、ハードウェアとソフトウェアとの結合によっても具現される。
【0045】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施可能なように詳細に説明する。しかし、本開示は、様々な互いに異なる形態にも具現され、ここで説明する実施例に限定されない。
【0046】
以下、図面を参照して本開示の実施例を詳細に説明する。
図1及び
図2は、エアロゾル生成装置にシガレットが挿入された例を示す図面である。
【0047】
図1及び
図2を参照すれば、エアロゾル生成装置10は、バッテリ120、制御部110、ヒータ130及び蒸気化器180を含む。また、エアロゾル生成装置10の内部空間には、シガレット200が挿入されうる。
【0048】
図1及び
図2に図示されたエアロゾル生成装置10には、本実施例に係わる構成要素が図示されている。したがって、
図1及び
図2に図示された構成要素以外に他の汎用的な構成要素がエアロゾル生成装置10にさらに含まれるということを、本実施例に係わる技術分野で通常の知識を有する者であれば、理解できるであろう。
【0049】
また、
図1及び
図2には、エアロゾル生成装置10にヒータ130が含まれていると図示されているが、必要によって、ヒータ130は、省略されうる。
【0050】
図1には、バッテリ120、制御部110、蒸気化器180及びヒータ130が一列に配置されていると図示されている。また、
図2には、蒸気化器180及びヒータ130が並列に配置されていると図示されている。しかし、エアロゾル生成装置10の内部構造は、
図1または
図2に図示されたところに限定されない。すなわち、エアロゾル生成装置10の設計によって、バッテリ120、制御部110、蒸気化器180及びヒータ130の配置は変更されうる。
【0051】
シガレット200がエアロゾル生成装置10に挿入されれば、エアロゾル生成装置10は、蒸気化器180を作動させて、蒸気化器180からエアロゾルを発生させうる。蒸気化器180によって生成されたエアロゾルは、シガレット200を通過してユーザに伝達される。蒸気化器180に係わる詳細な説明は、後述する。
【0052】
バッテリ120は、エアロゾル生成装置10の動作に用いられる電力を供給する。例えば、バッテリ120は、ヒータ130または蒸気化器180が加熱されるように電力を供給し、制御部110の動作に必要な電力を供給する。また、バッテリ120は、エアロゾル生成装置10に設けられたディスプレイ、センサ、モータなどの動作に必要な電力を供給する。
【0053】
制御部110は、エアロゾル生成装置10の動作を全般的に制御する。具体的に、制御部110は、バッテリ120、ヒータ130及び蒸気化器180だけではなく、エアロゾル生成装置10に含まれた他の構成の動作を制御する。また、制御部110は、エアロゾル生成装置10の構成それぞれの状態を確認してエアロゾル生成装置10が動作可能な状態である否かを判断する。
【0054】
制御部110は、少なくとも1つのプロセッサを含む。プロセッサは、多数の論理ゲートのアレイによって具現され、汎用的なマイクロプロセッサと、該マイクロプロセッサで実行されうるプログラムが保存されたメモリの組合わせによっても具現される。また、他の形態のハードウェアによっても具現されるということを、当該実施例が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、理解できるであろう。
【0055】
ヒータ130は、バッテリ120から供給された電力によって加熱されうる。例えば、シガレット200がエアロゾル生成装置10に挿入されれば、ヒータ130は、シガレット200の外部に位置する。したがって、加熱されたヒータ130は、シガレット200内のエアロゾル生成物質の温度を上昇させうる。
【0056】
ヒータ130は、電気抵抗性ヒータでもある。例えば、ヒータ130には、導電性トラック(track)が含まれ、導電性トラックに電流が流れることにより、ヒータ130が加熱されうる。しかし、ヒータ130は、上述した例に限定されず、希望温度まで加熱されるものであれば、制限なしに該当しうる。ここで、希望温度は、エアロゾル生成装置10に予め設定されていてもよく、ユーザによって所望の温度に設定されうる。
【0057】
一方、他の例として、ヒータ130は、誘導加熱式ヒータでもある。具体的に、ヒータ130には、シガレット200を誘導加熱方式で加熱するための導電性コイルを含み、シガレット200は、誘導加熱式ヒータによって加熱されるサセプタを含む。
【0058】
図1及び
図2には、ヒータ130がシガレット200の外部に配置されると図示されているが、それに限定されない。例えば、ヒータ130は、管状加熱要素、板状加熱要素、針状加熱要素または棒状加熱要素を含み、加熱要素の形状によってシガレット200の内部または外部を加熱することができる。
【0059】
また、エアロゾル生成装置10には、ヒータ130が複数個配置されうる。この際、複数個のヒータ130は、シガレット200の内部に挿入されるようにも配置され、シガレット200の外部にも配置されうる。また、複数個のヒータ130のうち、一部は、シガレット200の内部に挿入されるように配置され、残りは、シガレット200の外部に配置されうる。また、ヒータ130の形状は、
図1及び
図2に図示された形状に限定されず、多様な形状にも作製される。
【0060】
蒸気化器180は、液状組成物を加熱し、エアロゾルを生成し、生成されたエアロゾルは、シガレット200を通過してユーザに伝達されうる。すなわち、蒸気化器180によって生成されたエアロゾルは、エアロゾル生成装置10の気流通路に沿って移動し、気流通路は、蒸気化器180によって生成されたエアロゾルがシガレット200を通過してユーザに伝達されるように構成されうる。
【0061】
例えば、蒸気化器180は、液体保存部、液体伝達手段及び加熱要素を含んでもよいが、それらに限定されない。例えば、液体保存部、液体伝達手段及び加熱要素は、独立したモジュールとしてエアロゾル生成装置10に含まれうる。
【0062】
液体保存部は、液状組成物を保存することができる。例えば、液状組成物は、揮発性タバコ香成分を含むタバコ含有物質を含む液体でもあり、非タバコ物質を含む液体でもある。液体保存部は、蒸気化器180から/に脱/付着するように作製され、蒸気化器180と一体として作製されうる。
【0063】
例えば、液状組成物は、水、ソルベント、エタノール、植物抽出物、香料、香味剤、または、ビタミン混合物を含む。香料は、メントール、ペパーミント、スペアミントオイル、各種果物の香り成分などを含んでもよいが、それらに制限されるものではない。香味剤は、ユーザに多様な香味または風味を提供する成分を含む。ビタミン混合物は、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC及びビタミンEのうち、少なくとも1つが混合されたものでもあるが、それらに制限されるものではない。また、液状組成物は、グリセリン及びプロピレングリコールのようなエアロゾル形成剤を含む。
【0064】
液体伝達手段は、液体保存部の液状組成物を加熱要素に伝達する。例えば、液体伝達手段は、綿繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、多孔性セラミックのような芯(wick)にもなるが、それらに限定されるものではない。
【0065】
加熱要素は、液体伝達手段によって伝達する液状組成物を加熱するための要素である。例えば、加熱要素は、金属熱線、金属熱板、セラミックヒータなどにもなるが、それらに限定されない。また、加熱要素は、ニクロム線のような伝導性フィラメントで構成され、液体伝達手段に巻かれる構造によって配置されうる。加熱要素は、電流供給によって加熱され、加熱要素と接触された液体組成物に熱を伝達し、液体組成物を加熱することができる。その結果、エアロゾルが生成されうる。
【0066】
例えば、蒸気化器180は、カトマイザ(cartomizer)または霧化器(atomizer)とも称されるが、それに限定されない。
【0067】
一方、エアロゾル生成装置10は、バッテリ120、制御部110及びヒータ130以外に汎用的な構成をさらに含んでもよい。例えば、エアロゾル生成装置10は、視覚情報の出力が可能なディスプレイ及び/または触覚情報の出力のためのモータを含む。また、エアロゾル生成装置10は、少なくとも1つのセンサ(パフ感知センサ、温度感知センサ、シガレット挿入感知センサなど)を含む。また、エアロゾル生成装置10は、シガレット200が挿入された状態でも外部空気が流入されるか、内部気体が流出される構造によっても作製される。
【0068】
図1及び
図2には、図示されていないが、エアロゾル生成装置10は、別途のクレードルと共にシステムを構成してもよい。例えば、クレードルは、エアロゾル生成装置10のバッテリ120の充電に用いられうる。または、クレードルとエアロゾル生成装置10が結合された状態でヒータ130が加熱されうる。
【0069】
シガレット200は、一般的な燃焼型シガレットと類似してもいる。例えば、シガレット200は、エアロゾル生成物質を含む第1部分とフィルタなどを含む第2部分に区分されうる。または、シガレット200の第2部分にもエアロゾル生成物質が含まれうる。例えば、顆粒またはカプセルの形態に作られたエアロゾル生成物質が第2部分に挿入されうる。
【0070】
エアロゾル生成装置10の内部には、第1部分の全体が挿入され、第2部分は、外部に露出されうる。または、エアロゾル生成装置10の内部に第1部分の一部だけ挿入され、第1部分及び第2部分の一部が挿入されうる。ユーザは、第2部分を口にした状態でエアロゾルを吸い込む。この際、エアロゾルは、外部空気が第1部分を通過することで生成され、生成されたエアロゾルは、第2部分を通過してユーザの口に伝達される。
【0071】
一例として、外部空気は、エアロゾル生成装置10に形成された少なくとも1つの空気通路を介して流入されうる。例えば、エアロゾル生成装置10に形成された空気通路の開閉及び/または空気通路の大きさは、ユーザによって調節されうる。これにより、霧化量、喫煙感などがユーザによって調節されうる。他の例として、外部空気は、シガレット200の表面に形成された少なくとも1つの孔(hole)を通じてシガレット200の内部に流入されうる。
【0072】
図3は、例示的な実施例によるエアロゾル生成装置にシガレットが挿入された状態を示す図面である。
【0073】
図3を、
図1及び
図2に基づいて説明したエアロゾル生成装置と比較すれば、蒸気化器180が省略されたことが分かる。
図3に図示されたエアロゾル生成装置に挿入される二重媒質シガレット300に蒸気化器180の機能を遂行する要素が含まれているので、
図3によるエアロゾル生成装置には、蒸気化器180が含まれない。
【0074】
図3によるエアロゾル生成装置10は、二重媒質シガレット300が内部に挿入されれば、二重媒質シガレット300を外部加熱することで、二重媒質シガレット300からユーザが吸入可能なエアロゾルを生成可能ならしめる。また、二重媒質シガレット300については、
図6に基づいて具体的に説明する。
【0075】
以下、
図4を参照して、シガレット200の一例について説明する。
【0076】
図4は、例示的な実施例によるシガレットを示す図面である。
図4を参照すれば、シガレット200は、タバコロッド210及びフィルタロッド220を含む。
図1及び
図2を参照して上述した第1部分は、タバコロッド210を含み、第2部分は、フィルタロッド220を含む。
【0077】
図4には、フィルタロッド220が単一セグメントに図示されているが、それに限定されない。すなわち、フィルタロッド220は、複数のセグメントで構成されうる。例えば、フィルタロッド220は、エアロゾルを冷却する第1セグメント及びエアロゾル内に含まれた所定の成分をフィルタリングする第2セグメントを含む。また、必要によって、フィルタロッド220には、他の機能を遂行する少なくとも1つのセグメントをさらに含んでもよい。
【0078】
シガレット200は、少なくとも1枚のラッパ240によって包装されうる。ラッパ240には、外部空気が流入されるか、内部気体が流出される少なくとも1つの孔(hole)が形成されうる。一例として、シガレット200は、1枚のラッパ240によって包装されうる。他の例として、シガレット200は、2以上のラッパ240によって重畳して包装されうる。例えば、第1ラッパによってタバコロッド210が包装され、第2ラッパによってフィルタロッド220が包装されうる。そして、個別ラッパによって包装されたタバコロッド210及びフィルタロッド220が結合され、第3ラッパによってシガレット200全体が再包装されうる。もし、タバコロッド210またはフィルタロッド220それぞれが複数のセグメントで構成されていれば、それぞれのセグメントが個別ラッパによって包装されうる。そして、個別ラッパによって包装されたセグメントが結合されたシガレット200全体が他のラッパによって再包装されうる。
【0079】
タバコロッド210は、エアロゾル生成物質を含む。例えば、エアロゾル生成物質は、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びオレイルアルコールのうち、少なくとも1つを含むが、それらに限定されない。また、タバコロッド210は、風味剤、湿潤剤及び/または有機酸(organic acid)のような他の添加物質を含んでもよい。また、タバコロッド210には、メントールまたは保湿剤などの加香液が、タバコロッド210に噴射されることで添加されうる。
【0080】
タバコロッド210は、多様にも作製される。例えば、タバコロッド210は、シート(sheet)状にも、ストランド(strand)状にも作製されうる。また、タバコロッド210は、タバコシートが細かく切られた刻みタバコによって作製されうる。また、タバコロッド210は、熱伝導物質によっても取り囲まれる。例えば、熱伝導物質は、アルミニウム箔のような金属箔でもあるが、それに限定されない。一例として、タバコロッド210を取り囲む熱伝導物質は、タバコロッド210に伝達される熱を均一に分散させてタバコロッドに加えられる熱伝導率を向上させ、これにより、タバコ味を向上させうる。また、タバコロッド210を取り囲む熱伝導物質は、誘導加熱式ヒータによって加熱されるサセプタとしての機能が行える。この際、図示されていないが、タバコロッド210は、外部を取り囲む熱伝導物質以外にも追加のサセプタをさらに含んでもよい。
【0081】
フィルタロッド220は、酢酸セルロースフィルタでもある。一方、フィルタロッド220の形状には、制限がない。例えば、フィルタロッド220は、円柱状ロッドでもあり、内部に中空を含むチューブ状ロッドでもある。また、フィルタロッド220は、リセス状ロッドでもある。もし、フィルタロッド220が複数のセグメントで構成された場合、複数のセグメントのうち、少なくとも1つが異なる形状にも作製される。
【0082】
フィルタロッド220は、香味が発生するようにも作製される。一例として、フィルタロッド220に加香液が噴射され、加香液が塗布された別途の繊維がフィルタロッド220の内部に挿入されうる。
【0083】
また、フィルタロッド220には、少なくとも1つのカプセル230が含まれうる。ここで、カプセル230は、香味を発生させる機能を遂行し、エアロゾルを発生させる機能を遂行する。例えば、カプセル230は、香料を含む液体を被膜で覆い包む構造でもある。カプセル230は、球状または円筒状を有するが、それに制限されない。
【0084】
もし、フィルタロッド220にエアロゾルを冷却するセグメントが含まれる場合、冷却セグメントは、高分子物質または生分解性高分子物質によっても製造される。例えば、冷却セグメントは、純粋なポリ乳酸(polylactic acid)だけで作製されうるが、それに限定されない。または、冷却セグメントは、複数の孔が形成された酢酸セルロースフィルタによって作製されうる。しかし、冷却セグメントは、上述した例に限定されず、エアロゾルが冷却する機能が遂行可能であれば、制限なしに該当しうる。
【0085】
一方、
図4には、図示されていないが、一実施例によるシガレット200は、前端フィルタをさらに含んでもよい。前端フィルタは、タバコロッド210において、フィルタロッド220に対向する一側に位置する。前端フィルタは、タバコロッド210の外部への離脱を防止し、喫煙中にタバコロッド210から液状化されたエアロゾルがエアロゾル発生装置(
図1及び
図2の10)への流入を防止することができる。
【0086】
図5は、シガレットの他の一例を示す図面である。
図5を参照すれば、シガレット200は、十字チューブ205、タバコロッド210及びチューブ220a、フィルタ220bが最終ラッパ240によって覆い包まれる形態を有する。
図5において、ラッパは、十字チューブ205、タバコロッド210、チューブ220a、フィルタ220bをそれぞれ覆い包む個別ラッパと、個別ラッパで覆い包まれた十字チューブ205、タバコロッド210、チューブ220a、フィルタ220bを1つに覆い包む最終ラッパを含む。
【0087】
図1及び
図2を参照して、エアロゾル生成物質を含むと説明された第1部分は、十字チューブ205及びタバコロッド210を含む。
図1及び
図2を参照して、フィルタを含むと説明された第2部分は、フィルタロッド220を含む。説明の便宜上、以下、
図1及び
図2を参照して説明し、
図4の説明と重複する説明は省略する。
【0088】
十字チューブ205は、タバコロッド210に連結される十字状のチューブを意味する。
【0089】
タバコロッド210は、エアロゾル生成装置10のヒータ130によって加熱されるとき、エアロゾルを生成させるエアロゾル生成基質を含む。
【0090】
チューブ220aは、タバコロッド210のエアロゾル生成基質がヒータ130から十分な量のエネルギーを受けて加熱される際に生成されるエアロゾルをフィルタ220bに伝達することができる。チューブ220aは、酢酸セルローストウに可塑剤であるトリアセチン(TA)を一定以上加えて円形(circle)に成形する方式によっても製造される。チューブ220aは、十字チューブ205と比較して、形態が異なり、タバコロッド210とフィルタ220bとを連結するという点で配置上の差がある。
【0091】
フィルタ220bは、タバコロッド210で生成されたエアロゾルがチューブ220aを通じて伝達されれば、エアロゾルを通過させてユーザがフィルタ220bによって濾過されたエアロゾルを吸い込むようにする。フィルタ220bは、酢酸セルローストウに基づいて作製された酢酸セルロースフィルタでもある。
【0092】
最終ラッパ240は、十字チューブ205、タバコロッド210、チューブ220a及びフィルタ220bをそれぞれ取り囲む紙であって、十字チューブラッパ240b、タバコロッドラッパ240c、チューブラッパ240d及びフィルタラッパ240eをいずれも含む。
【0093】
図5において、十字チューブラッパ240bは、アルミニウム材質のラッパ、チューブ部220aは、MFWまたは24Kラッパ、フィルタ220bは、耐油ハードラッパまたは、PLA(Poly Lactic Acid)材質の合紙によって取り囲まれる。タバコロッドラッパ240c及び最終ラッパ240については、以下でさらに詳細に後述する。
【0094】
タバコロッドラッパ240cは、タバコロッド210を取り囲み、ヒータ130によって伝達される熱エネルギーの効率性を極大化させるために熱伝導性向上物質がコーティング(coating)されうる。例えば、タバコロッドラッパ240cは、銀箔紙(Ag)、アルミニウム箔紙(Al)、銅箔紙(Cu)、カーボン紙(carbon paper)、充填剤(filler)、セラミック(AlN、Al2O3)、シリコンカーバイド(silicon carbide)、クエン酸ナトリウム(Na citrate)、クエン酸カリウム(K citrate)、アラミド繊維(aramid fiber)、ナノセルロース(nano cellulose)、ミネラル紙(mineralpaper)、グラシン紙(glassine paper)、SWNT(Single-Walled Carboe Nanotube)のうち、少なくとも1つが一般ラッパまたは異形原紙にコーティングされる方式で作製されうる。一般ラッパは、広く知られたシガレットに適用されているラッパを意味し、手抄紙試験を経て紙製造作業性及び熱伝導性がいずれも一定値以上を超過する検証された材質によって作製された多孔性ラッパを意味する。
【0095】
また、本発明において最終ラッパ240は、タバコロッドラッパ240cにコーティングされる多様な物質のうち、充填剤、セラミック、シリコンカーバイド、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、アラミド繊維、ナノセルロース、SWNTのうち、少なくとも1つがMFW原紙(滅菌された紙の一種)にコーティングされる方式で作製されうる。
【0096】
図1及び
図2で説明した外部加熱式エアロゾル生成装置10に含まれるヒータ130は、制御部110によって制御される対象であって、タバコロッド210に含まれているエアロゾル生成基質を加熱させてエアロゾルを生成させ、この際、タバコロッド210に伝達される熱エネルギーは、輻射熱75%、対流熱15%、伝導熱10%の比率で構成される。実施例によって、タバコロッド210に伝達される熱エネルギーを構成する輻射熱、対流熱、伝導熱の比率は異なってもいる。
【0097】
本発明は、ヒータ130からヒータ130と直接接触せず、離隔配置されうるエアロゾル生成基質への熱エネルギー伝達を加速化するために、タバコロッドラッパ240c及び最終ラッパ240に熱伝導性向上物質をコーティングして、タバコロッド210のエアロゾル生成基質に熱エネルギーが効率的に伝達されるように促進し、ヒータ130が十分に加熱される前の初期パフ時にもユーザに十分な量のエアロゾルを提供することができる。
【0098】
実施例によって、タバコロッドラッパ240cまたは最終ラッパ240のうち、いずれか1つに対してのみ熱伝導性向上物質がコーティングされ、前述した例のみならず、既定値の熱伝導率を有する有機金属、無機金属、繊維、高分子素材がタバコロッドラッパ240cまたは最終ラッパ240にコーティングされる方式で本発明が具現されうる。
【0099】
図6は、
図3の装置で使用される二重媒質シガレットの一例を示す図面である。
【0100】
図6において、二重媒質シガレットは、
図4及び
図5で説明したシガレットと区別するための目的と、本開示の実施例を簡略に説明するために名付けたものである。
図6を参照すれば、二重媒質シガレット300は、エアロゾル基材部310、媒質部320、冷却部330及びフィルタ部340を有し、これらは、最終ラッパ350によって覆い包まれる。エアロゾル基材部310、媒質部320及びフィルタ部340は、個別ラッパ310a、320a、340aに包装された後、最終ラッパ350に包装される。
【0101】
エアロゾル基材部310は、パルプ(pulp)基盤の紙に保湿剤を含有させて既設定の形態に成形した部分である。エアロゾル基材部310は、プロピレングリコール及びグリセリンを保湿剤として含む。エアロゾル基材部310の保湿剤は、原紙重さ対比で一定重量比率を有するプロピレングリコール及びグリセリンを含む。エアロゾル基材部310は、二重媒質シガレット300が
図3のエアロゾル生成装置10に挿入されたとき、エアロゾル基材部310は、ヒータ130に最も近く位置される。媒質部320は、シート(sheet)、ストランド(strand)、タバコシートが細かく切られた刻みタバコのうち、1つ以上を含み、ユーザに喫煙経験を提供するために、ニコチンを発生させる部分である。エアロゾル記載部310がヒータ130と媒質部320との間に位置するために、媒質部320は、二重媒質シガレット300が
図3のエアロゾル生成装置10に挿入されるとき、ヒータ130によって直接加熱されず、熱は、エアロゾル記載部310を通じて媒質部320に間接的に伝達される。本実施例では、媒質部320に含まれる媒質が到逹しなければならない温度がエアロゾル基材部310に含まれた保湿剤が到逹しなければならない温度よりもさらに低い特性を考慮して、エアロゾル基材部310は、ヒータ130に加熱されて媒質部320の温度を間接的に上昇させる。ヒータ130によって媒質部320が一定以上の温度に加熱されれば、ニコチン蒸気が生成される。
【0102】
具体的な実施例によれば、二重媒質シガレット300が
図3のエアロゾル生成装置10に挿入されたとき、媒質部320の一部は、ヒータ130と対向しうる。
【0103】
冷却部330は、所定重量の可塑剤を含むチューブフィルタからなる。エアロゾル基材部310及び媒質部320から生成された保湿剤蒸気及びニコチン蒸気が混合されてエアロゾル化(aerosolization)され、冷却部330を通過しつつ冷却される。
【0104】
フィルタ部340は、酢酸セルロースフィルタでもあり、フィルタ部340の形状には、制限がない。例えば、フィルタ部340は、円柱状(cylindrical type)ロッドでもあり、内部に中空を含むチューブ状(tube type)でもある。フィルタ部340が複数のセグメントで構成された場合、複数のセグメントのうち、少なくとも1つが異なる形状にも作製される。フィルタ部340は、香味が発生するようにも作製される。一例として、フィルタ部340に加香液が噴射され、加香液が塗布された別途の繊維がフィルタ部340の内部に挿入されうる。
【0105】
また、フィルタ部340には、少なくとも1つのカプセルが含まれうる。ここで、カプセルは、香味を発生させる機能を遂行する。例えば、カプセルは、香料を含む液体を被膜で覆い包む構造でもあり、球状または円筒状を有するが、それに制限されない。
【0106】
最終ラッパ350は、個別ラッパ310a、320a、及び340aで取り囲まれたエアロゾル基材部310、媒質部320及びフィルタ部340を覆い包むラッパを意味する。
【0107】
図7は、例示的な実施例による液状カートリッジを含むエアロゾル生成装置の斜視図である。
【0108】
より具体的に、
図7は、一実施例によるエアロゾル生成物質を保有する交換可能なカートリッジ750と、それを備えたエアロゾル生成装置700の結合関係を概略的に示す分離斜視図である。
図7に示された実施例に係わるエアロゾル生成装置700は、エアロゾル生成物質を保持する交換可能なカートリッジ750と、交換可能なカートリッジ750を支持する本体710を含む。
【0109】
交換可能なカートリッジ750は、内部にエアロゾル生成物質を収容した状態で本体710に結合することができる。交換可能なカートリッジ750の一部が、本体710の収容空間に挿入されることで交換可能なカートリッジ750が本体710に装着されうる。
【0110】
交換可能なカートリッジ750は、例えば、液体状態や、固体状態や、気体状態や、ゲル(gel)状態のうち、いずれか1つの状態を有するエアロゾル生成物質(エアロゾル生成基質)を保有することができる。エアロゾル生成物質は、液状組成物を含む。例えば、液状組成物は、揮発性タバコ香成分を含むタバコ含有物質を含む液体でもあり、非タバコ物質を含む液体でもある。
【0111】
液状組成物は、例えば、水、ソルベント、エタノール、植物抽出物、香料、香味剤、及びビタミン混合物のいずれか1つの成分や、これら成分の混合物を含む。香料は、メントール、ペパーミント、スペアミントオイル、各種果物の香り成分などを含んでもよいが、それらに制限されるものではない。香味剤は、ユーザに多様な香味または風味を提供する成分を含む。ビタミン混合物は、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC及びビタミンEのうち、少なくとも1つが混合されたものでもあるが、それらに制限されるものではない。また、液状組成物は、グリセリン及びプロピレングリコールのようなエアロゾル形成剤を含む。
【0112】
例えば、液状組成物は、ニコチン塩が添加された任意の重量比のグリセリン及びプロピレングリコール溶液を含む。液状組成物には、2種以上のニコチン塩が含まれうる。ニコチン塩は、ニコチンに有機酸または無機酸を含む適切な酸を添加することで形成されうる。ニコチンは、自然に発生するニコチンまたは合成ニコチンであって、液状組成物の総溶液重量に対する任意の適切な重量の濃度を有する。
【0113】
ニコチン塩の形成のための酸は、血中ニコチン吸収速度、エアロゾル生成装置10の作動温度、香味または風味、溶解度などを考慮して適切に選択されうる。例えば、ニコチン塩の形成のための酸は、安息香酸、乳酸、サリチル酸、ラウリン酸、ソルビン酸、レブリン酸、ピルビン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、クエン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、フェニル酢酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、グルコン酸、サッカリン酸、マロン酸またはリンゴ酸で構成された群から選択される単独の酸または前記群から選択される2以上の酸の混合でもあるが、それらに限定されない。
【0114】
交換可能なカートリッジ750は、本体710から伝達される電気信号または無線信号などによって作動することで、交換可能なカートリッジ750の内部のエアロゾル生成物質の相(phase)を気相に変換してエアロゾル(aerosol)を発生させる。エアロゾルは、エアロゾル生成物質から発生した蒸気化された粒子と空気とが混合された状態の気体を意味する。
【0115】
例えば、交換可能なカートリッジ750は、本体710から電気信号を供給され、エアロゾル生成物質を加熱するか、超音波振動方式を利用するか、誘導加熱方式を用いることで、エアロゾル生成物質の相を変換することができる。他の例として、交換可能なカートリッジ750が自体的な電力源を含む場合には、本体710から交換可能なカートリッジ750に伝達される電気的な制御信号や無線信号によって交換可能なカートリッジ750が作動することで、エアロゾルを発生させうる。
【0116】
交換可能なカートリッジ750は、内部にエアロゾル生成物質を収容する液体保存部と、液体保存部のエアロゾル生成物質をエアロゾルに変換する霧化器(atomizer)を含む。
【0117】
液体保存部が内部に「エアロゾル生成物質を収容する」ということは、液体保存部が容器(container)の用途のようにエアロゾル生成物質を単に入れる機能を遂行することと、液体保存部の内部に、例えば、スポンジ(sponge)や綿や布地や多孔性セラミック構造体のようなエアロゾル生成物質を含浸(含有)する要素を含むことを意味する。
【0118】
霧化器は、例えば、エアロゾル生成物質を吸収し、エアロゾルに変換するための最適の状態に保持する液体伝達手段(wick;ウィック)と、液体伝達手段を加熱し、エアロゾルを発生させるヒータを含む。
【0119】
液体伝達手段は、例えば、綿繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、多孔性セラミックのうち、少なくとも1つを含む。
【0120】
ヒータは、電気抵抗によって熱を発生させることで液体伝達手段に伝達するエアロゾル生成物質を加熱するために銅、ニッケル、タングステンなどの金属素材を含む。ヒータは、例えば、金属熱線(wire)、金属熱板(plate)、セラミック発熱体などによって具現され、ニクロム線のような素材を用いて伝導性フィラメントによって具現されるか、液体伝達手段に巻かれるか、液体伝達手段に隣接して配置されうる。
【0121】
また、霧化器は、別途の液体伝達手段を使用せず、エアロゾル生成物質を吸収し、エアロゾルに変換するための最適の状態に保持する機能とエアロゾル生成物質を加熱し、エアロゾルを発生させる機能をいずれも遂行するメッシュ状(mesh shape)や板状(plate shape)の発熱体によって具現されうる。
【0122】
交換可能なカートリッジ750の内部に収容されたエアロゾル生成物質を外部から視認可能なように交換可能なカートリッジ750の液体保存部は、少なくとも一部が透明な素材を含む。液体保存部は、本体710への結合時に本体710の溝に挿入されうるように液体保存部から突出する突出窓を含む。マウスピース及び液体保存部の全体が透明なプラスチックやガラスなどの素材によって作製され、液体保存部の一部に該当する突出窓だけが透明な素材によって作製されうる。
【0123】
本体710は、収容空間の内側に配置された接続端子を含む。本体710の収容空間に交換可能なカートリッジ750の液体保存部が挿入されれば、本体710は接続端子を通じて交換可能なカートリッジ750に電力を提供するか、交換可能なカートリッジ750の作動に係わる信号を交換可能なカートリッジ750に供給することができる。
【0124】
交換可能なカートリッジ750の液体保存部の一側端部には、マウスピースが結合される。マウスピースは、エアロゾル生成装置700のユーザの口腔に挿入される部分である。マウスピースは、液体保存部内部のエアロゾル生成物質から発生したエアロゾルを外部に排出する排出孔を含む。
【0125】
本体710には、スライダ730が本体710に対して移動可能に結合される。スライダ730は、本体710に対して移動することで、本体710に結合された交換可能なカートリッジ750のマウスピースの少なくとも一部を覆うか、マウスピースの少なくとも一部を外部に露出させる機能を遂行する。スライダ730は交換可能なカートリッジ750の突出窓の少なくとも一部を外部に露出させる長孔を含む。
【0126】
スライダ730は、内部が空いており、両端部が開放された筒状を有する。スライダ730の構造は、図示されたところように筒状に制限されず、本体710の縁部に結合された状態を保持しながら、本体710に対して移動可能なクリップ状の断面形状を有する折り曲げられた板の構造や、湾曲された円弧状の断面形状を有する折り曲げられた半円筒状などの構造を有する。
【0127】
スライダ730は、本体710と交換可能なカートリッジ750に対するスライダ730の位置を保持するための磁性体を含む。磁性体は、永久磁石や、鉄、ニッケル、コバルト、またはそれらの合金のような素材を含む。
【0128】
磁性体は、スライダ730の内部空間を挟んで互いに対面する2つの第1磁性体8aと、スライダ730の内部空間を挟んで互いに対面する2つの第2磁性体8bを含む。第1磁性体と第2磁性体は、スライダ730の移動方向、すなわち、本体710の延長方向である本体710の長手方向に沿って互いに離隔されるように配置される。
【0129】
本体710は、スライダ730が本体710に対して移動する間、スライダ730の第1磁性体と第2磁性体が移動する経路上に配置された固定磁性体を含む。本体710の固定磁性体も収容空間を挟んで互いに対面するように2つが設けられうる。
【0130】
スライダ730の位置によって、固定磁性体と第1磁性体、または固定磁性体と第2磁性体との間で作用する磁力によってスライダ730は、マウスピースの端部を覆うか、露出させる位置に安定して保持されうる。
【0131】
本体710は、スライダ730が本体710に対して移動する間、スライダ730の第1磁性体と第2磁性体の移動する経路上に配置される位置変化感知センサを含む。位置変化感知センサは、例えば、磁場の変化を感知して信号を発生させるホール効果(hall effect)を用いたホールセンサ(hall IC)を含む。
【0132】
上述した実施例に係わるエアロゾル生成装置700において、本体710と交換可能なカートリッジ750とスライダ730は、長手方向を横切る方向への断面形状がほぼ長方形であるが、実施例は、そのようなエアロゾル生成装置700の形状によって制限されない。エアロゾル生成装置700は、例えば、円形や楕円形や正方形や様々な形態の多角形の断面形状を有する。また、エアロゾル生成装置700が長手方向に延びるとき、必ずしも直線状に延びる構造に制限されず、ユーザが手に取りやすく、例えば、流線形に湾曲されるか、特定領域で既設定の角度で折り曲げられつつ長く延びる。
【0133】
図8は、本実施例によるエアロゾル生成装置の一例の斜視図である。
【0134】
図8を参照すれば、本実施例によるエアロゾル生成装置10は、制御部110、バッテリ120、ヒータ130及び二重媒質シガレット300を含む。
図8は、説明の便宜上、エアロゾル生成装置10の一部構成のみを示しているので、他の構成が追加されても、前述した構成を含んでいれば、本実施例の範疇を外れないということは、当該分野の通常の知識を有する者に自明であろう。
【0135】
また、エアロゾル生成装置10の内部構造は、
図8に図示されたところに限定されず、実施例や設計によって、制御部110、バッテリ120、ヒータ130及び二重媒質シガレット300の配置は異なってもいる。
図8の各構成についての説明は、
図1ないし
図3の説明と同一なので、省略する。
【0136】
図9は、
図8で説明した装置の側面図である。
図9を参照すれば、本実施例によるエアロゾル生成装置10は、PCB 11、制御部110、バッテリ120、第1ヒータ130A、第2ヒータ130B、ディスプレイ150及びシガレット挿入空間160を含む。以下、
図1の構成に係わる説明と重複する説明は省略する。
【0137】
PCB(Printed Circuit Board)11は、制御部110との通信またはその制御下にエアロゾル生成装置10の情報を収集する各種構成要素を電子的に統合するための基板で提供されうる。PCB 11の表面には、制御部110及びディスプレイ150が固定されて装着され、PCB 11に連結された素子に電力を供給するためのバッテリ120が連結される。
【0138】
ディスプレイ150は、エアロゾル生成装置10で生成される情報のうち、ユーザに必要な情報を視覚的な情報に出力し、制御部110から受信した情報に基づいてエアロゾル生成装置10の前面に備えられているLCDパネル(またはLEDパネル)に出力される情報を制御する。
【0139】
シガレット挿入空間160は、シガレット200または二重媒質シガレット300を挿入させるために、エアロゾル生成装置10の内部に向かって一定深さに凹んでいる空間を意味する。シガレット挿入空間160は、スティック形態のシガレット200または二重媒質シガレット300が安定して装着されるように筒状(cylindricalshape)であり、シガレット挿入空間160の高さ(深さ)は、シガレット200または二重媒質シガレット300でエアロゾル生成物質が含まれた領域の長さによって異なりうる。
【0140】
例えば、シガレット挿入空間160に、
図6で説明した二重媒質シガレット300が挿入されるならば、シガレット挿入空間160の高さは、エアロゾル基材部310及び媒質部320の長さを合算した値と同一でもある。シガレット挿入空間160にシガレット200または二重媒質シガレット300が挿入されれば、シガレット挿入空間160に隣接している第1ヒータ130A及び第2ヒータ130Bが加熱されることにより、エアロゾルが生成されうる。
【0141】
図10は、例示的な実施例によるエアロゾル生成装置に含まれる制御部のブロック図である。
【0142】
図10を参照すれば、エアロゾル生成装置10の制御部110は、センサ情報収集部111、第1オフセット算出部113、第2オフセット算出部115及び補償処理部117を含む。
図10の制御部110、センサ情報収集部111、第1オフセット算出部113、第2オフセット算出部115及び補償処理部117は、少なくとも1つのプロセッサに含まれうる。プロセッサは、多数の論理ゲートのアレイによって具現され、汎用的なマイクロプロセッサと、該マイクロプロセッサで実行されるプログラムが保存されたメモリの組合わせによっても具現される。また、
図10の制御部110、センサ情報収集部111、第1オフセット算出部113、第2オフセット算出部115及び補償処理部117が互いに異なる形態のハードウェアによっても具現されるということを、当該実施例が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、理解できるであろう。プロセッサは、ハードウェア、ファームウェアまたはハードウェアとソフトウェアとの組合わせによって具現される。少なくとも1つのプロセッサは、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、加速処理装置(APU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、注文型集積回路(ASIC)または他の類型の処理構成要素である。プロセッサは、機能を遂行するようにプログラミングされうる1つ以上のプロセッサを含む。
【0143】
センサ情報収集部111は、ヒータの温度を測定する温度センサ190が測定した温度からセンサ情報を収集する。センサ情報収集部111が収集するセンサ情報には、温度センサ190が測定したヒータの温度値が含まれうる。
【0144】
第1オフセット算出部113は、温度センサが測定した温度に加算または適用するための第1補償値(第1オフセットまたは第1加重値)を算出する。
【0145】
第2オフセット算出部115は、第1補償値が加算された温度に加算または適用するための第2補償値(第2オフセットまたは第2加重値)を算出する。
【0146】
補償処理部117は、温度センサ190が測定した温度に第1補償値を加算するか、第1補償値が加算された温度に第2補償値をさらに加算して最終的なヒータの温度が決定されるための全般的な演算を遂行する。他の実施例において、補償処理部117は、測定した温度に第1加重値及び/または第2加重値を乗算して第1加重値及び/または第2加重値を測定温度に適用することができる。
【0147】
前述した各モジュールの名称は、制御部110が遂行する機能を直観的に説明するためのものであって、実施例によって、各モジュールの名称は、変更されうる。また、各モジュールが遂行する機能が制御部110によって単独に具現されうるということは、当該分野の通常の知識を有する者に自明であろう。したがって、以下、本開示の複数の実施例を具体的に説明し、説明の便宜上、特に限定していなければ、各機能を遂行する主体は、制御部110と見なす。
【0148】
本開示によるエアロゾル生成装置10は、ヒータ130、ヒータ130の温度を測定する温度センサ190及びヒータ130に供給される電力を制御する制御部110を含む。制御部110は、温度センサ190が測定した温度に第1補償値を加算し、第1補償値が加算された温度に第2補償値をさらに加算することで、ヒータ130の最終温度を決定することができる。
【0149】
まず、温度センサ190は、ヒータ130の温度を測定して制御部110に伝達する。ヒータ130の温度は、300℃を超過し、ヒータ130の加熱効率を保持するために、ヒータ130には、温度センサ190が直接付着されず、かつ/あるいは物理的に接触しない。したがって、温度センサ190によって測定されるヒータ130の温度(測定温度)は、ヒータ130の実際温度と偏差が生じうる。
【0150】
図11は、温度センサ190が測定したヒータ130の温度とヒータの実際温度との差を直観的に示している図面である。
【0151】
図11を参照すれば、温度センサ190が感知した温度を示すグラフ1110は、ヒータ130の実際温度を示す実際温度グラフ1130よりも高い。すなわち、
図11は、温度センサ190が感知したヒータ130の温度が大体ヒータ130の実際温度よりもさらに高く測定されることを示し、制御部110が、温度センサ190によって測定されたヒータ130の温度値を信頼するためには、温度センサ190によって測定されたヒータ130の温度に適切な補償値を補償せねばあならない。
【0152】
図11で測定されたヒータ130の温度は、ヒータ130の実際温度よりもさらに高いので、補償値は負数となる。しかし、実施例によって、温度センサ190が測定したヒータ130の温度がヒータ130の実際温度よりもさらに低くもなり、その場合、補償値は、正数になる。
【0153】
本発明において、制御部110は、上のような偏差を最小化するために、測定されたヒータ130の温度に対して少なくとも2回以上補償することにより、ヒータ130の実際温度に近接するか、ヒータ130の実際温度と同じ温度値を獲得することができる。
【0154】
制御部110が、温度センサ190によって測定されたヒータ130の温度に加算する第1補償値及び第2補償値は、互いに異なる方式によって算出された値である。
【0155】
一例として、第1補償値が加算されたヒータ130の温度は、ヒータ130が加熱される間に、温度センサ190が測定した温度の変化率に基づいて決定される多項式によって決定された温度でもある。
【0156】
図12は、温度センサ190が測定した温度の変化率に基づいて決定される多項式によって第1補償値が加算されたヒータ130の温度が決定される一例を示す図面である。
【0157】
まず、
図12の(a)は、
図11のように温度センサ190が測定したヒータ130の温度とヒータ130の実際温度に対するグラフを比較した結果を示す図面である。
【0158】
図12の(a)のグラフは、第1区間1210、第2区間1230及び第3区間1250に分けられている。第1区間1210は、ヒータ130の温度が最高温度(約310℃)に到逹してから、一定温度に保持される区間を意味する。第2区間1230は、第1区間1210で一定に保持されていたヒータ130の温度が一定比率で下降した後、下降した温度に一定に保持される区間を意味する。第3区間1250は、第2区間1230で一定に保持されていたヒータ130の温度が一定比率で再び降温する区間を意味する。
【0159】
図12の(b)は、ある多項式のグラフを示している。具体的に、
図12の(b)は、第1補償値が加算されたヒータ130の温度を算出するための多項式のグラフであり、制御部110は、
図12の(b)による多項式に基づいて第1補償値が加算されたヒータ130の温度を決定する。
【0160】
【0161】
数式1は、
図12の(b)に係わる多項式を示す。数式1において、xは、第1補償値が加算されたヒータ130の温度、yは、温度センサ190が測定したヒータ130の温度をそれぞれ意味する。例えば、
図12の(a)を参照すれば、第1区間1210において、温度センサ190が測定したヒータ130の温度は、約349℃に保持され、第2区間1230で温度センサ190が測定したヒータ130の温度は、約290℃に保持され、第3区間1250で温度センサ190が測定したヒータ130の温度の平均は、約233℃である。
図12の(a)で観測された温度値である349℃、290℃、233℃を数式1のyにそれぞれ代入し、数式1の逆関数を用いて、xを求めれば、x値は、それぞれ310℃、260℃、213℃が求められ、その値が、第1補償値が加算されたヒータ130の温度になる。
【0162】
つまり、
図12の(b)と数式1をまとめれば、
図12の(a)の第1区間1210での第1補償値は、349から310を差し引いた39、第2区間1230での第1補償値は、290から260を差し引いた30、第3区間1250での第1補償値は、233から213を差し引いた20になることが分かる。
【0163】
数式1は、温度センサ190が測定した温度の変化率に基づいて決定される多項式の一例である。制御部110は、
図12の(a)の第1区間1210での偏差は、35(例えば、第1既定値)を超過した値であり、第2区間1230での偏差は、30(例えば、第2既定値)を超過した値であり、第3区間1250での偏差は、30未満の値であるということを用いて、多項式をモデリング(modeling)し、追加的なデータが蓄積される度に予め保存された多項式を補正することができる。したがって、制御部110が第1補償値を算出するために参照する多項式は、数式1と異なる形態にもなる。すなわち、本発明において、数式1は、2次多項式であるが、制御部110が第1補償値を決定するために使用する数式は、実施例によって、2次多項式以外に他の形態の多項式でもある。
【0164】
また、
図12の(a)において、第1区間1210、第2区間1230及び第3区間1250を区分することは、第1補償値の大きさではなく、既設定の時間間隔である。例えば、
図12の(a)において、ヒータ130の温度は加熱されることにより、上昇し続けて約310℃に到逹し(例えば、T
0時点からT
1時点まで)、T
1時点以後には、ヒータ130が一定に保持される(例えば、第1区間1210に対応するT
1時点からT
2時点まで)。それにより、ヒータ130の温度は、第2区間1230内のT
2時点からT
3時点に、第3区間1250内のT
3時点からT
4時点に漸進的に減少する。ここで、第1区間1210の時間的長さは、予め保存されている値でもある。制御部110は、予め保存された時間長さ値を参考にして、ヒータ130に供給される電力を制御し、ヒータ130に供給される電力は、第1区間1210において310℃を保持する際には、一定に保持されていて、経時的に第2区間1230に突入しつつ減少する。制御部110に保存される各区間の時間長さ値は、実験的、経験的または、数学的に最適化された値でもある。
【0165】
一実施例によれば、制御部110または第1オフセット算出部113は、数式1をモデリングするためのモジュールを含む。ヒータ130が加熱される時点に係わる時間情報、温度センサ190によって収集されたヒータ130の温度情報及び当該区間でのヒータ130の予測温度などを考慮して、制御部110または第1オフセット算出部113に含まれたモデリングモジュールは、数式1のように1次オフセット(または、1次オフセットが反映されたヒータの温度)を1つの多項式で示すためのモデリングを遂行する。当該区間でのヒータ130の予測温度は、制御部110に保存されている温度プロファイル(電力プロファイル)を参考にして獲得されうる。
【0166】
本発明でのモデリングモジュールは、多項式のモデリングの精度を高めるために、カーブフィッティングアルゴリズム(curve fitting algorithm)、サポートベクターマシン(support vector machine)または遺伝的アルゴリズム(genetic algorithm)のような各種機械学習アルゴリズムを用いることができる。また、モデリングモジュールは、エアロゾル生成装置に備えられた通信モジュールを介して外部端末が遂行したモデリング結果を受信して活用することもできる。
【0167】
図13は、第1補償値が加算されたヒータ130の温度とヒータ130の実際温度のグラフを図式的に示す図面である。第1補償値が加算されたヒータ130の温度は、第1補償温度と指称されうる。
【0168】
図13を
図12の(a)と比較すれば、ヒータ130の第1補償温度1310及びヒータ130の実際温度1330の偏差が顕著に減少したことが分かる。一例として、第1区間1210において温度センサ190の測定した温度は、約349℃であったが、第1補償値である-37℃が加算されることで、第1補償温度は、312℃になり、実際温度である310℃とわずかな差を有する。第1区間1210以外に第2区間1230及び第3区間1250に対しても、第1補償値(第1オフセット、The first offset)が適用されたヒータ130の温度は、ヒータ130の実際温度と大きな差がなくなったということを、
図13を通じて確認することができる。
【0169】
図14は、第2補償値を説明するための図面である。
本開示において、制御部110または第2オフセット算出部115は、温度センサ190が測定したヒータ130の温度に第1補償値を加算するだけではなく、第2補償値を加算することで、ヒータ130の温度をさらに正確に決定することになる。上のような構成は、第1補償値が多項式によって決定される特性によって、ヒータ130が加熱される全区間で誤差なしに補償され難いという点を考慮したものである。2段階の補償を通じて最終的に決定されるヒータの温度は、ヒータの実際温度と非常に類似しているか、同じ値にもなる。
【0170】
図14のグラフは、
図11ないし
図13で説明したグラフと互いに異なるグラフであって、温度センサ190が測定した温度値に第1補償値が加算されたが、依然としてヒータ130の実際温度と差がある部分が断続的に示されるということを説明するためのグラフである。具体的に、
図14のグラフにおいて、第4区間1410、第5区間1430及び第6区間1450は、第1補償値が加算されたにもかかわらず、依然として、ヒータ130の実際温度と差が発生する区間である。
【0171】
制御部110は、少なくとも2以上の区間別に第2補償値が対応しているマッチングテーブル(matching table)を参照し、第4区間1410ないし第6区間1450の第2補償値を決定することができる。
【0172】
【0173】
表1は、制御部110が参照するマッチングテーブルの一例を示す。表1は、第1補償値が加算された温度とヒータ130の実際温度との一致または不一致を基準に、第2補償値が対応しているマッチングテーブルであって、制御部110は、表1のようなマッチングテーブルを参考にして、不一致区間で第2補償値をどのような値にするかを決定する。第2補償値は、実験的、経験的または数学的に算出されて制御部110の内部保存装置(メモリ)に予め保存されている値であり、さらに優れた結果を誘導するために、更新されて保存されうる。
図14及び表1を参照し、例えば、第4区間1410の第2補償値は、-2でもあり、第6区間1450の第2補償値は、+1でもある。
【0174】
温度センサ190が測定したヒータ130の温度に第1補償値が加算されれば、ほぼ全ての区間で温度センサ190が測定した温度とヒータ130の実際温度との偏差がなくなるが、モデリングの完成度や温度プロファイルの特異性によって第1補償値が加算された以後にも、依然としてヒータ130の実際温度と格差がある地点が生じるので、制御部110は、第2補償値を適用し、全ての区間での温度値がヒータ130の実際温度と一致するように制御する。
【0175】
前述したように、第1補償値及び第2補償値は、正数または負数になる。また、選択的一実施例として、同一地点の測定温度に対する第1補償値は、第2補償値よりもさらに大きい。他の選択的一実施例として、同一地点の測定温度に対する第1補償値は、第2補償値よりさらに小さい。2つの選択的一実施例は、モデリングされる多項式の精度または制御部110に保存されるマッチングテーブルの数値によって多様に発現されうる。
【0176】
他の実施例によれば、第1補償値は、温度センサの測定した温度が既設定の温度に到逹した以後から加算され、第2補償値は、第1補償値が加算された温度が異なる既設定の温度に到逹した後から加算されうる。本実施例は、装置で生成されるエアロゾルの風味は、主にヒータが最高温度に到逹した以後の温度保持方式によって決定される傾向が大きいということを考慮したものであって、制御部110は、第1補償値または第2補償値のうち、少なくとも1つ以上に対してのみヒータの温度が既設定の温度に到逹した以後に温度センサが測定した温度(または、第1補償値が加算された温度)に加算されるように制御することができる。
【0177】
他の実施例として、制御部110は、第1補償値をマッチングテーブルを活用して決定し、第2補償値を数式1のような多項式で決定してもよい。第1補償値がマッチングテーブルによって決定されることにより、第2補償値を決定する多項式の次数や形態は、制御部110が演算しやすい形態にも変更される。
【0178】
図15は、例示的な実施例によって温度センサが測定した温度値を多重的に補償する方法の一例をフローチャートで示す図面である。
【0179】
図15は、
図1ないし
図10に基づいて説明したエアロゾル生成装置10または制御部110によって具現されるので、これを参照して説明し、以下では、前述した内容と重複する説明は省略する。
【0180】
制御部110は、温度センサが感知した結果を収集する(段階S1510)。
【0181】
制御部110は、収集された結果に第1基準によるオフセットを反映する(段階S1530)。段階S1530において、第1基準とは、温度の変化率による多項式になり、第1基準によるオフセットとは、第1補償値を意味するということは、前述した。
【0182】
制御部110は、第1基準によるオフセットが反映された結果に第2基準によるオフセットを反映する(段階S1550)。段階S1550において、第1基準によるオフセットの反映された結果は、第1補償値が加算されたヒータの測定温度を意味し、第2基準によるオフセットは、第2補償値を意味する。
【0183】
制御部110は、二重に適用されたオフセットによって補正された温度センサ結果を決定し、出力する(段階S1570)。段階S1570は、
図10の補償処理部117によって遂行されうるということは、前述した。
【0184】
図16は、例示的な実施例によって温度センサが測定した温度値に多重補償を遂行する方法を示すフローチャートである。
【0185】
図16は、
図1ないし
図10に基づいて説明したエアロゾル生成装置10または制御部110によって具現されうるので、これを参照して説明し、以下、前述した内容と重複する説明は省略する。
【0186】
制御部110は、温度センサが感知した結果を収集する(段階S1610)。
【0187】
制御部110は、収集された結果に第1基準によるオフセットを反映する(段階S1630)。
【0188】
制御部110は、追加的な補正が必要ではない区間の有無を検討し(段階S1650)、補正が必要な部分だけ選択的に第2基準によるオフセットを反映する(段階S1670)。一例として、制御部110は、第2補償値が0であるか、省略されている地点に対しては、第2基準によるオフセットを反映しなくなり、選択的なオフセット反映を通じて、不要な演算を最小化することができる。
【0189】
一方、制御部110は、追加的な補正が必要ではない区間がなければ、第1基準によるオフセットが反映された全体区間に対して第2基準によるオフセットを反映する(段階S1675)。
【0190】
制御部110は、二重に適用されたオフセットによって補正された温度センサ結果を決定し、出力する(段階S1690)。
【0191】
本発明は、デバイス間のヒータ材質、各種センサの位置、個数など、エアロゾル生成装置の部品偏差から誘発される微細な温度差を感知し、温度センサによって感知されたヒータの温度を多重的に補償することで、IR計測器を内蔵せずとも、ヒータの実際温度を正確に把握し、最適化されたエアロゾルを生成可能ならしめる。
【0192】
前述した本発明による実施例は、コンピュータ上で多様な構成要素を通じて実行されうるコンピュータプログラムの形態によって具現され、そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体に記録されうる。この際、媒体は、ハードディスク、プロッピィーディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD-ROM及びDVDのような光記録媒体、フロッピィーディスク(floptical disk)のような磁気光媒体(magneto-optical medium)、及びROM、RAM、フラッシュメモリのようなプログラム命令語を保存して行うように特別に構成されたハードウェア装置を含む。
【0193】
一方、前記コンピュータプログラムは、本発明のために特別に設計され、構成されたものであるか、コンピュータソフトウェア分野の当業者に公知されて使用可能なものである。コンピュータプログラムの例には、コンパイラによって作製される機械語コードだけではなく、インタープリタなどを使用してコンピュータによって実行される高級言語コードも含まれる。
【0194】
1以上の実施例に説明された特定実行は、例示であり、いかなる方法でも1以上の実施例の範囲を限定するものではない。説明の簡潔さのために、従来の電子的な構成、制御システム、ソフトウェア、前記システムの他の機能的な側面の記載は、省略されうる。また、図面に図示された構成要素間の線の連結または連結部材は、機能的な連結及び/または物理的または回路的連結を例示的に示したものであって、実際装置では、代替可能であるか、追加されうる多様な機能的な連結、物理的な連結、または回路連結として示される。また、「必須な」、「重要に」のように具体的な言及がなければ、本開示の適用のために、必ずしも必要な構成要素ではない。
【0195】
本明細書(特に特許請求範囲において)において、「前記」の用語及びそれと類似した指示用語の使用は、単数及び複数の両方に該当するものでもある。また、本明細書で範囲(range)を記載した場合、前記範囲に属する個別的な値を適用した本開示の実施例を含むものであって(これに反する記載がなければ)、発明の詳細な説明に前記範囲を構成する各個別的な値を記載したものと同一である。本開示による方法を構成する段階について明白に順序を記載するか、それに反する記載がなければ、前記段階は適当な順序で行われる。必ずしも前記段階の記載順序によって本開示が限定されるものではない。本開示において全ての例または例示的な用語(例えば、「など」)の使用は、単に本開示を詳細に説明するためのものであって、特許請求の範囲によって限定されない以上、前記例または例示的な用語によって、本発明の範囲が限定されるものではない。また、当業者は、多様な修正、組合わせ及び変更が付け加えられた特許請求の範囲またはその均等物の範疇内で設計条件及びファクターによって構成されうる。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明の一実施例は、次世代電子タバコの製造に活用されうる。